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特許7573623細胞懸濁液を調製するための装置、方法、およびキット
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-17
(45)【発行日】2024-10-25
(54)【発明の名称】細胞懸濁液を調製するための装置、方法、およびキット
(51)【国際特許分類】
   C12M 3/02 20060101AFI20241018BHJP
   C12M 1/00 20060101ALI20241018BHJP
   C12M 3/08 20060101ALI20241018BHJP
【FI】
C12M3/02
C12M1/00 A
C12M3/08
【請求項の数】 18
(21)【出願番号】P 2022542687
(86)(22)【出願日】2021-06-30
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2023-05-24
(86)【国際出願番号】 US2021039809
(87)【国際公開番号】W WO2022020080
(87)【国際公開日】2022-01-27
【審査請求日】2022-10-18
(31)【優先権主張番号】16/935,977
(32)【優先日】2020-07-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】522277593
【氏名又は名称】アヴィータ・メディカル・インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】AVITA MEDICAL, INC.
(74)【代理人】
【識別番号】100099623
【弁理士】
【氏名又は名称】奥山 尚一
(74)【代理人】
【識別番号】100125380
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 綾子
(74)【代理人】
【識別番号】100142996
【弁理士】
【氏名又は名称】森本 聡二
(74)【代理人】
【識別番号】100166268
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 祐
(74)【代理人】
【識別番号】100169018
【弁理士】
【氏名又は名称】網屋 美湖
(74)【代理人】
【識別番号】100217076
【弁理士】
【氏名又は名称】宅間 邦俊
(72)【発明者】
【氏名】ドーシ,ニラージ
(72)【発明者】
【氏名】バニヤン,ナヴィン
(72)【発明者】
【氏名】フェンシル,デイヴィッド
(72)【発明者】
【氏名】クライカン,マシュー
【審査官】関根 崇
(56)【参考文献】
【文献】特開2014-193415(JP,A)
【文献】特開2005-348666(JP,A)
【文献】特開2015-134356(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C12M 1/00-3/10
C12N 15/00-15/90
C12Q 1/00-3/00
A61F 2/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
細胞懸濁液を調製するためのキットであって、
前記細胞懸濁液を調製するための組織処理方法の第1の部分で使用する第1の容器および前記組織処理方法の第2の部分で使用する第2の容器を規定する装置であり、前記第1の容器を識別する第1のラベルと、前記第2の容器を識別する第2のラベルと、を含む、装置と、
前記装置を受容するように構成されたハウジングであり、
前記組織処理方法の前記第1の部分と関連付けられた第1の一組のコンポーネントを格納するように構成され、前記装置の前記第1のラベルと関連付けられた第1の視覚的インジケータを含む第1のハウジング部と、
前記組織処理方法の前記第2の部分と関連付けられた第2の一組のコンポーネントを格納するように構成され、前記装置の前記第2のラベルと関連付けられた第2の視覚的インジケータを含む第2のハウジング部と、
を含む、ハウジングと、
前記組織処理方法の少なくとも一部の実行に用いられる調製トレイと、
を備え、
前記第1の部分は、酵素混合液を調製することと、前記酵素混合液を前記第1の容器に送達することと、を含み、
前記第2の部分は、バッファを調製することと、前記バッファを前記第2の容器に送達することと、を含み、
前記調製トレイは当該調製トレイの底面に配設された1つまたは複数の収集エリアを含み、前記底面は皮膚組織操作エリアを含み、前記底面は液体が前記皮膚組織操作エリアから前記1つまたは複数の収集エリアに向かう傾斜を有する遷移面に沿って流れるように構成されている、
キット。
【請求項2】
前記底面は、側壁により囲まれ、
前記皮膚組織操作エリアは、テクスチャ加工の表面領域を含む、請求項1に記載のキット。
【請求項3】
前記調製トレイは、前記装置の相補凹状エリアからの取り外しが可能なインサートトレイである、請求項1に記載のキット。
【請求項4】
前記調製トレイの前記底面は、主面と低位面とを含み、前記遷移面は前記主面から前記低位面まで傾斜し、前記主面が前記皮膚組織操作エリアを構成する、請求項1に記載のキット。
【請求項5】
前記調製トレイの前記遷移面の前記傾斜は、0.5度~35度の間である、請求項1に記載のキット。
【請求項6】
前記1つまたは複数の収集エリアは、第1の収集エリア及び第2の収集エリアであり、
前記第1の収集エリア及び前記第2の収集エリアは、前記調製トレイの互いに反対側の端部に配設されている、請求項1に記載のキット。
【請求項7】
前記1つまたは複数の収集エリアは、前記調製トレイの前記底面の長手方向の端部及び前記底面の隅部の少なくとも一方に配置されている、請求項1に記載のキット。
【請求項8】
前記1つまたは複数の収集エリアは、前記調製トレイの前記底面の中央領域に配置されている、請求項1に記載のキット。
【請求項9】
前記遷移面は、前記調製トレイの前記底面の隅部または縁部まで延びている、請求項1に記載のキット。
【請求項10】
前記調製トレイの前記1つまたは複数の収集エリアに、窪みを含む、請求項1に記載のキット。
【請求項11】
前記装置は、前記第1の容器の内容物を加熱するように構成された加熱機構を含む加熱アセンブリを含み、
前記加熱アセンブリは、前記加熱機構が前記内容物を目標温度までの加熱を行っている第1の期間中に、第1のインジケータライトを点灯し、前記加熱機構が前記内容物を前記目標温度に維持している第2の期間中に、第2のインジケータライトを点灯し、前記第2の期間の後、前記第1の容器に熱を供給する動作を自動的に停止するように構成されている、請求項1に記載のキット。
【請求項12】
前記装置は、前記第1及び第2のインジケータライトとの関連付けによって、当該装置の1つまたは複数のステータスを示すように構成された加熱アセンブリインジケータを含む、請求項11に記載のキット。
【請求項13】
前記装置が、前記組織処理方法の第3の部分で使用する第3の容器を規定するとともに、前記第3の容器を識別する第3のラベルを含み、
前記ハウジングが、前記組織処理方法の前記第3の部分と関連付けられた第3の一組のコンポーネントを格納するように構成され、前記装置の前記第3のラベルと関連付けられた第3の視覚的インジケータを含む第3のハウジング部を含み、
前記第3の容器には、細胞ろ過器が入れられており、
前記第3の部分は、前記第1の容器内の酵素混合液に浸された皮膚サンプルを前記第1の容器から取り出し、前記皮膚サンプルを前記調製トレイにて分解することと、前記分解した皮膚サンプルから細胞を含む細胞懸濁液を生成することと、前記細胞懸濁液を前記1つまたは複数の収集エリアから注射器に引き込むことと、を含み、
前記注射器から前記細胞ろ過器を通じて、前記第3の容器に前記細胞懸濁液が分注される、請求項1に記載のキット。
【請求項14】
請求項1から12のいずれか一つに記載の前記キットを用いて前記細胞懸濁液を調製するための方法であって、
前記装置の前記第1の容器に近接して配設された前記第1のラベルと前記第1のハウジング部に含まれる前記第1の視覚的インジケータとの第1の照合を識別することと、
前記第1の照合の識別に応答して、前記第1のハウジング部から前記第1の一組のコンポーネントを取り出し、前記第1の一組のコンポーネントを用いて、前記第1の容器と関連付けられた前記組織処理方法の前記第1の部分を実行することと、
前記装置の前記第2の容器に近接して配設された前記第2のラベルと前記第2のハウジング部に含まれる前記第2の視覚的インジケータとの第2の照合を識別することと、
前記第2の照合の識別に応答して、前記第2のハウジング部から前記第2の一組のコンポーネントを取り出し、前記第2の一組のコンポーネントを用いて、前記第2の容器と関連付けられた前記組織処理方法の前記第2の部分を実行することと、
を含む、方法。
【請求項15】
前記第1の照合の識別に応答して、前記第1のハウジング部を滅菌処置エリアに移動させることをさらに含む、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
前記第2の照合の識別に応答して、前記第2のハウジング部を滅菌処置エリアに移動させることをさらに含む、請求項14に記載の方法。
【請求項17】
前記装置が、前記組織処理方法の第3の部分で使用する第3の容器を規定するとともに、前記第3の容器を識別する第3のラベルを含み、
前記ハウジングが、前記組織処理方法の前記第3の部分と関連付けられた第3の一組のコンポーネントを格納するように構成され、前記装置の前記第3のラベルと関連付けられた第3の視覚的インジケータを含む第3のハウジング部を含み、
前記第3の容器には、細胞ろ過器が入れられており、
前記方法は、
前記装置の前記第3の容器に近接して配設された前記第3のラベルと前記第3のハウジング部に含まれる前記第3の視覚的インジケータとの第3の照合を識別することと、
前記第3の照合の識別に応答して、前記第3のハウジング部から前記第3の一組のコンポーネントを取り出し、前記第3の一組のコンポーネントを用いて、前記第3の部分を実行することと、
をさらに含む、請求項14に記載の方法。
【請求項18】
前記第3の部分は、前記第1の容器内の酵素混合液に浸された皮膚サンプルを前記第1の容器から取り出し、前記皮膚サンプルを前記調製トレイにて分解することと、前記分解した皮膚サンプルから細胞を含む細胞懸濁液を生成することと、前記細胞懸濁液を前記1つまたは複数の収集エリアから注射器に引き込むことと、を含み、
前記注射器から前記細胞ろ過器を通じて、前記第3の容器に前記細胞懸濁液が分注される、請求項17に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は一般的に、細胞懸濁液の調製等、細胞の処理のための装置、方法、およびキットの分野に関する。
【背景技術】
【0002】
細胞懸濁液を患者の組織治療箇所に適用することは、創傷(たとえば、火傷、慢性創傷)、色素異常症等の皮膚疾患に対する効果的な治療として作用し得る。ただし、細胞懸濁液を調製して皮膚表面に塗布する現行の手法は、たとえば作業ステップを完了するのに必要な類似ツールの数およびコンポーネントの総数のため、ユーザエラーおよび非効率性に対して脆弱な場合がある。したがって、細胞懸濁液の調製技術および機器の改良が求められている。
【発明の概要】
【0003】
いくつかの実施形態において、細胞懸濁液を調製するためのキットは、装置およびハウジングを備えていてもよい。装置は、第1の容器および第2の容器を規定していてもよい。装置は、組織処理方法の第1の部分で使用する第1の容器を識別する第1のラベルと、組織処理方法の第2の部分で使用する第2の容器を識別する第2のラベルと、を含んでいてもよい。ハウジングは、装置を受容するように構成されていてもよい。ハウジングは、組織処理方法の第1の部分と関連付けられた第1の一組のコンポーネントを格納するように構成された第1のハウジング部を含んでいてもよい。第1のハウジング部は、装置の第1のラベルと関連付けられた第1の視覚的インジケータを含んでいてもよい。第2のハウジング部は、組織処理方法の第2の部分と関連付けられた第2の一組のコンポーネントを格納するように構成されていてもよい。第2のハウジング部は、装置の第2のラベルと関連付けられた第2の視覚的インジケータを含んでいてもよい。
【0004】
いくつかの実施形態において、細胞懸濁液を調製するための装置用のパッケージングシステムは、第1のハウジング部および第2のハウジング部を備えていてもよい。装置は、第1のラベルを有する第1の容器および第2のラベルを有する第2の容器を含んでいてもよい。第1のハウジング部は、組織処理方法の第1の部分と関連付けられた第1の一組のコンポーネントを受容するように構成された一組の凹部を含んでいてもよい。第1のハウジング部は、装置の第1のラベルと関連付けられた第1の視覚的インジケータを含んでいてもよい。第2のハウジング部は、組織処理方法の第2の部分と関連付けられた第2の一組のコンポーネントを受容するように構成された一組の凹部を含んでいてもよい。第2のハウジング部は、装置の第2のラベルと関連付けられた第2の視覚的インジケータを含んでいてもよい。
【0005】
いくつかの実施形態において、ハウジングにパッケージングされた装置を用いて細胞懸濁液を調製するための方法は、装置の第1の容器に近接して配設された第1のラベルとハウジングの第1のハウジング部に含まれる第1の視覚的インジケータとの第1の照合を識別することを含んでいてもよい。第1の照合の識別に応答して、第1のハウジング部から第1の一組のコンポーネントを取り出し、第1の一組のコンポーネントを用いて、第1の容器と関連付けられた組織処理方法の第1の部分を実行するようにしてもよい。また、装置の第2の容器に近接して配設された第2のラベルとハウジングの第2のハウジング部に含まれる第2の視覚的インジケータとの第2の照合を識別するようにしてもよい。第2の照合の識別に応答して、第2のハウジング部から第2の一組のコンポーネントを取り出し、第2の一組のコンポーネントを用いて、第2の容器と関連付けられた組織処理方法の第2の部分を実行するようにしてもよい。
【0006】
特許または出願ファイルには、少なくとも1つのカラーで作成された図面を含む。カラー図面を伴う本特許または特許出願公開の写しは,請求および必要な手数料の支払いによって,特許庁から提供される。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】一実施形態に係る、細胞懸濁液を調製するためのキットの模式ブロック図である。
図2】一実施形態に係る、細胞懸濁液を調製するためのキットの模式図である。
図3】いくつかの実施形態に係る、ハウジングにパッケージングされた装置を用いて細胞懸濁液を調製するための方法のフロー図である。
図4】一実施形態に係る、細胞懸濁液を調製するためのキットの構成要素を示した図である。
図5】一実施形態に係る、細胞懸濁液を調製するためのキットの構成要素を示した図である。
図6】一実施形態に係る、細胞懸濁液を調製するためのキットの構成要素を示した図である。
図7】一実施形態に係る、細胞懸濁液を調製するためのキットの構成要素を示した図である。
図8】一実施形態に係る、細胞懸濁液を調製するためのキットの構成要素を示した図である。
図9】一実施形態に係る、細胞懸濁液を調製するためのキットの構成要素を示した図である。
図10】一実施形態に係る、細胞懸濁液を調製するためのキットの構成要素を示した図である。
図11】一実施形態に係る、細胞懸濁液を調製するためのキットの構成要素を示した図である。
図12】一実施形態に係る、細胞懸濁液を調製するためのキットの構成要素を示した図である。
図13】一実施形態に係る、細胞懸濁液を調製するためのキットの構成要素を示した図である。
図14】一実施形態に係る、細胞懸濁液を調製するためのキットの構成要素を示した図である。
図15】一実施形態に係る、細胞懸濁液を調製するためのキットの構成要素を示した図である。
図16】一実施形態に係る、細胞懸濁液を調製するためのキットの構成要素を示した図である。
図17】一実施形態に係る、細胞懸濁液を調製するためのキットの構成要素を示した図である。
図18】一実施形態に係る、細胞懸濁液を調製するためのキットの構成要素を示した図である。
図19】一実施形態に係る、細胞懸濁液を調製するためのキットの構成要素を示した図である。
図20】一実施形態に係る、細胞懸濁液を調製するためのキットの構成要素を示した図である。
図21】一実施形態に係る、細胞懸濁液を調製するためのキットの構成要素を示した図である。
図22】一実施形態に係る、細胞懸濁液を調製するためのキットの構成要素を示した図である。
図23】一実施形態に係る、細胞懸濁液を調製するためのキットの構成要素を示した図である。
図24】一実施形態に係る、細胞懸濁液を調製するためのキットの構成要素を示した図である。
図25】一実施形態に係る、調製トレイの斜視図である。
図26】一実施形態に係る、調製トレイの断面図である。
図27】一実施形態に係る、調製トレイの斜視図である。
図28】一実施形態に係る、調製トレイの断面図である。
図29】一実施形態に係る、調製トレイの斜視図である。
図30】一実施形態に係る、調製トレイの断面図である。
図31】一実施形態に係る、調製トレイの斜視図である。
図32】一実施形態に係る、調製トレイの断面図である。
図33】一実施形態に係る、調製トレイの斜視図である。
図34】一実施形態に係る、調製トレイの断面図である。
図35】一実施形態に係る、調製トレイの斜視図である。
図36】一実施形態に係る、調製トレイの斜視図である。
図37】一実施形態に係る、調製トレイの斜視図である。
図38】一実施形態に係る、調製トレイの斜視図である。
図39】一実施形態に係る、調製トレイの一部断面図である。
図40】一実施形態に係る、調製トレイの一部断面図である。
図41】一実施形態に係る、調製トレイの一部断面図である。
図42】一実施形態に係る、細胞懸濁液を調製するためのキットの斜視図である。
図43】一実施形態に係る、細胞懸濁液を調製するためのキットの斜視図である。
図44】一実施形態に係る、細胞懸濁液を調製するためのキットの斜視図である。
図45】一実施形態に係る、輸送用キットをパッケージングするステップの画像である。
図46】一実施形態に係る、輸送用キットをパッケージングするステップの画像である。
図47】一実施形態に係る、輸送用キットをパッケージングするステップの画像である。
図48】一実施形態に係る、輸送用キットをパッケージングするステップの画像である。
図49】一実施形態に係る、輸送用キットをパッケージングするステップの画像である。
図50】一実施形態に係る、輸送用キットをパッケージングするステップの画像である。
図51】一実施形態に係る、輸送用キットをパッケージングするステップの画像である。
図52】一実施形態に係る、輸送用キットをパッケージングするステップの画像である。
図53】一実施形態に係る、輸送用キットをパッケージングするステップの画像である。
図54】一実施形態に係る、輸送用キットをパッケージングするステップの画像である。
図55】一実施形態に係る、輸送用キットをパッケージングするステップの画像である。
図56】一実施形態に係る、輸送用キットをパッケージングするステップの画像である。
図57】一実施形態に係る、輸送用キットをパッケージングするステップの画像である。
図58】一実施形態に係る、輸送用キットをパッケージングするステップの画像である。
図59】一実施形態に係る、細胞懸濁液を調製するための装置の一部の上面図である。
図60A】一実施形態に係る、細胞懸濁液を調製するためのキットのハウジングの分解図(ハウジングライナーを含む)である。
図60B】一実施形態に係る、細胞懸濁液を調製するためのキットのハウジングの平面図(ハウジングライナーを含まない)である。
図61A】一実施形態に係る、細胞懸濁液の調製および/または供給を行うためのキットの基部の斜視図である。
図61B】一実施形態に係る、細胞懸濁液の調製および/または供給を行うためのキットの基部の後面図である。
図61C】一実施形態に係る、細胞懸濁液の調製および/または供給を行うためのキットの基部の平面図である。
図61D】一実施形態に係る、細胞懸濁液の調製および/または供給を行うためのキットの基部の前面図である。
図61E】一実施形態に係る、細胞懸濁液の調製および/または供給を行うためのキットの基部の底面図である。
図61F】一実施形態に係る、細胞懸濁液の調製および/または供給を行うためのキットの基部の左面図である。
図61G】一実施形態に係る、細胞懸濁液の調製および/または供給を行うためのキットの基部の右面図である。
図62A】一実施形態に係る、細胞懸濁液の調製および/または供給を行うためのキットの一体化トレイ部の斜視図である。
図62B】一実施形態に係る、細胞懸濁液の調製および/または供給を行うためのキットの一体化トレイ部の後面図である。
図62C】一実施形態に係る、細胞懸濁液の調製および/または供給を行うためのキットの一体化トレイ部の平面図である。
図62D】一実施形態に係る、細胞懸濁液の調製および/または供給を行うためのキットの一体化トレイ部の前面図である。
図62E】一実施形態に係る、細胞懸濁液の調製および/または供給を行うためのキットの一体化トレイ部の底面図である。
図62F】一実施形態に係る、細胞懸濁液の調製および/または供給を行うためのキットの一体化トレイ部の左面図である。
図62G】一実施形態に係る、細胞懸濁液の調製および/または供給を行うためのキットの一体化トレイ部の右面図である。
図63A】一実施形態に係る、細胞懸濁液の調製および/または供給を行うためのキットのハウジング部の斜視図である。
図63B】一実施形態に係る、細胞懸濁液の調製および/または供給を行うためのキットのハウジング部の後面図である。
図63C】一実施形態に係る、細胞懸濁液の調製および/または供給を行うためのキットのハウジング部の平面図である。
図63D】一実施形態に係る、細胞懸濁液の調製および/または供給を行うためのキットのハウジング部の前面図である。
図63E】一実施形態に係る、細胞懸濁液の調製および/または供給を行うためのキットのハウジング部の底面図である。
図63F】一実施形態に係る、細胞懸濁液の調製および/または供給を行うためのキットのハウジング部の左面図である。
図63G】一実施形態に係る、細胞懸濁液の調製および/または供給を行うためのキットのハウジング部の右面図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
いくつかの実施形態において、細胞懸濁液を調製するためのキットは、装置およびハウジングを備えていてもよい。ハウジングは、たとえば装置の格納および/または移送のための装置パッケージングとして機能するようになっていてもよい。装置は、組織処理方法で使用する1つまたは複数の容器を規定していてもよい。たとえば、装置は、第1の容器および第2の容器を規定していてもよい。装置は、組織処理方法の第1の部分で使用する第1の容器を識別する第1のラベルと、組織処理方法の第2の部分で使用する第2の容器を識別する第2のラベルと、を含んでいてもよい。ハウジングは、装置を受容するように構成されていてもよい。ハウジングは、組織処理方法の第1の部分と関連付けられた第1の一組のコンポーネントを格納するように構成された第1のハウジング部を含んでいてもよい。第1のハウジング部は、装置の第1のラベルと関連付けられた第1の視覚的インジケータを含んでいてもよい。第2のハウジング部は、組織処理方法の第2の部分と関連付けられた第2の一組のコンポーネントを格納するように構成されていてもよい。第2のハウジング部は、装置の第2のラベルと関連付けられた第2の視覚的インジケータを含んでいてもよい。これにより、いくつかの実施形態において、第1のハウジング部は、装置の第1の容器と関連付けられた第1の一組のコンポーネントを含むものとして識別されるようになっていてもよく、第1の一組のコンポーネントおよび装置の第1の容器は、組織処理方法の第1の部分で使用されるようになっていてもよい。同様に、いくつかの実施形態において、第2のハウジング部は、装置の第2の容器と関連付けられた第2の一組のコンポーネントを含むものとして識別されるようになっていてもよく、第2の一組のコンポーネントおよび装置の第2の容器は、組織処理方法の第2の部分で使用されるようになっていてもよい。組織処理方法の他の部分と関連付けられた同様の方法にて、任意好適な数(たとえば、3つ、4つ、またはそれ以上)のハウジング部およびそれぞれの容器が識別され、ラベリングされるようになっていてもよい。また、いくつかの実施形態においては、この追加または代替として、対応するラベルおよび視覚的インジケータにより、1つまたは複数のハウジング部に関連する同様の方法にて、非容器装置の外面(たとえば、表面)がラベリングされ得ることが了解されるものとする。
【0009】
いくつかの実施形態において、細胞懸濁液を調製するための装置用のパッケージングシステムは、第1のハウジング部および第2のハウジング部を備えていてもよい。装置は、第1のラベルを有する第1の容器および第2のラベルを有する第2の容器を含んでいてもよい。第1のハウジング部は、組織処理方法の第1の部分と関連付けられた第1の一組の1つまたは複数のコンポーネントを受容するように構成された一組の1つまたは複数の凹部を規定していてもよい。第1のハウジング部は、装置の第1のラベルと関連付けられた第1の視覚的インジケータを含んでいてもよい(たとえば、これにより、装置の第1の容器と関連付けられたコンポーネントを含むものとして第1のハウジング部を識別するようにしてもよく、このような第1の一組のコンポーネントおよび装置の第1の容器は、組織処理方法の第1の部分で使用されるようになっていてもよい)。第2のハウジング部は、組織処理方法の第2の部分と関連付けられた第2の一組の1つまたは複数のコンポーネントを受容するように構成された一組の1つまたは複数の凹部を規定していてもよい。第2のハウジング部は、装置の第2のラベルと関連付けられた第2の視覚的インジケータを含んでいてもよい(たとえば、これにより、装置の第2の容器と関連付けられたコンポーネントを含むものとして第2のハウジング部を識別するようにしてもよく、このような第2の一組のコンポーネントおよび装置の第2の容器は、組織処理方法の第2の部分で使用されるようになっていてもよい)。組織処理方法の他の部分と関連付けられた同様の方法にて、任意好適な数(たとえば、3つ、4つ、またはそれ以上)のハウジング部およびそれぞれの容器が識別され、ラベリングされるようになっていてもよい。また、いくつかの実施形態においては、この追加または代替として、対応するラベルおよび視覚的インジケータにより、1つまたは複数のハウジング部に関連する同様の方法にて、非容器装置の外面(たとえば、表面)がラベリングされ得ることが了解されるものとする。
【0010】
いくつかの実施形態において、ハウジングにパッケージングされた装置を用いて細胞懸濁液を調製するための方法は、装置の第1の容器に近接して配設された第1のラベルとハウジングの第1のハウジング部に含まれる第1の視覚的インジケータとの第1の照合を識別することを含む。第1の照合の識別に応答して、第1のハウジング部から第1の一組のコンポーネントを取り出し、第1の一組のコンポーネントを用いて、第1の容器と関連付けられた組織処理方法の第1の部分を実行するようにしてもよい。また、装置の第2の容器に近接して配設された第2のラベルとハウジングの第2のハウジング部に含まれる第2の視覚的インジケータとの第2の照合を識別するようにしてもよい。第2の照合の識別に応答して、第2のハウジング部から第2の一組のコンポーネントを取り出し、第2の一組のコンポーネントを用いて、第2の容器と関連付けられた組織処理方法の第2の部分を実行するようにしてもよい。いくつかの実施形態において、この方法は、任意好適な数(たとえば、3つ、4つ、またはそれ以上)のハウジング部とそれぞれの容器との照合を識別することと、同様にこれらのハウジング部からコンポーネントを取り出して、組織処理方法の他の部分に使用することと、を含んでいてもよい。また、いくつかの実施形態においては、この追加または代替として、対応するラベルおよび視覚的インジケータにより、1つまたは複数のハウジング部に関連する同様の方法にて、非容器装置の外面(たとえば、表面)がラベリングされ得ることが了解されるものとする。
【0011】
細胞懸濁液のためのキットおよび装置
図1は、細胞懸濁液を調製するためのキット100の模式図である。キット100は、装置110およびハウジング120を具備する。装置110は、処理ユニットとも称し得る。一般的に、装置110は、以下に詳述する通り、(たとえば、細胞懸濁液を調製するための)組織処理方法に使用する特徴(たとえば、容器、組織操作のための調製トレイ等)を含んでいてもよい。一方、ハウジング120は、装置110および/または装置110が関与する組織処理方法に使用するさまざまなコンポーネント(たとえば、ツール)のパッケージングとして機能するようになっていてもよい。ハウジングおよび装置の付加的な例示的特徴については、以下により詳しく説明する。
【0012】
たとえば、装置110は、第1の容器111および第2の容器113を含んでいてもよい。装置110は、組織処理方法の第1の部分で使用する第1の容器111を識別する第1のラベル112と、組織処理方法の第2の部分で使用する第2の容器113を識別する第2のラベル114と、を含んでいてもよい。
【0013】
ハウジング120は、装置110を受容するように構成されていてもよい。ハウジング120は、第1のハウジング部130および第2のハウジング部140を含んでいてもよい。第1のハウジング部130は、組織処理方法の第1の部分と関連付けられた第1の一組のコンポーネントを格納するように構成されていてもよい。第2のハウジング部140は、組織処理方法の第2の部分と関連付けられた第2の一組のコンポーネントを格納するように構成されていてもよい。第1のハウジング部130は、装置の第1のラベル112と関連付けられた第1の視覚的インジケータ132を含んでいてもよい。第2のハウジング部140は、装置の第2のラベル114と関連付けられた第2の視覚的インジケータ142を含んでいてもよい。第1および第2のハウジング部の一方または両方は、組織処理方法に使用する特定種類のコンポーネント(たとえば、ツール)を受容するようにそれぞれサイズ規定および成形された凹部を含んでいてもよい。
【0014】
いくつかの実施態様において、第1のハウジング部130および第2のハウジング部140は、一体化トレイ部150の一部として一体的に形成されていてもよい。いくつかの実施態様において、ハウジング120は、第1のハウジング部130および第2のハウジング部140を取り出し可能に受容するように構成された一体化トレイ部150を含んでいてもよく、第1のハウジング部130および第2のハウジング部140は、互いに一体的に形成されていてもよいし、異なるトレイ部であってもよい。一体化トレイ部150は、第1のハウジング部130および/または第2のハウジング部140を受容するように構成された1つまたは複数の凹部を規定していてもよい。また、いくつかの実施態様において、一体化トレイ部150は、装置110を受容するように構成された凹部を規定していてもよい。
【0015】
いくつかの実施態様において、第1のハウジング部130および第2のハウジング部140は、互いに取り外し可能に結合されていてもよい。たとえば、いくつかの実施形態において、ハウジング部130および第2のハウジング140は、複数のミシン目(perforations)を分離する(たとえば、引き裂く)ことによって第1のハウジング部130が第2のハウジング部140から分離され得るように、孔付き接続部(a perforated connecting portion)を介して互いに結合されていてもよい。別の例として、いくつかの実施形態においては、1つもしくは複数の締結具(たとえば、接着剤、機械的締結具等)ならびに/または嵌合もしくは連動機構(たとえば、第1のハウジング部130が第1の嵌合機構を含み、第2のハウジング部140が第2の嵌合機構を含んでいてもよく、第1および第2の嵌合機構が相互にスナップフィットあるいは取り外し可能に結合される)によって、ハウジング部130および第2のハウジング140が互いに結合されていてもよい。
【0016】
いくつかの実施態様において、ハウジング120は、第3のハウジング部160を含んでいてもよい。装置110は、第3の容器115を規定していてもよく、また、組織処理方法の第3の部分で使用する第3の容器115を識別する第3のラベル116を含んでいてもよい。第3のハウジング部160は、組織処理方法の第3の部分と関連付けられた第3の一組のコンポーネントを格納するように構成されている。たとえば、いくつかの実施態様において、第3のハウジング部160は、第3の一組のコンポーネントそれぞれの凹部を規定していてもよい。いくつかの実施態様において、第3のハウジング部160は、第3の一組のコンポーネントの各種コンポーネントの凹部を規定していてもよい(たとえば、共通または同一のコンポーネントの部分集合を単一の凹部が受容するように構成されていてもよい)。第3のハウジング部160は、装置の第3のラベル116と関連付けられた第3の視覚的インジケータ162を含んでいてもよい。いくつかの実施態様において、第3のハウジング部160は、(たとえば、第1および第2のハウジング部に関して上述した通り、複数のミシン目(perforations)を分離する(たとえば、引き裂く)ことによって第3のハウジング部160が第1のハウジング部130および/もしくは第2のハウジング部140から分離され得るように、孔付き接続部(a perforated connecting portion)を介して、ならびに/または、1つもしくは複数の締結具、嵌合、もしくは連動機構を介して)第1のハウジング部130および/または第2のハウジング部140に対して取り外し可能に結合されていてもよい。いくつかの実施形態において、ハウジング120は、その他任意の好適な数(たとえば、2つ、3つ、4つ、5つ、またはそれ以上)のハウジング部を備えていてもよく、組織処理方法のそれぞれの部分で使用する装置の外面の各ラベルにそれぞれの視覚的インジケータが対応することが了解されるものとする。
【0017】
いくつかの実施態様において、ハウジング120は、図1に示す第1のハウジング部130、第2のハウジング部140、および第3のハウジング部160等のさまざまなハウジング部を受容するように構成された基部170を含んでいてもよい。基部170は、第1のハウジング部130、第2のハウジング部140、および第3のハウジング部160のほか、装置110を受容するように構成されていてもよい。いくつかの実施態様において、基部170は、一体化トレイ部150(たとえば、第1のハウジング部130、第2のハウジング部140、および装置110を含む一体化トレイ部150)ならびに第3のハウジング部160を受容するように構成されていてもよい。たとえば、基部170は、一体化トレイ部150を受容するように構成された第1の凹部と、第3のハウジング部160を受容するように構成された第2の凹部と、を規定していてもよい。したがって、いくつかの実施形態においては、一体化トレイ部150(第1のハウジング部130、第2のハウジング部140、および装置110を含む)ならびに第3のハウジング部160がそれぞれ、基部170から個別に取り出されることにより、ユーザが一体化トレイ部150および装置110を基部から容易かつ効率的に取り出して、第3のハウジング部160とは別個のエリアに取っておけるようになっていてもよい。
【0018】
いくつかの実施態様において、ハウジング120は、基部170(たとえば、一体化トレイ部150および第3のハウジング部160を含む基部170)を配設可能なボックス108または他の好適な筐体を具備していてもよい。ボックス108は、たとえばハウジング120のその他の部分(たとえば、トレイ等)を部分的または全体的に囲む好適な筐体への折り畳みおよび/またはそれ以外の固定がなされた厚紙を含んでいてもよい。いくつかの実施態様において、ボックス108(または、内部に配置されたボックスインサート)は、バイアル凹部180を規定していてもよい。バイアル凹部180は、引き抜きタブ、インサート、または他の構造物に配置されていてもよく、また、酵素を含むバイアル(たとえば、滅菌パウチに配設された酵素バイアル)を受容するように構成されていてもよい。酵素は、以下により詳しく説明する通り、たとえば、組織を化学的に分解するのに適し得る。いくつかの実施態様において、ハウジング120は、第1のハウジング部130、第2のハウジング部140、装置110、および任意選択としての第3のハウジング部160からバイアル凹部180を分離する仕切りを具備していてもよい。たとえば、仕切りは、基部170からバイアル凹部180を分離していてもよい。バイアル凹部180は、たとえばハウジング120のその他の部分の滅菌(または、少なくとも装置110の滅菌)とは別個の酵素バイアルの滅菌を可能にし得る。したがって、酵素バイアルおよびハウジング120のその他の部分(たとえば、装置110)には、異なる滅菌プロセスが用いられるようになっていてもよい。そのような別個の滅菌プロセスは、たとえば酵素または装置110の損傷または他の破損を回避するのに役立ち得る。たとえば、いくつかの実施態様において、酵素は、エチレンオキシド滅菌を受けた場合に破損のリスクの可能性がある一方、装置110(プロセッサおよび/または他の電子機器を具備していてもよい)は、ガンマ線放射滅菌を受けた場合に破損のリスクの可能性がある。したがって、酵素バイアルおよび装置110はそれぞれ、滅菌コンポーネントの破損のリスクを低減する各滅菌プロセスを受けるようにしてもよい。たとえば、(たとえば、装置110の)電子機器を含むハウジング120の部分が(たとえば、エチレンオキシドによる)第1の滅菌プロセスにより滅菌される一方、酵素バイアルは、ハウジング120のバイアル凹部180に挿入される前に、(たとえば、ガンマ線放射による)第2の滅菌プロセスにより別個に滅菌されるようになっていてもよい。いくつかの実施形態において、滅菌酵素バイアルは、バイアル凹部180に置かれる前に、滅菌パウチに入れられるようになっていてもよい。そして、組織処理方法の第1の部分の前またはその初期ステップに、滅菌パウチ内の酵素バイアルがバイアル凹部180から取り出され、酵素バイアルが滅菌パウチから取り出され、酵素バイアルが第1のハウジング部130内の第1の一組のコンポーネントとともに(たとえば、滅菌野の近傍または滅菌野内の作業スペースへと)移送され得るように、酵素バイアルは、第1のハウジング部130中に規定された酵素バイアル凹部内に配設されるようになっていてもよい。
【0019】
いくつかの実施態様において、装置110が組織処理方法の実行に使用可能となるように、装置110は、任意の好適な特徴または構成要素を含んでいてもよい。たとえば、装置110は、側壁に囲まれた皮膚組織操作エリアを含んでいてもよい。皮膚組織操作エリアは、任意選択として、テクスチャ加工の表面領域を含んでいてもよい。いくつかの実施態様において、装置110は、組織処理方法の少なくとも一部の実行に用いられる(たとえば、組織処理方法の第2の部分および/または第3の部分において用いられる)調製トレイを具備していてもよい。調製トレイは、装置110の相補凹状エリアからの取り出し(たとえば、スロットからの持ち上げ、取り出し等)が可能なインサートトレイであってもよい。あるいは、いくつかの実施形態において、調製トレイは、装置110と一体的に形成されていてもよく、たとえば、装置110の基部構造内の領域として一体的に形成されていてもよい。さらに、いくつかの実施形態において、調製トレイは、1つまたは複数のスナップオフコネクタ片、ミシン目(穿孔、perforations)、解放式嵌合機構、除去可能な接着剤(たとえば、テープ)等により、装置110に対して取り外し可能に結合されていてもよい。いくつかの実施態様において、調製トレイは、皮膚組織操作エリアおよび周囲の側壁を含んでいてもよい。いくつかの実施態様において、調製トレイは、皮膚組織操作エリアを含む当該調製トレイの底面の他の部分に対して配設された1つまたは複数の収集エリアを含むことにより、当該調製トレイの皮膚組織操作エリアから収集エリア側および/または収集エリア内へと流体が流れるようになっていてもよい。
【0020】
いくつかの実施態様において、皮膚組織操作エリアは、滑らかな平面であってもよい。いくつかの実施態様において、皮膚組織操作エリアは、収集エリア(たとえば、フィルタを含む収集エリア)または第3の容器115に向かって、1つまたは複数の窪み、隆起、斜面、傾斜、または経路(たとえば、吐出口)を含んでいてもよいし、規定していてもよい。いくつかの実施態様においては、調製トレイの少なくとも一部(たとえば、皮膚組織操作エリア)が(たとえば、プラスチック射出成形による皮膚組織操作エリアの含浸によって)抗菌性材料で少なくとも部分的に形成されていてもよい。追加または代替として、調製トレイの少なくとも一部(たとえば、皮膚組織操作エリア)が調製トレイの表面に塗布された抗菌性被膜を含んでいてもよい。たとえば、調製トレイは、スルホンアミド系薬剤、トリメトプリム系、キノロン系、および/またはニトロフラン系等の1つまたは複数の抗菌剤を含んでいてもよい。別の例として、調製トレイは、追加または代替として、抗菌ナノ技術または他の抗菌技術(たとえば、銀ナノ粒子、フェノール、ポリビグアニド(たとえば、ポリヘキサメチレンビグアニド(PHMB))、キトサン、および/またはハラミン(たとえば、N-ハラミン))を含んでいてもよい。別の例として、調製トレイは、被膜中、結合(たとえば、共有結合、イオン結合)による付着、および/またはマトリックス中等、1つまたは複数の抗生物質(たとえば、ミノサイクリン、リファンピン、バンコマイシン、スルファジアジン銀、セフタジジム移植物、ゲンタマイシン移植物等)を含んでいてもよい。別の例として、調製トレイは、追加または代替として、1つまたは複数の他の好適な制菌性または他の抗菌性被膜または物質(たとえば、オルガノシロキサン)を含んでいてもよい。別の例として、調製トレイは、追加または代替として、含浸および/または被覆による1つまたは複数の消毒剤(たとえば、クロルヘキシジン)を含んでいてもよい。さらに、調製トレイは、追加または代替として、当該調製トレイの材料への組み込みおよび/または被膜等による1つまたは複数の貴金属(たとえば、銀塩、イオン、錯体、および/またはナノ構造の銀、金、銅、またはパラジウム等)を含んでいてもよい。追加または代替として、調製トレイは、1つまたは複数の抗生物質または他の抗菌物質と相乗的に作用するように機能するメチレンブルーおよび/またはフェノチアジン等の1つまたは複数の非抗生物質を(含浸および/または被覆により)含んでいてもよい。
【0021】
いくつかの実施態様において、装置110は、第1の容器111の内容物を加熱するように構成された加熱アセンブリを具備していてもよい。加熱アセンブリは、任意の好適な加熱機構、エネルギー貯蔵装置、インジケータライト(たとえば、LED)、1つもしくは複数の起動ボタン、ならびに/または関連する電子機器を具備していてもよい。たとえば、加熱アセンブリは、当該加熱アセンブリのボタンを押すことで起動されるように構成されていてもよい。加熱アセンブリは、加熱機構が目標温度または目標温度範囲までの加熱を行っている第1の期間に第1のインジケータライトを点灯するように構成されていてもよい。いくつかの実施態様において、加熱アセンブリは、加熱機構が目標温度または目標温度範囲内で動作している第2の期間に第2のインジケータライトを点灯するようにしてもよい。いくつかの実施態様において、加熱アセンブリは、第1の容器111および/または第1の容器111の内容物が目標温度または目標温度範囲内である期間に第2のインジケータライトを点灯するようにしてもよい。いくつかの実施態様において、加熱アセンブリは、加熱機構が第1の容器111の内容物を目標温度または目標範囲内に保つように能動的に動作していることを示すため、第1のインジケータライトを点灯することにより、第1のインジケータライトが周期的または断続的にオン・オフするようにしてもよい。加熱アセンブリは、第1の容器111の温度を第1の期間(たとえば、15分間、20分間、または60分間)にわたって維持するように構成されていてもよい。第1の期間の後、加熱アセンブリは、第2の期間(たとえば、15分間)にわたって、温度を目標温度または目標範囲内に維持し続けるように構成されていてもよい。いくつかの実施態様において、加熱アセンブリは、第2の期間中の周期的間隔(たとえば、毎分1回)で可聴指示を与えるように構成されたアラーム(たとえば、可聴アラーム)を具備していてもよい。いくつかの実施態様において、第1の期間または第2の期間の後、加熱アセンブリは、第1の容器111に熱を供給する動作を自動的に停止するようにしてもよい。
【0022】
いくつかの実施態様において、第1の一組のコンポーネントは、ある体積の水(たとえば、滅菌水)を含むバイアル、針、および/または酵素注射器を含んでいてもよい。たとえば、注射器は、10mlまたは任意の好適な容量の注射器であってもよい。針は、(たとえば、スナップフィット、螺合、他の好適な締結具等によって)注射器に結合されるように構成されていてもよい。いくつかの実施態様において、第1の一組のコンポーネントは、細胞ろ過器を含んでいてもよい。いくつかの実施態様において、第1の一組のコンポーネントは、酵素バイアルを含んでいてもよい。第1のハウジング部130は、第1の一組のコンポーネントそれぞれと関連付けられ、第1の一組のコンポーネントそれぞれの形状を補完するように成形された凹部を規定していてもよい。
【0023】
いくつかの実施態様において、第2の一組のコンポーネントは、バッファバイアル(buffer vial)、針、および/またはバッファ注射器を含んでいてもよい。いくつかの実施態様において、第2の一組のコンポーネントは、第1のバッファバイアル、第2のバッファバイアル、針、第1の注射器(たとえば、バッファの移動を目的とした注射器)、第2の注射器(たとえば、未ろ過懸濁液の移動を目的とした注射器)、および2つの手術用メスを含んでいてもよい。第1の注射器および第2の注射器はそれぞれ、たとえば10mlまたは任意の好適な容量の注射器であってもよい。充填針は、たとえば尖っていない充填針であってもよい。手術用メスは、使い捨てであってもよい。第1のバッファバイアルは、たとえば10mlまたは任意の好適な体積のバッファを含んでいてもよい。第2のバッファバイアルは、たとえば30mlまたは任意の好適な体積のバッファを含んでいてもよい。第2のハウジング部140は、第2の一組のコンポーネントそれぞれまたは同一コンポーネントの部分集合と関連付けられ、第2の一組のコンポーネントそれぞれまたは同一コンポーネントの部分集合の形状を補完するように成形された凹部を規定していてもよい。
【0024】
いくつかの実施態様において、第3の一組のコンポーネントは、バッファバイアル、細胞ろ過器、一組の皮膚細胞注射器、一組の針、未ろ過懸濁液注射器、一組の噴霧ノズル、および一対のメスを含んでいてもよい。たとえば、一組の皮膚細胞注射器は、4つの皮膚細胞注射器(たとえば、10mlの注射器)を含んでいてもよい。一組の針は、4本または任意の好適な数の針(たとえば、尖っていない充填針)を含んでいてもよい。一組の噴霧ノズルは、4つの噴霧ノズルを含んでいてもよい。各皮膚細胞注射器は、(たとえば、片手操作で)一組の針のうちの1本あるいは、代替として、一組の噴霧ノズルのうちの1つに結合されていてもよい。バッファバイアルは、たとえば30mlまたは他の好適な体積のバッファを含んでいてもよい。いくつかの実施態様において、第3の一組のコンポーネントは、一組の皮膚細胞注射器、一組の針、および一組の噴霧ノズルを含んでいてもよい。第3のハウジング部160は、第2の一組のコンポーネントそれぞれまたは同一コンポーネントの部分集合と関連付けられ、第2の一組のコンポーネントそれぞれまたは同一コンポーネントの部分集合の形状を補完するように成形された凹部を規定していてもよい。
【0025】
ハウジング120の視覚的インジケータおよび装置110の外面のラベルは、任意の好適な様態で対応していてもよい。いくつかの実施態様において、第1のラベル112および第1の視覚的インジケータ132はいずれも、「A」等の同じ英数文字(たとえば、A、B、C、1、2、3等)を含んでいてもよい。いくつかの実施態様において、第1のラベル112および第1の視覚的インジケータ132はいずれも、上記の追加または代替として、青色等の同じ色(たとえば、赤色、橙色、黄色、緑色、青色、紫色等)を含んでいてもよい。いくつかの実施態様において、第1のラベル112および第1の視覚的インジケータ132はいずれも、追加または代替として、幾何学的記号(たとえば、円形、楕円形、三角形、正方形、長方形等)、句読点、または他の一意の記号等(たとえば、波線、ジグザグ線等)の同じ記号を含んでいてもよい。いくつかの実施態様において、第1のラベル112および第1の視覚的インジケータ132はいずれも、文字、色、数字、および/または記号の同じ組み合わせを含んでいてもよい。
【0026】
同様に、いくつかの実施態様において、第2のラベル114および第2の視覚的インジケータ142は、第1のラベル112および第1の視覚的インジケータ132に関して上述したのと同様に、同じ英数文字、色、および/または記号を含んでいてもよい。たとえば、第2のラベル114および第2の視覚的インジケータ142はいずれも、同じ英数文字(たとえば、B)を含んでいてもよい。いくつかの実施態様において、第2のラベル114および第2の視覚的インジケータ142はいずれも、同じ色(たとえば、灰色)を含んでいてもよい。いくつかの実施態様において、第2のラベル114および第2の視覚的インジケータ142はいずれも、同じ記号を含む。いくつかの実施態様において、第2のラベル114および第2の視覚的インジケータ142はいずれも、(たとえば、第1のラベル112および第1の視覚的インジケータ132の共通の文字、色、数字、または記号とは異なる)文字、色、数字、および/または記号の同じ組み合わせを含む。
【0027】
同様に、いくつかの実施態様において、第3のラベル116および第3の視覚的インジケータ162は、第1のラベル112および第1のインジケータ132に関して上述したのと同様に、同じ英数文字、色、および/または記号を含んでいてもよい。たとえば、第3のラベル116および第3の視覚的インジケータ162はいずれも、同じ英数文字(たとえば、C)を含んでいてもよい。いくつかの実施態様において、第3のラベル116および第3の視覚的インジケータ162はいずれも、同じ色(たとえば、緑色)を含んでいてもよい。いくつかの実施態様において、第3のラベル116および第3の視覚的インジケータ162はいずれも、同じ数字(たとえば、3)を含んでいてもよい。いくつかの実施態様において、第3のラベル116および第3の視覚的インジケータ162はいずれも、同じ記号を含んでいてもよい。いくつかの実施態様において、第3のラベル116および第3の視覚的インジケータ162はいずれも、(たとえば、第1のラベル112および第1の視覚的インジケータ132の共通の文字、色、数字、または記号と異なり、第2のラベル114および第2の視覚的インジケータ142の共通の文字、色、数字、または記号とも異なる)文字、色、数字、および/または記号の同じ組み合わせを含んでいてもよい。
【0028】
本明細書に記載の視覚的インジケータのいずれかが、装置110の各外面(たとえば、対応するハウジング部と同様にラベリングされた各外面)および/または組織を処理する方法の各部分に対応するものとしてハウジング部(および、内部に含まれるコンポーネント)を一意に識別するテクスチャ形体またはパターニング(たとえば、バンプ、ウェル、リブ、凹部)等、他の好適な形態を有し得ることが了解されるものとする。追加または代替として、ハウジング部に含まれるコンポーネントの一部または全部は、装置110の各外面および/または組織を処理する方法の各部分に対応するものとして、個別に識別されるようになっていてもよい。たとえば、コンポーネントの一部または全部は、ハウジング部に関して上述したのと同様に(たとえば、英数字、色、記号、テクスチャ等の視覚的インジケータで)ラベリングされたハンドルを含んでいてもよい。
【0029】
いくつかの実施形態においては、ハウジング120の少なくとも一部(たとえば、凹部を含むハウジング部)が少なくとも部分的に、射出成形、またはフライス加工、3D印刷、折り畳み等の他の好適なプロセスを通じて形成されていてもよい。また、ハウジング120の少なくとも一部が好適な剛性材料または半剛性材料(たとえば、プラスチック、金属、厚紙等)を含んでいてもよい。たとえば、第1のハウジング部130、第2のハウジング部140、任意選択としての第3のハウジング部160、任意選択としての一体化トレイ部150、任意選択としての基部170、および任意選択としてのボックス108はそれぞれ、任意の好適な材料で形成されていてもよい。たとえば、第1のハウジング部130、第2のハウジング部140、および第3のハウジング部160はそれぞれ、プラスチック(たとえば、半透明または透明のプラスチック)で形成されていてもよい。一体化トレイ部150および基部170はそれぞれ、プラスチック(たとえば、半透明のプラスチック)で形成されていてもよい。ボックス108は、厚紙で形成されていてもよいし、他の好適な剛性材料または半剛性材料で形成されていてもよい。いくつかの実施態様においては、単一の滅菌方法(たとえば、エチレンオキシド滅菌)によって、キット100の1つまたは複数のコンポーネントが滅菌されていてもよい。
【0030】
図60Aおよび図60Bは、細胞懸濁液の調製および/または適用のためのキット用のパッケージングシステムの例示的な一実施形態を詳しく示したものである。具体的に、図60Aおよび図60Bは、基部、一体化トレイ部(視覚的インジケータ「A」および「B」を伴う第1および第2のハウジング部のほか、装置凹部を含む)、ならびに視覚的インジケータ「C」を伴う第3のハウジング部を含むハウジングの例示的なアセンブリを示している。第1、第2、第3のハウジング部はそれぞれ、細胞懸濁液の調製および/または適用のための方法の第1、第2、および第3の部分に使用する第1、第2、および第3のさまざまなコンポーネントをスナップフィットで受容する凹部を含む。図60Aは、第1および第2のハウジング部の上方に配置されるように構成されたハウジングライナーを備えたアセンブリの分解図である一方、図60Bは、ハウジングライナーを除いたアセンブリを示している。
【0031】
図61A図61Gは、図60Aおよび図60Bに示す例示的なハウジングアセンブリの基部を詳しく示したものである。具体的に、図61A図61Gはそれぞれ、細胞懸濁液の調製および/または供給のためのキットの基部の斜視図、後面図、平面図、前面図、底面図、左面図、および右面図である。
【0032】
図62A図62Gは、図60Aおよび図60Bに示す例示的なハウジングアセンブリの一体化トレイ部を詳しく示したものである。具体的に、図62A図62Gはそれぞれ、細胞懸濁液の調製および/または供給のためのキットの一体化トレイ部の斜視図、後面図、平面図、前面図、底面図、左面図、および右面図である。
【0033】
図63A図63Gは、図60Aおよび図60Bに示す例示的なハウジングアセンブリの第3のハウジング部を詳しく示したものである。具体的に、図63A図63Bはそれぞれ、細胞懸濁液の調製および/または供給のためのキットの第3のハウジング部の斜視図、後面図、平面図、前面図、底面図、左面図、および右面図である。
【0034】
細胞懸濁液の調製および適用のための方法
上述のようなキットおよび装置の使用によって、細胞懸濁液の調製および適用のための方法等の組織処理方法を実行するようにしてもよい。以下、このような方法の例示的な変形例を説明する。
【0035】
上述の通り、組織処理方法は、第1の部分、第2の部分、および任意選択としての第3の部分を含んでいてもよい。組織処理方法の第1の部分、第2の部分、および第3の部分のうちの1つを実行する前に、ユーザは、第1のハウジング部130、第2のハウジング部140、および任意選択としての第3のハウジング部160のいずれが組織処理方法の特定の部分と関連付けられているかを識別するようにしてもよい。たとえば、ユーザは、これを行うため、第1のラベル112、第2のラベル114、および第3のラベル116のうちの1つと第1の視覚的インジケータ132、第2の視覚的インジケータ142、および第3の視覚的インジケータ162のうちの1つとの照合を少なくとも部分的に識別するようにしてもよい。たとえば、ユーザは、装置110を見て、第1の容器111と関連付けられた第1のラベル112を識別した後、第1のハウジング部130、第2のハウジング部140、および第3のハウジング部160の中で対応する第1の視覚的インジケータ132を識別しようとしてもよい。第1の視覚的インジケータ132が第1のハウジング部130と関連付けられている旨の識別により、ユーザは、第1のハウジング部130の凹部に格納された第1の一組のコンポーネントを用いて、組織処理方法の第1の部分を開始するようにしてもよい。第2の容器113に関する同様の手順に続き、第2の容器113と関連付けられた第2のラベル114に対応する第2の視覚的インジケータ142を第2のハウジング部140が含む旨の識別により、ユーザは、第2のハウジング部140の凹部に格納された第2の一組のコンポーネントを用いて、組織処理方法の第2の部分を開始するようにしてもよい。第3の容器115に関する同様の手順に続き、第3の容器115と関連付けられた第3のラベル116に対応する第3の視覚的インジケータ162を第3のハウジング部160が含む旨の識別によりより、ユーザは、第3のハウジング部160の凹部に格納された第3の一組のコンポーネントを用いて、組織処理方法の第3の部分を開始するようにしてもよい。
【0036】
いくつかの実施態様において、組織処理方法の第1の部分は、組織処理方法のための酵素混合物を調製することと、酵素混合物を第1の容器111に送達することと、を含んでいてもよい。たとえば、第1のハウジング部130は、目的とする作業スペースへ(たとえば、ボックス108および/または一体化トレイ部150から滅菌野またはその近傍へ)移動するようになっていてもよい。酵素バイアルのカバーを第1のハウジング部の酵素バイアル凹部から取り外し、バイアルのダイヤフラムを任意選択として、滅菌アルコールワイプで拭いて乾燥させ得るようにしてもよい。(たとえば、第1の一組のコンポーネントの)針を第1の一組のコンポーネントの注射器に流体結合していてもよい。第1の一組のコンポーネントの針を(たとえば、第1の一組のコンポーネントの)水バイアルの内部に挿入し、ある体積の水(たとえば、水バイアルの全体積)を水バイアルから注射器に引き込むようにしてもよい。ある体積の水(たとえば、注射器中の全体積の水)を注射器から酵素バイアルの内部に注入した後、酵素が水に溶解して酵素混合物を形成するまで、静かに(たとえば、泡立ちを回避するため振らずに)混合するようにしてもよい。また、酵素混合物を注射器に引き戻すようにしてもよい。その後、酵素混合物を装置110の第1の容器111に分注するようにしてもよい。注射器および針は、廃棄してもよい。
【0037】
いくつかの実施態様において、組織処理方法の第2の部分は、組織処理方法のためのバッファを調製すること(たとえば、バッファバイアルからある体積のバッファを引き出して第2の容器113に送達すること)を含んでいてもよい。第2の一組のコンポーネントの部分集合が作業スペースの非滅菌調製エリアから滅菌野に移動するようになっていてもよい。滅菌野においては、(たとえば、第2の一組のコンポーネントの)空のバッファ注射器が任意選択として「バッファ」とマーキングされていてもよく、空の未ろ過懸濁液注射器(たとえば、第2の一組のコンポーネントに含まれる場合)が任意選択として「未ろ過懸濁液」とマーキングされていてもよい。未ろ過懸濁液注射器が第3の一組のコンポーネントに含まれる実施態様において、未ろ過懸濁液は、組織処理方法の第2の部分においては取り扱われない。非滅菌調製エリアにおいては、カバーを(たとえば、第2の一組のコンポーネントの)バッファバイアルから取り外し、バッファバイアルのダイヤフラムを任意選択として、滅菌アルコールワイプで拭いて乾燥させ得るようにしてもよい。滅菌野においては、(たとえば、第2の一組のコンポーネントの)針をバッファ注射器に結合していてもよい。非滅菌調製エリアにおいては、滅菌野のユーザがバッファバイアルからある体積のバッファを引き出せるように、バッファバイアルを配置していてもよい。滅菌野のユーザは、針の自由端をバッファバイアルの内部に配設するようにしてもよく、ある体積のバッファ(たとえば、全体積のバッファ)を注射器に引き込むようにしてもよい。滅菌野においては、ある体積のバッファを装置110の第2の容器113に分注するようにしてもよい。また、針が取り付けられた注射器を滅菌野内に取っておいてもよい。
【0038】
いくつかの実施態様において、組織処理方法の第3の部分は、細胞懸濁液の患者への送達を準備すること(たとえば、皮膚サンプルを分解し、分解した皮膚サンプルからの細胞を含む細胞懸濁液を生成し、細胞懸濁液を皮膚細胞注射器に引き込むこと)を含んでいてもよい。(たとえば、第3の一組のコンポーネントからの)一組の皮膚細胞注射器(たとえば、4つの皮膚細胞注射器)、一組の針、および一組の噴霧ノズルを(たとえば、第3のハウジング部160内または第3のハウジング部160から取り出された後で)滅菌野に配設するようにしてもよい。患者の創傷床を準備するようにしてもよい。たとえば、創傷床を清浄化し、(たとえば、回転ダイヤモンドヘッドバリ取り、レーザアブレーション、鋭的剥離、または他の代替技術により)血管形成するようにしてもよい。また、予防的な抗生物質の任意選択的な投与ならびに/または組織処理方法もしくは手順のおよそ48時間前の創傷の消毒を行うようにしてもよい。壊死した組織をすべて除去し、点状出血を観察するようにしてもよい。患者のドナー部位(a donor site)で点状出血が発生するように、ドナー部位から皮膚サンプルを抽出するようにしてもよい。皮膚サンプルは、およそ0.15~0.20mm厚であってもよい。皮膚サンプルは、薄い分割厚の皮膚サンプルであってもよい。いくつかの実施態様においては、皮膚サンプルの取り出しに採皮刀または類似の装置を使用するようにしてもよい。
【0039】
いくつかの実施形態においては、皮膚サンプルの面積が推定細胞懸濁液体積および/または皮膚治療面積に相関していてもよい。たとえば、いくつかの実施形態においては、細胞懸濁液を調製するためのキット100を用いて、1平方センチメートルの皮膚サンプルから1mlの細胞懸濁液を生成するようにしてもよい。1ミリリットルの細胞懸濁液は、およそ10cm~およそ100cm、およそ25cm~およそ100cm、およそ50cm~およそ100cm、または最大およそ25cm、最大およそ50cm、最大およそ75cm、もしくは最大およそ100cmの治療面積に配設するようにしてもよい。たとえば、いくつかの実施形態においては、1ミリリットルの細胞懸濁液を最大およそ80cm(たとえば、最大およそ1:80の膨張比を可能にする)の治療面積に配設するようにしてもよい。このため、6cmの皮膚サンプルからおよそ6mlの細胞懸濁液が得られる可能性がある。各キット100は、最大4つの6cmの皮膚サンプルを処理することにより、最大24mlの細胞懸濁液を生成するようにしてもよい。24mlの細胞懸濁液は、最大約1,920cmの治療面積の治療に使用可能である。たとえば、表1は、キット100を用いて多様な治療面積サイズを治療するのに得られる皮膚サンプルのサイズを含むが、これらはほんの一例に過ぎない。
【0040】
【表1】
【0041】
装置110を用いて、第1の容器111の酵素混合物を(たとえば、上述の装置110の加熱アセンブリにより)加熱するようにしてもよい。たとえば、装置110上の起動ボタンの押下により、第1の容器111の酵素混合物の加熱を開始するようにしてもよい。酵素混合物が目標温度まで加熱された場合は、第1のライトインジケータ(たとえば、橙色の暖色系のライト)が点灯するようになっていてもよい。酵素混合物が目標温度に達すると、第2のライトインジケータ(たとえば、緑色の確認用ライト)が点灯するようになっていてもよい。いくつかの実施態様において、目標温度までの酵素混合物の加熱は、およそ3分間または他の好適な期間に実現されるようになっていてもよい。いくつかの実施態様において、第1のライトインジケータは、酵素混合物の温度を維持するように加熱要素が断続的または周期的に起動されたことを示すため、短時間点滅するようになっていてもよい。
【0042】
1つまたは複数の皮膚サンプル(たとえば、それぞれが6cm以下のサイズを有する2つの皮膚サンプル)を第1の容器111に入れ、酵素混合物がタンパク質間相互作用を分解し得るように、第1の期間にわたって加熱された酵素混合物に浸すようにしてもよい。第1の期間は、たとえばおよそ15分間~およそ20分間であってもよい。厚い皮膚サンプルほど、長い期間(たとえば、最大60分間)にわたって培養するようにしてもよい。いくつかの実施態様においては、5分ごと、10分ごと、15分ごと、20分ごと、30分ごと等に、装置110の聴覚的および/または視覚的アラームが通知を与えるようになっていてもよい。追加または代替としては、第1の期間の完了後(たとえば、およそ15分間~およそ20分間)等の異なる頻度で聴覚的および/または視覚的アラームが通知を与えた後、第2の期間にわたって、周期的間隔(たとえば、毎分、毎5分)の経過を示すようにしてもよい。一定の時間の後(たとえば、15分後、30分後、60分後等)には、装置110が停止することにより、加熱アセンブリが酵素混合物の加熱を停止するようになっていてもよい。聴覚的アラームの例としては、効果音(ビープ音、トーン等)、音声による時間表示(たとえば、「15分」)、および音声による指示(たとえば、「サンプル取り出し」または「サンプル確認」)等が挙げられる。視覚的アラームの例としては、ライト(たとえば、LED)の起動および(たとえば、装置110上の)テキスト通知が挙げられる。これらの通知を伝えるアラームは、任意の好適な形態(たとえば、聴覚、視覚、触覚等)であってもよいこと、および/または、通知を与えるサードパーティ装置(たとえば、モニター画面、モバイルコンピュータ装置)に伝達されるようになっていてもよいことが了解されるものとする。
【0043】
いくつかの実施態様においては、組織処理方法の第2の部分の少なくとも一部を組織処理方法の第3の部分と同時に実行するようにしてもよい。たとえば、第1の容器111の酵素混合物において皮膚サンプルを培養する間に、バッファを第2の容器113に送達するようにしてもよい。
【0044】
加熱された酵素混合物から皮膚サンプルを取り出し、真皮側を下にして装置110の調製トレイに載置するようにしてもよい。たとえば、第3の一組のコンポーネントの滅菌鉗子またはメスの使用により、第1の容器111から皮膚サンプルを取り出して、調製トレイに載置するようにしてもよい。各皮膚サンプルの表皮縁部をメスで軽く擦過し、細胞が分解するか(たとえば、表皮細胞が容易に分離するか)をテストするようにしてもよい。細胞が分解する場合は、擦過を終えるようにしてもよい。細胞が分解しない場合は、皮膚サンプルをある期間(たとえば、およそ5~10分間)にわたって加熱酵素混合物に戻した後、取り出して追加で擦過テストを行うことにより、細胞が分解するかを判定するようにしてもよい。細胞の擦過が自由にできる場合は、皮膚サンプルを第2の容器113に入れ、バッファに浸して、皮膚サンプルに残留した酵素混合物を洗い流すようにしてもよい。また、分解テストを通過した後は、必要に応じて、第2の培養皮膚サンプルを第2の容器113に入れるようにしてもよい。第3の皮膚サンプルおよび/または第4の皮膚サンプルの処理が望ましい場合は、第2の容器113における第1および第2の皮膚サンプルの洗浄中に、第3の皮膚サンプルおよび第4の皮膚サンプルそれぞれを第1の容器111に入れ、酵素混合物に浸すようにしてもよい。
【0045】
(たとえば、第3の一組のコンポーネントの)第2のバッファバイアルから第2の一組のコンポーネントのバッファ注射器にある体積のバッファを引き込むようにしてもよい。ある体積のバッファには、たとえば第1の皮膚サンプルの1平方センチメートル当たりおよそ1mlのバッファと、処理中の損失を考慮した追加量(たとえば、およそ0.5ml)のバッファと、を含んでいてもよい。表2は、注射器容積および皮膚サンプルサイズごとのさまざまな治療表面積サイズに対する開始バッファ体積および結果としての懸濁液概算体積の一例を表す。上述の通り、いくつかの実施形態において、1ミリリットルの細胞懸濁液は、およそ10cm~およそ100cm、およそ25cm~およそ100cm、およそ50cm~およそ100cm、または最大およそ25cm、最大およそ50cm、最大およそ75cm、もしくは最大およそ100cmの治療面積に配設するようにしてもよい。いくつかの実施形態においては、1mlの懸濁液を最大80cm(たとえば、最大およそ1:80の膨張比を可能にする)の治療面積の治療に使用するようにしてもよい。いくつかの実施形態において、適用する細胞懸濁液の体積は、適用方法によって異なり得る。たとえば、いくつかの実施形態において、噴霧の場合は、2ml以上の懸濁液体積を治療面積に適用するようにしてもよい。別の例として、いくつかの実施形態においては、滴下法の使用に際して、1ml未満の懸濁液体積を治療面積に適用するようにしてもよい。
【0046】
【表2】
【0047】
第2の容器113から皮膚サンプルを取り出し、(たとえば、真皮側を下にして)調製トレイに載置するようにしてもよい。バッファ注射器から数滴のバッファを皮膚サンプルに適用するようにしてもよい。鉗子または他の好適な器具を用いて皮膚サンプルを固定することにより、メスのブレードで表皮表面を軽く擦過するようにしてもよい。表皮が擦過によって細胞懸濁液に入ったら、残った真皮がほぼ崩壊するまでさらに強く擦過するようにしてもよい。細胞懸濁液を調製トレイの収集エリアに収集できるように、第一の注射器に残ったバッファをメスおよびトレイの洗浄に使用するようにしてもよい。たとえば、調製トレイを含む装置110を水平面に配設した場合にトレイの他の領域の下側となり得るトレイの隅部に細胞の懸濁液を収集するようにしてもよい。必要に応じて、トレイを傾斜させることにより、細胞懸濁液を隅部に貯留させるようにしてもよい。調製トレイの種々実施形態の例示的な特徴(たとえば、テクスチャ形体、高さの特徴等)については、以下により詳しく説明する。バッファ注射器は、後で使用するために取っておいてもよい。
【0048】
細胞懸濁液を(たとえば、第3の一組のコンポーネントの)未ろ過懸濁液注射器に引き込んだ後、調製トレイに送達して、調製トレイを洗浄するようにしてもよい。細胞懸濁液を繰り返し引き上げ、送達して、トレイを洗浄することにより、細胞を最大限収集するとともに、その後、細胞懸濁液の少なくとも一部(たとえば、実質的にすべて)を未ろ過懸濁液注射器に引き込むようにしてもよい。第3の容器115に未配設の場合は、(たとえば、第3の一組のコンポーネントの)細胞ろ過器を第3の容器115に入れるようにしてもよい。未ろ過懸濁液注射器から細胞ろ過器を通じて、第3の容器115に細胞懸濁液を分注するようにしてもよい。細胞ろ過器には、細胞懸濁液の治療面への噴霧に際してのノズル閉塞の防止等のため、大きな微粒子の除去に適したフィルタサイズが設定されていてもよい。たとえば、いくつかの実施形態において、細胞ろ過器はおよそ200μm未満、およそ150μm未満、およそ100μm未満、およそ50μm未満のフィルタサイズ、または他の好適なフィルタサイズを有していてもよい。未ろ過懸濁液注射器は、残っている任意の皮膚サンプルと関連付けられた事後使用のため、滅菌野内に取っておいてもよい。細胞懸濁液を細胞ろ過器に通過させた後は、細胞ろ過器を第3の容器115から取り出すようにしてもよい。任意選択として、細胞ろ過器を第3の容器115の上方で叩くことにより、細胞懸濁液のあらゆる液滴を第3の容器115へと放出させるようにしてもよい。(たとえば、複数の皮膚サンプルの処理に際して)細胞懸濁液が詰まった場合は、細胞ろ過器から未ろ過懸濁液注射器に細胞懸濁液を引き戻し、(たとえば、別のキット100からの)新たな細胞ろ過器を第3の容器115に設置して、付加的なろ過を実行するようにしてもよい。
【0049】
(たとえば、第3の一組のコンポーネントの)針を(たとえば、第3の一組のコンポーネントの)皮膚細胞注射器に結合していてもよい。第3の容器115中のろ過済み細胞懸濁液を皮膚細胞注射器に引き込むようにしてもよい。第3の容器115は、ろ過済み細胞懸濁液の収集および皮膚細胞注射器に結合された針へのろ過済み細胞懸濁液の引き込みに役立つ円錐底を含むように成形されていてもよい。後でろ過済み細胞懸濁液を治療面に適用するため、皮膚細胞注射器を取っておいてもよい。皮膚サンプルを擦過して皮膚細胞の未ろ過懸濁液を生成するステップと、トレイを洗浄して細胞を最大限に収集するステップと、細胞懸濁液をフィルタに通過させるステップと、ろ過済み細胞懸濁液を(たとえば、第3の一組のコンポーネントの)皮膚細胞注射器に引き込むステップと、を皮膚サンプルごとに繰り返して、ろ過済み細胞懸濁液の皮膚細胞注射器を生成するようにしてもよい。
【0050】
いくつかの実施形態においては、ろ過済み細胞懸濁液の治療面(たとえば、創傷床、色素沈着状態の部位等)への送達に先立って、1つまたは複数の包帯(dressings)を準備するようにしてもよい。各包帯を適正な形状および/またはサイズに切断するとともに、細胞懸濁液の適用に先立って、治療面の下側またはその近傍に(たとえば、手術用接着剤、縫合、もしくはステープルを用いた固定、または保持により)配設して、治療面からの流出を減らすようにしてもよい。その後、細胞懸濁液を治療面に適用するようにしてもよい。いくつかの実施形態においては、細胞懸濁液を部分的な創傷に直接適用するようにしてもよいし、メッシュ状の自家移植片と組み合わせて全層的な創傷に適用するようにしてもよい。
【0051】
調製した細胞懸濁液を患者の治療面に適用することは、さまざまな様態で実行可能である。たとえば、適用する細胞懸濁液の体積および治療面のサイズに応じて、細胞懸濁液を治療面に噴霧するようにしてもよいし、滴下するようにしてもよい。適用に先立って、懸濁液が一様に適用されるように、皮膚細胞注射器を複数回反転させるようにしてもよい。
【0052】
細胞懸濁液の噴霧適用の場合は、細胞懸濁液を含む皮膚細胞注射器から針を取り外すようにしてもよい。針の代わりに、(たとえば、第3の一組のコンポーネントの)一組の噴霧ノズルのうちの1つを皮膚細胞注射器に結合していてもよい。噴霧ノズルは、懸濁液の最初の一滴が治療面に滴下され得るような位置で、治療面に向かって配向するとともに、治療面の上方に配置していてもよい(たとえば、治療面の最高点からおよそ10cmに配設していてもよい)。皮膚細胞注射器のプランジャに圧力を加えて、細胞懸濁液を治療面の最も高い部分に噴霧することにより、任意の流出物が治療面の低いエリアを覆うようにしてもよい。細胞懸濁液を霧状ミストとして、治療面に噴霧するようにしてもよい。より大きな治療面の場合は、噴霧時に、一方側から他方側へと連続動作で噴霧器(たとえば、噴霧ノズルと皮膚細胞注射器との組み合わせ)を移動させるようにしてもよい。
【0053】
滴下適用の場合は、細胞懸濁液を含む皮膚細胞注射器に針を残しておいてもよい。いくつかの実施形態においては、治療面の最も高い部分から始めて、細胞懸濁液を治療面に注意深く滴下することにより、任意の流出物が治療面の低いエリアを覆うようにしてもよい。
【0054】
細胞懸濁液を適用した後、治療面を1つまたは複数の包帯(dressings)で覆うようにしてもよい。包帯は、非付着性、非吸収性、および/または小孔の包帯であってもよい。いくつかの実施態様において、包帯は、治療面を覆う前に、滅菌生理食塩水に軽く浸しておいてもよい。包帯は、必要に応じて、手術用接着剤、縫合、もしくはステープル、または他の好適な締結具により治療面に固定されていてもよい。主包帯の上に副包帯が載置されていてもよい。副包帯は、適度な吸収性、最小限の付着性、低剪断性、および容易に除去可能であってもよい。副包帯の上に吸収性ガーゼが載置されていてもよい。
【0055】
いくつかの実施態様において、キット100は、バイアル蓋、針シース、および/または注射器キャップの取り外しを可能にするように構成された機構を具備していてもよい。たとえば、キット100は、栓抜きを具備していてもよい。いくつかの実施態様において、ハウジング120は、プルタブを引っ張ると封止部が破れ、パッケージング層の内部にアクセス可能となるように、パッケージング層の取り外し可能な封止部に結合されたプルタブを含む一体型保護パッケージング層を含んでいてもよい。パッケージング層は、観察窓(たとえば、ユーザがパッケージングの内部を確認できる透明領域)を具備していてもよい。パッケージング層には、取扱説明書が含まれていてもよい(たとえば、パッケージング層に成形されていてもよいし、パッケージング層に印刷されていてもよい)。いくつかの実施態様において、基部170、一体化トレイ部150、第1のハウジング部130、第2のハウジング部140、および/または第3のハウジング部160は、一体型保護パッケージング層を含む場合、および/または、一体型保護パッケージング層にまとめて囲まれる場合が考えられる。
【0056】
図2は、細胞懸濁液を調製するための例示的なキット200の模式図である。キット200は、上述のキット100と構造および/または機能が同一または同様であってもよい。たとえば、キット200は、ハウジング220および装置210を具備するが、これらは、ハウジング120および装置110それぞれと構造および/または機能が同一または同様であってもよい。ハウジング220は、ボックス208、第1のハウジング部230、第2のハウジング部240、第3のハウジング部260、および一体化トレイ部250を含むが、これらは、図1に関して上述したボックス108、第1のハウジング部130、第2のハウジング部140、第3のハウジング部160、および一体化トレイ部150と構造および/または機能が同一または同様であってもよい。たとえば、ハウジング220は、任意選択として、バイアル282を受容するように構成されたバイアル凹部280を規定していてもよい。バイアル282は、酵素(たとえば、トリプシン、トリプシン-EDTA、ディスパーゼ、コラゲナーゼ、サーモリシン、プロナーゼ、ヒアルロニダーゼ、パンクレアチン、エラスターゼ、パパイン等の皮膚組織サンプル中の細胞層を解離するのに適した酵素)を含んでいてもよい。また、第1のハウジング部230は、第1の視覚的インジケータ232を含み、第2のハウジング部240は、第2の視覚的インジケータ242を含み、第3のハウジング部260は、第3の視覚的インジケータ262を含む。第1の視覚的インジケータ232、第2の視覚的インジケータ242、および第3の視覚的インジケータ262はそれぞれ、図1のキット100に関して上述したのと同様に、装置210の第1のラベル、第2のラベル、および第3のラベル(図示せず)に対応するように構成されている。
【0057】
図2に示すように、組織処理方法の第1の部分と関連付けられた第1の一組のコンポーネント231が第1のハウジング部230に配設されていてもよく、組織処理方法の第2の部分と関連付けられた第2の一組のコンポーネント241が第2のハウジング部240に配設されていてもよく、組織処理方法の第3の部分と関連付けられた第3の一組のコンポーネント261が第3のハウジング部260に配設されていてもよい。
【0058】
第1の一組のコンポーネント231は、ある体積の水(たとえば、滅菌水)を含む水バイアル233、針234、および酵素注射器235を含む。たとえば、酵素注射器235は、10mlの注射器であってもよい。針234は、酵素注射器235に結合されるように構成されていてもよい。図2に示すように、第1のハウジング部230は、(たとえば、ボックス208から作業スペースに酵素バイアル282を移送するために)酵素バイアル282を受容するように構成された凹部237を規定していてもよい。第2の一組のコンポーネント241は、バッファを含むバイアル243、針244、およびバッファ注射器245を含んでいてもよい。針244は、バッファ注射器245に結合されるように構成されている。針244は、たとえば尖っていない充填針であってもよい。第3の一組のコンポーネント261は、バッファを含むバイアル263、細胞ろ過器264、一組の皮膚細胞注射器265、一組の針266、未ろ過懸濁液注射器267、一組の噴霧ノズル268、および一対のメス269を含む。バッファバイアル263は、たとえば30mlまたは他の好適な体積のバッファを含んでいてもよい。バッファは、酵素を希釈または中和するための好適な溶液を含んでいてもよい。たとえば、いくつかの実施形態において、バッファは、生理的食塩水(たとえば、乳酸リンゲル液、乳酸ナトリウム液、またはハルトマン液)を含んでもよい。たとえば、一組の皮膚細胞注射器265は、4つの皮膚細胞注射器(たとえば、10mlの注射器)等、好適な数の注射器を含んでいてもよい。一組の針266は、4本の針(たとえば、第3のハウジング部260において2×2に積み重ねられた尖っていない充填針)等、好適な数の針を含んでいてもよい。一組の噴霧ノズル268は、4つの噴霧ノズル等、好適な数の噴霧ノズルを含んでいてもよい。一組の針266の各針は、一組の皮膚細胞注射器265のうちの1つに結合されていてもよい。また、一組の針266の各針の代替として、一組の噴霧ノズル268の各噴霧ノズルは、一組の皮膚細胞注射器265のうちの1つに結合されていてもよい。第1の一組のコンポーネント231、第2の一組のコンポーネント241、および第3の一組のコンポーネント261の各コンポーネントは、図1のキット100に関して上述した第1の一組のコンポーネント、第2の一組のコンポーネント、および第3の一組のコンポーネントの対応するコンポーネントと構造および/または機能が同一または同様であってもよい。
【0059】
図3は、本明細書に記載されているような細胞懸濁液を調製するためのキットのハウジングにパッケージングされた装置等、ハウジングにパッケージングされた装置を用いて細胞懸濁液を調製するための方法300を示したフローチャートである。キットは、上述のキット100および/またはキット200等、本明細書に記載のキットのいずれであってもよい。
【0060】
方法300は、装置の第1の容器に近接して配設された第1のラベルとハウジングの第1のハウジング部に含まれる第1の視覚的インジケータとの第1の照合を識別することを含む(302)。第1の照合の識別に応答して(または、識別後)、第1のハウジング部から第1の一組のコンポーネントを取り出し、第1の一組のコンポーネントを用いて、第1の容器と関連付けられた組織処理方法の第1の部分を実行するようにしてもよい(304)。また、装置の第2の容器に近接して配設された第2のラベルとハウジングの第2のハウジング部に含まれる第2の視覚的インジケータとの第2の照合を識別するようにしてもよい(306)。第2の照合の識別に応答して(または、識別後)、第2のハウジング部から第2の一組のコンポーネントを取り出し、第2の一組のコンポーネントを用いて、第2容器と関連付けられた組織処理方法の第2の部分を実行するようにしてもよい(308)。
【0061】
この方法においては、1つまたは複数のハウジング部が滅菌手術エリアに移動するようになっていてもよい。いくつかの実施態様においては、第1の照合の識別に応答して(または、識別後)、第1のハウジング部が滅菌手術エリアに移動するようになっていてもよい。いくつかの実施態様においては、第2の照合の識別に応答して(または、識別後)、第2のハウジング部が滅菌手術エリアに移動するようになっていてもよい。いくつかの実施態様においては、装置の第3の容器に近接して配設された第3のラベルとハウジングの第3のハウジング部に含まれる第3の視覚的インジケータとの第3の照合を識別するようにしてもよい。装置の第3の容器に近接して配設された第3のラベルとハウジングの第3のハウジング部に含まれる第3の視覚的インジケータとの第3の照合の識別に応答して、第3のハウジング部から第3の一組のコンポーネントを取り出し、第3の一組のコンポーネントを用いて、第3の容器と関連付けられた組織処理方法の第3の部分を実行するようにしてもよい。いくつかの実施態様においては、上述の通り、装置の調製トレイに対して、組織処理方法の組織操作部を実行するようにしてもよい。いくつかの実施態様において、第1の一組のコンポーネントは、滅菌水のバイアル、注射器、および酵素バイアルを含んでいてもよい。
【0062】
第1の容器と関連付けられた組織処理方法の第1の部分は、酵素混合物を調製することと、酵素混合物を第1の容器に送達することと、を含んでいてもよい。いくつかの実施態様においては、滅菌パウチから酵素バイアルを取り出して、第1のハウジング部に規定された凹部に酵素バイアルを配設するようにしてもよい。いくつかの実施態様において、第2の一組のコンポーネントは、バッファバイアルおよび注射器を含んでいてもよい。第2の容器と関連付けられた組織処理方法の第2の部分は、ある体積のバッファをバッファバイアルから注射器に引き込むことと、ある体積のバッファを注射器から第2の容器に送達することと、を含んでいてもよい。いくつかの実施態様において、第3の一組のコンポーネントは、注射器を含む。第3の容器と関連付けられた組織処理方法の第3の部分は、皮膚サンプルを分解することと、分解した皮膚サンプルからの細胞を含む細胞懸濁液を生成することと、細胞懸濁液を注射器に引き込むことと、を含んでいてもよい。
【0063】
例示的な実施形態
図4図6はそれぞれ、キット400の斜視図、上面図、および底面図である。キット400は、キット100またはキット200等、本明細書に記載のキットのいずれかと構造および/または機能が同一または同様であってもよい。キット400は、細胞懸濁液の調製に用いられるようになっていてもよい。キット400は、ハウジング120およびハウジング220等、本明細書に記載のハウジングのいずれかと構造および/または機能が同一または同様であり得るハウジング420を具備する。図4に示すように、ハウジング420は、基部470と、基部470に結合された蓋472と、を含むことによって、一体的に密閉空間を規定するとともに、キット400の使用まで基部470の内部の無菌状態を維持する。蓋472は、たとえば1つまたは複数の締結具(たとえば、接着剤、機械的締結具)、スナップフィット、および/またはこれらの類似物により、基部470に対して取り外し可能に結合されたカバーを含んでいてもよい。いくつかの実施形態において、蓋472は、(たとえば、接着剤によって基部470に結合された)ポリマー、箔等を含む薄膜等のカバーを含んでいてもよい。蓋472は、透明または半透明であることにより、ハウジング420の内容物を視認可能となっていてもよい。たとえば、蓋472は、Tyvek(登録商標)を含んでいてもよい。あるいは、いくつかの実施形態において、蓋472は、(たとえば、クラムシェルパッケージングと同様の)ヒンジ式カバーを含んでいてもよい。
【0064】
図7および図8は、基部470から蓋472を取り外したハウジング420の斜視図および上面図である。図7および図8に示すように、基部470内には、蓋452を有する一体化トレイ部450および蓋471を有する第3のハウジング部460が配設されている。いくつかの実施形態において、蓋452および/または蓋471は、蓋472と材料および機能が類似していてもよい。図9は、蓋452および471を取り外すことで第1のハウジング部430、第2のハウジング部440、および第3のハウジング部460が露出したハウジング420の上面図である。図9に示すように、一体化トレイ部450には、第1のハウジング部430、第2のハウジング部440、および装置410が配設されている。一体化トレイ部450の一部または全部(たとえば、第1のハウジング部430および/または第2のハウジング部440)にライナー436が結合されることにより、(たとえば、第1のハウジング部430および/または第2のハウジング部440において第1および/または第2の一組のコンポーネントを強く保持するための)カバーを提供していてもよい。いくつかの実施形態において、第1のハウジング部430および第2のハウジング部440は、別個の異なるライナー(たとえば、第1のハウジング部430に結合された第1のライナーおよび第2のハウジング部440に結合された第2のライナー)を有していてもよい。同様に、第3のハウジング部460にライナー476が結合されることにより、第3のハウジング部460において第3の一組のコンポーネントを保持するためのカバーを提供していてもよい。ライナー436および/またはライナー476は、たとえばハウジング中の1つまたは複数のコンポーネントの形状に一致する外周を有する1つまたは複数のキャビティまたは凹部を含んでいてもよい。いくつかの実施形態において、一方または両方のライナーは、ポリエチレンテレフタレートグリコール(PETG)等の好適なポリマーまたは他の好適な材料を含んでいてもよい。
【0065】
図10は、一体化トレイ部450からライナー436を取り外し、第3のハウジング部460からライナー476を取り外したハウジング420の斜視図である。第1のハウジング部430および第2のハウジング部440は、互いに一体的に形成されて、一体型の構造物(たとえば、トレイ)を構成していてもよい。いくつかの実施形態において、第1および第2のハウジング部は、上述の通り(たとえば、ミシン目を介して)相互に取り外し可能に結合されていてもよい。図10に示すように、第1のハウジング部430は、第1の視覚的インジケータ432(たとえば、文字「A」)を含み、第2のハウジング部440は、第2の視覚的インジケータ442(たとえば、文字「B」)を含み、第3のハウジング部460は、第3の視覚的インジケータ462(たとえば、文字「C」)を含む。これらの視覚的インジケータは、ハウジング部に成形されていてもよいし、デカール(decals)等の好適なマーキングとして表面に適用されていてもよいし、任意の好適な様態でハウジング部に配置されていてもよい。さらに、これらの視覚的インジケータは、後述の通り、装置の外面のラベルに一致あるいは対応していてもよく、また、各ハウジング部内に配置されたコンポーネントを組織処理方法の各部分と関連付けていてもよい。
【0066】
第1のハウジング部430は、第1の一組のコンポーネント431を受容するように構成された1つまたは複数の凹部を含む。たとえば、第1の一組のコンポーネント431は、ある体積の水(たとえば、滅菌水)を含むバイアル433、針434(図19に示す)、および酵素注射器435を含む。第1のハウジング部430は、酵素を含むバイアルを受容するように構成されたバイアル凹部437を規定する。たとえば、酵素注射器435は、10mlの注射器であってもよい。針434は、酵素注射器435に結合されるように構成されている。ただし、第1の一組のコンポーネント431は、組織処理方法に適した任意の好適なコンポーネントを含んでいてもよい。凹部は、スナップフィット(たとえば、凹部は、好適な力で動かせるコンポーネントを保持するように好適な公差でサイズ規定および成形されていてもよい)、および/または1つもしくは複数の締結具(たとえば、伸縮素材、ストラップ、張り出し機構、カバー等)、ならびに/またはこれらの類似物によって、第1の一組のコンポーネント431を受容するように構成されていてもよい。
【0067】
第2のハウジング部440は、第2の一組のコンポーネント441を受容するように構成された1つまたは複数の凹部を含む。第2の一組のコンポーネント441は、バッファを含むバイアル443、針444、およびバッファ注射器445を含む。針444は、バッファ注射器445に結合されるように構成されている。針444は、たとえば尖っていない充填針であってもよい。ただし、第2の一組のコンポーネント441は、組織処理方法に適した任意の好適なコンポーネントを含んでいてもよい。第1のハウジング部430の凹部と同様に、第2のハウジング部440の凹部は、スナップフィット、1つもしくは複数の締結具、ならびに/またはこれらの類似物によって、第2の一組のコンポーネント441を受容するように構成されていてもよい。
【0068】
図10に示すように、一体化トレイ450は、(たとえば、本明細書においてより詳しく説明する通り)装置410を受容するように構成された装置凹部をさらに含んでいてもよい。装置凹部は、スナップフィット、および/または1つもしくは複数の締結具(たとえば、伸縮素材、ストラップ、張り出し機構、カバー等)、ならびに/またはこれらの類似物によって装置を保持するように好適な公差でサイズ規定および成形されていてもよい。
【0069】
第3のハウジング部460は、第3の一組のコンポーネント461を受容するように構成された1つまたは複数の凹部を含む。第3の一組のコンポーネント461は、上述のようなバッファを含むバイアル463、細胞ろ過器464、一組の皮膚細胞注射器465、一組の針466、未ろ過懸濁液注射器467、一組の噴霧ノズル468、および一対のメス469を含む。バッファバイアル463は、たとえば30mlのバッファを含んでいてもよい。一組の皮膚細胞注射器465は、4つの皮膚細胞注射器(たとえば、10mlの注射器)等、任意の好適な数の注射器を含んでいてもよい。一組の針466は、4本の針(たとえば、第3のハウジング部460において2×2に積み重ねられた尖っていない充填針)等、任意の好適な数の針を含んでいてもよい。一組の噴霧ノズル468は、4つの噴霧ノズル等、任意の好適な数の噴霧ノズルを含んでいてもよい。一組の針466の各針は、一組の皮膚細胞注射器465のうちの1つに結合されていてもよい。また、一組の針466の各針の代替として、一組の噴霧ノズル468の各噴霧ノズルは、一組の皮膚細胞注射器465のうちの1つに結合されていてもよい。ただし、第3の一組のコンポーネント461は、組織処理方法に適した任意の好適なコンポーネントを含んでいてもよい。第1のハウジング部430の凹部と同様に、第3のハウジング部460の凹部は、スナップフィット、1つもしくは複数の締結具、ならびに/またはこれらの類似物によって、第3の一組のコンポーネント461を受容するように構成されていてもよい。
【0070】
一体化トレイ部450および第3のハウジング部460は、基部470から取り出し可能である。たとえば、図11は、基部470から取り出した後の一体化トレイ部450の斜視図である。装置410、第1の一組のコンポーネント431を含む第1のハウジング部430、および第2の一組のコンポーネント441を含む第2のハウジング部440は、一体化トレイ部450に配設した状態で示している。図12は、基部470から取り出した後、第3の一組のコンポーネント461を含む第3のハウジング部460の斜視図である。図13は、キット400のその他のコンポーネントと別個の基部470の斜視図である。図示のように、基部470は、一体化トレイ部450を受容するように構成された第1の凹状エリア470aと、第3のハウジング部460を入れ子状に受容するように構成された第2の凹状エリア470bと、を規定する。
【0071】
図17は、ライナー476付きの第3のハウジング部460を含む基部470を含む部分分解ハウジングおよび基部470から取り出した一体化トレイ部450の上面図である。たとえば、一体化トレイ部450は、基部470から持ち上げられ、作業エリアに移動することで、組織処理方法の第1および第2の部分の実行に役立ち得る。
【0072】
図18は、第1のハウジング部430、第2のハウジング部440、および装置410を含む一体化トレイ部450を含む部分分解ハウジングならびに第1のハウジング部430および第2のハウジング部440から取り出されて分離されたライナー436の上面図である。図19は、第1の一組のコンポーネント431および第2の一組のコンポーネント443が取り出されて図示されず、装置410が取り出されて分離された一体化トレイ部450の上面図である。
【0073】
図23は、基部470を含み、第3のハウジング部460およびそのライナー476が基部470から取り出されて分離された部分分解ハウジングの上面図である。たとえば、第3のハウジング部460は、基部470から持ち上げられ、作業エリアに移動することで、組織処理方法の第3の部分の実行に役立ち得る。図24は、ライナー476が取り出された第3のハウジング部460の上面図である。
【0074】
図14は、カバー部が取り外された装置410の上面図である。図示のように、装置410は、当該装置410の凹状エリア458に配設された調製トレイ417を具備する。また、装置410は、第1の容器411、第2の容器413、および第3の容器415を規定する。また、装置410は、第1のラベル412、第2のラベル414、および第3のラベル416(たとえば、容器の周りに配置された色付きのラベル付けされたリング)を含む。第1のラベル412は、(たとえば、共通の色および/または文字「A」を含むことにより)第1の視覚的インジケータ432に対応していてもよく、第2のラベル414は、(たとえば、共通の色および/または文字「B」を含むことにより)第2の視覚的インジケータ442に対応していてもよく、第3のラベル416は、第3の視覚的インジケータ462に対応していてもよい(たとえば、文字「C」)。図16は、酵素バイアル482の例示的な一実施形態の斜視図である。いくつかの実施態様において、第1の容器411は、酵素バイアル482を受容するように構成されていてもよい。いくつかの実施態様において、第1の容器411は、注射器を介して、酵素バイアル482の内容物を受容するように構成されていてもよい。
【0075】
調製トレイ417は、底面が側壁に囲まれていてもよい。底面の一部または全部が皮膚組織操作エリアを構成していてもよい。調製トレイ417は、当該調製トレイ417の両側の2つの収集エリア等、1つまたは複数の収集エリア409を含んでいてもよい。収集エリア409は、調製トレイ417に注入された流体が当該収集エリア409に流入かつ/または貯留し得るように、調製トレイ417の底面の他の部分に対して表面が凹状になっていてもよい。図15は、凹状エリア458から調製トレイ417が取り出された装置410の上面図である。調製トレイ417の他の例示的な特徴については、以下により詳しく説明する。
【0076】
図20は、装置410の一部の図である。図示のように、第1のラベル412が第1の容器411を囲み、第2のラベル414が第2の容器413を囲み、第3のラベル416が第3の容器415を囲んでいる。装置410は、図1のキット100に関して上述した通り、加熱アセンブリを起動するために押下可能なボタン419等、さまざまなボタンを具備していてもよい。また、装置410は、一組の1つまたは複数の加熱アセンブリインジケータ418を含んでいてもよい。1つまたは複数の加熱アセンブリインジケータ418は、図1のキット100に関して上述した通り、装置410のインジケータライトとの関連付けによって、装置の1つまたは複数のステータス(たとえば、装置410の加熱アセンブリの1つまたは複数のステータス)を示すように構成されたインジケータを含んでいてもよい。図21は、図20に示した装置410の部分が(たとえば、組織を操作する調製トレイに隣り合って)装置410上にある様子を示している。
【0077】
図22は、第1の一組のコンポーネント430の酵素注射器435と第1の容器411との意図する関係および第2の一組のコンポーネント440のバッファ注射器445と第2の容器413との意図する関係を示すように拡大した部分を含む装置410の斜視図である。
【0078】
本明細書に記載の装置のいずれか(たとえば、装置110、装置210、および装置410)の調製トレイは、(たとえば、注射器の針を介した)当該調製トレイからの流体収集が効果的となり得るように、底面が任意の好適な形状および輪郭であってもよい。たとえば、図25および図26はそれぞれ、調製トレイ517の斜視図および断面図である。調製トレイ517は、底面553の外周が側壁554に囲まれている。底面553は、主面557、第1の低位面555A、および第2の低位面555Bを含む。主面557は、皮膚組織操作エリアであってもよいし、皮膚組織操作エリアを含んでいてもよい。また、底面553は、主面557から第1の低位面555Aまでテーパ状に下方傾斜した第1の遷移面556Aを含む。また、底面553は、主面557から第2の低位面555Bまでテーパ状に下方傾斜した第2の遷移面556Bを含む。図26に示すように、第1および第2の遷移面は、直線上の傾斜を有するものとして示している。ただし、いくつかの実施形態において、この遷移は、湾曲(たとえば、凸状、凹状等)であってもよいし、任意の好適な形状を有していてもよいことが了解されるものとする。さらに、いくつかの実施形態において、遷移面556Aおよび556Bは、調製トレイ517の各隅部または縁部へと延びていてもよい(たとえば、低位面555Aおよび555Bを省略していてもよい)。第1の低位面555Aおよび/または第1の遷移面556Aが一体的に第1の収集エリアを規定し、第2の低位面555Bおよび/または第2の遷移面556Bが一体的に第2の収集エリアを規定することによって、主面557から第1の収集エリアおよび第2の収集エリアの一方または両方へと流体が流れ得るようになっていてもよい。第1の収集エリアおよび第2の収集エリアは、調製トレイ517の反対側の端部に配設されていてもよい(たとえば、左利きおよび右利きの両ユーザに対して、容易な組織収集を促進するのに役立つ)。いくつかの実施形態において、調製トレイは、追加または代替として、図25および図26に示すのと同様の遷移面および低位面を用いて、当該調製トレイ517の前方領域および/または後方領域に収集エリアを含んでいてもよい。調製トレイ517は、実質的に半円形状または半月形状を有するものとして示しているが、任意の好適な形状(たとえば、卵形状、矩形状、円形状)であってもよい。
【0079】
図27および図28はそれぞれ、調製トレイ617の斜視図および断面図である。調製トレイ617は、底面653の外周が側壁654に囲まれている。底面653は、主面657と、低位面655Aと、主面657から第1の低位面655Aまでテーパ状に下方傾斜した遷移面656Aと、を含む。図28に示すように、遷移面656Aは、大略直線上の傾斜を有するものとして示している。ただし、いくつかの実施形態において、この遷移は、湾曲(たとえば、凸状、凹状等)であってもよいし、任意の好適な形状を有していてもよいことが了解されるものとする。さらに、いくつかの実施形態において、遷移面656Aは、調製トレイ617の隅部または縁部へと延びていてもよい(たとえば、低位面655Aを省略していてもよい)。主面657は、皮膚組織操作エリアであってもよいし、皮膚組織操作エリアを含んでいてもよい。低位面655Aおよび/または遷移面656Aが一体的に収集エリアを規定することによって、主面657から収集エリアへと流体が流れ得るようになっていてもよい。図27および図28において、低位面655Aは、調製トレイの左側に配置されるものとして示しているが、いくつかの実施形態においては、調製トレイの右側に同様の低位面655Aが鏡映しに配置されていてもよいことが了解されるものとする。さらに、いくつかの実施形態において、調製トレイ617は、追加または代替として、図27および図28に示すのと同様の遷移面および低位面を用いて、当該調製トレイの前方領域および/または後方領域に収集エリアを含んでいてもよい。調製トレイ617は、実質的に半円形状または半月形状を有するものとして示しているが、任意の好適な形状(たとえば、卵形状、矩形状、円形状)であってもよい。
【0080】
図29および図30はそれぞれ、調製トレイ717の斜視図および断面図である。調製トレイ717は、主面557を省略した点を除き、図25および図26に関して上述した調製トレイ517に類似していてもよい。調製トレイ717は、底面753の外周が側壁754に囲まれている。底面753は、第1の低位面755Aおよび第2の低位面755Bを含む。また、底面753は、調製トレイの中央線から第1の低位面755Aに向かってテーパ状に下方傾斜した第1の遷移面756Aを含む。また、底面753は、調製トレイの中央線(たとえば、第1の遷移面756の上側縁部)から第2の低位面755Bに向かってテーパ状に下方傾斜した第2の遷移面756Bを含む。あるいは、第1の遷移面756Aおよび/または第2の遷移面756Bは、上側縁部が調製トレイの中央線と一致していなくてもよく、それぞれの上側縁部が調製トレイの中央線からオフセット(たとえば、傾斜、側方変位等)することにより、第1の遷移面756Aまたは第2の遷移面756Bが他方の遷移面より大きくなっていてもよい。また、いくつかの実施形態においては、一方または両方の遷移面が湾曲(たとえば、凸状、凹状等)であってもよいし、任意の好適な形状を有していてもよいことが了解されるものとする。さらに、いくつかの実施形態において、一方または両方の遷移面は、調製トレイ717の隅部または縁部へと延びていてもよい(たとえば、低位面755Aおよび/または75Bを省略していてもよい)。第1の遷移面756Aおよび第2の遷移面756Bはそれぞれ、皮膚組織操作エリアであってもよいし、皮膚組織操作エリアを含んでいてもよい。第1の低位面755Aおよび/または第1の遷移面756Aが一体的に第1の収集エリアを規定し、第2の低位面755Bおよび/または第2の遷移面756Bが一体的に第2の収集エリアを規定することによって、第1の収集エリアおよび第2の収集エリアの一方または両方へと流体が流れ得るようになっていてもよい。第1の収集エリアおよび第2の収集エリアは、調製トレイ717の反対側の端部に配設されていてもよい。さらに、いくつかの実施形態において、調製トレイは、追加または代替として、図29および図30に示すのと同様の遷移面および低位面を用いて、当該調製トレイ717の前方領域および/または後方領域に収集エリアを含んでいてもよい。調製トレイ717は、実質的に半円形状または半月形状を有するものとして示しているが、任意の好適な形状(たとえば、卵形状、矩形状、円形状)であってもよい。
【0081】
図25図30は、側方部(たとえば、左側、右側)に少なくとも1つの収集エリアを有する調製トレイの例示的な実施形態を示しているが、いくつかの実施形態において、調製トレイは、1つまたは複数の収集エリアが当該トレイの他のエリアに配置されていてもよい。たとえば、図31および図32はそれぞれ、調製トレイ817の斜視図および断面図であり、この調製トレイ817は、当該調製トレイ817の中央領域に配置された収集エリアを含む。調製トレイ817は、底面853の外周が側壁854に囲まれている。底面853は、調製トレイ817の第1の端部から調製トレイ817の中心に向かってテーパ状に下方傾斜した第1の遷移面856Aと、調製トレイ817の第2の端部から調製トレイ817の中心(たとえば、第1の遷移面856Aの下側縁部)に向かってテーパ状に下方傾斜した第2の遷移面856Bと、を含む。あるいは、第1の遷移面856Aおよび/または第2の遷移面856Bは、下側縁部が調製トレイの中央線と一致していなくてもよく、それぞれの下側縁部が調製トレイの中央線からオフセット(たとえば、傾斜、側方変位等)することにより、第1の遷移面856Aまたは第2の遷移面856Bが他方の遷移面より大きくなっていてもよい。また、いくつかの実施形態においては、一方または両方の遷移面が湾曲(たとえば、凸状、凹状等)であってもよいし、任意の好適な形状を有していてもよいことが了解されるものとする。第1の遷移面856Aおよび第2の遷移面856Bはそれぞれ、皮膚組織操作エリアであってもよいし、皮膚組織操作エリアを含んでいてもよい。第1の遷移面856Aおよび第2の遷移面856Bが一体的に収集エリアを規定することによって、第1の遷移面856Aの第2の遷移面756Bとの交差部に向かって流体が流れ得るようになっていてもよい。さらに、いくつかの実施形態において、調製トレイは、追加または代替として、図31および図32に示すのと同様の遷移面および低位面を用いて、当該調製トレイ817の前方領域および/または後方領域に収集エリアを含んでいてもよい。調製トレイ717は、実質的に半円形状または半月形状を有するものとして示しているが、任意の好適な形状(たとえば、卵形状、矩形状、円形状)であってもよい。
【0082】
図33および図34はそれぞれ、調製トレイ917の斜視図および断面図である。調製トレイ917は、底面953の外周が側壁954に囲まれている。底面953は、主面957、低位面955B、および遷移面956Bを含む。主面957は、皮膚組織操作エリアであってもよいし、皮膚組織操作エリアを含んでいてもよい。遷移面956Aは、主面957から低位面955Aまでテーパ状に下方傾斜している。図34に示すように、遷移面956Bは、大略直線上の傾斜を有するものとして示している。ただし、いくつかの実施形態において、この遷移は、湾曲(たとえば、凸状、凹状等)であってもよいし、任意の好適な形状を有していてもよいことが了解されるものとする。低位面955Aおよび遷移面956Aが一体的に収集エリアを規定することによって、主面957から第1の収集エリアへと流体が流れ得るようになっていてもよい。収集エリアは、調製トレイ917の端部および/または隅部に配設されていてもよい。図33および図34に示す調製トレイの収集エリアは、調製トレイ917の右側にあるが、いくつかの実施形態においては、調製トレイの左側(または、前側もしくは後側等)で同様に存在していてもよい。調製トレイ917は、実質的に半円形状または半月形状を有するものとして示しているが、任意の好適な形状(たとえば、卵形状、矩形状、円形状)であってもよい。
【0083】
図35および図36はそれぞれ、調製トレイ1017の斜視図および断面図である。調製トレイ1017は、底面1053の外周が側壁1054に囲まれている。底面1053は、低位面1055Aと、当該底面1053の第1の端部から調製トレイ1017の第2の端部に配設された第1の低位面1055Aまでテーパ状に下方傾斜した遷移面1056Aと、を含む。図36に示すように、遷移面1056Aは、大略直線上の傾斜を有するものとして示している。ただし、いくつかの実施形態において、この遷移は、湾曲(たとえば、凸状、凹状等)であってもよいし、任意の好適な形状を有していてもよいことが了解されるものとする。遷移面1056Aは、皮膚組織操作エリアであってもよいし、皮膚組織操作エリアを含んでいてもよい。低位面1055Aおよび/または遷移面1056Aが一体的に収集エリアを規定することにより、収集エリアに向かって流体が流れ得るようになっていてもよい。図35および図36に示す調製トレイ1017の収集エリアは、調製トレイの左側にあるが、いくつかの実施形態においては、調製トレイの左側(または、前側もしくは後側等)で同様に存在していてもよい。調製トレイ1017は、実質的に半円形状または半月形状を有するものとして示しているが、任意の好適な形状(たとえば、卵形状、矩形状、円形状)であってもよい。
【0084】
追加または代替として、いくつかの実施形態においては、調製トレイが少なくとも1つのテクスチャ加工面を含んでいてもよい。皮膚サンプルが少なくとも1つのテクスチャ加工面に対して擦過、押圧、あるいは付勢されて機械的に分解されやすくなるように、テクスチャ加工面が調製トレイの皮膚組織操作エリアに配置されていてもよい。いくつかの実施形態において、少なくとも1つのテクスチャ加工面は、1つまたは複数の隆起形体を含んでいてもよい。たとえば、1つまたは複数の隆起形体は、およそ0.05mm~およそ2mm、およそ0.05mm~およそ1.5mm、およそ0.05mm~およそ1mm、およそ0.1mm~およそ2mm、およそ0.1mm~およそ1.5mm、またはおよそ0.1mm~およそ1mmの高さを有していてもよい。いくつかの実施形態において、少なくとも1つのテクスチャ加工面は、追加または代替として、1つまたは複数の凹状形体を含んでいてもよい。たとえば、1つまたは複数の凹状形体は、およそ0.05mm~およそ2mm、およそ0.05mm~およそ1.5mm、およそ0.05mm~およそ1mm、およそ0.1mm~およそ2mm、およそ0.1mm~およそ1.5mm、またはおよそ0.1mm~およそ1mmの深さを有していてもよい。いくつかの実施形態において、1つもしくは複数の隆起形体ならびに/または1つもしくは複数の凹状形態は、およそ0.05mm~およそ1mm、およそ0.05mm~およそ0.5mm、またはおよそ0.5mm~およそ1mmの幅または奥行きを有していてもよい。
【0085】
たとえば、図37に示すように、皮膚組織操作エリア1151は、2次元アレイに配置された一組の1つまたは複数の隆起テクスチャ形体を含んでいてもよい。隆起形体のうちの少なくとも1つが柱状(たとえば、円形断面、他の多角形断面)であること、ならびに/または、隆起形体のうちの少なくとも1つがテーパ状(たとえば、ピラミッド状、ドーム状等)もしくは任意の好適な形態を有し得ることが考えられる。たとえば、いくつかの実施形態においては、隆起形体の一部または全部がテーパ状となって、最上位点を有していてもよい。このようなテーパ状の形体は、いくつかの特徴において、上述と同様の高さおよび/または幅を有していてもよい。一組の隆起形体は、図37に示すような長方形アレイ、または三角形アレイ、六角形アレイ、不規則もしくはランダムアレイ等、任意の好適な様態で配置されていてもよい。同様に、いくつかの実施形態において、調製トレイは、追加または代替として、図37に示すものと同様の長方形アレイおよび/または任意の好適なアレイに配置された一組の凹状形体(たとえば、窪み)を含んでいてもよい。図37は、例示のため、図25および図26に関して上述したものと同様の2つの収集エリアを有する調製トレイ上のテクスチャ加工面を示すが、如何なる調製トレイ(たとえば、図25図36に関して上述した調製トレイ)も、図37に関して上述したものと同様の隆起形体および/または凹部を有する少なくとも1つのテクスチャ加工面を含み得ることが了解されるものとする。
【0086】
テクスチャ加工面を有する調製トレイの別の例として、図38は、1次元アレイに配置された1つまたは複数の隆起テクスチャ形体を含む皮膚操作エリア1251を含む調製トレイ1217の斜視図である。たとえば、図38に示すように、皮膚組織操作エリアは、1つまたは複数の細長リッジ(elongated ridges たとえば、平行リッジ)を含んでいてもよい。いくつかの実施形態において、1つまたは複数の細長リッジは、大略角柱状(たとえば、矩形角柱状)であってもよいし、角度付き(たとえば、斜めフィン)であってもよいし、ドーム状(たとえば、断面プロファイルが曲線状)であってもよい。細長リッジは、相互に平行に配置されていてもよいし、任意の好適な様態(たとえば、角度付きまたは非平行、ランダム等)であってもよい。同様に、いくつかの実施形態において、調製トレイは、追加または代替として、図38に示すものと同様の様態および/または任意の好適なアレイに配置された一組の凹状形体(たとえば、トレンチ)を含んでいてもよい。さらに、図38は、例示のため、図25および図26に関して上述したものと同様の2つの収集エリアを有する調製トレイ上のテクスチャ加工面を示すが、如何なる調製トレイ(たとえば、図25図36に関して上述した調製トレイ)も、図38に関して上述したものと同様の隆起形体および/または凹部を有する少なくとも1つのテクスチャ加工面を含み得ることが了解されるものとする。
【0087】
本明細書に記載の調製トレイの遷移面は、細胞の流れを調製トレイの1つまたは複数の好適な収集エリアに向かって案内するため、任意の好適なテーパまたは傾斜角を有していてもよい。いくつかの実施形態において、調製トレイの傾斜または勾配は、およそ0.5°~およそ35°、およそ0.5°~およそ25°、およそ0.5°~およそ15°、およそ5°~およそ35°、およそ5°~およそ25°、およそ5°~およそ15°、およそ15°~およそ35°、またはおよそ15°~およそ25°であってもよい。いくつかの実施形態において、好適な傾斜は、たとえば材料の特性(たとえば、疎水性)および/または調製トレイの表面被膜等の因子に応じて異なり得る。たとえば、高疎水性材料および/または表面被膜を有する調製トレイは、細胞の流れを収集エリアに向かって案内するのに十分浅い遷移面を有していてもよい。たとえば、図39は、調製トレイ1317の断面図の一部である。調製トレイ1317は、調製トレイ517等、本明細書に記載の調製トレイのいずれかと構造および/または機能が同一または同様であってもよい。たとえば、調製トレイ1317は、主面1357と、低位面1355Bと、主面1357から低位面1355Bまでテーパ状の遷移面1356Bと、を含む。遷移面1356Bは、主面1357から低位面1355Bまで、主面1357に対して4°の角度でテーパ状となっている。
【0088】
図40は、調製トレイ1417の断面図の一部である。調製トレイ1417は、調製トレイ517等、本明細書に記載の調製トレイのいずれかと構造および/または機能が同一または同様であってもよい。たとえば、調製トレイ1417は、主面1457と、低位面1455Bと、主面1457から低位面1455Bまでテーパ状の遷移面1456Bと、を含む。遷移面1456Bは、主面1457から低位面1455Bまで、主面1457に対して4°の角度でテーパ状となっている。
【0089】
図41は、調製トレイ1517の断面図の一部である。調製トレイ1517は、調製トレイ517等、本明細書に記載の調製トレイのいずれかと構造および/または機能が同一または同様であってもよい。たとえば、調製トレイ1517は、主面1557、低位面1555B、第1の遷移面1556B、および第2の遷移面1556Cを含む。第1の遷移面1556Bは、主面1557から第2の遷移面1556Cまで、第1の角度でテーパ状となっていてもよい。第2の遷移面1556Cは、第1の遷移面1556Bから底面1555Bまで、第2の角度でテーパ状となっていてもよい。第1の遷移面1556Bは、主面1557から第2の遷移面1556Cまで、主面1557に対して4°の角度でテーパ状となっている。第2の遷移面1556Cは、第1の遷移面1556Bから低位面1555Bまで、主面1557に対して7°の角度でテーパ状となっている。
【0090】
図59は、細胞懸濁液を生成するための装置2010の上面図である。装置2010は、本明細書に記載の装置のいずれかと構造および/または機能が同一または同様であってもよい。たとえば、装置2010は、調製トレイ2017を具備する。調製トレイ2017は、底面2053が側壁2054に囲まれている。底面2053は、調製トレイ2017の隅部に配設された窪みまたはキャビティ2099(たとえば、円形の収集エリア)を含むことにより、(たとえば、調製トレイ2017の反対側の端部が持ち上げられた場合に)流体がこの窪みまたはキャビティ2099に集まるようになっていてもよい。流体が窪みまたはキャビティ2099に貯留されると、たとえば上記詳細な説明の通り、注射器等を用いた流体のバルク回収(bulk retrieval)がより効率的となり得る。いくつかの実施形態においては、上述の調製トレイのいずれかが収集エリアに同様の窪みまたはキャビティを含んでいてもよい。
【0091】
図42は、キット1600の例示的な一実施形態の斜視図である。キット1600は、本明細書に記載のキットのいずれかと構造および/または機能が同一または同様であってもよい。たとえば、キット1600は、第1のハウジング部1630、第2のハウジング部1640、および第3のハウジング部1660を含むハウジング1620を具備する。第1のハウジング部1630は、本明細書に記載の任意の組織処理方法等、組織処理方法の第1の部分と関連付けられた第1の一組のコンポーネント1631を受容するように構成された凹部を含む。第2のハウジング部1640は、組織処理方法の第2の部分と関連付けられた第2の一組のコンポーネント1641を受容するように構成された凹部を含む。第3のハウジング部1660は、組織処理方法の第3の部分と関連付けられた第3の一組のコンポーネント1661を受容するように構成された凹部を含む。第1のハウジング部1630は、装置の第1のラベルと関連付けられた第1の視覚的インジケータ1632を含む。装置は、本明細書に記載の装置のいずれかと構造および/または機能が同一または同様であってもよい。第2のハウジング部1640は、装置の第2のラベルと関連付けられた第2の視覚的インジケータ1642を含む。第3のハウジング部1660は、装置の第3のラベルと関連付けられた第3の視覚的インジケータ1662を含む。
【0092】
図42に示すように、第1のハウジング部1630、第2のハウジング部1640、および第3のハウジング部1660は、互いに一体的に形成されて、一体型の構造物(たとえば、トレイ)を構成している。図42に示すように、第1の視覚的インジケータ1632が文字「A」を含み、第2の視覚的インジケータ1642が文字「B」を含み、第3の視覚的インジケータ1662が文字「C」を含む。追加または代替として、他の種類の視覚的インジケータ(たとえば、文字、記号、句読点、テクスチャ等)がハウジング部に含まれていてもよい。たとえば、ハウジング1620の一部が透明であってもよく、第1の視覚的インジケータ1632は、ハウジング1620の上部を通じて視認可能な青色の背景を含んでいてもよく、第2の視覚的インジケータ1642は、ハウジング1620の上部を通じて視認可能な灰色の背景を含んでいてもよく、第3の視覚的インジケータ1662は、ハウジングの上部を通じて視認可能な緑色の背景を含んでいてもよい。また、図42に示すように、第1の一組のコンポーネント1631、第2の一組のコンポーネント1641、および第3の一組のコンポーネント1661それぞれの各コンポーネントを受容するように構成された凹部またはキャビティのうちの1つまたは複数は、各コンポーネントを意図した順序で使用する(たとえば、取り出して実装する)ようにユーザをガイド可能とするため、組織処理方法の特定のステップに対する参照番号と同じであってもよい。
【0093】
図42に示すように、第1の一組のコンポーネント1631は、ある体積の水(たとえば、滅菌水)を含むバイアル1633、針1634、酵素注射器1635、および細胞ろ過器1664を含む。たとえば、酵素注射器1635は、10mlの注射器であってもよい。針1634は、酵素注射器1635に結合されるように構成されている。また、第1の一組のコンポーネント1631は任意選択として、上述と同様の酵素バイアル1682を含む。
【0094】
第2の一組のコンポーネント1641は、バッファを含むバイアル1643、針1644、バッファ注射器1645、および未ろ過懸濁液注射器1667を含む。針1644は、バッファ注射器1645に結合されるように構成されている。針1644は、たとえば尖っていない充填針であってもよい。また、第2の一組のコンポーネント1641は、一対のメス1669を含む。また、第2の一組のコンポーネント1641は、上述と同様のバッファを含むバイアル1663を含んでいてもよい。バッファバイアル1663は、たとえば30mlのバッファを含んでいてもよい。
【0095】
第3の一組のコンポーネント1661は、一組の皮膚細胞注射器1665、一組の針1666、および一組の噴霧ノズル1668を含む。一組の皮膚細胞注射器1665は、4つの皮膚細胞注射器(たとえば、10mlの注射器)等、任意の好適な数の皮膚細胞注射器を含んでいてもよい。一組の針1666は、4本の針(たとえば、第3のハウジング部1660において2×2に積み重ねられた尖っていない充填針)等、任意の好適な数の針を含んでいてもよい。一組の噴霧ノズル1668は、4つの噴霧ノズル等、任意の好適な数の噴霧ノズルを含んでいてもよい。一組の針1666の各針は、一組の皮膚細胞注射器1665のうちの1つに結合されていてもよい。また、一組の針1666の各針の代替として、一組の噴霧ノズル1668の各噴霧ノズルは、一組の皮膚細胞注射器1665のうちの1つに結合されていてもよい。
【0096】
図43は、キット1700の例示的な一実施形態の斜視図である。キット1700は、本明細書に記載のキットのいずれかと構造および/または機能が同一または同様であってもよい。たとえば、キット1700は、第1のハウジング部1730、第2のハウジング部1740、および第3のハウジング部1760を含むハウジング1720を具備する。第1のハウジング部1730は、本明細書に記載の任意の組織処理方法等、組織処理方法の第1の部分と関連付けられた第1の一組のコンポーネント1731を受容するように構成された凹部を含む。第2のハウジング部1740は、組織処理方法の第2の部分と関連付けられた第2の一組のコンポーネント1741を受容するように構成された凹部を含む。第3のハウジング部1760は、組織処理方法の第3の部分と関連付けられた第3の一組のコンポーネント1761を受容するように構成された凹部を含む。第1のハウジング部1730は、装置の第1のラベルと関連付けられた第1の視覚的インジケータ1732を含む。装置は、本明細書に記載の装置のいずれかと構造および/または機能が同一または同様であってもよい。第2のハウジング部1740は、装置の第2のラベルと関連付けられた第2の視覚的インジケータ1742を含む。第3のハウジング部1760は、装置の第3のラベルと関連付けられた第3の視覚的インジケータ1762を含む。
【0097】
図43に示すように、第1のハウジング部1730、第2のハウジング部1740、および第3のハウジング部1760は、互いに一体的に形成されて、一体型の構造物(たとえば、トレイ)を構成している。図43に示すように、第1の視覚的インジケータ1732は、第1の一組のコンポーネントの各コンポーネントを少なくとも部分的に囲む第1の色のラベル(たとえば、青色)を含んでいてもよく、第2の視覚的インジケータ1742は、第2の一組のコンポーネントの各コンポーネントを少なくとも部分的に囲む第2の色のラベル(たとえば、灰色)を含んでいてもよく、第3の視覚的インジケータ1762は、第1の一組のコンポーネントの各コンポーネントを少なくとも部分的に囲む第3の色のラベル(たとえば、緑色)を含んでいてもよい。また、図43に示すように、第1の一組のコンポーネント1631、第2の一組のコンポーネント1641、および第3の一組のコンポーネント1661それぞれの各コンポーネントを受容するように構成された凹部またはキャビティのうちの1つまたは複数は、ユーザが各コンポーネントを意図した順序で使用する(たとえば、取り出して実装する)ように誘導されるように、組織処理方法の特定のステップに対する参照番号で識別されてもよい。
【0098】
図43に示すように、第1の一組のコンポーネント1731は、ある体積の水(たとえば、滅菌水)を含むバイアル1733、針1734、酵素注射器1735、および細胞ろ過器1764を含む。たとえば、酵素注射器1735は、10mlの注射器であってもよい。針1734は、酵素注射器1735に結合されるように構成されている。また、第1の一組のコンポーネント1731は任意選択として、酵素バイアル1782を含む。
【0099】
第2の一組のコンポーネント1741は、バッファを含むバイアル1743、針1744、バッファ注射器1745、および未ろ過懸濁液注射器1767を含む。針1744は、バッファ注射器1745に結合されるように構成されている。針1744は、たとえば尖っていない充填針であってもよい。また、第2の一組のコンポーネント1741は、一対のメス1769を含む。また、第2の一組のコンポーネント1741は、バッファを含むバイアル1763を含んでいてもよい。バッファバイアル1763は、たとえば30mlのバッファを含んでいてもよい。
【0100】
第3の一組のコンポーネント1761は、一組の皮膚細胞注射器1765、一組の針1766、および一組の噴霧ノズル1768を含む。一組の皮膚細胞注射器1765は、4つの皮膚細胞注射器(たとえば、10mlの注射器)等、任意の好適な数の皮膚細胞注射器を含んでいてもよい。一組の針1766は、4本の針(たとえば、第3のハウジング部1760において2×2に積み重ねられた尖っていない充填針)等、任意の好適な数の針を含んでいてもよい。一組の噴霧ノズル1768は、4つの噴霧ノズル等、任意の好適な数の噴霧ノズルを含んでいてもよい。一組の針1766の各針は、一組の皮膚細胞注射器1765のうちの1つに結合されていてもよい。また、一組の針1766の各針の代替として、一組の噴霧ノズル1768の各噴霧ノズルは、一組の皮膚細胞注射器1765のうちの1つに結合されていてもよい。
【0101】
図44は、キット1800の例示的な一実施形態の斜視図である。キット1800は、本明細書に記載のキットのいずれかと構造および/または機能が同一または同様であってもよい。たとえば、キット1800は、第1のハウジング部1830、第2のハウジング部1840、および第3のハウジング部1860を含むハウジング1820を具備する。第1のハウジング部1830は、本明細書に記載の任意の組織処理方法等、組織処理方法の第1の部分と関連付けられた第1の一組のコンポーネント1831を受容するように構成された凹部を含む。第2のハウジング部1840は、組織処理方法の第2の部分と関連付けられた第2の一組のコンポーネント1841を受容するように構成された凹部を含む。第3のハウジング部1860は、組織処理方法の第3の部分と関連付けられた第3の一組のコンポーネント1861を受容するように構成された凹部を含む。
【0102】
キット1800は、本明細書に記載の装置のいずれかと構造および/または機能が同一または同様である装置1810を具備する。キット1800は、第1のハウジング部1830、第2のハウジング部1840、および装置1810を受容するように構成された一体化トレイ1850を具備する。第1のハウジング部1830および第2のハウジング部1840は、一体化トレイ1850から持ち上げられるように構成された一体型のトレイ構造物として形成されている。
【0103】
また、キット1800は、基部1870およびボックス1880を具備する。基部1870は、一体化トレイ1850および第3のハウジング部1860を受容するように構成されている。ボックス1808は、当該ボックス1808の第1の部分に基部1870を受容するように構成され、当該ボックス1808の第2の部分の酵素バイアル凹部1880に酵素バイアル1882を受容するように構成されている。ボックス1808は、当該ボックス1808の第2の部分における酵素バイアル1882または酵素バイアル1882を含むパウチの無菌状態に関わらず、当該ボックス1808の第1の部分における基部1870の内容物の無菌状態を維持できるように、当該ボックス1808の第2の部分から当該ボックス1808の第1の部分を分離するように配設された仕切り1859を具備していてもよい。
【0104】
いくつかの実施態様において、基部1870は、プルタブを引っ張ると封止部が破れ、基部1870の内部にアクセス可能となるように、基部1870の取り外し可能な封止部に結合されたプルタブを含む一体型保護パッケージング層として形成されていてもよい。また、基部1870、一体化トレイ部1850、第1のハウジング部1830、第2のハウジング部1840、および第3のハウジング部1860はそれぞれ、キット1800の内部に配設されたコンポーネントをユーザが視認できるように、透明であってもよい。
【0105】
キットをパッケージングするための方法
図45図58は、出荷のため、本明細書に記載のキットのいずれか等、キットまたは一組のキットをパッケージングするステップを示している。図45図58は、3つのキットを単一の出荷コンテナにパッケージングする方法を示しているが、いくつかの実施形態において、この方法は、任意の好適な数(たとえば、1つ、2つ、4つ、5つ、6つ以上等)のキットを出荷コンテナにパッケージングするように修正可能であることが了解されるものとする。図45図58に示す方法は、最大およそ48時間等の所定期間にわたって、キットの安定した温度を所望の温度または温度範囲(たとえば、およそ20℃~およそ25℃)に維持するためのコールドチェーン出荷材料の積層を含んでいてもよい。キットの安定した温度を一定の所望の温度範囲内に維持することは、たとえばキットの1つまたは複数のコンポーネント(たとえば、酵素)の生存能力あるいは化学的状態を損なわないために重要と考えられる。
【0106】
一般的に、キット(本明細書に記載のキットのいずれか)をパッケージングする方法は、断熱コンテナ内で、フォームインサートと冷蔵レンガ材との間に1つまたは複数のキットを積層することを含んでいてもよい。コンテナは、たとえば少なくとも一部が断熱材料(たとえば、断熱フォーム)により構成されることならびに/または1つもしくは複数の断熱ライナーもしくはパッドを有することにより断熱されていてもよい。パッケージング材料の積層中には、結露の吸収等に役立つ吸水性ワイプが配置されていてもよい。
【0107】
たとえば、図45は、空のコンテナ1990を示している。コンテナ1990は、たとえば厚紙、フォーム等の任意の好適な材料で形成されていてもよい。コンテナ1990は、断熱材1988およびライナー1989を含む。図46に示すように、第1のフォームインサート1991をコンテナ1990に配設するようにしてもよい。第1のフォームインサート1991は、一組の冷蔵レンガ1992(たとえば、冷蔵FB24レンガ)を配設可能な中央開口を規定していてもよい。たとえば、一組の5つの冷蔵レンガ1992を中央開口に配設するようにしてもよい。
【0108】
図47に示すように、吸収性ワイプ1993(たとえば、2つの吸収性ワイプ)を一組の冷蔵レンガ1992の上に配設するようにしてもよい。
【0109】
図48に示すように、第2のフォームインサート1994をコンテナ1990の吸収性ワイプ1993の上に配設するようにしてもよい。
【0110】
図49に示すように、第1のキット1902Aをコンテナ1990の第2のフォームインサート1994の上に配設するようにしてもよい。
【0111】
図50に示すように、第2のキット1902Bをコンテナ1990の第1のキット1902Aの上に配設するようにしてもよい。
【0112】
図51に示すように、第3のキット1902Cをコンテナ1990の第2のキット1902Bの上に配設するようにしてもよい。同様に、付加的なキットを第3のキットの上に配設するようにしてもよい。
【0113】
図52に示すように、第3のフォームインサート1995をコンテナ1990の第3のキット1902Cの上に載置するようにしてもよい。
【0114】
図53に示すように、吸収性ワイプ1996(たとえば、2つの吸収性ワイプ)を第2のフォームインサート1995の上に載置するようにしてもよい。
【0115】
図54に示すように、第4のフォームインサート1997をコンテナ1990の吸収性ワイプ1996の上に配設するようにしてもよい。第4のフォームインサート1997は、一組の冷蔵レンガ1998(たとえば、冷蔵FB24レンガ)を配設可能な中央開口を規定していてもよい。たとえば、一組の5つの冷蔵レンガ1998を中央開口に配設するようにしてもよい。
【0116】
図55に示すように、断熱パッド1999(たとえば、断熱フォーム)をコンテナ1990の第4のフォームインサート1997の上に配設するようにしてもよい。断熱パッド1999は、たとえばコンテナの内側の熱エネルギーを捕捉する密閉空間を生成するのに役立ち得る。いくつかの実施形態において、断熱パッド1999は、コンテナの壁に可能な限り密着することにより、当該断熱パッド1999とコンテナの壁との間の隙間または空間を通って出ていく熱エネルギーを減らすようにサイズ規定されていてもよい。追加または代替として、断熱パッドは、金属箔に包まれた(たとえば、裏打ちされた)断熱フォームを含むことにより、コンテナの内側の熱エネルギーを可能な限り長く保持するのにさらに役立ち得る。
【0117】
図56に示すように、ライナー1989は、コンテナ1990内に閉じた内部空間を規定するため、閉じられていてもよい。ライナー1989は、たとえばパッケージングコンポーネントを十分にきつく(ぴったりと)結合することに役立つよう機能して、パッケージングコンポーネントの望ましくない相対的な軸ぶれを抑えるようにしてもよい。追加または代替として、ライナー1989は、コンテナが劣化して内側のキットを危険にさらす原因となり得る結露から周囲のコンテナ(たとえば、厚紙ボックス)を保護することに役立つように機能し得る。たとえば、ライナー1989は、ポリエチレン等の好適な耐水または防水層(たとえば、シート、バッグ、他のカバー)を含んでいてもよい。いくつかの実施形態においては、結露等の湿気からコンテナ(または、湿気に弱い他のコンポーネント)を余分または冗長に保護するため、複数(たとえば、2つ以上)のライナー1989がコンテナ1990に含まれてもよい。
【0118】
図57に示すように、コンテナ1990のフラップ1987を閉じて固定することにより、コンテナ1990を(たとえば、テープで)封止するようにしてもよい。
【0119】
図58に示すように、コンテナ1990を他のコンテナとともにチャンバに入れて、テストを行うようにしてもよい。
【0120】
種々概念を1つまたは複数の方法として実施可能であり、そのうちの少なくとも1つの例を紹介した。この方法の一部として実行される動作は、任意の好適な方法で順序付け可能である。したがって、例示的な実施形態においては連続した動作として示しているが、いくつかの動作を同時に実行することを含めて、例示とは異なる順序で動作が実行される実施形態を構成可能である。別の言い方をすれば、そのような特徴は、必ずしも特定の実行順序に限定されるものではなく、むしろ、本開示と一致する様態で、連続的、非同期的、併行的、並行的、同時的、同期的、および/またはこれらと類似に実行し得る任意の数のスレッド、プロセス、サービス、サーバ、および/またはこれらの類似物があり得ることが了解されるものとする。このため、上記特徴のうちのいくつかは、単一の実施形態において同時に存在しない可能性があるという点において、相互に矛盾し得る。同様に、いくつかの特徴は、技術的革新の一態様に適用可能でありながら、他の態様には適用不可能である。
【0121】
また、本開示は、本明細書に記載していない他の技術的革新を含んでいてもよい。出願人は、そのような技術的革新を実施する権利、追加出願、継続出願、一部継続出願、分割出願、および/またはこれらの類似権利を含めて、当該技術的革新に関するすべての権利を留保する。このため、本開示の利点、実施形態、例、機能、特徴、論理、運用、体系、構造、トポロジー、および/または他の態様は、実施形態により規定された本開示に対する制限または実施形態の同等物に対する制限と考えるべきではないことが了解されるものとする。個人および/もしくは企業ユーザの特定の要望および/もしくは特性、データベース構成および/もしくは関係モデル、データ型、データ伝送および/もしくはネットワークフレームワーク、構文構造、ならびに/またはこれらの類似物に応じて、本明細書に記載のような多くの柔軟性およびカスタマイズを可能にする様態で本明細書に開示の技術の種々実施形態を実現可能である。
【0122】
本明細書に規定して使用するすべての定義は、辞書の定義、援用した文献における定義、および/または定義された用語の通常の意味を制御することが了解されるものとする。
【0123】
本明細書における使用の通り、特定の実施形態において、数値の前にある用語「およそ(about)」または「約(approximately)」は、当該値±10%の範囲を示す。値の範囲が与えられている場合、文脈上の別段の明確な指定のない限り、下限の単位の10分の1までの、当該範囲の上下限間に存在する各値ならびに当該規定範囲内の他の規定値もしくは存在値は、本開示に含まれることが了解される。これらの小さな範囲の上下限が独立して当該小さな範囲に含まれ得ることもまた、規定範囲内の具体的に除外された任意の限界値を条件として、本開示に含まれる。規定範囲が限界値の一方または両方を含む場合は、これらの含まれる限界値の一方または両方を除いた範囲もまた、本開示に含まれる。
【0124】
本明細書および実施形態における使用の通り、不定冠詞「a」および「an」は、特段の明確な指定の限り、「少なくとも1つ」を意味することが了解されるものとする。
【0125】
本明細書および実施形態における使用の通り、表現「および/または(and/or)」は、そのように結合された要素の「一方または両方」、すなわち、ある場合には接続的に存在し、他の場合には離接的に存在する要素を意味することが了解されるものとする。「および/または(and/or)」により列挙された複数の要素は、同じように、すなわち、そのように結合された要素のうちの「1つまたは複数」として解釈されるものとする。任意選択として、「および/または(and/or)」節で具体的に識別された要素に関連するかしないかに関わらず、具体的に識別された要素以外の他の要素が存在していてもよい。このため、非限定的な一例として、「Aおよび/またはB(A and/or B)」という言及は、「備える(comprising)」等のオープンエンドな表現と併用される場合、一実施形態においては、Aのみを表し(任意選択として、B以外の要素を含む)、別の実施形態においては、Bのみを表し(任意選択として、A以外の要素を含む)、さらに別の実施形態においては、AおよびBの両者を表し得る(任意選択として、他の要素を含む)。
【0126】
本明細書および実施形態における使用の通り、「または(or)」は、上記定義の「および/または(and/or)」と同じ意味を有することが了解されるものとする。たとえば、リスト中の項目を分離する場合、「または(or)」または「および/または(and/or)」は包括的、すなわち、多くの要素または一覧の要素のうちの少なくとも1つを含み、さらに2つ以上を含み、任意選択として、リストにない追加の項目を含むものと解釈される。「~のうちの1つのみ(only one of)」もしくは「~のうちのちょうど1つ(exactly one of)」、または実施形態における使用の場合の「~から成る(consisting of)」等、特段の明確な指定のある用語によってのみ、多くの要素または一覧の要素のうちのちょうど1つを含むことが表される。本明細書における使用の通り、用語「または(or)」は一般的に、「いずれか(either)」、「~のうちの1つ(one of)」、「~のうちの1つのみ(only one of)」、または「~のうちのちょうど1つ(exactly one of)」等の排他性の用語が先行する場合にのみ、排他的選択肢(すなわち、「一方または他方であって、両方ではない(one or the other but not both)」)を示すものとして解釈される。実施形態における使用の場合、「~本質的に成る(consisting essentially of)」は、特許法の分野で使用される通常の意味を有するものとする。
【0127】
本明細書および実施形態における使用の通り、1つまたは複数の要素のリストを参照する表現「少なくとも1つ(at least one)」は、要素のリスト中の1つまたは複数の任意の要素から選択される少なくとも1つの要素を意味することが了解されるものの、要素のリスト内に具体的に列挙されたありとあらゆる要素の少なくとも1つを必ずしも含まず、リスト中の要素の任意の組み合わせを除外しないものとする。この定義によれば、任意選択として、表現「少なくとも1つ(at least one)」が表す要素のリスト内で具体的に識別された要素に関連するかしないかに関わらず、具体的に識別された要素以外の他の要素が存在し得る。このため、非限定的な一例として、「AおよびBの少なくとも一方(at least one of A and B)」(または等価的に、「AまたはBの少なくとも一方(at least one of A or B)」もしくは等価的に「Aおよび/またはBの少なくとも一方(at least one of A and/or B)」)は、一実施形態において、Bが存在しない、任意選択として、2つ以上を含む、少なくとも1つのA(任意選択として、B以外の要素を含む)を表し得る。別の実施形態においては、Aが存在しない、任意選択として、2つ以上を含む、少なくとも1つのB(任意選択として、A以外の要素を含む)を表し、さらに別の実施形態においては、任意選択として、2つ以上を含む、少なくとも1つのAおよび任意選択として、2つ以上を含む、少なくとも1つのB(ならびに任意選択として、他の要素を含む)、などを表し得る。
【0128】
実施形態のほか、上記明細書においては、「備える(comprising)」、「含む(including)」、「搬送する(carrying)」、「有する(having)」、「含む(containing)」、「伴う(involving)」、「保持する(holding)」、「~で構成される(composed of)」等のすべての移行句がオープンエンドである、すなわち、「~を非限定的に含む(including but not limited to)」を意味することが了解されるものとする。移行句「~から成る(consisting of)」および「~本質的に成る(consisting essentially of)」のみ、米国特許庁の特許審査手続要覧第2111.03項に規定の通り、それぞれがクローズドまたはセミクローズドな移行句であるものとする。
【0129】
以上、本開示の特定の実施形態を概説したが、当業者には、多くの代替例、改良例、および変形例が明らかとなるであろう。したがって、本明細書に記載の実施形態は、例示に過ぎず、何ら限定的であることを意図しない。本開示の思想および範囲から逸脱することなく、種々変更が可能である。上述の方法およびステップが特定の順序で起こる特定の事象を示す場合、本開示の利益を受ける当業者であれば、特定のステップの順序を変更可能であり、このような変更が本発明の変形例に従うものであることが認識されよう。また、上述の通り特定のステップを順次実行するほか、並列プロセスが可能な場合は、同時に実行することも可能である。以上、実施形態を詳細に図示および説明したが、形式および詳細を種々変更可能であることが了解されよう。
本明細書には、以下に記載された発明が開示されている。
[構成1]
細胞懸濁液を調製するためのキットであって、
第1の容器および第2の容器を規定する装置であり、組織処理方法の第1の部分で使用する前記第1の容器を識別する第1のラベルと、前記組織処理方法の第2の部分で使用する前記第2の容器を識別する第2のラベルと、を含む、装置と、
前記装置を受容するように構成されたハウジングであり、
前記組織処理方法の前記第1の部分と関連付けられた第1の一組のコンポーネントを格納するように構成され、前記装置の前記第1のラベルと関連付けられた第1の視覚的インジケータを含む第1のハウジング部と、
前記組織処理方法の前記第2の部分と関連付けられた第2の一組のコンポーネントを格納するように構成され、前記装置の前記第2のラベルと関連付けられた第2の視覚的インジケータを含む第2のハウジング部と、
を含む、ハウジングと、
を備えた、キット。
[構成2]
前記第1のハウジング部が、一体化トレイ部にて、前記第2のハウジング部と一体的に形成された、構成1に記載のキット。
[構成3]
前記一体化トレイ部が、前記装置を受容するように構成された凹部を備えた、構成2に記載のキット。
[構成4]
前記第1のハウジング部が、前記第2のハウジング部から分離されている、構成1に記載のキット。
[構成5]
前記第1のハウジング部が、孔付き接続部を介して、前記第2のハウジング部に結合された、構成1に記載のキット。
[構成6]
前記ハウジングが、前記第1のハウジング部および前記第2のハウジング部を受容するように構成された基部を含む、構成1に記載のキット。
[構成7]
前記装置が、第3の容器を規定するとともに、組織処理方法の第3の部分で使用する前記第3の容器を識別する第3のラベルを含み、前記ハウジングが、前記組織処理方法の前記第3の部分と関連付けられた第3の一組のコンポーネントを格納するように構成され、前記装置の前記第3のラベルと関連付けられた第3の視覚的インジケータを含む第3のハウジング部を含む、構成1に記載のキット。
[構成8]
前記ハウジングが、前記第1のハウジング部、前記第2のハウジング部、および前記第3のハウジング部を受容するように構成された基部を含む、構成7に記載のキット。
[構成9]
前記第1の一組のコンポーネントが、酵素バイアルを備え、前記第1のハウジング部が、前記酵素バイアルを受容するように構成された凹部を含む、構成1に記載のキット。
[構成10]
前記第1の視覚的インジケータおよび前記第1のラベルがそれぞれ、第1の色を含み、前記第2の視覚的インジケータおよび前記第2のラベルがそれぞれ、第2の色を含み、前記第3の視覚的インジケータおよび前記第3のラベルがそれぞれ、第3の色を含む、構成1に記載のシステム。
[構成11]
前記第1の視覚的インジケータおよび前記第1のラベルがそれぞれ、第1の文字を含み、前記第2の視覚的インジケータおよび前記第2のラベルがそれぞれ、第2の文字を含み、前記第3の視覚的インジケータおよび前記第3のラベルがそれぞれ、第3の文字を含む、構成1に記載のシステム。
[構成12]
前記組織処理方法の前記第2の部分が、前記組織処理方法の前記第1の部分の後に順次実行される、構成1に記載のシステム。
[構成13]
前記装置が、側壁により囲まれ、テクスチャ加工の表面領域を含む皮膚組織操作エリアを含む、構成1に記載のシステム。
[構成14]
前記第1の一組のコンポーネントが、酵素を含むバイアルを含む、構成1に記載のシステム。
[構成15]
前記第2の一組のコンポーネントが、バッファを含むバイアルを含む、構成1に記載のシステム。
[構成16]
細胞懸濁液を調製するための装置用のパッケージングシステムであり、前記装置が、第1のラベルを有する第1の容器および第2のラベルを有する第2の容器を規定する、パッケージングシステムであって、
組織処理方法の第1の部分と関連付けられた第1の一組のコンポーネントを受容するように構成された一組の凹部を規定し、前記装置の前記第1のラベルと関連付けられた第1の視覚的インジケータを含む第1のハウジング部と、
前記組織処理方法の第2の部分と関連付けられた第2の一組のコンポーネントを受容するように構成された一組の凹部を規定し、前記装置の前記第2のラベルと関連付けられた第2の視覚的インジケータを含む第2のハウジング部と、
を備えた、パッケージングシステム。
[構成17]
前記第1のハウジング部が、一体化トレイ部にて、前記第2のハウジング部と一体的に形成された、構成16に記載のパッケージングシステム。
[構成18]
前記一体化トレイ部が、前記装置を受容するように構成された凹部を備えた、構成17に記載のパッケージングシステム。
[構成19]
前記第1のハウジング部が、前記第2のハウジング部から分離されている、構成16に記載のパッケージングシステム。
[構成20]
前記第1のハウジング部が、孔付き接続部を介して、前記第2のハウジング部に結合された、構成16に記載のパッケージングシステム。
[構成21]
前記第1のハウジング部および前記第2のハウジング部を受容するように構成された基部をさらに備えた、構成16に記載のパッケージングシステム。
[構成22]
前記装置が、第3の容器を規定するとともに、組織処理方法の第3の部分で使用する前記第3の容器を識別する第3のラベルを含み、前記パッケージングシステムが、前記組織処理方法の前記第3の部分と関連付けられた第3の一組のコンポーネントを格納するように構成され、前記装置の前記第3のラベルと関連付けられた第3の視覚的インジケータを含む第3のハウジング部をさらに含む、構成16に記載のパッケージングシステム。
[構成23]
前記第1のハウジング部、前記第2のハウジング部、および前記第3のハウジング部を受容するように構成された基部をさらに備えた、構成22に記載のパッケージングシステム。
[構成24]
ハウジングにパッケージングされた装置を用いて細胞懸濁液を調製するための方法であって、
前記装置の第1の容器に近接して配設された第1のラベルと前記ハウジングの第1のハウジング部に含まれる第1の視覚的インジケータとの第1の照合を識別することと、
前記第1の照合の識別に応答して、前記第1のハウジング部から第1の一組のコンポーネントを取り出し、前記第1の一組のコンポーネントを用いて、前記第1の容器と関連付けられた組織処理方法の第1の部分を実行することと、
前記装置の第2の容器に近接して配設された第2のラベルと前記ハウジングの第2のハウジング部に含まれる第2の視覚的インジケータとの第2の照合を識別することと、
前記第2の照合の識別に応答して、前記第2のハウジング部から第2の一組のコンポーネントを取り出し、前記第2の一組のコンポーネントを用いて、前記第2の容器と関連付けられた前記組織処理方法の第2の部分を実行することと、
を含む、方法。
[構成25]
前記第1の照合の識別に応答して、前記第1のハウジング部を滅菌処置エリアに移動させることをさらに含む、構成24に記載の方法。
[構成26]
前記第2の照合の識別に応答して、前記第2のハウジング部を滅菌処置エリアに移動させることをさらに含む、構成24に記載の方法。
[構成27]
前記装置の第3の容器に近接して配設された第3のラベルと前記ハウジングの第3のハウジング部に含まれる第3の視覚的インジケータとの第3の照合を識別することと、
前記第3の照合の識別に応答して、前記第3のハウジング部から第3の一組のコンポーネントを取り出し、前記第3の一組のコンポーネントを用いて、前記第3の容器と関連付けられた前記組織処理方法の第3の部分を実行することと、
をさらに含む、構成24に記載の方法
[構成28]
前記装置の調製トレイに対して、前記組織処理方法の組織操作部を実行することをさらに含む、構成24に記載の方法。
[構成29]
前記第1の一組のコンポーネントが、滅菌水のバイアル、注射器、および酵素バイアルを含み、前記第1の容器と関連付けられた前記組織処理方法の前記第1の部分が、
酵素混合物を調製することと、
前記酵素混合物を前記第1の容器に送達することと、
を含む、構成24に記載の方法。
[構成30]
滅菌パウチから酵素バイアルを取り出すことと、
前記第1のハウジング部に規定された凹部に前記酵素バイアルを配設することと、
をさらに含む、構成24に記載の方法。
[構成31]
前記第2の一組のコンポーネントが、バッファバイアルおよび注射器を含み、前記第2の容器と関連付けられた前記組織処理方法の前記第2の部分が、
ある体積の前記バッファを前記バッファバイアルから前記注射器に引き込むことと、
前記体積の前記バッファを前記注射器から前記第2の容器に送達することと、
を含む、構成24に記載の方法。
[構成32]
前記第3の一組のコンポーネントが、注射器を含み、前記第3の容器と関連付けられた前記組織処理方法の前記第3の部分が、
皮膚サンプルを分解することと、
前記分解した皮膚サンプルから細胞を含む細胞懸濁液を生成することと、
前記細胞懸濁液を前記注射器に引き込むことと、
を含む、構成25に記載の方法。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
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図11
図12
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