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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-17
(45)【発行日】2024-10-25
(54)【発明の名称】検出機構
(51)【国際特許分類】
   G01B 7/00 20060101AFI20241018BHJP
   B62D 1/06 20060101ALI20241018BHJP
【FI】
G01B7/00 101C
B62D1/06
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2021157278
(22)【出願日】2021-09-27
(65)【公開番号】P2023048028
(43)【公開日】2023-04-06
【審査請求日】2024-02-28
(73)【特許権者】
【識別番号】000003551
【氏名又は名称】株式会社東海理化電機製作所
(74)【代理人】
【識別番号】110001519
【氏名又は名称】弁理士法人太陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】藤井 啓宏
(72)【発明者】
【氏名】大平 洋
(72)【発明者】
【氏名】近藤 康正
(72)【発明者】
【氏名】武岡 浩司
【審査官】山▲崎▼ 和子
(56)【参考文献】
【文献】特開2021-082573(JP,A)
【文献】特開2021-140951(JP,A)
【文献】特開2021-135169(JP,A)
【文献】特開2016-119265(JP,A)
【文献】特開2021-032586(JP,A)
【文献】特開昭63-130810(JP,A)
【文献】特開2020-148693(JP,A)
【文献】特開昭59-155036(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01B 7/00-7/34
B62D 1/00-1/28
H01H 36/00-36/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
接触体に設けられ、前記接触体への人の接触を検出する検出部と、
前記検出部に設けられる導電体と、
前記検出部に設けられる絶縁体と、
前記検出部に前記導電体と前記絶縁体との間において設けられ、固化されて前記導電体と前記絶縁体とが結合される結合材と、
前記導電体及び前記絶縁体の少なくとも一方に設けられ、設置位置において前記導電体と前記絶縁体とが接触されて前記結合材に貫通孔が形成される凸部と、
を備える検出機構。
【請求項2】
前記導電体に設けられる前記凸部と前記絶縁体に設けられる前記凸部とが接触される請求項1記載の検出機構。
【請求項3】
接触体に設けられ、前記接触体への人の接触を検出する検出部と、
前記検出部に設けられ、第1糸と第2糸とが織られて布状にされる導電体と、
前記検出部に設けられる絶縁体と、
前記検出部に前記導電体と前記絶縁体との間において設けられ、固化されて前記導電体と前記絶縁体とが結合されると共に、前記第1糸と前記第2糸との接触部分に設けられない結合材と、
を備える検出機構。
【請求項4】
前記検出部に前記絶縁体の一側のみにおいて前記導電体が設けられる請求項1~請求項3の何れか1項記載の検出機構。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、接触体への人の接触を検出する検出機構に関する。
【背景技術】
【0002】
下記特許文献1に記載の静電容量センサは、車両のステアリングホイールのリムに設けられており、発泡シートの表側にセンサ電極が接着されると共に、発泡シートの裏側に接地電極が縫製される。
【0003】
ここで、この静電容量センサでは、センサ電極が粘着剤によって発泡シートに接着されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2021-18692号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、上記事実を考慮し、検出部の伸張性能を高くできる検出機構を得ることが目的である。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の第1態様の検出機構は、接触体に設けられ、前記接触体への人の接触を検出する検出部と、前記検出部に設けられる導電体と、前記検出部に設けられる絶縁体と、前記検出部に前記導電体と前記絶縁体との間において設けられ、固化されて前記導電体と前記絶縁体とが結合される結合材と、前記導電体及び前記絶縁体の少なくとも一方に設けられ、設置位置において前記導電体と前記絶縁体とが接触されて前記結合材に貫通孔が形成される凸部と、を備える。
【0007】
本発明の第2態様の検出機構は、本発明の第1態様の検出機構において、前記導電体に設けられる前記凸部と前記絶縁体に設けられる前記凸部とが接触される。
【0008】
本発明の第3態様の検出機構は、接触体に設けられ、前記接触体への人の接触を検出する検出部と、前記検出部に設けられ、第1糸と第2糸とが織られて布状にされる導電体と、前記検出部に設けられる絶縁体と、前記検出部に前記導電体と前記絶縁体との間において設けられ、固化されて前記導電体と前記絶縁体とが結合されると共に、前記第1糸と前記第2糸との接触部分に設けられない結合材と、を備える。
【0009】
本発明の第4態様の検出機構は、本発明の第1態様~第3態様の何れか1つの検出機構において、前記検出部に前記絶縁体の一側のみにおいて前記導電体が設けられる。
【発明の効果】
【0010】
本発明の第1態様の検出機構では、接触体の検出部が接触体への人の接触を検出する。また、検出部の導電体と絶縁体との間に結合材が設けられており、結合材が固化されて、導電体と絶縁体とが結合される。
【0011】
ここで、導電体及び絶縁体の少なくとも一方に凸部が設けられており、凸部の設置位置において、導電体と絶縁体とが接触されて、結合材に貫通孔が形成される。このため、結合材が貫通孔によって容易に伸張されることで、検出部の伸張性能を高くできる。
【0012】
本発明の第2態様の検出機構では、導電体の凸部と絶縁体の凸部とが接触される。このため、結合材に貫通孔を適切に形成できる。
【0013】
本発明の第3態様の検出機構では、接触体の検出部が接触体への人の接触を検出する。また、検出部の導電体と絶縁体との間に結合材が設けられており、結合材が固化されて、導電体と絶縁体とが結合される。さらに、導電体は、第1糸と第2糸とが織られて、布状にされる。
【0014】
ここで、結合材が導電体の第1糸と第2糸との接触部分に設けられない。このため、結合材が第1糸と第2糸との接触部分における相対傾動を制限して導電体の伸張を制限することを抑制でき、検出部の伸張性能を高くできる。
【0015】
本発明の第4態様の検出機構では、検出部に絶縁体の一側のみにおいて導電体が設けられる。このため、検出部に絶縁体の一側及び他側において導電体が設けられる場合とは異なり、検出部の伸張性能を高くできる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】本発明の第1実施形態に係るステアリングホイールを示す前側から見た正面図である。
図2】(A)及び(B)は、本発明の第1実施形態に係るステアリングホイールの主要部を示す図であり、(A)は、前側から見た正面図であり、(B)は、後側から見た背面図である。
図3】本発明の第1実施形態に係るステアリングホイールの主要部を示す前側から見た分解斜視図である。
図4】本発明の第1実施形態に係るステアリングホイールのセンサを示す表側から見た展開図である。
図5】(A)及び(B)は、本発明の第1実施形態に係るステアリングホイールのセンサを示す図であり、(A)は、拡大展開図であり、(B)は、拡大断面図((A)の5B-5B線断面図))である。
図6】(A)及び(B)は、本発明の第2実施形態に係るステアリングホイールのセンサを示す拡大断面図であり、(A)は、分解状態を示し、(B)は、結合状態を示している。
【発明を実施するための形態】
【0017】
[第1実施形態]
図1には、本発明の第1実施形態に係る接触体としてのステアリングホイール10が前側から見た正面図にて示されている。なお、図面では、ステアリングホイール10の前側を矢印FRで示し、ステアリングホイール10の右側を矢印RHで示し、ステアリングホイール10の上側を矢印UPで示している。
【0018】
本実施形態に係るステアリングホイール10は、車両後側において車両の運転席に対向されており、ステアリングホイール10は、運転席に着座する乗員(運転者、接触者)の車両前側に配置されている。また、ステアリングホイール10の前側、右側及び上側は、それぞれ車両の後側、右側及び上側に向けられている。
【0019】
図1に示す如く、ステアリングホイール10の中央部分には、固定部としてのボス部10Aが設けられており、ステアリングホイール10の外周部分には、接触部としての正面視円環状のリム部10Bが設けられている。ボス部10Aとリム部10Bとの間には、接続部としてのスポーク部10Cが3個設けられており、スポーク部10Cは、ボス部10Aから左側、右側及び下側に延出されて、ボス部10Aとリム部10Bとを接続している。
【0020】
ステアリングホイール10には、骨格部材としての金属製の芯金12が設けられている。
【0021】
芯金12の中央部分には、板状のボス芯金12Aが設けられており、ボス芯金12Aは、ボス部10Aを構成している。ボス芯金12Aは、車両における支持軸としての円柱状のステアリングシャフト14の車両後側端(車両上側端)に固定されており、ステアリングシャフト14は、リム部10Bと同軸上に配置されている。ステアリングホイール10(芯金12)は、ステアリングシャフト14に一体回転可能に支持されており、乗員がリム部10Bを把持してステアリングホイール10を周方向に回転操作することで、ステアリングシャフト14が中心軸線周りに回転されて、車両が操舵される。
【0022】
芯金12の外周部分には、正面視円環状のリム芯金12Bが設けられており、リム芯金12Bは、リム部10Bを構成している。ボス芯金12Aとリム芯金12Bとの間には、長尺板状のスポーク芯金12Cが3個設けられており、スポーク芯金12Cは、ボス芯金12Aから左側、右側及び下側(ステアリングホイール10の径方向外側)に延出されて、ボス芯金12Aとリム芯金12Bとを一体に接続すると共に、スポーク部10Cを構成している。
【0023】
ボス部10A及びスポーク部10Cには、被覆部材としての板状のパッド16が設けられており、パッド16は、ボス芯金12A及びスポーク芯金12Cの前側に取付けられて、ボス芯金12A及びスポーク芯金12Cの前側を被覆している。
【0024】
リム部10Bの長手方向(ステアリングホイール10の周方向)及び周方向(長手方向周りの方向)における全体には、設置部材としての正面視円環状の内部材18(図3参照)が設けられており、内部材18は、軟質樹脂製(例えばポリウレタン製)にされると共に、長手方向に垂直な断面の外形が円状にされている。内部材18内には、リム芯金12Bが収容されており、内部材18は、リム芯金12Bに固定されている。
【0025】
リム部10Bの左側部分及び右側部分には、それぞれ検出機構20を構成する検出部としての略長尺矩形シート状のセンサ22(図2の(A)及び(B)、図3図4参照)が設けられており、センサ22は、内部材18の外周に貼付けられている。センサ22の長手方向は、リム部10Bの長手方向に沿って湾曲されて配置されており、センサ22の長手方向一側(図4の矢印Lの方向)は、リム部10Bの長手方向下側に向けられている。センサ22の幅方向は、リム部10Bの周方向に沿って湾曲されて配置されており、センサ22の幅方向一側(図4の矢印Wの方向)は、リム部10Bの周方向後側に向けられている。センサ22の幅方向中央側は、リム部10Bのステアリングホイール10径方向外側に配置されており、センサ22の幅方向両端は、リム部10Bのステアリングホイール10径方向内側に配置されている。
【0026】
センサ22の表側部分(リム部10Bの径方向外側部分)には、導電体(センサ部)としての略長尺矩形布状のセンサ電極24が設けられており、センサ電極24の長手方向一側及び幅方向一側は、それぞれセンサ22の長手方向一側及び幅方向一側に向けられている。
【0027】
センサ電極24(図5(A)及び(B)参照)は、樹脂製の第1糸24A(縦糸及び横糸の一方)と樹脂製の第2糸24B(縦糸及び横糸の他方)とが織られて、布状にされており、第1糸24Aと第2糸24Bとは、同一の撚糸にされている。第1糸24Aは、センサ電極24の長手方向一側へ向かうに従いセンサ電極24の幅方向一側へ向かう方向に傾斜されると共に、第2糸24Bは、センサ電極24の長手方向他側へ向かうに従いセンサ電極24の幅方向一側へ向かう方向に傾斜されており、第1糸24A及び第2糸24Bは、例えばセンサ電極24の長手方向及び幅方向に対して45°傾斜している。
【0028】
センサ電極24では、第1糸24Aと第2糸24Bとが織られた後に、第1糸24A及び第2糸24Bの外周全体に金属メッキ26が形成されている。このため、センサ電極24は、金属メッキ26によって導電性を有しており、第1糸24Aと第2糸24Bとは、交点において、金属メッキ26によって導通されている。センサ電極24には、第1糸24Aと第2糸24Bとの交点部分において、凸部としての略断面V字状の第1凸部28(図5(B)参照)が形成されており、第1凸部28は、第1糸24Aと第2糸24Bとの交点においてセンサ22裏側(リム部10B径方向内側)に配置される第1糸24A又は第2糸24Bによって形成されて、センサ22の裏側に突出されている。
【0029】
センサ電極24は、第1糸24Aの延在方向及び第2糸24Bの延在方向に伸張不能にされると共に、第1糸24Aの延在方向及び第2糸24Bの延在方向とは異なる方向に伸張可能にされており、センサ電極24は、リム部10Bに組付けられる際に、長手方向に伸張される。このため、第1糸24A及び第2糸24Bが互いに反対方向に傾動されて、センサ電極24の長手方向に対する第1糸24A及び第2糸24Bの傾斜角度が小さくされる。
【0030】
センサ22の裏側部分(リム部10Bの径方向内側部分)には、導電体(キャンセル部)としての略長尺矩形布状のキャンセル電極30が設けられており、キャンセル電極30は、センサ電極24と略同一の構成にされている。キャンセル電極30には、第1糸24Aと第2糸24Bとの交点部分において、第1凸部28(図5(B)参照)が形成されており、第1凸部28は、第1糸24Aと第2糸24Bとの交点においてセンサ22表側(リム部10B径方向外側)に配置される第1糸24A又は第2糸24Bによって形成されて、センサ22の表側に突出されている。
【0031】
センサ電極24の長手方向一側かつ幅方向一側の端部とキャンセル電極30の長手方向一側かつ幅方向一側の端部とは、それぞれ車両の制御装置32(ECU、図4参照)に電気的に接続されている。
【0032】
センサ電極24とキャンセル電極30との間には、絶縁部としての略長尺矩形シート状の絶縁体34が設けられており、絶縁体34の長手方向一側及び幅方向一側は、それぞれセンサ22の長手方向一側及び幅方向一側に向けられている。
【0033】
絶縁体34の表側(リム部10Bの径方向外側)及び裏側(リム部10Bの径方向内側)には、結合材としての層状のホットメルト材36(図5(B)参照)が形成されており、ホットメルト材36は、加熱されて溶融された後に固化されている。
【0034】
絶縁体34の表側では、センサ電極24が溶融されたホットメルト材36に侵入された後に、ホットメルト材36が固化されており、これにより、センサ電極24と絶縁体34とがホットメルト材36によって結合されている。センサ電極24の第1凸部28は、絶縁体34の表側面に接触されており、ホットメルト材36には、第1凸部28によって、貫通孔36Aが形成されている。ホットメルト材36は、薄くされており、ホットメルト材36は、センサ電極24の第1糸24Aと第2糸24Bとの交点における接触部分には配置されていない。
【0035】
絶縁体34の裏側では、キャンセル電極30が溶融されたホットメルト材36に侵入された後に、ホットメルト材36が固化されており、これにより、キャンセル電極30と絶縁体34とがホットメルト材36によって結合されている。キャンセル電極30の第1凸部28は、絶縁体34の裏側面に接触されており、ホットメルト材36には、第1凸部28によって、貫通孔36Aが形成されている。ホットメルト材36は、薄くされており、ホットメルト材36は、キャンセル電極30の第1糸24Aと第2糸24Bとの交点における接触部分には配置されていない。
【0036】
絶縁体34は、樹脂製にされており、絶縁体34は、センサ電極24とキャンセル電極30とを電気的に絶縁している。絶縁体34及び各ホットメルト材36は、全方向において弾性伸張可能にされており、絶縁体34及び各ホットメルト材36は、リム部10Bに組付けられる際に、センサ電極24及びキャンセル電極30と共に長手方向において伸張される。
【0037】
リム部10Bの外周全体には、検出機構20を構成する外周部材としての皮革38が設けられており、皮革38は、センサ22を被覆すると共に、リム部10Bの表側面(径方向外側面)を構成している。
【0038】
次に、本実施形態の作用を説明する。
【0039】
以上の構成のステアリングホイール10では、リム部10Bを乗員が把持して、乗員の手がリム部10Bの皮革38の表側面に接触した際には、制御装置32において、乗員の手とセンサ22のセンサ電極24との間に発生する静電容量が検出されて、乗員のリム部10Bの把持(手の皮革38への接触)が検出される。また、制御装置32によりセンサ22のセンサ電極24とキャンセル電極30とが同電位に制御されている。これにより、センサ電極24とリム芯金12Bとの間に寄生容量が発生することがキャンセル電極30により制限されることで、乗員の手とセンサ電極24との間に発生する静電容量が当該寄生容量により変化することが抑制されて、乗員のリム部10Bの把持の検出精度が低下することが抑制される。
【0040】
また、リム部10B(内部材18の外周)にセンサ22が組付けられる際には、センサ22(センサ電極24、キャンセル電極30、絶縁体34及び一対のホットメルト材36)が、長手方向において伸張される。このため、センサ電極24及びキャンセル電極30において、第1糸24A及び第2糸24Bが互いに反対方向に傾動される。
【0041】
ここで、絶縁体34の表側では、センサ電極24が第1凸部28において絶縁体34に接触されて、ホットメルト材36に貫通孔36Aが形成されると共に、絶縁体34の裏側では、キャンセル電極30が第1凸部28において絶縁体34に接触されて、ホットメルト材36に貫通孔36Aが形成されている。このため、各ホットメルト材36の弾性が絶縁体34の弾性に比し低い場合でも、各ホットメルト材36が貫通孔36Aによって容易に伸張できると共に曲がることができ、センサ22の長手方向への伸張性能及び曲げ性能を高くできる。これにより、センサ22を容易に内部材18の外周に巻付けて組付けることができる。
【0042】
また、センサ電極24及びキャンセル電極30では、ホットメルト材36が第1糸24Aと第2糸24Bとの交点における接触部分に配置されておらず、第1糸24Aと第2糸24Bとが交点においてホットメルト材36によって結合されていない。このため、センサ電極24及びキャンセル電極30が長手方向に伸張される際には、ホットメルト材36が第1糸24Aと第2糸24Bとの交点(接触部分)における相対傾動を制限してセンサ電極24及びキャンセル電極30の長手方向への伸張を制限することを抑制でき、センサ22の長手方向への伸張性能を高くできる。これにより、センサ22を容易に内部材18の外周に巻付けて組付けることができる。
【0043】
[第2実施形態]
図6の(A)及び(B)には、本発明の第2実施形態に係る接触体としてのステアリングホイール50のセンサ22が拡大断面図にて示されている。
【0044】
本実施形態に係るステアリングホイール50は、上記第1実施形態と、ほぼ同様の構成であるが、以下の点で異なる。
【0045】
図6の(A)及び(B)に示す如く、本実施形態に係るステアリングホイール50では、センサ22において、絶縁体34が例えば発泡樹脂製にされて、絶縁体34の表側面及び裏側面に、凸部としての例えば断面三角形状の第2凸部52が多数形成されており、第2凸部52の大きさは、絶縁体34の表側面及び裏側面のそれぞれにおいて、均一にされていない。
【0046】
絶縁体34の表側では、第2凸部52が、絶縁体34の表側(センサ電極24側)に突出されて、センサ電極24の第1凸部28と接触されており、ホットメルト材36には、当該第1凸部28及び第2凸部52によって、貫通孔36Aが形成されている。絶縁体34の裏側では、第2凸部52が絶縁体34の裏側(キャンセル電極30側)に突出されて、キャンセル電極30の第1凸部28と接触されており、ホットメルト材36には、当該第1凸部28及び第2凸部52によって、貫通孔36Aが形成されている。
【0047】
ここで、本実施形態でも、上記第1実施形態と同様の作用及び効果を奏することができる。
【0048】
さらに、絶縁体34の表側では、センサ電極24の第1凸部28と絶縁体34の第2凸部52とが突出されて接触されることで、ホットメルト材36に貫通孔36Aが形成されている。しかも、絶縁体34の裏側では、キャンセル電極30の第1凸部28と絶縁体34の第2凸部52とが突出されて接触されることで、ホットメルト材36に貫通孔36Aが形成されている。このため、絶縁体34の表側及び裏側において、第1凸部28と第2凸部52とが適切に接触でき、ホットメルト材36に貫通孔36Aを適切に形成できる。
【0049】
なお、上記第1実施形態及び第2実施形態では、センサ電極24及びキャンセル電極30において、第1糸24Aと第2糸24Bとの交点における接触部分にホットメルト材36が配置されない。しかしながら、センサ電極24及びキャンセル電極30の少なくとも一方において、第1糸24Aと第2糸24Bとの交点における接触部分にホットメルト材36が配置されてもよい。
【0050】
さらに、上記第1実施形態及び第2実施形態では、センサ電極24及びキャンセル電極30が布状にされる。しかしながら、センサ電極24及びキャンセル電極30の少なくとも一方が金属製のシート状にされてもよく、この場合、センサ電極24及びキャンセル電極30の少なくとも一方の絶縁体34側の面に第1凸部28を形成してもよい。
【0051】
また、上記第1実施形態及び第2実施形態では、センサ22に、絶縁体34の裏側において、キャンセル電極30及びホットメルト材36が設けられる。しかしながら、センサ22に、絶縁体34の裏側において、キャンセル電極30及びホットメルト材36が設けられなくてもよい。これにより、センサ22の長手方向への伸張性能及び曲げ性能を一層高くでき、センサ22を一層容易に内部材18の外周に巻付けて組付けることができると共に、センサ22のコストを低減できる。また、この場合、キャンセル電極30が内部材18の外周に設けられてもよい。
【0052】
さらに、上記第1実施形態及び第2実施形態では、センサ22がステアリングホイール10、50(接触体)に設けられる。しかしながら、センサ22がステアリングホイール10、50以外の接触体(例えば車両のシート)に設けられてもよい。
【符号の説明】
【0053】
10・・・ステアリングホイール(接触体)、20・・・検出機構、22・・・センサ(検出部)、24・・・センサ電極(導電体)、24A・・・第1糸、24B・・・第2糸、28・・・第1凸部(凸部)、30・・・キャンセル電極(導電体)、34・・・絶縁体、36・・・ホットメルト材(結合材)、36A・・・貫通孔、50・・・ステアリングホイール(接触体)、52・・・第2凸部(凸部)
図1
図2
図3
図4
図5
図6