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特許7573431指標算出装置、指標算出方法、及びプログラム
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-17
(45)【発行日】2024-10-25
(54)【発明の名称】指標算出装置、指標算出方法、及びプログラム
(51)【国際特許分類】
   G06F 30/13 20200101AFI20241018BHJP
   G06F 30/20 20200101ALI20241018BHJP
   G06T 19/00 20110101ALI20241018BHJP
【FI】
G06F30/13
G06F30/20
G06T19/00 A
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2020208226
(22)【出願日】2020-12-16
(65)【公開番号】P2022095102
(43)【公開日】2022-06-28
【審査請求日】2023-10-25
(73)【特許権者】
【識別番号】000002299
【氏名又は名称】清水建設株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100149548
【弁理士】
【氏名又は名称】松沼 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100161506
【弁理士】
【氏名又は名称】川渕 健一
(74)【代理人】
【識別番号】100161207
【弁理士】
【氏名又は名称】西澤 和純
(72)【発明者】
【氏名】三浦 大作
(72)【発明者】
【氏名】佐竹 浩芳
(72)【発明者】
【氏名】牧 真太朗
(72)【発明者】
【氏名】天利 竹宏
(72)【発明者】
【氏名】笹村 佳央
(72)【発明者】
【氏名】稲毛 誠
【審査官】松浦 功
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-013832(JP,A)
【文献】特開2014-044742(JP,A)
【文献】特開2007-200130(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06F 30/00 -30/28
G06T 19/00 -19/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
仮想的な三次元空間に配置される物体の形状と配置される位置座標とを示す物体モデル情報を記憶する記憶部と、
前記物体モデル情報を用いて、前記三次元空間に設定された対象位置から視認可能な可視領域の立体形状モデルを算出する可視領域モデル算出部と、
前記可視領域モデル算出部によって算出された前記可視領域の立体形状モデルを用いて、前記可視領域を評価する評価指標を算出する可視領域指標算出部と、
を備え、
前記可視領域モデル算出部は、
視野領域の立体形状モデルを算出する視野領域モデル算出部と、
対象物領域の立体形状モデルを算出する対象物領域モデル算出部と、
遮蔽物領域の立体形状モデルを算出する遮蔽物領域モデル算出部と、
を有し、
前記視野領域は、前記対象位置から視線方向に形成される領域であり、
前記対象物領域は、前記物体のうちの対象物について、前記対象位置を頂点とし前記対象物を前記対象位置からみた前記対象物の形状を底面とする錐形、及び前記対象物からなる領域であり、
前記遮蔽物領域は、前記物体のうちの遮蔽物について、前記遮蔽物、及び前記対象位置を基準として前記対象位置から前記遮蔽物の外周にある点に向かう方向に沿って前記遮蔽物を拡大又は縮小させた物体からなる領域であり、
前記可視領域は、評価対象とする評価領域から、前記三次元空間において前記評価領域と前記遮蔽物領域とが重複する領域を除外した領域である、
指標算出装置。
【請求項2】
前記視野領域を前記評価領域とする場合、
前記対象位置は、前記三次元空間における視点の位置を示す視点位置であり、
前記可視領域モデル算出部は、前記三次元空間において前記視野領域に含まれる前記物体を前記遮蔽物とし、
前記遮蔽物領域モデル算出部は、前記遮蔽物、及び前記視点位置を基準として前記視点位置から前記遮蔽物の外周にある点に向かう方向に沿って前記遮蔽物を拡大させた物体からなる領域を前記遮蔽物領域とし、
前記可視領域指標算出部は、前記可視領域の立体形状モデルを用いて、前記視点位置からみた前記視野領域の可視性を評価する評価指標を算出する、
請求項1に記載の指標算出装置。
【請求項3】
前記対象物領域を前記評価領域とする場合、
前記対象位置は、前記三次元空間における視点の位置を示す視点位置であり、
前記可視領域モデル算出部は、前記三次元空間において前記対象物領域に含まれる物体を前記遮蔽物とし、
前記遮蔽物領域モデル算出部は、前記遮蔽物、及び前記視点位置を基準として前記視点位置から前記遮蔽物の外周にある点に向かう方向に沿って前記遮蔽物を縮小させた物体からなる領域を前記遮蔽物領域とし、
前記可視領域指標算出部は、前記可視領域の立体形状モデルを用いて、前記可視領域を、前記視点位置と前記遮蔽物との間において、前記視野領域の底面と平行な面で切断した断面形状を算出し、算出した前記断面形状を用いて前記対象物における前記視点位置からの可視性を評価する評価指標を算出する、
請求項1に記載の指標算出装置。
【請求項4】
前記視野領域を前記評価領域とする場合、
前記対象位置は、前記対象物における可視性を評価する位置を示す視対象位置であり、
前記可視領域モデル算出部は、前記視野領域に含まれる物体を前記遮蔽物とし、
前記遮蔽物領域モデル算出部は、前記遮蔽物、及び前記視対象位置を基準として前記視対象位置から前記遮蔽物の外周にある点に向かう方向に沿って前記遮蔽物を拡大させた物体からなる領域を前記遮蔽物領域とし、
前記可視領域指標算出部は、前記可視領域の立体形状モデルを用いて、前記視対象位置について、前記三次元空間における任意の位置からの可視性を評価する評価指標を算出する、
請求項1に記載の指標算出装置。
【請求項5】
前記可視領域指標算出部は、前記可視領域を表す立体形状を用いて定量的に算出可能な値を前記評価指標とする、
請求項1から請求項4のいずれか一項に記載の指標算出装置。
【請求項6】
前記可視領域指標算出部は、前記可視領域を表す立体形状の体積、断面積、表面積、投影面積、長さ、立体角のいずれかを前記評価指標とする、
請求項5に記載の指標算出装置。
【請求項7】
前記可視領域指標算出部は、前記可視領域を複数の領域に分け、前記複数の領域の各々に応じた前記評価指標を算出する、
請求項5又は請求項6に記載の指標算出装置。
【請求項8】
仮想的な三次元空間に配置される物体の形状と配置される位置座標とを示す物体モデル情報を記憶する記憶部を備える指標算出装置が行う指標算出方法であって、
可視領域モデル算出部が、前記物体モデル情報を用いて、前記三次元空間に設定された対象位置から視認可能な可視領域の立体形状モデルを算出し、
可視領域指標算出部が、前記可視領域モデル算出部によって算出された前記可視領域の立体形状モデルを用いて、前記可視領域を評価する評価指標を算出し、
前記可視領域モデル算出部では、
視野領域モデル算出部が、視野領域の立体形状モデルを算出し、
対象物領域モデル算出部が、対象物領域の立体形状モデルを算出し、
遮蔽物領域モデル算出部が、遮蔽物領域の立体形状モデルを算出し、
前記視野領域は、前記対象位置から視線方向に形成される領域であり、
前記対象物領域は、前記物体のうちの対象物について、前記対象位置を頂点とし前記対象物を前記対象位置からみた前記対象物の形状を底面とする錐形、及び前記対象物からなる領域であり、
前記遮蔽物領域は、前記物体のうちの遮蔽物について、前記遮蔽物、及び前記対象位置を基準として前記対象位置から前記遮蔽物の外周にある点に向かう方向に沿って前記遮蔽物を拡大又は縮小させた物体からなる領域であり、
前記可視領域は、評価対象とする評価領域から、前記三次元空間において前記評価領域と前記遮蔽物領域とが重複する領域を除外した領域である、
指標算出方法。
【請求項9】
コンピュータを、請求項1から請求項7のいずれか一項に記載の指標算出装置として動作させるためのプログラムであって、前記コンピュータを前記指標算出装置が備える各部として機能させるためのプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、指標算出装置、指標算出方法、及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
空間における可視領域を評価することが行われている。例えば、特許文献1には、人間の目で見た見かけの大きさで可視率を算出する技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2018-13832号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1では三次元形状モデルを半球面に投影させた面要素を用いて可視率を算出する。しかし、面要素から算出できる可視率は限定的であり、空間における可視領域について様々な評価指標を算出することが難しい。
【0005】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、空間における可視領域について様々な評価指標を算出することができる指標算出装置、指標算出方法、及びプログラムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述した課題を解決するために本発明の一実施形態の指標算出装置は、仮想的な三次元空間に配置される物体の形状と配置される位置座標とを示す物体モデル情報を記憶する記憶部と、前記物体モデル情報を用いて、前記三次元空間に設定された対象位置から視認可能な可視領域の立体形状モデルを算出する可視領域モデル算出部と、前記可視領域モデル算出部によって算出された前記可視領域の立体形状モデルを用いて、前記可視領域を評価する評価指標を算出する可視領域指標算出部と、を備え、前記可視領域モデル算出部は、視野領域の立体形状モデルを算出する視野領域モデル算出部と、対象物領域の立体形状モデルを算出する対象物領域モデル算出部と、遮蔽物領域の立体形状モデルを算出する遮蔽物領域モデル算出部と、を有し、前記視野領域は、前記対象位置から視線方向に形成される領域であり、前記対象物領域は、前記物体のうちの対象物について、前記対象位置を頂点とし前記対象物を前記対象位置からみた前記対象物の形状を底面とする錐形、及び前記対象物からなる領域であり、前記遮蔽物領域は、前記物体のうちの遮蔽物について、前記遮蔽物、及び前記対象位置を基準として前記対象位置から前記遮蔽物の外周にある点に向かう方向に沿って前記遮蔽物を拡大又は縮小させた物体からなる領域であり、前記可視領域は、評価対象とする評価領域から、前記三次元空間において前記評価領域と前記遮蔽物領域とが重複する領域を除外した領域である。
【0007】
また、本発明の一実施形態の指標算出装置では、前記視野領域を前記評価領域とする場合、前記対象位置は、前記三次元空間における視点の位置を示す視点位置であり、前記可視領域モデル算出部は、前記三次元空間において前記視野領域に含まれる前記物体を前記遮蔽物とし、前記遮蔽物領域モデル算出部は、前記遮蔽物、及び前記視点位置を基準として前記視点位置から前記遮蔽物の外周にある点に向かう方向に沿って前記遮蔽物を拡大させた物体からなる領域を前記遮蔽物領域とし、前記可視領域指標算出部は、前記可視領域の立体形状モデルを用いて、前記視点位置からみた前記視野領域の可視性を評価する評価指標を算出する。
【0008】
また、本発明の一実施形態の指標算出装置では、前記対象物領域を前記評価領域とする場合、前記対象位置は、前記三次元空間における視点の位置を示す視点位置であり、前記可視領域モデル算出部は、前記三次元空間において前記対象物領域に含まれる物体を前記遮蔽物とし、前記遮蔽物領域モデル算出部は、前記遮蔽物、及び前記視点位置を基準として前記視点位置から前記遮蔽物の外周にある点に向かう方向に沿って前記遮蔽物を縮小させた物体からなる領域を前記遮蔽物領域とし、前記可視領域指標算出部は、前記可視領域の立体形状モデルを用いて、前記可視領域を、前記視点位置と前記遮蔽物との間において、前記視野領域の底面と平行な面で切断した断面形状を算出し、算出した前記断面形状を用いて前記対象物における前記視点位置からの可視性を評価する評価指標を算出する。
【0009】
また、本発明の一実施形態の指標算出装置では、前記視野領域を前記評価領域とする場合、前記対象位置は、前記対象物における可視性を評価する位置を示す視対象位置であり、前記可視領域モデル算出部は、前記視野領域に含まれる物体を前記遮蔽物とし、前記遮蔽物領域モデル算出部は、前記遮蔽物、及び前記視対象位置を基準として前記視対象位置から前記遮蔽物の外周にある点に向かう方向に沿って前記遮蔽物を拡大させた物体からなる領域を前記遮蔽物領域とし、前記可視領域指標算出部は、前記可視領域の立体形状モデルを用いて、前記視対象位置について、前記三次元空間における任意の位置からの可視性を評価する評価指標を算出する。
【0010】
また、本発明の一実施形態の指標算出装置では、前記可視領域指標算出部は、前記可視領域を表す立体形状を用いて定量的に算出可能な値を前記評価指標とする。
【0011】
また、本発明の一実施形態の指標算出装置では、前記可視領域指標算出部は、前記可視領域を表す立体形状の体積、断面積、表面積、投影面積、長さ、立体角のいずれかを前記評価指標とする。
【0012】
また、本発明の一実施形態の指標算出装置では、前記可視領域指標算出部は、前記可視領域を複数の領域に分け、前記複数の領域の各々に応じた前記評価指標を算出する。
【0013】
また、本発明の一実施形態の指標算出方法は、仮想的な三次元空間に配置される物体の形状と配置される位置座標とを示す物体モデル情報を記憶する記憶部を備える評価指標算出装置が行う評価指標算出方法であって、可視領域モデル算出部が、前記物体モデル情報を用いて、前記三次元空間に設定された対象位置から視認可能な可視領域の立体形状モデルを算出し、可視領域指標算出部が、前記可視領域モデル算出部によって算出された前記可視領域の立体形状モデルを用いて、前記可視領域を評価する評価指標を算出し、前記可視領域モデル算出部では、視野領域モデル算出部が、視野領域の立体形状モデルを算出し、対象物領域モデル算出部が、対象物領域の立体形状モデルを算出し、遮蔽物領域モデル算出部が、遮蔽物領域の立体形状モデルを算出し、前記視野領域は、前記対象位置から視線方向に形成される領域であり、前記対象物領域は、前記物体のうちの対象物について、前記対象位置を頂点とし前記対象物を前記対象位置からみた前記対象物の形状を底面とする錐形、及び前記対象物からなる領域であり、前記遮蔽物領域は、前記物体のうちの遮蔽物について、前記遮蔽物、及び前記対象位置を基準として前記対象位置から前記遮蔽物の外周にある点に向かう方向に沿って前記遮蔽物を拡大又は縮小させた物体からなる領域であり、前記可視領域は、評価対象とする評価領域から、前記三次元空間において前記評価領域と前記遮蔽物領域とが重複する領域を除外した領域である。
【0014】
また、本発明の一実施形態のプログラムは、コンピュータを、上記に記載の指標算出装置として動作させるためのプログラムであって、前記コンピュータを前記指標算出装置が備える各部として機能させるためのプログラムである。
【発明の効果】
【0015】
以上説明したように、この発明によれば、空間における可視領域について様々な指標を算出することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】実施形態に係る指標算出装置10の構成例を示すブロック図である。
図2A】実施形態の視野領域WRKの例を示す図である。
図2B】実施形態の対象物領域TRKの例を示す図である。
図2C】実施形態の遮蔽物領域ORKの例を示す図である。
図2D】実施形態の遮蔽物領域ORKの例を示す図である。
図3A】実施形態の可視領域VRKを説明する図である。
図3B】実施形態の可視領域VRKを説明する図である。
図3C】実施形態の可視領域VRKを用いた指標を説明する図である。
図4A】実施形態の可視領域VRKを用いた指標を説明する図である。
図4B】実施形態の可視領域VRKを用いた指標を説明する図である。
図5】実施形態の可視領域VRKを説明する図である。
図6】実施形態の指標算出装置10が行う処理の流れを示すフロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、実施形態の指標算出装置を、図面を参照して説明する。
【0018】
図1は、実施形態に係る指標算出装置10の構成例を示すブロック図である。指標算出装置10は、空間における可視領域について様々な評価指標を算出するコンピュータ装置である。指標算出装置10は、例えば、サーバ装置、PCなどである。可視領域とは、空間に設定した対象位置から視認することができる領域である。
【0019】
ここでの「対象位置」は、「視点位置」、又は「視対象位置」である。「視点位置」は、空間における視点の位置(後述する視点位置P)である。「視対象位置」は、空間に設けられた物体(後述する対象物T)における不可視性を評価する位置(後述する視対象位置P)である。本実施形態では、「対象位置」が「視点位置」である場合を例示して説明する。また、後述する実施形態の変形例では、「対象位置」が「視対象位置」である場合を例示して説明する。「視点位置」は、「対象位置」の一例である。また、「視対象位置」は、「対象位置」の一例である。
【0020】
本実施形態における可視領域は、視点位置から任意の方向に設定した視線方向に、視線を遮る物体(遮蔽物という)がない領域である。
【0021】
指標算出装置10は、例えば、記憶部11と、可視領域モデル算出部12と、可視領域指標算出部13と、表示部14とを備える。
【0022】
記憶部11は、記憶媒体、例えば、HDD(Hard Disk Drive)、フラッシュメモリ、EEPROM(Electrically Erasable Programmable Read Only Memory)、RAM(Random Access read/write Memory)、ROM(Read Only Memory)、または、これらの記憶媒体の任意の組み合わせによって構成される。記憶部11は、指標算出装置10の各種の処理を実行するためのプログラム、及び各種の処理を行う際に利用される一時的なデータを記憶する。
【0023】
指標算出装置10の各種の処理は、例えば、指標算出装置10のCPU(Central Processing Unit)、或いはGPU(Graphics Processing Unit)が記憶部11に予め記憶されたプログラムを実行することにより実現される。また、指標算出装置10の各種の処理の全部または一部が、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)等の集積回路で実現されてもよい。
【0024】
記憶部11は、例えば、コンピュータ上で仮想的な立体形状について信号処理を行う立体形状処理プログラム(例えば、3DCAD等)を記憶する。立体形状処理プログラムは、例えば、仮想的な立体形状モデルを生成したり、複数の立体形状モデルをブーリアン演算などのアルゴリズムを用いた和、差、積といった集合演算により組み合わせて合成された立体形状モデルを生成したりする演算処理を実行する。本実施形態では、この立体形状処理プログラムを利用して、可視領域など、各種の領域の立体形状モデルを生成する。
【0025】
記憶部11は、例えば、物体モデル情報110を記憶する。物体モデル情報110は、空間(三次元空間)に配置される物体の立体形状モデルに関する情報である。物体モデル情報110は、空間に配置される物体ごとに作成され、例えば、物体の立体形状を示す情報と、その物体が空間に配置される位置を示す三次元座標値などである。
【0026】
可視領域モデル算出部12は、可視領域の立体形状モデルを算出する。可視領域モデル算出部12は、例えば、視野領域モデル算出部120と、対象物領域モデル算出部121と、遮蔽物領域モデル算出部122とを備える。
【0027】
視野領域モデル算出部120は、視野領域の立体形状モデルを算出する。
図2Aは、実施形態の視野領域WRKの例を示す図である。この図に示すように、視野領域WRKは、ある視点位置Pから視線方向PVに形成される領域である。この図の例では、視野領域WRKの形状が、半球形状、楕円錐形状、円錐形状、角錐形状などである場合が示されている。視野領域WRKの形状は任意に決定されてよい、例えばこの図の例に示す形状群から適宜選択されて用いられる。
【0028】
対象物領域モデル算出部121は、対象物領域の立体形状モデルを算出する。
図2Bは、実施形態の対象物領域TRKの例を示す図である。この図に示すように、対象物領域TRKは、視点位置Pから対象物Tについて、視点位置Pを頂点とし、対象物Tを視点位置Pからみた対象物Tの形状(方形GK)を底面とする錐形、及び対象物Tからなる領域である。この図の例では、対象物Tは、直方体形状の物体であり、対象物Tを視点位置Pからみた対象物Tの形状は、方形GKとなる。すなわち、この図の例では、対象物領域TRKは、視点位置Pを頂点とし方形GKを底面とする錐形と、対象物Tとを合成した、錘(おもり)のような、雫(しずく)のような形状の領域となる。
【0029】
遮蔽物領域モデル算出部122は、遮蔽物領域の立体形状モデルを算出する。
図2C図2Dは、実施形態の遮蔽物領域ORKの例を示す図である。この二つの図に示すように、遮蔽物領域ORKは、遮蔽物OA、及び視点位置Pを基準として視点位置Pから遮蔽物OAの外周上の点に向かう方向に沿って拡大させた物体(図2Cにおける物体OB)、又は縮小させた物体(図2Dにおける物体OC)とからなる領域である。
【0030】
図2Cには、遮蔽物OAの立体形状を拡大させた場合の遮蔽物領域ORKの例が示されている。この図の例に示すように、遮蔽物領域ORKは、例えば、遮蔽物OAと、遮蔽物OAを所定の方向に沿って拡大掃引してなる物体OBとを含む領域である。
【0031】
図2Dには、遮蔽物OAの立体形状を縮小させた場合の遮蔽物領域ORKの例が示されている。この図の例に示すように、遮蔽物領域ORKは、例えば、遮蔽物OAと、遮蔽物OAを所定の方向に沿って縮小掃引してなる物体OCとを含む領域である。
【0032】
可視領域モデル算出部12は、評価対象とする評価領域の立体形状から、空間において評価領域と遮蔽物領域ORKとが重複する領域を除外した領域を可視領域とし、可視領域の立体形状モデルを作成する。ここでの評価領域は、その可視領域を評価する領域であり、例えば、視野領域WRK、或いは、対象物領域TRKである。
【0033】
(視野領域WRKを評価領域とする場合について)
ここで、視野領域WRKを評価領域とする場合の可視領域VRKについて説明する。
図3A図3Bは、視野領域WRKを評価領域とする場合の可視領域VRKを説明する図である。図3Aに示すように、ある視点位置Pに基づく可視領域VRKを、遮蔽物Oに基づいて生成する手順を考える。この場合、図3Bに示すように、遮蔽物領域ORKは、遮蔽物OAと、視点位置Pを基準として遮蔽物OAを拡大掃引してなる物体OBとを含む領域である。視野領域WRKから、遮蔽物Oにおける遮蔽物領域ORKを除外した領域が、可視領域VRKとなる。
【0034】
可視領域指標算出部13は、可視領域モデル算出部12によって算出された可視領域VRKの立体形状モデルを用いて可視領域を評価する評価指標を算出する。可視領域指標算出部13は、例えば、可視領域の立体形状から定量的に算出される値を評価指標とする。可視領域の立体形状から定量的に算出される値とは、例えば、可視領域の立体形状における体積、断面積、表面積、投影面積、長さ、立体角などである。ここでの立体形状における長さとは、立体形状に含まれるいずれかの点と、当該点とは異なる点との距離である。例えば、立体形状におけるいずれかの点を視点位置Pとした場合、その視点位置Pから視線方向に沿って立体形状の外周面に到達した位置までの距離を、立体形状の長さとしてもよい。より具体的には、立体形状が錐体である場合、錐体の頭頂点を視点位置Pとし、視点位置Pと底面までの距離を、立体形状の長さとしてもよい。
【0035】
図3Cは、実施形態の可視領域VRKを用いた指標を説明する図である。この図の例に示すように、可視領域指標算出部13は、例えば、可視領域VRKを、視点位置Pから等距離となる複数のエリアE1~E3に分け、エリアごとに評価指標を算出するようにしてもよい。例えば、可視領域指標算出部13はエリアごとに、視野領域WRKに対する可視領域VRKの割合を百分率で示した値を、可視性の評価指標として算出する。この場合、エリアE1、E2においては遮蔽物が存在しないため、視野領域WRKと可視領域VRKは同一の領域となり、可視性は100%となる。一方、エリアE3においては遮蔽物が存在するため、視野領域WRKより可視領域VRKは小さい領域となり、可視性は100%より低い値となり、可視性が低下する。このような評価指標は、例えば、視点位置Pに防犯カメラを設置した場合における、防犯カメラで監視可能な範囲を検証する際に用いられる。
【0036】
(対象物領域TRKを評価領域とする場合について)
ここで、対象物領域TRKを評価領域とする場合の可視領域VRKについて説明する。
図4A図4Bは、対象物領域TRKを評価領域とする場合の可視領域VRK、及び評価指標を説明する図である。図4Aは可視領域VRKの斜視図、図4B図4Aの平面図を示している。
【0037】
図4Aに示すように、ある視点位置Pに基づく対象物領域TRKに、遮蔽物Oが存在する場合を考える。この図の例では、劇場やホール、映画館などの空間において、ある座席位置を視点位置Pとし、舞台スクリーンを対象物Tとし、前方の座席にいる他の観客を遮蔽物Oとする場合が示されている。
【0038】
この場合、図4Aに示すように、遮蔽物領域ORKは、遮蔽物Oと、視点位置Pを基準として遮蔽物Oを縮小掃引してなる物体とを含む領域である。対象物領域TRKから、遮蔽物Oにおける遮蔽物領域ORKを除外した領域が、可視領域VRKとなる。
【0039】
ここで、図4A図4Bに示す可視領域VRKを評価する方法について説明する。
可視領域指標算出部13は、可視領域VRKにおける視点位置Pに基づき視野領域WRKを設定する。ここで、図4Bの平面図に示す通り、視野領域WRKの底面と、対象物領域TRKの底面とは、必ずしも並行な関係とはならない。可視領域指標算出部13は、可視領域VRKを、視点位置Pと遮蔽物との間において、視野領域WRKの底面と平行な面で切断した断面SEを算出する。可視領域指標算出部13は、例えば、断面における視野領域WRKの底面積に対する可視領域VRKの断面SEが占める面積の割合を、可視性の評価指標とする。
【0040】
このように、可視領域指標算出部13は、対象物Tではなく、視野領域WRKの底面に基づいて可視性を評価するようにしてもよい。これにより、人が対象物Tを視認した場合の見かけの大きさを用いた評価指標を算出することができる。したがって、より人間の感覚に近い評価指標を算出することが可能となる。
【0041】
(実施形態の変形例)
次に、実施形態の変形例について説明する。本変形例では、対象物Tの任意の位置における不可視性(可視性を含む)を評価する点において、上述した実施形態と相違する。対象物Tの不可視性とは、空間における任意の位置からの、対象物Tの見え難さである。対象物Tの可視性とは、空間における任意の位置からの、対象物Tの見え易さである。本変形例では、不可視性を評価するために、「対象位置」を「視対象位置」とする。「視対象位置」は、空間に設けられた対象物Tにおける不可視性を評価する位置(図5の視対象位置P)である。具体的に、本変形例では、対象物Tにおいて不可視性を評価する位置に、視対象位置Pを設定する。そして、視対象位置Pから任意の方向において遮蔽物というがない領域を抽出する。このようにして抽出した領域における任意位置から視対象位置Pが見えること、及び抽出されなかった領域からは視対象位置Pが見えないことを利用して、対象物Tの不可視性を評価する。
【0042】
(不可視性を評価する場合について)
ここで、対象物Tの不可視性を評価する方法について説明する。図5は、実施形態の可視領域VRKを説明する図である。この図の例では、階段状の遮蔽物Oの近傍に、スカートのような筒状形状の対象物Tが存在する空間が示されている。ここでは、対象物Tの内側の不可視性、すなわち、対象物Tの内側が周囲から見えない度合を評価する。
【0043】
可視領域モデル算出部12は、対象物Tにおいて不可視性を評価する位置(ここでは、対象物Tの内側)に視対象位置Pを設定する。可視領域モデル算出部12は、空間において視対象位置Pから視線方向に生成される視野領域WRKを評価領域とする。可視領域モデル算出部12は、視野領域WRKに含まれる物体(ここでは、階段状の遮蔽物O)を遮蔽物とする。この場合、遮蔽物領域ORKは、遮蔽物Oと、視対象位置Pを基準として遮蔽物Oを拡大掃引してなる物体を含む領域である。視野領域WRKから、遮蔽物Oにおける遮蔽物領域ORKを除外した領域が、可視領域VRKとなる。
【0044】
図6は、実施形態の指標算出装置10が行う処理の流れを示すフロー図である。指標算出装置10は、評価対象を決定する(ステップS10)。例えば、指標算出装置10は、キーボードやマウス等の入力装置(不図示)を介して評価対象を示す情報がユーザなどから入力された情報にしたがい、評価対象を決定する。ここでは、評価対象は、視野領域WRKの可視性、対象物領域TRKの可視性、及び対象物Tの不可視性のいずれかであるとする。
【0045】
評価対象が、視野領域WRKの可視性であった場合、指標算出装置10は、空間における視点位置Pを決定する(ステップS11)。また、指標算出装置10は、視線方向PVを決定する(ステップS12)。指標算出装置10は、任意の位置を視点位置Pとしてよいし、任意の方向を視線方向PVとしてよい。指標算出装置10は、ステップS11、S12で決定した視点位置P及び視線方向PVに基づいて、視野領域WRKの立体形状モデルを算出する(ステップS13)。また、指標算出装置10は、視野領域WRKに存在する物体を遮蔽物Oとし、その遮蔽物Oの遮蔽物領域ORKの立体形状モデルを算出する(ステップS14)。指標算出装置10は、視野領域WRKから遮蔽物領域ORKを除外することにより可視領域VRKの立体形状モデルを算出する(ステップS15)。指標算出装置10は、可視領域VRKの立体形状に基づいて、視野領域WRKの可視性を評価する評価指標を算出する(ステップS16)。
【0046】
評価対象が、対象物領域TRKの可視性であった場合、指標算出装置10は、対象物Tを決定する(ステップS17)。また、指標算出装置10は、視点位置Pを決定する(ステップS18)。指標算出装置10は、任意の位置を視点位置Pとしてよいし、任意の物体を対象物Tとしてよい。指標算出装置10は、ステップS17、S18で決定した視点位置P及び対象物Tに基づいて、対象物領域TRKの立体形状モデルを算出する(ステップS19)。また、指標算出装置10は、対象物領域TRKに存在する物体を遮蔽物Oとし、その遮蔽物Oの遮蔽物領域ORKの立体形状モデルを算出する(ステップS20)。指標算出装置10は、対象物領域TRKから遮蔽物領域ORKを除外することにより可視領域VRKの立体形状モデルを算出する(ステップS21)。指標算出装置10は、可視領域VRKの立体形状に基づいて、対象物領域TRKの可視性を評価する評価指標を算出する(ステップS22)。
【0047】
評価対象が、対象物Tの不可視性であった場合、指標算出装置10は、対象物Tを決定する(ステップS23)。また、指標算出装置10は、対象物Tの中に視対象位置Pを設定する(ステップS24)。指標算出装置10は、任意の物体を対象物Tとしてよいし、任意の位置を視対象位置Pとしてよい。指標算出装置10は、ステップS23、S24で決定した視対象位置P、及び任意の視線方向PVに基づいて、視野領域WRKの立体形状モデルを算出する(ステップS25)。また、指標算出装置10は、視野領域WRKに存在する物体を遮蔽物Oとし、その遮蔽物Oの遮蔽物領域ORKの立体形状モデルを算出する(ステップS26)。指標算出装置10は、視野領域WRKから遮蔽物領域ORKを除外することにより可視領域VRKの立体形状モデルを算出する(ステップS27)。指標算出装置10は、可視領域VRKの立体形状に基づいて、対象物Tの不可視性を評価する評価指標を算出する(ステップS28)。なお、ここで、指標算出装置10は、可視領域VRKの立体形状に基づいて、対象物Tの可視性を評価する評価指標を算出するようにしてもよい。
【0048】
以上、説明したように、実施形態の指標算出装置10は、記憶部11と、可視領域モデル算出部12と、可視領域指標算出部13とを備える。記憶部11は物体モデル情報110を記憶する。物体モデル情報110は、空間に配置される物品の形状と、配置される位置座標とを示す情報である。可視領域モデル算出部12は、物体モデル情報110を用いて、空間に設定された視点位置Pから視認可能な可視領域VRKの立体形状モデルを算出する。可視領域指標算出部13は、可視領域モデル算出部12によって算出された可視領域VRKの立体形状モデルを用いて、可視領域VRKを評価する評価指標を算出する。可視領域モデル算出部12は、視野領域モデル算出部120と、対象物領域モデル算出部121と、遮蔽物領域モデル算出部122とを有する。視野領域モデル算出部120は、視野領域WRKの立体形状モデルを算出する。対象物領域モデル算出部121は、対象物領域TRKの立体形状モデルを算出する。遮蔽物領域モデル算出部122は、遮蔽物領域ORKの立体形状モデルを算出する。視野領域WRKは、対象位置P(視点位置P、又は視対象位置P)から視線方向PVに形成される領域である。対象物領域TRKは、空間に配置される物体のうちの対象物Tについて、対象位置Pを頂点とし、対象位置Pからみた対象物Tの形状を底面とする錐形、及び対象物Tからなる領域である。遮蔽物領域ORKは、空間に配置される物体のうちの遮蔽物Oについて、遮蔽物O、及び対象位置Pを基準として対象位置Pから遮蔽物Oの外周上の点に向かう方向に沿って遮蔽物Oを拡大又は縮小させた物体からなる領域である。可視領域VRKは、評価対象とする評価領域から、空間においてその評価領域と遮蔽物領域ORKとが重複する領域を除外した領域である。
【0049】
これにより、実施形態の指標算出装置10では、可視領域VRKの立体形状モデルを用いて、体積、表面積、断面積、投影面積、長さ、立体角などに基づく様々な評価指標を算出することができる。
【0050】
ここで比較例として、視野領域を投影させた投影面と、遮蔽物Oを投影させた投影面とを用いて、評価指標(例えば、可視率)を算出する場合を考える。この場合、遮蔽物Oの投影面積が同じ値であれば、遮蔽物Oの位置座標によらず、同一の可視率となる。しかしながら、錯視のように、同じ物体であっても、遠くにあると知覚される場合と、近くにあると知覚される場合とで、人にはその大きさが異なるように認識される場合がある。比較例では、このような、遮蔽物Oが近くにあるか近くあるかに応じた可視率を算出することが難しい。
【0051】
これに対し、実施形態の指標算出装置10では、可視領域VRKの立体形状モデルを用いて評価指標を算出することができるため、遮蔽物Oが近くにあるか近くあるかに応じた可視率を算出することが可能である。
【0052】
また、実施形態の指標算出装置10では、視野領域WRKを評価領域として視野領域WRKにおける可視性を評価する場合、対象位置Pは、空間における視点の位置を示す視点位置Pである。可視領域モデル算出部12は、視野領域WRKに含まれる物体を遮蔽物Oとする。遮蔽物領域モデル算出部122は、遮蔽物O、及び視点位置Pを基準として、視点位置Pから遮蔽物Oの外周にある点に向かう方向に沿って遮蔽物Oを拡大させた物体からなる領域を遮蔽物領域ORKとする。可視領域指標算出部13は、可視領域VRKの立体形状モデルを用いて、視野領域WRKからみた視野領域WRKの可視性を評価する評価指標を算出する。これにより、実施形態の指標算出装置10では、視野領域WRKにおける可視領域VRKの立体形状を用いて視野を様々に評価することが可能である。
【0053】
また、実施形態の指標算出装置10では、対象物領域TRKを評価領域として対象物領域TRKにおける可視性を評価する場合、対象位置Pは、空間における視点の位置を示す視点位置Pである。可視領域モデル算出部12は、対象物領域TRKに含まれる物体を遮蔽物Oとする。遮蔽物領域モデル算出部122は、遮蔽物O、及び視点位置Pを基準として、視点位置Pから遮蔽物Oの外周にある点に向かう方向に沿って遮蔽物Oを縮小させた物体からなる領域を遮蔽物領域ORKとする。可視領域指標算出部13は、可視領域VRKの立体形状モデルを用いて、可視領域VRKを視野領域WRKの底面と平行な面で切断した断面形状を算出し、算出した断面形状を用いて対象物領域TRKの可視性を評価する評価指標を算出する。可視領域指標算出部13は、視点位置Pと遮蔽物Oとの間において可視領域VRKを切断した断面形状を算出する。これにより、実施形態の指標算出装置10では、対象物領域TRKにおける可視領域VRKの立体形状を用いて視野を様々に評価することが可能である。
【0054】
さらに、実施形態の指標算出装置10では、対象物領域TRKの可視領域VRKを、視野領域WRKの底面と平行な面で切断する。このため、人間の視野を基準とした対象物Tの見かけの大きさに基づく評価を行うことができる。
【0055】
また、実施形態の変形例に係る指標算出装置10では、視野領域WRKを評価領域として対象物Tにおける任意の位置の可視性(不可視性を含む)を評価する場合、対象位置Pは、対象物Tにおける可視性(不可視性を含む)を評価する位置を示す視対象位置Pである。可視領域モデル算出部12は、視野領域WRKに含まれる物体を遮蔽物Oとする。遮蔽物領域モデル算出部122は、遮蔽物O、及び視対象位置Pを基準として視対象位置Pから遮蔽物Oの外周にある点に向かう方向に沿って遮蔽物Oを拡大させた物体からなる領域を遮蔽物領域ORKとする。可視領域指標算出部13は、可視領域VRKの立体形状モデルを用いて、視対象位置Pについて、空間における任意の位置からの可視性(不可視性を含む)を評価する評価指標を算出する。これにより、実施形態の指標算出装置10では、対象物Tに仮想的な視点を設定した場合における視野領域WRKの可視領域VRKを評価することができる。したがって、上述した実施形態における視点位置Pからの見通しを評価可能であるだけでなく、本変形例のように対象物Tの特定の位置における見られ易さ(見られ難さを含む)を評価することが可能となる。
【0056】
また、実施形態の指標算出装置10では、可視領域VRKを表す立体形状を用いて定量的に算出可能な数値、例えば、体積、断面積、表面積、投影面積、長さ、立体角のいずれかを評価指標とする。これにより、立体形状を用いて定量的な評価指標を算出することが可能である。また、実施形態の指標算出装置10では、(対象位置P(視点位置P、又は視対象位置P)からの距離に応じて)可視領域VRKを複数の領域に分け、複数の領域の各々に応じた評価指標を算出するようにしてもよい。これにより、対象位置P(視点位置P、又は視対象位置P)と遮蔽物Oとの相対的な位置関係を考慮した評価を行うことが可能である。
【0057】
上述した実施形態における指標算出装置10の全部または一部をコンピュータで実現するようにしてもよい。その場合、この機能を実現するためのプログラムをコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録して、この記録媒体に記録されたプログラムをコンピュータシステムに読み込ませ、実行することによって実現してもよい。なお、ここでいう「コンピュータシステム」とは、OSや周辺機器等のハードウェアを含むものとする。また、「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、フレキシブルディスク、光磁気ディスク、ROM、CD-ROM等の可搬媒体、コンピュータシステムに内蔵されるハードディスク等の記憶装置のことをいう。さらに「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、インターネット等のネットワークや電話回線等の通信回線を介してプログラムを送信する場合の通信線のように、短時間の間、動的にプログラムを保持するもの、その場合のサーバやクライアントとなるコンピュータシステム内部の揮発性メモリのように、一定時間プログラムを保持しているものも含んでもよい。また上記プログラムは、前述した機能の一部を実現するためのものであってもよく、さらに前述した機能をコンピュータシステムにすでに記録されているプログラムとの組み合わせで実現できるものであってもよく、FPGA等のプログラマブルロジックデバイスを用いて実現されるものであってもよい。
【0058】
以上、この発明の実施形態について図面を参照して詳述してきたが、具体的な構成はこの実施形態に限られるものではなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲の設計等も含まれる。
【符号の説明】
【0059】
10…指標算出装置、11…記憶部、12…可視領域モデル算出部、120…視野領域モデル算出部、121…対象物領域モデル算出部、122…遮蔽物領域モデル算出部、13…可視領域指標算出部、14…表示部、110…物体モデル情報、P…対象位置(視点位置)(視対象位置)、PV…視線方向、WRK…視野領域、TRK…対象物領域、ORK…遮蔽物領域、VRK…可視領域
図1
図2A
図2B
図2C
図2D
図3A
図3B
図3C
図4A
図4B
図5
図6