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特許7573458異物混入チェック装置、異物混入チェック方法および異物混入チェックプログラム
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-17
(45)【発行日】2024-10-25
(54)【発明の名称】異物混入チェック装置、異物混入チェック方法および異物混入チェックプログラム
(51)【国際特許分類】
   G06Q 50/04 20120101AFI20241018BHJP
   G05B 19/418 20060101ALI20241018BHJP
【FI】
G06Q50/04
G05B19/418 Z
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2021033391
(22)【出願日】2021-03-03
(65)【公開番号】P2022134328
(43)【公開日】2022-09-15
【審査請求日】2023-09-14
(73)【特許権者】
【識別番号】398040527
【氏名又は名称】株式会社オービック
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】古田 剛史
(72)【発明者】
【氏名】上野 剛光
【審査官】松浦 かおり
(56)【参考文献】
【文献】特開2003-345413(JP,A)
【文献】特開2014-197308(JP,A)
【文献】特開2005-044095(JP,A)
【文献】特開2020-160962(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00 -99/00
G05B 19/418
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
制御部を備える異物混入チェック装置であって、
前記制御部は、
ある製造工程で得られた製品の実績数量と、当該ある製造工程の前の製造工程で得られた製品の実績数量から当該ある製造工程に使用された製品の使用数量を引いた数量であり、前の製造工程の残り分である払量との和を、当該ある製造工程で製品が得られるまでに使用された原料の使用数量で除算することにより、歩留を計算する計算手段と、
歩留が標準歩留を超えているか確認する確認手段と、
歩留が標準歩留を超えていた場合は、異物混入の可能性を知らせる通知を出力する通知手段と、
を備えること、
を特徴とする異物混入チェック装置。
【請求項2】
前記計算手段は、
前記和を、前記原料の使用数量と、当該ある製造工程の前の製造工程で使用する原料を追加した追加数量を示す追油と、当該ある製造工程と異なる製造工程において使用された製品の使用数量を示す還元と、で加算した値で除算する、
ことを特徴とする請求項1に記載の異物混入チェック装置。
【請求項3】
前記通知手段は、
前記製品を、当該ある製造工程で製品が得られるまでに使用された原料の使用数量、前記製品の予定数、前記実績数量、前記追油、前記還元、前記払量および前記歩留を対応付けた製造実績表を出力する、
ことを特徴とする請求項2に記載の異物混入チェック装置。
【請求項4】
前記通知手段は、
前記歩留の数値を出力する、
ことを特徴とする請求項1~3のいずれか一つに記載の異物混入チェック装置。
【請求項5】
前記通知手段は、
歩留が標準歩留を超えていた場合は、前記歩留を強調して出力する、
ことを特徴とする請求項1~4のいずれか一つに記載の異物混入チェック装置。
【請求項6】
前記通知手段は、
帳票抽出を指示された場合、前記歩留が標準歩留を超えている製品の製造実績表を出力する、
ことを特徴とする請求項1~5のいずれか一つに記載の異物混入チェック装置。
【請求項7】
制御部を備える異物混入チェック装置で実行される異物混入チェック方法であって、
前記制御部で実行される、
ある製造工程で得られた製品の実績数量と、当該ある製造工程の前の製造工程で得られた製品の実績数量から当該ある製造工程に使用された製品の使用数量を引いた数量であり、前の製造工程の残り分である払量との和を、当該ある製造工程で製品が得られるまでに使用された原料の使用数量で除算することにより、歩留を計算する計算ステップと、
歩留が標準歩留を超えているか確認する確認ステップと、
歩留が標準歩留を超えていた場合は、異物混入の可能性を知らせる通知を出力する通知ステップと、
を含むこと、
を特徴とする異物混入チェック方法。
【請求項8】
制御部を備える異物混入チェック装置に実行させるための異物混入チェックプログラムであって、
前記制御部で実行されるための、
ある製造工程で得られた製品の実績数量と、当該ある製造工程の前の製造工程で得られた製品の実績数量から当該ある製造工程に使用された製品の使用数量を引いた数量であり、前の製造工程の残り分である払量との和を、当該ある製造工程で製品が得られるまでに使用された原料の使用数量で除算することにより、歩留を計算する計算ステップと、
歩留が標準歩留を超えているか確認する確認ステップと、
歩留が標準歩留を超えていた場合は、異物混入の可能性を知らせる通知を出力する通知ステップと、
を含むこと、
を特徴とする異物混入チェックプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、異物混入チェック装置、異物混入チェック方法および異物混入チェックプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、実際の最終製品を製造した際の複数の原料の使用実績と、当初予定していた最終製品を製造する際の複数の原料の使用量と、を比較することによって、最終製品の歩留率を算出したり、コスト管理を行ったりする技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2018-133006号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、製品を製造する食品や化粧品等の製造メーカでは、製品の製造時に使用したタンク内に残った原料および使用しなかった原料等の払量を、次の製品に使い回すことによって、製造コストに無駄が生じることを防止している。この場合において、特定の製品を製造するとき、指定された原料と異なる原料の払量が異物として混入する恐れがある。
【0005】
しかしながら、上述した特許文献1のような製造指示管理装置では、異物の混入について何ら検討されていない。このため、製造メーカは、特定の製品に製造する際に払量を用いた場合、異物の混入をチェックできる技術を望んでいた。
【0006】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、製品の異物混入をチェックすることができる異物混入チェック装置、異物混入チェック方法および異物混入チェックプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明に係る異物混入チェック装置は、制御部を備える異物混入チェック装置であって、前記制御部は、ある製造工程で得られた製品の実績数量と、当該ある製造工程の前の製造工程で得られた製品の実績数量から当該ある製造工程に使用された製品の使用数量を引いた数量であり、前の製造工程の残り分である払量との和を、当該ある製造工程で製品が得られるまでに使用された原料の使用数量で除算することにより、歩留を計算する計算手段と、歩留が標準歩留を超えているか確認する確認手段と、歩留が標準歩留を超えていた場合は、異物混入の可能性を知らせる通知を出力する通知手段と、を備えること、を特徴とする。
【0008】
また、本発明に係る異物混入チェック方法は、制御部を備える異物混入チェック装置で実行される異物混入チェック方法であって、前記制御部で実行される、ある製造工程で得られた製品の実績数量と、当該ある製造工程の前の製造工程で得られた製品の実績数量から当該ある製造工程に使用された製品の使用数量を引いた数量であり、前の製造工程の残り分である払量との和を、当該ある製造工程で製品が得られるまでに使用された原料の使用数量で除算することにより、歩留を計算する計算ステップと、歩留が標準歩留を超えているか確認する確認ステップと、歩留が標準歩留を超えていた場合は、異物混入の可能性を知らせる通知を出力する通知ステップと、を含むこと、を特徴とする。
【0009】
また、本発明に係る異物混入チェックプログラムは、制御部を備える異物混入チェック装置に実行させるための異物混入チェックプログラムであって、前記制御部で実行されるための、ある製造工程で得られた製品の実績数量と、当該ある製造工程の前の製造工程で得られた製品の実績数量から当該ある製造工程に使用された製品の使用数量を引いた数量であり、前の製造工程の残り分である払量との和を、当該ある製造工程で製品が得られるまでに使用された原料の使用数量で除算することにより、歩留を計算する計算ステップと、歩留が標準歩留を超えているか確認する確認ステップと、歩留が標準歩留を超えていた場合は、異物混入の可能性を知らせる通知を出力する通知ステップと、を含むこと、を特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、製品の異物混入をチェックすることができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1図1は、異物混入チェック装置の構成の一例を示すブロック図での概要を示す模式図である。
図2図2は、構成マスタにおける構成マスタテーブルの一例を示す図である。
図3図3は、商品マスタにおける商品マスタテーブルの一例を示す図である。
図4図4は、荷姿入数マスタにおける荷姿入数マスタテーブルの一例を示す図である。
図5図5は、構成マスタにおける構成マスタテーブルの一例を示す図である.
図6図6は、製造指示マスタにおける製造指示マスタテーブルの一例を示す図である。
図7図7は、手配内容マスタにおける手配内容マスタテーブルの一例を示す図である。
図8図8は、製造指示受入データにおける製造指示受付データテーブルの一例を示す図である。
図9図9は、製造指示払出データにおける製造指示払出データテーブルの一例を示す図である。
図10図10は、製造実績受入データにおける製造実績受付データテーブルの一例を示す図である。
図11図11は、製造実績払出データにおける製造実績払出データテーブルの一例を示す図である。
図12図12は、製造実績表の作成手順の概要を示す図である。
図13図13は、ある製品の製造の工程を模式的に示す図である。
図14図14は、異物混入チェック装置が実行する処理の概要を示すフローチャートである。
図15図15は、ある製品の製造予定の包装工程における製造指示入力画面と包装工程における製造指示入力の一例を示す図である。
図16図16は、ある製品の製造予定の仕込工程における製造指示入力画面と仕込工程における製造指示入力の一例を示す図である。
図17図17は、製造実績表(予定)と製造指示内容の一例を示す図である。
図18図18は、ある製品の製造実績の仕込工程における製造実績入力画面と仕込工程における製造実勢入力の一例を示す図である。
図19図19は、ある製品の製造実績の包装工程における製造実績入力画面と包装工程における製造実績入力の一例を示す図である。
図20図20は、製造実績表(実績)と製造実績内容の一例を示す図である。
図21図21は、製造実績において追油および還元がある場合のある製品の製造実績の仕込工程における製造実績入力画面と仕込工程における製造実勢入力の一例を示す図である。
図22図22は、製造実績において追油および還元がある場合の製造実績受入データ106iにおける製造実績受付データテーブルの一例を示す図である。
図23図23は、製造実績において追油および還元がある場合の製造実績払出データ106jにおける製造実績払出データテーブルの一例を示す図である。
図24図24は、製造実績において追油および還元がある場合のある製品の製造実績の包装工程における製造実績入力画面と包装工程における製造実績入力の一例を示す図である。
図25図25は、製造実績において追油および還元がある場合の製造実績表(実績)と製造実績内容の一例を示す図である。
図26図26は、ある製品の製造実績の包装工程における製造実績入力画面と包装工程における製造実績入力の一例を示す図である。
図27図27は、ある製品の製造実績表(実績)と製造実績内容の一例を示す図である。
図28図28は、帳票抽出時における製造実績表の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下に、本発明に係る異物混入チェック装置、異物混入チェック方法および異物混入チェックプログラムの実施形態を、図面に基づいて詳細に説明する。なお、本実施形態により本発明が限定されるものではない。
【0013】
[1.構成]
本実施形態に係る異物混入チェック装置の構成の一例について、図1等を参照して説明する。図1は、異物混入チェック装置の構成の一例を示すブロック図での概要を示す模式図である。
【0014】
図1に示す異物混入チェック装置100は、市販のデスクトップ型パーソナルコンピュータである。なお、異物混入チェック装置100は、デスクトップ型パーソナルコンピュータのような据置型情報処理装置に限らず、市販されているノート型パーソナルコンピュータ、PDA(Personal Digital Assistants)、スマートフォン、タブレット型パーソナルコンピュータなどの携帯型情報処理装置であってもよい。
【0015】
異物混入チェック装置100は、制御部102と、通信インターフェース部104と、記憶部106と、入出力インターフェース部108と、を備えている。異物混入チェック装置100が備えている各部は、任意の通信路を介して通信可能に接続されている。
【0016】
通信インターフェース部104は、ルータ等の通信装置および専用線等の有線または無線の通信回線を介して、異物混入チェック装置100をネットワーク300に通信可能に接続する。通信インターフェース部104は、他の装置と、通信回線と、を介してデータを通信する機能を有する。ここで、ネットワーク300は、異物混入チェック装置100と、サーバ200と、を相互に通信可能に接続する機能を有し、例えばインターネットやLAN(Local Area Network)等である。なお、記憶部106に格納されるデータは、例えばサーバ200に格納されてもよい。
【0017】
入出力インターフェース部108には、入力装置112と、出力装置114と、が接続されている。出力装置114には、モニタ(家庭用テレビを含む)の他、スピーカやプリンタを用いることができる。入力装置112には、キーボード、マウス、およびマイクの他、マウスと協働してポインティングデバイス機能を実現するモニタを用いることができる。なお、以下では、出力装置114をモニタ114とし、入力装置112をキーボード112またはマウス112として記載する場合がある。
【0018】
記憶部106には、各種のデータベース、テーブルおよびファイルなどが格納される。記憶部106には、OS(Operating System)と協働してCPU(Central Processing Unit)に命令を与えて各種処理を行うためのコンピュータプログラムが記録される。記憶部106として、例えば、RAM(Random Access Memory)・ROM(Read Only Memory)等のメモリ装置、ハードディスクのような固定ディスク装置、フレキシブルディスク、および光ディスク等を用いることができる。記憶部106は、構成マスタ106aと、商品マスタ106bと、荷姿入数マスタ106cと、構成マスタ106dと、製造指示マスタ106eと、手配内容マスタ106fと、製造指示受入データ106gと、製造指示払出データ106hと、製造実績受入データ106iと、製造実績払出データ106jと、を記憶している。
【0019】
構成マスタ106aは、ある製品を製造する際の複数の原料および資材に、構成分子、構成分布、歩留、ある数量における所用数、および使用工程を対応付けて保持する。
【0020】
図2は、構成マスタ106aにおける構成マスタテーブルの一例を示す図である。図2に示すように、構成マスタテーブルT1には、ある製品として「製品A」を製造する際の原料として、原料A、原料Bおよび資材が保持されている。さらに、構成マスタテーブルT1には、原料Aに、構成分子が「9kg」、構成分布が「10kg」、歩留が「98.6%」、ある数量における所用数、例えば500kgの所有数が「456.34」、および、使用工程が「100」を対応付けて保持されている。
【0021】
商品マスタ106bは、ある商品のコードに、商品、資産分類および単位を対応付けて保持する。
【0022】
図3は、商品マスタ106bにおける商品マスタテーブルの一例を示す図である。図3に示すように、商品マスタテーブルT2には、ある商品のコードが「1」の場合に、商品が「製品A」、資産分類が「製品」、および、単位が「kg」を対応付けて保持されている。
【0023】
荷姿入数マスタ106cは、ある商品のコードに、商品、荷姿および入数を対応付けて保持する。
【0024】
図4は、荷姿入数マスタ106cにおける荷姿入数マスタテーブルの一例を示す図である。図4に示すように、荷姿入数マスタテーブルT3には、ある商品のコードが「1」の場合に、商品が「商品A」、荷姿が「個」、および、入数が「10」を対応付けて保持されている。
【0025】
構成マスタ106dは、ある親商品毎に、使用工程、子商品、構成分子および構成分母を対応付けて保持する。
【0026】
図5は、構成マスタ106dにおける構成マスタテーブルの一例を示す図である.図5に示す構成マスタテーブルT4には、図5に示すように、構成マスタテーブルT4には、親商品が「製品A」の場合に、使用工程が「100」、子商品が「原料A」、構成分子が「9kg」、構成分母が「10kg」を対応付けて保持されている。
【0027】
製造指示マスタ106eは、あるコードに、商品、工程、手配内容コードおよび標準歩留率を対応付けて保持する。
【0028】
図6は、製造指示マスタ106eにおける製造指示マスタテーブルの一例を示す図である。図6に示すように、製造指示マスタ106eは、製造指示マスタテーブルT5には、コードが「1」の場合に、商品が「製品A」、工程が「100」、手配内容コードが「20」、および標準歩留率が「99.5%」を対応付けて保持されている。
【0029】
手配内容マスタ106fは、あるコードに、手配内容名を対応付けて保持する。
【0030】
図7は、手配内容マスタ106fにおける手配内容マスタテーブルの一例を示す図である。図7に示すように、手配内容マスタテーブルT6には、コードが「10」の場合に、手配内容名が「購入」を対応付けて保持されている。
【0031】
製造指示受入データ106gは、オペレータが製造指示入力画面を介して入力した製造指示受入に関する各種情報を保持する。
【0032】
図8は、製造指示受入データ106gにおける製造指示受付データテーブルの一例を示す図である。図8に示すように、製造指示受入データテーブルT7には、商品のNoが「1」の場合に、商品が「製品A」、工程:手配内容が「999:包装」、および、予定数が「500kg」を対応付けて保持されている。
【0033】
製造指示払出データ106hは、オペレータが製造指示入力画面を介して入力した、ある製品の仕込量に関する各種情報を保持する。
【0034】
図9は、製造指示払出データ106hにおける製造指示払出データテーブルの一例を示す図である。図9に示すように、製造指示払出データテーブルT8には、商品のNoが「1」の場合に、親商品が「製品A」、工程:手配内容が「999:包装」、子商品が「製品A」、工程:手配内容が「100:仕込」、および予定数が「500kg」を対応付けて保持されている。
【0035】
製造実績受入データ106iは、オペレータが製造実績入力画面を介して入力した製造実績受入に関する各種情報を保持する。
【0036】
図10は、製造実績受入データ106iにおける製造実績受付データテーブルの一例を示す図である。図10に示すように、製造実績受入データテーブルT9には、商品のNoが「1」の場合に、商品が「製品A」、工程:手配内容が「999:包装」、実績数が「490kg」、および製造ロットが「Lot002」を対応付けて保持されている。
【0037】
製造実績払出データ106jは、オペレータが製造実績入力画面を介して入力した製造実績払出に関する各種情報を保持する。
【0038】
図11は、製造実績払出データ106jにおける製造実績払出データテーブルの一例を示す図である。図11に示すように、製造実績払出データテーブルT10には、商品のNoが「1」の場合に、親商品が「製品A」、工程:手配内容が「999:包装」、子商品が「製品A」、工程:手配内容が「100:仕込」、実績数が「487kg」、および払出ロットが「Lot002」を対応付けて保持されている。
【0039】
制御部102は、異物混入チェック装置100を統括的に制御するCPU等である。制御部102は、OS等の制御プログラム・各種の処理手順等を規定したプログラム・所要データなどを格納するための内部メモリを有し、格納されているこれらのプログラムに基づいて種々の情報処理を実行する。制御部102は、計算部102aと、確認部102bと、通知部102cと、を備える。
【0040】
計算部102aは、ある製造工程で得られた製品の実績数量と、当該ある製造工程の前の製造工程で得られた製品の実績数量から当該ある製造工程に使用された製品の使用数量を引いた数量との和を、当該ある製造工程で製品が得られるまでに使用された原料の使用数量で除算することにより、歩留を計算する。さらに、計算部102aは、ある製造工程で得られた製品の実績数量と、当該ある製造工程の前の製造工程で得られた製品の実績数量から当該ある製造工程に使用された製品の使用数量を引いた数量との和を、原料の使用数量と、当該ある製造工程の前の製造工程で使用する原料を追加した追加数量を示す追油と、当該ある製造工程と異なる製造工程において使用された製品の使用数量を示す還元と、で加算した値で除算する。
【0041】
確認部102bは、歩留が標準歩留を超えているか確認する。具体的には、確認部102bは、計算部102aが計算した、ある製造工程で得られた製品の歩留率が標準歩留、例えば99.5%(図6を参照)を超えているか否かを確認する。
【0042】
通知部102cは、歩留が標準歩留を超えていた場合は、異物混入の可能性を知らせる通知を出力する。また、通知部102cは、製品を、当該ある製造工程で製品が得られるまでに使用された原料の使用数量、製品の予定数、実績数量、追油、還元、数量および歩留を対応付けた製造実績表を出力する。さらに、通知部102cは、製品の歩留の数値を出力する。さらにまた、通知部102cは、製品の歩留が標準歩留を超えていた場合は、製品の歩留を強調して出力する。さらにまた、通知部102cは、帳票抽出を指示された場合、製品の歩留が標準歩留を超えている製品の製造実績表を出力する。
【0043】
[2.製造実績表の作成手順の概要]
次に、製造実績表の作成手順の概要について説明する。図12は、製造実績表の作成手順の概要を示す図である。
【0044】
図12に示すように、まず、オペレータは、入力装置112を操作し、ある製品、例えばチョコレートの構成マスタデータ(例えば図2の構成マスタテーブルT1等を参照)等を用いて、ある製品の製造指示入力を行う(ステップS1)。この場合、異物混入チェック装置100は、計算部102aがオペレータによって入力装置112を介して入力された製造指示受付データ(図8を参照)および製造指示払出データ(図9を参照)に基づいて、後述する製造実績表(予定)を作成し、通知部102cが計算部102aによって作成された製造実績表(予定)を出力装置114へ出力することによって表示させる(ステップS2)。
【0045】
その後、オペレータは、入力装置112を操作することによって、ある製品の製造実績入力を行う(ステップS3)。この場合、異物混入チェック装置100は、計算部102aがオペレータによって入力装置112を介して入力された製造実績受入データ(図10を参照)および製造実績払出データ(図11を参照)に基づいて、後述する製造実績表(実績)を作成し、通知部102cが計算部102aによって作成された製造実績表(実績)を出力装置114へ出力することによって表示させる(ステップS4)。この場合、通知部102cは、確認部102bによって計算部102aが生成した製造実績表(実績)に含まれる、ある商品の歩留が標準歩留を超えていることを確認した場合、異物混入の可能性を知らせる通知を出力装置114へ出力する。なお、異物混入の可能性を知らせる通知については、後述する。
【0046】
[3.製品の工程]
次に、ある製品の工程について説明する。図13は、ある製品の製造の工程を模式的に示す図である。
【0047】
ある製品の工程には、2つの工程がある。工程1は、仕入工程である。具体的には、仕入工程は、原材料の設備へ投入する工程である。工程2は、包装工程である。具体的には、包装工程は、仕入した原料の取り出して包装する工程である。
【0048】
このため、図13に示すように、オペレータは、ある製品、例えばチョコレートを製造する場合、まず、チョコレートを製造するための原料の仕込量、追油および還元を用いて本日の製造予定における仕入工程および包装工程の入力作業を行う(図13の(A))。続いて、オペレータは、ある製品(チョコレート)の製造後、製造した商品(チョコレート)の出来高(歩留)および払量を製造実績における仕入工程および包装工程の入力作業を行う(図13の(B))。この場合、製造した製品の出来高に予定外のものが混入する場合、即ち、歩留率が標準歩留率、具体的には製造指示マスタ106eにおける製造指示マスタテーブルT5の標準歩留率、例えば99.5%を超える場合があるが、この歩留率が標準歩留率を超える理由については後述する。続いて、オペレータは、ある製品(チョコレート)の仕込量、追油および、ある製品の払量(例えば前日に製造したチョコレート)を還元として用いて、翌日の製造予定における仕込工程および包装工程の入力作業を行う(図13の(C))。
【0049】
ここで、各用語について詳細に説明する。
出来高とは、受入数である。
仕込量とは、仕込工程の出来高である。なお、仕込工程は、計量を行うことができないため、予定数が出来高(受入数)となる(予定数=出来高(受入数))・
払量とは、包装工程で前工程の仕込量のうち使用しなかった分である。即ち、残り分である。即ち、ある製造工程の前の製造工程で得られた製品の実績数量から当該ある製造工程に使用された製品の使用数量を引いた数量に該当する。
還元とは、今回仕込んだ分でないものを使用したものである。具体的には、前回の製造時における払量である。
追油とは、仕込工程において使用する原料を追加で包装で使用するものである。
歩留とは、以下の式(1)によって表すことができる。
歩留=(出来高+払量)÷(仕込量+追油+還元) ・・・(1)
【0050】
[4.異物混入チェック装置100が実行する処理]
次に、異物混入チェック装置100が実行する処理について説明する。図14は、異物混入チェック装置100が実行する処理の概要を示すフローチャートである。
【0051】
図14に示すように、まず、異物混入チェック装置100は、出力装置114に製造指示入力画面を表示させ(ステップS101)、オペレータによる入力装置112の操作に応じて、製造指示入力を受け付け(ステップS102)、製造実績表(予定)を作成して出力装置114へ出力する(ステップS103)。
【0052】
図15は、ある製品の製造予定の包装工程における製造指示入力画面と包装工程における製造指示入力の一例を示す図である。以下においては、ある製品Aを500kg(荷姿50個,1個あたり10kg)の場合について説明する。
【0053】
図15に示すように、製造指示入力画面P1には、商品Noを示す商品項目、工程を示す工程項目、商品名を示す商品名入力項目、荷数を示す荷数入力項目、受入数を示す受入数項目、ロット番号を示すロット番号項目、各工程テーブルが含まれる。オペレータは、入力装置112を操作することによって、受入数項目に「500」と入力する。これにより、製造指示入力画面P1には、商品項目に「1」、工程項目に「999」、商品名項目に「製品A」、荷数項目に「50」(個)およびロット番号項目に「20201225」と表示され、各工程テーブルに各種情報が表示される。具体的には、第1の工程テーブルには、商品が「製品A」、工程が「100」、「仕込」、予定数が500(kg)と表示される。さらに、第2の工程テーブルには、商品が「資材」、工程が「999」、「購入」、予定数が50(枚)と表示される。
【0054】
図16は、ある製品の製造予定の仕込工程における製造指示入力画面と仕込工程における製造指示入力の一例を示す図である。以下においては、ある製品Aの原料として原料A、原料Bを用いる場合について説明する。さらに、原料A,Bは、仕込工程における原料Aの歩留を考慮するため、仕込量より多くなるように多めに設定される。
【0055】
図16に示すように、オペレータは、入力装置112を操作することによって、製品Aの原料Aを456kg、原料Bを51kgを仕込量として入力する。これにより、製造指示入力画面P1には、商品項目に「1」、工程項目に「100」、商品名項目に「製品A」、荷数項目に「0」(個)およびロット番号項目に「20201225」と表示され、各工程テーブルに各種情報が表示される。また、第1の工程テーブルには、商品が「原料A」、工程が「999」、「購入」、予定数が456(kg)と表示される。さらに、第2の工程テーブルには、商品が「原料B」、工程が「999」、「購入」、予定数が51(枚)と表示される。この場合、異物混入チェック装置100は、包装工程および仕込工程の各々で製造指示入力画面P1に入力された内容に基づいて、製造指示受入データ(図8を参照)、製造指示払出データ(図9を参照)および製造実績表(予定)を生成する。
【0056】
図17は、製造実績表(予定)と製造指示内容の一例を示す図である。図17に示すように、異物混入チェック装置100は、製造指示受入データおよび製造指示払出データに基づいて、製造実績表(予定)を作成して出力装置114へ出力する。図17に示す製造実績表(予定)テーブルT10には、商品コードに、商品名、仕込量、予定数、実績数、追油、還元、払量および歩留を対応付けて保持されている。図17に示す製造実績表(予定)テーブルT10には、仕込量が「507.00」(原料A1の456+原料Bの51)、予定数が「50」と保持されている。なお、仕込量は、半製品の予定数合計である。なお、半製品は、製品の工程を≠999と定義する。
【0057】
図14に戻り、ステップS104以降の説明を続ける。
ステップS104において、製造実績入力画面を表示させ、オペレータによる入力装置112の操作に応じて、製造実績を受け付け(ステップS105)、製造実績表(実績)を作成して出力装置114へ出力し(ステップS106)、本処理を終了する。
【0058】
[4―1.追油および還元がない場合]
まず、製造実績において追油および還元がない場合の製造実績入力について説明する。図18は、ある製品の製造実績の仕込工程における製造実績入力画面と仕込工程における製造実勢入力の一例を示す図である。
【0059】
図18に示すように、オペレータは、入力装置112を操作することによって、製造実績において使用した製品Aの原料Aを456kg、原料Bを51kgを仕込量として入力する。これにより、製造実績入力画面P2には、商品項目に「1」、工程項目に「100」、商品名項目に「製品A」、荷数項目に「0」(個)、ロット番号項目に「20201225」および歩留項目に「100%」(即ち、「歩留が「1」」)と表示され、各工程テーブルに各種情報が表示される。また、第1の工程テーブルには、商品が「原料A」、工程が「999」、「購入」、予定数が456(kg)、ロット番号が「20201225」と表示される。さらに、第2の工程テーブルには、商品が「原料B」、工程が「999」、「購入」、予定数が51(枚)、ロット番号が「20201225」と表示される。
【0060】
図19は、ある製品の製造実績の包装工程における製造実績入力画面と包装工程における製造実績入力の一例を示す図である。
【0061】
図19に示すように、オペレータは、入力装置112を操作することによって、製造実績において直接の払量でなく、実際の使用用を入力する。具体的には、オペレータは、製品Aの仕込量が500kgである場合において、仕込量の払量が13kg生じているとき、487kgを入力する(仕込量500kg-払量13kg=487kg)。さらに、オペレータは、資材の仕込量が50枚である場合において、実際に使用した49枚を入力する。これにより、製造実績入力画面P2には、商品項目に「1」、工程項目に「999」、商品名項目に「製品A」、荷数項目に「49」(個)、受入項目に「490」(kg)およびロット番号項目に「20201225」および歩留項目に「99.2%」と表示され、各工程に各種情報が表示される。また、第1の工程テーブルには、商品が「製品A」、工程が「100」、「仕込」、予定数が500(kg)、払出数が「487」(kg)、ロット番号が「20201225」と表示される。さらに、第2の工程テーブルには、商品が「資材」、工程が「999」、「購入」、予定数が「50」(枚)、ロット番号が「20201225」と表示される。この場合、異物混入チェック装置100は、包装工程および仕込工程の各々で製造実績入力画面P2に入力された内容に基づいて、製造実績受入データ(図10を参照)、製造実績払出データ(図11を参照)および製造実績表(実績)を生成する。
【0062】
図20は、製造実績表(実績)と製造実績内容の一例を示す図である。図20に示すように、異物混入チェック装置100は、製造実績受入データおよび製造実績払出データに基づいて、製造実績表(実績)を作成して出力装置114へ出力する。図20に示す製造実績表(実績)テーブルT11には、商品コードに、商品名、仕込量、予定数、実績数、追油、還元、払量および歩留を対応付けて保持されている。図20に示す製造実績表(実績)テーブルT11には、仕込量が「507.00」(原料A1の456+原料Bの51)、予定数が「50」、実績数が「49」、払量が「13」および歩留が「99.2」と保持されている。ここで、歩留は、以下の式(2)によって算出される。
歩留=(出来高(49×10)+払量(13))
÷(仕込量(507)+追油(0)+還元(0)) ・・・(2)
【0063】
このように、オペレータは、製造実績表(実績)テーブルT11を確認することによって、仕込量、予定数、実績数、払量および歩留を把握することができる。
【0064】
[4-2.追油および還元がある場合]
次に、製造実績において追油および還元がある場合の製造実績入力について説明する。図21は、製造実績において追油および還元がある場合のある製品の製造実績の仕込工程における製造実績入力画面と仕込工程における製造実勢入力の一例を示す図である。図22は、製造実績において追油および還元がある場合の製造実績受入データ106iにおける製造実績受付データテーブルの一例を示す図である。図23は、製造実績において追油および還元がある場合の製造実績払出データ106jにおける製造実績払出データテーブルの一例を示す図である。図24は、製造実績において追油および還元がある場合のある製品の製造実績の包装工程における製造実績入力画面と包装工程における製造実績入力の一例を示す図である。
【0065】
まず、図21に示すように、オペレータは、入力装置112を操作することによって、製造実績において使用した製品Aの原料Aを456kg、原料Bを51kgを仕込量として入力する。これにより、製造実績入力画面P2には、商品項目に「1」、工程項目に「100」、商品名項目に「製品A」、荷数項目に「0」(個)、ロット番号項目に「20201225」および歩留項目に「100%」(即ち、「歩留が「1」」)と表示され、各工程テーブルに各種情報が表示される。また、第1の工程テーブルには、商品が「原料A」、工程が「999」、「購入」、予定数が456(kg)、ロット番号が「20201225」と表示される。さらに、第2の工程テーブルには、商品が「原料B」、工程が「999」、「購入」、予定数が51(枚)、ロット番号が「20201225」と表示される。
【0066】
続いて、図24に示すように、オペレータは、入力装置112を操作することによって、製造実績において直接の払量でなく、実際の使用用を入力する。具体的には、オペレータは、製品Aの仕込量が500kgである場合において、仕込量の払量が20kg生じているとき、480kgを入力する(仕込量500kg-払量20kg=480kg)(工程≠999かつ予定数あり)。さらに、オペレータは、資材の仕込量が50枚である場合において、実際に使用した49枚を入力する(資産分類=資材は対象外)。さらに、オペレータは、製品Aの仕込(前日以前ロット)において、予定数が「0」(kg)であり、実績が「5」(kg)(還元)(工程≠999かつ予定数0で集計しロット違いを表現)を入力する。さらにまた、オペレータは、原料Aの予定数が「0」(kg)であり、実績が「2」(kg)(追油)(資産分類=原料かつ予定数0で集計)を入力する。
【0067】
これにより、製造実績入力画面P2には、商品項目に「1」、工程項目に「999」、商品名項目に「製品A」、荷数項目に「49」(個)、受入項目に「490」(kg)およびロット番号項目に「20201225」および歩留項目に「99.2%」と表示され、各工程テーブルに各種情報が表示される。
【0068】
第1の工程テーブルには、商品が「製品A」、工程が「100」、「仕込」、予定数が「500」(kg)、払出数が「480」(kg)、ロット番号が「20201225」と表示される。第2の工程テーブルには、商品が「資材」、工程が「999」、「購入」、予定数が「50」(枚)、払出数が「490」(kg)と表示される。第3の工程テーブルには、商品が「製品A」、工程が「100」、「仕込」、予定数が「0」(kg)、還元の払出数が「5」(kg)、ロット番号が「20201224」と表示される。第4のテーブルには、商品が「原料A」、工程が「999」、「購入」、予定数が「0」(kg)、追油の払出数が「2」(kg)と表示される。
【0069】
この場合、異物混入チェック装置100は、包装工程および仕込工程の各々で製造実績入力画面P2に入力された内容に基づいて、製造実績受入データ(図22を参照)、製造実績払出データ(図23を参照)および製造実績表(実績)を生成する。
【0070】
また、図24に示すように、異物混入チェック装置100は、製造実績受入データおよび製造実績払出データに基づいて、製造実績表(実績)を作成して出力装置114へ出力する。
【0071】
図25は、製造実績において追油および還元がある場合の製造実績表(実績)と製造実績内容の一例を示す図である。図25に示すように、製造実績表(実績)テーブルT30には、商品コードに、商品名、仕込量、予定数、実績数、追油、還元、払量および歩留を対応付けて保持されている。具体的には、図25に示す製造実績表(実績)テーブルT30には、仕込量が「507.00」(原料A1の456+原料Bの51)、予定数が「50」、実績数が「49」、追油が「2」、還元が「5」、払量が「20」および歩留が「99.2」と保持されている。ここで、歩留は、以下の式(3)によって算出される。
歩留=(出来高(49×10)+払量(20))
÷(仕込量(507)+追油(2)+還元(5)) ・・・(3)
【0072】
このように、オペレータは、製造実績表(実績)テーブルT30を確認することによって、仕込量、予定数、実績数、追油、還元、払量および歩留を把握することができる。
【0073】
[4-3.異物混入がある場合]
図26は、ある製品の製造実績の包装工程における製造実績入力画面と包装工程における製造実績入力の一例を示す図である。図27は、ある製品の製造実績表(実績)と製造実績内容の一例を示す図である。なお、図26および図27では、説明のため、異物が混入している場合について説明する。
【0074】
図26に示すように、オペレータは、入力装置112を操作することによって、製造実績において直接の払量でなく、実際の使用用を入力する。具体的には、オペレータは、製品Aの仕込量が500kgである場合において、仕込量の払量が30kg生じているとき、470kgを入力する(仕込量500kg-払量30kg=470kg)(工程≠999かつ予定数あり)。さらに、オペレータは、資材の仕込量が50枚である場合において、実際に使用した49枚を入力する(資産分類=資材は対象外)。さらに、オペレータは、製品Aの仕込(前日以前ロット)において、予定数が「0」(kg)であり、実績が「5」(kg)(還元)(工程≠999かつ予定数0で集計しロット違いを表現)を入力する。さらにまた、オペレータは、原料Aの予定数が「0」(kg)であり、実績が「2」(kg)(追油)(資産分類=原料かつ予定数0で集計)を入力する。その後、オペレータが確定ボタンB1を押下した場合、異物混入チェック装置100は、歩留率が製造指示マスタの標準歩留率を超えていることを警告する。具体的には、異物混入チェック装置100の通知部102cは、歩留率の枠W1を強調表示する。例えば、通知部102cは、歩留率の数字を赤でハイライト表示したり、数字を点滅で表示したりする。もちろん、通知部102cは、出力装置114に警告音を出力させるようにしてもよい。
【0075】
これにより、製造実績入力画面P2には、商品項目に「1」、工程項目に「999」、商品名項目に「製品A」、荷数項目に「49」(個)、受入項目に「490」(kg)およびロット番号項目に「20201225」および歩留項目に「101.1%」と表示され、各工程に各種情報が表示される。
【0076】
第1の工程テーブルには、商品が「製品A」、工程が「100」、「仕込」、予定数が「500」(kg)、払出数が「470」(kg)、ロット番号が「20201225」と表示される。第2の工程テーブルには、商品が「資材」、工程が「999」、「購入」、予定数が「50」(枚)、払出数が「490」(kg)と表示される。第3の工程テーブルには、商品が「製品A」、工程が「100」、「仕込」、予定数が「0」(kg)、還元の払出数が「5」(kg)、ロット番号が「20201224」と表示される。第4の工程テーブルには、商品が「原料A」、工程が「999」、「購入」、予定数が「0」(kg)、追油の払出数が「2」(kg)と表示される。
【0077】
この場合、異物混入チェック装置100は、包装工程および仕込工程の各々で製造実績入力画面P2に入力された内容に基づいて、製造実績受入データ(例えば図22を参照)、製造実績払出データ(例えば図23を参照)および製造実績表(実績)を生成する。
【0078】
また、図26に示すように、異物混入チェック装置100は、製造実績受入データおよび製造実績払出データに基づいて、製造実績表(実績)を作成して出力装置114へ出力する。この場合、図27に示すように、製造実績表(実績)テーブルT41には、商品コードに、商品名、仕込量、予定数、実績数、追油、還元、払量および歩留を対応付けて保持されている。図27に示す製造実績表(実績)テーブルT41には、仕込量が「507.00」(原料A1の456+原料Bの51)、予定数が「50」、実績数が「49」、追油が「2」、還元が「5」、払量が「30」および歩留が「101.1」と保持されている。ここで、歩留は、以下の式(4)によって算出される。
歩留=(出来高(49×10)+払量(30))
÷(仕込量(507)+追油(2)+還元(5)) ・・・(4)
【0079】
このように、オペレータは、製造実績表(実績)テーブルT41を確認することによって、仕込量、予定数、実績数、追油、還元、払量および歩留を把握することができるうえ、歩留が標準歩留(例えば標準歩留率が99.5%(図6を参照))を超えていることを把握することができる。
【0080】
さらに、オペレータは、異物混入チェック装置100に対して帳票抽出時に歩留率が標準歩留率を超えているものを条件指定することができる。例えば、通知部102cは、オペレータが入力装置112を操作することによって、帳票抽出が指示された場合、複数の製造実績票の中から歩留率が標準歩留率(例えば99.5%(図6を参照))を超えている製造実績票を抽出して出力する。図28は、帳票抽出時における製造実績表の一例を示す図である。図28に示すように、通知部102cは、製造実績表テーブルT42を出力装置114に出力することによって表示する。
【0081】
以上説明した実施形態によれば、計算部102aが、ある製造工程で得られた製品の実績数量と、当該ある製造工程の前の製造工程で得られた製品の実績数量から当該ある製造工程に使用された製品の使用数量を引いた数量との和を、当該ある製造工程で製品が得られるまでに使用された原料の使用数量で除算することにより、歩留を計算し、確認部102bが製品の歩留が標準歩留を超えているか確認し、通知部102cが製品の歩留が標準歩留を超えていた場合は、異物混入の可能性を知らせる通知を出力するため、製品の異物混入をチェックすることができる。
【0082】
また、実施形態によれば、計算部102aが、ある製造工程で得られた製品の実績数量と、当該ある製造工程の前の製造工程で得られた製品の実績数量から当該ある製造工程に使用された製品の使用数量を引いた数量との和を、原料の使用数量と、当該ある製造工程の前の製造工程で使用する原料を追加した追加数量を示す追油と、当該ある製造工程と異なる製造工程において使用された製品の使用数量を示す還元と、加算した値で除算するため、製品の原料を使い回した場合であっても、製品の異物混入をチェックすることができる。
【0083】
また、実施形態によれば、通知部102cが、ある製造工程で得られる製品を、当該ある製造工程で製品が得られるまでに使用された原料の使用数量、前記製品の予定数、前記実績数量、追油、還元、数量(払量)および歩留を対応付けた製造実績表を出力するため、オペレータが各量を直感的に把握することができる。
【0084】
また、実施形態によれば、通知部102cが製品の歩留の数値を出力するため、オペレータが製品の歩留を直感的に把握することができる。
【0085】
また、実施形態によれば、通知部102cが、歩留が標準歩留を超えていた場合は、歩留を強調して出力するため、オペレータが製品の異物混入を直感的に把握することができる。
【0086】
また、実施形態によれば、通知部102cが、オペレータによって帳票抽出を指示された場合、製品の歩留が標準歩留を超えている製品の製造実績表を出力するため、異物混入が生じた製品を直感的に把握することができる。
【0087】
[5.国連が主導する持続可能な開発目標(SDGs)への貢献]
本実施形態により、業務効率化や企業の適切な経営判断を推進することに寄与することができるので、SDGsの目標8および9に貢献することが可能となる。
【0088】
また、本実施形態により、廃棄ロス削減や、ペーパレス・電子化を推進することに寄与することができるので、SDGsの目標12、13および15に貢献することが可能となる。
【0089】
また、本実施形態により、統制、ガバナンス強化に寄与することができるので、SDGsの目標16に貢献することが可能となる。
【0090】
[6.他の実施形態]
本発明は、上述した実施形態以外にも、特許請求の範囲に記載した技術的思想の範囲内において種々の異なる実施形態にて実施されてよいものである。
【0091】
例えば、実施形態において説明した各処理のうち、自動的に行われるものとして説明した処理の全部または一部を手動的に行うこともでき、あるいは、手動的に行われるものとして説明した処理の全部または一部を公知の方法で自動的に行うこともできる。
【0092】
また、本明細書中や図面中で示した処理手順、制御手順、具体的名称、各処理の登録データや検索条件等のパラメータを含む情報、画面例、データベース構成については、特記する場合を除いて任意に変更することができる。
【0093】
また、異物混入チェック装置100に関して、図示の各構成要素は機能概念的なものであり、必ずしも物理的に図示の如く構成されていることを要しない。
【0094】
例えば、異物混入チェック装置100が備える処理機能、特に制御部にて行われる各処理機能については、その全部または任意の一部を、CPUおよび当該CPUにて解釈実行されるプログラムにて実現してもよく、また、ワイヤードロジックによるハードウェアとして実現してもよい。なお、プログラムは、本実施形態で説明した処理を情報処理装置に実行させるためのプログラム化された命令を含む一時的でないコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録されており、必要に応じて異物混入チェック装置100に機械的に読み取られる。すなわち、ROMまたはHDD(Hard Disk Drive)などの記憶部などには、OSと協働してCPUに命令を与え、各種処理を行うためのコンピュータプログラムが記録されている。このコンピュータプログラムは、RAMにロードされることによって実行され、CPUと協働して制御部を構成する。
【0095】
また、このコンピュータプログラムは、異物混入チェック装置100に対して任意のネットワークを介して接続されたアプリケーションプログラムサーバに記憶されていてもよく、必要に応じてその全部または一部をダウンロードすることも可能である。
【0096】
また、本実施形態で説明した処理を実行するためのプログラムを、一時的でないコンピュータ読み取り可能な記録媒体に格納してもよく、また、プログラム製品として構成することもできる。ここで、この「記録媒体」とは、メモリーカード、USB(Universal Serial Bus)メモリ、SD(Secure Digital)カード、フレキシブルディスク、光磁気ディスク、ROM、EPROM(Erasable Programmable Read Only Memory)、EEPROM(登録商標)(Electrically Erasable and Programmable Read Only Memory)、CD-ROM(Compact Disk Read Only Memory)、MO(Magneto-Optical disk)、DVD(Digital Versatile Disk)、および、Blu-ray(登録商標) Disc等の任意の「可搬用の物理媒体」を含むものとする。
【0097】
また、「プログラム」とは、任意の言語または記述方法にて記述されたデータ処理方法であり、ソースコードまたはバイナリコード等の形式を問わない。なお、「プログラム」は必ずしも単一的に構成されるものに限られず、複数のモジュールやライブラリとして分散構成されるものや、OSに代表される別個のプログラムと協働してその機能を達成するものをも含む。なお、実施形態に示した各装置において記録媒体を読み取るための具体的な構成および読み取り手順ならびに読み取り後のインストール手順等については、周知の構成や手順を用いることができる。
【0098】
記憶部に格納される各種のデータベース等は、RAM、ROM等のメモリ装置、ハードディスク等の固定ディスク装置、フレキシブルディスク、および、光ディスク等のストレージ手段であり、各種処理やウェブサイト提供に用いる各種のプログラム、テーブル、データベース、および、ウェブページ用ファイル等を格納する。
【0099】
また、異物混入チェック装置100は、既知のパーソナルコンピュータまたはワークステーション等の情報処理装置として構成してもよく、また、任意の周辺装置が接続された当該情報処理装置として構成してもよい。また、異物混入チェック装置100は、当該装置に本実施形態で説明した処理を実現させるソフトウェア(プログラムまたはデータ等を含む)を実装することにより実現してもよい。
【0100】
さらに、装置の分散・統合の具体的形態は図示するものに限られず、その全部または一部を、各種の付加等に応じてまたは機能負荷に応じて、任意の単位で機能的または物理的に分散・統合して構成することができる。すなわち、上述した実施形態を任意に組み合わせて実施してもよく、実施形態を選択的に実施してもよい。
【産業上の利用可能性】
【0101】
本発明は、製品に対して複数の原料を配合する業界(例えば医薬品業界、食品業界、配合系製造業、化学業界および化粧品業界)などにおいて有用である。
【符号の説明】
【0102】
100 異物混入チェック装置
102 制御部
102a 計算部
102b 確認部
102c 通知部
104 通信インターフェース部
106 記憶部
106a 構成マスタ
106b 商品マスタ
106c 荷姿入数マスタ
106d 構成マスタ
106e 製造指示マスタ
106f 手配内容マスタ
106g 製造指示受入データ
106h 製造指示払出データ
106i 製造実績受入データ
106j 製造実績払出データ
108 入出力インターフェース部
112 入力装置
114 出力装置
200 サーバ
300 ネットワーク
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21
図22
図23
図24
図25
図26
図27
図28