(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-17
(45)【発行日】2024-10-25
(54)【発明の名称】燃料電池膜加湿器及びそれを含む燃料電池システム
(51)【国際特許分類】
H01M 8/04119 20160101AFI20241018BHJP
H01M 8/04014 20160101ALI20241018BHJP
H01M 8/04746 20160101ALI20241018BHJP
H01M 8/0432 20160101ALI20241018BHJP
H01M 8/04 20160101ALI20241018BHJP
【FI】
H01M8/04119
H01M8/04014
H01M8/04746
H01M8/0432
H01M8/04 N
(21)【出願番号】P 2022517765
(86)(22)【出願日】2021-08-30
(86)【国際出願番号】 KR2021011612
(87)【国際公開番号】W WO2022055166
(87)【国際公開日】2022-03-17
【審査請求日】2023-03-17
(31)【優先権主張番号】10-2020-0117995
(32)【優先日】2020-09-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(31)【優先権主張番号】10-2020-0117996
(32)【優先日】2020-09-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】518215493
【氏名又は名称】コーロン インダストリーズ インク
(74)【代理人】
【識別番号】100083138
【氏名又は名称】相田 伸二
(74)【代理人】
【識別番号】100189625
【氏名又は名称】鄭 元基
(74)【代理人】
【識別番号】100196139
【氏名又は名称】相田 京子
(72)【発明者】
【氏名】ヤン ヒョンモ
(72)【発明者】
【氏名】キム キョンジュ
(72)【発明者】
【氏名】アン ウンジョン
(72)【発明者】
【氏名】キム インホ
【審査官】安池 一貴
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2020/180169(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M 8/04-8/0668
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
隔壁によって分離された空間が形成されたハウジング部と、
前記分離された空間の一領域に形成され、内部に流れる第1流体が外部に流れる第2流体と水分を交換する複数の中空糸膜を含む加湿モジュールと、
前記分離された空間の他領域に形成され、内部に流れる第1流体を冷却させる熱交換モジュールと、
燃料電池スタックの出力状態に応じた前記第1流体の温度変化に応じて前記第1流体の流れ方向を能動的に調節する流量調節部と
を含み、
前記流量調節部は、
前記加湿モジュール側の金属板は熱膨張率が大きい金属であり、前記熱交換モジュール側の金属板は熱膨張率が小さい金属から構成されるバイメタルである、
燃料電池膜加湿器。
【請求項2】
前記流量調節部は、
前記バイメタルの端部に固定形成され、前記バイメタルの形状変化に応じて前記加湿モジュールと前記熱交換モジュール側の流路を開閉する開閉ウィンドウ
をさらに含む、請求項
1に記載の燃料電池膜加湿器。
【請求項3】
前記ハウジング部は、
前記隔壁によって二つの空間に分離されるハウジング本体と、
前記ハウジング本体の各両端に結合され、前記第1流体が流入する第1流体流入口及び、前記第1流体が流出する第1流体流出口がそれぞれ形成されたハウジングキャップと、を含み、
前記第1流体流入口が形成されたハウジングキャップは、前記第1流体の流れ方向を調節する流量調節部及び、前記隔壁が延長される方向に形成されたキャップ隔壁を含む、請求項
1項に記載の燃料電池膜加湿器。
【請求項4】
前記ハウジング部は、
前記隔壁によって二つの空間に分離され、前記第1流体が流入する第1流体流入口及び、前記第1流体が流出する第1流体流出口が形成されたハウジング本体と、
前記ハウジング本体の各両端に結合され、前記第2流体が流入する第2流体流入口及び、前記第2流体が流出する第2流体流出口がそれぞれ形成されたハウジングキャップと、を含み、
前記ハウジング本体は、前記第1流体流入口方向に延長される延長隔壁を含む、請求項
1に記載の燃料電池膜加湿器。
【請求項5】
前記ハウジング部は、
前記隔壁によって二つの空間に分離され、前記第1流体が流入する第1流体流入口及び、前記第1流体が流出する第1流体流出口が一面に一緒に形成されたハウジング本体と、
前記ハウジング本体の各両端に結合され、前記第2流体が流入する第2流体流入口及び、前記第2流体が流出する第2流体流出口がそれぞれ形成されたハウジングキャップと、を含み、
前記ハウジング本体は、前記第1流体流入口及び第1流体流出口方向に延長形成される延長隔壁と、前記第1流体流入口と前記第1流体流出口との間に前記延長隔壁と交差する方向に形成される交差隔壁とを含む、請求項
1に記載の燃料電池膜加湿器。
【請求項6】
前記熱交換モジュールは、
シェルアンドチューブ方式の熱交換モジュール、又はハニカム方式の熱交換モジュール、又はプレート方式の熱交換モジュールである、請求項
1に記載の燃料電池膜加湿器。
【請求項7】
前記ハウジング部は、
前記熱交換モジュールに冷却媒体を供給する冷却媒体流入口と、冷却を行った冷却媒体が流出する冷却媒体流出口とを含み、
前記冷却媒体流入口は、空気圧縮手段に流入する外気の少なくとも一部をバイパスするバイパス流路と連結される、請求項
1に記載の燃料電池膜加湿器。
【請求項8】
外気を供給されて圧縮して第1流体を発生させる空気圧縮手段と、
水素と酸素を反応させて熱及び高湿の第2流体を発生させる燃料電池スタックと、
前記空気圧縮手段で圧縮された第1流体と前記燃料電池スタックから排出された第2流体との間の水分交換を利用して、前記第1流体を加湿させる加湿モジュールと、前記第1流体を冷却させる熱交換モジュールと、前記燃料電池スタックの出力状態に応じた前記第1流体の温度変化に応じて前記第1流体の流れ方向を能動的に調節する流量調節部を含む燃料電池膜加湿器と、
を含み、
前記流量調節部は、
前記加湿モジュール側の金属板は熱膨張率が大きい金属であり、前記熱交換モジュール側の金属板は熱膨張率が小さい金属から構成されるバイメタルである、
燃料電池システム。
【請求項9】
前記流量調節部は、
前記バイメタルの端部に固定形成され、前記バイメタルの形状変化に応じて前記加湿モジュールと前記熱交換モジュール側の流路を開閉する開閉ウィンドウ
をさらに含む、請求項
8に記載の燃料電池システム。
【請求項10】
前記燃料電池膜加湿器は、
隔壁によって分離された空間が形成されたハウジング部を含み、
前記加湿モジュールは、前記分離された空間の一領域に形成され、内部に流れる前記第1流体が外部に流れる前記第2流体と水分を交換する複数の中空糸膜を含み、
前記熱交換モジュールは、前記分離された空間の他領域に形成され、内部に流れる第1流体を冷却させる、請求項
8に記載の燃料電池システム。
【請求項11】
前記ハウジング部は、
前記隔壁によって二つの空間に分離されるハウジング本体と、
前記ハウジング本体の各両端に結合され、前記第1流体が流入する第1流体流入口及び、前記第1流体が流出する第1流体流出口がそれぞれ形成されたハウジングキャップと、を含み、
前記第1流体流入口が形成されたハウジングキャップは、前記第1流体の流れ方向を調節する流量調節部及び、前記隔壁が延長される方向に形成されたキャップ隔壁を含む、請求項
10に記載の燃料電池システム。
【請求項12】
前記ハウジング部は、
前記隔壁によって二つの空間に分離され、前記第1流体が流入する第1流体流入口及び、前記第1流体が流出する第1流体流出口が形成されたハウジング本体と、
前記ハウジング本体の各両端に結合され、前記第2流体が流入する第2流体流入口及び、前記第2流体が流出する第2流体流出口がそれぞれ形成されたハウジングキャップと、を含み、
前記ハウジング本体は、前記第1流体流入口方向に延長される延長隔壁を含む、請求項
10に記載の燃料電池システム。
【請求項13】
前記ハウジング部は、
前記隔壁によって二つの空間に分離され、前記第1流体が流入する第1流体流入口及び、前記第1流体が流出する第1流体流出口が一面に一緒に形成されたハウジング本体と、
前記ハウジング本体の各両端に結合され、前記第2流体が流入する第2流体流入口及び、前記第2流体が流出する第2流体流出口がそれぞれ形成されたハウジングキャップと、を含み、
前記ハウジング本体は、前記第1流体流入口及び第1流体流出口方向に延長形成される延長隔壁と、前記第1流体流入口と前記第1流体流出口との間に前記延長隔壁と交差する方向に形成される交差隔壁とを含む、請求項
10に記載の燃料電池システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、燃料電池膜加湿器及びそれを含む燃料電池システムに関するものであり、より具体的には、一つの膜加湿器において、水分交換による加湿と熱交換による冷却を行って、燃料電池システムの簡素化及び燃料電池システムサイズの小型化を実現することができる燃料電池膜加湿器及びそれを含む燃料電池システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
燃料電池とは、水素と酸素を結合させて電気を発生させる発電型電池である。燃料電池は、乾電池や蓄電池などの一般的な化学電池とは異なり、水素と酸素が供給される限り、継続的に電気を生産することができ、熱損失がなくて内燃機関よりも効率が2倍ほど高いという利点がある。
【0003】
また、水素と酸素の結合によって発生する化学エネルギーを直接電気エネルギーに変換するため、公害物質の排出が少ない。したがって、燃料電池は環境に優しい上、エネルギー消費の増加に伴う資源の枯渇への心配を軽減することができるという利点を有する。
【0004】
こうした燃料電池は、使用される電解質の種類に応じて、高分子電解質型燃料電池(Polymer Electrolyte Membrane Fuel Cell:PEMFC)、リン酸型燃料電池(PAFC)、溶融炭酸塩型燃料電池(MCFC)、固体酸化物型燃料電池(SOFC)、及びアルカリ型燃料電池(AFC)などに大きく分類することができる。
【0005】
これらの各燃料電池は、根本的に同一の原理によって作動するが、使用される燃料の種類、運転温度、触媒、電解質などがそれぞれ異なる。この中で、高分子電解質型燃料電池は、他の燃料電池に比べて低温で動作するという点、及び出力密度が大きくて小型化が可能であるため、小規模の据え置き型発電装備だけでなく輸送システムにおいても最も有望なものであるとされている。
【0006】
高分子電解質型燃料電池の性能を向上させる上で最も重要な要因の一つは、膜-電極接合体(Membrane Electrode Assembly:MEA)の高分子電解質膜(Polymer Electrolyte Membrane又はProton Exchange Membrane:PEM)に一定量以上の水分を供給することによって、含水率を維持させることである。高分子電解質膜が乾燥されると、発電効率が急激に低下するからである。
【0007】
高分子電解質膜を加湿する方法としては、1)耐圧容器に水を満たした後、対象気体を拡散器(diffuser)に通過させて水分を供給するバブラー(bubbler)加湿方式、2)燃料電池の反応に必要な供給水分量を計算して、ソレノイドバルブを通してガス流動管に直接水分を供給する直接噴射(direct injection)方式、及び3)高分子分離膜を用いてガスの流動層に水分を供給する加湿膜方式などが挙げられる。
【0008】
これらの中でも、排気ガス中に含まれる水蒸気のみを選択的に透過させる膜を用いて、水蒸気を、高分子電解質膜に供給されるガスに提供することによって、高分子電解質膜を加湿する加湿膜方式が、加湿器を軽量化及び小型化できるという点で有利である。
【0009】
加湿膜方式に用いられる選択的透過膜は、モジュールを形成する場合、単位体積当たりの透過面積の大きい中空糸膜が好ましい。すなわち、中空糸膜を用いて加湿器を製造する場合、接触表面積の広い中空糸膜の高集積化が可能であるので、小容量でも燃料電池の加湿を十分に行うことができ、低コスト素材の使用が可能であり、燃料電池から高温で排出される未反応ガスに含まれた水分と熱を回収して、加湿器を通して再使用することができるという利点を有する。
【0010】
一方、燃料電池システムで圧縮機又はブロワから発生する高温の乾燥空気は、膜加湿器を通して燃料電池スタックに流入する。このとき、高温の乾燥空気は、燃料電池スタックの運転条件に適合するよう、エアクーラーなどの熱交換装置を経て熱交換が行われた後、膜加湿器を通して加湿されて燃料電池スタックに供給される。
【0011】
現在は、このような熱交換と加湿(水分制御)のために熱交換装置と膜加湿器を直列に配置しているが、これには膜加湿器とブロワとの間に追加のエアクーラーの設置が必要となる。
【0012】
しかし、エアクーラーは体積自体が大きいため、パッケージの適用に不利であり、ブロワによって圧縮された空気の圧力損失を増加させ、冷却水の流路が付加的に要求されて、設備が複雑になり、小型化に不利であるという問題がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
本発明は、一つの膜加湿器において、水分交換による加湿と熱交換による冷却を行って、燃料電池システムの簡素化及び燃料電池システムサイズの小型化を実現することができる燃料電池膜加湿器及びそれを含む燃料電池システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明の実施例に係る燃料電池膜加湿器は、隔壁によって分離された空間が形成されたハウジング部;前記分離された空間の一領域に形成され、内部に流れる第1流体が外部に流れる第2流体と水分を交換する複数の中空糸膜を含む加湿モジュール;前記分離された空間の他領域に形成され、内部に流れる第1流体を冷却させる熱交換モジュール;及び、燃料電池スタックの出力状態に応じた前記第1流体の温度変化に応じて前記第1流体の流れ方向を能動的に調節する流量調節部を含む。
【0015】
本発明の実施例に係る燃料電池膜加湿器において、前記流量調節部は、前記加湿モジュール側の金属板は熱膨張率が大きい金属であり、前記熱交換モジュール側の金属板は熱膨張率が小さい金属から構成されるバイメタルであってもよい。
【0016】
本発明の実施例に係る燃料電池膜加湿器において、前記流量調節部は、前記バイメタルの端部に固定形成され、前記バイメタルの形状変化に応じて前記加湿モジュールと前記熱交換モジュール側の流路を開閉する開閉ウィンドウをさらに含むことができる。
【0017】
本発明の実施例に係る燃料電池膜加湿器において、前記ハウジング部は、前記隔壁によって二つの空間に分離されるハウジング本体と、前記ハウジング本体の各両端に結合され、前記第1流体が流入する第1流体流入口及び、前記第1流体が流出する第1流体流出口がそれぞれ形成されたハウジングキャップとを含み、前記第1流体流入口が形成されたハウジングキャップは、前記第1流体の流れ方向を調節する流量調節部及び、前記隔壁が延長される方向に形成されたキャップ隔壁を含むことができる。
【0018】
本発明の実施例に係る燃料電池膜加湿器において、前記ハウジング部は、前記隔壁によって二つの空間に分離され、前記第1流体が流入する第1流体流入口及び、前記第1流体が流出する第1流体流出口が形成されたハウジング本体と、前記ハウジング本体の各両端に結合され、前記第2流体が流入する第2流体流入口及び、前記第2流体が流出する第2流体流出口がそれぞれ形成されたハウジングキャップとを含み、前記ハウジング本体は、前記第1流体流入口方向に延長される延長隔壁を含むことができる。
【0019】
本発明の実施例に係る燃料電池膜加湿器において、前記ハウジング部は、前記隔壁によって二つの空間に分離され、前記第1流体が流入する第1流体流入口及び、前記第1流体が流出する第1流体流出口が一面に一緒に形成されたハウジング本体と、前記ハウジング本体の各両端に結合され、前記第2流体が流入する第2流体流入口及び、前記第2流体が流出する第2流体流出口がそれぞれ形成されたハウジングキャップとを含み、前記ハウジング本体は、前記第1流体流入口及び、第1流体流出口方向に延長形成される延長隔壁と、前記第1流体流入口と前記第1流体流出口との間に前記延長隔壁と交差する方向に形成される交差隔壁とを含むことができる。
【0020】
本発明の実施例に係る燃料電池膜加湿器において、前記熱交換モジュールは、シェルアンドチューブ方式の熱交換モジュール、又はハニカム方式の熱交換モジュール、又はプレート方式であってもよい。
【0021】
本発明の実施例に係る燃料電池膜加湿器において、前記ハウジング部は、前記熱交換モジュールに冷却媒体を供給する冷却媒体流入口と、冷却を行った冷却媒体が流出する冷却媒体流出口とを含み、前記冷却媒体流入口は、空気圧縮手段で流入する外気の少なくとも一部をバイパスするバイパス流路と連結されてもよい。
【0022】
本発明の実施例に係る燃料電池システムは、外気を供給されて圧縮して第1流体を発生させる空気圧縮手段;水素と酸素を反応させて熱及び高湿の第2流体を発生させる燃料電池スタック;前記空気圧縮手段で圧縮された第1流体と前記燃料電池スタックから排出された第2流体との間の水分交換を利用して、前記第1流体を加湿させる加湿モジュールと、前記第1流体を冷却させる熱交換モジュールと、前記燃料電池スタックの出力状態に応じた前記第1流体の温度変化に応じて前記第1流体の流れ方向を能動的に調節する流量調節部を含む燃料電池膜加湿器を含む。
【0023】
本発明の実施例に係る燃料電池システムにおいて、前記流量調節部は、前記加湿モジュール側の金属板は熱膨張率が大きい金属であり、前記熱交換モジュール側の金属板は熱膨張率が小さい金属から構成されるバイメタルであってもよい。
【0024】
本発明の実施例に係る燃料電池システムにおいて、前記流量調節部は、前記バイメタルの端部に固定形成され、前記バイメタルの形状変化に応じて前記加湿モジュールと前記熱交換モジュール側の流路を開閉する開閉ウィンドウをさらに含むことができる。
【0025】
本発明の実施例に係る燃料電池システムにおいて、前記燃料電池膜加湿器は、隔壁によって分離された空間が形成されたハウジング部を含み、前記加湿モジュールは、前記分離された空間の一領域に形成され、内部に流れる前記第1流体が外部に流れる前記第2流体と水分を交換する複数の中空糸膜を含み、前記熱交換モジュールは、前記分離された空間の他領域に形成され、内部に流れる第1流体を冷却させる。
【0026】
本発明の実施例に係る燃料電池システムにおいて、前記ハウジング部は、前記隔壁によって二つの空間に分離されるハウジング本体と、前記ハウジング本体の各両端に結合され、前記第1流体が流入する第1流体流入口及び、前記第1流体が流出する第1流体流出口がそれぞれ形成されたハウジングキャップとを含み、前記第1流体流入口が形成されたハウジングキャップは、前記第1流体の流れ方向を調節する流量調節部及び、前記隔壁が延長される方向に形成されたキャップ隔壁を含むことができる。
【0027】
本発明の実施例に係る燃料電池システムにおいて、前記ハウジング部は、前記隔壁によって二つの空間に分離され、前記第1流体が流入する第1流体流入口及び、前記第1流体が流出する第1流体流出口が形成されたハウジング本体と、前記ハウジング本体の各両端に結合され、前記第2流体が流入する第2流体流入口及び、前記第2流体が流出する第2流体流出口がそれぞれ形成されたハウジングキャップとを含み、前記ハウジング本体は、前記第1流体流入口方向に延長される延長隔壁を含むことができる。
【0028】
本発明の実施例に係る燃料電池システムにおいて、前記ハウジング部は、前記隔壁によって二つの空間に分離され、前記第1流体が流入する第1流体流入口及び、前記第1流体が流出する第1流体流出口が一面に一緒に形成されたハウジング本体と、前記ハウジング本体の各両端に結合され、前記第2流体が流入する第2流体流入口及び、前記第2流体が流出する第2流体流出口がそれぞれ形成されたハウジングキャップとを含み、前記ハウジング本体は、前記第1流体流入口及び、第1流体流出口方向に延長形成される延長隔壁と、前記第1流体流入口と前記第1流体流出口との間に前記延長隔壁と交差する方向に形成される交差隔壁とを含むことができる。
【0029】
本発明の実施例に係る燃料電池システムにおいて、前記ハウジング部は、前記熱交換モジュールに冷却媒体を供給する冷却媒体流入口と、冷却を行った冷却媒体が流出する冷却媒体流出口とを含み、前記冷却媒体流入口は、前記空気圧縮手段に流入する外気の少なくとも一部をバイパスするバイパス流路と連結されてもよい。
【0030】
その他、本発明の様々な側面による具現例の具体的な事項は、以下の詳細な説明に含まれる。
【発明の効果】
【0031】
本発明の実施形態によれば、一つの膜加湿器において、水分交換による加湿と熱交換による冷却を行って、燃料電池システムの簡素化及び燃料電池システムサイズの小型化を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【
図1】本発明の一実施例に係る燃料電池膜加湿器を含む燃料電池システムを示す図である。
【
図2】本発明の一実施例に係る燃料電池膜加湿器を示す斜視図である。
【
図3】本発明の一実施例に係る燃料電池膜加湿器の応用例を示す斜視図である。
【
図4】本発明の一実施例に係る燃料電池膜加湿器を示す正面図である。
【
図5】本発明の一実施例の変形例に係る燃料電池膜加湿器を示す正面図である。
【
図6】本発明の一実施例に係る燃料電池膜加湿器を示す平面図である。
【
図9】熱交換モジュールを例示する図であり、シェルアンドチューブ方式の熱交換モジュールである。
【
図10】熱交換モジュールを例示する図であり、ハニカム方式の熱交換モジュールである。
【
図11】熱交換モジュールを例示する図であり、プレート方式の熱交換モジュールである。
【
図12】
図9のシェルアンドチューブ方式の熱交換モジュールが本発明の一実施例に係る燃料電池膜加湿器に適用されたことを例示する図である。
【
図13】本発明の別の実施例に係る燃料電池膜加湿器を示す斜視図である。
【
図14】本発明の別の実施例に係る燃料電池膜加湿器を示す側面図である。
【
図15】本発明の別の実施例に係る燃料電池膜加湿器の応用例を示す斜視図である。
【
図16】本発明のまた別の実施例に係る燃料電池膜加湿器を示す斜視図である。
【
図18】本発明のまた別の実施例の変形例に係る燃料電池膜加湿器を示す平面図である。
【
図19】本発明の実施例に係る燃料電池膜加湿器の動作過程を説明するための図である。
【
図20】本発明の実施例に係る燃料電池膜加湿器の動作過程を説明するための図である。
【
図21】本発明の実施例に係る燃料電池膜加湿器の動作過程を説明するための図である。
【
図22】本発明の実施例に係る燃料電池膜加湿器を含む燃料電池システムの別の例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0033】
本発明は、様々な変換を加えることができ、様々な実施例を有することができるので、特定の実施例を例示し、詳細な説明にて詳しく説明しようとする。しかし、これは本発明を特定の実施形態に限定しようとするものではなく、本発明の思想及び技術範囲に含まれるすべての変換、均等物ないし代替物を含むものとして理解されるべきである。
【0034】
本発明で使用した用語は、単に特定の実施例を説明するために使用されたものであって、本発明を限定しようとする意図ではない。単数の表現は、文脈上明らかに異なる意味を持たない限り、複数の表現を含む。本発明において、「含む」又は「有する」などの用語は、明細書に記載されている特徴、数字、ステップ、動作、構成要素、部品、又はこれらを組み合わせたものが存在することを指定しようとするものであり、一つ又はそれ以上の別の特徴や数字、ステップ、動作、構成要素、部品、又はこれらを組み合わせたものの存在又は付加の可能性を予め排除しないものとして理解されるべきである。以下、図面を参照して、燃料電池膜加湿器及びそれを含む燃料電池システムについて説明する。
【0035】
図1は、本発明の一実施例に係る燃料電池膜加湿器を含む燃料電池システムを示す図である。
図1に示すように、本発明の一実施例に係る燃料電池システムは、空気圧縮手段10と、燃料電池膜加湿器20と、燃料電池スタック30とを含む。
【0036】
空気圧縮手段10は、外気供給流路L1から外気を供給されて圧縮して燃料電池膜加湿器20に供給する。空気圧縮手段10は、空気などの流体を圧縮する装置であり、例えば、ブロワ(blower)、圧縮機(compressor)などであってもよい。
【0037】
燃料電池膜加湿器20は、空気圧縮手段10で圧縮された高温の乾燥空気を供給される。また、燃料電池膜加湿器20は、燃料電池スタック30から排出された高温高湿の排出ガスを供給される。
【0038】
燃料電池膜加湿器20の加湿モジュール200では、空気圧縮手段10で圧縮された乾燥空気の少なくとも一部(運転条件に応じて全部又はゼロであり得る)と燃料電池スタック30から排出された高湿の排出ガスが水分交換を行う。水分交換の結果、乾燥空気は水分を含有したまま燃料電池スタック30に供給される。
【0039】
運転条件に応じて、空気圧縮手段10で圧縮された乾燥空気の少なくとも一部(運転条件に応じて全部又はゼロであり得る)は、加湿モジュール200で加湿されず、熱交換モジュール300を通過しながら熱のみを交換して高温の乾燥空気から低温の乾燥空気になった後、加湿モジュール200を通過した水分を含有した空気と混合されながら燃料電池スタック30に供給することができる。図面の符号100は、ハウジング部である。
【0040】
燃料電池スタック30は、多数の単位セルを連続的に配列した電気発生集合体からなり、それぞれの単位セルは、水素及び空気の電気化学的反応によって電気エネルギーを発生させる単位の燃料電池として備えられる。単位セルは、膜-電極接合体と、その両側にそれぞれ密着して配置されるセパレータとを含む。セパレータは導電性を有するプレート形態からなり、膜-電極接合体の密着面に燃料及び空気を流動させるためのチャネルをそれぞれ形成する。膜-電極接合体は、一方の一面に燃料極を形成し、他方の一面に空気極を形成し、これらの燃料極と空気極との間に電解質膜を形成する構造からなる。
【0041】
燃料極は、セパレータのチャネルを通じて供給される水素を酸化反応させて電子と水素イオンに分離させ、電解質膜は、水素イオンをカソードに移動させる働きをする。そして、空気極は、燃料極側から受けた電子、水素イオン及びセパレータのチャネルを通じて提供された空気中の酸素を還元反応させて水及び熱を生成する働きをする。水素と酸素の反応の結果で生じた高湿の排出ガスは、燃料電池スタック30から燃料電池膜加湿器20に供給される。
【0042】
このような本発明の一実施例に係る燃料電池システムは、水分交換のための一つのハウジング部100内に、加湿モジュール200と熱交換のための熱交換モジュール300とが並列に一体化されて、燃料電池システムを簡素化し、燃料電池システムのサイズを小型化することができるという利点がある。
【0043】
以下、
図2~
図8を参照して、本発明の一実施例に係る燃料電池膜加湿器20について説明する。
【0044】
図2は、本発明の一実施例に係る燃料電池膜加湿器を示す斜視図であり、
図3は、本発明の一実施例に係る燃料電池膜加湿器の応用例を示す斜視図であり、
図4は、本発明の一実施例に係る燃料電池膜加湿器を示す正面図であり、
図5は、本発明の一実施例の変形例に係る燃料電池膜加湿器を示す正面図であり、
図6は、本発明の一実施例に係る燃料電池膜加湿器を示す平面図であり、
図7は、
図4のA-A線から見た断面図であり、
図8は、
図4のB-B線から見た断面図である。
【0045】
図2~
図8に示すように、本発明の一実施例に係る燃料電池膜加湿器20は、ハウジング部100と加湿モジュール200と熱交換モジュール300と流量調節部400とを含む。
【0046】
ハウジング部100は、膜加湿器20の外形をなす。ハウジング部100は、ハウジング本体110とハウジングキャップ120とを含むことができ、これらが結合された一体型であってもよい。ハウジング本体110とハウジングキャップ120は、ポリカーボネートなどの硬質プラスチックや金属からなってもよい。
【0047】
ハウジング本体110は、隔壁150によって二つの空間に分離され、それぞれの空間には水分交換を行う加湿モジュール200と、熱交換によって冷却を行う熱交換モジュール300とがそれぞれ配置される。(
図7参照)
【0048】
また、ハウジング本体110とハウジングキャップ120は、幅方向の断面形状が多角形であってもよく、又は円形であってもよい。前記多角形は、四角形、正方形、台形、平行四辺形、五角形、六角形などであってもよく、前記多角形は、角が丸い形であってもよい。また、前記円形は楕円形であってもよい。
【0049】
図8を参照すれば、加湿モジュール200が配置された領域のハウジング本体110には、第2流体が供給される第2流体流入口131と、第2流体が排出される第2流体流出口132とが形成されている。前記において、第1流体は低湿の流体であり、第2流体は高湿の流体であってもよい。より具体的には、第1流体は空気圧縮手段10で圧縮された乾燥空気であり、第2流体は燃料電池スタック30から排出された高湿の排出ガスであってもよい。
【0050】
熱交換モジュール300が配置された領域のハウジング本体110には、冷却媒体が供給される冷却媒体流入口141と、冷却を行った冷却媒体が流出する冷却媒体流出口142とが形成される。熱交換モジュール300による冷却方式は、空冷式又は水冷式であってもよく、冷却媒体は外部から供給された空気又は水であってもよい。
【0051】
ハウジングキャップ120は、ハウジング本体110の各両端に結合される。それぞれのハウジングキャップ120には、第1流体流入口121及び第1流体流出口122が形成されている。第1流体流入口121が形成されたハウジングキャップ120には、流入した第1流体の流れ方向を調節する流量調節部400が形成される。また、第1流体流入口121が形成されたハウジングキャップ120には、ハウジング本体110に形成された隔壁150が延長される方向に形成されたキャップ隔壁123(
図12参照)を含むことができる。設計に応じて、隔壁150とキャップ隔壁123は、それぞれ別々に形成されてもよいし、又は一体的に形成されてもよい。流量調節部400によって方向が調節された第1流体は、キャップ隔壁123によって加湿モジュール200又は熱交換モジュール300にガイドされる。
【0052】
第1流体流入口121に流入した第1流体の少なくとも一部は加湿モジュール200の内部に流入し、残りの一部は熱交換モジュール300の内部に流入する。運転条件に応じて、第1流体の全てが加湿モジュール200又は熱交換モジュール300に流入し得る。
【0053】
加湿モジュール200の内部には、水分を選択的に通過させる複数の中空糸膜Hが収容された中空糸膜束を配置することができる。又は、
図3に示すように、複数の中空糸膜が収容された複数のカートリッジCを配置することができる。中空糸膜(H)は、例えば、ナフィオン(Nafion)材質、ポリエーテルイミド(polyetherimide)材質、ポリフェニルスルホン(polyphenylsulfone)材質、ポリイミド(polyimide)材質、ポリスルホン(polysulfone)材質、ポリエーテルスルホン(polyether sulfone)材質の中空糸膜であってもよい。中空糸膜Hは、水分交換の程度差はあるものの、概ね第1流体と第2流体との間の水分を交換する働きをする。
【0054】
加湿モジュール200に流入した第1流体は、中空糸膜の内部管路を通過し、加湿モジュール200の外部に流出した後、熱交換モジュール300を通過した第1流体と混合されて、第1流体流出口122に抜け出して燃料電池スタック30に流入する。
【0055】
加湿モジュール200の両端部には、中空糸膜Hを結束しながら中空糸膜間の空隙を埋めるポッティング部(図示せず)が形成される。これにより、加湿モジュール200は、両端部がポッティング部で塞がり、その内部には第2流体が通過する流路が形成される。ポッティング部の材質は公知のものによるものであるので、本明細書において詳細な説明は省略する。
【0056】
流量調節部400は、燃料電池スタックの出力状態に応じて、加湿モジュール200と熱交換モジュール300に流入する第1流体の流れ方向を調節する。流量調節部400は、燃料電池スタックの高出力又は低出力に応じる第1流体の温度変化に応じて能動的に第1流体の流れ方向を調節する。
【0057】
そのために、
図4に示すように、流量調節部400は、熱膨張率が相違する二つ以上の金属板を重ねて一つの棒状に製造されたバイメタルで形成することができる。
【0058】
燃料電池スタック30の出力が低出力である場合、膜加湿器20における加湿量は相対的に少なく、燃料電池スタック30の出力が高出力である場合、膜加湿器20における加湿量は相対的に大きくなる。
【0059】
また、燃料電池スタック30の出力が低出力である場合、ブロワから膜加湿器20に供給される第1流体は相対的に低温であり、燃料電池スタック30の出力が高出力である場合、ブロワから膜加湿器20に供給される第1流体は相対的に高温である。
【0060】
したがって、流量調節部400は、加湿モジュール200側の金属板は熱膨張率が大きい金属であり、熱交換モジュール300側の金属板は熱膨張率が小さい金属から構成されてもよい。
【0061】
又は、
図5に示すように、流量調節部400は、バイメタル410と開閉ウィンドウ420とを含むことができる。バイメタル410は、熱膨張率が相違する二つ以上の金属板を重ねて一つの棒状に製造することができる。バイメタル410は、加湿モジュール200側の金属板は熱膨張率が大きい金属であり、熱交換モジュール300側の金属板は熱膨張率が小さい金属から構成することができる。開閉ウィンドウ420は、バイメタル410の端部に固定形成され、バイメタル410の形状変化に応じて、第1流体流入口121から移動しながら加湿モジュール200と熱交換モジュール300側の流路を開閉することができる。
【0062】
このような流量調節部400は、第1流体流量調節のためのバルブや第1流体の流量をセンシングするためのセンサ、そして、バルブの動作を制御するための制御部を備えなくとも、燃料電池スタックの出力状態に応じて、能動的に第1流体が加湿モジュール200と熱交換モジュール300に均等に流れるようにするか、又は加湿モジュール200と熱交換モジュール300のうちいずれか一方により多く流れるようにするか、又は加湿モジュール200と熱交換モジュール300のうちいずれか一方には流れないように調節して流量を調節することもできる。
【0063】
図9~
図11を参照して、熱交換モジュール300について説明する。
図9は、シェルアンドチューブ方式の熱交換モジュールを例示する図であり、
図10は、ハニカム方式の熱交換モジュールを例示する図であり、
図11は、プレート方式の熱交換モジュールを例示する図である。
【0064】
図9に示すシェルアンドチューブ(Shell&Tube)方式の熱交換モジュールは、内部にチューブ束が収容されたシェルから構成され、一方の流体がチューブを通して流れ、他方の流体がシェルを通して流れると、二つの流体間で熱が伝達されて交換される方式である。チューブバンドルは、平らなチューブ、縦方向のフィン型チューブなど、様々な種類のチューブから構成することができる。
【0065】
第1流体(空気圧縮手段10で圧縮された乾燥空気)の少なくとも一部がチューブを通して流れると(直線の矢印で表示する)、冷却媒体流入口141を通して流入した冷却媒体は、シェル内部を流れながら(曲線の矢印で表示する)チューブと接触して第1流体を冷却させた後、冷却媒体流出口142を通して外部に流出する。
【0066】
図10に示すハニカム(Honeycomb)方式の熱交換モジュールは、セラミック材質の蜂の巣状で具現された熱交換器であり、第1流体(Airで表示する)が蜂の巣型の管路内部を流れると、冷却媒体(waterで表示する)が管路と交差する方向に供給されて第1流体を冷却する方式である。
【0067】
図11に示すプレート方式の熱交換モジュール(Plate heat exchanger)の伝熱板は、エンボス形状のステンレス板からなっており、それぞれの伝熱板は、ヘリンボーンパターン(herringbone pattern)の方向を上下に交差させて交互に配置することにより、流体が伝熱板に均等に分配されて乱流を形成しながら、熱源側と収縮が向流流れをしながら熱を交換する。
【0068】
前述したような熱交換モジュール300に流入した第1流体は、熱交換モジュール300を構成する熱交換装置の内部を通過し、熱交換モジュール300の外部に流出した後、加湿モジュール200を通過した第1流体と混合されて、第1流体流出口122に抜け出して燃料電池スタック30に流入する。前記
図9~
図11の熱交換モジュールは説明のための例示に過ぎず、必ずしもこれに限定されるものではない。
【0069】
図12は、
図9のシェルアンドチューブ方式の熱交換モジュールが本発明の一実施例に係る燃料電池膜加湿器に適用されたことを例示する。
【0070】
次に、
図13~
図15を参照して、本発明の別の実施例に係る燃料電池膜加湿器について説明する。
図13は、本発明の別の実施例に係る燃料電池膜加湿器20aを示す斜視図であり、
図14は、本発明の別の実施例に係る燃料電池膜加湿器20aを示す側面図であり、
図15は、本発明の別の実施例に係る燃料電池膜加湿器20aの応用例を示す斜視図である。
【0071】
図13~
図15に示す燃料電池膜加湿器は、前述した一実施例と実質的に類似するよう、ハウジング部100aと加湿モジュール200aと熱交換モジュール300aと流量調節部400aとを備える。ただし、本実施例においては、ハウジングキャップ120aを通して高湿の第2流体が流入及び流出し、ハウジング本体100aを通して乾燥(低湿)した第1流体が流入及び流出する。
【0072】
ハウジング本体110aは、隔壁150aによって二つの空間に分離され、それぞれの空間には水分交換を行う加湿モジュール200aと、熱交換によって冷却を行う熱交換モジュール300aとがそれぞれ配置される。
【0073】
加湿モジュール200aが配置された領域のハウジング本体110aには、第1流体が供給される第1流体流入口121aと、第1流体が排出される第1流体流出口122aとが形成されている。第1流体流入口121aには、流入した第1流体の流れ方向を調節する流量調節部400aが形成される。また、第1流体流入口121aが形成されたハウジング本体110aには、ハウジング本体110aに形成された隔壁150aが第1流体流入口121a方向に延長される延長隔壁151aを含むことができる。設計に応じて、隔壁150aと延長隔壁151aは、それぞれ別々に形成されてもよいし、又は一体的に形成されてもよい。流量調節部400aによって方向が調節された第1流体は、延長隔壁151aによって加湿モジュール200a又は熱交換モジュール300aにガイドされる。
【0074】
第1流体流入口121aに流入した第1流体の少なくとも一部は加湿モジュール200aの内部に流入し、残りの一部は熱交換モジュール300aの内部に流入する。運転条件に応じて、第1流体の全てが加湿モジュール200a又は熱交換モジュール300aに流入し得る。
【0075】
熱交換モジュール300が配置された領域のハウジング本体110aには、冷却媒体が供給される冷却媒体流入口141aと、冷却を行った冷却媒体が流出する冷却媒体流出口142aとが形成される。冷却媒体流入口141aと冷却媒体流出口142aは、ハウジング本体110aの側面に形成されてもよい。しかし、これに限定されず、
図15に示すように、冷却媒体流入口141aと冷却媒体流出口142aは、ハウジング本体110aの上面又は底面に形成されてもよい。この場合、冷却媒体が熱交換モジュール300aを流動できるよう、冷却媒体流入口141aと冷却媒体流出口142aは、熱交換モジュール300aと連結されるよう、ハウジング本体110aの上面又は底面を貫通して形成される。
【0076】
ハウジングキャップ120aは、ハウジング本体110aの各両端に結合される。それぞれのハウジングキャップ120aには、第2流体流入口131a及び第2流体流出口132aが形成されている。
【0077】
加湿モジュール200aと熱交換モジュール300aは、前述した一実施例と同一であるため、繰り返しの説明は省略する。また、流量調節部400aは、第1流体流入口121aに設けられる点で相違するだけであり、機能及び構成は実質的に同一であるため、繰り返しの説明は省略する。
【0078】
次に、
図16~
図18を参照して、本発明のまた別の実施例に係る燃料電池膜加湿器について説明する。
図16は、本発明のまた別の実施例に係る燃料電池膜加湿器20bを示す斜視図であり、
図17は、
図16の平面図であり、
図18は、本発明のまた別の実施例の変形例に係る燃料電池膜加湿器を示す平面図である。
【0079】
図16~
図18に示す燃料電池膜加湿器は、前述した別の実施例と実質的に類似するよう、ハウジング部100bと加湿モジュール200bと熱交換モジュール300bと流量調節部400bとを備える。本実施例においては、ハウジングキャップ120bを通して高湿の第2流体が流入及び流出し、ハウジング本体100bを通して乾燥(低湿)した第1流体が流入及び流出するが、ただし、第1流体流入口121bと第1流体流出口122bが、ハウジング本体100bの上面又は下面に一緒に形成される。
【0080】
ハウジング本体110bは、隔壁150bによって二つの空間に分離され、それぞれの空間には水分交換を行う加湿モジュール200bと、熱交換によって冷却を行う熱交換モジュール300bとがそれぞれ配置される。
【0081】
加湿モジュール200bが配置された領域のハウジング本体110bの一面(上面又は下面)には、第1流体が供給される第1流体流入口121bと、第1流体が排出される第1流体流出口122bとが形成されている。第1流体流入口121bには、流入した第1流体の流れ方向を調節する流量調節部400bが形成される。また、第1流体流入口121b及び第1流体流出口122bが形成されたハウジング本体110bには、ハウジング本体110bに形成された隔壁150bが第1流体流入口121b及び第1流体流出口122b方向に延長される延長隔壁151bと、延長隔壁151bと交差する方向に形成された交差隔壁152bとを含むことができる。交差隔壁152bは、第1流体流入口121bと第1流体流出口122bとの間に形成される。延長隔壁151bと交差隔壁152bは、加湿モジュール200b及び熱交換モジュール300bとハウジング本体110bがなす空間は、四つの分離された空間に区画する。
【0082】
加湿モジュール200bの一面(上面又は下面)には、第1流体流入口121bを通して流入した第1流体が加湿モジュール200bの内部に流入するようにする第1流入ウィンドウ201bと、加湿モジュール200bの内部を流動しながら水分交換を行った第1流体が流出するようにする第1流出ウィンドウ202bとが形成される。
【0083】
また、熱交換モジュール300bの一面(上面又は下面)には、第1流体流入口121bを通して流入した第1流体が熱交換モジュール300bの内部に流入するようにする第2流入ウィンドウ301bと、熱交換モジュール300bの内部を流動しながら熱交換を行った第1流体が流出するようにする第2流出ウィンドウ302bとが形成される。
【0084】
流入ウィンドウ201b、301bと流出ウィンドウ202b、302bは、加湿モジュール200bと熱交換モジュール300bの一面の一部を貫通して形成される。
【0085】
熱交換モジュール300bが配置された領域のハウジング本体110bには、冷却媒体が供給される冷却媒体流入口141bと、冷却を行った冷却媒体が流出する冷却媒体流出口142bとが形成される。冷却媒体流入口141bと冷却媒体流出口142bは、ハウジング本体110bの側面に形成されてもよい。
【0086】
ハウジングキャップ120bは、ハウジング本体110bの各両端に結合される。それぞれのハウジングキャップ120bには、第2流体流入口131b及び第2流体流出口132bが形成されている。
【0087】
加湿モジュール200bと熱交換モジュール300bは、前述した一実施例と同一であるため、繰り返しの説明は省略する。また、流量調節部400bは、第1流体流入口121bに設けられる点で相違するだけであり、機能及び構成は実質的に同一であるため、繰り返しの説明は省略する。
図17は、流量調節部400bがバイメタルのみから構成された場合を例示し、
図18は、流量調節部400bがバイメタル410と開閉ウィンドウ420から構成された場合を例示する。
【0088】
流量調節部400bによって方向が調節された第1流体は、延長隔壁151bによって加湿モジュール200b又は熱交換モジュール300bにガイドされる。
【0089】
第1流体流入口121bに流入した第1流体の少なくとも一部は第1流入ウィンドウ201bを通して加湿モジュール200bの内部に流入し、残りの一部は第2流入ウィンドウ301bを通して熱交換モジュール300bの内部に流入する。運転条件に応じて、第1流体の全てが加湿モジュール200b又は熱交換モジュール300bに流入し得る。このとき、交差隔壁152bは、第1流体が流入ウィンドウ201b、301bに流入することなく直ちに第1流体流出口122bを通して排出されることを防止する。
【0090】
加湿モジュール200b又は熱交換モジュール300bに流入した第1流体は、加湿モジュール200bの内部を流動しながら水分交換又は熱交換モジュール300bの内部を流動しながら熱交換を行った後、第1流体流出口122bの前方で混合されて、第1流体流出口122bを通して燃料電池膜加湿器20bの外部に流出する。
【0091】
次に、
図19~
図21を参照して、本発明の実施例に係る燃料電池膜加湿器の動作過程を説明する。それぞれの図において、左下の図は、流量調節部400bがバイメタルのみから構成された場合であり、右下の図は、流量調節部400bがバイメタル410と開閉ウィンドウ420から構成された場合である。一方、本発明の別の実施例に係る燃料電池膜加湿器の動作過程は一実施例と実質的に同一であるため、繰り返しの説明は省略する。
【0092】
図19は、加湿モジュール200にのみ第1流体が流入するようにして加湿器機能のみを具現した例である。
図19は、燃料電池スタック30の出力が高出力である場合となり得、第1流体は相対的に高温であるため、熱膨張率が大きい加湿モジュール200側の金属板がより速く膨張するようになり、その結果、流量調節部400は、加湿モジュール200側の流路を開放し、熱交換モジュール300側の流路は閉鎖するようになる。空気圧縮手段10によって圧縮された乾燥空気(第1流体)は、大部分が加湿モジュール200の内部にある中空糸膜の内部に流れて、他側のハウジングキャップ120の第1流体流出口122を通して膜加湿器の外部に排出される。この過程で、第1流体は、第2流体流入口131を通して流入した第2流体と水分交換を行う。
【0093】
図20は、熱交換モジュール300にのみ第1流体が流入するようにして熱交換器機能のみを具現した例である。
図20は、燃料電池スタック30の出力が低出力である場合となり得、第1流体は相対的に低温であるため、熱膨張率が大きい加湿モジュール200側の金属板がより速く収縮するようになり、その結果、流量調節部400は、熱交換モジュール300側の流路を開放し、加湿モジュール200側の流路は閉鎖するようになる。空気圧縮手段10によって圧縮された乾燥空気(第1流体)は、大部分が熱交換モジュール300に流れて、他側のハウジングキャップ120の第1流体流出口122を通して膜加湿器の外部に排出される。この過程で、第1流体と第2流体との水分交換は行われず、第1流体と冷却媒体との間の熱交換のみが発生する。このとき、熱交換モジュール300に投入される冷却媒体の温度及び流量などを調節して第1流体流出口122を通して排出されて、燃料電池スタック30に流入する第1流体の温度を所望に応じて調節することができる。
【0094】
図21は、加湿モジュール200と熱交換モジュール300に第1流体が流入するようにして加湿及び熱交換機能を具現した例である。
図21は、燃料電池スタック30の出力が低出力と高出力の間である場合となり得、第1流体は低温と高温の間の温度であるため、バイメタルを構成する二つの金属の熱膨張率はある程度類似していて、加湿モジュール200側の流路又は熱交換モジュール300側の流路を部分的に開放するようになる。空気圧縮手段10によって圧縮された乾燥空気(第1流体)の少なくとも一部は加湿モジュール200に、残りは熱交換モジュール300に流れて、他側のハウジングキャップ120の第1流体流出口122を通して膜加湿器の外部に排出される。加湿モジュール200を通過した第1流体と、熱交換モジュール300を通過した第1流体は、混合された状態で第1流体流出口122を通して排出されて、燃料電池スタック30に流入し、このとき、熱交換モジュール300に投入される冷却媒体の温度及び流量を調節して、混合状態の第1流体の温度を調節することができる。その結果、燃料電池スタック30に流入する第1流体の加湿状態及び温度を所望に応じて調節することができるようになる。
【0095】
次に、
図22を参照して、本発明の実施例に係る燃料電池膜加湿器を含む燃料電池システムの別の例を説明する。
【0096】
図22に示すように、本発明の別の実施例に係る燃料電池システムは、空気圧縮手段10と、燃料電池膜加湿器20と、燃料電池スタック30と、バイパス流路L2とバイパスバルブVとを含む。
【0097】
本実施例の燃料電池システムは、バイパス流路L2とバイパスバルブVとを含むという点では前述した一実施例と相違するものの、他の構成は同一であるため、空気圧縮手段10と、燃料電池膜加湿器20と、燃料電池スタック30に関する詳細な説明は省略する。
【0098】
本実施例の燃料電池システムは、空気圧縮手段10の前方の上流側に設けられた外気供給流路L1から分岐して、熱交換モジュール300の冷却媒体流入口141と連結されるバイパス流路L2を含む。外気供給流路L1には、バイパスされる流量を調節するバイパスバルブVが形成される。
【0099】
前述した一実施例の燃料電池システムにおいて、熱交換モジュール300は、外部から供給される冷却媒体を用いて第1流体を冷却させる。この場合、この冷却媒体を供給するために別途の冷却媒体の貯蔵手段を備えなければならず、これにより、システムの簡素化及び小型化に制限がある恐れがある。
【0100】
本実施例においては、空気圧縮手段10に流入する外気の少なくとも一部を、バイパス流路L2を通して熱交換モジュール300に供給して第1流体を冷却させる。したがって、空冷式熱交換器である場合、冷却媒体の供給のための別途の冷却媒体の貯蔵手段を備える必要がなくなって、さらに簡素化/小型化された燃料電池システムを構築することができる。
【0101】
以上、本発明の一実施例について説明したが、当該技術分野における通常の知識を有する者なら、特許請求の範囲に記載された本発明の思想から外れない範囲内で、構成要素の付加、変更、削除、又は追加などにより、本発明を多様に修正及び変更することができ、これも本発明の権利範囲に含まれるといえるだろう。
【符号の説明】
【0102】
10:空気圧縮手段
20:燃料電池膜加湿器
30:燃料電池スタック
100:ハウジング部
110:ハウジング本体
120:ハウジングキャップ
200::加湿モジュール
300:熱交換モジュール
400:流量調節部
410:バイメタル
420:開閉ウィンドウ
L1:外気供給流路
L2:バイパス流路