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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-17
(45)【発行日】2024-10-25
(54)【発明の名称】情報処理システム、及び情報処理方法
(51)【国際特許分類】
   G06V 40/16 20220101AFI20241018BHJP
   G06T 7/00 20170101ALI20241018BHJP
   G06V 10/82 20220101ALI20241018BHJP
【FI】
G06V40/16 Z
G06T7/00 660A
G06V10/82
G06T7/00 350C
【請求項の数】 2
(21)【出願番号】P 2021562198
(86)(22)【出願日】2020-11-20
(86)【国際出願番号】 IB2020060947
(87)【国際公開番号】W WO2021111234
(87)【国際公開日】2021-06-10
【審査請求日】2023-11-16
(31)【優先権主張番号】P 2019221620
(32)【優先日】2019-12-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000153878
【氏名又は名称】株式会社半導体エネルギー研究所
(72)【発明者】
【氏名】岡野 達也
(72)【発明者】
【氏名】小國 哲平
(72)【発明者】
【氏名】秋元 健吾
【審査官】▲広▼島 明芳
(56)【参考文献】
【文献】特開2010-88756(JP,A)
【文献】特開2016-93313(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06V 10/00 - 40/70
G06T 7/00 - 7/90
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
撮像部と、第1の処理部と、第2の処理部と、第3の処理部と、第4の処理部と、を有し、
前記撮像部は、人物の顔の画像を含む第1乃至第n(nは2以上の整数)の画像と、クエリ画像と、を取得する機能を有し、
前記第1の処理部は、前記第1乃至第nの画像を基に、参照画像を取得する機能を有し、
前記第2の処理部は、入力層と、中間層と、出力層と、を有するニューラルネットワークによる処理を行う機能を有し、
前記第2の処理部は、前記第1乃至第nの画像、又は前記参照画像が前記入力層に入力された場合に、前記出力層から第1乃至第nの推定年齢、又は参照推定年齢をそれぞれ出力し、前記中間層から第1乃至第nのデータ、又は参照データをそれぞれ出力する機能を有し、
前記第2の処理部は、前記クエリ画像が前記入力層に入力された場合に、前記出力層からクエリ推定年齢を出力し、前記中間層からクエリデータを出力する機能を有し、
前記第3の処理部は、前記第1乃至第nの推定年齢と、前記参照推定年齢と、の差の値をそれぞれx座標とし、前記第1乃至第nのデータと、前記参照データと、の類似度の値をそれぞれy座標として、第1乃至第nの座標をそれぞれ取得する機能を有し、
前記第3の処理部は、前記クエリ推定年齢と、前記参照推定年齢と、の差の値をx座標とし、前記クエリデータと、前記参照データと、の類似度の値をy座標として、クエリ座標を取得する機能を有し、
前記第4の処理部は、前記第1乃至第nの座標を基に、クラスタリングを行い、前記クラスタリングの結果と、前記クエリ座標と、に基づき、前記クエリ画像に含まれる人物の疲労の有無を判定する機能を有する情報処理システム。
【請求項2】
人物の顔の画像を含む、第1乃至第n(nは2以上の整数)の画像を取得し、
前記第1乃至第nの画像を基に、参照画像を取得し、
入力層と、中間層と、出力層と、を有するニューラルネットワークの前記入力層に、前記第1乃至第nの画像、及び前記参照画像を入力して、前記出力層から第1乃至第nの推定年齢、及び参照推定年齢を、前記中間層から第1乃至第nのデータ、及び参照データをそれぞれ出力し、
前記第1乃至第nの推定年齢と、前記参照推定年齢と、の差をそれぞれx座標とし、前記第1乃至第nのデータと、前記参照データと、の類似度の値をそれぞれy座標として、第1乃至第nの座標をそれぞれ取得し、
人物の顔の画像を含むクエリ画像を取得し、
前記入力層に、前記クエリ画像を入力して、前記出力層からクエリ推定年齢を、前記中間層からクエリデータをそれぞれ出力し、
前記クエリ推定年齢と、前記参照推定年齢と、の差の値をそれぞれx座標とし、前記クエリデータと、前記参照データと、の類似度の値をそれぞれy座標として、クエリ座標を取得し、
前記第1乃至第nの座標を基に、クラスタリングを行い、前記クラスタリングの結果と、前記クエリ座標と、に基づき、前記クエリ画像に含まれる人物の疲労の有無を判定する情報処理方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の一態様は、情報処理システムに関する。また、本発明の一態様は、情報処理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
使用者の疲労、ストレスを検出する機能を有する携帯情報端末が開発されている。例えば、特許文献1には、脈拍を基に、使用者の疲労を検出する携帯情報端末が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2017-86524号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
例えば、携帯情報端末等の電子機器の使用者の疲労を、脈拍を基に検出する場合、当該電子機器を一定期間使用者に密着させる必要がある。このため、使用者に密着させずに疲労等を検出する場合と比較して、利便性が低いという課題がある。
【0005】
本発明の一態様は、利便性が高い情報処理システムを提供することを課題の一とする。又は、短時間で疲労、ストレス等を検出することができる情報処理システムを提供することを課題の一とする。又は、ニューラルネットワークを用いて疲労、ストレス等を検出することができる情報処理システムを提供することを課題の一とする。又は、高い精度で疲労、ストレス等を検出することができる情報処理システムを提供することを課題の一とする。又は、簡易な方法で疲労、ストレス等を検出することができる情報処理システムを提供することを課題の一とする。
【0006】
又は、利便性が高い情報処理方法を提供することを課題の一とする。又は、短時間で疲労、ストレス等を検出することができる情報処理方法を提供することを課題の一とする。又は、ニューラルネットワークを用いて疲労、ストレス等を検出することができる情報処理方法を提供することを課題の一とする。又は、高い精度で疲労、ストレス等を検出することができる情報処理方法を提供することを課題の一とする。又は、簡易な方法で疲労、ストレス等を検出することができる情報処理方法を提供することを課題の一とする。
【0007】
なお、複数の課題の記載は、互いの課題の存在を妨げるものではない。本発明の一形態は、例示したすべての課題を解決する必要はない。また、列記した以外の課題が、本明細書の記載から、自ずと明らかとなり、このような課題も、本発明の一形態の課題となり得る。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の一態様は、人物の顔の画像を含むクエリ画像を取得し、当該クエリ画像から、その人物の疲労の有無を判定する情報処理システム、及び情報処理方法である。すなわち、顔の画像を含む第1乃至第n(nは2以上の整数)の画像を取得し、これらをニューラルネットワークに入力して、出力層から出力される第1乃至第nの推定年齢と、中間層から出力される第1乃至第nのデータを取得する。また、顔の画像を含むクエリ画像を取得してニューラルネットワークに入力して、出力層から出力されるクエリ推定年齢と、中間層から出力されるクエリデータを取得する。そして、クエリ推定年齢を第1乃至第nの推定年齢と比較し、クエリデータを第1乃至第nのデータと比較することにより、クエリ画像に含まれる人物の疲労の有無を判定することができる。
【0009】
具体的には、本発明の一態様は、撮像部と、第1の処理部と、第2の処理部と、第3の処理部と、第4の処理部と、を有し、撮像部は、人物の顔の画像を含む第1乃至第n(nは2以上の整数)の画像と、人物の顔の画像を含むクエリ画像と、を取得する機能を有し、第1の処理部は、第1乃至第nの画像を基に、参照画像を取得する機能を有し、第2の処理部は、入力層と、中間層と、出力層と、を有するニューラルネットワークによる処理を行う機能を有し、第2の処理部は、第1乃至第nの画像、又は参照画像が入力層に入力された場合に、出力層から第1乃至第nの推定年齢、又は参照推定年齢をそれぞれ出力し、中間層から第1乃至第nのデータ、又は参照データをそれぞれ出力する機能を有し、第2の処理部は、クエリ画像が入力層に入力された場合に、出力層からクエリ推定年齢を出力し、中間層からクエリデータを出力する機能を有し、第3の処理部は、第1乃至第nの推定年齢と、参照推定年齢と、の差の値をそれぞれx座標とし、第1乃至第nのデータと、参照データと、の類似度の値をそれぞれy座標として、第1乃至第nの座標をそれぞれ取得する機能を有し、第3の処理部は、クエリ推定年齢と、参照推定年齢と、の差の値をx座標とし、クエリデータと、参照データと、の類似度の値をy座標として、クエリ座標を取得する機能を有し、第4の処理部は、第1乃至第nの座標を基に、クラスタリングを行い、クラスタリングの結果と、クエリ座標と、に基づき、クエリ画像に含まれる人物の疲労の有無を判定する機能を有する情報処理システムである。
【0010】
又は、本発明の一態様は、人物の顔の画像を含む第1乃至第n(nは2以上の整数)の画像を取得し、第1乃至第nの画像を基に、参照画像を取得し、入力層と、中間層と、出力層と、を有するニューラルネットワークの入力層に、第1乃至第nの画像、及び参照画像を入力して、出力層から第1乃至第nの推定年齢、及び参照推定年齢を、中間層から第1乃至第nのデータ、及び参照データをそれぞれ出力し、第1乃至第nの推定年齢と、参照推定年齢と、の差をそれぞれx座標とし、第1乃至第nのデータと、参照データと、の類似度の値をそれぞれy座標として、第1乃至第nの座標をそれぞれ取得し、人物の顔の画像を含むクエリ画像を取得し、入力層に、クエリ画像を入力して、出力層からクエリ推定年齢を、中間層からクエリデータをそれぞれ出力し、クエリ推定年齢と、参照推定年齢と、の差の値をそれぞれx座標とし、クエリデータと、参照データと、の類似度の値をそれぞれy座標として、クエリ座標を取得し、第1乃至第nの座標を基に、クラスタリングを行い、クラスタリングの結果と、クエリ座標と、に基づき、クエリ画像に含まれる人物の疲労の有無を判定する情報処理方法である。
【発明の効果】
【0011】
本発明の一態様により、利便性が高い情報処理システムを提供することができる。又は、短時間で疲労、ストレス等を検出することができる情報処理システムを提供することができる。又は、ニューラルネットワークを用いて疲労、ストレス等を検出することができる情報処理システムを提供することができる。又は、高い精度で疲労、ストレス等を検出することができる情報処理システムを提供することができる。又は、簡易な方法で疲労、ストレス等を検出することができる情報処理システムを提供することができる。
【0012】
又は、利便性が高い情報処理方法を提供することができる。又は、短時間で疲労、ストレス等を検出することができる情報処理方法を提供することができる。又は、ニューラルネットワークを用いて疲労、ストレス等を検出することができる情報処理方法を提供することができる。又は、高い精度で疲労、ストレス等を検出することができる情報処理方法を提供することができる。又は、簡易な方法で疲労、ストレス等を検出することができる情報処理方法を提供することができる。
【0013】
なお、複数の効果の記載は、他の効果の存在を妨げるものではない。また、本発明の一態様は、必ずしも、例示した効果のすべてを有する必要はない。また、本発明の一態様について、上記以外の課題、効果、及び新規な特徴については、本明細書の記載及び図面から自ずと明らかになるものである。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1は、情報処理システムの構成例を示すブロック図である。
図2A、及び図2Bは、ニューラルネットワークの構成例を示す模式図である。
図3は、情報処理方法の一例を示すフローチャートである。
図4A、及び図4Bは、情報処理方法の一例を示す模式図である。
図5A、及び図5Bは、情報処理方法の一例を示す模式図である。
図6は、情報処理方法の一例を示すグラフである。
図7は、情報処理方法の一例を示すフローチャートである。
図8は、情報処理方法の一例を示す模式図である。
図9A乃至図9C、並びに図9D1及び図9D2は、情報処理方法の一例を示すグラフである。
図10A乃至図10Dは、電子機器の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下に、本発明の実施の形態を説明する。ただし、本発明の一態様は、以下の説明に限定されず、本発明の趣旨及びその範囲から逸脱することなくその形態及び詳細を様々に変更し得ることは、当業者であれば容易に理解される。したがって、本発明の一態様は、以下に示す実施の形態の記載内容に限定して解釈されるものではない。
【0016】
また、本明細書に添付した図面では、構成要素を機能ごとに分類し、互いに独立したブロックとしてブロック図を示しているが、実際の構成要素は機能ごとに完全に切り分けることが難しく、一つの構成要素が複数の機能に関わること、又は一つの機能を複数の構成要素で実現することもあり得る。
【0017】
(実施の形態1)
本実施の形態では、本発明の一態様の情報処理システム、及び当該情報処理システムを用いた情報処理方法について説明を行う。本発明の一態様の情報処理システム、及び情報処理方法では、例えばスマートフォン、又はタブレット等の携帯情報端末の使用者の疲労、ストレス等の有無を判定することができる。具体的には、年齢を推定する機能を有するニューラルネットワークを用いて、疲労、ストレス等の有無を判定することができる。
【0018】
<情報処理システムの構成例>
図1は、本発明の一態様の情報処理システムである、情報処理システム10の構成例を示すブロック図である。情報処理システム10は、電子機器に組み込むことができる。例えば、スマートフォン、タブレット等の携帯情報端末に組み込むことができる。
【0019】
情報処理システム10は、撮像部11と、記憶部12と、処理部20と、出力部13と、を有する。処理部20は、画像算出部21と、年齢推定部22と、比較部23と、判定部24と、を有する。
【0020】
本明細書等において、処理部20の構成要素である、画像算出部21、年齢推定部22、比較部23、及び判定部24のそれぞれについても、処理部という場合がある。例えば、画像算出部21を第1の処理部といい、年齢推定部22を第2の処理部といい、比較部23を第3の処理部といい、判定部24を第4の処理部という場合がある。
【0021】
図1において、情報処理システム10の構成要素間のデータ等のやり取りを、矢印で示している。なお、図1に示すデータのやり取りは一例であり、例えば矢印によって結合されていない構成要素間でデータ等のやり取りを行うことができる場合がある。また、矢印によって結合されている構成要素間であっても、データのやり取りを行わない場合がある。
【0022】
撮像部11は、画像を取得する機能を有する。例えば、撮像部11には、光電変換素子を有する画素がマトリクス状に配列されており、当該画素を用いて撮像を行うことにより、画像を取得することができる。撮像部11が取得する画像は、人物を含む画像とすることができ、例えば情報処理システム10が組み込まれている電子機器の使用者を含む画像とすることができる。具体的には、撮像部11が取得する画像は、例えば顔を含む画像とすることができ、例えば情報処理システム10が組み込まれている電子機器の使用者の顔を含む画像とすることができる。
【0023】
本明細書等において、情報処理システムが組み込まれている電子機器の使用者を、情報処理システムの使用者という場合がある。例えば、情報処理システム10が組み込まれている電子機器の使用者を、情報処理システム10の使用者という場合がある。
【0024】
記憶部12は、撮像部11が取得した画像を記憶する機能を有する。記憶部12に記憶されている画像は、必要に応じて、処理部20に出力することができる。記憶部12に記憶されている画像は、例えば画像算出部21、年齢推定部22等に出力することができる。
【0025】
また、記憶部12は、処理部20が出力するデータ等を記憶する機能を有する。例えば、処理部20が記憶部12に記憶されている画像を読み出して処理を行い、当該処理により処理部20が取得したデータ等を記憶する機能を記憶部12は有する。
【0026】
記憶部12は、例えばDRAM(Dynamic Random Access Memory)、SRAM(Static Random Access Memory)等を有することができる。また、記憶部12は、例えばフラッシュメモリ、ReRAM(Resistive Random Access Memory、抵抗変化型メモリともいう)、PRAM(Phase change Random Access Memory)、FeRAM(Ferroelectric Random Access Memory)、MRAM(Magnetoresistive Random Access Memory、磁気抵抗型メモリともいう)等の不揮発性メモリを有することができる。さらに、記憶部12は、例えばHDD(Hard Disk Drive)、SSD(Solid State Drive)等を有してもよい。
【0027】
画像算出部21は、複数の画像を基にして、新たな画像を取得する機能を有する。例えば、複数の画像の平均画像を取得する機能を有する。例えば、記憶部12に、顔を含む画像が複数記憶されている場合、画像算出部21は、まず、当該複数の画像から顔を抽出する。抽出した顔の画像を、顔画像という。次に、顔画像の解像度をそろえた後、顔画像の平均画像を取得する。画像算出部21が取得した画像は、記憶部12に記憶される。
【0028】
本明細書等において、画像算出部21が取得した画像を、参照画像という。また、顔画像の平均画像を、平均顔画像という場合がある。前述のように、画像算出部21は、例えば平均顔画像を取得する機能を有する。よって、参照画像は、例えば平均顔画像とすることができる。
【0029】
年齢推定部22は、ニューラルネットワークNNによる処理を行う機能を有する。具体的には、年齢推定部22に入力された画像に対して、ニューラルネットワークNNによる処理を行う機能を有する。処理結果は、比較部23に出力される。又は、処理結果は、記憶部12に記憶される。
【0030】
ニューラルネットワークNNは、人物を含む画像が入力された場合に、当該人物の年齢を推定する機能を有する。例えば、ニューラルネットワークNNは、顔を含む画像が入力された場合に、当該顔の特徴量に基づき、年齢を推定する機能を有する。例えば、しわ、たるみ、しみ、ほうれい線等に基づき、年齢を推定することができる。例えば、口周辺、又は目じりのしわ等に基づき、年齢を推定することができる。
【0031】
図2Aは、ニューラルネットワークNNの構成例を示す図である。ニューラルネットワークNNは、層L[1]乃至層L[m](mは2以上の整数)を有する。
【0032】
層L[1]乃至層L[m]は、ニューロンを有し、各層に設けられているニューロン同士が結合されている。例えば、層L[1]に設けられているニューロンは、層L[2]に設けられているニューロンと結合されている。また、層L[2]に設けられているニューロンは、層L[1]に設けられているニューロン、及び層L[3]に設けられているニューロンと結合されている。つまり、層L[1]乃至層L[m]により、階層型のニューラルネットワークが構成されている。
【0033】
画像は層L[1]に入力され、層L[1]は入力された画像に対応するデータを出力する。当該データは層L[2]に入力され、層L[2]は入力されたデータに対応するデータを出力する。層L[m]には層L[m-1]から出力されたデータが入力され、層L[m]は当該入力されたデータに対応するデータを出力する。以上より、層L[1]を入力層、層L[2]乃至層L[m-1]を中間層、層L[m]を出力層とすることができる。
【0034】
ニューラルネットワークNNは、例えば層L[1]乃至層L[m]から出力されるデータが、ニューラルネットワークNNに入力された画像の特徴に対応するものとなるようにあらかじめ学習されている。学習は、教師なし学習、教師あり学習等により行うことができる。教師なし学習、教師あり学習のどちらの方法で学習を行う場合であっても、学習アルゴリズムとして誤差逆伝播方式等を用いることができる。
【0035】
ニューラルネットワークNNは、畳み込みニューラルネットワーク(CNN:Convolutional Neural Network)とすることができる。図2Bは、ニューラルネットワークNNとしてCNNを適用した場合の、ニューラルネットワークNNの構成例を示す図である。ここで、CNNを適用したニューラルネットワークNNを、ニューラルネットワークNNaとする。
【0036】
ニューラルネットワークNNaは、畳み込み層CL、プーリング層PL、及び全結合層FCLを有する。図2Bでは、ニューラルネットワークNNaが、畳み込み層CLとプーリング層PLをそれぞれm層(mは1以上の整数)ずつ有し、全結合層FCLを2層有する例を示している。なお、ニューラルネットワークNNaは、全結合層FCLを1層だけ有してもよいし、3層以上有してもよい。
【0037】
畳み込み層CLは、当該畳み込み層CLに入力されたデータに対して畳み込みを行う機能を有する。例えば、畳み込み層CL[1]は、年齢推定部22に入力された画像に対して畳み込みを行う機能を有する。また、畳み込み層CL[2]は、プーリング層PL[1]から出力されたデータに対して畳み込みを行う機能を有する。また、畳み込み層CL[m]は、プーリング層PL[m-1]から出力されたデータに対して畳み込みを行う機能を有する。
【0038】
畳み込みは、畳み込み層CLに入力されたデータと、重みフィルタと、の積和演算を繰り返すことにより行われる。畳み込み層CLにおける畳み込みにより、ニューラルネットワークNNaに入力された画像に対応する画像の特徴等が抽出される。
【0039】
畳み込みが施されたデータは、活性化関数によって変換された後、プーリング層PLに出力される。活性化関数としては、ReLU(Rectified Linear Units)等を用いることができる。ReLUは、入力値が負である場合は“0”を出力し、入力値が“0”以上である場合は入力値をそのまま出力する関数である。また、活性化関数として、シグモイド関数、tanh関数等を用いることもできる。
【0040】
プーリング層PLは、畳み込み層CLから入力されたデータに対してプーリングを行う機能を有する。プーリングは、データを複数の領域に分割し、当該領域ごとに所定のデータを抽出してマトリクス状に配置する処理である。プーリングにより、畳み込み層CLによって抽出された特徴を残しつつ、データ量を小さくすることができる。また、入力データの微小なずれに対するロバスト性を高めることができる。なお、プーリングとしては、最大プーリング、平均プーリング、Lpプーリング等を用いることができる。
【0041】
全結合層FCLは、入力されたデータを結合し、結合後のデータを活性化関数により変換して出力する機能を有する。活性化関数として、ReLU、シグモイド関数、tanh関数等を用いることができる。全結合層FCLは、ある層の全てのノードが、次の層の全てのノードと接続された構成を有する。畳み込み層CL又はプーリング層PLから出力されたデータは2次元の特徴マップであり、全結合層FCLに入力されると1次元に展開される。そして、全結合層FCLによる推論によって得られたベクトルが、当該全結合層FCLから出力される。
【0042】
ニューラルネットワークNNaにおいて、1層の全結合層FCLを、出力層とすることができる。例えば、図2Bに示すニューラルネットワークNNaでは、全結合層FCL[2]を出力層とすることができる。ここで、図2Bに示すニューラルネットワークNNaでは、全結合層FCL[1]は中間層とすることができる。また、ニューラルネットワークNNaが、全結合層FCLとして全結合層FCL[1]のみを有する場合は、全結合層FCL[1]を出力層とすることができる。さらに、ニューラルネットワークNNaが、全結合層FCL[1]乃至全結合層FCL[3]を有する場合は、全結合層FCL[3]を出力層とし、全結合層FCL[1]及び全結合層FCL[2]を中間層とすることができる。ニューラルネットワークNNaが、全結合層FCLを4層以上有する場合も同様に、1層の全結合層FCLを出力層とし、残りの全結合層FCLを中間層とすることができる。
【0043】
なお、ニューラルネットワークNNaの構成は図2Bの構成に限定されない。例えば、プーリング層PLが複数の畳み込み層CLごとに設けられていてもよい。つまり、ニューラルネットワークNNaが有するプーリング層PLの数は、畳み込み層CLの数より少なくてもよい。また、抽出された特徴の位置情報を極力残したい場合は、プーリング層PLを設けなくてもよい。
【0044】
ニューラルネットワークNNaは学習を行うことにより、重みフィルタのフィルタ値、全結合層FCLの重み係数等を最適化することができる。
【0045】
ニューラルネットワークNNの入力層に、人物を含む画像が入力されると、ニューラルネットワークNNの出力層から、当該人物の推定年齢が出力される。例えば、ニューラルネットワークNNが図2Aに示す構成である場合、入力層である層L[1]に人物を含む画像が入力されると、出力層である層L[m]から、当該人物の推定年齢が出力される。また、ニューラルネットワークNNが、図2Bに示す構成のニューラルネットワークNNaである場合、入力層である畳み込み層CL[1]に人物を含む画像が入力されると、出力層である全結合層FCL[2]から、当該人物の推定年齢が出力される。
【0046】
比較部23は、ニューラルネットワークNNの出力層が出力したデータを比較する機能を有する。例えば、ニューラルネットワークNNの出力層が出力した推定年齢を比較する機能を有する。具体的には、例えば撮像部11が取得した画像に含まれる者の推定年齢と、参照画像をニューラルネットワークNNに入力することにより取得された推定年齢と、を比較する機能を有する。例えば、撮像部11が取得した画像に含まれる者の推定年齢と、参照画像をニューラルネットワークNNに入力することにより取得された推定年齢と、の差を算出することにより、比較を行うことができる。
【0047】
また、比較部23は、ニューラルネットワークNNの中間層が出力したデータを比較する機能を有する。例えば、ニューラルネットワークNNが図2Aに示す構成である場合、層L[m-1]が出力したデータを比較する機能を有する。具体的には、例えば撮像部11が取得した画像をニューラルネットワークNNに入力した場合に層L[m-1]が出力したデータと、参照画像をニューラルネットワークNNに入力した場合に層L[m-1]が出力したデータと、を比較する機能を有する。また、ニューラルネットワークNNが図2Bに示す構成のニューラルネットワークNNaである場合、例えば全結合層FCL[1]が出力したデータを比較する機能を有する。又は、プーリング層PL[m]が出力したデータを比較する機能を有する。ニューラルネットワークNNの中間層が出力したデータの比較は、例えば類似度を算出することにより行うことができる。例えば、コサイン類似度、共分散、不偏共分散、ピアソンの積率相関係数等を用いて、類似度を算出することができる。特に、コサイン類似度を用いることが好ましい。
【0048】
さらに、比較部23は、上記比較結果を基に、座標を取得する機能を有する。例えば、ニューラルネットワークNNの出力層が出力した推定年齢の比較結果をx座標、ニューラルネットワークNNの中間層が出力したデータの比較結果をy座標として、座標を取得する機能を有する。
【0049】
なお、ニューラルネットワークNNの中間層のうち、2層以上の中間層について、出力データを比較してもよい。例えば、ニューラルネットワークNNが図2Aに示す構成である場合、層L[m-1]が出力したデータ、及び層L[m-2]が出力したデータを比較する機能を有する。具体的には、例えば撮像部11が取得した画像をニューラルネットワークNNに入力した場合に層L[m-1]が出力したデータ、及び層L[m-2]が出力したデータと、参照画像をニューラルネットワークNNに入力した場合に層L[m-1]が出力したデータ、及び層[m-2]が出力したデータと、を比較する機能を有する。また、ニューラルネットワークNNが図2Bに示す構成のニューラルネットワークNNaである場合、例えば全結合層FCL[1]が出力したデータ、及びプーリング層PL[m]が出力したデータを比較する機能を有する。具体的には、例えば撮像部11が取得した画像をニューラルネットワークNNaに入力した場合に全結合層FCL[1]が出力したデータ、及びプーリング層PL[m]が出力したデータと、参照画像をニューラルネットワークNNaに入力した場合に全結合層FCL[1]が出力したデータ、及びプーリング層PL[m]が出力したデータと、を比較する機能を有する。
【0050】
判定部24は、比較部23が取得した座標に対して、クラスタリングを行う機能を有する。また、判定部24は、クラスタリングの結果に基づき、判定を行う機能を有する。例えば、撮像部11が取得した画像に人物が含まれる場合、当該人物の疲労の有無、又はストレスの有無等を判定する機能を有する。クラスタリングの方法、及び疲労等の有無の判定方法の詳細は後述する。
【0051】
処理部20は、CPU(Central Processing Unit)、GPU(Graphics Processing Unit)等を用いて処理を行うことができる。例えば、画像算出部21、比較部23、及び判定部24は、CPUを用いて処理を行うことができる。また、年齢推定部22は、ニューラルネットワークNNにより構成されるため、GPUを用いると、高速で処理を行うことができるため好ましい。
【0052】
出力部13は、判定部24による判定結果を出力する機能を有する。出力部13は、例えば表示部を有し、当該表示部に疲労、ストレス等の判定結果を表示することができる。また、出力部13は、例えばスピーカを有し、疲労、ストレス等があると判定された場合に、警告のための音を発することができる。
【0053】
<情報処理方法の一例>
以下では、情報処理システム10を用いた情報処理方法の一例を説明する。具体的には、情報処理システム10を用いて、疲労の有無を判定する方法の一例を説明する。
【0054】
図3は、情報処理システム10に、疲労の有無を判定する機能を持たせる方法の一例を説明するフローチャートである。まず、撮像部11が、画像31[1]乃至画像31[n](nは2以上の整数)を取得する(ステップS01)。画像31[1]乃至画像31[n]は、同一人物を含む画像とする。画像31[1]乃至画像31[n]は、例えば図4Aに示すように、同一人物の顔を含む画像とする。画像31[1]乃至画像31[n]に含まれる人物は、例えば情報処理システム10の使用者とすることができる。
【0055】
画像31[1]乃至画像31[n]に含まれる人物は、例えば疲労が無い状態とする。例えば、撮像部11は、情報処理システム10の使用者に疲労が無い場合に、画像31[1]乃至画像31[n]を取得する。
【0056】
画像31[1]乃至画像31[n]は、一定の期間内に取得する。例えば、1ヶ月以内、3ヶ月以内、6ヶ月以内、又は1年以内に、画像31[1]乃至画像31[n]を取得することが好ましい。例えば、1月1日から1月31日まで、毎日1つずつ画像31を取得する場合、nは31となる。また、例えば1月に10個ずつ、6ヶ月にわたって画像31を取得する場合、nは60となる。
【0057】
次に、画像算出部21が、画像31[1]乃至画像31[n]を基に、参照画像32を取得する(ステップS02)。図4Bは、ステップS02における動作の一例を示す模式図である。例えば、画像31[1]乃至画像31[n]の平均を算出することにより、参照画像32を取得する。例えば、画像31[1]乃至画像31[n]に、顔が含まれる場合、まず、画像31[1]乃至画像31[n]のそれぞれから顔を抽出することにより、n個の顔画像を取得する。次に、n個の顔画像の解像度をそろえた後、n個の顔画像の平均画像を取得する。当該平均画像を、参照画像32とすることができる。
【0058】
その後、年齢推定部22に、画像31[1]乃至画像31[n]をそれぞれ入力する(ステップS03)。図5Aは、ステップS03における動作の一例を示す模式図である。図5Aでは、年齢推定部22が、図2Aに示す構成のニューラルネットワークNNによる処理を行う機能を有するとしている。なお、以降の図においても、年齢推定部22は、図2Aに示す構成のニューラルネットワークNNによる処理を行う機能を有するものとする。
【0059】
図5Aに示すように、画像31[1]乃至画像31[n]はそれぞれ、入力層としての機能を有する層L[1]に入力される。これにより、出力層としての機能を有する層L[m]から、推定年齢33[1]乃至推定年齢33[n]が出力される。例えば、画像31[i](iは1以上n以下の整数)が層L[1]に入力された場合は、推定年齢33[i]が層L[m]から出力される。図5Aでは、推定年齢33[1]がaaであり、推定年齢33[2]がbbであり、推定年齢33[n]がccであるとしている。また、中間層から、データが出力される。当該データは、例えば層L[1]に入力された画像31の特徴量を表すものとすることができる。図5Aでは、画像31[i]が層L[1]に入力された場合に、層L[m-1]から出力されるデータをデータ34[i]とする。
【0060】
データ34[1]乃至データ34[n]は、例えばベクトルとすることができる。図5Aには、ベクトルであるデータ34[1]乃至データ34[n]に含まれる成分を示している。図5Aでは、データ34[1]に成分としてVa1、及びVa2等が含まれ、データ34[2]に成分としてVb1、及びVb2等が含まれ、データ34[n]に成分としてVc1、及びVc2等が含まれるとしている。
【0061】
また、年齢推定部22に、参照画像32を入力する(ステップS04)。図5Bは、ステップS04における動作の一例を示す模式図である。図5Bに示すように、参照画像32は、入力層としての機能を有する層L[1]に入力される。これにより、出力層としての機能を有する層L[m]から、参照推定年齢35が出力される。図5Bでは、推定年齢35がkkであるとしている。また、中間層から、データが出力される。当該データは、例えば層L[1]に入力された参照画像32の特徴量を表すものとすることができる。図5Bでは、参照画像32が層L[1]に入力された場合に、層L[m-1]から出力されるデータを参照データ36とする。参照データ36は、例えばベクトルとすることができる。図5Bには、ベクトルである参照データ36に含まれる成分を示している。図5Bでは、参照データ36に成分としてVk1、及びVk2等が含まれるとしている。
【0062】
本明細書等において、年齢推定部22に参照画像を入力した際に、年齢推定部22から出力される推定年齢を、参照推定年齢という。また、年齢推定部22に参照画像を入力した際に、中間層から出力されるデータを、参照データという。
【0063】
参照データ36は、例えばベクトルとすることができる。図5Bには、参照データ36の成分を示している。
【0064】
ステップS03とステップS04の終了後、比較部23が、推定年齢33[1]乃至推定年齢33[n]と、参照推定年齢35を基に、値XV[1]乃至値XV[n]を取得する(ステップS05)。具体的には、推定年齢33[i]と、参照推定年齢35を基に、値XV[i]を取得する。例えば、推定年齢33[i]と、参照推定年齢35との差を、値XV[i]とすることができる。
【0065】
また、比較部23が、データ34[1]乃至データ34[n]と、参照データ36を基に、値YV[1]乃至値YV[n]を取得する(ステップS06)。具体的には、データ34[i]と、参照データ36を基に、値YV[i]を取得する。例えば、ベクトルであるデータ34[i]と、参照データ36との類似度を、値YV[i]とすることができる。当該類似度は、コサイン類似度、共分散、不偏共分散、ピアソンの積率相関係数等を用いて算出することができる。特に、コサイン類似度を用いることが好ましい。
【0066】
ステップS05とステップS06の終了後、比較部23は、値XV[1]乃至値XV[n]をx座標、値YV[1]乃至値YV[n]をy座標とする座標を取得する(ステップS07)。具体的には、値XV[i]をx座標、値YV[i]をy座標とする座標(XV[i],YV[i])を取得する。ここで、座標(XV[i],YV[i])を、第iの座標という。図6には、xy座標系を示している。図6に示す座標系において、座標をプロットで示す。なお、他の図に示す座標系でも同様の表記をする。図6には、第1乃至第nの座標が表されているものとする。つまり、n個の座標(プロット)が表されているものとする。
【0067】
比較部23が第1乃至第nの座標を取得した後、例えば判定部24が、第1乃至第nの座標に対してクラスタリングを行う。例えば、第1乃至第nの座標を基に、1つのクラスタを形成する。当該クラスタが含まれる領域を、領域30とする。クラスタリングは、例えば局所外れ値因子法(LOF:Local Outlier Factor)を用いて行うことができる。クラスタリングをLOFにより行う場合、領域30の外側の座標は、外れ値であるとすることができる。
【0068】
図7は、図3乃至図6に示す処理を行った情報処理システム10を用いて、疲労の有無を判定する方法の一例を示すフローチャートである。まず、撮像部11が、画像41を取得する(ステップS11)。画像41は、画像31[1]乃至画像31[n]に含まれる人物と同一人物を含む画像とする。例えば、画像31[1]乃至画像31[n]に顔が含まれる場合、画像41は、当該顔を有する人物と同一人物の顔を含む画像とする。
【0069】
本明細書等において、画像41を、クエリ画像という場合がある。また、画像31[1]乃至画像31[n]を、第1乃至第nの画像という場合、画像41を第n+1の画像という場合がある。
【0070】
次に、年齢推定部22に、画像41を入力する(ステップS12)。図8は、ステップS12における動作の一例を示す模式図である。図8に示すように、画像41は、入力層としての機能を有する層L[1]に入力される。これにより、出力層としての機能を有する層L[m]から、推定年齢42が出力される。図8では、推定年齢42がqqであるとしている。また、中間層から、データが出力される。図8では、画像41が層L[1]に入力された場合に、層L[m-1]から出力されるデータをデータ43とする。データ43は、例えばベクトルとすることができる。図8には、ベクトルであるデータ43に含まれる成分を示している。図8では、参照データ36に成分としてVq1、及びVq2等が含まれるとしている。
【0071】
データ43は、例えばベクトルとすることができる。図8には、データ43の成分を示している。
【0072】
なお、例えば画像41に顔が含まれる場合、画像41から顔を抽出して顔画像を取得した後、当該顔画像の解像度を、画像31[1]乃至画像31[n]から取得された顔画像の解像度とそろえた後に、年齢推定部22に入力することができる。この処理は、例えば画像算出部21により行うことができる。
【0073】
本明細書等において、例えば、画像41を第n+1の画像という場合、推定年齢42を第n+1の推定年齢といい、データ43を第n+1のデータという場合がある。また、例えば画像41をクエリ画像という場合、推定年齢42をクエリ推定年齢と言い、データ43をクエリデータという場合がある。
【0074】
その後、比較部23が、推定年齢42と、参照推定年齢35を基に、値XVqを取得する(ステップS13)。具体的には、値XV[1]乃至値XV[n]を取得するために用いた方法と同様の方法により、値XVqを取得する。例えば、推定年齢33[i]と参照推定年齢35の差を値XV[i]とした場合、推定年齢42と参照推定年齢35の差を値XVqとする。なお、画像31[1]乃至画像31[n]を取得してから長期間経過した後に、画像41を取得する場合、例えば推定年齢42から当該期間を引いた値と、参照推定年齢35と、を基に、値XVqを取得してもよい。例えば、画像31[1]乃至画像31[n]のうち、画像31[n]を最も後に取得された画像とし、画像31[n]の取得から1年後に画像41を取得する場合、推定年齢42と参照推定年齢35の差から1年を引いた値を、値XVqとすることができる。これにより、画像31[1]乃至画像31[n]の取得から長期間経過した後に画像41を取得した場合であっても、疲労等の有無を高い精度で判定することができる。
【0075】
また、比較部23が、データ43と、参照データ36を基に、値YVqを取得する(ステップS14)。具体的には、値YV[1]乃至値YV[n]を取得するために用いた方法と同様の方法により、値YVqを取得する。例えば、データ34[i]と参照データ36のコサイン類似度を値YV[i]とした場合、データ43と参照データ36のコサイン類似度を値YVqとする。
【0076】
ステップS13とステップS14の終了後、比較部23は、値XVqをx座標、値YVqをy座標とする座標を取得する(ステップS15)。図9A乃至図9Cに、座標(XVq,YVq)を示す。ここで、図9には、図6に示されている座標も示している。なお、画像41を第n+1の画像という場合、座標(XVq,YVq)を第n+1の座標という場合がある。また、画像41をクエリ画像という場合、座標(XVq,YVq)をクエリ座標という場合がある。
【0077】
次に、判定部24が、座標(XV[1],YV[1])乃至座標(XV[n],YV[n])と、座標(XVq,YVq)を基に、画像41に含まれる人物の疲労の有無を判定する(ステップS16)。例えば、画像41に顔が含まれる場合は、当該顔を有する者の疲労の有無を判定する。具体的には、座標(XVq、YVq)が、図9A乃至図9C等に示す領域50に含まれる場合は疲労ありと判定し、含まれない場合は疲労なしと判定する。
【0078】
領域50について、以下説明する。前述のように、画像31[1]乃至画像31[n]に含まれる人物は、例えば疲労が無い状態であるとしている。よって、座標(XV[1],YV[1])乃至座標(XV[n],YV[n])を基にLOF等を用いて形成された領域30に座標(XVq,YVq)が含まれる場合は、画像41に含まれる人物は疲労なしと判定することができる。また、人間は疲労があると、顔等のしわ、たるみ等が増加し、疲労がない場合より年齢が高く見える傾向がある。言い換えると、疲労がある人間は、疲労がない人間より、同一年齢の同一人物であっても年齢推定部22による推定年齢を高くさせる特徴を多く有するということができる。よって、例えば画像41から取得された値XVqを、画像41から取得された推定年齢42と、参照画像32から取得された参照推定年齢35の差とする場合、値XVqが負の値である場合は、画像41に含まれる人物は疲労なしと判定することができる。以上より、領域50は図9A乃至図9Cに示すように、例えば領域30に含まれず、座標XVqが0以上である領域とすることができる。
【0079】
図9Aは、座標(XVq,YVq)が領域50に含まれる場合を示している。この場合、画像41に含まれる人物は疲労ありと判定することができる。また、図9Bは、座標(XVq,YVq)が領域30に含まれる場合を示している。この場合、画像41に含まれる人物は疲労なしと判定することができる。さらに、図9Cは、座標(XVq,YVq)が領域30にも領域50にも含まれない場合を示している。この場合であっても、図9Bに示す場合と同様に、画像41に含まれる人物は疲労なしと判定することができる。
【0080】
図9A乃至図9Cでは、例えば領域30に含まれず、座標XVqが0以上である領域を領域50としているが、領域50の範囲はこれに限らない。図9D1、及び図9D2は、図6に示すxy座標系に領域50を追記したものであり、領域50の範囲が図9A乃至図9Cに示すものと異なる。なお、図9D1、及び図9D2には、座標(XVq,YVq)は示していない。
【0081】
図9D1では、x座標が、領域30の境界部のx座標のうち、最も大きいx座標以上の大きさである領域を、領域50としている。なお、x座標が、領域30の境界部のx座標のうち、最も大きいx座標以上の大きさであれば、いずれのy座標でも領域50に含まれるとしている。
【0082】
図9D1では、領域50を長方形としているが、本発明の一態様はこれに限らない。図9D2では、x座標が大きいほど、領域50に含まれるy座標の範囲を大きくしている。具体的には、x座標が大きいほど、y座標が大きくても領域50に含まれるとしている。図9D2では、領域50が、上辺と下辺がx軸と平行な台形であり、一方の脚が領域30の境界部と接する例を示している。なお、例えば領域50を直角三角形とし、斜辺が領域30の境界部と接する構成としてもよい。
【0083】
図9A乃至図9C、並びに図9D1及び図9D2に示す場合では、領域30と、x座標の大きさと、を基に領域50を定めている。前述のように、x座標は、例えば推定年齢と、参照推定年齢との差とすることができる。よって、領域30を形成するために用いる画像31[1]乃至画像31[n]は、1年以内に取得することが好ましい。例えば、画像31[1]乃至画像31[n]のうち、画像31[1]を最も前の期間に取得された画像とし、画像31[n]を最も後の期間に取得された画像とすると、画像31[1]を取得してから1年以内に画像31[n]を取得することが好ましい。
【0084】
以上が情報処理システム10を用いて、疲労の有無を判定する方法の一例である。なお、情報処理システム10の使用者等のストレス等の有無も、図3乃至図9に示す方法と同様の方法で判定することができる。
【0085】
情報処理システム10を用いた情報処理方法では、例えば情報処理システム10の使用者が、情報処理システム10が組み込まれている電子機器に体の一部を一定期間密着させなくても、当該使用者の疲労等の有無を判定することができる。よって、情報処理システム10は、利便性が高いということができる。具体的には、情報処理システム10が組み込まれている電子機器の利便性が高いということができる。また、情報処理システム10は、撮像部11が撮像を行い、顔等が含まれている画像を取得すれば、疲労等の有無を判定することができる。よって、情報処理システム10は、短時間で疲労等の有無を判定することができる。
【0086】
また、情報処理システム10を用いた情報処理方法では、ニューラルネットワークを用いて疲労等の有無を判定することができる。よって、情報処理システム10は、疲労等の有無を高い精度で判定することができる。
【0087】
ニューラルネットワークを用いた疲労等の有無の判定方法として、顔等を含む画像をニューラルネットワークに入力し、当該ニューラルネットワークの出力層が、疲労等の有無の推定結果を直接出力することが考えられる。しかしながら、当該方法では、疲労等がない状態の画像と、疲労等がある状態の画像と、の両方を学習データとして用意する必要がある。一方、本発明の一態様の情報処理方法では、例えば情報処理システム10に疲労等の有無を判定する機能を持たせるために用いる画像31[1]乃至画像31[n]は、全て疲労等がない状態の画像とすることができる。よって、情報処理システム10は、ニューラルネットワークを用いつつ、簡易な方法で疲労等の有無を判定することができる。
【0088】
また、情報処理システム10を用いた情報処理方法では、例えば画像41に含まれる人物の疲労等の有無を、当該人物の推定年齢42と、参照推定年齢35と、の差を用いて判定する。よって、推定年齢42そのものは、当該判定には用いない。よって、ニューラルネットワークNNによる年齢推定の精度は、高くなくてもよい。よって、例えばニューラルネットワークNNの重み等を、疲労等の判定を行う人物ごとにカスタマイズする必要がない。したがって、疲労等の判定を行う人物ごとに学習データを用意する必要がない。以上より、情報処理システム10は、ニューラルネットワークを用いつつ、簡易な方法で疲労等の有無を判定することができる。
【0089】
本実施の形態は、少なくともその一部を本明細書中に記載する他の実施の形態と適宜組み合わせて実施することができる。
【0090】
(実施の形態2)
本実施の形態では、本発明の一態様の情報処理システム、及び情報処理方法を適用することができる電子機器の一例について、図面を用いて説明する。
【0091】
発明の一態様の情報処理システム、及び情報処理方法を適用することができる電子機器として、表示機器、スマートフォン、タブレット、パーソナルコンピュータ、記録媒体を備えた画像記憶装置又は画像再生装置、携帯電話、携帯型を含むゲーム機、携帯データ端末、電子書籍端末、ビデオカメラ、デジタルスチルカメラ等のカメラ、ゴーグル型ディスプレイ(ヘッドマウントディスプレイ)等が挙げられる。これら電子機器の具体例を図10A乃至図10Dに示す。
【0092】
図10Aは、携帯電話機910の一例であり、例えばスマートフォンとすることができる。携帯電話機910は、筐体911、表示部912、操作ボタン913、外部接続ポート914、スピーカ915、差込口916、カメラ917、イヤホン差込口918等を有する。携帯電話機910は、表示部912にタッチセンサを設けることができる。電話を掛ける、或いは文字を入力する等のあらゆる操作は、指又はスタイラス等で表示部912に触れることで行うことができる。また、差込口916には、SDカード等のメモリーカードをはじめとして、USBメモリ、SSD(ソリッド・ステート・ドライブ)等の各種のリムーバブル記憶装置を差し込むことができる。
【0093】
携帯電話機910に本発明の一態様の情報処理システム、及び情報処理方法を適用することにより、携帯電話機910は、高い利便性かつ短時間で使用者等の疲労、ストレス等の有無を判定することができる。なお、携帯電話機910に情報処理システム10を適用する場合、図1に示す撮像部11にはカメラ917が含まれるということができる。また、図1に示す出力部13には表示部912、又はスピーカ915等が含まれるということができる。
【0094】
図10Bは、携帯データ端末920の一例であり、例えばタブレットとすることができる。携帯データ端末920は、筐体921、表示部922、スピーカ923、カメラ924等を有する。表示部922が有するタッチパネル機能により情報の入出力を行うことができる。また、カメラ924で取得した画像から文字等を認識し、スピーカ923で当該文字を音声出力することができる。
【0095】
携帯データ端末920に本発明の一態様の情報処理システム、及び情報処理方法を適用することにより、携帯データ端末920は、高い利便性かつ短時間で使用者等の疲労、ストレス等の有無を判定することができる。なお、携帯データ端末920に情報処理システム10を適用する場合、図1に示す撮像部11にはカメラ924が含まれるということができる。また、図1に示す出力部13には表示部922、又はスピーカ923等が含まれるということができる。
【0096】
図10Cは、腕時計型の情報端末930の一例であり、筐体兼リストバンド931、表示部932、操作ボタン933、外部接続ポート934、カメラ935等を有する。表示部932は、情報端末930の操作を行うためのタッチパネルが設けられる。筐体兼リストバンド931、及び表示部932は可撓性を有し、身体への装着性が優れている。
【0097】
情報端末930に本発明の一態様の情報処理システム、及び情報処理方法を適用することにより、情報端末930は、高い利便性かつ短時間で使用者等の疲労、ストレス等の有無を判定することができる。なお、情報端末930に情報処理システム10を適用する場合、図1に示す撮像部11にはカメラ935が含まれるということができる。また、図1に示す出力部13には表示部932等が含まれるということができる。
【0098】
図10Dに、ノート型パーソナルコンピュータ940を示す。ノート型パーソナルコンピュータ940は、筐体941、キーボード942、ポインティングデバイス943、外部接続ポート944、スピーカ945等を有する。筐体941に、表示部946、及びカメラ947が組み込まれている。
【0099】
ノート型パーソナルコンピュータ940に本発明の一態様の情報処理システム、及び情報処理方法を適用することにより、ノート型パーソナルコンピュータ940は、高い利便性かつ短時間で使用者等の疲労、ストレス等の有無を判定することができる。なお、ノート型パーソナルコンピュータ940に情報処理システム10を適用する場合、図1に示す撮像部11にはカメラ947が含まれるということができる。また、図1に示す出力部13には表示部946等が含まれるということができる。
【0100】
本実施の形態の電子機器は表示部を有する構成としたが、表示部を有さない電子機器にも本発明の一態様を適用することができる。
【0101】
本実施の形態は、少なくともその一部を本明細書中に記載する他の実施の形態と適宜組み合わせて実施することができる。
【符号の説明】
【0102】
10:情報処理システム、11:撮像部、12:記憶部、13:出力部、20:処理部、21:画像算出部、22:年齢推定部、23:比較部、24:判定部、30:領域、31:画像、32:参照画像、33:推定年齢、34:データ、35:参照推定年齢、36:参照データ、41:画像、42:推定年齢、43:データ、50:領域、910:携帯電話機、911:筐体、912:表示部、913:操作ボタン、914:外部接続ポート、915:スピーカ、916:差込口、917:カメラ、918:イヤホン差込口、920:携帯データ端末、921:筐体、922:表示部、923:スピーカ、924:カメラ、930:情報端末、931:筐体兼リストバンド、932:表示部、933:操作ボタン、934:外部接続ポート、935:カメラ、940:ノート型パーソナルコンピュータ、941:筐体、942:キーボード、943:ポインティングデバイス、944:外部接続ポート、945:スピーカ、946:表示部、947:カメラ
図1
図2A
図2B
図3
図4A
図4B
図5A
図5B
図6
図7
図8
図9A
図9B
図9C
図9D1
図9D2
図10A
図10B
図10C
図10D