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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-17
(45)【発行日】2024-10-25
(54)【発明の名称】車両および車両の制御方法
(51)【国際特許分類】
   H02J 7/10 20060101AFI20241018BHJP
   H02J 7/00 20060101ALI20241018BHJP
   H02J 7/04 20060101ALI20241018BHJP
   H02P 25/22 20060101ALI20241018BHJP
   B60L 3/00 20190101ALI20241018BHJP
   B60L 50/60 20190101ALI20241018BHJP
   B60L 53/14 20190101ALI20241018BHJP
   B60L 53/24 20190101ALI20241018BHJP
   B60L 53/62 20190101ALI20241018BHJP
   B60L 58/10 20190101ALI20241018BHJP
   B60W 10/00 20060101ALI20241018BHJP
   B60W 20/50 20160101ALI20241018BHJP
   B60W 20/15 20160101ALI20241018BHJP
   B60W 20/00 20160101ALI20241018BHJP
【FI】
H02J7/10 H
H02J7/00 P
H02J7/04 N
H02P25/22
B60L3/00 J
B60L50/60
B60L53/14
B60L53/24
B60L53/62
B60L58/10
B60W10/00 900
B60W20/50
B60W20/15
B60W20/00
H02J7/10 N
【請求項の数】 20
(21)【出願番号】P 2020175257
(22)【出願日】2020-10-19
(65)【公開番号】P2021192577
(43)【公開日】2021-12-16
【審査請求日】2023-10-11
(31)【優先権主張番号】10-2020-0068021
(32)【優先日】2020-06-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】591251636
【氏名又は名称】現代自動車株式会社
【氏名又は名称原語表記】HYUNDAI MOTOR COMPANY
【住所又は居所原語表記】12, Heolleung-ro, Seocho-gu, Seoul, Republic of Korea
(73)【特許権者】
【識別番号】500518050
【氏名又は名称】起亞株式会社
【氏名又は名称原語表記】KIA CORPORATION
【住所又は居所原語表記】12, Heolleung-ro, Seocho-gu, Seoul, Republic of Korea
(74)【代理人】
【識別番号】100091487
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 行孝
(74)【代理人】
【識別番号】100105153
【弁理士】
【氏名又は名称】朝倉 悟
(74)【代理人】
【識別番号】100127465
【弁理士】
【氏名又は名称】堀田 幸裕
(74)【代理人】
【識別番号】100107582
【弁理士】
【氏名又は名称】関根 毅
(74)【代理人】
【識別番号】100124372
【弁理士】
【氏名又は名称】山ノ井 傑
(72)【発明者】
【氏名】ビン、スンヒョン
【審査官】赤穂 嘉紀
(56)【参考文献】
【文献】特開2010-016954(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2019/0291585(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2021/0316630(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02J 7/10
H02J 7/00
H02J 7/04
H02P 25/22
B60L 3/00
B60L 50/60
B60L 53/14
B60L 53/24
B60L 53/62
B60L 58/10
B60W 10/00
B60W 20/50
B60W 20/15
B60W 20/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
充電器から充電電圧が供給される中性段と前記中性段と連結された第1、第2、第3巻線を含むモータ;
前記第1巻線と連結された第1スイッチング素子、前記第2巻線と連結された第2スイッチング素子および前記第3巻線と連結された第3スイッチング素子を含み、前記充電器から供給された充電電圧を昇圧するインバータ;
前記インバータによって昇圧された昇圧電圧が提供されるバッテリー;
前記第1巻線に流れる第1相電流を測定する第1電流センサ;
前記第2巻線に流れる第2相電流を測定する第2電流センサ;
前記第3巻線に流れる第3相電流を測定する第3電流センサ;および
前記充電電圧と前記バッテリーのバッテリー電圧に基づいて前記インバータに提供されるパルス幅変調信号の平均デューティ比を決定し、前記第1相、第2相、第3相電流に基づいて前記第1、第2、第3スイッチング素子のそれぞれに提供されるパルス幅変調信号のデューティ比を決定するコントローラ;を含み、
前記コントローラは、
前記第1電流センサが故障すると、前記インバータに提供されるパルス幅変調信号の平均デューティ比、前記第2スイッチング素子に提供されるパルス幅変調信号のデューティ比および前記第3スイッチング素子に提供されるパルス幅変調信号のデューティ比に基づいて、前記第1スイッチング素子に提供されるパルス幅変調信号のデューティ比を決定する、車両。
【請求項2】
前記コントローラは、
前記第1スイッチング素子に提供されるパルス幅変調信号のデューティ比、前記第2スイッチング素子に提供されるパルス幅変調信号のデューティ比および前記第3スイッチング素子に提供されるパルス幅変調信号のデューティ比の平均が前記インバータに提供されるパルス幅変調信号の平均デューティ比となるように、前記第1スイッチング素子に提供されるパルス幅変調信号のデューティ比を決定する、請求項1に記載の車両。
【請求項3】
前記コントローラは、
前記第1電流センサと前記第2電流センサが故障すると、前記インバータに提供されるパルス幅変調信号の平均デューティ比および前記第3スイッチング素子に提供されるパルス幅変調信号のデューティ比に基づいて、前記第1、第2スイッチング素子に提供されるパルス幅変調信号のデューティ比を決定する、請求項1に記載の車両。
【請求項4】
前記コントローラは、
前記第1スイッチング素子に提供されるパルス幅変調信号のデューティ比、前記第2スイッチング素子に提供されるパルス幅変調信号のデューティ比および前記第3スイッチング素子に提供されるパルス幅変調信号のデューティ比の平均が前記インバータに提供されるパルス幅変調信号の平均デューティ比となるように、前記第1、第2スイッチング素子に提供されるパルス幅変調信号のデューティ比を決定する、請求項3に記載の車両。
【請求項5】
前記コントローラは、
前記第1、第2スイッチング素子に提供されるパルス幅変調信号のデューティ比を同一に決定する、請求項4に記載の車両。
【請求項6】
前記コントローラは、
前記第1、第2、第3電流センサの中で少なくとも一つの電流センサが正常に作動する場合にのみ前記インバータに対してパルス幅変調制御を遂行する、請求項1に記載の車両。
【請求項7】
前記第1スイッチング素子のそれぞれ、前記第2スイッチング素子のそれぞれ、前記第3スイッチング素子のそれぞれの温度を測定する温度センサ;をさらに含み、
前記コントローラは、
前記温度センサで測定された温度があらかじめ設定された温度以下である場合にのみ前記インバータに対してパルス幅変調制御を遂行する、請求項1に記載の車両。
【請求項8】
前記コントローラは、
前記第1スイッチング素子に提供されるパルス幅変調信号のOn周期と、前記第2スイッチング素子に提供されるパルス幅変調信号のOn周期と、前記第3スイッチング素子に提供されるパルス幅変調信号のOn周期が交差配置されるように(interleaved)前記インバータに対してパルス幅変調制御を遂行する、請求項1に記載の車両。
【請求項9】
前記充電器と連結される入出力ポート;
前記インバータの上側スイッチング素子と前記入出力ポートの間に連結された第1リレー;
前記中性段と前記入出力ポートの間に連結された第2リレー;および
前記インバータの下側スイッチング素子と前記入出力ポートの間に連結された第3リレー;をさらに含み、
前記コントローラは、
前記充電器から提供される充電電圧の大きさが前記バッテリーのバッテリー電圧の大きさより小さければ前記第2リレーと前記第3リレーを閉鎖し、前記第1リレーを開放する、請求項1に記載の車両。
【請求項10】
前記コントローラは、
前記充電器から提供される充電電圧の大きさが前記バッテリーのバッテリー電圧の大きさ以上であれば前記第1リレーと前記第3リレーを閉鎖し、前記第2リレーを開放する、請求項9に記載の車両。
【請求項11】
モータの中性段を通じて充電器から充電電圧が供給され;
前記モータと連結されたインバータが前記充電器から供給された充電電圧を昇圧し;
バッテリーに前記インバータによって昇圧された昇圧電圧が提供され;
第1電流センサが前記モータの第1巻線に流れる第1相電流を測定し;
第2電流センサが前記モータの第2巻線に流れる第2相電流を測定し;
第3電流センサが前記モータの第3巻線に流れる第3相電流を測定し;
前記充電電圧と前記バッテリーのバッテリー電圧に基づいて前記インバータに提供されるパルス幅変調信号の平均デューティ比を決定し;
前記第1相、第2相、第3相電流に基づいて前記インバータの第1、第2、第3スイッチング素子のそれぞれに提供されるパルス幅変調信号のデューティ比を決定し;
前記第1電流センサが故障すると、前記インバータに提供されるパルス幅変調信号の平均デューティ比、前記第2スイッチング素子に提供されるパルス幅変調信号のデューティ比および前記第3スイッチング素子に提供されるパルス幅変調信号のデューティ比に基づいて、前記第1スイッチング素子に提供されるパルス幅変調信号のデューティ比を決定すること;を含む、車両の制御方法。
【請求項12】
前記第1スイッチング素子に提供されるパルス幅変調信号のデューティ比を決定することは、
前記第1スイッチング素子に提供されるパルス幅変調信号のデューティ比、前記第2スイッチング素子に提供されるパルス幅変調信号のデューティ比および前記第3スイッチング素子に提供されるパルス幅変調信号のデューティ比の平均が前記インバータに提供されるパルス幅変調信号の平均デューティ比となるように、前記第1スイッチング素子に提供されるパルス幅変調信号のデューティ比を決定すること;を含む、請求項11に記載の車両の制御方法。
【請求項13】
前記第1電流センサと前記第2電流センサが故障すると、前記インバータに提供されるパルス幅変調信号の平均デューティ比および前記第3スイッチング素子に提供されるパルス幅変調信号のデューティ比に基づいて、前記第1、第2スイッチング素子に提供されるパルス幅変調信号のデューティ比を決定すること;をさらに含む、請求項11に記載の車両の制御方法。
【請求項14】
前記第1、第2スイッチング素子に提供されるパルス幅変調信号のデューティ比を決定することは、
前記第1スイッチング素子に提供されるパルス幅変調信号のデューティ比、前記第2スイッチング素子に提供されるパルス幅変調信号のデューティ比および前記第3スイッチング素子に提供されるパルス幅変調信号のデューティ比の平均が前記インバータに提供されるパルス幅変調信号の平均デューティ比となるように、前記第1、第2スイッチング素子に提供されるパルス幅変調信号のデューティ比を決定すること;を含む、請求項13に記載の車両の制御方法。
【請求項15】
前記第1、第2スイッチング素子に提供されるパルス幅変調信号のデューティ比を決定することは、
前記第1、第2スイッチング素子に提供されるパルス幅変調信号のデューティ比を同一に決定すること;を含む、請求項14に記載の車両の制御方法。
【請求項16】
前記第1、第2、第3電流センサの中で少なくとも一つの電流センサが正常に作動する場合にのみ前記インバータに対してパルス幅変調制御を遂行すること;をさらに含む、請求項11に記載の車両の制御方法。
【請求項17】
前記第1スイッチング素子のそれぞれ、前記第2スイッチング素子のそれぞれ、前記第3スイッチング素子のそれぞれの温度を測定し;
前記第1スイッチング素子のそれぞれ、前記第2スイッチング素子のそれぞれ、前記第3スイッチング素子のそれぞれで測定された温度が、あらかじめ設定された温度以下である場合にのみ前記インバータに対してパルス幅変調制御を遂行すること;をさらに含む、請求項11に記載の車両の制御方法。
【請求項18】
前記第1スイッチング素子に提供されるパルス幅変調信号のOn周期と、前記第2スイッチング素子に提供されるパルス幅変調信号のOn周期と、前記第3スイッチング素子に提供されるパルス幅変調信号のOn周期が交差配置されるように(interleaved)前記インバータに対してパルス幅変調制御を遂行すること;をさらに含む、請求項11に記載の車両の制御方法。
【請求項19】
前記充電器から提供される充電電圧の大きさが前記バッテリーのバッテリー電圧の大きさより小さければ、前記充電器と連結される入出力ポートと前記中性段の間に連結された第2リレーと前記インバータの下側スイッチング素子と前記入出力ポートの間に連結された第3リレーを閉鎖し、前記インバータの上側スイッチング素子と前記入出力ポートの間に連結された第1リレーを開放すること;をさらに含む、請求項11に記載の車両の制御方法。
【請求項20】
前記充電器から提供される充電電圧の大きさが前記バッテリーのバッテリー電圧の大きさ以上であれば前記第1リレーと前記第3リレーを閉鎖し、前記第2リレーを開放すること;をさらに含む、請求項19に記載の車両の制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は車両および車両の制御方法に関し、さらに詳細にはバッテリーの充電中に三相電流を測定する電流センサが故障しても、故障していない電流センサを利用して充電を持続できる、車両および車両の制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に電気車両またはプラグインハイブリッドカーは外部の充電器から電力が提供されて車両内バッテリーを充電し、充電されたバッテリーに保存された電気エネルギーを利用してモータを駆動することによって車両の動力を生成することができる。
【0003】
車両内バッテリーを充電する方式は、外部の交流の充電電力が提供されてバッテリーの充電に適合する大きさの直流の充電電力に変換する車載型充電器を利用してバッテリーを比較的遅い速度で充電する緩速充電方式と、外部の直流の充電電力を直接バッテリーに提供して迅速にバッテリーを充電する急速充電方式と、に大別される。
【0004】
急速充電方式の場合、外部の充電器で変換された直流(DC)電源を車両のバッテリーに供給することによって、高い電力でバッテリーを充電することができる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本開示は、三相電流を測定する電流センサが故障した場合にも持続的にバッテリーを充電できる車両および車両の制御方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前述した目的を達成するための一実施例に係る車両は、充電器から充電電圧が供給される中性段と前記中性段と連結された第1、第2、第3巻線を含むモータ;前記第1巻線と連結された第1スイッチング素子、前記第2巻線と連結された第2スイッチング素子および前記第3巻線と連結された第3スイッチング素子を含み、前記充電器から供給された充電電圧を昇圧するインバータ;前記インバータによって昇圧された昇圧電圧が提供されるバッテリー;前記第1巻線に流れる第1相電流を測定する第1電流センサ;前記第2巻線に流れる第2相電流を測定する第2電流センサ;前記第3巻線に流れる第3相電流を測定する第3電流センサ;および前記充電電圧と前記バッテリーのバッテリー電圧に基づいて前記インバータに提供されるパルス幅変調信号の平均デューティ比を決定し、前記第1相、第2相、第3相電流に基づいて前記第1、第2、第3スイッチング素子のそれぞれに提供されるパルス幅変調信号のデューティ比を決定するコントローラ;を含み、前記コントローラは、前記第1電流センサが故障すると、前記インバータに提供されるパルス幅変調信号の平均デューティ比、前記第2スイッチング素子に提供されるパルス幅変調信号のデューティ比および前記第3スイッチング素子に提供されるパルス幅変調信号のデューティ比に基づいて、前記第1スイッチング素子に提供されるパルス幅変調信号のデューティ比を決定することができる。
【0007】
また、前記コントローラは、前記第1スイッチング素子に提供されるパルス幅変調信号のデューティ比、前記第2スイッチング素子に提供されるパルス幅変調信号のデューティ比および前記第3スイッチング素子に提供されるパルス幅変調信号のデューティ比の平均が前記インバータに提供されるパルス幅変調信号の平均デューティ比となるように、前記第1スイッチング素子に提供されるパルス幅変調信号のデューティ比を決定することができる。
【0008】
また、前記コントローラは、前記第1電流センサと前記第2電流センサが故障すると、前記インバータに提供されるパルス幅変調信号の平均デューティ比および前記第3スイッチング素子に提供されるパルス幅変調信号のデューティ比に基づいて、前記第1、第2スイッチング素子に提供されるパルス幅変調信号のデューティ比を決定することができる。
【0009】
また、前記コントローラは、前記第1スイッチング素子に提供されるパルス幅変調信号のデューティ比、前記第2スイッチング素子に提供されるパルス幅変調信号のデューティ比および前記第3スイッチング素子に提供されるパルス幅変調信号のデューティ比の平均が前記インバータに提供されるパルス幅変調信号の平均デューティ比となるように、前記第1、第2スイッチング素子に提供されるパルス幅変調信号のデューティ比を決定することができる。
【0010】
また、前記コントローラは、前記第1、第2スイッチング素子に提供されるパルス幅変調信号のデューティ比を同一に決定することができる。
【0011】
また、前記コントローラは、前記第1、第2、第3電流センサの中で少なくとも一つの電流センサが正常に作動する場合にのみ前記インバータに対してパルス幅変調制御を遂行することができる。
【0012】
また、前記第1スイッチング素子のそれぞれ、前記第2スイッチング素子のそれぞれ、前記第3スイッチング素子のそれぞれの温度を測定する温度センサ;をさらに含み、前記コントローラは、前記温度センサで測定された温度があらかじめ設定された温度以下である場合にのみ前記インバータに対してパルス幅変調制御を遂行することができる。
【0013】
また、前記コントローラは、前記第1スイッチング素子に提供されるパルス幅変調信号のOn周期と、前記第2スイッチング素子に提供されるパルス幅変調信号のOn周期と、前記第3スイッチング素子に提供されるパルス幅変調信号のOn周期が交差配置されるように(interleaved)前記インバータに対してパルス幅変調制御を遂行することができる。
【0014】
また、前記充電器と連結される入出力ポート;前記インバータの上側スイッチング素子と前記入出力ポートの間に連結された第1リレー;前記中性段と前記入出力ポートの間に連結された第2リレー;および前記インバータの下側スイッチング素子と前記入出力ポートの間に連結された第3リレー;をさらに含み、前記コントローラは、前記充電器から提供される充電電圧の大きさが前記バッテリーのバッテリー電圧の大きさより小さければ前記第2リレーと前記第3リレーを閉鎖し、前記第1リレーを開放することができる。
【0015】
また、前記コントローラは、前記充電器から提供される充電電圧の大きさが前記バッテリーのバッテリー電圧の大きさ以上であれば前記第1リレーと前記第3リレーを閉鎖し、前記第2リレーを開放することができる。
【0016】
また、前述した目的を達成するための一実施例に係る車両の制御方法は、モータの中性段を通じて充電器から充電電圧が供給され;前記モータと連結されたインバータが前記充電器から供給された充電電圧を昇圧し;バッテリーに前記インバータによって昇圧された昇圧電圧が提供され;第1電流センサが前記モータの第1巻線に流れる第1相電流を測定し;第2電流センサが前記モータの第2巻線に流れる第2相電流を測定し;第3電流センサが前記モータの第3巻線に流れる第3相電流を測定し;前記充電電圧と前記バッテリーのバッテリー電圧に基づいて前記インバータに提供されるパルス幅変調信号の平均デューティ比を決定し;前記第1相、第2相、第3相電流に基づいて前記インバータの第1、第2、第3スイッチング素子のそれぞれに提供されるパルス幅変調信号のデューティ比を決定し;前記第1電流センサが故障すると、前記インバータに提供されるパルス幅変調信号の平均デューティ比、前記第2スイッチング素子に提供されるパルス幅変調信号のデューティ比および前記第3スイッチング素子に提供されるパルス幅変調信号のデューティ比に基づいて、前記第1スイッチング素子に提供されるパルス幅変調信号のデューティ比を決定すること;を含むことができる。
【0017】
また、前記第1スイッチング素子に提供されるパルス幅変調信号のデューティ比を決定することは、前記第1スイッチング素子に提供されるパルス幅変調信号のデューティ比、前記第2スイッチング素子に提供されるパルス幅変調信号のデューティ比および前記第3スイッチング素子に提供されるパルス幅変調信号のデューティ比の平均が前記インバータに提供されるパルス幅変調信号の平均デューティ比となるように、前記第1スイッチング素子に提供されるパルス幅変調信号のデューティ比を決定すること;を含むことができる。
【0018】
また、前記第1電流センサと前記第2電流センサが故障すると、前記インバータに提供されるパルス幅変調信号の平均デューティ比および前記第3スイッチング素子に提供されるパルス幅変調信号のデューティ比に基づいて、前記第1、第2スイッチング素子に提供されるパルス幅変調信号のデューティ比を決定すること;をさらに含むことができる。
【0019】
また、前記第1、第2スイッチング素子に提供されるパルス幅変調信号のデューティ比を決定することは、前記第1スイッチング素子に提供されるパルス幅変調信号のデューティ比、前記第2スイッチング素子に提供されるパルス幅変調信号のデューティ比および前記第3スイッチング素子に提供されるパルス幅変調信号のデューティ比の平均が前記インバータに提供されるパルス幅変調信号の平均デューティ比となるように、前記第1、第2スイッチング素子に提供されるパルス幅変調信号のデューティ比を決定すること;を含むことができる。
【0020】
また、前記第1、第2スイッチング素子に提供されるパルス幅変調信号のデューティ比を決定することは、前記第1、第2スイッチング素子に提供されるパルス幅変調信号のデューティ比を同一に決定すること;を含むことができる。
【0021】
また、前記第1、第2、第3電流センサの中で少なくとも一つの電流センサが正常に作動する場合にのみ前記インバータに対してパルス幅変調制御を遂行すること;をさらに含むことができる。
【0022】
また、前記第1スイッチング素子のそれぞれ、前記第2スイッチング素子のそれぞれ、前記第3スイッチング素子のそれぞれの温度を測定し;前記第1スイッチング素子のそれぞれ、前記第2スイッチング素子のそれぞれ、前記第3スイッチング素子のそれぞれで測定された温度が、あらかじめ設定された温度以下である場合にのみ前記インバータに対してパルス幅変調制御を遂行すること;をさらに含むことができる。
【0023】
また、前記第1スイッチング素子に提供されるパルス幅変調信号のOn周期と、前記第2スイッチング素子に提供されるパルス幅変調信号のOn周期と、前記第3スイッチング素子に提供されるパルス幅変調信号のOn周期が交差配置されるように(interleaved)前記インバータに対してパルス幅変調制御を遂行すること;をさらに含むことができる。
【0024】
また、前記充電器から提供される充電電圧の大きさが前記バッテリーのバッテリー電圧の大きさより小さければ、前記充電器と連結される入出力ポートと前記中性段の間に連結された第2リレーと前記インバータの下側スイッチング素子と前記入出力ポートの間に連結された第3リレーを閉鎖し、前記インバータの上側スイッチング素子と前記入出力ポートの間に連結された第1リレーを開放すること;をさらに含むことができる。
【0025】
また、前記充電器から提供される充電電圧の大きさが前記バッテリーのバッテリー電圧の大きさ以上であれば前記第1リレーと前記第3リレーを閉鎖し、前記第2リレーを開放すること;をさらに含むことができる。
【発明の効果】
【0026】
本開示によれば、バッテリーの充電中に三相電流を測定する電流センサが故障しても、故障していない電流センサを利用して充電を持続することによって使用者の便宜を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
図1】一実施例に係る車両の内部に含まれた充電システムの構成図。
図2】一実施例に係る車両の制御ブロック図。
図3】一実施例に係る車両の制御フローチャート。
図4】インバータに印加されるパルス幅変調(PWM)信号とそれによる三相電流を時間に沿って示した例示図。
【発明を実施するための形態】
【0028】
開示された発明の利点および特徴、そしてそれらを達成する方法および装置は、添付される図面と共に後述されている実施例を参照すると明確になるであろう。しかし、開示された発明は以下で開示される実施例に限定されるものではなく互いに異なる多様な形態で具現され得、ただし開示された実施例は開示された発明の開示を完全なものとし、開示された発明が属する技術分野で通常の知識を有する者に発明の範疇を完全に知らせるために提供されるものであり、開示された発明は請求項の範疇によって定義されるのみである。
【0029】
開示された明細書で使われる用語について簡略に説明し、開示された発明について具体的に説明することにする。
【0030】
開示された発明で使われる用語は開示された発明での機能を考慮しつつ、可能な限り現在広く使われる一般的な用語を選択したが、これは当分野に従事する技術者の意図または判例、新しい技術の出現などにより変わり得る。また、特定の場合には出願人が任意で選定した用語もあり、この場合、該当する発明の説明の部分で詳細にその意味を記載する。したがって、開示された発明で使われる用語は単なる用語の名称ではなく、その用語が有する意味と開示された発明の全般にわたった内容に基づいて定義されるべきである。
【0031】
明細書全体において、ある部分がある構成要素を「含む」とするとき、これは特に反対の記載がない限り、他の構成要素を除くものではなく他の構成要素をさらに含むことができることを意味する。また、明細書で使われる「部」という用語は、ソフトウェア、FPGAまたはASICのようなハードウェア構成要素を意味し、「部」はある役割を遂行する。しかし、「部」はソフトウェアまたはハードウェアに限定される意味ではない。「部」はアドレッシングできる保存媒体にあるように構成されてもよく、一つまたはそれ以上のプロセッサを再生させるように構成されてもよい。したがって、一例として、「部」はソフトウェア構成要素、客体指向ソフトウェア構成要素、クラス構成要素およびタスク構成要素のような構成要素と、プロセス、関数、属性、プロシージャ、サブルーチン、プログラムコードのセグメント、ドライバ、ファームウェア、マイクロコード、回路、データ、データベース、データ構造、テーブル、アレイおよび変数を含む。構成要素と「部」内で提供される機能は、さらに小さい数の構成要素および「部」で結合されるか、追加的な構成要素と「部」にさらに分離され得る。
【0032】
以下では、添付した図面を参照して車両および車両の制御方法の実施例について、開示された発明が属する技術分野で通常の知識を有する者が容易に実施できるように詳細に説明する。そして、図面で開示された発明を明確に説明するために、説明と関わらない部分は省略する。また、図面で同じ図面符号は同じ構成要素を示し、これに対する重複する説明は省略する。
【0033】
図1は一実施例に係る車両の内部に含まれた充電システムの構成図であり、図2は一実施例に係る車両の制御ブロック図である。
【0034】
急速充電方式の場合、外部の急速充電器が車両のバッテリーを充電できる大きさの電圧を提供できない場合もある。例えば、急速充電のための外部の急速充電器は400Vの単一の電圧規格を出力するように製作され得る反面、車両内に使われるバッテリーは800Vまたはそれ以上の電圧規格を有するように設計され得る。
【0035】
このような場合、急速充電器は400Vの充電電圧を提供するが、車両内で使われるバッテリーは800V以上の電圧規格を有するので、急速充電器を車両に直接連結してバッテリーを充電することが不可能であり、充電のためには、外部の充電器から提供された電圧を昇圧するための昇圧コンバータが別途に要求される。
【0036】
しかし、外部の充電器から提供された電圧を昇圧するための昇圧コンバータは、重さと体積が非常に大きいだけでなく価格も高価であるため、車両の価格を上昇させる原因となり得る。
【0037】
これを解決するために、一実施例に係る車両は、別途のコンバータなしに従来のモータおよびインバータを利用して充電器の充電電圧を昇圧することによって、高電圧でバッテリーを充電することができる。
【0038】
図1を参照すると、一実施例に係る車両1の内部に含まれた充電システムは、車両1に設けられたバッテリー110、インバータ120、モータ130および複数のリレーR、R、Rを含むことができる。
【0039】
一般的に、モータ130を駆動するためのシステムは、モータ130を駆動するための電力を貯蔵するエネルギー貯蔵装置であるバッテリー110とバッテリー110に貯蔵された直流電力を3相の交流に変換してモータ130に提供するインバータ120を含むことができる。
【0040】
インバータ120はバッテリー110の両端にそれぞれ連結されたプラス(+)端子121pとマイナス(-)端子121nを含む直流連結段と、直流連結段の間に互いに並列関係で連結される3個のレッグを有することができ、各レッグには二つのスイッチング素子(S11およびS12またはS13およびS14またはS15およびS16)が互いに直列連結され、二つのスイッチング素子の連結ノードはそれぞれモータ130の各巻線130a、130b、130cに連結され得る。
【0041】
換言すると、インバータ120は3個の上側スイッチング素子S11、S13、S15と3個の下側スイッチング素子S12、S14、S16で構成され、それぞれの上側スイッチング素子S11、S13、S15は3個の下側スイッチング素子S12、S14、S16のうちいずれか一つと連結され、上側スイッチング素子S11、S13、S15と下側スイッチング素子S12、S14、S16が連結される連結ノードはそれぞれモータ130の巻線130a、130b、130cと連結され得る。
【0042】
インバータ120に含まれた複数のスイッチング素子S11~S16は、絶縁ゲートバイポーラトランジスタ(IGBT;Insulated Gate Bipolar Transistor)を意味し得、ゲートに提供されるゲート電圧によりスイッチング素子S11~S16のOn/Offが制御され得る。
【0043】
以下では、説明の便宜のために、モータ130の第1巻線130aと連結された上側スイッチング素子S11と下側スイッチング素子S12を第1スイッチング素子S11、S12、モータ130の第2巻線130bと連結された上側スイッチング素子S13と下側スイッチング素子S14を第2スイッチング素子S13、S14、モータ130の第3巻線130cと連結された上側スイッチング素子S15と下側スイッチング素子S16を第3スイッチング素子S15、S16と呼ぶことにする。
【0044】
モータ130の駆動を通じて、得ようとするモータ130のトルクに該当する電流指令だけモータ130に電流を提供できるように、インバータ120内のスイッチング素子S11~S16に対してパルス幅変調(PWM;Pulse With Modulation)制御が遂行され得る。このように、モータ130を駆動するためのエネルギーの流れはバッテリー110からモータ130の方向になされる。
【0045】
その反面、バッテリー110を充電するためのエネルギーの流れはモータ130からバッテリー110方向になされる。
【0046】
具体的には、モータ130の中性段Nからインバータ120の直流連結段121p、121nの方向にパワーリングがなされ得、このとき、第1スイッチング素子S11、S12、第2スイッチング素子S13、S14および第3スイッチング素子S15、S16それぞれと第1巻線130a、第2巻線130bおよび第3巻線130cそれぞれは、第1巻線130a、第2巻線130bおよび第3巻線130cと連結された中性段Nに提供される電圧を直流連結段121p、121nに昇圧して提供できる一つの直流コンバータ回路を構成することができる。
【0047】
したがって、インバータ120とモータ130内の巻線130a、130b、130cの連結構造は、総3個のコンバータ回路が並列で連結されたものと同じであり、コントローラ150が並列連結された複数の直流コンバータを同時にまたは選択的に作動させたり、交差配置(interleaved)されるように作動するようにスイッチング素子S11~S16を制御することによって、中性段Nの電圧を昇圧してバッテリー110に提供することができる。
【0048】
一実施例に係る車両1によると、外部充電器(例えば、EVSE(Electirc Vehicle Supply Equipment))200から車両1の充電用入出力ポート140に提供される外部充電電力の最大電圧の大きさ(VEVSE.max)とバッテリー110のバッテリー電圧VBATに基づいて外部充電電力をバッテリー110に直接提供する第1充電モードと、外部充電電力をモータ130の中性段Nに提供されるようにした後、インバータ120のスイッチング素子の制御を通じて中性段Nに提供された電圧を昇圧してバッテリー110に提供する第2充電モードを選択的に使うことができる。
【0049】
以上では、車両1の充電システムを利用してバッテリー110を充電するプロセスを簡略に説明した。
【0050】
一方、前述した実施例に係る車両1は、三相電流を測定する電流センサのうちいずれか一つが故障した場合にはバッテリーの充電を中断しなければならない場合もある。電流センサの故障によって充電が中断されると、電流センサを修理乃至交換しないとそれ以上バッテリーの充電を進行できないため使用者に不便を引き起こし得る。
【0051】
以下では、一実施例に係る車両1の内部に含まれた充電システムの各構成の役割を詳細に説明することによって、電流センサの故障時にも中断なく持続的にバッテリーを充電する方法を説明する。
【0052】
図1図2を参照すると、一実施例に係る車両1は充電システムの各構成要素の出力値を感知するセンシング部160と、バッテリー充電モードを変更するためのリレー部Rと、充電器200から提供される電圧を昇圧するためのインバータ120とセンシング部160の検出値と充電器200から受信した充電電圧の情報に基づいてリレー部Rとインバータ120を制御するコントローラ150を含むことができる。
【0053】
一実施例に係るセンシング部160は、モータ130の第1巻線130aに流れる第1相電流Iを測定する電流センサ(以下「第1電流センサ」)121a、モータ130の第2巻線130bに流れる第2相電流Iを測定する電流センサ(以下「第2電流センサ」)121b、モータ130の第3巻線130cに流れる第3相電流Iを測定する電流センサ(以下「第3電流センサ」)121cを含むことができる。一例として、電流センサ121a、121b、121cとしてホールタイプ電流センサが採用され得る。
【0054】
第1相電流I、第2相電流Iおよび第3相電流Iはそれぞれ、U相電流、V相電流およびW相電流のうちいずれか一つを意味し得る。例えば、第1相電流IはU相電流、第2相電流IはV相電流、第3相電流IはW相電流を意味し得るが、これに限定されるものではない。
【0055】
電流センサ121a、121b、121cは測定された電流をコントローラ150に伝達することができる。
【0056】
センシング部160は、インバータ120に含まれた複数のスイッチング素子S11~S16それぞれに設けられた温度センサT11、T12、T13、T14、T15、T16を含むことができる。
【0057】
センシング部160は、入出力ポート140の両端に連結される第1キャパシタCの電位差を測定してモータ130の中性段Nに提供される電圧Vを測定できる第1電圧センサ(図示されず)とバッテリー110の両端に連結される第2キャパシタCの電位差を測定してバッテリー110のバッテリー電圧VBATを測定できる第2電圧センサ(図示されず)を含むことができる。
【0058】
第1電圧センサ(図示されず)で測定された電圧と第2電圧センサ(図示されず)で測定された電圧はコントローラ150に伝達され得る。
【0059】
センシング部160はまた、インバータ120に含まれた複数のスイッチング素子S11~S16それぞれの温度を測定する温度センサT11~T16を含むことができる。一例として、温度センサT11~T16としてチップタイプの温度センサが採用され得る。
【0060】
温度センサT1~T16で測定された複数のスイッチング素子S11~S16の温度値はコントローラ150に伝達され得る。
【0061】
一実施例に係るリレー部Rは外部の充電器200と連結される入出力ポート140とバッテリー110の間に設けられた複数のリレーR、R、Rを含むことができる。
【0062】
具体的には、リレー部Rは、インバータ120の上側スイッチング素子S11、S13、S15と入出力ポート140の間に連結されたリレー(以下「第1リレー」)Rと、モータ130の中性段Nと入出力ポート140の間に連結されたリレー(以下「第2リレー」)Rと、インバータ120の下側スイッチング素子S12、S14、S16と入出力ポート140の間に連結されたリレー(以下「第3リレー」)Rを含むことができる。
【0063】
複数のリレーR、R、Rそれぞれはコントローラ150の制御信号によって閉鎖されたり開放されることによってバッテリー110の充電モードを変更させることができる。
【0064】
インバータ120は前述した通り、複数のスイッチング素子S11~S16を含むことができ、モータ130の中性段Nに提供される電圧を昇圧してバッテリー110に提供することができる。
【0065】
コントローラ150はセンシング部160から受信した各種アウトプットおよび/または充電器200から受信した最大充電電圧(VEVSE.max)に基づいてリレー部Rとインバータ120を制御することができる。
【0066】
例えば、コントローラ150は充電器200から受信した最大充電電圧(VEVSE.max)または第1キャパシタCの両端で測定された電圧Vと第2キャパシタCの両端で測定された電圧であるバッテリー110のバッテリー電圧VBATに基づいてリレー部Rを制御することができる。
【0067】
具体的には、コントローラ150は充電器200から提供される充電電圧Vの大きさがバッテリー110のバッテリー電圧VBATの大きさより小さければ第2リレーRと前記第3リレーRを閉鎖し、第1リレーRを開放することができる。これに伴い、バッテリー110の充電モードは第2充電モードに変更され得る。
【0068】
また、コントローラ150は充電器200から提供される充電電圧Vの大きさがバッテリー110のバッテリー電圧VBATの大きさ以上であれば第1リレーRと前記第3リレーRを閉鎖し、第2リレーRを開放することができる。これに伴い、バッテリー110の充電モードは第1充電モードに変更され得る。
【0069】
コントローラ150はモータ130の中性段Nに提供される充電電圧Vとバッテリー110のバッテリー電圧VBATに基づいてインバータ120に提供されるパルス幅変調信号の平均デューティ比Dを決定することができ、決定された平均デューティ比Dに基づいてインバータ120に対してパルス幅変調制御を遂行することができる。
【0070】
ただし、コントローラ150は少なくとも一つの電流センサ121a、121b、121cが正常に作動すると判断されたり、複数のスイッチング素子S11~S16すべての温度があらかじめ設定された温度以下である場合にのみインバータ120に対してパルス幅変調制御を遂行することができる。
【0071】
換言すると、すべての電流センサ121a、121b、121cが故障したと判断されたり複数のスイッチング素子S11~S16のうち少なくとも一つのスイッチング素子の温度があらかじめ設定された温度より大きければ安全のために充電プロセスが中止され得る。
【0072】
前述した動作または後述する動作を遂行するためのコントローラ150は、インバータ120およびリレー部Rなどの車両1内の各種構成を制御するためのアルゴリズムまたはアルゴリズムを再現したプログラムに対するデータを保存するメモリ、およびメモリに保存されたデータを利用して前述した動作を遂行するプロセッサで具現され得る。
【0073】
このとき、メモリとプロセッサはそれぞれ別個のチップで具現され得るが、メモリとプロセッサは単一のチップで具現されてもよい。
【0074】
このようなコントローラ150は、既存の車両に備えられた車両制御器、モータ制御器またはバッテリー管理システムなどの形態で具現されるか、別途に車両に追加的に備えられてもよい。
【0075】
コントローラ150の具体的な動作および作用効果については詳細に後述する。
【0076】
図3は、一実施例に係る車両の制御フローチャートである。
【0077】
図3を参照すると、コントローラ150は充電器200の連結を感知し、充電器200から最大充電電圧(VEVSE.max)に対する情報を受信することができる(1000)。
【0078】
前述した通り、コントローラ150はバッテリー110のバッテリー電圧VBATと充電器200の最大充電電圧(VEVSE.max)に基づいてバッテリー110の充電モードを決定することができるが、以下ではバッテリー110の充電モードが第2充電モードである場合を前提にして説明する。
【0079】
コントローラ150はモータ130の中性段Nに提供された充電電圧Vとバッテリー110のバッテリー電圧VBATに基づいてインバータ120に提供されるパルス幅変調信号の平均デューティ比Dを決定することができる。
【0080】
具体的には、コントローラ150は下記の[式1]に基づいてパルス幅変調信号の平均デューティ比Dを決定することができる。
【0081】
[式1]D=1-V/VBAT
【0082】
例えば、バッテリー110のバッテリー電圧VBATが800Vであり、充電電圧Vが400Vである場合、平均デューティ比Dは0.5に決定され得る。
【0083】
このとき、デューティ比はスイッチング素子S11~S16の(On期間+Off期間)と(On期間)の間の比率を意味し得る。例えば、スイッチング素子S11~S16の(On期間+Off期間)が2秒であり、(On期間)が1秒であれば、デューティ比は0.5に決定され得る。
【0084】
第1電流センサ121aは第1巻線130aに流れる第1相電流Iを測定し、第2電流センサ121bは第2巻線130bに流れる第2相電流Iを測定し、第3電流センサ121cは第3巻線130cに流れる第3相電流Iを測定することができ、コントローラ150は第1電流センサ121a、第2電流センサ121bおよび第3電流センサ121cから測定された電流値を受信することができる(1200)。
【0085】
コントローラ150は各電流センサ121a、121b、121cで測定された電流値に基づいて、第1相電流I、第2相電流Iおよび第3相電流Iが同一となるように、第1スイッチング素子S11、S12に提供されるパルス幅変調信号のデューティ比D第2スイッチング素子S13、S14に提供されるパルス幅変調信号のデューティ比Dおよび第3スイッチング素子S15、S16に提供されるパルス幅変調信号のデューティ比Dを決定することができる。
【0086】
例えば、第1相電流Iの大きさと第2相電流Iの大きさが同じであり、第3相電流Iの大きさが第1相電流Iの大きさより小さい場合、第1スイッチング素子S11、S12と第2スイッチング素子S13、S14に提供されるパルス幅変調信号のデューティ比(D、D)を減少させ、第3スイッチング素子S15、S16に提供されるパルス幅変調信号のデューティ比Dを増加させることができる。
【0087】
このように、コントローラ150は電流センサ121a、121b、121cで測定された電流値に対してフィードバック制御を遂行して第1スイッチング素子S11、S12、第2スイッチング素子S13、S14および第3スイッチング素子S15、S16に提供されるパルス幅変調信号の個別のデューティ比を決定することができる。
【0088】
コントローラ150は電流センサ121a、121b、121cで測定された電流値があらかじめ設定された範囲内に属さない場合、該当電流値を測定した電流センサ121a、121b、121cが故障したと判断することができる。
【0089】
例えば、コントローラ150は第1電流センサ121aで測定された第1相電流Iがあらかじめ設定された範囲内に属さないと、第1電流センサ121aが故障したと判断することができる。
【0090】
すべての電流センサが正常に動作すると(1300の例)、コントローラ150は平均デューティ比Dと電流センサ121a、121b、121cで測定された電流値により決定された個別のデューティ比D、D、Dに基づいてインバータ120に対してパルス幅変調制御を遂行することができる(1350)。
【0091】
コントローラ150は電流センサ121a、121b、121cのうちいずれか一つの電流センサ(121a、121bまたは121c)が故障したと判断されると(1400の例)、故障していない電流センサで測定された電流に基づいて故障した電流センサが連結されたスイッチング素子に提供されるパルス幅変調信号のデューティ比を決定することができる。
【0092】
例えば、コントローラ150は第1電流センサ121aが故障すると、インバータ120に提供されるパルス幅変調信号の平均デューティ比D、第2スイッチング素子S13、S14に提供されるパルス幅変調信号のデューティ比Dおよび第3スイッチング素子S15、S16に提供されるパルス幅変調信号のデューティ比Dに基づいて第1スイッチング素子S11、S12に提供されるパルス幅変調信号のデューティ比Dを決定することができる(1450)。
【0093】
具体的には、コントローラ150は第1スイッチング素子S11、S12に提供されるパルス幅変調信号のデューティ比D、第2スイッチング素子S13、S14に提供されるパルス幅変調信号のデューティ比Dおよび前記第3スイッチング素子S15、S16に提供されるパルス幅変調信号のデューティ比Dの平均がインバータ120に提供されるパルス幅変調信号の平均デューティ比Dとなるように、第1スイッチング素子S11、S12に提供されるパルス幅変調信号のデューティ比Dを決定することができる。
【0094】
すなわち、コントローラは下記の[式2]が満足されるように第1スイッチング素子S11、S12に提供されるパルス幅変調信号のデューティ比Dを決定することができる
【0095】
[式2]D=3*D-D-D
【0096】
この後、コントローラ150は決定された個別のデューティ比D、D、Dに基づいてインバータ120に対してパルス幅変調制御を遂行することができる(1700)。
【0097】
コントローラ150は電流センサ121a、121b、121cのうち2つの電流センサ(121a、121bまたは121cのうち2つ)が故障したと判断されると(1500の例)、故障していない電流センサで測定された電流に基づいて故障した電流センサが連結されたスイッチング素子に提供されるパルス幅変調信号のデューティ比を決定することができる。
【0098】
例えば、コントローラ150は第1電流センサ121aと第2電流センサ121bが故障すると、インバータ120に提供されるパルス幅変調信号の平均デューティ比Dおよび第3スイッチング素子S15、S16に提供されるパルス幅変調信号のデューティ比Dに基づいて、第1スイッチング素子S11、S12に提供されるパルス幅変調信号のデューティ比Dと第2スイッチング素子S13、S14に提供されるパルス幅変調信号のデューティ比Dを決定することができる(1550)。
【0099】
具体的には、コントローラ150は第1スイッチング素子S11、S12に提供されるパルス幅変調信号のデューティ比D、第2スイッチング素子S13、S14に提供されるパルス幅変調信号のデューティ比Dおよび前記第3スイッチング素子S15、S16に提供されるパルス幅変調信号のデューティ比Dの平均がインバータ120に提供されるパルス幅変調信号の平均デューティ比Dとなるように、第1スイッチング素子S11、S12に提供されるパルス幅変調信号のデューティ比Dと第2スイッチング素子S13、S14に提供されるパルス幅変調信号のデューティ比Dを決定することができる。
【0100】
このとき、コントローラ150は第1スイッチング素子S11、S12に提供されるパルス幅変調信号のデューティ比Dと第2スイッチング素子S13、S14に提供されるパルス幅変調信号のデューティ比Dを同一に決定することができる。
【0101】
すなわち、コントローラは下記の[式3]が満足されるように第1スイッチング素子S11、S12に提供されるパルス幅変調信号のデューティ比Dと第2スイッチング素子S13、S14に提供されるパルス幅変調信号のデューティ比Dを決定することができる
【0102】
[式3]D=D=(3*D-D)/2
【0103】
この後、コントローラ150は決定された個別のデューティ比D、D、Dに基づいてインバータ120に対してパルス幅変調制御を遂行することができる(1700)。
【0104】
コントローラ150は電流センサ121a、121b、121cがすべて故障したと判断されると(1500のいいえ)、充電プロセスを中止することができる(1600)。
【0105】
例えば、コントローラ150は複数のリレーR、R、Rをすべて開放して入出力ポート140とバッテリー110が連結されないように制御することができる。
【0106】
すなわち、コントローラ150は第1電流センサ121a、第2電流センサ121b、第3電流センサ121cの中で少なくとも一つの電流センサが正常に作動する場合にのみインバータ120に対してパルス幅変調制御を遂行することができる。
【0107】
前記のように、本開示の一実施例によると、電流センサのうちいずれか一つの電流センサでも正常に動作する場合、充電プロセスを進行することによって使用者の便宜を図ることができる。
【0108】
ただし、スイッチング素子が故障した場合にも電流センサで測定された電流があらかじめ設定された範囲に属さなくなるので、これを電流センサの故障と判断して充電プロセスを進行すると車両の内部部品の毀損を引き起こし得る。
【0109】
したがって、コントローラ150は第1スイッチング素子S11、S12、第2スイッチング素子S13、S14および第3スイッチング素子S15、S16の中でいずれか一つのスイッチング素子の温度がすべてあらかじめ設定された温度より大きければ充電プロセスを中断することができる。
【0110】
すなわち、コントローラ150は第1スイッチング素子S11、S12、第2スイッチング素子S13、S14および第3スイッチング素子S15、S16で測定された温度がすべてあらかじめ設定された温度以下である場合にのみインバータ120に対してパルス幅変調制御を遂行することができる。
【0111】
図4は、インバータ120に印加されるパルス幅変調(PWM)信号とそれによる三相電流を時間に沿って示した例示図である。
【0112】
図4を参照すると、コントローラ150は、第1スイッチング素子S11、S12に提供されるパルス幅変調信号(V)のOn周期と、第2スイッチング素子S13、S14に提供されるパルス幅変調信号(V)のOn周期と、第3スイッチング素子S15、S16に提供されるパルス幅変調信号(V)のOn周期が交差配置されるように(interleaved)インバータ120に対してパルス幅変調制御を遂行することができる。
【0113】
これに伴い、第1相電流Iと第2相電流Iと第3相電流Iの和のリップルが低減されてバッテリー110の充電効率を増加させることができる。
【0114】
一方、車両1の一部の構成要素は、ソフトウェアおよび/またはField Programmable Gate Array(FPGA)およびオンデマンド半導体(ASIC、Application Specific Integrated Circuit)のようなハードウェア構成要素であり得る。
【0115】
一方、開示された実施例はコンピュータによって実行可能な命令語を保存する記録媒体の形態で具現され得る。命令語はプログラムコードの形態で保存され得、プロセッサによって実行されたとき、プログラムモジュールを生成して開示された実施例の動作を遂行することができる。記録媒体はコンピュータで読み取り可能な記録媒体で具現され得る。
【0116】
コンピュータ読み取り可能な記録媒体としては、コンピュータによって解読され得る命令語が保存されたすべての種類の記録媒体を含む。例えば、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)、磁気テープ、磁気ディスク、フラッシュメモリ、光データ保存装置などがあり得る。
【0117】
以上、添付された図面を参照して開示された実施例を説明した。本発明が属する技術分野で通常の知識を有する者は本発明の技術的思想や必須の特徴を変更せずとも、開示された実施例と異なる形態で本発明が実施され得ることが理解できるであろう。開示された実施例は例示的なものであって、限定的に解釈されてはならない。
【符号の説明】
【0118】
1:車両
110:バッテリー
120:インバータ
121a:第1電流センサ
121b:第2電流センサ
121c:第3電流センサ
130:モータ
130a:第1巻線
130b:第2巻線
130c:第3巻線
140:入出力ポート
150:コントローラ
160:センシング部
200:充電器
R:リレー部
:第1リレー
:第2リレー
:第3リレー
図1
図2
図3
図4