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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-17
(45)【発行日】2024-10-25
(54)【発明の名称】免震機構および免震構造物
(51)【国際特許分類】
   F16F 15/02 20060101AFI20241018BHJP
   E04H 9/02 20060101ALI20241018BHJP
【FI】
F16F15/02 L
E04H9/02 331A
E04H9/02 351
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2021101734
(22)【出願日】2021-06-18
(65)【公開番号】P2023000742
(43)【公開日】2023-01-04
【審査請求日】2024-03-08
(73)【特許権者】
【識別番号】000002299
【氏名又は名称】清水建設株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100149548
【弁理士】
【氏名又は名称】松沼 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100161506
【弁理士】
【氏名又は名称】川渕 健一
(74)【代理人】
【識別番号】100161207
【弁理士】
【氏名又は名称】西澤 和純
(72)【発明者】
【氏名】磯田 和彦
【審査官】大谷 謙仁
(56)【参考文献】
【文献】特開平11-030271(JP,A)
【文献】特開2001-271877(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16F 15/02
E04H 9/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
上部構造体と前記上部構造体の下方に位置する基礎構造体との間に形成される免震層に備えられ、
平時は前記上部構造体を支持し、前記基礎構造体に対して前記上部構造体が水平変位した際に鉛直方向の高さが変化しない免震装置と、平時は前記上部構造体を支持し、前記上部構造体が水平方向に変位すると前記上部構造体の下部と離間する摩擦支承と、を備え、
前記免震装置と前記摩擦支承とは、前記免震層内で並列配置され、
前記摩擦支承は、前記上部構造体を支持時の鉛直方向の高さと、前記上部構造体と離間した後の鉛直方向の高さとが略一致し、
地震動などで移動した後、元の位置に復元することで継続的に使用可能に構成されている
免震機構。
【請求項2】
前記上部構造体は、
前記摩擦支承に対向する下面に平時において前記摩擦支承と当接する一方側当接面と、
前記一方側当接面の周縁部に設けられ、前記上部構造体の底部から前記一方側当接面の周縁部に向かう方向に形成され、前記上部構造体が水平変位した際に前記摩擦支承が接触するテーパー面と、
を備えた滑り板を備える、
請求項1に記載の免震機構。
【請求項3】
上部構造体と前記上部構造体の下方に位置する基礎構造体との間に形成される免震層に備えられ、
平時は前記上部構造体を支持し、前記基礎構造体に対して前記上部構造体が水平変位した際に鉛直方向の高さが変化しない免震装置と、平時は前記上部構造体を支持し、前記上部構造体が水平方向に変位すると前記上部構造体の下部と離間する摩擦支承と、を備え、
前記免震装置と前記摩擦支承とは、前記免震層内で並列配置され、
前記摩擦支承は、前記上部構造体を支持時の鉛直方向の高さと、前記上部構造体と離間した後の鉛直方向の高さとが略一致し、
前記上部構造体は、
前記摩擦支承に対向する下面に平時において前記摩擦支承と当接する一方側当接面と、
前記一方側当接面の周縁部に設けられ、前記上部構造体の底部から前記一方側当接面の周縁部に向かう方向に形成され、前記上部構造体が水平変位した際に前記摩擦支承が接触するテーパー面と、
を備えた滑り板を備える、
免震機構。
【請求項4】
前記摩擦支承は、
前記滑り板に近接対向し、平時において前記一方側当接面と当接する他方側当接面と、前記他方側当接面の周縁部を曲面加工された曲面加工部と、を備えた摩擦材と、
水平方向の径長が異なる摺動部と凸部とが形成され、前記凸部の上端に前記摩擦材が設けられるピストンと、
一方の端部が前記摺動部の底部に接続され、予め縮めて設けられる圧縮ばねと、
前記圧縮ばねの他方の端部と底部とが接続され、前記圧縮ばねを内部に設け、前記上部構造体に近接する端面に前記凸部が通貫可能な開口部が設けられたシリンダーと、
を備え、
前記摺動部は、前記シリンダーの内部を鉛直方向に摺動可能に形成され、
前記摩擦支承は、
平時において、前記一方側当接面と前記他方側当接面とが当接し、
前記滑り板に対する摩擦抵抗力は略一定となり、
前記摺動部と前記シリンダーの前記開口部が設けられる面の底部とは、鉛直方向に間隙を形成し、
前記上部構造体の水平方向の変位時において、
前記上部構造体は前記滑り板と前記曲面加工部とが接触した状態で摺動し、
前記滑り板と前記曲面加工部との接触は、前記間隙が無くなると解除される、
請求項2または3に記載の免震機構。
【請求項5】
前記免震装置は、積層ゴムと鋼板を積層して形成され、前記上部構造体の水平変位に追従して変形する、
請求項1からのいずれか一項に記載の免震機構。
【請求項6】
前記免震装置は、前記上部構造体の水平変位に追従して変位する滑り材と、前記滑り材が摺動する滑り案内材とを備える、
請求項1からのいずれか一項に記載の免震機構。
【請求項7】
前記滑り材は、前記上部構造体の水平変位に追従する積層ゴムを直列して形成される、
請求項に記載の免震機構。
【請求項8】
請求項1からのいずれか一項に記載の免震機構を備えていることを特徴とする、免震構造物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、免震機構および免震構造物に関する。
【背景技術】
【0002】
構造物に対して作用する外力には、例えば、風力等の平均成分を持ち方向性を有する外力と、地震動等の変動成分のみを有する地盤震動による外力と、があり、前者に抵抗するためには構造物の水平方向の変位を拘束するのが望ましく、後者に抵抗するためには地盤と構造物との間に水平方向の変位を拘束しない免震装置を設けるのが望ましい(例えば、特許文献1参照)。また、免震装置を設ける構造物には前者の外力にも対応できる機構を備えているものもある。
従来、上記の両方の外力に対応する方法として、免震装置に加えて風速や地震動を感知するセンサや測定機器を有する制御装置を備えて水平方向の変位を拘束したり解除したりする機構を設ける方法(アクティブ制御機構)がある。また、上記のような制御装置を設けないパッシブ型の方法として免震層の内部にシヤピンを設け、風力等の方向性外力に対して免震装置を固定する方法がある(例えば、特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2003-254384号公報
【文献】特開2017-106185号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
一方で、上記で挙げたアクティブ制御による方法において、計測器やセンサ等の測定機器を有する制御機構は一般的に設置費用や維持管理費用が高額になりやすいという課題がある。また、上記でパッシブ型の制御機構として挙げた免震機構の内部にシヤピン等の抵抗機構を設ける方法においては、水平方向の変位として想定されている地震動が一般的に大きな変位を生じさせるために、水平変位が発生する度に抵抗機構に大きな負担がかかり破断等が生じやすくなる。抵抗機構に破断等が生じると、水平変位(地震動)の発生後に抵抗機構を交換する必要が生じるため、設置費用や維持管理費がかさむという課題がある。
【0005】
本発明は上記の事情に鑑みてなされたもので、安価で、風力等の方向性外力による免震構造物の揺れを防止し、かつ、メンテナンスフリーで所望の免震性能を有するパッシブ型の免震機構と該免震機構を備えた免震構造物を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するため、本発明に係る免震機構は、上部構造体と前記上部構造体の下方に位置する基礎構造体との間に形成される免震層に備えられ、平時は前記上部構造体を支持し、前記基礎構造体に対して前記上部構造体が水平変位した際に鉛直方向の高さが変化しない免震装置と、平時は前記上部構造体を支持し、前記上部構造体が水平方向に変位すると前記上部構造体の下部と離間する摩擦支承と、を備え、前記免震装置と前記摩擦支承とは、前記免震層内で並列配置され、前記摩擦支承は、前記上部構造体を支持時の鉛直方向の高さと、前記上部構造体と離間した後の鉛直方向の高さとが略一致する。
【0007】
上記の構成とすることで、免震機構は平時において風力等の方向性外力が作用した際は、免震装置の摩擦抵抗力および復元力と摩擦支承の摩擦抵抗力により方向性外力に抵抗し、地震動等により水平変位が生じた際は、免震装置の鉛直方向の高さがわずかしか変わらない構成であっても摩擦支承の摩擦抵抗力が上部構造体に作用せず、免震装置が免震作用を発揮して水平変位に対応することが可能となる。
【0008】
また、本発明に係る免震機構において、前記上部構造体は、前記摩擦支承に対向する下面に平時において前記摩擦支承と当接する一方側当接面と、前記一方側当接面の周縁部に設けられ、前記上部構造体の底部から前記一方側当接面の周縁部に向かう方向に形成され、前記上部構造体が水平変位した際に前記摩擦支承が接触するテーパー面と、を備えた滑り板を備えてもよい。
【0009】
上記の構成とすることで、免震機構は上部構造体の水平変位が減少して原位置に復帰し摩擦支承が上部構造体と再接触する際、テーパー面を設けることによって滑り板の端部に摩擦支承が衝突することによる免震機構の破損のおそれがなくなる。
【0010】
また、本発明に係る免震機構において、前記摩擦支承は、前記滑り板に近接対向し、平時において前記一方側当接面と当接する他方側当接面と、前記他方側当接面の周縁部を曲面加工された曲面加工部と、を備えた摩擦材と、水平方向の径長が異なる摺動部と凸部とが形成され、前記凸部の上端に前記摩擦材が設けられるピストンと、一方の端部が前記摺動部の底部に接続され、予め縮めて設けられる圧縮ばねと、前記圧縮ばねの他方の端部と底部とが接続され、前記摩擦材と前記ピストンと前記圧縮ばねとを内部に設け、前記上部構造体に近接する端面に前記凸部が通貫可能な開口部が設けられたシリンダーと、を備え、前記摺動部は、前記シリンダーの内部を鉛直方向に摺動可能に形成され、前記摩擦支承は、平時において、前記一方側当接面と前記他方側当接面とが当接し、前記滑り板に対する摩擦抵抗力は略一定となり、前記摺動部と前記シリンダーの前記開口部が設けられる面の底部とは、鉛直方向に間隙を形成し、前記上部構造体の水平方向の変位時において、前記上部構造体は前記滑り板と前記曲面加工部とが接触した状態で摺動し、前記滑り板と前記曲面加工部との接触は、前記間隙が無くなると解除されてもよい。
【0011】
上記の構成を有することで、免震機構は、摩擦支承の摩擦抵抗力を圧縮ばねによって任意で調整することが可能となり、風力等の方向性外力に対しては摩擦支承の摩擦抵抗力と免震装置の摩擦抵抗力および復元力とにより抵抗し、地震動等による水平変位で生じるせん断力に対しては免震層に設けられた免震装置やダンパーで抵抗することが可能となる。また、免震機構は滑り板の一方側当接面の周縁部にテーパー面を設け、摩擦支承の他方側当接面の周縁部に曲面加工部を設けることにより、原点(平時における免震機構の位置)近傍から大きな水平変位に移行する場合においてもその逆の場合においても摩擦支承と滑り板との当接部が滑らかに摺動でき、大変位による免震機構の破損等を抑制できる。
【0012】
また、本発明に係る免震機構において、前記免震装置は、積層ゴムと鋼板を積層して形成され、前記上部構造体の水平変位に追従して変形する構成(積層ゴム支承)としてもよい。
【0013】
上記の構成とすることで、免震機構は任意方向の水平変位に追従でき、大きな復元力を有する積層ゴムにより免震装置を構成するため、免震装置の地震後の残留変位を抑制できる免震機構とすることができる。
【0014】
また、本発明に係る免震機構において、前記免震装置は、前記上部構造体の水平変位に追従して変位する滑り材と、前記滑り材が摺動する滑り案内材とを備えた構成(剛滑り支承)としてもよい。
【0015】
上記の構成とすることで、免震機構は滑り案内材の上を滑り材が摺動することにより、任意方向の水平変位に追従することができる。
【0016】
また、本発明に係る免震機構において、前記滑り材は、前記上部構造体の微小な水平変位に追従する積層ゴムを直列した構成(弾性滑り支承)としてもよい。
【0017】
上記の構成とすることで、任意方向の水平変位に追従でき、滑り材が摺動しない程度の小さな地震動に対しても積層ゴムが追従することにより、免震効果を発揮できる免震機構とすることができる。
【0018】
また、本発明の免震構造物は、上記の免震機構を1種類または複数備えていることを特徴とする。
【0019】
上記の構成とすることで、免震構造物は風力等の方向性外力と地震動等による水平変位とに対して、設置や維持管理等の費用を抑えた、所望の免震性能を有するパッシブ型の免震機構を備えた免震構造物とすることができる。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、安価で、風力等の方向性外力による免震構造物の揺れを防止し、かつ、シヤピンのように破断して交換する部材もないことから、メンテナンスフリーで所望の免震性能を有するパッシブ型の免震機構と該免震機構を備えた免震構造物を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】本発明の実施形態による免震機構と免震構造物との立面図である。(a)は、本発明の実施形態による平時における免震機構の設置状況を示す立面図である。(b)は、本発明の実施形態による水平変位作用時の免震機構の免震効果の発現状況を示す立面図である。
図2】本発明の実施形態による摩擦支承の立面図である。(a)は、本発明の実施形態による平時における摩擦支承の設置状況を示す立面図である。(b)は、本発明の実施形態による水平変位作用時の摩擦支承の設置状況を示す立面図である。
図3】本発明の実施形態による免震機構に作用する荷重と免震装置の水平変位との関係図である。(a)は、水平変位と免震装置の復元力との関係図である。(b)は、水平変位と免震装置の摩擦抵抗力との関係図である。(c)は、水平変位と摩擦支承の摩擦抵抗力との関係図である。(d)は、水平変位と免震機構の総抵抗力(総反力)との関係図である。
図4】本発明の実施形態による摩擦支承の摩擦抵抗力と免震装置の水平変位との関係図である。(a)は、摩擦支承が免震構造物に対して摩擦抵抗力を有する水平変位範囲を示す関係図である。(b)は、水平変位と摩擦支承の摩擦抵抗力との関係図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明の実施形態による免震機構および免震構造物について、図1乃至図4に基づいて説明する。
【0023】
図1(a)に示すように、本実施形態による免震機構11は、免震構造物1に設けられる。免震構造物1は上部構造体2と、上部構造体2の下方に設けられる基礎構造体3とから構成され、上部構造体2と基礎構造体3との間に免震層4が設けられる。免震機構11は、免震層4内に設けられ、免震装置5と摩擦支承6とを備えている。
また、以下の説明において特に断りがない限り、本実施形態では図1および図2の左右方向を第一水平方向(水平一方向)として「X方向」、X方向に対して水平に直交する方向を第二水平方向(水平他方向)として「Y方向」、X方向およびY方向に直交する方向を鉛直方向として「Z方向」とする。
免震機構11は、任意方向の風力等の方向性外力に対して抵抗し、地震動等による水平変位は免震装置5に対して上記と同様に任意方向に作用し、免震装置5は任意方向に対して免震効果を発揮することで水平変位に対応する。
【0024】
免震構造物1の種類は、本実施形態において限定されないが、例えば、高層ビルや高層マンション等の高層階を有し、風力等の平時においても作用する外力を受ける面積が大きい特徴を有する公知の高層構造物等が挙げられる。基礎構造体3は、上部構造体2の自重W(以下「上部構造体重量W」という)を支持する基礎底部31と、免震構造物1周囲の土圧を支持する擁壁部32と、を備えている。
【0025】
また、免震層4において免震機構11を設置するスペースの構成は、免震機構11が所望の機能を発揮できれば本実施形態において限定されない。例えば、免震層4は図1に示すような免震機構11を設けるスペースに余裕を持たせた構成としてもよいし、免震機構11の設置と免震装置5の免震作用が発揮できる程度の空間で構成されてもよい。
【0026】
また、免震装置5と摩擦支承6とは、免震層4内で並列に配置される。なお、免震装置5と摩擦支承6との設置位置および構成は、所望の外力への抵抗力と免震性能とが得られ、免震装置5と摩擦支承6とが並列配置されていれば限定されない。例えば、免震機構11は免震構造物1の四隅に免震装置5をそれぞれ配設し、各免震装置5間に摩擦支承6をそれぞれ配設した構成としてもよいし、免震構造物1の設置下面中央部に摩擦支承6を1つ配設した構成としてもよい。
【0027】
本実施形態における免震装置5は、滑り材51と滑り案内材52とを備えた剛滑り支承5aと積層ゴム53と鋼板54とを積層した積層ゴム支承5bとを備える。
剛滑り支承5aは、基礎底部31の上端部に備えられる滑り案内材52と、上部構造体2の下端部および滑り案内材52上に備えられる滑り材51と、を備え、図1(b)に示すように、地震動Aに追従して滑り材51が滑り案内材52上を摺動することで地震動Aによる水平変位の任意の作用方向(XY平面に面する方向)に対して免震効果を発揮する構成とする。
積層ゴム支承5bは、基礎底部31と上部構造体2との間に積層ゴム53と鋼板54とを接着して交互に積層させた構成を備え、図2(b)に示すように地震動Aに追従して積層ゴム53がせん断変形することで地震動Aによる水平変位の任意の作用方向(XY平面に面する方向)に対して免震効果を発揮する構成とする。
また、免震装置5は地震動Aが発生していないとき(平時)においては、摩擦支承6とともに上部構造体重量Wを支持する支承として作用する。剛滑り支承5aは、平時において滑り材51が滑り案内材52と上部構造体2との間に位置して挟持されることで支承として作用する。そのため、剛滑り支承5aは、上部構造体重量Wを支持可能な十分な強度と所定の摩擦係数を有する材料により形成される。例えば、鋼材(案内材・摺動体)や摩擦材とステンレス鋼(滑り面)により形成される。また、積層ゴム支承5bは、平時において積層ゴム53と鋼板54とを交互に積層させた構成により支承として作用する。
【0028】
免震装置5は、上部構造体2が地震動Aによって水平変位した際にZ方向の高さの変化が生じずに免震効果を発揮する。
なお、免震装置5の構成は、上部構造体2が地震動Aによって水平変位した際にZ方向の高さの変化が生じずに所望の免震効果を発揮できれば上記の実施形態に限定されない。例えば、剛滑り支承と積層ゴム支承とのいずれか一方により構成されてもよいし、滑り材51が積層ゴムを直列して形成された弾性すべり支承としてもよい。
【0029】
滑り材51は、免震構造物1の水平変位の作用方向に応じて滑り案内材52上を摺動し、上部構造体2の水平方向の変位に追従する。また、積層ゴム53は免震構造物1の水平変位の作用方向に応じてゴムがせん断変形することで上部構造体2の水平方向の変位に追従する。なお、図1(b)において、摩擦支承6はX方向に作用する水平変位が離間時水平変位xに達すると、上部構造体2と摩擦支承6とが水平方向に離間する。
【0030】
図2(a)に示すように、上部構造体2は、免震層4に面する下端部において摩擦支承6に近接対向する滑り板21が設けられる。
摩擦支承6は、免震層4内に設けられ、滑り板21に近接対向する摩擦材61と、摩擦材61が一方の端部に設けられたピストン62と、一方の端部がピストン62の他方の端部に接続された圧縮ばね63とが、シリンダー64内に設けられた構成を有する。
【0031】
摩擦材61は、ピストン62の一方の端部に設けられ、平時は滑り板21に当接する。
滑り板21と摩擦材61は、平時における圧縮ばね63の反力により破壊されない所望の強度を有する材料により形成される。例えば、ステンレス鋼等の公知の金属材料やPTFE(樹脂系摩擦材)が挙げられる。
また、本実施形態において、滑り板21と摩擦材61との当接面の面積は、免震構造物1が水平変位して滑り板21と摩擦材61とが離間するまで摩擦材61が滑り板21に全面接触するように、滑り板21の方が大きく形成されている。なお、滑り板21と摩擦材61との当接構成は、上記の滑り板21と摩擦材61の材質と同様に平時における圧縮ばね63の反力により破壊されなければ本実施形態に限らない。例えば、滑り板21と摩擦材61との当接面の面積は略一致してもよいし、上部構造体2の下部全面に滑り板21を設けてもよい。
【0032】
滑り板21は、平時において摩擦材61と当接する一方側当接面211と、一方側当接面の周縁部に備えられ、上部構造体2の底部から他方側当接面611の周縁部に向かう方向に傾斜するテーパー面212とを備える。
摩擦材61は、平時において一方側当接面211と当接する他方側当接面611と他方側当接面611の周縁部に備えられ、他方側当接面611の周縁部から凸部62Aに向かう方向にR加工された曲面加工部612とを備える。
【0033】
ピストン62は、上端部に摩擦材61が設けられた凸部62Aと下端部に圧縮ばね63が接続され、凸部62Aを周方向に拡大し、シリンダー64の内径形状と略一致する径形状を備えた摺動部62B(以下、「凸側当接部62B」という)とを設けている。ピストン62は、圧縮ばね63の伸縮により凸側当接部62Bがシリンダー64の内部をZ方向に摺動可能に備えられる。
【0034】
圧縮ばね63は、一方の端部が凸側当接部62Bの下端部に接続され、他方の端部がシリンダー64の底部に接続されて設けられる。また、摩擦支承6は、圧縮ばね63が予め縮められた状態で摩擦材61と滑り板21とが当接し上部構造体2を支持する。
【0035】
シリンダー64は、底部に圧縮ばね63の他方の端部が接続され、頂部に凸部62Aが通貫可能で凸側当接部62Bが通貫不可能な開口部64Bを有し、Z方向上向きに摺動した凸側当接部62Bと当接する凹側当接部64Aが形成される。この構成により、ピストン62の摺動範囲および圧縮ばね63の伸びの範囲は一定範囲に制限される。また、凸部62Aと摩擦材61とは開口部64Bを通貫長さzの長さでZ方向に通貫し、滑り板21と摩擦材61とが当接する。
【0036】
摩擦支承6は、平時において凸側当接部62Bと凹側当接部64Aとの間に間隙6A(以下、「微小間隙6A」という)を形成した状態で上部構造体2を支持する。また、平時においては、免震装置5についても上部構造体2の支承として作用するため、上記の状態における摩擦支承6のZ方向の高さと免震装置5の平時におけるZ方向の高さとは略一致する。
【0037】
また、図2(b)に示すように、摩擦支承6は、水平変位の作用時においてテーパー面212と曲面加工部612とが接触しながら水平変位に追従する。これにより、圧縮ばね63は水平変位量に応じて徐々に伸び、ピストン62はZ方向上向きに持ち上がる。そのため、微小間隙6AのZ方向の長さz(以下、「微小間隙高さz」という)は徐々に減少する。
微小間隙高さzが0となり微小間隙6Aが無くなると、凸側当接部62Bと凹側当接部64Aとが当接するため、曲面加工部612とテーパー面212との接触は凸側当接部62Bと凹側当接部64Aとが当接した時点での水平変位量からさらに水平変位すると解除される。つまり、滑り板21と摩擦材61とは当接が解除されて離間し、摩擦支承6の摩擦抵抗力Fは0となる。そのため、摩擦支承6は、地震動Aによる水平変位の任意の作用方向(XY平面に面する方向)に対して追従し、上部構造体2の振動制御は免震装置5のみの抵抗に切り替わる。免震層4にダンパーが設置されていれば、免震装置5とダンパーとの抵抗となる。
【0038】
また、微小間隙6Aは、摩擦材61の長期的な使用による摩耗等により微小間隙高さzが変化しても、圧縮ばね63の伸縮量を調整することで同じ位置で摩擦支承6が負担する鉛直重量を保持するために設けられる。摩擦支承6は圧縮ばね63を予め縮めて設置すると、微小間隙高さzの変化による圧縮ばね63の圧縮力の変動はわずかとなるため、ほぼ一定の鉛直荷重を支持する。なお、微小間隙高さzは、上記の摩耗等の予測を考慮して2mm程度の微小な間隔で形成される。
本実施形態において、図2に示すように、テーパー面212における滑り板21と摩擦材61との当接は、X方向に作用する水平変位が滑り板21と摩擦材61とが離間する時点でのX方向の水平変位である離間時水平変位x以上となることで、微小間隙高さzが0となり微小間隙6Aが無くなることで解除される。また、テーパー面212の形成範囲は、離間時水平変位x以下の水平変位で摩擦材61に当接し、ピストン62が摺動できればよい。
【0039】
また、摩擦支承6は、所望の性能を発揮でき離間時水平変位の作用時に上部構造体2から離間できれば本実施形態の構成に限らない。例えば、本実施形態において圧縮ばね63の他方の端部はシリンダー64の底部に接続されているが、シリンダー64の底部がない形態で基礎底部31に接続され、圧縮ばね63の他方の端部が基礎底部31に直接接続される構成でもよい。
【0040】
次に、上述した実施形態による免震機構および免震構造物の作用・効果について図1乃至図4に基づいて説明する。
図1(a)および図2(a)に示すように、免震機構11は平時において免震装置5と摩擦支承6とで上部構造体重量Wの抵抗力を負担し、上部構造体2に作用する風力等の方向性外力に抵抗する。
この場合、上記の方向性外力に抵抗する免震装置5(積層ゴム支承5b)の復元力F、免震装置5(剛滑り支承5a)の摩擦抵抗力F、摩擦支承6の摩擦抵抗力Fは、任意の時点でのX方向の水平変位をx、免震装置5が負担する上部構造体重量をW(|x|≦x)、W′(|x|>x)、摩擦支承6が負担する上部構造体重量をW、免震装置5の水平剛性をk、免震装置5(滑り材51)の摩擦係数をμ、摩擦支承6(摩擦材61の当接部)の摩擦係数をμとすると、上記の各定義と合わせてそれぞれ次式で表される。各力と水平変位との関係図は図3(a)から(d)となる。なお、テーパー面での荷重変化については無視し、図3および図4に示す原点Oは平時における免震機構11の位置となる。
【0041】
【数1】
【0042】
【数2】
【0043】
【数3】
【0044】
免震層4内において他にダンパー等が設けられていない場合、総抵抗力(総反力)FはF,F,Fの総和となり、漸増変位x≧0に対して次式で表される。また、図3(d)に示すように、免震機構11は水平変位xが離間時水平変位x,-xで最も大きな総抵抗力(最大抵抗力)F,-F(以下、|F|)を有する。なお、例として最大抵抗力|F|を考慮する際、免震機構11は設計最大風荷重に対して免震装置5(積層ゴム支承5b)の復元力Fと、免震装置5(剛滑り支承5a)の摩擦抵抗力Fと、摩擦支承6の摩擦抵抗力Fとによって抵抗し、かつ、地震動等による水平変位の発生時に摩擦支承6が離間できればよい。つまり、最大抵抗力|F|は設計最大風荷重以上であり、地震動等の水平せん断力以下であればよい。
【0045】
【数4】
【0046】
【数5】
【0047】
また、図1(b)および図2(b)に示すように、摩擦支承6は、地震動Aによって上部構造体2が離間時水平変位x以上(|x|>x)水平方向に変位すると、滑り板21から離間し、摩擦支承6を除いた免震装置5で免震構造物1が制御される。また、地震動Aにより発生する力の大きさは一般に風荷重よりも大きい。
【0048】
地震動Aによる免震層4の変位は、複雑な軌跡となるが、大振幅時には原点(平時における免震機構11の位置)をほとんど通過しない特性があり、上記の機構によれば、滑り材51は滑り案内材52上を摺動する際に、原点(平時における滑り材51の位置)をほとんど通過せず、滑り材51の水平変位は離間時水平変位以下とならない。すなわち、大地震時において摩擦支承6は、ほとんど滑り板21に当接せず離間したままの状態となる。そのため、上部構造体2には、摩擦抵抗力がほとんど作用しないか、作用したとしても静止摩擦力よりも小さい動摩擦力がごく短時間だけ作用することとなる。
【0049】
以上の機構により、本実施形態における地震動Aによる水平変位が生じ摩擦支承6と上部構造体2とが離間した状態の免震機構11と、摩擦支承6が設けられていない免震機構とを比較しても、免震装置5の免震効果はほとんど低下しない。つまり、摩擦支承6は大地震時における免震効果の発揮に影響しない構成となっている。
【0050】
なお、水平変位および平時における風荷重等の外力は任意の水平変位方向(XY平面に面する方向)に対して同時かつ連続的に作用するため、上記のX方向の水平変位xに対する一連の機構は、例えばY方向の水平変位yに対しても同様に作用する。そのため、上部構造体2と摩擦支承6とが離間するときのY方向の水平変位を離間時水平変位yとすると、離間時水平変位y以上の水平変位y(|y|>y)が生じている状態における摩擦支承6も同様に免震装置5の免震効果の発揮に影響しない。なお、一般的には離間時水平変位x=yとされる。
【0051】
また、摩擦支承6において、一方側当接面211と他方側当接面611との当接が解除され、テーパー面212と曲面加工部612とが接触して移動し始めるときの水平変位(移行時水平変位)をx=yとすると、摩擦抵抗力Fが一定の値を持つ水平変位範囲B(|x|+|y|≦x)は、図4(a)に示す原点を中心とし、半径が移行時水平変位xの円形領域となる。
また、摩擦抵抗力Fが滑り板21と摩擦材61とが離間するまで水平変位に追従して漸増減する水平変位範囲C(|x|+|y|>x かつ|x|+|y|≦x )は、図4(a)に示す原点を中心とし、半径が離間時水平変位xの円形領域から半径が移行時水平変位xの円形領域を除した中空円形領域となる。
図4(b)に示すように、摩擦抵抗力Fは移行時水平変位x以下(|x|<|x|)で一定で、移行時水平変位x以上かつ離間時水平変位x以下(|x|≦x≦|x|)で漸増または漸減し、離間時水平変位x以上(|x|>|x|)となると、消失する復元力特性を有する。
【0052】
なお、本実施形態の摩擦支承6において、微小間隙高さzは僅かな間隔であるため、水平変位によって微小間隙6Aが無くなっても摩擦支承6のZ方向の高さは僅かしか変化しないため、摩擦抵抗力Fが漸増減する水平変位範囲(|x|≦x≦|x|)は僅かである。そのため、摩擦支承6の摩擦抵抗力Fは、滑り板21と摩擦材61とが一方側当接面211と他方側当接面611とにより当接又はテーパー面212と曲面加工部612とにより接触している間(|x|≦|x|)は略一定(F≒μ)となり、滑り板21と摩擦材61とが離間している間(|x|>|x|)は0となる(F=0)。
また、摩擦支承6において、滑り板21と摩擦材61とが当接又は接触している間は、予め縮めて設置された圧縮ばね63の反力で(摩擦支承6が負担する)上部構造体重量Wを支持するが、上記摩擦抵抗力Fと同様に摩擦支承6のZ方向の高さは僅かしか変化しないため、圧縮ばね63の反力(摩擦支承6の圧縮反力)は|x|≦|x|において略一定(予め圧縮した力(摩擦支承6が負担する上部構造体重量)W)となり、|x|>|x|において0となる。
【0053】
以上より、図4に示すように、摩擦支承6が一定の摩擦抵抗力Fを持つ水平変位範囲Bは上部構造体2の水平変位が移行時水平変位x,y以下であることが求められ、摩擦支承6が水平変位に追従して漸増減する摩擦抵抗力Fを持つ水平変位範囲Cは上部構造体2の水平変位が移行時水平変位x,y以上かつ離間時水平変位x,y以下であることが求められる。
【0054】
以上の機構により、風力等の方向性外力による免震構造物1の揺れを防止し、かつ、所望の免震性能を有するパッシブ型の免震機構11と免震機構11を備えた免震構造物1を提供することができる。また、一つのパッシブ型の免震機構11によって、免震効果の発現時にZ方向の高さが変化しない免震装置5を備えている構成において、方向性外力と地震動との両方を制御することが可能となるため、免震装置5の拘束を制御する新たな機構や、制御対象の外力を切り替える新たな制御機構が不要となる。そのため、信頼性を備えた上で免震機構の設置費用と維持管理費用とを削減することが可能となる。
【0055】
また、免震装置5と摩擦支承6とは、ともに任意の水平変位の作用方向に作用するため、1方向のみに効く摩擦ダンパーと比較して免震機構11の設置台数を減らすことができるため、上記と同様に免震機構の設置費用と維持管理費用とを削減することが可能となる。また、免震機構11は、免震効果の発揮時に公知のシヤピンのように破断する部材がなく、地震後も継続して使用することが可能であるため、メンテナンス費用の縮減を図ることができる。
【0056】
また、免震機構11は任意方向に作用する方向性外力と水平変位に対して、上部構造体2と摩擦支承6とが当接または離間することで対応することができる。そのため、例えば大きな地震動を免震した後等においても、免震機構11は元の位置に復元することで継続的に使用することができる等、免震機構の支持対象の外力が切り替わった際の機構や部材の破損等がなく継続的に使用できるため、免震機構の維持管理費等を削減することが可能となる。
【0057】
また、免震機構11は、平時における摩擦支承6の摩擦抵抗力Fを滑り板21と摩擦材61とが離間しない範囲で圧縮ばね63の伸縮によって調整することが可能であるため、圧縮ばね63のばね定数と設置前に予め与える予ひずみ(圧縮量)により、摩擦支承6の摩擦抵抗力Fを任意に設定することが可能である。そのため、設計最大風荷重と地震時層せん断力に対し、摩擦抵抗力(F+F)および最大抵抗力|F|の設定の自由度を高めることが可能となる。また、所望の摩擦抵抗力を容易に備えることが可能となる。
【0058】
また、免震機構11は、一方側当接面211の周縁部にテーパー面212を設け、他方側当接面611の周縁部に曲面加工部612を設けることにより、原点(平時における免震機構の位置)近傍から大きな水平変位に移行する場合においてもその逆の場合においても、滑り板と摩擦材との当接部が滑らかに摺動することができ、大変位による上部構造体と摩擦支承との衝突による免震機構の破損等を抑制できる。
また、免震装置5は、積層ゴム53と鋼板54とを積層されて形成された積層ゴム支承5bで免震作用を発揮するとともに、地震後に発生する免震装置5の残留変位を抑制することができる。
【0059】
また、摩擦支承6は構造が簡易であるため、設置場所の自由度が高い。例えば、摩擦支承6は免震層4の内部においても外周部においても容易に設置可能である。そのため、摩擦支承6は上部構造体2と免震装置5との重量の支持のバランスを考慮して設置できるため、平面計画上の制約等も少なくなる。
【0060】
また、上記の免震機構11は、免震構造物1を新築する際だけでなく、既存の免震構造物1においても、免震層4に摩擦支承6を免震装置5と並列配置して追加するだけでよいため、容易に適用することが可能である。
【0061】
以上、本発明による免震機構および免震構造物の実施形態について説明したが、本発明は上記の実施形態に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更可能である。
例えば、上記の実施形態では、免震装置5は、滑り材51と滑り案内材52とを備えた構成(剛滑り支承5a)と積層ゴム53と鋼板54とを交互に積層した構成(積層ゴム支承5b)とを備えるが、滑り材51が積層ゴムを直列して形成された弾性滑り支承としてもよい。この構成によれば、積層ゴムは平時において水平せん断抵抗力が0であるため、滑り材51が滑り案内材52上を摺動しない程度の小さな地震動Aに対しても積層ゴムが追従することで免震装置5の免震効果を発揮することができる。
【0062】
また、上記の実施形態では、摩擦支承6は、摩擦材61が摩耗している等の状況を除いて微小間隙高さzが変化するが、水平変位の作用時に上部構造体2と摩擦支承6とを離間させることができれば、摩擦支承6と上部構造体2の下部との離間前のZ方向の高さと離間後のZ方向方向の高さとが一致してもよい。
【符号の説明】
【0063】
1 免震構造物
2 上部構造体
3 基礎構造体
4 免震層
5 免震装置
5a 剛滑り支承
5b 積層ゴム支承
6 摩擦支承
6A 微小間隙(間隙)
11 免震機構
21 滑り板
51 滑り材
52 滑り案内材
53 積層ゴム
54 鋼板
61 摩擦材
62 ピストン
62A 凸部
62B 凸側当接部(摺動部)
63 圧縮ばね
64 シリンダー
64A 凹側当接部
64B 開口部
211 一方側当接面
212 テーパー面
611 他方側当接面
612 曲面加工部
図1
図2
図3
図4