(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-17
(45)【発行日】2024-10-25
(54)【発明の名称】固体撮像装置及び電子機器
(51)【国際特許分類】
H01L 27/146 20060101AFI20241018BHJP
H04N 25/70 20230101ALI20241018BHJP
H04N 25/61 20230101ALI20241018BHJP
【FI】
H01L27/146 A
H01L27/146 D
H04N25/70
H04N25/61
(21)【出願番号】P 2021550336
(86)(22)【出願日】2020-06-29
(86)【国際出願番号】 JP2020025481
(87)【国際公開番号】W WO2021070431
(87)【国際公開日】2021-04-15
【審査請求日】2023-05-18
(31)【優先権主張番号】P 2019184592
(32)【優先日】2019-10-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】316005926
【氏名又は名称】ソニーセミコンダクタソリューションズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100103850
【氏名又は名称】田中 秀▲てつ▼
(74)【代理人】
【識別番号】100114177
【氏名又は名称】小林 龍
(74)【代理人】
【識別番号】100066980
【氏名又は名称】森 哲也
(72)【発明者】
【氏名】坂本 美智子
【審査官】柴山 将隆
(56)【参考文献】
【文献】特開2013-157442(JP,A)
【文献】特開2015-060855(JP,A)
【文献】特開2013-211413(JP,A)
【文献】国際公開第2019/188123(WO,A1)
【文献】特開2002-026304(JP,A)
【文献】特開2004-134790(JP,A)
【文献】特開2006-237315(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 27/146
H04N 25/70
H04N 25/61
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板に形成され、入射光の光量に応じた信号電荷を生成する複数の光電変換部と、隣接した少なくとも2以上の前記光電変換部からなり且つ当該光電変換部間が不純物層で絶縁されている複数の光電変換部群の1つの前記光電変換部群に対して1つのマイクロレンズが形成され、複数の前記光電変換部群それぞれに前記入射光を導く複数の前記マイクロレンズとを含んで構成される複数の単位画素が、2次元アレイ状に配置された画素部と、
前記マイクロレンズと前記基板との間に形成され、同一の前記光電変換部群に含まれる前記光電変換部のそれぞれで生成される信号電荷間の差が小さくなるように、前記マイクロレンズを透過した前記入射光の一部を吸収する複数の光吸収層とを備え、
前記光吸収層の平面形状の面積は、前記光電変換部群の平面形状の面積よりも小さく、
前記光吸収層の平面形状は、当該光吸収層が形成されている前記単位画素と前記画素部の中心部との間の距離が遠いほど、当該単位画素と当該中心部とを通る線と平行な方向に長い所定形状であ
り、
前記複数の前記光電変換部群の平面形状及びサイズは、互いに同一である
固体撮像装置。
【請求項2】
前記平面形状は、矩形状である
請求項
1に記載の固体撮像装置。
【請求項3】
前記平面形状は、楕円形状である
請求項
1に記載の固体撮像装置。
【請求項4】
前記光吸収層の平面形状は、前記不純物層の前記マイクロレンズ側の面に入射する前記入射光の光路上に前記光吸収層が配置されることで形成される十字状を含んでいる
請求項1に記載の固体撮像装置。
【請求項5】
基板に形成され、入射光の光量に応じた信号電荷を生成する複数の光電変換部と、隣接した少なくとも2以上の前記光電変換部からなり且つ当該光電変換部間が不純物層で絶縁されている複数の光電変換部群の1つの前記光電変換部群に対して1つのマイクロレンズが形成され、複数の前記光電変換部群それぞれに前記入射光を導く複数の前記マイクロレンズとを含んで構成される複数の単位画素が、2次元アレイ状に配置された画素部と、
前記マイクロレンズと前記基板との間に形成され、同一の前記光電変換部群に含まれる前記光電変換部のそれぞれで生成される信号電荷間の差が小さくなるように、前記マイクロレンズを透過した前記入射光の一部を吸収する複数の光吸収層と、を備え、
前記光吸収層の平面形状の面積は、前記光電変換部群の平面形状の面積よりも小さく、
さらに、前記光電変換部群間に形成された画素間遮光部を備え、
前記光吸収層の平面形状は、前記画素間遮光部の前記マイクロレンズ側の面に入射する前記入射光の光路上に前記光吸収層が配置されることで形成される額縁状を含んでいる
固体撮像装置。
【請求項6】
基板に形成され、入射光の光量に応じた信号電荷を生成する複数の光電変換部と、隣接した少なくとも2以上の前記光電変換部からなり且つ当該光電変換部間が不純物層で絶縁されている複数の光電変換部群の1つの前記光電変換部群に対して1つのマイクロレンズが形成され、複数の前記光電変換部群それぞれに前記入射光を導く複数の前記マイクロレンズとを含んで構成される複数の単位画素が、2次元アレイ状に配置された画素部と、
前記光電変換部と前記マイクロレンズとの間に形成されたカラーフィルタと、
前記カラーフィルタの前記マイクロレンズ側の面又は前記基板側の面に形成され、同一の前記光電変換部群に含まれる前記光電変換部のそれぞれで生成される信号電荷間の差が小さくなるように、前記マイクロレンズを透過した前記入射光の一部を吸収する複数の光吸収層とを備え、
前記光吸収層の平面形状の面積は、前記光電変換部群の平面形状の面積よりも小さく、
前記光吸収層の材料は、何れかの前記カラーフィルタと同一の材料である
固体撮像装置。
【請求項7】
前記カラーフィルタの材料と、当該カラーフィルタに形成されている前記光吸収層の材料とが同じである
請求項
6に記載の固体撮像装置。
【請求項8】
前記カラーフィルタの材料と、当該カラーフィルタに形成されている前記光吸収層の材料とが異なっている
請求項
6に記載の固体撮像装置。
【請求項9】
前記光吸収層の厚さが前記カラーフィルタの厚さよりも薄い
請求項
6に記載の固体撮像装置。
【請求項10】
平面視における、前記カラーフィルタに対する前記光吸収層の位置は、当該光吸収層が形成されている前記単位画素と前記画素部の中心部との間の距離が遠いほど、当該画素部の中心部側となっている
請求項
6に記載の固体撮像装置。
【請求項11】
前記マイクロレンズは、前記画素部の中心部から外周部に向かうに従って、平面視における、当該マイクロレンズの中心部が、当該マイクロレンズに対応する前記光電変換部群の中心よりも、前記画素部の中心部側にずらされている
請求項1に記載の固体撮像装置。
【請求項12】
前記光電変換部と前記マイクロレンズとの間にカラーフィルタを備え、
前記カラーフィルタは、前記画素部の中心部から外周部に向かうに従って、平面視における、当該カラーフィルタの中心部が、当該カラーフィルタに対応する前記光電変換部群の中心よりも、前記画素部の中心部側にずらされている
請求項1に記載の固体撮像装置。
【請求項13】
基板に形成され、入射光の光量に応じた信号電荷を生成する複数の光電変換部と、隣接した少なくとも2以上の前記光電変換部からなり且つ当該光電変換部間が不純物層で絶縁されている複数の光電変換部群の1つの前記光電変換部群に対して1つのマイクロレンズが形成され、複数の前記光電変換部群それぞれに前記入射光を導く複数の前記マイクロレンズとを含んで構成される複数の単位画素が、2次元アレイ状に配置された画素部と、前記マイクロレンズと前記基板との間に形成され、
同一の前記光電変換部群に含まれる前記光電変換部のそれぞれで生成される信号電荷間の差が小さくなるように、前記マイクロレンズを透過した前記入射光の一部を吸収する複数の光吸収層とを備え、前記光吸収層の平面形状の面積は、前記光電変換部群の平面形状の面積よりも小さく、前記光吸収層の平面形状は、当該光吸収層が形成されている前記単位画素と前記画素部の中心部との間の距離が遠いほど、当該単位画素と当該中心部とを通る線と平行な方向に長い所定形状であり、前記複数の前記光電変換部群の平面形状及びサイズは、互いに同一である固体撮像装置と、
被写体からの像光を前記固体撮像装置の撮像面上に結像させる光学レンズと、
前記固体撮像装置から出力される信号に信号処理を行う信号処理回路とを備える
電子機器。
【請求項14】
基板に形成され、入射光の光量に応じた信号電荷を生成する複数の光電変換部と、隣接した少なくとも2以上の前記光電変換部からなり且つ当該光電変換部間が不純物層で絶縁されている複数の光電変換部群の1つの前記光電変換部群に対して1つのマイクロレンズが形成され、複数の前記光電変換部群それぞれに前記入射光を導く複数の前記マイクロレンズとを含んで構成される複数の単位画素が、2次元アレイ状に配置された画素部と、前記マイクロレンズと前記基板との間に形成され、同一の前記光電変換部群に含まれる前記光電変換部のそれぞれで生成される信号電荷間の差が小さくなるように、前記マイクロレンズを透過した前記入射光の一部を吸収する複数の光吸収層と、を備え、前記光吸収層の平面形状の面積は、前記光電変換部群の平面形状の面積よりも小さく、さらに、前記光電変換部群間に形成された画素間遮光部を備え、前記光吸収層の平面形状は、前記画素間遮光部の前記マイクロレンズ側の面に入射する前記入射光の光路上に前記光吸収層が配置されることで形成される額縁状を含んでいる固体撮像装置と、
被写体からの像光を前記固体撮像装置の撮像面上に結像させる光学レンズと、
前記固体撮像装置から出力される信号に信号処理を行う信号処理回路とを備える
電子機器。
【請求項15】
基板に形成され、入射光の光量に応じた信号電荷を生成する複数の光電変換部と、隣接した少なくとも2以上の前記光電変換部からなり且つ当該光電変換部間が不純物層で絶縁されている複数の光電変換部群の1つの前記光電変換部群に対して1つのマイクロレンズが形成され、複数の前記光電変換部群それぞれに前記入射光を導く複数の前記マイクロレンズとを含んで構成される複数の単位画素が、2次元アレイ状に配置された画素部と、前記光電変換部と前記マイクロレンズとの間に形成されたカラーフィルタと、前記カラーフィルタの前記マイクロレンズ側の面又は前記基板側の面に形成され、同一の前記光電変換部群に含まれる前記光電変換部のそれぞれで生成される信号電荷間の差が小さくなるように、前記マイクロレンズを透過した前記入射光の一部を吸収する複数の光吸収層とを備え、前記光吸収層の平面形状の面積は、前記光電変換部群の平面形状の面積よりも小さく、前記光吸収層の材料は、何れかの前記カラーフィルタと同一の材料である固体撮像装置と、
被写体からの像光を前記固体撮像装置の撮像面上に結像させる光学レンズと、
前記固体撮像装置から出力される信号に信号処理を行う信号処理回路とを備える
電子機器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本技術は、固体撮像装置及び電子機器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、隣接する2つの光電変換部に対し1つのマイクロレンズを共有する構造として、2つの光電変換部が生成する信号電荷間の差を基に被写体までの間の距離を算出可能とする固体撮像装置が提案されている(例えば特許文献1参照)。特許文献1に記載の固体撮像装置は、マイクロレンズが光を集める箇所に散乱体を設けることで、集めた光を散乱体で散乱させて隣接する2つの光電変換部に振り分けるようになっている。そして、製造時の位置合わせズレ等に起因する光電変換部間の受光感度差を抑制するようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載の固体撮像装置では、散乱体で光を散乱させるようになっているため、周囲の光電変換部にまで散乱光が侵入し、光学混色を生じる可能性があった。それゆえ、固体撮像装置によって得られる画像の画質が低下する可能性があった。
本開示は、より画質の高い画像を得られる固体撮像装置及び電子機器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示の固体撮像装置は、(a)基板に形成され、入射光の光量に応じた信号電荷を生成する複数の光電変換部と、隣接した少なくとも2以上の光電変換部からなり且つ光電変換部間が不純物層で絶縁されている複数の光電変換部群の1つの光電変換部群に対して1つのマイクロレンズが形成され、複数の光電変換部群それぞれに入射光を導く複数のマイクロレンズとを含んで構成される複数の単位画素が2次元アレイ状に配置された画素部と、(b)マイクロレンズと基板との間に形成され、マイクロレンズによって光電変換部群に導かれる入射光の一部を吸収する複数の光吸収層とを備える。
【0006】
また、本開示の電子機器は、(a)基板に形成され、入射光の光量に応じた信号電荷を生成する複数の光電変換部と、隣接した少なくとも2以上の光電変換部からなり且つ光電変換部間が不純物層で絶縁されている複数の光電変換部群の1つの光電変換部群に対して1つのマイクロレンズが形成され、複数の光電変換部群それぞれに入射光を導く複数のマイクロレンズとを含んで構成される複数の単位画素が2次元アレイ状に配置された画素部と、マイクロレンズと基板との間に形成され、マイクロレンズによって光電変換部群に導かれる入射光の一部を吸収する複数の光吸収層とを備える固体撮像装置と、(b)被写体からの像光を固体撮像装置の撮像面上に結像させる光学レンズと、(c)固体撮像装置から出力される信号に信号処理を行う信号処理回路とを備える。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】本開示の第1の実施形態に係る固体撮像装置の全体構成を示す図である。
【
図2】
図1のA-A線で破断した場合の、画素領域の断面構成を示す図である。
【
図3A】画素領域の断面構成を拡大して示す図である。
【
図3B】
図3AのB-B線で破断した場合の、カラーフィルタ及び光吸収層の平面構成を示す図である。
【
図3C】
図3AのC-C線で破断した場合の、光電変換部群及び光電変換部の平面構成を示す図である。
【
図4A】画素領域の断面構成を拡大して示す図である。
【
図4B】
図4AのD-D線で破断した場合の、カラーフィルタ及び光吸収層の平面構成を示す図である。
【
図4C】
図4AのE-E線で破断した場合の、光電変換部群及び光電変換部の平面構成を示す図である。
【
図5A】画素領域の断面構成を拡大して示す図である。
【
図5B】
図5AのF-F線で破断した場合の、カラーフィルタ及び光吸収層の平面構成を示す図である。
【
図6】画素領域の断面構成を拡大して示す図である。
【
図7】従来の固体撮像装置の画素領域の断面構成を拡大して示す図である。
【
図8A】画素領域の断面構成を拡大して示す図である。
【
図8B】
図8AのG-G線で破断した場合の、カラーフィルタ及び光吸収層の平面構成を示す図である。
【
図9A】画素領域の断面構成を拡大して示す図である。
【
図9B】
図9AのH-H線で破断した場合の、カラーフィルタ及び光吸収層の平面構成を示す図である。
【
図10】カラーフィルタ及び光吸収層の平面構成を示す図である。
【
図11】画素領域の断面構成を拡大して示す図である。
【
図12A】カラーフィルタ及び光吸収層の製造工程の流れを示す図である。
【
図12B】カラーフィルタ及び光吸収層の製造工程の流れを示す図である。
【
図12C】カラーフィルタ及び光吸収層の製造工程の流れを示す図である。
【
図13】変形例に係る固体撮像装置のカラーフィルタ及び光吸収層の平面構成を示す図である。
【
図14】変形例に係る固体撮像装置のカラーフィルタ及び光吸収層の平面構成を示す図である。
【
図15】変形例に係る固体撮像装置のカラーフィルタ及び光吸収層の平面構成を示す図である。
【
図16】変形例に係る固体撮像装置のカラーフィルタ及び光吸収層の平面構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下に、本開示の実施形態に係る固体撮像装置1及び電子機器の一例を、
図1~
図16を参照しながら説明する。本開示の実施形態は以下の順序で説明する。なお、本開示は以下の例に限定されるものではない。また、本明細書に記載された効果は例示であって限定されるものではなく、また他の効果があってもよい。
【0009】
1.第1の実施形態:固体撮像装置
1-1 固体撮像装置の全体の構成
1-2 要部の構成
1-3 光吸収層の製造方法
1-4 変形例
2.第2の実施形態:電子機器
【0010】
〈1.第1の実施形態〉
[1-1 固体撮像装置の全体の構成]
本開示の第1の実施形態に係る固体撮像装置1について説明する。
図1は、本開示の第1の実施形態に係る固体撮像装置1の全体を示す概略構成図である。
図1の固体撮像装置1は、裏面照射型のCMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)イメージセンサである。
図16に示すように、固体撮像装置1(101)は、光学レンズ102を介して被写体からの像光(入射光106)を取り込み、撮像面上に結像された入射光106の光量を画素単位で電気信号に変換して画素信号として出力する。
図1に示すように、第1の実施形態の固体撮像装置1は、基板2と、画素領域3と、垂直駆動回路4と、カラム信号処理回路5と、水平駆動回路6と、出力回路7と、制御回路8とを備えている。
【0011】
画素領域3は、基板2上に、2次元アレイ状に規則的に配列された複数の画素9を有している。画素9は、
図2に示した光電変換部21と、複数の画素トランジスタ(不図示)とを有している。複数の画素トランジスタとしては、例えば、転送トランジスタ、リセットトランジスタ、選択トランジスタ、アンプトランジスタの4つのトランジスタを採用できる。また、例えば、選択トランジスタを除いた3つのトランジスタを採用してもよい。
【0012】
垂直駆動回路4は、例えば、シフトレジスタによって構成され、所望の画素駆動配線10を選択し、選択した画素駆動配線10に画素9を駆動するためのパルスを供給し、各画素9を行単位で駆動する。即ち、垂直駆動回路4は、画素領域3の各画素9を行単位で順次垂直方向に選択走査し、各画素9の光電変換部21において受光量に応じて生成した信号電荷に基づく画素信号を、垂直信号線11を通してカラム信号処理回路5に供給する。
【0013】
カラム信号処理回路5は、例えば、画素9の列毎に配置されており、1行分の画素9から出力される信号に対して画素列毎にノイズ除去等の信号処理を行う。例えばカラム信号処理回路5は画素固有の固定パターンノイズを除去するためのCDS(Correlated Double Sampling:相関2重サンプリング)及びAD(Analog Digital)変換等の信号処理を行う。
水平駆動回路6は、例えば、シフトレジスタによって構成され、水平走査パルスをカラム信号処理回路5に順次出して、カラム信号処理回路5の各々を順番に選択し、カラム信号処理回路5の各々から、信号処理が行われた画素信号を水平信号線12に出力させる。
【0014】
出力回路7は、カラム信号処理回路5の各々から水平信号線12を通して、順次に供給される画素信号に対し信号処理を行って出力する。信号処理としては、例えば、バファリング、黒レベル調整、列ばらつき補正、各種デジタル信号処理等を用いることができる。
制御回路8は、垂直同期信号、水平同期信号、及びマスタクロック信号に基づいて、垂直駆動回路4、カラム信号処理回路5、及び水平駆動回路6等の動作の基準となるクロック信号や制御信号を生成する。そして、制御回路8は、生成したクロック信号や制御信号を、垂直駆動回路4、カラム信号処理回路5、及び水平駆動回路6等に出力する。
【0015】
[1-2 要部の構成]
次に、
図1の固体撮像装置1の詳細構造について説明する。
図2は、第1の実施形態の固体撮像装置1の画素領域3の断面構成を示す図である。
図2では、固体撮像装置1として、裏面照射型のCMOSイメージセンサ(CMOS型固体撮像装置)を用いている。
【0016】
図2に示すように、第1の実施形態の固体撮像装置1は、基板2、絶縁膜13及び遮光膜14がこの順に積層されてなる受光層15を備えている。また、受光層15の絶縁膜13側の面(以下、「裏面S1」とも呼ぶ)には、カラーフィルタ16及びマイクロレンズ17(オンチップレンズ、ウエハレンズ)がこの順に積層されてなる集光層18が形成されている。さらに、受光層15の基板2側の面(以下「表面S2」とも呼ぶ)には、配線層19及び支持基板20がこの順に積層されている。なお、受光層15の裏面S1と絶縁膜13の裏面とは同一の面であるため、以下の記載では、絶縁膜13の裏面についても「裏面S1」と表す。また、受光層15の表面S2と基板2の表面とは同一の面であるため、以下の記載では、基板2の表面についても「表面S2」と表す。
【0017】
基板2は、例えば、シリコン(Si)からなる半導体基板によって構成され、
図1に示すように、画素領域3を形成している。画素領域3には、
図2に示すように、基板2に形成された複数の光電変換部21、つまり、基板2に埋設された複数の光電変換部21を含んで構成される複数の画素9が、二次元アレイ状に配置されている。光電変換部21では、入射光22の光量に応じた信号電荷が生成され、生成された信号電荷が蓄積される。
光電変換部21は、
図3A、
図3B、
図3C、
図4A、
図4B及び
図4Cに示すように、隣接した少なくとも2以上の光電変換部21で光電変換部群23を構成している。
図3A、
図3B及び
図3Cでは、4つの光電変換部21で構成される光電変換部群23を例示している。また、
図4A、
図4B及び
図4Cでは、2つの光電変換部21で構成される光電変換部群23を例示している。
図3Aに示したカラーフィルタ16及びマイクロレンズ17には、後述する瞳補正が行われている。光電変換部群23を構成する光電変換部21間には、基板2に不純物が注入されてなる不純物層24が形成されている。不純物としては、例えば、光電変換部21間を絶縁して電気的に分離するとともに、不純物層24に入射光22を透過を可能とさせる物質を用いることができる。例えば、リン、ヒ素、ホウ素等の元素を採用できる。
また、光電変換部群23間には、光電変換部群23間を物理的に分離するように、基板2の絶縁膜13側の面(以下、「裏面S3」とも呼ぶ)側から深さ方向に形成された溝部25、並びに溝部25内に充填された絶縁膜13を含んで構成される画素間遮光部26が形成されている。
【0018】
絶縁膜13は、基板2の裏面S3側の全体(受光面側の全体)を連続的に被覆している。また、遮光膜14は、絶縁膜13の裏面S1側の一部(受光面側の一部)に、複数の光電変換部群23のそれぞれの受光面が開口されるように、格子状に形成されている。
【0019】
カラーフィルタ16は、絶縁膜13の裏面S1側(受光面側)に、各光電変換部群23に対応して形成されている。これにより、カラーフィルタ16は、2次元アレイ状に規則的に配列されてなるカラーフィルタアレイ27を形成している。カラーフィルタ16のそれぞれは、赤色、緑色、青色等の各光電変換部群23に受光させたい入射光22の特定の波長を透過するように構成されている。そして、カラーフィルタ16は、特定の波長の入射光22を透過させ、透過させた入射光22を基板2の光電変換部21に入射させる。
また、カラーフィルタ16のそれぞれには、
図3A及び
図5Aに示すように、画素領域3(後述する画素部30)の中心部から外周部に向かうに従って、平面視における、カラーフィルタ16の中心部が、カラーフィルタ16に対応する光電変換部群23の中心よりも、画素領域3(画素部30)の中心部側にずらされているいわゆる瞳補正が行われている。
図5Aは、
図3Aに例示したカラーフィルタ16等よりも、画素領域3の外周部側に形成されているカラーフィルタ16等を例示している。カラーフィルタ16への瞳補正により、画素領域3(画素部30)の外周部において、マイクロレンズ17を介して光電変換部21に入射される斜めの入射光22をカラーフィルタ16に透過可能となっている。
【0020】
マイクロレンズ17は、カラーフィルタ16の裏面S4側(受光面側)に、各光電変換部群23に対応して形成されている。即ち、複数の光電変換部群23の1つの光電変換部群23に対して1つのマイクロレンズ17が形成されている。これにより、マイクロレンズ17は、2次元アレイ状に規則的に配列されてなるマイクロレンズアレイ28を形成している。マイクロレンズ17のそれぞれは、入射光22を集光し、集光した入射光22をカラーフィルタ16を介して複数の光電変換部21それぞれに導く構成となっている。
また、マイクロレンズ17のそれぞれには、
図3A及び
図5Aに示すように、画素領域3(画素部30)の中心部から外周部に向かうに従って、平面視における、マイクロレンズ17の中心部が、マイクロレンズ17に対応する光電変換部群23の中心よりも、画素領域3(画素部30)の中心部側にずらされているいわゆる瞳補正が行われている。マイクロレンズ17への瞳補正により、画素領域3(画素部30)の外周部において、マイクロレンズ17に入射される斜めの入射光22を光電変換部21に入射可能となっている。
【0021】
1つの光電変換部群23と1つのマイクロレンズ17と含んでなる構成を単位画素29として、この単位画素29が2次元アレイ状に配置されて画素部30が構成されている。
このように、隣接した少なくとも2以上の光電変換部21(光電変換部群23)に対し1つのマイクロレンズ17を共用する構造にすると、同一の光電変換部群23に含まれる光電変換部21のそれぞれで生成される信号電荷間に差が生じる。それゆえ、第1実施形態の固体撮像装置1では、この差を基に被写体までの間の距離を算出可能となっている。
【0022】
マイクロレンズ17と基板2との間には、
図3A、
図3B、
図5A、
図5B及び
図6に示すように、各光電変換部群23に対応して光吸収層31が形成されている。
図3A、
図3B、
図5A及び
図5Bでは、カラーフィルタ16のマイクロレンズ17側の面に形成された光吸収層31を例示している。また、
図6では、カラーフィルタ16の基板2側の面に埋設させて形成された光吸収層31を例示している。光吸収層31のそれぞれは、入射光22を吸収可能な物質で構成されている。また、光吸収層31の平面形状の面積は、カラーフィルタ16の平面形状の面積、つまり、光電変換部群23の平面形状の面積よりも小さくなっている。光電変換部群23の平面形状の面積よりも小さくすることにより、光吸収層31は、
図3Aに示すように、マイクロレンズ17によって光電変換部群23に導かれる入射光22の一部を吸収可能となっている。
図3Aでは、マイクロレンズ17によって光電変換部群23に導かれる入射光22のうちマイクロレンズ17の外周側の入射光22の光路32を点線で示した。また、
図3Aでは、光吸収層31によって入射光22が吸収されて弱められた領域33を網点で示した。
【0023】
ここで、画素部30の外周部では、入射光22が斜めに入射される。それゆえ、光吸収層31が形成されていない場合には、
図7に示すように、光電変換部群23のうちの、画素部30の中心部側の光電変換部21(以下、「中心側光電変換部21a」とも呼ぶ)に入射した入射光22が、不純物層24を透過して、画素部30の外周側の光電変換部21(以下、「外周側光電変換部21b」とも呼ぶ)に入射される。そのため、中心側光電変換部21a及び外周側光電変換部21bのそれぞれで生成される信号電荷間の差が大きくなる。これにより、同一の光電変換部群23に含まれる光電変換部21、つまり、同一のマイクロレンズ17によって入射光22が導かれて同じ波長(色)の光が入射される2以上の光電変換部21で生成される信号電荷の差(同色感度差)が大きくなる可能性がある。その結果、リモザイク処理によって得られる画像の画質が低下する可能性がある。
信号電荷間の差を低減する方法としては、例えば、同一の光電変換部群23に含まれる光電変換部21間を画素間遮光部26で分離させることも考えられる。しかしながら、画素間遮光部26で分離させた場合、入射光22が画素間遮光部26で散乱して、他の光電変換部群23に含まれる光電変換部21にまで散乱光が侵入し、光学混色を生じる可能性がある。それゆえ、固体撮像装置1で得られる画像の画質が低下する可能性がある。
【0024】
これに対し、第1の実施形態の固体撮像装置1では、光吸収層31を備えるようにしたため、同一の光電変換部群23に含まれる光電変換部21のそれぞれで生成される信号電荷間の差が小さくなるように、マイクロレンズ17を透過した入射光22の一部を吸収する構成とすることができる。例えば、
図3A及び
図3Bに示すように、カラーフィルタ16の中心部付近に光吸収層31を形成することで、外周側光電変換部21bに直接入射する入射光22の光量を低減できるため、中心側光電変換部21a及び外周側光電変換部21bのそれぞれで生成される信号電荷間の差を低減できる。これにより、リモザイク処理で得られる画像の画質の低下を抑制できる。また、例えば、画素間遮光部26を用いる場合と異なり、入射光22の散乱を生じないため、光学混色を防止することができる。
また、例えば、
図8Aに示すように、カラーフィルタ16の中心部よりも画素部30の中心部側に光吸収層31を形成することで、中心側光電変換部21a及び不純物層24を介して外周側光電変換部21bに入射する入射光22の光量を低減できるため、中心側光電変換部21a及び外周側光電変換部21bのそれぞれで生成される信号電荷間の差を低減することができる。
【0025】
また、平面視における、カラーフィルタ16に対する光吸収層31の位置は、
図3A、
図3B、
図5A及び
図5Bに示すように、光吸収層31が形成されている単位画素29と画素部30の中心部との間の距離が遠いほど、画素部30の中心部側となるようにした。
図3A及び
図3Bは、光吸収層31と画素部30の中心部との間の距離が比較的近い場合を例示している。また、
図5A及び
図5Bは、光吸収層31と画素部30の中心部との間の距離が比較的遠い場合を例示している。それゆえ、画素部30の外周部において、光電変換部21に斜めに入射される入射光22のうちの、中心側光電変換部21a及び不純物層24を透過して外周側光電変換部21bに入射される入射光22をより適切に吸収することができ、中心側光電変換部21a及び外周側光電変換部21bのそれぞれで生成される信号電荷間の差を低減することができる。
【0026】
また、光吸収層31の平面形状は、
図3A、
図3B、
図5A及び
図5Bに示すように、光吸収層31が形成されている単位画素29と画素部30の中心部との間の距離が遠いほど、単位画素29と画素部30の中心部とを通る線と平行な方向に長くなっている所定形状とした。
図5A及び
図5Bは、
図3A及び
図3Bに例示した光吸収層31よりも、上記方向に長くなっている光吸収層31を例示している。それゆえ、画素部30の外周部において、光電変換部21に斜めに入射される入射光22のうちの、中心側光電変換部21a及び不純物層24を透過して外周側光電変換部21bに入射される入射光22をより適切に吸収でき、中心側光電変換部21a及び外周側光電変換部21bのそれぞれで生成される信号電荷間の差を低減することができる。
所定形状としては、例えば、
図3B、
図5B及び
図8Bに示すような矩形状、
図9A及び
図9Bに示すような楕円形状であってもよい。矩形状を用いた場合、光吸収層31の形成を容易化できる。また、マイクロレンズ17によって光が集まり、光強度が一番強いカラーフィルタ16の中央部に配置することで、感度低下を抑えつつ、同色感度差を抑制できる。ここで、画素領域3の外周部に生じる斜めの入射光22の断面形状は、楕円形状となる。それゆえ、所定形状として楕円形状を用いた場合、光強度が一番強いカラーフィルタ16の中央部のみを覆うことができ、感度低下を最低限に抑えることができる。
【0027】
また、光吸収層31の厚さは、カラーフィルタ16の厚さよりも薄くしてもよい。光吸収層31の厚さを薄くすることで、マイクロレンズ17と光電変換部21との間の距離をより短くすることができ、第1の実施形態の固体撮像装置1をより小型化できる。
また、光吸収層31の材料としては、例えば、何れかのカラーフィルタ16と同一の材料を用いることができる。同一の材料を用いることで、例えば、カラーフィルタ16を形成するための機器を用いて光吸収層31を形成でき、光吸収層31を容易に形成できる。
この場合、例えば
図3Bに示すように、カラーフィルタ16とそのカラーフィルタ16に形成されている光吸収層31とを異なる材料で形成してもよい。即ち、カラーフィルタ16を透過する光の波長域とそのカラーフィルタ16に形成されている光吸収層31を透過する光の波長域とが異なる構成としてもよい。このような構成とすることにより、カラーフィルタ16を透過する光の波長域と光吸収層31を透過する光の波長域とが同一の材料である場合に比べ、光吸収層31による入射光22を吸収する機能を向上できる。
【0028】
また、例えば
図10に示すように、カラーフィルタ16とそのカラーフィルタ16に形成されている光吸収層31とを同じ材料で形成してもよい。即ちカラーフィルタ16を透過する光の波長域とそのカラーフィルタ16に形成されている光吸収層31を透過する光の波長域とが同一となる構成としてもよい。このような構成とすることにより、カラーフィルタ16の形成時に光吸収層31を形成でき、光吸収層31を容易に形成できる。
【0029】
配線層19は、基板2の表面S2側に形成されており、層間絶縁膜34を介して、複数層(
図2では3層)に積層された配線35を含んで構成されている。配線層19に形成された複数層の配線35を介して、各画素9を構成する画素トランジスタが駆動される。
支持基板20は、配線層19の基板2に面する側とは反対側の面に形成されている。支持基板20は、固体撮像装置1の製造段階において、基板2の強度を確保するための基板である。支持基板20の材料としては、例えば、シリコン(Si)を用いることができる。
【0030】
以上の構成を有する固体撮像装置1では、基板2の裏面側(受光層15の裏面S1側)から光が照射され、照射された光がマイクロレンズ17及びカラーフィルタ16を透過し、透過した光が光電変換部21で光電変換されることで、信号電荷が生成される。そして、生成された信号電荷が、基板2の表面S2側に形成された画素トランジスタを介して、配線35で形成された
図1に示した垂直信号線11によって画素信号として出力される。
また、生成された信号電荷のうち、同一の光電変換部群23に含まれる光電変換部21のそれぞれで生成された信号電荷間の差に基づき、被写体までの間の距離が算出される。
【0031】
[1-3 光吸収層の製造方法]
次に、第1の実施形態の固体撮像装置1の光吸収層31の製造方法について説明する。
図11は、本製造方法で作製される光吸収層31を含む画素領域3を示す図である。
図11は、カラーフィルタ16のマイクロレンズ17側の面に形成された光吸収層31と、基板2側の面に形成された光吸収層31とが混在する場合を例示している。また、カラーフィルタ16とそのカラーフィルタ16に形成されている光吸収層31とが異なる材料で形成されている。即ち、赤色の波長を透過するカラーフィルタ16(
図11では「16R」と記す)の基板2側の面には、緑色の波長を透過する光吸収層31(
図11では「31G」と記す)が形成されており、緑色の波長を透過するカラーフィルタ16(
図11では「16G」と記す)のマイクロレンズ17側の面には、青色の波長を透過する光吸収層31(
図11では「31B」と記す)が形成されている。また、
図11には図示しないが、青色の波長を透過するカラーフィルタ16の基板2側の面には、緑色の波長を透過するカラーフィルタ16Gが形成されている。また、光吸収層31(31G、31B)の厚さがカラーフィルタ16の厚さ(16R、16G)と同一となっている。
【0032】
第1の実施形態の固体撮像装置1の光吸収層31の製造方法では、まず、(1)受光層15の裏面S1全体に、緑色の波長を透過するカラーフィルタレジストを塗布する。続いて、(2)緑色の波長を透過するカラーフィルタ16G及び光吸収層31Gを形成する箇所に穴が空いているマスクを介して、カラーフィルタレジストにUVランプを照射して、塗布したカラーフィルタレジストを露光する。続いて、(3)受光層15の裏面S1から、露光していないカラーフィルタレジストを除去する。これにより、
図12Aに示すように、緑色の波長を透過するカラーフィルタ16G及び光吸収層31Gを形成する。
続いて、赤色の波長を透過するカラーフィルタレジストを用いて、上記(1)~(3)の工程を実行する。これにより、
図12Bに示すように、赤色の波長を透過するカラーフィルタ16Rを形成する。続いて、青色の波長を透過するカラーフィルタレジストを用いて、上記(1)~(3)の工程を実行する。これにより、青色の波長を透過するカラーフィルタ16及び光吸収層31B(
図12C参照)を形成する。このように、カラーフィルタ16の形成時に、同じ材料からなる光吸収層31を同時に形成することで、光吸収層31を形成する工程を別工程とする方法に比べ、工程数を削減することができる。
【0033】
なお、
図3A等に示すように、光吸収層31の厚さをカラーフィルタ16の厚さよりも薄くする場合には、光吸収層31を形成する箇所において、カラーフィルタレジストの塗布量を少なくしたり、塗布に用いるスピンコーターの回転数を上げてカラーフィルタレジストを薄く伸ばしたり、材料の粘度を小さくしたりする方法を用いることができる。
【0034】
以上説明したように、第1の実施形態の固体撮像装置1では、マイクロレンズ17と基板2との間に形成され、マイクロレンズ17によって光電変換部群23に導かれる入射光22の一部を吸収する複数の光吸収層31を備えるようにした。それゆえ、例えば、光吸収層31のパターン形状・位置を調整することで、同一の光電変換部群23に含まれる光電変換部21に入射される入射光22の光量を制御でき、それらの光電変換部21で生成される信号電荷の差(同色感度差)を低減できる。その結果、リモザイク処理によって得られる画像の画質の低下を抑制できる。また、例えば、光を散乱させる散乱体や画素間遮光部26を用いる場合と異なり、入射光22の散乱を生じないため、光学混色を防止できる。その結果、より画質の高い画像を得られる固体撮像装置1を提供することができる。
【0035】
また、第1の実施形態の固体撮像装置1では、光吸収層31が、同一の光電変換部群23に含まれる光電変換部21のそれぞれで生成される信号電荷間の差が小さくなるように、マイクロレンズ17を透過した入射光22の一部を吸収するようにした。それゆえ、例えば、同一の光電変換部群23に含まれる光電変換部21間における感度差を低減できる。そのため、リモザイク処理によって得られる画像の画質をより向上することができる。
【0036】
[1-4 変形例]
(1)第1の実施形態に係る固体撮像装置1では、光吸収層31の平面形状を矩形状や楕円形状とする場合を例に説明したが、例えば、
図13に示すように、光吸収層31の平面形状が、不純物層24のマイクロレンズ17側の面(受光面)に入射する入射光22の光路上に光吸収層31が配置されることで形成される十字状を含む構成としてもよい。光吸収層31の平面形状が十字状を含む構成とすることで、一の光電変換部21に入射した斜めの入射光22が不純物層24を透過して他の光電変換部21に入射することを防止でき、同一の光電変換部群23に含まれる光電変換部21間における感度差を低減できる。また、光吸収層31の形成を容易化することもできる。
【0037】
(2)また例えば、
図14に示すように、光吸収層31の平面形状が、画素間遮光部26のマイクロレンズ17側の面(受光面)に入射する入射光22の光路上に光吸収層31が配置されることで形成される額縁状を含む構成としてもよい。光吸収層31の平面形状が額縁状を含む構成とすることで、画素間遮光部26のマイクロレンズ17側の面への入射光22の入射を防止でき、画素間遮光部26による入射光22の散乱を防止でき、散乱した入射光22による光電変換部21の信号電荷へのノイズ(混色)の発生を防止できる。また、光吸収層31の形成を容易化することもできる。
また、例えば、
図15に示すように、光吸収層31の平面形状が、
図13に示した十字状と、
図14に示した額縁状とを組み合わせた形状を含む構成としてもよい。
【0038】
〈2.第2の実施形態:電子機器〉
次に、本開示の第2の実施形態に係る電子機器100について説明する。
図16は、本開示の第2の実施形態に係る電子機器100の概略構成図である。
【0039】
第2の実施形態に係る電子機器100は、固体撮像装置101と、光学レンズ102と、シャッタ装置103と、駆動回路104と、信号処理回路105とを備えている。第2の実施形態の電子機器100は、固体撮像装置101として、本開示の第1の実施形態に係る固体撮像装置1を電子機器(例えば、カメラ)に用いた場合の実施形態を示す。
【0040】
光学レンズ102は、被写体からの像光(入射光106)を固体撮像装置101の撮像面上に結像させる。これにより、固体撮像装置101内に一定期間にわたって信号電荷が蓄積される。シャッタ装置103は、固体撮像装置101への光照射期間及び遮光期間を制御する。駆動回路104は、固体撮像装置101の転送動作及びシャッタ装置103のシャッタ動作を制御する駆動信号を供給する。駆動回路104から供給される駆動信号(タイミング信号)により、固体撮像装置101の信号転送を行なう。信号処理回路105は、固体撮像装置101から出力される信号(画素信号)に各種信号処理を行う。信号処理が行われた映像信号は、メモリ等の記憶媒体に記憶され、或いはモニタに出力される。
【0041】
なお、固体撮像装置1を適用できる電子機器100としては、カメラに限られるものではなく、他の電子機器にも適用することができる。例えば、携帯電話機やタブレット端末等のモバイル機器向けカメラモジュール等の撮像装置に適用してもよい。
また、第2の実施形態では、固体撮像装置101として、第1の実施形態に係る固体撮像装置1を電子機器に用いる構成としたが、他の構成としてもよい。例えば、変形例に係る固体撮像装置1を電子機器に用いてもよい。
【0042】
なお、本技術は、以下のような構成を取ることができる。
(1)
基板に形成され、入射光の光量に応じた信号電荷を生成する複数の光電変換部と、隣接した少なくとも2以上の前記光電変換部からなり且つ当該光電変換部間が不純物層で絶縁されている複数の光電変換部群の1つの前記光電変換部群に対して1つのマイクロレンズが形成され、複数の前記光電変換部群それぞれに前記入射光を導く複数の前記マイクロレンズとを含んで構成される複数の単位画素が、2次元アレイ状に配置された画素部と、
前記マイクロレンズと前記基板との間に形成され、前記マイクロレンズによって前記光電変換部群に導かれる前記入射光の一部を吸収する複数の光吸収層とを備える
固体撮像装置。
(2)
前記光吸収層は、同一の前記光電変換部群に含まれる前記光電変換部のそれぞれで生成される信号電荷間の差が小さくなるように、前記マイクロレンズを透過した前記入射光の一部を吸収する
前記(1)に記載の固体撮像装置。
(3)
前記光吸収層の平面形状の面積は、前記光電変換部群の平面形状の面積よりも小さい
前記(1)又は(2)に記載の固体撮像装置。
(4)
前記光吸収層の平面形状は、当該光吸収層が形成されている前記画素と前記画素部の中心部との間の距離が遠いほど、当該画素と当該中心部とを通る線と平行な方向に長い所定形状である
前記(3)に記載の固体撮像装置。
(5)
前記平面形状は、矩形状である
前記(4)に記載の固体撮像装置。
(6)
前記平面形状は、楕円形状である
前記(4)に記載の固体撮像装置。
(7)
前記光吸収層の平面形状は、前記不純物層の前記マイクロレンズ側の面に入射する前記入射光の光路上に前記光吸収層が配置されることで形成される十字状を含んでいる
前記(1)から(3)の何れかに記載の固体撮像装置。
(8)
前記光電変換部群間に形成された画素間遮光部を備え、
前記光吸収層の平面形状は、前記画素間遮光部の前記マイクロレンズ側の面に入射する前記入射光の光路上に前記光吸収層が配置されることで形成される額縁状を含んでいる
前記(1)から(3)の何れかに記載の固体撮像装置。
(9)
前記光電変換部と前記マイクロレンズとの間にカラーフィルタを備え、
前記光吸収層は、前記カラーフィルタの前記マイクロレンズ側の面又は前記基板側の面に形成されており、
前記光吸収層の材料は、何れかの前記カラーフィルタと同一の材料である
前記(1)から(8)の何れかに記載の固体撮像装置。
(10)
前記カラーフィルタの材料と、当該カラーフィルタに形成されている前記光吸収層の材料とが同じである
前記(9)に記載の固体撮像装置。
(11)
前記カラーフィルタの材料と、当該カラーフィルタに形成されている前記光吸収層の材料とが異なっている
前記(9)に記載の固体撮像装置。
(12)
前記光吸収層の厚さが前記カラーフィルタの厚さよりも薄い
前記(9)から(11)の何れかに記載の固体撮像装置。
(13)
平面視における、前記カラーフィルタに対する前記光吸収層の位置は、当該光吸収層が形成されている前記単位画素と前記画素部の中心部との間の距離が遠いほど、当該画素部の中心部側となっている
前記(9)から(12)の何れかに記載の固体撮像装置。
(14)
前記マイクロレンズは、前記画素部の中心部から外周部に向かうに従って、平面視における、当該マイクロレンズの中心部が、当該マイクロレンズに対応する前記光電変換部群の中心よりも、前記画素部の中心部側にずらされている
前記(1)から(13)の何れかに記載の固体撮像装置。
(15)
前記光電変換部と前記マイクロレンズとの間にカラーフィルタを備え、
前記カラーフィルタは、前記画素部の中心部から外周部に向かうに従って、平面視における、当該カラーフィルタの中心部が、当該カラーフィルタに対応する前記光電変換部群の中心よりも、前記画素部の中心部側にずらされている
前記(1)から(14)の何れかに記載の固体撮像装置。
(16)
基板に形成され、入射光の光量に応じた信号電荷を生成する複数の光電変換部と、隣接した少なくとも2以上の前記光電変換部からなり且つ当該光電変換部間が不純物層で絶縁されている複数の光電変換部群の1つの前記光電変換部群に対して1つのマイクロレンズが形成され、複数の前記光電変換部群それぞれに前記入射光を導く複数の前記マイクロレンズとを含んで構成される複数の単位画素が、2次元アレイ状に配置された画素部と、前記マイクロレンズと前記基板との間に形成され、前記マイクロレンズによって前記光電変換部群に導かれる前記入射光の一部を吸収する複数の光吸収層とを備える固体撮像装置と、
被写体からの像光を前記固体撮像装置の撮像面上に結像させる光学レンズと、
前記固体撮像装置から出力される信号に信号処理を行う信号処理回路とを備える
電子機器。
【符号の説明】
【0043】
1…固体撮像装置、2…基板、3…画素領域、4…垂直駆動回路、5…カラム信号処理回路、6…水平駆動回路、7…出力回路、8…制御回路、9…画素、10…画素駆動配線、11…垂直信号線、12…水平信号線、13…絶縁膜、14…遮光膜、15…受光層、16…カラーフィルタ、17…マイクロレンズ、18…集光層、19…配線層、20…支持基板、21…光電変換部、21a…中心側光電変換部、21b…外周側光電変換部、22…入射光、23…光電変換部群、24…不純物層、25…溝部、26…画素間遮光部、27…カラーフィルタアレイ、28…マイクロレンズアレイ、29…単位画素、30…画素部、31…光吸収層、32…光路、33…領域、34…層間絶縁膜、35…配線、100…電子機器、101…固体撮像装置、102…光学レンズ、103…シャッタ装置、104…駆動回路、105…信号処理回路、106…入射光