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特許7573541バイオアベイラビリティが改善した中鎖脂肪酸トリグリセリド製剤およびそれに関連する方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-17
(45)【発行日】2024-10-25
(54)【発明の名称】バイオアベイラビリティが改善した中鎖脂肪酸トリグリセリド製剤およびそれに関連する方法
(51)【国際特許分類】
   A61K 31/23 20060101AFI20241018BHJP
   A61P 25/28 20060101ALI20241018BHJP
【FI】
A61K31/23
A61P25/28
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2021552581
(86)(22)【出願日】2020-03-04
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-04-25
(86)【国際出願番号】 US2020020976
(87)【国際公開番号】W WO2020180980
(87)【国際公開日】2020-09-10
【審査請求日】2023-03-06
(31)【優先権主張番号】62/813,448
(32)【優先日】2019-03-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/837,136
(32)【優先日】2019-04-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】502398171
【氏名又は名称】セレシン・インコーポレーテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100118902
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 修
(74)【代理人】
【識別番号】100106208
【弁理士】
【氏名又は名称】宮前 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100196508
【弁理士】
【氏名又は名称】松尾 淳一
(74)【代理人】
【識別番号】100107386
【弁理士】
【氏名又は名称】泉谷 玲子
(72)【発明者】
【氏名】ヘンダーソン,サミュエル・ティー
(72)【発明者】
【氏名】ボイビン,タリン
(72)【発明者】
【氏名】ウォーカー,ジュディス・エム
【審査官】田澤 俊樹
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-80175(JP,A)
【文献】特表2003-531857(JP,A)
【文献】特表2016-514725(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K 31/00-33/44
A61P 1/00-43/00
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
CAplus/REGISTRY/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
疾患または障害の治療を必要とする対象において疾患または障害を治療する方法に使用するための、治療有効量の中鎖脂肪酸トリグリセリド(MCT)を含む医薬組成物であって、ここにおいて前記方法は、
(a)標準食の30分後におよびタンパク質の実質的な非存在下で前記医薬組成物を投与する、ここにおいて、前記医薬組成物は、以下の:
i.投与後少なくとも3時間以内、少なくとも2.5時間以内、投与後少なくとも2時間以内、投与後少なくとも1.5時間以内、もしくは、投与後少なくとも1時間以内の総ケトンの最大血清濃度(Cmax);
ii.投与後少なくとも3時間以内、少なくとも2.5時間以内、投与後少なくとも2時間以内、投与後少なくとも1.5時間以内、もしくは、投与後少なくとも1時間以内のb-ヒドロキシ酪酸(BHB)の最大血清濃度(Cmax);および/または、
iii.投与後少なくとも3時間以内、少なくとも2.5時間以内、投与後少なくとも2時間以内、投与後少なくとも1.5時間以内、もしくは、投与後少なくとも1時間以内のアセト酢酸(AcAc)の最大血清濃度(Cmax)
の少なくともいずれか1つをもたらす;あるいは、
(b)標準食の30分後におよびタンパク質の存在下で前記医薬組成物を投与する、
ここにおいて、前記医薬組成物は、以下の:
i.投与後少なくとも2.5時間後の、投与後少なくとも3.0時間後の、投与後少なくとも3.5時間後の、投与後少なくとも4.0時間後の、もしくは、投与後少なくとも5時間後の総ケトンの最大血清濃度(Cmax);
ii.投与後少なくとも2.5時間後の、投与後少なくとも3.0時間後の、投与後少なくとも3.5時間後の、投与後少なくとも4.0時間後の、もしくは、投与後少なくとも5時間後のb-ヒドロキシ酪酸(BHB)の最大血清濃度(Cmax);および/または、
iii.投与後少なくとも2.5時間後の、投与後少なくとも3.0時間後の、投与後少なくとも3.5時間後の、投与後少なくとも4.0時間後の、もしくは、投与後少なくとも5時間後のアセト酢酸(AcAc)の最大血清濃度(Cmax)
の少なくともいずれか1つをもたらす、
前記医薬組成物。
【請求項2】
MCTの治療有効量が20gであり、ここにおいて、前記医薬組成物が以下の:
i.総ケトンのCmaxが少なくとも400μmol/L、少なくとも450μmol/L、または少なくとも500μmol/Lである、
ii.BHBのCmaxが少なくとも400μmol/L、少なくとも450μmol/L、または少なくとも500μmol/Lである、ならびに/あるいは、
iii.AcAcのCmaxが少なくとも50μmol/L、少なくとも60μmol/L、少なくとも70μmol/L、少なくとも80μmol/L、少なくとも90μmol/L、または少なくとも100μmol/Lである、
少なくともいずれか1つを提供する、
請求項1の医薬組成物。
【請求項3】
前記医薬組成物が1~3のpHで安定である、請求項1または請求項2に記載の医薬組成物。
【請求項4】
MCTの治療有効量が20gであり、ここにおいて、前記医薬組成物が以下の:
i.総ケトンのCmaxが少なくとも200μmol/L、少なくとも250μmol/L、少なくとも300μmol/L、または少なくとも350μmol/Lである;
ii.BHBのCmaxが少なくとも200μmol/L、少なくとも250μmol/L、少なくとも300μmol/L、または少なくとも350μmol/Lである;ならびに/あるいは、
iii.AcAcのCmaxが少なくとも20μmol/L、少なくとも25μmol/L、少なくとも30μmol/L、少なくとも35μmol/L、または少なくとも40μmol/Lである、
請求項1に記載の医薬組成物。
【請求項5】
前記医薬組成物が5~7のpHで安定である、請求項1または請求項4に記載の医薬組成物。
【請求項6】
疾患または障害が、認知機能の低下を伴う疾患または障害である、あるいは、疾患または障害が、アルツハイマー病および加齢に伴う記憶障害から選択される、認知機能の低下を伴う疾患または障害であり、あるいは、前記対象がApoE4遺伝子型を欠く、請求項1-5のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項7】
総ケトン、BHB、および/またはAcAcの量が酵素法を使用して決定される、請求項1-6のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項8】
前記医薬組成物がエマルションであり、
前記エマルションが、少なくとも10分間、少なくとも20分間、少なくとも30分間、少なくとも45分間、少なくとも1時間、少なくとも2時間、少なくとも4時間、少なくとも5時間、または少なくとも24時間相分離しない;あるいは、
前記エマルションが、100nm~1000nm、100nm~500nm、または200nm~300nmの平均液滴径を有する;あるいは、
前記エマルションが、少なくとも10分間、少なくとも20分間、少なくとも30分間、少なくとも45分間、少なくとも1時間、少なくとも2時間、少なくとも4時間、少なくとも5時間、または少なくとも24時間相分離せず、そして、前記エマルションが、100nm~1000nm、100nm~500nm、または200nm~300nmの平均液滴径を有する、
請求項1-7のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項9】
前記医薬組成物が、少なくとも95%のカプリル酸トリグリセリドを含む、請求項1-8のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項10】
前記医薬組成物が、少なくとも98%のカプリル酸トリグリセリドを含む、請求項1-9のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
[0001]本出願は、2019年3月4日に出願された米国仮出願第62/813,448号、および2019年4月22日に出願された米国仮出願第62/837,136号の利益を主張する。これらの開示の各々は、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
[0002]本開示は、タンパク質が存在するまたはタンパク質が存在しない高い薬物充填量の中鎖脂肪酸トリグリセリドを含む医薬組成物、ならびにそのような組成物の製造方法および使用方法に関する。
【背景技術】
【0003】
[0003]中鎖脂肪酸トリグリセリド(MCT)は、5~12個の炭素の鎖長を有する脂肪酸からなる。MCTは広く研究されており、公知の栄養用途および医薬用途を有する。MCTは、室温で液体となる融点を有する。さらに、MCTは比較的小さく、生理学的条件下でイオン化可能であり、水溶液に概ね溶解する。
【0004】
[0004]医薬組成物として使用することを意図するとき、意図する治療に基づき特定の薬物動態特性(例えば、Cmax、Tmax等)を達成することが望ましい場合が多い。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
[0005]そのため、特定の薬物動態特性を達成するMCTの医薬組成物が当技術分野には必要である。
【課題を解決するための手段】
【0006】
[0006]一側面において、本開示は、治療有効量の中鎖脂肪酸トリグリセリド(MCT)を投与するステップを含む、疾患または障害の治療を必要とする対象において疾患または障害を治療する方法であって、MCTの治療有効量が医薬組成物で投与され、MCT組成物が、標準食の30分後におよびタンパク質の実質的な非存在下で投与される場合、投与後少なくとも3時間以内に総ケトンの最大濃度(Cmax)をもたらす方法に関する。いくつかの態様において、Cmaxは総ケトンの最大血清濃度である。いくつかの態様において、MCT組成物は投与後少なくとも2.5時間、投与後少なくとも2時間、投与後少なくとも1.5時間、または投与後少なくとも1時間以内に総ケトンの最大血清濃度(Cmax)をもたらす。特定の態様において、MCTの治療有効量は20gであり、総ケトンのCmaxは少なくとも400μmol/L、少なくとも450μmol/L、または少なくとも500μmol/Lである。いくつかの態様において、MCT医薬組成物は約1~約3のpHで安定である。
【0007】
[0007]一側面において、本開示は、治療有効量の中鎖脂肪酸トリグリセリド(MCT)を投与するステップを含む、疾患または障害の治療を必要とする対象において疾患または障害を治療する方法であって、MCTの治療有効量が医薬組成物で投与され、MCT組成物が、標準食の30分後におよびタンパク質の実質的な非存在下で投与される場合、投与後少なくとも3時間以内にb-ヒドロキシ酪酸(BHB)の最大濃度(Cmax)をもたらす方法に関する。いくつかの態様において、CmaxはBHBの最大血清濃度である。いくつかの態様において、MCT組成物は、投与後少なくとも2.5時間、投与後少なくとも2時間、投与後少なくとも1.5時間、または投与後少なくとも1時間以内にBHBの最大血清濃度(Cmax)をもたらす。特定の態様において、MCTの治療有効量は20gであり、BHBのCmaxは少なくとも400μmol/L、少なくとも450μmol/L、または少なくとも500μmol/Lである。いくつかの態様において、MCT医薬組成物は約1~約3のpHで安定である。
【0008】
[0008]一側面において、本開示は、治療有効量の中鎖脂肪酸トリグリセリド(MCT)を投与するステップを含む、疾患または障害の治療を必要とする対象において疾患または障害を治療する方法であって、MCTの治療有効量が医薬組成物で投与され、MCT組成物が、標準食の30分後におよびタンパク質の実質的な非存在下で投与される場合、投与後少なくとも2.5時間以内にアセト酢酸(AcAc)の最大濃度(Cmax)をもたらす方法に関する。いくつかの態様において、CmaxはAcAcの最大血清濃度である。いくつかの態様において、MCT組成物は投与後少なくとも2時間、投与後少なくとも1.5時間、または投与後少なくとも1時間以内にAcAcの最大血清濃度(Cmax)をもたらす。特定の態様において、MCTの治療有効量は20gであり、AcAcのCmaxは少なくとも50umol/L、少なくとも60umol/L、少なくとも70umol/L、少なくとも80umol/L、少なくとも90umol/L、または少なくとも100umol/Lである。いくつかの態様において、MCT医薬組成物は約1~約3のpHで安定である。
【0009】
[0009]一側面において、本開示は、治療有効量の中鎖脂肪酸トリグリセリド(MCT)を投与するステップを含む、疾患または障害の治療を必要とする対象において疾患または障害を治療する方法であって、MCTの治療有効量が医薬組成物で投与され、MCT組成物が、標準食の30分後におよびタンパク質の存在下で投与される場合、投与後少なくとも2.5時間後に総ケトンの最大濃度(Cmax)をもたらす方法に関する。いくつかの態様において、Cmaxは総ケトンの最大血清濃度である。いくつかの態様において、MCT組成物は、投与後少なくとも3.0時間後、投与後少なくとも3.5時間後、投与後少なくとも4.0時間後、または投与後少なくとも5時間後に総ケトンの最大血清濃度(Cmax)をもたらす。特定の態様において、MCTの治療有効量は20gであり、総ケトンのCmaxは少なくとも200μmol/L、少なくとも250μmol/L、少なくとも300μmol/L、または少なくとも350μmol/Lである。いくつかの態様において、MCT医薬組成物は約5~約7のpHで安定である。
【0010】
[0010]一側面において、本開示は、治療有効量の中鎖脂肪酸トリグリセリド(MCT)を投与するステップを含む、疾患または障害の治療を必要とする対象において疾患または障害を治療する方法であって、MCTの治療有効量が医薬組成物で投与され、MCT組成物が、標準食の30分後におよびタンパク質の存在下で投与される場合、投与後少なくとも2.5時間後にb-ヒドロキシ酪酸(BHB)の最大濃度(Cmax)をもたらす方法に関する。いくつかの態様において、CmaxはBHBの最大血清濃度である。いくつかの態様において、MCT組成物は、投与後少なくとも3.0時間後、投与後少なくとも3.5時間後、投与後少なくとも4.0時間後、または投与後少なくとも5時間後にBHBの最大血清濃度(Cmax)をもたらす。特定の態様において、MCTの治療有効量は20gであり、BHBのCmaxは少なくとも200μmol/L、少なくとも250μmol/L、少なくとも300μmol/L、または少なくとも350μmol/Lである。いくつかの態様において、MCT医薬組成物は約5~約7のpHで安定である。
【0011】
[0011]一側面において、本開示は、治療有効量の中鎖脂肪酸トリグリセリド(MCT)を投与するステップを含む、治療を必要とする対象を治療する方法であって、MCTの治療有効量が医薬組成物で投与され、MCT組成物が、標準食の30分後におよびタンパク質の存在下で投与される場合、投与後少なくとも2.5時間後にアセト酢酸(AcAc)の最大濃度(Cmax)をもたらす方法を提供する。いくつかの態様において、CmaxはAcAcの最大血清濃度である。いくつかの態様において、MCT組成物は、投与後少なくとも3.0時間後、投与後少なくとも3.5時間後、投与後少なくとも4.0時間後、または投与後少なくとも5時間後にAcAcの最大血清濃度(Cmax)をもたらす。特定の態様において、MCTの治療有効量は20gであり、AcAcのCmaxは少なくとも20umol/L、少なくとも25umol/L、少なくとも30umol/L、少なくとも35umol/L、または少なくとも40umol/Lである。いくつかの態様において、MCT医薬組成物は約5~約7のpHで安定である。
【0012】
[0012]一側面において、本開示は、治療有効量の中鎖脂肪酸トリグリセリド(MCT)を投与するステップを含む、治療を必要とする対象を治療する方法であって、MCTの治療有効量が2つの部分で投与され、第1の部分が、対象に投与すると3時間以内に実質的に放出される中鎖脂肪酸トリグリセリド(MCT)の第1の治療有効量を含み、ならびに第2の部分が、中鎖脂肪酸トリグリセリド(MCT)の第2の治療有効量およびタンパク質を含み、対象への第2の部分の投与後3時間以上にわたり、第2の部分からMCTの第2の量が実質的に放出される方法を提供する。いくつかの態様において、MCTの第1の部分はタンパク質の実質的な非存在下で投与される。いくつかの態様において、MCTの第1の部分は、対象に投与すると2.5時間以内、2時間以内、1.5時間以内、または1時間以内に実質的に放出される。いくつかの態様において、MCTの第2の部分は、対象に投与すると3.5時間以上、4時間以上、4.5時間以上、または5時間以上にわたり実質的に放出される。
【0013】
[0013]開示された方法のいくつかの態様において、疾患または障害は、認知機能の低下を伴う疾患または障害である。開示された方法の特定の態様において、認知機能の低下を伴う疾患または障害は、アルツハイマー病および加齢に伴う記憶障害から選択される。開示された方法のいくつかの態様において、対象はApoE4遺伝子型を欠く。開示された方法の特定の態様において、対象はヒトである。
【0014】
[0014]開示方法のいくつかの態様において、総ケトン、BHB、および/またはAcAcの量は酵素法を使用して決定される。
[0015]別の側面において、本開示は、第1の成分および第2の成分を含む医薬組成物であって、第1の成分が、該医薬組成物の投与を必要とする対象に該医薬組成物を投与すると3時間以内に実質的に放出される中鎖脂肪酸トリグリセリド(MCT)の第1の部分の治療有効量を含み、ならびに第2の成分が、中鎖脂肪酸トリグリセリド(MCT)の第2の部分の治療有効量およびタンパク質を含み、MCTの第2の部分が、対象への該医薬組成物の投与後3時間以上にわたり第2の成分から実質的に放出される医薬組成物を提供する。いくつかの態様において、MCTの第1の部分は、医薬組成物の投与の2.5時間以内、2時間以内、1.5時間以内、または0.5時間以内に実質的に放出される。
【0015】
[0016]一側面において、本開示は、中鎖脂肪酸トリグリセリド(MCT)および少なくとも1つの薬学的に許容される賦形剤を含む医薬組成物であって、該組成物は実質的にタンパク質がなく、該組成物が、標準食の30分後におよびタンパク質の実質的な非存在下でそれを必要とする対象に投与される場合、投与後少なくとも3時間以内に少なくとも1種類のケトン体の最大濃度(Cmax)をもたらす医薬組成物を提供する。いくつかの態様において、Cmaxは少なくとも1種類のケトン体の最大血清濃度である。いくつかの態様において、MCT組成物は、投与後少なくとも2.5時間以内、投与後少なくとも2時間以内、投与後少なくとも1.5時間以内、または投与後少なくとも1時間以内に少なくとも1種類のケトン体の最大血清濃度(Cmax)をもたらす。少なくとも1種類のケトン体は、b-ヒドロキシ酪酸(BHB)、アセト酢酸(AcAc)、またはそれらの組み合わせであってもよい。
【0016】
[0017]いくつかの態様において、開示されたMCT医薬組成物はエマルションである。いくつかの態様において、エマルションは、少なくとも10分間、少なくとも20分間、少なくとも30分間、少なくとも45分間、少なくとも1時間、少なくとも2時間、少なくとも4時間、少なくとも5時間、または少なくとも24時間相分離しない。いくつかの態様において、エマルションは、約100nm~約1000nm、約100nm~約500nm、または約200nm~約300nmの平均液滴径を有する。
【0017】
[0018]いくつかの態様において、開示されたMCT医薬組成物は、少なくとも95%のtri:C8 MCTを含む。特定の態様において、MCT医薬組成物は、少なくとも98%のtri:C8 MCTを含む。
【0018】
[0019]いくつかの態様において、開示されたMCT医薬組成物は、少なくとも95%のカプリル酸トリグリセリドを含む。いくつかの態様において、MCT医薬組成物は、少なくとも98%のカプリル酸トリグリセリドを含む。
【0019】
[0020]複数の態様が開示されているが、本開示のさらに他の態様が、本開示の例示的な態様を示し記載する以下の詳細な説明から当業者に明らかになるであろう。理解される通り、本発明は、いずれも本開示の趣旨および範囲から逸脱することなく、様々な側面において変更形態が可能である。したがって、詳細な説明は、本質的に例示的であり、限定するものではないと見なされるべきである。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】[0021]図1は、MCTを含有する4つの製剤の1つを経口投与後の時間に対して血液試料中のβ-ヒドロキシ酪酸(BHB)の血清レベルを比較したグラフを示す図である。
図2】[0022]図2は、水とMCT、エンシュア(Ensure)とMCT、およびタンパク質とMCTを経口投与後の時間(時間)と対比した血液試料中の血清総ケトンレベルの薬物動態(PK)レベルの差を比較したグラフを示す図である。
図3A】[0023]図3Aは、食品と共におよび食品なしでMCT 20g用量を投与後の時間に対して各コホートの血清中のベースライン補正総ケトンレベルを比較したグラフを示す図である。
図3B】[0024]図3Bは、食品と共におよび食品なしでMCT 20g用量を投与後の時間に対して各コホートの血清中の観察された総ケトンレベルを比較したグラフを示す図である。
図3C】[0025]図3Cは、食品と共におよび食品なしでMCT 20g用量を投与後の時間に対して各コホートの血清中のベースライン補正β-ヒドロキシ酪酸(BHB)レベルを比較したグラフを示す図である。
図3D】[0026]図3Dは、食品と共におよび食品なしでMCT 20g用量を投与後の時間に対して各コホートの血清中の観察されたβ-ヒドロキシ酪酸(BHB)レベルを比較したグラフを示す図である。
図3E】[0027]図3Eは、食品と共におよび食品なしでMCT 20g用量を投与後の時間に対して各コホートの血清中のベースライン補正アセト酢酸(AcAc)レベルを比較したグラフを示す図である。
図3F】[0028]図3Fは、食品と共におよび食品なしでMCT 20g用量を投与後の時間に対して各コホートの血清中の観察されたアセト酢酸(AcAc)レベルを比較したグラフを示す図である。
図4A】[0029]図4Aは、タンパク質ベースのMCT製剤対非タンパク質ベースのMCT製剤における酵素アッセイからの観察された平均血清総ケトン濃度を時間に対して比較したグラフを示す図である。
図4B】[0030]図4Bは、タンパク質ベースのMCT製剤対非タンパク質ベースのMCT製剤における酵素アッセイからの観察された平均血清総ケトンベースライン補正濃度を時間に対して比較したグラフを示す図である。
図5】[0031]図5は、タンパク質ベースのMCT製剤対非タンパク質ベースのMCT製剤における酵素アッセイからの観察された総ケトン濃度を示す表を示す図である。
図6A】[0032]図6Aは、タンパク質ベースのMCT製剤対非タンパク質ベースのMCT製剤における酵素アッセイからの観察された平均血清β-ヒドロキシ酪酸(BHB)濃度を時間に対して比較したグラフを示す図である。
図6B】[0033]図6Bは、タンパク質ベースのMCT製剤対非タンパク質ベースのMCT製剤における観察された平均血清β-ヒドロキシ酪酸(BHB)ベースライン補正濃度を時間に対して比較したグラフを示す図である。
図7A】[0034]図7Aは、タンパク質ベースのMCT製剤対非タンパク質ベースのMCT製剤における観察された平均血清アセト酢酸(AcAc)濃度を時間に対して比較したグラフを示す図である。
図7B】[0035]図7Bは、タンパク質ベースのMCT製剤対非タンパク質ベースのMCT製剤における観察された平均血清アセト酢酸(AcAc)ベースライン補正濃度を時間に対して比較したグラフを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
[0036]いくつかの定義が本明細書に記載されている。そのような定義は、文法的同等物を包含することを意図されている。文脈によって特に必要とされない限り、本明細書および特許請求の範囲で使用される単数用語は複数形を含むものとし、複数用語は単数形を含むものとする。「または」の使用は、特に記載のない限り「および/または」を意味する。さらに、用語「含む(comprising)」、「有する(having)」、「含む(including)」、ならびに「含む(includes)」および「含まれる(included)」などの他の形態の使用は、包含的であり、列挙された要素以外の追加の要素があり得ることを意味すると意図される。また、「要素」または「構成要素」などの用語は、特に具体的に記載のない限り、1つのユニットを含む要素および構成要素、ならびに1つを超えるサブユニットを含む要素および構成要素の両方を包含する。
【0022】
[0037]背景として、中鎖脂肪酸トリグリセリド(「MCT」)は、より一般的な長鎖トリグリセリド(LCT)とは異なる方法で代謝される。特に、LCTと比較した場合、MCTはより容易に消化されて中鎖脂肪酸(MCFA)を放出し、MCFAは門脈吸収率の増加を示し、絶対酸化(obligate oxidation)を受ける。MCTの小さいサイズおよび減少した疎水性は、LCTと比べて消化および吸収の速度を増加させる。MCTは摂取されると、先ず、グリセロール骨格から脂肪酸鎖を切断するリパーゼによって処理される。前十二指腸のいくつかのリパーゼはLCTよりMCTを優先的に加水分解し、放出されたMCFAは、次いで一部が胃粘膜によって直接吸収される。胃で吸収されないMCFAは門脈へ直接吸収され、リポタンパク質にパッケージングされない。血液輸送はリンパ液よりはるかに迅速なため、MCFAはすぐに肝臓に到着する。肝臓でMCFAは、絶対酸化を受ける。
【0023】
[0038]対照的に、通常の食事性脂肪に由来する長鎖脂肪酸(LCFA)は、LCTに再エステル化され、リンパ液への輸送のためにカイロミクロンにパッケージングされる。これは、MCTと比べてLCTの代謝を著しく遅らせる。摂食時、LCFAは、主にマロニル-CoAの阻害効果のために肝臓で酸化をほとんど受けない。条件が脂肪貯蔵に有利に働く場合、マロニル-CoAは脂質生成の中間体として生成される。マロニル-CoAは、カルニチンパルミトイルトランスフェラーゼIをアロステリックに阻害し、これによりミトコンドリアへのLCFA輸送を阻害する。このフィードバック機構は、脂質分解および脂質生成の無益サイクルを防ぐ。
【0024】
[0039]MCFAは、大部分は、LCFAの酸化を制御する調節に対して影響されない。MCFAは、カルニチンパルミトイルトランスフェラーゼIを使用することなくミトコンドリアに入り、それ故にMCFAはこの調節段階を迂回し、生物の代謝状態に関係なく酸化される。重要なことには、MCFAは迅速に肝臓に入り、すぐに酸化されるため、大量のケトン体がMCFAから容易に生成される。そのため、大経口用量のMCT(例えば、約20mL~40mL)は、持続的高ケトン血症をもたらすことになる。
【0025】
[0040]本開示の特定の側面において、MCTのバイオアベイラビリティは、タンパク質と共にまたはタンパク質なしでMCTを投与することによって制御できることが予想外に見出されている。制限されるものではないが、本明細書に例示されるように、タンパク質を含むまたはタンパク質と共に投与されるMCT製剤は、低タンパク質で投与した/タンパク質を投与しなかった場合と比較して、MCTの持続放出または遅延放出をもたらすことが見出されている。タンパク質ベースの製剤は、最大(またはピーク)濃度(「Cmax」)を遅延および低下させる傾向がある。一方、実質的にタンパク質フリーであるMCT製剤の投与、またはタンパク質の非存在下でのMCTの投与は、Cmaxの最大化およびCmax到達時間(「Tmax」)の最小化を可能にする。他の態様において、MCTのバイオアベイラビリティおよび活性代謝物ケトン体のin vivo形成は、タンパク質担体賦形剤を含むおよび含まない選択的製剤により最適化され得ることが見出された。
【0026】
[0041]特定の側面において、MCTのバイオアベイラビリティの改善および活性代謝物ケトン体のin vivo形成は、タンパク質含量が低いまたはないMCT製剤により達成され得ることが予想外に見出された。これに関して、本開示のMCT製剤は、タンパク質の実質的な非存在下で調製され得る。さらに、本開示のMCT製剤は、タンパク質の実質的な非存在下で投与され得る。
【0027】
[0042]本明細書で使用される場合、「投与」は、in vivoでの使用環境、例えば、消化管、摂取もしくは嚥下による送達、または当業者によって理解される、医薬組成物を送達するための他のそのような手段などを含む。例えば、Remington:The Science and Practice of Pharmacy、第20版(2000)を参照のこと。水性使用環境がin vitroである場合、「投与」は、in vitro試験液に医薬組成物を入れるまたは送達することを指す。
【0028】
[0043]本明細書で使用される場合、用語「実質的にタンパク質フリー(substantially protein-free)」、「実質的にタンパク質がない(substantially free of protein)」、「タンパク質がない(no protein)」、「タンパク質の非存在(absence of protein)」、「タンパク質の実質的な非存在(substantial absence of protein)」等は、MCTの放出を有意に妨げる量のタンパク質の非存在を指す。当業者によって理解される通り、MCTの全体的な放出および代謝に影響を与えることなく、ならびにタンパク質フリー条件下の製剤および投与に関して本開示の趣旨から逸脱することなく、微量のタンパク質(軽微な汚染など)がMCTの投与中またはMCT製剤中に存在することがある。さらに、MCT製剤がタンパク質の実質的な非存在下で投与されると記載される場合、MCT製剤自体が実質的にタンパク質フリーであること、および投与時に、MCT製剤と併用投与される他のタンパク質が実質的にないことを意味する。
【0029】
[0044]いくつかの態様において、実質的にタンパク質を含まないおよび/または実質的にタンパク質と共に投与されないMCT製剤は、タンパク質を含むおよび/またはタンパク質と共に投与されるMCT製剤と比較して、より高いCmaxでMCTのより速い放出をもたらすことができる。いくつかの態様において、実質的にタンパク質を含まないおよび/または実質的にタンパク質と共に投与されないMCT製剤の投与は、MCTの即時放出(IR)をもたらすことができる。
【0030】
[0045]本開示の特定の態様は、タンパク質ベースの飲料(例えば、エンシュアならびに類似したタンパク質ベースの飲料および栄養サプリメント)の実質的な非存在下でのMCT製剤の投与に関する。さらなる態様では、MCT製剤は、タンパク質含有食品の実質的な非存在下で投与され得る。
【0031】
[0046]特定の態様において、実質的にタンパク質はMCT製剤の投与の約30分前に投与されず、または対象によって消費されない。他の態様において、実質的にタンパク質は、MCT製剤の投与の少なくとも30分前に投与されず、または対象によって消費されない。他の態様において、実質的にタンパク質は、MCT製剤の投与の約1時間前に投与されず、または対象によって消費されない。他の態様において、実質的にタンパク質は、MCT製剤の投与の少なくとも1時間前に投与されず、または対象によって消費されない。
【0032】
[0047]いくつかの態様において、実質的にタンパク質は、MCT製剤の投与後30分の間に投与されず、または対象によって消費されない。他の態様において、実質的にタンパク質は、MCT製剤の投与の少なくとも30分後に投与されず、または対象によって消費されない。他の態様において、実質的にタンパク質は、MCT製剤の投与後1時間の間に投与されず、または対象によって消費されない。他の態様において、実質的にタンパク質は、MCT製剤の投与の少なくとも1時間後に投与されず、または対象によって消費されない。他の態様において、実質的にタンパク質は、MCT製剤の投与後90分の間に投与されず、または対象によって消費されない。他の態様において、実質的にタンパク質は、MCT製剤の投与の少なくとも90分後に投与されず、または対象によって消費されない。他の態様において、実質的にタンパク質は、MCT製剤の投与後2時間の間に投与されず、または対象によって消費されない。他の態様において、実質的にタンパク質は、MCT製剤の投与の少なくとも2時間後に投与されず、または対象によって消費されない。
【0033】
[0048]特定の態様において、実質的にタンパク質は、MCT製剤の投与の約30分前およびMCT製剤の投与の約30分後に投与されず、または対象によって消費されない。他の態様において、実質的にタンパク質は、MCT製剤の投与の少なくとも30分前およびMCT製剤の投与の少なくとも30分後に投与されず、または対象によって消費されない。他の態様において、実質的にタンパク質は、MCT製剤の投与の約30分前およびMCT製剤の投与の約1時間後に投与されず、または対象によって消費されない。他の態様において、実質的にタンパク質は、MCT製剤の投与の少なくとも30分前およびMCT製剤の投与の少なくとも1時間後に投与されず、または対象によって消費されない。他の態様において、実質的にタンパク質は、MCT製剤の投与の約1時間前およびMCT製剤の投与の約1時間後に投与されず、または対象によって消費されない。他の態様において、実質的にタンパク質は、MCT製剤の投与の少なくとも1時間前およびMCT製剤の投与の少なくとも1時間後に投与されず、または対象によって消費されない。
【0034】
[0049]1つの態様において、実質的にタンパク質を含まないおよび/または実質的にタンパク質と共に投与されない開示されたMCT製剤は、体内の上昇ケトン濃度をもたらす。MCT製剤は、高ケトン血症を誘導するのに有効な量で投与されてもよい。1つの態様において、高ケトン血症は、脳内でエネルギーとして利用されるケトン体をもたらす。
【0035】
[0050]1つの態様において、実質的にタンパク質を含まないおよび/または実質的にタンパク質と共に投与されない開示されたMCT製剤は、対象における少なくとも1種類のケトン体の循環濃度を増加させる。循環ケトン体の量は、投与後いくつかの時点で測定することができ、1つの態様において、血清および/または血漿中ピーク濃度(Cmax)に近いと予測される時点で測定されるが、予測ピーク血清および/または血漿濃度レベルの前または後に測定することもできる。これらのオフピーク時の測定量は、次いで場合により予測ピーク時の予測レベルを反映するように補正される。1つの態様において、少なくとも1種類のケトン体の予測ピーク血清および/または血漿濃度は、約0.5~約3.0時間である。別の態様において、少なくとも1種類のケトン体の予測ピーク血清および/または血漿濃度は、約1.0~約2時間である。ピーク血清および/または血漿濃度ならびにタイミングは、当業者に公知の通り、個体の消化速度、食品、飲料等の同時摂取または摂取前もしくは摂取後を含む当業者に公知の要因に応じて異なり得る。当業者によって理解される通り、血清および/または血漿レベルを測定する以外の他の方法がケトンのレベルを決定するのに使用されてもよい(例えば、ケトン尿中排泄の測定によって)。
【0036】
[0051]1つの態様において、実質的にタンパク質を含まないおよび/または実質的にタンパク質と共に投与されない開示されたMCT製剤は、対象における総ケトン体の循環濃度を増加させる。実質的にタンパク質を含まないおよび/または実質的にタンパク質と共に投与されない開示されたMCT製剤は、タンパク質を含むおよび/またはタンパク質と共に投与されるMCT製剤と比較して、総ケトン体の濃度を増加させ得る。
【0037】
[0052]一態様において、実質的にタンパク質を含まないおよび/または実質的にタンパク質と共に投与されない開示されたMCT製剤は、タンパク質を含むおよび/またはタンパク質と共に投与されるMCT製剤と比較して、総ケトン体のピーク血漿濃度(Cmax)を増加させ得る。一態様において、実質的にタンパク質を含まないおよび/または実質的にタンパク質と共に投与されない開示されたMCT製剤は、タンパク質を含むおよび/またはタンパク質と共に投与されるMCT製剤と比較して、総ケトン体のピーク血清濃度(Cmax)を増加させ得る。
【0038】
[0053]一態様において、実質的にタンパク質を含まないおよび/または実質的にタンパク質と共に投与されない開示されたMCT製剤によって到達される総ケトン体のピーク血清濃度(Cmax)は、タンパク質を含むおよび/またはタンパク質と共に投与されるMCT製剤のCmaxより約10%大きい、約15%大きい、約20%大きい、約25%大きい、約30%大きい、約35%大きい、約40%大きい、約45%大きい、約50%大きい、約55%大きい、約60%大きい、約65%大きい、約70%大きい、約75%大きい、約80%大きい、約85%大きい、約90%大きい、約95%大きい、または約100%大きい。いくつかの態様において、実質的にタンパク質を含まないおよび/または実質的にタンパク質と共に投与されない開示されたMCT製剤によって到達される総ケトン体のピーク血清濃度(Cmax)は、タンパク質を含むおよび/またはタンパク質と共に投与されるMCT製剤のCmaxより少なくとも10%大きい、少なくとも15%大きい、少なくとも20%大きい、少なくとも25%大きい、少なくとも30%大きい、少なくとも35%大きい、少なくとも40%大きい、少なくとも45%大きい、少なくとも50%大きい、少なくとも55%大きい、少なくとも60%大きい、少なくとも65%大きい、少なくとも70%大きい、少なくとも75%大きい、少なくとも80%大きい、少なくとも85%大きい、少なくとも90%大きい、少なくとも95%大きい、または少なくとも100%大きい。
【0039】
[0054]一態様において、実質的にタンパク質を含まないおよび/または実質的にタンパク質と共に投与されない開示されたMCT製剤に関する総ケトンの到達ピーク血清濃度(Cmax)は、約350マイクロモル/リットル(μmol/L)~約1000μmol/Lである。他の態様において、総ケトン体のピーク血清濃度(Cmax)は、約350~約950μmol/L、約350~約900μmol/L、約350~約850μmol/L、約350~約800μmol/L、約350~約750μmol/L、約350~約700μmol/L、約350~約650μmol/L、約350~約550μmol/L、約350~約500μmol/L、または約350~約800μmol/Lであるが、例えば上に論じたように、変動は組成物および対象に応じて必ず生じるであろう。他の態様において、総ケトン体のピーク血清濃度(Cmax)は、約400~約950μmol/L、約400~約900μmol/L、約400~約850μmol/L、約400~約800μmol/L、約400~約750μmol/L、約400~約700μmol/L、約400~約650μmol/L、約400~約600μmol/L、または約400~約550μmol/Lである。いくつかの態様において、総ケトン体のピーク血清濃度(Cmax)は、約400~約600μmol/Lである。他の態様において、総ケトン体のピーク血清濃度(Cmax)は、約450~約550μmol/Lである。他の態様において、総ケトン体のピーク血清濃度(Cmax)は、少なくとも350μmol/L、少なくとも400μmol/L、少なくとも450μmol/L、少なくとも500μmol/L、少なくとも550μmol/L、または少なくとも600μmol/Lである。
【0040】
[0055]一態様において、実質的にタンパク質を含まないおよび/または実質的にタンパク質と共に投与されない開示されたMCT製剤は、タンパク質を含むおよび/またはタンパク質と共に投与されるMCT製剤より少ない総ケトン体のCmax到達時間(Tmax)をもたらす。
【0041】
[0056]一態様において、実質的にタンパク質を含まないおよび/または実質的にタンパク質と共に投与されない開示されたMCT製剤の総ケトン体のCmax到達時間(Tmax)は、タンパク質を含むおよび/またはタンパク質と共に投与されるMCT製剤より約15分、約30分、約45分、約1時間、約1.5時間、約2時間、約2.5時間、または約3時間少ない。いくつかの態様において、実質的にタンパク質を含まないおよび/または実質的にタンパク質と共に投与されない開示されたMCT製剤の総ケトン体のCmax到達時間(Tmax)は、タンパク質を含むおよび/またはタンパク質と共に投与されるMCT製剤より少なくとも15分、少なくとも30分、少なくとも45分、少なくとも1時間、少なくとも1.5時間、少なくとも2時間、少なくとも2.5時間、または少なくとも3時間少ない。いくつかの態様において、実質的にタンパク質を含まないおよび/または実質的にタンパク質と共に投与されない開示されたMCT製剤の総ケトン体のCmax到達時間(Tmax)は、タンパク質を含むおよび/またはタンパク質と共に投与されるMCT製剤より少なくとも30分少ない。
【0042】
[0057]一態様において、実質的にタンパク質を含まないおよび/または実質的にタンパク質と共に投与されない開示されたMCT製剤の総ケトン体のCmax到達時間(Tmax)は、約0.5時間~約3時間である。別の態様において、総ケトン体のCmax到達時間(Tmax)は、約1時間~約2.5時間である。別の態様において、総ケトン体のCmax到達時間(Tmax)は、約1時間~約2時間である。別の態様において、Cmax到達時間(Tmax)は、約0.5時間~約1.5時間である。別の態様において、総ケトン体のCmax到達時間(Tmax)は、約0.5時間、約1時間、約1.5時間、約2時間、約2.5時間、または約3時間である。別の態様において、総ケトン体のCmax到達時間(Tmax)は、3時間未満、2.5時間未満、2時間未満、1.5時間、または1時間未満である。いくつかの態様において、総ケトン体のCmax到達時間(Tmax)は、約1時間である。いくつかの態様において、総ケトン体のCmax到達時間(Tmax)は、約1.5時間である。いくつかの態様において、総ケトン体のCmax到達時間(Tmax)は、約2時間である。
【0043】
[0058]特定の態様において、実質的にタンパク質を含まないおよび/または実質的にタンパク質と共に投与されない開示されたMCT製剤は、少なくとも1種類のケトン体の循環濃度を増加させる。特定の態様において、実質的にタンパク質を含まないおよび/または実質的にタンパク質と共に投与されない開示されたMCT製剤は、ケトン体ベータ-ヒドロキシ酪酸(BHB)の循環濃度を増加させる。特定の態様において、実質的にタンパク質を含まないおよび/または実質的にタンパク質と共に投与されない開示されたMCT製剤は、ケトン体アセト酢酸(AcAc)の循環濃度を増加させる。実質的にタンパク質を含まないおよび/または実質的にタンパク質と共に投与されない開示されたMCT製剤は、タンパク質を含むおよび/またはタンパク質と共に投与されるMCT製剤と比較して、少なくとも1種類のケトン体の濃度を増加させ得る。
【0044】
[0059]一態様において、実質的にタンパク質を含まないおよび/または実質的にタンパク質と共に投与されない開示されたMCT製剤は、タンパク質を含むおよび/またはタンパク質と共に投与されるMCT製剤と比較して、ベータ-ヒドロキシ酪酸(BHB)のピーク血漿濃度(Cmax)を増加させ得る。一態様において、実質的にタンパク質を含まないおよび/または実質的にタンパク質と共に投与されない開示されたMCT製剤は、タンパク質を含むおよび/またはタンパク質と共に投与されるMCT製剤と比較して、ベータ-ヒドロキシ酪酸(BHB)のピーク血清濃度(Cmax)を増加させ得る。
【0045】
[0060]一態様において、実質的にタンパク質を含まないおよび/または実質的にタンパク質と共に投与されない開示されたMCT製剤によって到達されるベータ-ヒドロキシ酪酸(BHB)のピーク血清濃度(Cmax)は、タンパク質を含むおよび/またはタンパク質と共に投与されるMCT製剤のCmaxより約10%大きい、約15%大きい、約20%大きい、約25%大きい、約30%大きい、約35%大きい、約40%大きい、約45%大きい、約50%大きい、約55%大きい、約60%大きい、約65%大きい、約70%大きい、約75%大きい、約80%大きい、約85%大きい、約90%大きい、約95%大きい、または約100%大きい。いくつかの態様において、実質的にタンパク質を含まないおよび/または実質的にタンパク質と共に投与されない開示されたMCT製剤によって到達されるベータ-ヒドロキシ酪酸(BHB)のピーク血清濃度(Cmax)は、タンパク質を含むおよび/またはタンパク質と共に投与されるMCT製剤のCmaxより少なくとも10%大きい、少なくとも15%大きい、少なくとも20%大きい、少なくとも25%大きい、少なくとも30%大きい、少なくとも35%大きい、少なくとも40%大きい、少なくとも45%大きい、少なくとも50%大きい、少なくとも55%大きい、少なくとも60%大きい、少なくとも65%大きい、少なくとも70%大きい、少なくとも75%大きい、少なくとも80%大きい、少なくとも85%大きい、少なくとも90%大きい、少なくとも95%大きい、または少なくとも100%大きい。
【0046】
[0061]1つの態様において、実質的にタンパク質を含まないおよび/または実質的にタンパク質と共に投与されない開示されたMCT製剤に関するベータ-ヒドロキシ酪酸(BHB)の到達ピーク血清濃度(Cmax)は、約350マイクロモル/リットル(μmol/L)~約1000μmol/Lである。他の態様において、ベータ-ヒドロキシ酪酸(BHB)のピーク血清濃度(Cmax)は、約350~約950μmol/L、約350~約900μmol/L、約350~約850μmol/L、約350~約800μmol/L、約350~約750μmol/L、約350~約700μmol/L、約350~約650μmol/L、約350~約550μmol/L、約350~約500μmol/L、または約350~約800μmol/Lであるが、例えば上に論じたように、変動は組成物および対象に応じて必ず生じるであろう。他の態様において、ベータ-ヒドロキシ酪酸(BHB)のピーク血清濃度(Cmax)は、約400~約950μmol/L、約400~約900μmol/L、約400~約850μmol/L、約400~約800μmol/L、約400~約750μmol/L、約400~約700μmol/L、約400~約650μmol/L、約400~約600μmol/L、または約400~約550μmol/Lである。いくつかの態様において、ベータ-ヒドロキシ酪酸(BHB)のピーク血清濃度(Cmax)は、約350~約600μmol/Lである。他の態様において、ベータ-ヒドロキシ酪酸(BHB)のピーク血清濃度(Cmax)は、約350~約550μmol/Lである。いくつかの態様において、ベータ-ヒドロキシ酪酸(BHB)のピーク血清濃度(Cmax)は、約400~約500μmol/Lである。他の態様において、ベータ-ヒドロキシ酪酸(BHB)のピーク血清濃度(Cmax)は、少なくとも350μmol/L、少なくとも400μmol/L、少なくとも450μmol/L、少なくとも500μmol/L、少なくとも550μmol/L、または少なくとも600μmol/Lである。
【0047】
[0062]1つの態様において、実質的にタンパク質を含まないおよび/または実質的にタンパク質と共に投与されない開示されたMCT製剤は、タンパク質を含むおよび/またはタンパク質と共に投与されるMCT製剤より少ないベータ-ヒドロキシ酪酸(BHB)のCmax到達時間(Tmax)をもたらす。
【0048】
[0063]一態様において、実質的にタンパク質を含まないおよび/または実質的にタンパク質と共に投与されない開示されたMCT製剤のベータ-ヒドロキシ酪酸(BHB)のCmax到達時間(Tmax)は、タンパク質を含むおよび/またはタンパク質と共に投与されるMCT製剤より約15分、約30分、約45分、約1時間、約1.5時間、約2時間、約2.5時間、または約3時間少ない。いくつかの態様において、実質的にタンパク質を含まないおよび/または実質的にタンパク質と共に投与されない開示されたMCT製剤のベータ-ヒドロキシ酪酸(BHB)のCmax到達時間(Tmax)は、タンパク質を含むおよび/またはタンパク質と共に投与されるMCT製剤より少なくとも15分、少なくとも30分、少なくとも45分、少なくとも1時間、少なくとも1.5時間、少なくとも2時間、少なくとも2.5時間、または少なくとも3時間少ない。いくつかの態様において、実質的にタンパク質を含まないおよび/または実質的にタンパク質と共に投与されない開示されたMCT製剤のベータ-ヒドロキシ酪酸(BHB)のCmax到達時間(Tmax)は、タンパク質を含むおよび/またはタンパク質と共に投与されるMCT製剤より少なくとも30分少ない。
【0049】
[0064]1つの態様において、実質的にタンパク質を含まないおよび/または実質的にタンパク質と共に投与されない開示されたMCT製剤に関するベータ-ヒドロキシ酪酸(BHB)のCmax到達時間(Tmax)は、約0.5時間~約3時間である。別の態様において、ベータ-ヒドロキシ酪酸(BHB)のCmax到達時間(Tmax)は、約1時間~約2.5時間である。別の態様において、ベータ-ヒドロキシ酪酸(BHB)のCmax到達時間(Tmax)は、約1時間~約2時間である。別の態様において、ベータ-ヒドロキシ酪酸(BHB)のCmax到達時間(Tmax)は、約0.5時間~約1.5時間である。別の態様において、ベータ-ヒドロキシ酪酸(BHB)のCmax到達時間(Tmax)は、約0.5時間、約1時間、約1.5時間、約2時間、約2.5時間、または約3時間である。別の態様において、ベータ-ヒドロキシ酪酸(BHB)のCmax到達時間(Tmax)は、3時間未満、2.5時間未満、2時間未満、1.5時間、または1時間未満である。いくつかの態様において、ベータ-ヒドロキシ酪酸(BHB)のCmax到達時間(Tmax)は、約1時間である。いくつかの態様において、ベータ-ヒドロキシ酪酸(BHB)のCmax到達時間(Tmax)は、約1.5時間である。いくつかの態様において、ベータ-ヒドロキシ酪酸(BHB)のCmax到達時間(Tmax)は、約2時間である。
【0050】
[0065]一態様において、実質的にタンパク質を含まないおよび/または実質的にタンパク質と共に投与されない開示されたMCT製剤は、タンパク質を含むおよび/またはタンパク質と共に投与されるMCT製剤と比較して、アセト酢酸(AcAc)のピーク血漿濃度(Cmax)を増加させ得る。一態様において、実質的にタンパク質を含まないおよび/または実質的にタンパク質と共に投与されない開示されたMCT製剤は、タンパク質を含むおよび/またはタンパク質と共に投与されるMCT製剤と比較して、アセト酢酸(AcAc)のピーク血清濃度(Cmax)を増加させ得る。
【0051】
[0066]一態様において、実質的にタンパク質を含まないおよび/または実質的にタンパク質と共に投与されない開示されたMCT製剤によって到達されるアセト酢酸(AcAc)のピーク血清濃度(Cmax)は、タンパク質を含むおよび/またはタンパク質と共に投与されるMCT製剤のCmaxより約10%大きい、約15%大きい、約20%大きい、約25%大きい、約30%大きい、約35%大きい、約40%大きい、約45%大きい、約50%大きい、約55%大きい、約60%大きい、約65%大きい、約70%大きい、約75%大きい、約80%大きい、約85%大きい、約90%大きい、約95%大きい、または約100%大きい。いくつかの態様において、実質的にタンパク質を含まないおよび/または実質的にタンパク質と共に投与されない開示されたMCT製剤によって到達されるアセト酢酸(AcAc)のピーク血清濃度(Cmax)は、タンパク質を含むおよび/またはタンパク質と共に投与されるMCT製剤のCmaxより少なくとも10%大きい、少なくとも15%大きい、少なくとも20%大きい、少なくとも25%大きい、少なくとも30%大きい、少なくとも35%大きい、少なくとも40%大きい、少なくとも45%大きい、少なくとも50%大きい、少なくとも55%大きい、少なくとも60%大きい、少なくとも65%大きい、少なくとも70%大きい、少なくとも75%大きい、少なくとも80%大きい、少なくとも85%大きい、少なくとも90%大きい、少なくとも95%大きい、または少なくとも100%大きい。
【0052】
[0067]1つの態様において、実質的にタンパク質を含まないおよび/または実質的にタンパク質と共に投与されない開示されたMCT製剤に関するアセト酢酸(AcAc)の到達ピーク血清濃度(Cmax)は、約20マイクロモル/リットル(μmol/L)~約200μmol/Lである。他の態様において、アセト酢酸(AcAc)のピーク血清濃度(Cmax)は、約20~約180μmol/L、約20~約160μmol/L、約20~約140μmol/L、約20~約120μmol/L、約20~約100μmol/L、約20~約80μmol/L、約20~約60μmol/L、または約20~約40μmol/Lであるが、例えば上に論じたように、変動は組成物および対象に応じて必ず生じるであろう。他の態様において、アセト酢酸(AcAc)のピーク血清濃度(Cmax)は、約40~約140μmol/L、約40~約100μmol/L、または約40~約80μmol/Lである。他の態様において、アセト酢酸(AcAc)のピーク血清濃度(Cmax)は、約60~約120μmol/Lである。他の態様において、アセト酢酸(AcAc)のピーク血清濃度(Cmax)は、少なくとも20μmol/L、少なくとも30μmol/L、少なくとも40μmol/L、少なくとも50μmol/L、少なくとも60μmol/L、少なくとも70μmol/L、少なくとも80μmol/L、少なくとも90μmol/L、少なくとも90μmol/L、または少なくとも100μmol/Lである。他の態様において、アセト酢酸(AcAc)のピーク血清濃度(Cmax)は、少なくとも80μmol/Lである。
【0053】
[0068]1つの態様において、実質的にタンパク質を含まないおよび/または実質的にタンパク質と共に投与されない開示されたMCT製剤は、タンパク質を含むおよび/またはタンパク質と共に投与されるMCT製剤より少ないベータ-アセト酢酸(AcAc)のCmax到達時間(Tmax)をもたらす。
【0054】
[0069]一態様において、実質的にタンパク質を含まないおよび/または実質的にタンパク質と共に投与されない開示されたMCT製剤のアセト酢酸(AcAc)のCmax到達時間(Tmax)は、タンパク質を含むおよび/またはタンパク質と共に投与されるMCT製剤より約15分、約30分、約45分、約1時間、約1.5時間、約2時間、約2.5時間、または約3時間少ない。いくつかの態様において、実質的にタンパク質を含まないおよび/または実質的にタンパク質と共に投与されない開示されたMCT製剤のアセト酢酸(AcAc)のCmax到達時間(Tmax)は、タンパク質を含むおよび/またはタンパク質と共に投与されるMCT製剤より少なくとも15分、少なくとも30分、少なくとも45分、少なくとも1時間、少なくとも1.5時間、少なくとも2時間、少なくとも2.5時間、または少なくとも3時間少ない。いくつかの態様において、実質的にタンパク質を含まないおよび/または実質的にタンパク質と共に投与されない開示されたMCT製剤のアセト酢酸(AcAc)のCmax到達時間(Tmax)は、タンパク質を含むおよび/またはタンパク質と共に投与されるMCT製剤より少なくとも30分少ない。
【0055】
[0070]1つの態様においてアセト酢酸(AcAc)のCmax到達時間(Tmax)は、実質的にタンパク質を含まないおよび/または実質的にタンパク質と共に投与されない開示されたMCT製剤に関して、約0.5時間~約3時間である。別の態様において、アセト酢酸(AcAc)のCmax到達時間(Tmax)は、約1時間~約2.5時間である。別の態様において、アセト酢酸(AcAc)のCmax到達時間(Tmax)は、約1時間~約2時間である。別の態様において、アセト酢酸(AcAc)のCmax到達時間(Tmax)は、約0.5時間~約1.5時間である。別の態様において、アセト酢酸(AcAc)のCmax到達時間(Tmax)は、約0.5時間、約1時間、約1.5時間、約2時間、約2.5時間、または約3時間である。別の態様において、アセト酢酸(AcAc)のCmax到達時間(Tmax)は、3時間未満、2.5時間未満、2時間未満、1.5時間、または1時間未満である。いくつかの態様において、アセト酢酸(AcAc)のCmax到達時間(Tmax)は、約1時間である。いくつかの態様において、アセト酢酸(AcAc)のCmax到達時間(Tmax)は、約1.5時間である。いくつかの態様において、アセト酢酸(AcAc)のCmax到達時間(Tmax)は、約2時間である。
【0056】
[0071]本開示の他の態様において、タンパク質を含むおよび/またはタンパク質と共に投与されるMCT製剤は、MCTのより遅い放出をもたらし得る。いくつかの態様において、低タンパク質を含む/タンパク質を含まないおよび/または低タンパク質と共に投与される/タンパク質と共に投与されないMCT製剤の投与は、MCTの持続放出(SR)、遅延放出(DR)、および/または制御放出(CR)をもたらし得る。
【0057】
[0072]当業者によって理解される通り、MCT製剤と共に投与されるおよび/またはMCT製剤中に存在するタンパク質の量は、MCTの所望の放出プロファイルを達成するために変わり得る。例えば、より低量のタンパク質は、より高量のタンパク質と比較してより速い持続/遅延/制御放出をもたらし得る。
【0058】
[0073]特定の態様において、タンパク質は、MCT製剤の投与と併用して投与されまたは対象によって消費される。他の態様において、タンパク質は、MCT製剤の投与と同時に投与されまたは対象によって消費される。特定の態様において、タンパク質は、MCT製剤の投与の30分未満前に投与されまたは対象によって消費される。他の態様において、タンパク質は、MCT製剤の投与の30分未満後に投与されまたは対象によって消費される。特定の態様において、タンパク質は、MCT製剤の投与の30分未満前およびMCT製剤の投与の30分未満後に投与されまたは対象によって消費される。特定の態様において、タンパク質は、MCT製剤の投与の15分以下前に投与されまたは対象によって消費される。他の態様において、タンパク質は、MCT製剤の投与の15分以下後に投与されまたは対象によって消費される。特定の態様において、タンパク質は、MCT製剤の投与の15分以下前およびMCT製剤の投与の15分以下後に投与されまたは対象によって消費される。
【0059】
[0074]1つの態様において、タンパク質を含むおよび/またはタンパク質と共に投与される開示されたMCT製剤は、実質的にタンパク質を含まないおよび/または実質的にタンパク質と共に投与されないMCT製剤のケトン濃度より低い、体内の上昇ケトン濃度をもたらす。MCT製剤は、高ケトン血症を誘導するのに有効な量で投与されてもよい。1つの態様において、高ケトン血症は、脳内でエネルギーとして利用されるケトン体をもたらす。
【0060】
[0075]タンパク質を含むおよび/またはタンパク質と共に投与される開示されたMCT製剤は、実質的にタンパク質を含まないおよび/または実質的にタンパク質と共に投与されないMCT製剤と比較して、総ケトン体の濃度がより低くなり得る。
【0061】
[0076]一態様において、タンパク質を含むおよび/またはタンパク質と共に投与される開示されたMCT製剤は、実質的にタンパク質を含まないおよび/または実質的にタンパク質と共に投与されないMCT製剤と比較して、総ケトン体のピーク血漿濃度(Cmax)を減少させ得る。一態様において、タンパク質を含むおよび/またはタンパク質と共に投与される開示されたMCT製剤は、実質的にタンパク質を含まないおよび/または実質的にタンパク質と共に投与されないMCT製剤と比較して、総ケトン体のピーク血清濃度(Cmax)を減少させ得る。
【0062】
[0077]一態様において、タンパク質を含むおよび/またはタンパク質と共に投与される開示されたMCT製剤によって到達される総ケトン体のピーク血清濃度(Cmax)は、実質的にタンパク質を含まないおよび/または実質的にタンパク質と共に投与されないMCT製剤のCmaxより約10%低い、約15%低い、約20%低い、約25%低い、約30%低い、約35%低い、約40%低い、約45%低い、約50%低い、約55%低い、約60%低い、約65%低い、約70%低い、約75%低い、約80%低い、約85%低い、約90%低い、約95%低い、または約100%低い。いくつかの態様において、タンパク質を含むおよび/またはタンパク質と共に投与される開示されたMCT製剤によって到達される総ケトン体のピーク血清濃度(Cmax)は、実質的にタンパク質を含まないおよび/または実質的にタンパク質と共に投与されないMCT製剤のCmaxより少なくとも10%低い、少なくとも15%低い、少なくとも20%低い、少なくとも25%低い、少なくとも30%低い、少なくとも35%低い、少なくとも40%低い、少なくとも45%低い、少なくとも50%低い、少なくとも55%低い、少なくとも60%低い、少なくとも65%低い、少なくとも70%低い、少なくとも75%低い、少なくとも80%低い、少なくとも85%低い、少なくとも90%低い、少なくとも95%低い、または少なくとも100%低い。
【0063】
[0078]1つの態様において、タンパク質を含むおよび/またはタンパク質と共に投与される開示されたMCT製剤は、実質的にタンパク質を含まないおよび/または実質的にタンパク質と共に投与されないMCT製剤より大きい総ケトンのCmax到達時間(Tmax)をもたらす。
【0064】
[0079]一態様において、タンパク質を含むおよび/またはタンパク質と共に投与される開示されたMCT製剤の総ケトン体のCmax到達時間(Tmax)は、実質的にタンパク質を含まないおよび/または実質的にタンパク質と共に投与されないMCT製剤より約15分、約30分、約45分、約1時間、約1.5時間、約2時間、約2.5時間、または約3時間大きい。いくつかの態様において、タンパク質を含むおよび/またはタンパク質と共に投与される開示されたMCT製剤の総ケトン体のCmax到達時間(Tmax)は、実質的にタンパク質を含まないおよび/または実質的にタンパク質と共に投与されないMCT製剤より少なくとも15分、少なくとも30分、少なくとも45分、少なくとも1時間、少なくとも1.5時間、少なくとも2時間、少なくとも2.5時間、または少なくとも3時間大きい。いくつかの態様において、タンパク質を含むおよび/またはタンパク質と共に投与される開示されたMCT製剤の総ケトン体のCmax到達時間(Tmax)は、実質的にタンパク質を含まないおよび/または実質的にタンパク質と共に投与されないMCT製剤より少なくとも60分大きい。
【0065】
[0080]特定の態様において、タンパク質を含むおよび/またはタンパク質と共に投与される開示されたMCT製剤は、少なくとも1種類のケトン体の循環濃度を増加させる。特定の態様において、タンパク質を含むおよび/またはタンパク質と共に投与される開示されたMCT製剤は、ケトン体ベータ-ヒドロキシ酪酸(BHB)の循環濃度を増加させる。特定の態様において、タンパク質を含むおよび/またはタンパク質と共に投与される開示されたMCT製剤は、ケトン体アセト酢酸(AcAc)の循環濃度を増加させる。タンパク質を含むおよび/またはタンパク質と共に投与される開示されたMCT製剤は、実質的にタンパク質を含まないおよび/または実質的にタンパク質と共に投与されないMCT製剤と比較して、少なくとも1種類のケトン体の濃度を減少させ得る。
【0066】
[0081]一態様において、タンパク質を含むおよび/またはタンパク質と共に投与される開示されたMCT製剤は、実質的にタンパク質を含まないおよび/または実質的にタンパク質と共に投与されないMCT製剤と比較して、ベータ-ヒドロキシ酪酸(BHB)のピーク血漿濃度(Cmax)を減少させ得る。一態様において、タンパク質を含むおよび/またはタンパク質と共に投与される開示されたMCT製剤は、実質的にタンパク質を含まないおよび/または実質的にタンパク質と共に投与されないMCT製剤と比較して、ベータ-ヒドロキシ酪酸(BHB)のピーク血清濃度(Cmax)を減少させ得る。
【0067】
[0082]一態様において、タンパク質を含むおよび/またはタンパク質と共に投与される開示されたMCT製剤によって到達されるベータ-ヒドロキシ酪酸(BHB)のピーク血清濃度(Cmax)は、実質的にタンパク質を含まないおよび/または実質的にタンパク質と共に投与されないMCT製剤のCmaxより約10%低い、約15%低い、約20%低い、約25%低い、約30%低い、約35%低い、約40%低い、約45%低い、約50%低い、約55%低い、約60%低い、約65%低い、約70%低い、約75%低い、約80%低い、約85%低い、約90%低い、約95%低い、または約100%低い。いくつかの態様において、タンパク質を含むおよび/またはタンパク質と共に投与される開示されたMCT製剤によって到達されるベータ-ヒドロキシ酪酸(BHB)のピーク血清濃度(Cmax)は、実質的にタンパク質を含まないおよび/または実質的にタンパク質と共に投与されないMCT製剤のCmaxより少なくとも10%低い、少なくとも15%低い、少なくとも20%低い、少なくとも25%低い、少なくとも30%低い、少なくとも35%低い、少なくとも40%低い、少なくとも45%低い、少なくとも50%低い、少なくとも55%低い、少なくとも60%低い、少なくとも65%低い、少なくとも70%低い、少なくとも75%低い、少なくとも80%低い、少なくとも85%低い、少なくとも90%低い、少なくとも95%低い、または少なくとも100%低い。
【0068】
[0083]1つの態様において、タンパク質を含むおよび/またはタンパク質と共に投与される開示されたMCT製剤は、実質的にタンパク質を含まないおよび/または実質的にタンパク質と共に投与されないMCT製剤より大きいベータ-ヒドロキシ酪酸(BHB)のCmax到達時間(Tmax)をもたらす。
【0069】
[0084]一態様において、タンパク質を含むおよび/またはタンパク質と共に投与される開示されたMCT製剤のベータ-ヒドロキシ酪酸(BHB)のCmax到達時間(Tmax)は、実質的にタンパク質を含まないおよび/または実質的にタンパク質と共に投与されないMCT製剤より約15分、約30分、約45分、約1時間、約1.5時間、約2時間、約2.5時間、または約3時間大きい。いくつかの態様において、タンパク質を含むおよび/またはタンパク質と共に投与される開示されたMCT製剤の総ケトン体のCmax到達時間(Tmax)は、実質的にタンパク質を含まないおよび/または実質的にタンパク質と共に投与されないMCT製剤より少なくとも15分、少なくとも30分、少なくとも45分、少なくとも1時間、少なくとも1.5時間、少なくとも2時間、少なくとも2.5時間、または少なくとも3時間大きい。いくつかの態様において、タンパク質を含むおよび/またはタンパク質と共に投与される開示されたMCT製剤の総ケトン体のCmax到達時間(Tmax)は、実質的にタンパク質を含まないおよび/または実質的にタンパク質と共に投与されないMCT製剤より少なくとも60分大きい。
【0070】
[0085]一態様において、タンパク質を含むおよび/またはタンパク質と共に投与される開示されたMCT製剤は、実質的にタンパク質を含まないおよび/または実質的にタンパク質と共に投与されないMCT製剤と比較して、アセト酢酸(AcAc)のピーク血漿濃度(Cmax)を減少させ得る。一態様において、タンパク質を含むおよび/またはタンパク質と共に投与される開示されたMCT製剤は、実質的にタンパク質を含まないおよび/または実質的にタンパク質と共に投与されないMCT製剤と比較して、アセト酢酸(AcAc)のピーク血清濃度(Cmax)を減少させ得る。
【0071】
[0086]一態様において、タンパク質を含むおよび/またはタンパク質と共に投与される開示されたMCT製剤によって到達されるアセト酢酸(AcAc)のピーク血清濃度(Cmax)は、実質的にタンパク質を含まないおよび/または実質的にタンパク質と共に投与されないMCT製剤のCmaxより約10%低い、約15%低い、約20%低い、約25%低い、約30%低い、約35%低い、約40%低い、約45%低い、約50%低い、約55%低い、約60%低い、約65%低い、約70%低い、約75%低い、約80%低い、約85%低い、約90%低い、約95%低い、または約100%低い。いくつかの態様において、タンパク質を含むおよび/またはタンパク質と共に投与される開示されたMCT製剤によって到達されるアセト酢酸(AcAc)のピーク血清濃度(Cmax)は、実質的にタンパク質を含まないおよび/または実質的にタンパク質と共に投与されないMCT製剤のCmaxより少なくとも10%低い、少なくとも15%低い、少なくとも20%低い、少なくとも25%低い、少なくとも30%低い、少なくとも35%低い、少なくとも40%低い、少なくとも45%低い、少なくとも50%低い、少なくとも55%低い、少なくとも60%低い、少なくとも65%低い、少なくとも70%低い、少なくとも75%低い、少なくとも80%低い、少なくとも85%低い、少なくとも90%低い、少なくとも95%低い、または少なくとも100%低い。
【0072】
[0087]1つの態様において、タンパク質を含むおよび/またはタンパク質と共に投与される開示されたMCT製剤は、実質的にタンパク質を含まないおよび/または実質的にタンパク質と共に投与されないMCT製剤より大きいベータ-アセト酢酸(AcAc)のCmax到達時間(Tmax)をもたらす。
【0073】
[0088]一態様において、タンパク質を含むおよび/またはタンパク質と共に投与される開示されたMCT製剤のアセト酢酸(AcAc)のCmax到達時間(Tmax)は、実質的にタンパク質を含まないおよび/または実質的にタンパク質と共に投与されないMCT製剤より約15分、約30分、約45分、約1時間、約1.5時間、約2時間、約2.5時間、または約3時間大きい。いくつかの態様において、タンパク質を含むおよび/またはタンパク質と共に投与される開示されたMCT製剤の総ケトン体のCmax到達時間(Tmax)は、実質的にタンパク質を含まないおよび/または実質的にタンパク質と共に投与されないMCT製剤より少なくとも15分、少なくとも30分、少なくとも45分、少なくとも1時間、少なくとも1.5時間、少なくとも2時間、少なくとも2.5時間、または少なくとも3時間大きい。いくつかの態様において、タンパク質を含むおよび/またはタンパク質と共に投与される開示されたMCT製剤の総ケトン体のCmax到達時間(Tmax)は、実質的にタンパク質を含まないおよび/または実質的にタンパク質と共に投与されないMCT製剤より少なくとも60分大きい。
【0074】
[0089]ケトン体測定値/定量化の分析は、誤差、ベースライン測定値等を説明するために状況次第で補正され得ることが当業者によって理解されるであろう。1種または複数種のケトン体の量は、全血、血漿、血清、およびまたはそれらの組み合わせから決定することができる。1種または複数種のケトン体の量は、酵素アッセイおよび液体クロマトグラフィー-タンデム質量分析(LC-MS)を含むがこれらに限定されない当業者に公知の方法によって決定することができる。
【0075】
[0090]本開示のさらに他の態様において、成分の組み合わせ(1つは低タンパク質を含む/タンパク質を含まず、1つはタンパク質を含む)を含むMCT製剤は、タンパク質ベースの成分がIR段階を提供し、低/無タンパク質成分がSR/DR/CR段階を提供する、組み合わせIRおよびSR/DR/CR薬物動態プロファイルを提供することができる。
【0076】
[0091]いくつかの態様において、MCT製剤は、少なくとも2種類の成分-IR薬物動態プロファイルを可能にする第1の成分、およびSR/DR/CR薬物動態プロファイルを可能にする第2の成分を含んでもよい。各成分は、MCTの治療有効量を含んでもよい。各成分中のMCTの量は、所望の結果および薬物動態プロファイルおよび治療される疾患/障害、および意図する対象または対象集団の特徴に基づき当業者によって容易に確認できる。
【0077】
[0092]一態様において、第1の成分(IR)は、実質的にタンパク質がなくてもよく、第2の成分(SR/DR/CR)は、タンパク質を含有してもよい。IR薬物動態プロファイルを維持するために、MCT製剤は、実質的にタンパク質と共に投与されなくてもよい。いくつかの態様において、実質的にタンパク質は、MCT製剤の投与の約30分前に投与されず、または対象によって消費されない。他の態様において、実質的にタンパク質は、MCT製剤の投与の少なくとも30分前に投与されず、または対象によって消費されない。他の態様において、実質的にタンパク質は、MCT製剤の投与の約1時間前に投与されず、または対象によって消費されない。他の態様において、実質的にタンパク質は、MCT製剤の投与の少なくとも1時間前に投与されず、または対象によって消費されない。いくつかの態様において、実質的にタンパク質は、MCT製剤の投与後30分の間に投与されず、または対象によって消費されない。他の態様において、実質的にタンパク質は、MCT製剤の投与の少なくとも30分後に投与されず、または対象によって消費されない。他の態様において、実質的にタンパク質は、MCT製剤の投与後1時間の間に投与されず、または対象によって消費されない。他の態様において、実質的にタンパク質は、MCT製剤の投与の少なくとも1時間後に投与されず、または対象によって消費されない。他の態様において、実質的にタンパク質は、MCT製剤の投与後90分の間に投与されず、または対象によって消費されない。他の態様において、実質的にタンパク質は、MCT製剤の投与の少なくとも90分後に投与されず、または対象によって消費されない。
【0078】
[0093]一態様において、第2の成分(SR/DR/CR)は、タンパク質を含有してもよい。第2の成分(SR/DR/CR)は、第1の成分(IR)の即時放出を妨げないように製剤化されてもよい。いくつかの態様において、第1の成分(IR)は、MCT製剤を投与すると1時間以内、1.5時間以内、2時間以内、2.5時間以内、または3時間以内に実質的に放出されるMCTの第1の部分の治療有効量を含む。一態様において、第1の成分は、MCT製剤を投与すると1時間以内に実質的に放出されるMCTの第1の部分の治療有効量を含む。一態様において、第1の成分は、MCT製剤を投与すると2時間以内に実質的に放出されるMCTの第1の部分の治療有効量を含む。一態様において、第1の成分は、MCT製剤を投与すると3時間以内に実質的に放出されるMCTの第1の部分の治療有効量を含む。いくつかの態様において、第2の成分(SR/DR/CR)は、MCT製剤を投与すると2時間以上、2.5時間以上、3時間以上、3.5時間以上、4.0時間以上、4.5時間以上、または5時間以上にわたり実質的に放出されるMCTの第2の部分の治療有効量を含む。一態様において、第1の成分は、2時間以上にわたり実質的に放出されるMCTの第2の部分の治療有効量を含む。一態様において、第2の成分は、3時間以上にわたり実質的に放出されるMCTの第2の部分の治療有効量を含む。一態様において、第2の成分は、4時間以上にわたり実質的に放出されるMCTの第1の部分の治療有効量を含む。
【0079】
[0094]いくつかの態様において、第1の成分(IR)は、第2の成分(SR/DR/CR)とは別々に対象に投与されてもよい。そのため、本開示の別の側面は、実質的にタンパク質の非存在下でMCTを含む第1の成分(IR)を投与し、次いでMCTおよびタンパク質の両方を含む第2の成分(SR/DR/CR)を投与する方法である。別の態様において、実質的にタンパク質の非存在下でMCTを含む第1の成分(IR)を投与し、次いでタンパク質と共にMCTを含む第2の成分(SR/DR/CR)を投与する方法が開示される。一態様において、第1および第2の成分は、約30分、約45分、約1時間、約1.5時間、約2時間、約2.5時間、または約3時間離して投与されてもよい。一態様において、第1のおよび第2の成分は、少なくとも30分、少なくとも45分、少なくとも1時間、少なくとも1.5時間、少なくとも2時間、少なくとも2.5時間、または少なくとも3時間離して投与されてもよい。
【0080】
[0095]別の態様において、第2の成分は、第1の成分がタンパク質と共に投与された少なくとも数分後に投与される。第2の成分はタンパク質を含んでもよく、またはタンパク質は第2の成分と共に投与されてもよい。タンパク質が第2の成分と共に投与される場合、タンパク質は第2の成分の少なくとも15分以内、少なくとも30分以内、少なくとも45分以内、または少なくとも60分以内に投与されてもよい。
【0081】
[0096]本開示は、さらに一般に、少なくとも1つのMCTを含む高充填量の活性剤を含む医薬組成物、ならびにそのような組成物を製造および使用する方法に関する。論じられているように、いくつかの態様においてMCT製剤は、実質的にタンパク質がない。他の態様において、MCT製剤はタンパク質を含有してもよい。
【0082】
[0097]一態様において、MCTのバイオアベイラビリティの改善および活性代謝物ケトン体のin vivo形成は、タンパク質の存在下および非存在下のいずれにおいても、高い薬物充填量のMCTの安定なエマルションを形成するMCT製剤により達成され得ることが予想外に見出された。
【0083】
[0098]特定の側面において、本開示のMCT製剤は、水性使用環境、例えば水で再構成すると、またはin vivoで投与されたときに安定なエマルションを形成する。
[0099]特定の態様において、形成されたエマルションは、安定性の持続期間中は相分離しない。例として、エマルションは、少なくとも約10分、少なくとも約20分、少なくとも約30分、少なくとも約45分、少なくとも約1時間、少なくとも約2時間、少なくとも約4時間、少なくとも約5時間、少なくとも約24時間等の間、安定であり得る。
【0084】
[0100]特定の側面において、エマルションは一般に、周囲条件および中性pH、ならびに投与時の生理学的条件(例えば、体温および胃の生理学的pH条件)で安定であり得る。
【0085】
[0101]特定の態様において、形成されたエマルションは、胃のpH、例えば、約1~約3、約1.2~2.9等のpHで安定であり得る。特定の態様において、形成されたエマルションは、腸および/または結腸のpH、例えば、約5~約7、約5.5~約6.9等のpHで安定であり得る。特定の態様において、形成されたエマルションは、約1/2~約1時間後に胃のpHで崩壊または相分離しはじめ得るが、腸または結腸のpHまでカプセル化MCTを放出しない。これに関して、理論によって制限されるものではないが、in-vitro消化アッセイは、脂質消化酵素の最初の部位である腸および/または結腸のpHでカプセル化MCTがエマルションから放出されることを示している。本開示の特定の側面によれば、胃ではなく腸および/または結腸でのMCTの優先的放出は、これらの領域における脂質消化酵素の部位を考えると、MCTのバイオアベイラビリティを向上させる可能性がある。
【0086】
[0102]特定の態様において、形成されたエマルションは、約0.5~約1時間後に胃のpHで崩壊または相分離しはじめ得るが、腸または結腸のpHまで、吸収/カプセル化されさもなければ包含された高い薬物充填量のMCTを放出しない。
【0087】
[0103]これに関して、本開示の特定の側面は、胃ではなく腸および/または結腸での高薬物充填MCTの優先的放出に関する。理論によって限定されることを意図するものではないが、腸および/または結腸でのこの優先的放出は、胃と比較して結腸が脂質消化酵素の最初の部位であることを考えると、MCTのバイオアベイラビリティを向上させる可能性がある。
【0088】
[0104]特定の側面において、MCT製剤は、小さな平均液滴粒径を有する安定なエマルションを生成する。小さな平均液滴粒径は、エマルション内でエマルション液滴の大きな相対表面積を生成する。理論によって制限されるものではないが、エマルション液滴のこの大きな相対表面積は、脂質消化酵素に対して、吸収/カプセル化されさもなければ組み込まれたMCTを放出し、これによりMCTを活性代謝物ケトン体に分解するように作用する大きな表面積を提供する。そのため、エマルション液滴の相対表面積が大きいほど、脂質消化酵素作用に利用できるMCTの量が大きくなり、これにより生成された活性代謝物ケトン体の量は大きくなる。特定の態様において、エマルションは、約1000nm未満だが約100nmより大きい、例えば約100nm~500nm、約200nm~約300nm等の平均液滴径を有してもよい。
【0089】
[0105]本開示の他の側面において、およびやはり理論によって制限されるものではないが、結腸での優先的MCTの放出は、非製剤化MCT油の標準的な投与と比較して胃の不調および関連する有害事象を低減する可能性がある。
【0090】
[0106]本開示のさらに他の側面において、上に記載したように、MCTのバイオアベイラビリティの改善は、非製剤化MCT油の標準的な投与と比較して、またはタンパク質と共に製剤化および/もしくは投与されるMCTの投与と比較して、一般にin vivoでの活性代謝物ケトン体生成の増加につながる可能性がある。
【0091】
[0107]要するに、小さなエマルション液滴を含むMCTの安定なエマルションは、MCTの優れたバイオアベイラビリティを提供するであろう。その理由の一部は、高表面積エマルション液滴が、結腸での脂質消化酵素による活性代謝物ケトン体へのMCTの効率的な消化を促進するためである。理論によって制限されるものではないが、タンパク質を含むまたはタンパク質と共に投与されるMCT製剤は胃のpHで凝固し、これにより製剤にエマルションを分解させ、APIを胃に放出させる。そのような製剤は一般に、結腸脂質消化酵素にとって利用しにくく、これによりMCTはあまりバイオアベイラブルでなくなる。
【0092】
[0108]低タンパク質を含む/タンパク質を含まないおよび/または低タンパク質と共に投与される/タンパク質と共に投与されない、ならびに胃のpHを含む周囲および生理学的条件で安定なエマルションを形成するMCT製剤は、タンパク質ベースのMCT製剤と対比してより高いバイオアベイラビリティ、より低い投与容量、およびAEの低減、それ故に患者滴定期間の低減をもたらす。
【0093】
[0109]特定の態様において、医薬組成物は、組成物全体の少なくとも約30重量%、組成物全体の少なくとも約35%、組成物全体の少なくとも約40重量%、組成物全体の約30重量%~組成物全体の約65重量%、組成物全体の約30重量%~組成物全体の約60重量%、組成物全体の約35重量%~組成物全体の約60重量%、組成物全体の約40重量%~組成物全体の約55重量%、組成物全体の約40重量%~組成物全体の約50重量%等のカプリル酸トリグリセリドなどの少なくとも1つのMCTを含む、または該MCTから本質的になる高い薬物充填量の活性剤を含んでもよい。
【0094】
[0110]本明細書で使用される場合、特に明記されない限り、「重量%」は「組成物全体の重量%」を指す。
[0111]特定の側面において、本開示の固体医薬組成物は、少なくとも1つのMCT、少なくとも1種類または2種類の界面活性剤、吸着剤、およびフィルム形成ポリマーを含む、またはこれらから本質的になる高い薬物充填量の活性剤を含んでもよい。医薬組成物は、補助界面活性剤も含んでもよい。
【0095】
[0112]本開示の特定の側面において、MCTは、それぞれの脂肪酸分子が5~12個の炭素の炭素鎖を有する、3個の脂肪酸分子にエステル結合された任意のグリセロール分子を指す。特定の態様において、医薬組成物は、以下の一般式:
【0096】
【化1】
【0097】
(式中、R1、R2およびR3は、グリセロール骨格にエステル化された炭素骨格に5~12個の炭素を有する脂肪酸である)によって表されるMCTを含み得る。
[0113]本開示のMCTは、直接エステル化、転位、分画、エステル交換反応等の当技術分野で公知の任意のプロセスにより調製することができる。MCTの供給源には、半合成、合成または天然の任意の適切な供給源が挙げられる。MCTの天然の供給源の例には、ココナッツおよびココナッツ油、パーム核およびパーム核油などの植物供給源、ならびに様々な種(例えば、ヤギ)のいずれかからの乳汁などの動物供給源が挙げられる。例えば、脂質は、ココナッツ油などの植物油の転位により調製することができる。鎖長の長さおよび分布は、供給源油に応じて異なり得る。例えば、1~10%のC6、30~60%のC8、30~60%のC10、1~10%のC10を含有するMCTは、通常、パーム油およびココナッツ油から得られる。
【0098】
[0114]本開示の特定の態様によれば、本開示の固体医薬組成物は、R1、R2およびR3に約95%を超える、例えば、98%のC8を有し、本明細書においてカプリル酸トリグリセリド(「CT」)と呼ばれるMCTを含むまたは該MCTから本質的になる活性剤を含んでもよい。
【0099】
[00115]特定の態様において、MCTは、本明細書に記載されるカプリル酸トリグリセリドである。CTの例示的な供給源には、ミグリオール(登録商標)808またはNEOBEE(登録商標)895が挙げられる。特定の側面において、CTは、ココナッツまたはパーム核油から得ることができ、グリセリン等へのオクタン酸の半合成エステル化により作成される。
【0100】
[0116]他の態様において、固体医薬組成物は、R、R、およびRが6炭素骨格を含有する脂肪酸(tri-C6:0)であるMCTを含むまたは該MCTから本質的になる活性剤を含んでもよい。Tri-C6:0 MCTは、いくつかの動物モデル系において極めて迅速に胃腸管に吸収される。高吸収速度は、肝臓の迅速な灌流、および強力なケトン体生成反応をもたらす。別の態様において、医薬組成物は、R、R、およびRが8炭素骨格を含有する脂肪酸(tri-C8:0)であるMCTを含むまたは該MCTから本質的になる活性剤を含んでもよい。別の態様において、医薬組成物は、R、R、およびRが10炭素骨格を含有する脂肪酸(tri-C10:0)であるMCTを含むまたは該MCTから本質的になる活性剤を含んでもよい。別の態様において、医薬組成物は、R、R、およびRがC8:0およびC10:0脂肪酸の混合物であるMCTを含んでもよい。別の態様において、医薬組成物は、R、RおよびRがC6:0、C8:0、C10:0、およびC12:0脂肪酸の混合物であるMCTを含むまたは該MCTから本質的になる活性剤を含んでもよい。別の態様において、医薬組成物は、R、RおよびRの95%超が8炭素長であるMCTを含むまたは該MCTから本質的になる活性剤を含んでもよい。さらに別の態様において、医薬組成物は、R、R、およびR炭素鎖が6炭素鎖または10炭素鎖であるMCTを含むまたは該MCTから本質的になる活性剤を含んでもよい。別の態様において、医薬組成物は、R、RおよびRの約50%が8炭素長であり、ならびにR、RおよびRの約50%が10炭素長であるMCTを含むまたは該MCTから本質的になる活性剤を含んでもよい。1つの態様において、医薬組成物は、R、RおよびRが6、7、8、9、10もしくは12炭素鎖長、またはそれらの混合物であるMCTを含むまたは該MCTから本質的になる活性剤を含んでもよい。
【0101】
[0117]論じられているように、本開示のいくつかの態様は、成分-IR薬物動態プロファイルを可能にする少なくとも1種類の成分、およびSR/DR/CR薬物動態プロファイルを可能にする少なくとも1種類の成分を含有する少なくとも2つのMCTを含むMCT製剤に関する。当業者によって理解される通り、多成分MCT製剤は、本開示に照らして当業者によって決定され得る。
【0102】
[0118]特定の側面において、本開示は、認知機能低下を伴う疾患または障害の治療を必要とする対象における認知機能低下を伴う疾患または障害を治療する方法であって、前記対象のケトン体濃度を上昇させ、これにより前記疾患または障害を治療するのに有効な量で本開示の医薬組成物を対象に投与するステップを含む方法に関する。特定の態様において、本開示の医薬組成物は、ケトン食療法の関連以外で投与されてもよい。例えば、本開示の関連では、炭水化物が本明細書に開示された医薬組成物と同時に消費されてもよい。
【0103】
[0119]本開示の特定の側面によれば、認知機能の低下を伴う疾患および障害には、加齢に伴う記憶障害(AAMI)、アルツハイマー病(AD)、パーキンソン病、フリードライヒ運動失調症(FRDA)、GLUT1欠損癲癇、妖精症、およびラブソン-メンデンホール症候群、冠状動脈バイパス移植片(CABG)認知症、麻酔誘導性記憶喪失、ハンチントン病、および多くの他のものが挙げられる。
【0104】
[0120]別の態様において、患者は、ニューロン代謝低下に起因する疾患に関連した認知機能低下、例えば、アルツハイマー病(AD)、パーキンソン病、フリードライヒ運動失調症(FRDA)、GLUT1欠損癲癇、妖精症、およびラブソン-メンデンホール症候群、冠状動脈バイパス移植片(CABG)認知症、麻酔誘導性記憶喪失、ハンチントン病、および多くの他の疾患に関連した認知機能低下を有する、またはこれを発症するリスクがある。
【0105】
[0121]別の態様において、対象は、その全体が参照により本明細書に組み込まれる、米国特許第US8,445,535号に記載されているApoE4遺伝子型を欠く。
[0122]本明細書で使用される場合、ニューロン代謝低下は、ニューロン代謝の低下につながり得る、全ての可能性のある機構を指す。そのような機構には、ミトコンドリア機能障害、フリーラジカル攻撃、活性酸素種(ROS)の発生、ROS誘導ニューロンアポトーシス、グルコース輸送または解糖不全、膜イオン電位の不均衡、カルシウム流の機能障害等が挙げられるが、これらに限定されない。
【0106】
[0123]本発明によれば、高い血中ケトンレベルは、グルコース代謝が損なわれている脳細胞にエネルギー供給源を提供し、認知機能の成績の改善につながるであろう。本明細書で使用される場合、「対象」および「患者」は互換的に使用され、ニューロン代謝低下と関連した、またはニューロン代謝低下から生じる疾患および状態の治療から恩恵を受けることができるヒトを含む任意の哺乳動物を指す。
【0107】
[0124]「有効量」は、特定の生物学的結果を達成するのに有効な、本明細書に記載される化合物、材料、または医薬組成物の量を指す。上述の状態の治療に対する有効性は、少なくとも1種類の神経心理学的検査からの結果の改善によって評価することができる。これらの神経心理学的検査は当技術分野で公知であり、特に、変化の臨床全般印象(CGIC)、レイ聴覚性言語学習検査(RAVLT)、ファースト-ラストネーム連想検査(First-Last Names Association Test)(FLN)、ダイヤル発信検査(Telephone Dialing Test)(TDT)、記憶評価の臨床的自己評価尺度(Memory Assessment Clinics Self-Rating Scale)(MAC-S)、記号数字コーディング(Symbol Digit Coding)(SDC)、SDC遅延想起課題(SDC Delayed Recall Task)(DRT)、分割的注意検査(Divided Attention Test)(DAT)、視覚的順序比較(Visual Sequence Comparison)(VSC)、DAT Dual Task(DAT Dual)、ミニメンタルステイト試験(MMSE)、および老年期うつ病評価尺度(GDS)が挙げられる。
【0108】
[0125]用語「認知機能」は、限定するものではないが、以下の少なくとも1つ、すなわち精神安定、記憶/想起能力、問題解決能力、推理能力、思考能力、判断能力、学習能力、知覚、直感、注意、および意識を含む、脳の特殊な、通常の、または適正な生理学的活動を指す。「認知機能の強化」または「認知機能の改善」は、限定するものではないが、以下の少なくとも1つ、すなわち、当技術分野で適切な任意の手段によって測定される、精神安定、記憶/想起能力、問題解決能力、推理能力、思考能力、判断能力、学習能力、知覚、直感、注意、および意識を含む、脳の特殊な、通常の、または適正な生理学的活動の任意の改善を指す。「認知機能の低下」または「認知機能不全」は、脳の特殊な、通常の、または適正な生理学的活動の何らかの減退を指す。
【0109】
[0126]別の態様において、本発明の方法は、患者の遺伝子型または特定の対立遺伝子の決定をさらに含む。1つの態様において、アポリポタンパク質E遺伝子の患者の対立遺伝子が決定される。ケトン体レベルの上昇がMCTにより誘導されたとき、非E4キャリアは、E4対立遺伝子を有する者より成績が良いことが見出された。また、E4対立遺伝子を有する者は、空腹時ケトン体レベルがより高く、該レベルは2時間間隔で上昇し続けた。したがって、E4キャリアは、存在するケトン体を使用する能力を高めるより高いケトンレベルまたは薬剤を必要とする可能性がある。
【0110】
[0127]1つの態様において、本開示の医薬組成物は経口投与される。治療剤の治療有効量は、所望の効果をもたらすのに十分な任意の量または用量であり得、状態の重症度および病期、患者のサイズおよび状態、ならびに当業者に容易にわかる他の要因に部分的に依存する。投与量は単一用量として、または本明細書の他の部分で論じられているように、例えば、数週間にわたって分割される複数用量として与えることができる。
【0111】
[0128]本開示の医薬組成物は、1つの態様において、例えばAD、AAMI等の任意の疾患関連または加齢関連認知低下の発生を治療および/または予防するのに必要とされるレベルまで血中ケトン体を増加させるのに必要とされる投与量で投与される。適当な投与量は、当業者によって決定され得る。適当な投与量は、当業者によって決定され得る。
【0112】
[0129]1つの態様において、本開示の医薬組成物の経口投与は高ケトン血症をもたらす。高ケトン血症は、1つの態様において、グルコースの存在下でさえ脳内でエネルギーとして利用されるケトン体をもたらす。さらに、高ケトン血症は、脳血流量のかなりの(39%)増加をもたらす(Hasselbalch,S.G.ら、Changes in cerebral blood flow and carbohydrate metabolism during acute hyperketonemia、Am J Physiol、1996、270:E746~51頁)。高ケトン血症は、正常なヒトにおいて全身性低血糖と関連した認知機能障害を低減することが報告されている(Veneman,T.ら、Effect of hyperketonemia and hyperlacticacidemia on symptoms、cognitive dysfunction,and counterregulatory hormone responses during hypoglycemia in normal humans、Diabetes、1994、43:1311~7頁)。全身性低血糖は、例えばAD、AAMI等の任意の疾患関連または加齢関連認知低下で生じるグルコース代謝の局所欠陥とは異なることに留意されたい。
【0113】
[0130]投与は、必要に応じてまたは所望に応じて、例えば、月1回、週1回、毎日、または1日1回超であってもよい。同様に、投与は、1日おき、1週間おき、または1カ月おき、2日おき、2週間おき、または2カ月おき、3日おき、3週間おき、または3カ月おき等であってもよい。投与は、1日に複数回であってもよい。通常の栄養必要量に対するサプリメントとして利用される場合、組成物は、患者に直接投与されてもよく、さもなければ日常の飼料もしくは食品と接触もしくは混合されてもよい。
【0114】
[0131]本明細書に提供される医薬組成物は、1つの態様において、「延長された(extended)」期間と本明細書で呼ばれることもある、「長期(long term)」消費が意図される。「長期」投与は、本明細書で使用される場合、一般に1カ月を超える期間を指す。2、3、または4カ月より長い期間は、本発明の1つの態様を含む。また、5、6、7、8、9、または10カ月より長い期間を含む、より延長された期間を含む態様も含まれる。11カ月または1年を超える期間も含まれる。1、2、3年またはそれより多い年数に及ぶより長期の使用も本明細書で企図される。「定期的」は、本明細書で使用される場合、少なくとも毎週の組成物の投与または消費を指す。週2回または3回などのより頻繁な投与または消費が含まれる。少なくとも1日1回の消費を含むレジメンも含まれる。当業者は、達成されたケトン体または特定のケトン体の血中レベルが、投与頻度の有益な尺度となり得ることを理解するであろう。本明細書に明示的に例示されているかどうかにかかわらず、測定される化合物の血中レベルを許容可能な範囲内に維持できるようにするいずれの頻度も、本明細書において有用と見なされ得る。当業者は、投与頻度が、消費または投与されている組成物の関数となり、いくつかの組成物は、測定される化合物(例えば、ケトン体)の所望の血中レベルを維持するために、より多いまたは少ない頻度の投与を必要とする場合があることを理解するであろう。
【0115】
[0132]投与は、例えば、患者の治療レジメンの一部として、定期的に実施することができる。治療レジメンは、患者の認知機能、記憶、および行動を強化するのに有効な量で、本開示の医薬組成物を患者に定期的に摂取させることを含み得る。定期的な摂取は、毎日または毎週、1日1回、または1日に2回、3回、4回、もしくはそれよりも多い回数であってもよい。同様に、定期投与は、1日もしく1週間おき、2日もしくは2週間おき、3日もしくは3週間おき、4日もしくは4週間おき、または5日おきもしくは5週間おきであってもよく、そのようなレジメンでは、投与は1日に複数回であってもよい。定期投与の目標は、本明細書で例示されている本開示の医薬組成物の至適用量を患者に提供することである。
【0116】
[0133]例えば、MCTを含む組成物などの本発明の組成物の投与量は、例えばAD、AAMI等の任意の疾患関連または加齢関連認知低下を有する患者などにおいて、ニューロン代謝低下の疾患に苦しむ患者の認知能力を高めるのに有効な量で投与されてもよい。
【0117】
[0134]本発明の組成物の化合物、すなわち、ニューロン代謝低下に起因する認知機能の喪失の治療または予防に有効な量でケトン体濃度を上昇させることができる化合物の投与の有効量は、当業者に明らかとなるであろう。本明細書で上記に論じられたように、そのような有効量は、開示された血中ケトンレベルに照らして決定することができる。ケトン体濃度を上昇させることができる化合物がMCTである場合、MCT用量は、1つの態様ではMCT約0.05g/kg/日~約10g/kg/日の範囲である。他の態様において、用量は、MCT約0.25g/kg/日~約5g/kg/日の範囲となろう。他の態様において、用量は、MCT約0.5g/kg/日~約2g/kg/日の範囲となろう。他の態様において、用量は、約0.1g/kg/日~約2g/kg/日の範囲となろう。他の態様において、MCTの用量は、少なくとも約0.05g/kg/日、少なくとも約0.1g/kg/日、少なくとも約0.15g/kg/日、少なくとも約0.2g/kg/日、少なくとも約0.5g/kg/日、少なくとも約1g/kg/日、少なくとも約1.5g/kg/日、少なくとも約2g/kg/日、少なくとも約2.5g/kg/日、少なくとも約3g/kg/日、少なくとも約4g/kg/日、少なくとも約5g/kg/日、少なくとも約10g/kg/日、少なくとも約15g/kg/日、少なくとも約20g/kg/日、少なくとも約30g/kg/日、少なくとも約40g/kg/日、および少なくとも約50g/kg/日である。
【0118】
[0135]好都合な単位投与容器および/または組成物には、特に、噴霧乾燥粒子、錠剤、カプセル、ロゼンジ、トローチ、ハードキャンディー、栄養バー、栄養ドリンク、計量スプレー、クリーム、および座薬のサシェまたは容器が挙げられる。組成物は、ゼラチン、油、および/または他の薬学的活性剤などの薬学的に許容される賦形剤と組み合わせることができる。組成物のいくつかの例は、その全体が参照により組み込まれる、WIPO公開2008/170235に記載されている。例えば、組成物は、有利には、対象化合物とは異なる他の治療剤または予防剤と組み合わされ、および/または併用されてもよい。多くの場合、対象組成物と併用した投与は、そのような薬剤の有効性を強化する。例えば、化合物は、有利には、抗酸化剤、グルコース利用の効率を高める化合物、およびそれらの混合物と併用されてもよい。
【0119】
[0136]MCTの日用量は、哺乳動物の体重(BW)1kgあたりのMCTのグラム単位で測定することもできる。MCTの日用量は、約0.01g/kg~約10.0g/kg哺乳動物BWにわたってもよい。好ましくは、MCTの日用量は、約0.1g/kg~約5g/kg哺乳動物BWである。より好ましくは、MCTの日用量は、約0.2g/kg~約3g/kg哺乳動物である。さらにより好ましくは、MCTの日用量は、約0.5g/kg~約2g/kg哺乳動物である。
【0120】
[0137]いくつかの態様において、本発明の化合物は、タンパク質の実質的非存在下で投与されてもよく、またはタンパク質なしで共製剤化されてもよい。
[0138]いくつかの態様において、MCT製剤は、タンパク質と同時投与されてもよく、またはタンパク質と共製剤化されてもよい。
【0121】
[0139]いくつかの態様において、MCT製剤は、タンパク質と同時投与されてもよく、またはタンパク質と共製剤化されてもよい。タンパク質は、1種類を超えるタンパク質、または1種もしくは複数種の供給源が異なるタンパク質を含んでもよい。適当なタンパク質は当技術分野で公知である。共製剤化される場合、使用するタンパク質の量は、少なくとも約0.1g、少なくとも約1g、少なくとも約10g、少なくとも約50g、少なくとも約100g、少なくとも約150g、少なくとも約200g、少なくとも約250g、少なくとも約300g、少なくとも約400gを含んでもよい。タンパク質の量は、少なくとも約1g、少なくとも約50g、少なくとも約100gであってもよい。組成物は、乾燥重量にして約15%~約40%のタンパク質を含んでもよい。そのようなタンパク質の供給源には、マメ類、穀物、乳製品、ナッツ類、種子類、果物、植物、動物、昆虫、合成供給源(例えば、遺伝子修飾酵母)、またはそれらの混合物が挙げられる。組成物は、場合により、乾燥ホエーおよび他の乳製品または副産物などのタンパク質を含む他の成分も含む。いくつかの態様においてMCT製剤は、タンパク質ベースの飲料(例えば、エンシュアおよび類似したタンパク質ベースの飲料および栄養サプリメント)の存在下で投与される。
【0122】
[0140]さらに、いくつかの態様において、MCT製剤は、炭水化物と同時投与、または炭水化物と共製剤化されてもよい。炭水化物は、1種類を超える炭水化物を含んでもよい。適当な炭水化物は当技術分野で公知であり、コーンシロップ、テンサイ等の従来の供給源からのグルコース、フルクトース、スクロース等の単糖が挙げられる。共製剤化される場合、使用する炭水化物の量は、少なくとも約0.1g、少なくとも約1g、少なくとも約10g、少なくとも約50g、少なくとも約100g、少なくとも約150g、少なくとも約200g、少なくとも約250g、少なくとも約300g、少なくとも約400gを含んでもよい。カルニチンの量は、少なくとも約1g、少なくとも約50g、少なくとも約100gであってもよい。組成物は、乾燥重量にして約15%~約40%の炭水化物を含んでもよい。そのような炭水化物の供給源には、コメ、トウモロコシ、モロコシ、アルファルファ、オオムギ、ダイズ、セイヨウアブラナ、カラスムギ、コムギ、またはそれらの混合物などの穀物または穀類が挙げられる。組成物は、場合により、乾燥ホエーおよび他の乳製品または副産物などの炭水化物を含む他の成分も含むことができる。
【実施例
【0123】
[0141]以下の例は、本発明の好ましい態様を実証するために含まれる。この後の例で開示される手法は、本発明の実施において十分に機能することが本発明者らによって見出された手法であり、それ故に本発明の実施のための好ましい形態を成すと見なし得ることが当業者によって理解されるべきである。しかし、当業者は、開示された特定の態様において本発明の趣旨および範囲から逸脱することなく多くの変更がなされ得、それでもなお同様のまたは類似した結果を得ることができることを本開示に照らして理解するべきである。
【0124】
実施例1-MCT製剤、AC-1202、Axona、およびAC-1204の投与から生じる血清ケトンレベルの比較
[0142]以下の試験は、中鎖脂肪酸トリグリセリドの2つの市販製剤および中鎖脂肪酸トリグリセリド(MCT)の2つの本発明製剤の生物学的同等性(BE)を実証するためにデザインされている。対象(健康な若い男性)を4つの別々の群に分けた。以下の製剤を群に経口投与した:群1、治療A:市販のCT油10g;群2、治療B:AC-1202(少なくとも95%のtri:C8/アカシアガム)60g;群3、治療C(Axona 40g);および群4、治療D AC-1204(少なくとも95%のtri:C8/アカシアガムとタンパク質)。治療B、C、およびDは、それぞれMCT 20gで投与した。投与後、血液試料を様々な時点で各対象から得、血清ケトンレベル(β-ヒドロキシ酪酸、BHB)を測定する酵素法(Wako Diagnostics)を使用して評価した。図1は、時間と対比した血清中の血清ケトンレベルの比較を示す。
【0125】
[0143]図1が示すように、2つの本発明製剤、AC-1202およびAC-1204は、2つの市販製剤と比較してより高い血清ケトンレベル(BHB)を達成した。AC-1202は、3つの他の製剤と比較してより高レベルのBHBおよびより大きいCmaxを達成した。AC-1204は、AC-1202と比較してより低いレベルのBHBおよびより低いCmaxを生成した。
【0126】
実施例2-水またはエンシュアと共に投与されるMCT製剤AC-1202の比較
[0144]以下の試験は、水と共に投与されるAC-1202、エンシュアと共に投与されるAC-1202、およびAC-1204(タンパク質を含む対照製剤)の間のPKプロファイルの差を実証するためにデザインされている。各対象(健康な若い男性)に製剤の1つを経口投与した。投与後、血液試料を様々な時点で各対象から得、血清ケトンレベル(β-ヒドロキシ酪酸、BHB)を測定する酵素法(Wako Diagnostics)を使用して評価した。図2は、時間と対比した血清中の血清ケトンレベルの比較を示す。
【0127】
[0145]表1は、水と共に投与されるAC-1202、またはエンシュアと共に投与されるAC-1202のどちらかを投与した対象における45日目および90日目の平均BHBを表す。全ての患者にわたって、AC-1202+エンシュアと対比してAC1202+水で有意により高いケトン体レベルが見られた。
【0128】
[0146]
【0129】
【表1】
【0130】
[0147]図2および表1が実証したように、水で投与されるAC-1202製剤は、560μMの場合、ケトンレベルを生成する最も高いCmaxを達成した(平均値とSE)。対照製剤、AC-1204は、水で投与されるAC-1202と対比した血清ケトンレベルの半分未満の血清レベルを生成した。
【0131】
実施例3-食品影響試験(FES):食品を含むおよび食品なしの高い薬物充填量によるMCT製剤の投与
[0148]以下の試験は、食品影響試験(FES)を決定するためにデザインされている。MCT製剤を滴定なし、食品と共におよび食品なしで20gトリカプリリンの用量で投与した。この試験では、2つの連続コホートを調べた。コホート1対象は白人であった。4元交差条件をコホート1で使用した。コホート2対象はアジア人であった。2元交差条件をコホート2で使用した。コホート2の最後の条件は、コホート1の結果に基づく安全性および忍容性に基づき中止した。
【0132】
[0149]表2は、この群で使用した実験プロトコルおよび結果を示す。
[0150]
【0133】
【表2】
【0134】
[0151]MCTを次のように送達した:20gトリカプリリン当量を含有する噴霧乾燥粉末50gを水約180mLで振盪し、対象に経口投与した。投与後直ちに、水60mLを追加してカップ中の残りの治療剤を振盪し、投与ごとに消費される投与水合計約240mLで対象に投与した。MCT製剤はタンパク質を含有しなかった。
【0135】
[0152]表3~5は、表1に記載されたコホートおよび期間について観察および補正した薬物動態値(AUC、Cmax、Tmax)を示す。非コンパートメント解析および名目サンプリング時間を使用して薬物動態解析を行った。総ケトンおよびBHB血清濃度を酵素法によって決定した。AcAc濃度は総ケトンからBHBを引き算して得た。得られた値がマイナスならば、それは0に設定した。期間1、2、3、および4の総ケトン、BHB、およびAcAcについて、期間1、-1日目の各ベースライン時点を1日目の時間整合時点から引き算した名目時間整合補正を使用して、ベースライン(BL)補正値を決定した。名目時間0時間の補正が1日目に生じた場合、-1時間、-1日目をベースライン補正に使用した。-1日目または1日目のどちらかの欠測値は、その時点の欠測ベースライン補正値をもたらした。ベースライン補正から生じるマイナス値は、PKパラメータ計算および記述統計のために0に設定した。ベースライン補正パラメータは、次のように決定した:(1)CmaxおよびTmaxは、ベースライン補正濃度-時間曲線から直接得た;(2)部分的AUCは、各期間の1日目のAUCから-1日目、期間1の部分的AUCを引き算して計算した。BLQである総ケトンおよびBHB濃度は、アセト酢酸(AcAc)決定、ベースライン補正、記述統計量の計算、およびPKパラメータ決定のためにLLOQ/2に設定した。
【0136】
[0153]薬物動態パラメータは、Phoenix(登録商標)WinNonlin(登録商標)バージョン6.4以上(Certata,L.P.プリンストン、ニュージャージー、米国[USA])および/またはSAS(登録商標)バージョン9.2以上(SAS Institute,Inc.、カリー、ノースカロライナ、USA)を用いた非コンパートメント法を使用して得た。
【0137】
[0154]
【0138】
【表3】
【0139】
[0155]
【0140】
【表4】
【0141】
[0156]
【0142】
【表5】
【0143】
[0157]図3A~B(総ケトン)、3C~D(BHB)、および3E~F(AcAc)は、経口投与後の各コホートで得られたPK値を示す。図は、最良のPKは標準食とのMCTの投与により得られたことを示している。忍容性が良好であったコホートの最良のPKは、高脂肪食の30分後にMCTを投与するほうが、標準食と共にMCTを投与するよりわずかに良かったことを示した。MCTの投与時の空腹は、忍容性の不良および最も低いPKをもたらした。忍容性が良好なコホートでは、総ケトンレベルは500~1000μMにわたった。最後に、より良好なPKは白人コホートよりアジア人コホートで達成された。この結果は、BMI(肥満度指数)について補正されていない。
【0144】
実施例4-タンパク質ベースのMCT製剤対非タンパク質ベースのMCT製剤の比較
[0158]この試験は、タンパク質ベースの製剤対非タンパク質ベースの製剤を比較するためにデザインされている。14人の対象(健康な若い男性)を6つの別々の群に分けた。各群に、MCT 20gを経口投与して表5に示されている6つの製剤の1つを投与した。試験では滴定は提供されなかった。試験は、ランダム化、オープンラベル、および交差デザインであった。
【0145】
【表6】
【0146】
[0159]各製剤は、1日目の時間0で経口投与し、および標準食の終了の約30分後に経口投与した。投与後、血液試料を様々な時点で各対象から得、総ケトンレベル、BHB(β-ヒドロキシ酪酸)レベル、およびアセト酢酸(AcAc)レベルの推定値を測定する酵素法(Wako Diagnostics)を使用して評価した。これらの酵素アッセイからのデータを図4~10に示す。上記の図が示すように、AC-1202は、増加したCmax、最も早いTmax、およびAUCという最も望ましい組み合わせを達成する。タンパク質ベースの製剤(MCTプロカル(Procal)、トリカプリリン/乳汁-CunnaneおよびAC-1207)は適切なAUCを有するが、Cmaxは遅れ、より低い。タンパク質製剤は、MCTの放出を遅らせるようである。炭水化物/アカシアガムベースの製剤は、MCTのより即時の放出をもたらす。
非限定的に、本発明は以下の態様を含む。
[態様1]
治療有効量の中鎖脂肪酸トリグリセリド(MCT)を投与するステップを含む、疾患または障害の治療を必要とする対象において疾患または障害を治療する方法であって、MCTの治療有効量が医薬組成物で投与され、MCT組成物が、標準食の30分後におよびタンパク質の実質的な非存在下で投与される場合、投与後少なくとも3時間以内に総ケトンの最大血清濃度(Cmax)をもたらす方法。
[態様2]
MCT組成物が、投与後少なくとも2.5時間以内、投与後少なくとも2時間以内、投与後少なくとも1.5時間以内、または投与後少なくとも1時間以内に総ケトンの最大血清濃度(Cmax)をもたらす、態様1に記載の方法。
[態様3]
MCTの治療有効量が20gであり、総ケトンのCmaxが少なくとも400μmol/L、少なくとも450μmol/L、または少なくとも500μmol/Lである、先行する態様のいずれか一項に記載の方法。
[態様4]
治療有効量の中鎖脂肪酸トリグリセリド(MCT)を投与するステップを含む、疾患または障害の治療を必要とする対象において疾患または障害を治療する方法であって、MCTの治療有効量が医薬組成物で投与され、MCT組成物が、標準食の30分後におよびタンパク質の実質的な非存在下で投与される場合、投与後少なくとも3時間以内にb-ヒドロキシ酪酸(BHB)の最大血清濃度(Cmax)をもたらす方法。
[態様5]
MCT組成物が、投与後少なくとも2.5時間以内、投与後少なくとも2時間以内、投与後少なくとも1.5時間以内、または投与後少なくとも1時間以内にBHBの最大血清濃度(Cmax)をもたらす、態様4に記載の方法。
[態様6]
MCTの治療有効量が20gであり、BHBのCmaxが少なくとも400μmol/L、少なくとも450μmol/L、または少なくとも500μmol/Lである、態様4または5のいずれか一項に記載の方法。
[態様7]
治療有効量の中鎖脂肪酸トリグリセリド(MCT)を投与するステップを含む、疾患または障害の治療を必要とする対象において疾患または障害を治療する方法であって、MCTの治療有効量が医薬組成物で投与され、MCT組成物が、標準食の30分後におよびタンパク質の実質的な非存在下で投与される場合、投与後少なくとも2.5時間以内にアセト酢酸(AcAc)の最大血清濃度(Cmax)をもたらす方法。
[態様8]
MCT組成物が、投与後少なくとも2時間以内、投与後少なくとも1.5時間以内、または投与後少なくとも1時間以内にAcAcの最大血清濃度(Cmax)をもたらす、態様7に記載の方法。
[態様9]
MCTの治療有効量が20gであり、AcAcのCmaxが少なくとも50umol/L、少なくとも60umol/L、少なくとも70umol/L、少なくとも80umol/L、少なくとも90umol/L、または少なくとも100umol/Lである、態様7または8のいずれか一項に記載の方法。
[態様10]
MCT医薬組成物が約1~約3のpHで安定である、態様1~9のいずれか一項に記載の方法。
[態様11]
治療有効量の中鎖脂肪酸トリグリセリド(MCT)を投与するステップを含む、疾患または障害の治療を必要とする対象において疾患または障害を治療する方法であって、MCTの治療有効量が医薬組成物で投与され、MCT組成物が、標準食の30分後におよびタンパク質の存在下で投与される場合、投与後少なくとも2.5時間後に総ケトンの最大血清濃度(Cmax)をもたらす方法。
[態様12]
MCT組成物が、投与後少なくとも3.0時間後、投与後少なくとも3.5時間後、投与後少なくとも4.0時間後、または投与後少なくとも5時間後に総ケトンの最大血清濃度(Cmax)をもたらす、態様11に記載の方法。
[態様13]
MCTの治療有効量が20gであり、総ケトンのCmaxが少なくとも200μmol/L、少なくとも250μmol/L、少なくとも300μmol/L、または少なくとも350μmol/Lである、態様11または12のいずれか一項に記載の方法。
[態様14]
治療有効量の中鎖脂肪酸トリグリセリド(MCT)を投与するステップを含む、疾患または障害の治療を必要とする対象において疾患または障害を治療する方法であって、MCTの治療有効量が医薬組成物で投与され、MCT組成物が、標準食の30分後におよびタンパク質の存在下で投与される場合、投与後少なくとも2.5時間後にb-ヒドロキシ酪酸(BHB)の最大血清濃度(Cmax)をもたらす方法。
[態様15]
MCT組成物が、投与後少なくとも3.0時間後、投与後少なくとも3.5時間後、投与後少なくとも4.0時間後、または投与後少なくとも5時間後にBHBの最大血清濃度(Cmax)をもたらす、態様14に記載の方法。
[態様16]
MCTの治療有効量が20gであり、BHBのCmaxが少なくとも200μmol/L、少なくとも250μmol/L、少なくとも300μmol/L、または少なくとも350μmol/Lである、態様14または15のいずれか一項に記載の方法。
[態様17]
治療有効量の中鎖脂肪酸トリグリセリド(MCT)を投与するステップを含む、治療を必要とする対象を治療する方法であって、MCTの治療有効量が医薬組成物で投与され、MCT組成物が、標準食の30分後におよびタンパク質の存在下で投与される場合、投与後少なくとも2.5時間後にアセト酢酸(AcAc)の最大血清濃度(Cmax)をもたらす方法。
[態様18]
MCT組成物が、投与後少なくとも3.0時間後、投与後少なくとも3.5時間後、投与後少なくとも4.0時間後、または投与後少なくとも5時間後にAcAcの最大血清濃度(Cmax)をもたらす、態様17に記載の方法。
[態様19]
MCTの治療有効量が20gであり、AcAcのCmaxが少なくとも20umol/L、少なくとも25umol/L、少なくとも30umol/L、少なくとも35umol/L、または少なくとも40umol/Lである、態様17または18のいずれか一項に記載の方法。
[態様20]
MCT医薬組成物が約5~約7のpHで安定である、態様11~19のいずれか一項に記載の方法。
[態様21]
治療有効量の中鎖脂肪酸トリグリセリド(MCT)を投与するステップを含む、治療を必要とする対象を治療する方法であって、MCTの治療有効量が2つの部分で投与され、
第1の部分が、対象に投与すると3時間以内に実質的に放出される中鎖脂肪酸トリグリセリド(MCT)の第1の治療有効量を含み、ならびに
第2の部分が、中鎖脂肪酸トリグリセリド(MCT)の第2の治療有効量およびタンパク質を含み、対象への第2の部分の投与後3時間以上にわたり、第2の部分からMCTの第2の量が実質的に放出される方法。
[態様22]
MCTの第1の部分がタンパク質の実質的な非存在下で投与される、態様21に記載の方法。
[態様23]
MCTの第1の部分が、対象に投与すると2.5時間以内、2時間以内、1.5時間以内、または1時間以内に実質的に放出される、態様21または22のいずれか一項に記載の方法。
[態様24]
MCTの第2の部分が、対象に投与すると3.5時間以上、4時間以上、4.5時間以上、または5時間以上にわたり実質的に放出される、態様21~23のいずれか一項に記載の方法。
[態様25]
疾患または障害が、認知機能の低下を伴う疾患または障害である、先行する態様のいずれか一項に記載の方法。
[態様26]
認知機能の低下を伴う疾患または障害が、アルツハイマー病および加齢に伴う記憶障害から選択される、態様25に記載の方法。
[態様27]
対象がApoE4遺伝子型を欠く、先行する態様のいずれか一項に記載の方法。
[態様28]
総ケトン、BHB、および/またはAcAcの量が酵素法を使用して決定される、先行する態様のいずれか一項に記載の方法。
[態様29]
第1の成分および第2の成分を含む医薬組成物であって、
第1の成分が、前記医薬組成物の投与を必要とする対象に前記医薬組成物を投与すると3時間以内に実質的に放出される中鎖脂肪酸トリグリセリド(MCT)の第1の部分の治療有効量を含み、ならびに
第2の成分が、中鎖脂肪酸トリグリセリド(MCT)の第2の部分の治療有効量およびタンパク質を含み、MCTの第2の部分が、対象への前記医薬組成物の投与後3時間以上にわたり第2の成分から実質的に放出される医薬組成物。
[態様30]
MCTの第1の部分が、医薬組成物の投与の2.5時間以内、2時間以内、1.5時間以内、または0.5時間以内に実質的に放出される、態様29に記載の医薬組成物。
[態様31]
中鎖脂肪酸トリグリセリド(MCT)および少なくとも1つの薬学的に許容される賦形剤を含む医薬組成物であって、
前記組成物は実質的にタンパク質がなく、
前記組成物が、標準食の30分後におよびタンパク質の実質的な非存在下でそれを必要とする対象に投与される場合、投与後少なくとも3時間以内に少なくとも1種類のケトン体の最大血清濃度(Cmax)をもたらす医薬組成物。
[態様32]
MCT組成物が、投与後少なくとも2.5時間以内、投与後少なくとも2時間以内、投与後少なくとも1.5時間以内、または投与後少なくとも1時間以内に少なくとも1種類のケトン体の最大血清濃度(Cmax)をもたらす、態様31に記載の組成物。
[態様33]
少なくとも1種類のケトン体が、b-ヒドロキシ酪酸(BHB)、アセト酢酸(AcAc)、またはそれらの組み合わせである、態様31または33に記載の組成物。
[態様34]
MCT医薬組成物がエマルションである、先行する態様のいずれか一項に記載の方法または組成物。
[態様35]
エマルションが、少なくとも10分間、少なくとも20分間、少なくとも30分間、少なくとも45分間、少なくとも1時間、少なくとも2時間、少なくとも4時間、少なくとも5時間、または少なくとも24時間相分離しない、態様34に記載の方法または組成物。
[態様36]
エマルションが、約100nm~約1000nm、約100nm~約500nm、または約200nm~約300nmの平均液滴径を有する、態様34または35のいずれか一項に記載の方法または組成物。
[態様37]
MCT医薬組成物が、少なくとも95%のtri:C8 MCTを含む、先行する態様のいずれか一項に記載の方法または組成物。
[態様38]
MCT医薬組成物が、少なくとも98%のtri:C8 MCTを含む、先行する態様のいずれか一項に記載の方法または組成物。
[態様39]
MCT医薬組成物が、少なくとも95%のカプリル酸トリグリセリドを含む、先行する態様のいずれか一項に記載の方法または組成物。
[態様40]
MCT医薬組成物が、少なくとも98%のカプリル酸トリグリセリドを含む、先行する態様のいずれか一項に記載の方法または組成物。
[態様41]
それを必要とする対象がヒトである、先行する態様のいずれか一項に記載の組成物または方法。
図1
図2
図3A
図3B
図3C
図3D
図3E
図3F
図4A
図4B
図5
図6A
図6B
図7A
図7B