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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-17
(45)【発行日】2024-10-25
(54)【発明の名称】半導体装置
(51)【国際特許分類】
   H01L 29/786 20060101AFI20241018BHJP
   H01L 21/28 20060101ALI20241018BHJP
   H01L 21/8234 20060101ALI20241018BHJP
   H01L 27/06 20060101ALI20241018BHJP
   H01L 27/088 20060101ALI20241018BHJP
   H01L 29/423 20060101ALI20241018BHJP
   H01L 29/49 20060101ALI20241018BHJP
   H01L 21/336 20060101ALI20241018BHJP
   H01L 29/788 20060101ALI20241018BHJP
   H01L 29/792 20060101ALI20241018BHJP
   H10B 12/00 20230101ALI20241018BHJP
   H10B 41/20 20230101ALI20241018BHJP
   H10B 41/70 20230101ALI20241018BHJP
   H10B 99/00 20230101ALI20241018BHJP
【FI】
H01L29/78 618B
H01L21/28 301B
H01L27/06 102A
H01L27/088 E
H01L27/088 H
H01L27/088 331E
H01L29/58 G
H01L29/78 371
H01L29/78 617T
H01L29/78 618C
H10B12/00 621Z
H10B12/00 671C
H10B12/00 671Z
H10B12/00 801
H10B41/20
H10B41/70
H10B99/00 441
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2022112457
(22)【出願日】2022-07-13
(62)【分割の表示】P 2018141005の分割
【原出願日】2018-07-27
(65)【公開番号】P2022153461
(43)【公開日】2022-10-12
【審査請求日】2022-08-05
(31)【優先権主張番号】P 2017151412
(32)【優先日】2017-08-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000153878
【氏名又は名称】株式会社半導体エネルギー研究所
(72)【発明者】
【氏名】山崎 舜平
(72)【発明者】
【氏名】松林 大介
(72)【発明者】
【氏名】方堂 涼太
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 大吾
(72)【発明者】
【氏名】本多 大章
(72)【発明者】
【氏名】岡本 悟
【審査官】田付 徳雄
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-034051(JP,A)
【文献】特開2011-139055(JP,A)
【文献】特開2017-121046(JP,A)
【文献】特開2017-108397(JP,A)
【文献】特開2017-076789(JP,A)
【文献】特開2017-050530(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2011/0133177(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2017/0186749(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 29/786
H01L 21/28
H01L 21/336
H01L 21/8234
H01L 27/06
H01L 27/088
H01L 29/423
H01L 29/49
H01L 29/788
H01L 29/792
H10B 12/00
H10B 41/20
H10B 41/70
H10B 99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の導電体と、前記第1の導電体上の酸化物と、前記酸化物上の第2の導電体と、前記酸化物上の第3の導電体と、前記酸化物上の第1の絶縁体と、前記酸化物上の第4の導電体と、前記第3の導電体上の第2の絶縁体と、前記第3の導電体上の第5の導電体と、を有し、
前記第5の導電体は、前記第3の導電と電気的に接続し、
前記酸化物は前記第1の導電体と重なる第1の領域を有し、
前記第1の絶縁体は、前記酸化物及び前記第4の導電体の間に配置され、
前記第1の絶縁体は、前記第2の導電体と前記第3の導電体の間に配置され、
前記第1の絶縁体は、前記第4の導電体の側面と接し、
前記第2の絶縁体は、前記第1の絶縁体の側面と接し、
前記第5の導電体は、前記第2の絶縁体の上面及び側面と接し、
前記第2の絶縁体は、前記第2の導電体と重なる領域を有し、
前記酸化物は、前記第2の絶縁体と重ならない第2の領域を有し、前記第2の領域は前記第5の導電体と重ならない第3の領域を有する、半導体装置。
【請求項2】
請求項1において、
前記酸化物と前記第4の導電体の間の長さは、前記第2の導電体と前記第4の導電体の間の長さより小さい、半導体装置。
【請求項3】
請求項1または請求項2において、
前記第1の絶縁体は、アルミニウムおよびハフニウムの少なくとも一方を含む酸化物、またはシリコンを含む窒化物を含む、半導体装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の一態様は、半導体装置、ならびに半導体装置の作製方法に関する。または、本
発明の一態様は、半導体ウエハ、モジュール、および電子機器に関する。
【0002】
なお、本明細書等において半導体装置とは、半導体特性を利用することで機能し得る装
置全般を指す。トランジスタなどの半導体素子をはじめ、半導体回路、演算装置、記憶装
置は、半導体装置の一態様である。表示装置(液晶表示装置、発光表示装置など)、投影
装置、照明装置、電気光学装置、蓄電装置、記憶装置、半導体回路、撮像装置、および電
子機器などは、半導体装置を有すると言える場合がある。
【0003】
なお、本発明の一態様は、上記の技術分野に限定されない。本明細書等で開示する発明
の一態様は、物、方法、または、製造方法に関するものである。または、本発明の一態様
は、プロセス、マシン、マニュファクチャ、または、組成物(コンポジション・オブ・マ
ター)に関するものである。
【背景技術】
【0004】
近年、半導体装置の開発が進められ、LSIやCPUやメモリが主に用いられている。
CPUは、半導体ウエハから切り離された半導体集積回路(少なくともトランジスタおよ
びメモリ)を有し、接続端子である電極が形成された半導体素子の集合体である。
【0005】
LSIやCPUやメモリなどの半導体回路(ICチップ)は、回路基板、例えば、プリ
ント配線板に実装され、様々な電子機器の部品の一つとして用いられる。
【0006】
また、絶縁表面を有する基板上に形成された半導体薄膜を用いてトランジスタを構成す
る技術が注目されている。当該トランジスタは集積回路(IC)や画像表示装置(単に表
示装置とも表記する。)のような電子デバイスに広く応用されている。トランジスタに適
用可能な半導体薄膜としてシリコン系半導体材料が広く知られているが、その他の材料と
して酸化物半導体が注目されている。酸化物半導体としては、例えば、酸化インジウム、
酸化亜鉛などの一元系金属の酸化物のみでなく、多元系金属の酸化物も知られている。多
元系金属の酸化物の中でも、特に、In-Ga-Zn酸化物(以下、IGZOとも呼ぶ。
)に関する研究が盛んに行われている。
【0007】
IGZOに関する研究により、酸化物半導体において、単結晶でも非晶質でもない、CA
AC(c-axis aligned crystalline)構造およびnc(na
nocrystalline)構造が見出された(非特許文献1乃至非特許文献3参照。
)。非特許文献1および非特許文献2では、CAAC構造を有する酸化物半導体を用いて
トランジスタを作製する技術も開示されている。さらに、CAAC構造およびnc構造よ
りも結晶性の低い酸化物半導体でさえも、微小な結晶を有することが、非特許文献4およ
び非特許文献5に示されている。
【0008】
さらに、IGZOを活性層として用いたトランジスタは極めて低いオフ電流を持ち(非特
許文献6参照。)、その特性を利用したLSIおよびディスプレイが報告されている(特
許文献1、非特許文献7および非特許文献8参照。)。
【0009】
また、酸化物半導体を用いたトランジスタは、非導通状態において極めてリーク電流が
小さいことが知られている。例えば、酸化物半導体を用いたトランジスタのリーク電流が
低いという特性を応用した低消費電力のCPUなどが開示されている(特許文献1参照。
)。
【0010】
また、酸化物半導体を用いたトランジスタで、ゲート電極を開口部に埋め込んで作製す
る方法などが開示されている(特許文献2参照。)。
【0011】
また、近年では電子機器の小型化、軽量化に伴い、トランジスタなどを高密度に集積し
た集積回路の要求が高まっている。また、集積回路を含む半導体装置の生産性の向上が求
められている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0012】
【文献】特開2012-257187号公報
【文献】特開2017-050530号公報
【非特許文献】
【0013】
【文献】S. Yamazaki et al., “SID Symposium Digest of Technical Papers”, 2012, volume 43, issue 1, p.183-186
【文献】S. Yamazaki et al., “Japanese Journal of Applied Physics”, 2014, volume 53, Number 4S, p.04ED18-1-04ED18-10
【文献】S. Ito et al., “The Proceedings of AM-FPD’13 Digest of Technical Papers”, 2013, p.151-154
【文献】S. Yamazaki et al., “ECS Journal of Solid State Science and Technology”, 2014, volume 3, issue 9, p.Q3012-Q3022
【文献】S. Yamazaki, “ECS Transactions”,2014, volume 64, issue 10, p.155-164
【文献】K. Kato et al., “Japanese Journal of Applied Physics”, 2012, volume 51, p.021201-1-021201-7
【文献】S. Matsuda et al., “2015 Symposium on VLSI Technology Digest of Technical Papers”, 2015, p.T216-T217
【文献】S. Amano et al., “SID Symposium Digest of Technical Papers”, 2010, volume 41, issue 1, p.626-629
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
本発明の一態様は、微細化または高集積化が可能な半導体装置を提供することを課題の
一つとする。本発明の一態様は、良好な電気特性を有する半導体装置を提供することを課
題の一つとする。本発明の一態様は、良好な周波数特性を有する半導体装置を提供するこ
とを課題の一つとする。本発明の一態様は、信頼性が良好な半導体装置を提供することを
課題の一つとする。本発明の一態様は、生産性の高い半導体装置を提供することを課題の
一つとする。
【0015】
本発明の一態様は、長期間においてデータの保持が可能な半導体装置を提供することを
課題の一つとする。本発明の一態様は、データの書き込み速度が速い半導体装置を提供す
ることを課題の一つとする。本発明の一態様は、設計自由度が高い半導体装置を提供する
ことを課題の一つとする。本発明の一態様は、消費電力を抑えることができる半導体装置
を提供することを課題の一つとする。本発明の一態様は、新規な半導体装置を提供するこ
とを課題の一つとする。
【0016】
なお、これらの課題の記載は、他の課題の存在を妨げるものではない。なお、本発明の
一態様は、これらの課題の全てを解決する必要はないものとする。なお、これら以外の課
題は、明細書、図面、請求項などの記載から、自ずと明らかとなるものであり、明細書、
図面、請求項などの記載から、これら以外の課題を抽出することが可能である。
【課題を解決するための手段】
【0017】
本発明の一態様は、酸化物と、酸化物上の第1の導電体、および第2の導電体と、酸化
物上の第3の導電体と、酸化物と、第3の導電体の間に配置され、かつ第3の導電体の側
面を覆うように配置された第1の絶縁体と、第3の導電体、および第1の絶縁体上の第2
の絶縁体と、第1の導電体上と、第2の絶縁体の側面と、第1の絶縁体を介して、第3の
導電体の側面と、に配置された第3の絶縁体と、第2の導電体上と、第2の絶縁体の側面
と、第1の絶縁体を介して、第3の導電体の側面に配置された第4の絶縁体と、第3の絶
縁体の上面、および側面に接し、かつ第1の導電体と電気的に接続する第4の導電体と、
第4の絶縁体の上面、および側面に接し、かつ第2の導電体と電気的に接続する第5の導
電体と、を有する半導体装置である。
【0018】
上記において、第1の絶縁体は、酸化物と、第3の導電体の間において、第1の膜厚を
有し、第1の導電体または第2の導電体と、第3の導電体の間において、第2の膜厚を有
し、第1の膜厚は、第2の膜厚より薄いことが好ましい。
【0019】
上記において、第1の絶縁体は、酸化物と、第3の導電体の間において、第5の絶縁体
を有し、第1の導電体または第2の導電体と、第3の導電体の間において、第5の絶縁体
、および第6の絶縁体を有することが好ましい。
【0020】
上記において、半導体装置は、さらに第7の絶縁体と、第8の絶縁体と、を有し、第7
の絶縁体は、第1の導電体と、第3の絶縁体の間に設けられ、第7の絶縁体は、アルミニ
ウムおよびハフニウムの少なくとも一方を含む酸化物であり、第8の絶縁体は、第2の導
電体と、第4の絶縁体の間に設けられ、第8の絶縁体は、アルミニウムおよびハフニウム
の少なくとも一方を含む酸化物である、ことが好ましい。
【0021】
上記において、半導体装置は、さらに第9の絶縁体を有し、第9の絶縁体は、第3の導
電体と、第1の絶縁体の間に設けられ、第9の絶縁体は、アルミニウムおよびハフニウム
の少なくとも一方を含む酸化物である、ことが好ましい。
【0022】
上記において、第2の絶縁体は、アルミニウムおよびハフニウムの少なくとも一方を含
む酸化物、またはシリコンを含む窒化物、を含むことが好ましい。
【0023】
上記において、第3の絶縁体、および第4の絶縁体は、アルミニウムおよびハフニウム
の少なくとも一方を含む酸化物、またはシリコンを含む窒化物、を含むことが好ましい。
【0024】
上記において、酸化物は、Inと、元素M(MはAl、Ga、Y、またはSn)と、Z
nと、を有することが好ましい。
【0025】
上記において、第1の導電体、および第2の導電体は、アルミニウム、クロム、銅、銀
、金、白金、タンタル、ニッケル、チタン、モリブデン、タングステン、ハフニウム、バ
ナジウム、ニオブ、マンガン、マグネシウム、ジルコニウム、ベリリウム、インジウム、
ルテニウム、イリジウム、ストロンチウム、ランタンの少なくとも一を有することが好ま
しい。
【0026】
上記において、第1の導電体、および第2の導電体は、窒化タンタル、窒化チタン、チ
タンとアルミニウムを含む窒化物、タンタルとアルミニウムを含む窒化物、酸化ルテニウ
ム、窒化ルテニウム、ストロンチウムとルテニウムを含む酸化物、ランタンとニッケルを
含む酸化物の少なくとも一を有することが好ましい。
【発明の効果】
【0027】
本発明の一態様により、微細化または高集積化が可能な半導体装置を提供することがで
きる。本発明の一態様により、良好な電気特性を有する半導体装置を提供することができ
る。本発明の一態様により、良好な周波数特性を有する半導体装置を提供することができ
る。本発明により、信頼性が良好な半導体装置を提供することができる。本発明の一態様
により、生産性の高い半導体装置を提供することができる。
【0028】
または、長期間においてデータの保持が可能な半導体装置を提供することができる。ま
たは、データの書き込み速度が速い半導体装置を提供することができる。または、設計自
由度が高い半導体装置を提供することができる。または、消費電力を抑えることができる
半導体装置を提供することができる。または、新規な半導体装置を提供することができる
【0029】
なお、これらの効果の記載は、他の効果の存在を妨げるものではない。なお、本発明の
一態様は、これらの効果の全てを有する必要はない。なお、これら以外の効果は、明細書
、図面、請求項などの記載から、自ずと明らかとなるものであり、明細書、図面、請求項
などの記載から、これら以外の効果を抽出することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0030】
図1】本発明の一態様に係る半導体装置の上面図および断面図。
図2】本発明の一態様に係る半導体装置の断面図。
図3】本発明の一態様に係る半導体装置の断面図。
図4】本発明の一態様に係る半導体装置の作製方法を示す上面図および断面図。
図5】本発明の一態様に係る半導体装置の作製方法を示す上面図および断面図。
図6】本発明の一態様に係る半導体装置の作製方法を示す上面図および断面図。
図7】本発明の一態様に係る半導体装置の作製方法を示す上面図および断面図。
図8】本発明の一態様に係る半導体装置の作製方法を示す上面図および断面図。
図9】本発明の一態様に係る半導体装置の作製方法を示す上面図および断面図。
図10】本発明の一態様に係る半導体装置の作製方法を示す上面図および断面図。
図11】本発明の一態様に係る半導体装置の作製方法を示す上面図および断面図。
図12】本発明の一態様に係る半導体装置の作製方法を示す上面図および断面図。
図13】本発明の一態様に係る半導体装置の作製方法を示す上面図および断面図。
図14】本発明の一態様に係る半導体装置の作製方法を示す上面図および断面図。
図15】本発明の一態様に係る半導体装置の作製方法を示す上面図および断面図。
図16】本発明の一態様に係る半導体装置の作製方法を示す上面図および断面図。
図17】本発明の一態様に係る半導体装置の作製方法を示す上面図および断面図。
図18】本発明の一態様に係る半導体装置の作製方法を示す上面図および断面図。
図19】本発明の一態様に係る半導体装置の作製方法を示す上面図および断面図。
図20】本発明の一態様に係る半導体装置の断面図。
図21】本発明の一態様に係る半導体装置の上面図および断面図。
図22】本発明の一態様に係る半導体装置の上面図および断面図。
図23】本発明の一態様に係る半導体装置の上面図および断面図。
図24】本発明の一態様に係る記憶装置の上面図および断面図。
図25】本発明の一態様に係る記憶装置の回路図。
図26】本発明の一態様に係る記憶装置の模式図。
図27】本発明の一態様に係る記憶装置の模式図。
図28】本発明の一態様に係る記憶装置の構成を示す断面図。
図29】本発明の一態様に係る記憶装置の構成を示す断面図。
図30】本発明の一態様に係る記憶装置の構成例を示すブロック図。
図31】本発明の一態様に係る記憶装置の構成例を示す回路図。
図32】本発明の一態様に係る記憶装置の構成例を示す回路図。
図33】本発明の一態様に係る記憶装置の構成例を示すブロック図。
図34】本発明の一態様に係る記憶装置の構成例を示すブロック図および回路図。
図35】本発明の一態様に係るAIシステムの構成例を示すブロック図。
図36】本発明の一態様に係るAIシステムの応用例を説明するブロック図。
図37】本発明の一態様に係るAIシステムを組み込んだICの構成例を示す斜視模式図。
図38】本発明の一態様に係る電子機器を示す図。
図39】本発明の一態様に係る電子機器を示す図。
図40】本発明の一態様に係る電子機器を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0031】
以下、実施の形態について図面を参照しながら説明する。ただし、実施の形態は多くの
異なる態様で実施することが可能であり、趣旨およびその範囲から逸脱することなくその
形態および詳細を様々に変更し得ることは、当業者であれば容易に理解される。したがっ
て、本発明は、以下の実施の形態の記載内容に限定して解釈されるものではない。
【0032】
また、図面において、大きさ、層の厚さ、または領域は、明瞭化のために誇張されてい
る場合がある。よって、必ずしもそのスケールに限定されない。なお、図面は、理想的な
例を模式的に示したものであり、図面に示す形状または値などに限定されない。例えば、
実際の製造工程において、エッチングなどの処理により層やレジストマスクなどが意図せ
ずに目減りすることがあるが、理解を容易とするために図に反映しないことがある。また
、図面において、同一部分または同様な機能を有する部分には同一の符号を異なる図面間
で共通して用い、その繰り返しの説明は省略する場合がある。また、同様の機能を指す場
合には、ハッチパターンを同じくし、特に符号を付さない場合がある。
【0033】
また、特に上面図(「平面図」ともいう。)や斜視図などにおいて、発明の理解を容易
とするため、一部の構成要素の記載を省略する場合がある。また、一部の隠れ線などの記
載を省略する場合がある。
【0034】
また、本明細書等において、第1、第2等として付される序数詞は便宜上用いるもので
あり、工程順または積層順を示すものではない。そのため、例えば、「第1の」を「第2
の」または「第3の」などと適宜置き換えて説明することができる。また、本明細書等に
記載されている序数詞と、本発明の一態様を特定するために用いられる序数詞は一致しな
い場合がある。
【0035】
また、本明細書等において、「上に」、「下に」などの配置を示す語句は、構成同士の
位置関係を、図面を参照して説明するために、便宜上用いている。また、構成同士の位置
関係は、各構成を描写する方向に応じて適宜変化するものである。したがって、明細書で
説明した語句に限定されず、状況に応じて適切に言い換えることができる。
【0036】
例えば、本明細書等において、XとYとが接続されている、と明示的に記載されている
場合は、XとYとが電気的に接続されている場合と、XとYとが機能的に接続されている
場合と、XとYとが直接的に接続されている場合とが、本明細書等に開示されているもの
とする。したがって、所定の接続関係、例えば、図または文章に示された接続関係に限定
されず、図または文章に示された接続関係以外のものも、図または文章に記載されている
ものとする。
【0037】
ここで、X、Yは、対象物(例えば、装置、素子、回路、配線、電極、端子、導電膜、
層、など)であるとする。
【0038】
XとYとが直接的に接続されている場合の一例としては、XとYとの電気的な接続を可
能とする素子(例えば、スイッチ、トランジスタ、容量素子、インダクタ、抵抗素子、ダ
イオード、表示素子、発光素子、負荷など)が、XとYとの間に接続されていない場合で
あり、XとYとの電気的な接続を可能とする素子(例えば、スイッチ、トランジスタ、容
量素子、インダクタ、抵抗素子、ダイオード、表示素子、発光素子、負荷など)を介さず
に、XとYとが、接続されている場合である。
【0039】
XとYとが電気的に接続されている場合の一例としては、XとYとの電気的な接続を可
能とする素子(例えば、スイッチ、トランジスタ、容量素子、インダクタ、抵抗素子、ダ
イオード、表示素子、発光素子、負荷など)が、XとYとの間に1個以上接続されること
が可能である。なお、スイッチは、オンオフが制御される機能を有している。つまり、ス
イッチは、導通状態(オン状態)、または、非導通状態(オフ状態)になり、電流を流す
か流さないかを制御する機能を有している。または、スイッチは、電流を流す経路を選択
して切り替える機能を有している。なお、XとYとが電気的に接続されている場合は、X
とYとが直接的に接続されている場合を含むものとする。
【0040】
XとYとが機能的に接続されている場合の一例としては、XとYとの機能的な接続を可
能とする回路(例えば、論理回路(インバータ、NAND回路、NOR回路など)、信号
変換回路(DA変換回路、AD変換回路、ガンマ補正回路など)、電位レベル変換回路(
電源回路(昇圧回路、降圧回路など)、信号の電位レベルを変えるレベルシフタ回路など
)、電圧源、電流源、切り替え回路、増幅回路(信号振幅または電流量などを大きくでき
る回路、オペアンプ、差動増幅回路、ソースフォロワ回路、バッファ回路など)、信号生
成回路、記憶回路、制御回路など)が、XとYとの間に1個以上接続されることが可能で
ある。なお、一例として、XとYとの間に別の回路を挟んでいても、Xから出力された信
号がYへ伝達される場合は、XとYとは機能的に接続されているものとする。なお、Xと
Yとが機能的に接続されている場合は、XとYとが直接的に接続されている場合と、Xと
Yとが電気的に接続されている場合とを含むものとする。
【0041】
また、本明細書等において、トランジスタとは、ゲートと、ドレインと、ソースとを含
む少なくとも三つの端子を有する素子である。そして、ドレイン(ドレイン端子、ドレイ
ン領域、またはドレイン電極)とソース(ソース端子、ソース領域、またはソース電極)
の間にチャネルが形成される領域を有しており、チャネルが形成される領域を介して、ソ
ースとドレインとの間に電流を流すことができるものである。なお、本明細書等において
、チャネルが形成される領域とは、電流が主として流れる領域をいう。
【0042】
また、ソースやドレインの機能は、異なる極性のトランジスタを採用する場合や、回路
動作において電流の方向が変化する場合などには入れ替わることがある。このため、本明
細書等においては、ソースやドレインの用語は、入れ替えて用いることができる場合があ
る。
【0043】
なお、チャネル長とは、例えば、トランジスタの上面図において、半導体(またはトラ
ンジスタがオン状態のときに、半導体の中で電流の流れる部分)とゲート電極とが互いに
重なる領域、またはチャネルが形成される領域における、ソース(ソース領域またはソー
ス電極)とドレイン(ドレイン領域またはドレイン電極)との間の距離をいう。なお、一
つのトランジスタにおいて、チャネル長が全ての領域で同じ値をとるとは限らない。すな
わち、一つのトランジスタのチャネル長は、一つの値に定まらない場合がある。そのため
、本明細書では、チャネル長は、チャネルの形成される領域における、いずれか一の値、
最大値、最小値、または平均値とする。
【0044】
チャネル幅とは、例えば、半導体(またはトランジスタがオン状態のときに、半導体の
中で電流の流れる部分)とゲート電極とが互いに重なる領域、またはチャネルが形成され
る領域における、ソースとドレインとが向かい合っている部分の長さをいう。なお、一つ
のトランジスタにおいて、チャネル幅が全ての領域で同じ値をとるとは限らない。すなわ
ち、一つのトランジスタのチャネル幅は、一つの値に定まらない場合がある。そのため、
本明細書では、チャネル幅は、チャネルの形成される領域における、いずれか一の値、最
大値、最小値、または平均値とする。
【0045】
なお、トランジスタの構造によっては、実際にチャネルの形成される領域におけるチャ
ネル幅(以下、「実効的なチャネル幅」ともいう。)と、トランジスタの上面図において
示されるチャネル幅(以下、「見かけ上のチャネル幅」ともいう。)と、が異なる場合が
ある。例えば、ゲート電極が半導体の側面を覆う場合、実効的なチャネル幅が、見かけ上
のチャネル幅よりも大きくなり、その影響が無視できなくなる場合がある。例えば、微細
かつゲート電極が半導体の側面を覆うトランジスタでは、半導体の側面に形成されるチャ
ネル形成領域の割合が大きくなる場合がある。その場合は、見かけ上のチャネル幅よりも
、実効的なチャネル幅の方が大きくなる。
【0046】
このような場合、実効的なチャネル幅の、実測による見積もりが困難となる場合がある
。例えば、設計値から実効的なチャネル幅を見積もるためには、半導体の形状が既知とい
う仮定が必要である。したがって、半導体の形状が正確にわからない場合には、実効的な
チャネル幅を正確に測定することは困難である。
【0047】
そこで、本明細書では、見かけ上のチャネル幅を、「囲い込みチャネル幅(SCW:S
urrounded Channel Width)」と呼ぶ場合がある。また、本明細
書では、単にチャネル幅と記載した場合には、囲い込みチャネル幅または見かけ上のチャ
ネル幅を指す場合がある。または、本明細書では、単にチャネル幅と記載した場合には、
実効的なチャネル幅を指す場合がある。なお、チャネル長、チャネル幅、実効的なチャネ
ル幅、見かけ上のチャネル幅、囲い込みチャネル幅などは、断面TEM像などを解析する
ことなどによって、値を決定することができる。
【0048】
なお、半導体の不純物とは、例えば、半導体を構成する主成分以外をいう。例えば、濃
度が0.1原子%未満の元素は不純物と言える。不純物が含まれることにより、例えば、
半導体のDOS(Density of States)が高くなることや、結晶性が低
下することなどが起こる場合がある。半導体が酸化物半導体である場合、半導体の特性を
変化させる不純物としては、例えば、第1族元素、第2族元素、第13族元素、第14族
元素、第15族元素、および酸化物半導体の主成分以外の遷移金属などがあり、例えば、
水素、リチウム、ナトリウム、シリコン、ホウ素、リン、炭素、窒素などがある。酸化物
半導体の場合、水も不純物として機能する場合がある。また、酸化物半導体の場合、例え
ば不純物の混入によって酸素欠損を形成する場合がある。また、半導体がシリコンである
場合、半導体の特性を変化させる不純物としては、例えば、酸素、水素を除く第1族元素
、第2族元素、第13族元素、第15族元素などがある。
【0049】
なお、本明細書等において、酸化窒化シリコン膜とは、その組成として、窒素よりも酸
素の含有量が多いものである。例えば、好ましくは酸素が55原子%以上65原子%以下
、窒素が1原子%以上20原子%以下、シリコンが25原子%以上35原子%以下、水素
が0.1原子%以上10原子%以下の濃度範囲で含まれるものをいう。また、窒化酸化シ
リコン膜とは、その組成として、酸素よりも窒素の含有量が多いものである。例えば、好
ましくは窒素が55原子%以上65原子%以下、酸素が1原子%以上20原子%以下、シ
リコンが25原子%以上35原子%以下、水素が0.1原子%以上10原子%以下の濃度
範囲で含まれるものをいう。
【0050】
また、本明細書等において、「膜」という用語と、「層」という用語とは、互いに入れ
替えることが可能である。例えば、「導電層」という用語を、「導電膜」という用語に変
更することが可能な場合がある。または、例えば、「絶縁膜」という用語を、「絶縁層」
という用語に変更することが可能な場合がある。
【0051】
また、本明細書等において、「絶縁体」という用語を、絶縁膜または絶縁層と言い換え
ることができる。また、「導電体」という用語を、導電膜または導電層と言い換えること
ができる。また、「半導体」という用語を、半導体膜または半導体層と言い換えることが
できる。
【0052】
また、本明細書等に示すトランジスタは、明示されている場合を除き、電界効果トラン
ジスタとする。また、本明細書等に示すトランジスタは、明示されている場合を除き、n
チャネル型のトランジスタとする。よって、その閾値電圧(「Vth」ともいう。)は、
明示されている場合を除き、0Vよりも大きいものとする。
【0053】
また、本明細書等において、「平行」とは、二つの直線が-10度以上10度以下の角
度で配置されている状態をいう。したがって、-5度以上5度以下の場合も含まれる。ま
た、「略平行」とは、二つの直線が-30度以上30度以下の角度で配置されている状態
をいう。また、「垂直」とは、二つの直線が80度以上100度以下の角度で配置されて
いる状態をいう。したがって、85度以上95度以下の場合も含まれる。また、「略垂直
」とは、二つの直線が60度以上120度以下の角度で配置されている状態をいう。
【0054】
なお、本明細書において、バリア膜とは、水素などの不純物および酸素の透過を抑制す
る機能を有する膜のことであり、当該バリア膜に導電性を有する場合は、導電性バリア膜
と呼ぶことがある。
【0055】
本明細書等において、金属酸化物(metal oxide)とは、広い意味での金属
の酸化物である。金属酸化物は、酸化物絶縁体、酸化物導電体(透明酸化物導電体を含む
。)、酸化物半導体(Oxide Semiconductorまたは単にOSともいう
。)などに分類される。例えば、トランジスタの半導体層に金属酸化物を用いた場合、当
該金属酸化物を酸化物半導体と呼称する場合がある。つまり、OS FETあるいはOS
トランジスタと記載する場合においては、酸化物または酸化物半導体を有するトランジス
タと換言することができる。
【0056】
また、本明細書等において、ノーマリーオフとは、ゲートに電位を印加しない、または
ゲートに接地電位を与えたときに、トランジスタに流れるチャネル幅1μmあたりの電流
が、室温において1×10-20A以下、85℃において1×10-18A以下、または
125℃において1×10-16A以下であることをいう。
【0057】
(実施の形態1)
以下では、本発明の一態様に係るトランジスタ200を有する半導体装置の一例につい
て説明する。
【0058】
<半導体装置の構成例>
図1(A)、図1(B)、および図1(C)は、本発明の一態様に係るトランジスタ2
00、およびトランジスタ200周辺の上面図および断面図である。
【0059】
図1(A)は、トランジスタ200を有する半導体装置の上面図である。また、図1
B)、および図1(C)は、当該半導体装置の断面図である。ここで、図1(B)は、図
1(A)にA1-A2の一点鎖線で示す部位の断面図であり、トランジスタ200のチャ
ネル長方向の断面図でもある。また、図1(C)は、図1(A)にA3-A4の一点鎖線
で示す部位の断面図であり、トランジスタ200のチャネル幅方向の断面図でもある。な
お、図1(A)の上面図では、図の明瞭化のために一部の要素を省いて図示している。
【0060】
本発明の一態様の半導体装置は、トランジスタ200と、層間膜として機能する絶縁体
210、絶縁体212、絶縁体280、および絶縁体281を有する。また、トランジス
タ200と電気的に接続し、配線として機能する導電体203、およびプラグとして機能
する導電体240(導電体240a、および導電体240b)とを有する。
【0061】
なお、導電体203は、絶縁体212の開口の内壁に接して導電体203aが形成され
、さらに内側に導電体203bが形成されている。ここで、導電体203の上面の高さと
、絶縁体212の上面の高さは同程度にできる。なお、トランジスタ200では、導電体
203aおよび導電体203bを積層する構成について示しているが、本発明はこれに限
られるものではない。例えば、導電体203を単層、または3層以上の積層構造として設
ける構成にしてもよい。構造体が積層構造を有する場合、形成順に序数を付与し、区別す
る場合がある。
【0062】
また、導電体240は、絶縁体244、絶縁体280、および絶縁体281の開口の内
壁に接して導電体240の第1の導電体が形成され、さらに内側に導電体240の第2の
導電体が形成されている。ここで、導電体240の上面の高さと、絶縁体281の上面の
高さは同程度にできる。なお、トランジスタ200では、導電体240の第1の導電体お
よび導電体240の第2の導電体を積層する構成について示しているが、本発明はこれに
限られるものではない。例えば、導電体240を単層、または3層以上の積層構造として
設ける構成にしてもよい。構造体が積層構造を有する場合、形成順に序数を付与し、区別
する場合がある。
【0063】
[トランジスタ200]
図1に示すように、トランジスタ200は、基板(図示しない。)の上に配置された絶
縁体214と、絶縁体214の上に配置された絶縁体216と、絶縁体214および絶縁
体216に埋め込まれるように配置された導電体205と、絶縁体216と導電体205
の上に配置された絶縁体220と、絶縁体220の上に配置された絶縁体222と、絶縁
体222の上に配置された絶縁体224と、絶縁体224の上に配置された絶縁体226
と、絶縁体226の上に配置された酸化物230aと、酸化物230aの上に配置された
酸化物230bと、酸化物230bの上に配置された導電体242と、絶縁体226、酸
化物230a、酸化物230b、および導電体242を覆う絶縁体244と、絶縁体24
4の上に配置され、開口部を有する絶縁体280と、該開口部内で絶縁体244の上に配
置された絶縁体273と、酸化物230bの上面と、導電体242の側面と、絶縁体24
4の側面と、絶縁体273の一方の側面と、に接するように設けられた酸化物230cと
、酸化物230cの内側に設けられた絶縁体250と、絶縁体250の内側に設けられた
絶縁体272と、絶縁体272の内側に設けられた導電体260aと、導電体260aの
内側に埋め込まれるように設けられた導電体260bと、絶縁体273の一方の側面と、
酸化物230cの上面と、絶縁体250の上面と、絶縁体272の上面と、導電体260
aの上面と、導電体260bの上面と、に接するように設けられた絶縁体270と、少な
くとも絶縁体273の上面、および絶縁体273の他方の側面に接し、導電体242と電
気的に接続する導電体240と、を有する。
【0064】
なお、トランジスタ200では、チャネルが形成される領域(以下、チャネル形成領域
ともいう。)と、その近傍において、酸化物230a、および酸化物230b、および酸
化物230cの3層を積層する構成について示しているが、本発明はこれに限られるもの
ではない。例えば、酸化物230bの単層、酸化物230bと酸化物230aの2層構造
、酸化物230bと酸化物230cの2層構造、または4層以上の積層構造を設ける構成
にしてもよい。また、トランジスタ200では、導電体260を2層構造として示してい
るが、本発明はこれに限られるものではない。例えば、導電体260が、単層構造でも、
3層以上の積層構造であってもよい。
【0065】
ここで、導電体260は、トランジスタのゲート電極として機能し、導電体242aおよ
び導電体242bは、それぞれソース電極またはドレイン電極として機能する。上記のよ
うに、導電体260は、絶縁体280の開口、および導電体242aと導電体242bに
挟まれた領域に、絶縁体273や、絶縁体250などが、導電体260と開口の内壁との
間に位置する状態で、埋め込まれるように形成される。ここで、導電体260、導電体2
42aおよび導電体242bの配置は、絶縁体280の開口に対して、自己整合的に選択
される。つまり、トランジスタ200において、ゲート電極を、ソース電極とドレイン電
極の間に、自己整合的に配置させることができる。よって、導電体260を位置合わせの
マージンを設けることなく形成することができるので、トランジスタ200の占有面積の
縮小を図ることができる。これにより、半導体装置の微細化、高集積化を図ることができ
る。
【0066】
さらに、導電体260が、導電体242aと導電体242bの間の領域に自己整合的に形
成されるので、導電体260は、導電体242aまたは導電体242bと重畳する領域を
有さない。これにより、導電体260と導電体242aおよび導電体242bとの間に形
成される寄生容量を低減することができる。よって、トランジスタ200のスイッチング
速度を向上させ、高い周波数特性を有せしめることができる。
【0067】
また、トランジスタ200は、チャネル形成領域を含む酸化物230(酸化物230a
、酸化物230b、および酸化物230c)に、酸化物半導体として機能する金属酸化物
(以下、酸化物半導体ともいう。)を用いることが好ましい。
【0068】
チャネル形成領域に酸化物半導体を用いたトランジスタ200は、非導通状態において
極めてリーク電流が小さいため、低消費電力の半導体装置を提供できる。また、酸化物半
導体は、スパッタリング法などを用いて成膜できるため、高集積型の半導体装置を構成す
るトランジスタ200に用いることができる。
【0069】
例えば、酸化物230として、In-M-Zn酸化物(元素Mは、アルミニウム、ガリ
ウム、イットリウム、銅、バナジウム、ベリリウム、ホウ素、チタン、鉄、ニッケル、ゲ
ルマニウム、ジルコニウム、モリブデン、ランタン、セリウム、ネオジム、ハフニウム、
タンタル、タングステン、またはマグネシウムなどから選ばれた一種、または複数種)等
の金属酸化物を用いるとよい。また、酸化物230として、In-Ga酸化物、In-Z
n酸化物を用いてもよい。
【0070】
ここで、酸化物230は、水素、窒素、または金属元素などの不純物が存在すると、キ
ャリア密度が増大し、低抵抗化する場合がある。また、酸化物230に含まれる酸素濃度
が低下すると、キャリア密度が増大し、低抵抗化する場合がある。
【0071】
酸化物230上に接するように設けられ、ソース電極やドレイン電極として機能する導
電体242(導電体242a、および導電体242b)が、酸化物230の酸素を吸収す
る機能を有する場合、または酸化物230に水素、窒素、または金属元素などの不純物を
供給する機能を有する場合、酸化物230には、部分的に低抵抗領域が形成される場合が
ある。
【0072】
また、絶縁体250は、酸化物230bと、導電体260の間の膜厚に対して、導電体
242と、導電体260の間の膜厚は、厚いことが好ましい。このような構造を得るには
、酸化物230bと、導電体260の間に位置する絶縁体250を単層とし、導電体24
2と、導電体260の間に位置する絶縁体250を積層構造とすることが好ましい。また
、酸化物230bと、導電体260の間に位置する絶縁体250を積層構造とする場合、
導電体242と、導電体260の間に位置する絶縁体250の積層数は、酸化物230b
と、導電体260の間に位置する絶縁体250の積層数より多くすればよい。
【0073】
このように絶縁体250の、導電体242と導電体260の間の膜厚を、酸化物230b
と導電体260の間の膜厚より厚くすることにより、導電体260と導電体242の間の
寄生容量を低減し、高い周波数特性を有するトランジスタ200を提供することができる
。さらに、酸化物230bと、導電体260の間の膜厚が薄いので、ゲート電極からの電
界が弱まることもないので、良好な電気特性を有するトランジスタ200を提供すること
ができる。
【0074】
絶縁体244は、導電体242の酸化を抑制するために設けられている。よって、導電
体242が、耐酸化性材料、または酸素を吸収しても導電性が著しく低下することがない
場合は、絶縁体244は必ずしも設ける必要はない。
【0075】
絶縁体272は、導電体260の酸化を抑制するために設けられている。よって、導電
体260が、耐酸化性材料、または酸素を吸収しても導電性が著しく低下することがない
場合は、絶縁体272は必ずしも設ける必要はない。
【0076】
絶縁体273は、サイドウォールとしての機能を有する。また、絶縁体270は、エッ
チングストッパとしての機能を有する。絶縁体273、および絶縁体270により、導電
体242を露出するための開口を自己整合的に形成し、導電体242と導電体240を電
気的に接続することができる。このような構造により形成される開口をセルフアラインコ
ンタクト、該開口、および導電体の形成方法を、セルフアラインコンタクトプロセスと呼
ぶ場合がある。
【0077】
ここで、図1(B)において一点鎖線で囲む、領域239の拡大図を図2に示す。
【0078】
図2に示すように、酸化物230b上に接するように導電体242が設けられ、酸化物
230bの、導電体242との界面とその近傍には、低抵抗領域として、領域243(領
域243a、および領域243b)が形成されている。酸化物230は、トランジスタ2
00のチャネル形成領域として機能する領域234と、領域243の一部を含み、ソース
領域またはドレイン領域として機能する領域231(領域231a、および領域231b
)と、領域243の一部を含み、接合領域として機能する領域232(領域232a、お
よび領域232b)と、を有する。
【0079】
ソース領域またはドレイン領域として機能する領域231において、特に領域243は
、酸素濃度が低い、または水素や、窒素や、金属元素などの不純物を含む、ことでキャリ
ア濃度が増加し、低抵抗化した領域である。すなわち、領域231は、領域234と比較
して、キャリア密度が高く、低抵抗な領域である。また、チャネル形成領域として機能す
る領域234は、領域231のうち、特に領域243よりも、酸素濃度が高い、または不
純物濃度が低いため、キャリア密度が低い高抵抗領域である。また、領域232の酸素濃
度は、領域231の酸素濃度と同等、またはそれよりも高く、領域234の酸素濃度と同
等、またはそれよりも低いことが好ましい。または、領域232の不純物濃度は、領域2
31の不純物濃度と同等、またはそれよりも低く、領域234の不純物濃度と同等、また
はそれよりも高いことが好ましい。
【0080】
なお、低抵抗領域である領域243が金属元素を含む場合、領域243は、酸化物23
0に含まれる金属元素の他に、アルミニウム、クロム、銅、銀、金、白金、タンタル、ニ
ッケル、チタン、モリブデン、タングステン、ハフニウム、バナジウム、ニオブ、マンガ
ン、マグネシウム、ジルコニウム、ベリリウム、インジウム、ルテニウム、イリジウム、
ストロンチウム、ランタンなどの金属元素の中から選ばれるいずれか一つまたは複数の金
属元素を有することが好ましい。
【0081】
また、図2では、領域243が、酸化物230bの膜厚方向において、酸化物230b
の導電体242との界面近傍に形成されているが、これに限られない。例えば、領域24
3は、酸化物230bの膜厚と概略同じ厚さを有していてもよいし、酸化物230aにも
、形成されていてもよい。また、図2では、領域243が領域231、および領域232
に形成されているが、これに限らない。例えば、領域231のみに形成されていてもよい
し、領域231と、領域232の一部と、に形成されていてもよいし、領域231と、領
域232と、領域234の一部と、に形成されていてもよい。
【0082】
また、酸化物230において、各領域の境界を明確に検出することが困難な場合がある
。各領域内で検出される金属元素、ならびに水素、および窒素などの不純物元素の濃度は
、領域ごとの段階的な変化に限らず、各領域内でも連続的に変化(グラデーションともい
う。)していてもよい。つまり、チャネル形成領域に近い領域であるほど、金属元素、な
らびに水素、および窒素などの不純物元素の濃度が減少していればよい。
【0083】
酸化物230を、選択的に低抵抗化するには、導電体242として、例えば、アルミニ
ウム、クロム、銅、銀、金、白金、タンタル、ニッケル、チタン、モリブデン、タングス
テン、ハフニウム、バナジウム、ニオブ、マンガン、マグネシウム、ジルコニウム、ベリ
リウム、インジウム、ルテニウム、イリジウム、ストロンチウム、ランタンなどの導電性
を高める金属元素、および不純物の少なくとも一を含む材料を用いることが好ましい。ま
たは、導電体242となる導電膜242Aの形成において、酸化物230に、酸素欠損を
形成する元素、または酸素欠損に捕獲される元素などの不純物が注入される材料や成膜方
法などを用いればよい。例えば、当該元素として、水素、ホウ素、炭素、窒素、フッ素、
リン、硫黄、塩素、希ガス元素等が挙げられる。また、希ガス元素の代表例としては、ヘ
リウム、ネオン、アルゴン、クリプトン、およびキセノン等がある。
【0084】
ここで、酸化物半導体を用いたトランジスタは、酸化物半導体中のチャネルが形成され
る領域に不純物および酸素欠損が存在すると、電気特性が変動しやすく、信頼性が悪くな
る場合がある。また、酸化物半導体中のチャネルが形成される領域に酸素欠損が含まれて
いると、トランジスタはノーマリーオン特性となりやすい。したがって、チャネルが形成
される領域234中の酸素欠損はできる限り低減されていることが好ましい。
【0085】
トランジスタのノーマリーオン化を抑制するには、酸化物230と近接する絶縁体25
0が、化学量論的組成を満たす酸素よりも多くの酸素(過剰酸素ともいう。)を含むこと
が好ましい。絶縁体250が有する酸素は、酸化物230へと拡散し、酸化物230の酸
素欠損を低減し、トランジスタのノーマリーオン化を抑制することができる。
【0086】
つまり、絶縁体250が有する酸素が、酸化物230の領域234へと拡散することで
、酸化物230の領域234における酸素欠損を低減することができる。
【0087】
また、酸化物230、および絶縁体250が有する酸素の、トランジスタ200より外
方への拡散を抑制するために、絶縁体222、絶縁体226、絶縁体244、絶縁体27
3、絶縁体272、絶縁体270などが設けられることが好ましい。これら絶縁体として
、酸素が透過しにくい材料を用いることが好ましい。例えば、アルミニウム、およびハフ
ニウムの一方を含む酸化物や、シリコンの窒化物などを用いることができる。さらに、こ
れら絶縁体は、水素、水、窒素、金属元素などの不純物が透過しにくい材料であることが
好ましい。このような材料を用いることで、トランジスタ200の外方から、トランジス
タ200への不純物の混入を抑制することができる。
【0088】
また、酸化物半導体は、スパッタリング法などを用いて成膜できるため、高集積型の半
導体装置を構成するトランジスタに用いることができる。また、チャネル形成領域に酸化
物半導体を用いたトランジスタは、非導通状態において極めてリーク電流(オフ電流)が
小さいため、低消費電力の半導体装置を提供できる。
【0089】
以上より、オン電流が大きいトランジスタを有する半導体装置を提供することができる
。または、オフ電流が小さいトランジスタを有する半導体装置を提供することができる。
または、電気特性の変動を抑制し、安定した電気特性を有するとともに、信頼性を向上さ
せた半導体装置を提供することができる。
【0090】
以下では、本発明の一態様に係るトランジスタ200を有する半導体装置の詳細な構成
について説明する。
【0091】
導電体203は、図1(A)および図1(C)に示すように、チャネル幅方向に延伸さ
れており、導電体205に電位を印加する配線として機能する。なお、導電体203は、
絶縁体212に埋め込まれて設けることが好ましい。
【0092】
導電体205は、酸化物230、および導電体260と、重なるように配置する。また
、導電体205は、導電体203の上に接して設けるとよい。また、導電体205は、絶
縁体214および絶縁体216に埋め込まれて設けることが好ましい。
【0093】
ここで、導電体260は、第1のゲート(トップゲートともいう。)電極として機能す
る場合がある。また、導電体205は、第2のゲート(ボトムゲートともいう。)電極と
して機能する場合がある。その場合、導電体205に印加する電位を、導電体260に印
加する電位と、連動させず、独立して変化させることで、トランジスタ200のVthを
制御することができる。特に、導電体205に負の電位を印加することにより、トランジ
スタ200のVthを0Vより大きくし、オフ電流を低減することが可能となる。したが
って、導電体205に負の電位を印加したほうが、印加しない場合よりも、導電体260
に印加する電位が0Vのときのドレイン電流を小さくすることができる。
【0094】
また、導電体203上に導電体205を設けることで、第1のゲート電極、および配線
としての機能を有する導電体260と、導電体203との距離を適宜設計することが可能
となる。つまり、導電体203と導電体260の間に絶縁体214および絶縁体216な
どが設けられることで、導電体203と導電体260の間の寄生容量を低減し、導電体2
03と導電体260の間の絶縁耐圧を高めることができる。
【0095】
また、導電体203と導電体260の間の寄生容量を低減することで、トランジスタ2
00のスイッチング速度を向上させ、高い周波数特性を有するトランジスタにすることが
できる。また、導電体203と導電体260の間の絶縁耐圧を高めることで、トランジス
タ200の信頼性を向上させることができる。よって、絶縁体214および絶縁体216
の膜厚を厚くすることが好ましい。なお、導電体203の延伸方向はこれに限られず、例
えば、トランジスタ200のチャネル長方向に延伸されてもよい。
【0096】
なお、導電体205は、図1(A)に示すように、酸化物230、および導電体260
と重なるように配置する。また、導電体205は、酸化物230における領域234より
も、大きく設けるとよい。特に、図1(C)に示すように、導電体205は、酸化物23
0の領域234のチャネル幅方向と交わる端部よりも外側の領域においても、延伸してい
ることが好ましい。つまり、酸化物230aおよび酸化物230bのチャネル幅方向にお
ける側面の外側において、導電体205と、導電体260とは、絶縁体を介して重畳して
いることが好ましい。
【0097】
上記構成を有することで、導電体260、および導電体205に電位を印加した場合、
導電体260から生じる電界と、導電体205から生じる電界と、がつながり、酸化物2
30に形成されるチャネル形成領域を覆うことができる。
【0098】
つまり、第1のゲート電極としての機能を有する導電体260の電界と、第2のゲート
電極としての機能を有する導電体205の電界によって、領域234のチャネル形成領域
を電気的に取り囲むことができる。本明細書において、第1のゲート電極、および第2の
ゲート電極の電界によって、チャネル形成領域を電気的に取り囲むトランジスタの構造を
、surrounded channel(S-channel)構造とよぶ。
【0099】
また、導電体205は、絶縁体214および絶縁体216の開口の内壁に接して導電体
205aが形成され、さらに内側に導電体205bが形成されている。ここで、導電体2
05aおよび導電体205bの上面の高さと、絶縁体216の上面の高さは同程度にでき
る。なお、トランジスタ200では、導電体205aおよび導電体205bを積層する構
成について示しているが、本発明はこれに限られるものではない。例えば、導電体205
は、単層、または3層以上の積層構造として設ける構成にしてもよい。構造体が積層構造
を有する場合、形成順に序数を付与し、区別する場合がある。
【0100】
ここで、導電体205aまたは導電体203aは、水素原子、水素分子、水分子、窒素
原子、窒素分子、酸化窒素分子(NO、NO、NOなど)、銅原子などの不純物の拡
散を抑制する機能を有する(上記不純物が透過しにくい。)導電性材料を用いることが好
ましい。または、酸素(例えば、酸素原子、酸素分子などの少なくとも一)の拡散を抑制
する機能を有する(上記酸素が透過しにくい。)導電性材料を用いることが好ましい。な
お、本明細書において、不純物、または酸素の拡散を抑制する機能とは、上記不純物、ま
たは上記酸素のいずれか一またはすべての拡散を抑制する機能とする。
【0101】
導電体205aまたは導電体203aが酸素の拡散を抑制する機能を持つことにより、
導電体205bまたは導電体203bが酸化して導電率が低下することを抑制することが
できる。酸素の拡散を抑制する機能を有する導電性材料としては、例えば、タンタル、窒
化タンタル、ルテニウムまたは酸化ルテニウムなどを用いることが好ましい。したがって
、導電体205aまたは導電体203aとしては、上記導電性材料を単層または積層とす
ればよい。これにより、水素、水などの不純物が、導電体203、および導電体205を
通じて、トランジスタ200側に拡散するのを抑制することができる。
【0102】
また、導電体205bは、タングステン、銅、またはアルミニウムを主成分とする導電
性材料を用いることが好ましい。なお、導電体205bを単層で図示したが、積層構造と
してもよく、例えば、チタン、窒化チタンと上記導電性材料との積層としてもよい。
【0103】
また、導電体203bは、配線として機能するため、導電体205bより導電性が高い
導電体を用いることが好ましい。例えば、銅、またはアルミニウムを主成分とする導電性
材料を用いることができる。また、導電体203bは積層構造としてもよく、例えば、チ
タン、窒化チタンと上記導電性材料との積層としてもよい。
【0104】
特に、導電体203bに、銅を用いることが好ましい。銅は抵抗が小さいため、配線等
に用いることが好ましい。一方、銅は拡散しやすいため、酸化物230に拡散することで
、トランジスタ200の電気特性を低下させる場合がある。そこで、例えば、絶縁体21
4には、銅の透過性が低い酸化アルミニウム、または酸化ハフニウムなどの材料を用いる
ことで、銅の拡散を抑えることができる。
【0105】
なお、導電体205、絶縁体214、および絶縁体216は必ずしも設けなくともよい
。その場合、導電体203の一部が第2のゲート電極として機能することができる。
【0106】
絶縁体210、および絶縁体214は、水または水素などの不純物が、基板側からトラ
ンジスタ200に混入するのを抑制するバリア絶縁膜として機能することが好ましい。し
たがって、絶縁体210、および絶縁体214は、水素原子、水素分子、水分子、窒素原
子、窒素分子、酸化窒素分子(NO、NO、NOなど)、銅原子などの不純物の拡散
を抑制する機能を有する(上記不純物が透過しにくい。)絶縁性材料を用いることが好ま
しい。または、酸素(例えば、酸素原子、酸素分子などの少なくとも一)の拡散を抑制す
る機能を有する(上記酸素が透過しにくい。)絶縁性材料を用いることが好ましい。
【0107】
例えば、絶縁体210として酸化アルミニウムなどを用い、絶縁体214として窒化シ
リコンなどを用いることが好ましい。これにより、水素、水などの不純物が絶縁体210
および絶縁体214よりも基板側からトランジスタ200側に拡散するのを抑制すること
ができる。または、絶縁体224などに含まれる酸素が、絶縁体210および絶縁体21
4よりも基板側に、拡散するのを抑制することができる。
【0108】
また、導電体203の上に導電体205を積層して設ける構成にすることにより、導電
体203と導電体205の間に絶縁体214を設けることができる。ここで、導電体20
3bに銅など拡散しやすい金属を用いても、絶縁体214として窒化シリコンなどを設け
ることにより、当該金属が絶縁体214より上の層に拡散するのを抑制することができる
【0109】
また、層間膜として機能する絶縁体212、絶縁体216、絶縁体280、および絶縁
体281は、絶縁体210、または絶縁体214よりも誘電率が低いことが好ましい。誘
電率が低い材料を層間膜とすることで、配線間に生じる寄生容量を低減することができる
【0110】
例えば、絶縁体212、絶縁体216、絶縁体280、および絶縁体281として、酸
化シリコン、酸化窒化シリコン、窒化酸化シリコン、酸化アルミニウム、酸化ハフニウム
、酸化タンタル、酸化ジルコニウム、チタン酸ジルコン酸鉛(PZT)、チタン酸ストロ
ンチウム(SrTiO)または(Ba,Sr)TiO(BST)などの絶縁体を単層
または積層で用いることができる。またはこれらの絶縁体に、例えば、酸化アルミニウム
、酸化ビスマス、酸化ゲルマニウム、酸化ニオブ、酸化シリコン、酸化チタン、酸化タン
グステン、酸化イットリウム、酸化ジルコニウムを添加してもよい。またはこれらの絶縁
体を窒化処理してもよい。上記の絶縁体に酸化シリコン、酸化窒化シリコン、または窒化
シリコンを積層して用いてもよい。
【0111】
絶縁体220、絶縁体222、絶縁体224、および絶縁体250は、ゲート絶縁体と
しての機能を有する。
【0112】
絶縁体226は、酸化物230c、絶縁体250、絶縁体272、導電体260などを
形成するための開口を形成する際、または、絶縁体244、導電体242a、および導電
体242bを形成する際、のエッチングストッパとして機能する。ただし、上記加工にお
いて絶縁体224などがエッチングストッパとして機能する場合、絶縁体226は必ずし
も設ける必要はない。
【0113】
ここで、絶縁体226を設けず、酸化物230と絶縁体224が接する場合、絶縁体2
24は、化学量論的組成を満たす酸素よりも多くの酸素を含む絶縁体を用いることが好ま
しい。つまり、絶縁体224には、過剰酸素領域が形成されていることが好ましい。この
ような過剰酸素を含む絶縁体を酸化物230に接して設けることにより、酸化物230中
の酸素欠損を低減し、トランジスタ200の信頼性を向上させることができる。
【0114】
過剰酸素領域を有する絶縁体として、具体的には、加熱により一部の酸素が脱離する絶
縁体を用いることが好ましい。加熱により酸素を脱離する絶縁体とは、昇温脱離ガス分析
(TDS(Thermal Desorption Spectroscopy)分析)
にて、酸素原子に換算しての酸素の脱離量が1.0×1018atoms/cm以上、
好ましくは1.0×1019atoms/cm以上、さらに好ましくは2.0×10
atoms/cm以上、または3.0×1020atoms/cm以上である絶縁
体である。なお、上記TDS分析時における膜の表面温度としては100℃以上700℃
以下、または100℃以上400℃以下の範囲が好ましい。
【0115】
また、絶縁体224が、過剰酸素領域を有する場合、絶縁体222は、酸素(例えば、
酸素原子、酸素分子などの少なくとも一)の拡散を抑制する機能を有する(上記酸素が透
過しにくい。)ことが好ましい。
【0116】
絶縁体222や、絶縁体226が、酸素や不純物の拡散を抑制する機能を有することで
、酸化物230が有する酸素は、絶縁体220側へ拡散することがなく、好ましい。また
、導電体205が、絶縁体224や、酸化物230が有する酸素と反応することを抑制す
ることができる。
【0117】
絶縁体222や、絶縁体226は、例えば、酸化アルミニウム、酸化ハフニウム、酸化
タンタル、酸化ジルコニウム、チタン酸ジルコン酸鉛(PZT)、チタン酸ストロンチウ
ム(SrTiO)または(Ba,Sr)TiO(BST)などのいわゆるhigh-
k材料を含む絶縁体を単層または積層で用いることが好ましい。トランジスタの微細化、
および高集積化が進むと、ゲート絶縁体の薄膜化により、リーク電流などの問題が生じる
場合がある。ゲート絶縁体として機能する絶縁体にhigh-k材料を用いることで、物
理膜厚を保ちながら、トランジスタ動作時のゲート電位の低減が可能となる。
【0118】
特に、不純物、および酸素などの拡散を抑制する機能を有する(上記酸素が透過しにく
い。)絶縁性材料であるアルミニウムおよびハフニウムの一方または双方の酸化物を含む
絶縁体を用いるとよい。アルミニウムおよびハフニウムの一方または双方の酸化物を含む
絶縁体として、酸化アルミニウム、酸化ハフニウム、アルミニウムおよびハフニウムを含
む酸化物(ハフニウムアルミネート)などを用いることが好ましい。このような材料を用
いて絶縁体222や、絶縁体226を形成した場合、絶縁体222や、絶縁体226は、
酸化物230からの酸素の放出や、トランジスタ200の周辺部から酸化物230への水
素等の不純物の混入を抑制する層として機能する。
【0119】
または、これらの絶縁体に、例えば、酸化アルミニウム、酸化ビスマス、酸化ゲルマニ
ウム、酸化ニオブ、酸化シリコン、酸化チタン、酸化タングステン、酸化イットリウム、
酸化ジルコニウムを添加してもよい。またはこれらの絶縁体を窒化処理してもよい。上記
の絶縁体に酸化シリコン、酸化窒化シリコンまたは窒化シリコンを積層して用いてもよい
【0120】
また、絶縁体220や、絶縁体226は、熱的に安定していることが好ましい。例えば
、酸化シリコンおよび酸化窒化シリコンは、熱的に安定であるため、好適である。また、
high-k材料の絶縁体を酸化シリコン、または酸化窒化シリコンと組み合わせること
で、熱的に安定かつ比誘電率の高い積層構造の絶縁体220や、絶縁体226を得ること
ができる。
【0121】
なお、絶縁体220、絶縁体222、および絶縁体224が、2層以上の積層構造を有
していてもよい。その場合、同じ材料からなる積層構造に限定されず、異なる材料からな
る積層構造でもよい。
【0122】
酸化物230は、酸化物230aと、酸化物230a上の酸化物230bと、酸化物2
30b上の酸化物230cと、を有する。酸化物230b下に酸化物230aを有するこ
とで、酸化物230aよりも下方に形成された構造物から、酸化物230bへの不純物の
拡散を抑制することができる。また、酸化物230b上に酸化物230cを有することで
、酸化物230cよりも上方に形成された構造物から、酸化物230bへの不純物の拡散
を抑制することができる。
【0123】
なお、酸化物230は、各金属原子の原子数比が異なる酸化物により、積層構造を有す
ることが好ましい。具体的には、酸化物230aに用いる金属酸化物において、構成元素
中の元素Mの原子数比が、酸化物230bに用いる金属酸化物における、構成元素中の元
素Mの原子数比より、大きいことが好ましい。また、酸化物230aに用いる金属酸化物
において、Inに対する元素Mの原子数比が、酸化物230bに用いる金属酸化物におけ
る、Inに対する元素Mの原子数比より大きいことが好ましい。また、酸化物230bに
用いる金属酸化物において、元素Mに対するInの原子数比が、酸化物230aに用いる
金属酸化物における、元素Mに対するInの原子数比より大きいことが好ましい。また、
酸化物230cは、酸化物230aまたは酸化物230bに用いることができる金属酸化
物を、用いることができる。
【0124】
また、酸化物230aおよび酸化物230cの伝導帯下端のエネルギーが、酸化物23
0bの伝導帯下端のエネルギーより高くなることが好ましい。また、言い換えると、酸化
物230aおよび酸化物230cの電子親和力が、酸化物230bの電子親和力より小さ
いことが好ましい。
【0125】
ここで、酸化物230a、酸化物230b、および酸化物230cの接合部において、
伝導帯下端のエネルギー準位はなだらかに変化する。換言すると、酸化物230a、酸化
物230b、および酸化物230cの接合部における伝導帯下端のエネルギー準位は、連
続的に変化または連続接合するともいうことができる。このようにするためには、酸化物
230aと酸化物230bとの界面、および酸化物230bと酸化物230cとの界面に
おいて形成される混合層の欠陥準位密度を低くするとよい。
【0126】
具体的には、酸化物230aと酸化物230b、酸化物230bと酸化物230cが、
酸素以外に共通の元素を有する(主成分とする。)ことで、欠陥準位密度が低い混合層を
形成することができる。例えば、酸化物230bがIn-Ga-Zn酸化物の場合、酸化
物230aおよび酸化物230cとして、In-Ga-Zn酸化物、Ga-Zn酸化物、
酸化ガリウムなどを用いるとよい。
【0127】
このとき、キャリアの主たる経路は酸化物230bとなる。酸化物230a、酸化物2
30cを上述の構成とすることで、酸化物230aと酸化物230bとの界面、および酸
化物230bと酸化物230cとの界面における欠陥準位密度を低くすることができる。
そのため、界面散乱によるキャリア伝導への影響が小さくなり、トランジスタ200は高
いオン電流を得られる。
【0128】
また、酸化物230は、領域231および領域234を有する。なお、領域231の少
なくとも一部は、導電体242と接する領域を有する。
【0129】
なお、トランジスタ200をオンさせると、領域231a、または領域231bは、ソ
ース領域、またはドレイン領域として機能する。一方、領域234の少なくとも一部は、
チャネルが形成される領域として機能する。また、領域231と領域234との間に、接
合領域として機能する領域232を有していてもよい。
【0130】
つまり、各領域の範囲を適宜選択することにより、回路設計に合わせて、要求に見合う
電気特性を有するトランジスタを容易に提供することができる。
【0131】
酸化物230は、酸化物半導体として機能する金属酸化物(以下、酸化物半導体ともい
う。)を用いることが好ましい。例えば、領域234となる金属酸化物としては、バンド
ギャップが2eV以上、好ましくは2.5eV以上のものを用いることが好ましい。この
ように、バンドギャップの大きい金属酸化物を用いることで、トランジスタのオフ電流を
低減することができる。
【0132】
酸化物半導体を用いたトランジスタは、非導通状態において極めてリーク電流が小さい
ため、低消費電力の半導体装置を提供できる。また、酸化物半導体は、スパッタリング法
などを用いて成膜できるため、高集積型の半導体装置を構成するトランジスタに用いるこ
とができる。
【0133】
酸化物230b上には、ソース電極、およびドレイン電極として機能する導電体242
(導電体242a、および導電体242b)が設けられる。導電体242としては、アル
ミニウム、クロム、銅、銀、金、白金、タンタル、ニッケル、チタン、モリブデン、タン
グステン、ハフニウム、バナジウム、ニオブ、マンガン、マグネシウム、ジルコニウム、
ベリリウム、インジウム、ルテニウム、イリジウム、ストロンチウム、ランタンから選ば
れた金属元素、または上述した金属元素を成分とする合金か、上述した金属元素を組み合
わせた合金等を用いることが好ましい。例えば、窒化タンタル、窒化チタン、タングステ
ン、チタンとアルミニウムを含む窒化物、タンタルとアルミニウムを含む窒化物、酸化ル
テニウム、窒化ルテニウム、ストロンチウムとルテニウムを含む酸化物、ランタンとニッ
ケルを含む酸化物などを用いることが好ましい。また、窒化タンタル、窒化チタン、チタ
ンとアルミニウムを含む窒化物、タンタルとアルミニウムを含む窒化物、酸化ルテニウム
、窒化ルテニウム、ストロンチウムとルテニウムを含む酸化物、ランタンとニッケルを含
む酸化物は、酸化しにくい導電性材料、または、酸素を吸収しても導電性を維持する材料
であるため、好ましい。
【0134】
酸化物230と接するように上記導電体242を設けることで、領域243の酸素濃度
が低減する場合がある。また、領域243に導電体242に含まれる金属と、酸化物23
0の成分とを含む金属化合物層が形成される場合がある。このような場合、領域243の
キャリア密度が増加し、領域243は、低抵抗領域となる。
【0135】
ここで、導電体242aと導電体242bの間の領域は、絶縁体280の開口に重畳し
て形成される。これにより、導電体242aと導電体242bの間に導電体260を自己
整合的に配置することができる。
【0136】
絶縁体244は、導電体242を覆うように設けられ、導電体242の酸化を抑制する
。このとき、絶縁体244は、酸化物230の側面を覆い、絶縁体226と接するように
設けられてもよい。
【0137】
絶縁体244として、ハフニウム、アルミニウム、ガリウム、イットリウム、ジルコニ
ウム、タングステン、チタン、タンタル、ニッケル、ゲルマニウム、または、マグネシウ
ムなどから選ばれた一種、または二種以上が含まれた金属酸化物を用いることができる。
【0138】
特に、アルミニウム、またはハフニウムの一方または双方の酸化物を含む絶縁体である
、酸化アルミニウム、酸化ハフニウム、アルミニウムおよびハフニウムを含む酸化物(ハ
フニウムアルミネート)などを用いることが好ましい。特に、ハフニウムアルミネートは
、酸化ハフニウム膜よりも、耐熱性が高い。そのため、後の工程での熱履歴において、結
晶化しにくいため好ましい。なお、導電体242が耐酸化性を有する材料、または、酸素
を吸収しても著しく導電性が低下しない場合、絶縁体244は、必須の構成ではない。求
めるトランジスタ特性により、適宜設計すればよい。
【0139】
絶縁体244上には、絶縁体273が配置される。絶縁体273は、サイドウォールと
しての機能を有する。絶縁体273として、ハフニウム、アルミニウム、ガリウム、イッ
トリウム、ジルコニウム、タングステン、チタン、タンタル、ニッケル、ゲルマニウム、
または、マグネシウムなどから選ばれた一種、または二種以上が含まれた金属酸化物を用
いることができる。または、窒化シリコンや、窒化酸化シリコンなどのシリコン窒化物を
用いることができる。
【0140】
特に、アルミニウム、またはハフニウムの一方または双方の酸化物を含む絶縁体である
、酸化アルミニウム、酸化ハフニウム、アルミニウムおよびハフニウムを含む酸化物(ハ
フニウムアルミネート)などを用いることが好ましい。特に、ハフニウムアルミネートは
、酸化ハフニウム膜よりも、耐熱性が高い。そのため、後の工程での熱履歴において、結
晶化しにくいため好ましい。
【0141】
酸化物230cは、酸化物230bの上面、導電体242の側面、絶縁体244の側面
、絶縁体273の側面に接するように設けられる。
【0142】
絶縁体250は、ゲート絶縁体として機能する。絶縁体250は、酸化物230cの内
側(側面、および底部上面)に接して配置することが好ましい。絶縁体250は、加熱に
より酸素が放出される絶縁体を用いて形成することが好ましい。例えば、TDS分析にて
、酸素原子に換算しての酸素の脱離量が1.0×1018atoms/cm以上、好ま
しくは1.0×1019atoms/cm以上、さらに好ましくは2.0×1019
toms/cm以上、または3.0×1020atoms/cm以上である絶縁体で
ある。なお、上記TDS分析時における膜の表面温度としては100℃以上700℃以下
の範囲が好ましい。
【0143】
具体的には、過剰酸素を有する酸化シリコン、酸化窒化シリコン、窒化酸化シリコン、
窒化シリコン、フッ素を添加した酸化シリコン、炭素を添加した酸化シリコン、炭素およ
び窒素を添加した酸化シリコン、空孔を有する酸化シリコンを用いることができる。特に
、酸化シリコン、および酸化窒化シリコンは熱に対し安定であるため好ましい。
【0144】
加熱により酸素が放出される絶縁体を、絶縁体250として、酸化物230cの上面に
接して設けることにより、絶縁体250から、酸化物230cを通じて、酸化物230b
の領域234に効果的に酸素を供給することができる。また、絶縁体224と同様に、絶
縁体250中の水または水素などの不純物濃度が低減されていることが好ましい。絶縁体
250の膜厚は、1nm以上20nm以下とするのが好ましい。
【0145】
また、絶縁体250は、酸化物230bと導電体260の間だけでなく、導電体242
と導電体260の間にも設けられる。絶縁体250として要求される膜厚により、導電体
242と導電体260の間に寄生容量が形成され、トランジスタ200、あるいは半導体
装置の特性に悪影響を与えてしまう場合には、導電体242と導電体260の間に位置す
る絶縁体250の膜厚を酸化物230bと導電体260の間に位置する絶縁体250の膜
厚より、厚くするのが好ましい。そのためには、導電体242と導電体260の間に位置
する絶縁体250を2層構造とし、酸化物230bと導電体260の間に位置する絶縁体
250を単層構造とすればよい。詳細は後述するが、酸化物230cとなる酸化膜230
Cの内側に、第1の絶縁体となる絶縁膜を形成し、該絶縁膜に対して異方性エッチングを
行い、酸化膜230Cの内壁のみに第1の絶縁体を形成する。続けて、第2の絶縁体とな
る絶縁膜を形成することで、酸化物230bと導電体260の間に位置する絶縁体250
は単層構造となり、導電体242と導電体260の間に位置する絶縁体250は2層構造
となる。よって、導電体242と導電体260の間に位置する絶縁体250の膜厚を酸化
物230bと導電体260の間に位置する絶縁体250の膜厚より、厚くすることができ
る。
【0146】
また、絶縁体250が有する過剰酸素を、効率的に酸化物230へ供給するために、絶
縁体250と導電体260との間に絶縁体272を設けてもよい。絶縁体272は、絶縁
体250からの酸素拡散を抑制することが好ましい。酸素の拡散を抑制する絶縁体272
を設けることで、絶縁体250から導電体260への過剰酸素の拡散が抑制される。つま
り、酸化物230へ供給する過剰酸素量の減少を抑制することができる。また、過剰酸素
による導電体260の酸化を抑制することができる。
【0147】
また、絶縁体272は、ゲート絶縁体の一部としての機能を有する場合がある。したが
って、絶縁体250に酸化シリコンや酸化窒化シリコンなどを用いる場合、絶縁体272
は、比誘電率が高いhigh-k材料である金属酸化物を用いることが好ましい。ゲート
絶縁体を、絶縁体250と絶縁体272との積層構造とすることで、熱に対して安定、か
つ比誘電率の高い積層構造とすることができる。したがって、ゲート絶縁体の物理膜厚を
保持したまま、トランジスタ動作時に印加するゲート電位の低減化が可能となる。また、
ゲート絶縁体として機能する絶縁体の等価酸化膜厚(EOT)の薄膜化が可能となる。
【0148】
具体的には、絶縁体272として、ハフニウム、アルミニウム、ガリウム、イットリウ
ム、ジルコニウム、タングステン、チタン、タンタル、ニッケル、ゲルマニウム、または
、マグネシウムなどから選ばれた一種、または二種以上が含まれた金属酸化物を用いるこ
とができる。
【0149】
特に、アルミニウム、またはハフニウムの一方または双方の酸化物を含む絶縁体である
、酸化アルミニウム、酸化ハフニウム、アルミニウムおよびハフニウムを含む酸化物(ハ
フニウムアルミネート)などを用いることが好ましい。特に、ハフニウムアルミネートは
、酸化ハフニウム膜よりも、耐熱性が高い。そのため、後の工程での熱履歴において、結
晶化しにくいため好ましい。なお、絶縁体272は、必須の構成ではない。求めるトラン
ジスタ特性により、適宜設計すればよい。
【0150】
第1のゲート電極として機能する導電体260は、図1では2層構造として示している
が、単層構造でもよいし、3層以上の積層構造であってもよい。例えば、導電体260が
、2層構造である場合、導電体260aは、導電体205aと同様に、水素原子、水素分
子、水分子、窒素原子、窒素分子、酸化窒素分子(NO、NO、NOなど)、銅原子
などの不純物の拡散を抑制する機能を有する導電性材料を用いることが好ましい。または
、酸素(例えば、酸素原子、酸素分子などの少なくとも一)の拡散を抑制する機能を有す
る導電性材料を用いることが好ましい。
【0151】
導電体260aが酸素の拡散を抑制する機能を持つことにより、絶縁体250に含まれ
る酸素により、導電体260bが酸化して導電率が低下することを抑制することができる
。酸素の拡散を抑制する機能を有する導電性材料としては、例えば、タンタル、窒化タン
タル、ルテニウム、または酸化ルテニウムなどを用いることが好ましい。
【0152】
また、導電体260は、配線としても機能するため、導電性が高い導電体を用いることが
好ましい。例えば、導電体260bとして、タングステン、銅、またはアルミニウムを主
成分とする導電性材料を用いることができる。また、導電体260bは積層構造としても
よく、例えば、チタン、窒化チタンと上記導電性材料との積層構造としてもよい。
【0153】
また、図1(C)に示すように、導電体205が、酸化物230のチャネル幅方向と交
わる端部よりも外側の領域において、延伸している場合、導電体260は、当該領域にお
いて、絶縁体250を介して、導電体205と重畳していることが好ましい。つまり、酸
化物230aおよび酸化物230bの側面の外側において、導電体205と、絶縁体25
0と、導電体260とは、積層構造を形成することが好ましい。
【0154】
上記構成を有することで、導電体260、および導電体205に電位を印加した場合、
導電体260から生じる電界と、導電体205から生じる電界と、がつながり、酸化物2
30に形成されるチャネル形成領域を覆うことができる。
【0155】
つまり、第1のゲート電極としての機能を有する導電体260の電界と、第2のゲート
電極としての機能を有する導電体205の電界によって、領域234のチャネル形成領域
を電気的に取り囲むことができる。
【0156】
また、絶縁体273の側面に接し、導電体260、絶縁体272、絶縁体250、およ
び酸化物230cの上に、エッチングストッパとして機能する絶縁体270を設けること
が好ましい。絶縁体270として、ハフニウム、アルミニウム、ガリウム、イットリウム
、ジルコニウム、タングステン、チタン、タンタル、ニッケル、ゲルマニウム、または、
マグネシウムなどから選ばれた一種、または二種以上が含まれた金属酸化物を用いること
ができる。または、窒化シリコンや、窒化酸化シリコンなどのシリコン窒化物を用いるこ
とができる。
【0157】
特に、アルミニウム、またはハフニウムの一方または双方の酸化物を含む絶縁体である
、酸化アルミニウム、酸化ハフニウム、アルミニウムおよびハフニウムを含む酸化物(ハ
フニウムアルミネート)などを用いることが好ましい。特に、ハフニウムアルミネートは
、酸化ハフニウム膜よりも、耐熱性が高い。そのため、後の工程での熱履歴において、結
晶化しにくいため好ましい。
【0158】
絶縁体280は、絶縁体244を介して、導電体242上に設けられる。絶縁体280
は、過剰酸素領域を有することが好ましい。例えば、絶縁体280として、酸化シリコン
、酸化窒化シリコン、窒化酸化シリコン、窒化シリコン、フッ素を添加した酸化シリコン
、炭素を添加した酸化シリコン、炭素および窒素を添加した酸化シリコン、空孔を有する
酸化シリコン、または樹脂などを有することが好ましい。特に、酸化シリコンおよび酸化
窒化シリコンは、熱的に安定であるため好ましい。
【0159】
絶縁体244が設けられない場合、絶縁体280は、酸化物230a、および酸化物2
30bの側面と接する。このとき、絶縁体280に含まれる酸素が、加熱により酸化物2
30の領域234に供給される場合がある。なお、絶縁体280中の水または水素などの
不純物濃度が低減されていることが好ましい。
【0160】
また、絶縁体280の上に、層間膜として機能する絶縁体281を設けることが好まし
い。絶縁体281は、絶縁体224や、絶縁体280などと同様に、膜中の水または水素
などの不純物濃度が低減されていることが好ましい。
【0161】
また、絶縁体281、絶縁体280、および絶縁体244に形成された開口に、導電体
240aおよび導電体240bを配置する。このとき、該開口の一部は、絶縁体273と
重なるように形成される。導電体240a、および導電体240bは、導電体260を挟
んで対向して設ける。また、導電体240aおよび導電体240bは、絶縁体273の上
面、および側面と接し、かつ導電体242a、および導電体242bそれぞれと電気的に
接続する。なお、導電体240aおよび導電体240bの上面は、絶縁体281の上面と
、同一平面上にしてもよい。
【0162】
なお、絶縁体281、絶縁体280、および絶縁体244の開口の内壁に接して、導電
体240aの第1の導電体が形成されている。当該開口の底部の少なくとも一部には導電
体242aが位置しており、導電体240aが導電体242aと接する。同様に、絶縁体
281、絶縁体280、および絶縁体244の開口の内壁に接して、導電体240bの第
1の導電体が形成されている。当該開口の底部の少なくとも一部には導電体242bが位
置しており、導電体240bが導電体242bと接する。
【0163】
ここで、図3(A)に、図1(A)にA5-A6の一点鎖線で示す部位、すなわちトラ
ンジスタ200のソース領域またはドレイン領域の断面図を示す。図3に示すように、導
電体240a(導電体240b)は、少なくとも導電体242a(導電体242b)の上
面、および側面と接し、さらに酸化物230bの側面、および酸化物230aの側面と接
することが好ましい。特に、導電体240a(導電体240b)は、酸化物230のチャ
ネル幅方向と交わる側面において、A5側の側面、およびA6側の側面の双方または一方
と接することが好ましい。また、導電体240a(導電体240b)が、酸化物230の
チャネル長方向と交わる側面において、A1側(A2側)の側面と接する構成にしてもよ
い。このように、導電体240a、および導電体240bを、導電体242a(導電体2
42b)の上面、および側面に加えて、酸化物230bの側面、および酸化物230aの
側面と接する構成にすることにより、導電体240a(導電体240b)と導電体242
a(導電体242b)のコンタクト部の上面積を増やすことなく、コンタクト部の接触面
積を増加させ、導電体240a(導電体240b)と導電体242a(導電体242b)
の接触抵抗を低減することができる。これにより、トランジスタのソース電極およびドレ
イン電極の微細化を図りつつ、オン電流を大きくすることができる。
【0164】
また、図3(B)は、導電体242a(導電体242b)の一部を露出する開口を形成
する際、リソグラフィー法におけるマスクのアライメントが、A5方向にずれてしまった
場合の例を示している。チャネル幅方向において、導電体242a(導電体242b)、
酸化物230b、および酸化物230aの幅よりも、開口の幅を大きくすることにより、
アライメントずれが生じても、導電体240a(導電体240b)は、導電体242a(
導電体242b)の上面、および側面、酸化物230bの側面、および酸化物230aの
側面と接することができ、良好なコンタクトが得られる。
【0165】
導電体240aおよび導電体240bは、タングステン、銅、またはアルミニウムを主
成分とする導電性材料を用いることが好ましい。また、導電体240aおよび導電体24
0bは積層構造としてもよい。
【0166】
また、導電体240を積層構造とする場合、酸化物230a、酸化物230b、導電体
242、絶縁体244、絶縁体280、絶縁体281と接する導電体には、導電体205
aなどと同様に、水または水素などの不純物の透過を抑制する機能を有する導電性材料を
用いることが好ましい。例えば、タンタル、窒化タンタル、チタン、窒化チタン、ルテニ
ウム、または酸化ルテニウムなどを用いることが好ましい。また、水または水素などの不
純物の透過を抑制する機能を有する導電性材料は、単層または積層で用いてもよい。当該
導電性材料を用いることで、絶縁体281より上層から水素、水などの不純物が、導電体
240aおよび導電体240bを通じて酸化物230に混入するのを抑制することができ
る。
【0167】
また、図示しないが、導電体240aの上面、および導電体240bの上面に接して配
線として機能する導電体を配置してもよい。配線として機能する導電体は、タングステン
、銅、またはアルミニウムを主成分とする導電性材料を用いることが好ましい。また、当
該導電体は、積層構造としてもよく、例えば、チタン、窒化チタンと上記導電性材料との
積層としてもよい。なお、当該導電体は、導電体203などと同様に、絶縁体に設けられ
た開口に埋め込むように形成してもよい。
【0168】
<半導体装置の構成材料>
以下では、半導体装置に用いることができる構成材料について説明する。
【0169】
<<基板>>
トランジスタ200を形成する基板としては、例えば、絶縁体基板、半導体基板、また
は導電体基板を用いればよい。絶縁体基板としては、例えば、ガラス基板、石英基板、サ
ファイア基板、安定化ジルコニア基板(イットリア安定化ジルコニア基板など)、樹脂基
板などがある。また、半導体基板としては、例えば、シリコン、ゲルマニウムなどの半導
体基板、または炭化シリコン、シリコンゲルマニウム、ヒ化ガリウム、リン化インジウム
、酸化亜鉛、酸化ガリウムからなる化合物半導体基板などがある。さらには、前述の半導
体基板内部に絶縁体領域を有する半導体基板、例えば、SOI(Silicon On
Insulator)基板などがある。導電体基板としては、黒鉛基板、金属基板、合金
基板、導電性樹脂基板などがある。または、金属の窒化物を有する基板、金属の酸化物を
有する基板などがある。さらには、絶縁体基板に導電体または半導体が設けられた基板、
半導体基板に導電体または絶縁体が設けられた基板、導電体基板に半導体または絶縁体が
設けられた基板などがある。または、これらの基板に素子が設けられたものを用いてもよ
い。基板に設けられる素子としては、容量素子、抵抗素子、スイッチ素子、発光素子、記
憶素子などがある。
【0170】
また、基板として、可撓性基板を用いてもよい。なお、可撓性基板上にトランジスタを
設ける方法としては、非可撓性の基板上にトランジスタを作製した後、トランジスタを剥
離し、可撓性基板である基板に転置する方法もある。その場合には、非可撓性基板とトラ
ンジスタとの間に剥離層を設けるとよい。また、基板が伸縮性を有してもよい。また、基
板は、折り曲げや引っ張りをやめた際に、元の形状に戻る性質を有してもよい。または、
元の形状に戻らない性質を有してもよい。基板は、例えば、5μm以上700μm以下、
好ましくは10μm以上500μm以下、さらに好ましくは15μm以上300μm以下
の厚さとなる領域を有する。基板を薄くすると、トランジスタを有する半導体装置を軽量
化することができる。また、基板を薄くすることで、ガラスなどを用いた場合にも伸縮性
を有する場合や、折り曲げや引っ張りをやめた際に、元の形状に戻る性質を有する場合が
ある。そのため、落下などによって基板上の半導体装置に加わる衝撃などを緩和すること
ができる。すなわち、丈夫な半導体装置を提供することができる。
【0171】
可撓性基板である基板としては、例えば、金属、合金、樹脂もしくはガラス、またはそ
れらの繊維などを用いることができる。また、基板として、繊維を編み込んだシート、フ
ィルムまたは箔などを用いてもよい。可撓性基板である基板は、線膨張率が低いほど環境
による変形が抑制されて好ましい。可撓性基板である基板としては、例えば、線膨張率が
1×10-3/K以下、5×10-5/K以下、または1×10-5/K以下である材質
を用いればよい。樹脂としては、例えば、ポリエステル、ポリオレフィン、ポリアミド(
ナイロン、アラミドなど)、ポリイミド、ポリカーボネート、アクリルなどがある。特に
、アラミドは、線膨張率が低いため、可撓性基板である基板として好適である。
【0172】
<<絶縁体>>
絶縁体としては、絶縁性を有する酸化物、窒化物、酸化窒化物、窒化酸化物、金属酸化
物、金属酸化窒化物、金属窒化酸化物などがある。
【0173】
例えば、トランジスタの微細化、および高集積化が進むと、ゲート絶縁体の薄膜化によ
り、リーク電流などの問題が生じる場合がある。ゲート絶縁体として機能する絶縁体に、
high-k材料を用いることで物理膜厚を保ちながら、トランジスタ動作時の低電圧化
が可能となる。一方、層間膜として機能する絶縁体には、比誘電率が低い材料を用いるこ
とで、配線間に生じる寄生容量を低減することができる。したがって、絶縁体の機能に応
じて、材料を選択するとよい。
【0174】
また、比誘電率の高い絶縁体としては、酸化ガリウム、酸化ハフニウム、酸化ジルコニ
ウム、アルミニウムおよびハフニウムを有する酸化物、アルミニウムおよびハフニウムを
有する酸化窒化物、シリコンおよびハフニウムを有する酸化物、シリコンおよびハフニウ
ムを有する酸化窒化物、またはシリコンおよびハフニウムを有する窒化物などがある。
【0175】
また、比誘電率が低い絶縁体としては、酸化シリコン、酸化窒化シリコン、窒化酸化シ
リコン、窒化シリコン、フッ素を添加した酸化シリコン、炭素を添加した酸化シリコン、
炭素および窒素を添加した酸化シリコン、空孔を有する酸化シリコン、または樹脂などが
ある。
【0176】
また、特に、酸化シリコンおよび酸化窒化シリコンは、熱的に安定である。そのため、
例えば、樹脂と組み合わせることで、熱的に安定かつ比誘電率の低い積層構造とすること
ができる。樹脂としては、例えば、ポリエステル、ポリオレフィン、ポリアミド(ナイロ
ン、アラミドなど)、ポリイミド、ポリカーボネートまたはアクリルなどがある。また、
例えば、酸化シリコン、および酸化窒化シリコンは、比誘電率の高い絶縁体と組み合わせ
ることで、熱的に安定かつ比誘電率の高い積層構造とすることができる。
【0177】
また、酸化物半導体を用いたトランジスタは、水素などの不純物および酸素の透過を抑
制する機能を有する絶縁体で囲うことによって、トランジスタの電気特性を安定にするこ
とができる。
【0178】
水素などの不純物および酸素の透過を抑制する機能を有する絶縁体としては、例えば、
ホウ素、炭素、窒素、酸素、フッ素、マグネシウム、アルミニウム、シリコン、リン、塩
素、アルゴン、ガリウム、ゲルマニウム、イットリウム、ジルコニウム、ランタン、ネオ
ジム、ハフニウム、またはタンタルを含む絶縁体を、単層で、または積層で用いればよい
。具体的には、水素などの不純物および酸素の透過を抑制する機能を有する絶縁体として
、酸化アルミニウム、酸化マグネシウム、酸化ガリウム、酸化ゲルマニウム、酸化イット
リウム、酸化ジルコニウム、酸化ランタン、酸化ネオジム、酸化ハフニウム、または酸化
タンタルなどの金属酸化物、窒化酸化シリコンまたは窒化シリコンなどを用いることがで
きる。
【0179】
例えば、絶縁体270、絶縁体273として、ハフニウム、アルミニウム、ガリウム、
イットリウム、ジルコニウム、タングステン、チタン、タンタル、ニッケル、ゲルマニウ
ム、または、マグネシウムなどから選ばれた一種、または二種以上が含まれた金属酸化物
を用いることができる。また、シリコンの窒化物や、酸素を含むシリコンの窒化物、すな
わち、窒化シリコンや、窒化酸化シリコンなどを用いることができる。
【0180】
絶縁体270、および絶縁体273は、絶縁体280、および絶縁体281に開口を形成
する際、エッチングストッパとして機能するため、絶縁体280、および絶縁体281の
加工において絶縁体280、および絶縁体281のエッチングレートよりも低いエッチン
グレートを有する材料を用いることが好ましい。
【0181】
特に、酸化アルミニウムはバリア性が高く、0.5nm以上3.0nm以下の薄膜であ
っても、水素、および窒素の拡散を抑制することができる。また、酸化ハフニウムは、酸
化アルミニウムよりもバリア性が低いが、膜厚を厚くすることによりバリア性を高めるこ
とができる。したがって、酸化ハフニウムの膜厚を調整することで、水素、および窒素の
適切な添加量を調整することができる。
【0182】
例えば、ゲート絶縁体として機能する絶縁体250は、過剰酸素領域を有する絶縁体で
あることが好ましい。また、絶縁体226を設けず、ゲート絶縁体の一部として機能する
絶縁体224が酸化物230と接する場合、絶縁体224は、過剰酸素領域を有する絶縁
体であることが好ましい。例えば、過剰酸素領域を有する酸化シリコンまたは酸化窒化シ
リコンを酸化物230と接する構造とすることで、酸化物230が有する酸素欠損を補償
することができる。
【0183】
また、例えば、ゲート絶縁体の一部として機能する絶縁体222、および絶縁体226
において、アルミニウム、ハフニウム、およびガリウムの一種または複数種の酸化物を含
む絶縁体を用いることができる。特に、アルミニウムおよびハフニウムの一方または双方
の酸化物を含む絶縁体として、酸化アルミニウム、酸化ハフニウム、アルミニウムおよび
ハフニウムを含む酸化物(ハフニウムアルミネート)などを用いることが好ましい。
【0184】
例えば、絶縁体220には、熱に対して安定である酸化シリコンまたは酸化窒化シリコ
ンを用いることが好ましい。ゲート絶縁体として、熱に対して安定な膜と、比誘電率が高
い膜との積層構造とすることで、物理膜厚を保持したまま、ゲート絶縁体の等価酸化膜厚
(EOT)の薄膜化が可能となる。
【0185】
上記積層構造とすることで、ゲート電極からの電界の影響を弱めることなく、オン電流
の向上を図ることができる。また、ゲート絶縁体の物理的な厚みにより、ゲート電極と、
チャネルが形成される領域との間の距離を保つことで、ゲート電極とチャネル形成領域と
の間のリーク電流を抑制することができる。
【0186】
絶縁体212、絶縁体216、絶縁体280、および絶縁体281は、比誘電率の低い
絶縁体を有することが好ましい。例えば、絶縁体212、絶縁体216、絶縁体280、
および絶縁体281は、酸化シリコン、酸化窒化シリコン、窒化酸化シリコン、窒化シリ
コン、フッ素を添加した酸化シリコン、炭素を添加した酸化シリコン、炭素および窒素を
添加した酸化シリコン、空孔を有する酸化シリコン、または樹脂などを有することが好ま
しい。または、絶縁体212、絶縁体216、絶縁体280、および絶縁体281は、酸
化シリコン、酸化窒化シリコン、窒化酸化シリコン、窒化シリコン、フッ素を添加した酸
化シリコン、炭素を添加した酸化シリコン、炭素および窒素を添加した酸化シリコン、ま
たは空孔を有する酸化シリコンと、樹脂と、の積層構造を有することが好ましい。酸化シ
リコンおよび酸化窒化シリコンは、熱的に安定であるため、樹脂と組み合わせることで、
熱的に安定かつ比誘電率の低い積層構造とすることができる。樹脂としては、例えば、ポ
リエステル、ポリオレフィン、ポリアミド(ナイロン、アラミドなど)、ポリイミド、ポ
リカーボネート、またはアクリルなどがある。
【0187】
絶縁体210、絶縁体214、絶縁体244、および絶縁体272としては、水素など
の不純物および酸素の透過を抑制する機能を有する絶縁体を用いればよい。絶縁体210
、絶縁体214、絶縁体244、および絶縁体272、としては、例えば、酸化アルミニ
ウム、酸化ハフニウム、酸化マグネシウム、酸化ガリウム、酸化ゲルマニウム、酸化イッ
トリウム、酸化ジルコニウム、酸化ランタン、酸化ネオジム、または酸化タンタルなどの
金属酸化物、窒化酸化シリコンまたは窒化シリコンなどを用いればよい。
【0188】
<<導電体>>
導電体としては、アルミニウム、クロム、銅、銀、金、白金、タンタル、ニッケル、チ
タン、モリブデン、タングステン、ハフニウム、バナジウム、ニオブ、マンガン、マグネ
シウム、ジルコニウム、ベリリウム、インジウム、ルテニウム、イリジウム、ストロンチ
ウム、ランタンなどから選ばれた金属元素を1種以上含む材料を用いることができる。ま
た、リン等の不純物元素を含有させた多結晶シリコンに代表される、電気伝導度が高い半
導体、ニッケルシリサイドなどのシリサイドを用いてもよい。
【0189】
また、上記の材料で形成される導電層を複数積層して用いてもよい。例えば、前述した
金属元素を含む材料と、酸素を含む導電性材料と、を組み合わせた積層構造としてもよい
。また、前述した金属元素を含む材料と、窒素を含む導電性材料と、を組み合わせた積層
構造としてもよい。また、前述した金属元素を含む材料と、酸素を含む導電性材料と、窒
素を含む導電性材料と、を組み合わせた積層構造としてもよい。
【0190】
なお、トランジスタのチャネル形成領域に酸化物を用いる場合において、ゲート電極と
して機能する導電体には、前述した金属元素を含む材料と、酸素を含む導電性材料と、を
組み合わせた積層構造を用いることが好ましい。この場合は、酸素を含む導電性材料をチ
ャネル形成領域側に設けるとよい。酸素を含む導電性材料をチャネル形成領域側に設ける
ことで、当該導電性材料から離脱した酸素がチャネル形成領域に供給されやすくなる。
【0191】
特に、ゲート電極として機能する導電体として、チャネルが形成される金属酸化物に含
まれる金属元素および酸素を含む導電性材料を用いることが好ましい。また、前述した金
属元素および窒素を含む導電性材料を用いてもよい。例えば、窒化チタン、窒化タンタル
などの窒素を含む導電性材料を用いてもよい。また、インジウム錫酸化物、酸化タングス
テンを含むインジウム酸化物、酸化タングステンを含むインジウム亜鉛酸化物、酸化チタ
ンを含むインジウム酸化物、酸化チタンを含むインジウム錫酸化物、インジウム亜鉛酸化
物、シリコンを添加したインジウム錫酸化物を用いてもよい。また、窒素を含むインジウ
ムガリウム亜鉛酸化物を用いてもよい。このような材料を用いることで、チャネルが形成
される金属酸化物に含まれる水素を捕獲することができる場合がある。または、外方の絶
縁体などから混入する水素を捕獲することができる場合がある。
【0192】
導電体260、導電体203、導電体205、導電体242、および導電体240とし
ては、アルミニウム、クロム、銅、銀、金、白金、タンタル、ニッケル、チタン、モリブ
デン、タングステン、ハフニウム、バナジウム、ニオブ、マンガン、マグネシウム、ジル
コニウム、ベリリウム、インジウム、ルテニウム、イリジウム、ストロンチウム、ランタ
ンから選ばれた金属元素、または上述した金属元素を成分とする合金か、上述した金属元
素を組み合わせた合金等を用いることが好ましい。例えば、窒化タンタル、窒化チタン、
タングステン、チタンとアルミニウムを含む窒化物、タンタルとアルミニウムを含む窒化
物、酸化ルテニウム、窒化ルテニウム、ストロンチウムとルテニウムを含む酸化物、ラン
タンとニッケルを含む酸化物などを用いることが好ましい。また、窒化タンタル、窒化チ
タン、チタンとアルミニウムを含む窒化物、タンタルとアルミニウムを含む窒化物、酸化
ルテニウム、窒化ルテニウム、ストロンチウムとルテニウムを含む酸化物、ランタンとニ
ッケルを含む酸化物は、酸化しにくい導電性材料、または、酸素を吸収しても導電性を維
持する材料であるため、好ましい。また、リン等の不純物元素を含有させた多結晶シリコ
ンに代表される、電気伝導度が高い半導体、ニッケルシリサイドなどのシリサイドを用い
てもよい。
【0193】
<<金属酸化物>>
酸化物230として、酸化物半導体として機能する金属酸化物(以下、酸化物半導体と
もいう。)を用いることが好ましい。以下では、本発明に係る酸化物230に適用可能な
金属酸化物について説明する。
【0194】
金属酸化物は、少なくともインジウムまたは亜鉛を含むことが好ましい。特に、インジ
ウムおよび亜鉛を含むことが好ましい。また、それらに加えて、アルミニウム、ガリウム
、イットリウムまたはスズなどが含まれていることが好ましい。また、ホウ素、チタン、
鉄、ニッケル、ゲルマニウム、ジルコニウム、モリブデン、ランタン、セリウム、ネオジ
ム、ハフニウム、タンタル、タングステン、またはマグネシウムなどから選ばれた一種、
または複数種が含まれていてもよい。
【0195】
ここでは、金属酸化物が、インジウム、元素Mおよび亜鉛を有するIn-M-Zn酸化
物である場合を考える。なお、元素Mは、アルミニウム、ガリウム、イットリウム、また
はスズなどとする。そのほかの元素Mに適用可能な元素としては、ホウ素、チタン、鉄、
ニッケル、ゲルマニウム、ジルコニウム、モリブデン、ランタン、セリウム、ネオジム、
ハフニウム、タンタル、タングステン、マグネシウムなどがある。ただし、元素Mとして
、前述の元素を複数組み合わせても構わない場合がある。
【0196】
なお、本明細書等において、窒素を有する金属酸化物も金属酸化物(metal ox
ide)と総称する場合がある。また、窒素を有する金属酸化物を、金属酸窒化物(me
tal oxynitride)と呼称してもよい。
【0197】
酸化物半導体は、単結晶酸化物半導体と、非単結晶酸化物半導体と、に分けられる。非単
結晶酸化物半導体としては、例えば、多結晶酸化物半導体、および非晶質酸化物半導体な
どが知られている。
【0198】
トランジスタの半導体に用いる酸化物半導体として、結晶性の高い薄膜を用いることが好
ましい。該薄膜を用いることで、トランジスタの安定性または信頼性を向上させることが
できる。該薄膜として、例えば、単結晶酸化物半導体の薄膜または多結晶酸化物半導体の
薄膜が挙げられる。しかしながら、単結晶酸化物半導体の薄膜または多結晶酸化物半導体
の薄膜を基板上に形成するには、高温またはレーザー加熱の工程が必要とされる。よって
、製造コストが増加し、さらに、スループットも低下してしまう。
【0199】
2009年に、CAAC構造を有するIn-Ga-Zn酸化物(CAAC-IGZOと呼
ぶ。)が発見されたことが、非特許文献1および非特許文献2で報告されている。ここで
は、CAAC-IGZOは、c軸配向性を有する、結晶粒界が明確に確認されない、低温
で基板上に形成可能である、ことが報告されている。さらに、CAAC-IGZOを用い
たトランジスタは、優れた電気特性および信頼性を有することが報告されている。
【0200】
また、2013年には、nc構造を有するIn-Ga-Zn酸化物(nc-IGZOと呼
ぶ。)が発見された(非特許文献3参照。)。ここでは、nc-IGZOは、微小な領域
(例えば、1nm以上3nm以下の領域)において原子配列に周期性を有し、異なる該領
域間で結晶方位に規則性が見られないことが報告されている。
【0201】
非特許文献4および非特許文献5では、上記のCAAC-IGZO、nc-IGZO、お
よび結晶性の低いIGZOのそれぞれの薄膜に対する電子線の照射による平均結晶サイズ
の推移が示されている。結晶性の低いIGZOの薄膜において、電子線が照射される前で
さえ、1nm程度の結晶性IGZOが観察されている。よって、ここでは、IGZOにお
いて、完全な非晶質構造(completely amorphous structu
re)の存在を確認できなかった、と報告されている。さらに、結晶性の低いIGZOの
薄膜と比べて、CAAC-IGZOの薄膜およびnc-IGZOの薄膜は電子線照射に対
する安定性が高いことが示されている。よって、トランジスタの半導体として、CAAC
-IGZOの薄膜またはnc-IGZOの薄膜を用いることが好ましい。
【0202】
酸化物半導体を用いたトランジスタは、非導通状態において極めてリーク電流が小さい、
具体的には、トランジスタのチャネル幅1μmあたりのオフ電流がyA/μm(10-2
A/μm)オーダである、ことが非特許文献6に示されている。例えば、酸化物半導体
を用いたトランジスタのリーク電流が低いという特性を応用した低消費電力のCPUなど
が開示されている(非特許文献7参照。)。
【0203】
また、酸化物半導体を用いたトランジスタのリーク電流が低いという特性を利用した、該
トランジスタの表示装置への応用が報告されている(非特許文献8参照。)。表示装置で
は、表示される画像が1秒間に数十回切り換っている。1秒間あたりの画像の切り換え回
数はリフレッシュレートと呼ばれている。また、リフレッシュレートを駆動周波数と呼ぶ
こともある。このような人の目で知覚が困難である高速の画面の切り換えが、目の疲労の
原因として考えられている。そこで、非特許文献8において、表示装置のリフレッシュレ
ートを低下させて、画像の書き換え回数を減らすことが提案されている。また、リフレッ
シュレートを低下させた駆動により、表示装置の消費電力を低減することが可能である。
このような駆動方法を、アイドリング・ストップ(IDS)駆動と呼ぶ。
【0204】
CAAC構造およびnc構造の発見は、CAAC構造またはnc構造を有する酸化物半導
体を用いたトランジスタの電気特性および信頼性の向上、ならびに、製造コスト低下およ
びスループットの向上に貢献している。また、該トランジスタのリーク電流が低いという
特性を利用した、該トランジスタの表示装置およびLSIへの応用研究が進められている
【0205】
[金属酸化物の構成]
以下では、本発明の一態様で開示されるトランジスタに用いることができるCAC(C
loud-Aligned Composite)-OSの構成について説明する。
【0206】
なお、本明細書等において、CAAC(c-axis aligned crysta
l)、およびCAC(Cloud-Aligned Composite)と記載する場
合がある。なお、CAACは結晶構造の一例を表し、CACは機能、または材料の構成の
一例を表す。
【0207】
CAC-OSまたはCAC-metal oxideとは、材料の一部では導電性の機
能と、材料の一部では絶縁性の機能とを有し、材料の全体では半導体としての機能を有す
る。なお、CAC-OSまたはCAC-metal oxideを、トランジスタの半導
体層に用いる場合、導電性の機能は、キャリアとなる電子(または正孔)を流す機能であ
り、絶縁性の機能は、キャリアとなる電子を流さない機能である。導電性の機能と、絶縁
性の機能とを、それぞれ相補的に作用させることで、スイッチングさせる機能(On/O
ffさせる機能)をCAC-OSまたはCAC-metal oxideに付与すること
ができる。CAC-OSまたはCAC-metal oxideにおいて、それぞれの機
能を分離させることで、双方の機能を最大限に高めることができる。
【0208】
また、CAC-OSまたはCAC-metal oxideは、導電性領域、および絶
縁性領域を有する。導電性領域は、上述の導電性の機能を有し、絶縁性領域は、上述の絶
縁性の機能を有する。また、材料中において、導電性領域と、絶縁性領域とは、ナノ粒子
レベルで分離している場合がある。また、導電性領域と、絶縁性領域とは、それぞれ材料
中に偏在する場合がある。また、導電性領域は、周辺がぼけてクラウド状に連結して観察
される場合がある。
【0209】
また、CAC-OSまたはCAC-metal oxideにおいて、導電性領域と、
絶縁性領域とは、それぞれ0.5nm以上10nm以下、好ましくは0.5nm以上3n
m以下のサイズで材料中に分散している場合がある。
【0210】
また、CAC-OSまたはCAC-metal oxideは、異なるバンドギャップ
を有する成分により構成される。例えば、CAC-OSまたはCAC-metal ox
ideは、絶縁性領域に起因するワイドギャップを有する成分と、導電性領域に起因する
ナローギャップを有する成分と、により構成される。当該構成の場合、キャリアを流す際
に、ナローギャップを有する成分において、主にキャリアが流れる。また、ナローギャッ
プを有する成分が、ワイドギャップを有する成分に相補的に作用し、ナローギャップを有
する成分に連動してワイドギャップを有する成分にもキャリアが流れる。このため、上記
CAC-OSまたはCAC-metal oxideをトランジスタのチャネル形成領域
に用いる場合、トランジスタのオン状態において高い電流駆動力、つまり大きなオン電流
、および高い電界効果移動度を得ることができる。
【0211】
すなわち、CAC-OSまたはCAC-metal oxideは、マトリックス複合
材(matrix composite)、または金属マトリックス複合材(metal
matrix composite)と呼称することもできる。
【0212】
[金属酸化物の構造]
酸化物半導体(金属酸化物)は、単結晶酸化物半導体と、それ以外の非単結晶酸化物半
導体と、に分けられる。非単結晶酸化物半導体としては、例えば、CAAC-OS(c-
axis aligned crystalline oxide semicondu
ctor)、多結晶酸化物半導体、nc-OS(nanocrystalline ox
ide semiconductor)、擬似非晶質酸化物半導体(a-like OS
:amorphous-like oxide semiconductor)、および
非晶質酸化物半導体などがある。
【0213】
CAAC-OSは、c軸配向性を有し、かつa-b面方向において複数のナノ結晶が連
結し、歪みを有した結晶構造となっている。なお、歪みとは、複数のナノ結晶が連結する
領域において、格子配列の揃った領域と、別の格子配列の揃った領域と、の間で格子配列
の向きが変化している箇所を指す。
【0214】
ナノ結晶は、六角形を基本とするが、正六角形状とは限らず、非正六角形状である場合
がある。また、歪みにおいて、五角形、および七角形などの格子配列を有する場合がある
。なお、CAAC-OSにおいて、歪み近傍においても、明確な結晶粒界(グレインバウ
ンダリーともいう。)を確認することは難しい。すなわち、格子配列の歪みによって、結
晶粒界の形成が抑制されていることがわかる。これは、CAAC-OSが、a-b面方向
において酸素原子の配列が稠密でないことや、金属元素が置換することで原子間の結合距
離が変化することなどによって、歪みを許容することができるためである。
【0215】
また、CAAC-OSは、インジウム、および酸素を有する層(以下、In層)と、元
素M、亜鉛、および酸素を有する層(以下、(M,Zn)層)とが積層した、層状の結晶
構造(層状構造ともいう)を有する傾向がある。なお、インジウムと元素Mは、互いに置
換可能であり、(M,Zn)層の元素Mがインジウムと置換した場合、(In,M,Zn
)層と表すこともできる。また、In層のインジウムが元素Mと置換した場合、(In,
M)層と表すこともできる。
【0216】
CAAC-OSは結晶性の高い金属酸化物である。一方、CAAC-OSは、明確な結
晶粒界を確認することが難しいため、結晶粒界に起因する電子移動度の低下が起こりにく
いといえる。また、金属酸化物の結晶性は不純物の混入や欠陥の生成などによって低下す
る場合があるため、CAAC-OSは不純物や欠陥(酸素欠損(V:oxygen v
acancyともいう。)など)の少ない金属酸化物ともいえる。したがって、CAAC
-OSを有する金属酸化物は、物理的性質が安定する。そのため、CAAC-OSを有す
る金属酸化物は熱に強く、信頼性が高い。
【0217】
nc-OSは、微小な領域(例えば、1nm以上10nm以下の領域、特に1nm以上
3nm以下の領域)において原子配列に周期性を有する。また、nc-OSは、異なるナ
ノ結晶間で結晶方位に規則性が見られない。そのため、膜全体で配向性が見られない。し
たがって、nc-OSは、分析方法によっては、a-like OSや非晶質酸化物半導
体と区別が付かない場合がある。
【0218】
なお、インジウムと、ガリウムと、亜鉛と、を有する金属酸化物の一種である、インジ
ウム-ガリウム-亜鉛酸化物(以下、IGZO)は、上述のナノ結晶により構成されるこ
とで安定な構造をとる場合がある。特に、IGZOは、大気中では結晶成長がし難い傾向
があるため、大きな結晶(ここでは、数mmの結晶、または数cmの結晶)よりも小さな
結晶(例えば、上述のナノ結晶)により構成される方が、構造的に安定となる場合がある
【0219】
a-like OSは、nc-OSと非晶質酸化物半導体との間の構造を有する金属酸
化物である。a-like OSは、鬆または低密度領域を有する。すなわち、a-li
ke OSは、nc-OSおよびCAAC-OSと比べて、結晶性が低い。
【0220】
酸化物半導体(金属酸化物)は、多様な構造をとり、それぞれが異なる特性を有する。
本発明の一態様の酸化物半導体は、非晶質酸化物半導体、多結晶酸化物半導体、a-li
ke OS、nc-OS、CAAC-OSのうち、二種以上を有していてもよい。
【0221】
[金属酸化物を有するトランジスタ]
続いて、上記金属酸化物をトランジスタのチャネル形成領域に用いる場合について説明
する。
【0222】
なお、上記金属酸化物をトランジスタのチャネル形成領域に用いることで、高い電界効
果移動度のトランジスタを実現することができる。また、信頼性の高いトランジスタを実
現することができる。
【0223】
また、トランジスタには、キャリア密度の低い金属酸化物を用いることが好ましい。金
属酸化物膜のキャリア密度を低くする場合においては、金属酸化物膜中の不純物濃度を低
くし、欠陥準位密度を低くすればよい。本明細書等において、不純物濃度が低く、欠陥準
位密度の低いことを高純度真性または実質的に高純度真性という。例えば、金属酸化物は
、キャリア密度が8×1011/cm未満、好ましくは1×1011/cm未満、さ
らに好ましくは1×1010/cm未満であり、1×10-9/cm以上とすればよ
い。
【0224】
また、高純度真性または実質的に高純度真性である金属酸化物膜は、欠陥準位密度が低
いため、トラップ準位密度も低くなる場合がある。
【0225】
また、金属酸化物のトラップ準位に捕獲された電荷は、消失するまでに要する時間が長
く、あたかも固定電荷のように振る舞うことがある。そのため、トラップ準位密度の高い
金属酸化物をチャネル形成領域に有するトランジスタは、電気特性が不安定となる場合が
ある。
【0226】
したがって、トランジスタの電気特性を安定にするためには、金属酸化物中の不純物濃
度を低減することが有効である。また、金属酸化物中の不純物濃度を低減するためには、
近接する膜中の不純物濃度も低減することが好ましい。不純物としては、水素、窒素、ア
ルカリ金属、アルカリ土類金属、鉄、ニッケル、シリコン等がある。
【0227】
[不純物]
ここで、金属酸化物中における各不純物の影響について説明する。
【0228】
金属酸化物において、第14族元素の一つであるシリコンや炭素が含まれると、金属酸
化物において欠陥準位が形成される。このため、金属酸化物におけるシリコンや炭素の濃
度と、金属酸化物との界面近傍のシリコンや炭素の濃度(二次イオン質量分析法(SIM
S:Secondary Ion Mass Spectrometry)により得られ
る濃度)を、2×1018atoms/cm以下、好ましくは2×1017atoms
/cm以下とする。
【0229】
また、金属酸化物にアルカリ金属またはアルカリ土類金属が含まれると、欠陥準位を形
成し、キャリアを生成する場合がある。したがって、アルカリ金属またはアルカリ土類金
属が含まれている金属酸化物をチャネル形成領域に用いたトランジスタはノーマリーオン
特性となりやすい。このため、金属酸化物中のアルカリ金属またはアルカリ土類金属の濃
度を低減することが好ましい。具体的には、SIMSにより得られる金属酸化物中のアル
カリ金属またはアルカリ土類金属の濃度を、1×1018atoms/cm以下、好ま
しくは2×1016atoms/cm以下にする。
【0230】
また、金属酸化物において、窒素が含まれると、キャリアである電子が生じ、キャリア
密度が増加し、n型化しやすい。この結果、窒素が含まれている金属酸化物をチャネル形
成領域に用いたトランジスタはノーマリーオン特性となりやすい。したがって、当該金属
酸化物において、チャネル形成領域の窒素はできる限り低減されていることが好ましい。
例えば、金属酸化物中の窒素濃度は、SIMSにおいて、5×1019atoms/cm
未満、好ましくは5×1018atoms/cm以下、より好ましくは1×1018
atoms/cm以下、さらに好ましくは5×1017atoms/cm以下とする
【0231】
また、金属酸化物に含まれる水素は、金属原子と結合する酸素と反応して水になるため
、酸素欠損を形成する場合がある。当該酸素欠損に水素が入ることで、キャリアである電
子が生成される場合がある。また、水素の一部が金属原子と結合する酸素と結合して、キ
ャリアである電子を生成することがある。したがって、水素が含まれている金属酸化物を
用いたトランジスタは、ノーマリーオン特性となりやすい。
【0232】
また、金属酸化物に含まれる水素は、金属酸化物中に浅い欠陥準位を形成する場合があ
る。浅い欠陥準位とは、伝導帯下端の近くに位置する界面準位を指す。浅い欠陥準位は、
金属酸化物中の高密度領域と低密度領域の境界近傍に存在することが推定される。ここで
は、金属酸化物中の高密度領域と低密度領域は、領域に含まれる水素の量で区別する。す
なわち、低密度領域と比較して、高密度領域は、水素をより多く含む領域とする。金属酸
化物中の高密度領域と低密度領域の境界近傍は、両領域間の応力歪によって、微小なクラ
ックが生じやすく、当該クラック近傍に酸素欠損およびインジウムのダングリングボンド
が発生し、ここに、水素または水などの不純物が局在することで、浅い欠陥準位が形成さ
れるものと推定される。
【0233】
また、上記金属酸化物中の高密度領域は、低密度領域よりも結晶性が高くなる場合があ
る。また、上記金属酸化物中の高密度領域は、低密度領域よりも膜密度が高くなる場合が
ある。また、上記金属酸化物が、インジウムと、ガリウムと、亜鉛と、有する組成の場合
、高密度領域は、インジウムと、ガリウムと、亜鉛と、を有し、低密度領域は、インジウ
ムと、亜鉛と、を有する場合がある。別言すると、低密度領域は、高密度領域よりもガリ
ウムの割合が少ない場合がある。
【0234】
なお、上記浅い欠陥準位は、酸素欠損に起因すると推定される。金属酸化物中の酸素欠
損が増えると、浅い欠陥準位密度(sDOS:shallow level Densi
ty of States)とともに深い欠陥準位密度(dDOS:deep leve
l Density of States)も増えると推定される。これは、深い欠陥準
位も酸素欠損によるものだと考えられるためである。なお、深い欠陥準位とは、バンドギ
ャップの中央付近に位置する欠陥準位を指す。
【0235】
したがって、金属酸化物中の酸素欠損を抑制することで、浅い欠陥準位及び深い欠陥準
位の双方の準位密度を低減させることが可能となる。また、浅い欠陥準位については、金
属酸化物の成膜時の温度を調整することで、ある程度制御できる可能性がある。具体的に
は、金属酸化物の成膜時の温度を、170℃またはその近傍、好ましくは130℃または
その近傍、さらに好ましくは室温とすることで、浅い欠陥準位密度を低減することができ
る。
【0236】
また、金属酸化物の浅い欠陥準位は、金属酸化物を半導体層に用いたトランジスタの電
気特性に影響を与える。すなわち、浅い欠陥準位によって、トランジスタのドレイン電流
-ゲート電圧(Id-Vg)特性において、ゲート電圧Vgに対するドレイン電流Idの
変化が緩やかとなり、トランジスタのオフ状態からオン状態への立ち上がり特性の良し悪
しの目安の1つである、S値(Subthreshold Swing、SSとも言う。
)が悪化する。これは浅い欠陥準位に電子がトラップされたためと考えられる。
【0237】
このため、金属酸化物中の水素はできる限り低減されていることが好ましい。具体的に
は、金属酸化物において、SIMSにより得られる水素濃度を、1×1020atoms
/cm未満、好ましくは1×1019atoms/cm未満、より好ましくは5×1
18atoms/cm未満、さらに好ましくは1×1018atoms/cm未満
とする。不純物が十分に低減された金属酸化物をトランジスタのチャネル形成領域に用い
ることで、安定した電気特性を付与することができる。
【0238】
<半導体装置の作製方法>
次に、本発明に係るトランジスタ200を有する半導体装置について、作製方法を図4
乃至図19を用いて説明する。また、図4乃至図19において、各図の(A)は上面図を
示す。また、各図の(B)は、(A)に示すA1-A2の一点鎖線で示す部位に対応する
断面図であり、トランジスタ200のチャネル長方向の断面図でもある。また、各図の(
C)は、(A)にA3-A4の一点鎖線で示す部位に対応する断面図であり、トランジス
タ200のチャネル幅方向の断面図でもある。なお、各図の(A)の上面図では、図の明
瞭化のために一部の要素を省いて図示している。
【0239】
まず、基板(図示しない。)を準備し、当該基板上に絶縁体210を成膜する。絶縁体
210の成膜は、スパッタリング法、化学気相成長(CVD:Chemical Vap
or Deposition)法、分子線エピタキシー(MBE:Molecular
Beam Epitaxy)法、パルスレーザ堆積(PLD:Pulsed Laser
Deposition)法、またはALD(Atomic Layer Deposi
tion)法などを用いて行うことができる。
【0240】
なお、CVD法は、プラズマを利用するプラズマCVD(PECVD:Plasma
Enhanced CVD)法、熱を利用する熱CVD(TCVD:Thermal C
VD)法、光を利用する光CVD(Photo CVD)法などに分類できる。さらに用
いる原料ガスによって金属CVD(MCVD:Metal CVD)法、有機金属CVD
(MOCVD:Metal Organic CVD)法に分けることができる。
【0241】
プラズマCVD法は、比較的低温で高品質の膜が得られる。また、熱CVD法は、プラ
ズマを用いないため、被処理物へのプラズマダメージを小さくすることが可能な成膜方法
である。例えば、半導体装置に含まれる配線、電極、素子(トランジスタ、容量素子など
)などは、プラズマから電荷を受け取ることでチャージアップする場合がある。このとき
、蓄積した電荷によって、半導体装置に含まれる配線、電極、素子などが破壊される場合
がある。一方、プラズマを用いない熱CVD法の場合、こういったプラズマダメージが生
じないため、半導体装置の歩留まりを高くすることができる。また、熱CVD法では、成
膜中のプラズマダメージが生じないため、欠陥の少ない膜が得られる。
【0242】
また、ALD法も、被処理物へのプラズマダメージを小さくすることが可能な成膜方法
である。また、ALD法は、成膜中のプラズマダメージが生じないため、欠陥の少ない膜
が得られる。なお、ALD法で用いるプリカーサには炭素などの不純物を含むものがある
。このため、ALD法により設けられた膜は、他の成膜法により設けられた膜と比較して
、炭素などの不純物を多く含む場合がある。なお、不純物の定量は、X線光電子分光法(
XPS:X-ray Photoelectron Spectroscopy)を用い
て行うことができる。
【0243】
CVD法およびALD法は、ターゲットなどから放出される粒子が堆積する成膜方法と
は異なり、被処理物の表面における反応により膜が形成される成膜方法である。したがっ
て、被処理物の形状の影響を受けにくく、良好な段差被覆性を有する成膜方法である。特
に、ALD法は、優れた段差被覆性と、優れた厚さの均一性を有するため、アスペクト比
の高い開口部の表面を被覆する場合などに好適である。ただし、ALD法は、比較的成膜
速度が遅いため、成膜速度の速いCVD法などの他の成膜方法と組み合わせて用いること
が好ましい場合もある。
【0244】
CVD法およびALD法は、原料ガスの流量比によって、得られる膜の組成を制御する
ことができる。例えば、CVD法およびALD法では、原料ガスの流量比によって、任意
の組成の膜を成膜することができる。また、例えば、CVD法およびALD法では、成膜
しながら原料ガスの流量比を変化させることによって、組成が連続的に変化した膜を成膜
することができる。原料ガスの流量比を変化させながら成膜する場合、複数の成膜室を用
いて成膜する場合と比べて、搬送や圧力調整にかかる時間を要さない分、成膜にかかる時
間を短くすることができる。したがって、半導体装置の生産性を高めることができる場合
がある。
【0245】
本実施の形態では、絶縁体210として、スパッタリング法によって酸化アルミニウム
を成膜する。また、絶縁体210は、多層構造としてもよい。例えば、スパッタリング法
によって酸化アルミニウムを成膜し、当該酸化アルミニウム上に、ALD法によって酸化
アルミニウムを成膜する構造としてもよい。または、ALD法によって酸化アルミニウム
を成膜し、当該酸化アルミニウム上に、スパッタリング法によって酸化アルミニウムを成
膜する構造としてもよい。
【0246】
次に絶縁体210上に絶縁体212を成膜する。絶縁体212の成膜は、スパッタリン
グ法、CVD法、MBE法、PLD法、またはALD法などを用いて行うことができる。
本実施の形態では、絶縁体212として、CVD法によって酸化シリコンを成膜する。
【0247】
次に、絶縁体212に、絶縁体210に達する開口を形成する。開口とは、例えば、溝
やスリットなども含まれる。また、開口が形成された領域を指して開口部とする場合があ
る。開口の形成にはウエットエッチング法を用いてもよいが、ドライエッチング法を用い
るほうが微細加工には好ましい。また、絶縁体210は、絶縁体212をエッチングして
開口を形成する際のエッチングストッパとして機能する絶縁体を選択することが好ましい
。例えば、開口を形成する絶縁体212に酸化シリコンを用いた場合は、絶縁体210は
、窒化シリコン、酸化アルミニウム、酸化ハフニウムを用いるとよい。
【0248】
開口の形成後に、導電体203aとなる導電膜を成膜する。当該導電膜は、酸素の透過
を抑制する機能を有する導電体を含むことが好ましい。例えば、窒化タンタル、窒化タン
グステン、窒化チタンなどを用いることができる。またはタンタル、タングステン、チタ
ン、モリブデン、アルミニウム、銅、モリブデンタングステン合金との積層膜とすること
ができる。導電体203aとなる導電膜の成膜は、スパッタリング法、CVD法、MBE
法、PLD法、またはALD法などを用いて行うことができる。
【0249】
本実施の形態では、導電体203aとなる導電膜として、スパッタリング法によって窒
化タンタル、または、窒化タンタルの上に窒化チタンを積層した膜を成膜する。導電体2
03aとしてこのような金属窒化物を用いることにより、後述する導電体203bで銅な
ど拡散しやすい金属を用いても、当該金属が導電体203aから外に拡散するのを抑制す
ることができる。
【0250】
次に、導電体203aとなる導電膜上に、導電体203bとなる導電膜を成膜する。当
該導電膜の成膜は、スパッタリング法、CVD法、MBE法、PLD法、またはALD法
などを用いて行うことができる。本実施の形態では、導電体203bとなる導電膜として
、銅などの低抵抗導電性材料を成膜する。
【0251】
次に、CMP処理を行うことで、導電体203aとなる導電膜、ならびに導電体203
bとなる導電膜の一部を除去し、絶縁体212を露出する。その結果、開口部のみに、導
電体203aとなる導電膜、ならびに導電体203bとなる導電膜が残存する。これによ
り、上面が平坦な、導電体203aおよび導電体203bを含む導電体203を形成する
ことができる(図4参照。)。なお、当該CMP処理により、絶縁体212の一部が除去
される場合がある。
【0252】
次に、絶縁体212、および導電体203上に絶縁体214を成膜する。絶縁体214
の成膜は、スパッタリング法、CVD法、MBE法、PLD法、またはALD法などを用
いて行うことができる。本実施の形態では、絶縁体214として、CVD法によって窒化
シリコンを成膜する。このように、絶縁体214として、窒化シリコンなどの銅が透過し
にくい絶縁体を用いることにより、導電体203bに銅など拡散しやすい金属を用いても
、当該金属が絶縁体214より上の層に拡散するのを抑制することができる。
【0253】
次に、絶縁体214上に絶縁体216を成膜する。絶縁体216の成膜は、スパッタリ
ング法、CVD法、MBE法、PLD法、またはALD法などを用いて行うことができる
。本実施の形態では、絶縁体216として、CVD法によって酸化シリコンを成膜する。
【0254】
次に、絶縁体214および絶縁体216に、導電体203に達する開口を形成する。開
口の形成にはウエットエッチング法を用いてもよいが、ドライエッチング法を用いるほう
が微細加工には好ましい。
【0255】
開口の形成後に、導電体205aとなる導電膜を成膜する。該導電膜は、酸素の透過を
抑制する機能を有する導電性材料を含むことが好ましい。例えば、窒化タンタル、窒化タ
ングステン、窒化チタンなどを用いることができる。またはタンタル、タングステン、チ
タン、モリブデン、アルミニウム、銅、モリブデンタングステン合金との積層膜とするこ
とができる。導電体205aとなる導電膜の成膜は、スパッタリング法、CVD法、MB
E法、PLD法、またはALD法などを用いて行うことができる。
【0256】
本実施の形態では、導電体205aとなる導電膜として、スパッタリング法によって窒
化タンタルを成膜する。
【0257】
次に、導電体205aとなる導電膜上に、導電体205bとなる導電膜を成膜する。当
該導電膜の成膜は、スパッタリング法、CVD法、MBE法、PLD法、またはALD法
などを用いて行うことができる。
【0258】
本実施の形態では、導電体205bとなる導電膜として、CVD法によって窒化チタン
を成膜し、当該窒化チタン上にCVD法によってタングステンを成膜する。
【0259】
次に、CMP処理を行うことで、導電体205aとなる導電膜、ならびに導電体205
bとなる導電膜の一部を除去し、絶縁体216を露出する。その結果、開口部のみに、導
電体205a、および導電体205bとなる導電膜が残存する。これにより、上面が平坦
な、導電体205aおよび導電体205bを含む導電体205を形成することができる(
図4参照。)。なお、当該CMP処理により、絶縁体216の一部が除去される場合があ
る。
【0260】
次に、絶縁体216、および導電体205上に絶縁体220を成膜する。絶縁体220
の成膜は、スパッタリング法、CVD法、MBE法、PLD法、またはALD法などを用
いて行うことができる。本実施の形態では、絶縁体220として、CVD法によって酸化
シリコンを成膜する。
【0261】
次に、絶縁体220上に絶縁体222を成膜する。絶縁体222として、アルミニウム
およびハフニウムの一方または双方の酸化物を含む絶縁体を成膜するとよい。なお、アル
ミニウムおよびハフニウムの一方または双方の酸化物を含む絶縁体として、酸化アルミニ
ウム、酸化ハフニウム、アルミニウムおよびハフニウムを含む酸化物(ハフニウムアルミ
ネート)などを用いることが好ましい。アルミニウムおよびハフニウムの一方または双方
の酸化物を含む絶縁体は、酸素、水素、および水に対するバリア性を有する。絶縁体22
2が、水素および水に対するバリア性を有することで、トランジスタ200の周辺に設け
られた構造体に含まれる水素、および水が、絶縁体222を通じてトランジスタ200の
内側へ拡散することが抑制され、酸化物230中の酸素欠損の生成を抑制することができ
る。
【0262】
絶縁体222の成膜は、スパッタリング法、CVD法、MBE法、PLD法、またはA
LD法などを用いて行うことができる。
【0263】
次に、絶縁体222上に絶縁体224を成膜する。絶縁体224の成膜は、スパッタリ
ング法、CVD法、MBE法、PLD法、またはALD法などを用いて行うことができる
。本実施の形態では、絶縁体224として、CVD法によって酸化シリコンを成膜する。
【0264】
続いて、加熱処理を行うと好ましい。加熱処理は、250℃以上650℃以下、好まし
くは300℃以上500℃以下、さらに好ましくは320℃以上450℃以下で行えばよ
い。なお、加熱処理は、窒素または不活性ガス雰囲気、または酸化性ガスを10ppm以
上、1%以上、もしくは10%以上含む雰囲気で行う。また、加熱処理は減圧状態で行っ
てもよい。または、加熱処理は、窒素または不活性ガス雰囲気で加熱処理した後に、脱離
した酸素を補うために酸化性ガスを10ppm以上、1%以上、または10%以上含む雰
囲気で加熱処理を行ってもよい。
【0265】
本実施の形態では、加熱処理として、絶縁体224の成膜後に窒素雰囲気にて400℃
の温度で1時間の処理を行う。当該加熱処理によって、絶縁体224に含まれる水素や水
などの不純物を除去することなどができる。
【0266】
また、加熱処理は、絶縁体220成膜後、および絶縁体222の成膜後のそれぞれのタ
イミングで行うこともできる。当該加熱処理は、上述した加熱処理条件を用いることがで
きるが、絶縁体220成膜後の加熱処理は、窒素を含む雰囲気中で行うことが好ましい。
【0267】
ここで、絶縁体224に過剰酸素領域を形成するために、減圧状態で酸素を含むプラズ
マ処理を行ってもよい。酸素を含むプラズマ処理は、例えば、マイクロ波を用いた高密度
プラズマを発生させる電源を有する装置を用いることが好ましい。または、基板側にRF
(Radio Frequency)を印加する電源を有してもよい。高密度プラズマを
用いることより、高密度の酸素ラジカルを生成することができ、基板側にRFを印加する
ことで、高密度プラズマによって生成された酸素ラジカルを効率良く絶縁体224内に導
くことができる。または、この装置を用いて不活性ガスを含むプラズマ処理を行った後に
、脱離した酸素を補うために酸素を含むプラズマ処理を行ってもよい。なお、当該プラズ
マ処理の条件を適宜選択することにより、絶縁体224に含まれる水素や水などの不純物
を除去することができる。その場合、加熱処理は行わなくてもよい。
【0268】
次に、絶縁体224上に、絶縁体226を成膜する。絶縁体226は、後工程において
、絶縁体280、絶縁体273A、絶縁体244A、および導電体242Bをエッチング
する際のストッパとして機能する。絶縁体226として、アルミニウムおよびハフニウム
の一方または双方の酸化物を含む絶縁体を成膜するとよい。なお、アルミニウムおよびハ
フニウムの一方または双方の酸化物を含む絶縁体として、酸化アルミニウム、酸化ハフニ
ウム、アルミニウムおよびハフニウムを含む酸化物(ハフニウムアルミネート)などを用
いることが好ましい。アルミニウムおよびハフニウムの一方または双方の酸化物を含む絶
縁体は、酸素、水素、および水に対するバリア性を有する。絶縁体226が、水素および
水に対するバリア性を有することで、トランジスタ200の周辺に設けられた構造体に含
まれる水素、および水が、絶縁体226を通じてトランジスタ200の内側へ拡散するこ
とが抑制され、酸化物230中の酸素欠損の生成を抑制することができる。
【0269】
絶縁体226の成膜は、スパッタリング法、CVD法、MBE法、PLD法、またはA
LD法などを用いて行うことができる。
【0270】
絶縁体226の成膜後に、前述した加熱処理を行ってもよい。
【0271】
次に、絶縁体226上に、酸化物230aとなる酸化膜230Aと、酸化物230bと
なる酸化膜230Bを順に成膜する(図4参照。)。なお、上記酸化膜は、大気環境に晒
さずに連続して成膜することが好ましい。大気開放せずに成膜することで、酸化膜230
A、および酸化膜230B上に大気環境からの不純物または水分が付着することを防ぐこ
とができ、酸化膜230Aと酸化膜230Bとの界面近傍を清浄に保つことができる。
【0272】
酸化膜230A、および酸化膜230Bの成膜はスパッタリング法、CVD法、MBE
法、PLD法、またはALD法などを用いて行うことができる。
【0273】
例えば、酸化膜230A、および酸化膜230Bの成膜をスパッタリング法によって行
う場合は、スパッタリングガスとして酸素、または、酸素と希ガスの混合ガスを用いる。
スパッタリングガスに含まれる酸素の割合を高めることで、成膜される酸化膜中の過剰酸
素を増やすことができる。また、上記の酸化膜の成膜をスパッタリング法によって行う場
合は、例えば、In-M-Zn酸化物ターゲットを用いることができる。
【0274】
特に、酸化膜230Aの成膜時に、スパッタリングガスに含まれる酸素の一部が絶縁体
224および絶縁体226に供給される場合がある。したがって、酸化膜230Aのスパ
ッタリングガスに含まれる酸素の割合は70%以上、好ましくは80%以上、より好まし
くは100%とすればよい。
【0275】
また、酸化膜230Bをスパッタリング法で形成する場合、スパッタリングガスに含ま
れる酸素の割合を1%以上30%以下、好ましくは5%以上20%以下として成膜すると
、酸素欠乏型の酸化物半導体が形成される。酸素欠乏型の酸化物半導体をチャネル形成領
域に用いたトランジスタは、比較的高い電界効果移動度が得られる。
【0276】
本実施の形態では、酸化膜230Aとして、スパッタリング法によって、In:Ga:
Zn=1:3:4[原子数比]のターゲットを用いて成膜する。また、酸化膜230Bと
して、スパッタリング法によって、In:Ga:Zn=4:2:4.1[原子数比]のタ
ーゲットを用いて成膜する。なお、各酸化膜は、成膜条件、および原子数比を適宜選択す
ることで、酸化物230に求める特性に合わせて形成するとよい。
【0277】
次に、加熱処理を行ってもよい。加熱処理は、上述した加熱処理条件を用いることがで
きる。加熱処理によって、酸化膜230A、および酸化膜230B中の水素や水などの不
純物を除去することなどができる。本実施の形態では、窒素雰囲気にて400℃の温度で
1時間の処理を行った後に、連続して酸素雰囲気にて400℃の温度で1時間の処理を行
う。
【0278】
次に、酸化膜230B上に導電膜242Aを形成する(図4参照。)。導電膜242A
は、アルミニウム、クロム、銅、銀、金、白金、タンタル、ニッケル、チタン、モリブデ
ン、タングステン、ハフニウム、バナジウム、ニオブ、マンガン、マグネシウム、ジルコ
ニウム、ベリリウム、インジウム、ルテニウム、イリジウム、ストロンチウム、ランタン
から選ばれた金属元素、または上述した金属元素を成分とする合金か、上述した金属元素
を組み合わせた合金等を用いることが好ましい。例えば、窒化タンタル、窒化チタン、タ
ングステン、チタンとアルミニウムを含む窒化物、タンタルとアルミニウムを含む窒化物
、酸化ルテニウム、窒化ルテニウム、ストロンチウムとルテニウムを含む酸化物、ランタ
ンとニッケルを含む酸化物などを用いることが好ましい。また、窒化タンタル、窒化チタ
ン、チタンとアルミニウムを含む窒化物、タンタルとアルミニウムを含む窒化物、酸化ル
テニウム、窒化ルテニウム、ストロンチウムとルテニウムを含む酸化物、ランタンとニッ
ケルを含む酸化物は、酸化しにくい導電性材料、または、酸素を吸収しても導電性を維持
する材料であるため、好ましい。なお、導電膜242Aの形成は、スパッタリング法、C
VD法、MBE法、PLD法、またはALD法などを用いて行うことができる。
【0279】
次に、導電膜242Aを加工して、酸化膜230A、および酸化膜230Bを加工する
ためのハードマスクを形成する。
【0280】
なお、導電膜242Aの加工はリソグラフィー法を用いて行えばよい。また、当該加工
はドライエッチング法やウエットエッチング法を用いることができる。ドライエッチング
法による加工は微細加工に適している。
【0281】
リソグラフィー法では、まず、マスクを介してレジストを露光する。次に、露光された
領域を、現像液を用いて除去または残存させてレジストマスクを形成する。次に、当該レ
ジストマスクを介してエッチング処理することで導電体、半導体または絶縁体などを所望
の形状に加工することができる。例えば、KrFエキシマレーザ光、ArFエキシマレー
ザ光、EUV(Extreme Ultraviolet)光などを用いて、レジストを
露光することでレジストマスクを形成すればよい。また、基板と投影レンズとの間に液体
(例えば水)を満たして露光する、液浸技術を用いてもよい。また、前述した光に代えて
、電子ビームやイオンビームを用いてもよい。なお、電子ビームやイオンビームを用いる
場合には、レジスト上に直接描画を行うため、上述のレジスト露光用のマスクは不要とな
る。なお、レジストマスクは、アッシングなどのドライエッチング処理を行う、ウエット
エッチング処理を行う、ドライエッチング処理後にウエットエッチング処理を行う、また
はウエットエッチング処理後にドライエッチング処理を行う、などで、除去することがで
きる。
【0282】
本実施の形態では、レジストマスクを用いて、導電膜242Aをエッチングすることで
ハードマスクとして機能する導電体242Bを形成する(図5参照。)。導電体242B
形成後は、レジストマスクを除去してから酸化膜の加工を行ってもよいし、レジストマス
クを残したまま行ってもよい。後者の場合、エッチング中にレジストマスクが消失するこ
とがある。上記酸化膜のエッチング後にハードマスクとして機能する導電体242Bをエ
ッチングにより除去してもよいが、本実施の形態では、導電体242Bをさらに加工して
、ソース電極、およびドレイン電極を形成するため、導電体242Bは除去しない。
【0283】
ドライエッチング装置としては、平行平板型電極を有する容量結合型プラズマ(CCP
:Capacitively Coupled Plasma)エッチング装置を用いる
ことができる。平行平板型電極を有する容量結合型プラズマエッチング装置は、平行平板
型電極の一方の電極に高周波電源を印加する構成でもよい。または平行平板型電極の一方
の電極に複数の異なった高周波電源を印加する構成でもよい。または平行平板型電極それ
ぞれに同じ周波数の高周波電源を印加する構成でもよい。または平行平板型電極それぞれ
に周波数の異なる高周波電源を印加する構成でもよい。または高密度プラズマ源を有する
ドライエッチング装置を用いることができる。高密度プラズマ源を有するドライエッチン
グ装置は、例えば、誘導結合型プラズマ(ICP:Inductively Coupl
ed Plasma)エッチング装置などを用いることができる。
【0284】
次に、導電体242Bをハードマスクとして用い、酸化膜230A、および酸化膜23
0Bを島状に加工して、酸化物230a、および酸化物230bを形成する(図5参照。
)。なお、当該加工処理にて、絶縁体226の一部が除去される場合がある。
【0285】
ここで、酸化物230a、および酸化物230bは、少なくとも一部が導電体205と
重なるように形成する。また、酸化物230a、および酸化物230bの側面は、絶縁体
222の上面、または基板の上面に対し、テーパー形状を有することが好ましい。酸化物
230a、および酸化物230bの側面が、絶縁体222の上面、または基板の上面に対
し、テーパー形状を有することで、後工程において酸化物230a、および酸化物230
bの側面に形成される膜を容易に除去できる。
【0286】
また、酸化物230a、酸化物230b、および導電体242Bの側面と、導電体24
2Bの上面との間に、湾曲面を有する。つまり、側面の端部と上面の端部は、湾曲してい
ることが好ましい(以下、ラウンド状ともいう)。湾曲面は、例えば、導電体242Bの
端部において、曲率半径が、3nm以上10nm以下、好ましくは、5nm以上6nm以
下とする。端部に角を有さないことで、以降の成膜工程における膜の被覆性が向上する。
【0287】
なお、当該酸化膜の加工は、導電体242Bをハードマスクに用い、ドライエッチング
法やウエットエッチング法を用いることができる。ドライエッチング法による加工は微細
加工に適している。
【0288】
また、上記ドライエッチングなどの処理を行うことによって、エッチングガスなどに起
因した不純物が、酸化物230a、および酸化物230bなどの側面または内部に付着ま
たは拡散することがある。不純物としては、例えば、フッ素または塩素などがある。
【0289】
上記の不純物などを除去するために、洗浄を行う。洗浄方法としては、洗浄液など用い
たウエット洗浄、プラズマを用いたプラズマ処理、または熱処理による洗浄などがあり、
上記洗浄を適宜組み合わせて行ってもよい。
【0290】
ウエット洗浄としては、シュウ酸、リン酸、過酸化水素水、またはフッ化水素酸などを
炭酸水または純水で希釈した水溶液を用いて洗浄処理を行ってもよい。または、純水また
は炭酸水を用いた超音波洗浄を行ってもよい。本実施の形態では、純水または炭酸水を用
いた超音波洗浄を行う。
【0291】
続いて、加熱処理を行ってもよい。加熱処理の条件は、前述の加熱処理の条件を用いる
ことができる。ただし、該加熱処理により、導電体242Bの酸化が懸念される場合、該
加熱処理は、酸素を含まない雰囲気で行われることが好ましい。一方、導電体242Bが
、耐酸化性材料を含む場合、該加熱処理を、酸素を含む雰囲気で行ってもよい。
【0292】
次に、絶縁体226、酸化物230a、酸化物230b、および導電体242B上に絶
縁体244Aを成膜する(図6参照。)。なお、絶縁体244Aは、絶縁性バリアとして
機能することが好ましく、アルミニウムおよびハフニウムの一方または双方の酸化物を含
む絶縁体を成膜するとよい。なお、アルミニウムおよびハフニウムの一方または双方の酸
化物を含む絶縁体として、酸化アルミニウム、酸化ハフニウム、アルミニウムおよびハフ
ニウムを含む酸化物(ハフニウムアルミネート)などを用いることが好ましい。バリア性
を有する絶縁体244Aにより、導電体242Bの酸化を抑制することができる。なお、
導電体242Bが、耐酸化性材料を含む場合、絶縁体244Aは、必ずしも設ける必要は
無い。なお、絶縁体244Aの成膜は、スパッタリング法、CVD法、MBE法、PLD
法、またはALD法などを用いて行うことができる。
【0293】
次に、絶縁体244Aの上に、絶縁体280を成膜する。絶縁体280は、比誘電率の
低い絶縁体を有することが好ましい。例えば、酸化シリコン、酸化窒化シリコン、窒化酸
化シリコン、窒化シリコン、フッ素を添加した酸化シリコン、炭素を添加した酸化シリコ
ン、炭素および窒素を添加した酸化シリコン、空孔を有する酸化シリコン、または樹脂な
どを有することが好ましい。特に、酸化シリコン、酸化窒化シリコン、窒化酸化シリコン
、空孔を有する酸化シリコンを絶縁体280に用いると、後の工程で絶縁体280中に過
剰酸素領域を容易に形成できるため好ましい。また、酸化シリコンおよび酸化窒化シリコ
ンは、熱的に安定であるため好ましい。絶縁体280の成膜は、スパッタリング法、CV
D法、MBE法、PLD法、またはALD法などを用いて行うことができる。または、ス
ピンコート法、ディップ法、液滴吐出法(インクジェット法など)、印刷法(スクリーン
印刷、オフセット印刷など)、ドクターナイフ法、ロールコーター法、またはカーテンコ
ーター法などを用いて行うことができる。本実施の形態では、絶縁体280として、CV
D法によって酸化窒化シリコンを成膜する。
【0294】
なお、絶縁体280は、上面が平坦性を有するように形成することが好ましい。例えば
、絶縁体280は、成膜した直後に上面が平坦性を有していてもよい。または、例えば、
絶縁体280は、成膜後に基板裏面などの基準面と平行になるよう絶縁体などを上面から
除去していくことで平坦性を有してもよい。このような処理を、平坦化処理と呼ぶ。平坦
化処理としては、CMP処理、ドライエッチング処理などがある。本実施の形態では、平
坦化処理として、CMP処理を用いる。ただし、絶縁体280の上面は必ずしも平坦性を
有さなくてもよい。
【0295】
次に、絶縁体280上に、導電体246Aを形成する。なお、導電体246Aは、後工
程において、絶縁体280、絶縁体273A、絶縁体244A、および導電体242Bを
エッチングする際のハードマスクとして機能すればよく、必ずしも導電性を有する必要は
ない。ハードマスクとして機能するならば、絶縁体280上に、246Aとして絶縁体を
形成してもよい。
【0296】
次に、導電体246Aを、リソグラフィー法を用いて加工し、ハードマスクとして機能
する導電体246を形成する(図7参照。)。
【0297】
次に、導電体246をハードマスクとして用いて、少なくとも導電体205と重なる領
域を有するように、絶縁体280に対して加工処理を行い、開口245を形成する(図7
参照。)。開口の形成にはウエットエッチング法を用いてもよいが、微細加工が可能な点
、また絶縁体280の側面を絶縁体222、または絶縁体280の表面に対して概略垂直
に加工できる点からドライエッチング法を用いるほうが好ましい。絶縁体280の側面を
絶縁体222、または絶縁体280の表面に対して概略垂直に加工し、後工程にて、絶縁
体280の側面にサイドウォールとして機能する絶縁体273を設ける。
【0298】
次に、開口245内部、および導電体246上に絶縁体273Aを形成する(図8参照
。)。絶縁体273Aは、ハフニウム、アルミニウム、ガリウム、イットリウム、ジルコ
ニウム、タングステン、チタン、タンタル、ニッケル、ゲルマニウム、または、マグネシ
ウムなどから選ばれた一種、または二種以上が含まれた金属酸化物を用いることができる
。また、シリコンの窒化物や、酸素を含むシリコンの窒化物、すなわち、窒化シリコンや
、窒化酸化シリコンなどを用い、スパッタリング法、CVD法、MBE法、PLD法、ま
たはALD法などを用いて形成することができる。
【0299】
また、絶縁体273Aは、後工程の加工によりサイドウォールとして機能する絶縁体2
73となる。絶縁体273Aの膜厚に応じて、サイドウォールの幅が決まる。絶縁体27
3Aの膜厚は、5nm以上30nm以下、好ましくは、5nm以上15nm以下とする。
この場合、形成されるサイドウォールの幅は、5nm以上30nm以下、または、5nm
以上15nm以下とすることができる。
【0300】
次に、絶縁体273Aを異方性エッチングにより加工し、サイドウォールとして機能す
る絶縁体273を形成する(図9参照。)。該異方性エッチングには、ドライエッチング
を用いることが好ましい。
【0301】
次に、絶縁体273をマスクとして用い、絶縁体244A、および導電体242Bを加
工し、絶縁体244、および導電体242(導電体242a、および導電体242b)を
形成する(図10参照。)。該加工には、異方性エッチングが可能なドライエッチングを
用いることが好ましい。該加工により、酸化物230aの側面、酸化物230bの上面と
側面、および絶縁体226の表面の一部が露出する。また、該加工により絶縁体226の
一部がエッチングされる場合がある。また、導電体242a、および導電体242bが互
いに向かい合う面の断面は、絶縁体222、または絶縁体280の表面に対してテーパー
形状を有する場合がある。一方、該断面は絶縁体222、または絶縁体280の表面に対
して概略垂直形状を有していてもよい。
【0302】
なお、後工程にて形成される導電体260は、絶縁体273の間、すなわち導電体24
2aと導電体242bの間に自己整合的に配置される。
【0303】
ここで、加熱処理を行うことが好ましい。加熱処理は、250℃以上650℃以下、好
ましくは300℃以上500℃以下、さらに好ましくは320℃以上450℃以下で行え
ばよい。なお、加熱処理は、窒素または不活性ガス雰囲気で行う。一方、導電体242が
耐酸化性を有する導電体の場合、該加熱処理を、酸素を含む雰囲気で行ってもよい。また
、加熱処理は減圧状態で行ってもよい。例えば、加熱処理として、窒素雰囲気にて400
℃の温度で1時間の処理を行う。
【0304】
該加熱処理により、酸化物230a、および酸化物230bに含まれる水素や水などの
不純物を除去することができる。また、上記加工におけるドライエッチングにて酸化物2
30a、または酸化物230bに生じたダメージを回復することができる。また、酸素を
含む雰囲気で加熱処理を行った場合、酸化物230a、および酸化物230bに酸素を添
加することができる。
【0305】
また、上記加熱処理により、導電体242から、導電体242に含まれる金属元素が酸
化物230bへ拡散し、酸化物230bに金属元素が添加される場合がある。また、酸化
物230bの導電体242との界面近傍における酸素が導電体242に吸収される場合が
ある。その結果、酸化物230bの導電体242との界面近傍が金属化合物となり、低抵
抗化する。なお、その際、酸化物230bの一部と、上述した金属元素とが、合金化して
もよい。酸化物230bの一部と金属元素が、合金化することで、酸化物230bに添加
された金属元素は、比較的安定な状態となるため、信頼性の高い半導体装置を提供するこ
とができる。なお、図10(B)では、酸化物230bの上記低抵抗化領域の一例として
、点線にて領域243a、および領域243bを示している。
【0306】
領域243a、および領域243bは、酸化物230bの導電体242近傍において、
深さ方向、および水平方向に拡散するように設けられる例を示しているが、本発明はこれ
に限らない。領域243a、および領域243bは、深さ方向において、酸化物230b
の全体に形成されていてもよいし、酸化物230aに形成されていてもよい。また、領域
243a、および領域243bは、水平方向において、導電体242から水平方向に拡散
した領域(図2に示す領域231、および領域232)に形成される例を示しているが、
本発明はこれに限らない。領域243a、および領域243bは、導電体242と重なる
領域(領域231)のみに形成されてもよいし、後工程で形成される導電体260の一部
と重なる領域(領域234の一部)にも形成されてもよい。
【0307】
また、酸化物230中の水素は、図2で示した、領域231に拡散し、領域231に存
在する酸素欠損の中に入った場合、比較的安定な状態となる。また、領域234に存在す
る酸素欠損中の水素は、250℃以上の熱処理によって、酸素欠損から抜け出し、領域2
31に拡散し、領域231に存在する酸素欠損の中に入り、比較的安定な状態となる。し
たがって、熱処理によって、領域231は、より低抵抗化し、領域234は、高純度化(
水、水素などの不純物の低減)し、より高抵抗化する。
【0308】
また、窒素または不活性ガス雰囲気で加熱処理した後に、酸化性ガスを10ppm以上
、1%以上、または10%以上含む雰囲気で加熱処理を行ってもよい。加熱処理は、25
0℃以上650℃以下、好ましくは300℃以上500℃以下、さらに好ましくは320
℃以上450℃以下で行えばよい。
【0309】
なお、導電膜242Aの成膜後、または、導電体242の形成後の加熱処理において、
導電膜242Aまたは導電体242に、酸化物230の領域231の酸素が吸収されるこ
とで、領域231に酸素欠損が生じる場合がある。酸化物230中の水素が、当該酸素欠
損に入ることで、領域231のキャリア密度は、増加する。したがって、酸化物230の
領域231は、n型となり、低抵抗化される。
【0310】
領域231の酸素濃度は、領域234の酸素濃度より低い場合がある。また、領域232
の酸素濃度は、領域231の酸素濃度以上、領域234の酸素濃度以下となる場合がある
。また、領域231の水素濃度は、領域234の水素濃度より高い場合がある。また、領
域232の水素濃度は、領域234の水素濃度以上、領域231の水素濃度以下となる場
合がある。
【0311】
次に、酸化物230aの側面、酸化物230bの上面、および側面、導電体242の側
面、絶縁体273の側面と接する領域を有するように、導電体246上に酸化物230c
となる酸化膜230Cを成膜する(図11参照)。
【0312】
酸化膜230Cの成膜は、スパッタリング法、CVD法、MBE法、PLD法、または
ALD法などを用いて行うことができる。酸化物230cに求める特性に合わせて、酸化
膜230A、または酸化膜230Bと同様の成膜方法を用いて、酸化膜230Cを成膜す
ればよい。本実施の形態では、酸化膜230Cとして、スパッタリング法によって、In
:Ga:Zn=1:3:4[原子数比]のターゲットを用いて成膜する。
【0313】
続いて、酸化膜230C上に、絶縁体250Aを成膜する(図11参照。)。
【0314】
絶縁体250Aは、スパッタリング法、CVD法、MBE法、PLD法、またはALD
法などを用いて成膜することができる。絶縁体250Aとして、CVD法により、酸化窒
化シリコンを成膜することが好ましい。なお、絶縁体250Aを成膜する際の成膜温度は
、350℃以上450℃未満、特に400℃前後とすることが好ましい。絶縁体250A
を、400℃で成膜することで、不純物が少ない絶縁体を成膜することができる。
【0315】
なお、マイクロ波で酸素を励起し、高密度な酸素プラズマを発生させ、当該酸素プラズ
マに絶縁体250Aを曝すことで、絶縁体250A、へ酸素を導入することができる。
【0316】
また、加熱処理を行ってもよい。加熱処理は、前述の加熱処理条件を用いることができ
る。当該加熱処理によって、絶縁体250Aの水分濃度および水素濃度を低減させること
ができる。
【0317】
ここで、導電体242と、後工程で形成される導電体260は、寄生容量を形成し得る
。すなわち、導電体242の側面に設けられる絶縁膜は、該寄生容量の誘電体として機能
し得る。一方、該絶縁膜は、トランジスタ200のゲート絶縁体として機能するため、2
0nm以下、好ましくは10nm以下、より好ましくは5nm以下の薄膜で形成するのが
好ましい。導電体242の側面に設けられる絶縁膜を、上記寄生容量が無視できる程度に
厚くするためには、少なくとも導電体242の側面において絶縁膜を2層以上の積層構造
とするのが好ましい。
【0318】
そこで、絶縁体250Aに対して異方性エッチングを行い、導電体242の側面、およ
び絶縁体273の側面に、酸化膜230Cを介して絶縁体250Bを形成するのが好まし
い(図12参照)。
【0319】
次に、酸化膜230C、および絶縁体250Bを覆うように絶縁体250Cを形成する
図13参照)。絶縁体250Cは、絶縁体250Aと同様の装置を用いて、同様の材料
にて形成することができる。上記工程により、酸化物230b上方には、絶縁体250C
が設けられ、導電体242の側面には、絶縁体250B、および絶縁体250Cを設ける
ことができる。すなわち、導電体242の側面に、酸化物230b上方の絶縁体より厚い
絶縁体を設けることができる。
【0320】
次に、図13に示すように、絶縁体272Aを形成することが好ましい。絶縁体272
Aとして、絶縁性バリアを用いることで、後工程で形成される、ゲート電極として機能す
る導電体260の酸化を抑制することが可能となる。一方、導電体260が耐酸化性材料
により形成されている場合、または、酸素を吸収しても導電性が著しく低下しない材料で
ある場合は、絶縁体272Aは必ずしも設ける必要は無い。絶縁体272Aは、絶縁体2
44Aと同様の装置を用いて、同様の材料にて形成することができる。
【0321】
ここで、絶縁体272Aを成膜する手段として、スパッタリング装置を用いて、酸素ガ
ス雰囲気下で成膜を行うことで、絶縁体272Aを成膜しながら、絶縁体250B、およ
び絶縁体250Cに酸素を導入することができる。また、絶縁体272Aに、バリア性を
有するアルミニウムおよびハフニウムの一方または双方の酸化物を用いることで、絶縁体
250B、および絶縁体250Cに導入した過剰酸素を、効果的に封じ込めることができ
る。
【0322】
続いて、導電膜260A、および導電膜260Bを順次成膜する(図13参照。)。導
電膜260A、および導電膜260Bは、スパッタリング法、CVD法、MBE法、PL
D法、またはALD法などを用いて成膜することができる。導電膜260Aとして、窒化
チタンを成膜し、導電膜260Bとして、タングステンを成膜してもよい。
【0323】
導電膜260Aとして、CVD法、またはスパッタリング法により、金属窒化物を形成
するとよい。導電膜260Aに金属窒化物を用いることにより、絶縁体250Cが有する
酸素により、導電膜260Bが酸化して導電率が低下することを防ぐことができる。
【0324】
また、導電膜260Bとして、低抵抗の金属膜を積層することで、駆動電圧が小さなト
ランジスタを提供することができる。
【0325】
続いて、加熱処理を行うことができる。加熱処理は、前述の加熱処理条件を用いること
ができる。なお、加熱処理は行わなくてもよい場合がある。本加熱処理によって、絶縁体
272Aから、絶縁体250Aに過剰酸素が添加され、絶縁体250Aに過剰酸素領域を
容易に形成することができる。また、本加熱処理により、酸化物230bに低抵抗領域(
領域243)が形成される場合がある。
【0326】
次に、導電膜260Bを加工して平坦化処理を行い、導電体260Cを形成する(図1
4参照。)。平坦化処理には、CMP法を用いて、導電膜260Bを研磨する方法や、エ
ッチバック法を用いる方法などがある。図14では、導電膜260Bを導電膜260Aが
露出するまで加工する例を示しているが、本発明はこれに限らない。導電膜260Bの表
面が平坦性を有していれば導電膜260Aが露出する前に平坦化処理を終了してもよいし
、導電膜260Aを絶縁体272Aが露出するまで加工してもよい。
【0327】
次に、導電体260C、および導電膜260Aを加工して、導電体260(導電体26
0a、および導電体260b)を形成する(図15参照。)。導電体260C、および導
電膜260Aの加工には、ドライエッチングや、ウエットエッチングを用いることができ
る。該加工は、導電体260の上面が、絶縁体280の上面よりも低くなるまで行うこと
が好ましい。
【0328】
このとき、導電体260は、少なくとも一部が、導電体205、酸化物230a、およ
び酸化物230bと重なるように形成される。導電体260のチャネル長方向の幅は、絶
縁体280に設けられる開口245の幅と、絶縁体273の幅と、酸化膜230Cの厚さ
と、絶縁体250Bの厚さと、絶縁体250Cの厚さと、絶縁体272Aの厚さにより、
決定される。トランジスタ200、または半導体装置に要求される性能に応じて、上記の
幅や厚さを調整し、所望の幅を有する導電体260を形成することができる。
【0329】
このようにして、導電体260は、絶縁体280の開口の中の、絶縁体273に挟まれた
領域、および導電体242aと導電体242bに挟まれた領域に、埋め込まれるように形
成される。導電体260の形成は、リソグラフィー法を用いることなく自己整合的に行わ
れるので、導電体260の位置合わせのマージンを設ける必要がない。よって、トランジ
スタ200の占有面積の縮小を図り、半導体装置の微細化、高集積化を図ることができる
。また、リソグラフィー工程が不要となるので工程簡略化による生産性の向上が見込まれ
る。
【0330】
また、半導体装置を微細化するに当たり、ゲート長を短くすることが求められるが、導電
体260の導電性が下がらないようにする必要がある。そのために導電体260の膜厚を
大きくすると、導電体260はアスペクト比が高い形状となりうる。本実施の形態では、
導電体260を絶縁体280の開口に埋め込むように設けるため、導電体260をアスペ
クト比の高い形状にしても、工程中に導電体260を倒壊させることなく、形成すること
ができる。
【0331】
次に、絶縁体272A、絶縁体250C、絶縁体250B、酸化膜230Cを順次加工
して、絶縁体272、絶縁体250(絶縁体250a、絶縁体250b)、および酸化物
230cを形成する(図16参照。)。上記加工には、ドライエッチングや、ウエットエ
ッチングを用いることができる。該加工により、絶縁体272、絶縁体250、および酸
化物230cの上面は、導電体260の上面と概略一致することが好ましい。
【0332】
次に、少なくとも導電体260、絶縁体272、絶縁体250、および酸化物230c
を覆い、かつ絶縁体273と接するように絶縁体270Aを形成する(図17参照。)。
絶縁体270Aは、ハフニウム、アルミニウム、ガリウム、イットリウム、ジルコニウム
、タングステン、チタン、タンタル、ニッケル、ゲルマニウム、または、マグネシウムな
どから選ばれた一種、または二種以上が含まれた金属酸化物を用いることができる。また
、シリコンの窒化物や、酸素を含むシリコンの窒化物、すなわち、窒化シリコンや、窒化
酸化シリコンなどを用い、スパッタリング法、CVD法、MBE法、PLD法、またはA
LD法などを用いて形成することができる。
【0333】
次に、絶縁体270Aを、絶縁体280が露出するまで研磨し、絶縁体270を形成す
る(図18参照。)。上記研磨には、CMP法を用いることができる。絶縁体270は、
導電体260上で、エッチングストッパとして機能する。本工程により、導電体260は
、上面および側面が絶縁体273、および絶縁体270に囲われる。
【0334】
ここで、加熱処理を行ってもよい。加熱処理は、前述の加熱処理条件を用いることがで
きる。当該加熱処理によって、絶縁体250などの絶縁体が有する酸素を酸化物230に
供給することができる。また、酸化物230c、絶縁体250、絶縁体272、導電体2
60、または絶縁体270の形成による酸化物230bのダメージを回復することができ
る。また、本加熱処理により、酸化物230bに低抵抗領域(領域243)が形成される
場合がある。
【0335】
以上の方法により、絶縁体250の、導電体242と導電体260の間の膜厚を、酸化
物230bと導電体260の間の膜厚より厚くすることができる。これにより、導電体2
60と導電体242の間の寄生容量を低減し、高い周波数特性を有するトランジスタ20
0を提供することができる。
【0336】
なお、本実施の形態では、絶縁体250を絶縁体250aと絶縁体250bを用いて作製
する方法を示したが、本実施の形態に示す半導体装置の作製方法はこれに限られるもので
はない。例えば、図12に示す工程の異方性エッチングにおいて、絶縁体250Aの開口
245の底部に当たる領域を完全に除去するのではなく、当該領域の膜厚を薄くする程度
にすればよい。これにより、絶縁体250Aだけで、酸化物230bと導電体260の間
の膜厚が導電体242と導電体260の間の膜厚より薄い絶縁体250を形成することが
できる。
【0337】
また、本実施の形態において、絶縁体250に絶縁体250aと絶縁体250bの2層を
用いたが、トランジスタ200の構成はこれに限られるものではない。導電体242と、
導電体260の間に位置する絶縁体250の積層数を、酸化物230bと、導電体260
の間に位置する絶縁体250の積層数より多くするなら、絶縁体250が3層以上で構成
されていてもよい。
【0338】
次に、絶縁体280、絶縁体270、および絶縁体273を覆うように絶縁体281を
形成する(図19参照。)。絶縁体281は、絶縁体280と同様の装置を用い、同様の
材料を用いて形成することができる。例えば、CVD法を用いて、酸化窒化シリコンを含
む絶縁体281を形成する。
【0339】
次に、絶縁体281、絶縁体280、および絶縁体244を、リソグラフィー法を用い
て加工し、導電体242に達する開口を形成する(図19参照。)。開口を形成する際、
マスクが有する開口パターンの一部は、絶縁体273と重なるように設けることで、開口
部と導電体260の距離を小さくでき、半導体装置の集積度が向上するため好ましい。こ
のとき、絶縁体281、および絶縁体280のエッチングレートに対して、絶縁体273
、および絶縁体270のエッチングレートが十分に小さいことが好ましい。
【0340】
開口の形成において、絶縁体273、および絶縁体270のエッチングレートが十分に
小さいため、開口パターン内に絶縁体273、および絶縁体270が存在しても該絶縁体
のエッチングの進行は抑制され、開口は、絶縁体273の側面に沿って形成される。この
ように、絶縁体273、および絶縁体270をそれぞれサイドウォール、およびエッチン
グストッパとして形成されるコンタクトを、セルフアラインコンタクト(SAC)、SA
Cを形成する工程を、SACプロセスと呼ぶことがある。
【0341】
次に、開口に埋め込むように導電体240(導電体240a、および導電体240b)
を形成して、図1に示すトランジスタ200を形成することができる。
【0342】
本実施の形態において、開口の形成にSACプロセスを用いているため、導電体260
と導電体240の間隔は、一定に保たれる。
【0343】
以上により、トランジスタ200を有する半導体装置を作製することができる。図4
図19に示すように、本実施の形態に示す半導体装置の作製方法を用いることで、トラ
ンジスタ200を作成することができる。
【0344】
本発明の一態様により、良好な電気特性を有する半導体装置を提供することができる。
または、本発明の一態様により、オフ電流の小さい半導体装置を提供することができる。
または、本発明の一態様により、オン電流の大きい半導体装置を提供することができる。
または、本発明の一態様により、信頼性の高い半導体装置を提供することができる。また
は、本発明の一態様により、微細化または高集積化が可能な半導体装置を提供することが
できる。または、本発明の一態様により、消費電力が低減された半導体装置を提供するこ
とができる。または、本発明の一態様により、生産性の高い半導体装置を提供することが
できる。
【0345】
以上、本実施の形態に示す構成、方法などは、他の実施の形態に示す構成、方法などと
適宜組み合わせて用いることができる。
【0346】
<半導体装置の変形例1>
以下では、図20を用いて、先の<半導体装置の構成例>で示したものとは異なる、本
発明の一態様に係るトランジスタ200を有する半導体装置の一例について説明する。
【0347】
図20(A)は、トランジスタ200a、およびトランジスタ200bを直列に接続し
た半導体装置の断面図である。ここで、トランジスタ200a、およびトランジスタ20
0bは、両方とも酸化物230により構成されており、トランジスタ200aのソースお
よびドレインの一方と、トランジスタ200bのソースおよびドレインの一方は、導電体
240と電気的に接続している。これにより、トランジスタ200aおよびトランジスタ
200bのコンタクト部が共有され、プラグとコンタクトホールの数を低減することがで
きる。このように、ソースおよびドレインの一方と電気的に接続する配線を共有すること
で、メモリセルアレイの占有面積をさらに縮小することができる。
【0348】
なお、図20に示す半導体装置において、<半導体装置の構成例>に示した半導体装置
図1参照。)を構成する構造と同機能を有する構造には、同符号を付記する。
【0349】
トランジスタ200a、およびトランジスタ200bは、導電体242bを共有してお
り、トランジスタ200aが有する絶縁体273と、トランジスタ200bが有する絶縁
体273と、重ならない領域において、自己整合的に導電体240bと電気的に接続して
いる。
【0350】
図20(B)は、導電体242の一部を露出する開口を形成する際、リソグラフィー法
におけるマスクのアライメントが、A1方向にずれてしまった場合の例を示している。導
電体242bとのコンタクトは、自己整合的に形成されるため、図20(B)のようにマ
スクのアライメントがずれたとしても、導電体242bと導電体240bとの接触面積は
図20(A)で示した導電体242bと導電体240bとの接触面積と等しく、コンタ
クト抵抗の増加は起こらない。
【0351】
<半導体装置の変形例2>
以下では、図21を用いて、先の<半導体装置の構成例>で示したものとは異なる、本
発明の一態様に係るトランジスタ200を有する半導体装置の一例について説明する。
【0352】
図21(A)は、トランジスタ200を有する半導体装置の上面図である。また、図2
1(B)、および図21(C)は、当該半導体装置の断面図である。ここで、図21(B
)は、図21(A)にA1-A2の一点鎖線で示す部位の断面図であり、トランジスタ2
00のチャネル長方向の断面図でもある。また、図21(C)は、図21(A)にA3-
A4の一点鎖線で示す部位の断面図であり、トランジスタ200のチャネル幅方向の断面
図でもある。なお、図21(A)の上面図では、図の明瞭化のために一部の要素を省いて
図示している。
【0353】
なお、図21に示す半導体装置において、<半導体装置の構成例>に示した半導体装置
図1参照。)を構成する構造と同機能を有する構造には、同符号を付記する。
【0354】
以下、トランジスタ200の構成について、それぞれ図21を用いて説明する。なお、
本項目においても、トランジスタ200の構成材料については<半導体装置の構成例>で
詳細に説明した材料を用いることができる。
【0355】
図21に示す半導体装置は、<半導体装置の構成例>に示した半導体装置(図1参照。
)とは、導電体242と、酸化物230cとの間に、絶縁体252が設けられている点が
異なる。また、絶縁体252は、絶縁体244と、酸化物230cとの間、絶縁体273
と、酸化物230cとの間にも延伸して設けられ、絶縁体270の底部と接することが好
ましい。また、絶縁体252を設けることで、導電体260と導電体242の距離を離す
ことができ、該導電体間の寄生容量を低減できるため好ましい。この場合、絶縁体250
の膜厚は、酸化物230bと導電体260の間と、導電体242と導電体260の間と、
で概略等しくてもよく、酸化物230bと導電体260の間と、導電体242と導電体2
60の間と、で絶縁体250の膜構成や、積層構造を変える必要はない。
【0356】
なお、絶縁体252は、絶縁体222、絶縁体226、絶縁体244、絶縁体272、
または絶縁体270と同様の材料を用いることができる。特に、アルミニウム、およびハ
フニウムの一方を含む酸化物を用いることが好ましい。絶縁体252を設けることで、導
電体242の側面における酸素の吸収や、酸化による導電性の低下を抑制することができ
るため、好ましい。
【0357】
絶縁体252は、図10に示す、導電体242a、および導電体242bの形成後、酸
化膜230Cの形成前に、絶縁体252となる絶縁膜を形成し、該絶縁膜に対して異方性
エッチングを行うことで、導電体242、絶縁体244、および絶縁体273の側面に形
成される。
【0358】
<半導体装置の変形例3>
以下では、図22を用いて、先の<半導体装置の構成例>で示したものとは異なる、本
発明の一態様に係るトランジスタ200を有する半導体装置の一例について説明する。
【0359】
図22(A)は、トランジスタ200を有する半導体装置の上面図である。また、図2
2(B)、および図22(C)は、当該半導体装置の断面図である。ここで、図22(B
)は、図22(A)にA1-A2の一点鎖線で示す部位の断面図であり、トランジスタ2
00のチャネル長方向の断面図でもある。また、図22(C)は、図22(A)にA3-
A4の一点鎖線で示す部位の断面図であり、トランジスタ200のチャネル幅方向の断面
図でもある。なお、図22(A)の上面図では、図の明瞭化のために一部の要素を省いて
図示している。
【0360】
なお、図22に示す半導体装置において、<半導体装置の構成例>に示した半導体装置
図1参照。)を構成する構造と同機能を有する構造には、同符号を付記する。
【0361】
以下、トランジスタ200の構成について、それぞれ図22を用いて説明する。なお、
本項目においても、トランジスタ200の構成材料については<半導体装置の構成例>で
詳細に説明した材料を用いることができる。
【0362】
図22に示す半導体装置は、<半導体装置の構成例>に示した半導体装置(図1参照。
)とは、トランジスタ200が酸化物230cを有さない点が異なる。トランジスタ20
0を有する半導体装置が求める特性次第で、酸化物230cは設けなくてもよい。
【0363】
この場合、絶縁体280に形成された開口245に対して、導電体260のA1-A2
方向の幅が大きくなる。このため、開口245の大きさや、絶縁体273Aの膜厚により
、導電体260の幅を調整してもよい(図7乃至図8参照)。
【0364】
<半導体装置の変形例4>
以下では、図23を用いて、先の<半導体装置の構成例>で示したものとは異なる、本
発明の一態様に係るトランジスタ200を有する半導体装置の一例について説明する。
【0365】
図23(A)は、トランジスタ200を有する半導体装置の上面図である。また、図2
3(B)、および図23(C)は、当該半導体装置の断面図である。ここで、図23(B
)は、図23(A)にA1-A2の一点鎖線で示す部位の断面図であり、トランジスタ2
00のチャネル長方向の断面図でもある。また、図23(C)は、図23(A)にA3-
A4の一点鎖線で示す部位の断面図であり、トランジスタ200のチャネル幅方向の断面
図でもある。なお、図23(A)の上面図では、図の明瞭化のために一部の要素を省いて
図示している。
【0366】
なお、図23に示す半導体装置において、<半導体装置の構成例>に示した半導体装置
図1参照。)を構成する構造と同機能を有する構造には、同符号を付記する。
【0367】
以下、トランジスタ200の構成について、それぞれ図23を用いて説明する。なお、
本項目においても、トランジスタ200の構成材料については<半導体装置の構成例>で
詳細に説明した材料を用いることができる。
【0368】
図23に示す半導体装置は、<半導体装置の構成例>に示した半導体装置(図1参照。
)とは、トランジスタ200が絶縁体244を有さない点が異なる。絶縁体244は、少
なくとも酸素の透過を抑制する機能を有し、導電体242の酸化を抑制している。一方、
導電体242が酸素を吸収しにくい材料、または酸素を吸収しても導電性の著しい低下が
ない材料の場合は、図23に示すように、絶縁体244を設けなくてもよい。
【0369】
この場合、図10に示す絶縁体244Aのエッチングや、図19に示す導電体242を
露出する開口の形成における、絶縁体244のエッチングが不要となるため、工程を簡略
化できる。
【0370】
酸素を吸収しにくい材料、または酸素を吸収しても導電性の著しい低下がない材料とし
て、窒化タンタル、窒化チタン、チタンとアルミニウムを含む窒化物、タンタルとアルミ
ニウムを含む窒化物、酸化ルテニウム、窒化ルテニウム、ストロンチウムとルテニウムを
含む酸化物、ランタンとニッケルを含む酸化物などを用いることができる。
【0371】
以上、本実施の形態に示す構成、構造、方法などは、他の実施の形態に示す構成、構造
、方法などと適宜組み合わせて用いることができる。
【0372】
(実施の形態2)
本実施の形態では、上記実施の形態とは異なる、記憶装置として機能する半導体装置の
一形態を、図24乃至図27を用いて説明する。
【0373】
<記憶装置1>
図24(A)(B)に記憶装置を構成するセル600を示す。セル600は、トランジ
スタ200a、トランジスタ200b、容量素子100a、および容量素子100bを有
している。図24(A)は、セル600の上面図である。また、図24(B)は、図24
(A)にA1-A2の一点鎖線で示す部位の断面図である。なお、図24(A)の上面図
では、図の明瞭化のために一部の要素を省いて図示している。
【0374】
セル600は、トランジスタ200aおよびトランジスタ200bを有し、トランジスタ
200aの上に重畳して容量素子100aを有し、トランジスタ200bの上に重畳して
容量素子100bを有する。セル600では、トランジスタ200aとトランジスタ20
0b、および容量素子100aと容量素子100bは、線対称に配置される場合がある。
よって、トランジスタ200aとトランジスタ200bは同様の構成を有することが好ま
しく、容量素子100aと容量素子100bは同様の構成を有することが好ましい。
【0375】
トランジスタ200aおよびトランジスタ200b上の絶縁体281の上に絶縁体130
を有し、絶縁体130の上に絶縁体150を有する。ここで、絶縁体150は、絶縁体2
81に用いることができる絶縁体を用いればよい。
【0376】
さらに、絶縁体150の上に導電体160を有する。また、絶縁体280、絶縁体281
、絶縁体130、および絶縁体150に形成された開口に埋め込まれるように導電体24
0が設けられる。導電体240の下面は導電体242bと接し、導電体240の上面は導
電体160と接している。また、導電体240は、絶縁体273の上面、および側面に接
して、導電体242bと電気的に接続している。
【0377】
トランジスタ200aおよびトランジスタ200bは、上記実施の形態に示すトランジス
タ200を用いることができる。よって、トランジスタ200aおよびトランジスタ20
0bの構成については、上記トランジスタ200の記載を参酌することができる。また、
図24(A)(B)において、トランジスタ200a、トランジスタ200bの要素の符
号は省略している。なお、図24(A)(B)に示すトランジスタ200aおよびトラン
ジスタ200bは一例であり、その構造に限定されず、回路構成や駆動方法に応じて適切
なトランジスタを用いればよい。
【0378】
トランジスタ200aとトランジスタ200bは、両方とも酸化物230により構成され
ており、トランジスタ200aのソースおよびドレインの一方と、トランジスタ200b
のソースおよびドレインの一方は、いずれも導電体242bと接している。よって、トラ
ンジスタ200aのソースおよびドレインの一方と、トランジスタ200bのソースおよ
びドレインの一方は、導電体240と電気的に接続している。これにより、トランジスタ
200aおよびトランジスタ200bのコンタクト部が共有され、プラグとコンタクトホ
ールの数を低減することができる。このように、ソースおよびドレインの一方と電気的に
接続する配線を共有することで、メモリセルアレイの占有面積をさらに縮小することがで
きる。
【0379】
[容量素子100aおよび容量素子100b]
図24(A)(B)に示すように、容量素子100aは、トランジスタ200aと重畳す
る領域に設ける。同様に、容量素子100bは、トランジスタ200bと重畳する領域に
設ける。なお、容量素子100bは、容量素子100aが有する構造と、それぞれ対応す
る構造を有する。以下において、容量素子100aの詳細な構造について説明するが、特
にことわりが無い限り容量素子100bについては、容量素子100aの説明を参酌する
ことができる。
【0380】
容量素子100aは、導電体110、絶縁体130、絶縁体130上の導電体120を有
する。ここで、導電体110および導電体120は、導電体203、導電体205、また
は導電体260などに用いることができる導電体を用いればよい。
【0381】
容量素子100aは、絶縁体244、絶縁体280、および絶縁体281が有する開口に
形成されている。当該開口の、底面、および側面において、下部電極として機能する導電
体110と、上部電極として機能する導電体120が、誘電体として機能する絶縁体13
0を挟んで対向する構成である。ここで、容量素子100aの導電体110は、トランジ
スタ200aの導電体242aに接して形成されている。
【0382】
ここで、絶縁体280、および絶縁体281が有する開口の深さを深くすることで、投影
面積は変わらず、容量素子100aの静電容量を大きくすることができる。従って、容量
素子100aは、シリンダー型(底面積よりも、側面積の方が大きい)とすることが好ま
しい。
【0383】
上記構成とすることで、容量素子100aの単位面積当たりの静電容量を大きくでき、半
導体装置の微細化または高集積化を推し進めることができる。また、絶縁体280、およ
び絶縁体281の膜厚により、容量素子100aの静電容量の値を、適宜設定することが
できる。従って、設計自由度が高い半導体装置を提供することができる。
【0384】
また、絶縁体130は、誘電率の大きい絶縁体を用いることが好ましい。例えば、アルミ
ニウム及びハフニウムの一方または双方の酸化物を含む絶縁体を用いることができる。ア
ルミニウム及びハフニウムの一方または双方の酸化物を含む絶縁体として、酸化アルミニ
ウム、酸化ハフニウム、アルミニウムおよびハフニウムを含む酸化物(ハフニウムアルミ
ネート)などを用いることが好ましい。
【0385】
また、絶縁体130は、積層構造であってもよく、例えば、酸化シリコン、酸化窒化シリ
コン、窒化酸化シリコン、窒化シリコン、酸化アルミニウム、酸化ハフニウム、アルミニ
ウムおよびハフニウムを含む酸化物(ハフニウムアルミネート)などから、2層以上を選
び積層構造としても良い。例えば、ALD法によって、酸化ハフニウム、酸化アルミニウ
ムおよび酸化ハフニウムを順に成膜し、積層構造とすることが好ましい。酸化ハフニウム
および酸化アルミニウムの膜厚は、それぞれ、0.5nm以上5nm以下とする。このよ
うな積層構造とすることで、容量値が大きく、かつ、リーク電流の小さな容量素子100
aとすることができる。
【0386】
なお、導電体110、または導電体120は、積層構造であってもよい。例えば、導電体
110、または導電体120は、チタン、窒化チタン、タンタル、または窒化タンタルを
主成分とする導電性材料と、タングステン、銅、またはアルミニウムを主成分とする導電
性材料と、の積層構造としてもよい。また、導電体110、または導電体120は、単層
構造としてもよいし、3層以上の積層構造としてもよい。
【0387】
また、容量素子100aを形成する開口において、導電体120の内側に絶縁体140を
形成することが好ましい。ここで、絶縁体140は、絶縁体281に用いることができる
絶縁体を用いればよい。また、絶縁体140の上面は、導電体120の上面と概略面一で
あることが好ましい。ただし、これに限られず、例えば、導電体120の膜厚を大きくし
て開口を埋めてもよいし、導電体120の内側に開口が形成された状態で、絶縁体150
を成膜して当該開口を埋めてもよい。
【0388】
[セルアレイの構造]
次に、上記のセルを行列またはマトリクス状に配置した、セルアレイの一例について、図
25乃至図27を用いて説明する。
【0389】
図25は、図24に示すセルを、マトリクス状に配置した一形態を示す回路図である。図
26は、図25に示す回路図のセル600と、セル600に隣接するセル601の近傍の
断面構造を示す模式図である。図27は、図25に示す回路図の配線WL、配線BL、お
よび酸化物230のレイアウトを示した模式図である。図25乃至図27では、配線BL
の延伸方向をx方向とし、配線WLの延伸方向をy方向とし、xy平面に垂直な方向をz
方向とする。なお、図25および図27では、セルを3×3個配置する例を示しているが
、本実施の形態はこれに限られることなく、セルアレイに含まれるメモリセルまたは配線
等の、個数及び配置は、適宜設定すればよい。また、図27の上面図では、図の明瞭化の
ために、図25に示す一部の要素を省いて図示している。
【0390】
図25に示すように、セルを構成するトランジスタ200aとトランジスタ200bのソ
ースおよびドレインの一方が共通の配線BL(BL01、BL02、BL03)と電気的
に接続する。また、当該配線BLは、x方向に配列されたセル600が有するトランジス
タ200aとトランジスタ200bのソースおよびドレインの一方とも電気的に接続する
。一方、セル600を構成する、トランジスタ200aの第1のゲートと、トランジスタ
200bの第1のゲートは、それぞれ異なる配線WL(WL01乃至WL06)と電気的
に接続する。また、これらの配線WLは、y方向に配列されたセル600が有する、トラ
ンジスタ200aの第1のゲートと、トランジスタ200bの第1のゲートと、それぞれ
電気的に接続する。
【0391】
また、セル600が有する、容量素子100aの一方の電極、および容量素子100bの
一方の電極は、配線PLと電気的に接続する。例えば、配線PLはy方向に延伸して形成
すればよい。
【0392】
また、各セル600が有するトランジスタ200aおよびトランジスタ200bには第2
のゲートBGが設けられていてもよい。第2のゲートBGに印加される電位により、トラ
ンジスタのしきい値を制御することができる。当該第2のゲートBGはトランジスタ40
0と接続されており、第2のゲートBGに印加される電位は、トランジスタ400によっ
て制御することができる。
【0393】
例えば、図26に示すように、導電体160をx方向に延伸させて配線BLとして機能さ
せ、導電体260をy方向に延伸させて配線WLとして機能させ、導電体120をy方向
に延伸させて配線PLとして機能させることができる。また、導電体203をy方向に延
伸させて第2のゲートBGに接続する配線として機能させることもできる。
【0394】
また、図26に示すように、セル600が有する容量素子100bの一方の電極として機
能する導電体120が、セル601が有する容量素子100aの一方の電極をも兼ねる構
成とすることが好ましい。また、図示しないが、セル600が有する容量素子100aの
一方の電極として機能する導電体120が、セル600の左側に隣接するセルの容量素子
の一方の電極を兼ねている。セル601の右側のセルについても同様の構成となっている
。従って、セルアレイを構成することができる。当該セルアレイの構成とすることで、隣
り合うセルの間隔を小さくすることができるので、セルアレイの投影面積を小さくするこ
とができ、高集積化が可能となる。
【0395】
また、図27に示すように、酸化物230および配線WLをマトリクス状に配置すること
で、図25に示す回路図の半導体装置を形成することができる。ここで、配線BLは、配
線WLおよび酸化物230とは異なる層に設けることが好ましい。特に、配線BLよりも
、下層に容量素子100a、および容量素子100bを設けることで、酸化物230の長
辺方向と、配線BLが、概略平行になるレイアウトを実現することができる。従って、セ
ルのレイアウトを単純化することができ、設計の自由度が向上し、工程コストを低減する
ことができる。
【0396】
また、図27では、酸化物230の長辺が配線WLの延伸方向と概略直交するように、酸
化物230および配線WLを設けたが、これに限られるものではない。例えば、酸化物2
30の長辺が配線WLの延伸方向と直交せず、酸化物230の長辺が配線WLの延伸方向
に対して傾けて配置されるレイアウトにしてもよい。好ましくは、酸化物230の長辺と
配線WLのなす角が、20°以上70°以下、好ましくは30°以上60°以下になるよ
うに、酸化物230と配線WLを設ければよい。
【0397】
また、当該セルアレイを平面のみでなく積層する構成としてもよい。複数のセルアレイを
積層することにより、セルアレイの専有面積を増やすことなく、セルを集積して配置する
ことができる。つまり、3Dセルアレイを構成することができる。
【0398】
以上のように、本発明の一態様により、微細化または高集積化が可能な半導体装置を提供
することができる。または、本発明の一態様により、良好な電気特性を有する半導体装置
を提供することができる。または、本発明の一態様により、オフ電流の小さい半導体装置
を提供することができる。または、本発明の一態様により、オン電流の大きい半導体装置
を提供することができる。または、本発明の一態様により、信頼性の高い半導体装置を提
供することができる。または、本発明の一態様により、消費電力が低減された半導体装置
を提供することができる。または、本発明の一態様により、生産性の高い半導体装置を提
供することができる。
【0399】
以上、本実施の形態に示す構成、方法などは、他の実施の形態に示す構成、方法などと適
宜組み合わせて用いることができる。
【0400】
(実施の形態3)
本実施の形態では、上記実施の形態とは異なる、記憶装置として機能する半導体装置の
一形態を、図28および図29を用いて説明する。
【0401】
<記憶装置2>
図28に示す記憶装置は、トランジスタ300と、トランジスタ200、および容量素
子100を有している。図28は、トランジスタ200およびトランジスタ300のチャ
ネル長方向の断面図である。図29には、トランジスタ300近傍のトランジスタ300
のチャネル幅方向の断面図を示す。
【0402】
トランジスタ200は、酸化物半導体を有する半導体層にチャネルが形成されるトラン
ジスタである。トランジスタ200は、オフ電流が小さいため、これを記憶装置に用いる
ことにより長期にわたり記憶内容を保持することが可能である。つまり、リフレッシュ動
作を必要としない、あるいは、リフレッシュ動作の頻度が極めて少ないため、記憶装置の
消費電力を十分に低減することができる。
【0403】
図28に示す記憶装置において、配線1001はトランジスタ300のソースと電気的
に接続され、配線1002はトランジスタ300のドレインと電気的に接続されている。
また、配線1003はトランジスタ200のソースおよびドレインの一方と電気的に接続
され、配線1004はトランジスタ200のトップゲートと電気的に接続され、配線10
06はトランジスタ200のボトムゲートと電気的に接続されている。そして、トランジ
スタ300のゲート、およびトランジスタ200のソースおよびドレインの他方は、容量
素子100の電極の一方と電気的に接続され、配線1005は容量素子100の電極の他
方と電気的に接続されている。
【0404】
図28に示す記憶装置は、トランジスタ300のゲートの電位が保持可能という特性を
有することで、以下に示すように、情報の書き込み、保持、読み出しが可能である。
【0405】
情報の書き込みおよび保持について説明する。まず、配線1004の電位を、トランジ
スタ200が導通状態となる電位にして、トランジスタ200を導通状態とする。これに
より、配線1003の電位が、トランジスタ300のゲート、および容量素子100の電
極の一方と電気的に接続するノードSNに与えられる。すなわち、トランジスタ300の
ゲートには、所定の電荷が与えられる(書き込み)。ここでは、異なる二つの電位レベル
を与える電荷(以下、Lowレベル電荷、Highレベル電荷という。)のどちらかが与
えられるものとする。その後、配線1004の電位を、トランジスタ200が非導通状態
となる電位にして、トランジスタ200を非導通状態とすることにより、ノードSNに電
荷が保持される(保持)。
【0406】
トランジスタ200のオフ電流が小さい場合、ノードSNの電荷は長期間にわたって保
持される。
【0407】
次に情報の読み出しについて説明する。配線1001に所定の電位(定電位)を与えた
状態で、配線1005に適切な電位(読み出し電位)を与えると、配線1002は、ノー
ドSNに保持された電荷量に応じた電位をとる。これは、トランジスタ300をnチャネ
ル型とすると、トランジスタ300のゲートにHighレベル電荷が与えられている場合
の見かけ上の閾値電圧Vth_Hは、トランジスタ300のゲートにLowレベル電荷が
与えられている場合の見かけ上の閾値電圧Vth_Lより低くなるためである。ここで、
見かけ上の閾値電圧とは、トランジスタ300を導通状態とするために必要な配線100
5の電位をいうものとする。したがって、配線1005の電位をVth_HとVth_L
の間の電位Vとすることにより、ノードSNに与えられた電荷を判別できる。例えば、
書き込みにおいて、ノードSNにHighレベル電荷が与えられていた場合には、配線1
005の電位がV(>Vth_H)となれば、トランジスタ300は導通状態となる。
一方、ノードSNにLowレベル電荷が与えられていた場合には、配線1005の電位が
(<Vth_L)となっても、トランジスタ300は非導通状態のままである。この
ため、配線1002の電位を判別することで、ノードSNに保持されている情報を読み出
すことができる。
【0408】
なお、メモリセルをアレイ状に配置する場合、読み出し時には、所望のメモリセルの情
報を読み出さなくてはならない。例えば、メモリセルアレイがNOR型の構成の場合、情
報を読み出さないメモリセルのトランジスタ300を非導通状態にすることで、所望のメ
モリセルの情報のみを読み出すことができる。この場合、ノードSNに与えられた電荷に
よらずトランジスタ300が非導通状態となるような電位、つまり、Vth_Hより低い
電位を、情報を読み出さないメモリセルと接続される配線1005に与えればよい。また
は、例えば、メモリセルアレイがNAND型の構成の場合、情報を読み出さないメモリセ
ルのトランジスタ300を導通状態にすることで、所望のメモリセルの情報のみを読み出
すことができる。この場合、ノードSNに与えられた電荷によらずトランジスタ300が
導通状態となるような電位、つまり、Vth_Lより高い電位を、情報を読み出さないメ
モリセルと接続される配線1005に与えればよい。
【0409】
<記憶装置2の構造>
本発明の一態様の記憶装置は、図28に示すようにトランジスタ300、トランジスタ
200、容量素子100を有する。トランジスタ200はトランジスタ300の上方に設
けられ、容量素子100はトランジスタ300、およびトランジスタ200の上方に設け
られている。
【0410】
トランジスタ300は、基板311上に設けられ、導電体316、絶縁体315、基板
311の一部からなる半導体領域313、およびソース領域またはドレイン領域として機
能する低抵抗領域314a、および低抵抗領域314bを有する。
【0411】
トランジスタ300は、図29に示すように、半導体領域313の上面およびチャネル
幅方向の側面が絶縁体315を介して導電体316に覆われている。このように、トラン
ジスタ300をFin型とすることにより、実効上のチャネル幅が増大することによりト
ランジスタ300のオン特性を向上させることができる。また、ゲート電極の電界の寄与
を高くすることができるため、トランジスタ300のオフ特性を向上させることができる
【0412】
トランジスタ300は、pチャネル型、あるいはnチャネル型のいずれでもよい。
【0413】
半導体領域313のチャネルが形成される領域、その近傍の領域、ソース領域、または
ドレイン領域となる低抵抗領域314a、および低抵抗領域314bなどにおいて、シリ
コン系半導体などの半導体を含むことが好ましく、単結晶シリコンを含むことが好ましい
。または、Ge(ゲルマニウム)、SiGe(シリコンゲルマニウム)、GaAs(ガリ
ウムヒ素)、GaAlAs(ガリウムアルミニウムヒ素)などを有する材料で形成しても
よい。結晶格子に応力を与え、格子間隔を変化させることで有効質量を制御したシリコン
を用いた構成としてもよい。またはGaAsとGaAlAs等を用いることで、トランジ
スタ300をHEMT(High Electron Mobility Transi
stor)としてもよい。
【0414】
低抵抗領域314a、および低抵抗領域314bは、半導体領域313に適用される半
導体材料に加え、ヒ素、リンなどのn型の導電性を付与する元素、またはホウ素などのp
型の導電性を付与する元素を含む。
【0415】
ゲート電極として機能する導電体316は、ヒ素、リンなどのn型の導電性を付与する
元素、もしくはホウ素などのp型の導電性を付与する元素を含むシリコンなどの半導体材
料、金属材料、合金材料、または金属酸化物材料などの導電性材料を用いることができる
【0416】
なお、導電体の材料により、仕事関数が定まるため、導電体の材料を変更することで、
トランジスタのVthを調整することができる。具体的には、導電体に窒化チタンや窒化
タンタルなどの材料を用いることが好ましい。さらに導電性と埋め込み性を両立するため
に導電体にタングステンやアルミニウムなどの金属材料を積層として用いることが好まし
く、特にタングステンを用いることが耐熱性の点で好ましい。
【0417】
なお、図28に示すトランジスタ300は一例であり、その構造に限定されず、回路構
成や駆動方法に応じて適切なトランジスタを用いればよい。
【0418】
トランジスタ300を覆って、絶縁体320、絶縁体322、絶縁体324、および絶
縁体326が順に積層して設けられている。
【0419】
絶縁体320、絶縁体322、絶縁体324、および絶縁体326として、例えば、酸
化シリコン、酸化窒化シリコン、窒化酸化シリコン、窒化シリコン、酸化アルミニウム、
酸化窒化アルミニウム、窒化酸化アルミニウム、窒化アルミニウムなどを用いればよい。
【0420】
絶縁体322は、その下方に設けられるトランジスタ300などによって生じる段差を
平坦化する平坦化膜としての機能を有していてもよい。例えば、絶縁体322の上面は、
平坦性を高めるために化学機械研磨(CMP)法等を用いた平坦化処理により平坦化され
ていてもよい。
【0421】
また、絶縁体324には、基板311、またはトランジスタ300などから、トランジ
スタ200が設けられる領域に、水素や不純物が拡散しないようなバリア性を有する膜を
用いることが好ましい。
【0422】
水素に対するバリア性を有する膜の一例として、例えば、CVD法で形成した窒化シリ
コンを用いることができる。ここで、トランジスタ200等の酸化物半導体を有する半導
体素子に、水素が拡散することで、当該半導体素子の特性が低下する場合がある。したが
って、トランジスタ200と、トランジスタ300との間に、水素の拡散を抑制する膜を
用いることが好ましい。水素の拡散を抑制する膜とは、具体的には、水素の脱離量が少な
い膜とする。
【0423】
水素の脱離量は、例えば、TDS分析などを用いて分析することができる。例えば、絶
縁体324の水素の脱離量は、TDS分析において、膜の表面温度が50℃から500℃
の範囲において、水素原子に換算した脱離量が、絶縁体324の面積当たりに換算して、
10×1015atoms/cm以下、好ましくは5×1015atoms/cm
下であればよい。
【0424】
なお、絶縁体326は、絶縁体324よりも誘電率が低いことが好ましい。例えば、絶
縁体326の比誘電率は4未満が好ましく、3未満がより好ましい。また例えば、絶縁体
326の比誘電率は、絶縁体324の比誘電率の0.7倍以下が好ましく、0.6倍以下
がより好ましい。誘電率が低い材料を層間膜とすることで、配線間に生じる寄生容量を低
減することができる。
【0425】
また、絶縁体320、絶縁体322、絶縁体324、および絶縁体326には容量素子
100、またはトランジスタ200と電気的に接続する導電体328、および導電体33
0等が埋め込まれている。なお、導電体328、および導電体330はプラグ、または配
線として機能する。また、プラグまたは配線として機能する導電体は、複数の構造をまと
めて同一の符号を付与する場合がある。また、本明細書等において、配線と、配線と電気
的に接続するプラグとが一体物であってもよい。すなわち、導電体の一部が配線として機
能する場合、および導電体の一部がプラグとして機能する場合もある。
【0426】
各プラグ、および配線(導電体328、および導電体330等)の材料としては、金属
材料、合金材料、金属窒化物材料、または金属酸化物材料などの導電性材料を、単層また
は積層して用いることができる。耐熱性と導電性を両立するタングステンやモリブデンな
どの高融点材料を用いることが好ましく、タングステンを用いることが好ましい。または
、アルミニウムや銅などの低抵抗導電性材料で形成することが好ましい。低抵抗導電性材
料を用いることで配線抵抗を低くすることができる。
【0427】
絶縁体326、および導電体330上に、配線層を設けてもよい。例えば、図28にお
いて、絶縁体350、絶縁体352、および絶縁体354が順に積層して設けられている
。また、絶縁体350、絶縁体352、および絶縁体354には、導電体356が形成さ
れている。導電体356は、プラグ、または配線として機能する。なお導電体356は、
導電体328、および導電体330と同様の材料を用いて設けることができる。
【0428】
なお、例えば、絶縁体350は、絶縁体324と同様に、水素に対するバリア性を有す
る絶縁体を用いることが好ましい。また、導電体356は、水素に対するバリア性を有す
る導電体を含むことが好ましい。特に、水素に対するバリア性を有する絶縁体350が有
する開口部に、水素に対するバリア性を有する導電体が形成される。当該構成により、ト
ランジスタ300とトランジスタ200とは、バリア層により分離することができ、トラ
ンジスタ300からトランジスタ200への水素の拡散を抑制することができる。
【0429】
なお、水素に対するバリア性を有する導電体としては、例えば、窒化タンタル等を用い
るとよい。また、窒化タンタルと導電性が高いタングステンを積層することで、配線とし
ての導電性を保持したまま、トランジスタ300からの水素の拡散を抑制することができ
る。この場合、水素に対するバリア性を有する窒化タンタル層が、水素に対するバリア性
を有する絶縁体350と接する構造であることが好ましい。
【0430】
絶縁体354、および導電体356上に、配線層を設けてもよい。例えば、図28にお
いて、絶縁体360、絶縁体362、および絶縁体364が順に積層して設けられている
。また、絶縁体360、絶縁体362、および絶縁体364には、導電体366が形成さ
れている。導電体366は、プラグ、または配線として機能する。なお導電体366は、
導電体328、および導電体330と同様の材料を用いて設けることができる。
【0431】
なお、例えば、絶縁体360は、絶縁体324と同様に、水素に対するバリア性を有す
る絶縁体を用いることが好ましい。また、導電体366は、水素に対するバリア性を有す
る導電体を含むことが好ましい。特に、水素に対するバリア性を有する絶縁体360が有
する開口部に、水素に対するバリア性を有する導電体が形成される。当該構成により、ト
ランジスタ300とトランジスタ200とは、バリア層により分離することができ、トラ
ンジスタ300からトランジスタ200への水素の拡散を抑制することができる。
【0432】
絶縁体364、および導電体366上に、配線層を設けてもよい。例えば、図28にお
いて、絶縁体370、絶縁体372、および絶縁体374が順に積層して設けられている
。また、絶縁体370、絶縁体372、および絶縁体374には、導電体376が形成さ
れている。導電体376は、プラグ、または配線として機能する。なお導電体376は、
導電体328、および導電体330と同様の材料を用いて設けることができる。
【0433】
なお、例えば、絶縁体370は、絶縁体324と同様に、水素に対するバリア性を有す
る絶縁体を用いることが好ましい。また、導電体376は、水素に対するバリア性を有す
る導電体を含むことが好ましい。特に、水素に対するバリア性を有する絶縁体370が有
する開口部に、水素に対するバリア性を有する導電体が形成される。当該構成により、ト
ランジスタ300とトランジスタ200とは、バリア層により分離することができ、トラ
ンジスタ300からトランジスタ200への水素の拡散を抑制することができる。
【0434】
絶縁体374、および導電体376上に、配線層を設けてもよい。例えば、図28にお
いて、絶縁体380、絶縁体382、および絶縁体384が順に積層して設けられている
。また、絶縁体380、絶縁体382、および絶縁体384には、導電体386が形成さ
れている。導電体386は、プラグ、または配線として機能する。なお導電体386は、
導電体328、および導電体330と同様の材料を用いて設けることができる。
【0435】
なお、例えば、絶縁体380は、絶縁体324と同様に、水素に対するバリア性を有す
る絶縁体を用いることが好ましい。また、導電体386は、水素に対するバリア性を有す
る導電体を含むことが好ましい。特に、水素に対するバリア性を有する絶縁体380が有
する開口部に、水素に対するバリア性を有する導電体が形成される。当該構成により、ト
ランジスタ300とトランジスタ200とは、バリア層により分離することができ、トラ
ンジスタ300からトランジスタ200への水素の拡散を抑制することができる。
【0436】
上記において、導電体356を含む配線層、導電体366を含む配線層、導電体376
を含む配線層、および導電体386を含む配線層、について説明したが、本実施の形態に
係る記憶装置はこれに限られるものではない。導電体356を含む配線層と同様の配線層
を3層以下にしてもよいし、導電体356を含む配線層と同様の配線層を5層以上にして
もよい。
【0437】
絶縁体384上には絶縁体210、絶縁体212、絶縁体214、および絶縁体216
が、順に積層して設けられている。絶縁体210、絶縁体212、絶縁体214、および
絶縁体216のいずれかは、酸素や水素に対してバリア性のある物質を用いることが好ま
しい。
【0438】
例えば、絶縁体210、および絶縁体214には、例えば、基板311、またはトラン
ジスタ300を設ける領域などから、トランジスタ200を設ける領域に、水素や不純物
が拡散しないようなバリア性を有する膜を用いることが好ましい。したがって、絶縁体3
24と同様の材料を用いることができる。
【0439】
水素に対するバリア性を有する膜の一例として、CVD法で形成した窒化シリコンを用
いることができる。ここで、トランジスタ200等の酸化物半導体を有する半導体素子に
、水素が拡散することで、当該半導体素子の特性が低下する場合がある。したがって、ト
ランジスタ200と、トランジスタ300との間に、水素の拡散を抑制する膜を用いるこ
とが好ましい。水素の拡散を抑制する膜とは、具体的には、水素の脱離量が少ない膜とす
る。
【0440】
また、水素に対するバリア性を有する膜として、例えば、絶縁体210、および絶縁体
214には、酸化アルミニウム、酸化ハフニウム、酸化タンタルなどの金属酸化物を用い
ることが好ましい。
【0441】
特に、酸化アルミニウムは、酸素、およびトランジスタの電気特性の変動要因となる水
素、水分などの不純物、の両方に対して膜を透過させない遮断効果が高い。したがって、
酸化アルミニウムは、トランジスタの作製工程中および作製後において、水素、水分など
の不純物のトランジスタ200への混入を防止することができる。また、トランジスタ2
00を構成する酸化物からの酸素の放出を抑制することができる。そのため、トランジス
タ200に対する保護膜として用いることに適している。
【0442】
また、例えば、絶縁体212、および絶縁体216には、絶縁体320と同様の材料を
用いることができる。また、比較的誘電率が低い材料を層間膜とすることで、配線間に生
じる寄生容量を低減することができる。例えば、絶縁体212、および絶縁体216とし
て、酸化シリコン膜や酸化窒化シリコン膜などを用いることができる。
【0443】
また、絶縁体210、絶縁体212、絶縁体214、および絶縁体216には、導電体
218、およびトランジスタ200を構成する導電体(導電体205)等が埋め込まれて
いる。なお、導電体218は、容量素子100、またはトランジスタ300と電気的に接
続するプラグ、または配線としての機能を有する。導電体218は、導電体328、およ
び導電体330と同様の材料を用いて設けることができる。
【0444】
特に、絶縁体210、および絶縁体214と接する領域の導電体218は、酸素、水素
、および水に対するバリア性を有する導電体であることが好ましい。当該構成により、ト
ランジスタ300とトランジスタ200とは、酸素、水素、および水に対するバリア性を
有する層で、分離することができ、トランジスタ300からトランジスタ200への水素
の拡散を抑制することができる。
【0445】
絶縁体216の上方には、トランジスタ200が設けられている。なお、トランジスタ
200の構造は、先の実施の形態で説明した半導体装置が有するトランジスタを用いれば
よい。また、図28に示すトランジスタ200は一例であり、その構造に限定されず、回
路構成や駆動方法に応じて適切なトランジスタを用いればよい。
【0446】
トランジスタ200の上方には、絶縁体281を設ける。
【0447】
絶縁体281上には、絶縁体282が設けられている。絶縁体282は、酸素や水素に
対してバリア性のある物質を用いることが好ましい。したがって、絶縁体282には、絶
縁体214と同様の材料を用いることができる。例えば、絶縁体282には、酸化アルミ
ニウム、酸化ハフニウム、酸化タンタルなどの金属酸化物を用いることが好ましい。
【0448】
特に、酸化アルミニウムは、酸素、およびトランジスタの電気特性の変動要因となる水
素、水分などの不純物、の両方に対して膜を透過させない遮断効果が高い。したがって、
酸化アルミニウムは、トランジスタの作製工程中および作製後において、水素、水分など
の不純物のトランジスタ200への混入を防止することができる。また、トランジスタ2
00を構成する酸化物からの酸素の放出を抑制することができる。そのため、トランジス
タ200に対する保護膜として用いることに適している。
【0449】
また、絶縁体282上には、絶縁体286が設けられている。絶縁体286は、絶縁体
320と同様の材料を用いることができる。また、比較的誘電率が低い材料を層間膜とす
ることで、配線間に生じる寄生容量を低減することができる。例えば、絶縁体286とし
て、酸化シリコン膜や酸化窒化シリコン膜などを用いることができる。
【0450】
また、絶縁体220、絶縁体222、絶縁体224、絶縁体280、絶縁体281、絶
縁体282、および絶縁体286には、導電体246、および導電体248等が埋め込ま
れている。
【0451】
導電体246、および導電体248は、容量素子100、トランジスタ200、または
トランジスタ300と電気的に接続するプラグ、または配線として機能する。導電体24
6、および導電体248は、導電体328、および導電体330と同様の材料を用いて設
けることができる。
【0452】
続いて、トランジスタ200の上方には、容量素子100が設けられている。容量素子
100は、導電体110と、導電体120、絶縁体130とを有する。
【0453】
また、導電体246、および導電体248上に、導電体112を設けてもよい。導電体
112は、容量素子100、トランジスタ200、またはトランジスタ300と電気的に
接続するプラグ、または配線としての機能を有する。導電体110は、容量素子100の
電極としての機能を有する。なお、導電体112、および導電体110は、同時に形成す
ることができる。
【0454】
導電体112、および導電体110には、モリブデン、チタン、タンタル、タングステ
ン、アルミニウム、銅、クロム、ネオジム、スカンジウムから選ばれた元素を含む金属膜
、または上述した元素を成分とする金属窒化物膜(窒化タンタル膜、窒化チタン膜、窒化
モリブデン膜、窒化タングステン膜)等を用いることができる。または、インジウム錫酸
化物、酸化タングステンを含むインジウム酸化物、酸化タングステンを含むインジウム亜
鉛酸化物、酸化チタンを含むインジウム酸化物、酸化チタンを含むインジウム錫酸化物、
インジウム亜鉛酸化物、酸化ケイ素を添加したインジウム錫酸化物などの導電性材料を適
用することもできる。
【0455】
図28では、導電体112、および導電体110は単層構造を示したが、当該構成に限
定されず、2層以上の積層構造でもよい。例えば、バリア性を有する導電体と導電性が高
い導電体との間に、バリア性を有する導電体、および導電性が高い導電体に対して密着性
が高い導電体を形成してもよい。
【0456】
絶縁体130を介して、導電体110と重畳するように、導電体120を設ける。なお
、導電体120は、金属材料、合金材料、または金属酸化物材料などの導電性材料を用い
ることができる。耐熱性と導電性を両立するタングステンやモリブデンなどの高融点材料
を用いることが好ましく、特にタングステンを用いることが好ましい。また、導電体など
の他の構造と同時に形成する場合は、低抵抗金属材料であるCu(銅)やAl(アルミニ
ウム)等を用いればよい。
【0457】
導電体120、および絶縁体130上には、絶縁体150が設けられている。絶縁体1
50は、絶縁体320と同様の材料を用いて設けることができる。また、絶縁体150は
、その下方の凹凸形状を被覆する平坦化膜として機能してもよい。
【0458】
本構造を用いることで、酸化物半導体を有するトランジスタを用いた半導体装置におい
て、電気特性の変動を抑制するとともに、信頼性を向上させることができる。または、オ
ン電流が大きい酸化物半導体を有する半導体装置を提供することができる。または、オフ
電流が小さい酸化物半導体を有する半導体装置を提供することができる。または、消費電
力が低減された半導体装置を提供することができる。または、酸化物半導体を有するトラ
ンジスタを用いた半導体装置において、微細化または高集積化を図ることができる。
【0459】
以上、本実施の形態に示す構成、構造、方法などは、他の実施の形態に示す構成、構造
、方法などと適宜組み合わせて用いることができる。
【0460】
(実施の形態4)
本実施の形態では、図30乃至図32を用いて、本発明の一態様に係る、酸化物を半導
体に用いたトランジスタ(以下、OSトランジスタと呼ぶ。)、および容量素子が適用さ
れている記憶装置の一例として、NOSRAMについて説明する。NOSRAM(登録商
標)とは「Nonvolatile Oxide Semiconductor RAM
」の略称であり、ゲインセル型(2T型、3T型)のメモリセルを有するRAMを指す。
なお、以下において、NOSRAMのようにOSトランジスタを用いたメモリ装置を、O
Sメモリと呼ぶ場合がある。
【0461】
NOSRAMでは、メモリセルにOSトランジスタが用いられるメモリ装置(以下、「
OSメモリ」と呼ぶ。)が適用されている。OSメモリは、少なくとも容量素子と、容量
素子の充放電を制御するOSトランジスタを有するメモリである。OSトランジスタが極
小オフ電流のトランジスタであるので、OSメモリは優れた保持特性をもち、不揮発性メ
モリとして機能させることができる。
【0462】
<<NOSRAM1600>>
図30にNOSRAMの構成例を示す。図30に示すNOSRAM1600は、メモリ
セルアレイ1610、コントローラ1640、行ドライバ1650、列ドライバ1660
、出力ドライバ1670を有する。なお、NOSRAM1600は、1のメモリセルで多
値データを記憶する多値NOSRAMである。
【0463】
メモリセルアレイ1610は複数のメモリセル1611、複数のワード線WWL、複数
のワード線RWL、ビット線BL、ソース線SLを有する。ワード線WWLは書き込みワ
ード線であり、ワード線RWLは読み出しワード線である。NOSRAM1600では、
1のメモリセル1611で3ビット(8値)のデータを記憶する。
【0464】
コントローラ1640は、NOSRAM1600全体を統括的に制御し、データWDA
[31:0]の書き込み、データRDA[31:0]の読み出しを行う。コントローラ1
640は、外部からのコマンド信号(例えば、チップイネーブル信号、書き込みイネーブ
ル信号など)を処理して、行ドライバ1650、列ドライバ1660および出力ドライバ
1670の制御信号を生成する。
【0465】
行ドライバ1650は、アクセスする行を選択する機能を有する。行ドライバ1650
は、行デコーダ1651、およびワード線ドライバ1652を有する。
【0466】
列ドライバ1660は、ソース線SLおよびビット線BLを駆動する。列ドライバ16
60は、列デコーダ1661、書き込みドライバ1662、DAC(デジタル-アナログ
変換回路)1663を有する。
【0467】
DAC1663は3ビットのデジタルデータをアナログ電圧に変換する。DAC166
3は32ビットのデータWDA[31:0]を3ビットごとに、アナログ電圧に変換する
【0468】
書き込みドライバ1662は、ソース線SLをプリチャージする機能、ソース線SLを
電気的に浮遊状態にする機能、ソース線SLを選択する機能、選択されたソース線SLに
DAC1663で生成した書き込み電圧を入力する機能、ビット線BLをプリチャージす
る機能、ビット線BLを電気的に浮遊状態にする機能等を有する。
【0469】
出力ドライバ1670は、セレクタ1671、ADC(アナログ-デジタル変換回路)
1672、出力バッファ1673を有する。セレクタ1671は、アクセスするソース線
SLを選択し、選択されたソース線SLの電位をADC1672に送信する。ADC16
72は、アナログ電圧を3ビットのデジタルデータに変換する機能を持つ。ソース線SL
の電位はADC1672において、3ビットのデータに変換され、出力バッファ1673
はADC1672から出力されるデータを保持する。
【0470】
なお、本実施の形態に示す、行ドライバ1650、列ドライバ1660、および出力ド
ライバ1670の構成は、上記に限定されるものではない。メモリセルアレイ1610の
構成または駆動方法などに応じて、これらのドライバおよび当該ドライバに接続される配
線の配置を変更してもよいし、これらのドライバおよび当該ドライバに接続される配線の
有する機能を変更または追加してもよい。例えば、上記のソース線SLが有する機能の一
部を、ビット線BLに有せしめる構成にしてもよい。
【0471】
なお、上記においては、各メモリセル1611に保持させる情報量を3ビットとしたが
、本実施の形態に示す記憶装置の構成はこれに限られない。各メモリセル1611に保持
させる情報量を2ビット以下にしてもよいし、4ビット以上にしてもよい。例えば、各メ
モリセル1611に保持させる情報量を1ビットにする場合、DAC1663およびAD
C1672を設けない構成にしてもよい。
【0472】
<メモリセル1611乃至メモリセル1614>
図31(A)はメモリセル1611の構成例を示す回路図である。メモリセル1611
は2T型のゲインセルであり、メモリセル1611はワード線WWL、ワード線RWL、
ビット線BL、ソース線SL、配線BGLに電気的に接続されている。メモリセル161
1は、ノードSN、OSトランジスタMO61、トランジスタMP61、容量素子C61
を有する。OSトランジスタMO61は書き込みトランジスタである。トランジスタMP
61は読み出しトランジスタであり、例えばpチャネル型Siトランジスタで構成される
。容量素子C61はノードSNの電位を保持するための保持容量である。ノードSNはデ
ータの保持ノードであり、ここではトランジスタMP61のゲートに相当する。
【0473】
メモリセル1611の書き込みトランジスタがOSトランジスタMO61で構成されて
いるため、NOSRAM1600は長時間データを保持することが可能である。
【0474】
図31(A)の例では、ビット線は、書き込みと読み出しで共通のビット線であるが、
図31(B)に示すように、書き込みビット線として機能する、ビット線WBLと、読み
出しビット線として機能する、ビット線RBLとを設けてもよい。
【0475】
図31(C)乃至図31(E)にメモリセルの他の構成例を示す。図31(C)乃至図
31(E)には、書き込み用のビット線WBLと読み出し用のビット線RBLを設けた例
を示しているが、図31(A)のように書き込みと読み出しで共有されるビット線を設け
てもよい。
【0476】
図31(C)に示すメモリセル1612は、メモリセル1611の変形例であり、読み
出しトランジスタをnチャネル型トランジスタ(MN61)に変更したものである。トラ
ンジスタMN61はOSトランジスタであってもよいし、Siトランジスタであってもよ
い。
【0477】
メモリセル1611、メモリセル1612において、OSトランジスタMO61はボト
ムゲートの無いOSトランジスタであってもよい。
【0478】
図31(D)に示すメモリセル1613は、3T型ゲインセルであり、ワード線WWL
、RWL、ビット線WBL、ビット線RBL、ソース線SL、配線BGL、配線PCLに
電気的に接続されている。メモリセル1613は、ノードSN、OSトランジスタMO6
2、トランジスタMP62、トランジスタMP63、容量素子C62を有する。OSトラ
ンジスタMO62は書き込みトランジスタである。トランジスタMP62は読み出しトラ
ンジスタであり、トランジスタMP63は選択トランジスタである。
【0479】
図31(E)に示すメモリセル1614は、メモリセル1613の変形例であり、読み
出しトランジスタおよび選択トランジスタをnチャネル型トランジスタ(トランジスタM
N62、トランジスタMN63)に変更したものである。トランジスタMN62、トラン
ジスタMN63はOSトランジスタであってもよいし、Siトランジスタであってもよい
【0480】
メモリセル1611乃至メモリセル1614に設けられるOSトランジスタは、ボトム
ゲートの無いトランジスタでもよいし、ボトムゲートが有るトランジスタであってもよい
【0481】
上記においては、メモリセル1611などが並列に接続された、いわゆるNOR型の記
憶装置について説明したが、本実施の形態に示す記憶装置はこれに限られるものではない
。例えば、以下に示すようなメモリセル1615が直列に接続された、いわゆるNAND
型の記憶装置にしてもよい。
【0482】
図32はNAND型のメモリセルアレイ1610の構成例を示す回路図である。図32
に示すメモリセルアレイ1610は、ソース線SL、ビット線RBL、ビット線WBL、
ワード線WWL、ワード線RWL、配線BGL、およびメモリセル1615を有する。メ
モリセル1615は、ノードSN、OSトランジスタMO63、トランジスタMN64、
容量素子C63を有する。ここで、トランジスタMN64は、例えばnチャネル型Siト
ランジスタで構成される。これに限られず、トランジスタMN64は、pチャネル型Si
トランジスタ、であってもよいし、OSトランジスタであってもよい。
【0483】
以下では、図32に示すメモリセル1615aおよびメモリセル1615bを例として
説明する。ここで、メモリセル1615aまたはメモリセル1615bのいずれかに接続
する配線、または回路素子の符号については、aまたはbの符号を付して表す。
【0484】
メモリセル1615aにおいて、トランジスタMN64aのゲートと、OSトランジス
タMO63aのソースおよびドレインの一方と、容量素子C63aの電極の一方とは、電
気的に接続されている。また、ビット線WBLとOSトランジスタMO63aのソースお
よびドレインの他方とは、電気的に接続されている。また、ワード線WWLaと、OSト
ランジスタMO63aのゲートとは、電気的に接続されている。また、配線BGLaと、
OSトランジスタMO63aのボトムゲートとは、電気的に接続されている。そして、ワ
ード線RWLaと、容量素子C63aの電極の他方は電気的に接続されている。
【0485】
メモリセル1615bは、ビット線WBLとのコンタクト部を対称の軸として、メモリ
セル1615aと対称的に設けることができる。よって、メモリセル1615bに含まれ
る回路素子も、上記メモリセル1615aと同じように配線と接続される。
【0486】
さらに、メモリセル1615aが有するトランジスタMN64aのソースは、メモリセ
ル1615bのトランジスタMN64bのドレインと電気的に接続される。メモリセル1
615aが有するトランジスタMN64aのドレインは、ビット線RBLと電気的に接続
される。メモリセル1615bが有するトランジスタMN64bのソースは、複数のメモ
リセル1615が有するトランジスタMN64を介してソース線SLと電気的に接続され
る。このように、NAND型のメモリセルアレイ1610では、ビット線RBLとソース
線SLの間に、複数のトランジスタMN64が直列に接続される。
【0487】
図32に示すメモリセルアレイ1610を有する記憶装置では、同じワード線WWL(
またはワード線RWL)に接続された複数のメモリセル(以下、メモリセル列と呼ぶ。)
ごとに、書き込み動作および読み出し動作を行う。例えば、書き込み動作は次のように行
うことができる。書き込みを行うメモリセル列に接続されたワード線WWLにOSトラン
ジスタMO63がオン状態となる電位を与え、書き込みを行うメモリセル列のOSトラン
ジスタMO63をオン状態にする。これにより、指定したメモリセル列のトランジスタM
N64のゲートおよび容量素子C63の電極の一方にビット線WBLの電位が与えられ、
当該ゲートに所定の電荷が与えられる。それから当該メモリセル列のOSトランジスタM
O63をオフ状態にすると、当該ゲートに与えられた所定の電荷を保持することができる
。このようにして、指定したメモリセル列のメモリセル1615にデータを書き込むこと
ができる。
【0488】
また、例えば、読み出し動作は次のように行うことができる。まず、読み出しを行うメ
モリセル列に接続されていないワード線RWLに、トランジスタMN64のゲートに与え
られた電荷によらず、トランジスタMN64がオン状態となるような電位を与え、読み出
しを行うメモリセル列以外のトランジスタMN64をオン状態とする。それから、読み出
しを行うメモリセル列に接続されたワード線RWLに、トランジスタMN64のゲートが
有する電荷によって、トランジスタMN64のオン状態またはオフ状態が選択されるよう
な電位(読み出し電位)を与える。そして、ソース線SLに定電位を与え、ビット線RB
Lに接続されている読み出し回路を動作状態とする。ここで、ソース線SL-ビット線R
BL間の複数のトランジスタMN64は、読み出しを行うメモリセル列を除いてオン状態
となっているため、ソース線SL-ビット線RBL間のコンダクタンスは、読み出しを行
うメモリセル列のトランジスタMN64の状態(オン状態またはオフ状態)によって決定
される。読み出しを行うメモリセル列のトランジスタMN64のゲートが有する電荷によ
って、トランジスタのコンダクタンスは異なるから、それに応じて、ビット線RBLの電
位は異なる値をとることになる。ビット線RBLの電位を読み出し回路によって読み出す
ことで、指定したメモリセル列のメモリセル1615から情報を読み出すことができる。
【0489】
容量素子C61、容量素子C62、または容量素子C63の充放電によってデータを書
き換えるため、NOSRAM1600は原理的には書き換え回数に制約はなく、かつ、低
エネルギーで、データの書き込みおよび読み出しが可能である。また、長時間データを保
持することが可能であるので、リフレッシュ頻度を低減できる。
【0490】
上記実施の形態に示す半導体装置をメモリセル1611、メモリセル1612、メモリ
セル1613、メモリセル1614、メモリセル1615に用いる場合、OSトランジス
タMO61、OSトランジスタMO62、OSトランジスタMO63としてトランジスタ
200を用い、容量素子C61、容量素子C62、容量素子C63として容量素子100
を用い、トランジスタMP61、トランジスタMP62、トランジスタMP63、トラン
ジスタMN61、トランジスタMN62、トランジスタMN63、トランジスタMN64
としてトランジスタ300を用いることができる。これにより、トランジスタと容量素子
一組当たりの上面視における占有面積を低減することができるので、本実施の形態に係る
記憶装置をさらに高集積化させることができる。よって、本実施の形態に係る記憶装置の
単位面積当たりの記憶容量を増加させることができる。
【0491】
本実施の形態に示す構成は、他の実施の形態に示す構成と適宜組み合わせて用いること
ができる。
【0492】
(実施の形態5)
本実施の形態では、図33および図34を用いて、本発明の一態様に係る、OSトラン
ジスタ、および容量素子が適用されている記憶装置の一例として、DOSRAMについて
説明する。DOSRAM(登録商標)とは、「Dynamic Oxide Semic
onductor RAM」の略称であり、1T(トランジスタ)1C(容量)型のメモ
リセルを有するRAMを指す。DOSRAMも、NOSRAMと同様に、OSメモリが適
用されている。
【0493】
<<DOSRAM1400>>
図33にDOSRAMの構成例を示す。図33に示すように、DOSRAM1400は
、コントローラ1405、行回路1410、列回路1415、メモリセルおよびセンスア
ンプアレイ1420(以下、「MC-SAアレイ1420」と呼ぶ。)を有する。
【0494】
行回路1410はデコーダ1411、ワード線ドライバ回路1412、列セレクタ14
13、センスアンプドライバ回路1414を有する。列回路1415はグローバルセンス
アンプアレイ1416、入出力回路1417を有する。グローバルセンスアンプアレイ1
416は複数のグローバルセンスアンプ1447を有する。MC-SAアレイ1420は
メモリセルアレイ1422、センスアンプアレイ1423、グローバルビット線GBLL
、GBLRを有する。
【0495】
(MC-SAアレイ1420)
MC-SAアレイ1420は、メモリセルアレイ1422をセンスアンプアレイ142
3上に積層した積層構造をもつ。グローバルビット線GBLL、グローバルビット線GB
LRはメモリセルアレイ1422上に積層されている。DOSRAM1400では、ビッ
ト線の構造に、ローカルビット線とグローバルビット線とで階層化された階層ビット線構
造が採用されている。
【0496】
メモリセルアレイ1422は、N個(Nは2以上の整数)のローカルメモリセルアレイ
1425<0>乃至ローカルメモリセルアレイ1425<N-1>を有する。図34(A
)にローカルメモリセルアレイ1425の構成例を示す。ローカルメモリセルアレイ14
25は、複数のメモリセル1445、複数のワード線WL、複数のビット線BLL、複数
のビット線BLRを有する。図34(A)の例では、ローカルメモリセルアレイ1425
の構造はオープンビット線型であるが、フォールデッドビット線型であってもよい。
【0497】
図34(B)に共通のビット線BLL(ビット線BLR)に接続される、ペア状の一組
のメモリセル1445aおよびメモリセル1445bの回路構成例を示す。メモリセル1
445aはトランジスタMW1a、容量素子CS1a、端子B1a、端子B2aを有し、
ワード線WLa、ビット線BLL(ビット線BLR)に接続される。また、メモリセル1
445bはトランジスタMW1b、容量素子CS1b、端子B1b、端子B2bを有し、
ワード線WLb、ビット線BLL(ビット線BLR)に接続される。なお、以下において
、メモリセル1445aおよびメモリセル1445bのいずれかを特に限定しない場合は
、メモリセル1445およびそれに付属する構成にaまたはbの符号を付さない場合があ
る。
【0498】
トランジスタMW1aは容量素子CS1aの充放電を制御する機能をもち、トランジス
タMW1bは容量素子CS1bの充放電を制御する機能をもつ。トランジスタMW1aの
ゲートはワード線WLaに電気的に接続され、第1端子はビット線BLL(ビット線BL
R)に電気的に接続され、第2端子は容量素子CS1aの第1端子に電気的に接続されて
いる。また、トランジスタMW1bのゲートはワード線WLbに電気的に接続され、第1
端子はビット線BLL(ビット線BLR)に電気的に接続され、第2端子は容量素子CS
1bの第1端子に電気的に接続されている。このように、ビット線BLL(ビット線BL
R)がトランジスタMW1aの第1端子とトランジスタMW1bの第1端子に共通で用い
られる。
【0499】
トランジスタMW1は容量素子CS1の充放電を制御する機能をもつ。容量素子CS1
の第2端子は端子B2に電気的に接続されている。端子B2には、定電位(例えば、低電
源電位)が入力される。
【0500】
上記実施の形態に示す半導体装置をメモリセル1445a、メモリセル1445bに用
いる場合、トランジスタMW1aとしてトランジスタ200a、トランジスタMW1bと
してトランジスタ200bを用い、容量素子CS1aとして容量素子100aを用い、容
量素子CS1bとして容量素子100bを用いることができる。これにより、トランジス
タと容量素子一組当たりの上面視における占有面積を低減することができるので、本実施
の形態に係る記憶装置を高集積化させることができる。よって、本実施の形態に係る記憶
装置の単位面積当たりの記憶容量を増加させることができる。
【0501】
トランジスタMW1はボトムゲートを備えており、ボトムゲートは端子B1に電気的に
接続されている。そのため、端子B1の電位によって、トランジスタMW1のVthを変
更することができる。例えば、端子B1の電位は固定電位(例えば、負の定電位)であっ
てもよいし、DOSRAM1400の動作に応じて、端子B1の電位を変化させてもよい
【0502】
トランジスタMW1のボトムゲートをトランジスタMW1のゲート、ソース、またはド
レインに電気的に接続してもよい。あるいは、トランジスタMW1にボトムゲートを設け
なくてもよい。
【0503】
センスアンプアレイ1423は、N個のローカルセンスアンプアレイ1426<0>乃
至ローカルセンスアンプアレイ1426<N-1>を有する。ローカルセンスアンプアレ
イ1426は、1のスイッチアレイ1444、複数のセンスアンプ1446を有する。セ
ンスアンプ1446には、ビット線対が電気的に接続されている。センスアンプ1446
は、ビット線対をプリチャージする機能、ビット線対の電位差を増幅する機能、この電位
差を保持する機能を有する。スイッチアレイ1444は、ビット線対を選択し、選択した
ビット線対とグローバルビット線対との間を導通状態にする機能を有する。
【0504】
ここで、ビット線対とは、センスアンプによって、同時に比較される2本のビット線の
ことをいう。グローバルビット線対とは、グローバルセンスアンプによって、同時に比較
される2本のグローバルビット線のことをいう。ビット線対を一対のビット線と呼ぶこと
ができ、グローバルビット線対を一対のグローバルビット線と呼ぶことができる。ここで
は、ビット線BLLとビット線BLRが1組のビット線対を成す。グローバルビット線G
BLLとグローバルビット線GBLRとが1組のグローバルビット線対をなす。以下、ビ
ット線対(BLL,BLR)、グローバルビット線対(GBLL,GBLR)とも表す。
【0505】
(コントローラ1405)
コントローラ1405は、DOSRAM1400の動作全般を制御する機能を有する。
コントローラ1405は、外部からの入力されるコマンド信号を論理演算して、動作モー
ドを決定する機能、決定した動作モードが実行されるように、行回路1410、列回路1
415の制御信号を生成する機能、外部から入力されるアドレス信号を保持する機能、内
部アドレス信号を生成する機能を有する。
【0506】
(行回路1410)
行回路1410は、MC-SAアレイ1420を駆動する機能を有する。デコーダ14
11はアドレス信号をデコードする機能を有する。ワード線ドライバ回路1412は、ア
クセス対象行のワード線WLを選択する選択信号を生成する。
【0507】
列セレクタ1413、センスアンプドライバ回路1414はセンスアンプアレイ142
3を駆動するための回路である。列セレクタ1413は、アクセス対象列のビット線を選
択するための選択信号を生成する機能をもつ。列セレクタ1413の選択信号によって、
各ローカルセンスアンプアレイ1426のスイッチアレイ1444が制御される。センス
アンプドライバ回路1414の制御信号によって、複数のローカルセンスアンプアレイ1
426は独立して駆動される。
【0508】
(列回路1415)
列回路1415は、データ信号WDA[31:0]の入力を制御する機能、データ信号
RDA[31:0]の出力を制御する機能を有する。データ信号WDA[31:0]は書
き込みデータ信号であり、データ信号RDA[31:0]は読み出しデータ信号である。
【0509】
グローバルセンスアンプ1447はグローバルビット線対(GBLL,GBLR)に電
気的に接続されている。グローバルセンスアンプ1447はグローバルビット線対(GB
LL,GBLR)間の電位差を増幅する機能、この電位差を保持する機能を有する。グロ
ーバルビット線対(GBLL,GBLR)へのデータの書き込み、および読み出しは、入
出力回路1417によって行われる。
【0510】
DOSRAM1400の書き込み動作の概要を説明する。入出力回路1417によって
、データがグローバルビット線対に書き込まれる。グローバルビット線対のデータは、グ
ローバルセンスアンプアレイ1416によって保持される。アドレス信号が指定するロー
カルセンスアンプアレイ1426のスイッチアレイ1444によって、グローバルビット
線対のデータが、対象列のビット線対に書き込まれる。ローカルセンスアンプアレイ14
26は、書き込まれたデータを増幅し、保持する。指定されたローカルメモリセルアレイ
1425において、行回路1410によって、対象行のワード線WLが選択され、選択行
のメモリセル1445にローカルセンスアンプアレイ1426の保持データが書き込まれ
る。
【0511】
DOSRAM1400の読み出し動作の概要を説明する。アドレス信号によって、ロー
カルメモリセルアレイ1425の1行が指定される。指定されたローカルメモリセルアレ
イ1425において、対象行のワード線WLが選択状態となり、メモリセル1445のデ
ータがビット線に書き込まれる。ローカルセンスアンプアレイ1426によって、各列の
ビット線対の電位差がデータとして検出され、かつ保持される。スイッチアレイ1444
によって、ローカルセンスアンプアレイ1426の保持データの内、アドレス信号が指定
する列のデータが、グローバルビット線対に書き込まれる。グローバルセンスアンプアレ
イ1416は、グローバルビット線対のデータを検出し、保持する。グローバルセンスア
ンプアレイ1416の保持データは入出力回路1417に出力される。以上で、読み出し
動作が完了する。
【0512】
容量素子CS1の充放電によってデータを書き換えるため、DOSRAM1400には
原理的には書き換え回数に制約はなく、かつ、低エネルギーで、データの書き込みおよび
読み出しが可能である。また、メモリセル1445の回路構成が単純であるため、大容量
化が容易である。
【0513】
トランジスタMW1はOSトランジスタである。OSトランジスタはオフ電流が極めて
小さいため、容量素子CS1から電荷がリークすることを抑えることができる。したがっ
て、DOSRAM1400の保持時間はDRAMに比べて非常に長い。したがってリフレ
ッシュの頻度を低減できるため、リフレッシュ動作に要する電力を削減できる。よって、
DOSRAM1400は大容量のデータを高頻度で書き換えるメモリ装置、例えば、画像
処理に利用されるフレームメモリに好適である。
【0514】
MC-SAアレイ1420が積層構造であることよって、ローカルセンスアンプアレイ
1426の長さと同程度の長さにビット線を短くすることができる。ビット線を短くする
ことで、ビット線容量が小さくなり、メモリセル1445の保持容量を低減することがで
きる。また、ローカルセンスアンプアレイ1426にスイッチアレイ1444を設けるこ
とで、長いビット線の本数を減らすことができる。以上の理由から、DOSRAM140
0のアクセス時に駆動する負荷が低減され、消費電力を低減することができる。
【0515】
本実施の形態に示す構成は、他の実施の形態に示す構成と適宜組み合わせて用いること
ができる。
【0516】
(実施の形態6)
本実施の形態では、図35を用いて、上記実施の形態に示す半導体装置を適用した、A
Iシステムについて説明を行う。
【0517】
図35は、AIシステム4041の構成例を示すブロック図である。AIシステム40
41は、演算部4010と、制御部4020と、入出力部4030を有する。
【0518】
演算部4010は、アナログ演算回路4011と、DOSRAM4012と、NOSR
AM4013と、FPGA(フィールドプログラマブルゲートアレイ)4014と、を有
する。DOSRAM4012およびNOSRAM4013として、上記実施の形態に示す
、DOSRAM1400、NOSRAM1600を用いることができる。また、FPGA
4014は、コンフィギュレーションメモリ、およびレジスタにOSメモリが適用されて
いる。ここでは、このようなFPGAを「OS-FPGA」と呼ぶ。
【0519】
制御部4020は、CPU(Central Processing Unit)40
21と、GPU(Graphics Processing Unit)4022と、P
LL(Phase Locked Loop)4023と、SRAM(Static R
andom Access Memory)4024と、PROM(Programma
ble Read Only Memory)4025と、メモリコントローラ4026
と、電源回路4027と、PMU(Power Management Unit)40
28と、を有する。
【0520】
入出力部4030は、外部記憶制御回路4031と、音声コーデック4032と、映像
コーデック4033と、汎用入出力モジュール4034と、通信モジュール4035と、
を有する。
【0521】
演算部4010は、ニューラルネットワークによる学習または推論を実行することがで
きる。
【0522】
アナログ演算回路4011はA/D(アナログ/デジタル)変換回路、D/A(デジタ
ル/アナログ)変換回路、および積和演算回路を有する。
【0523】
アナログ演算回路4011はOSトランジスタを用いて形成することが好ましい。OS
トランジスタを用いたアナログ演算回路4011は、アナログメモリを有し、学習または
推論に必要な積和演算を、低消費電力で実行することが可能になる。
【0524】
DOSRAM4012は、OSトランジスタを用いて形成されたDRAMであり、DO
SRAM4012は、CPU4021から送られてくるデジタルデータを一時的に格納す
るメモリである。DOSRAM4012は、OSトランジスタを含むメモリセルと、Si
トランジスタを含む読み出し回路部を有する。上記メモリセルと読み出し回路部は、積層
された異なる層に設けることができるため、DOSRAM4012は、全体の回路面積を
小さくすることができる。
【0525】
ニューラルネットワークを用いた計算は、入力データが1000を超えることがある。
上記入力データをSRAMに格納する場合、SRAMは回路面積に制限があり、記憶容量
が小さいため、上記入力データを小分けにして格納せざるを得ない。DOSRAM401
2は、限られた回路面積でも、メモリセルを高集積に配置することが可能であり、SRA
Mに比べて記憶容量が大きい。そのため、DOSRAM4012は、上記入力データを効
率良く格納することができる。
【0526】
NOSRAM4013はOSトランジスタを用いた不揮発性メモリである。NOSRA
M4013は、フラッシュメモリや、ReRAM(Resistive Random
Access Memory)、MRAM(Magnetoresistive Ran
dom Access Memory)などの他の不揮発性メモリと比べて、データを書
き込む際の消費電力が小さい。また、フラッシュメモリやReRAMのように、データを
書き込む際に素子が劣化することもなく、データの書き込み可能回数に制限が無い。
【0527】
また、NOSRAM4013は、1ビットの2値データの他に、2ビット以上の多値デ
ータを記憶することができる。NOSRAM4013は多値データを記憶することで、1
ビット当たりのメモリセル面積を小さくすることができる。
【0528】
また、NOSRAM4013は、デジタルデータの他にアナログデータを記憶すること
ができる。そのため、アナログ演算回路4011は、NOSRAM4013をアナログメ
モリとして用いることもできる。NOSRAM4013は、アナログデータのまま記憶す
ることができるため、D/A変換回路やA/D変換回路が不要である。そのため、NOS
RAM4013は周辺回路の面積を小さくすることができる。なお、本明細書においてア
ナログデータとは、3ビット(8値)以上分解能を有するデータのことを指す。上述した
多値データがアナログデータに含まれる場合もある。
【0529】
ニューラルネットワークの計算に用いられるデータやパラメータは、一旦、NOSRA
M4013に格納することができる。上記データやパラメータは、CPU4021を介し
て、AIシステム4041の外部に設けられたメモリに格納してもよいが、内部に設けら
れたNOSRAM4013の方が、より高速かつ低消費電力に上記データやパラメータを
格納することができる。また、NOSRAM4013は、DOSRAM4012よりもビ
ット線を長くすることができるので、記憶容量を大きくすることができる。
【0530】
FPGA4014は、OSトランジスタを用いたFPGAである。AIシステム404
1は、FPGA4014を用いることによって、ハードウェアで後述する、ディープニュ
ーラルネットワーク(DNN)、畳み込みニューラルネットワーク(CNN)、再帰型ニ
ューラルネットワーク(RNN)、自己符号化器、深層ボルツマンマシン(DBM)、深
層信念ネットワーク(DBN)などの、ニューラルネットワークの接続を構成することが
できる。上記のニューラルネットワークの接続をハードウェアで構成することで、より高
速に実行することができる。
【0531】
FPGA4014は、OSトランジスタを有するFPGAである。OS-FPGAは、
SRAMで構成されるFPGAよりもメモリの面積を小さくすることができる。そのため
、コンテキスト切り替え機能を追加しても面積増加が少ない。また、OS-FPGAはブ
ースティングによりデータやパラメータを高速に伝えることができる。
【0532】
AIシステム4041は、アナログ演算回路4011、DOSRAM4012、NOS
RAM4013、およびFPGA4014を1つのダイ(チップ)の上に設けることがで
きる。そのため、AIシステム4041は、高速かつ低消費電力に、ニューラルネットワ
ークの計算を実行することができる。また、アナログ演算回路4011、DOSRAM4
012、NOSRAM4013、およびFPGA4014は、同じ製造プロセスで作製す
ることができる。そのため、AIシステム4041は、低コストで作製することができる
【0533】
なお、演算部4010は、DOSRAM4012、NOSRAM4013、およびFP
GA4014を、全て有する必要はない。AIシステム4041が解決したい課題に応じ
て、DOSRAM4012、NOSRAM4013、およびFPGA4014の一または
複数を、選択して設ければよい。
【0534】
AIシステム4041は、解決したい課題に応じて、ディープニューラルネットワーク
(DNN)、畳み込みニューラルネットワーク(CNN)、再帰型ニューラルネットワー
ク(RNN)、自己符号化器、深層ボルツマンマシン(DBM)、深層信念ネットワーク
(DBN)などの手法を実行することができる。PROM4025は、これらの手法の少
なくとも一つを実行するためのプログラムを保存することができる。また、当該プログラ
ムの一部または全てを、NOSRAM4013に保存してもよい。
【0535】
ライブラリとして存在する既存のプログラムは、GPUの処理を前提としているものが
多い。そのため、AIシステム4041はGPU4022を有することが好ましい。AI
システム4041は、学習と推論で用いられる積和演算のうち、律速となる積和演算を演
算部4010で実行し、それ以外の積和演算をGPU4022で実行することができる。
そうすることで、学習と推論を高速に実行することができる。
【0536】
電源回路4027は、論理回路用の低電源電位を生成するだけではなく、アナログ演算
のための電位生成も行う。電源回路4027はOSメモリを用いてもよい。電源回路40
27は、基準電位をOSメモリに保存することで、消費電力を下げることができる。
【0537】
PMU4028は、AIシステム4041の電力供給を一時的にオフにする機能を有す
る。
【0538】
CPU4021およびGPU4022は、レジスタとしてOSメモリを有することが好
ましい。CPU4021およびGPU4022はOSメモリを有することで、電力供給が
オフになっても、OSメモリ中にデータ(論理値)を保持し続けることができる。その結
果、AIシステム4041は、電力を節約することができる。
【0539】
PLL4023は、クロックを生成する機能を有する。AIシステム4041は、PL
L4023が生成したクロックを基準に動作を行う。PLL4023はOSメモリを有す
ることが好ましい。PLL4023はOSメモリを有することで、クロックの発振周期を
制御するアナログ電位を保持することができる。
【0540】
AIシステム4041は、DRAMなどの外部メモリにデータを保存してもよい。その
ため、AIシステム4041は、外部のDRAMとのインターフェースとして機能するメ
モリコントローラ4026を有することが好ましい。また、メモリコントローラ4026
は、CPU4021またはGPU4022の近くに配置することが好ましい。そうするこ
とで、データのやり取りを高速に行うことができる。
【0541】
制御部4020に示す回路の一部または全ては、演算部4010と同じダイの上に形成
することができる。そうすることで、AIシステム4041は、高速かつ低消費電力に、
ニューラルネットワークの計算を実行することができる。
【0542】
ニューラルネットワークの計算に用いられるデータは外部記憶装置(HDD(Hard
Disk Drive)、SSD(Solid State Drive)など)に保
存される場合が多い。そのため、AIシステム4041は、外部記憶装置とのインターフ
ェースとして機能する外部記憶制御回路4031を有することが好ましい。
【0543】
ニューラルネットワークを用いた学習と推論は、音声や映像を扱うことが多いので、A
Iシステム4041は音声コーデック4032および映像コーデック4033を有する。
音声コーデック4032は、音声データのエンコード(符号化)およびデコード(復号)
を行い、映像コーデック4033は、映像データのエンコードおよびデコードを行う。
【0544】
AIシステム4041は、外部センサから得られたデータを用いて学習または推論を行
うことができる。そのため、AIシステム4041は汎用入出力モジュール4034を有
する。汎用入出力モジュール4034は、例えば、USB(Universal Ser
ial Bus)やI2C(Inter-Integrated Circuit)など
を含む。
【0545】
AIシステム4041は、インターネットを経由して得られたデータを用いて学習また
は推論を行うことができる。そのため、AIシステム4041は、通信モジュール403
5を有することが好ましい。
【0546】
アナログ演算回路4011は、多値のフラッシュメモリをアナログメモリとして用いて
もよい。しかし、フラッシュメモリは書き換え可能回数に制限がある。また、多値のフラ
ッシュメモリは、エンベディッドで形成する(演算回路とメモリを同じダイの上に形成す
る。)ことが非常に難しい。
【0547】
また、アナログ演算回路4011は、ReRAMをアナログメモリとして用いてもよい
。しかし、ReRAMは書き換え可能回数に制限があり、記憶精度の点でも問題がある。
さらに、2端子でなる素子であるため、データの書き込みと読み出しを分ける回路設計が
複雑になる。
【0548】
また、アナログ演算回路4011は、MRAMをアナログメモリとして用いてもよい。
しかし、MRAMは抵抗変化率が低く、記憶精度の点で問題がある。
【0549】
以上を鑑み、アナログ演算回路4011は、OSメモリをアナログメモリとして用いる
ことが好ましい。
【0550】
本実施の形態に示す構成は、他の実施の形態に示す構成と適宜組み合わせて用いること
ができる。
【0551】
(実施の形態7)
<AIシステムの応用例>
本実施の形態では、上記実施の形態に示すAIシステムの応用例について図36を用い
て説明を行う。
【0552】
図36(A)は、図35で説明したAIシステム4041を並列に配置し、バス線を介
してシステム間での信号の送受信を可能にした、AIシステム4041Aである。
【0553】
図36(A)に図示するAIシステム4041Aは、複数のAIシステム4041_1
乃至AIシステム4041_n(nは自然数)を有する。AIシステム4041_1乃至
AIシステム4041_nは、バス線4098を介して互いに接続されている。
【0554】
また図36(B)は、図35で説明したAIシステム4041を図36(A)と同様に
並列に配置し、ネットワークを介してシステム間での信号の送受信を可能にした、AIシ
ステム4041Bである。
【0555】
図36(B)に図示するAIシステム4041Bは、複数のAIシステム4041_1
乃至AIシステム4041_nを有する。AIシステム4041_1乃至AIシステム4
041_nは、ネットワーク4099を介して互いに接続されている。
【0556】
ネットワーク4099は、AIシステム4041_1乃至AIシステム4041_nの
それぞれに通信モジュールを設け、無線または有線による通信を行う構成とすればよい。
通信モジュールは、アンテナを介して通信を行うことができる。例えばWorld Wi
de Web(WWW)の基盤であるインターネット、イントラネット、エクストラネッ
ト、PAN(Personal Area Network)、LAN(Local A
rea Network)、CAN(Campus Area Network)、MA
N(Metropolitan Area Network)、WAN(Wide Ar
ea Network)、GAN(Global Area Network)等のコン
ピュータネットワークに各電子装置を接続させ、通信を行うことができる。無線通信を行
う場合、通信プロトコルまたは通信技術として、LTE(Long Term Evol
ution)、GSM(Global System for Mobile Comm
unication:登録商標)、EDGE(Enhanced Data Rates
for GSM Evolution)、CDMA2000(Code Divisi
on Multiple Access 2000)、W-CDMA(登録商標)などの
通信規格、またはWi-Fi(登録商標)、Bluetooth(登録商標)、ZigB
ee(登録商標)等のIEEEにより通信規格化された仕様を用いることができる。
【0557】
図36(A)および図36(B)の構成とすることで、外部のセンサ等で得られたアナ
ログ信号を別々のAIシステムで処理することができる。例えば、生体情報のように、脳
波、脈拍、血圧、体温等といった情報を脳波センサ、脈波センサ、血圧センサ、温度セン
サといった各種センサで取得し、別々のAIシステムでアナログ信号を処理することがで
きる。別々のAIシステムのそれぞれで信号の処理、または学習を行うことで一つのAI
システムあたりの情報処理量を少なくできる。そのため、より少ない演算量で信号の処理
、または学習を行うことができる。その結果、認識精度を高めることができる。それぞれ
のAIシステムで得られた情報から、複雑に変化する生体情報の変化を瞬時に統合的に把
握することができるといったことが期待できる。
【0558】
本実施の形態に示す構成は、他の実施の形態に示す構成と適宜組み合わせて用いること
ができる。
【0559】
(実施の形態8)
本実施の形態では、上記実施の形態に示すAIシステムが組み込まれたICの一例を示
す。
【0560】
上記実施の形態に示すAIシステムは、CPU等のSiトランジスタでなるデジタル処
理回路と、OSトランジスタを用いたアナログ演算回路、OS-FPGAおよびDOSR
AM、NOSRAM等のOSメモリを、1のダイに集積することができる。
【0561】
図37に、AIシステムを組み込んだICの一例を示す。図37に示すAIシステムI
C7000は、リード7001および回路部7003を有する。AIシステムIC700
0は、例えばプリント基板7002に実装される。このようなICチップが複数組み合わ
されて、それぞれがプリント基板7002上で電気的に接続されることで電子部品が実装
された基板(実装基板7004)が完成する。回路部7003には、上記実施の形態で示
した各種の回路が1のダイに設けられている。回路部7003は、先の実施の形態に示す
ように、積層構造をもち、Siトランジスタ層7031、配線層7032、OSトランジ
スタ層7033に大別される。OSトランジスタ層7033をSiトランジスタ層703
1に積層して設けることができるため、AIシステムIC7000の小型化が容易である
【0562】
図37では、AIシステムIC7000のパッケージにQFP(Quad Flat
Package)を適用しているが、パッケージの態様はこれに限定されない。
【0563】
CPU等のデジタル処理回路と、OSトランジスタを用いたアナログ演算回路、OS-
FPGAおよびDOSRAM、NOSRAM等のOSメモリは、全て、Siトランジスタ
層7031、配線層7032およびOSトランジスタ層7033に形成することができる
。すなわち、上記AIシステムを構成する素子は、同一の製造プロセスで形成することが
可能である。そのため、本実施の形態に示すICは、構成する素子が増えても製造プロセ
スを増やす必要がなく、上記AIシステムを低コストで組み込むことができる。
【0564】
本実施の形態に示す構成は、他の実施の形態に示す構成と適宜組み合わせて用いること
ができる。
【0565】
(実施の形態9)
<電子機器>
本発明の一態様に係る半導体装置は、様々な電子機器に用いることができる。図38
よび図39に、本発明の一態様に係る半導体装置を用いた電子機器の具体例を示す。
【0566】
図38(A)に示すロボット2000は、演算装置2001、センサ2002、ライト
2003、リフト2004、駆動部2005、移動機構2011を備えており、移動しな
がら静止画や動画を撮影することができる。このようなロボットは、警備システムや、監
視システムとして用いることができる。
【0567】
ロボット2000は、さらに、通信手段2006、スピーカ2007、マイクロフォン
2008、表示部2009、発光部2010などを備えていてもよい。
【0568】
演算装置2001には、本発明の一態様に係る半導体装置を用いることができる。また
、演算装置2001には、本発明の一態様に係るAIシステムが組み込まれたICを用い
ることができる。センサ2002は、ロボット2000の周囲を撮影する、カメラとして
の機能を有する。ライト2003は、センサ2002でロボット2000の周囲を撮影す
る際のライトとして用いることができる。なお、センサ2002で、静止画を撮影する際
には、ライト2003は、フラッシュライトとして機能することが好ましい。センサ20
02は、リフト2004を介して、ロボット本体と接続されている。センサ2002の高
さは、リフト2004により調整することができる。リフト2004は、伸縮式であるこ
とが好ましい。また、リフト2004は、複数のブームにより構成された折り畳み式のも
のでもよい。また、ロボット2000には、駆動部2005と、駆動部2005に接続さ
れた移動機構2011が設けられているため、センサ2002による撮像範囲、すなわち
監視範囲が広がり、好ましい。
【0569】
通信手段2006は、センサ2002により撮像された情報を管理者や、管理者が所有
するサーバへ送信することができる。また、センサ2002により撮像された情報を演算
装置2001にて解析し、犯罪、事故、火災などの非常事態と判断された場合は、警備会
社、警察、消防、医療機関、土地や建物のオーナーへ連絡することができる。スピーカ2
007は、犯罪者への警告、怪我人や急病人への問いかけ、避難の誘導など、ロボット周
囲に情報の発信を行うことができる。マイクロフォン2008は、ロボット2000周囲
の音声の取得に用いることができる。また、通信手段2006、およびスピーカ2007
と合わせて用いることで、ロボット2000は電話としての機能を有することができる。
ロボット2000周囲にいる人は、管理者や任意の人と会話することができる。表示部2
009は、任意の情報を表示することができる。非常時の場合は、災害情報や避難経路を
表示することができる。また、通信手段2006、スピーカ2007、およびマイクロフ
ォン2008と合わせて用いることで、ロボット2000はテレビ電話としての機能を有
することができる。ロボット2000周囲にいる人は、管理者や任意の人と表示部200
9を見ながら会話することができる。
【0570】
発光部2010は、ロボット2000の進行方向や停止状態を文字や光で示すことがで
きる。また、非常事態を示してもよい。
【0571】
図38(B)は、ロボット2000の構成を示すブロック図である。演算装置2001
は、センサ2002により得られた映像などの情報から、ライト2003の点灯や消灯、
明るさの調整を行う。また、リフト2004の高さの調整、あるいは、駆動部2005の
制御を行い、ロボット2000や、センサ2002の位置合わせを行う。また、駆動部2
005の動作状況を、発光部2010を用いて示すことができる。また、通信手段200
6を用いて、センサ2002やマイクロフォン2008から得られたロボット2000の
周囲の情報を管理者、または管理者が所有するサーバに送信することができる。また、演
算装置2001や、管理者の判断により、スピーカ2007や表示部2009を用いて、
ロボット2000の周囲に情報を発信することができる。
【0572】
センサ2002として、周囲が暗くても撮像が可能なセンサを用いる場合は、ライト2
003は設けなくてもよい。このようなセンサとして、受光部にセレン(Se)を用いた
イメージセンサを用いることができる。
【0573】
このようなロボット2000は、商業施設や、オフィスの警備に用いることができる。
センサ2002やマイクロフォン2008から得られた情報は、演算装置2001やサー
バに保存される。保存された情報は、AIシステムにより解析され、物品の紛失や破損、
不審者の侵入、火災などの災害などの異常の有無を判断する。情報の解析には、ディープ
ラーニングを用いてもよい。異常が発生したと判断した場合、ロボット2000は、管理
者への連絡および周囲への情報発信を行い、周囲の状況を記録する。
【0574】
また、ロボット2000は、農作物の生育状況の監視に用いてもよい。田んぼや畑に設
置されたロボット2000は、センサ2002により、農作物の葉、あるいは実の形、大
きさ、色を監視し、病気になっていないか、害虫の付着が無いかを判断する。ロボット2
000には、移動機構2011が設けられているため、広範囲の農作物の生育状況を監視
することができる。また、ロボット2000には、リフト2004が設けられているため
、農作物の種類や、生育状況によらず、任意の高さの葉や実を監視することができる。監
視結果は、通信手段2006を用いて生産者に送られ、生産者は、農作物に必要な肥料や
農薬の種類、量、散布時期を判断することができる。また、演算装置2001を用いて、
監視結果を、AIシステムにより解析し、農作物に必要な、肥料や農薬の種類、量、散布
時期を判断して、生産者に通知してもよい。監視結果の解析には、ディープラーニングを
用いてもよい。
【0575】
図39(A)は、ロボット3001を用いた、仕分けシステム3000を示す。ロボッ
ト3001は、演算装置3002、ブーム3003、およびアーム3004を備えている
。また、ロボット3001は有線、または無線の通信手段3011を備えていてもよい。
また、仕分けシステム3000は、センサ3009を有する筐体3008を備えている。
筐体3008は、通信手段3010を有している。筐体3008は、仕分けシステム30
00、または仕分け作業エリアの天井、壁、梁(いずれも図示せず)に設けられる。また
、筐体3008は、ロボット3001に設けられていてもよい。例えば、ブーム3003
、またはアーム3004に設けられていてもよい。筐体3008がロボット3001に設
けられている場合は、センサ3009により得られた情報は、通信手段3010、および
通信手段3011を介さず、演算装置3002に送られ、処理されてもよい。
【0576】
ブーム3003は、可動式となっており、アーム3004を所望の位置に配置すること
ができる。また、アーム3004は伸縮式としてもよい。所望の物品3007上に配置さ
れたアーム3004を伸ばし、所望の物品3007を掴み、アーム3004を縮めた後、
ブーム3003によりアーム3004を移動してもよい。
【0577】
仕分けシステム3000は、容器3005内の物品3007を容器3006に移動させ
ることができる。容器3005と容器3006は、同一形状でも良いし、異なる形状でも
よい。また、一つの容器3005に入れられた複数の物品3007を複数の容器3006
に振り分けて移動してもよい。
【0578】
容器3005、および容器3006として、コンテナ、段ボール箱、商品を梱包する箱
、ケース、フィルム、または袋、食品保管用のバット、弁当箱などが用いられる。また、
容器3005、および容器3006の少なくとも一方は、鍋やフライパンなどの調理器具
でもよい。
【0579】
演算装置3002には、本発明の一態様に係る半導体装置を用いることができる。また
、演算装置3002には、本発明の一態様に係るAIシステムが組み込まれたICを用い
ることができる。
【0580】
センサ3009は、容器3005の位置や個数、容器3006の位置や個数、容器30
05内、および容器3005内の物品3007の状態を読み取り、通信手段3010を用
いて演算装置3002に情報を送信する。情報の送信は無線または、有線で行う。また、
通信手段3010を用いずに、有線にて情報を送信してもよい。演算装置3002は、送
信された情報の解析を行う。ここで、物品3007の状態とは、形、数、物品3007同
士の重なりなどのことを指す。演算装置3002は、センサ3009からの情報をもとに
解析を行い、物品3007の詳細情報を導出する。演算装置3002、またはロボット3
001と通信可能なサーバに保存されたデータと比較し、物品3007の三次元形状や、
硬さ(柔らかさ)を導出する。また、物品3007の三次元形状や硬さ(柔らかさ)から
、アーム3004の形状を変えることができる。また、物品3007の形状や大きさに応
じて容器3006内の配置場所を変え、仕分けを行ってもよいし、複数の異なる容器30
06に配置し、仕分けを行ってもよい。
【0581】
物品3007の詳細情報を導出するには、AIシステムを用いた解析を利用することが
できる。情報の解析には、ディープラーニングを用いてもよい。
【0582】
図39(B)は、一対の板3021が水平方向に移動し、物品3007を挟むことがで
きるアームである。一対の板3021が中心に向かって水平方向に移動することで、物品
3007を挟むことができる。このようなアームは、物品3007を面で捉えることがで
き、立方体や直方体など、柱状の形を有する物品3007を掴むのに適している。図39
(C)は、複数のバー3022が水平方向に移動し、物品3007を挟むことができるア
ームである。複数のバー3022が中心に向かって水平方向に移動することで、物品30
07を挟むことができる。このようなアームは、物品3007を点で捉えることができ、
球状の形を有する物品3007、または物品3007の形が一定でない場合、すなわち不
定型な物品3007を掴むに適している。なお、図39(C)では、バー3022の数を
4本としたが、本実施の形態はこれに限らない。バー3022は3本でもよいし、5本以
上でも良い。図39(D)は、一対の板3023が、共通の軸を中心に、お互いが近づく
ように回転することで物品3007を挟むことができるアームである。このようなアーム
は、物品3007を面で捉えることができ、紙やフィルムなど、薄膜状の形を有する物品
3007を掴むのに適している。図39(E)は、一対のかぎ状の板3024が、共通の
軸を中心に、お互いの先端が近づくように回転することで物品3007を挟むことができ
るアームである。このようなアームは、物品3007を点、または線で捉えることができ
、紙やフィルムなど、薄膜状の形を有する物品3007や、より小さい粒状の形を有する
物品3007を掴むのに適している。また、図39(F)に示すように、アームの先端に
ヘラ3025を取り付け、より小さい粒状の形を有する物品3007をすくってもよい。
【0583】
図39(A)乃至図39(F)に示すアームは、一例であり、本発明の一態様はこれら
の形状に限らない。また、各アームの用途の説明も一例であり、本発明の一態様はこれら
の記載に限らない。
【0584】
ロボット3001は、演算装置3002からの信号に基づき、ブーム3003を動かし
、アーム3004を、容器3005内の所望の物品3007上に移動する。伸縮式のアー
ム3004の場合、アーム3004を伸ばし、アーム3004の先端を物品3007の高
さまで降ろす。アームの先端を動かし、所望の物品3007を掴む。物品3007を掴ん
だまま、アームを縮める。再びブーム3003を動かし、アーム3004を、容器300
6の所望の位置に移動する。このとき、容器3006に対する物品3007の角度を調整
する為、アーム3004を回転してもよい。アーム3004を伸ばし、物品3007を容
器3006に配置し、アーム3004は、物品3007を放す。以上の操作を繰り返し行
い、ロボット3001は、物品3007を容器3005から容器3006に移動させるこ
とができる。
【0585】
容器3005、および容器3006の位置情報、および物品3007の状態をAIシス
テムを用いて解析しているため、物品3007の形状や硬さによらず、確実に物品300
7を移動することができる。物品3007の例としては、立方体、または直方体の箱、ま
たは任意の形状の箱やケースに詰められた物品だけでなく、卵、ハンバーグやコロッケな
ど、成形された加工食品、ジャガイモやトマトなど、不定形な野菜などの食品、ネジやナ
ットなどの機械部品、紙やフィルムなどの薄膜などが挙げられる。本実施の形態に示した
仕分けシステム3000は、物品3007の形状や硬さを考慮してアームの形状を変える
ことができるため、上記に例示した物品3007を、形状や硬さによらず、容器3005
から容器3006に移動させることができる。
【0586】
例えば、本発明の一態様の半導体装置を用いた記憶装置は、上述した電子機器の制御情
報や、制御プログラムなどを長期間保持することができる。本発明の一態様に係る半導体
装置を用いることで、信頼性の高い電子機器を実現することができる。
【0587】
また、例えば、上述した電子機器の演算装置などに、上記AIシステムが組み込まれた
ICを用いることができる。これにより、本実施の形態に示す電子機器は、AIシステム
によって、状況に応じた的確な動作を、低消費電力で行うことができる。
【0588】
本実施の形態は、他の実施の形態などに記載した構成と適宜組み合わせて実施すること
が可能である。
【0589】
(実施の形態10)
本実施の形態では、先の実施の形態に示す半導体装置を用いた記憶装置の応用例につい
て説明する。先の実施の形態に示す半導体装置は、例えば、各種電子機器(例えば、情報
端末、コンピュータ、スマートフォン、電子書籍端末、デジタルカメラ(ビデオカメラも
含む)、録画再生装置、ナビゲーションシステムなど)の記憶装置に適用できる。なお、
ここで、コンピュータとは、タブレット型のコンピュータや、ノート型のコンピュータや
、デスクトップ型のコンピュータの他、サーバシステムのような大型のコンピュータを含
むものである。または、先の実施の形態に示す半導体装置は、メモリカード(例えば、S
Dカード)、USBメモリ、SSD(ソリッド・ステート・ドライブ)等の各種のリムー
バブル記憶装置に適用される。図40にリムーバブル記憶装置の幾つかの構成例を模式的
に示す。例えば、先の実施の形態に示す半導体装置は、パッケージングされたメモリチッ
プに加工され、様々なストレージ装置、リムーバブルメモリに用いられる。
【0590】
図40(A)はUSBメモリの模式図である。USBメモリ1100は、筐体1101
、キャップ1102、USBコネクタ1103および基板1104を有する。基板110
4は、筐体1101に収納されている。例えば、基板1104には、メモリチップ110
5、コントローラチップ1106が取り付けられている。基板1104のメモリチップ1
105などに先の実施の形態に示す半導体装置を組み込むことができる。
【0591】
図40(B)はSDカードの外観の模式図であり、図40(C)は、SDカードの内部
構造の模式図である。SDカード1110は、筐体1111、コネクタ1112および基
板1113を有する。基板1113は筐体1111に収納されている。例えば、基板11
13には、メモリチップ1114、コントローラチップ1115が取り付けられている。
基板1113の裏面側にもメモリチップ1114を設けることで、SDカード1110の
容量を増やすことができる。また、無線通信機能を備えた無線チップを基板1113に設
けてもよい。これによって、ホスト装置とSDカード1110間の無線通信によって、メ
モリチップ1114のデータの読み出し、書き込みが可能となる。基板1113のメモリ
チップ1114などに先の実施の形態に示す半導体装置を組み込むことができる。
【0592】
図40(D)はSSDの外観の模式図であり、図40(E)は、SSDの内部構造の模
式図である。SSD1150は、筐体1151、コネクタ1152および基板1153を
有する。基板1153は筐体1151に収納されている。例えば、基板1153には、メ
モリチップ1154、メモリチップ1155、コントローラチップ1156が取り付けら
れている。メモリチップ1155はコントローラチップ1156のワークメモリであり、
例えばDRAMチップを用いればよい。基板1153の裏面側にもメモリチップ1154
を設けることで、SSD1150の容量を増やすことができる。基板1153のメモリチ
ップ1154などに先の実施の形態に示す半導体装置を組み込むことができる。
【0593】
本実施の形態に示す構成は、他の実施の形態に示す構成と適宜組み合わせて用いること
ができる。
【符号の説明】
【0594】
100 容量素子
100a 容量素子
100b 容量素子
110 導電体
112 導電体
120 導電体
130 絶縁体
140 絶縁体
150 絶縁体
160 導電体
200 トランジスタ
200a トランジスタ
200b トランジスタ
203 導電体
203a 導電体
203b 導電体
205 導電体
205a 導電体
205b 導電体
210 絶縁体
212 絶縁体
214 絶縁体
216 絶縁体
218 導電体
220 絶縁体
222 絶縁体
224 絶縁体
226 絶縁体
230 酸化物
230a 酸化物
230A 酸化膜
230b 酸化物
230B 酸化膜
230c 酸化物
230C 酸化膜
231 領域
231a 領域
231b 領域
232 領域
232a 領域
232b 領域
234 領域
239 領域
240 導電体
240a 導電体
240A 導電膜
240b 導電体
242 導電体
242a 導電体
242A 導電膜
242b 導電体
242B 導電体
243 領域
243a 領域
243b 領域
244 絶縁体
244A 絶縁体
245 開口
246 導電体
246A 導電体
248 導電体
250 絶縁体
250a 絶縁体
250A 絶縁体
250b 絶縁体
250B 絶縁体
250C 絶縁体
252 絶縁体
260 導電体
260a 導電体
260A 導電膜
260b 導電体
260B 導電膜
260C 導電体
270 絶縁体
270A 絶縁体
272 絶縁体
272A 絶縁体
273 絶縁体
273A 絶縁体
280 絶縁体
281 絶縁体
282 絶縁体
286 絶縁体
300 トランジスタ
311 基板
313 半導体領域
314a 低抵抗領域
314b 低抵抗領域
315 絶縁体
316 導電体
320 絶縁体
322 絶縁体
324 絶縁体
326 絶縁体
328 導電体
330 導電体
350 絶縁体
352 絶縁体
354 絶縁体
356 導電体
360 絶縁体
362 絶縁体
364 絶縁体
366 導電体
370 絶縁体
372 絶縁体
374 絶縁体
376 導電体
380 絶縁体
382 絶縁体
384 絶縁体
386 導電体
400 トランジスタ
600 セル
601 セル
1001 配線
1002 配線
1003 配線
1004 配線
1005 配線
1006 配線
1100 USBメモリ
1101 筐体
1102 キャップ
1103 USBコネクタ
1104 基板
1105 メモリチップ
1106 コントローラチップ
1110 SDカード
1111 筐体
1112 コネクタ
1113 基板
1114 メモリチップ
1115 コントローラチップ
1150 SSD
1151 筐体
1152 コネクタ
1153 基板
1154 メモリチップ
1155 メモリチップ
1156 コントローラチップ
1400 DOSRAM
1405 コントローラ
1410 行回路
1411 デコーダ
1412 ワード線ドライバ回路
1413 列セレクタ
1414 センスアンプドライバ回路
1415 列回路
1416 グローバルセンスアンプアレイ
1417 入出力回路
1420 センスアンプアレイ
1422 メモリセルアレイ
1423 センスアンプアレイ
1425 ローカルメモリセルアレイ
1426 ローカルセンスアンプアレイ
1444 スイッチアレイ
1445 メモリセル
1445a メモリセル
1445b メモリセル
1446 センスアンプ
1447 グローバルセンスアンプ
1600 NOSRAM
1610 メモリセルアレイ
1611 メモリセル
1612 メモリセル
1613 メモリセル
1614 メモリセル
1615 メモリセル
1615a メモリセル
1615b メモリセル
1640 コントローラ
1650 行ドライバ
1651 行デコーダ
1652 ワード線ドライバ
1660 列ドライバ
1661 列デコーダ
1662 ドライバ
1663 DAC
1670 出力ドライバ
1671 セレクタ
1672 ADC
1673 出力バッファ
2000 ロボット
2001 演算装置
2002 センサ
2003 ライト
2004 リフト
2005 駆動部
2006 通信手段
2007 スピーカ
2008 マイクロフォン
2009 表示部
2010 発光部
2011 移動機構
3000 システム
3001 ロボット
3002 演算装置
3003 ブーム
3004 アーム
3005 容器
3006 容器
3007 物品
3008 筐体
3009 センサ
3010 通信手段
3011 通信手段
3021 板
3022 バー
3023 板
3024 板
3025 ヘラ
4010 演算部
4011 アナログ演算回路
4012 DOSRAM
4013 NOSRAM
4014 FPGA
4020 制御部
4021 CPU
4022 GPU
4023 PLL
4025 PROM
4026 メモリコントローラ
4027 電源回路
4028 PMU
4030 入出力部
4031 外部記憶制御回路
4032 音声コーデック
4033 映像コーデック
4034 汎用入出力モジュール
4035 通信モジュール
4041 AIシステム
4041_n AIシステム
4041_1 AIシステム
4041A AIシステム
4041B AIシステム
4098 バス線
4099 ネットワーク
7000 AIシステムIC
7001 リード
7002 プリント基板
7003 回路部
7004 実装基板
7031 Siトランジスタ層
7032 配線層
7033 OSトランジスタ層
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
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図39
図40