(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-17
(45)【発行日】2024-10-25
(54)【発明の名称】組み合わせ薬剤送達装置における直列接続された複数の薬剤モジュールに問い合わせるためのシステム
(51)【国際特許分類】
A61J 1/20 20060101AFI20241018BHJP
【FI】
A61J1/20 314B
(21)【出願番号】P 2022526141
(86)(22)【出願日】2020-11-02
(86)【国際出願番号】 US2020058507
(87)【国際公開番号】W WO2021091814
(87)【国際公開日】2021-05-14
【審査請求日】2023-10-23
(32)【優先日】2019-11-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】391015708
【氏名又は名称】ブリストル-マイヤーズ スクイブ カンパニー
【氏名又は名称原語表記】BRISTOL-MYERS SQUIBB COMPANY
(74)【代理人】
【識別番号】100145403
【氏名又は名称】山尾 憲人
(74)【代理人】
【識別番号】100132241
【氏名又は名称】岡部 博史
(72)【発明者】
【氏名】マクローリン,マーティン ジョン
(72)【発明者】
【氏名】グナーソン,ジェフリー マンフレッド
【審査官】立花 啓
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2011/0021978(US,A1)
【文献】特表2001-509059(JP,A)
【文献】特表2018-519141(JP,A)
【文献】特表2017-537700(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2012/0323208(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61J 1/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
組み合わせ薬剤送達装置であって、
少なくとも1つの薬剤成分をそれぞれ含む複数のモジュールであって、上記薬剤送達装置の単一フロー経路を画成するように直列接続可能である、直列接続可能な複数のモジュールと、
計算処理装置を有するマスターコントローラと、を備え、
上記モジュールの各々は、
アドレスと、対応する
モジュールに含まれる少なくとも1つの薬剤成分を表す英数字コードとをそこに格納した非一時的メモリと、
上記対応するモジュールのメモリに機能的にリンクされた二次コントローラと、
上記対応するモジュールに直列接続されたモジュールの通信バスに直列に接続可能である少なくとも1つの通信バスとを含み、
上記複数のモジュールが直列接続されたとき、上記複数のモジュールの直列接続された通信バスは、上記複数のモジュール間で直接に伝送されることを可能にし、
上記マスターコントローラは、上記アドレスを用いて、上記直列接続された通信バスを介して上記二次コントローラにシリアルに問い合わせることで、上記対応するモジュールの
英数字コードを要求するように構成される
、
組み合わせ薬剤送達装置。
【請求項2】
上記マスターコントローラは、上記対応するモジュールの受信された
英数字コードを順に配置することで、アクティベーションコードを生成するように構成される、
請求項1記載の組み合わせ薬剤送達装置。
【請求項3】
上記マスターコントローラは、上記生成されたアクティベーションコードを認証コードと比較するように構成される、
請求項2記載の組み合わせ薬剤送達装置。
【請求項4】
上記組み合わせ薬剤送達装置は、上記少なくとも1つの薬剤成分のフローを選択的に調整する、作動可能なフローコントローラをさらに備え、
上記マスターコントローラは、上記生成されたアクティベーションコード及び上記認証コードが一致している上記フローコントローラを作動させるように構成される、
請求項3記載の組み合わせ薬剤送達装置。
【請求項5】
作動されたとき、上記フローコントローラは、
1つ又は複数の調整可能な値を調整することと、
負圧源を作動させることと、
負圧源を、作動を待機するアクティブ状態にすることとのうちの少なくとも1つを実行させる、
請求項4記載の組み合わせ薬剤送達装置。
【請求項6】
組み合わせ薬剤送達装置であって、
少なくとも1つの薬剤成分をそれぞれ含む、直列接続可能な複数のモジュールと、
計算処理装置を有するマスターコントローラと、を備え、
上記モジュールの各々は、
対応する
モジュールに含まれる少なくとも1つの薬剤成分を表す英数字コードとをそこに格納した非一時的メモリと、
通常時に開の位置を有する作動可能なスイッチであって、上記対応する
モジュールに上記
モジュールのうちの他の1つを接続することで閉の位置に作動されるスイッチと、
上記対応するモジュールのメモリに機能的にリンクされた二次コントローラと、
上記対応するモジュールに直列接続されたモジュールの通信バスに直列に接続可能である少なくとも1つの通信バスとを含み、
上記複数のモジュールが直列接続されている場合、上記二次コントローラの各々は、対応するスイッチが作動されているか否かを決定し、
上記対応するスイッチが作動されていないと決定されたとき、上記対応する二次コントローラは、上記マスターコントローラに送信されているデフォルトアドレスを上記対応するメモリに割り当て、
上記マスターコントローラは、隣接するモジュールにパルス信号を送信するように、上記二次コントローラへのコマンドをシリアルに発行し、
上記モジュールによって受信されるパルス信号の個数に依存して、上記二次コントローラは各々、上記マスターコントローラに送信されているモジュールのアドレスを上記対応するメモリに割り当て、
上記マスターコントローラは、上記アドレスを用いて、上記二次コントローラにシリアルに問い合わせることで、上記対応するモジュールの
英数字コードを要求するように構成される
、
組み合わせ薬剤送達装置。
【請求項7】
上記マスターコントローラは、上記対応するモジュールの受信された
英数字コードを順に配置することで、アクティベーションコードを生成するように構成される
、
請求項6記載の組み合わせ薬剤送達装置。
【請求項8】
上記マスターコントローラは、上記生成されたアクティベーションコードを認証コードと比較するように構成される、
請求項7記載の組み合わせ薬剤送達装置。
【請求項9】
上記組み合わせ薬剤送達装置は、上記少なくとも1つの薬剤成分のフローを選択的に調整する、作動可能なフローコントローラさらに備え、
上記マスターコントローラは、上記生成されたアクティベーションコード及び上記認証コードが一致している上記フローコントローラを作動させるように構成される、
請求項8記載の組み合わせ薬剤送達装置。
【請求項10】
作動されたとき、上記フローコントローラは、
1つ又は複数の調整可能な値を調整することと、
負圧源を作動させることと、
負圧源を、作動を待機するアクティブ状態にすることとのうちの少なくとも1つを実行させる、
請求項9記載の組み合わせ薬剤送達装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
組み合わせ(コンビナトリアル)薬剤送達装置及びシステムが、2018年5月11日に出願された米国仮特許出願第62/670266号、2019年5月10日に出願されたPCT出願第PCT/US2019/031727号、2019年5月10日に出願されたPCT出願第PCT/2019/031762号、及び2019年5月10日に出願されたPCT出願第PCT/US2019/031791号において提示及び説明されている。前述した特許出願のすべては、本願と同じ譲受人によって行われている。前述した特許出願において示すように、異なる液体薬剤の薬剤モジュールは、異なる(個別化された)合剤を提供するように様々な組み合わせで提供されてもよい。複数の薬剤モジュールは、トレー又は他の基礎構造物において、直列又は並列に、入れ子状態にされる、すなわち接続されてもよい。代替として、複数の薬剤モジュールは、互いに直接的に(垂直及び/又は水平に)直列接続されてもよい。米国仮特許出願第62/670266号、PCT出願第PCT/US2019/031727号、PCT出願第PCT/2019/031762号、及びPCT出願第PCT/US2019/031791号の全体は、本願に援用される。
【0002】
本開示は、組み合わせ薬剤送達装置における直列接続された複数の薬剤モジュールに問い合わせるためのシステムに関する。
【背景技術】
【0003】
直列接続された組み合わせシステムは、流体接続を形成するために別個のトレー部品を必要とせず、そのため、部品に関してより効率的になり、したがってサプライチェーンにおいてより効率的になるという点で、入れ子式の設計と比較して優位点を有する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
入れ子式のシステムにおいて、トレー設計は、トレー設計の固有の設計及びレイアウトを介して、モジュールの正しい構成についての情報を「格納」することができる。例えば、トレーは、トレーの入れ子に正しい薬剤モジュールのみを挿入することができることと、正しい薬剤モジュールが正しい順序で配置されることとを保証する構成(例えば、「錠及び鍵」機能のような機械的な協働機能)を提供してもよい。このことは、薬剤モジュールを使用のために調製する際に安全チェックとして作用する。対照的に、直列接続されたシステムは、トレー型の構成要素を持たず、したがって、この根拠の安全チェックを有する能力を欠いている。
【0005】
直列接続された場合には、エラー予防のトレーに基づく機械的手段が可能ではないので、直列接続されたシステムにおける構成エラーを検出する他の手段を実装し、従って、薬物療法のエラーの発生を防ぐことが望ましい。
【0006】
本開示は、組み合わせ薬剤送達装置における直列接続された複数の薬剤モジュールに問い合わせるためのシステムを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
1つの態様において、本願では、少なくとも1つの薬剤成分をそれぞれ含む、直列接続可能な複数のモジュールと、計算処理装置を有するマスターコントローラとを含む組み合わせ薬剤送達装置が提供される。モジュールの各々は、アドレスと、対応する薬剤モジュールに含まれる少なくとも1つの薬剤成分を表す英数字コードとをそこに格納した非一時的メモリと、対応するモジュールのメモリに機能的にリンクされた二次コントローラと、対応するモジュールに直列接続されたモジュールの通信バスに直列に接続可能である少なくとも1つの通信バスとを含む。マスターコントローラは、アドレスを用いて、直列接続された通信バスを介して二次コントローラにシリアルに問い合わせることで、対応するモジュールのコードを要求するように構成される。優位点として、本願発明は、装置により提供される薬剤の的確性と、その正しい順序とを確かめるシステムを提供する。
【0008】
さらなる態様では、本願では、少なくとも1つの薬剤成分をそれぞれ含む、直列接続可能な複数のモジュールと、計算処理装置を有するマスターコントローラとを含む組み合わせ薬剤送達装置が提供される。モジュールの各々は、対応する薬剤モジュールに含まれる少なくとも1つの薬剤成分を表す英数字コードとをそこに格納した非一時的メモリと、通常時に開の位置を有する作動可能なスイッチであって、対応する薬剤モジュールに薬剤モジュールのうちの他の1つを接続することで閉の位置に作動されるスイッチと、対応するモジュールのメモリに機能的にリンクされた二次コントローラと、対応するモジュールに直列接続されたモジュールの通信バスに直列に接続可能である少なくとも1つの通信バスとを含む。複数のモジュールが直列接続されている場合、二次コントローラの各々は、対応するスイッチが作動されているか否かを決定し、対応するスイッチが作動されていないと決定されたとき、対応する二次コントローラは、マスターコントローラに送信されているデフォルトアドレスを対応するメモリに割り当て、マスターコントローラは、隣接するモジュールにパルス信号を送信するように、二次コントローラへのコマンドをシリアルに発行し、モジュールによって受信されるパルス信号の個数に依存して、二次コントローラは各々、マスターコントローラに送信されているモジュールのアドレスを対応するメモリに割り当てる。マスターコントローラは、アドレスを用いて、二次コントローラにシリアルに問い合わせることで、対応するモジュールのコードを要求するように構成される。
【0009】
本発明のこれら及び他の特徴は、詳細な説明及び添付の図面を研究することでよりよく理解されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】組み合わせ薬剤送達装置14の直列接続された複数の薬剤モジュール12の的確性を検証するために使用可能な装置を示す。
【
図2】組み合わせ薬剤送達装置14の直列接続された複数の薬剤モジュール12の的確性を検証するために使用可能な装置を示す。
【
図3】組み合わせ薬剤送達装置14の直列接続された複数の薬剤モジュール12の的確性を検証するために使用可能な装置を示す。
【
図4】モジュール12の各々に対して二次コントローラ1が提供され、これは、マイクロプロセッサ又はプログラム可能論理回路であってもよいことを示す。
【
図5】複数のモジュール12が直列接続されている場合を示す。
【発明を実施するための形態】
【0011】
図1~
図6は、本願発明に従って形成された装置の様々な特徴を示す。
【0012】
図1~
図3を参照すると、組み合わせ薬剤送達装置14の直列接続された複数の薬剤モジュール12の的確性を検証するために使用可能な装置が示される。薬剤モジュール12の各々は、液体薬剤18を収容するための薬剤貯蔵器16を含む。薬剤貯蔵器16は、薬剤モジュール12の部分によって画成されるか、又は、薬剤モジュール12に挿入されるバイアルのような構成要素によって画成されてもよい。組み合わせ薬剤送達装置14は、その任意の態様を含み、米国仮特許出願第62/670266号、PCT出願第PCT/US2019/031727号、PCT出願第PCT/2019/031762号、及びPCT出願第PCT/US2019/031791号のうちの任意のものに開示された実施形態のうちの任意のものに従って形成されてもよい。例示の目的で、組み合わせ薬剤送達装置14の例示的な特徴を本願において説明している。当業者によって認識されるように、本願発明は、前述した特許出願のうちの任意のものに開示された組み合わせ薬剤送達装置のうちの任意のものとともに使用可能であり、その要素のうちの任意のもの(例えば、システム10、薬剤モジュール12、薬剤モジュール12を接続する方法、フローコントローラ34、など)とともに使用可能である。
【0013】
図1に示すように、複数の薬剤モジュール12が直列接続されることで、一連の薬剤モジュール12を介する薬剤送達装置14のための単一フロー経路を画成し、これを介して、薬剤モジュール12の各々の液体薬剤18が吸い出されてもよい。
図1に示すように、入口及び出口の管状材料20,22は、薬剤モジュール12の各々から液体薬剤18が連続して吸い出されるように、薬剤モジュール12の各々に対して提供されてもよい。
図3に示すように、薬剤貯蔵器16のうちの1つの出口及び次の薬剤貯蔵器16のための入口の両方として働く所定長さの管状材料が提供されるように、入口及び出口の管状材料20,22が薬剤貯蔵器16間において連続的に形成されてもよい。
図1は、薬剤モジュール12(12A~12F)のうちの6つを示す。当業者によって認識されるように、任意量の薬剤モジュール12が利用されてもよい。
ベント13は、フロー経路の終点(最後の薬剤モジュール)に提供されてもよい。
【0014】
直列に場所を設けるために、ただしいかなる液体薬剤も含まないように、1つ又は複数の直列なバイパス薬剤モジュール12BYが必要とされうることに注意する。
図2に示すように、バイパス薬剤モジュール12BYは、薬剤貯蔵器なしで、その入口から出口まで延在してそれを通るフローを可能にするバイパス管材料24を有してもよい。
代替として、
図3に示されるように、バイパス管材料24は、薬剤モジュール12のうちの2つ、又は、薬剤モジュール12のうちの1つ及び後述するコントローラ筐体のような、薬剤送達装置14の2つの構成要素を接続するように、薬剤モジュール12のうちの1つの代わりに提供されてもよい。
【0015】
薬剤モジュール12に含まれる液体薬剤18は、さまざまなタイプ及び濃度を有してもよい。モジュール12のうちのいくつかにおける液体薬剤18は、薬学的又は生物学にアクティブな薬剤を含まない希釈剤であってもよい。薬剤モジュール12は1つ又は複数の固体成分を含んでもよく、この固体成分は、その内部の希釈剤のフローと再構成されることで液体薬剤を形成しうる。直列接続された薬剤モジュール12が様々な薬剤のタイプ及び濃度を含みうるので、薬剤送達装置14は、様々な液体薬剤の混合物を供給する組み合わせ薬剤送達装置14となりうる。ある患者のために特定の組み合わせが指定される液体薬剤18は、医師によって処方される。本願発明は、薬剤送達装置14において特定の薬剤モジュール12を含むことと、薬剤モジュール12のシーケンスとの的確性を確認する。薬剤モジュール14のシーケンスは、最終的に得られる組み合わせの有効性に影響を有する可能性があり、重要となりうる。
【0016】
薬剤送達装置14は、好ましくは、直列接続された薬剤モジュール12が接続される対象であるコントローラ筐体26を含む。(コントローラ筐体26に最も近接している)第1の薬剤モジュール12Aの出口の管状材料22は、コントローラ筐体26に形成された入口28と連通し、入口28に対して、薬剤モジュール12から液体薬剤18が流入しうる。デリバリー管状材料30は入口28から延在し、コントローラ筐体26を介して液体薬剤18を出口32に送る。液体薬剤18を貯蔵装置(例えば、IVバッグ、注射器)に、又は、患者に接続された薬剤送達装置(例えば翼状針)へ導くために、出口32に管状材料又は伝達手段が固定されてもよい。
【0017】
コントローラ筐体26にはフローコントローラ34が提供され、これは、デリバリー管状材料30を流れるフローを選択的に調整する。一実施形態では、フローコントローラ34は、ポンプのような作動可能な負圧源36を含んでもよく、負圧源36は、入口28を介して液体薬剤18を吸い出し、デリバリー管状材料30(これは不連続でありうる)を経由して、出口32を介して液体薬剤18を放出するように、コントローラ筐体26に提供される。静止状態において、負圧源36は、負圧を発生せず、従って、液体薬剤18を吸い出さない。別の実施形態では、フローコントローラ34は、コントローラ筐体26に提供され、デリバリー管状材料30を流れるフローを選択的に調整するように構成された、特に、開状態及び閉状態の間で選択的に調整されるように構成された、ボール弁のような、1つ又は複数の調整可能なバルブ38を含んでもよい。バルブ38を使用することで、負圧を出口32に適用してそこから液体薬剤18を吸い出すように構成された、コントローラ筐体26の外部の負圧源が利用されてもよい。
【0018】
計算処理装置(computing processing unit:CPU)42を含む制御装置40が、コントローラ筐体26に提供されてもよい。好ましくは、フローコントローラ34は、CPU42によって制御されるように電力供給される。例えば、CPU42によって制御されるように構成されたスイッチを有する電気モータ又はアクチュエータが提供されてもよい。モータの作動は、負圧源30を起動させることが可能であり(例えば、ポンプをオンさせる)、一方、アクチュエータの作動は、バルブ38を開状態に調製させる(例えば、バルブステムを開状態に回転させる)ことが可能である。スイッチは、モータをオフするため、又は、1つ又は複数のバルブを閉じるために、CPU42によってオフ位置に調整されてもよい。
【0019】
使用の準備ができたとき、薬剤モジュール12が直列接続されることが企図される。したがって、ユーザによって、又は、ユーザに代わって、薬剤モジュール12のアセンブリが要求とされる。ファイルセーフ機構として、複数の薬剤モジュール12が、薬剤送達装置14において、正しいシーケンスで、適切に含まれることを保証するために、薬剤モジュール12の各々は、薬剤モジュール12に含まれる薬剤18を表す、そこに格納された英数字コードを有してもよい。英数字コードは、薬剤のタイプを指定し、おそらくは、薬剤の濃度又は強さを指定してもよい。液体薬剤18は、製造設備又は薬局において薬剤モジュール12に充填され、同時に、英数字コードをモジュール12上に格納してもよい。薬剤モジュール12に正しい英数字コードを格納するために注意が必要である。
【0020】
処方によって、特定の液体薬剤18(タイプ、濃度)が指定される。薬剤モジュール12は、指定された液体薬剤18を収容するように準備され、利用される薬剤モジュール12の個数は、少なくとも、処方によって指定された薬剤成分の個数に等しくなる。薬剤モジュール12は、コントローラ筐体26とともに、アセンブリのために、キットとして、ユーザに配送されるか、又は、ユーザに関連付けられた場所に配送されてもよい。薬剤モジュール12のアセンブリに関して、薬剤モジュール12のシーケンス、例えば、(コントローラ筐体26に最も近接する)第1の位置、第2の位置、などを含む、命令が提供される。
【0021】
図4を参照すると、モジュール12の各々に対して二次コントローラ1が提供され、これは、マイクロプロセッサ又はプログラム可能論理回路であってもよい。二次コントローラ1は、組み込まれたファームウェアを実行することで、後述する論理を実装してもよい。組み込み電子回路において既知であるように、二次コントローラ1は、I^2C(inter-integrated circuit)のようなコンパクトなシリアル通信バス2へのアクセスを有する。このインターフェースは、2つのライン、すなわち、SCL(シリアルクロック)及びSDA(シリアルデータ)を必要とする。複数のモジュール12が直列接続されている場合、通信信号をモジュール12間で通過させるように、モジュール12の通信バス2は直列接続される。さらに、第1の薬剤モジュール12Aの通信バス2は、マスターコントローラとして動作する制御装置40に通信可能に接続される。アドレスレジスタ又は他の永続的なメモリのような非一時的メモリ4は、モジュール12の各々の二次コントローラ1と機能的にリンクされる。メモリ4は、対応するモジュール12の位置(例えば、モジュール12Aのための第1の位置、モジュール12Bのための第2の位置、など)を表す一意のアドレスによりプログラミングされてもよい。対応する薬剤18の英数字コードを格納するためにメモリ4が使用されてもよい。メモリ4には、英数字コードと同時に、一意のアドレスが格納されてもよい。
図5に示すように、複数のモジュール12が直列接続されている場合、制御装置40は、モジュール12の各々の格納された英数字コードを要求するために、一意のアドレスを用いて、直列接続された通信バス2を介してモジュール12の二次コントローラ1にシリアルに問い合わせてもよい。二次コントローラ1は、直列接続された通信バス2を介して、英数字コードを制御装置40に送信してもよい。このように、数バイトのオーダーの少量のデータは、迅速かつコンパクトに制御装置40に伝送可能である。英数字コードは、アクティベーションコードを生成するように順に配置されてもよい。
【0022】
アクティベーションコードは、認証コードに対して比較してその正しさを決定するために使用されてもよい。一実施形態では、認証コードは、コントローラ筐体26におけるCPU42に関連付けられた非一時的メモリ41に格納されてもよい。代替として、認証コードは、(例えば、コントローラ筐体26における受信機を介して)CPU42に送信されてもよく、CPU42は比較を行って一致を決定する。アクティベーションコード及び認証コードが互いに一致する場合、CPU42は、フローコントローラ34を作動させることで、液体薬剤18のデリバリーを可能にしてもよい。
【0023】
フローコントローラ34は、貯蔵(すなわち不使用)状態を有するように提供されてもよい。この状態では、例えば、調整可能なバルブ38のうちの1つ又は複数が、デリバリー管状材料30を流れる出口32へのフローを許可しない閉位置にある。追加又は代替として、貯蔵状態において、負圧源36は静止状態にある。前述したように、アクティベーションコード及び認証コードが互いに一致する場合、CPU42はフローコントローラ34を作動させ、それにより、フローコントローラ34を使用状態にしてもよい。フローコントローラ34が使用状態にある場合、薬剤送達装置14からの液体薬剤18のデリバリーが達成されうる。特に、1つ又は複数の調整可能なバルブ38は、デリバリー管状材料30を流れる出口32へのフローを許可する開位置に調整されてもよい。さらに、負圧源36が作動されてもよく、又は代替として、アクティブ状態にされて、(例えば、コントローラ筐体26におけるスイッチによる)作動を待機してもよい。
【0024】
代替の実施形態では、モジュール12は、装置14内の位置に基づいて一意のアドレスをそれ自体が割り当てるように構成されてもよい。この実施形態において、初期状態では、モジュール12には、メモリ4におけるアドレスは提供されない。この方式を実装するために、モジュール12の各々は、好ましくは通常は開状態にある作動可能案スイッチ3(例えばメカニカルスイッチ)を備える。モジュールがそのダウンストリームに取り付けられたもう1つのモジュールを有する場合にのみ作動されるように(すなわち、閉位置に作動されるように)、スイッチ3はモジュール12に提供される。さらに、モジュール12の各々に対して、二次コントローラ1が読み取り可能であるダウンストリームモジュール12にリンクする入力ライン5aが提供され、また、二次コントローラ1が制御可能であるアップストリームモジュール12にリンクする出力ライン5bが提供される。
【0025】
この実施形態において、複数のモジュール12が直列接続されている場合、最もダウンストリーム側のモジュール12(12F)は、そのメカニカルスイッチを作動させない唯一のモジュールである。従って、このモジュール12における二次コントローラ1は、そのアドレスが1であるはずであると結論し、そのメモリ4に書き込むことで当該アドレスをそれ自体に割り当てる。このアドレスは、直列接続された通信バス2を用いて制御装置40に送信される。アドレス1を有するモジュール12が当該アドレスをそれ自体に自動的に割り当てたであろうことを認識している制御装置40は、次いで、直列接続された通信バス2上のそのモジュールと自由に通信することができる。
【0026】
他のモジュール12のアドレスを確立するために、制御装置40は、アドレス1、すなわちモジュール12Fに、そのアップストリームライン5bを2回アサートするようにそれに命じるコマンドを送る。アドレス1を有するモジュール12Fは、このパルス生成シーケンスを実行し、次のアップストリーム12モジュールEは、その入力ライン5aによってそれを見る。それが2つのパルスを見るので、モジュール12Eは、それがアドレス2に違いないと結論することができる。次いで、モジュール12Eは、当該アドレスをそのメモリ4に書き込む。続いて、制御装置40は、アドレス2が割り当てられていることを認識し、そのモジュールと自由に通信することができる。従って、制御装置40は、アドレス2、すなわちモジュール12Eに、その出力ライン5bにパルスを3回送るようにコマンドを発行する。次のモジュール12Dは、このパルス生成シーケンスを見て、パルスをカウントし、それがアドレス3に違いないと結論する。この処理は、すべてのアドレスが割り当てられるまで続く。次いで、制御装置40は、上に説明したように、各アドレスにその英数字コードについて問い合わせてもよい。
図6において、このアドレス割り当てプロトコルが逐次に詳説される。
【0027】
一実施形態では、本願で開示する組み合わせ薬剤送達装置のうちの任意のものは、広範囲の病気又は状態、例えば、癌、自己免疫疾患、炎症性疾患、循環器疾患、繊維性疾患のうちの任意のものにかかっている患者のために、2つ以上の薬剤を配送することができる。一実施形態では、薬剤モジュール12のうちの1つ又は複数は、単一の薬剤を含んでもよい。一実施形態では、薬剤モジュール12のうちの1つ又は複数は、共に処方された2つ以上の薬剤を含んでもよい。一実施形態では、薬剤モジュール12のうちの1つ又は複数は、固体形式(例えば、タブレット、カプセル、粉末。は凍結乾燥、噴霧乾燥)を有する薬剤を含んでもよく、それは、そこにおける希釈剤のフローと再構成されることで、液体薬剤を形成しうる。
【0028】
一実施形態では、本願で開示した組み合わせ薬剤送達装置のうちの任意のものに係る薬剤の1つ又は複数は、免疫チェックポイント阻害剤である。ある実施形態では、免疫チェックポイント阻害剤は、プログラム細胞死1(Programmed Death-1:「PD-1」)経路阻害剤、細胞傷害性Tリンパ球抗原4(cytotoxic T-lymphocyte-associated antigen 4:「CTLA-4」)拮抗剤、リンパ球活性化遺伝子-3(Lymphocyte Activation Gene-3:「LAG3」)拮抗剤、CD80拮抗剤、CD86拮抗剤、T細胞免疫グロブリン及びムチン領域(T cell immunoglobulin and mucin domain:「Tim-3」)拮抗剤、Ig領域及びITIM領域を有するT細胞免疫受容体(T cell immunoreceptor with Ig and ITIM domains:「TIGIT」)拮抗剤、CD20拮抗剤、CD96拮抗剤、インドールアミン-2,3-ジオキシゲナーゼ(Indoleamine 2,3-dioxygenase:「IDO1」)拮抗剤、インターフェロン遺伝子の刺激因子(a stimulator of interferon genes:「STING」)拮抗剤、GARP拮抗剤、CD40拮抗剤、アデノシンA2A受容体(Adenosine A2A receptor:「A2aR」)拮抗剤、CEACAM1(CD66a)拮抗剤、CEA拮抗剤、CD47拮抗剤、タンパク質を含む免疫グロブリン領域に関連した受容体(a Receptor Related Immunoglobulin Domain Containing Protein:「PVRIG」)の拮抗剤、トリプトファン-2,3-ジオキシゲナーゼ(tryptophan 2,3-dioxygenase:「TDO」)拮抗剤、T細胞アクティベーションのV領域Ig抑制因子(V-domain Ig suppressor of T cell activation:「VISTA」)の拮抗剤、又はキラー細胞免疫グロブリン様受容体(Killer-cell Immunoglobulin-like Receptor:「KIR」)拮抗剤である。
【0029】
一実施形態では、PD-1経路阻害剤は、抗PD-1抗体又はその抗原結合性フラグメントである。ある実施形態では、抗PD-1抗体は、ペムブロリズマブ(キイトルーダ(登録商標);MK-3475)、ピディリズマブ(CT-011)、ニボルマブ(オプジーボ(登録商標);BMS-936558)、PDR001、MEDI0680(AMP-514)、TSR-042、REGN2810、JS001、AMP-224(GSK-2661380)、PF-06801591、BGB-A317、BI754091、又はSHR-1210である。
【0030】
一実施形態では、PD-1経路阻害剤は、抗PD-L1抗体又はその抗原結合性フラグメントである。ある実施形態では、抗-PD-L1抗体は、アテゾリズマブ( テセントリク(登録商標);RG7446;MPDL3280A;RO5541267)、デュルバルマブ(MEDI4736)、BMS-936559、アベルマブ(バベンチオ(登録商標))、LY3300054、CX-072(Proclaim-CX-072)、FAZ053、KN035、又はMDX-1105である。
【0031】
一実施形態では、PD-1経路阻害剤は小分子の薬剤である。ある実施形態では、PD-1経路阻害剤はCA-170である。もう1つの実施形態では、PD-1経路阻害剤は細胞療法である。一実施形態では、細胞療法は、MiHAを発現しかつPD-L1/L2抑制した樹状細胞ワクチンである。他の実施形態では、細胞療法は、多能性キラーTリンパ球を発現する抗プログラム細胞死タンパク質1抗体、自己PD-1標的キメラスイッチ受容体改変Tリンパ球、又はPD-1ノックアウト自己Tリンパ球である。
【0032】
一実施形態では、PD-1経路阻害剤は、抗PD-L2抗体又はその抗原結合性フラグメントである。もう1つの実施形態では、抗PD-L2抗体はrHIgM12B7である。
【0033】
一実施形態では、PD-1経路阻害剤は可溶性PD-1ポリペプチドである。ある実施形態では、可溶性PD-1ポリペプチドは融合ポリペプチドである。いくつかの実施形態では、可溶性PD-1ポリペプチドは、PD-1細胞外領域のリガンド結合フラグメントを備える。他の実施形態では、可溶性PD-1ポリペプチドは、PD-1細胞外領域のリガンド結合フラグメントを備える。もう1つの実施形態では、可溶性PD-1ポリペプチドはFc領域をさらに備える。
【0034】
一実施形態では、免疫チェックポイント阻害剤はCTLA-4拮抗剤である。ある実施形態では、CTLA-4拮抗剤は、抗CTLA-4抗体又はその抗原結合性フラグメントである。いくつかの実施形態では、抗CTLA-4抗体は、イピリムマブ(ヤーボイ(登録商標))、トレメリムマブ(チシリムマブ;CP-675,206)、AGEN-1884又はATOR-1015である。一実施形態では、本願で開示した組み合わせ薬剤送達装置のうちの任意のものは、CTLA-4拮抗剤、例えばイピリムマブ(ヤーボイ)と、PD-1経路阻害剤、例えばニボルマブ(オプジーボ)又はペムブロリズマブ(キイトルーダ)とを含む。
【0035】
一実施形態では、免疫チェックポイント阻害剤はLAG3の拮抗剤である。ある実施形態では、LAG3拮抗剤は、抗LAG3抗体又はその抗原結合性フラグメントである。ある実施形態では、抗LAG3抗体は、レラトリマブ(BMS-986016)、MK-4280(28G-10)、REGN3767、GSK2831781、IMP731(H5L7BW)、BAP050、IMP-701(LAG-5250)、IMP321、TSR-033、LAG525、BI754111、又はFS-118である。一実施形態では、本願で開示した組み合わせ薬剤送達装置のうちの任意のものは、LAG3拮抗剤、例えばレラトリマブ又はMK-4280と、PD-1経路阻害剤、例えばニボルマブ(オプジーボ)又はペムブロリズマブ(キイトルーダ)とを含む。一実施形態では、本願で開示した組み合わせ薬剤送達装置のうちの任意のものは、LAG3拮抗剤、例えばレラトリマブ又はMK-4280と、CTLA-4拮抗剤、例えばイピリムマブ(ヤーボイ)とを含む。一実施形態では、本願で開示した組み合わせ薬剤送達装置のうちの任意のものは、LAG3拮抗剤、例えばレラトリマブ又はMK-4280と、CTLA-4拮抗剤、例えばイピリムマブ(ヤーボイ)と、PD-1経路阻害剤、例えばニボルマブ(オプジーボ)又はペムブロリズマブ(キイトルーダ)とを含む。
【0036】
一実施形態では、免疫チェックポイント阻害剤はKIR拮抗剤である。ある実施形態では、KIR拮抗剤は、抗KIR抗体又はその抗原結合性フラグメントである。いくつかの実施形態では、抗KIR抗体は、リリルマブ(lirilumab )(1-7F9、BMS-986015、IPH 2101)又はIPH4102である。
【0037】
一実施形態では、免疫チェックポイント阻害剤はTIGIT拮抗剤である。一実施形態では、TIGIT拮抗剤は、抗TIGIT抗体又はその抗原結合性フラグメントである。ある実施形態では、抗TIGIT抗体は、BMS-986207、AB154、COM902(CGEN-15137)、又はOMP-313M32である。
【0038】
一実施形態では、免疫チェックポイント阻害剤はTim-3拮抗剤である。ある実施形態では、Tim-3拮抗剤は、抗Tim-3抗体又はその抗原結合性フラグメントである。いくつかの実施形態では、抗Tim-3抗体はTSR-022又はLY3321367である。
【0039】
一実施形態では、免疫チェックポイント阻害剤はIDO1拮抗剤である。もう1つの実施形態では、IDO1拮抗剤は、インドキシモド(indoximod )(NLG8189;1-メチル-D-TRP)、エパカドスタット(INCB-024360、INCB-24360)、KHK2455、PF-06840003、ナボキシモド(navoximod )(RG6078、GDC-0919、NLG919)、BMS-986205(F001287)、又はピロリジン-2,5-ジオン誘導体である。
【0040】
一実施形態では、免疫チェックポイント阻害剤はSTING拮抗剤である。ある実施形態では、STING拮抗剤は、2’又は3’-モノフルオロ置換環状ジヌクレオチド、2’3’-ジフルオロ置換混合鎖2’,5’-3’,5’環状ジヌクレオチド、2’-フルオロ置換ビス-3’,5’環状ジヌクレオチド、2’、2’’-diF-Rp,Rp,ビス-3’,5’環状ジヌクレオチド、又はフッ素化された環状ジヌクレオチドである。
【0041】
一実施形態では、免疫チェックポイント阻害剤はCD20拮抗剤である。いくつかの実施形態では、CD20拮抗剤は、抗CD20抗体又はその抗原結合性フラグメントである。一実施形態では、抗CD20抗体は、リツキシマブ(リツキサン;IDEC-102;IDEC-C2B8)、ABP798、オファツムマブ、又はオビヌツズマブである。
【0042】
一実施形態では、免疫チェックポイント阻害剤はCD80拮抗剤である。ある実施形態では、CD80拮抗剤は、抗CD80抗体又はその抗原結合性フラグメントである。一実施形態では、抗CD80抗体は、ガリキシマブ又はAV1142742である。
【0043】
一実施形態では、免疫チェックポイント阻害剤はGARP拮抗剤である。いくつかの実施形態では、GARP拮抗剤は、抗GARP抗体又はその抗原結合性フラグメントである。ある実施形態では、抗GARP抗体はARGX-115である。
【0044】
一実施形態では、免疫チェックポイント阻害剤はCD40拮抗剤である。ある実施形態では、CD40拮抗剤は、その抗原結合性フラグメンのための抗CD40抗体である。いくつかの実施形態では、抗CD40抗体は、BMS3h-56、ルカツムマブ(HCD122及びCHIR-12.12)、CHIR-5.9、又はダセツズマブ(huS2C6、PRO64553、RG3636、SGN14、SGN-40)である。もう1つの実施形態では、CD40拮抗剤は可溶性CD40リガンド(CD40-L)である。一実施形態では、可溶性CD40リガンドは融合ポリペプチドである。一実施形態では、可溶性CD40リガンドは、CD40-L/FC2又は単量体CD40-Lである。
【0045】
一実施形態では、免疫チェックポイント阻害剤はA2aR拮抗剤である。いくつかの実施形態では、A2aR拮抗剤は小分子である。ある実施形態では、A2aR拮抗剤は、CPI-444、PBF-509、イストラデフィリン(KW-6002)、プレラデナント(preladenant )(SCH420814)、トザデナント(SYN115)、ビパデナント(vipadenant )(BIIB014)、HTL-1071、ST1535、SCH412348、SCH442416、SCH58261、ZM241385、又はAZD4635である。
【0046】
一実施形態では、免疫チェックポイント阻害剤はCEACAM1拮抗剤である。いくつかの実施形態では、CEACAM1拮抗剤は、抗CEACAM1抗体又はその抗原結合性フラグメントである。一実施形態では、抗CEACAM1抗体はCM-24(MK-6018)である。
【0047】
一実施形態では、免疫チェックポイント阻害剤はCEA拮抗剤である。一実施形態では、CEA拮抗剤は、抗CEA抗体又はその抗原結合性フラグメントである。ある実施形態では、抗CEA抗体は、セルグツズマブアムナロイキン(cergutuzumab amunaleukin)(RG7813、RO-6895882)又はRG7802(RO6958688)である。
【0048】
一実施形態では、免疫チェックポイント阻害剤はCD47拮抗剤である。いくつかの実施形態では、CD47拮抗剤は、抗CD47抗体又はその抗原結合性フラグメントである。ある実施形態では、抗CD47抗体は、HuF9G4、CC-90002、TTI-621、ALX148、NI-1701、NI-1801、SRF231、又はEffi-DEMである。
【0049】
一実施形態では、免疫チェックポイント阻害剤はPVRIG拮抗剤である。ある実施形態では、PVRIG拮抗剤は、抗PVRIG抗体又はその抗原結合性フラグメントである。一実施形態では、抗PVRIG抗体はCOM701(CGEN-15029)である。
【0050】
一実施形態では、免疫チェックポイント阻害剤はTDO拮抗剤である。一実施形態では、TDO拮抗剤は、4-(インドール-3-イル)-ピラゾール誘導体、3-インドール置換誘導体、又は3-(インドール-3-イル)-ピリジン誘導体である。もう1つの実施形態では、免疫チェックポイント阻害剤はデュアルIDO及びTDO拮抗剤である。一実施形態では、デュアルIDO及びTDO拮抗剤は小分子である。
【0051】
一実施形態では、免疫チェックポイント阻害剤はVISTA拮抗剤である。いくつかの実施形態では、VISTA拮抗剤は、CA-170又はJNJ-61610588である。
【0052】
一実施形態では、本願で開示した組み合わせ薬剤送達装置のうちの任意のものに係る薬剤の1つ又は複数は、免疫チェックポイントエンハンサー又は刺激因子である。
【0053】
一実施形態では、免疫のチェックポイントエンハンサー又は刺激因子は、CD28刺激薬、4-1BB刺激薬、OX40刺激薬、CD27刺激薬、CD80刺激薬、CD86刺激薬、CD40刺激薬、ICOS刺激薬、CD70刺激薬又はGITR刺激薬である。
【0054】
一実施形態では、免疫チェックポイントエンハンサー又は刺激因子は、OX40刺激薬である。ある実施形態では、OX40刺激薬は、抗OX40抗体又はその抗原結合性フラグメントである。いくつかの実施形態では、抗OX40抗体は、タボリキシズマブ(tavolixizumab)(MEDI-0562)、ポガリズマブ(pogalizumab)(MOXR0916、RG7888)、GSK3174998、ATOR-1015、MEDI-6383、MEDI-6469、BMS986178、PF-04518600、又はRG7888(MOXR0916)である。もう1つの実施形態では、OX40刺激薬は細胞療法である。ある実施形態では、OX40刺激薬は、GINAKIT細胞(iC9-GD2-CD28-OX40を発現したTリンパ球)である。
【0055】
一実施形態では、免疫チェックポイントエンハンサー又は刺激因子は、CD40刺激薬である。いくつかの実施形態では、CD40刺激薬は、抗CD40抗体又はその抗原結合性フラグメントである。一実施形態では、抗CD40抗体は、ADC-1013(JNJ-64457107)、RG7876(RO-7009789)、HuCD40-M2、APX005M(EPI-0050)、又はChi Lob 7/4である。もう1つの実施形態では、CD40刺激薬は可溶性CD40リガンド(CD40-L)である。一実施形態では、可溶性CD40リガンドは融合ポリペプチドである。ある実施形態では、可溶性CD40リガンドは三量体CD40-L(AVRENDR)である。
【0056】
一実施形態では、免疫チェックポイントエンハンサー又は刺激因子は、GITR刺激薬である。ある実施形態では、GITR刺激薬は、抗GITR抗体又はその抗原結合性フラグメントである。一実施形態では、抗GITR抗体は、BMS-986156、TRX518、GWN323、INCAGN01876、又はMEDI1873である。一実施形態では、GITR刺激薬は可溶性GITRリガンド(GITRL)である。いくつかの実施形態では、可溶性GITRリガンドは融合ポリペプチドである。もう1つの実施形態では、GITR刺激薬は細胞療法である。一実施形態では、細胞療法は、抗CTLA4 mAb RNA/GITRLのRNAトランスフェクトされた自己樹状細胞ワクチン、又は、GITRLのRNAトランスフェクトされた自己樹状細胞ワクチンである。
【0057】
一実施形態では、免疫チェックポイントエンハンサー又は刺激因子は、4-1BB刺激薬である。いくつかの実施形態では、4-1BB刺激薬は、抗4-1BB抗体又はその抗原結合性フラグメントである。一実施形態では、抗4-1BB抗体は、ウレルマブ又はPF-05082566である。
【0058】
一実施形態では、免疫チェックポイントエンハンサー又は刺激因子は、CD80刺激薬又はCD86刺激薬である。いくつかの実施形態では、CD80刺激薬又はCD86刺激薬は、可溶性CD80又はCD86リガンド(CTLA-4)である。ある実施形態では、可溶性CD80又はCD86リガンドは、融合ポリペプチドである。一実施形態では、CD80又はCD86リガンドは、CTLA4-Ig(CTLA4-IgG4m、RG2077、又はRG1046)又はアバタセプト(オレンシア(登録商標)、BMS-188667)である。他の実施形態では、CD80刺激薬又はCD86刺激薬は、細胞療法である。一実施形態では、細胞療法はMGN1601(同種腎細胞癌ワクチン)である。
【0059】
一実施形態では、免疫チェックポイントエンハンサー又は刺激因子は、CD28刺激薬である。いくつかの実施形態では、CD28刺激薬は、抗CD28抗体又はその抗原結合性フラグメントである。ある実施形態では、抗CD28抗体はTGN1412である。
【0060】
一実施形態では、CD28刺激薬は細胞療法である。ある実施形態では、細胞療法は、JCAR015(抗CD19-CD28ゼータ改変CAR CD3+のTリンパ球)、CD28CAR/CD137CARを発現したTリンパ球、同種CD4+メモリTh1様T細胞/微粒子結合抗CD3/抗CD28、抗CD19/CD28/CD3ゼータCARガンマレトロウイルスベクター導入自己Tリンパ球KTE-C19、抗CEA IgCD28TCR導入自己Tリンパ球、抗EGFRvIII CAR導入同種Tリンパ球、自己CD123CAR-CD28-CD3ゼータ-EGFRtを発現するTリンパ球、自己CD171特異CAR-CD28ゼータ-4-1-BB-EGFRtを発現するTリンパ球、自己CD19CAR-CD28-CD3ゼータ-EGFRtを発現するTcm濃縮T細胞、自己PD-1標的キメラスイッチ受容体改変Tリンパ球(CD28を備えたキメラ)、CD19CAR-CD28-CD3ゼータ-EGFRtを発現するTcm濃縮Tリンパ球、CD19CAR-CD28-CD3ゼータ-EGFRtを発現するTn/mem濃縮Tリンパ球、CD19CAR-CD28ゼータ-4-1BBを発現する同種Tリンパ球、CD19CAR-CD3ゼータ-4-1BB-CD28を発現する自己Tリンパ球、CD28CAR/CD137CARを発現するTリンパ球、CD3/CD28同時刺激ワクチン刺激自己Tリンパ球、又はiC9-GD2-CD28-OX40を発現するTリンパ球である。
【0061】
一実施形態では、免疫チェックポイントエンハンサー又は刺激因子は、CD27刺激薬である。ある実施形態では、CD27刺激薬は、抗CD27抗体又はその抗原結合性フラグメントである。一実施形態では、抗CD27抗体はバーリルマブ(varlilumab )(CDX-1127)である。
【0062】
一実施形態では、免疫チェックポイントエンハンサー又は刺激因子は、CD70刺激薬である。いくつかの実施形態では、CD70刺激薬は、抗CD70抗体又はその抗原結合性フラグメントである。一実施形態では、抗CD70抗体はARGX-110である。
【0063】
一実施形態では、免疫チェックポイントエンハンサー又は刺激因子は、ICOS刺激薬である。ある実施形態では、ICOS刺激薬は、抗ICOS抗体又はその抗原結合性フラグメントである。いくつかの実施形態では、抗ICOS抗体は、BMS986226、MEDI-570、GSK3359609、又はJTX-2011である。他の実施形態では、ICOS刺激薬は可溶性ICOSリガンドである。いくつかの実施形態では、可溶性ICOSリガンドは融合ポリペプチドである。一実施形態では、可溶性ICOSリガンドはAMG750である。
【0064】
一実施形態では、本願で開示した組み合わせ薬剤送達装置のうちの任意のものに係る薬剤の1つ又は複数は、抗CD73抗体又はその抗原結合性フラグメントである。ある実施形態では、抗CD73抗体はMEDI9447である。
【0065】
一実施形態では、本願で開示した組み合わせ薬剤送達装置のうちの任意のものに係る薬剤の1つ又は複数は、TLR9刺激薬である。一実施形態では、TLR9刺激薬はアガトリモド(agatolimod)ナトリウムである。
【0066】
一実施形態では、本願で開示した組み合わせ薬剤送達装置のうちの任意のものに係る薬剤の1つ又は複数は、サイトカインである。ある実施形態では、サイトカインは、ケモカイン、インターフェロン、インターロイキン、リンホカイン、又は腫瘍壊死因子ファミリーのメンバーである。いくつかの実施形態では、サイトカインは、IL-2、IL-15、又はインターフェロンガンマである。
【0067】
一実施形態では、本願で開示した組み合わせ薬剤送達装置のうちの任意のものに係る薬剤の1つ又は複数は、TGF-β拮抗剤である。いくつかの実施形態では、TGF-β拮抗剤は、フレソリムマブ(GC-1008)、NIS793、IMC-TR1(LY3022859)、ISTH0036、トラベデルセン(AP12009)、組み換え変換成長因子β-2、自己HPV-16/18 E6/E7特異のTGFβ耐性を有するTリンパ球、又はTGFβ耐性を有するLMP特異の細胞傷害性リンパ球である。
【0068】
一実施形態では、本願で開示した組み合わせ薬剤送達装置のうちの任意のものに係る薬剤の1つ又は複数は、iNOS拮抗剤である。いくつかの実施形態では、iNOS拮抗剤は、N-アセチルシステイン(N-Acetyle-cysteine:NAC)、アミノグアニジン、L-ニトロアルギニンメチルエステル、又はS,S-1,4-フェニレン-ビス(1,2-エタンジイル)ビス-イソチオ尿素である。
【0069】
一実施形態では、本願で開示した組み合わせ薬剤送達装置のうちの任意のものに係る薬剤の1つ又は複数は、SHP-1拮抗剤である。
【0070】
一実施形態では、本願で開示した組み合わせ薬剤送達装置のうちの任意のものに係る薬剤の1つ又は複数は、コロニー刺激因子1受容体(colony stimulating factor 1 receptor :「CSF1R」)拮抗剤である。ある実施形態では、CSF1R拮抗剤は、抗CSF1R抗体又はその抗原結合性フラグメントである。いくつかの実施形態では、抗CSF1R抗体はエマクツヅマブである。
【0071】
一実施形態では、本願で開示した組み合わせ薬剤送達装置のうちの任意のものに係る薬剤の1つ又は複数は、TNFファミリーのメンバーの拮抗剤である。いくつかの実施形態では、TNFファミリーの刺激薬は、ATOR1016、ABBV-621、又はアダリムマブである。
【0072】
一実施形態では、本願で開示した組み合わせ薬剤送達装置のうちの任意のものに係る薬剤の1つ又は複数は、アルデスロイキンのようなインターロイキン2(IL-2)である。好ましくは、IL-2又は接合されたIL-2(例えば、PEG化)は、ベンペガルデスロイキンのように、T制御性細胞(「T-eff IL-2」)に対してTエフェクター細胞を選択的に活性化するように改変された。一実施形態では、本願で開示した組み合わせ薬剤送達装置のうちの任意のものは、T制御性細胞に対してTエフェクター細胞を選択的に活性化する、ベンペガルデスロイキンのような改変されたIL-2と、PD-1経路阻害剤、例えばニボルマブ(オプジーボ)又はペムブロリズマブ(キイトルーダ)とを含む。一実施形態では、本願で開示した組み合わせ薬剤送達装置のうちの任意のものは、T制御性細胞に対してTエフェクター細胞を選択的に活性化する、ベンペガルデスロイキンのような改変されたIL-2と、LAG3拮抗剤、例えばレラトリマブ又はMK-4280とを含む。一実施形態では、本願で開示した組み合わせ薬剤送達装置のうちの任意のものは、T制御性細胞に対してTエフェクター細胞を選択的に活性化する、ベンペガルデスロイキンのような改変されたIL-2と、PD-1経路阻害剤、例えばニボルマブ(オプジーボ)又はペムブロリズマブ(キイトルーダ)と、LAG3拮抗剤、例えばレラトリマブ又はMK-4280とを含む。一実施形態では、本願で開示した組み合わせ薬剤送達装置のうちの任意のものは、T制御性細胞に対してTエフェクター細胞を選択的に活性化する、ベンペガルデスロイキンのような改変されたIL-2と、CTLA-4拮抗剤、例えばイピリムマブ(ヤーボイ)とを含む。一実施形態では、本願で開示した組み合わせ薬剤送達装置のうちの任意のものは、T制御性細胞に対してTエフェクター細胞を選択的に活性化する、ベンペガルデスロイキンのような改変されたIL-2と、PD-1経路阻害剤、例えばニボルマブ(オプジーボ)又はペムブロリズマブ(キイトルーダ)と、CTLA-4拮抗剤、例えばイピリムマブ(ヤーボイ)とを含む。一実施形態では、本願で開示した組み合わせ薬剤送達装置のうちの任意のものは、T制御性細胞に対してTエフェクター細胞を選択的に活性化する、ベンペガルデスロイキンのような改変されたIL-2と、CTLA-4拮抗剤、例えばイピリムマブ(ヤーボイ)と、LAG3拮抗剤、例えばレラトリマブ又はMK-4280とを含む。一実施形態では、本願で開示した組み合わせ薬剤送達装置のうちの任意のものは、T制御性細胞に対してTエフェクター細胞を選択的に活性化する、ベンペガルデスロイキンのような改変されたIL-2と、PD-1経路阻害剤、例えばニボルマブ(オプジーボ)又はペムブロリズマブ(キイトルーダ)と、CTLA-4拮抗剤、例えばイピリムマブ(ヤーボイ)と、LAG3拮抗剤、例えばレラトリマブ又はMK-4280とを含む。
【0073】
一実施形態では、本願で開示した組み合わせ薬剤送達装置のうちの任意のものに係る薬剤の1つ又は複数は、CD160(NK1)刺激薬である。ある実施形態では、CD160(NK1)刺激薬は、抗CD160抗体又はその抗原結合性フラグメントである。一実施形態では、抗CD160抗体はBY55である。
【0074】
一実施形態では、薬剤モジュール12のうちの1つ又は複数は、可溶性CTLA-4ポリペプチドを含み、これは、例えば、関節リウマチ、若年性特発性関節炎、乾癬性関節炎、移植片対宿主病及び移植拒絶反応のようなT細胞性自己免疫疾患を治療するために有用となりうる。一実施形態では、可溶性CTLA-4ポリペプチドは、アバタセプト(オレンシア)、ベラタセプト(ニューロジックス(登録商標))、RG2077、又はRG-1046である。ある実施形態では、本願において説明する組み合わせ薬剤送達装置の1つ又は複数の薬剤モジュール12は、可溶性CTLA-4ポリペプチド、例えば、アバタセプト(オレンシア)、ブルトン型チロシンキナーゼ阻害剤、例えばブラネブルチニブ(branebrutinib)を含む。ある実施形態では、本願において説明する組み合わせ薬剤送達装置の1つ又は複数の薬剤モジュール12は、可溶性CTLA-4ポリペプチド、例えば、アバタセプト(オレンシア)、チロシンキナーゼ2阻害剤、例えばBMS-986165を含む。ある実施形態では、本願において説明する組み合わせ薬剤送達装置の1つ又は複数の薬剤モジュール12は、可溶性CTLA-4ポリペプチド、例えば、アバタセプト(オレンシア)と、Tエフェクター細胞に対向するT制御性細胞を選択的に活性化するインターロイキン2(IL-2)又は「T-reg IL-2」、例えばBMS-986326及びNKTR-358とを含む。