(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-17
(45)【発行日】2024-10-25
(54)【発明の名称】可搬式風車装置
(51)【国際特許分類】
F03D 13/10 20160101AFI20241018BHJP
F03D 13/40 20160101ALI20241018BHJP
E04H 12/00 20060101ALI20241018BHJP
【FI】
F03D13/10
F03D13/40
E04H12/00 A
(21)【出願番号】P 2023129464
(22)【出願日】2023-08-08
【審査請求日】2024-01-22
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】515043772
【氏名又は名称】株式会社チャレナジー
(74)【代理人】
【識別番号】100227455
【氏名又は名称】莊司 英史
(74)【代理人】
【識別番号】100139103
【氏名又は名称】小山 卓志
(74)【代理人】
【識別番号】100139114
【氏名又は名称】田中 貞嗣
(74)【代理人】
【識別番号】100214260
【氏名又は名称】相羽 昌孝
(72)【発明者】
【氏名】清水 敦史
【審査官】所村 陽一
(56)【参考文献】
【文献】中国特許出願公開第114174674(CN,A)
【文献】特開2015-062547(JP,A)
【文献】実開平05-095613(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F03D 13/10
F03D 13/40
E04H 12/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
風車部と、ベース部と、柱部とを備えた可搬式風車装置において、
前記風車部は、風車を支持し、
前記柱部は主柱と複数の支柱からなり、
前記複数の支柱の上端部は、前記風車部の上部接続部と接続し、
前記複数の支柱の下端部は、前記ベース部の下部接続部に接続し、
前記ベース部は、前記複数の下部接続部で区画される範囲の範囲外に錘が設置可能な基礎ボックスが配置されており、
前記基礎ボックスは、中空である、
可搬式風車装置。
【請求項2】
前記主柱の内部に、前記風車の回転により発電を行う発電ユニットを備える、請求項1記載の可搬式風車装置。
【請求項3】
前記風車部に、前記風車の回転により発電を行う発電ユニットを備える、請求項1記載の可搬式風車装置。
【請求項4】
前記風車部は、太陽光により発電を行うソーラパネルを備える、請求項1記載の可搬式風車装置。
【請求項5】
前記基礎ボックスは、少なくとも解放可能な上板を備え、該上板を解放した状態で基礎ボックス内に錘を挿入可能とされている、請求項4記載の可搬式風車装置。
【請求項6】
前記上板は上面が平面状であり、前記上板の上面に他の部材を載せることが可能とされている、請求項5記載の可搬式風車装置。
【請求項7】
前記風車は垂直軸風車である、請求項1記載の可搬式風車装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、可搬式風車装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、風力発電装置を備えた車により移動可能な可搬式装置が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に開示された移動可能な可搬式装置は、電動自動車やドローンにより移動可能な装置であるが、天壁、底壁および周壁を備える大型の構造であり、設置される現場での組み立てを前提とするものではなかった。
【0005】
そこで、本発明は、安定性を備え、設置される場所での組み立てが容易である可搬式風車装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
可搬式風車装置は、風車部と、ベース部と、柱部とを備えた可搬式風車装置において、前記風車部は、風車を支持し、前記柱部は主柱と複数の支柱からなり、前記複数の支柱の上端部は、前記風車部の上部接続部と接続し、前記複数の支柱の下端部は、前記ベース部の下部接続部に接続し、前記ベース部は、前記複数の下部接続部で区画される範囲の範囲外に錘が設置可能な基礎ボックスを配置した。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、可搬式風車装置を現地で容易に組み立てができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】本発明に用いられる可搬式風車装置の一例を示す全体斜視図である。
【
図2】本発明に用いられる可搬式風車装置の風車部100一例を示す斜視図である。
【
図3】本発明に用いられる可搬式風車装置のベース部200の斜視図である。
【
図4】本発明に用いられる可搬式風車装置のベース部200の上板212の一部を外したときの斜視図である。
【
図7】本発明の可搬式風車装置に用いられる風車10の一例を示す図である。
【
図8】本発明の可搬式風車装置に用いられる風車10の一例の分解図である。
【
図9】他の実施形態に係る可搬式風車装置の側面図である。
【
図10】他の実施形態に係る可搬式風車装置の側面図である。
【
図11】他の実施形態に係る可搬式風車装置の側面図である。
【
図12】他の実施形態に係る可搬式風車装置の斜視図である。
【
図13】内部に、発電ユニット20をブレーキ2の上部に備えた、主柱310の模式断面図である。
【
図14】内部に、発電ユニット20をブレーキ2の下部に備えた、主柱310の模式断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
(第1の実施形態)
図1に示すとおり、可搬式風車装置は、少なくとも、風車部100、ベース部200、風車部100とベース部200を繋ぐ柱部300とからなる。ここで、「可搬式風車装置」とは、風車装置が定位置に設置されるものではなく、風車装置として組み立てられた状態で、または、組み立て前の状態で、貨物車等により搬送可能であり、任意の場所で風車装置として機能させることができる風車装置のことをいう。以下各部を順に説明する。
【0010】
(風車部100)
【0011】
以下に本発明の風車部100の具体的な実施形態を示す。実施形態はあくまで一例であり、この例に限定されるものではない。風車10の種類としては、水平軸風車、垂直軸風車から選択することができるが、方向制御をする必要がない垂直軸風車を選択することが好ましい。
【0012】
なお、以下の実施形態では、風車部100の適用例の1つとして、抗力型タービン装置を用いた垂直軸抗力型風力発電機について説明する。なお、可搬式風車装置の用途を発電機と限定されるものではなく他の用途にも用いることができることは、当業者が容易に理解することができるものである。
【0013】
風車部100は、風車10と風車10を囲むように構成されている枠材110からなる。また、風車部100は、発電ユニット20を備えており、風車の回転力を利用して風力発電機として機能することが好ましいが、風車の回転力を他の用途に用いることもできる。
【0014】
図7に抗力型の風力タービンとして機能する風車10を示す。抗力型の風力タービンは、発電ユニット20との組み合わせで垂直軸抗力型風力発電機として機能する。垂直軸抗力型風力発電機は、主柱320に回転可能に軸支される支持軸3と、支持軸3の軸方向Daに対して所定の間隔L1を空けて支持軸3に固定される複数の支持部材4と、複数の支持部材4の間を軸方向Daに沿って、かつ、支持軸3の径方向に離間した状態で支持軸3の周囲に配置されて、複数の支持部材4により支持される複数の受圧部材5とを備える。垂直軸抗力型風力発電機は、受圧部材5が所定の方向から流れる風(空気流)による風圧(流体圧)を受けることで、支持軸3が進行方向(本実施形態では、時計回り)に回転するものであり、抗力型の風力タービンとして機能する。
【0015】
垂直軸抗力型風力発電機の各構成部材(主柱320、支持軸3、支持部材4、受圧部材5)は、例えば、アルミニウム、ステンレス、チタニウム、鉄鋼等の金属材料(合金を含む)、炭素繊維強化樹脂、ガラス繊維強化樹脂等の繊維強化樹脂材料、ポリカーボネイトや塩化ビニル等の樹脂材料、又は、これらの複合材料を用いて製作される。なお、各構成部材は、上記のような各種の材料を適宜組み合わせて製作されてもよく、例えば、構成部材毎に異なる材料を用いて製作されてもよいし、構成部材の一部又は全てが、共通の材料を用いて製作されてもよい。
【0016】
本実施形態では、垂直軸抗力型風力発電機が、
図7に示すように、複数の支持部材4として、4つの支持部材4を備えるとともに、複数の受圧部材5として、4つの支持部材4の各間において、支持軸3に対して対称的に配置される一対の受圧部材5を備える、すなわち、全体では6つの受圧部材5を備える場合を説明する。
【0017】
主柱320は、支持軸3と同軸状に配置される円筒状の筐体が好ましい。円筒状であることにより、空気の抵抗を低減すること、すなわち、風の抵抗を低減することができるという効果を有する。主柱320は、その内部に、支持軸3をベアリングユニット6を介して軸支するとともに、その内部に、支持軸3が回転する際の回転エネルギーを電気エネルギーに変換する発電ユニット20、ブレーキ22が配置されてもよい。発電ユニット20、ブレーキ22は、適宜カップリングを介して支持軸3と接続してもよい。なお、発電ユニット20、ブレーキ22は、風車部100の上部に設けてもよいし、風車部100の下部に設けてもよい。また、発電ユニット20は、ベアリングユニットの機能を持たせるようにしてもよい。一例としては、ブレーキ22を風車部100の上部に設け、発電ユニット20を風車部100の下部に設けることが挙げられる。
発電ユニット20、ブレーキ22を主柱320の内部に設ければ、風や雨の影響を受けにくくすることができるし、発電ユニット20、ブレーキ22を風車部に設ければ、メンテナンスがし易くなるという効果を奏する。
図13に、主柱320の内部に発電ユニット20の下部にブレーキ22が設けられた例、
図14に主柱320の内部に発電ユニット20の上部にブレーキ22が設けられた例をそれぞれ示す。
【0018】
発電ユニット20は、例えば、アウターロータ型の発電機で構成されてもよいし、インナーロータ型の発電機で構成されてもよい。また、支持軸3と、発電ユニット20とは、直接連結されてもよいし、増速機を介して連結されてもよい。
【0019】
支持軸3は、円筒状又は円柱状のシャフト部材で構成され、回転中心軸O1を中心に発電ユニット20、またはベアリングユニット6により軸支される。なお、支持軸3は、1本のシャフト部材で構成されてもよいし、間隔L1と同程度の長さを有する複数本(本実施形態では、3本)のシャフト部材を連結することで構成されてもよい。
【0020】
複数の支持部材4の各々は、例えば、所定の平面視形状を有する平板でそれぞれ構成され、支持軸3がその中央付近を貫通するようにして、支持軸3に対して任意の固定方法(溶接、接着、ねじ固定、圧入、リベット、ピン結合、継手等)により固定される。その際、複数の支持部材4の各々は、例えば、リング状又はフランジ状に形成された連結固定部材を介して支持軸3に固定される。また、複数の支持部材4の各々は、その間に配置された一対の受圧部材5に任意の固定方法により固定される。
【0021】
なお、複数の支持部材4のうち、少なくとも両端に配置された支持部材4が、連結固定部材30を介して支持軸3に固定されていればよく、両端の間に配置された中間の支持部材4の一部又は全ては、連結固定部材30を介して支持軸3に固定されていてもよいし、固定されていなくてもよい。その際、支持軸3に固定されていない中間の支持部材4は、受圧部材5同士を軸方向Daに連結するとともに、受圧部材5を補強する連結補強部材として機能し、例えば、支持軸3が支持部材4に形成された貫通孔を通過するようにしてもよいし、支持軸3と支持部材4の貫通孔との間の隙間を塞ぐように、例えば、ゴム等の弾性材料でリング状に形成された連結弾性部材が配置されていてもよい。
【0022】
複数の支持部材4の各々は、その平面視形状として、軸方向Daに垂直な平面視において、一対の受圧部材5がそれぞれ有する外側壁面部50に沿って形成された一対の外側壁面外形部40と、一対の外側壁面外形部40同士を直線状に結ぶように形成された一対の直線外形部41とを備える。
【0023】
一対の受圧部材5の各々は、軸方向Daに垂直な平面視において、径方向外側に配置される外側端53と、支持軸3に対して外側端53の反対側で外側端53よりも径方向内側に配置される内側端54との間に延設される壁面部50~52として、外側壁面部50と、中間壁面部51と、内側壁面部52とを有するとともに、外側壁面部50及び中間壁面部51の境界部分に配置される外側境界部55と、中間壁面部51及び内側壁面部52の境界部分に配置される内側境界部56とを有する。また、一対の受圧部材5の各々は、受圧部材5の軸方向Daの両端を支持部材4にそれぞれ取り付けるための取付部57~59として、外側取付部57と、中間取付部58と、内側取付部59とを有する。
【0024】
外側壁面部50は、外側端53から進行方向側かつ支持軸3寄りに延設されて、径方向外側に膨出する凸面状に形成された壁面部である。外側壁面部50は、風の流れを阻害しない凸面状であればよく、例えば、平面視形状が円弧、楕円弧、その他の曲線等となる曲面状でもよいし、平面視形状が内角が鈍角の多角形等となる多角面状でもよいし、曲面状及び多角面状を組み合わせたものでもよい。なお、外側壁面部50が円弧の曲面状である場合、その円弧の中心角は、例えば、75度から135度の範囲が好ましく、さらに、90度から120度の範囲がより好ましい。また、外側壁面部50が円弧以外の平面視形状である場合には、円弧の場合と同程度の範囲に延設されるようにすればよい。
【0025】
中間壁面部51は、外側壁面部50から外側境界部55を介して進行方向側Dtかつ支持軸3寄りに延設されて、外側壁面部50よりも緩やかに径方向外側に膨出する凸面状又は平面状に形成された壁面部である。中間壁面部51は、外側壁面部50とは異なる平面視形状を有するものであればよく、例えば、凸面状として、平面視形状が円弧、楕円弧、その他の曲線等となる曲面状でもよいし、平面視形状が内角が鈍角の多角形等となる多角面状でもよいし、曲面状及び多角面状を組み合わせたものでもよい。また、中間壁面部51は、平面視形状が直線となる平面状でもよい。なお、外側壁面部50の平面視形状が円弧又は楕円弧のような曲面状である場合、中間壁面部51は、その外側壁面部50の外側境界部55側の端部から延長された接線上に配置される平面状とし、外側境界部55は、その外側壁面部50(円弧又は楕円弧)と、その中間壁面部51(円弧又は楕円弧に対する接線)との境界に位置するようにしてもよい。これにより、外側壁面部50から中間壁面部51に向かう風の流れを円滑にすることができる。
【0026】
内側壁面部52は、中間壁面部51から内側境界部56を介して中間壁面部51よりも進行方向側Dtに配置された内側端54に延設されて、径方向外側に膨出する凸面状又は平面状に形成された壁面部である。内側壁面部52は、例えば、凸面状として、平面視形状が円弧、楕円弧、その他の曲線等となる曲面状でもよいし、平面視形状が内角が鈍角の多角形等となる多角面状でもよい。また、内側壁面部52は、平面視形状が直線となる平面状でもよい。
【0027】
中間壁面部51と、内側壁面部52とは、軸方向Daに垂直な平面視において、内側境界部56を介して径方向外側に凸状となるように配置されることで、中間壁面部51と内側壁面部52とは、支持軸3側に鈍角を形成する。なお、外側壁面部50と、中間壁面部51とについても、軸方向Daに垂直な平面視において、外側境界部55を介して径方向外側に凸状となるように配置されることで、外側壁面部50と、中間壁面部51とは、支持軸3側に鈍角を形成するようにしてもよい。
【0028】
外側境界部55及び内側境界部56は、湾曲状又は屈曲状に形成される。なお、外側境界部55及び内側境界部56の形状は、同一でもよいし、異なっていてもよい。また、外側境界部55が湾曲状とする場合には、外側壁面部50又は中間壁面部51と同一の曲面状として形成されてもよいし、内側境界部56が湾曲状とする場合には、中間壁面部51と同一の曲面状として形成されてもよい。
【0029】
壁面部50~52は、各部分(外側壁面部50、外側境界部55、中間壁面部51、内側境界部56及び内側壁面部52)のうち隣接する各部分の一部又は全体が一体的に形成されてもよいし、複数の部品を接合することで形成されてもよい。例えば、壁面部50~52の全体(外側壁面部50、外側境界部55、中間壁面部51、内側境界部56及び内側壁面部52)を一体的に形成する場合には、平板状の金属板や樹脂板等に対して、各部分に相当する範囲に曲げ加工を施すことで製作されるようにしてもよい。これにより、壁面部50~52に継ぎ目や留め具がなくなるため、受圧部材5の流体抵抗を低減することができる。
【0030】
また、壁面部50~52は、別々の部品として形成された外側壁面部50、中間壁面部51及び内側壁面部52を、任意の固定方法(溶接、接着、ねじ固定、圧入、リベット、ピン結合、継手等)による固定部を介して固定することで製作されるようにしてもよい。この場合には、外側壁面部50及び中間壁面部51の固定部が、屈曲状の外側境界部55に対応し、中間壁面部51及び内側壁面部52の固定部が、屈曲状の内側境界部56に対応する。
【0031】
本実施形態では、一対の受圧部材5の各々は、壁面部50~52の全体が一体的にそれぞれ形成されるとともに、外側壁面部50が、平面視形状が曲率半径Rの円弧となる円弧曲面状に形成され、中間壁面部51及び内側壁面部52は、平面状にそれぞれ形成され、外側境界部55及び内側境界部56は、湾曲状(円弧曲面状)に形成されたものである。また、一対の受圧部材5は、支持軸3の径方向に離間した状態で支持軸3の周囲にて180度ずらした状態で対称的に配置される。そのため、一方の受圧部材5の中間壁面部51と、他方の受圧部材5の内側壁面部52とが対向する位置に配置されるとともに、一対の受圧部材5の各々の内側境界部56と支持軸3の外周面とに間に、間隙がそれぞれ形成される。また、一対の受圧部材5の各々は、中間壁面部51と、内側壁面部52とは、内側境界部56を介して径方向外側Dr1に凸状となるように配置されることで、軸方向Daに垂直な平面視における一対の受圧部材5同士の間隔として、内側端54側では相対的に狭く、内側境界部56側では相対的に広くなるように配置される。したがって、一対の受圧部材5は、支持軸3側に近づくほど一対の受圧部材5同士の間隔が広くなる。
【0032】
また、一対の受圧部材5が対称的に配置される際、一方の受圧部材5の内側端54は、軸方向Daに垂直な平面視において、他方の受圧部材5の外側端53と支持軸3の回転中心軸O1とを結ぶ線に対して進行方向側に配置されるのが好ましく、他方の受圧部材5の外側端53と内側境界部56とを結ぶ線に対して進行方向側に配置されるのがより好ましい。これにより、一対の受圧部材5の間に形成される通路の幅を適切に設定することができる。
【0033】
さらに、本実施形態では、複数の支持部材4の各々は、その平面視形状として、円弧曲面状の外側壁面部50に沿って形成された一対の外側壁面外形部40と、一対の外側壁面外形部40同士を結ぶように形成された一対の直線外形部41とを備える。したがって、複数の支持部材4の各々は、平面視において、平行に配置された2つの直線部分と、それら2つの直線部分の両端を半円状で接続する2つの曲線部分とで形成される。
【0034】
外側取付部57、中間取付部58及び内側取付部59は、外側壁面部50、中間壁面部51及び内側壁面部52に対して垂直に径方向外側に向かうようにそれぞれ形成されて、支持部材4の平板面と面接触し、任意の固定方法(溶接、接着、ねじ固定、リベット、継手等)により支持部材4に固定される。なお、取付部57~59は、壁面部50~52に対して、例えば、曲げ加工を施すことで一体的に形成されてもよいし、壁面部50~52とは別々の部品として形成されてもよい。また、外側取付部57は外側壁面部50に対して垂直に径方向内側Dr2に向かうように形成してもよい。本実施形態では、一対の受圧部材5の各々は、外側取付部57が、外側壁面部50とは別々の部品として形成されるとともに、中間取付部58及び内側取付部59が、中間取付部58及び内側取付部59と一体的に形成されたものである。
【0035】
上記の構成を有する垂直軸抗力型風力発電機1は、所定の方向(風上)から風を受けると、その風が、風下側の受圧部材5の外側端53と風上側の受圧部材5の内側端54との間を通過して、風下側の受圧部材5の外側壁面部50に沿って一対の受圧部材5の間に流れ込むことで、風下側の受圧部材5には、進行方向側に回転させるように回転力(抗力)が作用する。そして、一対の受圧部材5の間に流れ込んだ風が、風下側の受圧部材5の中間壁面部51と風上側の受圧部材5の内側壁面部52との間、風上側及び風下側の受圧部材5の内側境界部56と支持軸3の外周面との間、風下側の受圧部材5の内側壁面部52と風上側の受圧部材5の中間壁面部51との間を順に通過した後、風上側の受圧部材5の外側壁面部50に沿って流れ出る。また、風上側の受圧部材5が、風上からの風を直接受けることで、その受圧部材5の外側壁面部50及び中間壁面部51を風下方向(進行方向反対側)に押圧するような回転力が発生する。一方、一対の受圧部材5の間に流れ込んだ風が風上側の受圧部材5の外側壁面部50に沿って流れ出るときに、その風を風上側の受圧部材5の外側壁面部50が受けることで、その受圧部材5の外側壁面部50を風上方向に押圧するような回転力が発生するため、進行方向と反対側に作用する回転力の一部が、進行方向側に作用する回転力により相殺される。
【0036】
このようにして、風下側の受圧部材5に対して進行方向側Dtに回転させるような回転力が作用し、その回転力(回転エネルギー)が支持部材4を介して支持軸3に伝達されて、支持軸3が回転される。そして、一対の受圧部材5は、風下側と風上側とを交互に入れ替えながら、一連の動作を繰り返し行うことで、支持軸3が連続的に回転されて、支持軸3に連結された発電ユニット20にて発電される。
【0037】
(枠材110)
図2に、風車部100を示す。風車部100は、風車10と、上部枠材112と下部枠材114と、上部枠材112と下部枠材114を繋ぐ縦枠材116とで構成される(以下、上部枠材112、下部枠材114、縦枠材116の総称として「枠材110」ということもある。)。上部枠材112と下部枠材114は、それぞれ4本が組み立てられた状態で、上面視で略正方形の形状をしており、それぞれの角部同士を縦枠材116により接続され、風車部100は全体として略直方体の形状となっている。縦枠材116同士に保護材118を接続したり、上部枠材112と下部枠材114同士に保護材118を接続したりして、風車部を保護するようにしてもよい。枠材110は、外部からの飛来物に対して風車部100を保護する機能を有する。保護材118は、
図1に示すとおり、風車10の回転を妨げない程度で格子状に設けてもよいし、枠材110に金網を設けるようにしてもよい。網目の大きさとしては、鳥が侵入できない程度の3~5cmであることが好ましい。
【0038】
枠材110は、アルミニウム、ステンレス、チタニウム、鉄鋼等の金属材料(合金を含む)、炭素繊維強化樹脂、ガラス繊維強化樹脂等の繊維強化樹脂材料、ポリカーボネイトや塩化ビニル等の樹脂材料、又は、これらの複合材料を用いて製作されてもよいが、軽い材料を選択することにより、安定が増すという効果を奏する。
【0039】
風車部100には、風車10の回転力を用いた発電ユニット20に加え、風車10の回転動作を止めるためのブレーキ22を備えてもよい。ブレーキ22とベアリングユニット6は、風車10を回転させるための風の妨げとならないようにするために、風車部100の上部、特に上部枠材112の上側、または、風車部100の下部、特に下部枠材114の下側に設けることができる。特に、ベアリングユニット6は、主柱320と接続され、主柱320の内部に発電ユニット20を配置し、その下にブレーキ22を配置することが好ましい。
【0040】
発電ユニット20は、特に風車支持部の下部である主柱320の内部に挿入されるように設けられることにより、発電ユニット20が発電した電力を外部に取り出すための電力線の取りまわしが良好となるという効果を奏する。また、発電ユニット20を主柱320の内部に又は風車部100の上部に設けることにより、重心が下方となり安定性が増すという効果を奏する。
【0041】
下部枠材114は、支柱310と接続される上部接続部140を備えている。上部接続部140と支柱310とは、ボルトとナットのような、可搬式風車装置の設置場所で脱着することができるような固着手段で固着することが好ましい。ボルトとナットで脱着することができることにより、風車部100と支柱310との組み立て、解体を、可搬式風車装置を設置する場所で容易にすることができるという効果を奏する。
【0042】
風車部100とベース部200との間には主柱320が設けられている。主柱320を設けることにより風車部100が安定して保持するという効果を奏する。上述のとおり、好ましくは、主柱320は、風車の回転軸と同軸となるようすることが好ましい。そのような構成を採用することにより、振動の発生を抑制することができるという効果を有する。主柱320は、円筒状が好ましい。円筒状とすることにより、空気抵抗を低減することができる。
【0043】
(ベース部200)
ベース部200は、少なくとも基礎ボックス210と基礎骨組み250とで構成される。基礎ボックス210は、上板212、下板214、内板216、外板215の4枚に側面板213が2枚の6枚の板で箱状の中空となるように構成されていることが好ましい。ベース部200を構成する各部材は、アルミニウム、ステンレス、チタニウム、鉄鋼等の金属材料(合金を含む)、炭素繊維強化樹脂、ガラス繊維強化樹脂等の繊維強化樹脂材料、ポリカーボネイトや塩化ビニル等の樹脂材料、又は、これらの複合材料を用いて製作されてもよい。
【0044】
基礎ボックス210について説明をする。基礎ボックス210は、基礎ボックス210の内部に、錘260を挿入することができるように上板212、下板214、内板216、外板215の4枚の板と、側面板213の2枚の6枚の板で構成されている箱状としてもよい。ここで、「錘260」とは、金属の板や土嚢であってもよい。
【0045】
上板212、下板214、内板216、外板215、側面板213板は、可搬式風車装置が設置される場所で箱状に組み立てることができるように構成することが好ましい。本実施形態では、ベース部200の全体の形状が平面視で略正方形であり、基礎ボックス210は平面視で台形であるものを4つ組み合わせているものを例示しているが、基礎ボックス210は平面視で略直角二等辺三角形であるものを4つ組み合わせて略正方形としてもよいし、別の形状の組み合わせにより略正方形とするものであってもよい。
【0046】
基礎ボックス210の側面板213は、基礎骨組み250と固着できるように構成することが好ましい。基礎ボックス210内の下板214の上面に錘260を載せることにより基礎ボックス210が安定し、基礎ボックス210と固着されている基礎骨組み250が安定し、可搬式風車装置全体を安定させることができる。基礎ボックス210と基礎骨組み250との固着は、他の手段で行ってもよい。
【0047】
上板212は、平坦であることが好ましい。基礎ボックス210の内部に錘260を入れても基礎ボックス210が安定しない場合には、上板212の上にさらに錘260や土嚢を載せることにより、基礎ボックス210を安定させることができる。
基礎ボックス210は、複数の下部接続部240で区画される範囲の外部に設けられることが好ましい。そうすることにより、支柱310が基礎ボックス210に組み立てられた後であっても、錘260を基礎ボックス210内に載せるときに、支柱310が邪魔になることが少なくなるし、支柱310の外側に錘260を設けることにより、ベース部200がより安定するという効果を奏する。なお、複数の下部接続部240で区画される範囲の内部に、錘260を設ける場所を備えてもよい。
基礎ボックス210の高さは、人が座れる程度の高さ、例えば、30cm~60cm程度であることが好ましい。基礎ボックス210の高さを人が座れる程度の高さとすることにより、基礎ボックス210をベンチとして使うことができる。また、錘260の代わりに鉢植えやプランターを載置してもよい。鉢植えや、プランターを載置する面は、他の面、例えばベンチとして使われる面と比べて1~5cm程度低くすることが好ましい。鉢植えや、プランターを載置する面を、他の面と比べて低くすることにより、鉢植えやプランターに行った水やりの水がベンチとして使う面を汚すことを少なくすることができるという効果を奏する。そして、鉢植え、プランターを設置することで花壇のようにすることができ、ベンチがあることで、憩いの場として提供することができる。
【0048】
外板215には、付属接続部220を設けることができる。付属接続部220は、中空のパイプで構成されており、他の部品を接続することができるように構成されることが好ましい。付属接続部220は、例えば、防護柵が接続できるように構成されている。また、付属接続部220に錘260を接続してもよい。付属接続部220に錘260を接続することにより、さらに、基礎ボックス210を安定させることができる。
【0049】
基礎骨組み250について説明する。基礎骨組み250は全体で形状が十字型であり、平面視で略正方形であるベース部200の筋交いとして形成されることが好ましい。基礎骨組み250は、可搬式風車装置を設置する場所で組み立て、解体ができるようにボルトとナットで固着できるようにしてもよい。
【0050】
ベース部200は、支柱310と接続することができる下部接続部240を備えている。下部接続部240は、基礎骨組み250に直接的または間接的に設けられる。また、下部接続部240は、基礎ボックス210より内部側(主柱310側)に設けられる。当該位置に設けられることにより、基礎ボックス210の内部に錘260を載せるときや、上板212に土嚢や錘260を載せるときに、支柱310が邪魔になることがない。また、支柱310の外側に土嚢や錘260を載せることができることにより、安定性がさらに増すという効果を奏する。
【0051】
下部枠材114には、上部接続部140が設けられ、ベース部200には、下部接続部240が設けられるが、上部接続部140同士の間隔と、下部接続部240同士の間隔は、上部接続部140同士の間隔より下部接続部240同士の間隔が長いことが好ましい。当該構成では、可搬式風車装置を側面からみると、
図1で示されるとおり、下部枠材114、ベース部200、及び支柱310により略台形の形状となる。このような構成とすることにより、可搬式風車装置が安定するという効果を奏する。
【0052】
基礎骨組み250の略中心部には、主柱受け326が設けられている。基礎骨組み250の略中心部に主柱受け326を設けることにより、主柱320を安定して保持することができるという効果を奏する。
【0053】
外板215には、外板215を貫通する基礎ボックス排水孔224を設けてもよい。基礎ボックス210内に溜まった雨水を基礎ボックス排水孔224を介して基礎ボックス210の外部に排水することができるという効果を奏する。また、基礎ボックス排水孔224をプラグで構成し、プラグにホースを接続することにより、所定の場所に雨水を排出することができる。なお、基礎ボックス排水孔224には、水が基礎ボックス210内に侵入しないようにするために、逆止弁を設けることが好ましい。
【0054】
外板215及び内板216に、基礎ボックス210により囲まれる域内に溜まった水を排出するための基礎内排水孔226を設けることができる。外板215と内板216の基礎内排水孔226をパイプ270で連結されることにより、内板216に囲まれた場所に溜まった雨水をパイプ270を介して外部に排水することができる。なお、基礎内排水孔226についても、雨水が逆流しないようにするために、逆止弁を設けることが好ましい。
【0055】
付属接続部220には、防護柵を設けることができる。可搬式風車装置に防護柵を設けることにより、可搬式風車装置を公園等の人が出入りする場所に設置したときには、人との接触を避けることができるし、山等の場所に設置したときには、獣害対策をすることができる。可搬式風車装置に防護柵を設けたときには、人感センサ等により、防護柵内に人が侵入したと判断したときや、動物が防護柵に近接したと判断したときには、スピーカで警告音を鳴らすようにしたり、夜間であれば、照明装置を作動させるようにしたりすることができる。
【0056】
図1に示す実施形態1は、風車部100の上部にソーラパネル400を設けたことを特徴とする。本実施形態では、ソーラパネル400を2台、家屋の屋根のような、例えば切妻式の屋根のように傾斜するように設置されている例を示すが、日当たり等を考慮してソーラパネル400の大きさ、台数、設置角度、設置形態は適宜変更することができる。
ソーラパネル400は、風車部100に直接設けてもよいし、風車部100の上部に設けられた屋根401を介して設けてもよい。
【0057】
ソーラパネル400を風車部100の上部に設けることにより、ソーラパネル400の位置が高くなり、他の建物や樹木の影響を抑えてソーラパネル400により発電をすることができるし、屋根としての機能により風車10を保護することができるという効果を奏する。
【0058】
また、主柱320に発電ユニット20の制御を行うための制御盤450を設けてもよい。制御盤450は、発電ユニット20、ソーラパネル400とプルボックスを介して電気的に接続されている。制御盤450は、発電ユニット20、ソーラパネル400で発電された電力を外部に供給できるように構成されていてもよい。
制御盤450は、水害や、子供の悪戯を防ぐために、風車部100の直下のような、主柱320の上部に設けることが好ましい。
【0059】
制御盤450の内部にバッテリーを設けてもよい。制御盤450の内部にバッテリーを設けることにより、風車やソーラパネル400により発電された電力をバッテリーに充電させておき、充電された電力を照明等に用いることができる。
制御盤450の内部には、外部と通信するための無線機を設けてもよい。制御盤450の内部に設けられた無線機は、風車部100の上部にアンテナ460を設け、そのアンテナ460と接続するとよい。制御盤450の内部に設けられた無線機は、別の場所にある中央監視装置と接続されるように構成し、発電ユニット20やソーラパネル400の発電の状態を中央監視装置に送信したり、可搬式風車装置に設けられた監視カメラでの映像を中央監視装置に送信したりしてもよい。可搬式風車装置を気象観測のために設置する観測機器として機能させるときには、温度計、湿度計、気圧計等の計測機器を備え、計測機器の計測結果を中央監視装置に送信するように構成することができる。また、制御盤450の内部に設けられた無線機は、携帯電話の基地局として機能するものであってもよい。また、Wi-Fiの機能を有するものであってもよい。
【0060】
また、風車部100の上部に照明420を設けてもよい。特に、照明420をソーラパネル400の下部に設けると、照明420から照射された光のうち、ソーラパネル400、屋根401の方向に照射された光はソーラパネル400、屋根401で反射されて地面方向を照射することができるという効果を奏する。照明420は、スポットライトであってもいいが、パネル状でもよい。パネル状の照明420を採用したときには、表示パネルとして機能するものを採用することがさらに好ましい。照明420をスポットライトで構成するときには、スポットライトの光が風車10に照射されるように構成することができる。また、風車部100の適宜避雷針を備えてもよいし、時計を備えてもよい。風車部100にスピーカを設け、時計と連動して時報を音響で放置するように構成してもよい。時報をベルの音を使うときには、表示パネルに時報と連動させてベルが揺れるような画面を表示させることもできる。
さらに、風車部100に人感センサを設け、後述するスポットライトを制御したり、スピーカから音楽を流すようにしてもよい。
本発明の可搬式風車装置は、電源を備えているため、種々の装置と組み合わせて、多様な用途に用いることができる。
【0061】
他の実施形態
図9に他の実施形態を示す。
他の実施形態は、一対の支柱310の間にカバー410を設けたことを特徴とする。カバー410は、一対の支柱310の間に1面だけ設けてもよいし、四対の支柱310の4面の全てに設けてもよい。カバーは、透明な板であってもよいし、設置される場所に応じて文字や画像が描かれているものであってもよい。カバーを設けることにより、支柱310に囲まれた空間に配置されたもの、例えば制御盤450を日光や雨から守ることができるという効果を奏する。
カバー410は、木や金属の平板であってもよいし、他の素材から構成してもよい。また、カバー410が金属である場合には、パンチングメタルで構成されていてもよい。パンチングメタルで構成することにより、風の抵抗を少なくすることができるとともに、カバー410内で囲まれた部分の通気性をよくすることができるという効果を奏する。
【0062】
カバー410は、板に塗装を施したりシールやラッピングを行い、表示機能を持たせたりすることができる。表示の内容によりカバー410を案内板としたり、企業の広告を表示したりすることができる。またカバー410に、ソーラパネル400の機能を有するものを採用することができる。カバー410がソーラパネル400の機能を持つことにより、太陽光による発電をすることができる。カバー410を4面に設けるときには、ソーラパネル400の機能を日当たりが良好であるカバー410にのみ持たせることができる。日当たりのよいカバー410にのみソーラパネル400の機能を持たせることにより、効率のよい発電をすることができるという効果を奏する。
【0063】
また。カバー410に、映像や文字を表示することができるディスプレイの機能を持たせることができる。可搬式風車装置を公園に設置したときには、公園の雰囲気を壊さないような風景の表示をすることが好ましい。可搬式風車装置にカバー410を4面に設けたときには、ディスプレイの機能を特定のカバー410にのみ持たせることができる。人目が付きやすい方向のカバー410にのみディスプレイの機能を持たせることにより、効率のよい表示をすることができる。また、他のカバー410はソーラパネル400の機能を持たせることができる。
【0064】
また、可搬式風車装置に灯篭モードを持たせてもよい。灯篭モードは、明るさや、色を制御することにより照明420を灯篭のように点灯させるものである。灯篭モードでは、例えば、
図10に示すようにカバー410を木目調としたり、
図11に示すとおり、石積み風の画面を表示したりすることができる。照明420を炎が燃えゆらぐように表示させることにより、可搬式風車装置が全体として灯篭のように見せることができる。
また、屋根401の下にスポットライトを設け、スポットライトの明るさを時間で調整することにより、炎が揺らぐように見せてもよいし、屋根401の下部にパネル状の表示装置を設けパネル状の表示装置の表示の内容を炎が揺らぐようにしてもよい。また、スポットライトを風車10に照射するように構成すれば、風車の回転により風車全体が炎が揺らいでいるように演出することができる。
【0065】
可搬式風車装置を公園等の場所に設置したときに、灯篭モードとすることで公園の雰囲気を壊すことがないため、可搬式風車装置の設置場所の選択を広げることができるという効果を奏する。
【0066】
他の実施形態
図12に他の実施形態を示す。
本施形態は、風車部100の上部に着陸ポートとしても使えることができる平板430を設けたことを特徴とする。風車部100の上部に平板430を設けることにより、屋根としての機能を奏するとともに、ドローンが着陸することができる着陸ポートとしての機能を奏する。平板430は、ソーラパネル400により構成することもできる。平板430の表面に、ドローンの着陸ポートとして利用可能である表示をしたり、ドローンを平板430に誘導できるような、公知の手段を採用したりしてもよい。また、平板430を非接触でドローンに給電できるように構成することができる。可搬式風車装置で発電した電力をドローンに容易に給電することができるという効果を奏する。
【0067】
転倒防止のために、風車部、ベース部、柱部の材料の組み合わせを特定してもよい。風車部、柱部で用いられる材料は、アルミニウム等の軽量の金属、炭素繊維強化樹脂、ガラス繊維強化樹脂等の繊維強化樹脂材料、ポリカーボネイトや塩化ビニル等の樹脂材料の軽量の材料を採用し、ベース部で用いられる材料は、ステンレス、鉄鋼等の重量のある金属材料(合金を含む)を採用するものである。
風車部、柱部には、軽量の材料を採用し、ベース部には重量の材料を採用することにより、可搬式風車装置の転倒の防止を図ることができる。
【0068】
また、可搬式風車装置の運搬性を向上させてもよい。可搬式風車装置は、分解状態では小型トラックで運搬可能であり、仮組み立て状態でも小型トラックで運搬可能とされていることが好ましい。また、分解状態では、個々の部品が一番重いものであっても30Kg以下とすることが好ましい。
このような構成を備えることにより、大型トラックを必要とすることなく、可搬式風車装置を運搬することができ、現地にて人力で組み立てを可能とすることができる。
【0069】
また、可搬式風車装置に採用される風車は、垂直軸風車であることが好ましい。垂直軸風車は、風向きを考慮する必要がない。そのため、可搬式風車装置を臨時に公園に設置するときや、災害により停電している場所に発電機として設置するときに、風向きを考慮することなく速やかに設置することができるという効果を奏する。
【0070】
次に、可搬式風車装置の組み立て方法について説明する。
風車部100、ベース部200、柱部300は、運搬が可能な範囲で、それぞれを予めユニット化して組み立てられていることが好ましい。ここでは、ベアリングユニット6、発電ユニット20及びブレーキ22は、支持軸3を介して風車部100とユニット化されている例を示す。
【0071】
先ず、可搬式風車装置が設置される場所を決定する。可搬式風車装置を設置する場所は、なるべく平坦な箇所が好ましい。可搬式風車装置を設置する場所が決まると、ベース部200を組み立てて設置し、基礎ボックス210内に錘260を挿入する。
【0072】
次に、ベース部200に柱部300を接続する。主柱320は、ベース部200に設けられた主柱受け326に接続する。
【0073】
次に、主柱320の上部に風車部100を接続する。予め、風車部100が備える支持軸3には、ベアリングユニット6、発電ユニット20及びブレーキ22が接続されていることが好ましい。主柱320の上部への風車部100の組み立ては、支持軸3に接続されているベアリングユニット6、発電ユニット20及びブレーキ22が円筒状の主柱320の内部に挿入されるように接続するとよい。風車部100が支持軸3を介して備えるフランジ24と主柱320が備えるフランジ26が接合すると、ボルト及びナットで固定するようにすることが好ましい。その後、支柱310と風車部100に設けられている上部接続部140とを接続し、その後、支柱310とベース部200に設けられた下部接続240と接続するとよい。
【0074】
風車部100、柱部300、ベース部200の組み立てが終了した後、必要に応じて基礎ボックス210の上板212の上部に錘260や鉢植えを配置することができる。
当該組み立て方法によれば、風車部100、ベース部200及び柱部300は、予めユニット化されているため、現場での組み立てが容易に行えるという効果を奏する。また、組み立ての終了後において、基礎ボックス210の上板212の上部に錘260や鉢植えを配置するときにでも支柱310が邪魔となることを防ぐことができる。また、柱部300は四角錐台を形成するが、基礎ボックス210の内部に納まるコンパクトな形状であるため、風の抵抗を受けにくくすることができるという効果を奏する。
【0075】
付記
上述の可搬式風車装置は、以下のとおりの実施発明1ないし7の形態で実施することができることを付記する。
(実施発明1)
風車部と、ベース部と、柱部とを備えた可搬式風車装置において、
前記風車部は、風車を支持し、
前記柱部は主柱と複数の支柱からなり、
前記複数の支柱の上端部は、前記風車部の上部接続部と接続し、
前記複数の支柱の下端部は、前記ベース部の下部接続部に接続し、
前記ベース部は、前記複数の下部接続部で区画される範囲の範囲外に錘が設置可能な基礎ボックスが配置されている、
可搬式風車装置。
(実施発明2)
前記主柱の内部または、前記風車部に、前記風車の回転により発電を行う発電ユニットを備える、実施発明1記載の可搬式風車装置。
(実施発明3)
前記風車部は、太陽光により発電を行うソーラパネルを備える、実施発明1または2記載の可搬式風車装置。
(実施発明4)
前記基礎ボックスは中空である、実施発明1ないし3記載の可搬式風車装置。
(実施発明5)
前記基礎ボックスは、少なくとも解放可能な上板を備え、該上板を解放した状態で基礎ボックス内に錘を挿入可能とされている、実施発明1ないし4記載の可搬式風車装置。
(実施発明6)
前記上板は上面が平面状であり、前記上板の上面に他の部材を載せることが可能とされている、実施発明5記載の可搬式風車装置。
(実施発明7)
前記風車は垂直軸風車である、実施発明1ないし6記載の可搬式風車装置。
(実施発明8)
それぞれがユニット化された風車部、ベース部及び柱部を備えた可搬式風車装置の組み立て方法において、
可搬式風車装置の設置場所に前記ベース部を設置し、
前記ベース部に前記柱部を固定し、
前記ベース部に固定されている前記柱部に前記風車部を固定する、
可搬式風車装置の組み立て方法。
【符号の説明】
【0076】
1…可搬式風車装置、
3…支持軸、4、…支持部材、5…受圧部材、6…ベアリング
10…風車(抗力型タービンユニット)、20…発電ユニット、22…ブレーキ
30…連結固定部材、31…連結機構部
40…外側壁面外形部、41…直線外形部、42…中間壁面外形部、
43…内側壁面外形部、44…直線外形部、45…連結機構部
50…外側壁面部、51…中間壁面部、52…内側壁面部
53…外側端、54…内側端、55…外側境界部、56…内側境界部、
57…外側取付部、58…中間取付部、59…内側取付部
100…風車部、110…枠材、112…上部枠材、114…下部枠材
116…縦枠材、118…保護材、140…上部接続部
200…ベース部、210…基礎ボックス、212…上板、213…側面板
214…下板215…外板、216…内板、220…付属接続部
222…基礎内排水孔、224…基礎ボックス排水孔、226…基礎内排水孔
240…下部接続部、250…基礎骨組み
256…ボックスプレート、260…錘、270…パイプ
300…柱部、310…支柱、320…主柱、326…主柱受け
400…ソーラパネル、401…屋根、410…カバー、420…照明
425…時計、 430…平板、450…制御盤、460…アンテナ
【要約】
【課題】安定性を備え、設置される場所での組み立てが容易である可搬式風車装置を提供することを目的とする。
【解決手段】可搬式風車装置は、風車部と、ベース部と、柱部とを備えた可搬式風車装置において、前記風車部は、風車を支持し、前記柱部は複数の支柱からなり、前記複数の支柱の上端部は、前記風車部の上部接続部と接続し、前記複数の支柱の下端部は、前記ベース部の下部接続部に接続し、前記ベース部は、前記複数の下部接続部で区画される範囲外に錘が設置可能な基礎ボックスを配置した。
【選択図】
図1