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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-17
(45)【発行日】2024-10-25
(54)【発明の名称】エアゾール製品
(51)【国際特許分類】
   B65D 83/14 20060101AFI20241018BHJP
【FI】
B65D83/14 200
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2023189711
(22)【出願日】2023-11-07
(62)【分割の表示】P 2023188721の分割
【原出願日】2023-11-02
【審査請求日】2023-11-07
(31)【優先権主張番号】P 2023074244
(32)【優先日】2023-04-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000149181
【氏名又は名称】株式会社大阪製薬
(74)【代理人】
【識別番号】110000729
【氏名又は名称】弁理士法人ユニアス国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】柴田 知佳
(72)【発明者】
【氏名】福田 ひとみ
【審査官】吉澤 秀明
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-149464(JP,A)
【文献】特開2007-145350(JP,A)
【文献】特開平10-235237(JP,A)
【文献】特開2022-174571(JP,A)
【文献】特開2002-308357(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 83/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
容器、及びノズルを備えた蓋部と、
前記容器に収容される液状組成物と、
前記容器に前記液状組成物とともに充填される不燃性圧縮気体を備え、前記不燃性圧縮気体の圧力は、25℃において0.3~1.0MPaの圧力であり、
該ノズルの吐出部の最大内径hと、ノズル長さLとが、L/h=1~20を満たし、該吐出部の最大内径hが、1.2mm超10mm以下であることを特徴とするエアゾール製品(但し、液化ガスを含む製品を除く)。
【請求項2】
前記液状組成物の粘度が、25℃において、0~100000mPa・sであることを特徴とする請求項1に記載のエアゾール製品。
【請求項3】
前記液状組成物が、可溶化組成物、ゲル、並びに、水中油型乳化物からなる群より選択されるいずれか1種であることを特徴とする請求項1又は2に記載のエアゾール製品。
【請求項4】
前記液状組成物が、水又は多価アルコールを含むことを特徴とする請求項1又は2に記載のエアゾール製品。
【請求項5】
前記液状組成物が、グリチルリチン酸又はその塩、グリチルレチン酸又はその塩、アラントイン又はその塩、ビタミンC群及びその誘導体、トラネキサム酸、アルブチン、プラセンタ、ビタミンB群及びその誘導体、ビタミンE群及びその誘導体、ビタミンA群及びその誘導体、尿素、及び多糖類からなる群より選択される少なくとも1種を含むことを特徴とする請求項1又は2に記載のエアゾール製品。
【請求項6】
前記不燃性圧縮気体が、窒素であることを特徴とする請求項1又は2に記載のエアゾール製品。
【請求項7】
前記液状組成物が皮膚外用剤、オーラルケア製品、洗浄剤製品、又は毛髪関連製品であることを特徴とする請求項1又は2に記載のエアゾール製品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本件発明は、容器の内部に収容されている液状組成物を適用するエアゾール製品に関する。より詳細には、皮膚に適用したときに、直径がナノメートルオーダーの気泡を含有し、液状組成物の皮膚又は髪への浸透を促進したり、洗浄性に優れたエアゾール製品に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ヒトの肌に使用する化粧料組成物などであって、直径がナノメートルオーダーの気泡を含有する組成物が知られている。
【0003】
例えば、特許文献1には、肌への馴染みが良く化粧料塗布後においてもベタつかない使用感に優れるとされる化粧料組成物が開示されている。ここで、この化粧料組成物は、ナノバブル液およびその他の化粧料の成分を含み、ナノバブル液がオイルおよび気泡を含み、気泡の直径が5nm~500nmである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2022-103130号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、簡易な構成で、可搬性にも優れ、実際に皮膚に適用する際に気泡を含み、使用感のよい化粧料組成物がさらに求められている。
【0006】
そこで、本件発明では、可搬性に優れ、ヒトなどの身体に対して使用するときに気泡が含まれているような製品を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
すなわち、本発明は、容器及びノズルを備えた蓋と、前記容器に収容される液状組成物と、前記容器に前記液状組成物とともに充填される不燃性圧縮気体を備えることを特徴とするエアゾール製品に関する。
このうち、好ましい態様では、下記に掲げるエアゾール製品であり得る。
〔1〕容器及びノズルを備えた蓋と、前記容器に収容される液状組成物と、前記容器に前記液状組成物とともに充填される不燃性圧縮気体を備え、該ノズルの吐出部の直径hと、ノズル長さLとが、L/h=1~20を満たすことを特徴とするエアゾール製品。
【0008】
〔2〕前記不燃性圧縮気体が、25℃において0.3~1.0MPaの圧力で封入されていることを特徴とする〔1〕に記載のエアゾール製品。
【0009】
〔3〕前記液状組成物の粘度が、25℃において、0~100000mPa・sであることを特徴とする〔1〕又は〔2〕に記載のエアゾール製品。
【0010】
〔4〕前記液状組成物が、可溶化組成物、ゲル、並びに、水中油型乳化物からなる群より選択する1種であることを特徴とする〔1〕~〔3〕のいずれかに記載のエアゾール製品。
【0011】
〔5〕前記液状組成物が、水又は多価アルコールを含むことを特徴とする〔1〕~〔4〕のいずれかに記載のエアゾール製品。
【0012】
〔6〕前記液状組成物が、グリチルリチン酸又はその塩、グリチルレチン酸又はその塩、アラントイン又はその塩、ビタミンC群及びその誘導体、トラネキサム酸、アルブチン、プラセンタ、ビタミンB群及びその誘導体、ビタミンE群及びその誘導体、ビタミンA群及びその誘導体、尿素、及び多糖類からなる群より選択される少なくとも1種を含むことを特徴とする〔1〕~〔5〕のいずれかに記載のエアゾール製品。
【0013】
〔7〕前記不燃性圧縮気体が、窒素であることを特徴とする〔1〕~〔6〕のいずれかに記載のエアゾール製品。
【0014】
〔8〕前記液状組成物が皮膚外用剤、オーラルケア製品、洗浄剤製品、又は毛髪関連製品であることを特徴とする〔1〕~〔7〕のいずれかに記載のエアゾール製品。
【発明の効果】
【0015】
本件発明のエアゾール製品によれば、持ち運んだり移動させたりすることが可能であり、従って可搬性に優れ、さらに皮膚に対して適用するに際し、直径がナノメートルオーダーの気泡を多量に含むようにすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】本発明の1つの実施形態のエアゾール製品における中央断面図である。
図2】本発明の1つの実施形態のエアゾール製品における容器の蓋の側面図である。
図3】本発明の1つの実施形態のエアゾール製品における容器の蓋の上面図である。
図4】本発明の1つの実施形態のエアゾール製品における容器の蓋の側面図である。
図5】本発明の1つの実施形態のエアゾール製品における容器の蓋の上面図である。
図6】本発明の1つの実施形態のエアゾール製品における容器の蓋の側面図である。
図7】本発明の1つの実施形態のエアゾール製品における容器の蓋の上面図である。
図8】本発明の1つの実施形態のエアゾール製品における容器の蓋の側面図である。
図9】本発明の1つの実施形態のエアゾール製品における容器の蓋の上面図である。
図10】本発明の1つの実施形態のエアゾール製品における容器の蓋の部分の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本件発明のエアゾール製品に関する実施形態について詳しく説明する。
【0018】
[エアゾール製品]
本発明の限定されない1つの態様におけるエアゾール製品は、図1に示す通りである。容器1は、本発明のエアゾール製品において、内部に液状組成物2、不燃性圧縮気体Gなどを収容する部材である。容器1の内部に不燃性圧縮気体Gを充填することから、アルミ合金、ブリキなどの金属、所定厚みを有する合成樹脂など所定の圧力以下では破断しないように耐圧性を有している。本実施形態において、容器1は、上部に開口を有する中空の有底円筒状である。その上部の開口は、図1に示すように、ステム4や蓋部7などを有するマウンティングカップ3によって封止される。ステム4及びスプリング5はハウジングによってマウンティングカップ3に固定されている。蓋部7は、ノズル部を備えたポンプ部を有する。本実施形態において、容器1の内面に接するように液状組成物2及び不燃性圧縮気体Gを収容しているが、他の実施形態において、容器1の内部に他の容器等を内包させ、当該他の容器等の内部に液状組成物2を収容してもよい。
【0019】
(液状組成物)
本発明のエアゾール製品に含まれる液状組成物は、容器に収容される液状の組成物であり、より具体的には20~30℃の常温で液状である。好ましくは、水又は多価アルコールを含有する。
【0020】
液状組成物に含まれ得る水は、日本薬局方規格の水であることが好ましく、例えば、水道水、井戸水などである常水、そして、蒸留、イオン交換膜によるイオン交換処理、限外ろ過膜による限外ろ過処理のいずれか、またはそれらの組み合わせにより常水を処理した精製水、そして、加熱等により精製水を滅菌処理した滅菌精製水などであることが好ましい。そして、液状組成物における水の含有割合は、0.1~98質量%程度であることが好ましく、1~98質量%であることがさらに好ましい。水の量は、30~98質量%、40~95質量%、又は50~90質量%とすることもできる。特定の態様においては、60~85質量%であることが特に好ましい。
【0021】
液状組成物に含まれ得る多価アルコールは、特に限定はされないが、グリセリン、ジプロピレングリコール、プロピレングリコール、1,3―プロパンジオール、ブチレングリコール、ソルビトール、ポリエチレングリコールなどの2価以上の多価アルコールであり得る。そして、液状組成物における多価アルコールの含有割合は、0.1~50質量%程度であることが好ましく、0.5~30質量%であることがさらに好ましい。多価アルコールの量は、0.5~25質量%、0.5~20質量%、又は0.5~15質量%とすることもできる。特定の態様においては、1~15質量%であることが特に好ましい。
【0022】
液状組成物には任意に多糖類が含まれていてもよい。含まれる多糖類は保湿成分の機能を有し得る。ここで、多糖類とは、多数の単糖類がグリコシド結合により繋がった化合物である。本発明に用いられる多糖類としては、例えば、ヘパリン類似物質、ヒアルロン酸、及びヒアルロン酸ナトリウムからなる群より選択される少なくとも1種が好ましい。これらの多糖類は、単独で又は2種以上を組み合わせて使用することができる。
【0023】
液状組成物における多糖類の含有割合としては、0.0001~5質量%であることが好ましく、0.01~4質量%であることがより好ましく、0.1~3質量%が最も好ましい。多糖類の保湿成分の含有割合がこの範囲であると、直径1nm以上1000nm未満の気泡を膨大に含んだ適用物としてヒトなどの身体に塗布したときに、皮膚に浸透して保湿性を高めると共にその保湿性を持続しやすくすることができる。
【0024】
(pH)
本発明の液状組成物は、成分の安定性又は安全性の観点等から、pH2~10の液性を備えていることが好ましい。より好ましくはpH3~7であり、さらにより好ましくは、4~6.5である。液状組成物のpHは、20℃において、市販のpHメーター(例えば株式会社堀場製作所製、F-52(登録商標)型等)を使用して測定できる。
【0025】
(粘度)
本発明の液状組成物の粘度は、成分の安定性等の観点から好ましくは0~100000mPa・s程度、より好ましくは、0.5~80000mPa・s程度、さらに好ましくは3~60000mPa・s程度である。粘度の測定は25℃、SPINDLE No.M4、回転数12rpmで3分間測定する。ただし、50000mPa・s以上の場合は回転数を6rpmにして測定する。上記条件にて測定不可の場合には適宜条件を変更して測定を行う。液状組成物の粘度は、25℃において、市販の粘度計(例えば東機産業株式会社製、TVB-10M型)を使用して測定できる。
【0026】
本発明の液状組成物には、この他に、例えば、薬効を発揮し得る成分、多糖類以外の保湿成分、油分、界面活性剤、増粘剤等を含有させることもできる。
【0027】
薬効成分としては、グリチルリチン酸又はその塩、グリチルレチン酸又はその塩、アラントイン又はその塩のような抗炎症成分、ビタミンC群及びその誘導体、トラネキサム酸、アルブチンのような美白成分の他、、プラセンタや、肌荒れ防止作用を有するビタミンB群及びその誘導体、ビタミンE群及びその誘導体、ビタミンA群及びその誘導体、尿素などが例示される。これらの薬効成分は、単独で又は2種以上を組み合わせて使用することができる。
【0028】
液状組成物におけるこれらの薬効成分の含有割合は、特に限定はされない。例えば、液状組成物のうち、グリチルレチン酸、グリチルリチン酸又はそれらの塩の含有割合としては、0.001~5.0質量%が好ましく、0.05~3.0質量%がさらに好ましい。液状組成物のうち、アラントイン又はその塩の含有割合としては、0.001~5.0質量%が好ましく、0.05~3.0質量%がさらに好ましい。ビタミンC群及びその誘導体の配合量としては0.1~10質量%が好ましく、1~5質量%がさらに好ましい。ビタミンE群の配合量としては0.01~5質量%が好ましく、0.02~3質量%がさらに好ましい。ビタミンA群の配合量としては0.0005~0.5質量%が好ましく、0.0007~0.2質量%がさらに好ましい。尿素の配合量としては0.1~30質量%が好ましく、1~20質量%がさらに好ましい。これらの薬効成分の含有割合がこの範囲にあると、ヒトなどの皮膚に塗布したときに、皮膚に浸透して種々の薬用効果を付与することができる。
【0029】
液状組成物に含有し得る多糖類以外の成分としては、セラミド類、植物エキスなどが好ましい。これらは保湿成分として機能し、単独で又は2種以上を組み合わせて使用することができる。これらの多糖類以外の保湿成分により、多糖類の保湿成分と併用することで保湿効果を高めることができ、肌にハリと弾力を与えることができる。
【0030】
液状組成物におけるこれらの成分の含有割合は、特に限定はされない。例えば、液状組成物のうち、セラミド類及び/又は植物エキスの含有割合としては、0.001~5.0質量%が好ましく、0.05~3.0質量%がさらに好ましい。
【0031】
液状組成物が保湿を目的とする製剤である場合に含有し得る油分としては、スクワラン等の炭化水素、オリーブ油等の植物性油、ジメチルポリシロキサンなどのシリコーン油、ステアリルアルコールやベヘニルアルコールなどの炭素数14~22の脂肪酸アルコール、トリエチルヘキサノインなどのエステル油などが好ましい。これらの油分は、単独で又は2種以上を組み合わせて使用することができる。これらの油分により、例えば水中油型乳化物又は油中水型乳化物である乳液を作成することができ、適用物を塗布した皮膚から水分が蒸発することを抑制し保湿効果を高めることができ、肌にハリと弾力を与えることができる。
【0032】
液状組成物が洗浄を目的とする製剤である場合に含有し得る油分としては、トリエチルヘキサノイン、エチルヘキサン酸セチル、パルミチン酸イソプロピルなどのエステル油、流動パラフィン、軽質流動イソパラフィンなどの炭化水素、 オリーブ油、マカダミアナッツ油等の植物油などが好ましい。これらの油分は、単独で又は2種以上を組み合わせて使用することができる。これらの油分により、洗浄力を向上させ、洗い流しやすく、優れた使用感を得ることができる。
【0033】
液状組成物が保湿を目的とする製剤の場合における油分の含有割合は、液状組成物2のうち、0.05~15質量%が好ましく、0.5~10質量%がさらに好ましく0.5~7質量%であることが特に好ましい。油分の含有割合がこの範囲にあると、上述したように、適用物を塗布した皮膚から水分が蒸発することを抑制し保湿効果を高めることができ、肌にハリと弾力を与えることができる。
【0034】
液状組成物が洗浄を目的とする製剤の場合における油分の含有割合は、10~98質量%が好ましく、15~95質量%がさらに好ましく、20~90質量%であることが特に好ましい。油分の含有割合がこの範囲にあると、上述したように、洗浄力を向上させ、洗い流しやすく、優れた使用感を得ることができる。
【0035】
液状組成物に含有し得る界面活性剤としては、非イオン界面活性剤、アニオン界面活性剤、カチオン界面活性剤、両性界面活性剤などが好ましい。
【0036】
液状組成物が保湿を目的とする製剤の場合における、非イオン界面活性剤としては、ポリオキシエチレンセチルエーテルやポリオキシエチレンステアリルエーテルなどのポリオキシエチレンアルキルエーテル、モノステアリン酸ポリオキシエチレングリコールなどのポリオキシエチレン脂肪酸エステル、モノステアリン酸グリセリルなどのグリセリン脂肪酸エステルやソルビタン脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステルなどの多価アルコール脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン付加多価アルコールの脂肪酸エステル、脂肪酸ジエタノールアミドなどが好ましく、具体的には、テトラオレイン酸ポリオキシエチレンソルビット、ポリオキシエチレン(20)ソルビタンオレイン酸エステル、ラウリン酸ジエタノールアミド、ヤシ油脂肪酸(炭素数8~18)ジエタノールアミドなどが好ましい。アニオン界面活性剤としては、カルボン酸型のアニオン界面活性剤として、ラウリン酸ナトリウム、ステアリン酸ナトリウム、ラウレス-6カルボン酸ナトリウム(ポリオキシエチレン(4.5)ラウリルエーテル酢酸ナトリウム)、ラウロイルサルコシンナトリウム、オクタン酸ナトリウム、デカン酸ナトリウム、ミリスチリン酸ナトリウム、パルミチン酸ナトリウム、ヤシ油脂肪酸(炭素数8~18)サルコンシンナトリウムなどが好ましく、スルホン酸型のアニオン界面活性剤として、ラウリルスルホ酢酸ナトリウム、1-ヘキサンスルホン酸ナトリウム、1-オクタンスルホン酸ナトリウム、1-デカンスルホン酸ナトリウム、1-ドデカンスルホン酸ナトリウム、トルエンスルホン酸ナトリウム、クメンスルホン酸ナトリウム、ナフタレンスルホン酸ナトリウム、ナフタレンジスルホン酸二ナトリウム、ナフタレントリスルホン酸三ナトリウム、アルファオレフィンスルホン酸ナトリウムなどが好ましく、硫酸エステル型のアニオン界面活性剤として、ラウリル硫酸ナトリウム、ミリスチル硫酸ナトリウム、ラウレス硫酸ナトリウム(ポリオキシエチレン(3)ラウリルエーテル硫酸ナトリウム)、セチル硫酸ナトリウム、ココグリセリル硫酸ナトリウム(硬化ヤシ油脂肪酸グリセリル硫酸ナトリウム)、ラウリル硫酸トリエタノールアミン、ラウリル硫酸アンモニウム、ラウレス硫酸トリエタノールアミンなどが好ましく、リン酸エステル型のアニオン界面活性剤として、ラウリルリン酸ナトリウム、ポリオキシエチレンセチルエーテルリン酸ナトリウム(ポリオキシエチレン(5)セチルエーテルリン酸ナトリウム)、ラウリルリン酸、ラウリルリン酸カリウムなどが好ましい。カチオン界面活性剤としては、第4級アンモニウム塩型として、塩化テトラメチルアンモニウム、塩化テトラブチルアンモニウム、塩化ドデシルジメチルベンジルアンモニウム、塩化アルキルトリメチルアンモニウム、塩化オクチルトリメチルアンモニウム、塩化ドデシルトリメチルアンモニウム、塩化ベンザルコニウム、塩化ベンゼトニウムなどが好ましく、アルキルアミン塩型として、モノメチルアミン塩酸塩、ジメチルアミン塩酸塩などが好ましい。両性界面活性剤としては、ラウリルジメチルアミンオキサイド、アルキル(炭素数8~18)ジメチルアミンオキサイド(N,N-ジメチルアルキル(C8~18)アミンオキサイド)、ヤシアルキルジメチルアミンオキサイド、デシルジメチルアミンオキサイド、ミリスチルジメチルアミンオキサイド、ジヒドロキシエチルラウリルアミンオキサイド、オレイルジメチルアミンオキサイドなどのアミンオキサイド型や、ラウリルジメチルアミノ酢酸ベタイン、ラウリルヒドロキシスルホベタイン、ステアリルジメチルアミノ酢酸ベタイン、ドデシルアミノメチルジメチルスルホプロピルベタイン、ヤシ油脂肪酸(C8~18)アミドプロピルベタイン、2-アルキル-N-カルボキシメチル-N-ヒドロキシエチルイミダゾリニウムベタイン、ラウリン酸アミドプロピルベタインなどのベタイン型などが好ましい。これらの界面活性剤は、単独で又は2種以上を組み合わせて使用することができる。
【0037】
液状組成物が洗浄を目的とする製剤の場合における非イオン界面活性剤としては、テトラオレイン酸ソルベスやポリオキシエチレンヤシ油脂肪酸ソルビタンのようなポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ジステアリン酸PEG-8のようなポリオキシエチレン多価アルコール脂肪酸エステル、モノステアリン酸グリセリルなどのグリセリン脂肪酸エステルやソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンセチルエーテルなどのポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンソルビトール脂肪酸エステルなどのソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレングリセリン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンプロピレングリコール脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油脂肪酸エステル、アルキルポリグルコシド;ポリオキシエチレン・メチルポリシロキサン共重合体等のポリオキシアルキレン変性シリコーン等が挙げられる。それらの中でもポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン多価アルコール脂肪酸エステルなどが好ましい。アニオン界面活性剤としては、カルボン酸型のアニオン界面活性剤として、ラウリン酸ナトリウム、ステアリン酸ナトリウム、ラウレス-6カルボン酸ナトリウム(ポリオキシエチレン(4.5)ラウリルエーテル酢酸ナトリウム)、ラウロイルサルコシンナトリウム、オクタン酸ナトリウム、デカン酸ナトリウム、ミリスチリン酸ナトリウム、パルミチン酸ナトリウム、ヤシ油脂肪酸(炭素数8~18)サルコンシンナトリウムなどが好ましく、スルホン酸型のアニオン界面活性剤として、ラウリルスルホ酢酸ナトリウム、1-ヘキサンスルホン酸ナトリウム、1-オクタンスルホン酸ナトリウム、1-デカンスルホン酸ナトリウム、1-ドデカンスルホン酸ナトリウム、トルエンスルホン酸ナトリウム、クメンスルホン酸ナトリウム、ナフタレンスルホン酸ナトリウム、ナフタレンジスルホン酸二ナトリウム、ナフタレントリスルホン酸三ナトリウム、アルファオレフィンスルホン酸ナトリウムなどが好ましく、硫酸エステル型のアニオン界面活性剤として、ラウリル硫酸ナトリウム、ミリスチル硫酸ナトリウム、ラウレス硫酸ナトリウム(ポリオキシエチレン(3)ラウリルエーテル硫酸ナトリウム)、セチル硫酸ナトリウム、ココグリセリル硫酸ナトリウム(硬化ヤシ油脂肪酸グリセリル硫酸ナトリウム)、ラウリル硫酸トリエタノールアミン、ラウリル硫酸アンモニウム、ラウレス硫酸トリエタノールアミンなどが好ましく、リン酸エステル型のアニオン界面活性剤として、ラウリルリン酸ナトリウム、ポリオキシエチレンセチルエーテルリン酸ナトリウム(ポリオキシエチレン(5)セチルエーテルリン酸ナトリウム)、ラウリルリン酸、ラウリルリン酸カリウムなどが好ましい。カチオン界面活性剤としては、第4級アンモニウム塩型として、塩化テトラメチルアンモニウム、塩化テトラブチルアンモニウム、塩化ドデシルジメチルベンジルアンモニウム、塩化アルキルトリメチルアンモニウム、塩化オクチルトリメチルアンモニウム、塩化ドデシルトリメチルアンモニウム、塩化ベンザルコニウム、塩化ベンゼトニウムなどが好ましく、アルキルアミン塩型として、モノメチルアミン塩酸塩、ジメチルアミン塩酸塩などが好ましい。両性界面活性剤としては、ラウリルジメチルアミンオキサイド、アルキル(炭素数8~18)ジメチルアミンオキサイド(N,N-ジメチルアルキル(C8~18)アミンオキサイド)、ヤシアルキルジメチルアミンオキサイド、デシルジメチルアミンオキサイド、ミリスチルジメチルアミンオキサイド、ジヒドロキシエチルラウリルアミンオキサイド、オレイルジメチルアミンオキサイドなどのアミンオキサイド型や、ラウリルジメチルアミノ酢酸ベタイン、ラウリルヒドロキシスルホベタイン、ステアリルジメチルアミノ酢酸ベタイン、ドデシルアミノメチルジメチルスルホプロピルベタイン、ヤシ油脂肪酸(C8~18)アミドプロピルベタイン、2-アルキル-N-カルボキシメチル-N-ヒドロキシエチルイミダゾリニウムベタイン、ラウリン酸アミドプロピルベタインなどのベタイン型などが好ましい。これらの界面活性剤は、単独で又は2種以上を組み合わせて使用することができる。
【0038】
液状組成物が保湿を目的とする製剤における界面活性剤の含有割合は、液状組成物のうち、0.05~40.0質量%が好ましく、0.1~30質量%がさらに好ましく、0.3~20質量%がさらにより好ましい。界面活性剤の含有割合がこの範囲にあると、上述した油分も混合して水中油型乳化物を作成したときに油分を均一に分散することができ、また長い時間保存しておいても、水と油分が分離せず均一な混合状態を保持することができる。
【0039】
液状組成物が洗浄を目的とする製剤における界面活性剤の含有割合は、液状組成物のうち、0.5~50質量%が好ましく、1~40質量%がさらに好ましく、2~30質量%がさらにより好ましい。界面活性剤の含有割合がこの範囲にあると、汚れとなじませることで洗浄力を向上させ、洗い流しやすく、優れた使用感を得ることができる。
【0040】
液状組成物に含有し得る増粘剤としては、キサンタンガム、グァーガム、メチルセルロース、エチルセルロースなどの多糖類、カルボキシビニルポリマー、アクリル酸・メタクリル酸アルキル共重合体、パルミチン酸デキストリン、ステアリン酸イヌリンのような高分子エステルなどが好ましい。これらの増粘剤は、単独で又は2種以上を組み合わせて使用することができる。これらの増粘剤により、ヒトなどの身体に塗布したときでも皮膚から流れ落ちずに塗広げやすい。
【0041】
液状組成物における増粘剤の含有割合は、液状組成物のうち、0.05~7質量%が好ましく、0.1~5質量%がさらに好ましい。増粘剤の含有割合がこの範囲にあると、皮膚から流れ落ちずに塗広げやすくすることができる。
【0042】
そして、このような増粘剤を含有することで、液状組成物の粘度を、25℃において、0~100000mPa・s程度にすることもでき、0.5~80000mPa・sであることが好ましく、3~60000mPa・sであることがより好ましい場合もある。液状組成物の粘度がこの範囲にあることで、気泡を含んだ適用物としてヒトなどの皮膚に塗布したときに気泡が適用物中に長くとどまることが可能となる。
【0043】
本発明の液状組成物は、可溶化組成物、ゲル、又は乳化組成物のいずれであっても良い。可溶化組成物は、波長660nmの光の透過率が、例えば、50%以上、好ましくは70%以上のものをいう。乳化組成物である場合は、例えば水中油型乳化組成物であることが好ましいが、油中水型乳化組成物であっても良い。本発明の1つの態様において、油相と水相の割合は、限定されないが、1:0.5~99程度が好ましく、1:5~80程度がより好ましく、1:10~50程度がさらに好ましい。
【0044】
このようにして各種化合物が混合された液状組成物について、容器1の開口部に設けられたマウンティングカップ3と、マウンティングカップ3に設けられたステム4を介して、容器1に間接的に設けられた蓋部7のノズル部71の先端から適用されたとき、適用された適用物に、直径1nm以上1000nm未満の気泡が1.8億~100兆個/ml含有されることが好ましく、2.0億~50兆個/ml含有されることがさらに好ましい。なお、蓋部7はノズルを備えており、マウンティングカップの一部に覆いかぶさる構造であっても良い。そして、蓋部7は、図2、4、6、及び8に示す側面図に表されるような形状のポンプ式蓋であってもよい。なお、図3、5、7、及び9は、それぞれ、図2、4、6、及び8の側面図に対応する上面図である。
【0045】
本発明のエアゾール製品の1つの態様においては、バルブに使用するステム4及びハウジングの材質は、ポリイミド、ポリアセタール、ポリブチレンテレフタレートから選ばれる少なくとも一種であることが好ましく、ポリアセタール及びポリブチレンテレフタレートがさらに好ましい。
【0046】
本発明のエアゾール製品の1つの態様においては、バルブに使用するパッキン及びステムラバーの材質は、ブチレンゴム、ニトリルゴム、スチレンブタジエンゴム、水素化ニトリルゴム、オレフィン系エラストマーから選ばれる少なくとも一種であることが好ましく、ニトリルゴムがさらに好ましい。
【0047】
本発明のエアゾール製品の1つの態様においては、バルブに使用するスプリングの材質は、SUS304が好ましい。
【0048】
本発明のエアゾール製品の1つの態様においては、バルブに使用するパイプの材質は、低密度ポリエチレン、ポリプロピレンから選ばれる少なくとも一種であることが好ましく、低密度ポリエチレンがさらに好ましい。
【0049】
本発明のエアゾール製品の1つの態様では、エアゾール製品から吐出される製剤には、吐出時及び/又は皮膚適用時に、直径1nm以上1000nm未満の気泡が含まれており、その量は、好ましくは、1.8億~100兆個/ml、より好ましくは、2億~50兆個/ml程度である。このような気泡の量は、例えば、レーザー光が照射されたときの散乱光に基づいて、ストークス-アインシュタインの式を使って流体力学的直径を算出することができるMalvern Panalytical Ltd製のNanoSightNS300を用いて測定された値である。測定可能な濃度に希釈し、測定を実施した。
【0050】
本発明の不燃性圧縮気体Gは、液状組成物とともに容器1の内部に充填され、容器1内にて大気圧より高い圧力の状態の気体である。不燃性圧縮気体Gが充填されることにより、吐出時及び/又は皮膚適用時に、気泡を多量に含有させることができる。そして、さらに、蓋部7が押されることにより、不燃性圧縮気体Gが液状組成物と共に外部へ排出されることもあるため、不燃性圧縮気体Gであれば、液状組成物とともに適用されても、火気により引火及び燃焼が起きず、安全性に優れている。不燃性圧縮気体としては、例えば、窒素、二酸化炭素、亜酸化窒素、ヘリウム、アルゴン、圧縮空気であることが好ましく、水に溶けにくい窒素が含まれていることがより好ましい。そして、不燃性気体Gとして圧縮窒素を用いるとき、窒素が99.9%以上含有されているものが好ましく、99.99%以上含有されているものがより好ましい。
【0051】
また、液状組成物とともに容器1に充填されている不燃性圧縮気体Gの圧力としては、25℃において0.1~1.0MPaであることが好ましく、0.3~0.9MPaであることがより好ましい。不燃性圧縮気体Gの圧力がこの範囲であると、不燃性圧縮気体Gとともに液状組成物が円滑に排出され、吐出時及び/又は皮膚適用時に、直径1nm以上1000nm未満程度の気泡を多量に含有させることができる。
【0052】
本発明のエアゾール製品は、第一実施形態として、図1に示すように、容器1、その容器1に収容される液状組成物、容器1の開口部を覆設するマウンティングカップ3、マウンティングカップ3の略中央に挿通され液状組成物を容器1の外部へ吐出可能な吐出穴と当該吐出穴と連通し容器1の内部とも連通するステム孔41を有するステム4、ステム4を上部に付勢する弾性バネ5、マウンティングカップ3の下部にて嵌挿され液状組成物をステム4に導出するチューブ6、ステム4の吐出穴と連通する適用口71を有しステム4の上部に設けられた蓋部7などから構成されている。容器1に収容されている液状組成物と不燃性圧縮気体Gは、容器1の外部より圧力が高くなっている。このため、蓋部7が押下されると、弾性バネ5が付勢力に抗ってステム4も押下されることにより、ステム孔41が容器1の内部と連通し、不燃性圧縮気体Gに押圧された液状組成物が、チューブ6、ステム4を通じて蓋部7の適用口71から外部に排出される。
【0053】
ノズル部71の形状は特に限定されず、1つの態様では、図2に示される通り、ノズル71に接する接合部72の上を覆う部材と一体になった形状であり得る。あるいは、別の態様では、図4又は図6に示されるように、ノズル71は、接合部72に結合した構造であり得る。さらに別の態様では、図8に示されるように、ノズルと接合部が一体となった構造とすることもできる。
【0054】
1つの態様では、円筒73は、容器に接し、直接容器上部を被覆する容器被覆部位74に固定されており、接合部72は、円筒73の外周に可動な状態で備え付けられている。
【0055】
ノズル部は、円筒形、楕円筒形、長円筒形、多角筒形などの形状とすることができる。
【0056】
1つの態様では、ノズル部の長さ(例えば、図10のLで示される長さ)は、5~70mm程度が好ましく、10~65mm程度がより好ましく、15~60mm程度がさらに好ましい。
【0057】
ノズル先端の開口部(吐出部)の形状は、円形、楕円形、三角形又は四角形他の多角形の他、いかなる形状でも良い。口の開口部の面積は、1.5~20mm程度が好ましく、3~15mm程度がさらに好ましい。
【0058】
1つの態様では、ノズル先端の開口部(吐出部)の内径(最大内径;hで示される長さ)は、1~10mm程度が好ましく、1~8mm程度がより好ましく、1.2~5mm程度がさらに好ましい。
【0059】
ノズル長さLとノズル先端の開口部の内径は、L/h=1~20であることが好ましく、1~15であることがより好ましく、1~12であることがさらに好ましい。
【0060】
ノズル部が上記のような形状およびサイズの場合、吐出性に優れ、いわゆるタレが生じにくい。さらに、直径1nm以上1000nm未満の気泡が生じ、さらに空気にさらされた後も気泡が長持ちし、液状組成物の皮膚への浸透が促進される。
【0061】
このようにして作製される本発明のエアゾール製品は、全体の容積が5~1000mlであることが好ましく、10~600mlであることがより好ましく、さらに、重量が10~800gであることが好ましく、50~500gであることが好ましい。本発明のエアゾール製品がこれらの範囲であると、使用者が持ち運んだり移動させたりすることが可能であり、特に可搬性に優れる。また、本発明のエアゾール製品では、当該エアゾール製品の製造時に液状組成物2に直径がナノメートルオーダーの気泡があまり含まれていないとしても、皮膚に対して使用するときに適用して適用口71近傍の空気を巻き込むなどして直径がナノメートルオーダーの気泡を多量に含むようにすることができる。このような気泡の発生はまた、減圧下に静置した時に、減圧前と比べて液面が上昇し、90秒後に体積が増加する現象によっても見出すことができる。すなわち、エアゾール製品から吐出することで、ナノメートルオーダーの気泡を多量に含んでいると、減圧(例えば、-0.08MPa、1分間静置)した場合に、気泡中の気体が膨張し、結果として、組成物の体積が増加する。好ましくは、体積が1.5倍以上、より好ましくは1.8倍以上、さらに好ましくは2倍以上に増加する現象によって、気泡の存在を確認することができる。膨張は、10倍、又は100倍程度であっても良い。好ましくは、膨張は、1.5倍以上100倍以下であり、より好ましくは、1.8倍以上10倍以下であり得る。
【0062】
(用途)
本発明のエアゾール製品は、オーラルケア製品、洗浄剤製品、毛髪関連製品、及び/又は皮膚外用剤製品として用いられ、好ましくは皮膚外用剤製品として用いられる。皮膚外用剤製品又は毛髪関連製品には、保湿を目的とする製剤や洗浄を目的とする製剤が含まれ得る。
ここで、オーラルケア製品としては、マウスウォッシュや歯磨き用製品が含まれる、洗浄剤製品としては、車の汚れ落とし等が含まれる。毛髪関連製品としては、育毛剤、養毛剤、ヘアースプレー、ヘアーカラーが含まれる。皮膚外用剤製品には、化粧水、乳液、クレンジング、洗顔用洗剤、ニキビ用洗顔洗剤、ニキビケア剤、ボディーソープ、美容液、ボディークリーム、ハンドクリーム、皮膚炎治療又は予防製剤、痒み止め、抗アレルギー薬、手荒れ改善用製剤、抗菌剤、抗ウィルス剤などが含まれる。
【実施例
【0063】
以下、本件発明における液状組成物について具体的に説明する。なお、本件発明は以下の実施例に限定されるものではない。
【0064】
表1、表3、表4及び表5に示す処方の液状組成物をそれぞれ調製した。実施例1-1、1-5、2-1及び3-1、比較例3-1の組成物の調製にあたっては、25℃の室温中において、容量が200mlのグリフィンビーカーに各成分を混合した後、粘度調整剤を加えて混合した。
【0065】
実施例1-2、1-4、2-2、3-2、3-3及び比較例2-1及び3-2の組成物の調製にあたっては、25℃の室温中において、容量が200mlのグリフィンビーカーに水相を混合しまた別のグリフィンビーカーに油相を混合した後、約80℃まで加熱した水相と油相を混合し、攪拌しながら約40℃まで冷却した。
【0066】
実施例1-3、1-6、2-3、2-4、2-5及び比較例1―1の調製にあたっては、25℃の室温中において、容量が200mlのグリフィンビーカーに各成分を混合した。
【0067】
実施例4-1、4-2及び比較例4-1の調製にあたっては、25℃の室温中において、容量が200mlのグリフィンビーカーに各成分を混合した後、約50℃まで加熱し攪拌した後、約25℃まで攪拌しながら冷却した。
【0068】
各液状組成物の粘度は、JIS K7117-1に記載のブルックフィールド形回転粘度計B形(東機産業株式会社製、商品名「TVB-10M」、ロータNo.4)を用いた計測において、25℃で測定した。
【0069】
実施例及び比較例の液状組成物2における成分及び粘度、pH等の物性も併せて表1、3及び4に示す。
【0070】
【表1】
(質量%)
【0071】
〔実施例〕
このようにして得られた処方の液状組成物を容器に入れて、マウンティングカップ3、ステム4、蓋部7を取り付けて、ステム4より窒素又は二酸化炭素を容器1内の圧力が25℃において0.8MPa(表1の組成物)あるいは表に示す圧力(表3~5の組成物)となるまで充填して、図1に示すようなエアゾール製品を作製した。
【0072】
〔比較例〕
処方例1の液状組成物を所定の容器に収容し、使用者の指の力で内容物を吐出するフィンガースプレーを当該容器に接続してフィンガースプレー製品を作製した。すなわち、比較例1では、不燃性圧縮気体が充填されておらず、容器の内部は常圧の空気が存在するだけであり、使用時にフィンガースプレーを押すことで内部に収容されている液状組成物が吐出口より吐出されるものである。
【0073】
(試験例1:粘度測定)
各実施例のエアゾール製品を用いて、液状組成物を吐出したときの噴出物、及び、比較例1のフィンガースプレー製品を用いて液状組成物を吐出したときの噴出物について、JIS K7117-1に記載のブルックフィールド形回転粘度計B形(東機産業株式会社製、商品名「TVB-10M」)を用いて、25℃、SPINDLE No.M4、12rpmにおける粘度を測定した。
【0074】
(試験例2:pH測定)
各実施例のエアゾール製品を用いて、液状組成物を吐出したときの噴出物及び、比較例1のフィンガースプレー製品を用いて液状組成物を吐出したときの噴出物について、液温25℃において、市販のpHメーター(例えば株式会社堀場製作所製、F-52(登録商標)型等)を使用して測定した。
【0075】
(試験例3:気泡量の測定)
各実施例及び各比較例のエアゾール製品を用いて、液状組成物を吐出したときの噴出物について、直径1以上1000nm未満の気泡の量を測定した。
各実施例及び各比較例のエアゾール製品について、適用口71から液状組成物2を適用したときの適用物中に含まれるウルトラファインバブルとも呼ばれる直径1以上1000nm未満の気泡の量を、Malvern Panalytical Ltd製のNanoSightNS300を用いて測定した。なお、各実施例及び各比較例のエアゾール製品について、適用口71から液状組成物2を適用したときの適用物を脱気した水で所定の重量に希釈した後に気泡の量を計測し、その気泡の量に希釈倍率を乗じて適用物中の起泡の量と換算した。
【0076】
(試験例4:使用感評価試験)
各実施例及び各比較例のエアゾール製品を用いて、液状組成物を噴出したときの噴出物について、ヒトの皮膚に塗り広げたときの肌なじみ性について試験した。
【0077】
〔塗り広げやすさ〕
25℃において、各実施例及び各比較例のエアゾール製品やスプレー製品について、液状組成物2を被験者の腕の内側におおよそ1g適用してその適用物を塗り広げて塗布した。そして、塗布したときの塗広げやすさを5段階で評価し、「とてもよく塗広げやすい」を5点、「よく塗広げやすい」を4点、「ふつうに塗広げやすい」を3点、「やや塗広げにくい」を2点、「塗広げにくい」を1点として、5人のパネラーの平均点を算出した。この平均点が、4点以上のものを◎と評価し、3.5点以上4点未満であるものを○と評価し、3.0点以上3.5点未満であるものを△と評価し、3.0点未満であるものを×と評価した。これらのうち、塗広げやすいとして◎及び○を良好、塗広げにくいとして△及び×を不良と判断した。
【0078】
〔肌へのなじみやすさ〕
25℃において、各実施例及び各比較例のエアゾール製品やスプレー製品について、液状組成物2を被験者の腕の内側におおよそ1g適用してその適用物を塗り広げて塗布した。そして、塗布したときの肌へのなじみやすさを5段階で評価し、「とてもよく肌になじみやすい」を5点、「よく肌になじみやすい」を4点、「ふつうに肌になじみやすい」を3点、「やや肌になじみにくい」を2点、「肌になじみにくい」を1点として、5人のパネラーの平均点を算出した。この平均点が、4点以上のものを◎と評価し、3.5点以上4点未満であるものを○と評価し、3.0点以上3.5点未満であるものを△と評価し、3.0点未満であるものを×と評価した。これらのうち、肌になじみやすいとして◎及び○を良好、肌になじみにくいとして△及び×を不良と判断した。
【0079】
〔保湿性〕
25℃において、各実施例及び各比較例のエアゾール製品やスプレー製品について、液状組成物2を被験者の腕の内側におおよそ1g適用してその適用物を塗り広げて塗布した。そして、塗布したときの保湿感を5段階で評価し、「保湿性がとてもよく保たれている」を5点、「保湿性がよく保たれている」を4点、「保湿性がふつうに保たれている」を3点、「保湿性があまり保たれていない」を2点、「保湿性が保たれていない」を1点として、5人のパネラーの平均点を算出した。この平均点が、4点以上のものを◎と評価し、3.5点以上4点未満であるものを○と評価し、3.0点以上3.5点未満であるものを△と評価し、3.0点未満であるものを×と評価した。これらのうち、保湿性が保たれているとして◎及び○を良好、保湿性が保たれていないとして△及び×を不良と判断した。
【0080】
〔べたつきのなさ〕
25℃において、各実施例及び各比較例のエアゾール製品やスプレー製品について、液状組成物2を被験者の腕の内側におおよそ1g適用してその適用物を塗り広げて塗布した。そして、塗布したときの肌へのなじみやすさを5段階で評価し、「まったくべたつきを感じない」を5点、「べたつきを感じない」を4点、「ほとんどべたつきを感じない」を3点、「少しべたつきを感じる」を2点、「とてもべたつきを感じる」を1点として、5人のパネラーの平均点を算出した。この平均点が、4点以上のものを◎と評価し、3.5点以上4点未満であるものを○と評価し、3.0点以上3.5点未満であるものを△と評価し、3.0点未満であるものを×と評価した。これらのうち、べたつきにくいとして◎及び○を良好、べたつきやすいとして△及び×を不良と判断した。
【0081】
上述した塗り広げやすさ、肌へのなじみやすさ、保湿性、べたつきのなさの各評価において、すべての項目で◎又は○のものを全体的にバランスが優れるため好ましいと判断した。
【0082】
これらの実施例及び比較例の製品の試験結果を表2に示す。
【0083】
【表2】
【0084】
表2に示すように、水、多糖類の保湿成分などを含有する液状組成物2と不燃性圧縮気体Gとして圧縮窒素を備え、L/hが所定範囲内であるエアゾール製品については、持ち運んだり移動させたりすることが可能であるという可搬性に優れ、ヒトなどの身体に対して使用するときに適用して適用口近傍の空気を巻き込むなどして直径がナノメートルオーダーの気泡を多量に含むようにすることができ、さらに適用物を肌に塗布したときに種々の性能が良好であり有用であった。
【0085】
(試験例5:吐出性試験)
各実施例及び各比較例のエアゾール製品を用いて、液状組成物を吐出させた。エアゾール製品を置いた状態で、高さ約15cmの吐出口から1秒間吐出させ、液状組成物の吐出口からの吐出距離を確認した。
評価:
吐出距離が5cm以上を◎、1cm以上5cm未満を〇、1cm未満を×とした。
【0086】
【表3】
【0087】
この結果、実施例のエアゾール製品では、使用時に良好な吐出距離が得られ、タレが生じないことが確認できた。
【0088】
(試験例6:減圧下での体積変化評価試験)
実施例3-1、3-2及び3-3の製品から吐出した製剤を、目盛付き50ml容スクリュー管(約φ35×85mm)に約1cmの高さになるように充填した。同様に、液状組成物の組成は実施例3-1と同じ組成物でノンガスポンプ付き容器に充填した組成物を吐出し(比較例3-1)、目盛付きスクリュー管に約1cmになるように充填した。実施例3-2及び3-3と同じ組成物についても同様に充填した(比較例3-2)。
次に株式会社相互理化学硝子製の吸引ろ過鐘(150φ×200H)の中央にスクリュー管を設置し、日東工器製リニコン真空ポンプ(LV-660-A2-0001)を使用して-0.08MPaの状態まで減圧し、1分間静置した後、各組成物の体積変化を確認した。試験は20℃の室温条件で実施した。
【0089】
【表4】
この結果、各実施例に関しては1.8倍から7倍に体積が増加して良好な結果を得られた。
【0090】
(試験例7:クレンジング性能評価試験)
シャーレ上にアイライナー(キャンメイククリーミータッチライナー株式会社井田ラボラトリーズ)で約5cmの線を引き、3分間乾燥させた。同様に、別のシャーレ上にコンシーラー(スポッツカバーファウンデイション株式会社資生堂)を約2×5cmになるように塗り、3分間乾燥させた。
実施例及び比較例のクレンジング剤を吐出し、アイライナーの線又はコンシーラーの領域をそれぞれ覆うように塗布し、3分間放置した。
【0091】
流水で流しながらシャーレ上を10回時計回りにこすった。
初期状態と比較し、クレンジングの機能を判定した。
評価は以下のような基準で判断した。この結果を表5に示す。
◎:ほぼ完全にアイライナー又はコンシーラーが落ちている
〇:半分以上アイライナー又はコンシーラーが落ちている
×:ほとんど落ちていない
アイライナー、コンシーラーのどちらか低い方の評価を総合評価とし、〇以上を良好とした。
【0092】
【表5】
【0093】
この結果、実施例4-1はアイライナー及びコンシーラーをほぼ完全に落とすことができ、実施例4-2はアイライナー及びコンシーラーを半分以上落とすことができ、良好な結果を得られた。
【0094】
次に、処方例を示す。
下記処方例はすべて、マウンティングカップ3、ステム4、蓋部7を取り付けて、ステム4より窒素又は二酸化炭素を容器1内の圧力が25℃において表6に示す圧力となるまで充填して、図1に示すようなエアゾール製品を作製した。
ポンプの長さLは、35mm、ノズルの吐出部の直径hは3mmである。
【表6】
【符号の説明】
【0095】
1・・・容器
2・・・液状組成物
3・・・マウンティングカップ
4・・・ステム
41・・・ステム孔
5・・・弾性バネ
6・・・チューブ
7・・・蓋部
71・・・適用口
G・・・不燃性圧縮気体
72・・・接合部
73・・・円筒部
74・・・容器被覆部
【要約】
【課題】
可搬性に優れ、液状組成物を皮膚に適用する際に気泡が含まれ、使用感に優れた製品を提供することを目的とする。
【解決手段】
容器1及びノズルを備えた蓋部7と、前記容器1に収容される液状組成物2と、前記容器1に前記液状組成物2とともに充填される不燃性圧縮気体Gを備え、ノズルの吐出部の直径hと、ノズル長さLとが、L/h=1~20を満たすエアゾール製品を調製する。
【選択図】図1
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10