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特許7573540液体食品の調製のためのカプセルおよびシステム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-17
(45)【発行日】2024-10-25
(54)【発明の名称】液体食品の調製のためのカプセルおよびシステム
(51)【国際特許分類】
   B65D 85/804 20060101AFI20241018BHJP
【FI】
B65D85/804 100
【請求項の数】 15
(21)【出願番号】P 2021551911
(86)(22)【出願日】2020-02-28
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-04-19
(86)【国際出願番号】 EP2020055330
(87)【国際公開番号】W WO2020178192
(87)【国際公開日】2020-09-10
【審査請求日】2023-02-02
(31)【優先権主張番号】19160367.9
(32)【優先日】2019-03-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】521391335
【氏名又は名称】デリカ・アクチェンゲゼルシャフト
【氏名又は名称原語表記】DELICA AG
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】弁理士法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】クルツ,オリビア
(72)【発明者】
【氏名】グゲルリ,ラファエル
(72)【発明者】
【氏名】アフォルター,ローランド
(72)【発明者】
【氏名】ビュートリッヒ,マルティン
(72)【発明者】
【氏名】ブランシュバイラー,クリストフ
【審査官】吉澤 秀明
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2018/185058(WO,A1)
【文献】特開2018-187426(JP,A)
【文献】国際公開第2018/067013(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 85/804
A47J 31/06
A47J 31/36
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
液体食物の調製のためのカプセル(1)であって、
前記液体食物の前記調製のための少なくとも1つの物質(7)を受容するための受容空間を形成するための側壁(3)を有するとともに底部(4)を有するカプセル本体(2)と、前記カプセル本体(2)を閉鎖する蓋(5)と、を備え、
前記カプセル本体(2)は、前記蓋(5)を前記カプセル本体(2)にしっかりと接続するためのシール面(29)を備える周方向フランジ形状リム(8)を有し、
前記シール面(29)の反対側における前記周方向フランジ形状リム(8)の基部(9)上には、調製機器(30)のカプセルレセプタクル(31)の接触面(32)との封止協働のための、全周にわたって突出するシールリップ(10)が設けられ、
全周にわたって突出する前記シールリップ(10)は周方向に閉じられ、
前記シールリップ(10)は中空であり、前記周方向フランジ形状リム(8)の前記シール面(29)と実質的に直角を形成する2つの脚部(11a,11b)を有し、
前記シールリップ(10)は、前記周方向フランジ形状リム(8)の前記シール面(29)から測定される、少なくとも1.0mmの高さ(12)を有し、
全周にわたって突出する前記シールリップ(10)は、前記カプセルレセプタクル(31)の周方向溝(33)に受容されるように構成され、
全周にわたって突出する前記シールリップ(10)の前記2つの脚部(11a,11b)は、2つの周方向線において前記カプセルレセプタクル(31)の前記周方向溝(33)の内側の前記接触面(32)に接触するように適合され、
-前記シールリップ(10)は、実質的に塑性変形することなく、少なくとも500Nの1つの力(13)を吸収可能であるように形状決めおよび寸法決めされる、および/または、
-前記シールリップ(10)は、0.4mm~0.9mmの間の幅(14)を有する、および/または、
-前記シールリップ(10)は、前記カプセル本体(2)の中心軸(17)から15.8mm~16.3mmの間の径方向距離(16)で設けられる、カプセル(1)。
【請求項2】
前記カプセル本体(2)、前記周方向フランジ形状リム(8)および前記シールリップ(10)は、一体的に形成される、請求項1に記載のカプセル(1)。
【請求項3】
前記シールリップ(10)は、前記カプセル本体(2)の前記側壁(3)から0.4mm~0.9mmの間の径方向距離(15)で設けられる、請求項1または請求項2のいずれか一項に記載のカプセル(1)。
【請求項4】
前記シールリップ(10)は、その最高点において丸みを帯びている、請求項1乃至請求項3のいずれか一項に記載のカプセル(1)。
【請求項5】
前記シールリップ(10)の前記周方向フランジ形状リム(8)の前記基部(9)への遷移部には、0.1mm~0.5mmの間の半径(19a,19b)を有する丸みが提供される、請求項1乃至請求項4のいずれか一項に記載のカプセル(1)。
【請求項6】
前記周方向フランジ形状リム(8)は、さらなるシール輪郭を有さない、請求項1乃至請求項5のいずれか一項に記載のカプセル(1)。
【請求項7】
前記シールリップ(10)は、金属、または金属からなる少なくとも1つの層を有するラミネートで形成されている、請求項1乃至請求項6のいずれか一項に記載のカプセル(1)。
【請求項8】
前記シールリップ(10)の領域における材料は、0.1mm±0.05mmの材料厚さを有する、請求項1乃至請求項7のいずれか一項に記載のカプセル(1)。
【請求項9】
前記カプセル本体(2)の前記側壁(3)は、30.1mm±0.2mmの直径(20)を有する、請求項1乃至請求項8のいずれか一項に記載のカプセル(1)。
【請求項10】
前記カプセル本体(2)は、27.0mm~28.5mmの間の、前記底部(4)から前記周方向フランジ形状リム(8)の前記シール面(29)までの高さ(21)を有する、請求項1乃至請求項9のいずれか一項に記載のカプセル(1)。
【請求項11】
前記カプセル本体(2)は、60°±5°の第1円錐角度(22)を備える実質的に二重円錐台の形状を有する、請求項1乃至請求項10のいずれか一項に記載のカプセル(1)。
【請求項12】
前記カプセル本体(2)は、10mm±1mmの直径(25)を有する底面(24)を有する、請求項1乃至請求項11のいずれか一項に記載のカプセル(1)。
【請求項13】
前記カプセル本体(2)の前記側壁(3)は、前記基部(9)の近くの領域に段差形状の拡張部(26)を有し、前記拡張部(26)は、前記中心軸(17)の方向における前記シール面(29)から3.0mm~7.0mmの前記中心軸(17)の方向における前記シール面(29)からの距離における直径(25)を有する、請求項1乃至請求項12のいずれか一項に記載のカプセル(1)。
【請求項14】
請求項1乃至請求項13のいずれか一項に記載のカプセルと、調製機器(30)のカプセルレセプタクル(31)とを備えるシステムであって、前記シールリップ(10)は、前記カプセルレセプタクル(31)の前記周方向溝(33)に対応し、前記シールリップ(10)が前記周方向溝(33)に受容され、前記カプセルレセプタクル(31)の接触面(32)との封止接続を可能にする、システム。
【請求項15】
前記シールリップ(10)および前記周方向溝(33)は、前記カプセル(1)が前記カプセルレセプタクル(31)と前記調製機器(30)の閉鎖板との間に封入されるとき、前記周方向溝(33)における前記シールリップ(10)は、まず前記周方向溝(33)の第1側壁に接触し、さらなる閉鎖の間に、前記シールリップ(10)が前記第1側壁の反対側の前記周方向溝(33)の第2側壁上に支持されるまで弾性的に反らされるように、互いに合わせられる、請求項14に記載のシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液体食品を調製するためのカプセルおよびシステムに関する。典型的には、液体食物の調製のために、調製機器の淹出室には、カプセルが封入される。カプセルレセプタクルは、機器の閉鎖板に対して動き、カプセルのフランジとの封止接続を形成する。カプセルレセプタクルは、カプセルのフランジに面する側に、使用の過程で摩耗によって生じるあるいは機器製造者によって故意に提供される溝または刻み目を有して提供され得る。様々なカプセルおよびシステムが、先行技術から既に知られている。
【背景技術】
【0002】
たとえば、EP 1 654 966 A1、EP 1 849 715 A1およびEP 2 151 313 A1は、フランジを有するアルミニウムで作製されたカプセルを開示しており、フランジ上には異なる材料で作製されたシール要素が設けられる。これらのカプセルの欠点は、生産における付加的材料がさらなる処理工程を必要とするため、カプセルをより費用のかかるものにするということである。さらに、カプセルのリサイクルはかなり難しくなる。
【0003】
WO2014/184652A1およびWO2014/184651A1は、封入要素の作用の下、激しく変形するカプセルについて開示しており、そのフランジの領域は淹出室の封入要素の前縁の周りに引っぱられることさえある。この変形は、成功した封止を形成するのに高い力を必要とする。
【0004】
WO2016/041596A1は、そのフランジ上にシールリップを有する別のカプセルを開示する。シールリップは、封入要素の輪郭に従うことが意図される。シールリップの変形にもかかわらず、信頼性のある封止は達成されることができない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の目的は、先行技術の欠点を克服することである。特に、カプセルおよびシステムは、カプセルと機器のカプセルホルダとの間において単純で信頼性のある封止を可能にするように提供されるべきである。さらに、カプセルは容易かつ安価に製造されるべきであり、カプセルの材料はリサイクル可能であるべきである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この課題は、独立特許請求項に規定される装置によって解決される。さらなる実施形態は、従属特許請求項から生じる。
【0007】
液体食品の調製のための本発明に係るカプセルは、側壁を有するとともに底部を有するカプセル本体と、カプセル本体を閉鎖する蓋とを備える。カプセル本体は、好ましくは、回転対称および/または円錐台状の形状である。側壁および基部は、一体的に形成されてもよい。カプセル本体および蓋は、液体食物を調製するための少なくとも1つの物質を受容するための受容空間を形成する。カプセル本体は、蓋をカプセル本体にしっかりと接続するためのシール面を備える周方向フランジ形状リムを有する。シール面の反対側における周方向リムの基部上には、調製機器のカプセルレセプタクルの接触面との封止協働のための、周方向の突起するシールリップが設けられる。シールリップは、中空であり、フランジ形状リムのシール面と実質的に直角を形成する2つの脚部を有する。シールリップは、フランジ形状リムのシール面から測定される、少なくとも1.0mmの高さを有する。有利には、高さは、1.1mm~1.8mmの間、好ましくは1.2mm~1.6mmの間、特に好ましくは1.3mm~1.4mmの間である。カプセルと機器の封入要素との間における封止を保証するために、以下の構成のうちの少なくとも1つが必要とされる:
-シールリップが、実質的に塑性変形することなく、少なくとも500N、好ましくは少なくとも650N、特に好ましくは少なくとも800Nの力を吸収可能であるように形状決めおよび寸法決めされる、および/または、
-シールリップが、0.4mm~0.9mmの間、好ましくは0.5mm~0.8mmの間、特に好ましくは0.6mm~0.7mmの間の幅を有する、および/または、
-シールリップが、カプセル本体の中心軸から15.8mm~16.3mmの間、好ましくは15.9mm~16.2mmの間、特に好ましくは16.00mm~16.15mmの間の径方向距離で設けられる。
【0008】
ここでおよび以下において、以下の定義が適用される:
カプセルレセプタクルの接触面とは、カプセル、特にカプセルのフランジ状リムを機器の対応物とクランプ留めし、このクランプ作用によってカプセルとカプセルレセプタクルとの間に封止接続を形成する、機器のカプセルレセプタクルの領域であると理解される。したがって、これは、閉鎖方向におけるカプセルレセプタクルの前領域である。今日、使用可能である機器においては、この接触面は、放射状に走る溝または刻み目を有して提供されることがあり、周方向の溝も有し得る。
【0009】
実質的に直角とは、90°±10°、好ましくは±8°、特に好ましくは±7°の範囲の角度であると理解される。
【0010】
シールリップに加えられる力は、カプセルの軸方向かつシールリップの最高縁に対して垂直に加えられる。力を測定するための道具は、カプセルの軸方向に対して垂直である平面を有するべきである。
【0011】
実質的に塑性変形することがないことによって、力の作用の下、上述されたように、シールリップの弾性変形は許容されるが、力が除かれるとシールリップはその元の形状に戻ると理解される。この特徴を確認するために、力移動ダイアグラムを用いてその最高点に対して垂直なシールリップ上の負荷を記録することができる。特性曲線が100N~500Nの間、好ましくは100N~650Nの間、特に好ましくは100N~800Nの間の力において直線である場合が、このような弾性変形の特徴である。力が除かれ、力移動ダイアグラムが再び決定された後、新たな特性曲線は、特定の力範囲において既に記録された特性曲線と一致する。
【0012】
シールリップの幅は、シールリップの最高点または最高縁とシール面との間の中間で測定される。
【0013】
カプセルの中心軸までのシールリップの径方向距離とは、中心軸までのシールリップの最高縁の距離を言う。
【0014】
カプセルのフランジ状リム上にシールリップを形成することによって、単純かつ安価な封止が形成可能である。追加の要素は必要とされない。
【0015】
中空のシールリップとしてのシールリップの設計は、たとえば、金属材料を深絞りすることなどによって、フランジ状リムの一体的な設計を可能にする。したがって、カプセルは、低コストで製造可能である。
【0016】
シールリップの脚部をシール面に対して実質的に直角に位置合わせすることは、シールリップの安定性を増大させるため、カプセルレセプタクルの接触面の接触力が加えられたとき、それが圧縮されたり傾斜したりすることはない。
【0017】
シールリップの特定の高さによれば、淹出室の機械的閉鎖によって初期封止が可能となり、これは抽出の開始には十分である。高さが低いと要求を満たさず、より多くの漏れを生じさせることを、試験は示している。
【0018】
シールリップによって吸収可能である高い力は、シールリップが不必要に変形されず、漏れを促進し得る変形によって折り畳み部が形成されないことを保証する。
【0019】
選択されたシールリップの幅は、この幅が曲率半径によって最高縁の領域における安定した構造を容易に実現させるため、有利である。さらに、この幅は、周方向溝を有するカプセルレセプタクルを備える機器にとって有利である。シールリップは、この溝に係合可能であり、両側で溝の中に支持される。したがって、2つの周方向接触線が形成され、封止効果を最適化する。
【0020】
シールリップの径方向距離は、カプセルレセプタクルの接触面と適合するように選択される。特に、周方向溝を有するカプセルレセプタクルを備える機器において、径方向距離は、周方向溝の半径にほぼ対応するように選択される。これにより、シールリップは、少なくとも部分的に溝に適合し、2つの周方向接触線によって封止効果を最適化する。
【0021】
カプセル本体、フランジ形状リムおよびシールリップは、一体的に設計されてもよい。したがって、カプセルの費用対効果の高い生産が可能となる。たとえば、カプセルは、焼結、射出成形、プレス加工または成形によって、特に深絞り、熱成形、内部もしくは外部高圧成形によって製造され得る。
【0022】
シールリップは、カプセル本体の側壁から0.4mm~0.9mmの間、好ましくは0.5mm~0.75mmの間、特に好ましくは0.55mm~0.65mmの間の径方向距離で設けられ得る。側壁のシール面との仮想交差点とシールリップの内側脚部のシール面との仮想交差点との間の距離が測定される。このような寸法決めは、カプセルレセプタクルがその前領域において壁薄であるために接触面が狭い場合、またはカプセルレセプタクルが周方向溝を有する場合、有利である。したがって、カプセルレセプタクルの領域は、シールリップと側壁との間に収容されることができ、また、改善された封止のための2つの周方向接触線を形成する。
【0023】
シールリップは、その最高点において丸みを帯びていてもよく、特に、0.15mm~0.45mmの間、好ましくは0.20mm~0.40mmの間、特に好ましくは0.25mm~0.35mmの間の曲率半径を有してもよい。シールリップの丸みを帯びた設計は、構造を安定化し、変形に対する抵抗を増大させる。半径は、最高点においてシールリップの外側で測定される。加えて、丸みを帯びた設計は、シールリップと接触する状態となるときに、カプセルレセプタクルの過度の摩耗を防ぐ。好ましくは、丸みは、シールリップの最高点から脚部の領域まで広がる。
【0024】
シールリップのフランジ形状リムの基部への遷移部には、0.1mm~0.5mmの間、好ましくは0.1mm~0.4mmの間、特に好ましくは0.1mm~0.3mmの間の半径を有する丸みが提供され得る。好ましくは、内側脚部と側壁に面する基部との間における半径は、外側脚部と基部との間における反対側の半径よりも大きい。丸みまたは曲率半径は、シールリップに面する側、すなわちシール面から離れて面する側において測定される。丸みを帯びた遷移部を有する設計は、カプセルの生産を単純化するとともに、シールリップの安定性に好影響を与える。
【0025】
好ましくは、フランジ形状リムは、さらなるシール輪郭を有しない。特に、フランジ形状リムは、ちょうど1つのシールリップを有する。たった1つのシールリップを設計することによって、生産は単純化され、カプセルは低コストで生産されることができる。
【0026】
シールリップは、金属、特にアルミニウムもしくはアルミニウム合金、または金属の、特にアルミニウムもしくはアルミニウム合金からなる少なくとも1つの層を有するラミネートから形成され得る。金属は、ブリキ、クロム鋼、チタン、アルミニウム、スズ、銅、黄銅、またはその合金を含む群から選択され得る。いくつかの金属層またはプラスチックと金属層との組み合わせを含むラミネートも考えられる。食物の用途または要求に応じて、カプセルは、異なる材料で作製されてもよく、または適切にコーティングされてもよい。コーティングは、たとえば、蒸着、ほうろう、または陽極酸化で施され得る。最も費用対効果の高い変形例が、各場合において選択され得る。
【0027】
材料は、シールリップの領域において0.1mm±0.05mm、好ましくは±0.03mm、特に好ましくは±0.01mmの厚さを有し得る。選択された材料に応じて、材料厚さは、要求される封止効果を保証することができるように変化してもよい。薄い材料厚さは、カプセルの材料コストを低減させる。
【0028】
カプセル本体の側壁は、30.1mm±0.2mm、好ましくは±0.1mm、特に好ましくは±0.05mmの直径を有し得る。この場合において、直径は、側壁のシール面との仮想交差点において測定される。直径は、好ましくは、機器のカプセルレセプタクルの内径に適合される。しかしながら、最適な嵌合は、選択された直径で達成可能であり、きつすぎる嵌合による従来の機器における詰まりも、大きすぎる隙間による楔もないことが示されている。加えて、側壁とカプセルレセプタクルの内径との間における初期封止が既に可能とされ、カプセルの最適なセンタリングが保証される。
【0029】
カプセル本体は、27.0mm~28.5mmの間、好ましくは27.5~28.0mmの間、特に好ましくは27.8mm~27.9mmの間の、底部からフランジ形状リムのシール面までの高さを有し得る。高さは、カプセルの外側において測定される。提案された高さは、従来の機器におけるカプセルの底部の正確な穴開けを保証することに関連する。カプセルが要求された高さを有していない場合、不十分な穿孔が起こることがあるため、抽出流体がカプセルに導入されないまたはほとんど導入されない可能性がある。カプセルが高すぎる場合、淹出室の適切な閉鎖が妨げられ、最悪の場合、機器の故障を引き起こし得る。
【0030】
カプセル本体は、60°±5°、好ましくは±2°、より好ましくは±1°の第1円錐角度を有する実質的に二重円錐台の形状を有し得る。第1円錐角度は、カプセルの底部に隣接する領域における円錐角度である。第2円錐角度は、6°±5°、好ましくは±3°、特に好ましくは±2°であり得る。第2円錐角度は、側壁の領域における円錐角度であると考えられる。第1円錐角度は、有効な閉鎖の前およびカプセルレセプタクルの接触面がカプセルのフランジ形状リムと接触する前であっても、淹出室の閉鎖の間に、カプセルの初めのセンタリングを可能にする。通常、機器の淹出室には、淹出室を閉鎖するときにカプセルの底部領域に穴を開ける、3つ以上の穴開け要素が備えられる。第1円錐角度は、穴開け要素がカプセルに穴を開ける前に、カプセルホルダにまだ固定されていないカプセルが、既に位置合わせされ、センタリングされることを保証する。第2円錐角度は、カプセルレセプタクルの内側形状に本質的に適合され、また、閉鎖の間にさらなるセンタリングを保証する。
【0031】
カプセル本体は、10mm±1mm、好ましくは±0.5mm、特に好ましくは±0.2mmの直径を有する底面を有し得る。直径は、第1円錐角度の隅点の底部において測定される。底面は、第1円錐角度およびカプセルの高さとともに、カプセル本体に対する穴開け要素の正確な位置を保証する。
【0032】
カプセル本体の側壁は、基礎付近の領域に段差形状の拡張部を有してもよい。拡張部は、3.0mm~7.0mm、好ましくは4.0mm~6.0mm、特に好ましくは4.5mm~5.5mmの中心軸の方向におけるシール面からの距離で設けられる。この拡大は、0.1mm~2.0mmの間、好ましくは0.3mm~1.0mmの間、特に好ましくは0.4mm~0.5mmの間の外径における変化を含んでもよい。フランジ形状リムの近くのカプセル本体の拡大は、カプセルレセプタクルにおけるカプセルのセンタリングを改善する。したがって、シールリップのカプセルレセプタクルの接触面との正確な相互作用が改善され得る。さらに、側壁とカプセルレセプタクルの内部との間において、初期封止が既に形成される。
【0033】
液体食物の調製のための本発明に係るカプセルは、特に上述されたように、少なくとも1つの物質を受容するための受容空間を形成するための、側壁および基部を有するカプセル本体と、カプセル本体を閉鎖する蓋とを備える。カプセル本体は、回転対称および/または円錐台形の形状であり得る。基部は、側壁と一体的に形成されてもよい。カプセルは、蓋をカプセル本体にしっかりと接続するためのシール面を備える周方向フランジ形状リムを有する。シール面の反対側のフランジ形状リムの基部上には、調製機器のカプセルレセプタクルの接触面との封止協働のための、突出するシールリップが設けられる。シールリップは、中空であり、フランジ形状リムのシール面と実質的に直角を形成する2つの脚部を有する。カプセル本体の側壁に向かって方向付けられるシールリップの脚部は、カプセル本体の中心軸から径方向距離を有し、この距離は、カプセルレセプタクルの外向き接触面の軸に対して45°の傾きを有する外側周方向線から、カプセルレセプタクルの中心軸までの距離と実質的に等しい。実質的に等しいサイズとは、ここで、実質的に等しいサイズによって、外側周方向線の中心軸までの距離に対するシールリップの中心軸までの距離の比率は、0.90~1.10の範囲、好ましくは0.95~1.05の範囲、特に好ましくは0.99~1.03の範囲になると理解される。カプセルの中心軸からの側壁に向かって方向付けられるシールリップの脚部の径方向距離は、シールリップの最高点または最高縁とシール面との間の中間で測定される。
【0034】
カプセルのフランジ状リム上にシールリップを形成することによって、単純かつ安価な封止が形成可能である。追加の要素は必要とされない。
【0035】
中空のシールリップとしてのシールリップの設計は、たとえば、金属材料を深絞りすることなどによって、フランジ状リムの一体的な設計を可能にする。したがって、カプセルは、低コストで製造可能である。
【0036】
シールリップの脚部を実質的に直角に位置合わせすることは、シールリップの安定性を増大させるため、カプセルレセプタクルの接触面の接触力が加えられたとき、それが圧縮されたり傾斜したりすることはない。
【0037】
カプセルレセプタクルの外向き接触面の軸に対して45°の傾きを有する外側周方向線に対するシールリップの内側脚部の選択された位置決めによって、封止効果を発揮するために、外向き接触面がシールリップの内向き脚部と適合することが保証され得る。特にそれらの接触面において周方向溝を有するカプセルレセプタクルの場合、溝内の接触面の外向き領域は、シールリップの内向き脚部と相互作用し得る。
【0038】
シールリップは、カプセル本体の側壁から径方向距離で設けられてもよく、この距離は、外側周方向線と、カプセルレセプタクルの内向き接触面の45°の傾きによって規定される内側周方向線との間の距離に少なくとも等しく、特に、少なくとも1.05の倍率で、好ましくは少なくとも1.10の倍率で大きい。側壁のシール面との仮想交差点とシールリップの内側脚部のシール面との仮想交差点との間の距離が測定される。このような寸法決めは、カプセルレセプタクルがその最前領域において薄壁であるために接触面が狭い場合、またはカプセルレセプタクルが周方向溝を有する場合に有利である。したがって、カプセルレセプタクルの領域は、シールリップと側壁との間に収容されることが可能であり、改善された封止のための2つの周方向接触線を形成する。
【0039】
カプセル本体の側壁は、カプセルレセプタクルの直径よりも最大1.5%小さい、好ましくは最大1.0%小さい、特に好ましくは最大0.5%小さい直径を有し得る。カプセル本体の直径は、側壁のシール面との仮想交差点において決定される。カプセルレセプタクルの直径は、その内面のカプセルレセプタクルの開口部に架かる水平面との仮想交差点において決定される。このようにカプセルレセプタクルの直径に対して側壁の直径を一致させることによって、最適な嵌合が達成され得る。カプセルは、きつすぎる嵌合のために詰まることもなければ、大きすぎる間隙のためにカプセルレセプタクルに楔留めされることもない。加えて、側壁とカプセルレセプタクルの内径との間の初期封止が既に可能とされ、カプセルの最適なセンタリングが保証される。
【0040】
カプセル本体の底部の領域には、フリースが設けられてもよい。この場合、フリースは、カプセルの底部と物質との間に設けられる。特に基部から蓋まで液体を通過させることによって液体食品が調製されるカプセルの場合、これは、カプセルに封入される物質を均一に湿らせることに有利に働く。このため、たとえば、物質におけるチャネル形成が回避され得る。加えて、乱流が壊され、フローピークが滑らかになり得る。物質は等しく湿らされ、これは、高品質飲料を得るために、特にコーヒーを抽出するときに重要な基準である。加えて、フリースのバルブ効果は、穴開け手段によって形成される開口部の大きさに関係なく、均一な流れを保証する。同じカップの結果のために、カプセルにおける飲料物質の充填重量は低減され得る。充填重量を低減することによって、より少ない物質投入量に起因して、飲料のCO2フットプリントがより小さくなる。加えて、フリースは、調製機器の貫通手段が物質で汚染されることを防止する、および/または、機器からカプセルを取り出した後に物質が貫通手段の穴開き開口部を通ってカプセルから漏れることを防止する。さらに、フリースは、飲料物質のために利用可能なカプセル体積を制限することが可能であり、同様に飲料物質のさらなる低減にもつながり得る。
【0041】
フリースは、調製機器の貫通手段によって貫通されないように設計されてもよい。機器からカプセルを取り出した後における物質の漏れが防止される。
【0042】
フリースは、カプセルの底部の縁部領域に固定されてもよい。これは、調製機器の貫通手段がフリースの外側のカプセル基部に穴を開けるリスクを低減する。
【0043】
フリースは、カプセル底部の面全体にわたって、または縁部領域にのみにおいて、好ましくは環状経路に沿って、底部に取り付けられてもよい。フリースが面全体にわたって取り付けられない場合、フリースの弾性はある量の移動を可能にするため、カプセル内へ流れる液体の圧力の下、フリースはカプセルの内部に向かって動かされる。フリースは、調製機器の貫通手段の作用の下、カプセルの内部に向かって押されることもある。これにより、カプセルの内部の自由体積が低減される。カプセルの中の物質は、対応してより隙間なく封入され、カプセルの配向に関係なく、物質の分配がより均等になる。コーヒーカプセルの場合、これは、規定されたフィルタベッドの積上げに有利に働く。調製された食物の品質の再現性は、変動するおよび/またはより小さい物質体積の場合においても改善される。代替的には、フリースは、側壁からカプセル基部までの遷移部の領域において、側壁に取り付けられてもよい。
【0044】
フリースは、膨張する材料を備えてもよい。これにより、フリースが濡れたとき、カプセル体積がさらに低減されるため、物質はより隙間なく封入される。これは、調製された食品の改善された、より均一な品質をもたらす。
【0045】
カプセル基部の領域におけるまたは側壁へのフリースの取付けは、シーリングによって、好ましくはヒートシーリングによって達成され得る。たとえば、シールは、20.0mm~23.0mmの間、好ましくは20.5mm~22.5の間、より好ましくは21.0mm~22.0mmの間の外径を有する。シールの内径は、17.5mm~20.5mm、好ましくは18.0mm~20.0mmの間、特に好ましくは19.0mm~20.0mmの間であり得る。シールの幅は、0.50mm~5.00mm、好ましくは0.75mm~3.00mm、特に好ましくは0.75mm~1.75mmの間である。
【0046】
フリースの外径は、シールの外径よりも大きくてもよい。フリースの縁部は、カプセル本体の側壁と接触してもよい。加えて、シーリングのための公差は大きく選択されてもよく、これはより好ましい製造プロセスをもたらす。
【0047】
シーリングは、閉鎖曲線に沿って周方向に行われてもよい。シーリングは、周方向セグメントのような態様で実行されてもよい。2つのシーリング領域間の間隙の幅は、2.0mm以下、好ましくは1.5mm以下、特に好ましくは1.0mm以下であるべきである。
【0048】
シーリングは、好ましくは、調製中にフリースがカプセル本体から離れないように設計される。ある領域におけるフリースの離脱は、調製後に、貫通手段によって形成されたカプセル基部における開口部から物質が漏れることをフリースが確実に防止する限り、考えられる。
【0049】
フリースは、フリースとカプセル基部との間に自由空間が形成されるように、カプセル基部の領域にまたは側壁へ取り付けられてもよい。距離は、0.5mm~2.0mmの範囲内であり、好ましくは0.75mm~1.5mmの間であり、特に好ましくは1.0mmである。特にカプセル基部の少なくとも部分領域の円錐設計の場合、フリースの良好な可動性が保証され得る。
【0050】
フリースは、10.0g/m~55.0g/m、好ましくは12.5g/m~28.0g/mの秤量を有し得る。好ましくは、フリースは、艶出しされず、微穿孔を有しない。
【0051】
フリースは、41μm~180μmの間、好ましくは70μm~100μmの間、より好ましくは75μm~85μmの間の乾燥厚さを有し得る。
【0052】
フリースは、好ましくはポリエチレン(PE)からなる、シール繊維で提供され得る。好ましくは、シール繊維は、1つの側壁にのみ設けられる。
【0053】
好ましくは、フリースは、単一層である。したがって、液体食品の調製中に層の分離は起こり得ない。したがって、異なる設計のフリースの頂側および底側は、その製造中に既に考慮されなければならない。
【0054】
記載されたアルミニウムで作製されたシールリップとの組み合わせにおいて、フリースの上述の配置は特に有利であるが、このようなフリース配置は他のカプセルおよび他のシール配置についても有利であり得ると理解される。
【0055】
本発明の別の局面は、上述されたようなカプセルと、調製機器のカプセルレセプタクルとを備えるシステムに関する。シールリップは、シールリップが溝に受容され、カプセルレセプタクルの接触面と封止接続を可能にするように、カプセルレセプタクルの溝に対応する。
【0056】
シールリップおよび溝は、カプセルがカプセルレセプタクルと調製機器の閉鎖板との間に封入されるとき、溝におけるシールリップは、まず溝の第1側壁に接触し、さらなる閉鎖の間に、シールリップが第1側壁の反対側の溝の第2側壁上に支持されるまで弾性的に反らされるように、互いに合わせられ得る。両側における接触または支持は、追加的な封止輪郭を形成し、封止効果を改善する。さらに、シールリップが弾性範囲においてのみ横方向に変形することが達成され得る。したがって、より高い封止力が加えられて、封止効果をさらに改善し得る。
【0057】
本発明は、実施形態の単なる例示である図面を参照して、以下、より詳細に説明される。
【図面の簡単な説明】
【0058】
図1】本発明に係るカプセルの断面図である。
図2図1に係るカプセルのシールリップの領域の拡大図である。
図3図2に係るカプセルの拡大描写であり、カプセルレセプタクルの前端部が追加的に描かれている図である。
図4図3に係る描写であり、カプセルレセプタクルがカプセルとの封止接続を形成している図である。
図5】力移動ダイアグラムの図解である。
図6】本発明に係るカプセルのさらなる実施形態の断面図である。
図7】カプセル本体と図6に係るフリース繊維との間におけるシールの概略的描写である。
【発明を実施するための形態】
【0059】
図1は、本発明に係るカプセル1の断面図を示す。カプセル1は、側壁3と底部4とを有するカプセル本体2を備える。カプセル本体2は、蓋5を固定するためのシール面29を備える、周方向フランジ形状リム8を有する。カプセル1は、好ましくは、芳香および酸素を密封するように閉鎖されるため、物質7は、カプセル1の内部に収容されることができ、カプセル本体2および蓋5によって封入される。カプセル本体2は、回転対称であり円錐台形の形状である。したがって、カプセル本体2は、中心軸17を有する。カプセル1の蓋5は、カプセル1中に広がる内圧の下、曲げられる。
【0060】
フランジ形状リム8は、シールリップ10が突出する、シール面29の反対側における基部9を有する。シールリップ10は、側壁3の周りに形成される。フランジ形状リム8はその外側端部に丸められたリムを有し、リム8は異なる方法で仕上加工されてもよい。カプセル本体2は、基本的には二重円錐台の形状で形成される。その基部4からは、60°の第1円錐角度22を有する円錐面が突出する。約6°の第2円錐角度23を有する別の円錐面がこの円錐面に隣接する。この第2円錐面は、いくつかの段差26,28を有する側壁3を形成する。これらの段差の各々において、円錐角度および外径は最小限で変化する。最後の段差は、0.4mmの直径変化を伴う側壁3の拡張部26である。この拡張部は、シール面29から4.7mm~5.4mmの間の軸方向における距離に位置する。カプセル1の底部4は、10mmの直径25を備える、底面24を有する。カプセル1は、27.85mmの高さ21を有する。高さ21は、基部4とシール面29との間で測定される。
【0061】
図2において、図1に示されるようなカプセル1のカプセル本体2のシールリップ10の領域が拡大されて示される。カプセル本体2の側壁3から始まって、フランジ形状リム8は外側に広がる。フランジ形状リム8は、蓋5(図1参照)が取り付けられるシール面29を形成する。シール面29の反対側には、リムの基部9が見られ、そこからシールリップ10が生じる。シールリップ10は中空である、すなわち、対応する凹部がシール面29の側に形成される。シールリップ10は、側壁3に向かって方向付けられる内側脚部11aと、外側に方向付けられる外側脚部11bとを有する。2つの脚部11a,11bは6.67°の角度を囲み、これにより、外側脚部11bは基部9に対してまたはシール面29に対してほぼ垂直に設けられる。
【0062】
シールリップ10は、その最高点において0.3mmの曲率半径18を有する。基部9から外側脚部11bまでの遷移部は0.1mmの曲率半径19bを有し、基部9から内側脚部11aまでの遷移部は0.3mmの曲率半径19aを有する。半径は、各々、シール面29の反対側で測定される。シールリップ10は、シールリップ10の最高点とシール面29との間の半分の高さにおいて測定される、0.65mmの幅14を有する。シールリップ10の最高点とシール面29との間において測定されたシールリップ10の高さ12は、1.35mmである。
【0063】
シールリップ10の最高点または縁は、カプセル1の中心軸17から16.1mmの距離16に位置する。シールリップ10は、側壁3から0.6mmの径方向距離15を有する。シールリップ10と側壁3との間における径方向距離15は、側壁3のシール面29との仮想交差点と内側脚部11aのシール面29との仮想交差点との間で測定される。カプセル本体2の側壁3は、30.1mmの直径20を有する。直径20は、側壁3のシール面29との仮想交差点において決定される。カプセル本体は、シールリップ10の領域において0.1mmの材料厚さを有する。
【0064】
中心軸17の方向にシールリップ10の最高点上に作用する、シールリップ10の負荷限界を決定するための力13も描かれている。この力13は、図5に示されるような力移動ダイアグラムを記録するためにも用いられる。
【0065】
図3は、図2に示されるようなカプセル1の拡大図を示し、カプセルと接触する前におけるカプセルレセプタクル31の追加的な前端部が描かれている。理想的には、カプセルの中心軸17は、カプセルレセプタクル31の中心軸38と一致する。カプセルレセプタクル31は、理想的にはカプセルのシールリップ10と協働する、カプセルのフランジ形状リムに面する、その前端部における溝33を有する。
【0066】
シールリップ10がカプセルレセプタクル31の接触面32と協働するために、カプセル1の中心軸17からの内側脚部11aの距離27は、カプセルレセプタクル31の中心軸38から、カプセルレセプタクル31の接触面32の外向き領域の、軸38に対して45°の傾きを有する外側周方向線36の距離35に実質的に等しくなければならない。好ましくは、2つの距離27および35は、0.9~1.1の間、好ましくは0.95~1.05の間、より好ましくは0.99~1.03の間の比率を有する。この場合、カプセル1の中心軸17からの内側脚部11aの距離27は、シールリップ10の最高点または縁とシール面29との間の中間で測定される。
【0067】
さらに、カプセル本体2の側壁3からのシールリップ10の径方向距離15が、外側周方向線36と、カプセルレセプタクル31の接触面32の内向き部分の45°の傾きによって規定される内側周方向線37との間における距離40に少なくとも等しい場合、有利である。
【0068】
カプセル本体2の側壁3の直径20は、カプセルレセプタクル31の直径41よりも0.8%の倍率で小さく、カプセルレセプタクル31の直径41は、その内面のカプセルレセプタクルの開口部に架かる水平面との仮想交差点において測定される。
【0069】
図4において、図3に係る描写が示される。カプセルレセプタクル31はカプセル1との封止接続を既に形成している。シールリップ10は、カプセルレセプタクル31の溝33に受容され、2つの周方向線においてカプセルレセプタクル31の接触面32に接触する。淹出室を閉鎖するとき、シールリップ10は、第1点において接触面32に接触し得る。淹出室を閉鎖するときにカプセルレセプタクル31の接触圧力を増大させることによって、シールリップ10は、両側において溝33に受容されて、その結果、接触した状態になるまで、横方向にへこむのみであり得る。弾性変形のみが横方向に起こり得る。より高い接触圧力は、改良された封止効果をもたらす。
【0070】
図5は、シールリップの最高縁上における軸方向に作用する力13(図2参照)の力移動ダイアグラムを示す。力を測定するための道具は、カプセルの軸方向に対して垂直に延びる平面を有する。100Nから500Nを超える範囲における力移動ダイアグラムの増大の直線範囲がはっきりと見られ得る。この直線範囲は、シールリップの弾性変形によって説明され得る。それが弾性変形であることは、同一カプセルにおいて測定を繰り返すことによって検証され得る。2回目の測定の力移動ダイアグラムが1回目の測定のそれと一致する場合、それは弾性変形である。
【0071】
図6は、基部4の領域に設けられるフリース43をさらに有する、本発明に係るカプセル1のさらなる実施形態の断面を示す。それ以外の点においては、カプセル本体2およびカプセル1は図1に係る実施形態に対応する。蓋および物質は示されない。対応する詳細部はさらに説明されない。
【0072】
フリース43は、シール44で基部4の円錐部分領域においてカプセル本体2に取り付けられる。これにより、フリース43は、カプセル底部4とフリース43との間に自由距離47が形成されるように、カプセル本体2に設けられる。この距離47は、フリース43の可動性とともに、カプセル1が調製機器の貫通手段で開口されるときにフリースが穿刺されることを防止する。距離47は1.0mmである。カプセル本体2とフリース43との間におけるシール43は、環状経路に沿っており、21.5mmの外径46および19.6mmの内径45を有する。
【0073】
フリース43は、必ずしも平坦でなくてもよいが、距離47でカプセル1の基部4にほぼ平行に広がる円錐台形状を有し得る。
【0074】
フリース43は、25.0g/mの秤量および77μmの厚さを有する。さらに、フリース43は、50%の湿度および23℃の温度において、ISO9237:1995にしたがって、300l/smよりも大きい空気透過率を有する。
【0075】
図7は、カプセル本体2とフリース43(図6参照)との間におけるシール44の概略的描写を示す。シール44は、1.0mmの幅49を有するシール間隙48によって各々分離される、2つの環状セグメントからなる。言うまでもなく、たった1つのシール間隙または複数、特に3つ、4つ、5つ、6つ、7つ、8つまたはそれ以上のシール間隙があることも考えられる。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7