(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-17
(45)【発行日】2024-10-25
(54)【発明の名称】基板処理装置および基板処理方法
(51)【国際特許分類】
H01L 21/677 20060101AFI20241018BHJP
H01L 21/304 20060101ALI20241018BHJP
【FI】
H01L21/68 A
H01L21/304 651B
H01L21/304 651L
H01L21/304 644C
H01L21/304 643A
H01L21/304 644B
H01L21/304 648A
(21)【出願番号】P 2020169411
(22)【出願日】2020-10-06
【審査請求日】2023-06-20
(73)【特許権者】
【識別番号】000207551
【氏名又は名称】株式会社SCREENホールディングス
(74)【代理人】
【識別番号】100108523
【氏名又は名称】中川 雅博
(74)【代理人】
【識別番号】100098305
【氏名又は名称】福島 祥人
(74)【代理人】
【識別番号】100125704
【氏名又は名称】坂根 剛
(74)【代理人】
【識別番号】100187931
【氏名又は名称】澤村 英幸
(72)【発明者】
【氏名】岡田 吉文
【審査官】湯川 洋介
(56)【参考文献】
【文献】特開2001-160584(JP,A)
【文献】特開2013-247197(JP,A)
【文献】特開2016-152274(JP,A)
【文献】特開平05-136247(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/677
H01L 21/304
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
処理前の基板が搬入される搬入位置と処理後の基板が搬出される搬出位置とを有し、前記処理前の基板を処理する処理ユニットと、
前記処理前
の基板および処理後の基板
のいずれをも保持可能に構成された搬送保持部を有する基板搬送部とを備え、
前記搬送保持部は、前記処理前の基板を保持して前記処理ユニットに進入して前記処理前の基板を前記搬入位置に渡した後、前記搬出位置から前記処理後の基板を受け取り、前記処理後の基板の受け取り後に前記処理ユニットから退出する、基板処理装置。
【請求項2】
前記搬入位置と前記搬出位置とは、上下方向に並ぶように配置される、請求項1記載の基板処理装置。
【請求項3】
前記処理ユニットは複数設けられ、
前記搬送保持部は、複数の処理ユニットにそれぞれ対応するように複数設けられ、
複数の基板搬送部の各々は、対応する処理ユニットに進入して前記処理前の基板を前記搬入位置に渡した後、前記搬出位置から前記処理後の基板を受け取り、前記処理後の基板の受け取り後に前記対応する処理ユニットから退出する、請求項1または2記載の基板処理装置。
【請求項4】
前記処理ユニットは、
前記搬入位置に搬入された基板を保持する第1の基板保持部と、
前記第1の基板保持部により保持された基板に処理を行う第1の処理部と、
前記搬出位置から搬入される基板を保持する第2の基板保持部と、
前記第1の処理部により処理された基板を前記第1の基板保持部から前記第2の基板保持部に渡す受渡部と、
前記第2の基板保持部により保持された基板に処理を行う第2の処理部とを含む、請求項1~3のいずれか一項に記載の基板処理装置。
【請求項5】
前記第1の処理部と前記第2の処理部とは、基板に互いに異なる処理を行う、請求項4記載の基板処理装置。
【請求項6】
前記第1の処理部は、基板の下面中央領域の洗浄処理を行い、
前記第2の処理部は、基板の前記下面中央領域を取り囲む下面外側領域の洗浄処理を行う、請求項5記載の基板処理装置。
【請求項7】
基板搬送部の搬送保持部を処理ユニットに進入させるステップと、
前記搬送保持部により保持された処理前の基板を前記処理ユニットの搬入位置に渡すステップと、
前記処理前の基板が前記搬入位置に渡された後、前記搬送保持部により前記処理ユニットの搬出位置から処理後の基板を受け取るステップと、
前記処理後の基板が前記搬出位置から受け取られた後、前記搬送保持部を前記処理ユニットから退出させるステップと、
前記処理ユニットにより前記処理前の基板に処理を行うステップとを含む、基板処理方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、基板に所定の処理を行う基板処理装置および基板処理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
液晶表示装置または有機EL(Electro Luminescence)表示装置等に用いられるFPD(Flat Panel Display)用基板、半導体基板、光ディスク用基板、磁気ディスク用基板、光磁気ディスク用基板、フォトマスク用基板、セラミック基板または太陽電池用基板等の各種基板に種々の処理を行うために、基板処理装置が用いられている。
【0003】
例えば、特許文献1には、複数の処理ユニットと、第1および第2のハンドを用いて複数の処理ユニット間で基板を搬送する搬送機構とを含む基板処理装置が記載されている。複数の処理ユニットは、基板に熱処理、冷却処理および塗布処理をそれぞれ行う熱処理ユニット、冷却ユニットおよび塗布処理ユニット等を含む。搬送機構は、第1のハンドにより基板を保持しかつ第2のハンドにより基板を保持しない状態で複数の処理ユニット間を移動する。また、搬送機構は、搬送先の処理ユニットから処理後の基板を第2のハンドにより搬出するとともに、第1のハンドにより保持された処理前の基板を当該処理ユニットに搬入する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に記載された基板処理装置においては、処理ユニットからの処理後の基板の搬出と、処理ユニットへの処理前の基板の搬入とが搬送機構の第1および第2のハンドにより連続的に行われる。そのため、スループットが向上すると考えられていた。しかしながら、搬送機構は、搬送先の処理ユニットから処理後の基板を搬出するために、いずれかのハンドに基板を保持しない状態で複数の処理ユニット間を移動する必要がある。この場合、ハンドの数よりも少ない枚数の基板しか一度に搬送できないため、スループットの向上には制限がある。
【0006】
本発明の目的は、スループットを向上させることが可能な基板処理装置および基板処理方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
(1)第1の発明に係る基板処理装置は、処理前の基板が搬入される搬入位置と処理後の基板が搬出される搬出位置とを有し、処理前の基板を処理する処理ユニットと、処理前の基板および処理後の基板のいずれをも保持可能に構成された搬送保持部を有する基板搬送部とを備え、搬送保持部は、処理前の基板を保持して処理ユニットに進入して処理前の基板を搬入位置に渡した後、搬出位置から処理後の基板を受け取り、処理後の基板の受け取り後に処理ユニットから退出する。
【0008】
この基板処理装置においては、基板搬送部の搬送保持部が処理ユニットに進入される。搬送保持部により保持された処理前の基板が処理ユニットの搬入位置に渡される。処理前の基板が搬入位置に渡された後、搬送保持部により処理ユニットの搬出位置から処理後の基板が受け取られる。処理後の基板が搬出位置から受け取られた後、搬送保持部が処理ユニットから退出される。処理ユニットにより処理前の基板に処理が行われる。
【0009】
この構成によれば、処理ユニットに処理後の基板が存在する場合でも、処理前の基板を処理ユニットに搬入することができる。そのため、処理ユニットに処理前の基板を渡した後に、当該搬送保持部により処理後の基板を受け取ることが可能となる。したがって、処理後の基板を受け取るために、基板を保持しない搬送保持部を設ける必要がない。これにより、搬送保持部の数当たりのスループットを向上させることができる。
【0010】
(2)搬入位置と搬出位置とは、上下方向に並ぶように配置されてもよい。この場合、処理ユニットの設置床面積(フットプリント)を低減することができる。
【0011】
(3)処理ユニットは複数設けられ、搬送保持部は、複数の処理ユニットにそれぞれ対応するように複数設けられ、複数の基板搬送部の各々は、対応する処理ユニットに進入して処理前の基板を搬入位置に渡した後、搬出位置から処理後の基板を受け取り、処理後の基板の受け取り後に対応する処理ユニットから退出してもよい。この場合、処理前の基板を渡すとともに、処理後の基板を受け取る動作を複数の処理ユニットに対して連続的に行うことが可能となる。これにより、スループットをより向上させることができる。
【0012】
(4)処理ユニットは、搬入位置に搬入された基板を保持する第1の基板保持部と、第1の基板保持部により保持された基板に処理を行う第1の処理部と、搬出位置から搬入される基板を保持する第2の基板保持部と、第1の処理部により処理された基板を第1の基板保持部から第2の基板保持部に渡す受渡部と、第2の基板保持部により保持された基板に処理を行う第2の処理部とを含んでもよい。この場合、搬入位置に搬入され、第1および第2の処理部により処理された基板を処理後の基板として搬出位置から搬出することができる。
【0013】
(5)第1の処理部と第2の処理部とは、基板に互いに異なる処理を行ってもよい。この場合、基板に異なる処理を効率よく行うことができる。
【0014】
(6)第1の処理部は、基板の下面中央領域の洗浄処理を行い、第2の処理部は、基板の下面中央領域を取り囲む下面外側領域の洗浄処理を行ってもよい。この場合、基板の下面全体の洗浄処理を効率よく行うことができる。
【0015】
(7)第2の発明に係る基板処理方法は、基板搬送部の搬送保持部を処理ユニットに進入させるステップと、搬送保持部により保持された処理前の基板を処理ユニットの搬入位置に渡すステップと、処理前の基板が搬入位置に渡された後、搬送保持部により処理ユニットの搬出位置から処理後の基板を受け取るステップと、処理後の基板が搬出位置から受け取られた後、搬送保持部を処理ユニットから退出させるステップと、処理ユニットにより処理前の基板に処理を行うステップとを含む。
【0016】
この基板処理方法によれば、処理ユニットに処理後の基板が存在する場合でも、処理前の基板を処理ユニットに搬入することができる。そのため、処理ユニットに処理前の基板を渡した後に、当該搬送保持部により処理後の基板を受け取ることが可能となる。したがって、処理後の基板を受け取るために、基板を保持しない搬送保持部を設ける必要がない。これにより、搬送保持部の数当たりのスループットを向上させることができる。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、スループットを向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】本発明の一実施の形態に係る基板処理装置の模式的平面図である。
【
図2】
図1のJ-J線における基板処理装置の模式的断面図である。
【
図4】
図3の基板洗浄装置の内部構成を示す外観斜視図である。
【
図5】基板処理装置の制御系統の構成を示すブロック図である。
【
図6】
図3の基板洗浄装置の動作の一例を説明するための模式図である。
【
図7】
図3の基板洗浄装置の動作の一例を説明するための模式図である。
【
図8】
図3の基板洗浄装置の動作の一例を説明するための模式図である。
【
図9】
図3の基板洗浄装置の動作の一例を説明するための模式図である。
【
図10】
図3の基板洗浄装置の動作の一例を説明するための模式図である。
【
図11】
図3の基板洗浄装置の動作の一例を説明するための模式図である。
【
図12】
図3の基板洗浄装置の動作の一例を説明するための模式図である。
【
図13】
図3の基板洗浄装置の動作の一例を説明するための模式図である。
【
図14】
図3の基板洗浄装置の動作の一例を説明するための模式図である。
【
図15】
図3の基板洗浄装置の動作の一例を説明するための模式図である。
【
図16】
図3の基板洗浄装置の動作の一例を説明するための模式図である。
【
図17】
図3の基板洗浄装置の動作の一例を説明するための模式図である。
【
図18】
図5の制御装置による基板処理を示すフローチャートである。
【
図19】
図5の制御装置による基板処理を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の実施の形態に係る基板処理装置および基板処理方法について図面を用いて説明する。以下の説明において、基板とは、半導体基板(ウエハ)、液晶表示装置もしくは有機EL(Electro Luminescence)表示装置等のFPD(Flat Panel Display)用基板、光ディスク用基板、磁気ディスク用基板、光磁気ディスク用基板、フォトマスク用基板、セラミック基板または太陽電池用基板等をいう。また、本実施の形態では、基板の上面が回路形成面(表面)であり、基板の下面が回路形成面と反対側の面(裏面)である。また、本実施の形態では、基板は、ノッチを除いて円形状を有する。
【0020】
(1)基板処理装置の構成
図1は、本発明の一実施の形態に係る基板処理装置の模式的平面図である。
図2は、
図1のJ-J線における基板処理装置100の模式的断面図である。
図1に示すように、本実施の形態に係る基板処理装置100は、インデクサブロック110および処理ブロック120を有する。インデクサブロック110および処理ブロック120は、互いに隣り合うように設けられている。
【0021】
インデクサブロック110は、複数(本例では4つ)のキャリア載置台140および搬送部150を含む。複数のキャリア載置台140は、搬送部150に接続され、間隔をおいて一列に並ぶように配置されている。各キャリア載置台140上には、複数枚の基板Wを収納するキャリアCが載置される。
【0022】
搬送部150には、インデクサロボット200および制御装置170が設けられている。インデクサロボット200は、複数(本例では4つ)のハンドIa,Ib,Ic,Id、ハンド支持部材210および搬送駆動部220を含む。
【0023】
複数のハンドIa~Idは、複数の基板Wをそれぞれ保持可能に構成され、上下方向に一定間隔で並ぶ状態でハンド支持部材210上に設けられている。ハンド支持部材210は、一方向に延びるように形成され、その一方向に複数のハンドIa~Idを進退可能に支持する。搬送駆動部220は、水平方向(複数のキャリア載置台140が並ぶ方向)に移動可能に構成され、鉛直軸の周りで回転かつ昇降可能にハンド支持部材210を支持する。さらに、搬送駆動部220は、複数のモータおよびエアシリンダ等を含み、複数のハンドIa~Idにより複数の基板Wを搬送するために、ハンド支持部材210を水平方向に移動させ、ハンド支持部材210を鉛直軸の周りで回転させ、昇降させる。また、搬送駆動部220は、複数のハンドIa~Idを水平方向に進退させる。制御装置170は、CPU(中央演算処理装置)、RAM(ランダムアクセスメモリ)およびROM(リードオンリメモリ)および記憶装置を含むコンピュータ等からなり、基板処理装置100内の各構成部を制御する。
【0024】
処理ブロック120は、洗浄部161,162および搬送部163を含む。洗浄部161、搬送部163および洗浄部162は、搬送部150に隣り合うとともにこの順で並ぶように配置されている。洗浄部161,162においては、複数(例えば4つ)の基板洗浄装置1が上下に積層配置されている。各基板洗浄装置1は、処理前の基板Wが搬入される搬入位置と、処理後の基板Wが搬出される搬出位置とを有する。基板洗浄装置1の構成および動作の詳細については後述する。
【0025】
搬送部163には、メインロボット300が設けられている。メインロボット300は、複数(本例では4つ)のハンドMa,Mb,Mc,Md、ハンド支持部材310および搬送駆動部320を含む。複数のハンドMa~Mdは、複数の基板Wをそれぞれ保持可能に構成され、上下方向に並ぶ状態でハンド支持部材310上に設けられている。
【0026】
ハンド支持部材310は、一方向に延びるように形成され、その一方向に複数のハンドMa~Mdをそれぞれ独立して進退可能に支持する。搬送駆動部320は、鉛直軸の周りで回転かつ昇降可能にハンド支持部材310を支持する。さらに、搬送駆動部320は、複数のモータおよびエアシリンダ等を含み、複数のハンドMa~Mdにより複数の基板Wを搬送するために、ハンド支持部材310を鉛直軸の周りで回転させ、昇降させる。また、搬送駆動部320は、複数のハンドMa~Mdを水平方向に進退させる。
【0027】
インデクサブロック110と処理ブロック120との間には、インデクサロボット200とメインロボット300との間で基板Wの受け渡しを行うための複数(本例では4つ)の基板載置部PASS1および複数の基板載置部PASS2が上下に積層配置されている。複数の基板載置部PASS1は複数(本例では4つ)の基板載置部PASS2よりも上方に位置する。
【0028】
複数の基板載置部PASS2は、インデクサロボット200からメインロボット300に基板Wを渡すために用いられる。複数の基板載置部PASS1は、メインロボット300からインデクサロボット200に基板Wを渡すために用いられる。複数の基板載置部PASS1間の間隔は、メインロボット300の複数のハンドMa~Mdの間の間隔と略等しくてもよい。同様に、複数の基板載置部PASS2間の間隔は、メインロボット300の複数のハンドMa~Mdの間の間隔と略等しくてもよい。
【0029】
インデクサロボット200は、複数のキャリア載置台140上に載置された複数のキャリアCのいずれかのキャリアCから処理前の基板Wを取り出す。また、インデクサロボット200は、取り出した処理前の基板Wを複数の基板載置部PASS2のいずれかに載置する。さらに、インデクサロボット200は、複数の基板載置部PASS1のいずれかに載置されている処理後の基板Wを受け取り、空のキャリアC内に収容する。
【0030】
メインロボット300は、複数の基板載置部PASS2に載置されている複数の処理前の基板Wを複数のハンドMa~Mdによりそれぞれ受け取る。このとき、メインロボット300は、複数のハンドMa~Mdにより複数の基板Wを順次受け取ってもよい。複数の基板載置部PASS2間の間隔が複数のハンドMa~Mdの間の間隔と略等しい場合には、メインロボット300は、複数のハンドMa~Mdにより複数の基板Wを同時に受け取ってもよい。
【0031】
次に、メインロボット300は、基板載置部PASS2から複数のハンドMa~Mdにより受け取った複数の処理前の基板Wを洗浄部161または洗浄部162の複数の基板洗浄装置1における搬入位置にそれぞれ渡す。続いて、メインロボット300は、複数の基板洗浄装置1における搬出位置に載置されている複数の処理後の基板Wを複数のハンドMa~Mdによりそれぞれ受け取る。
【0032】
その後、メインロボット300は、基板洗浄装置1から複数のハンドMa~Mdにより受け取られた複数の処理後の基板Wを複数の基板載置部PASS1にそれぞれ載置する。このとき、メインロボット300は、複数の処理後の基板Wを複数の基板載置部PASS1に順次載置してもよい。複数の基板載置部PASS1間の間隔が複数のハンドMa~Mdの間の間隔と略等しい場合には、メインロボット300は、複数のハンドMa~Mdにより複数の基板Wを複数の基板載置部PASS1に同時に載置してもよい。
【0033】
(2)基板洗浄装置の構成
図3は、
図1の基板洗浄装置1の模式的平面図である。
図4は、
図3の基板洗浄装置1の内部構成を示す外観斜視図である。基板洗浄装置1においては、位置関係を明確にするために互いに直交するX方向、Y方向およびZ方向を定義する。
図3および
図4以降の所定の図では、X方向、Y方向およびZ方向が適宜矢印で示される。X方向およびY方向は水平面内で互いに直交し、Z方向は鉛直方向に相当する。
【0034】
図3に示すように、基板洗浄装置1は、上側保持装置10A,10B、下側保持装置20、台座装置30、受渡装置40、下面洗浄装置50、カップ装置60、上面洗浄装置70、端部洗浄装置80および開閉装置90を備える。これらの構成要素は、ユニット筐体2内に設けられる。
図3では、ユニット筐体2が点線で示される。
【0035】
ユニット筐体2は、矩形の底面部2aと、底面部2aの4辺から上方に延びる4つの側壁部2b,2c,2d,2eとを有する。側壁部2b,2cが互いに対向し、側壁部2d,2eが互いに対向する。側壁部2bの中央部には、矩形の開口が形成されている。この開口は、基板Wの搬入搬出口2xであり、ユニット筐体2に対する基板Wの搬入時および搬出時に用いられる。
図4では、搬入搬出口2xが太い点線で示される。以下の説明においては、Y方向のうちユニット筐体2の内部から搬入搬出口2xを通してユニット筐体2の外方に向く方向(側壁部2cから側壁部2bを向く方向)を前方と呼び、その逆の方向(側壁部2bから側壁部2cを向く方向)を後方と呼ぶ。
【0036】
側壁部2bにおける搬入搬出口2xの形成部分およびその近傍の領域には、開閉装置90が設けられている。開閉装置90は、搬入搬出口2xを開閉可能に構成されたシャッタ91と、シャッタ91を駆動するシャッタ駆動部92とを含む。
図4では、シャッタ91が太い二点鎖線で示される。シャッタ駆動部92は、基板洗浄装置1に対する基板Wの搬入時および搬出時に搬入搬出口2xを開放するようにシャッタ91を駆動する。また、シャッタ駆動部92は、基板洗浄装置1における基板Wの洗浄処理時に搬入搬出口2xを閉塞するようにシャッタ91を駆動する。
【0037】
底面部2aの中央部には、台座装置30が設けられている。台座装置30は、リニアガイド31、可動台座32および台座駆動部33を含む。リニアガイド31は、2本のレールを含み、平面視で側壁部2bの近傍から側壁部2cの近傍までY方向に延びるように設けられている。可動台座32は、リニアガイド31の2本のレール上でY方向に移動可能に設けられている。台座駆動部33は、例えばパルスモータを含み、リニアガイド31上で可動台座32をY方向に移動させる。
【0038】
可動台座32上には、下側保持装置20および下面洗浄装置50がY方向に並ぶように設けられている。下側保持装置20は、吸着保持部21および吸着保持駆動部22を含む。吸着保持部21は、いわゆるスピンチャックであり、基板Wの下面を吸着保持可能な円形の吸着面を有し、上下方向に延びる軸(Z方向の軸)の周りで回転可能に構成される。
図3では、下側保持装置20により吸着保持された基板Wの外形が二点鎖線で示される。以下の説明では、吸着保持部21により基板Wが吸着保持される際に、基板Wの下面のうち吸着保持部21の吸着面が吸着すべき領域を下面中央領域と呼ぶ。一方、基板Wの下面のうち下面中央領域を取り囲む領域を下面外側領域と呼ぶ。
【0039】
吸着保持駆動部22は、モータを含む。吸着保持駆動部22のモータは、回転軸が上方に向かって突出するように可動台座32上に設けられている。吸着保持部21は、吸着保持駆動部22の回転軸の上端部に取り付けられる。また、吸着保持駆動部22の回転軸には、吸着保持部21において基板Wを吸着保持するための吸引経路が形成されている。その吸引経路は、図示しない吸気装置に接続されている。吸着保持駆動部22は、吸着保持部21を上記の回転軸の周りで回転させる。
【0040】
可動台座32上には、下側保持装置20の近傍にさらに受渡装置40が設けられている。受渡装置40は、複数(本例では3本)の支持ピン41、ピン連結部材42およびピン昇降駆動部43を含む。ピン連結部材42は、平面視で吸着保持部21を取り囲むように形成され、複数の支持ピン41を連結する。複数の支持ピン41は、ピン連結部材42により互いに連結された状態で、ピン連結部材42から一定長さ上方に延びる。ピン昇降駆動部43は、可動台座32上でピン連結部材42を昇降させる。これにより、複数の支持ピン41が吸着保持部21に対して相対的に昇降する。
【0041】
下面洗浄装置50は、下面ブラシ51、2つの液ノズル52、気体噴出部53、昇降支持部54、移動支持部55、下面ブラシ回転駆動部55a、下面ブラシ昇降駆動部55bおよび下面ブラシ移動駆動部55cを含む。移動支持部55は、可動台座32上の一定領域内で下側保持装置20に対してY方向に移動可能に設けられている。
図4に示すように、移動支持部55上に、昇降支持部54が昇降可能に設けられている。昇降支持部54は、吸着保持部21から遠ざかる方向(本例では後方)において斜め下方に傾斜する上面54uを有する。
【0042】
図3に示すように、下面ブラシ51は、例えばPVA(ポリビニールアルコール)スポンジまたは砥粒が分散されたPVAスポンジにより形成され、基板Wの下面に接触可能な円形の洗浄面を有する。また、下面ブラシ51は、洗浄面が上方を向くようにかつ洗浄面が当該洗浄面の中心を通って上下方向に延びる軸の周りで回転可能となるように、昇降支持部54の上面54uに取り付けられている。下面ブラシ51の洗浄面の面積は、吸着保持部21の吸着面の面積よりも大きい。
【0043】
2つの液ノズル52の各々は、下面ブラシ51の近傍に位置しかつ液体吐出口が上方を向くように、昇降支持部54の上面54u上に取り付けられている。液ノズル52には、下面洗浄液供給部56(
図5)が接続されている。下面洗浄液供給部56は、液ノズル52に洗浄液を供給する。液ノズル52は、下面ブラシ51による基板Wの洗浄時に、下面洗浄液供給部56から供給される洗浄液を基板Wの下面に供給する。本実施の形態では、液ノズル52に供給される洗浄液として純水(脱イオン水)が用いられる。なお、液ノズル52に供給される洗浄液としては、純水に代えて、炭酸水、オゾン水、水素水、電解イオン水、SC1(アンモニアと過酸化水素水との混合溶液)またはTMAH(水酸化テトラメチルアンモニウム)等を用いることもできる。
【0044】
気体噴出部53は、一方向に延びる気体噴出口を有するスリット状の気体噴射ノズルである。気体噴出部53は、平面視で下面ブラシ51と吸着保持部21との間に位置しかつ気体噴射口が上方を向くように、昇降支持部54の上面54uに取り付けられている。気体噴出部53には、噴出気体供給部57(
図5)が接続されている。噴出気体供給部57は、気体噴出部53に気体を供給する。本実施の形態では、気体噴出部53に供給される気体として窒素ガスが用いられる。気体噴出部53は、下面ブラシ51による基板Wの洗浄時および後述する基板Wの下面の乾燥時に、噴出気体供給部57から供給される気体を基板Wの下面に噴射する。この場合、下面ブラシ51と吸着保持部21との間に、X方向に延びる帯状の気体カーテンが形成される。気体噴出部53に供給される気体としては、窒素ガスに代えて、アルゴンガスまたはヘリウムガス等の不活性ガスを用いることもできる。
【0045】
下面ブラシ回転駆動部55aは、モータを含み、下面ブラシ51による基板Wの洗浄時に下面ブラシ51を回転させる。下面ブラシ昇降駆動部55bは、ステッピングモータまたはエアシリンダを含み、移動支持部55に対して昇降支持部54を昇降させる。下面ブラシ移動駆動部55cは、モータを含み、可動台座32上で移動支持部55をY方向に移動させる。ここで、可動台座32における下側保持装置20の位置は固定されている。そのため、下面ブラシ移動駆動部55cによる移動支持部55のY方向の移動時には、移動支持部55が下側保持装置20に対して相対的に移動する。以下の説明では、可動台座32上で下側保持装置20に最も近づくときの下面洗浄装置50の位置を接近位置と呼び、可動台座32上で下側保持装置20から最も離れたときの下面洗浄装置50の位置を離間位置と呼ぶ。
【0046】
底面部2aの中央部には、さらにカップ装置60が設けられている。カップ装置60は、処理カップ61およびカップ駆動部62を含む。処理カップ61は、平面視で下側保持装置20および台座装置30を取り囲むようにかつ昇降可能に設けられている。
図4においては、処理カップ61が点線で示される。カップ駆動部62は、下面ブラシ51が基板Wの下面におけるどの部分を洗浄するのかに応じて処理カップ61を下カップ位置と上カップ位置との間で移動させる。下カップ位置は処理カップ61の上端部が吸着保持部21により吸着保持される基板Wよりも下方に位置する高さ位置である。また、上カップ位置は処理カップ61の上端部が吸着保持部21よりも上方に位置する高さ位置である。
【0047】
処理カップ61よりも上方の高さ位置には、平面視で台座装置30を挟んで対向するように一対の上側保持装置10A,10Bが設けられている。上側保持装置10Aは、下チャック11A、上チャック12A、下チャック駆動部13Aおよび上チャック駆動部14Aを含む。上側保持装置10Bは、下チャック11B、上チャック12B、下チャック駆動部13Bおよび上チャック駆動部14Bを含む。
【0048】
下チャック11A,11Bは、平面視で吸着保持部21の中心を通ってY方向(前後方向)に延びる鉛直面に関して対称に配置され、共通の水平面内でX方向に移動可能に設けられている。下チャック11A,11Bの各々は、基板Wの下面周縁部を基板Wの下方から支持可能な2本の支持片を有する。下チャック駆動部13A,13Bは、下チャック11A,11Bが互いに近づくように、または下チャック11A,11Bが互いに遠ざかるように、下チャック11A,11Bを移動させる。
【0049】
上チャック12A,12Bは、下チャック11A,11Bと同様に、平面視で吸着保持部21の中心を通ってY方向(前後方向)に延びる鉛直面に関して対称に配置され、共通の水平面内でX方向に移動可能に設けられている。上チャック12A,12Bの各々は、基板Wの外周端部の2つの部分に当接して基板Wの外周端部を保持可能に構成された2本の保持片を有する。上チャック駆動部14A,14Bは、上チャック12A,12Bが互いに近づくように、または上チャック12A,12Bが互いに遠ざかるように、上チャック12A,12Bを移動させる。
【0050】
図3に示すように、処理カップ61の一側方においては、平面視で上側保持装置10Bの近傍に位置するように、上面洗浄装置70が設けられている。上面洗浄装置70は、回転支持軸71、アーム72、スプレーノズル73および上面洗浄駆動部74を含む。
【0051】
回転支持軸71は、底面部2a上で、上下方向に延びるようにかつ昇降可能かつ回転可能に上面洗浄駆動部74により支持される。アーム72は、
図4に示すように、上側保持装置10Bよりも上方の位置で、回転支持軸71の上端部から水平方向に延びるように設けられている。アーム72の先端部には、スプレーノズル73が取り付けられている。
【0052】
スプレーノズル73には、上面洗浄流体供給部75(
図5)が接続される。上面洗浄流体供給部75は、スプレーノズル73に洗浄液および気体を供給する。本実施の形態では、スプレーノズル73に供給される洗浄液として純水が用いられ、スプレーノズル73に供給される気体として窒素ガスが用いられる。スプレーノズル73は、基板Wの上面の洗浄時に、上面洗浄流体供給部75から供給される洗浄液と気体とを混合して混合流体を生成し、生成された混合流体を下方に噴射する。
【0053】
なお、スプレーノズル73に供給される洗浄液としては、純水に代えて、炭酸水、オゾン水、水素水、電解イオン水、SC1(アンモニアと過酸化水素水との混合溶液)またはTMAH(水酸化テトラメチルアンモニウム)等を用いることもできる。また、スプレーノズル73に供給される気体としては、窒素ガスに代えてアルゴンガスまたはヘリウムガス等の不活性ガスを用いることもできる。
【0054】
上面洗浄駆動部74は、1または複数のパルスモータおよびエアシリンダ等を含み、回転支持軸71を昇降させるとともに、回転支持軸71を回転させる。上記の構成によれば、吸着保持部21により吸着保持されて回転される基板Wの上面上で、スプレーノズル73を円弧状に移動させることにより、基板Wの上面全体を洗浄することができる。
【0055】
図3に示すように、処理カップ61の他側方においては、平面視で上側保持装置10Aの近傍に位置するように、端部洗浄装置80が設けられている。端部洗浄装置80は、回転支持軸81、アーム82、ベベルブラシ83およびベベルブラシ駆動部84を含む。
【0056】
回転支持軸81は、底面部2a上で、上下方向に延びるようにかつ昇降可能かつ回転可能にベベルブラシ駆動部84により支持される。アーム82は、
図4に示すように、上側保持装置10Aよりも上方の位置で、回転支持軸81の上端部から水平方向に延びるように設けられている。アーム82の先端部には、下方に向かって突出するようにかつ上下方向の軸の周りで回転可能となるようにベベルブラシ83が設けられている。
【0057】
ベベルブラシ83は、例えばPVAスポンジまたは砥粒が分散されたPVAスポンジにより形成され、上半部が逆円錐台形状を有するとともに下半部が円錐台形状を有する。このベベルブラシ83によれば、外周面の上下方向における中央部分で基板Wの外周端部を洗浄することができる。
【0058】
ベベルブラシ駆動部84は、1または複数のパルスモータおよびエアシリンダ等を含み、回転支持軸81を昇降させるとともに、回転支持軸81を回転させる。上記の構成によれば、吸着保持部21により吸着保持されて回転される基板Wの外周端部にベベルブラシ83の外周面の中央部分を接触させることにより、基板Wの外周端部全体を洗浄することができる。
【0059】
ここで、ベベルブラシ駆動部84は、さらにアーム82に内蔵されるモータを含む。そのモータは、アーム82の先端部に設けられるベベルブラシ83を上下方向の軸の周りで回転させる。したがって、基板Wの外周端部の洗浄時に、ベベルブラシ83が回転することにより、基板Wの外周端部におけるベベルブラシ83の洗浄力が向上する。
【0060】
(3)基板処理装置の制御系
図5は、基板処理装置100の制御系統の構成を示すブロック図である。上記のように、
図1の制御装置170は、CPU、RAM、ROMおよび記憶装置を含む。RAMは、CPUの作業領域として用いられる。ROMは、システムプログラムを記憶する。記憶装置は、基板処理プログラムを記憶する。
【0061】
図5に示すように、制御装置170は、機能部として、チャック制御部171、吸着制御部172、台座制御部173、受渡制御部174、下面洗浄制御部175、カップ制御部176、上面洗浄制御部177、ベベル洗浄制御部178、搬入搬出制御部179および搬送制御部180,181を含む。CPUが記憶装置に記憶された基板処理プログラムをRAM上で実行することにより制御装置170の機能部が実現される。制御装置170の機能部の一部または全部が電子回路等のハードウエアにより実現されてもよい。
【0062】
チャック制御部171、吸着制御部172、台座制御部173、受渡制御部174、下面洗浄制御部175、カップ制御部176、上面洗浄制御部177、ベベル洗浄制御部178および搬入搬出制御部179は、各基板洗浄装置1の動作を制御する。具体的には、チャック制御部171は、各基板洗浄装置1に搬入される基板Wを受け取り、吸着保持部21の上方の位置で保持するために、下チャック駆動部13A,13Bおよび上チャック駆動部14A,14Bを制御する。
【0063】
吸着制御部172は、吸着保持部21により基板Wを吸着保持するとともに吸着保持された基板Wを回転させるために、吸着保持駆動部22を制御する。台座制御部173は、上側保持装置10A,10Bにより保持される基板Wに対して可動台座32を移動させるために、台座駆動部33を制御する。受渡制御部174は、上側保持装置10A,10Bにより保持される基板Wの高さ位置と、吸着保持部21により保持される基板Wの高さ位置との間で基板Wを移動させるために、ピン昇降駆動部43を制御する。
【0064】
下面洗浄制御部175は、基板Wの下面を洗浄するために、下面ブラシ回転駆動部55a、下面ブラシ昇降駆動部55b、下面ブラシ移動駆動部55c、下面洗浄液供給部56および噴出気体供給部57を制御する。カップ制御部176は、吸着保持部21により吸着保持された基板Wの洗浄時に基板Wから飛散する洗浄液を処理カップ61で受け止めるために、カップ駆動部62を制御する。
【0065】
上面洗浄制御部177は、吸着保持部21により吸着保持された基板Wの上面を洗浄するために、上面洗浄駆動部74および上面洗浄流体供給部75を制御する。ベベル洗浄制御部178は、吸着保持部21により吸着保持された基板Wの外周端部を洗浄するために、ベベルブラシ駆動部84を制御する。搬入搬出制御部179は、各基板洗浄装置1における基板Wの搬入時および搬出時にユニット筐体2の搬入搬出口2xを開閉するために、シャッタ駆動部92を制御する。
【0066】
搬送制御部180は、複数のキャリアCと複数の基板載置部PASS1,PASS2との間で基板Wを搬送するため、搬送駆動部220を制御する。搬送制御部181は、複数の基板載置部PASS1,PASS2と複数の基板洗浄装置1との間で基板Wを搬送するために、搬送駆動部320を制御する。
【0067】
なお、
図5の例では、制御装置170は、インデクサロボット200およびメインロボット300の動作に加えて、複数の基板洗浄装置1の動作を制御するが、実施の形態はこれに限定されない。各基板洗浄装置1は、当該基板洗浄装置1の動作を制御するための制御装置を有してもよい。この場合、制御装置170はチャック制御部171、吸着制御部172、台座制御部173、受渡制御部174、下面洗浄制御部175、カップ制御部176、上面洗浄制御部177、ベベル洗浄制御部178および搬入搬出制御部179を含まなくてもよい。
【0068】
(4)基板洗浄装置の動作
複数の基板洗浄装置1において、
図1のメインロボット300のハンドMa~Mdによりそれぞれ搬送された複数の基板Wについて洗浄処理が順次行われる。以下、ハンドMaにより搬送された基板Wについての基板洗浄装置1の動作を説明するが、ハンドMb~Mdにより搬送された基板Wについての基板洗浄装置1の動作もハンドMaにより搬送された基板Wについての基板洗浄装置1の動作と同様である。
【0069】
図6~
図17は、
図3の基板洗浄装置1の動作の一例を説明するための模式図である。
図6~
図17の各々においては、上段に基板洗浄装置1の平面図が示される。また、中段にY方向に沿って見た下側保持装置20およびその周辺部の側面図が示され、下段にX方向に沿って見た下側保持装置20およびその周辺部の側面図が示される。中段の側面図は
図3のA-A線側面図に対応し、下段の側面図は
図3のB-B線側面図に対応する。なお、基板洗浄装置1における各構成要素の形状および動作状態の理解を容易にするために、上段の平面図と中段および下段の側面図との間では、一部の構成要素の拡縮率が異なる。また、
図6~
図17では、処理カップ61が二点鎖線で示されるとともに、基板Wの外形が太い一点鎖線で示される。
【0070】
基板洗浄装置1に基板Wが搬入される前の初期状態においては、開閉装置90のシャッタ91が搬入搬出口2xを閉塞している。また、
図3に示されるように、下チャック11A,11Bは、下チャック11A,11B間の距離が基板Wの直径よりも十分に大きくなる状態で維持されている。また、上チャック12A,12Bも、上チャック12A,12B間の距離が基板Wの直径よりも十分に大きくなる状態で維持されている。また、台座装置30の可動台座32は、平面視で吸着保持部21の中心が処理カップ61の中心に位置するように配置されている。また、可動台座32上で下面洗浄装置50は、接近位置に配置されている。また、下面洗浄装置50の昇降支持部54は、下面ブラシ51の洗浄面(上端部)が吸着保持部21よりも下方に位置する状態にある。また、受渡装置40は、複数の支持ピン41が吸着保持部21よりも下方に位置する状態にある。さらに、カップ装置60においては、処理カップ61は下カップ位置にある。以下の説明では、平面視における処理カップ61の中心位置を平面基準位置rpと呼ぶ。また、平面視で吸着保持部21の中心が平面基準位置rpにあるときの底面部2a上の可動台座32の位置を第1の水平位置と呼ぶ。
【0071】
基板洗浄装置1のユニット筐体2内に処理前の基板Wが搬入される。具体的には、基板Wの搬入の直前にシャッタ91が搬入搬出口2xを開放する。その後、
図6に太い実線の矢印a1で示すように、
図1のメインロボット300のハンドMaが搬入搬出口2xを通してユニット筐体2に進入し、ユニット筐体2内の略中央の位置に基板Wを渡す。このとき、ハンドMaにより保持される基板Wは、
図6に示すように、下チャック11Aおよび上チャック12Aと下チャック11Bおよび上チャック12Bとの間に位置する。
【0072】
次に、
図7に太い実線の矢印a2で示すように、下チャック11A,11Bの複数の支持片が基板Wの下面周縁部の下方に位置するように、下チャック11A,11Bが互いに近づく。この状態で、ハンドMaが下降する。それにより、ハンドMaに保持された基板Wの下面周縁部の複数の部分が、下チャック11A,11Bの複数の支持片により支持される。このときの基板Wの位置が搬入位置である。この時点において、搬出位置には、ユニット筐体2に前回搬入されかつ処理が終了した基板Wが存在する。そこで、ハンドMaは、上記のように搬入位置で下チャック11A,11Bに基板Wを渡した後、搬出位置の処理後の基板Wを受け取り、ユニット筐体2から退出する。ハンドMaの退出後、シャッタ91は搬入搬出口2xを閉塞する。
【0073】
次に、
図8に太い実線の矢印a3で示すように、上チャック12A,12Bの複数の保持片が基板Wの外周端部に当接するように、上チャック12A,12Bが互いに近づく。上チャック12A,12Bの複数の保持片が基板Wの外周端部の複数の部分に当接することにより、下チャック11A,11Bにより支持された基板Wが上チャック12A,12Bによりさらに保持される。このようにして、上側保持装置10A,10Bにより保持される基板Wの中心は、平面視で平面基準位置rpに重なるかほぼ重なる。また、
図8に太い実線の矢印a4で示すように、吸着保持部21が平面基準位置rpから所定距離ずれるとともに下面ブラシ51の中心が平面基準位置rpに位置するように、可動台座32が第1の水平位置から前方に移動する。このとき、底面部2a上に位置する可動台座32の位置を第2の水平位置と呼ぶ。
【0074】
次に、
図9に太い実線の矢印a5で示すように、下面ブラシ51の洗浄面が基板Wの下面中央領域に接触するように、昇降支持部54が上昇する。また、
図9に太い実線の矢印a6で示すように、下面ブラシ51が上下方向の軸の周りで回転(自転)する。それにより、基板Wの下面中央領域に付着する汚染物質が下面ブラシ51により物理的に剥離される。
【0075】
図9の下段には、下面ブラシ51が基板Wの下面に接触する部分の拡大側面図が吹き出し内に示される。その吹き出し内に示されるように、下面ブラシ51が基板Wに接触する状態で、液ノズル52および気体噴出部53は、基板Wの下面に近接する位置に保持される。このとき、液ノズル52は、白抜きの矢印a51で示すように、下面ブラシ51の近傍の位置で基板Wの下面に向かって洗浄液を吐出する。これにより、液ノズル52から基板Wの下面に供給された洗浄液が下面ブラシ51と基板Wとの接触部に導かれることにより、下面ブラシ51により基板Wの裏面から除去された汚染物質が洗浄液により洗い流される。このように、下面洗浄装置50においては、液ノズル52が下面ブラシ51とともに昇降支持部54に取り付けられている。それにより、下面ブラシ51による基板Wの下面の洗浄部分に効率よく洗浄液を供給することができる。したがって、洗浄液の消費量が低減されるとともに洗浄液の過剰な飛散が抑制される。
【0076】
なお、基板Wの下面を洗浄する際の下面ブラシ51の回転速度は、液ノズル52から基板Wの下面に供給される洗浄液が下面ブラシ51の側方に飛散しない程度の速度に維持される。
【0077】
ここで、昇降支持部54の上面54uは、吸着保持部21から遠ざかる方向において斜め下方に傾斜している。この場合、基板Wの下面から汚染物質を含む洗浄液が昇降支持部54上に落下する場合に、上面54uによって受け止められた洗浄液が吸着保持部21から遠ざかる方向に導かれる。
【0078】
また、下面ブラシ51による基板Wの下面の洗浄時には、気体噴出部53が、
図9の吹き出し内に白抜きの矢印a52で示すように、下面ブラシ51と吸着保持部21との間の位置で基板Wの下面に向かって気体を噴射する。本実施の形態においては、気体噴出部53は、気体噴射口がX方向に延びるように昇降支持部54上に取り付けられている。この場合、気体噴出部53から基板Wの下面に気体が噴射される際には、下面ブラシ51と吸着保持部21との間でX方向に延びる帯状の気体カーテンが形成される。それにより、下面ブラシ51による基板Wの下面の洗浄時に、汚染物質を含む洗浄液が吸着保持部21に向かって飛散することが防止される。したがって、下面ブラシ51による基板Wの下面の洗浄時に、汚染物質を含む洗浄液が吸着保持部21に付着することが防止され、吸着保持部21の吸着面が清浄に保たれる。
【0079】
なお、
図9の例においては、気体噴出部53は、白抜きの矢印a52で示すように、気体噴出部53から下面ブラシ51に向かって斜め上方に気体を噴射するが、実施の形態はこれに限定されない。気体噴出部53は、気体噴出部53から基板Wの下面に向かってZ方向に沿うように気体を噴射してもよい。
【0080】
次に、
図9の状態で、基板Wの下面中央領域の洗浄が完了すると、下面ブラシ51の回転が停止され、下面ブラシ51の洗浄面が基板Wから所定距離離間するように、昇降支持部54が下降する。また、液ノズル52から基板Wへの洗浄液の吐出が停止される。このとき、気体噴出部53から基板Wへの気体の噴射は継続される。
【0081】
その後、
図10に太い実線の矢印a7で示すように、吸着保持部21が平面基準位置rpに位置するように、可動台座32が後方に移動する。すなわち、可動台座32は、第2の水平位置から第1の水平位置に移動する。このとき、気体噴出部53から基板Wへの気体の噴射が継続されることにより、基板Wの下面中央領域が気体カーテンにより順次乾燥される。
【0082】
次に、
図11に太い実線の矢印a8で示すように、下面ブラシ51の洗浄面が吸着保持部21の吸着面(上端部)よりも下方に位置するように、昇降支持部54が下降する。また、
図11に太い実線の矢印a9で示すように、上チャック12A,12Bの複数の保持片が基板Wの外周端部から離間するように、上チャック12A,12Bが互いに遠ざかる。このとき、基板Wは、下チャック11A,11Bにより支持された状態となる。
【0083】
その後、
図11に太い実線の矢印a10で示すように、複数の支持ピン41の上端部が下チャック11A,11Bよりもわずかに上方に位置するように、ピン連結部材42が上昇する。それにより、下チャック11A,11Bにより支持された基板Wが、複数の支持ピン41により受け取られる。
【0084】
次に、
図12に太い実線の矢印a11で示すように、下チャック11A,11Bが互いに遠ざかる。このとき、下チャック11A,11Bは、平面視で複数の支持ピン41により支持される基板Wに重ならない位置まで移動する。それにより、上側保持装置10A,10Bは、ともに初期状態に戻る。
【0085】
次に、
図13に太い実線の矢印a12で示すように、複数の支持ピン41の上端部が吸着保持部21よりも下方に位置するように、ピン連結部材42が下降する。それにより、複数の支持ピン41上に支持された基板Wが、吸着保持部21により受け取られる。この状態で、吸着保持部21は、基板Wの下面中央領域を吸着保持する。このようにして、下側保持装置20により吸着保持される基板Wの中心は、平面視で平面基準位置rpに重なるかほぼ重なる。このときの基板Wの位置が搬出位置である。したがって、本例では、搬出位置は、搬入位置の下方にある。ピン連結部材42の下降と同時かまたはピン連結部材42の下降完了後、
図13に太い実線の矢印a13で示すように、処理カップ61が下カップ位置から上カップ位置まで上昇する。それにより、搬出位置にある基板Wは、処理カップ61の上端部よりも下方に位置する。
【0086】
次に、
図14に太い実線の矢印a14で示すように、吸着保持部21が上下方向の軸(吸着保持駆動部22の回転軸の軸心)の周りで回転する。それにより、吸着保持部21に吸着保持された基板Wが水平姿勢で回転する。
【0087】
次に、上面洗浄装置70の回転支持軸71が回転し、下降する。それにより、
図14に太い実線の矢印a15で示すように、スプレーノズル73が基板Wの上方の位置まで移動し、スプレーノズル73と基板Wとの間の距離が予め定められた距離となるように下降する。この状態で、スプレーノズル73は、基板Wの上面に洗浄液と気体との混合流体を噴射する。また、回転支持軸71が回転する。それにより、
図14に太い実線の矢印a16で示すように、スプレーノズル73が回転する基板Wの上方の位置で移動する。基板Wの上面全体に混合流体が噴射されることにより、基板Wの上面全体が洗浄される。
【0088】
また、スプレーノズル73による基板Wの上面の洗浄時には、端部洗浄装置80の回転支持軸81も回転し、下降する。それにより、
図14に太い実線の矢印a17で示すように、ベベルブラシ83が基板Wの外周端部の上方の位置まで移動する。また、ベベルブラシ83の外周面の中央部分が基板Wの外周端部に接触するように下降する。この状態で、ベベルブラシ83が上下方向の軸の周りで回転(自転)する。それにより、基板Wの外周端部に付着する汚染物質がベベルブラシ83により物理的に剥離される。基板Wの外周端部から剥離された汚染物質は、スプレーノズル73から基板Wに噴射される混合流体の洗浄液により洗い流される。
【0089】
さらに、スプレーノズル73による基板Wの上面の洗浄時には、下面ブラシ51の洗浄面が基板Wの下面外側領域に接触するように、昇降支持部54が上昇する。また、
図14に太い実線の矢印a18で示すように、下面ブラシ51が上下方向の軸の周りで回転(自転)する。さらに、液ノズル52は基板Wの下面に向かって洗浄液を吐出し、気体噴出部53は基板Wの下面に向かって気体を噴射する。この状態で、さらに
図14に太い実線の矢印a19で示すように、移動支持部55が可動台座32上で接近位置と離間位置との間を進退動作する。このように、移動支持部55により下面ブラシ51が基板Wの下面に接触する状態で水平方向に移動することにより、基板Wの下面における下面ブラシ51による洗浄可能な範囲が拡大される。それにより、吸着保持部21により吸着保持されて回転される基板Wの下面外側領域が全体に渡って下面ブラシ51により洗浄される。
【0090】
次に、基板Wの上面、外周端部および下面外側領域の洗浄が完了すると、スプレーノズル73から基板Wへの混合流体の噴射が停止される。また、
図15に太い実線の矢印a20で示すように、スプレーノズル73が処理カップ61の一側方の位置(初期状態の位置)まで移動する。また、
図15に太い実線の矢印a21で示すように、ベベルブラシ83が処理カップ61の他側方の位置(初期状態の位置)まで移動する。さらに、下面ブラシ51の回転が停止され、下面ブラシ51の洗浄面が基板Wから所定距離離間するように、昇降支持部54が下降する。また、液ノズル52から基板Wへの洗浄液の吐出、および気体噴出部53から基板Wへの気体の噴射が停止される。この状態で、吸着保持部21が高速で回転することにより、基板Wに付着する洗浄液が振り切られ、基板Wの全体が乾燥する。
【0091】
次に、
図16に太い実線の矢印a22で示すように、処理カップ61が上カップ位置から下カップ位置まで下降する。それにより、搬出位置にある基板Wは、処理カップ61の上端部よりも上方に位置する。また、新たな基板Wがユニット筐体2内に搬入されることに備えて、
図16に太い実線の矢印a23で示すように、新たな基板Wを支持可能な位置まで下チャック11A,11Bが互いに近づく。
【0092】
最後に、基板洗浄装置1のユニット筐体2内から基板Wが搬出される。具体的には、基板Wの搬出の直前にシャッタ91が搬入搬出口2xを開放する。この時点において、搬入位置には基板Wが存在しない。そこで、
図1のメインロボット300のハンドMaは、次の処理前の基板Wを保持した状態で、搬入搬出口2xを通してユニット筐体2内に進入し、処理前の基板Wを搬入位置に渡す。その後、
図17に太い実線の矢印a24で示すように、ハンドMaは、搬出位置の処理後の基板Wを受け取り、ユニット筐体2から退出する。ハンドMaの退出後、シャッタ91は搬入搬出口2xを閉塞する。
【0093】
(5)基板処理
図18および
図19は、
図5の制御装置170による基板処理を示すフローチャートである。
図18および
図19の基板処理は、制御装置170のCPUが記憶装置に記憶された基板処理プログラムをRAM上で実行することにより行われる。以下、
図18および
図19のフローチャートを用いて基板処理を説明する。
【0094】
なお、
図18および
図19のフローチャートでは、主としてメインロボット300のハンドMaの動作が記載されるが、ハンドMb~Mdの動作もハンドMaの動作と同様である。また、
図18および
図19のフローチャートでは、インデクサロボット200の動作の説明については省略する。
【0095】
まず、メインロボット300は、処理前の基板Wを各ハンドMa~Mdにより基板載置部PASS2から搬出する(ステップS1)。次に、メインロボット300は、ハンドMaを対応する基板洗浄装置1のユニット筐体2に進入させる(ステップS2)。
【0096】
続いて、メインロボット300は、ステップS1で基板載置部PASS2から搬出された処理前の基板WをハンドMaにより搬入位置に渡す(ステップS3)。このとき、搬出位置には基板Wが存在しない。そのため、メインロボット300は、ハンドMaを対応する基板洗浄装置1のユニット筐体2から退出させる(ステップS4)。また、メインロボット300は、ハンドMb~Mcを用いて、対応する基板洗浄装置1に対してステップS2~S4と同様の処理を順次実行する。
【0097】
次に、各基板洗浄装置1は、
図6~
図17の洗浄処理を実行する(ステップS5)。また、メインロボット300は、処理前の基板Wを各ハンドMa~Mdにより基板載置部PASS2から搬出する(ステップS6)。ステップS5とステップS6とは、並列的に実行されてもよい。
【0098】
洗浄処理の終了後、メインロボット300は、ハンドMaを対応する基板洗浄装置1のユニット筐体2に進入させる(ステップS7)。その後、メインロボット300は、ステップS6で基板載置部PASS2から搬出された処理前の基板WをハンドMaにより搬入位置に渡す(ステップS8)。このとき、搬出位置には、ステップS5または後述するステップS11で洗浄処理された基板Wが存在する。
【0099】
そこで、メインロボット300は、処理後の基板WをハンドMaにより搬出位置から受け取る(ステップS9)。その後、メインロボット300は、ハンドMaを対応する基板洗浄装置1のユニット筐体2から退出させる(ステップS10)。また、メインロボット300は、ハンドMb~Mcを用いて、対応する基板洗浄装置1に対してステップS7~S10と同様の処理を順次実行する。
【0100】
次に、各基板洗浄装置1は、
図6~
図17の洗浄処理を実行する(ステップS11)。また、メインロボット300は、ステップS9で搬出位置から受け取られた処理後の各基板WをハンドMa~Mdにより基板載置部PASS1に搬入する(ステップS12)。ステップS11とステップS12とは、並列的に実行されてもよい。
【0101】
続いて、制御装置170は、基板処理を終了するか否かを判定する(ステップS13)。制御装置170は、使用者により終了指令が与えられた場合に、基板処理を終了すると判定してもよい。あるいは、制御装置170は、所定枚数の基板Wの洗浄処理を実行した場合に、基板処理を終了すると判定してもよい。基板処理を終了すると判定された場合、制御装置170は、ステップS6に戻る。この場合、基板処理を終了すると判定されるまで、ステップS6~S13が繰り返される。
【0102】
基板処理を終了すると判定された場合、メインロボット300は、ハンドMaを対応する基板洗浄装置1のユニット筐体2に進入させる(ステップS14)。このとき、搬出位置には、ステップS11で洗浄処理された基板Wが存在する。そこで、メインロボット300は、処理後の基板WをハンドMaにより搬出位置から受け取る(ステップS15)。その後、メインロボット300は、ハンドMaを対応する基板洗浄装置1のユニット筐体2から退出させる(ステップS16)。また、メインロボット300は、ハンドMb~Mcを用いて、対応する基板洗浄装置1に対してステップS14~S16と同様の処理を順次実行する。
【0103】
最後に、メインロボット300は、ステップS15で搬出位置から受け取られた処理後の各基板WをハンドMa~Mdにより基板載置部PASS1に搬入する(ステップS17)。これにより、基板処理が終了する。
【0104】
(6)効果
本実施の形態に係る基板処理装置100においては、メインロボット300のハンドMa~Mdが対応する基板洗浄装置1に進入される。各ハンドMa~Mdにより保持された処理前の基板Wが対応する基板洗浄装置1の搬入位置に渡される。処理前の基板Wが搬入位置に渡された後、各ハンドMa~Mdにより対応する基板洗浄装置1の搬出位置から処理後の基板Wが受け取られる。処理後の基板Wが搬出位置から受け取られた後、各ハンドMa~Mdが対応する基板洗浄装置1から退出される。各基板洗浄装置1により処理前の基板Wに処理が行われる。
【0105】
この構成によれば、各基板洗浄装置1に処理後の基板Wが存在する場合でも、処理前の基板Wを基板洗浄装置1に搬入することができる。そのため、ハンドMa~Mdにより対応する基板洗浄装置1に処理前の基板Wを渡した後に、同一のハンドMa~Mdにより処理後の基板Wを受け取ることが可能となる。したがって、処理後の基板Wを受け取るために、基板Wを保持しないハンドを設ける必要がない。また、複数のハンドMa~Mdにより、処理前の基板Wを渡すとともに、処理後の基板Wを受け取る動作を複数の基板洗浄装置1に対して連続的に行うことが可能となる。これにより、スループットをより向上させることができる。
【0106】
また、各基板洗浄装置1において、搬入位置に搬入された基板Wが上側保持装置10A,10Bにより保持された状態で、下面洗浄装置50により下面中央領域の洗浄処理が行われる。次に、受渡装置40により基板Wは下側保持装置20により渡される。続いて、基板Wが下側保持装置20により保持された状態で、下面洗浄装置50により下面外側領域の洗浄処理が行われる。これにより、基板Wの下面全体を効率よく洗浄しつつ、洗浄後の基板Wを搬出位置から搬出することができる。搬入位置と搬出位置とは、上下方向に並ぶように配置されるので、基板洗浄装置1の設置床面積(フットプリント)を低減することができる。
【0107】
また、上記のように、1つの基板洗浄装置1に対して1つのハンドにより基板の渡しおよび受け取りが行われるので、ハンドの不良により基板Wの割れ等の搬送不良が発生した場合に、問題が発生しているハンドを容易に特定することができる。さらに、スループットが向上されるので、メインロボット300の搬送速度を大きくする必要がない。これにより、搬送の安定性を向上させることができる。
【0108】
(7)他の実施の形態
(a)上記実施の形態において、搬出位置は搬入位置の下方に設けられるが、実施の形態はこれに限定されない。搬出位置は、搬入位置の上方に設けられてもよい。例えば、下側保持装置20の吸着保持部21の中心に搬入位置が設けられ、上側保持装置10A,10B間に搬出位置が設けられてもよい。
【0109】
この構成においては、基板Wは搬入位置に渡され、最初に下側保持装置20により吸着保持された状態で、その下面中央領域、外周端部および上面が洗浄される。その後、下側保持装置20により保持された基板Wが上側保持装置10A,10Bにより受け取られ、搬出位置で保持される。この状態で、基板Wの下面中央領域が洗浄される。洗浄後の基板Wは、上側保持装置10A,10Bからユニット筐体2の外部に搬出される。
【0110】
あるいは、搬入位置と搬出位置とは上下方向に並ぶように配置されなくてもよい。搬入位置と搬出位置とは、例えば水平方向に並ぶように配置されてもよい。
【0111】
(b)上記実施の形態において、受渡装置40が受渡部であり、上側保持装置10A,10Bと下側保持装置20との間で基板Wを受け渡すが、実施の形態はこれに限定されない。上側保持装置10A,10Bおよび下側保持装置20のうち少なくとも一方が昇降可能に構成される場合には、受渡装置40は設けられなくてもよい。この場合、上側保持装置10A,10Bおよび下側保持装置20のうち少なくとも一方が受渡部であり、当該受渡部が昇降することにより、上側保持装置10A,10Bと下側保持装置20との間で基板Wが受け渡される。
【0112】
(c)上記実施の形態において、メインロボット300は4つのハンドMa~Mdを有するが、実施の形態はこれに限定されない。メインロボット300は、2つ、3つまたは5つ以上のハンドを有してもよい。また、基板処理装置100には、メインロボット300のハンドに対応するように基板洗浄装置1が設けられることが好ましい。あるいは、メインロボット300は、1つのハンドを有してもよい。この場合でも、ハンドの数当たりのスループットを向上させることができる。
【0113】
(d)上記実施の形態において、処理ユニットとして洗浄処理を行う基板洗浄装置1が設けられるが、実施の形態はこれに限定されない。処理ユニットとして熱処理を行う熱処理装置、現像処理を行う現像装置または塗布処理を行う塗布装置等が設けられてもよい。また、熱処理装置は、基板に互いに異なる処理として、加熱処理と冷却処理とを実行可能に構成されてもよい。現像装置は、基板に互いに異なる処理として、ポジティブ現像とネガティブ現像とを実行可能に構成されてもよい。
【0114】
(e)上記実施の形態において、上側保持装置10A,10Bにより保持された基板Wと、下側保持装置20により保持された基板Wとに互いに異なる処理が行われるが、実施の形態はこれに限定されない。上側保持装置10A,10Bにより保持された基板Wと、下側保持装置20により保持された基板Wとに同じ処理が行われてもよい。あるいは、上側保持装置10A,10Bにより保持された基板W、または下側保持装置20により保持された基板Wには処理が行われなくてもよい。
【0115】
(f)上記実施の形態において、基板処理装置100は基板洗浄装置1およびメインロボット300等を制御する制御装置170を含むが、実施の形態はこれに限定されない。基板洗浄装置1およびメインロボット300が基板処理装置100の外部の情報処理装置により制御可能に構成されている場合には、基板処理装置100は制御装置170を含まなくてもよい。
【0116】
(8)請求項の各構成要素と実施の形態の各部との対応関係
以下、請求項の各構成要素と実施の形態の各要素との対応の例について説明するが、本発明は下記の例に限定されない。請求項の各構成要素として、請求項に記載されている構成または機能を有する他の種々の要素を用いることもできる。
【0117】
上記実施の形態においては、基板Wが基板の例であり、基板洗浄装置1が処理ユニットの例であり、ハンドMa~Mdが搬送保持部の例であり、メインロボット300が基板搬送部の例であり、基板処理装置100が基板処理装置の例である。上側保持装置10A,10Bが第1の基板保持部の例であり、下面洗浄装置50が第1および第2の処理部の例であり、下側保持装置20が第2の基板保持部の例であり、受渡装置40が受渡部の例である。
(9)参考形態
(9-1)第1の参考形態に係る基板処理装置は、処理前の基板が搬入される搬入位置と処理後の基板が搬出される搬出位置とを有し、処理前の基板を処理する処理ユニットと、処理前および処理後の基板を選択的に保持可能に構成された搬送保持部を有する基板搬送部とを備え、搬送保持部は、処理前の基板を保持して処理ユニットに進入して処理前の基板を搬入位置に渡した後、搬出位置から処理後の基板を受け取り、処理後の基板の受け取り後に処理ユニットから退出する。
この基板処理装置においては、基板搬送部の搬送保持部が処理ユニットに進入される。搬送保持部により保持された処理前の基板が処理ユニットの搬入位置に渡される。処理前の基板が搬入位置に渡された後、搬送保持部により処理ユニットの搬出位置から処理後の基板が受け取られる。処理後の基板が搬出位置から受け取られた後、搬送保持部が処理ユニットから退出される。処理ユニットにより処理前の基板に処理が行われる。
この構成によれば、処理ユニットに処理後の基板が存在する場合でも、処理前の基板を処理ユニットに搬入することができる。そのため、処理ユニットに処理前の基板を渡した後に、当該搬送保持部により処理後の基板を受け取ることが可能となる。したがって、処理後の基板を受け取るために、基板を保持しない搬送保持部を設ける必要がない。これにより、搬送保持部の数当たりのスループットを向上させることができる。
(9-2)搬入位置と搬出位置とは、上下方向に並ぶように配置されてもよい。この場合、処理ユニットの設置床面積(フットプリント)を低減することができる。
(9-3)処理ユニットは複数設けられ、搬送保持部は、複数の処理ユニットにそれぞれ対応するように複数設けられ、複数の基板搬送部の各々は、対応する処理ユニットに進入して処理前の基板を搬入位置に渡した後、搬出位置から処理後の基板を受け取り、処理後の基板の受け取り後に対応する処理ユニットから退出してもよい。この場合、処理前の基板を渡すとともに、処理後の基板を受け取る動作を複数の処理ユニットに対して連続的に行うことが可能となる。これにより、スループットをより向上させることができる。
(9-4)処理ユニットは、搬入位置に搬入された基板を保持する第1の基板保持部と、第1の基板保持部により保持された基板に処理を行う第1の処理部と、搬出位置から搬入される基板を保持する第2の基板保持部と、第1の処理部により処理された基板を第1の基板保持部から第2の基板保持部に渡す受渡部と、第2の基板保持部により保持された基板に処理を行う第2の処理部とを含んでもよい。この場合、搬入位置に搬入され、第1および第2の処理部により処理された基板を処理後の基板として搬出位置から搬出することができる。
(9-5)第1の処理部と第2の処理部とは、基板に互いに異なる処理を行ってもよい。この場合、基板に異なる処理を効率よく行うことができる。
(9-6)第1の処理部は、基板の下面中央領域の洗浄処理を行い、第2の処理部は、基板の下面中央領域を取り囲む下面外側領域の洗浄処理を行ってもよい。この場合、基板の下面全体の洗浄処理を効率よく行うことができる。
(9-7)第2の参考形態に係る基板処理方法は、基板搬送部の搬送保持部を処理ユニットに進入させるステップと、搬送保持部により保持された処理前の基板を処理ユニットの搬入位置に渡すステップと、処理前の基板が搬入位置に渡された後、搬送保持部により処理ユニットの搬出位置から処理後の基板を受け取るステップと、処理後の基板が搬出位置から受け取られた後、搬送保持部を処理ユニットから退出させるステップと、処理ユニットにより処理前の基板に処理を行うステップとを含む。
この基板処理方法によれば、処理ユニットに処理後の基板が存在する場合でも、処理前の基板を処理ユニットに搬入することができる。そのため、処理ユニットに処理前の基板を渡した後に、当該搬送保持部により処理後の基板を受け取ることが可能となる。したがって、処理後の基板を受け取るために、基板を保持しない搬送保持部を設ける必要がない。これにより、搬送保持部の数当たりのスループットを向上させることができる。
【符号の説明】
【0118】
1…基板洗浄装置,2…ユニット筐体,2a…底面部,2b~2e…側壁部,2x…搬入搬出口,10A,10B…上側保持装置,11A,11B…下チャック,12A,12B…上チャック,13A,13B…下チャック駆動部,14A,14B…上チャック駆動部,20…下側保持装置,21…吸着保持部,22…吸着保持駆動部,30…台座装置,31…リニアガイド,32…可動台座,33…台座駆動部,40…受渡装置,41…支持ピン,42…ピン連結部材,43…ピン昇降駆動部,50…下面洗浄装置,51…下面ブラシ,52…液ノズル,53…気体噴出部,54…昇降支持部,54u…上面,55…移動支持部,55a…下面ブラシ回転駆動部,55b…下面ブラシ昇降駆動部,55c…下面ブラシ移動駆動部,56…下面洗浄液供給部,57…噴出気体供給部,60…カップ装置,61…処理カップ,62…カップ駆動部,70…上面洗浄装置,71,81…回転支持軸,72,82…アーム,73…スプレーノズル,74…上面洗浄駆動部,75…上面洗浄流体供給部,80…端部洗浄装置,83…ベベルブラシ,84…ベベルブラシ駆動部,90…開閉装置,91…シャッタ,92…シャッタ駆動部,100…基板処理装置,110…インデクサブロック,120…処理ブロック,140…キャリア載置台,150,163…搬送部,161,162…洗浄部,170…制御装置,171…チャック制御部,172…吸着制御部,173…台座制御部,174…受渡制御部,175…下面洗浄制御部,176…カップ制御部,177…上面洗浄制御部,178…ベベル洗浄制御部,179…搬入搬出制御部,180,181…搬送制御部,200…インデクサロボット,210,310…ハンド支持部材,220,320…搬送駆動部,300…メインロボット,C…キャリア,Ia~Id,Ma~Md…ハンド,PASS1,PASS2…基板載置部,rp…平面基準位置,W…基板