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特許7573550無線通信可能な薬剤送出デバイス及び方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-17
(45)【発行日】2024-10-25
(54)【発明の名称】無線通信可能な薬剤送出デバイス及び方法
(51)【国際特許分類】
   A61M 5/50 20060101AFI20241018BHJP
【FI】
A61M5/50
【請求項の数】 39
(21)【出願番号】P 2021571938
(86)(22)【出願日】2020-06-16
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-08-17
(86)【国際出願番号】 US2020037839
(87)【国際公開番号】W WO2020257137
(87)【国際公開日】2020-12-24
【審査請求日】2023-06-15
(31)【優先権主張番号】62/864,014
(32)【優先日】2019-06-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】500049716
【氏名又は名称】アムジエン・インコーポレーテツド
(74)【代理人】
【識別番号】110001173
【氏名又は名称】弁理士法人川口國際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】パラマーナンダン,シバクマール
(72)【発明者】
【氏名】コールズ,アンドリュー
(72)【発明者】
【氏名】シー,ケン-トン
(72)【発明者】
【氏名】イン,ドーシュヨン
【審査官】中村 一雄
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2017/0312430(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2010/0167385(US,A1)
【文献】特開2015-213548(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2011/0063094(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61M 5/50
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
薬剤送出デバイスであって、
薬剤を収容するように適合されたリザーバと、
前記薬剤を送出するために前記リザーバと結合された注入機構と、
電源と、
1つ以上のセンサと、
メモリと、
前記電源によって電力供給され、並びにアクティブモード及び低電力モードを有するコントローラであって、
前記アクティブモードで動作している間に、前記1つ以上のセンサを使用して、前記注入機構が注入を実行したことを検出し、
前記薬剤送出デバイスの状態及び/又は前記注入を示すデータエントリを前記メモリ内に生成し、
前記注入機構が前記注入を実行したことの検出に続いて、又はそれと同時に前記低電力モードに切り替える、ように構成された、コントローラと、
前記電源によって電力供給される無線通信モジュールであって、
前記コントローラが前記低電力モードで動作している間にユーザデバイスとの無線接続を確立し、
前記薬剤送出デバイスの前記状態及び/又は前記注入を示すメッセージを前記ユーザデバイスに送信する、ように構成された、無線通信モジュールと、
を備える、薬剤送出デバイス。
【請求項2】
前記無線通信モジュールが、
第1の無線通信モジュール(WCM)トリガを検出するように構成されており、
前記無線接続を確立することが、前記第1のWCMトリガを検出したことに応じて、1つ以上の通信試行のシーケンスを開始することを含む、請求項1に記載の薬剤送出デバイス。
【請求項3】
前記コントローラ及び前記無線通信モジュールが、プロセッサインターフェースによって通信可能に接続されており、
前記コントローラが、前記プロセッサインターフェースを介して前記第1のWCMトリガを示す信号を送信するように構成されており、
前記無線通信モジュールによって前記第1のWCMトリガを検出することが、前記プロセッサインターフェースを介して前記第1のWCMトリガを示す前記信号を受信することを含む、請求項2に記載の薬剤送出デバイス。
【請求項4】
前記プロセッサインターフェースが、ユニバーサル非同期送受信(UART)インターフェースである、請求項3に記載の薬剤送出デバイス。
【請求項5】
前記コントローラによって前記第1のWCMトリガを示す前記信号を送信することが、前記注入機構が前記注入を実行したことを検出することに少なくとも部分的に応答する、請求項3又は4に記載の薬剤送出デバイス。
【請求項6】
前記無線通信モジュールによって前記第1のWCMトリガを検出することが、前記コントローラが前記低電力モードにある間に、前記1つ以上のセンサを使用して、前記無線通信モジュールによってユーザアクションを検出することを含む、請求項2に記載の薬剤送出デバイス。
【請求項7】
カートリッジ及び/又はボタンを含むように構成されたコンパートメントを備え、
前記ユーザアクションが、i)前記薬剤送出デバイスの前記コンパートメントを開くこと、ii)前記薬剤送出デバイスの前記コンパートメントを閉じること、又はiii)前記薬剤送出デバイスの前記ボタンを押圧すること、のうちの少なくとも1つを含む、請求項6に記載の薬剤送出デバイス。
【請求項8】
前記無線通信モジュールが、
前記無線通信モジュールのアクティブモードで動作している間に、前記ユーザデバイスからの確認を受信し、
前記確認の受信に応じて、前記無線通信モジュールの低電力モードに切り替える、
ように構成されている、請求項1~7のいずれか一項に記載の薬剤送出デバイス。
【請求項9】
前記確認が、i)前記確立された無線接続の確認応答、又はii)前記ユーザデバイスが前記メッセージを受信したことの表示、のうちの少なくとも1つを含む、請求項8に記載の薬剤送出デバイス。
【請求項10】
前記無線通信モジュールが、
通信時間窓が満了したことを判定し、
前記通信時間窓が満了したことの判定に応じて、前記無線通信モジュールの前記低電力モードに切り替える、
ように構成されている、請求項8又は9に記載の薬剤送出デバイス。
【請求項11】
前記通信時間窓が満了したことを判定することが、i)閾値期間より長い期間、又はii)閾値試行回数より多い試行回数、のうちの少なくとも1つの後に前記ユーザデバイスとの前記無線接続が確立されなかったことを判定することを含む、請求項10に記載の薬剤送出デバイス。
【請求項12】
前記通信時間窓が、少なくとも1時間持続する、請求項10又は11に記載の薬剤送出デバイス。
【請求項13】
前記無線通信モジュールが、
前記無線通信モジュールの前記低電力モードで動作している間に、第2のWCMトリガを検出し、
前記第2のWCMトリガの検出に応じて、前記無線通信モジュールの前記アクティブモードに切り替える、
ように構成されている、請求項8に記載の薬剤送出デバイス。
【請求項14】
前記コントローラ及び前記無線通信モジュールが、プロセッサインターフェース又は1つ以上の起動ラインによって通信可能に接続されており、
前記コントローラが、前記プロセッサインターフェース又は前記1つ以上の起動ラインを介して前記第2のWCMトリガを示す信号を送信するように構成されており、
前記無線通信モジュールによって前記第2のWCMトリガを検出することが、前記プロセッサインターフェース又は前記1つ以上の起動ラインを介して前記第2のWCMトリガを示す前記信号を受信することを含む、請求項13に記載の薬剤送出デバイス。
【請求項15】
i)注入液を収容するように構成されたコンパートメント、又はii)ボタンのうちの少なくとも1つを備え、
前記無線通信モジュールによって前記第2のWCMトリガを検出することが、前記コントローラが前記低電力モードにある間に、前記1つ以上のセンサを使用して前記無線通信モジュールによってユーザアクションを検出することを含み、
前記ユーザアクションが、i)前記コンパートメントを開くこと、ii)前記コンパートメントを閉じること、又はiii)前記ボタンを押圧すること、のうちの少なくとも1つを含む、請求項13に記載の薬剤送出デバイス。
【請求項16】
前記無線通信モジュールが、Bluetooth低エネルギー(BLE)モジュールである、請求項1~15のいずれか一項に記載の薬剤送出デバイス。
【請求項17】
前記コントローラが、
前記コントローラの前記低電力モードで動作している間に、コントローラ起動トリガを検出し、
前記コントローラ起動トリガの検出に応じて、前記コントローラの前記アクティブモードに切り替える、
ように構成されている、請求項1~16のいずれか一項に記載の薬剤送出デバイス。
【請求項18】
前記コントローラ及び前記無線通信モジュールが、プロセッサインターフェース又は1つ以上の起動ラインによって通信可能に接続されており、
前記無線通信モジュールが、前記プロセッサインターフェース又は前記1つ以上の起動ラインを介して前記コントローラ起動トリガを示す信号を送信するように構成されており、
前記コントローラによって前記コントローラ起動トリガを検出することが、前記プロセッサインターフェース又は前記1つ以上の起動ラインうちの1つを介して前記コントローラ起動トリガを示す前記信号を受信することを含む、請求項17に記載の薬剤送出デバイス。
【請求項19】
前記コントローラ及び前記無線通信モジュールが、非同期で動作するように構成されている、請求項1~18のいずれか一項に記載の薬剤送出デバイス。
【請求項20】
前記メモリが、前記コントローラの一部である、請求項1~19のいずれか一項に記載の薬剤送出デバイス。
【請求項21】
薬剤送出デバイスを動作させる方法であって、
アクティブモードで動作し、及び1つ以上のセンサに通信可能に結合されたコントローラによって、注入が前記薬剤送出デバイスで実行されたことを検出することと、
前記薬剤送出デバイスの状態及び/又は前記注入を示すデータエントリをメモリ内に記憶することと、
前記注入が実行されたことの検出に続いて、又はそれと同時に、前記コントローラを低電力モードに切り替えることと、
前記コントローラが前記低電力モードで動作している間に、前記薬剤送出デバイスに含まれる無線通信モジュールを介してユーザデバイスとの無線接続を確立することと、
前記無線通信モジュールによって、及び前記コントローラが前記低電力モードで動作している間に、前記薬剤送出デバイスの前記状態及び/又は前記注入を示すメッセージを前記ユーザデバイスに送信することと、
を含む、方法。
【請求項22】
前記無線接続を確立することが、
前記無線通信モジュールによって、第1の無線通信モジュール(WCM)トリガを検出することと、
前記第1のWCMトリガを検出したことに応じて、1つ以上の通信試行のシーケンスを開始することと、
を含む、請求項21に記載の方法。
【請求項23】
前記コントローラによって、プロセッサインターフェースを介して前記第1のWCMトリガを示す信号を送信すること、を含み、
前記無線通信モジュールによって前記第1のWCMトリガを検出することが、前記プロセッサインターフェースを介して前記第1のWCMトリガを示す前記信号を受信することを含む、請求項22に記載の方法。
【請求項24】
前記プロセッサインターフェースが、ユニバーサル非同期送受信(UART)インターフェースである、請求項23に記載の方法。
【請求項25】
前記コントローラによって前記第1のWCMトリガを示す前記信号を送信することが、前記注入が実行されたことを検出することに少なくとも部分的に応答する、請求項23に記載の方法。
【請求項26】
前記無線通信モジュールによって前記第1のWCMトリガを検出することが、前記コントローラが前記低電力モードにある間に、前記1つ以上のセンサを使用して、前記無線通信モジュールによってユーザアクションを検出することを含む、請求項22に記載の方法。
【請求項27】
前記ユーザアクションが、i)前記薬剤送出デバイスのコンパートメントを開くこと、ii)前記薬剤送出デバイスの前記コンパートメントを閉じること、又はiii)前記薬剤送出デバイスのボタンを押圧すること若しくは指センサを係合すること、のうちの少なくとも1つを含む、請求項26に記載の方法。
【請求項28】
前記無線通信モジュールのアクティブモードで動作している前記無線通信モジュールによって、前記ユーザデバイスからの確認を受信することと、
前記確認を受信したことに応じて、前記無線通信モジュールを前記無線通信モジュールの低電力モードに切り替えることと、
を含む、請求項21~27のいずれか一項に記載の方法。
【請求項29】
前記確認が、i)前記確立された無線接続の確認応答、又はii)前記ユーザデバイスが前記メッセージを受信したことの表示、のうちの少なくとも1つを含む、請求項28に記載の方法。
【請求項30】
通信時間窓が満了したことを判定することと、
前記通信時間窓が満了したことを判定したことに応じて、前記無線通信モジュールを前記無線通信モジュールの前記低電力モードに切り替えることと、
を含む、請求項28又は29に記載の方法。
【請求項31】
前記通信時間窓が満了したことを判定することが、i)閾値期間より長い期間、又はii)閾値試行回数より多い試行回数、のうちの少なくとも1つの後に前記ユーザデバイスとの前記無線接続が確立されなかったことを判定することを含む、請求項30に記載の方法。
【請求項32】
前記通信時間窓が、少なくとも1時間持続する、請求項30又は31に記載の方法。
【請求項33】
前記無線通信モジュールの前記低電力モードで動作している前記無線通信モジュールによって、第2のWCMトリガを検出することと、
前記第2のWCMトリガを検出したことに応じて、前記無線通信モジュールを前記無線通信モジュールの前記アクティブモードに切り替えることと、
を含む、請求項28に記載の方法。
【請求項34】
前記コントローラによって、プロセッサインターフェース又は起動ラインを介して前記第2のWCMトリガを示す信号を送信すること、を含み、
前記無線通信モジュールによって前記第2のWCMトリガを検出することが、前記プロセッサインターフェース又は前記起動ラインを介して前記第2のWCMトリガを示す前記信号を受信することを含む、請求項33に記載の方法。
【請求項35】
前記無線通信モジュールによって前記第2のWCMトリガを検出することが、前記コントローラが前記低電力モードにある間に、前記1つ以上のセンサを使用して前記無線通信モジュールによってユーザアクションを検出することを含み、
前記ユーザアクションが、i)前記薬剤送出デバイスのコンパートメントを開くこと、ii)前記薬剤送出デバイスの前記コンパートメントを閉じること、又はiii)前記薬剤送出デバイスのボタンを押圧すること若しくは指センサを係合すること、のうちの少なくとも1つを含む、請求項33に記載の方法。
【請求項36】
前記無線通信モジュールが、Bluetooth低エネルギー(BLE)モジュールである、請求項21~35のいずれか一項に記載の方法。
【請求項37】
前記コントローラの前記低電力モードで動作している前記コントローラによって、コントローラ起動トリガを検出することと、
前記コントローラ起動トリガを検出したことに応じて、前記コントローラを前記コントローラの前記アクティブモードに切り替えることと、
を含む、請求項21~36のいずれか一項に記載の方法。
【請求項38】
前記無線通信モジュールの前記アクティブモードで動作している前記無線通信モジュールによって、前記プロセッサインターフェース又は起動ラインを介して前記コントローラ起動トリガを示す信号を送信すること、を含み、
前記コントローラによって前記コントローラ起動トリガを検出することが、前記プロセッサインターフェース又は前記起動ラインを介して前記コントローラ起動トリガを示す前記信号を受信することを含む、請求項37に記載の方法。
【請求項39】
前記コントローラ及び前記無線通信モジュールが、非同期で動作する、請求項21~38のいずれか一項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
2019年6月20日に出願の米国仮特許出願第62/864,014号に対する優先権を主張するものであり、その全開示が参照により本明細書中に組み込まれる。
【0002】
本開示は、一般に、皮下注入を実行するためのものを含む薬剤送出デバイス、より具体的には、無線通信機能を有する薬剤送出デバイスに関する。
【背景技術】
【0003】
薬剤は、とりわけ、自動注入器、オンボディ注入器などの薬剤送出デバイスを使用して投与することができる。これらのデバイスは、従来の注射器などの従来の送出デバイスに置き換えられ得る。自動注入器及びオンボディ注入器を使用して、注入プロセスを自動化することができ、それによって、患者に対するプロセスを簡素化し、特定の場合には自己投与を任意選択にすることができる。特定の自動薬剤送出デバイスは、デバイスの使用を監視するためのセンサ及び他の電子機器を含む。そのようなセンサによって収集された情報は、この情報をユーザに表示したり、メモリに記憶したり、医師などの医療提供者に対して利用可能とするように、スマートフォンなどの外部デバイスに無線通信することができる。薬剤送出デバイスと外部デバイスと間の無線接続の確立には、特にデバイスが最初に互いの範囲内にない場合に時間がかかる可能性がある。薬剤送出デバイスが外部デバイスを検索するのに費やされる時間は、薬剤送出デバイスに含まれる電池にかなりの電力需要を課し得る。しかしながら、この需要を満たすために電池のサイズを大きくすることは望ましくなく、なぜなら、これは薬剤送出デバイスの形態因子又は形状を変化させ、それによって注入を行う患者によるデバイスの取り扱いに影響を与えることになるからである。更に、電池が大きくなるとデバイスに対するコストを増やし、これにより医療費が増大する。
【0004】
以下により詳細に記載されるように、本開示は、既存のシステム及び方法に対する有利な代替案を具体化する薬剤送出デバイスと無線で情報を通信するためのシステム及び方法を示し、これは、上記の課題又はニーズの1つ以上に対処するだけでなく、他の利益及び利点を提供することができる。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示は、電力効率の良い動作を維持しながら、情報をユーザデバイス(例えば、スマートフォン、パーソナルコンピュータ、サーバなどのモバイルコンピューティングデバイス)に転送する目的で、薬剤送出デバイスに対して通信機能を追加することを説明している。一態様では、薬剤送出デバイスは、薬剤を収容するように適合されたリザーバと、リザーバから薬剤を送出するためにリザーバと結合された注入機構と、電源と、1つ以上のセンサと、メモリと、電源によって電力供給され、並びにアクティブモード及び低電力モードを有するコントローラと、を備える。コントローラは、アクティブモードで動作している間に、1つ以上のセンサを使用して、注入機構が注入を実行したことを検出するように構成されている。コントローラはまた、注入及び/又は薬剤送出デバイスの状態を示すデータエントリをメモリ内に生成し、注入機構が注入を実行したことの検出に続いて、又はそれと同時に低電力モードに切り替えるように構成されている。薬剤送出デバイスはまた、電源によって電力供給され、コントローラが低電力モードで動作している間にユーザデバイスとの無線接続を確立し、並びに注入及び/又は薬剤送出デバイスの状態を示すメッセージをユーザデバイスに送信するように構成された、無線通信モジュールを備える。
【0006】
別の態様では、薬剤送出デバイスを操作する方法は、アクティブモードで動作し、及び1つ以上のセンサに通信可能に結合されたコントローラによって、注入が薬剤送出デバイスで実行されたことを検出することを含む。方法はまた、注入及び/又は薬剤送出デバイスの状態を示すデータエントリをメモリ内に記憶することと、注入が実行されたことの検出に続いて、又はそれと同時にコントローラを低電力モードに切り替えることと、を含む。方法は、コントローラが低電力モードで動作している間に、薬剤送出デバイスに含まれる無線通信モジュールを介してユーザデバイスとの無線接続を確立することを含む。方法はまた、無線通信モジュールによって、並びにコントローラが低電力モードで動作している間に、注入及び/又は薬剤送出デバイスの状態を示すメッセージをユーザデバイスに送信することを含む。
【0007】
本開示は、この後の説明を添付図面と併せて読むことで、よりよく理解されるであろう。図面によっては、要素を選択的に省略して簡略化することで他の要素をより明確に示すようにしている場合がある。一部の図面におけるこうした要素の省略は、対応する書面による説明の中で明確に記述されている場合を除き、例示的実施形態のいずれかにおける特定要素の有無を表すものでは必ずしもない。更に、いずれの図面も、必ずしも正確な縮尺で示されているわけではない。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】ユーザモバイルデバイスと無線通信するように構成された電力効率の良い薬剤送出デバイスを備えるシステムを示している。
図2】コントローラと無線通信モジュールとの間の例示的な相互作用を示している。
図3】薬剤送出デバイスの4つの電力状態を示す例示的な状態図である。
図4】薬剤送出デバイスの電力効率の良い動作の例示的な方法のフロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本開示は、電力効率の良い方法で無線通信機能を備えた薬剤送出デバイスを動作させることに関する。本明細書に記載の実装形態は、薬剤送出デバイスに含まれるコントローラ及び/又は無線通信モジュールの電力消費を効率的に管理することによってエネルギー節約を提供する。これらの構成要素の一方又は両方は、それぞれの構成要素が薬剤送出デバイスの現在の使用又は動作に寄与していないか、又は必要でないときに、低電力モードに切り替えられて維持され得る。ユーザデバイスとの無線接続の確立には、ユーザデバイスが使用できないか、又は近接していないことにより、かなりの時間がかかる場合がある。従って、無線通信モジュールが無線接続を確立しようとしている間、コントローラは、低電力モードのままであり得る。また、無線通信モジュールが接続を確立しようとしている間、コントローラは、無線通信モジュールとは独立して、ユーザが追加の注入のために薬剤送出デバイスを使用するときに、アクティブモードと低電力モードとの間を切り替えることができる。薬剤送出デバイスによって実行される自動タスク及びユーザのアクションに対応する様々なトリガイベントは、電力モード間の切り替えを引き起こし、その結果、電力効率の良い動作を可能にすることができる。そのように構成されると、本開示による薬剤送出デバイスは、電池寿命が増大する。
【0010】
ここで、薬剤送出デバイスの前述の構成要素のそれぞれ、及び薬剤送出デバイスを動作させる方法について、より詳細に説明する。
【0011】
図1は、ユーザモバイルデバイス104(本明細書では「モバイルデバイス」又は「ユーザデバイス」とも呼ばれる)と無線通信するように構成された電力効率の良い薬剤送出デバイス102を含むシステム100を示している。いくつかの実施形態によれば、薬剤送出デバイス102は、ある用量の注入可能材料(例えば、医薬、薬剤、ワクチン、又は別の治療物質)を、皮下注入を介してユーザ(例えば、患者)に自動的又は半自動的に送出するように構成された自動注入器又は他のハンドヘルドデバイスであってもよい。その自動化のおかげで、薬剤送出デバイス102は、従来の注射器などの手動注入デバイスと比較して、患者が使用するのがより簡単で及び/又はより便利であり得る。注入部位において皮膚と接触し、ユーザからの入力を受信した後、薬剤送出デバイス102は、皮膚に自動的に穴を開け、注入可能材料を皮下に送出することができる。従って、薬剤送出デバイス102は、注入に関連する身体的及び/若しくは心理的困難を克服し、ユーザ又は患者の経験を改善し、並びに/又は処方された注入レジメンの順守を高めるのに役立ち得る。加えて、薬剤送出デバイス102は、注入の自動記録保持を可能にし、その結果、医療の質を高めることを可能にし得る。そのために、薬剤送出デバイス102は、注入に関連する情報を記録し、及び記録された情報をユーザデバイス104に転送し、それによって、ユーザデバイス104上で実行しているソフトウェアアプリケーションを介して、例えば、患者又は医療提供者に対して情報を利用可能にする、電子構成要素を含み得る。以下でより詳細に論じられるように、薬剤送出デバイス102の電力効率の良い動作により、薬剤送出デバイス102の電池を再充電又は交換する必要性を低減し、動作のコスト及び環境への影響を低減し、同時にユーザ体験を更に拡大させることができる。更に、いくつかの実施形態では、薬剤送出デバイス102は、それが複数の注入を実行するために使用され得るという意味で再利用可能であり得る。しかしながら、薬剤送出デバイス102のシングルユース又は使い捨ての実施形態もまた想定される。
【0012】
図1に見られるように、薬剤送出デバイス102は、注入送出するため、並びに注入及び/又は薬剤送出デバイス102の状態(例えば、動作状態)に関連するデータを記録及び通信するための様々な構成要素、アセンブリ、及び/又は構造が、その中に又はその上に配置されたハウジング110を含み得る。ハウジング110の内部空間内に固定的に又は取り外し可能に配置された構成要素は、電源114、電源接続116a、b、コントローラ120、メモリ122、リムーバブル記憶デバイス124、補助回路126、バス128、無線通信モジュール130(WCM)、機械的駆動装置140、プランジャ142、ストッパ144、注入可能材料用リザーバ150、針152、キャップ154、センサ160a~d、及び/又はインジケータ162a、bを含み得る。ハウジング110は、例えば、注入可能材料のリザーバ150を含むカートリッジを挿入及び/又は取り外すための、ドア112などの可撓性の、関節式の、及び/又は取り外し可能な部品を含み得る。ハウジング110はまた、取り外し可能な構成要素を備えたコンパートメントへの他のドア、並びに例えば、薬剤送出デバイス102の構成要素、アセンブリ、及び/又は構造の一部に対する視覚的、聴覚的、及び/又は触知的アクセスを提供するための開口部又は窓を含み得る。
【0013】
薬剤送出デバイス102の電源114は、ハウジング110に取り外し可能に取り付けられて、ドア(図示せず)を通してアクセス可能な構成要素の1つであり得るか、又はハウジング110のコンパートメント内に固定的に取り付けられ、若しくは配置され得る。電源114は、例えば再充電可能なリチウムイオン電池などの、電気エネルギー貯蔵装置であってもよい。他の実装形態では、電源114は、1つ以上のアルカリ電池、又は例えば、AA、AAA、9V、コイン電池、若しくは任意の他の適切なタイプの電池などの他のタイプの電池を含む。追加的に又は代替的に、電源114は、電源114の電力密度を増大させるための1つ以上のコンデンサを含み得る。いくつかの実装形態では、電源114は、ハウジング110の外側に配置され、薬剤送出デバイス102の他の構成要素と機械的及び/又は電気的に接続され得る。電源114は、動作中に、1.5、3、4.5、6、9、12Vの実質的に固定された電圧、又は任意の他の適切な端子電圧を維持する2つの端子を含み得る。電源114は、100、200、500、1000、2000、5000、10000、20000mAhなどの量の電荷、又は電流として1つ以上の電力を消費する負荷に提供され得る任意の他の適切な電荷を蓄積することができる。いくつかの実装形態では、電源114は、薬剤送出デバイス102の少なくとも部分的に外側に配置され得る充電回路(図示せず)に電気的に接続するように構成された充電式電池である。
【0014】
電源114は、電源接続116aを介してコントローラ120と電気的に接続され得る。同様に、電源114は、電源接続116bを介して無線通信モジュール130と電気的に接続され得る。電源接続116a、bはそれぞれ、コントローラ120及び無線通信モジュール130が、電源114から電力、電荷、及び/又は電流を導入することを可能にし得る。電源接続116a、bのそれぞれは、コントローラ120及び/又は無線通信モジュール130によってそれぞれ導入される電流を制限又は停止するように構成され得る、スイッチング及び/又は回路保護デバイスを含み得る。電源接続116a、bはまた、電圧を調整するための構成要素(例えば、ツェナーダイオード、トランジスタベースの電圧レギュレータなど)を含み得る。追加の電源接続(図示せず)を介して、電源114は、例えば、メモリ122、リムーバブル記憶デバイス124、補助回路126、機械的駆動装置140、センサ160a~d、及び/又はインジケータ162a、bを含む様々な他の負荷と電気的に接続され、それらに電力供給することができる。
【0015】
コントローラ120は、マイクロプロセッサ(μP)、デジタル信号プロセッサ(DSP)、中央処理ユニット(CPU)、グラフィカル処理ユニット(GPU)、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)、特定用途向け集積回路(ASIC)、及び/又は任意の他の適切な電子処理構成要素などの1つ以上のプロセッサを含み得る。追加的に又は代替的に、コントローラ120は、マイクロコントローラ(μC)を含み得る。コントローラ120は、メモリ122と通信接続することができる。いくつかの実装形態では、メモリ122は、コントローラ120に含まれ、そこに統合され、及び/又はその一部であってもよい。これらの実装形態のいくつかでは、コントローラ120に含まれるメモリ122は、システムオンチップ(SOC)構成において、プロセッサと同じチップ又はIC上に配置され得る。他の実装形態では、メモリ122は、コントローラ120の1つ以上のプロセッサとは別のパッケージ内に配置され得る。コントローラ120内の、又はコントローラ120と通信接続しているメモリ122は、1つ以上のレジスタ、ランダムアクセスメモリ(RAM)、読み取り専用メモリ(ROM)、電気的に消去可能なプログラム可能な読み取り専用メモリ(EEPROM)、及び/又はフラッシュメモリなどの1つ以上の電子メモリ構成要素を含み得る。追加的に又は代替的に、コントローラ120は、フラッシュドライブ、SD(セキュアデジタル)カード、及び/又はmicroSDカードなどのリムーバブル記憶デバイス124と通信接続することができる。コントローラ120は、メモリ122又は内部メモリとの間で、情報を読み取り及び/又は書き込むように構成され得る。同様に、コントローラ120は、リムーバブル記憶デバイス124との間で、情報を読み取り及び/又は書き込むように構成され得る。コントローラ120は、パッケージ化されて回路基板上に取り付けられてもよく、複数のコネクタ又はピンを使用して、薬剤送出デバイス102の他の構成要素と相互作用してもよい。
【0016】
コントローラ120がマイクロプロセッサなどによって定義されるこれらの実施形態によれば、コントローラ120の構成は、コントローラのプログラミングに対応し得る。
【0017】
無線通信モジュール130は、無線チップセットを含んでもよい。無線チップセットを使用して実装されるかどうかにかかわらず、無線通信モジュール130は、マイクロプロセッサ、DSP、CPU、GPU、FPGA、ASIC、及び/又は任意の他の適切な電子処理構成要素などの1つ以上のプロセッサを含み得る。無線通信モジュール130は、少なくとも1つの処理構成要素との通信接続において、1つ以上のレジスタ、RAM、ROM、EEPROM、及び/又はオンボードフラッシュメモリなどの1つ以上のメモリ構成要素を含み得る。無線通信モジュール130は、少なくとも1つの送信機及び少なくとも1つの受信機を含む、1つ以上の通信構成要素を含み得る。送信機及び受信機は、単一のトランシーバユニットの一部であり得る。送信機及び受信機は、例えば、50kHzから100GHzまでの無線周波数(RF)において、又は赤外線から紫外線までの光周波数を使用して通信するように構成され得る。RF送信機及び受信機は、発振器、増幅器、フィルタ、及び/又はアンテナを含んでもよく、一方、光送信機及び受信機は、発光ダイオード、レーザ、光検出器、光増幅器、ファイバ、及び/又はレンズを含んでもよい。無線通信モジュール130は、産業、科学、及び医療(ISM)周波数帯域を介して通信するように構成され得る。いくつかの実装形態では、無線通信モジュール130は、WiFi、近距離無線通信(NFC)、Bluetooth、及び/又はBluetooth低エネルギー(BLE)モジュールである。無線通信モジュール130は、パッケージ化されて回路基板上に取り付けられてもよく、複数のコネクタ及び/又はピンを使用して、薬剤送出デバイス102の他の構成要素と相互作用してもよい。
【0018】
薬剤送出デバイス102の電力効率の良い動作により、コントローラ120及び無線通信モジュール130などの負荷の一部又は全ての電力消費を低減することによって、電源114の寿命を延長し、及び/又は電源114を再充電しなければならない頻度を低減することができる。コントローラ120は、少なくともアクティブモード及び低電力モードを含む、異なる電力消費又は電流導入を伴う複数のモードで動作するように構成され得る。アクティブモードで動作している間、コントローラ120、及び任意選択的に薬剤送出デバイス102に含まれる他の電子構成要素は、低電力モードで動作しているときよりも多くの電力を電源114から消費又は導入することができる。アクティブモードでは、コントローラ120は、以下に説明するように、薬剤送出デバイス102の動作を制御することができ、及び/又はコントローラ120内のコンピューティングリソースの全て又は大部分にアクセスすることができる。たとえコントローラ120がアイドル状態であるときでも、アクティブモードでコンピューティングリソースにアクセスする準備ができていることにより、かなりの電力消費をもたらし得る。対照的に、低電力モードでは、コントローラ120は、電力を節約するために、コントローラ120のコンピューティングリソースへのアクセスが制限されているだけであり得る。コントローラ120の低電力モードの一例は、例えば、コントローラ120に対する外部のスイッチによって、コントローラ120への電力がカットオフされる場合であり得る。別の例は、コントローラ120のいわゆる「スリープ」モードであり得る。いくつかの実施形態では、コントローラ120は、アクティブモードよりも低電力モードにおいて、薬剤送出デバイス102の電源114からより少ない電力を導入し得る。低電力モードからアクティブモードに遷移するために、コントローラ120は、例えば、電源をオンにするか、又は「ウェイクアップ」信号をコントローラ120に送信するなどの、外部アクションに対応するトリガを必要とし得る。
【0019】
コントローラ120と同様に、無線通信モジュール130は、アクティブモード及び低電力モードを含む、異なる電力消費又は電流導入を伴う複数のモードで動作するように構成され得る。無線通信モジュール130内のコンピューティングリソースへのアクセスを可能にすることに加えて、無線通信モジュール130のアクティブモードはまた、電力消費に実質的に寄与する無線通信リソースを可能にし得る。対照的に、無線通信モジュール130の低電力モードは、電力を節約するためにコンピューティングリソース及び/又は無線通信リソースに対するアクセスが制限される動作モードを指し得る。コントローラ120と同様に、無線通信モジュール130は、電源をオンに切り替えるか、スリープモードからウェイクアップしてアクティブモードに遷移するために、外部アクションに対応するトリガを必要とし得る。コントローラ120及び無線通信モジュール130、並びに動作モード遷移を引き起こすアクションについてのより詳細は、コントローラ120と無線通信モジュール130との間の可能な相互作用を示している図2の文脈で以下に議論される。
【0020】
図1に戻ると、コントローラ120及び無線通信モジュール130は、通信バス128を介して互いに通信接続され得る。通信バス128はまた、例えば、メモリ122、リムーバブル記憶デバイス124、補助回路126、機械的駆動装置140、センサ160a~d、並びに/又はコントローラ120及び/若しくは無線通信モジュール130に対するインジケータ162a、bを含む他の構成要素を通信可能に接続することができる。構成要素間の通信相互接続は、1つ以上の回路基板トレース、配線、並びに/又は他の電気的、光電子的、及び/若しくは光接続を使用して実装することができる。通信相互接続は、以下に記載されるように、薬剤送出デバイス102の機能を実行する際のI2C、SPI、並びに/又は薬剤送出デバイス102の様々な構成要素、アセンブリ、及び/若しくは構造の協調を可能にする他のロジックなどの様々なプロトコルのうちのいずれか1つ以上に適合する信号を伝搬するように構成され得る。
【0021】
コントローラ120は、アクティブモードで動作している間、メモリ122から命令を読み取り、その命令を実行して、薬剤送出デバイス102を動作させることができる。例えば、コントローラ120は、注入を開始及び送出するための条件が満たされていることを検出することができる。注入を送出するための条件を満たすことは、例えば、指センサ160bを押圧する、押す、及び/又は覆うことによって、ユーザが指センサ160bを起動させたことを検出することを含み得る。指センサ160bは、ボタン、静電容量式タッチセンサ、光センサ、又は指、手のひら、若しくは別の適切な物体の接触又は近接を検出することができる任意の他の適切なセンサを含み得る。追加的に又は代替的に、注入を送出するための条件を満たすことは、皮膚センサ160dを使用して、薬剤送出デバイス102が皮膚と接触していることを検出することを含み得る。皮膚センサは、静電容量センサ、抵抗センサ、インダクタンスセンサ、圧力センサ、光センサ、及び/又は薬剤送出デバイス102が注入部位において皮膚と接触していることを検出するように構成された任意の他の適切なセンサを含み得る。更に追加的に又は代替的に、注入を送出するための条件を満たすことは、1つ以上のセンサ(例えば、ドアセンサ160a及びリザーバセンサ160cを含む)を用いて、注入可能材料用のリザーバ150が適切な位置にあり、注入可能材料を含み、及びハウジング110のドア112が閉じられていることを検出することを含み得る。リザーバ150は、いくつかの実装形態では、取り外し可能なカートリッジの一部である。注入送出のための追加又は代替の条件を満たすことは、センサ160a~d及び/又は追加のセンサを使用して、薬剤送出デバイス102がユーザ及び/又は重力場に対して正しい向きにあることを判定することを含み得る。コントローラ120が薬剤送出デバイス102に注入を進行させる前に、1つ以上の他の適切な条件を満たすこともまた、その代わりに必要とされ得る。
【0022】
コントローラ120が、アクティブモードで動作し、及びセンサ(例えば、センサ160a~d)を使用している間に、注入を送出するための条件が満たされることを検出した後、コントローラ120は、注入機構を係合又は起動させて、ユーザの皮膚上の注入部位において注入を皮下に送出することができる。いくつかの実施形態によれば、注入機構は、駆動装置140、プランジャ142、又は薬剤送出デバイス102に含まれる他の構成要素のうちの1つ以上に対応し得る。駆動装置140は、動作中に、電源114から電流を導入することができる電気モータを含み得る。注入可能材料を患者に送出するために、注入機構は、針152を患者に挿入するための、及び/又は注入可能材料をリザーバ150から針152を通して排出するための原動力を提供するように構成され得る。針152は、注入機構の動作の前に、又はその結果として、リザーバ150と流体連絡するか、又はリザーバ150と流体連絡するように接続するように動作可能であり得る。針152は、針152の尖った端部がハウジング110内に配置される初期状態又は保管状態と、針152の尖った端部が患者に挿入するためにハウジング110の外面を超えるハウジング110内開口部を通って突出する送出状態との間で、ハウジング110に対して移動可能であり得る。注入機構は、2つのステップ、すなわち、注入部位においてリザーバ150と皮下組織との間に流体経路を形成するために、針152を貯蔵状態から送出状態に移動させることによって針152を用いて患者の皮膚を穿刺すること、続いて、リザーバ150から患者の皮下組織内に注入可能材料を押し出すことで、注入送出するように構成することができる。代替的な実施形態では、注入機構は、針152を貯蔵状態から送出状態に移動させるのに必要な原動力を提供しなくてもよく、代わりに、この動作は、後退可能な針ガードを針152の尖った端部を露出させるように、ハウジング110の内部空間にユーザが手動で押すことによって提供することができる。
【0023】
針152は、患者の皮膚及び/又は他の組織を貫通するための鋭利な先端を備えたほぼ管状の部材であり得る。針152は、リザーバ150と流体連絡している、又は薬剤送出デバイス102の動作中にリザーバ150と流体連絡するように移動するように構成された、中空の内部を有し得る。いくつかの実装形態では、針152がリザーバ150に対して移動しないように、針152をリザーバ150に打ち込むことができる。特定のそのような実施形態では、リザーバ150は、その配置が事前充填された注射器の形態をとるように、製造業者によって薬剤で事前充填され得る。或いは、リザーバ150は、ユーザ又は患者によるケアの時点で充填されてもよく、及び/又は針152は、最初にリザーバ150に打ち込まれていなくてもよい。更に、いくつかの実装形態では、リザーバ150は、注入の前に、ハウジング110内のドア112経由で薬剤送出デバイス102のハウジング110内に(例えば、ユーザによって)配置され得る取り外し可能なカートリッジの一部として含まれてもよい。いくつかの実装形態では、注入機構は、カートリッジ全体をユーザの皮膚に向かって押して、針152を皮膚に貫通させるように構成されたばね仕掛けのアクチュエータを含み得る。いくつかの実装形態では、駆動装置140は、プランジャ142を作動させてカートリッジを押し、及び/又は針152を皮膚に貫通させる。カートリッジ又は薬剤送出デバイス102のハウジングは、注入の前にカートリッジの針152を覆うことができるキャップ154を含み得る。キャップ154は、注入の前に(例えば、ユーザによって)取り外される必要があってもよく、注入を送出するための条件を満たすことは、図1に示されていないセンサを使用してキャップ154の不在を検出するコントローラ120を含み得る。
【0024】
駆動装置140は、リザーバ150内に配置された、又はリザーバ150の可動壁を形成するストッパ144と機械的に接続され得るプランジャ142を作動させるように構成され得る。いくつかの用途では、ストッパ144は、リザーバ150を含むカートリッジの構成要素であってもよく、プランジャ142は、駆動装置140によって作動されると、ストッパ144と機械的に接触するようになり得る。作動されたプランジャ142により、ストッパ144を針152に向かって移動させ、注入可能材料をリザーバ150から針152を通して組織内に押し込むことができる。必要な量の注入可能材料をリザーバ150から押し込む(いくつかの実施及び/又は用途では、リザーバ150を実質的に空にすることを含む)と、注入機構は、針152をユーザの皮膚から後退して、ハウジング内に戻ることができる。コントローラ120は、依然としてアクティブモードで動作している間に、1つ以上のセンサ(例えば、センサ160a~d)を使用することによって、注入機構が注入を完了したことを検出することができる。コントローラ120は、視覚的インジケータ162a及び/又は聴覚的インジケータ162bを使用して、薬剤送出デバイス102が注入送出を完了したことをユーザに示すことができる。視覚的インジケータ162aは、発光ダイオード(LED)、液晶ディスプレイ(LCD)、又は任意の他の適切な視覚的インジケータデバイスを含み得る。聴覚的インジケータ162bは、スピーカ、ブザー、又は任意の他の適切な聴覚的インジケータデバイスを含み得る。注入が完了したという表示を受け取った後、ユーザは、薬剤送出デバイス102を注入部位から離して移動させ、薬剤送出デバイス102と皮膚との間の接触を遮断することができる。コントローラ120は、皮膚センサ160dを使用して皮膚との接触の遮断を検出し、皮膚の接触の遮断を検出したことに応じて、所定の休止後、注入が完了したことの表示をオフにすることができる。
【0025】
依然としてアクティブモードで動作しているコントローラ120は、注入を示すデジタルデータエントリを、メモリ122及び/又はリムーバブル記憶デバイス124内に作成及び記録することができる。データエントリは、薬剤送出デバイス102を用いたユーザ体験及び注入レジメンとのユーザコンプライアンスを大幅に拡大させることができる。更に、データエントリは、医療サービス提供者、製薬会社、及び/又は他の利害関係者に貴重な臨床情報を提供することができる。集合的に、コントローラ120によって記録された注入を示す1つ以上のデータエントリは、注入ログと呼ばれ得る。注入ログのデータエントリには、注入時間/データ、注入状態、注入カートリッジ情報などが含まれ得る。追加的に又は代替的に、コントローラ120は、注入ログ又は異なるログ(例えば、保守ログ)内に薬剤送出デバイス102の状態を示す1つ以上のデータエントリを作成することができる。1つ以上のデータエントリには、セルフテストルーチン中に生成されたエラーコード、電源114の残りの電荷などが含まれ得る。コントローラ120は、注入機構が注入を完了したこと、及び/又は薬剤送出デバイス102が注入部位との接触を失ったことを1つ以上のセンサ(例えば、センサ160a~d)を使用して検出することに続いて、及び/又はそれに応じて、注入ログ内にデータエントリを生成することができる。いくつかの実装形態では、コントローラ120は、センサ160a~dを使用して、失敗した注入試行を検出し、失敗した注入試行に応じて注入ログ内にデータエントリを生成する。データエントリを生成した後、また、注入機構が注入を完了したことの検出に続いて及び/又はそれに応じて、コントローラ120は、低電力モードに切り替えることができる。いくつかの実装形態では、低電力モードに切り替える前に、コントローラ120は、例えば、プロセッサインターフェースを使用して、無線通信モジュール130と通信する。コントローラ120は、例えば、注入の完了若しくは失敗、及び/又は薬剤送出デバイス102の状態を示す少なくともいくつかのデータを、無線通信モジュール130に転送することができる。追加的に又は代替的に、コントローラ120は、以下に説明するように、無線通信モジュール130を低電力モードからアクティブモードに切り替えさせ、及び/又は無線通信モジュール130にユーザデバイス104と通信させることができる。
【0026】
メモリ122及び/又はリムーバブル記憶デバイス124に記憶され得る注入ログ又は薬剤送出デバイス状態データ内の情報をよりアクセス可能且つ有用にするために、薬剤送出デバイス102は、情報又はデータの少なくとも一部をユーザデバイス104に転送するように構成され得る。薬剤送出デバイス102は、無線通信モジュール130を使用して、ユーザデバイス104との無線接続を確立し、その無線接続を介して、注入ログ情報の少なくとも一部を含む1つ以上のメッセージを送信することができる。追加的に又は代替的に、無線通信モジュール130は、注入及び/又は薬剤送出デバイス102の状態を示す記録されていない情報を取得及び送信することができる。いくつかの実装形態及び/又はシナリオでは、ユーザデバイス104は、薬剤送出デバイス102上に保持されたコピーを有しない少なくともいくつかの情報を受信する。
【0027】
例えば、薬剤送出デバイス102は、無線通信モジュール130を使用して、薬剤送出デバイス102における送信又は送信に含まれるデータの記録を保持することなく、注入状態又は薬剤送出デバイス状態データを送信することができる。注入状態又は薬剤送出デバイス状態データは、例えば、モータ又はプランジャの位置を示すデータ、リザーバ150の充満を示すデータなどを含み得る。いくつかの実装形態では、薬剤送出デバイス102は、無線通信モジュール130を使用して、注入状態又は薬剤送出デバイス状態データを一定の時間間隔(例えば、1、10、100、1000ミリ秒ごと)でストリーミングすることができる。他の実装形態では、薬剤送出デバイス102は、無線通信モジュール130を使用して、1つ以上のセンサ160a~d又は他のセンサによって検出された変化に応じて、注入状態又は薬剤送出デバイス状態データを送信することができる。ユーザデバイス104(以下でより詳細に説明される)が無線通信モジュール130経由で薬剤送出デバイス102から受信すると、注入状態又は薬剤送出デバイス状態データは、受信された情報を記憶し、及び/又はユーザに対する出力を生成することができる。例えば、ユーザデバイス104は、薬剤送出デバイス102から受信したデータに基づいて、聴覚(例えば、ビープ音、音声コマンドなど)、視覚(例えば、発光ダイオード、ディスプレイ上にレンダリングされたグラフィックス及び/又はテキストなど)、又は触覚(例えば、振動)信号を生成して、ユーザに関連情報を示すことができる。ユーザデバイスによって生成された信号は、例えば、注入を実行する際にユーザをガイドすることができる。ユーザは、薬剤送出デバイス102に状態を変化させ、いくつかの実装形態では、新しい通信をトリガさせるアクションをとる(例えば、一時停止する、継続する、又はユーザが実施した注入ステップを修正する)ことができる。このようにして、無線通信モジュール130は、注入中又は他のユーザ実行アクション(例えば、電池の交換、カートリッジの交換、時間の設定など)中に、薬剤送出デバイス102とユーザとの間の相互作用フィードバックを容易にすることができる。
【0028】
無線通信モジュール130は、アクティブモードで動作している間に、非同期的に又は順番に実行され得るステップの集合において、ユーザデバイス104への情報の転送を達成するように構成され得る。無線通信モジュール130は、例えば、ユーザデバイス104との無線接続を確立し、注入及び/又は薬剤送出デバイス102の状態を示すデータエントリから少なくともいくつかのデータを取得し、並びに取得されたデータを示す又はそれを含むメッセージをユーザデバイス104に送信することができる。ユーザデバイス104との無線接続を確立するために、無線通信モジュール130は、1つ以上の通信試行のシーケンスを開始することができる。各通信試行は、例えば、薬剤送出デバイス102を識別するいくつかの情報、及びユーザデバイス104との接続を確立する試行の指示を含む1つ以上の無線送信を含み得る。通信試行は、本明細書では、無線通信モジュール130の「アドバタイズ」動作と呼ばれ得る。
【0029】
アドバタイズを開始するために、無線通信モジュール130は、いくつかのトリガイベント、すなわち、通信トリガ、又は単に「トリガ」を検出し、通信トリガの検出に応じて1つ以上の通信試行のシーケンスを開始することができる。いくつかの実装形態では、コントローラ120は、UART(ユニバーサル非同期受信機/送信機)又は別のプロセッサインターフェースを介して、通信トリガを示す信号を無線通信モジュール130に送信する。コントローラ120は、注入機構が注入を完了したことの検出、及び/又は特定のユーザアクションの検出に少なくとも部分的に応じて、トリガを送信することができる。通信をトリガするためのユーザアクションには、例えば、ドア112の開閉、ボタンの押圧、及び/又は指センサ160bの起動を含み得る。無線通信モジュール130は、コントローラ120が低電力モードにある間のユーザアクションに基づいて通信トリガを検出することができる。例えば、補助回路126は、センサ160a~dを使用して、ユーザアクションの検出に基づいて通信トリガを生成するデジタルロジックを含んでもよい。
【0030】
いくつかの実装形態及び/又はシナリオでは、無線通信モジュール130は、ユーザデバイス104からトリガ信号を受信する必要はなく、単にメッセージペイロードをブロードキャストとして送信する。コントローラ120及び/又は無線通信モジュール130は、例えば、ユーザのプライバシーを保護するために、1つ以上の暗号化技術を使用して、送信前にメッセージを暗号化することができる。メッセージを1回以上及び/又は所定の時間間隔で繰り返しブロードキャストした後、無線通信モジュール130は、低電力モードに切り替えることができる。低電力モードに切り替えた後、無線通信モジュール130は、無線起動トリガの受信に応じて、電源投入、起動、及び/又はウェイクアップすることができる。コントローラ120は、例えば、注入機構が注入を完了したことの検出及び/又は特定のユーザアクションの検出に少なくとも部分的に応じて、無線起動トリガを無線通信モジュール130に送信することができる。無線起動をトリガするためのユーザアクションには、ドア112の開閉、ボタンの押圧、及び/又は指センサ160bの起動を含み得る。追加的に又は代替的に、無線通信モジュール130は、コントローラ120が低電力モードにある間のユーザアクションに基づいて無線起動トリガを検出することができる。例えば、補助回路126は、センサ160a~dを使用したユーザアクションの検出に基づいて、無線起動トリガを生成するデジタルロジックを含み得る。無線起動トリガは、上述の通信トリガと同じであってもよい。特に、無線通信モジュール130は、低電力モードで動作している間に無線起動トリガを検出し、トリガの検出に応じてアクティブモードに切り替えることができる。
【0031】
無線通信モジュール130は、ユーザデバイス104によって送信された確認応答、確認、及び/又は他の無線信号を受信するように構成され得る。ユーザデバイス104との通信を確立するための、及び/又はユーザデバイス104にメッセージを送信するためのステップの収集における少なくともいくつかのステップは、ユーザデバイス104によって送信されるこれらの信号に応答することができる。従って、以下に提示されるユーザデバイス104の議論は、薬剤送出デバイス102の無線通信モジュール130によって実行されるステップの継続的な議論に先行する。
【0032】
ユーザデバイス104はまた、無線リンク(例えば、無線周波数(RF)、光、音響リンクなど)を介して薬剤送出デバイス102の無線通信モジュール130と通信するように構成された無線通信モジュール182を含み得る。ユーザデバイス104は、プロセッサ184、メモリ186、及びディスプレイ188を更に備え得る。ディスプレイ188は、例えば、ユーザからの触知入力を受信するように構成されたタッチスクリーンであってもよい。ユーザデバイスの無線通信モジュール182は、プロセッサ184及び/又はメモリ186と通信接続することができる。ユーザデバイス104のプロセッサ184は、ユーザデバイス104のメモリ186に記憶された命令を実行することができる。例えば、命令は、ソフトウェアアプリケーションを含み得、プロセッサ184に薬剤送出デバイス102からユーザデバイス104に転送される情報を検索及び処理させ得る。情報(例えば、注入を示すデータ、薬剤送出デバイス102の状態(state or status)を示すデータなど)を薬剤送出デバイス102から検索すると、プロセッサ184は、メモリ186、及び/又はユーザデバイス104の別のデジタル記憶モジュール(図示せず)内に情報(例えば、注入の記録)の少なくとも一部を記憶することができる。次いで、プロセッサ184は、薬剤送出デバイス102から転送された情報に基づいて、ユーザデバイス104のディスプレイ188に情報プロンプトをユーザに表示させることができる。情報プロンプトは、薬剤送出デバイス102の状態、1つ以上の注入の記録などの表示であり得る。ユーザデバイス104は、薬剤送出デバイス102から受信した情報を処理して、ディスプレイ188上にレンダリングされたユーザインターフェースを介してユーザに対して利用可能な情報を拡大することができる。表示された情報により、ユーザが、最後の注入の時刻、前の注入に対する成功記録及び/若しくはコンプライアンス記録、並びに/又は他の有用な情報を見ることを可能にし得る。
【0033】
薬剤送出デバイス102の無線通信モジュール130からの無線送信を検出したことに応じて、ユーザデバイス104の無線通信モジュール182は、応答(例えば、応答メッセージ、又は特定のフォーマットを有する別の適切な電子信号)を送信することができる。いくつかの実装形態では、ユーザデバイス104の無線通信モジュール182は、薬剤送出デバイス102の無線通信モジュール130からの送信に含まれる薬剤送出デバイス102を識別する情報に少なくとも部分的に基づいて、応答を送信する。他の実装形態では、ユーザデバイス104は、薬剤送出デバイス102からの任意の送信に応答しない識別信号を送信することができる。例えば、ユーザデバイス104からの送信は、ユーザデバイス104上で実行しているアプリケーションに関連するユーザアクションに応答することができる。
【0034】
一般に、注入及び/又は薬剤送出デバイス102の状態を示す情報の転送は、薬剤送出デバイス102によるユーザデバイス104の認証、及び/又はユーザデバイス104による薬剤送出デバイス102の認証を条件とし得る。ペアリングを作成するための前提条件として、ユーザデバイス104と薬剤送出デバイス102との間で、第1の認証又は元の認証を確立するためにユーザアクションが必要とされ得る。薬剤送出デバイス102とユーザデバイス104がペアリングされている場合、通信の確立、及び薬剤送出デバイス102とユーザデバイス104との間の情報の転送は、自動的に、すなわち、追加のユーザアクションなしで進行することができる。更に説明すると、薬剤送出デバイス102は、無線通信モジュール130を使用して、範囲内にあり利用可能なペアリングされたユーザデバイス104との接続を確立し、ユーザアクション以外の特定のトリガイベントに応じて(例えば、ユーザデバイス104によってブロードキャストされている信号に応じて)、ペアリングされたユーザデバイス104に情報を転送することができる。
【0035】
無線通信モジュール130とユーザデバイス104との間の通信は、1つ以上の暗号化方法を使用して暗号化され得る。暗号化には、対称鍵及び/又は公開鍵を使用してもよい。無線通信モジュール130及びユーザデバイス104は、有線等価プライバシー(WEP)、Wi-Fi保護アクセス(WPA)、及び/又はWPA2無線セキュリティプロトコルを使用することができる。いくつかの実装形態では、無線通信モジュール130及び/又はユーザデバイス104を認証するために、無線通信モジュール130及び/又はユーザデバイス104は、認証サーバに接続する。追加的に又は代替的に、無線通信モジュール130及び/又はユーザデバイス104は、パスワード保護及び/又は生体認証スクリーニングを使用して、ユーザを認証することができる。
【0036】
上述のように、薬剤送出デバイス102は、特定のトリガイベントに基づいて、対応する無線通信モジュール130、188間に確立された無線接続を介して、情報をユーザデバイス104に転送することができる。例えば、薬剤送出デバイス102のコントローラ120は、(例えば、1つ以上のセンサ160a~dによって生成された信号を処理することによって)注入機構が注入を完了したことを検出するように構成され得る。注入完了を検出すると、コントローラ120は、注入を示すデータエントリをメモリ122内に生成し、無線通信モジュール130をトリガして、そのデータエントリに関連する情報をユーザデバイス104に転送することができる。いくつかの実装形態では、無線通信モジュール130は、それ自体が、例えば、1つ以上のセンサ160a~d及び/又は補助回路126を使用して、注入の完了を検出することができる。従って、無線通信モジュール130は、コントローラ120から信号(例えば、トリガ及び/又は任意の通知)を受信することなく、注入の完了時にユーザデバイス104への情報の転送を開始することができる。
【0037】
薬剤送出デバイス102から情報を転送するために必要な無線接続を確立することは、薬剤送出デバイス102に十分に近接した(すなわち、範囲内の)準備ができたユーザデバイス104が存在することを必要とし得る。ユーザデバイス104の準備は、ユーザデバイス104の電源がオンにされ、薬剤送出デバイス102にペアリングされ、及び/又は適切なアプリケーションを実行することを必要とし得る。いくつかのシナリオ及び/又は実装形態では、無線通信モジュール130は、ユーザデバイス104との無線接続を確立するための1つ以上の通信試行のシーケンスを開始することができる。無線通信モジュール130は、ユーザデバイス104からの通信試行の確認応答を受信することができる。範囲内に準備ができたユーザデバイス104がない場合(例えば、無線通信モジュール130がユーザデバイス104から確認応答を受信しない場合)、無線通信モジュール130は、「タイムアウト期間」と呼ばれ得る所定の期間後に、通信試行を停止することができる。タイムアウト後、すなわち、接続を確立することなくタイムアウト期間の満了時に通信試行を停止した後、無線通信モジュール130は、「通信休止」と呼ばれ得る別の期間後に、通信試行の別のシーケンスを開始することができる。無線通信モジュール130は、「通信時間窓」と呼ばれ得る持続時間に、タイムアウト及び更新された通信試行のサイクルを継続することができる。無線通信モジュール130は、通信時間窓が満了したことを判定し、通信時間窓が満了したことを判定したことに応じて、別のトリガイベントを検出するまで通信試行を停止し、低電力モードに切り替えることができる。通信時間窓は、1、2、4、12、24、48、72時間、又は任意の他の適切な期間を有し得る。タイムアウト期間は、10ミリ秒、100ミリ秒、1秒、10秒、1分、10分、又は任意の他の適切な期間の持続時間を有し得る。通信の一時停止は、10秒、1分、10分、1時間、又は任意の他の適切な期間の持続時間を有し得る。いくつかの実装形態では、無線通信モジュール130は、通信時間窓に等しい閾値期間よりも長い期間後にユーザデバイス104との無線接続が確立されなかったことを判定することによって、通信時間窓が満了したと判定する。追加的に又は代替的に、無線通信モジュール130は、閾値試行回数を超える試行回数の後にユーザデバイス104との無線接続が確立されなかったことを判定することによって、通信時間窓が満了したと判定することができる。
【0038】
無線通信モジュール130はまた、無線通信モジュール130がユーザデバイス104との無線接続を成功裏に確立したことの判定に少なくとも部分的に応じて、通信試行を停止し、及び/又は低電力モードに切り替えることができる。ユーザデバイス104は、薬剤送出デバイス102との確立された無線接続の確認応答を送信することができる。次いで、無線通信モジュール130は、アクティブモードで動作している間に、ユーザデバイス104からの確認応答を受信し、確認応答の受信に少なくとも部分的に応じて、低電力モードに切り替えることができる。低電力モードに切り替える前、及び確認応答を受信した後、無線通信モジュール130は、メッセージを送信することができる。送信されたメッセージは、例えば、無線通信モジュール130によってコントローラ120から、メモリ122から、及び/又はリムーバブル記憶デバイス124から取得された少なくともいくつかのデータを示し得る。取得されたデータには、コントローラ120によって生成され、並びに注入及び/又は薬剤送出デバイス102の状態を示すデータエントリからの少なくともいくつかのデータを含み得る。送信されたメッセージの内容に関係なく、ユーザデバイス104は、送信されたメッセージを受信したことに応じて確認を送信することができる。確認を受信したことに応じて、無線通信モジュール130は、低電力モードに切り替えることができる。
【0039】
図2は、薬剤送出デバイス102のコントローラ120と無線通信モジュール130との間の例示的な相互作用200を示している。他の実施形態では、図2のコントローラ120及び無線通信モジュール130は、いくつかの他のシステム又はデバイスにおいて使用される。相互作用200は、コントローラ120及び無線通信モジュール130が情報を交換すること、及び/又はアクティブモードと低電力モードとの間を切り替えるためのトリガ信号を送信することを可能にし得る。
【0040】
上述のように、コントローラ120及び無線通信モジュール130はそれぞれ、電源114から電力を導入することができる。従って、対応する構成要素が使用されていないときにコントローラ120及び/又は無線通信モジュール130の電流導入を低減することによって、電力消費を実質的に最小化するように薬剤送出デバイス102を構成することが有利であり得る。更に、必要な機能及び高品質のユーザ体験を提供しながら、コントローラ120及び/又は無線通信モジュール130の使用時間を実質的に最小化するように薬剤送出デバイス102を構成することが有利であり得る。従って、コントローラ120及び/又は無線通信モジュール130は、異なる電力消費プロファイルで異なる動作モードで動作するように構成され得る。コントローラ120及び/又は無線通信モジュール130の電力消費は、対応する電流導入に実質的に比例する。以下の議論では、例示的な電流導入は、特に明記しない限り、別のモードに切り替える前に対応する動作モードで費やされた時間の少なくともかなりの割合(例えば、5%超)にわたって平均化された電流導入である。
【0041】
コントローラ120は、例えば、注入機構を制御し、センサ160a~dを監視し、インジケータ162a、b用の信号を生成し、メモリ122及び/若しくはリムーバブル記憶デバイス124へ書き込み又はそれらから読み取り、並びに/又は無線通信モジュール130に信号を送信している間に、アクティブモードで動作するように構成され得る。アクティブモードで動作するコントローラ120の電流導入は、0.05、0.1、0.2、0.5、1、2、5、10mA(ミリアンペア)、又は任意の他の適切な電流導入であり得る。コントローラ120は、例えば、コントローラ120の限られたリソースのセットを使用しながら、低電力モードで動作することができる。コントローラ120の低電力モードは、例えば、停止モード、スタンバイモード、スリープモード、休止状態モード、又はシャットダウンモードであり得る。いくつかの実装形態では、コントローラ120は、シナリオに応じて、選択された低電力モードのうちの1つで動作するように構成される。1つ以上の可能な低電力モードのうちの1つで動作するコントローラ120の電流導入は、0.01、0.02、0.05、0.1、0.2、0.5、1、2、5、10、20μA(マイクロアンペア)、又は他の任意の適切な電流導入であり得る。アクティブモードで動作するコントローラ120の電流導入は、2、5、10、20、50、100、200、500、1000、2000、5000、10000、又は、低電力モードでのコントローラ120の電流導入よりも高い他の適切な乗法因子であり得る。例えば、コントローラ120は、アクティブモードで1mA超を、低電力モードで10μA未満を導入し得る。いくつかの実装形態では、スイッチは、コントローラ120を電源114から切断するように構成され、結果として低電力モードで動作するコントローラ120の電流導入を実質的にゼロに低減する。
【0042】
無線通信モジュール130はまた、異なる対応する電流導入、従って、異なる対応する電力消費値を有する異なるモードのうちの1つで動作するように構成され得る。アクティブモードで動作することにより、無線通信モジュール130は、無線信号を送信及び/又は受信することができる。追加的に又は代替的に、アクティブモードで動作することにより、無線通信モジュール130は、例えば、無線送信を準備し、メモリ122及び/若しくは外部記憶装置124から無線送信用のデータを検索し、センサ160a~dを監視し、並びに/又はコントローラ120と通信することができる。アクティブモードでは、無線通信モジュール130は、無線信号の送信及び/又は受信中に、0.1、0.2、0.5、1、2、5、10、20、50、100、200、500mA、又は他の任意の適切な電流の電流を導入することができる。無線通信モジュール130は、アクティブモードでの動作に費やされたほんのわずかな時間の間に無線信号を送信及び/又は受信するように構成され得る。送信及び/又は受信を行わずにアクティブモードで動作することにより、無線通信モジュール130は、1、2、5、10、20、50、100、200、500μA、又は任意の他の適切な電流を導入することができる。しかしながら、低電力モードでは、無線通信モジュール130は、0.01、0.02、0.05、0.1、0.2、0.5、1、2、5μA、又は任意の他の適切な低電流を導入することができる。アクティブモードで動作している無線通信モジュール130の電流導入は、2、5、10、10、50、100、200、500、1000、2000、5000、10000、又は低電力モードでの無線通信モジュール130の電流導入よりも高い任意の他の適切な乗法因子であり得る。例えば、無線通信モジュール130は、アクティブモードで5mA超、低電力モードで5μA未満を導入することができる。いくつかの実装形態では、スイッチは、無線通信モジュール130を電源110から切断するように構成され、結果として低電力モードで動作する無線通信モジュール130の電流導入を実質的にゼロに低減する。無線通信モジュール130の低電力モードは、例えば、スタンバイモード、停止モード、スリープモード、休止状態モード、又はシャットダウンモードであり得る。低電力モードでは、無線通信モジュールは、無線信号を送信も受信もしない。
【0043】
コントローラ120及び無線通信モジュール130は、プロセッサインターフェース210を介して互いに通信するように構成され得る。プロセッサインターフェース210は、例えば、バス128又は別の適切な物理的接続を使用することができる。プロセッサインターフェース210は、並列又は直列のインターフェースを含み得る。いくつかの実装形態では、プロセッサインターフェース210は、コントローラ120及び/又は無線通信モジュール130内にUART回路を含む。いくつかの実装形態では、UART回路は、コントローラ120及び/又は無線通信モジュール130の汎用入力/出力(GPIO)ピン上、又はより具体的には、コントローラ120及び/又は無線通信モジュール130の1つ以上の処理構成要素のGPIOピン上に構成される。プロセッサインターフェース210は、送信要求(RTS)及び送信クリア(CTS)信号、並びに送信(Tx)及び受信(Rx)信号を含むフロー制御を備えたプロトコルを採用することができる。
【0044】
コントローラ120は、薬剤送出デバイス102が注入を完了したことを無線通信モジュール130に通知するように構成され得る。いくつかのシナリオ又は実装形態では、コントローラ120は、例えば、UARTを介してRTS信号を送信することによって、無線通信モジュール130との通信を開始する。コントローラ120は、UARTを介して無線通信モジュール130からCTS信号を受信したことに応じて、注入完了を通知するメッセージを送信することができる。メッセージには、注入を示すデータエントリからの少なくともいくつかのデータを含み得る。追加的に又は代替的に、コントローラ120によって送信されたメッセージは、通信トリガを含んでもよく、無線通信モジュール130は、通信トリガの検出に応じて、ユーザデバイス104と接続及び/又は通信する際に試行のシーケンスを開始することができる。いくつかのシナリオ又は実装形態では、無線通信モジュール130は、例えば、1つ以上の以前の注入、薬剤送出デバイス102の状態、及び/又は過去のユーザアクションを示す追加情報をコントローラ120から要求することができる。無線通信モジュール130は、UARTを介してRTS信号を送信することによって要求を開始することができ、コントローラ120からCTS信号を受信すると、完全な要求メッセージを送信することができる。要求された情報を無線通信モジュール130に送信した後、コントローラ120は、低電力モードに切り替えることができる。
【0045】
いくつかの実装形態では、コントローラ120及び無線通信モジュール130は、プロセッサインターフェース210を介して互いにトリガ信号を送信して、他の構成要素をアクティブモードから低電力モードに、及び/又はその逆に切り替えることができる。例えば、コントローラ120は、プロセッサインターフェース210を介して、起動トリガ信号を無線通信モジュール130に送信することができる。無線通信モジュール130は、低電力モードで動作している間、プロセッサインターフェース210を介してコントローラ120によって送信された起動トリガ信号を検出し、起動トリガ信号の検出に応じて、アクティブモードに切り替えることができる。同様に、無線通信モジュール130は、プロセッサインターフェース210を介してコントローラ120に起動トリガ信号を送信することができる。コントローラ120は、低電力モードで動作している間、プロセッサインターフェース210を介して無線通信モジュール130によって送信されたコントローラ起動トリガ信号を検出し、それに応じて、アクティブモードに切り替えることができる。いくつかの実装形態では、トリガは、コントローラ120によって無線通信モジュール130に、又はその逆で送信されるRTS信号である。
【0046】
いくつかの実装形態では、コントローラ120が低電力モードにあるとき、又は無線通信モジュール130が低電力モードにあるとき、プロセッサインターフェース210は通信に利用できない。コントローラ120は、プロセッサインターフェース210とは別個の起動ライン212を介して信号を送信することにより、無線通信モジュール130を低電力モードからアクティブモードに切り替えさせることができる。同様に、無線通信モジュール130は、プロセッサインターフェース210とは別個の別の起動ライン214を介して信号を送信することにより、コントローラ120に低電力モードからアクティブモードに切り替えさせることができる。起動ライン212は、本明細書では「無線通信モジュール起動ライン」と呼ばれることがある。起動ライン214は、本明細書では「コントローラ起動ライン」と呼ばれることがある。起動ライン212、214は、バス128の一部、別個の回路基板トレース、又はコントローラ120と無線通信モジュール130との間の他の通信接続であり得る。いくつかの実装形態では、コントローラ120及び/又は無線通信モジュール130はそれぞれ、複数の起動ライン上のトリガ信号を検出するように構成され得る。複数の起動ラインの1つ上で検出されたトリガは、例えば、複数の低電力モードのうちの1つに対応し得る。追加的に又は代替的に、少なくともいくつかの起動ラインは、コントローラ120及び/又は無線通信モジュール130以外のソースによって送信された信号を伝達することができる。例えば、補助回路126は、センサ160a~dを使用して検出されたユーザアクションに基づいてトリガ信号を送信することができる。更に追加的に又は代替的に、起動ライン342、344は、デジタルロジックを使用して、複数のトリガソース、例えば、コントローラ120、無線通信モジュール130、及び/又は補助回路126を組み合わせることができる。
【0047】
いくつかの実装形態では、起動ライン342、344を介して送信されるトリガは、スイッチを使用して、電源114とコントローラ120及び/又は無線通信モジュール130との間の電気的接続を制御する。例えば、コントローラ120又は補助回路126は、電源114を無線通信モジュール130に接続する電源接続116a内のスイッチを開閉するためのトリガを送信することができる。同様に、無線通信モジュール130又は補助回路126は、電源114をコントローラ120(又は120)に接続する電源接続116b内のスイッチを開閉するためのトリガを送信することができる。
【0048】
上述したように、コントローラ120及び/又は無線通信モジュール130は、起動ライン212、214を介して受信されたトリガ信号を検出し、検出されたトリガに応じて対応する低電力モードに切り替えることができる。低電力モードでは、コントローラ120及び/又は無線通信モジュール130は、制限された接続又はピンのセットを監視して、起動トリガを検出し、RAM及び/又は他の周辺機器から電力を除去し、及び/又は1つ以上のプロセスの実行を一時中断することができる。追加的に又は代替的に、低電力モードで動作する無線通信モジュール130は、無線通信モジュール130の送信機及び/又は受信機内の増幅器及び/又は他のアクティブRF及び/又は光学構成要素をオフにすることができる。低電力モードの構成及び対応する電力消費は、例えば、対応するピン上で検出されたトリガによって、どの低電力モード(例えば、スタンバイ、スリープ、休止状態、無線沈黙、電源オフなど)が選択されるかに依存し得る。同様に、いくつかの実装形態では、アクティブモードの構成及び対応する電力消費は、例えば、対応するピン上で検出されたトリガによって、どのアクティブモードが選択されるかに依存し得る。
【0049】
図3は、コントローラ120の2つの電力モード及び無線通信モジュール130の2つの電力モードに対応する、薬剤送出デバイス102の4つの電力状態を示す例示的な状態図300である。例えば、コントローラ120又は無線通信モジュール130のいずれかが異なる電力消費を伴う3つ以上のモードを有する場合、薬剤送出デバイス102の追加又は代替の電力状態があり得る。図3の状態310~340は、特に、薬剤送出デバイス102の電力状態を指し、コントローラ120によって記録された薬剤送出デバイス102の状態の一部であり得る。薬剤送出デバイス102の「両方オフ」状態310は、コントローラ120がコントローラ120の低電力モードで動作し、無線通信モジュール130が無線通信モジュール130の低電力モードで動作している薬剤送出デバイス102を表すことができる。薬剤送出デバイス102の「コントローラオン」状態320は、コントローラ120がコントローラ120のアクティブモードで動作し、無線通信モジュール130が無線通信モジュール130の低電力モードで動作している薬剤送出デバイス102を表すことができる。薬剤送出デバイス102の「両方オン」状態330は、コントローラ120がコントローラ120のアクティブモードで動作し、無線通信モジュール130が無線通信モジュール130のアクティブモードで動作している薬剤送出デバイス102を表すことができる。薬剤送出デバイス102の「無線オン」状態340は、コントローラ120がコントローラ120の低電力モードで動作し、無線通信モジュール130が無線通信モジュール130のアクティブモードで動作している薬剤送出デバイス102を表すことができる。薬剤送出デバイス102は、インジケータ162a、bを使用して、薬剤送出デバイス102の電力状態310~340、又は1つの状態から別の状態への遷移をユーザに示すことができる。
【0050】
薬剤送出デバイス102は、例えば、最初の使用前の冷蔵中、注入の間、又は電源110の充電中に、両方オフ状態310にあり得る。例えば、センサ160a~dのうちの1つによって検出されたユーザアクションは、薬剤送出デバイス102をコントローラオン状態320に遷移させることができる。いくつかの実装形態では、コントローラ120は、ユーザがボタン(例えば、電源ボタン、カートリッジイジェクトボタンなど)を押したこと、又は異なるタイプの指センサ(例えば、指センサ160b)を起動したことを検出すると、アクティブモードに切り替える。別の実装形態では、コントローラ120は、ドア112が開けられたこと、及び/又は注入可能材料を備えたカートリッジが交換されたことを検出すると、アクティブモードに切り替える。更に別の実装形態では、コントローラ120は、例えば、1つ以上の加速度計及び/又は他の動きセンサ若しくは振動センサを使用して、薬剤送出デバイス102の動きを検出すると、アクティブモードに切り替える。薬剤送出デバイス102は、コントローラ120を起動するのと実質的に同時に、無線通信モジュール130を起動するように構成され得る。従って、薬剤送出デバイス102は、両方オフ状態310から、コントローラオン状態320に遷移することができ、又はいくつかの実装形態では、直接両方オン状態330に遷移することができる。いくつかのシナリオでは、以下で議論するように、薬剤送出デバイス102はまた、両方オフ状態310から直接的に無線オン状態340に遷移することができる。
【0051】
いくつかの実装形態では、コントローラオン状態320又は両方オン状態330への遷移により、コントローラ120に診断ルーチン又はセルフテストを実行させる。診断ルーチンは、電源114内の残りのエネルギー及び/又は電荷を判定することによって、並びに/又はコントローラ120、無線通信モジュール130、及び/若しくは補助回路128からのエラーフラグを検出することによって、薬剤送出デバイス102の動作準備ができていることを検証することができる。追加的に又は代替的に、診断ルーチンは、センサ160a~dが動作可能であることを検証することができる。診断ルーチンを完了すると、コントローラは、薬剤送出デバイスの状態を示すデータエントリを生成し、インジケータ162a、bを使用して、薬剤送出デバイス102が通常使用の準備ができているか、又はトラブルシューティングが必要かどうかをユーザに示すことができる。薬剤送出デバイス102の通常使用には、注入を送出すること、薬剤送出デバイス102の状態をユーザに示すこと、及び/又は情報をユーザデバイス104に送信することを含み得る。
【0052】
いくつかのシナリオでは、薬剤送出デバイス102がコントローラオン状態320又は両方オン状態330にある状態で、ユーザは注入を進行することができる。ユーザは、例えば、カートリッジを装填し、ドア112を閉じ、キャップ154を取り外し、薬剤送出デバイス102を注入部位の皮膚に接触させ、ボタンを押圧するか又は指センサ160bを係合させて、コントローラ120に駆動装置140及びプランジャ142を含み得る注入機構を起動させる。少なくともいくつかのユーザアクション後、コントローラ120は、センサ160a~dを使用して、アクションが正しく完了したことを検出し、インジケータ162a、bを使用して、ユーザが続くステップに進行すべきであることをユーザに通知することができる。例えば、コントローラ120は、皮膚センサ160dを使用して、薬剤送出デバイス102が注入部位接触を維持していることを検出し、インジケータ162a、bを使用して、薬剤送出デバイス102が注入する準備ができていることをユーザに示すことができる。コントローラ120は、注入のステップに対応するユーザアクションのうちのいずれか1つの後に、データエントリを行うように、又は少なくとも、コントローラ120の外側のメモリ122内で、及び/又はリムーバブル記憶デバイス124上で、データエントリを開始するように構成され得る。
【0053】
注入機構を起動させた後、依然としてアクティブモードで動作しているコントローラ120は、センサ160a~dを監視して、注入機構が注入を完了したことを検出することができる。いくつかの実装形態では、注入機構が注入を完了したことを検出することは、皮膚センサ160dが皮膚との接触を失ったこと、及び/又は針152が完全に後退したことを検出することを含む。追加的に又は代替的に、注入機構が注入を完了したことを検出することは、皮膚センサ160dを使用して、薬剤送出デバイス102が、注入機構の起動後、所定の持続期間、注入部位において皮膚に近接していたか、又は皮膚と機械的に接触していたことを検出することを含み得る。所定の持続時間は、プランジャ142がリザーバ150から注入可能材料を押し出すのに必要な距離を横断するのにかかる時間に対応し得る。所定の時間は、ユーザによって事前に選択され得る注入速度に依存し得る。追加的に又は代替的に、注入機構が注入を完了したことを検出することは、リザーバセンサ160cを使用して、リザーバ150の注入可能材料が実質的に空になったことを検出することを含み得る。更に追加的に又は代替的に、注入機構が注入を完了したことを検出することは、ユーザが、皮膚接触を維持するための所定の持続時間とは異なり得る所定の持続時間の間、指センサ160b又は別のボタンとの接触を維持していることを検出することを含み得る。更に、注入機構が注入を完了したことを検出することは、注入が成功裏に完了したかどうかを検出すること、及びそうでない場合に、注入の失敗モードを判定することを含み得る。注入が成功裏に又はそうでなく完了したことを検出すると、コントローラ120は、ドア112を開かせて、例えば、使用済みカートリッジの取り外しを容易にすることができる。
【0054】
注入機構が注入を成功裏に又はそうでなく完了したことの検出に続いて、及び/又はそれに応じて、コントローラ120は、コントローラ120の低電力モードに切り替え、コントローラオン状態320又は両方オン状態330からそれぞれ、両方オフ状態310又は無線オン状態340への遷移を引き起こし得る。低電力モードに切り替える前、及び注入の完了を検出した後、コントローラ120は、1つ以上のタスクを実行することができる。例えば、コントローラ120は、メモリ122及び/又はリムーバブル記憶デバイス124内に、注入が完了したことを示すデータエントリを生成することができる。いくつかの実装形態では、コントローラ120は、注入が完了すると、以前に生成されたデータエントリに追加する。データエントリには、例えば、注入がいつ完了したかを示すタイムスタンプを含み得る。追加的に又は代替的に、データエントリには、注入の様々なステップのタイムスタンプ、注入可能材料及び/若しくは注入で使用されるカートリッジに関する情報、薬剤送出デバイス102の診断情報、並びに/又は任意の他の適切な情報を含み得る。
【0055】
低電力モードに切り替える前に、コントローラ120は、無線通信モジュール130を起動するため、及び/又は無線通信モジュール130にユーザデバイス104との接続の確立を開始させるための1つ以上のトリガ信号を生成することができる。追加的に又は代替的に、低電力モードに切り替える前に、コントローラ120は、例えば、バス128及び/又はプロセッサインターフェース210を介して、注入及び/又は薬剤送出デバイス102の状態を示すデータエントリからの少なくともいくつかのデータを無線通信モジュール130に送信することができる。従って、いくつかの実装形態では、コントローラオン状態320で注入を完了した後、薬剤送出デバイス102は、コントローラ120が低電力モードに切り替える前に、両方オン状態330に遷移することができる。
【0056】
無線通信モジュール130は、注入中にアクティブモードで動作することができ、又は注入の完了時にアクティブモードに切り替えることができる。いくつかの実装形態では、無線通信モジュール130は、電源がオンにされ、リセットされ、及び/又は初期化されると、アクティブモードに切り替える。他の実装形態では、無線通信モジュール130は、電源をオンにし、リセットし、及び/又は例えばスリープモードなどの低電力モードに初期化するように構成されている。無線通信モジュール130は、注入が完了した後、コントローラ120によって生成されたトリガ信号に応じて、アクティブモードに切り替えることができる。従って、注入機構が、薬剤送出デバイス102のコントローラオン状態320で注入を開始及び/又は完了した場合、薬剤送出デバイス102は、注入の完了後の短期間、両方オン状態330で動作することができる。両方オン状態330での動作の短期間は、1ミリ秒、10ミリ秒、100ミリ秒、1秒、又は他の任意の適切な期間であってもよく、アクティブモードで動作中のコントローラ120によって送信されたデータを無線通信モジュール130が取得するのに十分であり得る。
【0057】
いくつかの実装形態では、コントローラ120は、注入の完了後、及び無線通信モジュール130がアクティブモードに切り替えるか又は起動トリガを検出する前に、低電力モードに切り替える。従って、薬剤送出デバイス102は、注入の完了後、コントローラオン状態320から両方オフ状態310に遷移することができる。次いで、ユーザアクションは、無線通信モジュール130の起動、及び薬剤送出デバイス102の無線オン状態340への遷移を引き起こし得る。例えば、注入の完了時にドア112が開く実装形態では、ユーザは、ドアを閉じて、無線通信モジュール130を起動することができる。より正確には、ドアセンサ160aと協働する補助回路126は、ドア112が閉じられていることを検出し、無線起動トリガを生成することができる。いくつかの実装形態では、補助回路126は、リザーバセンサ160cがカートリッジの不在及び/又はリザーバ150内の注入可能材料の不在を検出した場合にのみ、ドア112の閉鎖時に無線起動トリガを生成する。従って、いくつかの実装形態では、薬剤送出デバイス102は、コントローラオン状態320で注入を完了し、ドア112を開き、両方オフ状態310に遷移し、いったんユーザが使用済みカートリッジを取り外してドア112を閉じると、無線オン状態に遷移する。
【0058】
起動時に、無線通信モジュール130は、メモリ122内に、又はリムーバブル記憶デバイス124から記憶された注入ログ及び/又は薬剤送出デバイス状態データ記録にアクセスすることができる。注入ログ及び/又は薬剤送出デバイス状態データ記録から、無線通信モジュール130は、完了した注入及び/又は薬剤送出デバイスの状態を示すデータエントリから、少なくともいくつかのデータを取得することができる。いくつかの実装形態では、無線通信モジュール130は、例えば、バス128及び/又はプロセッサインターフェース210を介して、コントローラ120からデータを取得する。コントローラ120からデータを取得するために、無線通信モジュール130は、最初にコントローラ起動トリガを送信して、コントローラ120をウェイクアップ又は起動し、薬剤送出デバイス102を無線オン状態340から両方オン状態330に遷移させることができる。無線通信モジュール130は、注入が完了したことを示すデータエントリから少なくともいくつかのデータを取得した後、無線通信モジュール130は、ユーザデバイス104との無線接続を確立する試行を開始することができる。いくつかの実装形態では、無線通信モジュール130は、ユーザデバイス104に転送するためのデータを取得する前にユーザデバイス104との無線接続を確立し、次いで無線接続の確立に応じてデータを取得することができる。ユーザデバイス104との無線接続の確立は、1秒未満から数時間又は数日まで続く時間間隔にわたって進行し得る。すなわち、ペアリングされたユーザデバイス104が通信の範囲内にあり、通信を確立することを可能にする(例えば、適切なアプリケーションを実行する)状態にある場合、通信を確立し、薬剤送出デバイス102からユーザデバイスに情報を転送することを含むプロセス全体は、例えば、0.1~10秒以内に完了し得る。一方、ペアリングされたユーザデバイス104が通信を確立するために利用可能でない場合、無線通信モジュール130は、通信を繰り返し試みることができる。通信試行のシーケンスは、無線通信モジュール130からの送信のバーストを含んでもよく、各バーストの後に、無線通信モジュール130からの無線沈黙期間が続く。送信の各バーストは、無線通信モジュール130がユーザデバイス104からの応答を「聞く」ことができる間隔を含み得る。換言すれば、通信試行は、無線通信モジュール130がユーザデバイス104からの応答を受信することができるリスニング期間が散在する複数の送信を含み得る。無線通信モジュール130は、「アドバタイズモード」で動作している間に通信試行を行うことができ、送信での関連するバーストは、「アドバタイズ」と呼ばれ得る。
【0059】
通信試行のリスニング期間中、無線通信モジュール130は、通信試行間の無線沈黙期間中よりも多くの電力を消費し得る。リスニングの間、無線通信モジュール130は、無線通信モジュール130内の無線受信機及び/又は光(例えば、赤外線)受信機を動作させるための電力を導入することができる。しかしながら、通信試行の間に、受信機がオフにされる場合がある。従って、無線通信モジュール130は、異なる電力消費レベルを有する3つ以上のアクティブモードを有し得る。本明細書での説明の目的のため、無線通信モジュール130の低電力モードは、無線通信モジュール130のプロセッサが無線通信モジュール130に無線通信を送信又は受信させる前に、無線通信モジュール130が「ウェイクアップする」ために外部(無線通信モジュール130の外部で生成される)トリガ信号を必要とするモードを指し得る。
【0060】
無線通信モジュール130がアクティブモードで動作し、ユーザデバイス104との無線接続を確立する試行をアドバタイズしている間、コントローラ120は、独立して、低電力モードからアクティブモードに切り替えることができる。例えば、補助回路126は、センサ160a~dを使用して検出されたユーザアクション(例えば、ボタンを押圧する、カートリッジを交換する、及び/又はドア112を閉じる)に基づいてコントローラ起動トリガを生成することができる。コントローラ120は、無線通信モジュール130がアドバタイズしている間に、アクティブモードに切り替え、駆動装置140を起動し、新たに完了した注入を検出し、新しいデータエントリを生成し、及び/又は低電力モードに切り替えて戻ることができる。従って、電力状態遷移の例示的なシーケンスでは、薬剤送出デバイス102は、i)第1の注入のために両方オフ状態310からコントローラオン状態320に、ii)第1の注入の完了時に両方オン状態330又は両方オフ状態310に、iii)ユーザデバイス104との無線接続を確立するために無線オン状態340に、iv)無線接続を確立し続けながら第2の注入の準備をするために両方オン状態330に遷移し、v)第2の注入が完了すると無線オン状態340に戻り、次いで、vi)ユーザデバイス104との接続を成功裏に確立し、並びに第1の注入及び/又は第2の注入を示すメッセージを送信すると、両方オフ状態に、遷移することができる。いくつかの実装形態では、ユーザデバイス104との接続を確立すると、無線通信モジュール130は、コントローラ起動トリガを送信して、コントローラ120をアクティブモードに切り替えさせる。例えば、メモリ122がコントローラ120に統合されている実装形態では、無線通信モジュール130は、コントローラ120をウェイクアップして、メモリ122に記憶されたデータを要求及び取得することができる。いくつかの実装形態では、コントローラ120及び無線通信モジュール130は、それらの対応するタスクを独立して、シーケンス外で、すなわち非同期的に完了することができる。
【0061】
以下の表1は、ユーザアクションの例示的なシーケンス、コントローラ120及び/又は無線通信モジュール130によって実行される対応するタスク、及びタスクが実行されている薬剤送出デバイス102の電力状態を示している。
【0062】
【表1】
【0063】
ステップAでは、任意のユーザアクションの前に、薬剤送出デバイス102は、両方オフ状態310にある。ステップBでは、ユーザは、ボタン(例えば、専用のイジェクトボタン又は指センサ160b)を押して、コントローラ起動トリガを生成し、薬剤送出デバイス102をコントローラオン状態320に遷移させることができる。コントローラ120は、起動時にセルフテスト又は診断ルーチンを実行し、薬剤送出デバイス102及び/又は注入状態(例えば、動作状態)を示すデータエントリをメモリ(例えば、メモリ122及び/又はリムーバブル記憶デバイス124)内に生成するように構成され得る。このデータエントリは、例えば、注入の成功状態、成功した注入の数、注入のタイミング、注入中に送出された薬剤の量、注入の速度(例えば、ユーザが選択した速度)、セルフテストのタイミング、任意の検出されたエラーのコード、電源114内の残りの電荷、無線通信モジュール130の動作モード、センサ160a~d及びインジケータ162a、bに関する診断情報、及び/又は薬剤送出デバイス102又は注入の性質に関する他の状態情報、に関する情報を含み得る。コントローラ120がエラーを検出しない場合、コントローラ120は、ドア112を開かせ、ユーザが注入可能材料を備えたカートリッジを挿入することを可能にし得る。ステップCでは、ユーザは、新しいカートリッジを挿入して、ドア112を閉じることができる。コントローラ120は、例えば、リザーバセンサ160c及びドアセンサ160aを使用することによって、有効なカートリッジが挿入されて、ドア112が閉じられていることを検出することができる。それに応じて、コントローラ120は、聴覚的及び/又は視覚的インジケータ162a、bを起動して、続くステップに進行するようにユーザに示すことができる。いくつかの実装形態及び/又はシナリオでは、ユーザは、薬剤送出デバイス102内にカートリッジがない状態でドア112を閉じて、コントローラ120及び/又は補助回路126に無線起動トリガ及び/又は通信トリガを生成させる。それに応じて、無線通信モジュール130は、ウェイクアップし、アドバタイズを開始し、ユーザデバイス104に接続されると、メッセージをユーザデバイス104に転送することができる。
【0064】
有効なカートリッジが装填されて、ドア112が閉じられた状態で、ユーザは、カートリッジからキャップ154を取り外すことによって、表1のステップDに進行することができる。コントローラ120は、キャップセンサ(図示せず)を使用して、キャップ154が取り外されていることを検出し、注入部位を照らすために標的光(図示せず)をオンにすることができる。ステップEでは、ユーザは、薬剤送出デバイス102を注入部位に接触させ、接触を維持することができる。皮膚センサ160dを使用して安定した注入部位接触を検出すると、コントローラ120は、インジケータ162a、bを使用して、注入を進行するようにユーザに示すことができる。ステップFでは、ユーザは、ボタン(例えば、指センサ160b又は専用のスタートボタン)を押圧することができる。コントローラ120は、接触が維持されている間にボタンが押圧されたことを検出し、注入機構を起動することができる。注入機構は、駆動装置140、プランジャ142、及び/又は他の構成要素(図示せず)を使用して、針152を挿入し、注入可能材料をリザーバ150から針152を通して押し出し、皮下に注入送出することができる。次いで、注入機構は針152を後退することができ、コントローラ120は、インジケータ162a、bを更新して、薬剤送出デバイス102を注入部位から安全に持ち上げることをユーザに通知することができる。ステップGでは、ユーザは、薬剤送出デバイス102を皮膚から持ち上げることができ、コントローラ120は、皮膚センサ160dを使用して、薬剤送出デバイス102がもはや皮膚と接触していないことを検出することができる。注入の終了及び皮膚との接触の喪失を検出したことに応じて、コントローラ120は、注入を示すデータエントリをメモリ(例えば、メモリ122及び/又はリムーバブル記憶デバイス124)内に生成することができる。データエントリには、注入の時間、注入の成功表示、カートリッジ又は注入可能材料に関する情報などが含まれ得る。コントローラ120は、データエントリを生成する前又はその後にドア112を開き、低電力モードに切り替え、薬剤送出デバイス102を両方オフ状態310に遷移させることができる。
【0065】
ステップHでは、ユーザは、使用済みカートリッジを取り外し、ドア112を閉じて、補助回路126に無線起動トリガ及び/又は通信トリガを生成させることができる。それに応じて、無線通信モジュール130は、ウェイクアップすることができ、薬剤送出デバイス102を無線オン状態340に遷移させる。いったんアクティブモードになると、無線通信モジュール130は、アドバタイズを開始することができる。ステップIでは、ユーザは、薬剤送出デバイス102をペアリングされたユーザデバイス104に十分に近づけるか、又はユーザデバイス104を薬剤送出デバイス102に十分に近づけることができる。ペアリングされたユーザデバイス104が範囲内にある場合、無線通信モジュール130は、ユーザデバイス104との無線接続を確立することができる。いくつかの実装形態では、無線通信モジュール130は、データエントリのメモリ位置にアクセスすることによって、コントローラ120が低電力モードにある間に、コントローラ120によって生成されたデータエントリからデータの少なくとも一部を取得する。他の実装形態では、無線通信モジュールは、データを取得するのを支援するためにコントローラ120をウェイクアップし、薬剤送出デバイス102を両方オン状態330に遷移させる。無線通信モジュール130は、ユーザデバイス104との無線接続を確立する前又はその後に、データを取得することができる。ユーザデバイス104との接続を確立するための試行のシーケンスは、通信時間窓の(数時間又は数日であり得る)長さをとり得るため、薬剤送出デバイス102は、注入用に利用可能なままである。より具体的には、コントローラ120は、ステップBでのように、ユーザアクションに応じてウェイクアップし、1つ以上の追加の注入を制御し、及び/又は無線通信モジュール130がアドバタイズしている間に1つ以上の追加のデータエントリを生成することができる。1つ以上のデータエントリからデータの少なくとも一部を取得し、及び無線接続を確立した後、無線通信モジュール130は、取得したデータを示すメッセージをユーザデバイス104に転送することができる。データを転送すると、無線通信モジュール130は、低電力モードに切り替わって、薬剤送出デバイス102を両方オフ状態310に遷移させることができる。上述のように、類似のユーザアクション(例えば、ボタン又は指センサ160bを押圧する、ドア112を閉じることなど)は、シナリオに応じて、異なるタスクを引き起こし、又はトリガし得る。例えば、薬剤送出デバイス102内にカートリッジを備えた状態でドア112を閉じることは、注入用の準備の際のステップであり得る。他方、薬剤送出デバイス102内のカートリッジなしでドア112を閉じることにより、データをユーザデバイス104に転送する試行をトリガすることができる。従って、類似のユーザアクションは、設計を単純化し、薬剤送出デバイス102の便利な操作を可能にするための複数の結果で過負荷になる可能性がある。
【0066】
図4は、薬剤送出デバイス(例えば、図1の薬剤送出デバイス102)の電力効率の良い動作の例示的な方法400のフロー図である。方法400は、薬剤送出デバイスのセンサ(例えば、センサ160a~d)と協働して、コントローラ(例えば、コントローラ120)、無線通信モジュール(例えば、無線通信モジュール130)、及び/又は補助回路(例えば、補助回路126)の構成要素を処理することによって実施することができる。コントローラは、上述のように、アクティブモード又は低電力モードで動作するように構成することができる。同様に、無線通信モジュールは、アクティブモード又は低電力モードで動作するように構成することができる。薬剤送出デバイスの電力効率の良い動作の方法400を可能にすることは、対応するアクティブモードで動作する時間を実質的に最小化するように、薬剤送出デバイスのコントローラ及び無線通信モジュールを構成することを含み得る。そのために、コントローラ及び無線通信モジュールは、独立して非同期的に動作することができる。すなわち、コントローラは、薬剤送出デバイスの構成要素を制御して、注入を完了し、無線通信モジュールが低電力モードにある間に、注入又は薬剤送出デバイスの状態を示すデータエントリを生成することができる。他方、無線通信モジュールは、コントローラが低電力モードにある間に、ユーザデバイス(例えば、ユーザデバイス104)との無線接続を確立することができる。追加的に又は代替的に、コントローラ及び無線通信モジュールは、他方がいずれかのモードにある間に、低電力モードからアクティブモードに、及び/又はその逆に切り替えることができる。更に、方法400は、特定のシーケンスではなく、ユーザアクション及び/又はユーザデバイスの可用性に応じて、注入を行い、ユーザデバイスとの無線接続を確立することを含み得る。
【0067】
ブロック410において、方法400は、アクティブモードで動作し、1つ以上のセンサ(例えば、センサ160a~d)と通信接続しているコントローラによって、注入が薬剤送出デバイスを用いて実行されたことを検出することを含み得る。上述したように、コントローラは、注入の様々なステップを制御することができる。注入を開始し、駆動装置(例えば、駆動装置140)を起動させて、リザーバ(例えば、リザーバ150)から注入可能材料を押し出させ、及びその材料をユーザの皮膚の注入部位において皮下に送出した後、コントローラは、1つ以上のセンサを監視することができる。いくつかの実装形態及び/又はシナリオでは、センサは、リザーバが空であり、薬剤送出デバイスがユーザの皮膚との接触を失ったことを少なくとも部分的に検出することによって、注入が完了したことを示すことができる。いくつかの実装形態及び/又はシナリオでは、方法400は、失敗した注入、すなわち、注入が開始されたが正しく完了しなかったことを検出することを含み得る。例えば、センサは、リザーバの注入可能材料が空になる前に、薬剤送出デバイスがユーザの皮膚との接触を失ったことを示すことができる。方法400は、失敗した注入を、完了した(しかし不成功であった)注入として取り扱い、ブロック420(以下で論じる)において生成されたデータエントリでの失敗及び/又は失敗モードを示すことができる。
【0068】
ブロック420において、方法400は、コントローラによって生成すること、及びメモリ(例えば、メモリ122及び/又はリムーバブル記憶デバイス124)内に、注入及び/又は薬剤送出デバイスの状態を示すデータエントリを記憶することを含み得る。データエントリは、注入の時間、ユーザによって選択された注入の速度、注入中に患者に送出された薬剤の量、注入の成功状態、注入時の薬剤送出デバイスの状態、セルフテストルーチンで判定された薬剤送出デバイスの状態、並びに/又は薬剤送出デバイスの注入及び/若しくは使用に関連する他の情報、を示し得る。いくつかの実装形態では、コントローラは、注入を開始するとデータエントリを開始し、注入が成功裏に又はそうでなく完了したことを検出するとその入力を完了する。1つ以上のデータエントリは、注入ログ及び/又はデバイス診断ログを形成し得る。
【0069】
ブロック430において、方法400は、注入が実行されたことの検出に続いて及び/又はそれに応じて、コントローラを低電力モードに切り替えることを含み得る。コントローラの低電力モードは、スリープモード、休止状態モード、スタンバイモード、又はコントローラのリソースを制限すること(例えば、入力及び/若しくは出力へのアクセスを低減すること、メモリ及び/若しくは他の周辺機器の電源を切ることなど)によって、コントローラのアクティブモードよりも消費電力が少ない任意の他のモード、コントローラの処理要素の速度、並びに/又はコントローラに対して利用可能な動作のセットであり得る。例えば、低電力モードでのコントローラの動作は、ウェイクアップ信号(例えば、コントローラ起動トリガ)が受信され得る入力のセットを監視することに限定され得る。いくつかの実装形態では、コントローラは、コントローラの低電力モードでスイッチオフされる(例えば、電源接続116aのスイッチを使用して電源114から切断される)。注入が完了したことを検出すると、及び低電力モードに切り替える前に、コントローラは、データエントリの生成及び記憶に加えてタスクのセットを実行することができる。いくつかの実装形態では、方法400は、低電力モードに切り替える前に、1つ以上の信号及び/又はメッセージを無線通信モジュールに送信するコントローラを含む。コントローラは、無線起動トリガを示す信号、無線通信トリガを示す信号、並びに/又はデータエントリの少なくとも一部を示す及び/若しくは含むメッセージを、無線通信モジュールに送信することができる。コントローラは、プロセッサインターフェース(例えば、UARTであるか、又はそれを含み得るプロセッサインターフェース210)を介して、並びに/又は起動ライン(例えば、WCM起動ライン212及びコントローラ起動ライン214)を介して、信号及び/又はメッセージを送信することができる。例えば、コントローラは、起動ラインを介して信号を送信して、無線通信モジュールをトリガし、無線通信モジュールの低電力モードからアクティブモードに切り替えることができる。コントローラは、プロセッサインターフェースを介して、注入を示すデータの少なくとも一部を含むか若しくはそれに基づくメッセージを、及び/又は無線通信モジュールをトリガしてユーザデバイス(例えば、ユーザデバイス104)との1つ以上の通信試行を開始する信号を送信することができる。
【0070】
方法400は、無線通信モジュールによって、コントローラにより生成された、及び/又はメモリ位置内に記憶されたデータエントリから少なくともいくつかのデータを取得することを含み得る。無線通信モジュールは、たとえコントローラが低電力モードにある間でも、無線通信モジュール及びコントローラの両方と通信接続しているメモリ(例えば、メモリ122)及び/又はリムーバブル記憶デバイス(例えば、リムーバブル記憶装置124)から直接的に、データエントリからの少なくともいくつかのデータを取得することができる。追加的に又は代替的に、無線通信モジュールは、例えば、プロセッサインターフェースを介してコントローラと通信することによって、データの一部又はデータを示す情報を取得することができる。無線通信モジュールがデータを取得することを可能にするために、方法400は、無線通信モジュールによって、プロセッサインターフェース(例えば、プロセッサインターフェース210)又は起動ライン(例えば、コントローラ起動ライン214)を介してコントローラ起動トリガを示す信号を送信することを含み得る。低電力モードで動作しているコントローラは、コントローラ起動トリガを検出し、それに応じてアクティブモードに切り替えることができる。コントローラがコントローラのアクティブモードで動作している場合、無線通信モジュールは、プロセッサインターフェースを介してコントローラからデータエントリの一部を取得することができる。
【0071】
ブロック440において、方法400は、コントローラが低電力モードにある(例えば、低電力モードで動作するか、又はオフにされる)間に、薬剤送出デバイスに含まれる無線通信モジュールを介してユーザデバイスとの無線接続を確立することを含み得る。ユーザデバイスとの無線接続を確立するプロセスは、コントローラが低電力モードで動作している間、アクティブモードで動作している間、及び/又は動作モードを切り替える間、継続し得る。方法400は、通信トリガに応じて、無線通信モジュールが無線接続を確立し、及び/又は情報を転送する準備ができていることをユーザデバイスにアドバタイズすることを目的とした1つ以上の通信試行のシーケンスを開始することを含み得る。アドバタイズ送信には、薬剤送出デバイス、及び/又は薬剤送出デバイスのユーザを識別する情報を含み得る。薬剤送出デバイスとペアリングされているユーザデバイスが範囲内にあり、且つ(例えば、ユーザデバイス上で実行しているアプリケーションの助けを借りて)通信する準備ができている場合、ユーザデバイスは確認応答を送信することができる。ユーザデバイスは、アドバタイズ送信における薬剤送出デバイス又はユーザ情報の認識に応じて、確認応答を送信することができる。次いで、確認応答は、ユーザデバイス及び/又はユーザデバイスのユーザを識別する情報を含み得る。方法400は、ユーザデバイスによって送信された識別情報の認識に基づいて接続を許可する無線通信モジュールに応じて、接続を確立することを含み得る。無線通信モジュールが閾値期間後に接続を確立しない場合、無線通信モジュールは、通信試行を停止し、一時停止した後に、上記でより詳細に論じたように、再びアドバタイズを開始することができる。
【0072】
方法400は、通信試行を停止し、通信時間窓が満了したとの判定に応じて、薬剤送出デバイスの無線通信モジュールを低電力モードに切り替えることを含み得る。通信時間窓が満了したことを判定することは、i)閾値期間より長い期間、又はii)閾値試行回数より多い試行回数、のうちの少なくとも1つの後にユーザデバイスとの無線接続が確立されなかったことを判定することを含み得る。次いで、ユーザデバイスとの無線接続が確立されなかったと判定することは、ユーザデバイスから確認応答又は確認を受信していないことを含み得る。
【0073】
低電力モードで動作することにより、無線通信モジュールは、無線起動トリガを検出し、無線起動トリガの受信に応じてアクティブモードに切り替え得る。無線起動トリガを示す信号は、プロセッサインターフェース及び/又は起動ラインを介してコントローラによって送信され得る。方法400のいくつかの実装形態では、補助回路(例えば、補助回路126)は、センサと協働して、無線起動トリガを生成する。例えば、補助回路内のロジック回路は、無線通信モジュールの起動ラインと通信接続され得る。従って、無線起動トリガは、ボタンを押すこと及び/若しくは指センサを係合すること、コンパートメントを開く(例えば、ドア112を開く)こと、並びに/又は薬剤送出デバイスのコンパートメントを閉じることなどのユーザアクションに応じて検出され得る。いくつかの実装形態では、無線起動トリガはまた、通信トリガである。無線通信モジュールは、アクティブモードへの切り替えに応じて、アドバタイズを開始するように構成され得る。
【0074】
ブロック450において、方法400は、無線通信モジュールによって、且つコントローラが低電力モードにある間に、注入及び/又は薬剤送出デバイスの状態を示すメッセージを送信することを含み得る。メッセージは、例えば、注入の成功状態、成功した注入の数(最後のデータ転送以降に複数回実行された場合)、注入のタイミング、注入中に送出された薬剤の量、電池残量、注入の速度(例えば、ユーザが選択した速度)、セルフテストのタイミング、任意の検出されたエラーのコード、診断又はセルフテストルーチンの結果、及び/又は薬剤送出デバイス又は注入の性質に関する他の状態情報、を含み得る。いくつかの実装形態では、ユーザデバイス上で実行しているアプリケーションは、薬剤送出デバイスからの特定の情報を要求する。例えば、アプリケーションは、注入及び/又は注入試行のログをユーザデバイスのメモリ(例えば、メモリ186)内に保持することができ、要求された情報は、アプリケーションが、ユーザデバイスに上に記憶された情報を薬剤送出デバイス上に記憶された情報と同期することを可能にし得る。同期された情報は、ディスプレイ(例えば、ディスプレイ188)を介してユーザに提示され得るか、又は、例えば、ヘルスケアサービスプロバイダと共有され得る。ユーザデバイスはまた、薬剤送出デバイスから受信したメッセージに基づいて、1つ以上の情報プロンプトを生成することができる。
【0075】
いくつかの実装形態は、ブロック460及びブロック470を更に含み得る。ブロック460において、方法400は、無線通信モジュールによって、i)ユーザデバイスとの通信が確立されている、又はii)ユーザデバイスがメッセージを受信した、ことの確認を受信することを含み得る。ブロック470において、方法400は、確認を受信したことに応じて、無線通信モジュールを低電力モードに切り替えることを含み得る。ユーザデバイスとの通信が確立されているという確認を受信する場合、無線通信モジュールは、情報をユーザデバイスに転送するのに十分な所定の期間後にのみ、低電力モードに切り替えるように構成され得る。いくつかの実装形態では、薬剤送出デバイスの無線通信モジュール及びユーザデバイスの無線通信モジュールは、Bluetooth及び/又はBluetooth低エネルギー(BLE)モジュールであり、従って、接続を確立するためにBluetooth及び/又はBLEプロトコルに従う。接続の確立の確認は、Bluetooth又はBLEプロトコルの一部であり得る。
【0076】
いくつかの実装形態では、薬剤送出デバイスは、薬剤送出デバイスのコントローラがアクティブモードで動作している間、及び/又は注入が完了する前に、ブロック440~470を参照して説明されるアクションの少なくともいくつかを実行することができる。方法400に関して、薬剤注入デバイスは、ブロック430の前にブロック440~470においていくつかのアクションを実行することができる。更に、薬剤送出デバイスは、無線通信モジュールを使用して、送信の記録又は送信に含まれるデータを(例えば、薬剤送出デバイスのメモリ内に)保持することなく、注入状態又は薬剤送出デバイス状態データを送信することができる。いくつかの実装形態では、薬剤送出デバイスは、無線通信モジュールを使用して、コントローラがアクティブである間に、注入状態又は薬剤送出デバイス状態データを一定の時間間隔(例えば、1、10、100、1000ミリ秒ごと)で時々ストリーミングすることができる。他の実装形態では、薬剤送出デバイスは、無線通信モジュールを使用して、1つ以上のセンサによって検出された変化に応じて、注入状態又は薬剤送出デバイス状態データを送信することができる。ユーザデバイスは、注入状態又は薬剤送出デバイス状態データを(無線通信モジュールを介して薬剤送出デバイスから)受信すると、受信した情報を記憶し、及び/又はユーザに対する出力を生成することができる。ユーザデバイスによって生成された信号は、例えば、注入を実行する際にユーザをガイドすることができる。ユーザは、薬剤送出デバイスに状態を変化させ、いくつかの実装形態では、新しい通信をトリガさせるアクションをとる(例えば、一時停止する、継続する、又はユーザが実施した注入ステップを修正する)ことができる。このようにして、無線通信モジュールは、注入中又は他のユーザ実行アクション(例えば、電池の交換、カートリッジの交換、時間の設定など)中に、薬剤送出デバイスとユーザとの間の相互作用フィードバックを容易にすることができる。
【0077】
上述したように、コントローラ及び無線通信モジュールは、トリガに応じて、対応するアクティブモードと低電力モードとの間を切り替えることができる。いくつかのトリガは、コントローラ及び/又は無線通信モジュールによって自動的に実行されるタスクに基づき得る。他のトリガは、ユーザアクションに基づき得る。いくつかの実装形態及び/又はシナリオでは、同じユーザアクションが異なるトリガを生成する。シナリオに応じて、同じユーザアクションを異なるトリガで過負荷にすることにより、薬剤送出デバイスの設計及び/又は動作を簡素化することが可能になり得る。
【0078】
薬剤送出デバイスの前述の実施形態は、主に、注入の過程にわたって患者又はユーザの手に保持される自動注入器又は他のデバイスであるものとして説明されてきたが、本開示の範囲は、そのようなハンドヘルドデバイスに限定されるものではない。代替的な実施形態では、薬剤送出デバイスは、薬剤送出デバイスが患者の手に保持される代わりに、薬剤送出中に患者の皮膚に装着され得るように、患者の皮膚に解放可能に取り付けられ得る。そのような薬剤送出デバイスは、いくつかの文脈では、オンボディ注入器と呼ばれる。オンボディ注入器は、薬剤送出が数十秒、数分、又は数時間にわたって行われる場合、及び/又は注入の全期間にわたって薬剤送出デバイスを手に持つことが実用的でない状況で、役立ち得る。そのような実施形態では、薬剤送出デバイスのハウジングの外面は、患者の皮膚に接着するための接着剤を含み得る。更に、そのような実施形態では、薬剤送出デバイスは、薬剤送出デバイスが患者によって装着されている間に患者の動きを妨げないように、一般にロープロファイル形状(例えば、長方形の箱)を有し得る。ロープロファイル形状は、送出部材の長手方向軸、又は少なくとも送出部材の尖った端部を、リザーバの長手方向軸及び/又はハウジングの長手方向軸に対して垂直又はそうでなければ非平行に配置することによって容易にされ得る。更に、送出部材の尖った端部が送出状態で延在するハウジングの開口部は、滅菌の目的で、貫通可能な隔壁によって覆われ得る。初期状態では、送出部材の尖った端部は、この隔壁を貫通しないか又は部分的にしか貫通しない可能性があるが、送出状態では、送出部材の尖った端部は、患者に挿入するために隔壁を完全に貫通することができる。更に、薬剤送出デバイスのオンボディ注入器構成では、送出部材は、中空又は中実のトロカールと柔らかいカニューレとの組み合わせによって定義され得る。動作中、トロカールを展開してその患者に柔らかいカニューレを導入し、次いで後退して患者の体内に柔らかいカニューレを残すことができる。動作又は構造の違いが別の方法で必要とする場合を除いて、注入器のそのようなオンボディ注入器構成は、上述のものと同じ又は同様の電力制御スキームを組み込むことができる。
【0079】
上述の記載では、薬剤送出デバイスに関連する様々なデバイス、アセンブリ、構成要素、サブシステム、及び使用方法について説明している。デバイス、アセンブリ、構成要素、サブシステム、方法、又は薬剤送出デバイスは、以下に特定される薬剤、並びにそれらのジェネリック及びバイオシミラー同等品を含むがそれらに限定されない薬剤を更に含み得るか又はこれらとともに使用され得る。本明細書で使用する場合、薬剤という用語は、他の類似の用語と交換可能に使用することができ、伝統的及び非伝統的な医薬品、栄養補助食品、サプリメント、生物学的製剤、生物学的活性剤及び組成物、大分子、バイオシミラー、生物学的同等物、治療用抗体、ポリペプチド、タンパク質、小分子、及びジェネリック医薬品を含む、任意の種類の薬剤又は治療用材料を指すために使用され得る。非治療的な注入可能材料もまた包含される。薬剤は、液体形態、凍結乾燥形態、又は凍結乾燥形態から再構成されたものであってもよい。以下の例示的な薬剤のリストは、網羅的又は限定的であると考えるべきではない。
【0080】
薬剤はリザーバ内に収容されることになる。いくつかの場合では、リザーバは、治療のために薬剤が充填されるか又は予め充填されるかのいずれかである、一次容器である。一次容器は、バイアル、カートリッジ、又は事前充填された注射器であり得る。
【0081】
いくつかの実施形態では、薬剤送出デバイスのリザーバには、顆粒球コロニー刺激因子(G-CSF)などのコロニー刺激因子が充填されてもよく、又はそれらとともにデバイスを使用することができる。このようなG-CSF製剤には、Neulasta(登録商標)(ペグフィルグラスチム、PEG化フィルグラスチム、PEG化G-CSF、PEG化hu-Met-G-CSF)及びNeupogen(登録商標)(フィルグラスチム、G-CSF、hu-MetG-CSF)が含まれるが、それらに限定されない。
【0082】
他の実施形態では、薬剤送出デバイスは、液体又は凍結乾燥形態であり得る赤血球造血刺激因子製剤(ESA)を収容してもよいか又はこれとともに使用してもよい。ESAは、赤血球造血を刺激する任意の分子である。いくつかの実施形態では、ESAは、赤血球造血刺激タンパク質である。本明細書で使用する場合、「赤血球造血刺激タンパク質」とは、例えば、受容体に結合し、受容体の二量化を引き起こすことによってエリスロポエチン受容体の活性化を直接的又は間接的に引き起こす任意のタンパク質を意味する。赤血球造血刺激タンパク質としては、エリスロポエチン受容体に結合し、これを活性化させるエリスロポエチン及びその変異体、類似体、若しくは誘導体、エリスロポエチン受容体に結合し、この受容体を活性化させる抗体、又はエリスロポエチン受容体に結合し、活性化させるペプチドが挙げられる。赤血球造血刺激タンパク質としては、Epogen(登録商標)(エポエチンアルファ)、Aranesp(登録商標)(ダルベポエチンアルファ)、Dynepo(登録商標)(エポエチンデルタ)、Mircera(登録商標)(メトキシポリエチレングリコールエポエチンベータ)、Hematide(登録商標)、MRK-2578、INS-22、Retacrit(登録商標)(エポエチンゼータ)、Neorecormon(登録商標)(エポエチンベータ)、Silapo(登録商標)(エポエチンゼータ)、Binocrit(登録商標)(エポエチンアルファ)、エポエチンアルファHexal、Abseamed(登録商標)(エポエチンアルファ)、Ratioepo(登録商標)(エポエチンシータ)、Eporatio(登録商標)(エポエチンシータ)、Biopoin(登録商標)(エポエチンシータ)、エポエチンアルファ、エポエチンベータ、エポエチンイオタ、エポエチンオメガ、エポエチンデルタ、エポエチンゼータ、エポエチンシータ、及びエポエチンデルタ、PEG化エリスロポエチン、カルバミル化エリスロポエチン、並びにそれらの分子又は変異体又は類似体が挙げられ、これらに限定されない。
【0083】
特定の例示的なタンパク質の中には、その融合物、断片、類似体、変異体、又は誘導体を含む、以下で説明する特定のタンパク質がある。完全ヒト化及びヒトOPGL特異抗体、特に、完全ヒト化モノクローナル抗体を含む、(RANKL特異抗体、ペプチボディ等とも称される)OPGL特異抗体、ペプチボディ、及び関連タンパク質等;ミオスタチン特異的ペプチボディを含む、ミオスタチン結合タンパク質、ペプチボディ、関連タンパク質等;特に、IL-4及び/又はIL-13の受容体への結合によって媒介される活動を抑制する、IL-4受容体特異抗体、ペプチボディ、関連タンパク質等;インターロイキン1-受容体1(「IL1-R1」)特異抗体、ペプチボディ、関連タンパク質等;Ang2特異抗体、ペプチボディ、関連タンパク質等;NGF特異抗体、ペプチボディ、関連タンパク質等;CD22特異抗体、ペプチボディ、関連タンパク質等、特に、ヒト-マウスモノクローナルhLL2κ鎖に結合したヒト-マウスモノクローナルhLL2γ鎖二硫化物の二量体、例えば、エプラツズマブ(CAS登録番号501423-23-0)のヒトCD22特異完全ヒト化抗体などの、ヒトCD22特異IgG抗体を特に含むがそれに限定されない、ヒト化及び完全ヒトモノクローナル抗体を含むがそれに限定されない、ヒト化及び完全ヒト抗体等であるがそれに限定されない、ヒトCD22特異抗体;抗IGF-1R抗体を含むがそれに限定されない、IGF-1受容体特異抗体、ペプチボディ、及び関連タンパク質等;B7RP特異完全ヒトモノクローナルIgG2抗体を含むがそれに限定されない、B7RP-1の最初の免疫グロブリン様ドメインのエピトープと結合する完全ヒトIgG2モノクローナル抗体を含むがそれに限定されない、B7RP-1と活性化T細胞上のB7RP-1の自然受容体であるICOSとの相互作用を抑制するものを含むがそれに限定されない、B-7関連タンパク質1特異抗体、ペプチボディ、関連タンパク質等(「B7RP-1」、B7H2、ICOSL、B7h、及びCD275とも称される);例えば146B7などの、HuMax IL-15抗体及び関連タンパク質を含むがそれらに限定されない、特にヒト化モノクローナル抗体などの、IL-15特異抗体、ペプチボディ、関連タンパク質等;ヒトIFN γ特異抗体を含むがそれに限定されない、及び完全ヒト抗IFN γ抗体を含むがそれに限定されない、IFN γ特異抗体、ペプチボディ、関連タンパク質等;TALL-1特異抗体、ペプチボディ、関連タンパク質等、並びに他のTALL特異結合タンパク質;副甲状腺ホルモン(「PTH」)特異抗体、ペプチボディ、関連タンパク質等;トロンボポチエン受容体(「TPO-R」)特異抗体、ペプチボディ、関連タンパク質等;肝細胞増殖因子/分散因子(HGF/SF)を中和する完全ヒトモノクローナル抗体等のHGF/SF:cMet軸(HGF/SF:c-Met)を標的にするものを含む、肝細胞増殖因子(「HGF」)特異抗体、ペプチボディ、関連タンパク質等;TRAIL-R2特異抗体、ペプチボディ、関連タンパク質等;アクチビンA特異抗体、ペプチボディ、タンパク質等;TGF-β特異抗体、ペプチボディ、関連タンパク質等;アミロイドβタンパク質特異抗体、ペプチボディ、関連タンパク質等;c-Kit及び/又は他の幹細胞因子受容体と結合するタンパク質を含むがそれらに限定されない、c-Kit特異抗体、ペプチボディ、関連タンパク質等;OX40L及び/又はOX40受容体の他のリガンドと結合するタンパク質を含むがそれに限定されない、OX40L特異抗体、ペプチボディ、関連タンパク質等;Activase(登録商標)(アルテプラーゼ、tPA)、Aranesp(登録商標)(ダルベポエチンアルファ)、Epogen(登録商標)(エポエチンアルファ、又はエリスロポエチン)、GLP-1、Avonex(登録商標)(インターフェロンβ-1a)、Bexxar(登録商標)(トシツモマブ、抗CD22モノクローナル抗体)、Betaseron(登録商標)(インターフェロン-β)、Campath(登録商標)(アレムツズマブ、抗CD52モノクローナル抗体)、Dynepo(登録商標)(エポエチンデルタ)、Velcade(登録商標)(ボルテゾミブ)、MLN0002(抗α4β7 mAb)、MLN1202(抗CCR2ケモカイン受容体mAb)、Enbrel(登録商標)(エタネルセプト、TNF受容体/Fc融合タンパク質、TNF遮断薬)、Eprex(登録商標)(エポエチンアルファ)、Erbitux(登録商標)(セツキシマブ、抗EGFR/HER1/c-ErbB-1)、Genotropin(登録商標)(ソマトロピン、ヒト成長ホルモン)、Herceptin(登録商標)(トラスツズマブ、抗HER2/neu(erbB2)受容体mAb)、Humatrope(登録商標)(ソマトロピン、ヒト成長ホルモン)、Humira(登録商標)(アダリムマブ)、Vectibix(登録商標)(パニツムマブ)、Xgeva(登録商標)(デノスマブ)、Prolia(登録商標)(デノスマブ)、Enbrel(登録商標)(エタネルセプト、TNF受容体/Fc融合タンパク質、TNF遮断薬)、Nplate(登録商標)(ロミプロスチム)、リロツムマブ、ガニツマブ、コナツムマブ、ブロダルマブ、溶液中のインスリン、Infergen(登録商標)(インターフェロンアルファコン-1)、Natrecor(登録商標)(ネシリチド、遺伝子組換え型ヒトB型ナトリウム利尿ペプチド(hBNP)、Kineret(登録商標)(アナキンラ)、Leukine(登録商標)(サルガモスチム、rhuGM-CSF)、LymphoCide(登録商標)(エプラツズマブ、抗CD22 mAb)、Benlysta(商標)(リンフォスタットB、ベリムマブ、抗BlyS mAb)、Metalyse(登録商標)(テネクテプラーゼ、t-PA類似体)、Mircera(登録商標)(メトキシポリエチレングリコール-エポエチンベータ)、Mylotarg(登録商標)(ゲムツズマブオゾガマイシン)、Raptiva(登録商標)(エファリズマブ)、Cimzia(登録商標)(セルトリズマブペゴル、CDP870)、Soliris(商標)(エクリズマブ)、パキセリズマブ(抗補体C5)、Numax(登録商標)(MEDI-524)、Lucentis(登録商標)(ラニビズマブ)、Panorex(登録商標)(17-1A、エドレコロマブ)、Trabio(登録商標)(レルデリムマブ)、TheraCim hR3(ニモツズマブ)、Omnitarg(ペルツズマブ、2C4)、Osidem(登録商標)(IDM-1)、OvaRex(登録商標)(B43.13)、Nuvion(登録商標)(ビジリズマブ)、カンツズマブメルタンシン(huC242-DM1)、NeoRecormon(登録商標)(エポエチンベータ)、Neumega(登録商標)(オプレルベキン、ヒトインターロイキン-11)、Orthoclone OKT3(登録商標)(ムロモナブ-CD3、抗CD3モノクローナル抗体)、Procrit(登録商標)(エポエチンアルファ)、Remicade(登録商標)(インフリキシマブ、抗TNFαモノクローナル抗体)、Reopro(登録商標)(アブシキシマブ、抗GP IIb/IIia受容体モノクローナル抗体)、Actemra(登録商標)(抗IL6受容体mAb)、Avastin(登録商標)(ベバシズマブ)、HuMax-CD4(ザノリムマブ)、Rituxan(登録商標)(リツキシマブ、抗CD20 mAb)、Tarceva(登録商標)(エルロチニブ)、Roferon-A(登録商標)(インターフェロンα-2a)、Simulect(登録商標)(バシリキシマブ)、Prexige(登録商標)(ルミラコキシブ)、Synagis(登録商標)(パリビズマブ)、146B7-CHO(抗IL15抗体、米国特許第7,153,507号明細書を参照)、Tysabri(登録商標)(ナタリズマブ、抗α4インテグリンmAb)、Valortim(登録商標)(MDX-1303、抗炭疽菌防御抗原mAb)、ABthrax(商標)、Xolair(登録商標)(オマリズマブ)、ETI211(抗MRSA mAb)、IL-1 trap(ヒトIgG1のFc部分及び両IL-1受容体成分(I型受容体及び受容体補助タンパク質)の細胞外ドメイン)、VEGF trap(IgG1のFcと融合したVEGFR1のIgドメイン)、Zenapax(登録商標)(ダクリズマブ)、Zenapax(登録商標)(ダクリズマブ、抗IL-2Rα mAb)、Zevalin(登録商標)(イブリツモマブチウキセタン)、Zetia(登録商標)(エゼチミブ)、Orencia(登録商標)(アタシセプト、TACI-Ig)、抗CD80モノクローナル抗体(ガリキシマブ)、抗CD23 mAb(ルミリキシマブ)、BR2-Fc(huBR3/huFc融合タンパク質、可溶性BAFF拮抗薬)、CNTO148(ゴリムマブ、抗TNFα mAb)、HGS-ETR1(マパツムマブ、ヒト抗TRAIL受容体-1 mAb)、HuMax-CD20(オクレリズマブ、抗CD20ヒトmAb)、HuMax-EGFR(ザルツムマブ)、M200(ボロシキシマブ、抗α5β1インテグリンmAb)、MDX-010(イピリムマブ、抗CTLA-4 mAb、及びVEGFR-1(IMC-18F1)、抗BR3mAb、抗クロストリジウム・ディフィシル毒素A及び毒素B C mAb MDX-066(CDA-1)及びMDX-1388)、抗CD22 dsFv-PE38コンジュゲート(CAT-3888及びCAT-8015)、抗CD25 mAb(HuMax-TAC)、抗CD3 mAb(NI-0401)、アデカツムマブ、抗CD30 mAb(MDX-060)、MDX-1333(抗IFNAR)、抗CD38 mAb(HuMax CD38)、抗CD40L mAb、抗Cripto mAb、抗CTGF特発性肺線維症第1期フィブロゲン(FG-3019)、抗CTLA4 mAb、抗エオタキシン1 mAb(CAT-213)、抗FGF8 mAb、抗ガングリオシドGD2 mAb、抗ガングリオシドGM2 mAb、抗GDF-8ヒトmAb(MYO-029)、抗GM-CSF受容体mAb(CAM-3001)、抗HepC mAb(HuMax HepC)、抗IFNα mAb(MEDI-545、MDX-1103)、抗IGF1R mAb、抗IGF-1R mAb(HuMax-Inflam)、抗IL12 mAb(ABT-874)、抗IL12/IL23 mAb(CNTO1275)、抗IL13 mAb(CAT-354)、抗IL2Ra mAb(HuMax-TAC)、抗IL5受容体mAb、抗インテグリン受容体mAb(MDX-018、CNTO95)、抗IP10潰瘍性大腸炎mAb(MDX-1100)、BMS-66513、抗マンノース受容体/hCGβ mAb(MDX-1307)、抗メソテリンdsFv-PE38コンジュゲート(CAT-5001)、抗PD1mAb(MDX-1106(ONO-4538))、抗PDGFRα抗体(IMC-3G3)、抗TGFβ mAb(GC-1008)、抗TRAIL受容体-2ヒトmAb(HGS-ETR2)、抗TWEAK mAb、抗VEGFR/Flt-1 mAb、及び抗ZP3 mAb(HuMax-ZP3)。
【0084】
いくつかの実施形態では、薬剤送出デバイスは、ロモソズマブ、ブロソズマブ、又はBPS804(Novartis)などであるがそれらに限定されないスクレロスチン抗体、他の実施形態では、ヒトプロタンパク転換酵素サブチリシン/ケキシン9型(PCSK9)に結合するモノクローナル抗体(IgG)を収容してもよいか又はこれらとともに使用してもよい。このようなPCSK9特異抗体としては、Repatha(登録商標)(エボロクマブ)及びPraluent(登録商標)(アリロクマブ)が挙げられるがそれらに限定されない。他の実施形態では、薬剤送出デバイスは、リロツムマブ、ビキサロマー、トレバナニブ、ガニツマブ、コナツムマブ、モテサニブニリン酸塩、ブロダルマブ、ヴィデュピプラント、又はパニツムマブを収容してもよいか又はこれらとともに使用してもよい。いくつかの実施形態では、薬剤送出デバイスのリザーバには、OncoVEXGALV/CD;OrienX010;G207、1716;NV1020;NV12023;NV1034;及びNV1042を含むがそれらに限定されない、黒色腫又は他の癌の治療用のIMLYGIC(登録商標)(タリモジーンラハーパレプベック)又は別の腫瘍溶解性HSVが充填されてもよい、又はデバイスは、これらとともに使用することができる。幾つかの実施形態では、薬剤送出デバイスは、TIMP-3などであるがそれらに限定されないメタロプロテイナーゼの内在性組織阻害剤(TIMP)を収容してもよい又はこれとともに使用してもよい。エレヌマブ、並びにCGRP受容体及び他の頭痛標的を標的とする二重特異性抗体分子などであるがそれらに限定されないヒトカルシトニン遺伝子関連ペプチド(CGRP)受容体のアンタゴニスト抗体もまた、本開示の薬剤送出デバイスを用いて送出されてもよい。加えて、BLINCYTO(登録商標)(ブリナツモマブ)などであるがそれらに限定されない二重特異性T細胞誘導(BiTE(登録商標))抗体を、本開示の薬剤送出デバイスにおいて又はこれとともに使用することができる。いくつかの実施形態では、薬剤送出デバイスは、アペリン又はその類似体などであるがそれらに限定されないAPJ大分子アゴニストを収容してもよいか又はこれとともに使用してもよい。いくつかの実施形態では、治療的有効量の抗胸腺間質性リンパ球新生因子(TSLP)又はTSLP受容体抗体が本開示の薬剤送出デバイスにおいて又はこれとともに使用される。
【0085】
薬剤送出デバイス、アセンブリ、構成要素、サブシステム、及び方法を、例示的実施形態の観点から説明してきたが、これらに限定されるものではない。発明を実施するための形態は、単に例として解釈されるべきであり、本開示の考え得る全ての実施形態を説明しているわけではない。現在の技術又は本特許の申請日以降に開発された技術のいずれかを使用して、多くの代替的な実施形態を実施することができるが、このような実施形態はなお、本明細書に開示される本発明を定義する請求項の範囲内に含まれる。
【0086】
当業者であれば、本明細書に開示される発明の趣旨及び範囲から逸脱することなく上記の実施形態に対して多種多様な修正、変更、及び組み合わせを施すことができ、そうした修正、変更、及び組み合わせは本発明の概念の範囲内にあると解釈されることを理解するであろう。
図1
図2
図3
図4