(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-17
(45)【発行日】2024-10-25
(54)【発明の名称】ウェブの溶着システムおよび溶着方法
(51)【国際特許分類】
A61F 13/15 20060101AFI20241018BHJP
B29C 65/08 20060101ALI20241018BHJP
【FI】
A61F13/15 355B
B29C65/08
(21)【出願番号】P 2021522182
(86)(22)【出願日】2020-05-12
(86)【国際出願番号】 JP2020018973
(87)【国際公開番号】W WO2020241245
(87)【国際公開日】2020-12-03
【審査請求日】2023-03-16
(31)【優先権主張番号】P 2019097469
(32)【優先日】2019-05-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】591040708
【氏名又は名称】株式会社瑞光
(74)【代理人】
【識別番号】110000202
【氏名又は名称】弁理士法人新樹グローバル・アイピー
(72)【発明者】
【氏名】有馬 卓志
【審査官】嘉村 泰光
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2005/080065(WO,A1)
【文献】国際公開第2014/097636(WO,A1)
【文献】特開2007-177384(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61F 13/15
B29C 65/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のウェブを重ね合わせた状態のワークWを搬送する搬送装置3と、
回転軸周りにおいて外周の一部にアンビル11,12を有するアンビルローラ10であって、前記アンビル11,12は、前記アンビルローラ10の回転に伴い、搬送中の前記ワークWの第1面W1に間欠的に接す
るアンビルローラ10と、
前記ワークWの第2面W2に対峙して、前記アンビル11,12と協働して前記ワークWに振動エネルギーを印加して前記複数のウェブ同士を間欠的に互いに溶着する超音波ホーン21,22と、
前記溶着の際に前記ホーン21,22とアンビル11,12との間に供給される前記ワ
ークWの搬送速度を低下させる変速装置4と、
前記溶着の際に前記ワークWの第1面W1を前記アンビル11,12に押し付ける押付装置5と、を備え、
前記押付装置5は、
前記ワークWの搬送方向の上流に配置され前記第2面W2に接する第1押付ローラ51と、
前記ワークWの搬送方向の下流に配置され前記第2面W2に接する第2押付ローラ52とを備え、
前記第1押付ローラ51と前記第2押付ローラ52との間に前記ホーン21,22が配置されており、
前記アンビルローラ10が回転して、前記アンビル11,12が
間欠的に前記ホーン21,22に前記ワークWを介して対峙する際に、前記アンビル11,12が前記第1および第2押付ローラ51,52よりも前記ホーン側に突出することで、前記第1押付ローラ51と前記第2押付ローラ52との間の前記ワークWの第1面W1が前記アンビル11,12に押し付けられ、前記ワークWに張力が付与される、
ウェブの溶着システム。
【請求項2】
請求項1において、
前記ワークWが前記第1押付ローラ51に接する第1ポイントP1から前記ワークWが前記第2押付ローラ52に接する第2ポイントP2までの間において、前記アンビル11,12が前記ワークWに接することで、前記押付装置5が前記ワークWの第1面W1を前記アンビル11,12に押し付ける、ウェブの溶着システム。
【請求項3】
請求項1又は2において、前記アンビルローラ10の周囲に前記ホーン21,22を一対備え、前記アンビルローラ10は前記一対のホーン21,22に対応するように前記アンビル11,12を複数備え、
前記搬送装置3は一方のホーンで溶着された前記ワークWが他方のホーンで溶着されるように前記ワークWを搬送する反転ローラR3を更に備える、ウェブの溶着システム。
【請求項4】
請求項3において、前記反転ローラR3との間で前記ワークWを挟みながら前記ワークWを搬送する1つのベルトB1を備える、ウェブの溶着システム。
【請求項5】
請求項4において、前記変速装置4は、
前記ワークWを上流から受け取り前記アンビルローラ10に供給する第1ダンサローラR1と、
前記ワークWを前記アンビルローラ10から受け取り下流に搬送する第2ダンサローラR2と、
前記第1および第2ダンサローラR1,R2との間で前記ワークWを挟みながら前記ワークWを搬送する別のベルトとB2を備える、ウェブの溶着システム。
【請求項6】
請求項1のウェブの溶着システムを用いたウェブの溶着方法であって、
前記ワークWを前記変速装置4で変速しながら前記ホーン21,22と前記アンビル11,12との間に供給する工程と、
前記ワークWの搬送速度が低下した時に前記ホーン21,22が前記アンビル11,12との間において前記複数のウェブを互いに溶着する工程と、
前記溶着の際に、前記押付装置5が前記ワークWの第1面W1を前記アンビル11,12に押し付ける工程とを備える、ウェブの溶着方法。
【請求項7】
請求項6において、
前記アンビルローラ10が回転して、前記アンビル11,12が前記ホーン21,22に前記ワークWを介して対峙する際に前記アンビル11,12が前記第1および第2押付ローラ51,52よりも前記ホーン側に突出することで、前記第1押付ローラ51と前記第2押付ローラ52との間の前記ワークWに張力が付与されて、前記ワークWの第1面W1が前記アンビル11,12に押し付けられる工程が実行される、ウェブの溶着方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、主として着用物品のウェブの溶着システムおよび溶着方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
複数のウェブを個々の使い捨てパンツの単位ごとにシール(溶着)するために超音波ホーンとアンビルを各々一対設けた溶着システムは公知である(特許文献1~3)。
前記先行技術では、複数のウェブを重ね合わせた状態で搬送し、超音波装置のホーンとアンビルローラとの間を通過させるとともに、アンビルローラの外周に形成したアンビルとホーンとで複数のウェブを間欠的に挟み込んで、複数のウェブ同士を間欠的に互いに溶着している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】WO 05/005296 A1(フロントページ)
【文献】WO 05/080065 A1(フロントページ)
【文献】WO 14/077152 A1(フロントページ)
【発明の概要】
【0004】
この先行技術は、ウェブの溶着時に、溶着時間を十分にとるため、ウェブの搬送速度を遅くするように周期的に変速させている。
【0005】
しかし、前記変速により、ウェブにばたつきや、ウェブに伸縮が生じるのは避けられない。特に、着用物品の場合、吸収性コアの部分が厚肉で、偏肉であるため、前記ばたつきが生じ易い。ウェブが溶着しにくい材質である場合、変速時のウェブのばたつきや、ウェブの伸縮により、溶着不良が生じやすい。
【0006】
したがって、本発明の目的は溶着不良が生じにくいウェブの溶着システムおよび溶着方法を提供することである。
【0007】
本発明のウェブの溶着システムは、複数のウェブを重ね合わせた状態のワークWを搬送する搬送装置3と、
搬送中の前記ワークWの第1面W1に間欠的に接するアンビル11,12を有するアンビルローラ10と、
前記ワークWの第2面W2に対峙して、前記アンビル11,12と協働して前記ワークWに振動エネルギーを印加して前記複数のウェブ同士を間欠的に互いに溶着する超音波ホーン21,22と、
前記溶着の際に前記ホーン21,22とアンビル11,12との間に供給される前記ワークWの搬送速度を低下させる変速装置4と、
前記溶着の際に前記ワークWの第1面W1を前記アンビル11,12に押し付ける押付装置5とを備える。
【0008】
前記溶着システムを用いたウェブの溶着方法は、前記ワークWを前記変速装置4で変速しながら前記ホーン21,22と前記アンビル11,12との間に供給する工程と、
前記ワークWの搬送速度が低下した時に前記ホーン21,22が前記アンビル11,12との間において前記複数のウェブを互いに溶着する工程と、
前記溶着の際に、前記押付装置5が前記ワークWの第1面W1を前記アンビル11,12に押し付ける工程とを備える。
【0009】
本発明によれば、押付装置により、ワークがアンビルに押し付けられ、そのため、ワークのばたつきや伸縮の影響を小さくでき、溶着不良を低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】
図1Aは本発明の一実施例にかかる溶着時の溶着システムを示す概略構成図、
図1Bはアンビルローラの拡大図である。
【
図2】
図2は非溶着時の溶着システムを示す概略構成図である。
【
図3】
図3は個々の製品に切り放す前のワークの一例を示す概略正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
好ましいシステムでは、前記押付装置5は、
前記ワークWの搬送方向の上流に配置され前記第2面W2に接する第1押付ローラ51と、
前記ワークWの搬送方向の下流に配置され前記第2面W2に接する第2押付ローラ52とを備え、
前記第1押付ローラ51と前記第2押付ローラ52との間に前記ホーン21,22が配置されている。
【0012】
この場合、第1押付ローラと第2押付ローラとの間の位置までアンビルが回転した時に、2つの押付ローラでワークがアンビルに押され、ホーンがアンビルとの間でウェブを溶着する。そのため、溶着時にワークのばたつきや伸縮が生じにくい。
【0013】
更に好ましいシステムでは、前記ワークWが前記第1押付ローラ51に接する第1ポイントP1から前記ワークWが前記第2押付ローラ52に接する第2ポイントP2までの間において、前記アンビル11,12が前記ワークWに接することで、前記押付装置5が前記ワークWの第1面W1を前記アンビル11,12に押し付ける。
【0014】
この場合、第1ポイントと第2ポイントの間において、アンビルがワークに接してワークに押し付けられた状態でホーンがアンビルとの間でワークを溶着する。
【0015】
好ましいシステムにおいては、前記アンビルローラ10の周囲に前記ホーン21,22を一対備え、前記アンビルローラ10は前記一対のホーン21,22に対応するように前記アンビル11,12を複数備え、
前記搬送装置3は一方のホーンで溶着された前記ワークWが他方のホーンで溶着されるように前記ワークWを搬送する反転ローラR3を更に備え、
前記反転ローラR3との間で前記ワークWを挟みながら前記ワークWを搬送する1つのベルトB1を備える。
【0016】
この場合、反転ロールとの間でベルトがワークを挟むことで、反転ロールの表面において、ワークのばたつきを小さくすることができる。
【0017】
更に好ましいシステムにおいては、前記変速装置4は、
前記ワークWを上流から受け取り前記アンビルローラ10に供給する第1ダンサローラR1と、
前記ワークWを前記アンビルローラ10から受け取り下流に搬送する第2ダンサローラR2と、
前記第1および第2ダンサローラR1,R2との間で前記ワークWを挟みながら前記ワークWを搬送する別のベルトB2とを備える。
【0018】
この場合、第1および第2ダンサローラR1,R2との間でベルトがワークを挟むことで、ダンサローラの表面において、ワークのばたつきを小さくすることができる。
【0019】
好ましい溶着方法においては、前記押付装置5は、
前記ホーン21,22の上流および下流において前記ワークWに接する第1および第2押付ローラ51,52を備え、
前記アンビルローラ10が回転して、前記アンビル11,12が前記ホーン21,22に前記ワークWを介して対峙する際に前記アンビル11,12が前記第1および第2押付ローラ51,52よりも前記ホーン側に突出することで、前記第1押付ローラ51と前記第2押付ローラ52との間の前記ワークWに張力が付与されて、前記ワークWの第1面W1が前記アンビル11,12に押し付けられる工程が実行される。
【0020】
このように、第1押付ローラと第2押付ローラとの間において張力が付与されたワークにアンビルが接することで、押付装置の構造が複雑にならない。
【0021】
1つの前記各実施態様または下記の実施例に関連して説明および/または図示した特徴は、1つまたはそれ以上の他の実施態様または他の実施例において同一または類似な形で、および/または他の実施態様または実施例の特徴と組み合わせて、または、その代わりに利用することができる。
【実施例】
【0022】
本発明は、添付の図面を参考にした以下の好適な実施例の説明からより明瞭に理解されるであろう。しかしながら、実施例および図面は単なる図示および説明のためのものであり、本発明の範囲を定めるために利用されるべきものではない。本発明の範囲は請求の範囲によってのみ定まる。添付図面において、複数の図面における同一の部品番号は、同一または相当部分を示す。
【0023】
以下、本発明の一実施例を図面に従って説明する。
以下の説明では、まず、本発明の溶着システムの概要について説明し、その後に、前記溶着システムに設けられた変速装置4について説明する。
【0024】
本システムは、
図3の互いに重ねられた複数枚のウェブNを含む着用物品のようなワークWを搬送する
図1Aの搬送装置3と搬送中のウェブN同士を互いに溶着する一対の超音波溶着装置1,2を有する。
【0025】
図1Aにおいて、各超音波溶着装置1,2は、一対のアンビル11,12を有するアンビルローラ10と、一対のアンビル11,12と協働してワークWに振動エネルギーを印加する第1および第2の超音波ホーン21,22と、超音波ホーン21,22に各々超音波振動を発生させる一対のソニック装置20,20とを備える。アンビル11,12はワークWの第1面W1に間欠的に接する。
【0026】
前記ホーン21,22には周波数の高い機械的振動が負荷されて、前記ホーン21,22とアンビル11,12との間を通過する複数枚のウェブ同士を摩擦熱で互いに溶着する。前記ホーン21,22はワークWの第2面W2に対峙してアンビル11,12と協働してワークWに振動エネルギーを印加して複数のウェブを互いに溶着する。
超音波ホーン21,22としては、たとえば、特表平10-513128号に記載の超音波ホーンが用いられてもよい。
【0027】
ワークWは、互いに溶着が必要な複数枚の熱可塑性のウェブが重ねられて、形成されている。また、ソニック装置20,20によってシールされる
図3のワークWの溶着領域Sは、たとえば、使い捨てパンツ(着用物品の一例)のような製品の端部である。
【0028】
図1Bの前記一対のアンビル11,12は、前記アンビルローラ10の軸線(アンビル11の回転中心Oに沿って延びる線)に対して互い対称に設けられている。すなわち、一対のアンビル11,12は、アンビルローラ10に180°のピッチで設けられている。一対のアンビル11,12のうちのいずれか一方が第1の超音波ホーン21に対向し、同時に、一対のアンビル11,12のうちの他方が第2の超音波ホーン22に対向することが可能なように、一対の超音波ホーン21,22は配置されている。
【0029】
一対のアンビル11,12のうちの各々が、第1または第2の超音波ホーン21,22に対向した状態で、一対の超音波ホーン21,22がワークWに振動エネルギーを同時に印加する。したがって、2箇所において同時にワークW(ウェブ同士)の溶着がなされる。
【0030】
図1Aおよび
図1Bにおいて搬送装置3は、アンビルローラ10と第1の超音波ホーン21との間の第1間隙Δ1をワークWが通過した後に、アンビルローラ10と前記第2の超音波ホーン21との間の第2間隙Δ2をワークWが通過するように、ワークWを搬送する。搬送装置3は、反転ローラR3および後に詳述する変速装置4などを備えている。第1間隙Δ1(
図1B)を通過したワークWは、反転ローラR3の外周面に沿って流れた後、第2間隙Δ2(
図1B)に搬送される。
【0031】
変速装置4は、第1および第2ダンサローラR1,R2と、駆動ローラ4Rとを備えている。第1ダンサローラR1は上流から流入するワークWを受け取ると共第1間隙Δ1(
図1B)に向ってワークWを排出する。第2ダンサローラR2は第2間隙Δ2(
図1B)から排出されたワークWを受け取ると共に下流に向ってワークWを排出する。
【0032】
変速装置4は、第1および第2ダンサローラR1,R2を仮想線および実線で示すように往復移動(揺動)させる。駆動ローラR4は第1および第2ダンサローラR1,R2を互いに同じ回転速度(周速度)で回転させる。
【0033】
第1ダンサローラR1の上流には、第1ガイドローラG1が回転可能に設けられている。第2ダンサローラR2の下流には、第2ガイドローラG2が回転可能に設けられている。第1ガイドローラG1は、第1ダンサローラR1に向って流れるワークWを案内する。一方、第2ガイドローラG2は第2ダンサローラR2から流れ出るワークWを案内する。両ダンサローラR1,R2の間の上方の位置には、駆動ローラR4が配置されている。前記5つのローラR1,R2,G1,G2,R4は駆動ローラR4の回転駆動により、図示しないタイミングベルトを介して互いに同期して回転する。
【0034】
なお、前記5つのローラの駆動装置はWO 2005/080065 A1に開示されており、ここに、その記述の全てが組み込まれる。
【0035】
変速装置4は、ワークWの高速搬送および低速搬送を交互に繰り返し行う。前記高速搬送において、ダンサローラR1,R2間のワークWの移動速度は、第1ダンサローラR1に流入するワークWの速度Vよりも大きい。一方、前記低速搬送において、ダンサローラR1,R2間の前記ワークWの移動速度は、前記速度Vよりも小さい。
【0036】
すなわち、
図2の高速搬送においては、矢印D1で示すように、第1ダンサローラR1がアンビルローラ10に近づき、同時に、第2ダンサローラR2がアンビルローラ10から遠ざかるように両ダンサローラR1,R2を移動させることで、両ダンサローラR1,R2間においてワークWが高速で搬送される。
【0037】
一方、
図1Aの前記低速搬送においては、矢印D2で示すように、第1ダンサローラR1がアンビルローラ10から遠ざかり、同時に、第2ダンサローラR2がアンビルローラ10に近づくように両ダンサローラR1,R2が移動されることで、両ダンサローラR1,R2間においてワークWが低速で搬送される。
【0038】
こうして、
図1Aのアンビル11,12が、それぞれ、第1および第2の超音波ホーン21,22に対向している状態である場合に、第1ダンサローラR1と第2ダンサローラR2との間のワークWの速度が、第1ダンサローラR1に流入するワークWの速度Vよりも小さくなるように制御されると共に、超音波エネルギーによる溶着がなされる。
【0039】
このように、ホーン21,22が振動エネルギーをワークWに印加する際に、ホーン21,22とアンビル11,12の間を通過するワークWの速度が小さいので、振動エネルギーを受ける時間が長くなるから、単位面積あたりのワークWの受けるエネルギーが大きくなる。従って、溶着の信頼性が高まる。
【0040】
本溶着システムは溶着の際にワークWの第1面W1をアンビル11,12に押し付ける押付装置5を備える。押付装置5は、ワークWの搬送方向の上流に配置され第2面W2に接する第1押付ローラ51と、ワークWの搬送方向の下流に配置され第2面W2に接する第2押付ローラ52とを備える。第1押付ローラ51と第2押付ローラ52との間には前記ホーン21,22が配置されている。
【0041】
図1Bにおいて、ワークWが第1押付ローラ51に接する第1ポイントP1からワークWが第2押付ローラ52に接する第2ポイントP2までの間において、アンビル11,12がワークWに接することで、押付装置5はワークWの第1面W1をアンビル11,12に押し付ける。
【0042】
図1Bにおいて、アンビル11,12は二点鎖線で軌道を示すように、前記回転中心Oを中心に回転する。各押付ローラ51,52は前記二点鎖線の軌道の外側に近接して配置されている。
【0043】
図1Aの本システムは第1ベルトB1および第2ベルトB2を更に備える。第1ベルトB1は複数の案内ローラRに案内されたエンドレスのベルトで、反転ローラR3との間でワークWを挟みながらワークWを搬送する。第2ベルトB2は複数の案内ローラRに案内されたエンドレスのベルトで、第1および第2ダンサローラR1,R2との間でワークWを挟みながらワークWを搬送する。
【0044】
つぎに、本システムの制御が説明される。
両ダンサローラR1,R2が矢印D1,D2方向に往復移動(揺動)を繰り返すことにより、前記高速搬送と前記低速搬送とが繰り返し行われる。
【0045】
図1Aにおいて、一対のアンビル11,12の各々が第1または第2の超音波ホーン21,22に対向しているときに、一対の超音波ホーン21,22がワークWに振動エネルギーを印加するようにソニック装置20が制御されて、ワークWの溶着が行われる。
【0046】
一方、駆動ローラR4の周速度と反転ローラR3の周速度は互いに同一となるように駆動ローラR4および反転ローラR3が互いに同期して変速される。また、ワークWの溶着時において、アンビルローラ10の周速度が駆動ローラR4の周速度と同一となるように、駆動ローラR4およびアンビルローラ10が周期変速される。こうして、ダンサローラR1,R2の移動に合わせて、第1駆動ローラR4および反転ローラR3の周速度や、ワークWの溶着時のアンビルローラ10の周速度と、第1ダンサローラR1と第2ダンサローラR2との間のワークWの搬送速度とが等しくなるように制御される。
【0047】
つぎに、本システムの動作が説明される。
図1AのワークWは、概ね一定の速度Vで第1ガイドローラG1から第1ダンサローラR1の外周面に沿って流れた後、第1および第2間隙Δ1,Δ2を経由して、第2ダンサローラR2の外周面に沿って流れ、その後、概ね一定の速度Vで第2ガイドローラG2に沿って搬送される。第1ダンサローラR1から第2ダンサローラR2の間のワークWは変速装置4で変速されながら、前記ホーンとアンビルとの間の間隙Δ1,Δ2(
図1B)に供給される。
【0048】
すなわち、
図1Aのように、第1ダンサローラR1と第1間隙Δ1(
図1B)との間のワークWの長さが大きくなるように第1ダンサローラR1が矢印D2方向へ移動すると共に、第2ダンサローラR2と第2間隙Δ2(
図1B)との間のワークWの長さが小さくなるように第2ダンサローラR2が矢印D2方向へ移動する。これにより、第1ダンサローラR1と第2ダンサローラR2との間のワークWの速度が、第1ダンサローラR1に流入するワークWの速度Vよりも小さくなる。
【0049】
ワークWが低速で搬送されているときに、アンビルローラ10のアンビル11,12が超音波ホーン21,22に対向し、ソニック装置20が作動して、
図3のワークWにおける互いに隣接する溶着領域Sが同時に溶着(シール)される。
【0050】
図2のように、第1ダンサローラR1と第1間隙Δ1(
図1B)との間のワーWの長さが小さくなるように第1ダンサローラR1が矢印D1方向へ移動すると共に、第2ダンサローラR2と第2間隙2(
図1B)との間のワークWの長さが大きくなるように第2ダンサローラR2が矢印D1方向へ移動する。これにより、第1ダンサーローラR1と第2ダンサローラR2との間のワークWの速度が、第1ダンサローラR1に流入するワークWの速度よりも大きくなる。
【0051】
図1Aおよび
図1Bの前記溶着の際に、押付装置5がワークWの第1面W1をアンビル11,12に押し付ける。
すなわち、アンビルローラ10が回転して、アンビル11,12が前記ホーンにワークWを介して対峙する際にアンビル11,12が第1および第2押付ローラ51,52よりも前記ホーン側に突出することで、第1押付ローラ51と第2押付ローラ52との間のワークWに張力が付与されて、ワークWの第1面W1が前記アンビル11,12に押し付けられる。
【0052】
したがって、ワークWに所期の引張が付与された状態で、ウェブN(
図3)同士が溶着される。そのため、ワークWがばたつかず、また、ワークWが伸縮しない状態でワークWのウェブN(
図3)同士が溶着され、溶着不良が生じにくい。
【0053】
以上のとおり、図面を参照しながら好適な実施例を説明したが、当業者であれば、本明細書を見て、自明な範囲内で種々の変更および修正を容易に想定するであろう。
たとえば、反転ローラは必ずしも設けられる必要はない。
更に、反転ローラは軸心の位置を微調整することができる手段を介して支持手段に支持されていてもよい。
また、駆動ローラR4はワークWに接している必要はない。
また、ダンサローラは上下ではなく左右に揺動してもよい。
したがって、そのような変更および修正は、請求の範囲から定まる本発明の範囲内のものと解釈される。
【産業上の利用可能性】
【0054】
本発明の溶着システムは、使い捨てパンツ、オムツ、生理用品などの使い捨て着用物品の生産設備に利用されることができる他、医療用の創傷被覆材などの生産設備などに利用されることができる。
【符号の説明】
【0055】
1,2:第1および第2超音波溶着装置 10:アンビルローラ
11,12::第1および第2アンビル 20:ソニック装置
21,22:第1および第2超音波ホーン
3:搬送装置 4:変速装置
51:第1押付ローラ 52:第2押付ローラ
B1,B2:ベルト O:回転中心
P1:第1ポイント P2:第2ポイント
R1:第1ダンサローラ R2:第2ダンサローラ
R3:反転ローラ R4:駆動ローラ
W:ワーク W1:第1面 W2:第2面
Δ1,Δ2:間隙