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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-17
(45)【発行日】2024-10-25
(54)【発明の名称】情報処理装置およびプログラム
(51)【国際特許分類】
   G06Q 50/163 20240101AFI20241018BHJP
   G06Q 50/06 20240101ALI20241018BHJP
【FI】
G06Q50/163
G06Q50/06
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2020058814
(22)【出願日】2020-03-27
(65)【公開番号】P2021157634
(43)【公開日】2021-10-07
【審査請求日】2023-03-10
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 (1)新規会員希望者様向け説明会,2019年4月3日および2019年4月10日 (2)既存会員説明会,2019年5月8および2019年5月9日 (3)インテルエネルギーフォーラム,2019年7月17日 (4)第7回ビッグデータ等の利活用推進に関する産官学協議のための連携会議,2019年7月31日 (5)スマートグリッドEXPO関西,2019年9月25日から2019年9月27日 (6)中電テクノフェア,2019年10月31日から2019年11月1日 (7)イノベーションカンファレンス2020,2020年1月24日 (8)GDBL来訪者向け説明,2019年4月2日から2020年3月26日 (9)日刊工業新聞,ウェブサイト記事,2019年9月5日,https://www.nikkan.co.jp/articles/view/00529917?twinews=20190905 (10)グリッドデータバンク・ラボ有限責任事業組合,ウェブサイト掲載,2019年10月10日,https://www.gdb-lab.jp/wp-contentuploads/2019/10/%E8%B6%B3%E7%AB%8B%E5%8C%BA%E5%AE%9F%E8%A8%BC%E3%83%8B%E3%83%A5%E3%83%BC%E3%82%B9%E3%83%AA%E3%83%AA%E3%83%BC%E3%82%B9v3.pdf
(73)【特許権者】
【識別番号】000003687
【氏名又は名称】東京電力ホールディングス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【弁理士】
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100116403
【弁理士】
【氏名又は名称】前川 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100135633
【弁理士】
【氏名又は名称】二宮 浩康
(74)【代理人】
【識別番号】100162880
【弁理士】
【氏名又は名称】上島 類
(73)【特許権者】
【識別番号】523286071
【氏名又は名称】株式会社NTTデータ
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【弁理士】
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(73)【特許権者】
【識別番号】000156938
【氏名又は名称】関西電力株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000213297
【氏名又は名称】中部電力株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【弁理士】
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100116403
【弁理士】
【氏名又は名称】前川 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100135633
【弁理士】
【氏名又は名称】二宮 浩康
(74)【代理人】
【識別番号】100162880
【弁理士】
【氏名又は名称】上島 類
(72)【発明者】
【氏名】山口 哲生
(72)【発明者】
【氏名】木村 憲司
(72)【発明者】
【氏名】栗山 融
(72)【発明者】
【氏名】安井 威人
(72)【発明者】
【氏名】西尾 麻莉
(72)【発明者】
【氏名】片岡 宏海
(72)【発明者】
【氏名】高倉 英亮
(72)【発明者】
【氏名】林 孝尚
(72)【発明者】
【氏名】角谷 太郎
(72)【発明者】
【氏名】大川 正人
(72)【発明者】
【氏名】中川 舞音
(72)【発明者】
【氏名】荒井 浩之
(72)【発明者】
【氏名】松下 英俊
(72)【発明者】
【氏名】水沼 恵子
【審査官】山田 倍司
(56)【参考文献】
【文献】中国特許出願公開第109978394(CN,A)
【文献】特表2009-540427(JP,A)
【文献】特開2015-041321(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2017/0011299(US,A1)
【文献】特開2019-159467(JP,A)
【文献】特開2009-259172(JP,A)
【文献】特開2017-162183(JP,A)
【文献】特開2017-084202(JP,A)
【文献】齊藤 誠,都市の老い 人口の高齢化と住宅の老朽化の交錯 ,第1版,株式会社勁草書房,2018年01月25日,p.21-26
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
建物に対応して設置された計器によって測定された単位時間ごとの電力消費量の測定結果の履歴と前記計器の設置位置を識別するための設置位置識別情報とを対応づけた電力消費履歴情報を記憶した記憶装置から、所定期間にわたる前記単位時間ごとの電力消費量の測定結果である第1の履歴情報と対応する設置位置識別情報とを抽出する履歴情報抽出部と、
前記履歴情報抽出部によって抽出された前記第1の履歴情報に基づいて、前記計器に対応した建物の空家種別を判定する空家種別判定部と、
前記空家種別判定部における判定結果を前記設置位置識別情報に基づいて地図上の所定の領域であるエリアに分類し、該エリアごとの建物の空家率として集計する集計部と、
前記集計部において集計した前記エリアごとの建物の空家率を前記地図上にエリアに対応させた地図領域を含む空家率マップを表示装置に表示させる表示データを生成する表示データ生成部と、を備え、
前記空家種別判定部は、前記第1の履歴情報に含まれる、単位時間における電力使用波形の履歴を1日ごとにパターン分類して、電力使用なしのパターンに分類した日は空室であると判定し、空室である日が連続して継続した期間が閾値を超えた場合に空家であると判定し、さらに、1日ごとの電力使用傾向をパターン分類し、使用量が多い時間帯が朝と夜であるパターンに分類された場合に、対象の建物は世帯であると判定し、使用量が多い時間帯が日中であるパターンに分類された場合に、対象の建物は小規模事業所であると判定する
情報処理装置。
【請求項2】
請求項に記載の情報処理装置において、
表示データ生成部は、前記空家率マップにおける前記エリアとして前記地図を複数の領域に区分するパターンを複数の区分パターンのうちのいずれか1つの区分パターンに切り替えるための区分パターン切替領域を、前記空家率マップに含めて表示装置に表示させる表示データを生成し、
前記集計部は、前記区分パターン切替領域において切り替えられた区分パターンに基づいてエリアを集計する
情報処理装置。
【請求項3】
請求項に記載の情報処理装置において、
表示データ生成部は、前記空家率マップにおける前記エリアとして前記地図が複数のメッシュ領域に区分されて表示されている空家率マップのメッシュの表示範囲を切り替えるための指定を行う表示範囲切替領域を、前記空家率マップに含めて表示装置に表示させる表示データを生成し、
前記集計部は、前記表示範囲切替領域において切り替えられた表示範囲に基づいてエリアを集計する
情報処理装置。
【請求項4】
請求項1からのいずれか1項に記載の情報処理装置において、
表示データ生成部は、前記空家率マップにおける前記地図上の前記エリアごとの建物の空家率を表示する対象となる期間を指定するための期間指定領域を、前記空家率マップに含めて表示装置に表示させる表示データを生成し、
前記履歴情報抽出部は、前記期間指定領域において指定された期間にわたる単位時間ごとの電力消費量の測定結果を第1の履歴情報として抽出する
情報処理装置。
【請求項5】
請求項に記載の情報処理装置において、
表示データ生成部は、前記期間指定領域において指定された期間における前記エリアごとの建物の空家率を別の期間と対比させることを選択する対比選択領域を、前記空家率マップに含めて表示装置に表示させる表示データを生成し、
前記履歴情報抽出部は、前記対比選択領域において別の期間と対比させることが選択されると、当該別の期間にわたる単位時間ごとの電力消費量の測定結果を第2の履歴情報として抽出し、
前記集計部は、前記第1の履歴情報に基づいたエリアごとの建物の空家率に加えて、前記第2の履歴情報に基づいたエリアごとの建物の空家率を集計する
情報処理装置。
【請求項6】
請求項1からのいずれか1項に記載の情報処理装置において、
前記表示データ生成部は、前記エリアごとの建物の空家率をヒートマップにより表示装置に表示させる表示データを生成する
情報処理装置。
【請求項7】
請求項に記載の情報処理装置において、
前記表示データ生成部は、前記第1の履歴情報に基づいたエリアごとの建物の空家率と、前記第2の履歴情報に基づいたエリアごとの建物の空家率とを対比させた結果をヒートマップにより表示装置に表示させる表示データを生成する
情報処理装置。
【請求項8】
請求項1からのいずれか1項に記載の情報処理装置において、
前記設置位置識別情報は、地図上に設定された所定の座標軸で特定される情報である
情報処理装置。
【請求項9】
コンピュータを、
建物に対応して設置された計器によって測定された単位時間ごとの電力消費量の測定結果の履歴と前記計器の設置位置を識別するための設置位置識別情報とを対応づけた電力消費履歴情報を記憶した記憶装置から、所定期間にわたる前記単位時間ごとの電力消費量の測定結果である第1の履歴情報と対応する設置位置識別情報とを抽出する履歴情報抽出部と、
前記履歴情報抽出部によって抽出された前記第1の履歴情報に基づいて、前記計器に対応した建物の空家種別を判定する空家種別判定部と、
前記空家種別判定部における判定結果を前記設置位置識別情報に基づいて地図上の所定の領域であるエリアに分類し、該エリアごとの建物の空家率として集計する集計部と、
前記集計部において集計した前記エリアごとの建物の空家率を前記地図上にエリアに対応させた地図領域を含む空家率マップを表示装置に表示させる表示データを生成する表示データ生成部と、して機能させ、
前記空家種別判定部が、前記第1の履歴情報に含まれる、単位時間における電力使用波形の履歴を1日ごとにパターン分類して、電力使用なしのパターンに分類した日は空室であると判定し、空室である日が連続して継続した期間が閾値を超えた場合に空家であると判定し、さらに、1日ごとの電力使用傾向をパターン分類し、使用量が多い時間帯が朝と夜であるパターンに分類された場合に、対象の建物は世帯であると判定し、使用量が多い時間帯が日中であるパターンに分類された場合に、対象の建物は小規模事業所であると判定するように機能させる、
プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報処理装置およびプログラムに関し、例えば、スマートメータによって測定されたエネルギー消費量に基づいて、不動産物件の空家状態等を推定し、空家調査業務の効率化・高度化に必要な情報を提供するための情報処理装置およびプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年の通信技術の進歩により、電力やガス等のエネルギー消費量をスマートメータにより測定し、測定したデータを遠隔地の電力会社等に送信し、電力会社は送信された消費量に基づいて利用量を徴収することが普及しつつある。このスマートメータで測定されたデータの利活用について現在、活発な議論が行われている。
【0003】
例えば、特許文献1には、建物におけるエネルギー使用量をスマートメータにより取得し、取得したエネルギー使用量に基づいて、所定期間ごとの建物の在室状況を判定し、判定した在室状況に基づいて、建物が空家か判定し、その判定された建物の建物情報を含む空家情報をユーザに提供する空家判定装置が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2019-159467号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に記載された装置では、ユーザに提供されるのは個々の建物の空家情報であり、その提供される空家情報から個人を特定できるため、法的に問題となる場合がある。例えば、判定に必要となるエネルギー使用量を利用するためには、個々の建物の居住者の同意が必要となると考えられ、一定の利用目的に限定される。
【0006】
一方で、個々の空家情報までは必要ないが、エリアごとの空家率を把握できれば、例えばそのエリアの不動産価値を判断する一つの指標にすることができると考えられる。また、従来の空家調査は現地に足を運んで聞き取りなどの人海戦術で行われており、空家率に応じて空家調査を実行する地域を限定することにより、時間と費用の節約が可能となる。
【0007】
本発明は、上述した課題に鑑みてなされたものであり、提供情報から個人情報を特定できない空家情報を効率的に提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の代表的な実施の形態に係る情報処理装置は、建物に対応して設置された計器によって測定された単位時間ごとのエネルギー消費量の測定結果の履歴と前記計器の設置位置を識別するための設置位置識別情報とを対応づけたエネルギー消費履歴情報を記憶した記憶装置から、所定期間にわたる前記単位時間ごとのエネルギー消費量の測定結果である第1の履歴情報と対応する設置位置識別情報とを抽出する履歴情報抽出部と、前記履歴情報抽出部によって抽出された前記第1の履歴情報に基づいて、前記計器が設置された建物の空家種別を判定する空家種別判定部と、前記空家種別判定部における判定結果を前記設置位置識別情報に基づいて地図上の所定の領域であるエリアに分類し、該エリアごとの建物の空家率として集計する集計部と、前記集計部において集計した前記エリアごとの建物の空家率を前記地図上にエリアに対応させた地図領域を含む空家率マップを表示装置に表示させる表示データを生成する表示データ生成部と、を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明に係る情報処理装置によれば、提供情報から個人情報を特定できない空家情報を効果的に提供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明の一実施の形態に係る情報処理装置を備えた空家率マップ提供システムの構成を示す図である。
図2】実施の形態に係る情報処理装置2の機能ブロック構成を示す図である。
図3A】電力消費履歴情報30に含まれるデータの一例を示す図である。
図3B】計器位置情報31に含まれるデータの一例を示す図である。
図3C】地域情報32に含まれるデータの一例を示す図である。
図4A】空家種別判定結果51に含まれるデータの一例を示す図である。
図4B】メッシュ集計空家統計データ52に含まれるデータの一例を示す図である。
図4C】小地域集計空家統計データ53に含まれるデータの一例を示す図である。
図5】表示装置に表示される空室率マップの一例を示す図である。
図6】表示装置に表示される空室率マップの他の一例を示す図である。
図7】表示装置に表示される空室率マップの更に他の一例を示す図である。
図8】スマートメータで計測した電力消費量の履歴情報を記憶装置に格納する処理を示すフローチャートである。
図9】空家率マップを表示する指示がされた場合の処理を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
1.実施の形態の概要
先ず、本願において開示される発明の代表的な実施の形態について概要を説明する。なお、以下の説明では、一例として、発明の構成要素に対応する図面上の参照符号を、括弧を付して記載している。
【0012】
〔1〕本発明の代表的な実施の形態に係る情報処理装置(2)は、建物に対応して設置された計器(1)によって測定された単位時間ごとのエネルギー消費量の測定結果の履歴と前記計器(1)の設置位置を識別するための設置位置識別情報とを対応づけたエネルギー消費情報を記憶した記憶装置から、所定期間にわたる前記単位時間ごとのエネルギー消費量の測定結果である第1の履歴情報と対応する設置位置識別情報とを抽出する履歴情報抽出部(22)と、前記履歴情報抽出部(22)によって抽出された前記第1の履歴情報に基づいて、前記計器(1)に対応した建物の空家種別を判定する空家種別判定部(23)と、前記空家種別判定部(23)における判定結果を前記設置位置識別情報に基づいて地図上の所定の領域であるエリアに分類し、該エリアごとの建物の空家率として集計する集計部(24,25)と、前記集計部(24,25)において集計した前記エリアごとの建物の空家率を前記地図上にエリアに対応させた地図領域(40)を含む空家率マップを表示装置に表示させる表示データを生成する表示データ生成部(26)と、を備えることを特徴とする。
【0013】
〔2〕上記〔1〕に記載の情報処理装置において、表示データ生成部(26)は、前記空家率マップにおける前記エリアとして前記地図を複数の領域に区分するパターンを複数の区分パターンのうちのいずれか1つの区分パターンに切り替えるための区分パターン切替領域(41)を、前記空家率マップに含めて表示装置に表示させる表示データを生成し、前記集計部(24,25)は、前記区分パターン切替領域(41)において切り替えられた区分パターンに基づいてエリアを集計してもよい。
【0014】
〔3〕上記〔1〕に記載の情報処理装置において、表示データ生成部は、前記空家率マップにおける前記エリアとして前記地図が複数のメッシュ領域に区分されて表示されている空家率マップのメッシュの表示範囲を切り替えるための指定を行う表示範囲切替領域を、前記空家率マップに含めて表示装置に表示させる表示データを生成し、前記集計部は、前記表示範囲切替領域において切り替えられた表示範囲に基づいてエリアを集計する。
【0015】
〔4〕上記〔1〕から〔3〕のいずれか1つに記載の情報処理装置において、表示データ生成部(26)は、前記空家率マップにおける前記地図上の前記エリアごとの建物の空家率を表示する対象となる期間を指定するための期間指定領域(43)を、前記空家率マップに含めて表示装置に表示させる表示データを生成し、前記履歴情報抽出部(22)は、前記期間指定領域において指定された期間にわたる単位時間ごとのエネルギー消費量の測定結果を第1の履歴情報として抽出してもよい。
【0016】
〔5〕上記〔4〕に記載の情報処理装置において、表示データ生成部(26)は、前記期間指定領域において指定された期間における前記エリアごとの建物の空家率を別の期間と対比させることを選択する対比選択領域(44)を、前記空家率マップに含めて表示装置に表示させる表示データを生成し、前記履歴情報抽出部(22)は、前記対比選択領域(44)において別の期間と対比させることが選択されると、当該別の期間にわたる単位時間ごとのエネルギー消費量の測定結果を第2の履歴情報として抽出し、前記集計部(24,25)は、前記第1の履歴情報に基づいたエリアごとの建物の空家率に加えて、前記第2の履歴情報に基づいたエリアごとの建物の空家率を集計してもよい。
【0017】
〔6〕上記〔1〕から〔4〕のいずれか1つに記載の情報処理装置において、前記表示データ生成部(26)は、前記エリアごとの建物の空家率をヒートマップにより表示装置に表示させる表示データを生成してもよい。
【0018】
〔7〕上記〔5〕に記載の情報処理装置において、前記表示データ生成部(26)は、前記第1の履歴情報に基づいたエリアごとの建物の空家率と、前記第2の履歴情報に基づいたエリアごとの建物の空家率とを対比させた結果をヒートマップにより表示装置に表示させる表示データを生成してもよい。
【0019】
〔8〕上記〔1〕から〔7〕のいずれか1つに記載の情報処理装置において、前記設置位置識別情報は、地図上に設定された所定の座標軸で特定される情報であってもよい。
【0020】
〔9〕本発明の代表的な実施の形態に係るプログラムは、コンピュータを、建物に対応して設置された計器によって測定された単位時間ごとのエネルギー消費量の測定結果の履歴と前記計器の設置位置を識別するための設置位置識別情報とを対応づけたエネルギー消費履歴情報を記憶した記憶装置から、所定期間にわたる前記単位時間ごとのエネルギー消費量の測定結果である第1の履歴情報と対応する設置位置識別情報とを抽出する履歴情報抽出部と、前記履歴情報抽出部によって抽出された前記第1の履歴情報に基づいて、前記計器が設置された建物の空家種別を判定する空家種別判定部と、前記空家種別判定部における判定結果を前記設置位置識別情報に基づいて地図上の所定の領域であるエリアに分類し、該エリアごとの建物の空家率として集計する集計部と、前記集計部において集計した前記エリアごとの建物の空家率を前記地図上にエリアに対応させた地図領域を含む空家率マップを表示装置に表示させる表示データを生成する表示データ生成部と、して機能させてもよい。
【0021】
2.実施の形態の具体例
以下、本発明の実施の形態の具体例について図を参照して説明する。なお、以下の説明において、各実施の形態において共通する構成要素には同一の参照符号を付し、繰り返しの説明を省略する。また、図面は模式的なものであり、各要素の寸法の関係、各要素の比率などは、現実と異なる場合があることに留意する必要がある。図面の相互間においても、互いの寸法の関係や比率が異なる部分が含まれている場合がある。
【0022】
図1は、本発明の一実施の形態に係る情報処理装置を備えた空家率マップ提供システムの構成を示す図である。
【0023】
図1に示す空家率マップ提供システム100は、建物に対応して設置された計器によって測定された単位時間ごとの電力消費量の測定結果とその計器の設置位置を識別するための設置位置識別情報とからエリアごとの建物の空家率を集計し、エリアごとの建物の空家率を可視化するシステムである。
【0024】
図1に示すように、空家率マップ提供システム100は、スマートメータ(SM:計器の一形態)1_1~1_nと、情報処理装置2と、記憶装置3と、ユーザ端末4_1~4_5と、ネットワーク5,6とを備えている。なお、図1の例では、ユーザ端末4_1~4_5が5つ設けられている例を挙げて説明するが、その数は特に限定されない。
【0025】
スマートメータ1_1~1_nは、住宅や事業所等の建物等に設置され、その建物で消費された電力を計測する電力量計である。スマートメータ1_1~1_nは、例えば、ネットワーク5に接続可能にされ、ネットワーク5を介して外部と双方向通信可能な通信手段を有する。
【0026】
スマートメータ1_1~1_nは、例えば、単位時間(例えば30分間)当たりの電力消費量(30分電力量)を計測し、情報処理装置2からの要求に応じて、電力消費量の計測結果である電力消費情報を、ネットワーク5を介して送信する。
【0027】
なお、以下の説明において、スマートメータ1_1~1_nのそれぞれを区別しない場合には、単に「スマートメータ1」と表記する場合がある。同様に、以下の説明において、ユーザ端末4_1~4_5のそれぞれを区別しない場合には、単に「ユーザ端末4」と表記する場合がある。
【0028】
情報処理装置2は、有線通信または無線通信によってネットワーク5に接続可能に構成され、ネットワーク5を介してスマートメータ1_1~1_nと双方向通信が可能となっている。また、情報処理装置2は、有線通信または無線通信によってネットワーク6に接続可能に構成され、ネットワーク6を介してユーザ端末4_1~4_5と双方向通信が可能となっている。ネットワーク5,6は、例えばインターネットに代表される広域ネットワーク(WAN:Wide Area Network)である。なお、図1では説明の簡単のために、ネットワーク5,6を別々の構成として記載したが、同じ構成としてもよい。
【0029】
情報処理装置2は、記憶装置3と有線通信または無線通信によって通勤可能に接続されている。情報処理装置2と記憶装置3とはネットワーク5,6と同様な広域ネットワークで接続されていてもよい。
【0030】
情報処理装置2は、例えば、サーバやパーソナルコンピュータ、タブレット端末等のプログラム処理装置(コンピュータ)である。情報処理装置2は、ネットワーク5を介して各スマートメータ1_1~1_nから取得した単位時間毎の電力消費量の測定結果と記憶装置3に記憶されている各種情報とに基づいて、スマートメータ1_1~1_nが設置されたエリアごとの空家率を集計し、表示装置に表示させるための表示データを生成する。
【0031】
表示装置としては、LCD(Liquid Crystal Display)および有機EL(Electro Luminescence)ディスプレイ等を例示することができる。
【0032】
情報処理装置2は、生成した表示データを表示する表示装置を備えたものであってもよいし、生成した表示データをユーザ端末4に送信する構成でもよい。
【0033】
記憶装置3は、情報処理装置2によるデータ処理に必要なパラメータやプログラム等を格納する装置である。記憶装置3は、例えば、SSDやHDD等の情報処理装置2の外部記憶装置であってもよいし、情報処理装置2からの要求に応じて必要なデータをネットワークを介して情報処理装置2に供給するデータベースサーバであってもよい。
【0034】
記憶装置3には、例えば、電力消費履歴情報30と、計器位置情報31と、地域情報32とが記憶されている。図3Aから図3Cには、電力消費履歴情報30と、計器位置情報31と、地域情報32に含まれているデータの一例が示されている。各情報の詳細については、後述する。
【0035】
図2は、実施の形態に係る情報処理装置2の機能ブロック構成を説明するための図である。
【0036】
図2に示すように、情報処理装置2は、機能ブロックとして、電力消費情報取得部21と、履歴情報抽出部22と、空家種別判定部23と、エリア紐付け部24と、エリア集計部25と、表示データ生成部26と、入出力部27と、表示選択部28とを備えている。
【0037】
これらの各機能ブロックは、情報処理装置2を構成するハードウェア資源が、情報処理装置2にインストールされたプログラム(ソフトウエア)にしたがって動作することによって実現される。すなわち、情報処理装置(コンピュータ)2は、情報処理装置2にインストールされたプログラムによって、電力消費情報取得部21と、履歴情報抽出部22と、空家種別判定部23と、エリア紐付け部24と、エリア集計部25と、表示データ生成部26と、入出力部27と、表示選択部28として機能する。
【0038】
電力消費情報取得部21は、スマートメータ1_1~1_nによって測定された単位時間当たりの電力消費量の測定結果とそのスマートメータ1_1~1_nの設置位置を識別するための設置位置識別情報とを含む電力消費情報を各スマートメータ1_1~1_nから取得し、記憶装置3に記憶する機能部である。
【0039】
図3Aは、電力消費履歴情報30に含まれるデータの一例を示す図である。
【0040】
図3Aに示すように、電力消費履歴情報30は、例えば、各スマートメータ1_1~1_nの設置位置を識別するための設置位置識別情報である計器IDと、その計器IDによって特定されるスマートメータ1_1~1_nによって測定された単位時間当たりの電力消費量(30分電力量)の測定結果である電力消費情報の履歴を少なくとも含んでいる。図3Aの例では、1つのスマートメータ1のレコードのみが表示されているが、対象とする各スマートメータ1_1~1_nのそれぞれについて同様に計器IDとそれに対応する電力消費情報の履歴とを含むレコードが生成される。電力消費情報には、その電力消費量(30分電力量)の測定日時の情報を含むことができる。
【0041】
履歴情報抽出部22は、記憶装置3に記憶された電力消費履歴情報30から所定期間にわたる電力消費情報の履歴(第1の履歴情報)をその計器IDとともに抽出し、空家種別判定部23に渡す。
【0042】
空家種別判定部23は、所定期間にわたる電力消費情報の履歴(第1の履歴情報)を受け取って、受け取った所定期間にわたる電力消費情報の履歴から空家種別を判定する。空家種別を判定する際には、受け取った電力消費情報の履歴の全日数のデータを用いて、1日単位で空室か否かを判別することができる。この場合、1日毎の電力使用傾向(30分×48コマの電力使用波形)をパターン分類し、使用なしのパターンに分類されたら、その日は空室であると判別できる。さらに、空室である日が連続して継続した期間が閾値を超えた場合に空家であると判定することができる。具体的には、例えば、空家であるとの判定は、空室期間の閾値をあらかじめ設定しておいて、その閾値以上の間空室が継続したものを空家と判定することができる。空家判定の閾値は、期間が長期になるほど精度も上がるため、1ヶ月以上のデータが望ましいが、1日でもよい。空家種別を判定した結果は、図4Aを用いて後述する空家種別判定結果51などの形態で生成することができる。
【0043】
空家種別判定部23は、空家種別の他にも、所定期間にわたる電力消費情報の履歴から対応する計器IDのスマートメータ1が設置された建物の利用形態が世帯であるのか小規模事業所であるのかなどを判定してもよい。この場合、1日毎の電力使用傾向(30分×48コマの電力使用波形)をパターン分類し、使用量が多い時間帯が朝と夜であるパターンに分類されたら世帯であると判定し、使用量が多い時間帯が日中であるパターンに分類されたら小規模事業所であると判定することができる。その他、例えば、空家でないと判定された計器IDに対応する建物について電力消費量の平均値が所定の閾値を超えている場合は、小規模事業所であると判定し、超えていない場合は、世帯であると判定することができる。
【0044】
図4Aは、空家種別判定部23による空家種別判定結果51に含まれるデータの一例を示す図である。空家種別判定部23は、空家種別の判定結果は、例えば図4Aに示す内容のデータを含むことができる。
【0045】
図4Aに示すように、空家種別判定結果51には、例えば、在宅判定対象の建物に設置されたスマートメータ1の設置位置を識別するための設置位置識別情報(計器ID)、年月日、空家種別の判定結果(空家/居住中)の情報が含まれる。空家種別判定部23は、空家種別判定結果51をエリア紐付け部24に渡す。
【0046】
エリア紐付け部24は、空家種別判定結果51を受け取ると、計器位置情報31と地域情報32とを用いて、受け取った空家種別判定結果51の各レコードをエリアに分類する。
【0047】
図3Bは、計器位置情報31に含まれるデータの一例を示す図である。
【0048】
図3Bに示すように、計器位置情報31は、例えば、各スマートメータ1_1~1_nの設置位置を識別するための設置位置識別情報である計器IDと、その計器IDの設置位置の位置を示すエリア情報(緯度および経度あるいはその他の地図上に設定された所定の座標)とを少なくとも含んでいる。エリア情報とは、地図上の位置を特定する情報であり、地図上の領域を示す場合と地図上の箇所を示す場合とがある。具体的には、地図上の領域を示す場合は、小地域やメッシュ領域などのエリアを示し、地図上の箇所を示す場合は、スマートメータの設置位置を示している。なお本実施形態では、エリアとして小地域とメッシュ領域とが例示されているが、これに限定されない。
【0049】
図3Cは、地域情報32に含まれるデータの一例を示す図である。
【0050】
図3Cに示すように、地域情報32は、例えば、小地域の地域名(例えば町丁名)と、地図上における小地域の範囲を特定するためのポリゴン(データ)とを少なくとも含んでいる。ポリゴン(データ)は、小地域または所定の地図上の領域を特定するために地図上に設定された所定の座標軸の組み合わせから構成されるエリア情報である。
【0051】
エリア紐付け部24は、具体的には、例えば、計器位置情報31を用いて、空家種別判定結果51の各レコードに含まれる空家種別が、どのような設置位置(経度と緯度)におけるものかを示すエリア情報を各レコードに紐付ける。また、例えば、図3Cのポリゴン(データ)から、さらに紐付けられた設置位置(経度と緯度)が地域情報32のどの小地域を示すのか特定して、特定した小地域の地域名をエリア情報として空家種別判定結果51の各レコードに紐付けてもよい。エリア紐付け部24は、空家種別判定結果51の各レコードに設置位置や小地域の地域名などのエリア情報が紐付けされたデータをエリア集計部25に渡す。
【0052】
エリア集計部25は、エリア紐付け部24から渡された空家種別判定結果51の各レコードに設置位置や小地域の地域名などのエリア情報が紐付けされたデータを集計して、図4Bまたは図4Cに示すような空家統計データを生成する。
【0053】
図4Bはメッシュ集計による空家統計データの一例を示す図であり、図4Cは小地域集計による空家統計データの一例を示す図である。
【0054】
図4Bに示すように、メッシュ集計による空家統計データ52は、メッシュ領域を示すメッシュコードと、統計データの作成基準日と、空家数と空家率とを含むことができる。図4Cに示すように、小地域集計による空家統計データ53は、小地域を示す小地域名と、統計データの作成基準日と、空家数と空家率とを含むことができる。
【0055】
エリア集計部25は、空家種別判定結果51に基づいて、エリア紐付け部24によって分類されたスマートメータ1が設置された小地域またはメッシュ領域ごとの空家率を算出する。具体的に、エリア集計部25は、エリア紐付け部24によって分類されたスマートメータ1が設置された小地域ごとまたはメッシュ領域ごとに、空家率を算出し、空家統計データ52,53として表示データ生成部26に出力する。メッシュ領域(メッシュコード)とは、地図上の領域をメッシュに区分した領域であって、例えば経度および緯度を含む座標軸の組み合わせにより特定される領域である。
【0056】
例えば、A地域の2020年5月における空家率を算出する場合を考える。この場合、A地域が紐付けられた空家種別判定結果51のレコードの総数に対して、A地域が紐付けられかつ空家種別が“空家”との値を有する割合を、集計対象となる小地域における空家率として集計する。また例えば、第1のメッシュ領域の2020年5月における空家率を算出する場合を考える。この場合、第1のメッシュ領域に含まれる経度および緯度が紐付けられた空家種別判定結果51のレコードの総数に対して、第1のメッシュ領域に含まれる経度および緯度が紐付けられかつ空家種別が“空家”との値を有する割合を、集計対象となるメッシュ領域における空家率として集計する。
【0057】
エリア集計部25は、生成した空家統計データを表示データ生成部26に渡す。
【0058】
表示データ生成部26は、空家統計データに基づいて、表示データを生成する。表示データは、空家統計データに含まれるエリアごとの建物の空家率を地図上のエリアに対応させた地図領域を含む空家率マップを表示装置に表示するためのデータを含んでいる。
【0059】
図5から図7は、表示データにより表示装置に表示される表示例を示す図である。図5から図7に示すように、表示データにより表示される空家率マップは、地図領域40と、区分パターン切替領域41と、表示範囲切替領域42と、期間指定領域43と、対比選択領域44とを有している。
【0060】
図5は、地図を複数のメッシュ領域に区分した区分パターンのときの空家率マップの例であり、図6は、地図を複数の小地域に区分した区分パターンのときの空家率マップの例であり、図7は、地図を複数の小地域に区分した区分パターンのときに対比選択領域において別の期間と対比させることが選択されたときの空家率マップの例である。
【0061】
区分パターン切替領域41は、空家率マップにおけるエリアとして地図を複数の領域に区分するパターンを複数の区分パターンのうちのいずれか1つの区分パターンに切り替えるための指定を行うインタフェースとして機能する。区分パターン切替領域41により、本実施形態の場合、エリアとしてメッシュ領域に区分するか、エリアとして小地域にするかを切り替えることができる。表示データ生成部26は、区分パターン切替領域41を、空家率マップに含めて表示装置に表示させる表示データを生成することができる。
【0062】
例えば、入出力部27を介して表示データをユーザ端末4に出力することができ、メッシュ領域を選択している場合は、ユーザ端末4の表示装置に図5に示す空家率マップが表示される。ユーザ端末4の表示装置において表示された区分パターン切替領域41に基づいてユーザ端末4において小地域への切り替えが入力されると、その旨の指示が入出力部27を介して、表示選択部28にその旨(小地域への切り替え)の指示が入力され、エリア紐付け部24にその旨(小地域への切り替え)の指示が入力される。エリア紐付け部24は、指示に基づいて、空家種別判定結果51の各レコードに地域名を紐付けて、紐付けされたデータをエリア集計部25に渡す。エリア集計部25は、受け取ったデータに基づいて、小地域集計をすることができる。小地域集計によって生成した空家統計データを表示データ生成部26に渡す。表示データ生成部26は、受け取った小地域集計によって生成した空家統計データに基づいて、図6に示すように、小地域ごとの空室率を表示することができる。なお、図6ではエリアごとの建物の空家率をヒートマップにより表示している。ヒートマップは、エリアにおける空室率を比較して、空室率の高いエリアを赤色などの暖色系の色で表示し、空室率の低いエリアを青色などの寒色系で表示することもできる。その他にも、空室率の閾値を設定して、閾値の空室率よりも高い空室率のエリアを暖色系の色で表示し、閾値の空室率よりも低い空室率のエリアを寒色系の色で表示することもできる。
【0063】
表示範囲切替領域42は、メッシュ領域に区分されて表示されている空家率マップのメッシュの表示範囲を切り替えるための指定を行うインタフェースとして機能する。表示範囲切替領域42により、本実施形態の場合、1つのメッシュ領域の大きさを1000mメッシュと500mメッシュと250mメッシュとのいずれにするのかを切り替えることができる。表示データ生成部26は、表示範囲切替領域42を、空家率マップに含めて表示装置に表示させる表示データを生成することができる。
【0064】
ユーザ端末4の表示装置において表示された表示範囲切替領域42に基づいてユーザ端末4において表示範囲の切り替えが入力されると、その旨の指示が入出力部27を介して、表示選択部28にその旨(表示範囲の切り替え)の指示が入力され、エリア集計部25にその旨(表示範囲の切り替え)の指示が入力される。エリア集計部25は、受け取ったデータに基づいて、メッシュ領域の大きさを切り替えてメッシュ領域集計をすることができる。大きさを切り替えたメッシュ領域集計によって生成した空家統計データを表示データ生成部26に渡す。表示データ生成部26は、受け取ったメッシュ領域集計によって生成した空家統計データに基づいて、大きさを切り替えたメッシュ領域ごとの空室率を表示することができる。
【0065】
期間指定領域43は、空家率マップにおける空家率を表示する対象となる期間を指定するためのインタフェースとして機能する。期間指定領域43により、本実施形態の場合、2020年5月における空家率を表示することを指定できる。空家率は、例えば1年以上空室が続いたときに空家と判定する場合(空家種別の判定の閾値が「1年」の場合)は、対象とする期間以前の1年間のデータが必要である。この場合、具体的には、2020年5月における空家率を特定するためには、2019年5月から2020年5月までのデータが必要であるといえる。表示データ生成部26は、期間指定領域43を、空家率マップに含めて表示装置に表示させる表示データを生成することができる。
【0066】
例えば、ユーザ端末4の表示装置において表示された期間指定領域43に基づいてユーザ端末4において空家率を表示する対象となる期間を指定する入力されると、その旨(期間を指定する)の指示が入出力部27を介して、表示選択部28にその旨(期間を指定する)の指示が入力され、履歴情報抽出部22にその旨(期間を指定する)の指示が入力される。履歴情報抽出部22は、記憶装置3に記憶された電力消費履歴情報30から、指示に基づいて、必要な所定期間にわたる電力消費情報の履歴(第1の履歴情報)をその計器IDとともに抽出し、空家種別判定部23に渡す。その結果、表示データ生成部26は、期間指定領域43で指定された期間の空家率マップの表示データを生成することができる。
【0067】
対比選択領域44は、期間指定領域43において指定された期間における空家率を別の期間と対比させることを選択するためのインタフェースとして機能する。図7に示す例では、期間指定領域43により、2020年5月における空家率を表示することを指定でき、別の期間として前月または前年同月と対比させることを選択できる。表示データ生成部26は、対比選択領域44を、空家率マップに含めて表示装置に表示させる表示データを生成することができる。
【0068】
例えば、ユーザ端末4の表示装置において表示された対比選択領域44に基づいてユーザ端末4において前月と対比させること指定する入力されると、その旨(前月と対比させること指定)の指示が入出力部27を介して、表示選択部28にその旨(前月と対比させること指定)の指示が入力され、履歴情報抽出部22にその旨(前月と対比させること指定)の指示が入力される。履歴情報抽出部22は、記憶装置3に記憶された電力消費履歴情報30から、指示に基づいて、第1の履歴情報に加えて、対比選択領域44で指定された前月についての空家率を算出するために必要な所定期間にわたる電力消費情報の履歴(第2の履歴情報)をその計器IDとともに抽出し、空家種別判定部23に渡す。その結果、表示データ生成部26は、対比選択領域44で指定された前月についての空家率と対比させた結果を、空家率マップの表示データを生成することができる。なお、図7ではエリアごとの建物の空家率の対比をヒートマップにより表示している。
【0069】
次に、以上で説明した空家率マップ提供システムにおける処理について説明する。
【0070】
図8は、スマートメータで計測した電力消費量の履歴情報を記憶装置に格納する処理を示すフローチャートである。図9は、空家率マップを表示する指示がされた場合の処理を示すフローチャートである。
【0071】
本実施形態の空家率マップ提供システムは、空家率マップを表示するために、スマートメータで計測した電力消費量の履歴が記憶部に格納されていることが好ましい。
【0072】
図8に示すように、電力消費情報取得部21は、スマートメータ1_1~1_nによって測定された単位時間当たりの電力消費量の測定結果と、測定したスマートメータ1_1~1_nの設置位置を識別するための設置位置識別情報とを含む電力消費情報を各スマートメータ1_1~1_nから取得し(ステップS10)、記憶装置3に記憶する(ステップS11)。
【0073】
次いで、情報処理装置2の入出力部27を介して、空家率マップを表示することを指示する入力があると、表示選択部28は、履歴情報抽出部22、エリア紐付け部24、およびエリア集計部25にその旨の情報を通知し、図9に示す処理が実行される。空家率マップを表示することの指示は、例えば表示対象とするエリアとその期間とを指定した情報を含む。
【0074】
履歴情報抽出部22は、通知された空家率マップを表示するために必要な電力消費履歴情報を記憶部3から抽出し(ステップS21)、空家種別判定部23に渡す。
【0075】
空家種別判定部23は、履歴情報抽出部22から受け取った電力消費履歴情報に基づいて空家種別を判定する(ステップS22)。空家種別判定部23は、電力消費履歴情報を受け取って、受け取った電力消費履歴情報から空家種別を判定する。空家種別を判定する際には、受け取った電力消費情報の履歴の全日数のデータを用いて、1日単位で空室か否かを判別することができる。この場合、1日毎の電力使用傾向(30分×48コマの電力使用波形)をパターン分類し、使用なしのパターンに分類されたら、その日は空室であると判別できる。さらに、空室である日が連続して継続した期間が閾値を超えた場合に空家であると判定することができる。空家種別判定部23は、ステップS22の判定の結果である空家種別判定結果51を生成してエリア紐付け部24に渡す。
【0076】
エリア紐付け部24は、受け取った空家種別判定結果51にエリア情報を紐付け(ステップS23)、エリア集計部25に渡す。エリア紐付け部24は、空家種別判定結果51の各レコードに設置位置や小地域の地域名などのエリア情報を紐付ける。
【0077】
エリア集計部25は、エリア情報が紐付けられた空家種別判定結果51を受け取ると、空家統計データ52、53を生成し(ステップS24)、表示データ生成部26に渡す。エリア集計部25は、具体的には、各レコードに紐付けされたエリア情報に基づいて空家種別判定結果51を分類して、エリアごとのデータ(空家種別)を集計して、空家統計データ52、53を生成することができる。
【0078】
表示データ生成部26は、受け取った空家統計データ52、53に基づいて表示データを生成し(ステップS25)、入出力部27に出力する。表示データは、表示装置に図5から図7に示すような表示をさせるためのデータである。例えば、入出力部27は表示データをユーザ端末4に送信し、ユーザ端末4は、受け取った表示データに基づいてユーザ端末4の表示装置に図5から図7に示すような空家率マップの表示を行うことができる。
【0079】
その後、ユーザ端末4において表示された空家率マップの各指定領域において入力がされると(ステップS26:YES)、入出力部27を介して表示選択部28が指定された情報を受け取る。指定領域は、空家率マップの表示方法を指定するために表示された領域であって、区分パターン切替領域41と、表示範囲切替領域42と、期間指定領域43と、対比選択領域44とを含む領域である。これらの領域は、空家率マップの表示方法を指定するための入力インタフェースとして機能する。表示選択部28は、指定された情報に基づいて、履歴情報抽出部22、エリア紐付け部24、およびエリア集計部25にその旨の情報を通知することによって、ステップS21からの処理を実行する。
【0080】
空家率マップの各指定領域において入力がされず(ステップS26:NO)、所定のプログラム終了条件を満たすと(ステップS27:YES)、処理を終了する。プログラム終了条件を満たさない場合は(ステップS27:NO)、再び空家率マップの各指定領域において入力がされるか否かの判定処理(ステップS26)に戻る。
【0081】
本実施形態の空家率マップ提供システムは、上述した処理を実行することにより、図5から図7に示すような空家率マップを提供することができる。
【0082】
このように、例えば図5から図7に示すようなエリアごとの空家率を地図上に表示させることにより、ユーザはエリア毎の空室率を視覚的に把握することができる。これにより、例えば、空家の比率が多いエリアを優先的に空家調査の実行をするなどして、効率的に空家を発見することができる。
【0083】
また、スマートメータで得られたデータを利用するだけであるので、短周期での定点調査も比較的に低予算で効率的に行うことができる。
【0084】
更に、エリアごとに空家率を不動産評価指標の1つに用いることも可能である。
【0085】
以上、本実施の形態に係る情報処理装置2によれば、建物の空室率を任意のエリアごとに集計して、地図上のエリアに対応させた地図領域を含む空家立マップとして表示することができる。これにより、上述したように、エリア毎の空室率を視覚的に把握することができ、不動産評価指標の1つに用いることもできるので、提供情報から個人情報を特定できない空家情報を効果的に提供することが可能となる。
【0086】
≪実施の形態の拡張≫
以上、本発明者らによってなされた発明を実施の形態に基づいて具体的に説明したが、本発明はそれに限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において種々変更可能であることは言うまでもない。
【0087】
例えば、上記実施の形態では、情報処理装置2が一台のコンピュータによって実現される場合を例示したが、これに限られず、情報処理装置2は、互いにネットワークで通信可能に構成された複数台のコンピュータによって実現されていてもよい。例えば、情報処理装置2によって実現される機能部のうち、スマートメータ1_1~1_nから電力消費量の測定結果を取得する電力消費情報取得部21をスマートメータ設置業者側のサーバによって実現し、その他の機能部を空室率マップ提供業者側のサーバによって実現してもよい。
【0088】
また、上記実施の形態では、ユーザ端末4の表示装置が表示データに基づいて表示する例を挙げて説明したが、これに限定されず、情報処理装置2自体に付属して設けられた表示装置に表示して、情報処理装置2自体に付属して設けられた入力装置により表示内容に対する入力をすることとしてもよい。
【0089】
以上の実施形態では、空家率マップ提供システム100においては、スマートメータ1_1~1_nで単位時間ごとの電力消費量を測定する場合を例に挙げて説明していたが、電力に限らず、ガス消費量など他の形態のエネルギーの消費量を測定するスマートメータでも同様に適用できる。
【0090】
以上の実施形態では、空家率マップ提供システム100においては、図8,9を用いて具体的な処理について例を挙げて説明した。しかしながら、本実施形態の空家率マップ提供システム100における処理の流れはこれに限定されない。エネルギーの消費量の測定結果を入力として、エリアごとの建物の空家率を表示した地図領域を含む空家率マップを出力する処理であれば、具体的な処理は限定されない。
【符号の説明】
【0091】
1…スマートメータ、2…情報処理装置、3…記憶装置、4…ユーザ端末、5…ネットワーク、6…ネットワーク、10…電力消費情報、21…電力消費情報取得部、22…履歴情報抽出部、23…空家種別判定部、24…エリア紐付け部、25…エリア集計部、26…表示データ生成部、27…入出力部、28…表示選択部、30…電力消費履歴情報、31…計器位置情報、32…地域情報、40…空家率マップ、41…表示切替領域、42…メッシュ選択領域、43…期間指定領域、44…対比選択領域
図1
図2
図3A
図3B
図3C
図4A
図4B
図4C
図5
図6
図7
図8
図9