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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-17
(45)【発行日】2024-10-25
(54)【発明の名称】飲料供給器
(51)【国際特許分類】
   A47J 27/21 20060101AFI20241018BHJP
【FI】
A47J27/21 101S
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2021093884
(22)【出願日】2021-06-03
(65)【公開番号】P2022185942
(43)【公開日】2022-12-15
【審査請求日】2024-03-06
(73)【特許権者】
【識別番号】000002473
【氏名又は名称】象印マホービン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000338
【氏名又は名称】弁理士法人 HARAKENZO WORLD PATENT & TRADEMARK
(72)【発明者】
【氏名】清泉 誠明
(72)【発明者】
【氏名】黒河 賢哉
(72)【発明者】
【氏名】清水 徹也
(72)【発明者】
【氏名】柿添 公伸
【審査官】河内 誠
(56)【参考文献】
【文献】特開2014-226147(JP,A)
【文献】特開2015-19798(JP,A)
【文献】実開平6-38818(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47J 27/21
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
容器部を備えた本体部と、該容器部の開口部を覆う蓋部とを備え、
前記蓋部は、吐出口と、前記容器部の内部と前記吐出口とを連通する吐出流路と、載置状態における上方からみて前記吐出口の少なくとも一部を覆う蓋カバーと、前記吐出流路における気体の流動を可能としつつ液体の流動を制限するように前記吐出流路を閉塞する第1状態と、前記吐出流路における液体および気体の流動を可能とするように前記吐出流路を開放する第2状態とを切り替えるように、前記吐出流路を開閉可能に閉塞する弁とを備え、
前記蓋カバーは、
前記第1状態において、前記吐出口に対する位置を、前記容器部から前記吐出流路を介して前記吐出口から排出される気体が変えることができるように維持され、
前記第2状態において、前記吐出口に対して、先端が、前記第1状態よりも、より上方となる位置に維持される飲料供給器。
【請求項2】
前記第1状態において、前記吐出口と前記蓋カバーとの間に、前記蓋部の中心側から端部側に向かって大きくなる間隙が形成される請求項1に記載の飲料供給器。
【請求項3】
前記第1状態において、前記蓋カバーの先端は、前記吐出口の先端よりも、前記蓋部の中心側より端部側に位置する請求項1または2に記載の飲料供給器。
【請求項4】
前記蓋部は、操作により前記第1状態と前記第2状態とが切り替わるプッシュボタンを備え、
前記第1状態と前記第2状態とにおいて、前記プッシュボタンの位置が互いに異なる請求項1から3の何れか1項に記載の飲料供給器。
【請求項5】
前記蓋部は、前記容器部の内外を連通する、前記吐出流路と異なる気体流路と、該気体流路の前記容器部の側と反対の側に位置する第1吸気口とを備え、
前記第1吸気口が、前記吐出流路の底部の最高点よりも載置状態における上方に位置し、かつ、前記蓋部の中心に対し、前記吐出口とは反対の側に位置する請求項1から4の何れか1項に記載の飲料供給器。
【請求項6】
前記第1吸気口と連通し、前記容器部の外部に位置する排気流路と、該排気流路の前記第1吸気口とは反対の側に位置する排気口とを備えた請求項5に記載の飲料供給器。
【請求項7】
前記排気流路の内部に温度センサを備えた請求項6に記載の飲料供給器。
【請求項8】
前記第1吸気口と連通し、前記容器部の外部に位置する吸気流路と、該吸気流路の第1吸気口とは反対の側に位置する第2吸気口と、前記吸気流路の内部に位置し、前記第1吸気口から前記第2吸気口への流体の流動を制限し、前記第2吸気口から前記第1吸気口への流体の流動を可能とする吸気弁を備えた請求項5から7の何れか1項に記載の飲料供給器。
【請求項9】
前記第2吸気口が、前記吐出流路の底部の最高点よりも載置状態における上方に位置し、かつ、前記蓋部の中心に対し、前記吐出口とは反対の側に位置する請求項8に記載の飲料供給器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は容器部内に飲料を担持し、必要に応じて外部に飲料を供給可能な、飲料供給器に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1は、液体容器中の液体を吐出口から外部に供給可能な電気ケトルを開示する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2019-205714号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載の電気ケトルは、上部の開閉ボタンにより、液体容器から吐出口への流路の開閉を操作する。当該電気ケトルは、開閉ボタンの位置の違いを除き、開閉ボタンの操作による外形の変化がない。このため、当該電気ケトルと視認するのみでは、液体の外部への供給の可否を判断することが困難である。
【0005】
また、当該電気ケトルは、液体容器の内部を加熱するヒータユニットを備え、加熱された液体を供給可能である。液体容器の内部の液体を加熱することにより発生した蒸気は、電気ケトルの上部から排出される。このため、開閉ボタン等の操作部近傍を含む、電気ケトルの周囲、および電気ケトルの上方に蒸気が発生する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の課題を解決するために、本開示の一態様に係る飲料供給器は、容器部を備えた本体部と、該容器部の開口部を覆う蓋部とを備え、前記蓋部は、吐出口と、前記容器部の内部と前記吐出口とを連通する吐出流路と、載置状態における上方からみて前記吐出口の少なくとも一部を覆う蓋カバーと、前記吐出流路における気体の流動を可能としつつ液体の流動を制限するように前記吐出流路を閉塞する第1状態と、前記吐出流路における液体および気体の流動を可能とするように前記吐出流路を開放する第2状態とを切り替えるように、前記吐出流路を開閉可能に閉塞する弁とを備え、前記蓋カバーは、前記第1状態において、前記吐出口に対する位置を、前記容器部から前記吐出流路を介して前記吐出口から排出される気体が変えることができるように維持され、前記第2状態において、前記吐出口に対して、先端が、前記第1状態よりも、より上方となる位置に維持される。
【発明の効果】
【0007】
本開示の一態様によれば、蓋カバーの視認により、飲料供給器が飲料を供給可能か否かについて判断することがより容易となる。さらに、当該一態様によれば、蒸気は吐出口から緩やかに排出可能であるため、操作部近傍を含む飲料供給器の周囲、および飲料供給器の上方における蒸気の発生を低減できる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本開示の実施形態に係る電気ケトルの概略側面図である。
図2】本開示の実施形態に係る電気ケトルの概略平面図である。
図3】本開示の実施形態に係る電気ケトルの一部分解図である。
図4】本開示の実施形態に係る電気ケトルの概略断面図である。
図5】本開示の実施形態に係る本体部の概略平面図である。
図6】本開示の実施形態に係る本体部の概略断面図である。
図7】本開示の実施形態に係る本体部の他の概略断面図である。
図8】本開示の実施形態に係る本体部の断面の一部を拡大して示す概略図である。
図9】本開示の実施形態に係る蓋部の動作を説明するための、当該蓋部の概略断面図である。
図10】本開示の実施形態に係る肩部、および当該肩部の近傍に位置する蓋部の一部を拡大して示す概略図である。
図11】本開示の実施形態に係る取手部を、一部部材を透過して示す概略斜視図である。
図12】本開示の実施形態に係る操作部および温度感知部の動作を説明するための、当該操作部および温度感知部の近傍の概略断面図である。
図13】本開示の実施形態に係る温度感知部の一部を抜き出して示す、概略断面図、および概略側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
〔実施形態〕
<電気ケトルの概略>
以下、本開示の一実施形態について、詳細に説明する。本実施形態においては、飲料供給器の一例である電気ケトル2について説明する。図1は、電気ケトル2の載置状態における概略側面図であり、図2は、電気ケトル2の載置状態における概略平面図である。図3は、電気ケトル2の分解図である。図4は、電気ケトル2の概略断面図であり、図2におけるA-A線矢視断面図である。
【0010】
図1から図4に示すように、本実施形態に係る電気ケトル2は、本体部4と、蓋部6と、電源部8とを備える。なお、本明細書における、「電気ケトル2の載置状態」とは、図4に示すように、略水平の面上に載置した電源部8の電源供給部10を、本体部4の下部に挿入し、静置した状態を指す。本明細書において、特に記載しない限り、各方向は電気ケトル2の載置状態を基準として示す。
【0011】
<容器部>
本体部4の詳細について、図5から図7を併せて参照し説明する。図5は、本体部4の概略平面図であり、図6は、図4に示す断面と同一平面上の断面における、本体部4の概略断面図である。図7は、本体部4の他の概略断面図であり、図6におけるB-B線矢視断面図である。特に、図7は、後述する底部18の上面と平行な断面における、本体部4の断面図である。
【0012】
本体部4は、図5等に示すように、容器部12と、当該容器部12の少なくとも側周囲を覆う外殻としてのカバー14とを備える。
【0013】
容器部12は、図6等に示すように、側胴16と、底部18とを含む。側胴16は、略円筒形状を有し、電気ケトル2の下方側において、底部18と密着嵌合する。容器部12は、電気ケトル2の上方側に開口部20を有し、内部に液体を貯留可能な液体容器として機能する。
【0014】
底部18は、導通部22と、ヒータ24と、熱源26とを含む。導通部22は、電源部8の電源供給部10と接触することにより、電源部8からの電源の供給を受ける。ヒータ24は、導通部22に供給された電源により動作して熱源26を加熱する。これにより、容器部12の内部に貯留された液体が加熱される。
【0015】
また、側胴16は、側壁28と、少なくとも一つの凸部30とを含む。側壁28は、容器部12の内周面の一部を構成する。凸部30は、図7に示すように、側壁28の一部から、容器部12の内部側に向かって突出する。
【0016】
図7に示すように、底部18の上面に沿った、少なくとも一つの凸部30を通る任意の断面において、一つの凸部30の内表面と側壁28とは2点において交わる。ここで、図7に示すように、当該2つの交点のそれぞれにおいて、当該凸部30の内表面と側壁28とは、容器部12の内部側において角度θ1を形成する。本実施形態において、上記断面における、少なくとも一つの凸部30の内表面と側壁28との2つの交点における角度θ1は、何れも鈍角または直角である。また、上記2つの交点のうち、少なくとも一方の交点における角度θ1は鈍角である。特に、本実施形態において、上記2つの交点における角度θ1は、何れも鈍角である。
【0017】
底部18が少なくとも一つの凸部30と当接することにより、底部18の側胴16に対する位置決めがなされる。特に、本実施形態において、側胴16は、3つ以上の凸部30を備え、底部18は、全ての凸部30と当接する。また、底部18と当接する凸部30について、底部18と対向する下面30Uの全面が底部18と接触する(図6参照)。さらに、側壁28と各凸部30とは一体物であり、これに伴い、側壁28と各凸部30の表面とは連続する。なお、側壁28と凸部30とが、互いに異なる部材により構成され、側壁28に凸部30が固着される構成であってもよい。
【0018】
図8は、図6の領域Cの拡大図である。ただし、図8においては、図示の簡単のために、上述した導通部22を含む一部の部材の図示を省略している。
【0019】
底部18は、図8に示すように、温度ヒューズ32と、留め具34とを備える。温度ヒューズ32は、ヒータ24による熱源26の過熱を検知し、ヒータ24の動作を停止するための機構である。例えば、温度ヒューズ32は、電源部8からヒータ24へ電源を供給する配線の機能を有する。また、温度ヒューズ32は、ある閾値温度Tを超える場合に焼き切れることにより、ヒータ24の動作を停止する。これにより、温度ヒューズ32は、ヒータ24による過熱が生じていると判断する温度である閾値温度Tを超える温度となった場合に、ヒータ24の動作を停止し、ヒータ24による熱源26の加熱を停止する。
【0020】
留め具34は、例えば、第1留め具34Aと第2留め具34Bとを含む複数の留め具により、温度ヒューズ32を挟持して、ヒータ24および熱源26に対する温度ヒューズ32の位置を固定する。留め具34により、温度ヒューズ32は、ヒータ24および熱源26に対して、隙間を介して配置される。
【0021】
<カバー>
カバー14は、容器部12の側周囲を覆う、本体部4の外殻の一部である。特に、カバー14は、図7に示すように、容器部12の外周壁に形成された凸部12Tと当接することにより、当該凸部12Tを除く位置において、容器部12と間隔を空けて形成される。このことにより、容器部12の内部の温度が上昇した場合においても、本体部4の外殻の温度上昇を低減する。
【0022】
カバー14は、図5、および図7等に示すように、第1カバー14Aと第2カバー14Bとを含む、複数の部分カバーからなる。第1カバー14Aおよび第2カバー14Bは、何れも、容器部12の側周囲の3/4周以下を覆う。本実施形態においては、第1カバー14Aおよび第2カバー14Bは、何れも、容器部12の側周囲の半周を覆う。
【0023】
なお、本明細書において、「カバー14が容器部12の側周囲の3/4周以下を覆う」とは、カバー14が、図5に示す容器部12の中心位置12Cからみて、容器部12の側周囲の270°以下を覆うことを意味する。また、本明細書において、「カバー14が容器部12の側周囲の半周以下を覆う」とは、カバー14が、容器部12の中心位置12Cからみて、容器部12の側周囲の180°以下を覆うことを意味する。
【0024】
容器部12と第1カバー14Aとは、図6に示すように、容器部12の外部側、かつ、カバー14の内部側に、第1ねじ穴36Aを少なくとも一つ備える。容器部12に対し、カバー14を装着した場合、容器部12の第1ねじ穴36Aと、第1カバー14Aの第1ねじ穴36Aとは、互いに略同一方向において連通する。このため、容器部12と第1カバー14Aとは、ねじを含む固定具により、第1ねじ穴36Aを介して、互いに固定される。なお、本明細書においては、図示の簡単のため、本体各第1ねじ穴36Aを介して容器部12と第1カバー14Aとを互いに固定するねじを含む固定具の図示を省略している。当該固定具は、一般に用いられるねじを含む、従来公知の固定具を用いることができる。
【0025】
電気ケトル2は、把持することにより本体部4を支持できる取手部38を備える。取手部38の少なくとも一部は、第1カバー14Aおよび第2カバー14Bを含む、カバー14の少なくとも一部により構成される。特に、本実施形態において、電気ケトル2は、図2等に示すハンドルカバー40をさらに備え、取手部38は、第1カバー14Aおよび第2カバー14Bのそれぞれの一部と、ハンドルカバー40とにより構成される。特に、ハンドルカバー40は、取手部38の外表面の一部を形成する。
【0026】
ハンドルカバー40は、操作部42と、当該操作部42の周囲に位置するランプ部44とを含む。ランプ部44は、例えば、ハンドルカバー40に形成された、可視光を透過する光学窓46と、取手部38の内部の、ハンドルカバー40側に形成された光源部48とを含む。光源部48からの光は、光学窓46を介して、取手部38の外部側から視認できる。操作部42とランプ部44との詳細な機能は後に詳述する。
【0027】
<蓋部の状態>
蓋部6は、容器部12の開口部20を覆う位置に、本体部4に対し着脱可能に取り付けられる。蓋部6は、下部側に、図3等に示すツメ部50を備え、当該ツメ部50を介して本体部4に対し固定される。さらに、蓋部6は、上部側に、図2に示す取り外しボタン52を備える。取り外しボタン52は、ツメ部50と連動して動き、取り外しボタン52を押した状態において蓋部6を本体部4から上方に離すことにより、本体部4から蓋部6を取り外せる。
【0028】
また、蓋部6は、上部側に、プッシュボタン54を備える。プッシュボタン54は、蓋部6の上部側から下部側に押し込む操作により、蓋部6の状態を、第1状態S1と第2状態S2とに切り替えることが可能な操作部である。
【0029】
プッシュボタン54は、図1等に示すように、当該プッシュボタン54の上面54Tが、蓋部6の外表面6Sと略面一となる位置にある場合、蓋部6は第1状態S1をとる。蓋部6が第1状態S1をとる場合に、プッシュボタン54を蓋部6の下部側に押し込むことにより、プッシュボタン54は、上面54Tが外表面6Sよりも蓋部6の内部側となる位置に移動し、蓋部6の状態が第2状態S2に切り替わる。蓋部6が第2状態S2をとる場合に、プッシュボタン54を蓋部6のさらに下部側に押し込むことにより、プッシュボタン54は、上面54Tが外表面6Sと略面一となる位置に戻り、蓋部6の状態が第1状態S1に切り替わる。
【0030】
換言すれば、プッシュボタン54の操作により、プッシュボタン54の位置を変更することにより、蓋部6の状態を、第1状態S1と第2状態S2との間において相互に切り換えることができる。なお、第1状態S1と第2状態S2とのそれぞれにおけるプッシュボタン54の位置は、上述した位置に限らず、例えば、互いに逆の位置であってもよい。また、本実施形態において、図9を除く各図は、蓋部6が第1状態S1をとる場合について示す。
【0031】
第1状態S1と第2状態S2とのそれぞれにおける、蓋部6の構造について、図9をさらに参照して説明する。図9の(a)は、第1状態S1における蓋部6の断面を示す。図9の(b)は、第2状態S2における蓋部6の断面を示す。なお、図9に示す各断面は、図4に示す断面と同一平面上における断面を示すが、後述する各流路を詳細に示すため、図4の断面に示す蓋部6の各部材のうち、一部の図示を省略している。
【0032】
また、詳細を後述するが、図9において、蓋部6において気体が流動可能な経路を実線の矢印にて示し、蓋部6において液体および気体が流動可能な経路を点線の矢印にて示す。本実施形態において、電気ケトル2における液体または気体が流動する流路の説明を行う場合には、蓋部6が本体部4に対して取り付けられている状態であるとして説明する。
【0033】
蓋部6は、吐出流路56と、吐出口58と、蓋カバー60と、弁62とを備える。吐出流路56は、容器部12の内部と吐出口58とを連通する。このため、吐出流路56は、吐出口58を介して、容器部12の内部と電気ケトル2の外部とを連通する。
【0034】
<蓋カバー>
蓋カバー60は、吐出口58の近傍において、回転軸64を軸に回動可能に拘束され、上方からみて、吐出口58の少なくとも一部を覆う。特に、図2に示すように、第1状態S1における蓋カバー60は、上方からみて、吐出口58の全体を覆う。このため、図9の(a)に示すように、第1状態S1において、蓋カバー60の先端60Eは、吐出口58の先端58Eよりも、蓋部6の中心側より端部側に位置する。第1状態S1において、蓋カバー60は、載置状態において、重力のみにより、吐出口58に対し弱く押さえ付けられていてもよく、あるいは、蓋部6が備える図示しないバネ等により、吐出口58に対し弱く押さえ付けられていてもよい。また、第1状態S1において、吐出口58と蓋カバー60との間には、蓋部6の中心側から端部側に向かって大きくなる間隙68が形成される。
【0035】
一方、第2状態S2における蓋カバー60は、第1状態S1における蓋カバー60と比較して、先端60Eが蓋部6の上部側に位置するように維持される(図9参照)。すなわち、第2状態S2においては、蓋カバー60の吐出口58との距離(換言すれば、間隙68の大きさ)が、第1状態S1より長くなる位置に、蓋カバー60が維持される。したがって、第2状態S2において、蓋カバー60の先端60Eは、第1状態S1と比較して、吐出口58に対して、より上方に維持される。蓋カバー60は、例えば、プッシュボタン54と連動して動作する蓋カバー制御部66により、回転軸64回りの回動を制御されてもよい。例えば、第2状態S2において、蓋カバー制御部66が、プッシュボタン54と連動して移動することにより、蓋カバー60を回転軸64回りに回動させ、吐出口58を開放してもよい。また、上記により、蓋部6の状態が第1状態S1と第2状態S2との何れであっても、蓋カバー60は、吐出口58を完全には閉塞しない。
【0036】
<弁と蓋カバーとの関係>
弁62は、例えば、蓋部6の下部に位置し、本体部4に対し蓋部6を取り付けた状態において、容器部12の内部側に位置する。弁62は、プッシュボタン54と連動して動作し、上下方向に切り替え可能に移動する。弁62は、パッキン70を備える。パッキン70は、第1状態S1において、蓋部6の下面における、吐出流路56の周囲と密着することにより、吐出流路56を閉塞する。
【0037】
蓋部6は、第1排気孔72と、当該第1排気孔72と連通する気体流路74とをさらに備える。容器部12の内部および吐出流路56とは、第1排気孔72および気体流路74を介して連通する。第1排気孔72は、蓋部6が第1状態S1であるか第2状態S2であるかによらず、弁62によって閉塞されない。このため、第1状態S1において、蓋部6は、容器部12の内部から、第1排気孔72、気体流路74、および吐出流路56を介して吐出口58に至る、気体の流動を可能とする。
【0038】
図9に示す中心位置6Cと、第1排気孔72の位置と、吐出口58の位置との比較から明らかであるように、第1排気孔72は、蓋部6の中心位置6Cに対し、吐出口58とは反対の側に位置する。このため、第1状態S1において、電気ケトル2が吐出口58を下方とするように傾斜しても、第1排気孔72が吐出口58よりも上方に位置するため、第1排気孔72を介した液体の流動は制限される。
【0039】
以上より、第1状態S1において、弁62は、吐出流路56における、気体の流動を可能としつつ、液体の流動を制限するように、吐出流路56を閉塞する。
【0040】
一方、第2状態S2において、弁62は、プッシュボタン54と連動して、下方側に移動する。このため、パッキン70は、第2状態S2において、蓋部6の下面における、吐出流路56の周囲との密着が解除される。したがって、第2状態S2においては、吐出流路56を介した、容器部12から吐出口58への、液体および気体を含む流体の流動が可能となる。換言すれば、弁62は、第2状態において、吐出流路56における、液体および気体の流動を可能とするように、吐出流路56を開放する。以上より、弁62は、第1状態S1と第2状態S2との間において、吐出流路56を開閉可能に閉塞する。
【0041】
ここで、上述した通り、第1状態S1において、蓋カバー60は、載置状態において、吐出口58に対し弱く押さえ付けられているのみであり、吐出口58に対し可動の状態に維持される。また、第1状態S1においても、弁62は、容器部12から生じた蒸気を含む気体が、吐出流路56を介して吐出口58へ流動することを制限しない。このため、蓋カバー60は、第1状態S1において、蓋カバー60の吐出口58との距離、換言すれば、間隙68の大きさを、容器部12から吐出流路56を介して吐出口58から排出される気体が変えることができるように維持される。さらに換言すれば、蓋カバー60は、吐出口58に対する位置を、容器部12から吐出流路56を介して吐出口58から排出される気体が変えられるように維持される。
【0042】
<吸気流路>
蓋部6は、さらに、第1吸気口76と、止水ボール78と、吸気流路80と、第2吸気口82と、蓋部排気流路84と、第2排気孔86とを備える。蓋部6が備えるこれらの部材の詳細について、さらに図10を参照して説明する。図10は、図4に示す領域Dについての拡大図である。
【0043】
第1吸気口76は、気体流路74の、容器部12の側と反対の側に位置する。特に、図10に示すように、第1吸気口76は、気体流路74の上部側に位置する。止水ボール78は、気体流路74の内部に配置され、第1吸気口76の形状に対応する略球形状を有する。止水ボール78は、電気ケトル2の載置状態において、気体流路74の下部に位置するため、第1吸気口76を閉塞しない。一方、電気ケトル2が横または上下逆さ等の状態となったにおいて、止水ボール78は、第1吸気口76を閉塞する。これにより、止水ボール78は、電気ケトル2の転倒時等において、容器部12からの液体が第1吸気口76へ流動することを制限する。
【0044】
ここで、第1吸気口76の上下方向における位置76Hを、図9の第1状態S1の断面に点線にて示す。また、吐出流路56の底部の最高点である、吐出口58の先端58Eの上下方向における位置58Hを、図9の第1状態S1の断面に一点鎖線にて示す。図9の(a)の第1状態S1の断面に示す位置76Hと位置58Hとの比較から明らかであるように、第1吸気口76は、吐出流路56の底部の最高点である、吐出口58の先端58Eよりも、載置状態における上方に位置する。さらに、図9の(a)の第1状態S1の断面に示す中心位置6Cと、第1吸気口76の位置と、吐出口58の位置との比較から明らかであるように、第1吸気口76は、蓋部6の中心に対し、吐出口58とは反対の側に位置する。
【0045】
吸気流路80は、第1吸気口76と連通する流路である。第2吸気口82は、吸気流路80の、第1吸気口76とは反対の側に位置する。ここで、蓋部6の最外壁と、第2吸気口82との間に位置する空間は、蓋部6の外部と区画されない。このため、蓋部6の外部の気体は、第2吸気口82、吸気流路80、第1吸気口76、気体流路74、および第1排気孔72を順に介して、容器部12の内部まで流動することができる。
【0046】
ここで、図9および図10から明らかであるように、第2吸気口82は、第1吸気口76よりも上方に位置するため、吐出口58の先端58Eよりも、載置状態における上方に位置する。また、図9に示す中心位置6Cと、第1吸気口76の位置と、吐出口58の位置との比較から明らかであるように、第2吸気口82は、蓋部6の中心に対し、吐出口58とは反対の側に位置する。
【0047】
<排気流路>
蓋部排気流路84は、第1吸気口76と連通し、かつ、吸気流路80とは少なくとも一部が異なる流路である。第2排気孔86は、蓋部排気流路84の、第1吸気口76とは反対の側に位置し、蓋部6の内外を連通する。特に、第2排気孔86は、本体部4の、容器部12とカバー14との間の空間と連通する。特に、本体部4は、取手部38の内部のうち、容器部12側に形成された肩部88の内部に位置する、温度感知部90を排気流路として備え、第2排気孔86は、温度感知部90と連通する。
【0048】
以上より、容器部12の内部から温度感知部90までは、第1排気孔72、気体流路74、第1吸気口76、蓋部排気流路84、および第2排気孔86を介して、気体の流路が連通している。したがって、気体流路74は、蓋部排気流路84と共に、容器部12の内部から温度感知部90までの排気流路としても機能する。
【0049】
温度感知部90は、図10に示すように、第1肩部流路92と、センサ収容部96と、第2肩部流路100とを備える。第1肩部流路92は、第2排気孔86と連通する気体流路である。センサ収容部96は、第2排気孔86とは反対の側において、第1肩部流路92と連通し、温度センサとしてバイメタル102を収容する空間である。第2肩部流路100は、センサ収容部96と連通し、かつ、センサ収容部96とは反対の側において、後述する本体部排気流路104と連通する気体流路である。
【0050】
特に、第1肩部流路92は、第1開口部92Aと第2開口部92Bとを有し、第1開口部92Aにおいて第2排気孔86と連通し、第2開口部92Bにおいてセンサ収容部96と連通する。また、第2肩部流路100は、第3開口部100Aと第4開口部100Bとを有し、第3開口部100Aにおいてセンサ収容部96と連通し、第4開口部100Bにおいて本体部排気流路104と連通する。
【0051】
本体部4は、図4、および図6等に示すように、容器部12とカバー14との間に、第2肩部流路100と連通する本体部排気流路104を備える。本体部排気流路104は、第2肩部流路100とは反対の側に、容器部12の内部からの気体の流路の流路出口として、本体部4の外部と連通する排気口106を備える。以上より、容器部12の内部の気体は、第1排気孔72から、本体部排気流路104までを順に流動し、排気口106から、電気ケトル2の外部に排出される。
【0052】
<シャッタ>
温度感知部90と、当該温度感知部90の周囲における構造について、図10に加えて、図11をさらに参照し詳細に説明する。図11は、図6に示す矢印Eの矢視図である。ただし、図11においては、取手部38の内部の図示を容易とするため、操作部42を除くハンドルカバー40の各部材についての図示を省略している。
【0053】
図10または図11に示すように、温度感知部90は、さらに、シャッタ108と、回転軸110と、シャッタ制御部112とを、カバー14の内部、特に、容器部12とカバー14との間に備える。回転軸110は、第1肩部流路92の内外を貫通し、第1肩部流路92の内部において、シャッタ108を、軸回りに回動可能に拘束する。特に、回転軸110は、第1肩部流路92の壁面94を、略垂直に貫通する。なお、本実施形態においては、回転軸110が、壁面94に対し厳密な垂直方向に、壁面94を貫通する構成には限られず、例えば、製造工程において生じる差異の範囲内において、壁面94に対し傾斜した方向に貫通していてもよい。
【0054】
シャッタ108は、回転軸110の軸回りの回動に伴い、当該回転軸110の軸回りに回動する。シャッタ108は、例えば、第2排気孔86の周囲と当接することにより、第2排気孔86を閉塞し、第1肩部流路92における気体の流動を制限する。また、シャッタ108の回転軸110の軸回りの回動により、シャッタ108と、第2排気孔86の周囲との当接が解除されることにより、第2排気孔86を開放し、第1肩部流路92における気体の流動を可能とする。これにより、シャッタ108は、回転軸110の軸回りに回動し、第2排気孔86を開閉することにより、第1肩部流路92における気体の流動を制御する。
【0055】
シャッタ制御部112は、操作部42の動作に応じて、回転軸110の軸回りの回動を制御する。例えば、温度感知部90は、第1肩部流路92の外部に位置し、回転軸110から半径方向に突出する回転軸凸部114をさらに備え、シャッタ制御部112は、回転軸凸部114の回転軸110の軸回りの回動を制御する。
【0056】
なお、図11に示すように、第1カバー14Aは、取手部38の内部に、第2ねじ穴36Bを少なくとも一つ備える。ここで、第2ねじ穴36Bは、第2カバー14Bにも形成され、容器部12に対し、カバー14を装着した場合、第1カバー14Aの第2ねじ穴36Bと、第2カバー14Bの第2ねじ穴36Bとは、互いに略同一方向において連通する。このため、第1カバー14Aと第2カバー14Bとは、ねじを含む固定具により、第2ねじ穴36Bを介して、互いに固定することができる。
【0057】
なお、図11に示すように、取手部38の内部には、容器部12と第1カバー14Aとを互いに固定するための、上述した第1ねじ穴36Aが形成されていてもよい。また、取手部38の内部には、容器部12と第2カバー14Bとを互いに固定するための第3ねじ穴36Cが形成されていてもよい。
【0058】
<操作部、シャッタ、およびヒータの連動>
シャッタ制御部112により、シャッタ108による第2排気孔86の開閉が制御される様子を、図12をさらに参照して詳細に示す。図12は、図11におけるF-F線矢視断面図であり、温度感知部90の近傍について示す断面図をそれぞれ示す。図12においては、図示の簡単のため、カバー14を含む、一部部材の図示を省略している。図12の(a)には、シャッタ108が第2排気孔86を閉塞する第3状態S3における温度感知部90の近傍の断面を示す。図12の(b)には、シャッタ108が第2排気孔86を開放する第4状態S4における温度感知部90の近傍の断面を示す。
【0059】
操作部42は、第3状態S3の断面(図12の(a)参照)に示すように、シャッタ制御部112と当接する当接部116を有する。また、シャッタ制御部112は、回転軸凸部114と当接する当接部118を有する。また、図12に示すように、操作部42は、回転軸42Rの軸回りに回動可能に拘束される。例えば、使用者が電気ケトル2の外部から、操作部42を押すことにより、操作部42は回転軸42Rの軸回りに回動する。
【0060】
第3状態S3から、操作部42が押されると、第4状態S4の断面(図12の(b)参照)に示すように、操作部42の回転軸42Rの軸回りの回動に伴い、当接部116がシャッタ制御部112を押す。これにより、シャッタ制御部112は、操作部42の動作と連動して移動し、当接部118が回転軸凸部114を押す。これにより、シャッタ制御部112は、回転軸110を軸回りに回動させ、ひいては、シャッタ108を回転軸110の軸回りに回動させる。第4状態S4の断面に示すように、操作部42の動作と連動してシャッタ制御部112が動作することにより、シャッタ108が第2排気孔86を開放する。
【0061】
シャッタ制御部112は、操作部42の動作に加えて、さらに、ヒータ24およびランプ部44の動作とも連動する。例えば、本体部4を電源部8に載置した状態において、操作部42の動作により、シャッタ制御部112がシャッタ108を制御し、第2排気孔86を開放した場合、ヒータ24は熱源26の加熱を実施する。さらに、ヒータ24が熱源26を加熱している間、ランプ部44の光源部48が点灯する。
【0062】
このため、ヒータ24による熱源26の加熱が実施されている間、容器部12から排気口106までの流路が開放されている。したがって、熱源26により加熱された容器部12の内部の液体から蒸気が発生した場合、当該蒸気は、容器部12から排気口106までの流路を介して、電気ケトル2の外部に排出される。また、ランプ部44は、光源部48の点灯により、電気ケトル2の使用者に、容器部12の内部を加熱中であることを知らせる。
【0063】
なお、容器部12の内部において生じた蒸気を含む、容器部12の内部の気体は、第1排気孔72を介して蓋部6に導入されたのち、排気口106に加え、吐出口58へ流動し、電気ケトル2から排出されてもよい。また、吸気流路80は、第2吸気口82から第1吸気口76への気体の流動のみを可能とする吸気弁を備えていてもよく、これにより、容器部12の内部の気体が、第2吸気口82から電気ケトル2の外部に排出されることを制限してもよい。
【0064】
ここで、容器部12の加熱により生じた蒸気が、容器部12から排気口106までの流路を通過するまでに、当該蒸気は、温度感知部90のバイメタル102に接触する。バイメタル102は、起電力の変化から、温度の変化を感知し、ひいては、容器部12からの蒸気が排気口106に向かって流動していることを感知する。これにより、バイメタル102は、容器部12内の液体の沸騰を感知できる。
【0065】
バイメタル102が、容器部12内の液体の沸騰を感知した場合には、ヒータ24の動作が停止し、ヒータ24による熱源26の加熱が停止する。ヒータ24の動作の停止に伴い、例えば、シャッタ制御部112は、第3状態S3の断面に示す位置に戻る(図12の(a)参照)。このため、シャッタ制御部112は、当接部116を押すことにより、操作部42を、図12の第3状態S3の断面に示す位置に戻す。また、ランプ部44は、光源部48を消灯し、電気ケトル2の使用者に、容器部12の内部を加熱が終了したことを知らせる。
【0066】
なお、回転軸110は、例えば、軸回りの方向のうち、回転軸凸部114が当接部118を押す方向に対し、常時弱く力が加えられている。このため、上述の通り、シャッタ制御部112が図12の第3状態S3の断面に示す位置に戻ることにより、シャッタ108が第2排気孔86を閉塞するように、回転軸110が軸回りに回動する。このため、本実施形態に係る電気ケトル2は、ヒータ24の動作を停止した状態においては、常に第2排気孔86を閉塞し、容器部12の内部の気体が排気口106へ流動することを制限する。
【0067】
電気ケトル2を利用した通常の液体供給、換言すれば、容器部12の内部の液体の、吐出口58からの供給は、一般に、ヒータ24による加熱が停止した状態において生じる。このため、シャッタ108は、電気ケトル2による容器部12の内部の液体の供給の際に、排気口106へ当該液体が流出することを低減する。なお、電気ケトル2は、ヒータ24の動作時に電気ケトル2からの液体供給が行われようとした場合、例えば、電気ケトル2が傾いた場合等に、ヒータ24の動作を停止してもよい。
【0068】
また、容器部12の内部の液体が、吐出口58から電気ケトル2の外部に供給されている間において、第2吸気口82から容器部12の内部への気体の流路が確保されている。このため、容器部12の内部の液体が、吐出口58から吐出される間、当該液体の脈動が低減するため、容器部12の内部の液体の、電気ケトル2の外部への供給が、より円滑に実行できる。
【0069】
<温度感知部の細部>
温度感知部90における気体の流路の形状について、図13を参照し、さらに詳細に説明する。図13は、温度感知部90の一部を抜き出して示す、概略断面図、および概略側面図である。特に、図13は、温度感知部90のうち、第2排気孔86から本体部排気流路104までの気体の流路を形成する、第1肩部流路92と、センサ収容部96と、第2肩部流路100とを示す。ただし、図13には、センサ収容部96に形成されたバイメタル102を併せて示す。
【0070】
図13の断面90Aは、上述した気体の流路を形成する部材の、図10に示す断面と同一平面上の断面を示す。図13の側面90Bは、第1肩部流路92を、第1開口部92A側から見た側面図である。図13の側面90Cは、第2肩部流路100を、第4開口部100B側から見た側面図である。
【0071】
図13の断面90Aに示すように、第1肩部流路92は、第1開口部92Aの側から、第2開口部92Bの側にかけて、次第に内径が小さくなる第1区間92Cと、第1区間92Cよりもさらに第2開口部92B側に位置する第2区間92Dとを有する。第2区間92Dの内径は、第1区間92Cの内径の最小値以下である。このため、第1肩部流路92の内径は、第1開口部92Aの側よりも第2開口部92Bの側の方が小さい。
【0072】
例えば、第2区間92Dは略矩形筒状を有する流路であり、高さ方向の内径92Hと、幅方向の内径92Wとを有する。内径92Hと内径92Wとは、何れも15mm以下であり、例えば、内径92Hは3.8mm、内径92Wは11.0mmである。また、第2区間92Dの、第1区間92Cからセンサ収容部96までの長さは、5.3mm(第1区間92Cの長さ2.6mmと、第2区間92Dの長さ2.7mmとの和)以上である。
【0073】
図13の断面90Aに示すように、第2肩部流路100は、第3開口部100Aの側から、第4開口部100Bの側にかけて、略同一の内径を有する。例えば、第2肩部流路100は、略矩形筒状を有する流路であり、高さ方向の内径100Hと、幅方向の内径100Wとを有する。内径100Hと内径100Wとは、何れも18mm以下であり、例えば、内径100Hは11.4mm、内径100Wは4.3mmである。
【0074】
本実施形態において、図13に示す、バイメタル102の幅102Wは、例えば、18mmである。このため、第1肩部流路92および第2肩部流路100は、何れも、内径がバイメタル102の幅102Wよりも小さい部分を有する。
【0075】
なお、第2肩部流路100は、第3開口部100Aから第4開口部100Bにかけて、次第に内径が小さくなる区間を備えていてもよい。また、第1肩部流路92と第2肩部流路100との少なくとも一方は、気体の流動を、容器部12の側から排気口106の側への方向に制限する逆止弁を備えていてもよい。
【0076】
<流通路>
本実施形態において、吐出口58を備えた蓋部6は、本体部4と上部において嵌合することにより、容器部12の開口部20を覆う。このため、本体部4は、例えば図5に示すように、吐出口58に対応する形状を有する凹部120を備える。凹部120は、上面に、さらに本体部4の下方側に窪んだ流通路122を有する。特に、流通路122は、図5に示す容器部12の中心位置12Cの側から、本体部4の外殻であるカバー14側に向かう方向D1に延伸し、容器部12側に第1流通路124、カバー14側に第2流通路126を含む。
【0077】
第1流通路124は、方向D1に沿って、12.9mm以上、13.3mm以下の幅124Wを有する。また、第2流通路126は、方向D1に沿って、5.7mm以下の幅126Wを有する。換言すれば、第1流通路124のカバー14側の先端124Eと、凹部120の上面のカバー14側の先端120Eとの、方向D1に沿った距離は、3.6mm以下である。また、図6に示すように、先端120Eにおいて、凹部120の上面とカバー14とがなす角度をθ2とする。図6に示すように、角度θ2は鋭角であり、換言すれば、90°未満の角度をなす。
【0078】
図5に示すように、カバー14に沿った方向における任意の面が、第1流通路124と交わってできる第1弧124Aは、半径が51.6mm以下の円弧形状を有する。また、カバー14に沿った方向における任意の面が、凹部120の上面の、第2流通路126と交わってできる第2弧126Aは、半径が63.0mm以下の円弧形状を有する。
【0079】
第1弧124Aが有する円弧形状の半径は、何れも、第2弧126Aが有する円弧形状の半径と異なり、かつ、第2弧126Aが有する円弧形状の半径よりも小さい。また、第1弧124Aが有する円弧形状の半径は、容器部12からカバー14に向かって、次第に小さくなる。
【0080】
<まとめ>
本実施形態に係る電気ケトル2の蓋部6は、吐出口58と、当該吐出口58を上方からみて覆う蓋カバー60とを備える。ここで、蓋部6が第1状態S1にある場合、蓋カバー60の吐出口58に対する位置を、容器部12から吐出流路56を介して吐出口58から排出される気体が変えることができるように、蓋カバー60が維持される。このため、蓋カバー60は吐出口58を完全には閉塞しない。
【0081】
上記構成により、例えば、ヒータ24による容器部12の加熱により、容器部12の内部において蒸気が発生した場合においても、円滑に当該蒸気を電気ケトル2の外部に排出できる。加えて、上記構成により、電気ケトル2の吐出口58からは、緩やかに蒸気が排出されるため、本体部4の周囲の温度上昇を低減できる。
【0082】
また、蓋部6が第2状態S2にある場合、先端60Eの吐出口58に対する位置が、第1状態S1よりも上方となるように、蓋カバー60が維持される。このため、電気ケトル2の使用者は、蓋カバー60が第1状態S1よりも上方に位置することを確認することにより、蓋部6が第2状態S2にあることをより確実に認識できる。加えて、プッシュボタン54の位置は、第1状態S1と第2状態S2とにおいて互いに異なる。このため、電気ケトル2の使用者は、プッシュボタン54の位置を確認することにより、蓋部6の状態をより確実に認識できる。
【0083】
吐出口58と蓋カバー60との間の間隙68は、蓋部6の中心側から端部側に向かって大きくなる。このため、容器部12の内部からの蒸気は、吐出口58のより先端58E側から排出されやすくなる。したがって、上記構成により、吐出口58から蒸気が排出される際に、蓋カバー60の振動等を含む、蓋カバー60の移動を低減できる。
【0084】
また、間隙68により、吐出口58近傍における蒸気の発生位置を、より電気ケトル2から遠ざけることができる。これに伴い、電気ケトル2の直上に、棚等を含む、蒸気を当てることを避けたいものが存在するような位置においても、当該電気ケトル2を配置することができる。特に、蓋カバー60の先端60Eは、吐出口58の先端58Eよりも、より蓋部6の端部側に位置する。このため、吐出口58近傍における蒸気の発生位置を、より電気ケトル2から遠ざけることができる。
【0085】
本実施形態において、第1吸気口76および第2吸気口82は、吐出流路56の底部の最高点に位置する、吐出口58の先端58Eよりも上方に位置する。これにより、容器部12の内部のみならず、蓋部6まで液体が充填され、当該液体の液面が、吐出口58近傍まで至った場合においても、載置状態において、液体は吐出口58から排出され、第1吸気口76の側に進入することが低減される。したがって、上記構成により、液体の液面が吐出口58近傍まで至った場合においても、第1吸気口76および第2吸気口82からの吸気が阻害されにくい構成を実現できる。
【0086】
また、第1吸気口76および第2吸気口82は、蓋部6の中心に対し、吐出口58とは反対の側に位置する。このため、容器部12の内部の液体を吐出口58から排出するために、電気ケトル2が、吐出口58を下側に傾斜した場合においても、第1吸気口76および第2吸気口82は吐出口58より上方に位置する。したがって、上記構成により、電気ケトル2の内部から外部に液体を供給する場合においても、第1吸気口76および第2吸気口82からの吸気が阻害されにくい構成を実現できる。
【0087】
特に、第1吸気口76は、バイメタル102を収容する排気流路と連通する、蓋部排気流路84および第2排気孔86と連通している。上記構成により、容器部12の内部の液体が第1吸気口76側へ流出することが低減されていることにより、排気流路、および、バイメタル102への液体の流出も低減できる。特に、上記構成により、バイメタル102を含む温度センサに液体が触れることが低減されるため、温度センサを動作させるための回路等への液体の接触がより効果的に低減される。
【0088】
本開示は上述した実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、実施形態にそれぞれ開示された異なる技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本開示の技術的範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0089】
2:電気ケトル(飲料供給器)、4:本体部、6:蓋部、12:容器部、20:開口部、54:プッシュボタン、56:吐出流路、58:吐出口、60:蓋カバー、62:弁、68:間隙、72:第1排気孔、74:気体流路、76:第1吸気口、80:吸気流路、82:第2吸気口、84:蓋部排気流路、86:第2排気孔、S1:第1状態、S2:第2状態。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13