(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-17
(45)【発行日】2024-10-25
(54)【発明の名称】安全ねじキャップ
(51)【国際特許分類】
B65D 50/04 20060101AFI20241018BHJP
【FI】
B65D50/04
(21)【出願番号】P 2021077379
(22)【出願日】2021-04-30
【審査請求日】2023-11-06
(73)【特許権者】
【識別番号】000006909
【氏名又は名称】株式会社吉野工業所
(74)【代理人】
【識別番号】100141139
【氏名又は名称】及川 周
(74)【代理人】
【識別番号】100140718
【氏名又は名称】仁内 宏紀
(74)【代理人】
【識別番号】100140774
【氏名又は名称】大浪 一徳
(74)【代理人】
【識別番号】100188592
【氏名又は名称】山口 洋
(72)【発明者】
【氏名】古澤 光夫
【審査官】杉田 剛謙
(56)【参考文献】
【文献】特開2012-206730(JP,A)
【文献】特開2018-158754(JP,A)
【文献】特開2015-221690(JP,A)
【文献】特開2020-121765(JP,A)
【文献】実開昭58-000956(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 50/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
内容物が収容される容器本体の口部に螺着されるねじ筒を有する有頂筒状の内キャップと、
前記内キャップを径方向の外側から囲う外筒と、
前記内キャップを上方から覆う有頂筒状の上蓋と、を備え、
前記ねじ筒および前記外筒それぞれの下端部同士は、破断可能な弱化部を介して連結され、
前記上蓋および前記外筒それぞれにおいて、周方向の一部同士はヒンジ部を介して連結されるとともに、前記ヒンジ部から周方向に離れた部分のうちの少なくとも一部同士は、互いに分離不能に係止され、
前記内キャップ、前記外筒、前記上蓋、前記弱化部、および前記ヒンジ部は、一体に形成され、
前記内キャップおよび前記上蓋のうちのいずれか一方の天壁部には、いずれか他方の天壁部に向けて突出し、いずれか他方をいずれか一方に対して上下方向に離れる向きに付勢する弾性片が形成されるとともに、いずれか他方の天壁部には、供回り突起が形成され、
前記弱化部が破断された状態で、前記外筒および前記上蓋は、前記内キャップに対して、下方移動可能、かつ前記口部に対する前記内キャップの周方向に沿う緩み側に回転可能となり、
前記上蓋が、前記内キャップに対して前記緩み側に回転したときに、前記供回り突起が、前記弾性片を弾性変形させつつ周方向に通過し、
前記上蓋が、前記内キャップに対して、前記口部に対する前記内キャップの周方向に沿う締込側に回転したときに、前記供回り突起が、前記弾性片の先端縁に突き当たって係止され、
前記上蓋および前記内キャップには、前記上蓋が前記内キャップに対して下方移動したときに、周方向で互いに係合し、前記上蓋および前記内キャップの相対回転を規制する第1規制部および第2規制部が各別に形成されている、安全ねじキャップ。
【請求項2】
前記ねじ筒の下端部には、下方に向けて延び、径方向の外側に向けて折曲変形可能な係止片が、周方向に間隔をあけて複数形成され、
前記外筒の下端部には、径方向の内側に向けて突出し、周方向に延びる突条部が形成され、
前記弱化部は、前記係止片の下端部と前記突条部とを連結している、請求項1に記載の安全ねじキャップ。
【請求項3】
前記第1規制部は、前記上蓋の周壁部の内周面から径方向の内側に向けて突出し、
前記内キャップの天壁部には、上方に向けて延び、前記第1規制部に、前記第1規制部の径方向の内側から当接、若しくは近接する案内部が形成されている、請求項1または2に記載の安全ねじキャップ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、安全ねじキャップに関する。
【背景技術】
【0002】
安全ねじキャップとして、例えば下記特許文献1に示されるように、容器本体の口部から外す際、口部に対して押込んだ状態で周方向に沿う緩み側に回転させない限り、口部から外すことができない構成が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、前記従来の安全ねじキャップでは、複数の部品により構成されており、部品点数を削減することに改善の余地があった。
【0005】
本発明は、前述した事情に鑑みてなされたものであって、部品点数を削減することができる安全ねじキャップを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、上記課題を解決するために以下のような手段を採用した。すなわち、本発明の安全ねじキャップは、内容物が収容される容器本体の口部に螺着されるねじ筒を有する有頂筒状の内キャップと、前記内キャップを径方向の外側から囲う外筒と、前記内キャップを上方から覆う有頂筒状の上蓋と、を備え、前記ねじ筒および前記外筒それぞれの下端部同士は、破断可能な弱化部を介して連結され、前記上蓋および前記外筒それぞれにおいて、周方向の一部同士はヒンジ部を介して連結されるとともに、前記ヒンジ部から周方向に離れた部分のうちの少なくとも一部同士は、互いに分離不能に係止され、前記内キャップ、前記外筒、前記上蓋、前記弱化部、および前記ヒンジ部は、一体に形成され、前記内キャップおよび前記上蓋のうちのいずれか一方の天壁部には、いずれか他方の天壁部に向けて突出し、いずれか他方をいずれか一方に対して上下方向に離れる向きに付勢する弾性片が形成されるとともに、いずれか他方の天壁部には、供回り突起が形成され、前記弱化部が破断された状態で、前記外筒および前記上蓋は、前記内キャップに対して、下方移動可能、かつ前記口部に対する前記内キャップの周方向に沿う緩み側に回転可能となり、前記上蓋が、前記内キャップに対して前記緩み側に回転したときに、前記供回り突起が、前記弾性片を弾性変形させつつ周方向に通過し、前記上蓋が、前記内キャップに対して、前記口部に対する前記内キャップの周方向に沿う締込側に回転したときに、前記供回り突起が、前記弾性片の先端縁に突き当たって係止され、前記上蓋および前記内キャップには、前記上蓋が前記内キャップに対して下方移動したときに、周方向で互いに係合し、前記上蓋および前記内キャップの相対回転を規制する第1規制部および第2規制部が各別に形成されている。
【0007】
本発明によれば、内キャップ、外筒、上蓋、弱化部、およびヒンジ部が一体に形成されているので、安全ねじキャップの部品点数を削減することができる。
上蓋および外筒それぞれにおいて、周方向の一部同士がヒンジ部を介して連結されるとともに、ヒンジ部から周方向に離れた部分のうちの少なくとも一部同士が、互いに分離不能に係止されている。
したがって、内キャップおよび上蓋を、それぞれの天壁部を開放した状態で成形した後に、上蓋を、ヒンジ部回りに回転させて内キャップに被せ、かつ外筒に分離不能に係止させることが可能になり、内キャップおよび上蓋が、弾性片、供回り突起、第1規制部、および第2規制部を有していても、金型構造の複雑化を防ぎつつ、内キャップ、外筒、上蓋、弱化部、およびヒンジ部が一体に形成された安全ねじキャップを得ることができる。
上蓋が、内キャップに対して、口部に対する内キャップの周方向に沿う緩み側に回転したときに、供回り突起が、弾性片を周方向に通過するので、上蓋が内キャップに対して空回りすることとなり、内キャップが口部から外れることがない。
上蓋が、内キャップに対して、口部に対する内キャップの周方向に沿う締込側に回転したときに、供回り突起が、弾性片の先端縁に突き当たって係止されるので、内キャップが上蓋とともに前記締込側に回転することとなり、内キャップが口部に対して締め込まれる。
上蓋および内キャップに、上蓋が内キャップに対して下方移動したときに、周方向で互いに係合し、上蓋および内キャップの相対回転を規制する第1規制部および第2規制部が各別に形成されているので、上蓋を内キャップに対して押込んで、第1規制部および第2規制部を周方向で互いに係合させた状態で、上蓋を、内キャップに対して前記緩み側に回転すると、安全ねじキャップ全体が口部に対して前記緩み側に回転し、内キャップが口部から外されて口部が開放される。
以上より、容器本体の口部から外す際、口部に対して押込んだ状態で前記緩み側に回転させない限り、口部から外すことができない安全ねじキャップが得られる。
【0008】
前記ねじ筒の下端部には、下方に向けて延び、径方向の外側に向けて折曲変形可能な係止片が、周方向に間隔をあけて複数形成され、前記外筒の下端部には、径方向の内側に向けて突出し、周方向に延びる突条部が形成され、前記弱化部は、前記係止片の下端部と前記突条部とを連結してもよい。
【0009】
この場合、弱化部が、ねじ筒の下端部に周方向に間隔をあけて形成された複数の係止片と、外筒の下端部に形成された突条部と、を連結しているので、弱化部を破断した後に、複数の係止片を径方向の外側に折り曲げて、係止片の下端部を、突条部に係止させることが可能になり、弱化部を破断した状態で、内キャップおよび外筒が相対的にぐらつきやすくなるのを抑制することができる。
【0010】
前記第1規制部は、前記上蓋の周壁部の内周面から径方向の内側に向けて突出し、前記内キャップの天壁部には、上方に向けて延び、前記第1規制部に、前記第1規制部の径方向の内側から当接、若しくは近接する案内部が形成されてもよい。
【0011】
この場合、内キャップの天壁部に、上蓋に設けられた第1規制部に、第1規制部の径方向の内側から当接、若しくは近接する案内部が形成されているので、弱化部を破断した状態で、内キャップおよび上蓋が相対的にぐらつきやすくなるのを抑制することができる。
【発明の効果】
【0012】
この発明によれば、部品点数を削減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】一実施形態の安全ねじキャップの縦断面図である。
【
図2】
図1の安全ねじキャップの製造方法を説明する説明図である。
【
図3】
図1の安全ねじキャップの製造方法を説明する説明図である。
【
図4】
図1の安全ねじキャップの製造方法を説明する説明図である。
【
図5】
図1の安全ねじキャップが容器本体に装着された状態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、図面を参照し、安全ねじキャップの一実施形態について説明する。
安全ねじキャップ1は、
図1~
図5に示されるように、内キャップ11、外筒12、および上蓋13を備えている。内キャップ11および上蓋13はそれぞれ、有頂筒状に形成されている。内キャップ11、外筒12、および上蓋13は、共通軸Oと同軸に配設されている。
以下、共通軸Oに沿う方向を上下方向といい、上下方向から見て、共通軸Oに交差する方向を径方向といい、共通軸O回りに周回する方向を周方向という。
【0015】
内キャップ11は、内容物が収容される容器本体Wの口部W1(
図5参照)に螺着されるねじ筒21を有している。ねじ筒21の内周面に雌ねじ部が形成されている。内キャップ11の天壁部22は、ねじ筒21の上端開口を閉塞している。内キャップ11の天壁部22に、上方に向けて延びる案内部23が形成されている。案内部23は、筒状に形成され、共通軸Oと同軸に配設されている。案内部23は、内キャップ11の天壁部22の外周縁部に設けられている。なお、案内部23は、例えば板状、若しくは棒状等に形成されてもよい。
【0016】
外筒12は、内キャップ11を径方向の外側から囲っている。外筒12およびねじ筒21それぞれの下端部同士は、破断可能な弱化部14を介して連結されている。
本実施形態では、外筒12の下端部に、径方向の内側に向けて突出し、周方向に延びる突条部25が形成されている。突条部25は、周方向の全長にわたって連続して延びている。なお、突条部25は、周方向に断続的に延びてもよい。
ねじ筒21の下端部に、下方に向けて延び、径方向の外側に向けて折曲変形可能な係止片24が、周方向に間隔をあけて複数形成されている。係止片24、および外筒12それぞれの下端部の上下方向の位置は、互いに同等になっている。
弱化部14は、係止片24の下端部と突条部25における径方向の内端部とを連結している。
【0017】
上蓋13は、内キャップ11を上方から覆っている。
上蓋13および外筒12それぞれにおいて、周方向の一部同士はヒンジ部15を介して連結されるとともに、ヒンジ部15から周方向に離れた部分のうちの少なくとも一部同士は、互いに分離不能に係止されている。上蓋13の周壁部26の下端部と、外筒12の上端部と、がヒンジ部15を介して連結されている。上蓋13の周壁部26の下端部、および内キャップ11の天壁部22それぞれの上下方向の位置は、互いに同等になっている。
【0018】
ここで、外筒12のうち、ヒンジ部15から周方向に離れた部分(以下、前部分という)12aの上端部は、ヒンジ部15が連結された部分より上方に位置している。上蓋13の周壁部26のうち、ヒンジ部15から周方向に離れた部分(以下、前部分という)26aは、外筒12の前部分12a内に挿入されている。
外筒12の前部分12aに、径方向に貫く貫通孔28が周方向に間隔をあけて複数形成されている。上蓋13の前部分26aの下端部に、径方向の外側に向けて突出した係止突片27が、周方向に間隔をあけて複数形成されている。複数の係止突片27が、外筒12の前部分12aに形成された複数の貫通孔28に各別に離脱不能に嵌合されている。
【0019】
以上の内キャップ11、外筒12、上蓋13、弱化部14、およびヒンジ部15を備えた安全ねじキャップ1の全体が、一体に形成されている。
【0020】
内キャップ11および上蓋13のうちのいずれか一方の天壁部に、いずれか他方の天壁部に向けて突出し、いずれか他方をいずれか一方に対して上下方向に離れる向きに付勢する弾性片16が形成されるとともに、いずれか他方の天壁部には、供回り突起17が形成されている。
図示の例では、弾性片16は、内キャップ11の天壁部22から上方に向けて突出し、供回り突起17は、上蓋13の天壁部29から下方に向けて突出している。なお、弾性片16は、上蓋13の天壁部29から下方に向けて突出してもよく、また、供回り突起17は、内キャップ11の天壁部22から上方に向けて突出してもよい。
【0021】
弾性片16は、上方に向かうに従い、口部W1に対する内キャップ11の周方向に沿う緩み側X(
図3参照)に向けて延びている。弾性片16は、板状に形成され、上下方向から見た平面視で周方向に長い長方形状を呈する。弾性片16は、上方に向けて突の曲面状に形成されている。弾性片16の上端部は、上蓋13の天壁部29の下面に当接し、上蓋13を上方に向けて付勢している。
【0022】
ここで、
図5に示されるように、弱化部14が破断された状態では、外筒12および上蓋13は、内キャップ11に対して、下方移動可能、かつ前記緩み側Xに回転可能となる。
上蓋13が、内キャップ11に対して前記緩み側Xに回転したときに、供回り突起17が、弾性片16を周方向に通過し、上蓋13が、内キャップ11に対して、口部W1に対する内キャップ11の周方向に沿う締込側Y(
図3参照)に回転したときに、供回り突起17が、弾性片16の先端縁16aに突き当たって係止される。
なお、供回り突起17における周方向の両端面のうち、前記緩み側Xを向く面は、下方に向かうに従い前記締込側Yに向けて延びるように傾斜してもよい。この場合、上蓋13が、内キャップ11に対して前記緩み側Xに回転したときに、供回り突起17が、弾性片16を引っ掛かり少なく円滑に周方向に通過する。
【0023】
上蓋13および内キャップ11には、上蓋13が内キャップ11に対して下方移動したときに、周方向で互いに係合し、上蓋13および内キャップ11の相対回転を規制する第1規制部31および第2規制部32が各別に形成されている。
【0024】
第1規制部31は、上蓋13の周壁部26の内周面から径方向の内側に向けて突出している。第1規制部31は、上蓋13の天壁部29から下方に向けて突出している。
図3に示されるように、第1規制部31および供回り突起17それぞれの周方向の位置は、互いに異なっている。第1規制部31は、上下方向に延びる条状に形成されている。
図1および
図5に示されるように、第1規制部31に、内キャップ11の天壁部22に形成された案内部23の外周面が、第1規制部31の径方向の内側から当接、若しくは近接している。
【0025】
第2規制部32は、内キャップ11の天壁部22において、案内部23より径方向の外側に位置する部分に形成された縦溝となっている。第2規制部32は、上方および径方向の外側に向けて一体に開口している。第2規制部32は、内キャップ11の天壁部22の上面のうち、案内部23の外周面に連なる部分から下方に向けて延びている。第2規制部32は、内キャップ11の天壁部22に、周方向の全長にわたって断続的に設けられている。
【0026】
次に、安全ねじキャップ1の製造方法について説明する。
【0027】
まず、
図2に示されるように、内キャップ11のねじ筒21、および外筒12それぞれの下端部同士が、弱化部14を介して連結されるとともに、上蓋13が、上下反転した状態で、ヒンジ部15を介して外筒12の上端部に連結されている状態にある中間体1aを射出成形する。この際、弾性片16に成形される突片16bは、表裏面が周方向を向き、上下方向に真直ぐ延びる板状に形成されている。
次に、第1治具g1を用いて、突片16bを下方に向けて押し込んで、突片16bを前述のように突の曲面状となるように湾曲させて、
図1および
図3に示されるような、弾性片16に成形する。
次に、上蓋13をヒンジ部15回りに回転させ、内キャップ11の天壁部22を上蓋13で覆い、かつ上蓋13の前部分26aを、外筒12の前部分12a内に挿入しつつ、上蓋13の係止突片27を、外筒12の貫通孔28に嵌合する。これにより、
図1に示される安全ねじキャップ1が得られる。
以上までは、成形金型から中間体1aを脱型した後、例えば中間体1aの温度が、室温に低下する前までに行う。
【0028】
次に、
図4に示されるように、第2治具g2を内キャップ11のねじ筒21内に挿入し、第2治具g2により、内キャップ11の天壁部22の下面を支持した状態で、内キャップ11と、外筒12および上蓋13と、を上下方向に相対的に接近移動させ、弱化部14を破断する。この際、弾性片16を上下方向に弾性変形させつつ、第1規制部31を第2規制部32に差し込む。
次に、
図5に示されるように、内キャップ11の係止片24を、係止片24の上端部回りに径方向の外側に向けて折り曲げて、係止片24の下端部を、突条部25の上面に突き当てて係止させる。
【0029】
次に、安全ねじキャップ1の作用について説明する。
【0030】
図5に示される状態で、上蓋13を、内キャップ11に対して前記緩み側Xに回転させると、供回り突起17が、弾性片16を下方に向けて弾性変形させつつ周方向に通過するので、上蓋13が内キャップ11に対して空回りすることとなり、内キャップ11が口部W1から外れることがない。
上蓋13を、内キャップ11に対して前記締込側Yに回転させると、供回り突起17が、弾性片16の先端縁16aに突き当たって係止されるので、内キャップ11が上蓋13とともに前記締込側Yに回転することとなり、内キャップ11が口部W1に対して締め込まれる。
上蓋13を内キャップ11に対して押込んで、第1規制部31および第2規制部32を周方向で互いに係合させた状態で、上蓋13を、内キャップ11に対して前記緩み側Xに回転すると、安全ねじキャップ1全体が口部W1に対して前記緩み側Xに回転し、内キャップ11が口部W1から外されて口部W1が開放される。
以上より、容器本体Wの口部W1から外す際、口部W1に対して押込んだ状態で前記緩み側Xに回転させない限り、口部W1から外すことができない安全ねじキャップ1が得られる。
【0031】
以上説明したように、本実施形態による安全ねじキャップ1によれば、内キャップ11、外筒12、上蓋13、弱化部14、およびヒンジ部15が一体に形成されているので、安全ねじキャップ1の部品点数を削減することができる。
【0032】
上蓋13および外筒12それぞれにおいて、周方向の一部同士がヒンジ部15を介して連結されるとともに、ヒンジ部15から周方向に離れた部分のうちの少なくとも一部同士が、互いに分離不能に係止されている。
したがって、内キャップ11および上蓋13を、
図2および
図3に示されるように、それぞれの天壁部22、29を開放した状態で成形した後に、上蓋13を、ヒンジ部15回りに回転させて内キャップ11に被せ、かつ外筒12に分離不能に係止させることが可能になり、内キャップ11および上蓋13が、弾性片16、供回り突起17、第1規制部31、および第2規制部32を有していても、金型構造の複雑化を防ぎつつ、内キャップ11、外筒12、上蓋13、弱化部14、およびヒンジ部15が一体に形成された安全ねじキャップ1を得ることができる。
【0033】
弱化部14が、ねじ筒21の下端部に周方向に間隔をあけて形成された複数の係止片24と、外筒12の下端部に形成された突条部25と、を連結しているので、弱化部14を破断した後に、
図5に示されるように、複数の係止片24を径方向の外側に折り曲げて、係止片24の下端部を、突条部25の上面に突き当てて係止させることが可能になり、弱化部14を破断した状態で、内キャップ11および外筒12が相対的にぐらつきやすくなるのを抑制することができる。
【0034】
内キャップ11の天壁部22に、上蓋13に設けられた第1規制部31に、第1規制部31の径方向の内側から当接、若しくは近接する案内部23が形成されているので、弱化部14を破断した状態で、内キャップ11および上蓋13が相対的にぐらつきやすくなるのを抑制することができる。
【0035】
なお、本発明の技術範囲は、前述した実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の変更を加えることが可能である。
【0036】
係止片24、突条部25、および案内部23は設けなくてもよい。
弾性片16は、第1治具g1を用いて突片16bを成形せず、射出成形により形成してもよい。
【0037】
その他、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、前記実施形態における構成要素を周知の構成要素に置き換えることは適宜可能であり、また、前記実施形態および変形例を適宜組み合わせてもよい。
【符号の説明】
【0038】
1 安全ねじキャップ
11 内キャップ
12 外筒
13 上蓋
14 弱化部
15 ヒンジ部
16 弾性片
16a 先端縁
17 供回り突起
21 ねじ筒
22 内キャップの天壁部
23 案内部
24 係止片
25 突条部
29 上蓋の天壁部
31 第1規制部
32 第2規制部
W 容器本体
W1 口部
X 緩み側
Y 締込側