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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-17
(45)【発行日】2024-10-25
(54)【発明の名称】センサー取付構造
(51)【国際特許分類】
   F16L 19/065 20060101AFI20241018BHJP
   G01D 11/30 20060101ALI20241018BHJP
【FI】
F16L19/065
G01D11/30 S
【請求項の数】 2
(21)【出願番号】P 2020184925
(22)【出願日】2020-11-05
(65)【公開番号】P2022074678
(43)【公開日】2022-05-18
【審査請求日】2023-05-26
(73)【特許権者】
【識別番号】000229737
【氏名又は名称】株式会社PILLAR
(74)【代理人】
【識別番号】100087653
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴江 正二
(72)【発明者】
【氏名】小池 智幸
(72)【発明者】
【氏名】足立 智大
(72)【発明者】
【氏名】土屋 祐人
(72)【発明者】
【氏名】蓮輪 拓朗
【審査官】井古田 裕昭
(56)【参考文献】
【文献】実開昭59-120418(JP,U)
【文献】特開2009-275692(JP,A)
【文献】韓国公開特許第10-2018-0100668(KR,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16L 19/065
G01D 11/30
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
棒状のセンサーを配管に取り付けるための構造であって、
流路を形成している主管部、
前記流路に連通する分岐路を形成し、開口部を通して前記分岐路の中に前記センサーを受け入れている管であり、前記開口部の内径が、前記センサーの外径に寸法許容差を加えた値よりも大きい分岐管部、
前記分岐管部の外周面に形成された雄ねじ
前記分岐管部の開口部の周囲に形成された第1シール面、および、
前記第1シール面の周囲に設けられた環状溝
を有する本体と、
前記センサーを貫通させた状態で、前記分岐管部の開口部と前記センサーとの隙間を塞いでいる筒状部品であり、
内径が前記センサーの外径と実質的に等しく、
軸方向の一端には、
前記本体の第1シール面に密着する第2シール面、および、
前記第2シール面の周囲から軸方向へ突出しており、前記本体の環状溝に圧入される環状突起
を有し、
他端には逆テーパー状の内周面
を有するシール部品と、
前記センサーを貫通させた状態で、前記シール部品の他端と前記センサーとの隙間を塞いでいる筒状部品であり、軸方向の一端に、前記シール部品の逆テーパー状の内周面に密着するテーパー状の外周面
を有するフェルールと、
前記本体の雄ねじに結合する雌ねじを有し、前記センサーを貫通させた状態で前記シール部品と前記フェルールとを収容しているユニオンナットと
を備えたセンサー取付構造。
【請求項2】
前記本体の雄ねじに前記ユニオンナットの雌ねじが結合することにより、前記ユニオンナットは前記フェルールを前記シール部品に押し付けると共に、前記シール部品を前記本体の分岐管部に押し付け、
前記ユニオンナットからの押圧力が前記本体の第1シール面に前記シール部品の第2シール面を密着させると共に、前記本体の環状溝に前記シール部品の環状突起を圧入することにより、前記本体の分岐管部と前記センサーとの隙間がシールされ、
前記ユニオンナットからの押圧力が前記シール部品の逆テーパー状の内周面に前記フェルールのテーパー状の外周面を密着させることにより、前記シール部品と前記センサーとの隙間がシールされる、
請求項1に記載のセンサー取付構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、流体の温度、圧力等を計測するセンサーを配管に取り付けるための構造、すなわちセンサー取付構造に関する。
【背景技術】
【0002】
流体の温度、圧力等を計測するセンサーの中には、棒状のものがある。棒状のセンサーは先端に感知部を備えており、その先端を計測対象の流体に接触させることで機能する。棒状のセンサーを対象とするセンサー取付構造としては、特許文献1、2に開示されたものが知られている。これらのセンサー取付構造では、計測対象の流体が流れる流路の途中に分岐路が設けられており、この分岐路に棒状のセンサーが設置されている。流路から分岐路の中へ流体が流れ込むことにより、または分岐路から流路に露出したセンサーの先端に流体が接触することにより、流体の温度、圧力等が計測される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開平11-064048号公報
【文献】特開2013-170884号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来のセンサー取付構造の中には、センサーの周囲の隙間をフェルールでシールするものがある。図3図4は、そのようなセンサー取付構造の例を示している。計測対象の流体は流路10を通る。流路10の途中には分岐路11が設けられており、その中に棒状のセンサー20が設置されている。分岐路11の内径はセンサー20の外径と実質的に等しい。すなわち、分岐路11の内径とセンサー20の外径との間には、センサー20を分岐路11に挿入することができる程度の差しか設けられていない。フェルール30は、分岐路11を形成している配管、すなわち分岐管12の開口部13とセンサー20との隙間を塞いでいる。フェルール30はユニオンナット40の中に収容されている。ユニオンナット40は、分岐管12の外周面に形成された雄ねじ14にねじ込まれることにより、分岐管12にフェルール30を押し付ける。フェルール30の軸方向の一端にはテーパー状の外周面31があり、ユニオンナット40からの押圧力により、分岐管12の開口部13に設けられた逆テーパー状の内周面15に密着する。さらに、逆テーパー状の内周面15からの反力により、フェルール30の端部32がセンサー20を内周方向へ締め付ける。こうして、分岐管12の開口部13とセンサー20との隙間がシールされる。
【0005】
分岐管12の開口部13とセンサー20との隙間をフェルール30でシールすることができるのは、分岐管12の開口部13の内径がセンサー20の外径と実質的に等しいからである。この場合、センサー取付構造の製造工程の複雑化を避けるには、分岐路11の全体で内径を分岐管12の開口部13の内径に揃えることが好ましい。しかし、その場合には以下の問題が生じる。
【0006】
センサー20に計測を更に高い精度で行わせるには、センサー20の先端21を計測対象の流体の中に確実に浸す必要がある。その必要を満たすだけであれば、図3が示すセンサー取付構造のように、センサー20の先端21を分岐路11から流路10の中へ突出させればよい。しかし、この構造には、「センサー20の先端21が流路10内の流れを阻害する」という欠点がある。
【0007】
センサー20の先端21を分岐路11の中に留めたまま、その先端21を流体の中に確実に浸すには、図4が示すセンサー取付構造のように、分岐路11の入口16に内径が大きい部分(ザグリ穴)17を設ければよい。ザグリ穴17の中では分岐路11とセンサー20の先端21との隙間が大きいので、その隙間に流路10から流体が流れ込みやすい。その結果、センサー20の先端21を流体の中に確実に浸すことができる。しかし、ザグリ穴17を作成するには、流路10を形成している配管のうち、流路10を挟んで分岐路11の入口16に対向する部分に穴18を開け、その穴18を通して分岐路11の入口16を加工しなければならない。さらに、ザグリ穴17の完成後、この穴18を止め栓19で密封しなければならない。このように、ザグリ穴17の加工はセンサー取付構造の製造工程を複雑化させ、コストの増大を招く。
【0008】
本発明の目的は上記の課題を解決することであり、特に、製造工程を複雑化させることなく分岐路の入口とセンサーの先端との隙間を十分に拡げて、センサーの計測精度を更に向上させることのできるセンサー取付構造を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の1つの観点におけるセンサー取付構造は、本体、シール部品、フェルール、およびユニオンナットを備えている。本体は、流路を形成している主管部、その流路に連通する分岐路を形成している分岐管部、その分岐管部の外周面に形成された雄ねじ、およびその分岐管部の開口部の周囲に形成されたシール面を有する。シール部品は筒状部品であり、棒状のセンサーを貫通させている。そのセンサーは分岐管部の開口部を通して分岐路の中に伸びている。シール部品は分岐管部の開口部とセンサーとの隙間を塞いでいる。シール部品の内径はセンサーの外径と実質的に等しい。シール部品は、軸方向の一端には、本体のシール面に密着するシール面を有し、他端には逆テーパー状の内周面を有する。フェルールは筒状部品であり、上記のセンサーを貫通させた状態でシール部品の他端とセンサーとの隙間を塞いでいる。フェルールは軸方向の一端に、シール部品の逆テーパー状の内周面に密着するテーパー状の外周面を有する。ユニオンナットは、本体の雄ねじに結合する雌ねじを有し、上記のセンサーを貫通させた状態でシール部品とフェルールとを収容している。
【0010】
本体の雄ねじにユニオンナットの雌ねじが結合することにより、ユニオンナットがフェルールをシール部品に押し付けると共に、シール部品を本体の分岐管部に押し付けてもよい。この場合、ユニオンナットからの押圧力が本体のシール面にシール部品のシール面を密着させることにより、本体の分岐管部とセンサーとの隙間がシールされる。さらに、ユニオンナットからの押圧力がシール部品の逆テーパー状の内周面にフェルールのテーパー状の外周面を密着させることにより、シール部品とセンサーとの隙間がシールされる。
【発明の効果】
【0011】
本発明による上記のセンサー取付構造では、本体の分岐管部の開口部とセンサーとの隙間をシール部品が塞ぎ、そのシール部品の他端とセンサーとの隙間をフェルールが塞いでいる。この場合、シール部品の内径がセンサーの外径と実質的に等しければよく、分岐管部の開口部の内径はセンサーの外径よりも大きくても構わない。したがって、分岐路の入口とセンサーの先端との隙間が十分な大きさであるようにその入口の内径を十分に大きく設定し、その上で、分岐路の全体で内径を分岐路の入口の内径に揃えることができる。こうして、本発明による上記のセンサー取付構造は、製造工程を複雑化させることなく分岐路の入口とセンサーの先端との隙間を十分に拡げて、センサーの計測精度を更に向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本発明の実施形態によるセンサー取付構造の断面図である。
図2】本発明の実施形態によるセンサー取付構造の変形例の断面図である。
図3】従来のセンサー取付構造の一例の断面図である。
図4】従来のセンサー取付構造の別例の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照しながら説明する。
【0014】
図1は、本発明の実施形態によるセンサー取付構造の断面図である。このセンサー取付構造は棒状のセンサー500を対象とする。このセンサー500の先端部501には感知部(図示せず。)が内蔵されている。先端部501が流体の中に浸されることにより、センサー500はその流体の温度、圧力等を計測することができる。このセンサー取付構造は、本体100、シール部品200、フェルール300、およびユニオンナット400を含む。
【0015】
本体100は、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、またはパーフルオロアルコキシアルカン(PFA)等のフッ素樹脂による成形品であり、主管部110と分岐管部120とを含む。
【0016】
主管部110は真っ直ぐな管であり、両端に管継手111、112を含む。これらの管継手111、112の間を主管部110の空洞113が繋いで、流路を形成している。この流路113には、センサー500の計測対象である流体、たとえば、薬液、超純水等の液体、または排ガス等の気体が流れる。
【0017】
分岐管部120は、主管部110から垂直に突出した管であり、その空洞121が、流路113に連通する分岐路を形成している。分岐路121は流路113を分岐管部120の開口部122に繋げている。この開口部122を通してセンサー500が分岐路121の中に伸びている。センサー500の先端部501は、流路113から離れた(図1では流路113よりも上方の)場所に設置されている。センサー500の先端部501と分岐路121の入口127との隙間には、流路113から計測対象の流体が流れ込む。
【0018】
分岐管部120の開口部122の周囲には環状のシール面123がある。シール面123は逆テーパー状である。すなわち、シール面123は分岐管部120の軸方向(図1では上下方向)に対して傾斜しており、軸方向において開口部122から、分岐管部120の基部(すなわち、主管部110との接続部)129とは反対側(図1では上方)へ向かうにつれて直径が増大している。シール面123の周囲には環状溝124が設けられている。環状溝124の周囲からは、外側筒部125が軸方向(図1では上方)へ突出している。外側筒部125の外周面には雄ねじ126が形成されている。
【0019】
シール部品200は、PTFE、PFA等、フッ素樹脂製の円筒部品であり、分岐管部120の開口部122に同軸に配置されている。シール部品200は、センサー500を貫通させた状態で、分岐管部120の開口部122とセンサー500との隙間を塞いでいる。シール部品200の内径はセンサー500の外径と実質的に(具体的には、寸法許容差(たとえば±0.5mm)を除けば)等しい。すなわち、シール部品200の内径とセンサー500の外径との間には、シール部品200にセンサー500を挿入することができる程度の差しか設けられていない。シール部品200の外径は分岐管部120の外側筒部125の内径と実質的に(具体的には、寸法許容差(たとえば±0.5mm)を除けば)等しい。
【0020】
シール部品200の軸方向における端部のうち、分岐管部120の開口部122に面した方(図1では下端部)は環状のシール面201を含む。シール面201はテーパー状である。すなわち、シール面201はシール部品200の軸方向(図1では上下方向)に対して傾斜しており、軸方向において分岐管部120の開口部122から離れる(図1では上方へ向かう)につれて直径が増大している。シール部品200のシール面201は分岐管部120のシール面123に密着することにより、シール機能を発揮する(一次シール)。シール部品200のシール面201の周囲からは環状突起202が軸方向(図1では下方)へ突出し、分岐管部120の環状溝124の中へ伸びている。環状突起202の内径は分岐管部120の環状溝124の内径よりもわずかに小さいので、環状突起202は環状溝124の中に圧入されている。これにより、環状突起202の内周面と環状溝124の内面とが互いに隙間なく接触し、シール機能を発揮する(二次シール)。
【0021】
シール部品200の軸方向における端部のうち、分岐管部120の開口部122とは反対側に位置する方(図1では上端部)は逆テーパー状の内周面203を含む。すなわち、この内周面203はシール部品200の軸方向(図1では上下方向)に対して傾斜しており、軸方向において分岐管部120の開口部122から離れる(図1では上方へ向かう)につれて直径が増大している。
【0022】
フェルール300は、PTFE、PFA等、フッ素樹脂製の円筒部品であり、分岐管部120の外側筒部125の内側に露出しているシール部品200の端部(図1では上端部)に同軸に配置されている。フェルール300は、センサー500を貫通させた状態で、シール部品200の端部とセンサー500との隙間を塞いでいる。フェルール300の内径はセンサー500の外径よりも大きい。
【0023】
フェルール300の軸方向における端部のうち、シール部品200に面した方(図1では下端部)はテーパー状の外周面301を含む。すなわち、この外周面301はフェルール300の軸方向(図1では上下方向)に対して傾斜しており、軸方向における先端(図1では下端)302から軸方向において離れる(図1では上方へ向かう)につれて直径が増大している。テーパー状の外周面301はシール部品200の逆テーパー状の内周面203よりも、軸方向に対する傾斜角が小さい。テーパー状の外周面301の基端(図1では上端)からは外周方向へフランジ303が張り出している。
【0024】
ユニオンナット400は、PTFE、PFA、PVDF等、フッ素樹脂製の円筒部品であり、センサー500を貫通させた状態で分岐管部120の外側筒部125、シール部品200、およびフェルール300を同軸に囲んでいる。ユニオンナット400の内周面は雌ねじ401と段部402とを含む。雌ねじ401は分岐管部120の雄ねじ126と結合している。段部402は、雌ねじ401よりも内径が狭い部分であり、ユニオンナット400の軸方向における端部のうち、分岐管部120からは遠い方(図1では上端部)に位置する。段部402の内径がフェルール300のフランジ303の外径よりも小さいので、軸方向において段部402はフランジ303と接触している。
【0025】
ユニオンナット400の雌ねじ401が分岐管部120の雄ねじ126にねじ込まれると、軸方向(図1では下方)の押圧力がユニオンナット400の段部402からフェルール300のフランジ303に加わる。これにより、フェルール300のテーパー状の外周面301が分岐管部120の逆テーパー状の内周面203に密着する。さらに、両面間での傾斜角の差により、逆テーパー状の内周面203からテーパー状の外周面301への反力がテーパー状の外周面301の先端302に集中する。したがって、その先端302が内周方向へ屈曲し、センサー500を内周方向へ締め付ける。こうして、シール部品200とセンサー500との隙間がシールされる。
【0026】
ユニオンナット400からの押圧力は更に、シール部品200を分岐管部120に押し付ける。したがって、シール部品200の環状突起202が分岐管部120の環状溝124に圧入されて環状突起202の内周面が環状溝124の内面に密着し、シール部品200のシール面201が分岐管部120のシール面123に密着する。こうして、分岐管部120とセンサー500との隙間がシールされる。
[実施形態の利点]
【0027】
本発明の上記の実施形態によるセンサー取付構造では、本体100の分岐管部120の開口部122とセンサー500との隙間をシール部品200が塞ぎ、シール部品200とセンサー500との隙間をフェルール300が塞いでいる。この場合、シール部品200の内径がセンサー500の外径と実質的に等しくさえあれば、フェルール300の先端302がシール部品200とセンサー500との隙間を確実にシールすることができる。一方、分岐管部120の開口部122の内径はセンサー500の外径よりも大きくても構わない。分岐管部120の開口部122とセンサー500との隙間は、分岐管部120のシール面123とシール部品200のシール面201との密着、および分岐管部120の環状溝124の内面とシール部品200の環状突起202の内周面との密着によってシールされるからである。したがって、分岐路120の入口127とセンサー500の先端部501との隙間が十分な大きさであるようにその入口127の内径をセンサー500の外径よりも十分に大きく設定し、その上で、分岐路120の全体で内径を分岐路120の入口127の内径に揃えることができる。これにより、本体100の製造工程の複雑化を避けることができる。
【0028】
分岐路120の入口127とセンサー500の先端部501との隙間が十分に大きければ、主管部110の流路113から分岐路121へは多量の流体が流れ込む。この場合、図1が示すようにセンサー500の先端部501が流路113から離れていても、その先端部501を流体の中に確実に浸すことができる。したがって、センサー500の先端部501を分岐路121から流路113の中へ突出させなくても、センサー500に計測を高い精度で行わせることができる。こうして、本発明の上記の実施形態によるセンサー取付構造は、製造工程を複雑化させることなく分岐路121の入口127とセンサー500の先端部501との隙間を十分に拡げて、センサー500の計測精度を更に向上させることができる。
【0029】
なお、分岐管部120のシール面123、環状溝124、および外側筒部125は、図1が示すように、インナーリング600と嵌合する管継手111、112の部分114、115と形状が同一である。したがって、分岐管部120には、シール部品200とフェルール300とに代えてインナーリング600を嵌合させることもできる。これにより、分岐管部120は、管継手111、112と同様な管継手として利用することもできる。
[変形例]
【0030】
図1が示すセンサー取付構造では、分岐管部120のシール面123とシール部品200のシール面201とが密着し、分岐管部120の環状溝124の内周側の内面とシール部品200の環状突起202の内周面とが密着することにより、分岐管部120の開口部122とセンサー500との隙間がシールされる。しかし、この隙間のシールに必要な構造は、図1が示すものには限られない。たとえば、分岐管部120の環状溝124の外径よりもシール部品200の環状突起202の外径がわずかに大きく、環状突起202の外周面と環状溝124の外周側の内面とが互いに隙間なく接触し、シール面として機能してもよい。その他に、分岐管部120とシール部品200とがそれぞれ、以下に述べるように、図1が示すシール面123、201とは別のシール面を備えていてもよい。
【0031】
図2は、本発明の実施形態によるセンサー取付構造の変形例の断面図である。このセンサー取付構造は、図1が示すものとは、分岐管部120の開口部122とセンサー500との隙間をシールする構造が異なる。その他の構造については同様である。図2では、図1が示す構成要素と同様な構成要素には、図1が示す参照番号と同じ参照番号が付されている。また、それら同様な構成要素の詳細については上記の実施形態の説明を援用する。
【0032】
分岐路121の開口部122の周囲には環状のシール面128がある。シール面128は、図1が示すシール面123とは異なり、テーパー状である。すなわち、シール面128は分岐管部120の軸方向(図2では上下方向)に対して傾斜しており、軸方向において開口部122から分岐管部120の基部129へ(図2では下方へ)向かうにつれて直径が増大している。シール面128の周囲からは外側筒部125が軸方向(図2では上方)へ突出している。
【0033】
シール部品210の軸方向における端部のうち、分岐管部120の開口部122に面した方(図2では下端部)は環状のシール面211を含む。シール面211は、図1が示すシール面201とは異なり、逆テーパー状である。すなわち、シール面211はシール部品210の軸方向(図2では上下方向)に対して傾斜しており、軸方向において分岐管部120の開口部122から基部129へ(図2では下方へ)向かうにつれて直径が増大している。
【0034】
ユニオンナット400の雌ねじ401が分岐管部120の雄ねじ126にねじ込まれると、軸方向(図2では下方)の押圧力がユニオンナット400の段部402からフェルール300のフランジ303に加わる。これにより、フェルール300がシール部品210に押し付けられ、シール部品210が分岐管部120に押し付けられる。その結果、シール部品210のシール面211が分岐管部120のシール面128に密着する。こうして分岐管部120とセンサー500との隙間がシールされる。
【0035】
なお、分岐管部120のシール面128と外側筒部125とは、図2が示すように、インナーリング610と嵌合する管継手111、112の部分116、117と形状が同一である。したがって、分岐管部120には、シール部品210とフェルール300とに代えてインナーリング610を嵌合させることもできる。これにより、分岐管部120は、管継手111、112と同様な管継手として利用することもできる。
【符号の説明】
【0036】
100 センサー取付構造の本体
110 主管部
111、112 管継手
113 流路
114、115 インナーリングと嵌合する管継手の部分
120 分岐管部
121 分岐路
122 分岐管部の開口部
123 分岐管部のシール面
124 環状溝
125 外側筒部
126 雄ねじ
127 分岐路の入口
129 分岐管部の基部
200 シール部品
201 シール部品のシール面
202 環状突起
203 逆テーパー状の内周面
300 フェルール
301 テーパー状の外周面
302 テーパー状の外周面の先端
303 フランジ
400 ユニオンナット
401 雌ねじ
402 段部
500 センサー
501 センサーの先端部
600 インナーリング
図1
図2
図3
図4