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特許7573606量子ビットを形成するための接合製作方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-17
(45)【発行日】2024-10-25
(54)【発明の名称】量子ビットを形成するための接合製作方法
(51)【国際特許分類】
   H10N 60/01 20230101AFI20241018BHJP
【FI】
H10N60/01 J ZAA
【請求項の数】 25
(21)【出願番号】P 2022524178
(86)(22)【出願日】2020-11-10
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2023-01-18
(86)【国際出願番号】 EP2020081661
(87)【国際公開番号】W WO2021094321
(87)【国際公開日】2021-05-20
【審査請求日】2023-04-24
(31)【優先権主張番号】16/684,423
(32)【優先日】2019-11-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】390009531
【氏名又は名称】インターナショナル・ビジネス・マシーンズ・コーポレーション
【氏名又は名称原語表記】INTERNATIONAL BUSINESS MACHINES CORPORATION
【住所又は居所原語表記】New Orchard Road, Armonk, New York 10504, United States of America
(74)【代理人】
【識別番号】100112690
【弁理士】
【氏名又は名称】太佐 種一
(72)【発明者】
【氏名】アディガ、ヴィヴェカナンダ
(72)【発明者】
【氏名】ワイモア、ベンジャミン
(72)【発明者】
【氏名】フォーゲル、キース
(72)【発明者】
【氏名】サンドバーグ、マーティン
【審査官】脇水 佳弘
(56)【参考文献】
【文献】特開昭62-122288(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2018/0358537(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2019/0137891(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H10N 60/01
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
超伝導量子ビット用のジョセフソン接合を作製する方法であって、
第1のトレンチおよび第2のトレンチが画定された表面を有する下部構造を用意することであって、前記第1のトレンチが前記第2のトレンチに対して実質的に直角であり、前記第2のトレンチと交差し、前記下部構造が前記第1のトレンチと前記第2のトレンチとの交差点に隣接して前記第1のトレンチの上に延在するブリッジ構造を有する、部構造を用意することと、
前記第1のトレンチの中に、第1の超伝導材料を、第1の方向に沿った視射角で蒸着して、前記第1の方向から前記ブリッジ構造の下に延在するように堆積させることと、
前記第1のトレンチの中に、第2の超伝導材料を、前記第1の方向と実質的に反対の実質的に前記視射角で蒸着して、前記第1の方向と実質的に反対の前記視射角から前記ブリッジ構造の下に延在するように堆積させ、第1の超伝導リードを設けることと、
前記第1の超伝導材料および前記第2の超伝導材料を酸化させて、少なくとも前記第1のトレンチの中で前記第1の超伝導材料および前記第2の超伝導材料の上に酸化層を形成することと、
前記下部構造を回転させることなく、前記下部構造の内部の前記第2のトレンチの中に、第3の超伝導材料を、前記下部構造の前記表面に対して実質的に垂直な角度で蒸着して堆積させ、第2の超伝導リードを形成することと、
堆積された前記第1の超伝導材料、前記第2の超伝導材料および前記第3の超伝導材料の領域、ならびに前記酸化層をリフトオフして、前記第1のトレンチと前記第2のトレンチとの前記交差点において、第1の終端において前記第1の超伝導リードにより電気的に接続され、第2の終端において前記第2の超伝導リードにより電気的に接続された垂直のジョセフソン接合を残すことと
を含む方法。
【請求項2】
前記第1の超伝導材料、前記第2の超伝導材料および前記第3の超伝導材料が同一の超伝導材料である、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記下部構造を用意することが、
基板を用意することと、
前記基板の表面上に第4の超伝導材料を堆積させることと、
前記基板の前記表面から前記第4の超伝導材料の一部分を除去して、前記基板の前記表面の一部分を表出させることと、
前記第4の超伝導材料の上および前記基板の前記表面の前記表出された一部分の上に第1のレジスト層を堆積させることと、
前記第1のレジスト層上に第2のレジスト層を堆積させて、重層された第1のレジスト層および第2のレジスト層を形成することと
を含む、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
前記第4の超伝導材料が、前記第1の超伝導材料、前記第2の超伝導材料、または前記第3の超伝導材料と同一の超伝導材料である、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記下部構造を用意することが、
電子ビームまたは光学ビームのリソグラフィを適用して、前記重層された第1のレジスト層および第2のレジスト層の、第1の部分および第2の部分を露出させることをさらに含む、請求項1ないし4のいずれかに記載され、かつ請求項3の特徴を有する方法。
【請求項6】
前記下部構造を用意することが、
前記重層された第1のレジスト層および第2のレジスト層の前記露出した第1の部分を除去して、前記第1のトレンチを形成することと、
前記重層された第1のレジスト層および第2のレジスト層の前記露出した第2の部分を除去して、前記第2のトレンチを形成し、前記第2のレジスト層の残りの部分を有する前記第1のトレンチの上に、前記第2のトレンチに対して実質的に平行に延在する前記ブリッジ構造を形成することと
をさらに含む、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記第1のトレンチの中に、前記第1の超伝導材料を、前記第1の方向に沿った前記視射角で蒸着して堆積させることが、前記ブリッジ構造の下に前記第1の超伝導材料を堆積させることを含む、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記第1のトレンチの中に、前記第2の超伝導材料を、前記第1の方向と実質的に反対の実質的に前記視射角で蒸着して堆積させることが、前記第1の超伝導材料の前記蒸着中に、前記ブリッジ構造により陰になって前記第1の超伝導材料で満たされなかった領域に前記第2の超伝導材料を堆積させることを含む、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記基板が、シリコン(Si)、ゲルマニウム(Ge)、およびサファイアから成るグループから選択される、請求項1ないし8のいずれかに記載され、かつ請求項3の特徴を有する方法。
【請求項10】
前記第1、第2、第3、および第4の超伝導材料が、ニオブ(Nb)およびアルミニウム(Al)から成るグループから選択される、請求項1ないし9のいずれかに記載され、かつ請求項3の特徴を有する方法。
【請求項11】
前記基板の前記表面から前記超伝導材料の前記一部分を除去して、前記基板の前記表面の前記一部分を表出させることが、前記基板の前記表面の前記表出された一部分によって分離された前記第4の超伝導材料の4つのセクタおよび関連するバスを形成することを含む、請求項1ないし10のいずれかに記載され、かつ請求項3の特徴を有する方法。
【請求項12】
前記超伝導材料の上および前記基板の前記表面の前記表出された一部分の上に前記第1のレジスト層を堆積させることが、モノメチルメタクリレート(MMA)の層を堆積させることを含み、
前記第1のレジスト層上に前記第2のレジスト層を堆積させることが、ポリメタクリル酸メチル(PMMA)の層を堆積させることを含む、請求項1ないし11のいずれかに記載され、かつ請求項3の特徴を有する方法。
【請求項13】
前記視射角が前記下部構造の前記表面に対して約5度~85度である、請求項1ないし12のいずれかに記載の方法。
【請求項14】
基板を用意することと、
前記基板の表面上に、前記第1の超伝導材料を、前記第1の方向に沿った前記視射角で蒸着して堆積させることと、
前記基板の前記表面上に、前記第2の超伝導材料を、前記第1の方向と実質的に反対の実質的に前記視射角で蒸着して堆積させ、前記基板の前記表面の前記表出された一部分によって分離された前記第1および第2の超伝導材料の4つのセクタならびに関連するバスを形成することと
をさらに含む、請求項1ないし13のいずれかに記載され、かつ請求項3の特徴を有する方法。
【請求項15】
超伝導量子ビットを作製する方法であって、
第1のトレンチおよび第2のトレンチが画定された表面を有する下部構造を用意することであって、前記第1のトレンチが前記第2のトレンチに対して実質的に直角であり、前記第2のトレンチと交差し、前記下部構造が、前記第1のトレンチの上に延在するブリッジ構造を有する、部構造を用意することと、
前記第1のトレンチの中に、第1の超伝導材料を、第1の方向に沿った視射角で蒸着して、前記第1の方向から前記ブリッジ構造の下に延在するように堆積させることと、
前記第1のトレンチの中に、第2の超伝導材料を、前記第1の方向と実質的に反対の実質的に前記視射角で蒸着して、前記第1の方向と実質的に反対の前記視射角から前記ブリッジ構造の下に延在するように堆積させ、第1の超伝導リードを設けることと、
前記第1の超伝導材料および前記第2の超伝導材料を酸化させて、少なくとも前記第1のトレンチの中で前記第1の超伝導材料および前記第2の超伝導材料の上に酸化層を形成することと、
前記下部構造を回転させることなく、前記下部構造の内部の前記第2のトレンチの中に、第3の超伝導材料を、前記下部構造の前記表面に対して実質的に垂直な角度で蒸着して堆積させ、第2の超伝導リードを形成することと、
堆積された前記第1の超伝導材料、前記第2の超伝導材料および前記第3の超伝導材料の領域、ならびに前記酸化層をリフトオフして、前記第1のトレンチと前記第2のトレンチとの交差点において、第1の終端において前記第1の超伝導リードにより電気的に接続され、第2の終端において前記第2の超伝導リードにより電気的に接続された垂直のジョセフソン接合を残すことと
を含む方法
【請求項16】
前記第1の超伝導材料、前記第2の超伝導材料および前記第3の超伝導材料が同一の超伝導材料である、請求項15に記載の方法
【請求項17】
前記下部構造を用意することが、
基板を用意することと、
前記基板の表面上に第4の超伝導材料を堆積させることと、
前記基板の前記表面から前記第4の超伝導材料の一部分を除去して、前記基板の前記表面の一部分を表出させることと、
前記第4の超伝導材料の上および前記基板の前記表面の前記表出された一部分の上に第1のレジスト層を堆積させることと、
前記第1のレジスト層上に第2のレジスト層を堆積させて、重層された第1のレジスト層および第2のレジスト層を形成することと
を含む、請求項15または16に記載の方法
【請求項18】
前記第4の超伝導材料が、前記第1の超伝導材料、前記第2の超伝導材料、または前記第3の超伝導材料と同一の超伝導材料である、求項17に記載の方法
【請求項19】
前記下部構造を用意することが、
粒子ビームまたは光学ビームのリソグラフィを適用して、前記重層された第1のレジスト層および第2のレジスト層の第1の部分を露出させ、前記重層された第1のレジスト層および第2のレジスト層の第2の部分を露出させることをさらに含む、請求項15ないし18のいずれかに記載され、かつ請求項17の特徴を有する方法
【請求項20】
前記下部構造を用意することが、
前記重層された第1のレジスト層および第2のレジスト層の前記露出した第1の部分を除去して、前記第1のトレンチを形成することと、
前記重層された第1のレジスト層および第2のレジスト層の前記露出した第2の部分を除去して、前記第2のトレンチと、前記第2のレジスト層の残りの部分を有する前記第1のトレンチの上に、前記第2のトレンチに対して実質的に平行に延在するブリッジ構造とを形成することと
をさらに含む、請求項19に記載の方法
【請求項21】
前記第1のトレンチの中に、前記第1の超伝導材料を、前記第1の方向に沿った前記視射角で蒸着して堆積させることが、前記ブリッジ構造の下に前記第1の超伝導材料を堆積させることを含む、請求項20に記載の方法
【請求項22】
前記第1のトレンチの中に、前記第2の超伝導材料を、前記第1の方向と実質的に反対の実質的に前記視射角で蒸着して堆積させることが、前記第1の超伝導材料の前記蒸着中に、前記ブリッジ構造により陰になって前記第1の超伝導材料で満たされなかった領域に前記第2の超伝導材料を堆積させることを含む、請求項21に記載の方法
【請求項23】
前記基板が、シリコン(Si)、ゲルマニウム(Ge)、およびサファイアから成るグループから選択される、請求項15ないし22のいずれかに記載され、かつ請求項17の特徴を有する方法
【請求項24】
前記第1、第2、第3、および第4の超伝導材料が、ニオブ(Nb)およびアルミニウム(Al)から成るグループから選択される、請求項15ないし23のいずれかに記載され、かつ請求項17の特徴を有する方法
【請求項25】
前記下部構造を用意することが、
基板を用意することと、
前記基板の表面上に第4の超伝導材料を堆積させることと、
前記基板の前記表面から前記第4の超伝導材料の一部分を除去して、前記基板の前記表面の一部分を表出させ、該表出された一部分によって分離された前記第4の超伝導材料の4つのセクタおよび関連するバスを形成すること
を含
前記ジョセフソン接合は、前記第1の超伝導リードおよび前記第2の超伝導リードにより、前記4つのセクタのそれぞれに接続される、
請求項15ないし24のいずれかに記載された方法
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
ここにおいて特許請求する本発明の実施形態は超伝導量子ビットに関し、より具体的には、超伝導量子ビットを作製する方法およびこの方法を使用して作製された量子ビットに関する。
【背景技術】
【0002】
量子計算は、量子のビット(本明細書の全体にわたって量子ビットと呼ばれる)の信頼できる制御に基づくものである。量子アルゴリズムを実現するために必要な基本的動作には、1量子ビットの動作と、2つの個別の量子のビット間の相関を確立する2量子ビットの動作とのセットがある。忠実度の高い2量子ビットの動作を実現するには、量子計算の誤差閾値と、確実な量子シミュレーションとの両方に到達するのが望ましいものであり得る。
【0003】
超伝導量子プロセッサ(1つまたは複数の超伝導量子ビットを有する)は、絶縁基板(たとえばSiまたは高抵抗率Si、Alなど)上に超伝導金属(たとえばAl、Nbなど)を含む。超伝導量子プロセッサは、一般的には、様々な格子対称性(たとえば四角、六角など)のカプラによって連結された個々の量子ビットの平坦な2次元格子構造およびフリップチップ上に置かれた読出し構造である。カプラは、キャパシタ、共振器、コイル、または量子ビット間を結合する任意のマイクロ波成分で作製され得る。
【0004】
超伝導量子ビットを製作する従来手法は、DolanまたはManhattanの方法を使用してブリッジを形成する標準的なジョセフソン接合製作に基づくものである。上記の方法は、超伝導材料の堆積中に量子ビットを支持する基板を回転させることを含む多くのステップを必要とする。
【発明の概要】
【0005】
本発明の一態様は、超伝導量子ビット用のジョセフソン接合を作製する方法を提供することである。この方法は、第1のトレンチおよび第2のトレンチが画定された表面を有する下部構造を用意することを含み、第1のトレンチは第2のトレンチに対して実質的に直角であり、第2のトレンチと交差し、下部構造は、第1のトレンチと第2のトレンチとの交差点に隣接して第1のトレンチの上に延在するブリッジ構造を有する。この方法は、第1のトレンチの中に、第1の超伝導材料を、第1の方向に沿った視射角で蒸着して、第1の方向からブリッジ構造の下に延在するように堆積させることをさらに含む。この方法は、第1のトレンチの中に、第2の超伝導材料を、第1の方向と実質的に反対の実質的に視射角で蒸着して、第1の方向と実質的に反対の視射角からブリッジ構造の下に延在するように堆積させ、第1の超伝導リードを設けることも含む。この方法は、第1の超伝導材料および第2の超伝導材料を酸化させて、少なくとも第1のトレンチの中で第1の超伝導材料および第2の超伝導材料の上に酸化層を形成することと、下部構造を回転させることなく、下部構造の内部の第2のトレンチの中に、第3の超伝導材料を、下部構造の表面に対して実質的に垂直な角度で蒸着して堆積させ、第2の超伝導リードを形成することとをさらに含む。この方法は、堆積された第1の超伝導材料、第2の超伝導材料および第3の超伝導材料の領域、ならびに酸化物層をリフトオフして、第1のトレンチと第2のトレンチとの交差点において、第1の終端において第1の超伝導リードにより電気的に接続され、第2の終端において第2の超伝導リードにより電気的に接続された垂直のジョセフソン接合を残すことも含む。
【0006】
本発明の別の態様は超伝導量子ビットを提供することである。超伝導量子ビットは、1)第1のトレンチおよび第2のトレンチが画定された表面を有する下部構造を用意することであって、第1のトレンチが第2のトレンチに対して実質的に直角であり、第2のトレンチと交差し、下部構造が、第1のトレンチの上に延在するブリッジ構造を有する、下部構造を用意することと、2)第1のトレンチの中に、第1の超伝導材料を、第1の方向に沿った視射角で蒸着して、第1の方向からブリッジ構造の下に延在するように堆積させることと、3)第1のトレンチの中に、第2の超伝導材料を、第1の方向と実質的に反対の実質的に視射角で蒸着して、第1の方向と実質的に反対の視射角からブリッジ構造の下に延在するように堆積させ、第1の超伝導リードを設けることと、4)第1の超伝導材料および第2の超伝導材料を酸化させて、少なくとも第1のトレンチの中で第1の超伝導材料および第2の超伝導材料の上に酸化層を形成することと、5)下部構造を回転させることなく、下部構造の内部の第2のトレンチの中に、第3の超伝導材料を、下部構造の表面に対して実質的に垂直な角度で蒸着して堆積させ、第2の超伝導リードを形成することと、6)堆積された第1の超伝導材料、第2の超伝導材料および第3の超伝導材料の領域、ならびに酸化物層をリフトオフして、第1のトレンチと第2のトレンチとの交差点において、第1の終端において第1の超伝導リードにより電気的に接続され、第2の終端において第2の超伝導リードにより電気的に接続された垂直のジョセフソン接合を残すことと、によって作製される。
【0007】
本開示、ならびに構造の関連する要素の使い方および機能、および製造の部品と経済性との組合せは、添付図面を参照しながら以下の説明および添付の特許請求の範囲を検討すればより明らかになるはずであり、これらのすべてが本明細書の一部を形成し、類似の参照数字は様々な図における対応部位を示す。しかしながら、図面は例証および説明のみを目的としており、本発明の制限の定義を意図するものではないことを、明確に理解されたい。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1A】本発明の一実施形態による、超伝導材料を堆積された基板の概略側面図である。
図1B】本発明の一実施形態による、超伝導材料を堆積された基板の概略上面図である。
図2A】本発明の一実施形態による、超伝導材料および犠牲レジスト層を堆積された基板の概略上面図である。
図2B】本発明の一実施形態による、超伝導材料および犠牲レジスト層を堆積された基板の、図2Aに示された点線2B-2Bに沿った概略断面図である。
図3A】本発明の一実施形態による、超伝導材料および犠牲レジスト層を堆積されて、犠牲レジスト層の内部にトレンチを形成された基板の概略上面図である。
図3B】本発明の一実施形態による、超伝導材料および犠牲レジスト層を堆積されて、犠牲レジスト層の内部にトレンチを形成された基板の、図3Aに示された点線3B-3Bに沿った概略断面図である。
図4A】本発明の一実施形態による、超伝導材料および犠牲レジスト層を堆積されて、犠牲レジスト層の内部にトレンチを形成された基板の概略上面図である。
図4B】本発明の一実施形態による、超伝導材料および犠牲レジスト層を堆積されて、犠牲レジスト層の内部にトレンチを形成された基板の、図4Aに示された点線4B-4Bに沿った概略断面図である。
図5A】本発明の一実施形態による、超伝導材料および犠牲レジスト層を堆積されて、犠牲レジスト層の内部にトレンチおよびブリッジを形成された基板の概略上面図である。
図5B】本発明の一実施形態による、超伝導材料および犠牲レジスト層を堆積されて、犠牲レジスト層の内部にトレンチおよびブリッジを形成された基板の、図5Aに示された点線5B-5Bに沿った概略断面図である。
図6A】本発明の一実施形態による、超伝導材料および犠牲レジスト層を堆積されて、犠牲レジスト層の内部にトレンチおよびブリッジを形成された基板の概略上面図である。
図6B】本発明の一実施形態による、超伝導材料および犠牲レジスト層を堆積されて、犠牲レジスト層の内部にトレンチおよびブリッジを形成された基板の、図6Aに示された点線6B-6Bに沿った概略断面図である。
図7A】本発明の一実施形態による、超伝導材料および犠牲レジスト層を堆積されて、犠牲レジスト層の内部にトレンチおよびブリッジを形成された基板の概略上面図である。
図7B】本発明の一実施形態による、超伝導材料および犠牲レジスト層を堆積されて、犠牲レジスト層の内部にトレンチおよびブリッジを形成され、第1のトレンチに沿って超伝導材料を蒸着された基板の、図7Aに示された点線7B-7Bに沿った概略断面図である。
図8A】本発明の一実施形態による、超伝導材料および犠牲レジスト層を堆積されて、犠牲レジスト層の内部にトレンチおよびブリッジを形成され、犠牲レジスト層の上に超伝導材料を堆積された基板の、概略上面図である。
図8B】本発明の一実施形態による、超伝導材料および犠牲レジスト層を堆積されて、犠牲レジスト層の内部にトレンチおよびブリッジを形成され、第1のトレンチに沿って超伝導材料を蒸着された基板の、図8Aに示された点線8B-8Bに沿った概略断面図である。
図9A】本発明の一実施形態による、超伝導材料および犠牲レジスト層を堆積されて、犠牲レジスト層の内部にトレンチおよびブリッジを形成され、犠牲レジスト層の上に第1および第2の蒸着を用いて超伝導材料を堆積された基板の、概略上面図である。
図9B】本発明の一実施形態による、超伝導材料および犠牲レジスト層を堆積されて、犠牲レジスト層の内部にトレンチおよびブリッジを形成され、第2のトレンチに沿って超伝導材料を蒸着された基板の、図9Aに示された点線9B-9Bに沿った概略断面図である。
図10A】本発明の一実施形態による、超伝導材料および犠牲レジスト層を堆積されて、第1のトレンチおよび第2のトレンチの中に超伝導材料を堆積された基板の概略上面図である。
図10B】本発明の一実施形態による、超伝導材料および犠牲レジスト層を堆積されて、犠牲レジスト層の内部にトレンチおよびブリッジを形成され、第2のトレンチに沿って超伝導材料を蒸着された基板の、図10Aに示された点線10B-10Bに沿った概略断面図である。
図11A】本発明の一実施形態による、前述の方法によって形成された量子ビット素子の概略上面図である。
図11B】本発明の一実施形態による、図11Aに示された点線11B-11Bに沿った、形成された量子ビット素子の概略断面図である。
図11C】本発明の一実施形態による、図11Aに示された点線11C-11Cに沿った、形成された量子ビット素子の概略断面図である。
図12A】本発明の一実施形態による、前述の方法を使用して形成された量子ビット素子を示す、走査顕微鏡(SEM)のズームイン画像である。
図12B】本発明の一実施形態による、前述の方法を使用して形成された量子ビット素子を示す、走査顕微鏡(SEM)のズームアウト画像である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
一実施形態では、本明細書において、超伝導量子ビット用のジョセフソン接合を作製する方法が提供される。一実施形態では、この方法は、基板および超伝導材料を含む下部構造を用意することを含む。図1Aは、本発明の一実施形態による、超伝導材料を堆積された基板の概略側面図である。一実施形態では、下部構造を用意することは、基板100を用意して、基板100の表面(たとえば頂面)100Aに超伝導材料102を堆積させることを含む。
【0010】
一実施形態では、基板100は、シリコン(Si)、ゲルマニウム(Ge)およびサファイアを含むが、これらに限定されない任意の不導体材料であり得る。一実施形態では、超伝導材料102は、ニオブ(Nb)、アルミニウム(Al)などを含むが、これらに限定されない任意の超伝導材料であり得る。
【0011】
図1Bは、本発明の一実施形態による、超伝導材料を堆積された基板の概略上面図である。一実施形態では、下部構造を用意することは、基板100の表面100Aから超伝導材料102の一部分102Aを除去して基板の表面100Aの一部分100Bを表出させることを含む。図1Bは、超伝導材料102の一部分102Aが既に除去された様子を示す。一実施形態では、基板100の表面100Aから超伝導材料102の一部分102Aを除去して基板100の表面100Aの一部分100Bを表出させることは、超伝導材料102および関連するバス106の複数(たとえば4つ)のセクタ104を形成することを含む。複数(たとえば4つ)のセクタ104は、基板100の表面100Aの表出された一部分100Bによって分離されている。複数のセクタ104は、以下の段落で詳細に説明されるように、ジョセフソン接合に結合するための結合パッドを画定する。バスまたは共振器106は、複数のセクタ104に結合して、ジョセフソン接合との間でマイクロ波エネルギを伝送するように構成されている。複数のセクタ104の各々と対応するバスまたは共振器106との間に形成されたギャップ105が、結合キャパシタを画定する。本明細書では、複数のセクタ104は、「扇形」の形状で示されているが、セクタまたはパッド104は「扇形」の形状に限定されず、任意の多角形(三角形、正方形、長方形、五角形、六角形など)の形状または丸い(半円、円板などの)形状など、任意の他の形状であり得ることは理解する必要がある。
【0012】
図2Aは、本発明の一実施形態による、超伝導材料および犠牲レジスト層を堆積された基板の概略上面図である。図2Bは、本発明の一実施形態による、超伝導材料および犠牲レジスト層を堆積された基板の、図2Aに示された点線2B-2Bに沿った概略断面図である。一実施形態では、下部構造を用意することは、基板100の表面100Aから超伝導材料102の一部分102Aを除去して基板100の表面100Aの一部分100Bを表出させることに続いて、超伝導材料102上と、基板100の表面100Aの表出された一部分100B上とに、第1のレジスト層202を堆積させることを含む。一実施形態では、下部構造を用意することは、第1のレジスト層202上に第2のレジスト層204を堆積させて、重層された第1のレジスト層および第2のレジスト層を形成することを含む。
【0013】
一実施形態では、第1のレジスト層202はたとえばモノメチルメタクリレート(MMA)の層であり得、第2のレジスト層204はたとえばポリメタクリル酸メチル(PMMA)の層であり得る。一実施形態では、以下の段落でより詳細に説明されるように、犠牲レジスト層202と204とのこのセットは、第1のレジスト層202(たとえばMMA)が第2のレジスト層204(たとえばPMMA)よりも速くエッチングされるように選択される。
【0014】
図3Aは、本発明の一実施形態による、超伝導材料および犠牲レジスト層を堆積されて、犠牲レジスト層の内部にトレンチを形成された基板の概略上面図である。図3Bは、本発明の一実施形態による、超伝導材料および犠牲レジスト層を堆積されて、犠牲レジスト層の内部にトレンチを形成された基板の、図3Aに示された点線3B-3Bに沿った概略断面図である。図4Aは、本発明の一実施形態による、超伝導材料および犠牲レジスト層を堆積されて、犠牲レジスト層の内部にトレンチを形成された基板の概略上面図である。図4Bは、本発明の一実施形態による、超伝導材料および犠牲レジスト層を堆積されて、犠牲レジスト層の内部にトレンチを形成された基板の、図4Aに示された点線4B-4Bに沿った概略断面図である。
【0015】
一実施形態では、下部構造を用意することは、犠牲レジスト層202および204を堆積させることに続いて、電子ビームまたは光学ビームのリソグラフィを適用して、図3Aおよび図4Aに示されるように、重層された第1のレジスト層202および第2のレジスト層204の第1の部分302を露出し、重層された第1のレジスト層202および第2のレジスト層204の第2の部分304を露出することをさらに含む。
【0016】
一実施形態では、下部構造を用意することは、電子ビームまたは光学ビームのリソグラフィを適用することに続いて、重層された第1のレジスト層202および第2のレジスト層204の露出した第1の部分302を除去して第1のトレンチ306(図3Bに示される)を形成することと、重層された第1のレジスト層202および第2のレジスト層204の露出した第2の部分304を除去して第2のトレンチ308(図4Bに示される)を形成することとをさらに含む。図3Bに示されるように、露出した第1の部分302から第1のレジスト層202が除去されて第1のトレンチ306を画定する。図4Bに示されるように、露出した第2の部分304から第2のレジスト層204も除去されて第2のトレンチ308を画定する。一実施形態では、第1のトレンチ306と第2のトレンチ308とは、互いに対して実質的に直角である。第1のトレンチ306は、第2のトレンチ308に対して実質的に直角であり、第2のトレンチ308と交差する。
【0017】
加えて、図4Bに示されるように、露出した第2の部分304から第2のレジスト層204も除去されて第2のトレンチ308を画定する。しかしながら、図3Bに示されるように、露出した第1の部分302から第2のレジスト層204が除去され、第1のトレンチ306と第2のトレンチ308との交差点の近くを除いて第1のトレンチ306を形成し、第1のトレンチ306の上に延在する、第2のレジスト層204の残りの部分とのブリッジ構造402を形成する。一実施形態では、ブリッジ構造402は、第2のトレンチ308に対して実質的に平行である。
【0018】
ブリッジ402が含む第2のレジスト層204の2つのストリップ402A、402Bは、図3A図3B図4Aおよび図4Bに示されるように、どちらも第1のトレンチ306を横断し、第2のトレンチ308に対して実質的に平行であって、それぞれ第2のトレンチ308の片側を形成する。一実施形態では、ブリッジ402のこれら2つのストリップ402Aおよび402Bが形成される理由は、これら2つのストリップ402Aおよび402Bの下の第1のレジスト層202(たとえばMMA)が第2のレジスト層204(たとえばPMMA)よりも速くエッチングされるためである。
【0019】
図5Aは、本発明の一実施形態による、超伝導材料および犠牲レジスト層を堆積されて、犠牲レジスト層の内部にトレンチおよびブリッジを形成された基板の概略上面図である。図5Bは、本発明の一実施形態による、超伝導材料および犠牲レジスト層を堆積されて、犠牲レジスト層の内部にトレンチおよびブリッジを形成された基板の、図5Aに示された点線5B-5Bに沿った概略断面図である。たとえば図5Bに示されるように、第2のレジスト層204に形成されたブリッジ構造402のストリップ402Bは、第1のトレンチ306の上に延在する。
【0020】
図6Aは、本発明の一実施形態による、超伝導材料および犠牲レジスト層を堆積されて、犠牲レジスト層の内部にトレンチおよびブリッジを形成された基板の概略上面図である。図6Bは、本発明の一実施形態による、超伝導材料および犠牲レジスト層を堆積されて、犠牲レジスト層の内部にトレンチおよびブリッジを形成された基板の、図6Aに示された点線6B-6Bに沿った概略断面図である。図6Bに示されるように、ライン6B-6Bに沿った断面において、第1のレジスト層202および第2のレジスト層204はどちらも、下部構造または基板100のこの領域ではエッチングされず、または除去されない。したがって、ブリッジ構造402(ストリップ402Aおよび402Bを含む)は、第2のトレンチ308の近くにのみ、これと平行に形成されて、第1のトレンチ306を横断する。
【0021】
その結果、図3A図4A図5Aおよび図6Aの上面図ならびに図3B図4B図5Bおよび図6Bにおける様々な断面図に示される、用意された下部構造500は、基板100、超伝導材料102、レジスト層202および204、トレンチ306および308、ならびにブリッジ構造402を含む。たとえば図6Aに示されるように、下部構造500の表面502には、第1のトレンチ306および第2のトレンチ308が画定されている。第1のトレンチ306は、第2のトレンチ308に対して実質的に直角であり、第2のトレンチ308と交差する。下部構造500が有するブリッジ構造402は、第1のトレンチ306と第2のトレンチ308との交差点に隣接して第1のトレンチ306の上に延在する。
【0022】
図7Aは、本発明の一実施形態による、超伝導材料および犠牲レジスト層を堆積されて、犠牲レジスト層の内部にトレンチおよびブリッジを形成された基板の概略上面図である。図7Bは、本発明の一実施形態による、超伝導材料および犠牲レジスト層を堆積されて、犠牲レジスト層の内部にトレンチおよびブリッジを形成され、第1のトレンチに沿って超伝導材料を蒸着された基板の、図7Aに示された点線7B-7Bに沿った概略断面図である。
【0023】
図7Aおよび図7Bに表されるように、超伝導量子ビット用のジョセフソン接合を作製する方法は、第1のトレンチ306の中に、超伝導材料700を、第1の方向702からブリッジ構造402の下に(ブリッジ構造402のストリップ402Aとストリップ402Bの両方の下に)延在するように、第1の方向702に沿った視射角で蒸着して(第1の蒸着)堆積させることをさらに含む。図7Aおよび図7Bに表されるように、超伝導量子ビット用のジョセフソン接合を作製する方法は、第1の超伝導リード710を設けるために、第1のトレンチ306の中に、超伝導材料701を、第1の方向702と実質的に反対の角度からブリッジ構造402の下に(ブリッジ構造402のストリップ402Aとストリップ402Bの両方の下に)延在するように、第1の方向702と実質的に反対の方向704の実質的に視射角で蒸着して(第2の蒸着)堆積させることをさらに含む。
【0024】
一実施形態では、第1のトレンチ306の中に、超伝導材料700を、第1の方向702に沿った視射角で蒸着して堆積させることは、ブリッジ構造402の下に超伝導材料700を堆積させることを含む。一実施形態では、第1のトレンチ306の中に、超伝導材料701を、第1の方向702と実質的に反対の方向704の実質的に視射角で蒸着して堆積させることは、超伝導材料700の蒸着中に、ブリッジ構造402により陰になって、超伝導材料700によって満たされなかった、または完全には満たされなかった領域(図示せず)に超伝導材料701を堆積させることを含む。
【0025】
一実施形態では、視射角は、下部構造500の表面502に対して約5度~85度の任意の角度であり得る。一実施形態では、視射角は55度~65度である。さらなる実施形態では、視射角は約45度である。一実施形態では、視射角は、使用されるレジスト層202および204の材料のタイプに依拠して、ブリッジ402のサイズ(すなわちストリップ402Aのサイズおよびストリップ402Bのサイズ)、第1のトレンチ306のサイズ(たとえば幅)、またはレジスト層202および204の厚さもしくは奥行き、あるいはその組合せに依拠して、選択される。
【0026】
図8Aは、本発明の一実施形態による、超伝導材料および犠牲レジスト層を堆積されて、犠牲レジスト層の内部にトレンチおよびブリッジを形成され、犠牲レジスト層の上に超伝導材料を堆積された基板の、概略上面図である。図8Bは、本発明の一実施形態による、超伝導材料および犠牲レジスト層を堆積されて、犠牲レジスト層の内部にトレンチおよびブリッジを形成され、第1のトレンチに沿って超伝導材料を蒸着された基板の、図8Aに示された点線8B-8Bに沿った概略断面図である。ライン8B-8Bおよび第2のトレンチ308に沿った断面を示す図8Bに表されるように、超伝導材料700、701は、超伝導材料102上およびレジスト層202および204のスタック上に堆積される。しかしながら、図8Bに示されるように、超伝導材料700、701は第2のトレンチ308には実質的に堆積されない。実際、超伝導材料700、701は、図7Aに示されるように、2つの反対方向の視射角で蒸着され、ブリッジ構造402(2つのストリップ402Aおよび402Bを含む)が、超伝導材料700、701が第2のトレンチ308の中に堆積するのを妨げる。しかしながら、第2のトレンチ308に沿った断面を示す図8Bは、第1および第2の蒸着中に堆積された超伝導材料700、701の一部分309も示す。超伝導材料700および701の一部分309は、第2のトレンチ308の幅に相当する、ブリッジ402のストリップ402Aと402Bとの間に間隔があることにより堆積される。ブリッジ402のストリップ402Aおよび402Bのために、一部分309の両側にギャップ311が存在する。
【0027】
上記で説明され、図9Aにさらに示されるように、この方法は、上記の視射角で第1および第2の蒸着を実行することによって超伝導材料700、701を堆積させた後に、図9Bに示されるように、超伝導材料700、701を酸化させて、少なくとも第1のトレンチ306の中で、超伝導材料700、701上に、酸化した層または酸化物層800を形成することを含む。
【0028】
図9Aは、本発明の一実施形態による、超伝導材料および犠牲レジスト層を堆積されて、犠牲レジスト層の内部にトレンチおよびブリッジを形成され、犠牲レジスト層の上に第1および第2の蒸着を用いて超伝導材料を堆積された基板の、概略上面図である。図9Bは、本発明の一実施形態による、超伝導材料および犠牲レジスト層を堆積されて、犠牲レジスト層の内部にトレンチおよびブリッジを形成され、第2のトレンチに沿って超伝導材料を蒸着された基板の、図9Aに示された点線9B-9Bに沿った概略断面図である。
【0029】
図9Bに示されるように、超伝導材料700、701上に酸化物層800を形成するための、超伝導材料700、701の酸化中に、図9Bに示されるように、少なくとも第1のトレンチ306の中で、超伝導材料700、701上に、超伝導材料800の酸化物の層が形成される。図9Bに示されるように、第1のトレンチ306を含めて、超伝導材料700、701が存在するところならどこにでも酸化物層800が形成される。酸化物層800は、第2のトレンチ308の中央にある超伝導材料700、701の一部分309の上にも形成される。
【0030】
図9Bにさらに示されるように、この方法は、酸化物層800の形成に続いて、下部構造500の内部の第2のトレンチ308の中に、超伝導材料900を、下部構造500の表面502に対して実質的に垂直な角度で蒸着して堆積させること(第3の蒸着)を含む。超伝導材料900の蒸着は、下部構造500を回転させることなく実行される。図9Bに示されるように、第1のトレンチ306の中には超伝導材料900の層も堆積され、それにより、超伝導材料700、701と超伝導層900との間に酸化物層800をはさむ。したがって、第1のトレンチ306の中央には、超伝導材料層700、701、酸化物層800、および超伝導材料層900のスタックが設けられる。
【0031】
図9Bに示されるように、第1のレジスト層202の厚さは、(第3の蒸着中に堆積された)超伝導材料900と第2のレジスト層との間にギャップ「G」が設けられてブリッジ構造402を形成するように選択される。
【0032】
図10Aは、本発明の一実施形態による、超伝導材料および犠牲レジスト層を堆積されて、第1のトレンチおよび第2のトレンチの中に超伝導材料を堆積された基板の概略上面図である。図10Bは、本発明の一実施形態による、超伝導材料および犠牲レジスト層を堆積されて、犠牲レジスト層の内部にトレンチおよびブリッジを形成され、第2のトレンチに沿って超伝導材料を蒸着された基板の、図10Aに示された点線10B-10Bに沿った概略断面図である。
【0033】
図10Bに示されるように、下部構造500の表面502に対して実質的に垂直な角度で超伝導材料900を蒸着して(第3の蒸着)、下部構造500の内部の第2のトレンチ308の中に超伝導材料900を堆積させる。超伝導材料900を蒸着して、図10Bに示されるように第2の超伝導リード910を形成する。第3の蒸着中に、超伝導材料は、超伝導材料700、701の一部分309上の酸化物層の上にも堆積される。加えて、図10Bに示されるように、超伝導材料900は、第1および第2の蒸着中に生成された、一部分309の両側のギャップ311も満たす(図8Bに示される)。したがって、第2のトレンチ308の中央には、超伝導体層700、701、酸化物層800、および超伝導体材料層900のスタックが設けられる。
【0034】
超伝導量子ビット用のジョセフソン接合を作製する方法は、堆積された超伝導材料700、701および900、ならびに酸化物層800の領域をリフトオフして、第1のトレンチ306と第2のトレンチ308との交差点において、第1の終端において第1の超伝導リード710により電気的に接続され、第2の終端において第2の超伝導リード910により電気的に接続された垂直のジョセフソン接合を残すことをさらに含む。
【0035】
一実施形態では、超伝導材料102、700、701および900は同一の超伝導材料または異なる超伝導材料であり得る。たとえば、超伝導材料102はニオブであり得、超伝導材料700、701および900はアルミニウムまたは他の超伝導材料であり得る。加えて、超伝導材料700、701および900は、別の超伝導材料でもあり得る。加えて、超伝導材料102は、超伝導材料700、超伝導材料701または超伝導材料900と同一の超伝導材料であり得る。
【0036】
図11Aは、本発明の一実施形態による、前述の方法によって形成された量子ビット素子の概略上面図である。量子ビット素子が含む複数のセクタ104は、超伝導材料102で形成され、第1のトレンチ306は、とりわけ第1のリード710を形成する超伝導材料700、101、および900で満たされ、第2のトレンチ308は、とりわけ第2のリード910を形成する超伝導材料700、101、および900で満たされる。
【0037】
図11Bは、本発明の一実施形態による、図11Aに示された点線11B-11Bに沿った、形成された量子ビット素子の概略断面図である。図11Cは、本発明の一実施形態による、図11Aに示された点線11C-11Cに沿った、形成された量子ビット素子の概略断面図である。図11Bおよび図11Cに示されるように、ジョセフソン接合「JJ」は、超伝導材料層700、701と、酸化物層800と、超伝導材料層900とのスタックによって、垂直に形成されている。ジョセフソン接合JJは、第1のトレンチ306に沿った第1のリード線710によって2つのセクタ104の超伝導材料102に接続されており、第2のリード線910によって2つの他のセクタ104の超伝導材料102に接続されている。
【0038】
図12Aは、本発明の一実施形態による、前述の方法を使用して形成された量子ビット素子を示す、走査顕微鏡(SEM)のズームイン画像である。超伝導材料700、701を堆積させるために使用された第1および第2の蒸着と、超伝導材料900を堆積させるために使用された第3の蒸着とが、SEM画像の矢印によって指示されている。文字「JJ」によって参照される画像中央のフィーチャが、ジョセフソン接合に相当する。ジョセフソン接合は、超伝導材料層700、701と、酸化物層800と、超伝導材料層900とのスタックを含む。
【0039】
図12Bは、本発明の一実施形態による、前述の方法を使用して形成された量子ビット素子を示す、走査顕微鏡(SEM)のズームアウト画像である。図12Bに示されるように、ジョセフソン接合(JJ)は、第1のリード線710に接続され、第1のリード線710によって第1の対のセクタ(四分区間すなわちパッド)104に接続されている。ジョセフソン接合(JJ)は、第2のリード線910にも接続され、第2のリード線910によって第2の対のセクタ(四分区間すなわちパッド)104に接続されている。
【0040】
上記の段落では、本発明のいくつかの実施形態により、セクタ(四分区間すなわちパッド)104は、基板100上に超伝導材料102を堆積させることによって別個に作製されることが説明されている。しかしながら、本発明の別の実施形態によれば、超伝導材料700および701を堆積させるとき、すなわち第1および第2の蒸着中に、セクタ(四分区間すなわちパッド)104と関連するバス106とは同時に作製され得る。この場合、この方法は、超伝導材料700を、第1の方向に沿った視射角で基板100の表面100Aに蒸着して堆積させることと、超伝導材料701を、第1の方向と実質的に反対の実質的に視射角で基板100の表面100A上に蒸着して堆積させ、4つのセクタ104および関連するバス106を形成することとを含む。4つのセクタすなわちパッド104は、基板100の表面102Aの表出された一部分102Bによって分離されている。
【0041】
上記の段落から理解され得るように、超伝導量子ビット素子も提供され、超伝導量子ビットは上記の方法によって作製さる。超伝導量子ビット素子用のジョセフソン接合(JJ)を形成する前述の方法により、たとえば基板または下部構造を回転させることを省いて、代わりに基板または下部構造の表面に対して垂直に第3の蒸着を実行して超伝導層900を堆積させると、量子ビット素子を製造するためのステップ数を減らすことができる。加えて、ジョセフソン接合の製作中にリードも同時に作製され、接触がより優れたものになり、低インダクタンス線路をもたらす。その上、本発明のいくつかの実施形態による方法によれば、より優れた接続のために望ましくない陰影を実質的に解消することができ、したがって、ジョセフソン接合との間のマイクロ波エネルギの伝送がより優れたものになる。
【0042】
本発明の様々な実施形態の説明が例証のために提示されてきたが、網羅的であることや、開示された実施形態に限定されることを意図するものではない。当業者には、多くの修正形態および変形形態が、説明された実施形態の範囲および思想から逸脱することなく明らかになるはずである。本明細書で使用される用語は、実施形態の原理、実用的な用途、もしくは市場に見られる技術に対する技術的な改善について最もよく説明するように、または他の当業者が本明細書で開示された実施形態を理解することを可能にするように、選択されたものである。
図1A
図1B
図2A
図2B
図3A
図3B
図4A
図4B
図5A
図5B
図6A
図6B
図7A
図7B
図8A
図8B
図9A
図9B
図10A
図10B
図11A
図11B
図11C
図12A
図12B