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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-17
(45)【発行日】2024-10-25
(54)【発明の名称】垂直軸風車
(51)【国際特許分類】
   F03D 3/06 20060101AFI20241018BHJP
【FI】
F03D3/06 G
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2020057522
(22)【出願日】2020-03-27
(65)【公開番号】P2021156219
(43)【公開日】2021-10-07
【審査請求日】2022-09-20
(73)【特許権者】
【識別番号】000102692
【氏名又は名称】NTN株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100087941
【弁理士】
【氏名又は名称】杉本 修司
(74)【代理人】
【識別番号】100112829
【弁理士】
【氏名又は名称】堤 健郎
(74)【代理人】
【識別番号】100155963
【弁理士】
【氏名又は名称】金子 大輔
(74)【代理人】
【識別番号】100150566
【弁理士】
【氏名又は名称】谷口 洋樹
(74)【代理人】
【識別番号】100154771
【弁理士】
【氏名又は名称】中田 健一
(74)【代理人】
【識別番号】100142608
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 由佳
(74)【代理人】
【識別番号】100213470
【弁理士】
【氏名又は名称】中尾 真二
(72)【発明者】
【氏名】松永 公美子
【審査官】高吉 統久
(56)【参考文献】
【文献】特開2009-275536(JP,A)
【文献】特開2019-002554(JP,A)
【文献】特開2007-315437(JP,A)
【文献】特開2019-206925(JP,A)
【文献】特開2017-096307(JP,A)
【文献】国際公開第2018/116724(WO,A1)
【文献】特開2007-303486(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F03D 3/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
垂直な回転軸の周囲に並ぶ複数枚の垂直な翼が、アームを介して前記回転軸に取付けられ、風力発電に用いられる垂直軸風車であって、
前記翼を前記アームに取付ける翼取付手段が、
前記アームの先端に設けられ前記翼の回転中心側の表面に重なる翼支持部品と、
前記翼を貫通する取付孔に挿通された円筒形のカラーと、
前記カラーとは別体または一体に設けられて前記翼の反回転中心側の表面に重なる翼係合体と、
前記カラーに挿通され前記翼支持部品と前記翼係合体とで前記翼を挟み付けるように軸力を作用させるボルトとを有し、
前記カラーが前記翼支持部品と前記翼係合体との間に作用する前記軸力を負担するものであり、前記カラーの軸方向の長さは、前記翼、前記翼支持部品および前記翼係合体の重なり厚さと同じ長さとされ、前記カラーが前記翼支持部品および前記翼係合体を貫通し、前記翼支持部品および前記翼係合体と前記カラーの両端面とが座面となり、前記ボルトを締結する垂直軸風車。
【請求項2】
請求項1に記載の垂直軸風車において、前記カラーが、内周に雌ねじ部を有し、前記ボルトは前記カラーの前記雌ねじ部に螺合する垂直軸風車。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載の垂直軸風車において、前記ボルトが、低頭タイプのボルトである垂直軸風車。
【請求項4】
請求項1ないし請求項3のいずれか1項に記載の垂直軸風車において、太陽光発電装置を有する垂直軸風車。
【請求項5】
請求項1ないし請求項4のいずれか1項に記載の垂直軸風車において、前記翼が取付けられた前記回転軸の回転により発電する発電機を備え、この発電機で発電した電力により点灯される照明設備および前記発電機で発電した電力で駆動される通信機器のいずれか一方または両方を備える垂直軸風車。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、風力発電装置に用いられる垂直軸風車に関し、特に翼をアームに締結する構造に係る。
【背景技術】
【0002】
風力発電装置と太陽光発電装置とを備え、これらにより得られる電力により照明装置を点灯させる街路灯となる照明設備がある(例えば、特許文献1)。この照明設備に用いられる風力発電装置として、風向きに対する制御が不要で比較的小型の風車に適用される垂直軸式の風力発電装置が装着されている。このことは、太陽光発電を有しておらず、風力発電装置のみで発電する照明設備についても言える。
【0003】
風車の翼は回転軸へ十分な強度で容易に取付けることが望まれる。この課題に対して、プロペラ形の水平軸風車に適用した例であるが、内部にねじ部を設けた埋込金物を風車翼の根部へ埋め込み、翼根部と回転軸外周の翼取付け板をボルトで締結する構成が提案されている(特許文献2)。
また、風車の翼と風車ロータとをより強固に接合するという課題に対して、これも水平軸風車の例であるが、特許文献3が提案されている。同文献の例では、風車の翼根部にスタッドを接合し、且つ、このスタッドに雌ねじを切った埋込金物を接合する。接合された埋込金物に挿入し、ボルトで翼と中央の風車ロータを締結し、翼と風車ロータとをより強固に接合している。
【0004】
風力発電装置の垂直軸風車においては、図10に示す構成が提案されている。垂直軸風車の回転翼は、翼105と金属の支持部品であるアーム106から成り、樹脂製の翼105と金属のアーム106をボルト123で締結している。この場合に、アーム106の先端の翼支持部品121と、翼係合部材122とを設け、翼105の両面から挟み込み、ボルト123で締結する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2017-190751号公報
【文献】特開平11-182408号公報
【文献】特開2003―293935号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1、2に開示された技術は、いずれも、プロペラ形の水平軸風車の技術であり、中央の風車ロータまたは回転軸に対して、その周囲に放射状に延びる翼の根部を結合する構成であるため、垂直軸風車における垂直な翼の中間部分をアームに結合する箇所には適用することができない。
【0007】
図10に示した結合構造は垂直軸風車における例であるが、次の課題がある。垂直軸風車に適用される翼105は、樹脂製のために可撓性があり、ボルト123の締め過ぎるによる翼105の締結部付近の強度不足が懸念される。このため、低トルクでボルト123を締め付けるが、適正な軸力の保持ができない。これによるボルト123の緩みや、ボルト123の緩みによる翼105の翼支持部品121からの脱落の懸念がある。
【0008】
低トルクの締め付けに対するボルト123の緩み止めとして、ハードロックナットやダブルナットを使用することがあるが、どちらを使用しても翼面に大きな凸部が生じる。翼面の凸部は、風車の回転の妨げとなって、風力発電装置の発電性能の妨げとなり、凸部を小さくするか無くすことが必要である。
なお、翼105と支持部品121の締結用のボルト孔118から雨水が浸入する可能性がある。例えば、翼105が中空の場合、水が翼105の内部へ入ることで、風車の重量バランスが崩れ、発電機の強度や支柱の振動へ悪影響を及ぼす可能性がある。
【0009】
この発明は上記課題を解消するものであり、その目的は、垂直軸風車において十分な強度を保ち、より簡易的に、且つ、強固に風車の翼と翼支持部品とを締結できるようにすることである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
この発明の垂直軸風車は、垂直な回転軸の周囲に並ぶ複数枚の垂直な翼が、アームを介して前記回転軸に取付けられ、風力発電に用いられる垂直軸風車であって、
前記翼を前記アームに取付ける翼取付手段が、
前記アームの先端に設けられ前記翼の回転中心側の表面に重なる翼支持部品と、
前記翼を貫通する取付孔に挿通された円筒形のカラーと、
前記カラーとは別体または一体に設けられて前記翼の反回転中心側の表面に重なる翼係合体と、
前記カラーに挿通され前記翼支持部品と前記翼係合体とで前記翼を挟み付けるように軸力を作用させるボルトとを有し、
前記カラーが前記翼支持部品と前記翼係合体との間に作用する前記軸力を負担する。
【0011】
この構成によると、翼の取付孔に挿入された円筒状のカラーが、翼を貫通して翼支持部品と翼係合体との間に作用するボルトの軸力を負担する。そのため、翼が樹脂製等の可撓性を有する材質であっても、ボルトの軸力で変形する恐れを生じることなく、ボルトを適正な軸力で締め付けることができる。これにより、十分な強度を保ち、強固に翼と翼支持部品とを締結することができ、また翼の材質による変形し易さに起因するボルトの緩みが防止されて、緩み止め手段を設ける必要がなく、より簡易的に、かつ翼表面から突出する部分が緩み止めで大きくなることなく締結することができる。
さらに、円筒状のカラーを用いることで、締結部からの翼への防水効果を得ることができる。
【0012】
この発明において、前記カラーが前記翼支持部品および前記翼係合体を貫通する構成であってもよい。
カラーが翼支持部品および翼係合体を貫通することで、これら翼支持部品および翼係合体とカラーの両端面とが座面となり、ボルトを締結することができる。そのため、より強固に軸力を保持することができる。
【0013】
この発明において、前記カラーの両端面が前記翼支持部品および前記翼係合体の前記翼への重なり側の表面に当接するようにしてもよい。
この構成の場合、カラーを取付孔に嵌め込んだ翼を、翼支持部品と翼係合体とで挟み込んでボルトを締結することができる。この場合も強固に軸力を保持することができる。
【0014】
この発明において、前記カラーが、内周に雌ねじ部を有し、前記ボルトは前記カラーの前記雌ねじ部に螺合する構成であってもよい。
この構成の場合、カラー内部に雌ねじ部が形成されることで、締結がより強固になり、緩み止め部品のハードロックナットやダブルナットが必要なくなり、風車翼面の突出する部分を減らすことができる。
【0015】
この発明において、前記カラーが少なくとも前記翼支持部品とは反対側の端部にフランジ部を有し、このフランジ部が前記翼係合体となるようにしてもよい。
従来は、翼を保護すべく、接触面積を増やして翼にかかる面圧を小さくするために、独立した部品の翼係合体を翼に重ねて使用していた。しかし、円筒形のカラーを用いることで、前記のようにカラーでボルトの軸力を負担できて、翼にかかる面圧の低下の目的で接触面積を増やす必要が無くなり、カラーに設けたフランジ部の程度の接触面積で軸力を十分に受けることができる。また、雌ねじ部を有するカラーを用いることで、ナットが不要となる。これらのため、カラーのフランジ部を翼係合体として利用できて、独立した部品の翼係合体が不要となり、かつ翼表面から突出するナットを設ける必要がなく、翼表面から突出する部分を小さくできる。そのため、従来、翼表面から突出していた翼係合体とナット分の凸部が、カラーのフランジ部からなる翼係合体で済み、翼表面から突出する凸部を小さくできて、回転抵抗の低減、発電性能の向上となる。また、独立した翼係合体およびナットが不要となって、部品点数が削減され、コスト低下可能となる。
【0016】
この発明において、前記ボルトが、低頭タイプのボルトであってもよい。
ボルトが低頭タイプであると、翼と翼支持部品との結合のために翼表面から突出する部分が小さくなり、風車の回転抵抗が小さくなって、突出部分による回転抵抗で発電性能が低下することが防止される。
なお、この明細書において「低頭タイプ」とは、低頭タイプとして市販されているボルトの他に、ボルト頭の形状により低頭タイプとなるボルト、例えば、なべ形、さら形等のボルト頭を含む。
【0017】
この発明において、太陽光発電装置を有していてもよい。
太陽光発電装置を備えていると、風力発電と太陽光発電との併用により、コンパクトな構成で大きな発電電力が得られ、また日照時であれば無風時にも発電が行える。
【0018】
この発明において、前記翼が取付けられた前記回転軸の回転により発電する発電機を備え、この発電機で発電した電力により点灯される照明設備および前記発電機で発電した電力で駆動される照明設備以外の電気機器のいずれか一方または両方を備えていてもよい。
照明設備を備えた垂直軸風車である場合、商用電力の配線を施すことなく照明が行え、街路灯等の設置が、商用電力配線を有しない地域や場所でも設置することができる。
【発明の効果】
【0019】
この発明の垂直軸風車は、垂直な回転軸の周囲に並ぶ複数枚の垂直な翼が、アームを介して前記回転軸に取付けられ、風力発電に用いられる垂直軸風車であって、前記翼を前記アームに取付ける翼取付手段が、前記アームの先端に設けられ前記翼の回転中心側の表面に重なる翼支持部品と、前記翼を貫通する取付孔に挿通された円筒形のカラーと、前記カラーとは別体または一体に設けられて前記翼の反回転中心側の表面に重なる翼係合体と、前記カラーに挿通され前記翼支持部品と前記翼係合体とで前記翼を挟み付けるように軸力を作用させるボルトとを有し、前記カラーが前記翼支持部品と前記翼係合体との間に作用する前記軸力を負担するため、垂直軸風車において十分な強度を保ち、より簡易的に、且つ、強固に風車の翼と翼支持部品とを締結し、また取付孔からの雨水の浸入を低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】この発明の第1の実施形態に係る垂直軸風車を備えた風力発電装置の斜視図である。
図2】同垂直軸風車の翼の断面図である。
図3】同翼とその取付用のボルトカラーの関係を示す分解斜視図である。
図4】同垂直軸風車の翼とアームとの結合部分を示す断面である。
図5図4のV部の拡大断面図である。
図6】同垂直軸風車の翼取付手段の変形例を示す断面図である。
図7】同垂直軸風車の翼取付手段の他の変形例を示す断面図である。
図8】同垂直軸風車の翼取付手段のさらに他の変形例を示す断面図である。
図9】同翼取付手段におけるカラーの斜視図である。
図10】垂直軸風車の翼取付手段の従来例を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
<垂直軸風車の全体の構成>
この発明の第1の実施形態を図1ないし図6と共に説明する。図1において、垂直軸風車2は、回転翼5Aと、この回転翼5Aを上端に支持する支柱4と、発電機3を備え、風力発電装置1を構成する。
【0022】
垂直軸風車2は、複数枚(図示の例では2枚)の垂直な翼5がアーム6a,6bによって、垂直な回転軸3aに取付けられている。前記複数枚の翼5と前記アーム6a,6bとで前記回転翼5Aが構成される。支柱4は、それぞれ円筒状とされた下側の大径部4aと上側の小径部4bとでなり、小径部4bの上端から突出した上端部に発電機3が取付けられている。前記アーム6aは主アームであり、水平に延びている。前記アーム6bは副アームであり、主アーム6aの上下にそれぞれ設けられて基端が主アーム6aの基端または前記回転軸3aに接合され、斜め上方または斜め下方に延びて先端が翼5に結合されている。
前記発電機3は、永久磁石同期発電機等からなり、前記支柱4の上端にステータが設置されている。前記回転軸3aは、発電機3のロータ(図示せず)の回転軸であり、または前記ロータに連結された軸であり、支柱4の小径部4b内に軸受(図示せず)を介して回転自在に支持されている。
【0023】
<付属設備>
この実施形態の垂直軸風車2は、パネル状の太陽光発電装置11と照明設備12とが支柱4の上部に設置され、支柱4の大径部4aの内部または外部には蓄電池13が設けられ、街路灯等として用いられる。発電機3で発電された風力発電電力と太陽光発電装置11で発電された太陽光発電電力とは、共に蓄電池13に蓄電され、夜間に照明設備12の点灯に使用される。照明設備12は、LED等の光源(図示せず)を有し、直流で点灯する形式であっても、交流で点灯する形式であってもよい。交流で点灯する形式の場合は、蓄電池13の直流電力を交流に変換するインバータ(図示せず)が設けてられる。
【0024】
支柱4には、この他に、蓄電池13の蓄電電力で駆動される照明設備以外の電気機器が設けられている。 なお、前記照明設備12および照明設備以外の電気機器は、いずれか一方だけ設置してもよく、また両方とも設置しなくてもよい。両方とも設置しない場合、風力発電装置1は、例えば周辺設備への電力供給や、売電等に利用される。
【0025】
<翼5の構成>
翼5は、垂直方向に延びる主翼部5aと、この主翼部5aの上下端から延びて主翼部5aの回転中心側に先端が近づくように傾斜した一対の翼先端部5b,5bとを有する。 主翼部5aの断面形状は、図2に示すように揚力形とされ、長手方向の全体に渡って同じ断面形状である。詳しくは、主翼部5aは、翼幅方向の中央よりも回転方向(矢印方向)の前側の膨らみが大きく、後側が次第に薄くなる略魚形とされている。揚力形の場合、翼5の回転方向は定まっている。主翼部5aの断面形状は、平板状等の抗力形としてもよい。
翼先端部5b,5bは、先端に近づくに従って翼幅が狭まる形状とされている。翼先端部5b,5bの断面形状は、主翼部5aと同様な魚形の断面形状であっても、平板状等とされていてもよい。翼先端部5b,5bは、主翼部5aと同様な魚形の断面形状とする場合、翼幅が狭まるに従って薄くなる断面形状とされる。
【0026】
翼5の材質は、繊維強化プラスチック等の樹脂材料とされている。翼5は、この実施形態では全体が中実とされているが、中空であってもよい。
【0027】
<翼5をアーム6a,6bに取付ける翼取付手段16a,16b>
図1における翼5をアーム6a,6bに取付ける翼取付手段16a,16bは、図3図6に示す構成とされる。主アームであるアーム6aに取付ける翼取付手段16aと副アームであるアーム6bに取付ける翼取付手段16aとは、寸法が異なる他は互いに同様であるため、主アーム6aへの翼取付手段16aを説明し、副アーム6bへの翼取付手段16bは説明を省略する。
【0028】
図4に示すように、翼5をアーム6aに取付ける翼取付手段16aは、
アーム6aの先端に設けられ翼の回転中心側の表面に重なる翼支持部品21と、
翼5を表裏に貫通する複数の取付孔18にそれぞれ挿通された複数の円筒形のカラー19と、
前記カラー19とは別体設けられて翼5の反回転中心側の表面に重なる翼係合体22と、
前記カラー19に挿通され前記翼支持部品21と前記翼係合体22とで翼5を挟み付けるように軸力を作用させるボルト23とを有し、
カラー19が翼支持部品21と翼係合体22との間に作用する前記軸力を負担する。
【0029】
翼支持部品21は、アーム6aの先端にこのアーム6aと一体に取付けられ部材であっても、アーム6aとは別部材として設けられてアーム6aに溶接またはボルト(図示せず)で固定された部品であってもよい。翼支持部品21は、図3に示すように板状に設けられ、翼5の前記取付孔18と整合するように、複数の挿通孔24(図5参照)が設けられている。
【0030】
翼係合体22は、ボルト23の締め付け軸力に対して翼5を保護すべく、接触面積を増やし翼5にかかる面圧を小さくするための部材であり、板材等で構成されている。翼係合体22は、翼5の取付孔18毎に別個に設けても、また複数の取付孔18に整合する挿通孔25を有する部材としてもよい。
【0031】
カラー19は、ステンレス鋼や炭素鋼、またはアルミニウム等の金属であっても、またセラミックス製や樹脂製であってもよいが、翼5を構成する材料よりは硬質の材料が用いられている。カラー19の内外の径は、取付孔18やボルト23の挿脱が円滑に行える範囲で、取付孔18の内周面およびボルト23の外周面との隙間が最小となる径とされている。
【0032】
カラー19は、この実施形態では、図4のV部を図5に拡大して示すように、翼支持部品21および翼係合体22を貫通する。カラー19の長さは、翼5、翼支持部品21および翼係合体22の重なり厚さと同じ長さとされる。翼5の厚さは、翼5が前記魚形であって翼幅方向の各部で異なるため、カラー19の長さは、翼5の取付孔18が形成された位置における前記重なり厚さとされる。
【0033】
ボルト23の頭部23aは、座金26を介して翼支持部品21の表面に係合する。ボルト23の軸部23bの先端側の端部は、第1のナット27と緩み止め用のナット28が二重に螺合し、第1のナット27が座金29を介して翼係合体22に係合する。カラー19の長さが前記のように翼5、翼支持部品21および翼係合体21の重なり厚さと同じ厚さとされているため、前記座金26,29は、それぞれカラー19の端面から翼支持部品21および翼係合体22の表面に渡って接する。
【0034】
<作用>
この構成によると、翼5の取付孔18に挿入された円筒状のカラー19が、翼5と翼支持部品21と翼係合体22との間に作用するボルトの軸力を負担する。そのため、樹脂製の翼5がボルト23の軸力で変形する恐れを生じることなく、ボルト23を適正な軸力で締め付けることができる。これにより、十分な強度を保ち、強固に翼5と翼支持部品と21を締結することができる。また、翼5が樹脂製であっても、翼5の変形し易さに起因するボルト23の緩みが防止されて、緩み止め手段を設ける必要がなく、より簡易的に、かつ翼5の表面から突出する部分が緩み止めで大きくなることなく締結することができる。
さらに、円筒状のカラー19を用いることで、締結部からの翼5への防水効果を得ることができる
【0035】
また、この実施形態の場合、カラー19が翼支持部品21および翼係合体22を貫通する構成であるが、この構成の場合、翼支持部品21および翼係合体22とカラー19の両端面とが座面となり、ボルト23を締結することができる。そのため、より強固に軸力を保持することができる。
【0036】
<他の実施形態>
図6図8は、翼取付手段16aの構成が異なる各実施形態における取付手段16aを示す。これらの実施形態において、特に説明した事項の他は、第1の実施形態と同様である。
【0037】
図6の実施形態は、カラー19の両端面が、翼支持部品21および翼係合体22の翼5への重なり側の表面に当接するように、カラー19の長さと、翼支持部品21および翼係合体22の挿通孔25が構成されている。
この構成の場合、カラー19が取付孔18に嵌め込まれた翼5を、翼支持部品21と翼係合体22とで挟み込んでボルト23を締結することができる。この構成の場合も強固に軸力を保持することができる。
【0038】
図7の実施形態は、カラー19の内周面に雌ねじ部32が形成され、カラー19に両側から一対のボルト23,23がねじ込まれる。翼係合体22Aは、個々のボルト孔18毎に設けられた座金とされている。各ボルト23,23の頭部23a,23aとして、六角穴付きボタンボルト頭や、極低頭ボルト等の滑らかな低頭タイプのボルト頭としている。
【0039】
この構成の場合、カラー19に雌ねじ部32を設け、ボルト23の締結に用いるため、通常のナットを用い構成に比べて締結がより強固になる。また、カラー19がナットを兼ねるため、別途にナットを設けて翼表面から突出させる必要がない。このため、翼面の凸部を減らすことができ、さらにボルト23の頭部23aに前記のような低頭タイプのボルト頭を用いることができる。これらにより、翼面の凸部を減らすことができて、翼5の回転抵抗が小さくなり、風力発電装置1の発電性能の向上に繋がる。
なお、この実施形態において、図示の例ではカラー19の全長に渡って雌ねじ部32を設けているか、雌ねじ部32の長さはカラー19の長さの1/3程度あればよい。
【0040】
図8および図9に示す実施形態は、カラー19の内周に全長に渡り雌ねじ部32を設け、カラー19の反ボルト挿入側の端部の外周にフランジ部19aを設けている。フランジ部19aは、翼係合体22の表面における挿入孔25の周辺部分に接している。カラー19のフランジ部19a側の端面は、底部19bで閉鎖されている。ボルト23はカラー19の雌ねじ部32にねじ込まれ、頭部23aが翼支持部品21の表面における挿入孔24の周辺部分に接している。ボルト23の頭部23aは、なべ形等の低頭タイプとしてされている。
【0041】
この構成の場合、カラー19のフランジ部19aが翼係合体22に係合し、翼係合体22側からナットが突出しないため、翼表面から突出する凸部が小さくなり、翼5の回転抵抗が小さくなりって、風力発電装置1の発電塀脳の向上に繋がる。また、部品点数が削減される。ボルト23の頭部23aが低頭タイプであることからも、翼5の回転抵抗が低減する。
この実施形態において、カラー10の雌ねじ部32はカラー10の全長に渡って設けたが、雌ねじ部32は全長の1/3程度あればよい。
【0042】
また、この実施形態において、翼係合体22を省略し、カラー19のフランジ部19aを翼係合体として用いて翼5の表面に当たるようにしてもよい。円筒形のカラー19を用いたことで、前記実施形態のようにカラー19でボルトの軸力を負担できて、翼5にかかる面圧の低下の目的で接触面積を増やす必要が無くなる。そのため、カラー19に設けたフランジ部19a程度の大きさで軸力を十分に受けることができる。翼係合体22を省略したことで、翼係合体22の突出分だけ、翼表面から突出する凸部が小さくなり、翼5の回転抵抗が削減される。
【0043】
以上、実施形態に基づいて本発明を実施するための形態を説明したが、ここで開示した実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではない。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0044】
1…風力発電装置
2…垂直軸風車
3…発電機
4…支柱
5…翼
5A…回転翼
5a…主翼部
5b…傾斜部
6a,6b…アーム
11…太陽光発電装置
12…照明設備
13…蓄電池

16a,16b…翼取付手段
18…取付孔
19…カラー
19a…フランジ部
19b…底部
21…翼支持部品
22,22A…翼係合体
23…ボルト
23a…頭部
23b…軸部
24,25…挿通孔
26…座金
27,28…ナット
29…座金
32…雌ねじ部
105…翼
106…アーム
118…ボルト穴
121…翼支持部品
122…翼係合部材
123…ボルト
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10