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  • 特許-接続機構及びドア駆動装置 図1
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  • 特許-接続機構及びドア駆動装置 図3B
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  • 特許-接続機構及びドア駆動装置 図5B
  • 特許-接続機構及びドア駆動装置 図6
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-17
(45)【発行日】2024-10-25
(54)【発明の名称】接続機構及びドア駆動装置
(51)【国際特許分類】
   B60J 5/10 20060101AFI20241018BHJP
   F16C 11/06 20060101ALI20241018BHJP
【FI】
B60J5/10 M
B60J5/10 B
F16C11/06 N
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2021161770
(22)【出願日】2021-09-30
(65)【公開番号】P2023051221
(43)【公開日】2023-04-11
【審査請求日】2023-10-13
(73)【特許権者】
【識別番号】390000996
【氏名又は名称】株式会社ハイレックスコーポレーション
(74)【代理人】
【識別番号】110002952
【氏名又は名称】弁理士法人鷲田国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】守谷 洋平
【審査官】池田 晃一
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-223237(JP,A)
【文献】特開2005-319919(JP,A)
【文献】米国特許第05066159(US,A)
【文献】韓国公開特許第10-2019-0119137(KR,A)
【文献】特開2012-225509(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60J 5/10
F16C 11/00 - 11/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
球状のボール部と、
前記ボール部に接続されるシャフトと、
前記シャフトの前記ボール部から一定距離離れた位置に設けられるフランジと、
前記ボール部が嵌合する凹部を有するハウジングと、
前記凹部の開口部を取り囲むように前記ハウジングに形成され、前記フランジの径方向外側面を支持する環状の溝部と、を備える、接続機構。
【請求項2】
前記溝部は、前記シャフトが揺動したときに、前記径方向外側面の形状に合致する形状の支持面を有し、当該支持面により前記径方向外側面を支持する、請求項1に記載の接続機構。
【請求項3】
前記シャフト、前記ボール部、及び前記フランジは、一体になっている、請求項1に記載の接続機構。
【請求項4】
前記ハウジングの表面から突き出て、前記径方向外側面を支持する突部をさらに備える、
請求項1に記載の接続機構。
【請求項5】
前記ボール部と前記フランジとの間の前記シャフトの部分は、前記ハウジングの表面から離れている、
請求項1から4の何れか一項に記載の接続機構。
【請求項6】
球状のボール部と、
前記ボール部に接続されるシャフトと、
前記シャフトの前記ボール部から一定距離離れた位置に設けられるフランジと、
前記ボール部が嵌合する凹部を有するハウジングと、
前記凹部の周囲に設けられ、前記フランジの径方向外側面を支持する突部と、を備え、
前記凹部は、前記ボール部の直径よりも大きい開口部を有し、
前記突部は、前記凹部の中心を通る軸線の延伸方向と略平行な方向に延びる部位を有し、
前記凹部の中心を通る軸線の延伸方向と垂直な仮想面において、前記フランジが前記軸線から遠ざかる方向に移動すると、前記フランジの径方向外側面が前記部位に支持される、接続機構。
【請求項7】
請求項1から6の何れか一項に記載の接続機構を備える、
ドア駆動装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、接続機構及びドア駆動装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、車両のバックドアを駆動する駆動装置が開示されている。特許文献1の装置は、車両の後部に設けられた取付部材に接続されるボールソケットジョイントを備えている。ボールソケットジョイントは、球状のボール部と、ボール部に接続されるシャフトと、シャフトの周囲に設けられているフランジと、ボール部が嵌合するハウジングとを備えている。
【0003】
ボール部は、ハウジングに形成されている凹部に回動自在に嵌合している。フランジは、シャフトの揺動に伴いフランジの外周面に対するシャフトの角度が所定値以上に大きくなることを制限する役割も備えている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特許第6242355号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に開示されている装置では、シャフトに対してハウジングの傾斜が大きくなりフランジがハウジングに接した後、ハウジングの傾斜がさらに大きくなるような力がハウジングに作用すると、フランジとハウジングとの接触点を支点として、シャフトに接続されているボール部に対してハウジングに形成されている凹部が回動する。このとき、フランジとハウジングの接触点はハウジング上を滑り、上記接触点の位置がハウジングの表面に沿って移動すると、ハウジングはボール部から抜ける方向に移動する。このようなことから、ハウジングの傾斜がシャフトに対して大きくなった場合でもボール部からハウジングが抜けることを抑制したいという要望がある。
【0006】
本発明の目的は、ボール部がハウジングから抜けることを抑制することができる接続機構及びドア駆動装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の接続機構は、球状のボール部と、前記ボール部に接続されるシャフトと、前記シャフトの前記ボール部から一定距離離れた位置に設けられるフランジと、前記ボール部が嵌合する凹部を有するハウジングと、前記凹部の開口部を取り囲むように前記ハウジングに形成され、前記フランジの径方向外側面を支持する環状の溝部と、を備える。
本発明の他の接続機構は、球状のボール部と、前記ボール部に接続されるシャフトと、前記シャフトの前記ボール部から一定距離離れた位置に設けられるフランジと、前記ボール部が嵌合する凹部を有するハウジングと、前記凹部の周囲に設けられ、前記フランジの径方向外側面を支持する突部と、を備え、前記凹部は、前記ボール部の直径よりも大きい開口部を有し、前記突部は、前記凹部の中心を通る軸線の延伸方向と略平行な方向に延びる部位を有し、前記凹部の中心を通る軸線の延伸方向と垂直な仮想面において、前記フランジが前記軸線から遠ざかる方向に移動すると、前記フランジの径方向外側面が前記部位に支持される。
【0008】
本発明のドア駆動装置は、上記の接続機構を備える。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、ボール部がハウジングから抜けることを抑制することができる接続機構及びドア駆動装置を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明の実施の形態に係るドア駆動装置10が適用される車両100の斜視図
図2】本発明の実施の形態に係るドア駆動装置10が適用される車両100の側面図
図3A】取付部材50及び接続機構40の斜視図
図3B】取付部材50及び接続機構40の斜視図
図3C】接続機構40の斜視図
図4A】接続機構40の断面図
図4B】溝部42a2の効果を説明するための図
図5A】比較例に係る接続機構40Aの断面図
図5B】比較例に係る接続機構40Aの断面図
図6】接続機構40の変形例を説明するための図
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照して詳細に説明する。
【0012】
図1は本発明の実施の形態に係るドア駆動装置10が適用される車両100の斜視図、図2は本発明の実施の形態に係るドア駆動装置10が適用される車両100の側面図である。
【0013】
(車両100)
車両100は、車両100の後部に形成されている開口部を開状態、又は閉状態にするドア1と、ドア1を駆動する1又は複数のドア駆動装置10とを備えている。開状態は、ドア1によって車両100の開口部が開放された状態であり、開口部を介して、荷物などを車両100に出し入れできる状態である。閉状態は、ドア1によって車両100の開口部が閉塞された状態である。
【0014】
(ドア1)
ドア1は、例えば車両100のテールゲートである。なおドア1は、車両100のテールゲートに限定されず、車両100用のフロントフード、跳ね上げ式乗降用ドアなどでもよい。ドア1は、車両本体101に、不図示のヒンジを介して、回転可能に取り付けられている。
【0015】
(ドア駆動装置10)
ドア駆動装置10は、不図示のドア駆動制御装置によって駆動されるモータを備えており、当該モータの回転運動を直線運動に変換することによりドア1を駆動する。
【0016】
図2に示すように、ドア駆動装置10は、円筒形状の駆動本体部20と、駆動本体部20に収容され駆動本体部20の延伸方向に進退移動する進退部30と、駆動本体部20と進退部30のそれぞれに設けられている接続機構40とを備えている。
【0017】
(接続機構40)
接続機構40は、車両本体101に駆動本体部20を回転自在に接続するとともに、ドア1に進退部30を回転自在に接続するボールジョイントである。接続機構40は、取付部材50を介して、車両本体101又はドア1の縁部に接続されている。
【0018】
次に図3A図3B図3C、及び図4Aを参照して、取付部材50及び接続機構40の構成例について説明する。図3A及び図3Bは取付部材50及び接続機構40の斜視図、図3Cは接続機構40の斜視図、図4Aは接続機構40の断面図である。なお、本実施の形態では、ハウジング42が取付部材50に固定され、ボールスタッド41がハウジング42に対して摺動しながら回転自在に支持されている場合について説明するが、ボールスタッド41が取付部材50に固定され、ハウジング42がボールスタッド41に対して摺動しながら回転自在に支持されている場合も本実施の形態に含まれる。
【0019】
接続機構40は、ボールスタッド41と、図2に示す駆動本体部20及び進退部30に接続されるハウジング42とを備えている。接続機構40はボールジョイントの一例である。接続機構40では、ボールスタッド41がハウジング42のソケット42aに嵌め合わされることによって、ボールスタッド41がハウジング42に摺動しながら回転自在に支持される。
【0020】
ボールスタッド41は、取付部材50に固定されているシャフト41aと、シャフト41aを取付部材50に固定する固定部材41bと、シャフト41aの固定部材41b側とは反対側の端部に設けられている球状のボール部41cと、シャフト41aの外周面に設けられているフランジ41dとを備えている。
【0021】
取付部材50は、剛性が高い金属板をL字状に加工した部材である。取付部材50は、図1に示す車両本体101又はドア1に固定される第1固定部51と、接続機構40が固定される第2固定部52とを備えている。
【0022】
第1固定部51には複数の孔51aが形成されている。これらの孔51aに不図示のネジが挿入されることにより、取付部材50は車両本体101又はドア1にネジ止めされる。
【0023】
(シャフト41a)
図3Aに示すシャフト41aは、剛性が高い金属を柱状に加工した部材である。シャフト41aの第1端部41a1にボール部41cが接続されている。シャフト41aの第1端部41a1とは反対側の第2端部41a2に固定部材41bが接続されている。
【0024】
(固定部材41b)
固定部材41bは、シャフト41aを取付部材50に固定する。固定部材41bは、取付部材50の第2固定部52に形成されている不図示の孔に挿入されたシャフト41aの第2端部41a2がカシメ加工された部分である。なお、取付部材50へのシャフト41aの固定方法は、カシメ加工に限定されず、例えば、ネジ止め、溶接などでもよい。
【0025】
(ボール部41c)
図4Aに示すボール部41cは、シャフト41aの第1端部41a1に接続されている。ボール部41cの直径はシャフト41aの直径よりも大きく、ソケット42aの凹部42a1を形成している壁面の内径と略等しい。
【0026】
(フランジ41d)
フランジ41dは、ハウジング42の溝部42a2に接触することにより、ハウジング42の上面42bの鉛直方向に対するシャフト41aの角度を一定範囲内に制限する部材である。溝部42a2の詳細は後述する。
【0027】
フランジ41dは、シャフト41aの外周面を取り囲むように環状に形成されている。
フランジ41dは、ボール部41cから一定距離離れた位置、例えばシャフト41aの第1端部41a1から第2端部41a2までの中間部分に設けられている。
【0028】
なお、シャフト41a、ボール部41c、及びフランジ41dは、ダイキャスト成形、切削加工などによって一体で製造されたものでもよいし、それぞれが個別に製造された後に溶接などで接合されたものでもよい。
【0029】
(ハウジング42)
ハウジング42は、ボールスタッド41が嵌合するソケット42aと、クリップ42dと、図2に示す駆動本体部20又は進退部30に接続機構40を接続する接続部42eとを備えている。
【0030】
(ソケット42a)
ソケット42aは、ボール部41cが嵌合する凹部42a1と、溝部42a2とを備えている。
【0031】
(凹部42a1)
凹部42a1は、ハウジング42が摺動することによってボール部41cと回転自在に嵌合可能な形状の窪みである。凹部42a1を形成している壁面は、ボール部41cの外周面と同様に湾曲しており、凹部42a1の内径はボール部41cの直径と略等しい。
【0032】
(クリップ42d)
クリップ42dは、凹部42a1に嵌め込まれているボール部41cを挟み込むU字状の弾性部材である。クリップ42dを設けることにより、ハウジング42の外部から凹部42a1に嵌め込まれているボール部41cが、凹部42a1の中心を通る軸線と並行な方向にハウジング42から抜けることを防止できる。
【0033】
クリップ42dの曲げ強度は例えば700N~800Nである。なお、ハウジング42の圧縮強度は例えば5000N~6000Nである。
【0034】
なお、本実施の形態に係る接続機構40は、U字状のクリップ42dを備えているが、当該クリップ42dに代えて、ボール部41cがハウジング42から抜けることを防止する機構を備えていてもよい。
【0035】
(溝部42a2)
溝部42a2は、凹部42a1の開口部(入口部分)を取り囲む環状の溝である。溝部42a2は、フランジ41dの外周面を支持する。具体的には、フランジ41dの外周面の内、シャフト41aの延伸方向における軸方向端面41d2は、溝部42a2の底面2(図3C参照)に接する。フランジ41dの外周面の内、シャフト41aの延伸方向と直交する方向における径方向外側面41d1は、溝部42a2の側面3(図3C参照)に接する。なお、溝部42a2によって、シャフト41aの揺動可能角度を大きくすることができる。
【0036】
(溝部42a2の側面3)
溝部42a2の側面3は、底面2に対して垂直又は略垂直に設けられている壁であり、フランジ41dがハウジング42の上面42bをスライドして移動することを防止する。溝部42a2の側面3は、フランジ41dの径方向外側面41d1の形状に合致する形状の支持面であり、当該支持面によりフランジ41dの径方向外側面41d1が支持される。
【0037】
(隙間4)
フランジ41dの径方向外側面41d1が溝部42a2に接した状態であっても、シャフト41aと凹部42a1の開口部を形成している壁面との間には、隙間4が形成される(図4A参照)。これにより、ボールスタッド41がハウジング42に対して反時計周り方向に回転した場合、シャフト41aが凹部42a1の壁面に非接触の状態で、フランジ41dの径方向外側面41d1が溝部42a2の側面3に接触する。
【0038】
(溝部42a2の効果)
図4Bを参照して溝部42a2の効果について説明する。図4Bは溝部42a2の効果を説明するための図である。
【0039】
前述したように、ボールスタッド41がハウジング42に対して反時計周り方向に回転した場合、ハウジング42の上面42bの鉛直方向に対するシャフト41aの角度が大きくなり、フランジ41dが溝部42a2に接触する。
【0040】
この状態で、フランジ41dと溝部42a2との接点を支点P1、またボール部41cと凹部42a1の壁面との接点を作用点P2として、支点P1から一定距離離れた位置にある力点P3に、ハウジング42の上面42bに対するシャフト41aの角度がさらに大きくなるような力F1がシャフト41aに作用すると、支点P1を中心にした回転力F2がボール部41cに作用する。回転力F2は、ボールスタッド41がハウジング42の上面42bに対して反時計周り方向に回転しようとすることで、ハウジング42及びボール部41cに作用する力である。
【0041】
このとき、ハウジング42は方向D1とは逆向きのベクトルを受けることで、ボール部41cは、ハウジング42から方向D1に抜け出ようとする。方向D1は、ボール部41cがハウジング42から抜ける方向であり、凹部42a1の中心を通る軸線の延伸方向に等しい。これにより、フランジ41dには、方向D2にスライドする力が作用点P2に作用する。方向D2は、凹部42a1の中心を通る軸線と垂直な仮想面において、当該軸線から遠ざかる方向である。
【0042】
しかしながら、フランジ41dの径方向外側面41d1は溝部42a2に支持されているため、フランジ41dが方向D2に移動することを防止できる。これにより、フランジ41dと溝部42a2との接点(支点P1)の位置が変化せず、ボール部41cの表面は、作用点P2において、凹部42a1の壁面に強く押し付けられて、ボール部41cの方向D1への移動が抑制される。
【0043】
このように、フランジ41dが溝部42a2に支持されることにより、フランジ41dに対するシャフト41aの移動が抑制されるため、ボール部41cがハウジング42から抜けることを抑制できる。
【0044】
また、ボール部41cの方向D1への移動が抑制されることにより、クリップ42dに発生する曲げ応力の増加を抑制できる。これによりクリップ42dが塑性変形することを防止できる。また、クリップ42dの寿命を延ばすことができるため、接続機構40のメンテナンスコストを大幅に低減することができる。
【0045】
なお、ハウジング42の強度はクリップ42dの強度に比べて大きいため、作用点P2においてボール部41cが凹部42a1の壁面に強く押し付けられたとしても、ハウジング42が塑性変形する心配はない。
【0046】
図5A及び図5Bは比較例に係る接続機構40Aの断面図である。比較例に係る接続機構40Aは、ハウジング42の上面42bが平らに形成されており、図4Aに示す溝部42a2を備えていない。
【0047】
接続機構40Aにおいて、ボールスタッド41がハウジング42に対して反時計周り方向に回転した場合、フランジ41dがハウジング42の上面42bに接触する。この状態で、シャフト41aの角度がさらに大きくなるような力F1が力点P3に作用すると、支点P1を中心にした回転力F2がボール部41cに作用する。
【0048】
このとき、ボール部41cは方向D1に抜け出ようとして、ボール部41cの表面が凹部42a1の壁面を滑り、作用点P2の位置が変化する。これは、ハウジング42に支持されていないフランジ41dが、ハウジング42の上面42bを移動することにより、ボールスタッド41が凹部42a1の底面から浮き上がるためである。
【0049】
このように、力F1が作用することによってボールスタッド41が凹部42a1から浮き上がると、クリップ42dに発生する曲げ応力が増加し、クリップ42dの負担が大きくなる。その結果、クリップ42dが変形してボール部41cを保持できなくなると、ボール部41cがハウジング42から抜ける場合がある。
【0050】
なお、図4Aに示す接続機構40は、フランジ41dの径方向外側面41d1を支持する支持部の一例である溝部42a2を備えているが、以下のように構成してもよい。図6は接続機構40の変形例を説明するための図である。
【0051】
(突部43)
変形例に係る接続機構40-1は、ソケット42aの上面42bから突き出てフランジ41dの径方向外側面41d1を支持する突部43を備えている。突部43は、本開示の支持部の一例である。
【0052】
突部43は、凹部42a1の周囲を取り囲むように環状に形成された部材である。突部43の高さは、例えば環状のフランジ41dの中心軸方向における高さ(厚み)よりも高い。突部43及びハウジング42は、ダイキャスト成形、切削加工などによって一体で製造されたものでもよいし、それぞれが個別に製造された後に溶接などで接合されたものでもよい。
【0053】
なお、突部43は、環状に形成された部材に限定されず、所定距離離れて環状に配列される複数の突起で構成されてもよい。
【0054】
このように、変形例に係る接続機構40-1は、突部43を備えることにより、前述した効果を得ることができる。また、既存のハウジング42に突部43を後付けすることもできるため、ハウジング42を加工することなく、フランジ41dの支持構造を設けることができる。
【0055】
なお、本開示の支持部は、溝部42a2と突部43を組み合わせたものでもよい。溝部42a2と突部43を組み合わせることにより、フランジ41dから受ける応力が溝部42a2と突部43に分散される。このため、シャフト41aの角度がさらに大きくなるような力F1が加えられた場合でも、突部43又は溝部42a2の変形が抑制され、接続機構40及び接続機構40-1の耐久性を高めることができる。
【0056】
なお、本実施の形態では、接続機構40及び接続機構40-1をドア1に適用した例について説明したが、接続機構40及び接続機構40-1は、ドア1以外にも、ステアリング、サスペンションなどにも適用可能である。
【0057】
なお、例えば、以下のような態様も本開示の技術的範囲に属するものと了解される。
【0058】
(1)本開示の接続機構は、球状のボール部と、前記ボール部に接続されるシャフトと、前記シャフトの前記ボール部から一定距離離れた位置に設けられるフランジと、前記ボール部が嵌合する凹部を有するソケットと、前記凹部の周囲に設けられ前記フランジの径方向外側面を支持する支持部と、を備える。
【0059】
(2)前記支持部は、前記径方向外側面の形状に合致する形状の支持面を有し、当該支持面により前記径方向外側面を支持する。
【0060】
(3)前記支持部は、前記支持面に隣接して設けられ前記ソケットの表面から突き出て、前記径方向外側面を支持する突部をさらに備える。
【0061】
(4)前記支持部は、前記ソケットの表面から突き出て、前記径方向外側面を支持する突部をさらに備える。
【0062】
(5)前記支持部は、前記突部に隣接して設けられ前記径方向外側面の形状に合致する形状の支持面を有し、当該支持面により前記径方向外側面を支持する。
【0063】
(6)前記ボール部と前記フランジとの間の前記シャフトの部分は、前記ソケットの表面から離れている。
【0064】
(7)本開示のドア駆動装置は、上記の接続機構を備える。
【0065】
今回開示された実施の形態は全ての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等などの意味及び範囲内での全ての変更が含まれることが意図される。
【0066】
以上、本発明の実施の形態について説明した。なお、以上の説明は本発明の好適な実施の形態の例証であり、本発明の範囲はこれに限定されない。つまり、上記装置の構成や各部分の形状についての説明は一例であり、本発明の範囲においてこれらの例に対する様々な変更や追加が可能であることは明らかである。
【産業上の利用可能性】
【0067】
本発明に係る接続機構及びドア駆動装置は、ボール部がハウジングから抜けることを抑制できる構造として有用である。
【符号の説明】
【0068】
1 ドア
2 底面
3 側面
4 隙間
10 ドア駆動装置
20 駆動本体部
30 進退部
40 接続機構
40-1 接続機構
40A 接続機構
41 ボールスタッド
41a シャフト
41a1 第1端部
41a2 第2端部
41b 固定部材
41c ボール部
41d フランジ
41d1 径方向外側面
41d2 軸方向端面
42 ハウジング
42a ソケット
42a1 凹部
42a2 溝部
42b 上面
42d クリップ
42e 接続部
43 突部
50 取付部材
51 第1固定部
51a 孔
52 第2固定部
100 車両
101 車両本体
D1 方向
D2 方向
F1 力
F2 回転力
P1 支点
P2 作用点
P3 力点
図1
図2
図3A
図3B
図3C
図4A
図4B
図5A
図5B
図6