(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-17
(45)【発行日】2024-10-25
(54)【発明の名称】給湯システム
(51)【国際特許分類】
F24H 1/18 20220101AFI20241018BHJP
F24H 4/02 20220101ALI20241018BHJP
F24H 15/262 20220101ALI20241018BHJP
F24H 15/315 20220101ALI20241018BHJP
【FI】
F24H1/18 D
F24H4/02 G
F24H15/262
F24H15/315
(21)【出願番号】P 2021005745
(22)【出願日】2021-01-18
【審査請求日】2023-09-22
(73)【特許権者】
【識別番号】000115854
【氏名又は名称】リンナイ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000110
【氏名又は名称】弁理士法人 快友国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】河野 秀勇
【審査官】大谷 光司
(56)【参考文献】
【文献】特開2013-224764(JP,A)
【文献】特開2017-096583(JP,A)
【文献】特開2020-200996(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F24H1/00-15/493
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
給湯システムであって、
タンクと、
前記タンクに貯留されている水を加熱する熱源機と、
給湯箇所に供給される水を加熱する補助熱源機と、
上流端が前記タンクに接続されている出湯経路と、
上流端が給水源に接続されており、下流端が前記出湯経路の下流端に接続されている第1給水経路と、
上流端が前記給水源に接続されており、下流端が前記タンクに接続されている第2給水経路と、
上流端が前記出湯経路と前記第1給水経路の接続部分に接続されており、下流端が前記給湯箇所に接続されている給湯経路と、
前記出湯経路から前記給湯経路に供給される水の流量と、前記第1給水経路から前記給湯経路に流れる水の流量の割合を調整する混合弁と、
制御装置と、を備え、
前記制御装置は、
前記熱源機を駆動させ、沸上目標温度まで加熱された水を前記タンクに貯留する沸上運転と、
前記補助熱源機を駆動させることなく、前記タンクに貯留されている水を前記給湯箇所に供給する第1給湯運転と、
前記補助熱源機を駆動させ、給湯設定温度に加熱された水を前記給湯箇所に供給する第2給湯運転と、を実行可能に構成されており、
前記制御装置は、
災害に関連する情報である災害情報を受信し、
前記災害情報を受信した後において、前記第1給湯運転を実行せずに、前記第2給湯運転を実行
し、
前記災害情報を受信した後に実行する前記第2給湯運転において、前記混合弁の開度を、前記出湯経路から前記給湯経路に水が流れ、かつ、前記第1給水経路から前記給湯経路に水が流れる特定開度に調整し、
前記特定開度は、前記給湯経路を流れる水の流量である動作流量に関わらず、前記給湯経路を流れる水の温度が特定温度になるようにするための開度であり、
前記特定温度は、前記給湯設定温度から、前記補助熱源機の最小加熱能力で上昇させることが可能な温度である最小上昇温度を減算した温度よりも低い温度であり、
前記災害情報を受信した後に実行する前記第2給湯運転において、前記動作流量が多いほど、前記給湯箇所に供給される水を前記給湯設定温度まで加熱するのに必要な前記補助熱源機の加熱能力は大きくなる、
給湯システム。
【請求項2】
給湯システムであって、
タンクと、
前記タンクに貯留されている水を加熱する熱源機と、
給湯箇所に供給される水を加熱する補助熱源機と、
上流端が前記タンクに接続されている出湯経路と、
上流端が給水源に接続されており、下流端が前記出湯経路の下流端に接続されている第1給水経路と、
上流端が前記給水源に接続されており、下流端が前記タンクに接続されている第2給水経路と、
上流端が前記出湯経路と前記第1給水経路の接続部分に接続されており、下流端が前記給湯箇所に接続されている給湯経路と、
前記出湯経路から前記給湯経路に供給される水の流量と、前記第1給水経路から前記給湯経路に流れる水の流量の割合を調整する混合弁と、
制御装置と、を備え、
前記制御装置は、
前記熱源機を駆動させ、沸上目標温度まで加熱された水を前記タンクに貯留する沸上運転と、
前記補助熱源機を駆動させることなく、前記タンクに貯留されている水を前記給湯箇所に供給する第1給湯運転と、
前記補助熱源機を駆動させ、給湯設定温度に加熱された水を前記給湯箇所に供給する第2給湯運転と、を実行可能に構成されており、
前記制御装置は、
災害に関連する情報である災害情報を受信し、
前記災害情報を受信した後において、前記第1給湯運転を実行せずに、前記第2給湯運転を実行
し、
前記災害情報を受信した後に実行する前記第2給湯運転において、前記混合弁の開度を、前記出湯経路から前記給湯経路に水が流れ、かつ、前記第1給水経路から前記給湯経路に水が流れる特定開度に調整し、
前記制御装置は、
前記災害情報を受信
した後であり、かつ、前記第2給湯運転を実行する前に、前記混合弁の開度を
前記特定開度に切替える、
給湯システム。
【請求項3】
給湯システムであって、
タンクと、
前記タンクに貯留されている水を加熱する熱源機と、
給湯箇所に供給される水を加熱する補助熱源機と、
上流端が前記タンクに接続されている出湯経路と、
上流端が給水源に接続されており、下流端が前記出湯経路の下流端に接続されている第1給水経路と、
上流端が前記給水源に接続されており、下流端が前記タンクに接続されている第2給水経路と、
上流端が前記出湯経路と前記第1給水経路の接続部分に接続されており、下流端が前記給湯箇所に接続されている給湯経路と、
前記出湯経路から前記給湯経路に供給される水の流量と、前記第1給水経路から前記給湯経路に流れる水の流量の割合を調整する混合弁と、
制御装置と、を備え、
前記制御装置は、
前記熱源機を駆動させ、沸上目標温度まで加熱された水を前記タンクに貯留する沸上運転と、
前記補助熱源機を駆動させることなく、前記タンクに貯留されている水を前記給湯箇所に供給する第1給湯運転と、
前記補助熱源機を駆動させ、給湯設定温度に加熱された水を前記給湯箇所に供給する第2給湯運転と、を実行可能に構成されており、
前記制御装置は、
災害に関連する情報である災害情報を受信し、
前記災害情報を受信した後において、前記第1給湯運転を実行せずに、前記第2給湯運転を実行
し、
前記災害情報を受信した後に実行する前記第2給湯運転において、前記混合弁を、前記出湯経路から前記給湯経路に水が流れず、前記第1給水経路から前記給湯経路に水が流れる全閉状態とし、
前記制御装置は、
前記災害情報を受信した後であり、かつ、前記第2給湯運転を実行する前に、前記混合弁を前記全閉状態に切替える、
給湯システム。
【請求項4】
前記制御装置は、
前記災害情報を受信
した後に、前記沸上運転を実行する、請求項1から
3のいずれか一項に記載の給湯システム。
【請求項5】
前記制御装置は、
前記熱源機を、少なくとも、第1の加熱能力、及び、前記第1の加熱能力よりも高い第2の加熱能力で動作させることが可能に構成されており、
前記災害情報を受信
した後に実行する前記沸上運転において、前記熱源機を前記第2の加熱能力で動作させる、請求項
4に記載の給湯システム。
【請求項6】
前記制御装置は、
前記沸上目標温度として、第1目標温度と、前記第1目標温度よりも高い第2目標温度と、を利用可能であり、
前記災害情報を受信
した後に実行する前記沸上運転において、前記第2目標温度まで加熱された水を前記タンクに貯留する、請求項
4又は
5に記載の給湯システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書で開示する技術は、給湯システムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、タンクと、タンクに貯留されている水を加熱する熱源機と、制御装置と、を備える給湯システムが開示されている。制御装置は、熱源機を駆動させ、沸上目標温度まで加熱された水をタンクに貯留する沸上運転と、タンクに貯留されている水を給湯箇所に供給する給湯運転と、を実行可能に構成されている。制御装置は、災害に関連する災害情報を受信可能に構成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
災害の種類によっては、災害情報が受信されてから所定時間が経過した後に、断水、停電等が発生する。この場合、災害情報が受信されてから断水、停電等が発生するまでの間に、給湯運転が実行されることがある。給湯運転が実行されると、タンクに貯留されている温度の高い水(以下では、「湯」と記載する)の量が少なくなっていく。このため、断水、停電等が発生した時点において、タンクに貯留されている湯の量が少ないという状況が発生し得る。
【0005】
本明細書では、災害情報が受信された後に断水、停電等が発生した場合において、ユーザが利用できる湯量を多く確保することが可能な技術を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本明細書が開示する給湯システムは、タンクと、前記タンクに貯留されている水を加熱する熱源機と、給湯箇所に供給される水を加熱する補助熱源機と、制御装置と、を備え、前記制御装置は、前記熱源機を駆動させ、沸上目標温度まで加熱された水を前記タンクに貯留する沸上運転と、前記補助熱源機を駆動させることなく、前記タンクに貯留されている水を前記給湯箇所に供給する第1給湯運転と、前記補助熱源機を駆動させ、給湯設定温度に加熱された水を前記給湯箇所に供給する第2給湯運転と、を実行可能に構成されており、前記制御装置は、災害に関連する情報である災害情報を受信し、前記災害情報を受信した後において、前記第1給湯運転を実行せずに、前記第2給湯運転を実行する。
【0007】
上記の給湯システムにおいて、制御装置は、災害情報を受信した後において、第1給湯運転を実行せずに、第2給湯運転を実行する。このような構成によると、災害情報が受信された後において第1給湯運転が実行される場合と比較して、タンク内の湯量が減少することを抑制することができる。このため、災害情報が受信された後に断水、停電等が発生した場合において、ユーザが利用できる湯量を多く確保することができる。
【0008】
給湯システムは、さらに、上流端がタンクに接続されている出湯経路と、上流端が給水源に接続されており、下流端が出湯経路の下流端に接続されている第1給水経路と、上流端が出湯経路と第1給水経路の接続部分に接続されており、下流端が給湯箇所に接続されている給湯経路と、出湯経路から給湯経路に供給される水の流量と、第1給水経路から給湯経路に流れる水の流量の割合を調整する混合弁と、を備えてもよい。制御装置は、災害情報を受信した後に実行する第2給湯運転において、混合弁を、出湯経路から給湯経路に水が流れず、第1給水経路から給湯経路に水が流れる全閉状態としてもよい。
【0009】
上記の構成によると、災害情報が受信された後において、給湯箇所への給湯においてタンク内の湯は利用されない。従って、災害情報が受信された後に断水、停電等が発生した場合において、ユーザが利用できる湯量を十分に確保することができる。
【0010】
給湯システムは、さらに、上流端がタンクに接続されている出湯経路と、上流端が給水源に接続されており、下流端が出湯経路の下流端に接続されている第1給水経路と、上流端が給水源に接続されており、下流端がタンクに接続されている第2給水経路と、上流端が出湯経路と第1給水経路の接続部分に接続されており、下流端が給湯箇所に接続されている給湯経路と、出湯経路から給湯経路に供給される水の流量と、第1給水経路から給湯経路に流れる水の流量の割合を調整する混合弁と、を備えてもよい。制御装置は、災害情報を受信した後に実行する第2給湯運転において、混合弁の開度を、出湯経路から給湯経路に水が流れ、かつ、第1給水経路から給湯経路に水が流れる特定開度に調整してもよい。
【0011】
上記の構成によると、災害情報が受信された後において、第1給湯運転が実行される場合と比較して、タンク内の湯量が減少することを抑制することができる。従って、災害情報が受信された後に断水、停電等が発生した場合において、ユーザが利用できる湯量を確保することができる。
【0012】
給湯システムは、さらに、上流端が給水源に接続されており、下流端がタンクに接続されている第2給水経路を備えてもよい。制御装置は、災害情報を受信する場合に、混合弁の開度を、出湯経路から給湯経路に水が流れ、かつ、第1給水経路から給湯経路に水が流れる特定開度に切替えてもよい。
【0013】
上記の構成によれば、仮に、災害情報が受信された後に、停電が発生し、熱源機及び補助熱源機を駆動させることができなくなったとしても、断水が発生していなければ、タンクに貯留されている湯を利用して、給湯箇所に給湯することができる。例えば、ユーザが、給湯箇所において、開栓操作を実行すると、給水源から第2給水経路を通って、水がタンクに供給される。タンクに水が供給されることで、タンクに貯留されている湯が出湯経路、及び、給湯経路を通って、給湯箇所に供給される。このように、ユーザの利便性を向上させることができる。
【0014】
制御装置は、災害情報を受信する場合に、沸上運転を実行してもよい。
【0015】
上記の構成によれば、災害情報が受信された時点において、タンクに貯留されている湯量が少なかったとしても、タンクに貯留されている湯量を増加させることができる。
【0016】
制御装置は、熱源機を、少なくとも、第1の加熱能力、及び、第1の加熱能力よりも高い第2の加熱能力で動作させることが可能に構成されており、災害情報を受信する場合に実行する沸上運転において、熱源機を第2の加熱能力で動作させてもよい。
【0017】
上記の構成によれば、災害情報が受信される場合に実行される沸上運転において、熱源機を第1の加熱能力で動作させる場合と比較して、沸上運転に要する時間を短くすることができる。このため、仮に、災害情報を受信してから比較的に短い時間が経過した時点において停電が発生した場合であっても、タンクに貯留される湯量を多くすることができる。
【0018】
制御装置は、沸上目標温度として、第1目標温度と、第1目標温度よりも高い第2目標温度と、を利用可能であり、災害情報を受信する場合に実行する沸上運転において、第2目標温度まで加熱された水をタンクに貯留してもよい。
【0019】
上記の構成によれば、災害情報が受信される場合に第1目標温度まで加熱された湯をタンクに貯留する構成と比較して、タンクに貯留される熱量を多くすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【
図1】第1、第2実施例の給湯システム10の構成を模式的に示す図である。
【
図2】第1、第2実施例の給湯システム10における災害対応時の沸上処理のフローチャートである。
【
図3】第1、第2実施例の給湯システム10における災害対応時の給湯処理のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0021】
(第1実施例)
図1は本実施例の給湯システム10の構成を示している。
図1に示すように、給湯システム10は、タンクユニット20と、HP熱源ユニット40と、ガス熱源ユニット60と、コントローラ100と、を備えている。
【0022】
HP熱源ユニット40は、ヒートポンプ42を備えている。ヒートポンプ42は、冷媒(例えばR744(CO2冷媒)、R32(HFC冷媒))を循環させる冷媒循環路43と、外気と冷媒との間で熱交換を行う第1熱交換器44と、第1熱交換器44に外気を送風するファン45と、冷媒を圧縮して高温高圧にする圧縮機46と、後述する循環往路接続経路50内の水と高温高圧の冷媒との間で熱交換を行う第2熱交換器47と、熱交換を終えた後の冷媒を減圧させて低温低圧にする膨張弁48と、を備えている。第2熱交換器47は、冷媒流路47aと循環水流路47bとを備えている。
【0023】
第2熱交換器47の循環水流路47bの入口側には循環往路接続経路50が接続されており、出口側には循環復路接続経路51が接続されている。循環往路接続経路50には、入口側サーミスタ52が設けられており、循環復路接続経路51には出口側サーミスタ53が設けられている。入口側サーミスタ52は、第2熱交換器47の循環水流路47bに流入する循環水の温度を検出し、出口側サーミスタ53は、第2熱交換器47の循環水流路47bから流出する循環水の温度を検出する。
【0024】
タンクユニット20は、タンク21と、給水経路22と、タンク給水経路23と、タンクバイパス経路24と、出湯経路25と、第1混合経路26と、給湯バイパス経路27と、第1給湯経路28と、を備えている。タンク21は、ヒートポンプ42によって加熱された水(即ち、湯)を貯える。タンク21は、密閉型であり、断熱材によって外側が覆われている。タンク21内には満水まで水が貯留されている。本実施例では、タンク21の容量は160Lである。タンク21には、上部から下方に向けて、タンクサーミスタ21a、21b、21c、21dが取り付けられている。例えば、タンクサーミスタ21a、21b、21c、21dは、それぞれ、タンク21の上部から6L、30L、90L、135Lの位置の水温を検出する。なお、タンクサーミスタ21a、21b、21c、21dの位置、及び、数は、これに限られるものではなく、給湯システム10の仕様に応じて適宜決定することができる。
【0025】
給水経路22は、上流端が給水源200に接続されている。給水経路22は、タンク給水経路23と、タンクバイパス経路24と、に分岐されている。給水経路22の上流端の近傍には、減圧弁22aが設けられている。減圧弁22aは、給水経路22への給水圧力を調整する。給水経路22の減圧弁22aより下流側には、給水サーミスタ22bが設けられている。給水サーミスタ22bは、給水経路22を流れる水の温度を検出する。
【0026】
タンク給水経路23は、上流端が給水経路22の下流端に接続されており、下流端がタンク21の底部に接続されている。タンク給水経路23には、第1排水経路31が接続されている。第1排水経路31の途中には、第1排水弁32が設けられている。第1排水弁32は手動で開閉することができる。第1排水弁32を開くと、タンク21内の水、及び、タンク給水経路23等の水が、第1排水経路31を通じて外部に排水される。
【0027】
タンクバイパス経路24は、上流端が給水経路22の下流端に接続されており、下流端が出湯経路25の下流端、及び、第1混合経路26の上流端に接続されている。タンクバイパス経路24には、給水流量センサ24aが設けられている。給水流量センサ24aは、タンクバイパス経路24を流れる水の流量を検出する。
【0028】
タンク21の底部には、循環往路33の一端が接続されており、タンク21の上部には、循環復路34の一端が接続されている。循環往路33の他端は、HP熱源ユニット40の循環往路接続経路50に接続されており、循環復路34の他端は、循環復路接続経路51に接続されている。循環往路33には、往路サーミスタ33aと循環ポンプ33bとが設けられている。往路サーミスタ33aは、タンク21から循環往路33に流出した水の温度を検出する。往路サーミスタ33aによって検出される水の温度は、タンク21の下部の水の温度と同じである。循環ポンプ33bが駆動すると、タンク21の下部から循環往路33に水が吸出され、この水が第2熱交換器47の循環水流路47bを流れて、循環復路34を通じてタンク21の上部に戻される。このようにして、タンク21とヒートポンプ42との間の循環経路が構成されている。
【0029】
循環往路33において、往路サーミスタ33aよりも上流側には、第2排水経路35が接続されている。第2排水経路35の途中には、第2排水弁36が設けられている。第2排水弁36は手動で開閉することができる。第2排水弁36を開くと、タンク21内の水が第2排水経路35を通じて外部に排水される。また、第2排水弁36を開くことによって、循環往路33、循環復路34、循環往路接続経路50、及び、循環復路接続経路51を水抜きすることができる。
【0030】
出湯経路25は、上流端がタンク21の上部に接続されており、下流端がタンクバイパス経路24の下流端、及び、第1混合経路26の上流端に接続されている。出湯経路25には、温水流量センサ25aが設けられている。温水流量センサ25aは、出湯経路25を流れる水の流量を検出する。タンクバイパス経路24の下流端、出湯経路25の下流端、及び、第1混合経路26の上流端の接続部には、混合弁29が設けられている。混合弁29は、タンクバイパス経路24から第1混合経路26に流れる水の流量と、出湯経路25から第1混合経路26に流れる水の流量と、の割合を調整する。
【0031】
第1混合経路26には、第1混合経路26を流れる水の温度を検出する混合水サーミスタ26aが設けられている。第1混合経路26の下流端は、後述するガス熱源ユニット60の第2混合経路61の上流端に接続されている。
【0032】
第1給湯経路28の上流端は、後述するガス熱源ユニット60の第2給湯経路64に接続されている。第1給湯経路28には、給湯サーミスタ28aが設けられている。第1給湯経路28の下流端には、給湯栓18が接続されている。給湯栓18は、浴室、洗面所、台所等に配置されている。第1混合経路26の途中と第1給湯経路28の途中は、給湯バイパス経路27によって接続されている。給湯サーミスタ28aは、給湯バイパス経路27と第1給湯経路28の接続部よりも下流側に設けられている。給湯バイパス経路27には、バイパス制御弁27aが設けられている。バイパス制御弁27aを開いた状態では、第1混合経路26を流れた水が給湯バイパス経路27へ流れ、バイパス制御弁27aを閉じた状態では、第1混合経路26を流れた水が、後記するガス熱源ユニット60の第2混合経路61へ流れる。
【0033】
ガス熱源ユニット60は、バーナ熱交換器62とバーナ63等を備えている。バーナ熱交換器62には、第2混合経路61を介して、タンクユニット20の第1混合経路26からの水が流入する。第2混合経路61には、入水サーミスタ61aと給湯流量センサ61bと水量サーボ61cとが設けられている。入水サーミスタ61aと給湯流量センサ61bは、それぞれ第2混合経路61を流れる水の温度及び流量を検出する。水量サーボ61cは、第2混合経路61を流れる水の流量を調整する。ガス燃焼式のバーナ63は、バーナ熱交換器62を加熱する。バーナ熱交換器62で加熱された水は、第2給湯経路64を介して、タンクユニット20の第1給湯経路28に流れ込む。第2給湯経路64には、バーナ熱交換器62の出口近傍に、缶体サーミスタ65が設けられており、その下流側に出湯サーミスタ66が設けられている。第2混合経路61における水量サーボ61cの下流側と、第2給湯経路64の缶体サーミスタ65と出湯サーミスタ66との間には、熱源機バイパス経路67が接続されている。第2混合経路61と熱源機バイパス経路67との接続部には、熱源機バイパス制御弁68が設けられている。熱源機バイパス制御弁68の開度を調整することによって、第2混合経路61を流れる水の一部が熱源機バイパス経路67に流れ、その水の流量が調整される。
【0034】
コントローラ100は、CPU、ROM、RAM等を備えている。ROMには各種の運転プログラムが格納されている。RAMには、コントローラ100に入力される各種信号や、CPUが処理を実行する過程で生成される種々のデータが一時的に記憶される。詳細には、RAMには、上記した各種のサーミスタおよびセンサの検出信号が入力され、これらの情報が一時的に記憶される。コントローラ100では、CPUがROMやRAMに記憶された情報に基づいて、タンクユニット20、HP熱源ユニット40、及び、ガス熱源ユニット60の各種機器に対して駆動信号を出力する。また、コントローラ100には、リモコン102が接続されている。リモコン102には、給湯システム10を操作するためのスイッチ104、給湯システム10の動作状態を表示する液晶表示器106等が設けられており、リモコン102で設定された情報がコントローラ100に入力される。例えば、ユーザは、リモコン102を操作することによって、後述する災害対応モードの「ON」、「OFF」の切替、給湯設定温度の設定をすることができる。リモコン102は、給湯システム10が設置されている家屋に配置されているルータ(図示省略)を介して、インターネット108に接続されている。そして、リモコン102は、インターネット108を介して、携帯端末110等に接続されている。
【0035】
リモコン102は、携帯端末110から、災害情報、及び、解除情報を受信可能に構成されている。災害情報は、例えば、緊急地震速報、暴風警報、大雨警報等の災害が発生し得る状況にあることを示す情報である。解除情報は、災害情報が受信された後に、停電、断水等が発生しない状況になったことを示す情報である。例えば、給湯システム10が設置されている地域に対する暴風警報が発令されたことを示す情報が災害情報である場合、当該暴風警報が解除されたことを示す情報が解除情報である。なお、変形例では、リモコン102は、インターネット108上のサーバ(図示省略)から、災害情報、及び、解除情報を受信可能に構成されていてもよい。
【0036】
(沸上運転)
給湯システム10では、ヒートポンプ42によってタンク21の水を加熱して湯を沸上げて、この湯をタンク21に貯湯する沸上運転を実行可能である。沸上運転が開始されると、コントローラ100は、ファン45及び圧縮機46を駆動させ、圧縮機46、第2熱交換器47、膨張弁48、第1熱交換器44の順に冷媒を循環させる。また、コントローラ100は、循環ポンプ33bを駆動させ、タンク21と第2熱交換器47の間で水を循環させる。これによって、タンク21の底部から吸い出された水は、第2熱交換器47において加熱されて、タンク21の頂部に戻される。ヒートポンプ42によって加熱された水がタンク21に流れ込むと、タンク21の内部には、低温の水の層の上に高温の水の層が積み重なった温度成層が形成される。
【0037】
沸上運転は、第1沸上運転、第2沸上運転、及び、第3沸上運転で構成されている。第1沸上運転、及び、第2沸上運転は、災害対応モードが「OFF」に設定されている状態、又は、災害対応モードが「ON」に設定されており、かつ、リモコン102から災害情報を未受信である状態において実行される運転である。災害情報は、災害(例えば、地震、台風)等が発生し得る状況にあることを示す情報である。第1沸上運転において、コントローラ100は、沸上目標温度を第1目標温度TA1(例えば45[℃])に設定し、ヒートポンプ42を第1加熱能力(例えば、2.5[kW])で動作させる。第1目標温度TA1は、給湯栓18への給湯に適した温度であり、給湯設定温度よりもわずかに高い温度である。第1加熱能力は、ヒートポンプ42を高いCOP(Coefficient Of Performanceの略)で動作させることができる加熱能力である。コントローラ100は、例えば、電力料金が安価な深夜帯において第1沸上運転を実行するように構成されていてもよいし、過去の給湯実績に基づいて第1沸上運転を実行すべき時間を特定し、当該時間が到来する場合に、第1沸上運転を実行するように構成されていてもよい。第2沸上運転において、コントローラ100は、沸上目標温度を第2目標温度TA2(例えば60[℃])に設定し、ヒートポンプ42を第1加熱能力(例えば、2.5[kW])で動作させる。第2目標温度TA2は、タンク21内の水に繁殖する虞のある細菌(レジオネラ菌など)を殺菌するのに適した温度であり、第1目標温度TA1よりも高い温度である。コントローラ100は、タンク21内の水の温度が、低温(例えば60℃以下の温度)の状態で長時間(例えば、96時間)滞留されていることを検知する場合に、第2沸上運転を実行する。第3沸上運転は、災害対応のための運転であり、後で詳しく説明する。
【0038】
(給湯運転)
給湯システム10では、ユーザによって設定された給湯設定温度の水を給湯栓18へ供給する給湯運転を実行可能である。コントローラ100は、非燃焼給湯運転、第1燃焼給湯運転、及び、第2燃焼給湯運転を実行可能に構成されている。非燃焼給湯運転、及び、第1燃焼給湯運転は、災害対応モードが「OFF」に設定されている状態、又は、災害対応モードが「ON」に設定されており、かつ、リモコン102から災害情報を未受信である状態において、実行される運転である。以下では、非燃焼給湯運転、及び、第1燃焼給湯運転について説明する。第2燃焼給湯運転は、災害対応のための運転であり、後で詳しく説明する。
【0039】
コントローラ100は、給水流量センサ24aで検出される流量と、温水流量センサ25aで検出される流量を合算した流量(以下では、「動作流量」と記載することがある)が最低動作流量(例えば2.4L/分)以上となると、給湯栓18の開栓や浴槽への湯はりなどにより給湯が開始されたものと判断する。そして、コントローラ100は、タンクサーミスタ21aで検出されるタンク上部温度に応じて、非燃焼給湯運転又は第1燃焼給湯運転を実行する。
【0040】
タンク上部温度が給湯設定温度(例えば、40℃)以上である場合、コントローラ100は、非燃焼給湯運転を実行する。非燃焼給湯運転では、コントローラ100は、バーナ63の燃焼運転を禁止すると共に、混合水サーミスタ26aで検出される温度が給湯設定温度となるように、混合弁29の開度を調整する。これによって、給湯栓18に給湯設定温度に温度調整された水が供給される。
【0041】
タンク上部温度が給湯設定温度(例えば、40℃)未満の場合、コントローラ100は、第1燃焼給湯運転を実行する。第1燃焼給湯運転では、コントローラ100は、バーナ63の燃焼運転を許可すると共に、混合水サーミスタ26aで検出される温度が、給湯設定温度よりもバーナ63の最小加熱能力で上昇させることが可能な温度である最小上昇温度の分だけ低い温度となるように、混合弁29の開度を調整する。例えば、動作流量が10[L/分]であるときの最小上昇温度が5[℃]である場合、コントローラ100は、混合水サーミスタ26aで検出される温度が35[℃]となるように、混合弁29の開度を調整する。この場合、タンク21の上部から供給される高温の水と、タンクバイパス経路24から供給される低温の水が、混合弁29において混合された後、バーナ63の最小加熱能力での燃焼運転によって給湯設定温度まで加熱されて、給湯栓18へ供給される。
【0042】
上記の非燃焼給湯運転又は第1燃焼給湯運転を実行中に、動作流量が最低動作流量を下回ると、コントローラ100は、給湯栓18の閉栓や浴槽への湯はりの終了などにより給湯が終了したものと判断して、非燃焼給湯運転又は第1燃焼給湯運転を終了する。
【0043】
(災害対応時の沸上処理;
図2)
図2を参照して、給湯システム10のコントローラ100によって実行される災害対応時の沸上処理について説明する。コントローラ100は、災害対応モードが「ON」に設定されている状態において、リモコン102を介して、携帯端末110から災害情報を受信する場合に、
図2の処理を開始する。
【0044】
S10において、コントローラ100は、混合弁29を全閉状態に切替える。全閉状態は、タンクバイパス経路24から第1混合経路26に水が流れ込むが、出湯経路25から第1混合経路26に水が流れ込まない状態である。
【0045】
S20において、コントローラ100は、第3沸上運転を開始する。まず、コントローラ100は、循環ポンプ33bを駆動させる。次いで、コントローラ100は、第2目標温度TA2(例えば60[℃])を沸上目標温度として設定し、ヒートポンプ42を第2加熱能力(即ち、4.0[kW])で動作させる。第2加熱能力は、第1加熱能力よりも大きい加熱能力である。第2加熱能力で動作する場合のヒートポンプ42のCOPは、第1加熱能力で動作する場合のヒートポンプ42のCOPよりも低い。
【0046】
S30において、コントローラ100は、往路サーミスタ33aで検出されるタンク下部温度が、第2目標温度TA2以上となることを監視する。コントローラ100は、タンク下部温度が第2目標温度TA2以上となる場合に、S30でYESと判断し、処理はS32に進む。
【0047】
S32において、コントローラ100は、循環ポンプ33b、及び、ヒートポンプ42の駆動を停止させ、第3沸上運転を終了する。S32が終了すると、処理はS50に進む。
【0048】
また、コントローラ100は、S30の監視と同時的に、S40において、リモコン102を介して、携帯端末110から解除情報を受信することを監視する。コントローラ100は、携帯端末110から解除情報を受信する場合に、S40でYESと判断し、処理はS42に進む。なお、変形例では、コントローラ100は、リモコン102から、ユーザによって災害対応モードが「ON」から「OFF」に変更されたことを示す情報を受信する場合に、S40でYESと判断してもよい。
【0049】
S42において、コントローラ100は、循環ポンプ33b、及び、ヒートポンプ42の駆動を停止させ、第3沸上運転を終了する。S42が終了すると、処理はS52に進む。
【0050】
S50において、コントローラ100は、リモコン102を介して、携帯端末110から解除情報を受信することを監視する。コントローラ100は、携帯端末110から解除情報を受信する場合に、S50でYESと判断し、処理はS52に進む。
【0051】
S52において、コントローラ100は、混合弁29を中間状態に切替える。中間状態は、タンクバイパス経路24、及び、出湯経路25の両方から第1混合経路26に水が流れ込む状態である。コントローラ100は、S52の処理が終了すると、
図2の処理を終了する。なお、変形例では、S52の処理を省略可能である。
【0052】
(災害対応時の給湯処理;
図3)
図3を参照して、給湯システム10のコントローラ100によって実行される災害対応時の給湯処理について説明する。コントローラ100は、災害対応モードが「ON」に設定されている状態において、リモコン102を介して、携帯端末110から災害情報を受信する場合に、
図3の処理を開始する。
【0053】
S110において、コントローラ100は、動作流量が最低動作流量(例えば2.4L/分)以上となることを監視する。コントローラ100は、動作流量が最低動作流量以上となる場合に、S110でYESと判断し、処理はS112に進む。
【0054】
S112において、コントローラ100は、第2燃焼給湯運転を開始する。第2燃焼給湯運転において、コントローラ100は、混合弁29を全閉状態に維持した状態で、給水源200から供給される水をバーナ63によって加熱し、給湯設定温度に加熱された水を給湯栓18へ供給する。第2燃焼給湯運転では、タンク21内に貯留されている湯は利用されない。S112の後、処理はS120へ進む。
【0055】
また、コントローラ100は、S110の監視と同時的に、S130において、リモコン102を介して、携帯端末110から解除情報を受信することを監視する。コントローラ100は、携帯端末110から解除情報を受信する場合に、S130でYESと判断し、
図3の処理を終了する。
【0056】
S120において、コントローラ100は、動作流量が最低動作流量未満となることを監視する。コントローラ100は、動作流量が最低動作流量未満となる場合に、S120でYESと判断し、処理はS122に進む。
【0057】
S122において、コントローラ100は、バーナ63の駆動を停止させ、第2燃焼給湯運転を終了する。S122が終了すると、処理はS110に戻る。コントローラ100は、S122が終了した後においても、混合弁29を全閉状態に維持する。
【0058】
また、コントローラ100は、S120の監視と同時的に、S140において、リモコン102を介して、携帯端末110から解除情報を受信することを監視する。コントローラ100は、携帯端末110から解除情報を受信する場合に、S140でYESと判断し、
図3の処理を終了する。なお、コントローラ100は、S140でYESを経て
図3の処理を終了する場合に、第2燃焼給湯運転を終了するとともに、非燃焼給湯運転を開始する。
【0059】
上記の構成によれば、給湯システム10のコントローラ100は、災害情報を受信した後において、第2燃焼給湯運転を実行する。即ち、災害情報が受信された後において、タンク21内の湯が給湯に利用されない。従って、ユーザは、その後に断水、停電等が発生した場合であっても、第1排水弁32、又は、第2排水弁36を開くことによって、タンク21に貯留されている湯を利用することできる。
【0060】
上述のように、給湯システム10のコントローラ100は、災害情報を受信した後において、非燃焼給湯運転を実行せずに、第2燃焼給湯運転を実行する(
図3のS112)。上記の構成によれば、災害情報が受信された後において、非燃焼給湯運転が実行される場合と比較して、タンク21内の湯量が減少することを抑制することができる。このため、災害情報が受信された後に断水、停電等が発生した場合において、ユーザが利用できる湯量を確保することができる。本実施例では、特に、コントローラ100は、混合弁29が全閉状態において実行される第2燃焼給湯運転を実行する。このため、災害情報が受信された後において、給湯栓18への給湯においてタンク21内の湯は利用されない。従って、災害情報が受信された後に断水、停電等が発生した場合において、ユーザが利用できる湯の量を十分に確保することができる。そして、ユーザは、断水、停電等が発生している状態において、第1排水弁32、又は、第2排水弁36を開くことによって、タンク21に貯留されている湯を利用することできる。
【0061】
また、コントローラ100は、災害情報を受信する場合に、第3沸上運転を実行する(
図2のS20)。上記の構成によれば、災害情報が受信された時点において、タンク21に貯留されている湯量が少なかったとしても、タンク21に貯留されている湯量を増加させることができる。
【0062】
また、コントローラ100は、災害情報を受信する場合に、ヒートポンプ42を第2の加熱能力で動作させる第3沸上運転を実行する(
図2のS20)。上記の構成によれば、災害情報が受信される場合に実行される沸上運転において、ヒートポンプ42を第1の加熱能力で動作される場合と比較して、沸上運転に要する時間を短くすることができる。このため、仮に、災害情報が受信されてから比較的に短い時間が経過した時点において停電が発生した場合に、タンク21に貯留される湯量を多くすることができる。
【0063】
また、コントローラ100は、災害情報を受信する場合に、第2目標温度TA2を沸上目標温度として設定し、第3沸上運転を実行する(
図2のS20)。上記の構成によれば、災害情報が受信される場合に第1目標温度TA1まで加熱された湯をタンク21に貯留する構成と比較して、タンク21に貯留される熱量を多くすることができる。
【0064】
(対応関係)
HP熱源ユニット40、ガス熱源ユニット60、コントローラ100が、それぞれ、「熱源機」、「補助熱源機」、「制御装置」の一例である。給湯栓18が、「給湯箇所」の一例である。非燃焼給湯運転が、「第1給湯運転」の一例である。第2燃焼給湯運転が、「第2給湯運転」の一例である。給水経路22及びタンクバイパス経路24が、「第1給水経路」の一例である。第1混合経路26、給湯バイパス経路27、第1給湯経路28、第2混合経路61、第2給湯経路64、熱源機バイパス経路67が、「給湯経路」の一例である。
【0065】
(第2実施例)
本実施例は、
図2の災害対応時の沸上処理のS10で実行される処理、及び、
図3の災害対応時の給湯処理のS112、S122で実行される処理が、第1実施例の場合と異なる。また、本実施例において、給湯システム10のコントローラ100は、
図2のS50の処理と同時的にS60の処理を実行する。なお、第2実施例の変形例において、給湯システム10は、第1排水経路31、第1排水弁32、第2排水経路35、及び、第2排水弁36を備えていなくてもよい。
【0066】
(災害対応時の沸上処理;
図2)
図2のS10において、コントローラ100は、混合弁29の開度を特定開度に切替える。特定開度は、混合水サーミスタ26aで検出される温度が、特定温度になるようにするための開度である。特定温度は、後述する第3燃焼給湯運転が実行された後に停電が発生し、ヒートポンプ42及びバーナ63を駆動させることができなくなった場合において、給湯栓18から供給される水を湯として利用可能な温度であり、例えば、30[℃]である。例えば、コントローラ100は、給水サーミスタ22bによって検出される給水温度と、タンクサーミスタ21aで検出されるタンク上部温度と、に基づいて、特定開度を特定する。
【0067】
また、コントローラ100は、S50の監視と同時的に、S60において、タンクサーミスタ21dで検出されるタンク下方の温度が第2目標温度TA2未満となることを監視する。コントローラ100は、タンクサーミスタ21dで検出されるタンク下方の温度が第2目標温度TA2未満となる場合に、S60でYESと判断し、処理はS20に戻る。
【0068】
(災害対応時の給湯処理;
図3)
図3のS112において、コントローラ100は、第3燃焼給湯運転を実行する。第3燃焼給湯運転において、コントローラ100は、バーナ63の燃焼運転を許可すると共に、混合水サーミスタ26aで検出される温度が特定温度となるように、混合弁29の開度を特定開度に調整する。この場合、出湯経路25から供給される高温の水と、タンクバイパス経路24から供給される低温の水が、混合弁29において混合された後、バーナ63によって給湯設定温度まで加熱されて、給湯栓18へ供給される。第3燃焼給湯運転では、動作流量に関わらず、混合水サーミスタ26aで検出される温度が特定温度となる。このため、動作流量が多いほど、給湯栓18に供給される水を給湯設定温度まで加熱するのに必要なバーナ63の加熱能力は大きくなる。
【0069】
また、S122において、コントローラ100は、バーナ63の駆動を停止させ、第3燃焼給湯運転を終了する。S122が終了すると、処理はS110に戻る。コントローラ100は、S122が終了する場合に、混合弁29をS122が終了した時点の開度に維持する。
【0070】
上記の構成によれば、給湯システム10のコントローラ100は、災害情報を受信した後において、第3燃焼給湯運転を実行する。一般的に、ヒートポンプ42を利用して水を加熱する場合のエネルギー効率は、バーナ63を利用して水を加熱する場合のエネルギー効率よりも高い。第1実施例の第2燃焼給湯運転とは異なり、第3燃焼給湯運転では、タンク21内の水が利用される。このため、災害情報が受信された後に第2燃焼給湯運転が実行される場合と比較して、給湯システム10のエネルギー効率を向上させることができる。また、非燃焼給湯運転を実行することができる状態にも関わらず、第3燃焼給湯運転が実行されることで、タンク21内の湯量が減少することを抑制することができる。
【0071】
また、給湯システム10のコントローラ100は、災害情報を受信した後において、第1燃焼給湯運転を実行せずに、第3燃焼給湯運転を実行する(
図3のS112)。コントローラ100は、第1燃焼給湯運転では、混合水サーミスタ26aで検出される温度が、給湯設定温度よりも最小上昇温度の分だけ低い温度となるように、混合弁29の開度を調整する。また、コントローラ100は、第3燃焼給湯運転では、混合水サーミスタ26aで検出される温度が、特定温度となるように、混合弁29の開度を調整する。特定温度は、給湯設定温度よりも最小上昇温度の分だけ低い温度よりも低い。このため、第3燃焼給湯運転において利用されるタンク21内の湯量は、第1燃焼給湯運転において利用されるタンク21内の湯量よりも少ない。従って、災害情報が受信された後に第1燃焼給湯運転が実行される場合と比較して、タンク21内の湯量が減少することを抑制することができる。
【0072】
上述のように、給湯システム10のコントローラ100は、災害情報を受信した後において、非燃焼給湯運転を実行せずに、第3燃焼給湯運転を実行する(
図3のS112)。上記の構成によれば、災害情報が受信された後において、非燃焼給湯運転が実行される場合と比較して、タンク21内の湯量が減少することを抑制することができる。このため、災害情報が受信された後に断水、停電等が発生した場合において、ユーザが利用できる湯量を確保することができる。
【0073】
また、コントローラ100は、災害情報が受信される場合に、混合弁29の開度を特定開度に切替える(
図2のS10)。上記の構成によれば、仮に、災害情報が受信された後に、停電が発生し、ヒートポンプ42及びバーナ63を駆動させることができなくなったとしても、断水が発生していなければ、タンク21に貯留されている湯を利用して、給湯栓18に給湯することができる。例えば、ユーザが、給湯栓18において、開栓操作を実行すると、給水源200から、給水経路22及びタンク給水経路23を通って、水がタンク21に供給される。タンク21に水が供給されることで、タンク21に貯留されている湯が、出湯経路25を通って、第1混合経路26に流入する。また、ユーザが、給湯栓18において、開栓操作を実行すると、給水源200から、給水経路22及びタンクバイパス経路24を通って、水が第1混合経路26に流入する。この場合、タンク21の上部から供給される湯と、タンクバイパス経路24から供給される水が、混合弁29において混合され、特定温度(例えば、30[℃])の水となる。その後、特定温度の水は、第1混合経路26、第2混合経路61、熱源機バイパス経路67、第2給湯経路64、第1給湯経路28を通って、給湯栓18に供給される。上述のように、特定温度は、給湯栓18から供給される水を湯として利用可能な温度である。即ち、ユーザは、第1排水弁32、第2排水弁36を操作しなくても、湯を利用することができる。従って、ユーザの利便性を向上させることができる。
【0074】
(対応関係)
給水経路22及びタンク給水経路23が、「第2給水経路」の一例である。
【0075】
以上、本発明の具体例を詳細に説明したが、これらは例示にすぎず、特許請求の範囲を限定するものではない。特許請求の範囲に記載の技術には、以上に例示した具体例を様々に変形、変更したものが含まれる。
【0076】
(第1変形例)「熱源機」は、HP熱源ユニット40に限定されず、ガス式の熱源機あってもよい。また、「補助熱源機」は、ガス熱源ユニット60に限定されず、電気式の熱源機であってもよい。
【0077】
(第2変形例)給湯システム10は、第1実施例の第2燃焼給湯運転、及び、第2実施例の第3燃焼給湯運転の両方を実行可能に構成されていてもよい。本変形例では、ユーザは、リモコン102を操作することによって、
図3の処理において第2燃焼給湯運転及び第3燃焼給湯運転のいずれの運転をコントローラ100に実行させるのか設定できればよい。
【0078】
(第3変形例)給湯システム10のコントローラ100は、
図2のS10において、混合弁29を全閉状態に切替える処理、及び、混合弁29の開度を特定開度に切替える処理のうちのいずれかの処理を実行するように構成されていればよい。また、別の変形例では、
図2のS10を省略可能である。
【0079】
(第4変形例)
図2の処理を省略可能である。即ち、給湯システム10のコントローラ100は、災害情報を受信する場合に、第3沸上運転を実行しなくてもよい。
【0080】
(第5変形例)給湯システム10のコントローラ100は、0[kW]~4.5[kw]の範囲で、ヒートポンプ42を動作可能に構成されていてもよい。本変形例では、給湯システム10のコントローラ100は、
図2のS20において、最も大きな加熱能力(4.5[kW])でヒートポンプ42を動作させる第3沸上運転を実行する。別の変形例では、コントローラ100は、最も大きな加熱能力(4.5[kW])でヒートポンプ42を動作させる第3沸上運転を実行してもよい。
【0081】
(第6変形例)給湯システム10のコントローラ100は、
図2のS20において、第1目標温度TA1を沸上目標温度として設定し、第3沸上運転を実行してもよい。
【0082】
また、本明細書または図面に説明した技術要素は、単独であるいは各種の組合せによって技術的有用性を発揮するものであり、出願時の請求項記載の組合せに限定されるものではない。また、本明細書または図面に例示した技術は、複数目的を同時に達成するものであり、そのうちの一つの目的を達成すること自体で技術的有用性を持つものである。
【符号の説明】
【0083】
10 :給湯システム
18 :給湯栓
20 :タンクユニット
21 :タンク
21a-21d:タンクサーミスタ
22 :給水経路
22a :減圧弁
22b :給水サーミスタ
23 :タンク給水経路
24 :タンクバイパス経路
24a :給水流量センサ
25 :出湯経路
25a :温水流量センサ
26 :第1混合経路
26a :混合水サーミスタ
27 :給湯バイパス経路
27a :バイパス制御弁
28 :第1給湯経路
28a :給湯サーミスタ
29 :混合弁
31 :第1排水経路
32 :第1排水弁
33 :循環往路
33a :往路サーミスタ
33b :循環ポンプ
34 :循環復路
35 :第2排水経路
36 :第2排水弁
40 :HP熱源ユニット
42 :ヒートポンプ
43 :冷媒循環路
44 :第1熱交換器
45 :ファン
46 :圧縮機
47 :第2熱交換器
47a :冷媒流路
47b :循環水流路
48 :膨張弁
50 :循環往路接続経路
51 :循環復路接続経路
52 :入口側サーミスタ
53 :出口側サーミスタ
60 :ガス熱源ユニット
61 :第2混合経路
61a :入水サーミスタ
61b :給湯流量センサ
61c :水量サーボ
62 :バーナ熱交換器
63 :バーナ
64 :第2給湯経路
65 :缶体サーミスタ
66 :出湯サーミスタ
67 :熱源機バイパス経路
68 :熱源機バイパス制御弁
100 :コントローラ
102 :リモコン
104 :スイッチ
106 :液晶表示器
108 :インターネット
110 :携帯端末
200 :給水源