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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-17
(45)【発行日】2024-10-25
(54)【発明の名称】小分けバルブ装置および小分け供給システム
(51)【国際特許分類】
   B65B 69/00 20060101AFI20241018BHJP
【FI】
B65B69/00 Z
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2021112079
(22)【出願日】2021-07-06
(65)【公開番号】P2023008476
(43)【公開日】2023-01-19
【審査請求日】2023-11-09
(73)【特許権者】
【識別番号】000206211
【氏名又は名称】大成建設株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000169466
【氏名又は名称】高砂香料工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002077
【氏名又は名称】園田・小林弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】小野 剛
(72)【発明者】
【氏名】宮本 明宜
(72)【発明者】
【氏名】阿部 太亮
(72)【発明者】
【氏名】茶谷 憲幸
【審査官】種子島 貴裕
(56)【参考文献】
【文献】特開平07-300137(JP,A)
【文献】特開2018-052527(JP,A)
【文献】特開2019-196195(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65B 69/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
容器から内容物を小分け容器に供給する小分け供給システムであって、
前記元容器の開口を塞ぐ蓋部と、前記蓋部を貫通して前記内容物の流路を形成し前記小分け容器に前記内容物を供給する供給管と、前記蓋部を貫通して空気流路を形成し、前記内容物の供給時に、前記元容器に空気を供給する空気管と、前記空気管に設けられる逆止弁と、前記供給管に設けられる開閉バルブと、を有する小分けバルブ装置と、
前記小分けバルブ装置が装着された前記元容器を小分け位置に搬送する元容器搬送機構と、
前記小分け位置で、前記元容器を反転保持する元容器反転保持機構と、
前記小分け容器を小分け位置に搬送し、さらに次の小分け容器を搬送する小分け容器搬送機構と、
前記小分け位置において前記小分け容器の内容物を含む重量を測定する小分け容器重量測定機構と、
前記小分け位置において、前記開閉バルブを操作する開閉バルブ操作機構と、
前記小分け容器重量測定機構の出力に基づいて前記開閉バルブ操作機構を制御する制御装置と、
を備える、小分け供給システム。
【請求項2】
前記小分けバルブ装置の有無を検知する検知センサを備える、請求項に記載の小分け供給システム。
【請求項3】
前記元容器の内容物を含む重量を測定する元容器重量測定機構を備える、請求項またはに記載の小分け供給システム。
【請求項4】
前記制御装置は、前記開閉バルブが開状態の時、前記小分け容器重量測定機構の出力に基づいて前記元容器の内容物の粘性を判定し、この判定に基づいて前記開閉バルブ操作機構によって開閉バルブの開き度合いを制御する、請求項からのいずれか1項に記載の小分け供給システム。
【請求項5】
前記制御装置は、前記小分け容器搬送機構と前記開閉バルブ操作機構を制御して予め設定された回数及び重量の小分け容器への供給を行う、請求項からのいずれか1項に記載の小分け供給システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、小分けバルブ装置および小分け供給システムに関する。
【背景技術】
【0002】
元容器から小分け容器等へ内容物を小分けする方法としては、人手で元容器を傾けて小分け容器へ内容物を供給する、あるいは、手動ポンプを利用して内容物を元容器から小分け容器に移動させることで行われている。この場合小分け容器への内容物の供給量の調整は、小分け容器の内容物の量を目視にて確認する、あるいは秤などで重量測定し微調整が行われる。このような小分けを、自動でおこなうことが考察されている。小分けをポンプ、配管等からなる設備で行う場合、小分け対象物の種類が変更されるときは、相互の汚染をさけるため、ポンプ、配管等の設備を洗浄することが必要となり、作業の手間がかかる等の課題が生じる。
【0003】
特許文献1には、コンテナ毎に予め定められた制御データにしたがって、コンテナのバルブの開き度合を制御する計量コンテナシステムが開示されている。この発明では、コンテナから排出される原料の計量値と当該原料の目標値の量との差に応じた排出口に対するバルブの開き度合いの制御が行われている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2018-177293号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、特許文献1に記載の発明では、バルブ制御を可能とする専用のコンテナが必要とされており、小分け対象の内容物が貯蔵された容器から専用のコンテナに内容物を詰め替える必要が生じる。小分け対象の内容物の種類が変更になった場合は、あらたに別のコンテナを用意するか、既存のコンテナの洗浄が必要となる。これらの詰め替えや洗浄の必要性から、工程数が増え作業が繁雑になる恐れがある。また、予め制御データを設定しておくことが必要であり、あらたな小分け対象物に対して前準備に手間がかかる恐れがある。
【0006】
本発明は、上述した実情に鑑みてなされたものであり、本発明が解決しようとする課題は、専用のコンテナおよびポンプ、配管等の供給装置を用いることなく、簡便な構成で精度よく効率良く小分けすることが可能な小分けバルブ装置および小分け供給システムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、上記課題を解決するため、以下の手段を採用する。
すなわち、本発明の小分けバルブ装置は、元容器から下方に位置する小分け容器に内容物を供給する小分けバルブ装置であって、前記元容器の開口を塞ぐ蓋部と、前記蓋部を貫通して前記内容物の流路を形成し前記小分け容器に前記内容物を供給する供給管と、前記蓋部を貫通して空気流路を形成し、前記内容物の供給時に、前記元容器に空気を供給する空気管と、前記空気管に設けられる逆止弁と、前記供給管に設けられる開閉バルブと、を備える。
この発明では、元容器の開口を塞ぐ蓋部と、内容物を供給する供給管と、内容物供給時に元容器に空気を供給する空気管を備えているので、元容器を反転させて効率良く内容物を小分け容器に供給できる。
【0008】
本発明の小分け供給システムは、上述の小分けバルブ装置を装着した元容器から内容物を小分け容器に供給する小分け供給システムであって、元容器を小分け位置に搬送する元容器搬送機構と、前記小分け位置で、前記元容器を反転保持する元容器反転保持機構と、前記小分け容器を小分け位置に搬送する小分け容器搬送機構と、前記小分け位置において前記小分け容器の内容物を含む重量を測定する小分け容器重量測定機構と、前記小分け位置において、前記小分けバルブ装置の開閉バルブを操作する開閉バルブ操作機構と、前記小分け容器重量測定機構の出力に基づいて前記開閉バルブ操作機構を制御する制御装置と、を備える。
この発明では、小分け容器重量測定機構の出力に基づいて開閉バルブ操作機構を制御する制御装置を備えているので、精度よくかつ効率良く小分け容器に内容物を小分けすることができる。
【0009】
本発明の一態様では、前記小分けバルブ装置の有無を検知する検知センサを備える。
この一態様では、小分けバルブ装置の有無を検知する検知センサを備えるので、小分けバルブ装置の有無を検知して、元容器への小分けバルブ装置の付け忘れを防止することができる。
【0010】
本発明の一態様では、前記元容器の内容物を含む重量を測定する元容器重量測定機構を備える。
この一態様では、元容器の重量を測定する元容器重量測定機構を備えるので、元容器から小分け容器への内容物の供給量を計測することができる
【0011】
本発明の一態様では、前記制御装置は、前記開閉バルブが開状態の時、前記小分け容器重量測定機構の出力に基づいて前記元容器の内容物の粘性を判定し、この判定に基づいて前記開閉バルブ操作機構によって開閉バルブの開き度合いを制御する。
制御装置が内容物の粘性を判定してこの判定に基づいて開閉バルブの開き度合いを制御するので、効率よく内容物を小分け容器に供給できる。
【0012】
本発明の一態様では、前記制御装置は、前記小分け容器搬送機構と前記開閉バルブ操作機構を制御して予め設定された回数及び重量の小分け容器への供給を行う。
この一態様では、制御装置が、予め設定された回数及び重量の小分け容器への供給を行うので、所望の数の小分け容器への供給を自動的に行うことができる。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、専用のコンテナおよびポンプ、配管等の供給装置を用いることなく、簡便な構成で精度よく効率良く小分けすることが可能な小分けバルブ装置および小分け供給システムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本発明の実施形態に係る元容器に装着された小分けバルブ装置の側面図である。
図2】本発明の実施形態に係る小分けバルブ装置の要部の拡大図である。
図3】本発明の実施形態に係る小分け供給システムの斜視図である。
図4】本発明の実施形態に係る小分け供給システムの斜視図である。
図5】本発明の実施形態に係る小分け供給システムの要部の拡大図である。
図6】本発明の実施形態に係る小分け供給システムの斜視図である。
図7】本発明の実施形態に係る小分け供給システムの要部の拡大図である。
図8】本発明の実施形態に係る小分け供給システムの要部の拡大図である。
図9】本発明の実施形態に係る小分け供給システムの要部の拡大図である。
図10】本発明の実施形態に係る小分け供給システムの要部の拡大図である。
図11】本発明の実施形態に係る小分け供給システムの要部の拡大図である。
図12】本発明の実施形態に係る小分け供給システムの要部の拡大図である。
図13】本発明の実施形態に係る小分け供給システムの斜視図である。
図14】本発明の実施形態に係る小分け供給システムの要部の拡大図である。
図15】本発明の実施形態に係る小分け供給システムの要部の拡大図である。
図16】本発明の実施形態に係る小分け供給システムの要部の拡大図である。
図17】本発明の実施形態に係る小分け供給システムの要部の拡大図である。
図18】本発明の実施形態に係る小分け供給システムの要部の拡大図である。
図19】本発明の実施形態に係る小分け供給システムの要部の拡大図である。
図20】本発明の実施形態に係る小分け供給システムの要部の拡大図である。
図21】本発明の実施形態に係る小分け供給システムの要部の拡大図である。
図22】本発明の実施形態に係る小分け供給システムの斜視図である。
図23】本発明の実施形態に係る小分け供給システムの動作を示すフローチャートである。
図24】本発明の実施形態に係る小分け供給システムの制御装置のブロック図である。
図25】本発明の実施形態に係る小分け供給システムの制御を説明するグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、添付図面を参照して、本発明による小分けバルブ装置、小分け供給システムを実施するための形態について説明する。
(小分けバルブ装置)
本発明の実施形態に係る元容器に装着された小分けバルブ装置の側面図を図1に示す。図2は、小分けバルブ装置の要部の拡大図である。図1に示すように、小分けバルブ装置1は、元容器2の開口Pを塞ぐ蓋部5と、蓋部5を貫通して元容器2の内容物の流路を形成し小分け容器に内容物を供給する供給管7と、蓋部5を貫通して空気流路を形成し、内容物の供給時に、元容器2に空気を供給する空気管9と、空気管9に設けられる逆止弁9aと、供給管7に設けられる開閉バルブ8と、を備えている。
【0016】
小分けバルブ装置1は、後述する小分け供給システムで元容器2を反転して元容器2の内容物を小分け容器に供給するため、図2に示すように反転した状態で使用される。開閉バルブ8は、ハンドル8aとバルブ本体8bを備えており、ハンドル8aの回転により、バルブ本体の開き度合いを調整する。本実施形態では、開閉バルブ8としては、グローブバルブが用いられているが、これに限定することなく簡便な操作でバルブの開き度合いを調整できるものであればよい。開閉のみを制御する場合は、ゲートバルブ、ボールバルブ等を用いてよい。精密な流量制御をしたい場合は、ダイヤフラムバルブ等を用いてよい。
図2に示すように、ハンドル8aは、後述する小分け供給システムのハンドル把持部67で把持され、これを回転することにより内容物の供給量を制御できる。
【0017】
図1に示すように、空気管9は、元容器2の底部近傍まで延在しており、その先端に内容物の逆流を防ぐ逆止弁9aが設けられている。空気管9は、蓋部5を貫通した元容器2の外部で90度に曲がり、供給管7を貫通して元容器2の外部に開口している。外部の開口の端部には、サイレンサー9bが設けられている。
【0018】
上述のように構成された小分けバルブ装置1は、元容器2に装着された状態で、小分け供給システムによって元容器2と共に反転させられる。この反転状態で開閉バルブ8のハンドル8aが回転されてバルブ本体8bが開かれると、内容物の流路を形成する供給管7から内容物が外部の後述する小分け容器にむけて供給される。このとき内容物が外部に移動したと同量の体積の空気がサイレンサー9bから吸引され、空気管9を通過して、逆止弁9aから元容器2の内部に供給され、元容器2の外部に供給した内容物と同量の空気が元容器2内で置換される。
【0019】
以上述べたように、本実施形態における小分けバルブ装置1は、元容器2の開口Pを塞ぐ蓋部5を貫通する、内容物を供給する供給管7と供給された内容物とほぼ同体積の空気を置換する空気管9とが設けられている。したがって、簡便な構造で効率よく内容物を元容器から小分け容器へ供給することができる。開閉バルブ8は、バルブ本体8bの開き度合いをハンドル8aで調節するので、複雑なバルブ制御を必要とせず簡便な制御を実施することができる。
【0020】
(小分け供給システム)
図3図22は、上述の小分けバルブ装置1を装着した元容器2から内容物を小分け容器3に供給する小分け供給システム10の要部の拡大図を含む斜視図である。図3に示すように、小分け供給システム10は、元容器2を小分け位置Kに搬送する元容器搬送機構11と、小分け位置Kで、元容器2を反転保持する元容器反転保持機構13と、小分け容器3を小分け位置Kに搬送する小分け容器搬送機構15と、を備えている。
【0021】
元容器搬送機構11は、ローラーコンベア31と昇降装置35とを備えている。ローラーコンベア31は、3つのローラーコンベア31a、31b、31cで構成されており、元容器2を昇降装置35の手前まで搬送する。それぞれのローラーコンベア31a、31b、31cのローラーの間には、上下動することによって、それぞれのローラーコンベア31a、31b、31cの搬送方向と90度異なった方向に元容器2を搬送可能とするチェーンコンベア33a、33b、33cが設けられている。
【0022】
昇降装置35は、昇降モータ37と昇降チェーン39と昇降ケージ41とを備えている。昇降ケージ41の底部には、ローラーコンベア31によって搬送された元容器2を昇降ケージ41に搬送するためのチェーンコンベア33dが設けられている。昇降ケージ41は、昇降モータ37の回転によって駆動される昇降チェーン39と連動して上下移動可能とされている。
【0023】
元容器反転保持機構13は、挟持アーム45、45と挟持モータ47と昇降モータ49昇降チェーン51と反転モータ53とを備えている。元容器反転保持機構13の挟持アーム45、45の下方には、昇降装置35で持ち上げられた元容器2を挟持アーム45、45まで搬送するチェーンコンベア33eが設けられている。挟持アーム45、45は、挟持モータ47の駆動によって元容器2を左右のアームで挟持し、昇降モータ49の回転によって駆動される昇降チェーン51と連動して、挟持アーム45、45を挟持された元容器2と共に上下動可能とされる。反転モータ53は、その駆動によって、挟持アーム45、45を挟持された元容器2と共に反転動可能とされる。
【0024】
図5は、ローラーコンベア31と昇降装置35とを図3とは別の角度からみた要部の拡大斜視図である。チェーンコンベア33bの下部には、元容器2の内容物を含む重量を測定するための元容器重量測定機構27が設けられている。昇降装置35の昇降ケージ41には、検知センサ23が設けられており、小分けバルブ装置1を検知し、元容器2に小分けバルブ装置1が装着されていることを確認することができる。検知センサ23は、例えば画像認識のカメラや遮光センサ等を使用することができる。本実施形態では、対角に配置された2対の遮光センサが検知センサ23として用いられている。
【0025】
図12は、元容器2が反転保持された状態で、小分け容器3に内容物を供給する要部の拡大図である。図12に示すように、小分け供給システム10は、小分け位置Kにおいて小分け容器3の内容物を含む重量を測定する小分け容器重量測定機構17と、小分け位置Kにおいて、小分けバルブ装置の開閉バルブを操作する開閉バルブ操作機構19と、小分け容器重量測定機構17の出力に基づいて開閉バルブ操作機構19を制御する図3に示す制御装置21と、を備えている。
【0026】
開閉バルブ操作機構19は、ハンドル把持部67と操作シリンダ69と開閉ギア71と開閉モータ73を備えている。操作シリンダ69は、その往復動によってハンドル把持部67を、ハンドル8aを把持する位置まで移動する。開閉モータ73は、開閉ギア71と協働しハンドル把持部67を回転させてハンドル把持部67に把持されたハンドル8aの開閉動作をおこなう。
【0027】
小分け容器搬送機構15は、複数のチェーンコンベア55によって構成され小分け容器3を小分け位置Kまで搬送する。小分け位置Kのチェーンコンベア55の両脇には、位置決めガイド57とガイドシリンダ59と振れ止めガイド61と位置決めシリンダ63とを備えている。位置決めガイド57は、ガイドシリンダ59の往復動により小分け容器を両側から押すことによって小分け容器3の位置を、小分けバルブ装置1の真下に注入口3aが配置されるように位置決めする。位置決め時に、振れ止めガイド61も、ガイドシリンダ59の往復動により小分け容器3の振れ止め防止位置に移動する。位置決めガイド57は、その後位置決めシリンダ63によって小分け容器3から離間させることができる。小分け容器重量測定機構17の上部には、昇降シリンダ65が設けられており、位置決めガイド59が小分け容器3から離間した状態で小分け容器3を上下動させることができる。
【0028】
小分け位置Kには、検知センサ25が設けられており、小分けバルブ装置1を検知し、元容器2に小分けバルブ装置1が装着されていること、装着されている向きが正しいこと、を確認することができる。検知センサ25は、例えば画像認識のカメラや遮光センサ等を使用することができる。本実施形態では、対角に配置された2対の遮光センサが検知センサ25として用いられている。
【0029】
図24は、本実施形態の制御装置21のブロック図である。制御装置21は、入力部81、計量値取得部82、制御データ更新部83、制御データ記憶部84、制御データ管理部85、出力部86、駆動制御部87を備えている。入力部81は、小分け容器3に小分けする内容物の重量、および小分けする小分け容器3の個数の登録を受け付ける。計量値取得部82は、小分け容器重量測定機構17、元容器重量測定機構27、検知センサ23、25等からの出力を受け取る。制御データ記憶部84は、元容器搬送機構11のローラーコンベア31、昇降装置35、元容器反転保持機構13、小分け容器搬送機構15、開閉バルブ操作機構19、等の動作、制御に関するパラメータが記憶されており、制御データ管理部85に読み出されて小分け供給システム10の例えば、図23に示すフローチャートの動作を規定する。
【0030】
制御データ記憶部84のパラメータは、制御データ更新部83によって更新される。出力部86は、小分け供給システム10の各部の駆動に必要なデータを制御データ管理部85から読み出し、駆動制御部87に出力する。駆動制御部87は、具体的には、ローラコンベヤ31のモータや、昇降装置35の昇降モータ37、元容器反転保持機構13の挟持モータ47、昇降モータ49、反転モータ53、開閉バルブ操作機構19の開閉モータ73等のモータ類や、開閉バルブ操作機構19の操作シリンダ69、小分け位置Kに配置されるガイドシリンダ59、位置決めシリンダ63、昇降シリンダ65等のシリンダ類を駆動制御対象とする。
【0031】
制御装置21は、例えばパーソナルコンピュータ等の情報処理装置上に実装される。制御装置21は、上記情報処理装置内のCPUやGPUによって実行されるソフトウェア、プログラムであってよい。制御装置21は、前述のように制御データ記憶部84を備えおり、制御データ記憶部84は、パーソナルコンピュータ内に実装されるハードディスクや、フラッシュデスク等に構築されてよい。
【0032】
図23は、本実施形態の小分け供給システム10の動作を説明するフローチャートである。図23のフローチャートにしたがって、小分け供給システム10の動作について説明する。
(1)元容器2に小分けバルブ装置1を取り付ける(図1、S01)。
(2)制御装置21に、小分け情報を入力する(図3、S02)。このとき小分け情報とは、小分け容器3へ供給する内容物の重量、および供給される小分け容器の個数等を含む。
【0033】
(3)元容器2を元容器搬送機構11のローラーコンベア31に投入する(図3、S03)。元容器2は、ローラーコンベア31a上をチェーンコンベア33aまで搬送される。チェーンコンベア33aは、元容器2を検知すると上昇して元容器2を持ち上げ、ローラーコンベア31bに搬送する。ローラーコンベア31bは、元容器2をチェーンコンベア33bまで搬送する(図3)。
(4)チェーンコンベア33bは、元容器2を検知すると上昇して元容器2を持ち上げる。チェーンコンベア33bの下部には、元容器重量測定機構27が設けられており、内容物を含む元容器2の重量を測定する(図3、S04)。
【0034】
(5)チェーンコンベア33bは、元容器2を持ち上げて、昇降装置35のチェーンコンベア33dと協働して、元容器2を昇降ケージ41内に搬送する(図4)。昇降ケージ41内には、感知センサ23が設けられており、小分けバルブ装置1が元容器2の所定の位置に装着されているかを検出し、取り付けられていない場合は警告を発する。取り付けられている場合は、次の工程に進む(図5、S05)。
【0035】
(6)昇降ケージ41は、昇降モータ37に駆動された昇降チェーン39によって元容器反転保持機構13のチェーンコンベア33eの位置まで上昇する(図6)。その後、チェーンコンベア33dとチェーンコンベア33eによって、元容器2が元容器反転保持機構13に搬送される(図7、S06)。
【0036】
(7)元容器反転保持機構13では、挟持モータ47の駆動によって、元容器2の左右から挟持アーム45、45が元容器2を挟持する(図8)。その後、昇降モータ49の回転によって駆動された昇降チェーン51により、挟持アーム45、45が元容器2を挟持した状態で上昇する(図9)。挟持され上昇された元容器2は、反転モータ53の駆動により、反転させられる(図10、S07)。
【0037】
(8)挟持アーム45、45に挟持された元容器2は、昇降モータ49の回転によって駆動された昇降チェーン51の駆動により下降させられる(図11)。図12に示すように、元容器2が下降して保持された位置には、感知センサ25が設けられており、小分けバルブ装置1が所定の位置に配置されているか確認することができる。所定の位置にない場合は、警告が発せられる。所定の位置とは、小分けバルブ装置1が、小分け容器2が小分け位置Kに配置されたときに、小分け容器3の注入口3aがちょうど下方に配置される位置である。(図12、S08)。
【0038】
(9)その後、小分け容器3が小分け位置Kへ、小分け容器搬送機構15によって搬送される(図13、S09)。
【0039】
(10)小分け位置Kでは、ガイドシリンダ59の駆動によって、位置決めガイド57と振れ止めガイド61が小分け容器3に向かって両側から移動する。位置決めガイド57は、小分け容器3に両側から接触し小分け容器3を定められた位置に配置する。ここで定められた位置とは、小分けバルブ装置1の直下に小分け容器3の注入口3aが配置される位置である。振れ止めガイド61は、両側から小分け容器3の左右を挟み込むように接触しない位置に配置される(図14、S10)。
【0040】
(11)その後、位置決めシリンダ63の駆動により、位置決めガイド57が小分け容器から離間し、昇降シリンダ65の駆動により小分け容器3の注入口3aが、小分けバルブ装置1の直下近傍に位置するように、小分け容器3が上昇する。振れ止めガイド61は、小分け容器3への内容物の供給時に小分け容器3の振れ防止のため、小分け容器3に接触しない近傍に位置して留まる(図15、S11)。
(12)昇降シリンダ65の下部には、小分け容器重量測定機構17が設けられており、内容物を含む小分け容器3の重量を測定している(図15、S12)。
【0041】
(13)開閉バルブ操作機構19では、操作シリンダ69が駆動してハンドル把持部67が移動し、小分けバルブ装置1の開閉バルブ8のハンドル8aを把持する(図16、S13)。
【0042】
(14)図17に示すように、開閉モータ73の回転により開閉ギア71が駆動され、ハンドル把持部67に把持されたハンドル8aが回転され、開閉バルブ8を開ける(図17、S14)。
(15)開閉バルブ8が開けられて内容物が小分け容器3に供給されている間も小分け容器重量測定機構17による重量測定は継続している(S15)。
【0043】
(16)図25は、横軸に時間、縦軸に小分け容器重量測定機構17によって計測された重量を表すグラフである。後述するが、図3に示す制御装置21は、小分け容器重量測定機構17の出力に基づいて開閉バルブ操作機構19を制御している。開閉バルブ操作機構19の制御とは、具体的には、ハンドル把持部67によってハンドル8aを回転させ開閉バルブ8の開く度合いを調節している(図17、S16、S17)。
【0044】
(17)制御装置21は、小分け重量測定機構17の出力が、予め定められた重量に達したかどうかを常時判断している(S18)。達していない場合は、開閉バルブ8を開いた状態で開閉バルブ操作機構19の制御を継続し(S18:NO)、達した場合は、バルブ全閉の行程に進む(S18:YES)。
【0045】
(18)制御装置21が、小分け容器3に予め定められた重量の内容物が供給されたと判断した場合、開閉モータ73の回転により開閉ギア71が駆動され、ハンドル把持部67に把持されたハンドル8aが回転され、開閉バルブ8を全閉にする(図18、S19)。
(19)その後、ガイドシリンダ59の駆動によって、振れ止めガイド61が小分け容器3から離間し、昇降シリンダ65によって小分け容器3が下降する(図18、S20)。
【0046】
(20)あらかじめ定められた分量の内容物を供給された小分け容器3は、小分け容器搬送機構15のチェーンコンベア55によって搬送される(図19、S21)。
(21)予め設定された供給すべき次の小分け容器3がある場合は、前述の工程(9)から再び工程を繰り返す(S22:有り)。次の小分け容器がない場合は、元容器2を搬送する工程に進む(S22:無し)。
【0047】
(22)挟持アーム45、45に挟持された元容器2は、昇降モータ49の回転によって駆動された昇降チェーン51の駆動により上昇させられる。上昇された元容器2は、反転モータ53の駆動により、反転させられ、小分けバルブ装置1が上部となる元の状態にもどる(図20、S23)。
【0048】
(23)元容器2は、昇降モータ49の回転によって駆動された昇降チェーン51により下降させられ、挟持モータ47の駆動によって、挟持アーム45、45は、元容器2から離間する(図21)。その後、前述の工程(4)から(6)と逆の工程を経てチェーンコンベア33bの動作によって、元容器2を、ローラーコンベア31bに搬送する。ローラーコンベア31bは、元容器2をローラーコンベア31cへ搬送し、次いでローラーコンベア31cにより、小分け供給システム10の外部に搬出される(図22、S24)。
【0049】
(24)制御装置21は、小分けする次の元容器の有無を確認し(S25)、次の元容器2aがある場合、これまでの一連の工程を繰り返す(図22、S25:有り)。次の元容器がない場合、一連の工程を終了する(S25:無し、S26)
【0050】
<小分け容器重量測定機構の出力に対する開閉バルブの制御>
前述したように図25は、横軸に時間、縦軸に小分け容器重量測定機構17によって計測された重量を表すグラフである。図25では、例として小分け容器3に10kgの内容物の供給が行われる場合を示している。制御装置21は、小分け容器重量測定機構17の出力によって、元容器2の内容物の粘性を判定し、この判定に基づいて開閉バルブ操作機構19により開閉バルブ8の開き度合いを制御する。
【0051】
具体的には、図25に示す内容物Aの場合、時間aに示す短い時間で5kgに達しているため、内容物Aは、粘性の低い物質であると判定し、この時点で開閉バルブ8の開度を全開から50%にする。次に、時間bの8kgの時点で開度を20%とし、時間cで10kgに達したので開閉バルブ8を全閉する。内容物Bの場合、時間dに示す内容物Aに比較して長時間で8kgに達しているため、内容物Bは、粘性の高い物質であると判定し、この時点で開閉バルブ8の開度を全開から80%にする。時間eで10kgに達したので開閉バルブ8を全閉する。ここに示した例では、開閉バルブ8の開度は、全開(100%)から開始されているが、これに限定することなく、予め内容物の粘性がある程度予測できる場合は、100%以外の開度から開始してよい。例えば、99%~1%までのいずれかの内容物の粘性に適した開度から開始してよい。開閉バルブ8の開度の変更を判断する重量、時間は、上述の8kg、5kおよびそれに達した時間に限定することなく、それぞれの実施の状況に応じて適切となるように制御してよい。
【0052】
以上述べたように、本実施形態における小分け供給システム10は、簡便な構造の小分けバルブ装置1を装着した元容器2を反転することによって、小分け容器3に内容物を供給するので、専用のコンテナおよびポンプ、配管等の供給装置を用いることなく内容物を小分けすることができる。小分けしている間、小分け容器重量測定機構17が、内容物を含む小分け容器3の重量を測定し、その結果に基づいて開閉バルブ8の開度を制御するので、短時間で効率の良い内容物の供給が可能となる。
【符号の説明】
【0053】
1 小分けバルブ装置
10 小分け供給システム
2、2a 元容器
3 小分け容器
5 蓋部
7 供給管
8 開閉バルブ
9 空気管
9a 逆止弁
11 元容器搬送機構
13 元容器反転保持機構
15 小分け容器搬送機構
17 小分け容器重量測定機構
19 開閉バルブ操作機構
21 制御装置
23、25 検知センサ
27 元容器重量測定機構
P 元容器の開口
K 小分け位置
図1
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