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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-17
(45)【発行日】2024-10-25
(54)【発明の名称】情報出力装置及び制御プログラム
(51)【国際特許分類】
   G08G 1/16 20060101AFI20241018BHJP
   G01C 21/26 20060101ALI20241018BHJP
   G09B 29/00 20060101ALI20241018BHJP
   G09B 29/10 20060101ALI20241018BHJP
【FI】
G08G1/16
G01C21/26 B
G09B29/00 A
G09B29/10 A
【請求項の数】 2
(21)【出願番号】P 2022503748
(86)(22)【出願日】2021-02-26
(86)【国際出願番号】 JP2021007330
(87)【国際公開番号】W WO2021172514
(87)【国際公開日】2021-09-02
【審査請求日】2024-01-19
(31)【優先権主張番号】P 2020034196
(32)【優先日】2020-02-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(31)【優先権主張番号】P 2020061173
(32)【優先日】2020-03-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】504050275
【氏名又は名称】株式会社 ミックウェア
(72)【発明者】
【氏名】泉 和行
【審査官】西堀 宏之
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-020811(JP,A)
【文献】特開2001-195693(JP,A)
【文献】特開2012-003549(JP,A)
【文献】特開2016-224798(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G08G 1/00-99/00
G01C 21/00-21/36
G09B 29/00
G09B 29/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定の時間間隔で移動体の位置データを取得する位置取得部と、
逆走検知経路に設定された所定の検知位置を示す地点データを記憶する記憶部と、
前記位置データ及び前記地点データに基づいて、前記移動体が前記検知位置を通過したことを検知する検知部と、
前記検知部により、前記移動体が前記検知位置を通過したことを検知した場合、他の前記検知位置を示す前記地点データをサーバから取得する通信部と、
逆走を示す逆走通知情報を出力する出力部と、
前記通信部及び前記出力部を制御する制御部と、を備え、
他の前記検知位置は、前記検知位置である第1検知位置から所定の間隔をあけて逆走の方向に設定された第2検知位置と、前記第2検知位置から所定の間隔をあけて逆走の方向に設定された第3検知位置とを含み、
前記制御部は、
前記位置取得部によって取得される前記位置データの示す位置が順次変化して、前記検知部が前記移動体による前記第1検知位置の通過を検知した場合、前記第2検知位置及び前記第3検知位置をそれぞれ示す前記地点データを、前記移動体が通過する可能性のある前記検知位置に対応する前記地点データとして前記検知部が検索可能な有効状態、又は、前記検知部が検索できない無効状態で前記通信部に取得させ、
前記検知部が、前記移動体による前記第2検知位置の通過を検知した場合、前記第3検知位置を示す前記地点データを前記無効状態から前記有効状態に切り替えて、前記移動体による前記第3検知位置の通過を検知した場合、前記逆走通知情報を前記出力部に出力させる、
ことを特徴とする情報出力装置。
【請求項2】
所定の時間間隔で移動体の位置データを取得する位置取得部と、逆走検知経路に設定された所定の検知位置を示す地点データを記憶する記憶部と、前記位置データ及び前記地点データに基づいて、前記移動体が前記検知位置を通過したことを検知する検知部と、前記検知部により、前記移動体が前記検知位置を通過したことを検知した場合、他の前記検知位置を示す前記地点データをサーバから取得する通信部と、逆走を示す逆走通知情報を出力する出力部と、前記通信部及び前記出力部を制御する制御部と、を備えるコンピュータに制御処理を行わせる制御プログラムであって、
他の前記検知位置は、前記検知位置である第1検知位置から所定の間隔をあけて逆走の方向に設定された第2検知位置と、前記第2検知位置から所定の間隔をあけて逆走の方向に設定された第3検知位置とを含み、
前記制御処理は、
前記位置取得部によって取得される前記位置データの示す位置が順次変化して、前記検知部が前記移動体による前記第1検知位置の通過を検知した場合、前記第2検知位置及び前記第3検知位置をそれぞれ示す前記地点データを、前記移動体が通過する可能性のある前記検知位置に対応する前記地点データとして前記検知部が検索可能な有効状態、又は、前記検知部が検索できない無効状態で前記通信部に取得させるステップと、
前記検知部が、前記移動体による前記第2検知位置の通過を検知した場合、前記第3検知位置を示す前記地点データを前記無効状態から前記有効状態に切り替えるステップと、
前記移動体による前記第3検知位置の通過を検知した場合、前記逆走通知情報を前記出力部に出力させるステップと、
を含む制御プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報出力装置及び制御プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、車両の逆走を報知するため、高速道路に沿って、第1逆走判定エリアと第2逆走判定エリアと第3逆走判定エリアとを設定した逆走判定装置が開示されている。これらの逆走判定エリアは、高速道路の進行方向とは逆向きの順番に並べて設定される。特許文献1に開示の逆走判定装置では、第1逆走判定エリア、第2逆走判定エリア及び第3逆走判定エリアの順序で車両が3つの逆走判定エリアを通過すると、車両が逆走していると判定する。
【0003】
特許文献2には、現在位置が属する領域を判断するため、領域の境界線を挟んで現在位置と参照点とが位置するかどうか判定する技術が開示されている。参照点は、前記領域の外側に設定される。具体的に、特許文献2に開示の技術では、前記領域の境界線と、現在位置と参照点とを結ぶ線分とが交差したか否かを検出し、交点数に基づいて、現在位置が前記領域に属するか否か判定する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2018-81419号公報
【文献】特開2000-161980号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に開示の逆走判定装置では、車両が逆走していると判定するために、複数の逆走判定エリアを設定する必要がある。この理由は、逆走判定エリアを1つ設定しただけでは、車両が逆走判定エリアを通過した通過方向を判定できないためである。また特許文献2に開示の技術は、前記領域の境界線と、現在位置と参照点とを結ぶ線分とが交差することは判定できても、例えば車両が前記境界線を通過した通過方向を求めることはできない。車両等が前記境界線を通過した通過方向を判定できる技術は、逆走検知等の種々の技術に適用できると考えられる。そこで、車両等が仮想的な境界線を通過したことを検知可能な新しい技術が望まれている。
【0006】
また特許文献1に開示の逆走判定装置では、逆走判定エリアが多く設定されるほど、逆走判定装置が記憶するデータ量が大きくなるという問題がある。これは、特許文献1に開示の逆走判定装置が、逆走判定エリアに関する情報を全て地図データに含めて記憶部に記憶するためである。
【0007】
カーナビゲーション装置等の情報出力装置に記憶されるデータ量が大きくなることは、装置の動作や、必要とされる記憶部の容量等の観点から好ましくない。情報出力装置が記憶するデータ量を抑えつつ、逆走の検知が行える新しい技術が望まれている。
【0008】
本発明の一態様は、移動体が仮想的な境界線を通過した通過方向を検知できる情報出力装置及び制御プログラムを実現することを目的とする。
【0009】
本発明の一態様は、記憶すべきデータ量を抑えつつ、逆走の検知が行える情報出力装置及び制御プログラムを実現することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の一態様に係る情報出力装置は、位置取得部と、記憶部と、制御部と、を備える。位置取得部は、位置データを取得する。位置データは、所定の時間間隔で取得される。記憶部は、地点データを記憶する。地点データは、2つの地点をそれぞれ示す。2つの地点は、任意に設定される。制御部は、通過方向を検知する。制御部は、予め定める情報を出力部に出力させる。通過方向は、位置が順次変化して地点の間を通過した方向である。位置は、位置データの示す位置である。位置データは、位置取得部によって取得される位置データである。
【0011】
本発明の一態様に係る情報出力装置は、位置取得部と、通信部と、出力部と、制御部とを備える。位置取得部は、位置データを取得する。位置データは、所定の時間間隔で取得される。通信部は、通信する。出力部は、逆走通知情報を出力する。逆走通知情報は、逆走を示す。制御部は、通信部を制御する。制御部は、出力部を制御する。制御部は、位置が順次変化して所定の検知位置を通過した場合、地点データを通信部に取得させる。位置は、位置データの示す位置である。位置データは、位置取得部によって取得される位置データである。検知位置は、通路に設定される。地点データは、他の検知位置を示す。他の検知位置は、検知位置よりも逆走の方向に設定される。制御部は、位置が順次変化して他の検知位置を通過した場合、逆走通知情報を出力部に出力させる。位置は、位置データの示す位置である。位置データは、位置取得部によって取得される位置データである。
【発明の効果】
【0012】
本発明の一態様によれば、移動体が仮想的な境界線を通過した通過方向を検知して、所定の情報を出力できる。
【0013】
本発明の一態様によれば、記憶すべきデータ量を抑えつつ、逆走の検知が行える。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本発明の実施形態1である情報出力システムを示す概略構成図である。
図2】本発明の実施形態1である情報出力システムによる逆走検知の処理を説明するための図である。
図3】サーバの構成を模式的に示す図である。
図4】検知位置を用いたロケーショントリガの概要を説明する説明図である。
図5】ユーザ端末の構成を模式的に示す図である。
図6】検知位置を説明するための説明図である。
図7】車両による検知位置の通過と通過方向を検知する通過検知処理の手順を示すフローチャートである。
図8A図7に示す通過検知処理を説明するための説明図である。
図8B図7に示す通過検知処理を説明するための説明図である。
図9】検知位置及び検知位置が通路の分岐点に設定された例を示す模式図である。
図10】検知位置がビルとビルとの間に存在する空間に設定された例を示す模式図である。
図11】円形型ジオフェンスを説明する説明図である。
図12】多角形型ジオフェンスを説明する説明図である。
図13】多角形型ジオフェンスの他の例を説明する説明図である。
図14】地点型ジオフェンスを説明する説明図である。
図15】本発明の実施形態1である情報出力システムにおける逆走検知処理の手順を示すフローチャートである。
図16図5に示す処理データ記憶領域に記憶される状態データを説明するための図である。
図17】コンピュータを利用して検知位置を設定する設定処理の手順を示すフローチャートである。
図18A】走行開始地点が示された地図を示す模式図である。
図18B】走行開始地点が示された地図を示す模式図である。
図18C】走行開始地点が示された地図を示す模式図である。
図18D】走行開始地点が示された地図を示す模式図である。
図18E】走行開始地点が示された地図を示す模式図である。
図18F】走行開始地点が示された地図を示す模式図である。
図18G】走行開始地点が示された地図を示す模式図である。
図18H】走行開始地点が示された地図を示す模式図である。
図18I】走行開始地点が示された地図を示す模式図である。
図19】本発明の実施形態2に係る実施例1を説明するための図である。
図20】本発明の実施形態2に係る実施例2を説明するための図である。
図21】本発明の実施形態2に係る実施例3を説明するための図である。
図22】変形例において、車両による検知位置の通過と通過方向を検知する通過検知処理の手順を示すフローチャートである。
図23図22に示す通過検知処理を説明するための説明図である。
図24】上記ユーザ端末の機能を実現するコンピュータの一例を示すハードウェア構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の各実施形態について、図面を参照しながら説明する。以下の各実施形態において同一の部位には同一の符号を付し、重複する説明は省略される。
【0016】
≪実施形態1≫
図1は、本発明の実施形態1である情報出力システム1を示す概略構成図である。情報出力システム1は、ユーザ端末100とサーバ10とを備える。ユーザ端末100は、情報出力装置に相当する。ユーザ端末100及びサーバ10は、ネットワーク30を介して有線又は無線により通信可能に接続される。情報出力システム1に含まれる各装置の数は、特に限定されない。例えば、情報出力システム1は、2以上のユーザ端末100を含んで構成されてもよい。例えば、情報出力システム1は、2以上のサーバ10を含んで構成されてもよい。
【0017】
ユーザ端末100は、車両等の移動体に取り付けられた端末である。ユーザ端末100は、例えば、携帯端末、パーソナルコンピュータである。携帯端末は、例えば、携帯電話、スマートホン、タブレット、ノ一卜ブックコンピュータ、ラップトップコンピュータ、ウェアラプルコンピュータである。移動体は、例えば、人、車両、船舶、航空機、潜水探査機、無人動機である。なお、無人動機は「ドローン」と称される場合もある。車両は、例えば、自動車、自動二輪車、自転車、電車である。ユーザ端末100は、人間等の移動体に保持される携帯端末であってもよい。
【0018】
ユーザ端末100は、移動体が所定の検知位置を通過したことを検知すると、所定の情報を出力する。検知位置は、互いに異なる2つの地点を結ぶ線分に対応する位置に設定される。2つの地点を結ぶ線分に対応する場合、検知位置の形状は、線形に設定される。本実施形態において、移動体が、線形に設定された検知位置を通過したことを検知できる仕組みを、「境界型ジオフェンス」と呼ぶ。
【0019】
本実施形態において、ユーザ端末100はカーナビゲーション装置であり、所定の情報は、車両が通路を逆走していることを示す逆走検知情報である。また本実施形態において、ユーザ端末100は、所定の情報として、車両が通路を逆走する可能性があることを示す逆走注意情報を出力する。通路は、移動体が自由に通行することができる道路又は空間を意味する。本実施形態において、通路は、高速道路及び一般道路である。通路は、高速道路及び一般道路以外の道であってもよい。
【0020】
図2は、本実施形態である情報出力システム1による逆走検知の処理を説明するための図である。情報出力システム1は、境界型ジオフェンスを利用して車両の逆走を検知する。また情報出力システム1は、逆走する可能性のある車両に対して、注意を促す情報を出力する。また情報出力システム1は、逆走している車両に対して、逆走を通知する情報を出力する。図2に示す例は、高速道路のインターチェンジ、及び、インターチェンジ周辺を表す地図である。情報出力システム1では、複数の検知位置Fが設定されている。本実施形態において、情報出力システム1では、検知位置F1と、検知位置F2と、検知位置F3と、検知位置F4と、検知位置F5と、検知位置F6と、検知位置F7と、検知位置F8とが設定されている。検知位置Fは、任意の位置に設定される仮想的な境界線とも言える。なお、以下では、検知位置F1~検知位置F8、並びに後述する各検知位置を総称する用語として、「検知位置F」を用いる。
【0021】
検知位置Fは、例えば、コンテンツを提供する事業者によって設定される。すなわち、検知位置Fは、両端の各地点がコンテンツを提供する事業者によって決められることで、設定される。事業者は、例えば、過去に車両の逆走が発生した場所に、検知位置Fを設定する。検知位置Fの両端の各地点をそれぞれ示す地点データは、サーバ10に記憶される。
【0022】
〔サーバの構成〕
図3は、サーバ10の構成を模式的に示す図である。図3に示すように、サーバ10は、サーバ通信部11と、データ記憶部12と、サーバ制御部13とを有する。
【0023】
サーバ通信部11は、例えば、NIC(Network Interface Card)等によって実現される。サーバ通信部11は、図1に示すネットワーク30と有線又は無線で接続される。サーバ通信部11は、ユーザ端末100との間で情報の送受信を行う。
【0024】
データ記憶部12は、記憶装置によって実現される。記憶装置としては、例えば、RAM(Random Access Memory)、フラッシュメモリ(Flash Memory)等の半導体メモリ素子、ハードディスク、又は、光ディスク等が挙げられる。
【0025】
データ記憶部12は、コンテンツDB(DATABASE)121及びロケーショントリガDB122を格納する。
【0026】
コンテンツDB121は、コンテンツデータを蓄積するデータベースである。このコンテンツデータは、逆走通知情報と逆走注意情報である。すなわち、コンテンツDB121は、逆走又は逆走の可能性があることをユーザに通知するためのコンテンツデータを記憶する。なお、コンテンツDB121は、逆走通知情報と逆走注意情報のどちらか一方を蓄積してもよい。またコンテンツDB121は、これらの情報以外の情報を蓄積してもよい。
【0027】
逆走通知情報及び逆走注意情報は、文字データ、画像データ又は動画データの少なくともいずれか1つである。この場合、ユーザ端末100は、逆走通知情報を画面に表示させることで、逆走通知情報を出力する。またユーザ端末100は、逆走注意情報を画面に表示させることで、逆走注意情報を出力する。
【0028】
逆走通知情報及び逆走注意情報は、音声データであってもよい。音声データは、TTS(text to speech)を行うための情報又は通常の音声フォーマットのデータである。TTSは、テキスト音声合成情報とも呼ばれる。この場合、ユーザ端末100は、逆走通知情報に基づく音声をスピーカから流すことで、逆走通知情報を出力する。またユーザ端末100は、逆走注意情報に基づく音声をスピーカから流すことで、逆走注意情報を出力する。なお、逆走通知情報は、ユーザ端末100の画面とスピーカの両方から出力されてもよい。また逆走注意情報は、ユーザ端末100の画面とスピーカの両方から出力されてもよい。
【0029】
ロケーショントリガDB122は、ロケーショントリガに関するコンテンツデータを蓄積するデータベースである。図4は、検知位置Fを用いたロケーショントリガDの概要を説明する説明図である。図4に示すように、ロケーショントリガDは、検知位置Fと、検知位置Fに対応付けられたトリガアクションCとの組合せで特定のアクションが実行される仕組みである。ただし、必須ではないが、上記組合せに、検知位置Fに対応付けられた状態Bが含まれてもよい。
【0030】
状態Bは、車両が検知位置Fを通過する場合の車両の状態である。状態Bは、例えば、車両の速度、車両が走行する方位、車両が走行する通路の種別、車両が走行する時間帯等の少なくともいずれか1つに関する車両の状態である。具体的に、状態Bは、例えば、車両が時速100kmで走行している状態である。状態Bは、例えば、車両が真北に向かって走行している状態である。状態Bは、例えば、通路の種別が一般道である道を車両が走行している状態である。状態Bは、例えば、7:00から12:00の時間帯に車両が走行している状態である。状態Bは、例えば、車両が検知位置Fを左側から右側に通過した状態である。
【0031】
トリガアクションCは、トリガ条件が成立した場合、ユーザ端末100が実行するアクションである。実行するアクションとしては、他のロケーショントリガDを有効又は無効に切り替えることが挙げられる。また、実行するアクションとしては、他のロケーショントリガDを削除することが挙げられる。また、実行するアクションとしては、新たなロケーショントリガDに関するデータをサーバ10に要求してダウンロードすることが挙げられる。また、実行するアクションとしては、ユーザ端末100自身に保存されているロケーショントリガDを読み込むことが挙げられる。また、実行するアクションとしては、コンテンツを再生することが挙げられる。本実施形態において、トリガ条件は、ユーザ端末100が、車両による検知位置Fの通過、及び、車両の状態が状態Bであることを検知することである。
【0032】
ロケーショントリガDB122が蓄積するコンテンツデータは、検知位置Fに関するデータと、状態Bに関するデータと、トリガアクションCに関するデータとを含む。
【0033】
検知位置Fに関するデータは、検知位置Fの形状、検知位置Fが設定された座標、及び、検知位置Fの状態等を示す。検知位置Fの形状としては、上述した線形、円形、多角形及び地点が挙げられる。円形、多角形及び地点については、後述する。検知位置Fが設定された座標は、2以上の地点データで表される。地点データは、検知位置Fの両端の各地点をそれぞれ示すデータである。各地点は、例えば緯度及び経度で表される。地点データは、検知位置Fごとに設定される。検知位置Fの状態は、状態データで表わされる。状態データは、ユーザ端末100が検知位置Fを検知可能かどうか示すデータである。状態データは、有効状態又は無効状態に設定される。状態データが示す状態は、有効状態から無効状態に切り替え可能である。また状態データが示す状態は、無効状態から有効状態に切り替え可能である。サーバ10及びユーザ端末100は、それぞれ、状態データの状態を切り替え可能に構成されている。
【0034】
状態Bに関するデータは、車両の速度、車両が走行する方位、車両が走行する道路の種別等を示す。
【0035】
トリガアクションCに関するデータは、トリガアクションCを示す情報である。例えば、トリガアクションCに関するデータは、ユーザ端末100がサーバ10から新規でコンテンツデータを取得する場合、ユーザ端末100によってURL(Uniform Reource Locator)が解釈及び使用され、トリガーデータがサーバ10から送信されることを示す。
【0036】
トリガーデータは、図4に示すトリガアクションDの結果、サーバ10に送信されるデータである。すなわちトリガーデータは、トリガ条件が成立した場合に、サーバ10に送付される情報である。トリガーデータは、車両の位置データ、時刻データ、速度データ及び方位データ等である。時刻データは、車両の位置データが取得された時刻を示すデータである。速度データは、車両の速度を示すデータである。方位データは、車両が走行する方位を示すデータである。
【0037】
またトリガアクションCに関するデータは、ユーザ端末100からサーバ10へ情報が通知される場合、ユーザ端末100によってURLが解釈及び使用され、トリガーデータがユーザ端末100から通知されることを示す。
【0038】
またトリガアクションCに関するデータは、他のロケーショントリガを有効化、無効化又は削除する場合、ロケーショントリガ名を示すデータと、操作を示すデータとが生成されることを示す。
【0039】
また、トリガアクションCに関するデータは、画像コンテンツをユーザ端末100で再生する場合、ユーザ端末100によって画像のURLが解釈及び使用されることを示す。またトリガアクションCに関するデータは、ユーザ端末100が音声コンテンツを再生する場合、ユーザ端末100によって音声のURLが解釈及び使用されることを示す。
【0040】
本実施形態において、図3に示すロケーショントリガDB122に蓄積されるロケーショントリガDは、図4に示した検知位置F1と、検知位置F1に対応付けられた状態Bと、検知位置F1に対応付けられたトリガアクションCとの組合せである。ユーザ端末100は、ロケーショントリガDに関するデータをサーバ10から取得してもよい。また、ロケーショントリガDは、ネットワーク30を経由せずにユーザ端末100自身に保存されているロケーショントリガDに関するデータを読み込んで使用してもよい。
【0041】
図3に示すサーバ10は、地図DBをさらに格納してもよい。サーバ10が地図DBを格納する場合、ユーザ端末100は、サーバ10から取得した地図データを画面に表示させる構成であってもよい。
【0042】
サーバ制御部13は、例えば、CPU(Central Processing Unit)やMPU(Micro Processing Unit)等によって実現される。CPUやMPU等は、サーバ10内部の所定の記憶装置に記憶されている各種プログラムを、RAMを作業領域として実行する。また、サーバ制御部13は、例えば、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)やFPGA(Field Programmable Gate Array)等の半導体集積回路により実現される。
【0043】
サーバ制御部13は、サーバ受付部14と、サーバ配信部15とを有する。サーバ受付部14は、サーバ通信部11を介して、ユーザ端末100からトリガーデータを受け付ける。
【0044】
サーバ配信部15は、トリガーデータに基づいて、ユーザ端末100に配信するコンテンツデータを決定する。その後、サーバ配信部15は、サーバ通信部11を介して、コンテンツデータをユーザ端末100に配信する。すなわち、サーバ10は、トリガーデータに基づいて、ユーザ端末100に配信する配信内容をコントロールする。本実施形態において、サーバ配信部15は、コンテンツデータとして、検知位置F1に対応するデータを予めユーザ端末100に配信する。そして、サーバ配信部15は、車両が図2に示す検知位置F1を通過したことが検知された場合、コンテンツデータをユーザ端末100に配信する。このコンテンツデータは、地点データと状態データと逆走通知情報と逆走注意情報とを含む。この地点データ及び状態データは、検知位置F2~検知位置F8に対応するデータである。
【0045】
〔ユーザ端末の構成〕
図5は、ユーザ端末100の構成を模式的に示す図である。図5に示すように、ユーザ端末100は、ユーザ端末通信部110と、ユーザ入力部120と、出力部130と、ユーザ端末記憶部140と、センサ入力部150と、GPS受信部160と、ユーザ端末制御部170とを有する。
【0046】
ユーザ端末通信部110は、例えば、NIC等によって実現される。ユーザ端末通信部110は、図1に示すネットワーク30と有線又は無線で接続される。ユーザ端末通信部110は、サーバ10との間で情報の送受信を行う。
【0047】
図5に示すユーザ入力部120は、ユーザから各種操作を受け付ける入力装置である。例えば、ユーザ入力部120は、キーボード、マウス又は操作キー等によって実現される。
【0048】
出力部130は、各種情報を表示するための装置である。例えば、出力部130は、ユーザ端末100の画面である。出力部130は液晶ディスプレイ等によって実現される。なお、ユーザ端末100にタッチパネルが採用される場合には、ユーザ入力部120と出力部130とは一体化される。出力部130は、スピーカであってもよい。出力部130は、ユーザ端末100の画面とスピーカの両方であってもよい。
【0049】
ユーザ端末記憶部140は、記憶装置によって実現される。記憶装置は、例えば、RAM、フラッシュメモリ等の半導体メモリ素子、又は、ハードディスク、光ディスク等が挙げられる。ユーザ端末記憶部140は、各種の情報を記憶する。ユーザ端末記憶部140は、ユーザ端末100が実行する各種プログラム等を記憶する。ユーザ端末記憶部140は、制御プログラム等を一時的に記憶する。ユーザ端末記憶部140は、記憶部に相当する。
【0050】
処理データ記憶領域141は、コンテンツデータを記憶する領域である。本実施形態において、処理データ記憶領域141は、図2に示す検知位置F1に対応するコンテンツデータを予め記憶する。また処理データ記憶領域141は、図2に示す検知位置F2~検知位置F8に対応するコンテンツデータを一時的に記憶する。
【0051】
図5に示すセンサ入力部150は、例えば、ジャイロセンサ及び加速度センサにより測定される角速度及び加速度を取得する。ユーザ端末制御部170は、GPS受信部160による測位の際、センサ入力部150により取得された角速度及び加速度を用いて車両の位置データの測位精度を高めることができる。なお、センサ入力部150は、ユーザ端末100における必須の構成要件ではない。
【0052】
GPS受信部160は、図示しないGPS(Global Positioning System)センサによりGPS衛星からの電波を受信する。GPS受信部160は、GPSセンサにより受信される電波により、車両の現在の位置を示す位置データを測位する。位置は、例えば、緯度及び経度で表される。GPS受信部160による測位は、所定の時間間隔で行われる。該所定の時間間隔は、例えば1秒である。GPS受信部160は、位置取得部に相当する。
【0053】
ユーザ端末制御部170は、例えば、CPUやMPU等によって実現される。CPUやMPU等は、ユーザ端末100内部の記憶装置に記憶されている各種プログラムを、RAMを作業領域として実行する。この各種プログラムは、本実施形態に係る制御プログラムの一例である。また、ユーザ端末制御部170は、例えば、ASICやFPGA等の半導体集積回路により実現される。
【0054】
ユーザ端末制御部170は、要求部171と、取得部172と、描画部173と、検知部174と、出力制御部175とを有する。
【0055】
要求部171は、ユーザ端末通信部110を介して、サーバ10にコンテンツデータの配信を要求する。取得部172は、ユーザ端末通信部110を介して、サーバ10からコンテンツデータを取得する。描画部173は、ユーザ端末100の画面である出力部130に地図等を表示させる。検知部174は、車両が図2に示す検知位置Fを通過したことを検知する。また検知部174は、車両が検知位置Fを通過した通過方向を求める。出力制御部175は、検知部174により、車両が検知位置Fを通過したことが検知されると、出力部130にコンテンツデータを出力させる。
【0056】
〔通過検知処理〕
図6は、検知位置Fを説明するための説明図である。検知位置Fは、任意の少なくとも2つの地点が指定されて、設定される。本実施形態において、2つの地点は、第1地点Aと第2地点Bである。第2地点Bは、第1地点Aから通路Lを挟んだ位置に設定される。本実施形態において、検知位置Fは、通路Lが延長する方向に対して、直交するように設定される。2つの地点は、通路Lの外側でなく、通路Lの内側にそれぞれ設定されてもよい。2つの地点は、通路Lを挟む位置でなく、通路Lとは無関係の位置に設定されてもよい。
【0057】
図7は、車両による検知位置Fの通過と通過方向を検知する通過検知処理の手順を示すフローチャートである。図8A及び図8Bは、図7に示す通過検知処理を説明するための説明図である。
【0058】
(ステップS101)
検知部174は、2つの位置データと2つの地点データとに基づいて、ベクトルを算出する。2つの位置データは、GPS受信部160が取得した第1位置データと、GPS受信部160が次に取得した第2位置データである。第1位置データは、図8A及び図8Bの各第1位置Pを示す。第2位置データは、図8A及び図8Bの各第2位置Qを示す。2つの地点データは、図8A及び図8Bの各検知位置Fの両端である2つの第1地点Aと第2地点Bとをそれぞれ示す。
【0059】
検知部174は、具体的に、第1位置Pから第2位置Qへ向かうベクトルPQと、第1位置Pから第2地点Bへ向かうベクトルPBと、第1位置Pから第1地点Aへ向かうベクトルPAとを算出する。図8A及び図8Bに示す状態は、車両が、第1位置Pから検知位置Fを通過して第2位置Qに向かって移動した状態である。仮に、車両が検知位置Fを通過していない場合、第2位置Qは、検知位置Fに対して第1位置Pと同じ側となる。
【0060】
(ステップS102)
検知部174は、ベクトルPQとベクトルPBとの外積ベクトルを求める。以下、この外積ベクトルを外積1と称する。
【0061】
(ステップS103)
検知部174は、ベクトルPQとベクトルPAとの外積ベクトルを求める。以下、この外積ベクトルを外積2と称する。
【0062】
(ステップS104)
検知部174は、外積1のZ成分の符号と外積2のZ成分の符号とを比較する。なお、例えば、外積1のZ成分の符号は、ベクトルPQからベクトルPBの向きに右ねじを回したときのねじの進む向きにより特定される。該ねじの進む向きがZ成分である。より具体的には、ねじの進む向きが正方向の場合、外積1のZ成分の符号は正となる。ねじの進む向きが負方向の場合、外積1のZ成分の符号は負となる。
【0063】
具体的には、検知部174は、外積1のZ成分の符号と外積2のZ成分の符号とを乗算する。検知部174は、外積1のZ成分の符号と外積2のZ成分の符号との乗算の結果が正かどうか判断する。検知部174は、乗算の結果が正である場合、ステップS104でYESとなり、通過検知処理を終了する。なお、ステップS104でYESの場合、検知部174は、車両が検知位置Fを通過したことを検知していないことになる。検知部174は、乗算の結果が正でない場合、ステップS104でNOとなり、通過検知処理をステップS105に進める。
【0064】
(ステップS105)
検知部174は、ベクトルAB、ベクトルAP及びベクトルAQを算出する。ベクトルABは、第1地点Aから第2地点Bに向かうベクトルである。ベクトルAPは、第1地点Aから第1位置Pに向かうベクトルである。ベクトルAQは、第1地点Aから第2位置Qに向かうベクトルである。
【0065】
(ステップS106)
検知部174は、ベクトルABとベクトルAPとの外積ベクトルを求める。以下、この外積ベクトルを外積3と称する。
【0066】
(ステップS107)
検知部174は、ベクトルABとベクトルAQとの外積ベクトルを求める。以下、この外積ベクトルを外積4と称する。
【0067】
(ステップS108)
検知部174は、外積3のZ成分の符号と外積4のZ成分の符号とを比較する。具体的には、検知部174は、外積3のZ成分の符号と外積4のZ成分の符号とを乗算する。検知部174は、外積3のZ成分の符号と外積4のZ成分の符号との乗算の結果が正かどうか判断する。検知部174は、乗算の結果が正である場合、ステップS108でYESとなり、通過検知処理を終了する。なお、ステップS108でYESの場合、検知部174は、車両が検知位置Fを通過したことを検知していないことになる。検知部174は、乗算の結果が正でない場合、ステップS108でNOとなり、通過検知処理をステップS109に進める。
【0068】
なお、第1地点Aと第2地点Bとの間を車両が通過せず、第1地点Aと第2地点Bとを結ぶ線分の延長線を車両が通過した場合、ステップS104で外積1のZ成分の符号と外積2のZ成分の符号との乗算結果が正でなく、かつ、ステップS108で外積3のZ成分の符号と外積4のZ成分の符号との乗算結果が正となる。すなわち、第1地点Aと第2地点Bとを結ぶ線分の延長線を車両が通過した場合、ステップS108にてYESとなる。検知部174は、ステップS101~ステップS104において、第1位置Pを始点とするベクトルの外積に基づいて、車両が検知位置Fを通過したか否かの判断を行った後、ステップS106~ステップS107において、第1地点Aを始点とするベクトルの外積に基づいて、車両が検知位置Fを通過したか否かの判断を行う。そのため、検知部174は、車両が検知位置Fの横を通過したことを、車両が検知位置Fを通過したと誤判断することがない。なお、検知部174は、第1位置Pを始点とするベクトルの代わりに、第2位置Qを始点とするベクトルに基づいて、車両が検知位置Fを通過したか否かの判断を行ってもよい。また検知部174は、第1地点Aを始点とするベクトルの代わりに、第2地点Bを始点とするベクトルに基づいて、車両が検知位置Fを通過したか否かの判断を行ってもよい。
【0069】
(ステップS109)
検知部174は、外積4のZ成分の符号が負であるか否か判断する。検知部174は、外積4のZ成分の符号が負である場合、ステップS109でYESとなり、通過検知処理をステップS110に進める。検知部174は、外積4のZ成分の符号が負でない場合、ステップS109でNOとなり、通過検知処理をステップS111に進める。
【0070】
(ステップS110)
検知部174は、車両が第2位置Qから第1位置Pへ向かって検知位置Fを通過したと判断する。これによって、通過検知処理は終了する。すなわち、検知部174は、車両が検知位置Fを通過する通過方向が、第2位置Qから第1位置Pへ向かう方向と判断する。なお、ステップS109において外積4のZ成分の符号が負になるのは、ベクトルABに対して、右ねじの逆向きに第2位置Qが存在することを意味する。右ねじの逆向きの場合、ねじの進む方向が下方となるため、外積4のZ成分の符号が負になる。右ねじの逆向きに第2位置Qが存在することは、通過方向が、第2位置Qから第1位置Pへ向かう方向であることを示す。
【0071】
(ステップS111)
検知部174は、外積4のZ成分の符号が正であるか否か判断する。検知部174は、外積4のZ成分の符号が正である場合、ステップS111でYESとなり、通過検知処理をステップS112に進める。検知部174は、外積4のZ成分の符号が正でない場合、ステップS111でNOとなり、通過検知処理をステップS113に進める。
【0072】
(ステップS112)
検知部174は、車両が第1位置Pから第2位置Qへ向かって検知位置Fを通過したと判断する。これによって、通過検知処理は終了する。すなわち、検知部174は、車両が検知位置Fを通過する通過方向が、第1位置Pから第2位置Qへ向かう方向と判断する。ステップS111において外積4のZ成分の符号が正になるのは、ベクトルABに対して、右ねじの向きに第2位置Qが存在することを意味する。右ねじの向きの場合、ねじの進む方向が上方となるため、外積4のZ成分の符号が正になる。右ねじの向きに第2位置Qが存在することは、通過方向が、第1位置Pから第2位置Qへ向かう方向であることを示す。
【0073】
(ステップS113)
検知部174は、車両が検知位置Fと重なる位置にいることを検知する。これによって、検知部174は、通過検知処理を終了する。
【0074】
上記通過検知処理は、車両が検知位置Fを通過したことに加えて、車両が検知位置Fを通過した通過方向も併せて検知できる。そのため、ユーザ端末100は、通過方向が所定の方向である場合にのみ、車両による検知位置Fの通過を検知することもできる。例えば、ユーザ端末100は、通路を走行する車両が、法律で定められた方向から検知位置Fを通過した場合には、車両による検知位置Fへの通過を検知せず、車両が、法律で定められた方向と逆の方向から検知位置Fを通過した場合にのみ、車両による検知位置Fの通過を検知するようにできる。なお、法律には、国会で制定された規範だけでなく、国、都道府県、州又は省等の機関が制定した憲法、条約、条例、省令、政令、規則及び命令等が含まれる。例えば、法律には道路交通法が含まれる。
【0075】
また境界型ジオフェンスは、2つの地点データで検知位置Fを設定可能なため、検知位置Fを設定する数を増やしても、データ量の増大が抑制される。そのため、情報出力システム1は、サーバ10及びユーザ端末100への負荷を軽減できる。
【0076】
さらに、図6の例においては、車両が検知位置Fの端部付近を通過する場合でも、車両が検知位置Fの中央付近を通過する場合でも、ユーザ端末100が検知位置Fの通過を検知する検知タイミングに差が生じることがない。そのため、情報出力システム1は、所定の情報を出力するタイミングを調整しやすい。
【0077】
検知位置Fは、互いに連結する位置に2以上設定されてもよい。図9は、検知位置Fa及び検知位置Fbが第1通路H1の分岐点に設定された例を示す模式図である。分岐点は、第1通路H1から第2通路H2が分岐する位置である。
【0078】
検知位置Fa及び検知位置Fbは、計3つの地点データに基づいて設定される。検知位置Faに対応する2つの地点データは、第1地点A1と、第1地点A1から第1通路H1を挟んだ位置に設定された第2地点Bとをそれぞれ示す。検知位置Fbに対応する2つの地点データは、第1地点A2と、第1地点A2から第2通路H2を挟んだ位置に設定された第2地点Bとをそれぞれ示す。本実施形態において、検知位置Faは、第1通路H1が延長する方向に対して、直交するように設定される。検知位置Fbは、第2通路H2が延長する方向に対して、直交するように設定される。検知位置Faの一端と検知位置Fbの一端とは、同じ位置である。そのため、検知位置Faと検知位置Fbとをつなげた形状は、屈曲した線状となる。
【0079】
このような境界型ジオフェンスを利用する場合でも、情報出力システム1は、検知位置Fに関するデータ量の増大を抑制できる。
【0080】
検知位置Fは、2次元でなく3次元で設定されてもよい。図10は、検知位置Fcがビル21とビル22との間に存在する空間に設定された例を示す模式図である。なお、ビル21とビル22との間に設定される構成は、一例に過ぎない。検知位置Fcが設定される場所は、ビル21とビル22との間に限定されない。
【0081】
図10の例において、ユーザ端末100は、方向d101に沿った移動体の検知位置Fcへの通過を検知できる。検知位置Fcは、第1地点Aを示す第1地点データと、第2地点Bを示す第2地点データと、高度hを示す高度データとに基づいて設定される。ユーザ端末100は、第1地点Aと第2地点Bとの間を、高度h未満の高さで移動体が通過したことを検知できる。このような検知位置Fcは、空間に配置される場合に好適である。
【0082】
高度データは、地表よりも高い位置を下限値とする範囲で設定されてもよい。すなわち、高度データは、地表よりも高い第1高度以上、第1高度を超える第2高度以下の範囲を示すように設定されてもよい。このような高度データが設定された場合、ユーザ端末100は、第1地点Aと第2地点Bとの間を通過する移動体のうち、第1高度以上第2高度以下の範囲を通過する移動体を検知する。ユーザ端末100は、第1地点Aと第2地点Bとの間を通過する移動体のうち、第1高度未満の高さを通過する移動体及び第2高度を超えて通過する移動体を検知しない。高度データは、例えば都市高速などの上方及び下方に別の道路が通っている道路に検知位置Fcが設定される場合に、第1高度以上第2高度以下の範囲を示すように設定される。なお、高度データは、地表よりも低い位置を下限値、地表よりも高い位置を上限値とする範囲で設定されてもよい。高度データは、地表よりも低い位置を上限値及び下限値とする範囲で設定されてもよい。このような高度データは、海底又は地下に設けられた道路に検知位置Fcが設定される場合に利用される。海底又は地下に設けられた道路は、例えば海底トンネルである。
【0083】
〔他のジオフェンス〕
ここで、境界型ジオフェンスとの比較のため、境界型ジオフェンス以外のジオフェンスについて記載する。なお、円形型ジオフェンスは、形状が円形に設定された検知位置を、移動体が通過したことを検知できる仕組みである。多角形型ジオフェンスは、形状が多角形に設定された検知位置を、移動体が通過したことを検知できる仕組みである。地点型ジオフェンスは、ある地点に設定された検知位置を、移動体が通過したことを検知できる仕組みである。
【0084】
図11は、円形型ジオフェンスを説明する説明図である。図11の例では、道路の交差点を含む領域に円形状の検知位置F11が設定されている。
【0085】
円形型ジオフェンスの場合、例えば、車両が方向d11に沿って位置P11から位置P12に移動すると、ユーザ端末100は、車両が検知位置F11に進入したことを検知する。車両が方向d12に沿って位置P13から位置P14に移動すると、ユーザ端末100は車両が検知位置F11から退出したことを検知する。ユーザ端末100は、車両が検知位置F11に進入して退出したことを検知することにより、車両が検知位置F11を通過したことを検知する。
【0086】
図12は、多角形型ジオフェンスを説明するための説明図である。図13は、多角形型ジオフェンスの他の例を説明するための説明図である。図12の例では、検知位置F12aが四角形に設定されている。検知位置F12aの形状は四角形に限定されず、三角形や五角形、図13に示すような七角形等であってもよい。図12の例では、ユーザ端末100は、検知位置F12aへの車両の進入を検知できる。またユーザ端末100は、検知位置F12aへの車両の退出を検知できる。ユーザ端末100は、車両が検知位置F12aに進入して退出したことを検知することにより、車両が検知位置F12aを通過したことを検知する。図13の例では、ユーザ端末100は、検知位置F13aへの車両の進入を検知できる。またユーザ端末100は、検知位置F13aへの車両の退出を検知できる。ユーザ端末100は、車両が検知位置F13aに進入して退出したことを検知することにより、車両が検知位置F13aを通過したことを検知する。
【0087】
図12の例では、検知位置F12aは、4つの地点をそれぞれ示す地点データに基づいて設定される。より具体的には、検知位置F12aは、地点F12a-1、地点F12a-2、地点F12a-3及び地点F12a-4に基づいて設定される。
【0088】
多角形型ジオフェンスは、少なくとも3つの地点データに基づいて設定される。そのため、多角形型ジオフェンスは、境界型ジオフェンスに比べて、検知位置を設定するためにデータが多く必要である。
【0089】
図14は、地点型ジオフェンスを説明するための説明図である。地点型ジオフェンスは、リンクを用いたジオフェンスである。地点型ジオフェンスの検知位置は、ノードF141に設定される。ノードF141は、道路の端点や交差点等に設定される。リンクF142は、2以上のノードF141を結ぶ仮想的な線分である。リンクF142及びノードF141は、いずれもマップマッチング技術に用いられる概念である。地点型ジオフェンスは、1つのノードF141と半径とを指定することで設定できるので、データ量は少なくて済む。しかしながら、地点型ジオフェンスは、特に範囲指定が細長い形状の場合や範囲指定が大きい場合に、範囲指定が大雑把になりすぎる問題がある。
【0090】
図14の例では、ユーザ端末100は、検知位置が設定されたノードF141への車両の進入を検知する。また、ユーザ端末100は、ノードF141からの車両の退出を検知する。図14の例では、ユーザ端末100は、ノードF141への車両の進入及び退出を検知することにより、リンクF142への車両の通過を検知する。
【0091】
〔検知位置の設定〕
図2に戻り、本実施形態において検知位置Fが設定される位置について記載する。検知位置F1は、料金所T101付近に設定される。より具体的には、検知位置F1は、料金所T101に対し、高速道路側に設定される。また、検知位置F1は、高速道路から一般道路に出る反対車線R101-1及び一般道路から高速道路に入る本車線R103-1に設定される。検知位置F1は、第1地点A1-1と第2地点B1-2との間に設定される。第1地点A1-1と第2地点B1-2とは、反対車線R101-1及び本車線R103-1を挟んだ位置に設定されている。本実施形態に係るユーザ端末100は、車両がd101方向に検知位置F1を通過したことを検知する。d101方向は、反対車線R101-1の道路方向とは逆方向である。
【0092】
検知位置F2は、反対車線R101-1に分岐点B101で繋がる反対車線R101-2に設定されている。検知位置F2は、反対車線R101-1及び反対車線R101-2の道路方向に対し、検知位置F1よりも上流に設定される。検知位置F2は、第1地点A2-1と第2地点B2-2との間に設定される。第1地点A2-1と第2地点B2-2とは、反対車線R101-2を挟んだ位置に設定されている。本実施形態に係るユーザ端末100は、車両がd102方向に検知位置F2を通過したことを検知する。d102方向は、反対車線R101-1の道路方向とは逆方向である。
【0093】
検知位置F3は、反対車線R101-2に設定されている。検知位置F3は、反対車線R101-2の道路方向に対し、検知位置F2よりも上流に設定される。検知位置F3は、第1地点A3-1と第2地点B3-2との間に設定される。第1地点A3-1と第2地点B3-2とは、反対車線R101-2を挟んだ位置に設定されている。本実施形態に係るユーザ端末100は、車両がd103方向に検知位置F3を通過したことを検知する。d103方向は、反対車線R101-1の道路方向とは逆方向である。
【0094】
検知位置F4は、反対車線R101-1に分岐点B101で繋がる反対車線R102-1に設定されている。検知位置F4は、反対車線R101-1及び反対車線R102-1の道路方向に対し、検知位置F1よりも上流に設定される。検知位置F4は、第1地点A4-1と第2地点B4-2との間に設定される。第1地点A4-1と第2地点B4-2とは、反対車線R102-1を挟んだ位置に設定されている。本実施形態に係るユーザ端末100は、車両がd104方向に検知位置F4を通過したことを検知する。d104方向は、反対車線L102の道路方向とは逆方向である。
【0095】
検知位置F5は、反対車線R102-1に設定されている。検知位置F5は、反対車線R101-1の道路方向に対し、検知位置F4よりも上流に設定される。検知位置F5は、第1地点A5-1と第2地点B5-2との間に設定される。第1地点A5-1と第2地点B5-2とは、反対車線R102-1を挟んだ位置に設定されている。本実施形態に係るユーザ端末100は、車両がd105方向に検知位置F5を通過したことを検知する。d105方向は、反対車線R102-1の道路方向とは逆方向である。
【0096】
検知位置F6は、反対車線R102-1に設定されている。検知位置F6は、反対車線R102-1の道路方向に対し、検知位置F5よりも上流に設定される。検知位置F6は、第1地点A6-1と第2地点B6-2との間に設定される。第1地点A6-1と第2地点B6-2とは、反対車線R102-1を挟んだ位置に設定されている。本実施形態に係るユーザ端末100は、車両がd106方向に検知位置F6を通過したことを検知する。d106方向は、反対車線R102-1の道路方向とは逆方向である。
【0097】
検知位置F7は、本車線R103-1に分岐点B102で繋がる本車線R103-2及び該本車線R103-2と並走する一般道路G101に設定されている。検知位置F7は、本車線R103-1及び本車線R103-2の道路方向に対し、検知位置F1よりも下流に設定される。検知位置F7は、第1地点A7-1と第2地点B7-2との間に設定される。第1地点A7-1と第2地点B7-2とは、本車線R103-1及び本車線R103-2を挟んだ位置に設定されている。本実施形態に係るユーザ端末100は、通過方向によらず、車両が検知位置F7を通過したことを検知する。なお、検知位置F7は、取消検知位置に相当する。なお、ユーザ端末100は、所定の方向から車両が検知位置F7を通過した場合にのみ、車両による検知位置F7への通過を検知する構成であってもよい。
【0098】
検知位置F8は、本車線R104-1に設定されている。また、検知位置F8は、本車線R104-1と並走する一般道路にもまたがって、設定されてもよい。検知位置F8は、本車線R104-1の道路方向に対し、検知位置F1よりも下流に設定される。検知位置F8は、第1地点A8-1と第2地点B8-2との間に設定される。第1地点A8-1と第2地点B8-2とは、本車線R104-1を挟んだ位置に設定されている。本実施形態に係るユーザ端末100は、通過方向によらず、車両が検知位置F8を通過したことを検知する。なお、検知位置F8は、取消検知位置に相当する。なお、ユーザ端末100は、所定の方向から車両が検知位置F8を通過した場合にのみ、車両による検知位置F7への通過を検知する構成であってもよい。
【0099】
ユーザ端末100は、検知位置F1~検知位置F8を利用することで、2つの逆走検知経路と、2つのデータ取消経路とを設定できる。経路L101,L102は、逆走検知経路に相当する。経路L101,L102は、車両の逆走を検知するための経路である。経路L103,L104は、データ取消経路に相当する。経路L103,L104は、ユーザ端末100から、不要なコンテンツデータを削除する経路である。なお、検知位置F2~検知位置F8は、他の検知位置Fに相当する。
【0100】
(経路L101)
経路L101は、車両が、検知位置F1と、検知位置F2と、検知位置F3とを、この順で通過する経路である。
【0101】
ユーザ端末100は、車両が方向d101から検知位置F1を通過したことを検知すると、出力部130に逆走注意情報を出力する。なお、逆走注意情報の出力は、図4に示すトリガアクションCである。
【0102】
ユーザ端末100は、車両の検知位置F1への通過を検知すると、検知位置F2~検知位置F8に対応するコンテンツデータをサーバ10から取得する。すなわち、情報出力システム1は、通信可能なタイミングで、サーバ10から一定範囲にある検知位置Fに対応するコンテンツデータを事前に取得する構成である。ユーザ端末100は、検知位置F2~検知位置F8に対応するコンテンツデータを処理データ記憶領域141に一時的に記憶させる。このコンテンツデータの取得が、図4に示すトリガアクションCである。このように、検知位置F2~検知位置F8に対応するコンテンツデータをまとめて取得することで、情報出力システム1は、ユーザ端末100とサーバ10との通信状態に左右されず、逆走検知を安定して実行できる。検知位置F2~検知位置F8のうち、検知位置F2と検知位置F4と検知位置F7と検知位置F8に対応する状態データは、有効状態でサーバ10から取得される。検知位置F2~検知位置F8のうち、検知位置F2と検知位置F4は、第2検知位置に相当する。検知位置F3と検知位置F5は、第2検知位置から所定の間隔をあけた位置に設定された第3検知位置に相当する。
【0103】
なお、ユーザ端末100は、車両による検知位置Fの通過を検知するたびに、車両の先に設定された検知位置Fに対応するコンテンツデータをサーバ10から取得する構成であってもよい。すなわち、ユーザ端末100は、サーバ10からリアルタイムでコンテンツデータを取得する構成であってもよい。またユーザ端末100は、コンテンツDBを格納する構成であってもよい。この構成の場合、ユーザ端末100は、サーバ10と通信することなく、コンテンツデータを取得できる。さらにユーザ端末100は、コンテンツデータの取得に関する上述した構成が組み合わされた構成であってもよい。
【0104】
ユーザ端末100は、車両が方向d102から検知位置F2を通過したことを検知すると、車両の前方に設定された検知位置F3に対応する状態データを有効に切り替える。なお、検知位置F3に対応する状態データの切り替えが、図4に示すトリガアクションCである。
【0105】
ユーザ端末100は、車両が方向d103から検知位置F3を通過したことを検知すると、出力部130から逆走通知情報を出力する。なお、逆走通知情報の出力が図4に示すトリガアクションCである。検知位置F3は、最終検知位置に相当する。最終検知位置は、経路L101において、法律で定められた走行の方向に対して最も上流に設定された検知位置である。
【0106】
(経路L102)
経路L102は、車両が、検知位置F1と、検知位置F4と、検知位置F5と、検知位置F6とを、この順で通過する経路である。
【0107】
ユーザ端末100は、検知位置F1を通過した車両が、方向d104から検知位置F4を通過したことを検知すると、検知位置F5に対応する状態データを有効に切り替える。検知位置F5に対応する状態データの切り替えが、図4に示すトリガアクションCである。
【0108】
ユーザ端末100は、車両が方向d105から検知位置F5を通過したことを検知すると、検知位置F6に対応する状態データを有効に切り替える。検知位置F6に対応する状態データの切り替えが、図4に示すトリガアクションCである。
【0109】
ユーザ端末100は、車両が方向d106から検知位置F6を通過したことを検知すると、出力部130から逆走通知情報を出力する。逆走通知情報の出力が図4に示すトリガアクションCである。検知位置F6は、最終検知位置に相当する。最終検知位置は、経路102において、法律で定められた走行の方向に対して最も上流に設定された検知位置である。
【0110】
(経路L103)
経路L103は、車両が、検知位置F1と、検知位置F7とを、この順で通過する経路である。
【0111】
ユーザ端末100は、検知位置F1を通過した車両が、検知位置F7を通過したことを検知すると、処理データ記憶領域141に記憶されているコンテンツデータを削除する。削除するコンテンツデータは、車両による検知位置F1への通過が検知された際に、サーバ10から取得されたコンテンツデータである。検知位置F1から検知位置F7を通過する車両は、逆走していない車両である。この場合、逆走通知情報の出力は不要である。
【0112】
なお、コンテンツデータは、車両が取消検知位置を通過する以外に、車両が検知位置Fから所定距離以上離れたことが検出された場合にも、処理データ記憶領域141から削除される。ユーザ端末100は、例えば車両の位置データに基づいて、車両が検知位置Fから所定距離以上離れたことを検知する。
【0113】
検知位置F7は、本車線R104-1と並走する一般道路にもまたがって設定されている。そのため、一般道路を走行中に検知位置Fの近くを通過した車両に対して、万が一、コンテンツデータがサーバ10から送信されたとしても、検知位置F7でコンテンツデータを処理データ記憶領域141から削除できる。
【0114】
(経路L104)
経路L104は、車両が、検知位置F1と、検知位置F8とを、この順で通過する経路である。
【0115】
ユーザ端末100は、車両が方向d108から検知位置F8を通過したことを検知すると、処理データ記憶領域141に記憶されているコンテンツデータを削除する。削除するコンテンツデータは、車両による検知位置F1への通過が検知された際に、サーバ10から取得されたコンテンツデータである。検知位置F1から検知位置F8を通過する車両は、逆走していない車両である。この場合、逆走通知情報の出力は不要である。
【0116】
〔逆走検知処理〕
図15は、本実施形態の情報出力システム1における逆走検知処理の手順を示すフローチャートである。
【0117】
(ステップS201)
GPS受信部160は、車両の位置データを取得する。
【0118】
(ステップS202)
検知部174は、車両が検知位置Fを通過したか否か判断する。ここでの検知位置は、図2に示す検知位置F1である。検知部174は、ステップS201においてGPS受信部160が取得した位置データと、GPS受信部160が前回取得した位置データとに基づいて、車両が検知位置F1を通過したか否か判断する。検知部174は、車両が検知位置F1を通過した場合、ステップS202でYESとなり、逆走検知処理をステップS203に進める。検知部174は、車両が検知位置を通過していない場合、逆走検知処理をステップS201に戻す。
【0119】
(ステップS203)
要求部171は、他の検知位置Fに対応するコンテンツデータをサーバ10から取得する。コンテンツデータは、図2に示す検知位置F2~検知位置F8に対応するコンテンツデータである。このとき、検知位置F2、検知位置F4、検知位置F7及び検知位置F8に対応する状態データは、有効状態である。検知位置F3、検知位置F5及び検知位置F6に対応する状態データは、無効状態である。なお、サーバ10からコンテンツデータを取得するトリガ条件は、車両の検知位置Fに対する通過方向が含まれるが、トリガ条件には、通過方向だけでなくそれ以外の走行条件がさらに含まれてもよい。これは、他のトリガアクションにおいても同様である。
【0120】
(ステップS204)
出力制御部175は、逆走注意情報を出力部130に出力させる。
【0121】
(ステップS205)
GPS受信部160は、車両の位置データを取得する。
【0122】
(ステップS206)
検知部174は、車両が検知位置Fを通過したか否か判断する。本ステップS206で検知される可能性のある検知位置は、図2に示す検知位置F2、検知位置F4、検知位置F7又は検知位置F8である。検知部174は、車両が検知位置Fを通過した場合、ステップS206でYESとなり、逆走検知処理をステップS207に進める。検知部174は、車両が検知位置Fを通過していない場合、逆走検知処理をステップS212に進める。
【0123】
(ステップS207)
検知部174は、ステップS206で通過が検知された検知位置Fが、最終検知位置かどうか判断する。最終検知位置は、図2に示す検知位置F3又は検知位置F6である。検知部174は、ステップS206で通過が検知された検知位置Fが最終検知位置である場合、逆走検知処理をステップS208に進める。検知部174は、ステップS206で通過が検知された検知位置Fが最終検知位置でない場合、逆走検知処理をステップS209に進める。
【0124】
(ステップS208)
出力制御部175は、逆走通知情報を出力部130に出力させる。
【0125】
(ステップS209)
検知部174は、ステップS206で通過が検知された検知位置Fが、取消検知位置かどうか判断する。本ステップS209で検知される可能性のある取消検知位置は、図2に示す検知位置F7又は検知位置F8である。検知部174は、ステップS206で通過が検知された検知位置Fが取消検知位置である場合、逆走検知処理をステップS210に進める。検知部174は、ステップS206で通過が検知された検知位置Fが取消検知位置でない場合、逆走検知処理をステップS211に進める。
【0126】
(ステップS210)
検知部174は、処理データ記憶領域141からコンテンツデータを削除する。これによって、逆走検知処理が終了する。
【0127】
(ステップS211)
検知部174は、ステップS206で通過が検知された検知位置Fの先に設定された検知位置Fの状態データを、有効状態に切り替える。
【0128】
(ステップS212)
検知部174は、車両の現在の位置が、有効状態の検知位置Fから所定距離離れているかどうか判断する。検知部174は、車両の現在の位置が有効状態の検知位置Fから所定距離離れている場合、逆走検知処理をステップS210に進める。検知部174は、車両の現在地が有効状態の検知位置Fから所定距離離れていない場合、逆走検知処理をステップS205に戻す。
【0129】
以上のような情報出力システム1は、サーバ10に記憶させる情報を最新に保つことで、ユーザ端末100に最新の情報を送信できる。そのため、情報出力システム1は、例えば、道路が設けられる位置が変更された場合や、新しく道路が設けられた場合でも、データ記憶部12に記憶させるコンテンツデータが更新されることで、これらの道路においても車両の逆走を検知できる。
【0130】
図16は、図5に示す処理データ記憶領域141に記憶される状態データ16を説明するための図である。図16の例では、ロケーショントリガDに含まれる検知位置F、並びに、該検知位置Fに対応付けられた状態B及びトリガアクションCに関する状態データ16が記載されている。図16のとおり、状態データ16はテーブル形式で記憶されている。
【0131】
状態データ16は、有効フラグデータ161と、ID162と、座標データ163と、を含む。
【0132】
検知部174は、有効フラグデータ161を検索キーとして、設定すべき検知位置Fを検索する。有効フラグデータ161を用いることにより、検知部174による検知位置Fの検索を効率化できる。
【0133】
ID162は、検知位置F及び検知位置Fを含むロケーショントリガCに付与される識別子である。
【0134】
座標データ163は、第1地点Aの座標データ163-1及び第2地点Bの座標データ163-2を含む。第1地点Aの座標データ163-1及び第2地点Bの座標データ163-2は、各検知位置Fの両端の2つの地点を示す。
【0135】
≪変形例≫
上記実施形態1において、検知位置Fは、人間によって設定された。しかしながら、検知位置Fは、人間によって設定される構成に限定されず、例えば、コンピュータによって設定されてもよい。コンピュータは、例えば、コンテンツを提供する事業者が保有するコンピュータである。
【0136】
図17は、コンピュータを利用して検知位置Fを設定する設定処理の手順を示すフローチャートである。図17を用いて、図2に示す検知位置F1、検知位置F2、検知位置F3、検知位置F4、検知位置F5、検知位置F6、検知位置F7及び検知位置F8の設定手順を説明する。
【0137】
(ステップS301)
コンピュータは、ユーザ端末100の画面に表示された地図から逆走道路形状に類似する類似形状を検出する。コンピュータは、該類似形状から、逆走パターンが発生し得る走行開始地点を検出する。走行開始地点の例としては、例えば、図18Aの地点P18A1、図18Bの地点P18B1、図18Cの地点P18C1、図18Dの地点P18D1、図18Eの地点P18E1、図18Fの地点P18F1、図18Gの地点P18G1、図18Hの地点P18H1、図18Iの地点P18I1である。なお、図18A図18B図18C図18D図18E図18F図18G図18H及び図18Iにおける各符号は以下のとおりである。
・「H」から始まる符号:高速道路
・「R」から始まる符号:ランプ
・「N」から始まる符号:一般道路
・「L」から始まる符号:車両の走行経路
・「B」から始まる符号:分岐箇所
・「U」から始まる符号:Uターン発生箇所
・「SA」から始まる符号:サービスエリア
・「J」から始まる符号:インターチェンジ
【0138】
(ステップS302)
コンピュータは、検出された走行開始地点から、順走経路から逆走経路に繋がる経路を探索する。コンピュータは、複数の経路を探索する。
【0139】
(ステップS303)
コンピュータは、探索された逆走経路中、周辺道路がない、又は、周辺道路との方位差が大きく周辺道路との誤認識が少ないと判断できる地点を検出する。コンピュータは、検出された地点を逆走検知地点として設定する。ただし、コンピュータは、一定距離をたどっても上述の判断がつかない場合には該地点を検出しない。
【0140】
また、コンピュータは、探索された逆走経路をさらに延ばしてもよい。コンピュータは、延ばした逆走経路に対し、上述の逆走検知地点を設定してもよい。
【0141】
(ステップS304)
コンピュータは、走行開始地点から逆走検知地点に至る地点に対し、一定距離の間隔で、又は、方位変化のある地点に、中間検知地点を設定する。
【0142】
(ステップS305)
コンピュータは、走行開始地点から経路を伸ばし、順走経路のみに繋がる順走経路を探索する。コンピュータは、複数の経路を探索する。
【0143】
(ステップS306)
コンピュータは、探索された順走経路中、周辺道路がない、又は、周辺道路との方位差が大きく周辺道路との誤認識が少ないと判断できる地点を検出する。コンピュータは、検出された地点をキャンセル地点として設定する。キャンセル地点は、取消検知位置に相当する。
【0144】
≪実施形態2≫
本発明の実施形態2について、以下に説明する。なお、説明の便宜上、上記実施形態にて説明した部材と同じ機能を有する部材については、同じ符号を付記し、その説明を繰り返さない。
【0145】
(実施例1)
図19は、本実施形態の実施例1を説明するための模式図である。図19の例では、検知位置F191は道路H191に設定されている。位置マークP191は、地図M191上における車両の位置を示す位置マークである。車両は、ユーザ端末100を搭載する。
【0146】
ユーザ端末100は、検知位置F191へのユーザ端末100の通過及び該通過方向d191を検知する。ユーザ端末100は、検知位置F191への車両の通過及び該通過方向d191を検知すると、出力部130からコンテンツC191を出力する。コンテンツC191は、例えば、検知位置F191が設定された位置の周囲の観光情報、交通情報、気象情報である。
【0147】
(実施例2)
図20は、本実施形態の実施例2を説明するための模式図である。図20の例では、検知位置F201は道路H201及び道路H202に設定されている。位置マークP201は、地図M201上における車両の位置を示す位置マークである。車両はユーザ端末100を搭載する。
【0148】
ユーザ端末100は、検知位置F201への車両の通過及び該通過方向d201を検知する。ユーザ端末100は、検知位置F201への車両の通過及び該通過方向d201を検知すると、出力部130からコンテンツC201及びコンテンツC202を出力する。コンテンツC201は、地点O201に対応付けられたコンテンツである。コンテンツC202は、地点O202に対応付けられたコンテンツである。コンテンツC201及びコンテンツC202は、例えば、通過方向d201、道路H201又は道路H202を考慮したコンテンツである。
【0149】
また、トリガアクションCは、具体的には、ユーザ端末100が新たな検知位置Fを地図上に設定するアクション、ユーザ端末100が地図上に設定されている検知位置Fを含む新たなロケーショントリガDを有効化するアクション、ユーザ端末100が地図上に各種コンテンツを表示するアクション、ユーザ端末100が各種コンテンツをユーザに提供するアクションである。地図上に表示される各種コンテンツは、例えば、地図上に重畳表示される画像、文字、マーク、記号である。ユーザに提供されるコンテンツは、例えば、スピーカから発せられる音声又は音楽、ディスプレイに表示される静止画又は動画である。
【0150】
また、トリガアクションCは、例えば、ユーザ端末100がサーバ10に対し、HTTP(HyperText Transfer Protocol)リクエストを送信するアクション、ユーザ端末100がサーバ10に対し、ユーザ端末100に関する関連情報を送信するアクションである。HTTPリクエストは、例えば、各種コンテンツのダウンロードを要求するリクエスト、各種サービスの提供を要求するリクエストである。関連情報は、例えば、ユーザ端末100又はユーザ端末100が搭載された車両により収集される情報である。収集される情報は、例えば、ユーザ端末100又は車両の周囲の映像、ユーザ端末100又は車両の平均速度である。
【0151】
(実施例3)
図21は、本実施形態の実施例3を説明するための図である。なお、図21の画面D211は、ユーザBが有するユーザ端末100の画面である。
【0152】
図21の例では、検知位置F211は道路H211及びSA(サービスエリア)に設定されている。位置マークP211及び位置マークP212は、地図M211上における車両の位置を示す位置マークである。地図M211は、ユーザAが有するユーザ端末100の画面に表示された地図である。以下、ユーザAのユーザ端末100をユーザ端末Aと称する。
【0153】
図21の例の地図M212では、検知位置F212は道路H211及び道路H212に設定されている。位置マークP213は、地図M212上における車両の位置を示す位置マークである。地図M212は、ユーザBのユーザ端末100の画面に表示された地図である。以下、ユーザBのユーザ端末100をユーザ端末Bと称する。
【0154】
ユーザ端末Aは、検知位置F211への車両の通過及び該通過方向d211を検知する。ユーザ端末Aは、検知位置F211への車両の通過及び該通過方向d211を検知すると、ユーザ端末通信部110からトークT212のトークデータをネットワーク30に送信する。
【0155】
また、ユーザ端末Aは、検知位置F211への車両の通過及び該通過方向d212を検知する。ユーザ端末Aは、検知位置F211のユーザ端末Aの通過及び該通過方向d212を検知すると、ユーザ端末通信部110から地図M211の地図データ及びトークT212のトークデータをネットワーク30に送信する。
【0156】
ユーザ端末Bは、検知位置F212への車両の通過及び該通過方向d213を検知する。ユーザ端末Bは、検知位置F212への車両の通過及び該通過方向d213を検知すると、ユーザ端末通信部110からトークT211のトークデータをネットワーク30に送信する。
【0157】
図21の例の画面D211には、ネットワーク30から受信したトークT211、T212,T213及び地図M211が表示される。
【0158】
なお、ユーザ端末A及びユーザ端末Bの構成は上記に限定されず、ユーザ端末A又はユーザ端末B側からのトリガアクション通知を受けて、トークデータをサーバ10側で生成する構成であってもよい。この構成の場合、通知の情報には、車両の位置データ、走行状況を示すデータを含む。これによって、ユーザ端末側の仕組み自体は一つだけで、新たなサービス追加のためにユーザ端末の機器及びソフトウェアの変更を必要としない構成にできる。
【0159】
≪変形例≫
上記実施形態では、ジオフェンスとして境界型ジオフェンスを利用した。しかしながら、情報出力システム1は、境界型ジオフェンスを利用する構成に限定されない。情報出力システム1は、境界型ジオフェンス以外のジオフェンスを利用する構成であってもよい。
【0160】
図22は、多角形型ジオフェンスにおいて、車両による検知位置F12aの通過と通過方向を検知する通過検知処理の手順を示すフローチャートである。図23は、図22に示す通過検知処理を説明するための説明図である。
【0161】
(ステップS221)
検知部174は、2つの位置データと4つの地点データとに基づいて、ベクトルを算出する。2つの位置データは、GPS受信部160が取得した第1位置データと、GPS受信部160が次に取得した第2位置データである。第1位置データは、図23の第1位置Pを示す。第2位置データは、図23の第2位置Qを示す。4つの地点データは、図23に示す多角形型ジオフェンスに対応する検知位置F12aの各頂点である第1地点F12a-Aと第2地点F12a-Bと第3地点F12a-Cと第4地点F12a-Dとをそれぞれ示す。
【0162】
検知部174は、具体的に、ベクトルABと、ベクトルBCと、ベクトルCDと、ベクトルDAと、ベクトルAPと、ベクトルBPと、ベクトルCPと、ベクトルDPと、ベクトルAQと、ベクトルBQと、ベクトルCQと、ベクトルDQとを算出する。
【0163】
ベクトルABは、第1地点F12a-Aから第2地点F12a-Bへ向かうベクトルである。ベクトルBCは、第2地点F12a-Bから第3地点F12a-Cへ向かうベクトルである。ベクトルCDは、第3地点F12a-Cから第4地点F12a-Dへ向かうベクトルである。ベクトルDAは、第4地点F12a-Dから第1地点F12a-Aへ向かうベクトルである。ベクトルAPは、第1地点F12a-Aから第1位置Pへ向かうベクトルである。ベクトルBPは、第2地点F12a-Bから第1位置Pへ向かうベクトルである。ベクトルCPは、第3地点F12a-Cから第1位置Pへ向かうベクトルである。ベクトルDPは、第4地点F12a-Dから第1位置Pへ向かうベクトルである。ベクトルAQは、第1地点F12a-Aから第2位置Qへ向かうベクトルである。ベクトルBQは、第2地点F12a-Bから第2位置Qへ向かうベクトルである。ベクトルCQは、第3地点F12a-Cから第2位置Qへ向かうベクトルである。ベクトルDQは、第4地点F12a-Dから第2位置Qへ向かうベクトルである。
【0164】
図23は、2つの状態を例示する。第1状態は、第1位置Pにあった車両が、検知位置F12aに進入し、第2位置Qに移動した状態である。図23において、第1状態での第1位置Pから第2位置Qまでの移動は、実線で示されている。なお、仮に、車両が検知位置F12aに進入していない場合、第2位置Qは、検知位置F12aに対して第1位置Pと同じ側となる。第2状態は、検知位置F12aにおいて、車両が第1位置Pから第2位置Qに移動した状態である。図23において、第2状態での第1位置Pから第2位置Qまでの移動は、点線で示されている。
【0165】
(ステップS222)
検知部174は、ベクトルABとベクトルAPとの外積ベクトルを求める。以下、この外積ベクトルを外積5と称する。
【0166】
(ステップS223)
検知部174は、ベクトルBCとベクトルBPとの外積ベクトルを求める。以下、この外積ベクトルを外積6と称する。
【0167】
(ステップS224)
検知部174は、ベクトルCDとベクトルCPとの外積ベクトルを求める。以下、この外積ベクトルを外積7と称する。
【0168】
(ステップS225)
検知部174は、ベクトルDAとベクトルDPとの外積ベクトルを求める。以下、この外積ベクトルを外積8と称する。
【0169】
(ステップS226)
検知部174は、ベクトルABとベクトルAQとの外積ベクトルを求める。以下、この外積ベクトルを外積9と称する。
【0170】
(ステップS227)
検知部174は、ベクトルBCとベクトルBQとの外積ベクトルを求める。以下、この外積ベクトルを外積10と称する。
【0171】
(ステップS228)
検知部174は、ベクトルCDとベクトルCQとの外積ベクトルを求める。以下、この外積ベクトルを外積11と称する。
【0172】
(ステップS229)
検知部174は、ベクトルDAとベクトルDQとの外積ベクトルを求める。以下、この外積ベクトルを外積12と称する。
【0173】
(ステップS230)
検知部174は、外積5のZ成分の符号と、外積6のZ成分の符号と、外積7のZ成分の符号と、外積8のZ成分の符号とを比較する。なお、例えば、外積5のZ成分の符号は、ベクトルABからベクトルAPの向きに右ねじを回したときのねじの進む向きにより特定される。該ねじの進む向きがZ成分である。より具体的には、ねじの進む向きが正方向の場合、外積5のZ成分の符号は正となる。ねじの進む向きが負方向の場合、外積5のZ成分の符号は負となる。
【0174】
具体的には、検知部174は、外積5のZ成分の符号と、外積6のZ成分の符号と、外積7のZ成分の符号と、外積8のZ成分の符号が全て負であるか否か判断する。検知部174は、外積5のZ成分の符号と、外積6のZ成分の符号と、外積7のZ成分の符号と、外積8のZ成分の符号が全て負と判断した場合、ステップS230でYESとなり、通過検知処理をステップS231に進める。検知部174は、外積5のZ成分の符号と、外積6のZ成分の符号と、外積7のZ成分の符号と、外積8のZ成分の符号が全て負と判断しなかった場合、ステップS230でNOとなり、通過検知処理をステップS234に進める。
【0175】
(ステップS231)
検知部174は、外積9のZ成分の符号と、外積10のZ成分の符号と、外積11のZ成分の符号と、外積12のZ成分の符号が全て負であるか否か判断する。検知部174は、外積9のZ成分の符号と、外積10のZ成分の符号と、外積11のZ成分の符号と、外積12のZ成分の符号が全て負と判断した場合、ステップS231でYESとなり、通過検知処理をステップS232に進める。検知部174は、外積9のZ成分の符号と、外積10のZ成分の符号と、外積11のZ成分の符号と、外積12のZ成分の符号が全て負と判断しなかった場合、ステップS231でNOとなり、通過検知処理をステップS233に進める。
【0176】
(ステップS232)
検知部174は、車両が検知位置F12a内にあると判断する。これは、車両が検知位置F12aに対応するエリアの中のままという上記第2状態であることを意味する。これによって検知部174は、通過検知処理を終了する。
【0177】
(ステップS233)
検知部174は、車両が検知位置F12aから退出したと判断する。これによって検知部174は、通過検知処理を終了する。なお、本通過検知処理において、検知位置F12aの境界線は検知位置F12aの外として扱う。すなわち、検知位置F12aの境界線と重なる位置に車両がある場合、検知部174は、車両が検知位置F12aから退出したと判断する。
【0178】
(ステップS234)
検知部174は、外積9のZ成分の符号と、外積10のZ成分の符号と、外積11のZ成分の符号と、外積12のZ成分の符号が全て負であるか否か判断する。検知部174は、外積9のZ成分の符号と、外積10のZ成分の符号と、外積11のZ成分の符号と、外積12のZ成分の符号が全て負と判断した場合、ステップS234でYESとなり、通過検知処理をステップS235に進める。検知部174は、外積9のZ成分の符号と、外積10のZ成分の符号と、外積11のZ成分の符号と、外積12のZ成分の符号が全て負と判断しなかった場合、ステップS234でNOとなり、通過検知処理を終了する。ステップS234において、検知部174が、外積9のZ成分の符号と外積10のZ成分の符号と外積11のZ成分の符号と外積12のZ成分の符号の全てを負と判断しないことは、車両が検知位置F12aに到達していないことを意味する。
【0179】
(ステップS235)
検知部174は、車両が検知位置F12a内にいると判断する。
【0180】
(ステップS236)
検知部174は、第1位置Pと第2位置Qとに基づいて、移動方位を算出する。移動方位は、第1位置Pの緯度情報及び経度情報と、第2位置Qの緯度情報及び経度情報とに基づき、逆正接関数にて算出される。より具体的に、移動方位は、第1位置Pの緯度情報と第2位置Qの緯度情報との差と、第1位置Pの経度情報と第2位置Qの経度情報との差とに基づいて、逆正接関数にて算出される。
【0181】
(ステップS237)
検知部174は、移動方位と順方向との差が±90°以内か否か判断する。順方向は、検知位置F12aの各頂点である4つの地点の緯度情報及び経度情報とともに、コンテンツを提供する事業者によって決定される。順方向は、例えば、法律で定められた走行の方向である。あるいは、順方向は、法律で定められた走行の方向と逆の方向であってもよい。検知部174は、移動方位と順方向との差が±90°以内である場合、通過検知処理をステップS238に進める。検知部174は、移動方位と順方向との差が±90°以内でない場合、通過検知処理をステップS239に進める。
【0182】
(ステップS238)
検知部174は、車両が順方向から検知位置F12aに進入したと判断する。これは、図23に実線で例示した第1状態であることを意味する。これによって検知部174は、通過検知処理を終了する。
【0183】
(ステップS239)
検知部174は、車両が、順方向と異なる逆方向から検知位置F12aに進入したと判断する。これによって検知部174は、通過検知処理を終了する。
【0184】
≪ハードウェアによる実現例≫
上述の実施形態1及び実施形態2に係るシステムのハードウェア構成につき、説明する。
【0185】
ユーザ端末100及びサーバ10は、それぞれ、例えば図24に示すような構成のコンピュータ200によって実現される。以下、ユーザ端末100を例に挙げて説明する。
【0186】
図24は、ユーザ端末100の機能を実現するコンピュータ200の一例を示すハードウェア構成図である。コンピュータ200は、CPU210、RAM220、ROM230、HDD等からなる記憶装置240、通信インターフェイス(I/F)250、入出力インターフェイス(I/F)260、及びメディアインターフェイス(I/F)270を有する。これら各構成部材同士は、バス280を介して、情報の送受信を行う。
【0187】
CPU210は、ROM230又は記憶装置240に格納されたプログラムに基づいて動作し、各部の制御を行う。ROM230は、コンピュータ200の起動時にCPU210によって実行されるブートプログラムや、コンピュータ200のハードウェアに依存するプログラム等を格納する。
【0188】
記憶装置240は、CPU210によって実行されるプログラム、及び、かかるプログラムによって使用されるデータ等を記憶する。通信インターフェイス250は、例えば、図1に示したネットワーク30を介して他の機器からデータを受信してCPU210へ送る。また、通信インターフェイス250は、ネットワーク30を介してCPU210が生成したデータを他の機器へ送信する。
【0189】
CPU210は、入出力インターフェイス260を介して、ディスプレイやプリンタ等の出力装置、及び、キーボードやマウス等の入力装置を制御する。CPU210は、入出力インターフェイス260を介して、入力装置からデータを取得する。また、CPU210は、入出力インターフェイス260を介して生成したデータを出力装置へ出力する。
【0190】
メディアインターフェイス270は、図示しない記録媒体に格納されたプログラム又はデータを読み取り、RAM220を介してCPU210に提供する。CPU210は、かかるプログラムを、メディアインターフェイス270を介して記録媒体からRAM220上にロードし、ロードしたプログラムを実行する。記録媒体は、例えばDVD(Digital Versatile Disc)等の光学記録媒体、MO(Magneto-Optical disk)等の光磁気記録媒体、テープ媒体、磁気記録媒体、又は半導体メモリ等である。
【0191】
例えば、コンピュータ200がユーザ端末100として機能する場合、コンピュータ200のCPU210は、RAM220にロードされたプログラムを実行することにより、ユーザ端末制御部170の機能を実現する。コンピュータ200のCPU210は、他の装置からネットワーク30を介してこれらのプログラムを取得する。他の例として、CPU210は、これらのプログラムを記録媒体から読み取ってもよい。
【0192】
≪ソフトウェアによる実現例≫
ユーザ端末100の制御ブロックは、ICチップ等の集積回路等に形成された論理回路によって実現してもよいし、ソフトウェアによって実現してもよい。制御ブロックは、特に検知部174及び出力制御部175である。論理回路は、ハードウェアである。
【0193】
後者の場合、ユーザ端末100は、各機能を実現するソフトウェアであるプログラムの命令を実行するコンピュータを備えている。このコンピュータは、例えば1つ以上のプロセッサを備えていると共に、上記プログラムを記憶したコンピュータ読み取り可能な記録媒体を備えている。そして、上記コンピュータにおいて、上記プロセッサが上記プログラムを上記記録媒体から読み取って実行することにより、本発明の目的が達成される。上記プロセッサとしては、例えばCPUを用いることができる。上記記録媒体としては、「一時的でない有形の媒体」、例えば、ROM(Read Only Memory)等の他、テープ、ディスク、カード、半導体メモリ、プログラマブルな論理回路などを用いることができる。また、上記プログラムを展開するRAMなどをさらに備えていてもよい。また、上記プログラムは、該プログラムを伝送可能な任意の伝送媒体を介して上記コンピュータに供給されてもよい。伝送媒体は、通信ネットワークや放送波等である。なお、本発明の一態様は、上記プログラムが電子的な伝送によって具現化された、搬送波に埋め込まれたデータ信号の形態でも実現され得る。
【0194】
本発明は上述した各実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、異なる実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。
【0195】
上記の課題を解決するために、本開示の一態様に係る情報出力装置は、位置取得部と、記憶部と、検知部と、出力制御部とを備える。位置取得部は、位置データを所定の時間間隔で取得する。記憶部は、異なる2つの地点をそれぞれ示す地点データを記憶する。地点データは、第1地点データと、第2地点データである。第1地点データは、第1地点を示す。第1地点は、任意に設定される。第2地点データは、第2地点を示す。第2地点は、第1地点から通路を挟んだ位置に設定される。検知部は、移動体が検知位置を通過したことを検知する。移動体は、通路に沿って移動する。検知位置は、第1地点と第2地点とを結ぶ線分に対応する位置である。検知部は、通過方向を求める。通過方向は、移動体が検知位置を通過した方向である。出力制御部は、予め定める情報を出力部に出力させる。出力制御部は、移動体による検知位置の通過が検知された場合、前記情報を出力させる。
【0196】
本開示の一態様に係る情報出力装置において、検知部は、第1位置と第2位置とが前記線分を挟んで位置すると判断した場合、移動体が検知位置を通過したと判断する。検知部は、第1位置データと、第2位置データと、第1地点データと、第2地点データとに基づいて、第1位置と第2位置とが前記線分を挟んで位置すると判断する。
【0197】
本開示の一態様に係る情報出力装置において、検知部は、2つの異なるベクトルの外積に基づいて、通過方向を求める。2つの異なるベクトルは、第1地点から、第2地点、第1位置又は第2位置にそれぞれ向かうベクトルである。
【0198】
本開示の一態様に係る情報出力装置において、出力制御部は、通過方向に応じて、予め定める前記情報を出力部に出力させる。
【0199】
本開示の一態様に係る情報出力装置において、出力制御部は、通過方向が、法律で定められた走行の方向と逆と判断された場合、前記情報を出力させる。前記情報は、逆走通知情報である。逆走通知情報は、移動体が通路を逆走していることを示す。
【0200】
本開示の一態様に係る情報出力装置において、前記出力制御部は、通過方向が、法律で定められた走行の方向と逆と判断された場合、前記情報を出力させる。前記情報は、逆走注意情報である。逆走注意情報は、移動体が通路を逆走する可能性があることを示す。
【0201】
本開示の一態様に係る情報出力装置は、通信部をさらに備える。通信部は、サーバと通信する。通信部は、移動体による検知位置の通過が検知された場合、地点データをサーバから取得する。地点データは、2以上の他の検知位置に対応する地点データである。他の検知位置は、移動体の前方に設定された検知位置である。
【0202】
本開示の一態様に係る情報出力装置において、他の前記検知位置は、第2検知位置と、第3検知位置を含む。第2検知位置は、前記検知位置から所定の間隔をあけた位置に設定される。第3検知位置は、第2検知位置から所定の間隔をあけた位置に設定される。第2検知位置は、有効状態に設定される。有効状態は、検知部によって検知される状態である。第3検知位置は、無効状態に設定される。無効状態は、検知部によって検知されない状態である。検知部は、第3検知位置の設定を有効状態に切り替える。検知部は、移動体による第2検知位置への通過を検知すると、有効状態への切り替えを行う。
【0203】
本開示の一態様に係る情報出力装置において、他の検知位置は、取消検知位置をさらに含む。取消検知位置は、第2通路に設定される。第2通路は、第1通路から分岐する通路である。第1通路は、第2検知位置及び第3検知位置が設定された通路である。検知部は、地点データを削除する。地点データは、サーバから取得された地点データである。検知部は、移動体が取消検知位置を通過したと判断した場合、地点データを削除する。
【0204】
本開示の各態様に係る情報出力装置は、コンピュータによって実現してもよく、この場合には、コンピュータを情報出力装置が備える各部(ソフトウェア要素)として動作させることにより、情報出力装置をコンピュータにて実現させる情報出力装置の制御プログラム、及びそれを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体も、本発明の範疇に入る。
【0205】
上記の課題を解決するために、本開示の一態様に係る情報出力装置は、位置取得部と、記憶部と、出力部と、通信部と、検知部と、出力制御部と、通信制御部とを備える。位置取得部は、位置データを所定の時間間隔で取得する。記憶部は、地点データを記憶する。地点データは、通路の任意の位置を示す。出力部は、逆走通知情報を出力する。逆走通知情報は、移動体が通路を逆走していることを示す情報である。通信部は、サーバと通信する。検知部は、前記位置データ及び前記地点データに基づいて、移動体が位置を通過したことを検知する。位置は、記憶部に記憶されている地点データが示す位置である。出力制御部は、出力部を制御する。通信制御部は、通信部を制御する。位置は、移動体の通過を検知する検知位置として、通路に沿って間隔をあけて2以上設定される。通信制御部は、通信部に、地点データを取得させる。通信制御部は、サーバから地点データを取得させる。地点データは、他の検知位置に対応する地点データである。他の検知位置は、逆走する移動体の先に設定される。通信制御部は、検知部が移動体による検知位置の通過を検知した場合、地点データを取得させる。出力制御部は、出力部に、逆走通知情報を出力させる。出力制御部は、検知部が移動体による他の検知位置の通過を検知した場合、地点データを取得させる。
【0206】
本開示の一態様に係る情報出力装置は、車両が逆走する可能性のある場合に、サーバから逆走の検知に必要なデータを取得するので、情報出力装置が記憶すべきデータ量を抑えつつ、逆走の検知を行える。
【0207】
本開示の一態様に係る情報出力装置において、他の検知位置は、2以上の通路にそれぞれ設定される。通路は、移動体が進入する可能性のある通路である。移動体は、検知位置を通過した移動体である。
【0208】
本開示の一態様に係る情報出力装置は、インターチェンジ等の2以上の通路が交差又は近接する場所でも、逆走を検知できる。
【0209】
本開示の一態様に係る情報出力装置において、検知位置は、第1検知位置と、第2検知位置と、第3検知位置とを含む。第2検知位置は、第1検知位置から所定の間隔をあけて設定される。第3検知位置は、第2検知位置から所定の間隔をあけて設定される。通信制御部は、地点データを通信部に取得させる。地点データは、第2検知位置と第3検知位置にそれぞれ対応する地点データである。通信制御部は、検知部が移動体による第1検知位置の通過を検知した場合、通信部に地点データを取得させる。地点データは、有効状態、又は、無効状態に設定される。有効状態は、検知部が検索可能な状態である。検索は、移動体が通過する可能性のある検知位置に対応する地点データに行われる。無効状態は、検知部が検索できない状態である。検知部は、第3検知位置に対応する状態データを無効状態から有効状態に切り替える。状態データの切り替えは、移動体による第2検知位置の通過を検知した場合に行われる。
【0210】
本開示の一態様に係る情報出力装置は、2以上の地点データの一部を無効状態にすることで、検知部が該当する検知位置を検索するための負荷を抑えられる。
【0211】
本開示の一態様に係る情報出力装置において、検知位置の一部は取消検知位置として設定される。取消検知位置は、逆走していない移動体の通過を検知する位置である。通信制御部は、取消検知位置に対応する地点データを通信部に取得させる。取消検知位置は、第2通路に設定される。第2通路は、第1通路から分岐する。第1通路は、第2検知位置及び第3検知位置が設定された通路である。通信制御部は、検知部が移動体の第1検知位置の通過を検知した場合、取消検知位置に対応する地点データを通信部に取得させる。地点データは、サーバから取得されたデータである。検知部は、移動体の取消検知位置の通過を検知した場合、地点データを記憶部に削除させる。
【0212】
本開示の一態様に係る情報出力装置は、逆走の可能性がなくなった場合に、サーバから取得した地点データを、記憶部から削除できる。
【0213】
本開示の一態様に係る情報出力装置において、検知部は、通過方向を求める。通過方向は、移動体が検知位置を通過した方向である。検知部は、移動体が検知位置を通過したことを通信制御部又は出力部に伝達する。検知部は、法律で定められた走行の方向と逆の方向から移動体が検知位置を通過したと判断した場合に、移動体が検知位置を通過したことを伝達する。
【0214】
本開示の一態様に係る情報出力装置は、逆走している車両のユーザに対して、逆走通知情報を通知できる。
【0215】
本発明の各態様に係る情報出力装置は、コンピュータによって実現されてもよい。この場合、コンピュータは、情報出力装置が備える各部として動作することで、情報出力装置の制御プログラム、及び、制御プログラムを記録した記録媒体も、本発明の範疇に入る。記録媒体は、コンピュータで読み取り可能である。
【符号の説明】
【0216】
10 サーバ
100 ユーザ端末
110 ユーザ端末通信部
130 出力部
140 ユーザ端末記憶部
160 GPS受信部
174 検知部
175 出力制御部
F・F11・F12a・F13a・F141 検知位置
F1 第1検知位置
F2 第2検知位置
F3 第3検知位置
F7 第7検知位置
F8 第8検知位置
H・L 通路
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8A
図8B
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18A
図18B
図18C
図18D
図18E
図18F
図18G
図18H
図18I
図19
図20
図21
図22
図23
図24