(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-17
(45)【発行日】2024-10-25
(54)【発明の名称】プレート保持装置、結合ガイド及びこれらを含むキット
(51)【国際特許分類】
A61B 17/80 20060101AFI20241018BHJP
【FI】
A61B17/80
(21)【出願番号】P 2022551049
(86)(22)【出願日】2021-02-25
(86)【国際出願番号】 EP2021054732
(87)【国際公開番号】W WO2021170744
(87)【国際公開日】2021-09-02
【審査請求日】2024-02-13
(32)【優先日】2020-02-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】502154016
【氏名又は名称】アエスキュラップ アーゲー
【住所又は居所原語表記】Am Aesculap-Platz, 78532 Tuttlingen Germany
(74)【代理人】
【識別番号】110000110
【氏名又は名称】弁理士法人 快友国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ロバート クルーズ
(72)【発明者】
【氏名】アーニー コラオ
(72)【発明者】
【氏名】スコット ラーセン
【審査官】槻木澤 昌司
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2014/0236154(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2008/0045968(US,A1)
【文献】米国特許第04187840(US,A)
【文献】特開2014-184237(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 17/80
A61B 17/17
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
プレート保持器
具であって、
近位
端と、前記近位
端の反対側の遠位
端と、を備える基
部であって、前記基
部は、前記近位
端から前記遠位
端まで長手方向に延在する長手方向
軸を画定する、基
部と、
前記基
部に対して前記長手方向に変位可能であり、前記基
部と共にプレート受容凹
部を形成するクラン
プであって、骨プレー
トが前記プレート受容凹
部に装着されること及び前記プレート受容凹
部から取り外されることを可能にするための解除位置と、前記プレート受容凹
部内で前記骨プレー
トをロックするためのクランプ位置と、の間で変位可能なクラン
プと、
前記クラン
プを前記解除位置に動かすために、前記基
部に対して第1の方向に変位可能であり、前記クラン
プを前記クランプ位置に動かすために、前記基
部に対して第2の方向に変位可能であるアクチュエー
タと、
前記プレート保持器具にガイド付属品を取り外し可能に連結するための締結具と、
を備える、プレート保持器
具。
【請求項2】
前記アクチュエー
タは、ヒン
ジによって前記基
部の前記近位
端に回動可能に取り付けられるレバーアー
ムを備える、請求項1に記載のプレート保持器
具。
【請求項3】
前記アクチュエー
タは、前記レバーアー
ムと前記クラン
プとの間に接続されるリンク部
材をさらに備える、請求項2に記載のプレート保持器
具。
【請求項4】
前記リンク部
材は、
前記レバーアー
ムに回動可能に連結される第1のリンク端
部と、
前記クラン
プに回動可能に連結される第2のリンク端
部と、を備える、請求項3に記載のプレート保持器
具。
【請求項5】
前記基
部は、第1のプレート保持
面を備え、
前記クラン
プは、第2のプレート保持
面を備える、請求項1~4のいずれか一項に記載のプレート保持器
具。
【請求項6】
前記プレート受容凹
部は、前記第1のプレート保持
面と前記第2のプレート保持
面との間に延在する、請求項5に記載のプレート保持器
具。
【請求項7】
前記第2のプレート保持
面は、前記アクチュエー
タが前記基
部に対して前記第1の方向に動かされることに応じて、前記第1のプレート保持
面から離れるように移動可能である、請求項5又は6に記載のプレート保持器
具。
【請求項8】
前記第2のプレート保持
面は、前記アクチュエー
タが前記基
部に対して前記第2方向に動かされることに応じて、前記第1のプレート保持
面に向かって移動可能である、請求項5~7のいずれか一項に記載のプレート保持器
具。
【請求項9】
前記第1のプレート保持
面は、前記基
部から突出する第1の対の戻り止
めを備え、
前記第2のプレート保持
面は、前記クラン
プから突出する第2の対の戻り止
めを備える、請求項5~8のいずれか一項に記載のプレート保持器
具。
【請求項10】
前記プレート受容凹
部は、前記長手方向
軸の第1の
側の第1の傾斜
面と、前記長手方向
軸の第2の
側の第2の傾斜
面と、を備え、
前記第2の傾斜
面は、前記第1の傾斜
面と平行ではない、請求項1~9のいずれか一項に記載のプレート保持器
具。
【請求項11】
前記基
部は、少なくとも1つの停止
面を備え、
前記クラン
プは、前記クラン
プが前記クランプ位置に動かされたときに前記停止
面に当接するように構成される少なくとも1つの停止部
材を備える、請求項1~10のいずれか一項に記載のプレート保持器
具。
【請求項12】
前記締結具は、クリッ
プを備える、請求項
1に記載のプレート保持器
具。
【請求項13】
前記クラン
プは、滅菌を容易にするために、前記クラン
プが前記基
部から分離される洗浄位置まで前記基
部に対してさらに変位可能である、請求項1~
12のいずれか一項に記載のプレート保持器
具。
【請求項14】
前記アクチュエー
タは、前記クラン
プを前記解除位置から前記洗浄位置に動かすために前記第1の方向に移動可能である、請求項
13に記載のプレート保持器
具。
【請求項15】
患者の頭蓋骨の後部領域に骨プレートを取り付けるためのキットであって、
請求項1~
14のいずれか一項に記載のプレート保持器
具を備える、キット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、概して、プレート保持器具に関する。さらに、本開示は、結合ガイド、及びプレート保持器具と結合ガイドとを備えるキットに関する。
【背景技術】
【0002】
脊椎固定術は、損傷した椎骨を取り除き、取り除かれた椎骨に隣接する椎体を移植片材料と一緒に固定させる治療である。脊椎は、固定の間、動かないようにされなければならない。脊椎を動かないようにするために、1つ又は複数の固定ロッドが、動きを制限するために椎骨に固定される。
【0003】
頸部-後頭部固定は、骨プレートに取り付けられ、次いで頭蓋骨の後部上の後頭骨に固定される固定ロッドを使用することによって達成され得る。そのような骨プレートの一例は、Aesculap Implant Systems, LLCに譲渡された米国特許第8,348,981号に記載されており、その内容全体が参照により本明細書に組み込まれる。後頭骨プレートは、骨プレートの開口を通して挿入される骨ねじを用いて頭蓋骨に取り付けられる。ねじを挿入する前に、ねじ用の穴を開けてタッピング(ねじ切り)する必要がある。
【0004】
頭蓋骨後部に穴をあけ、タッピングすることは、密度が高い皮質骨を貫通するためにかなりの量の力を必要とする、困難な処置である。この処理は、器具に要求される進入角によってさらに複雑になる。加えて、穴あけ深さは、正確に制御されなければならず、難しい接近角度でドリルにかなりの力を加えながらこれを行うことは困難である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
前述の課題は、本開示による機器によって多くの点で対処される。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の一態様では、プレート保持器具は、近位端と、近位端の反対側の遠位端と、を有する基部を備える。基部は、近位端から遠位端まで長手方向に延在する長手方向軸を画定する。クランプは、基部に対して長手方向に変位可能であり、基部と共にプレート受容凹部を形成する。クランプは、骨プレートがプレート受容凹部に装着されること及びプレート受容凹部から取り外されることを可能にするための解除位置と、骨プレートをプレート受容凹部内でロックするためのクランプ位置と、の間で変位可能である。アクチュエータは、クランプを解除位置に動かすために、基部に対して第1の方向に変位可能であり、クランプをクランプ位置に動かすために、基部に対して第2の方向に変位可能である。
【0007】
本開示の別の態様では、プレート保持器具は、ヒンジによって基部の近位端に回動可能に取付けられるレバーアームを有するアクチュエータを有する。
【0008】
本開示の別の態様では、プレート保持器具は、レバーアームとクランプとの間に接続されるリンク部材を備えるアクチュエータを有する。
【0009】
本開示の別の態様では、プレート保持器具は、レバーアームに回動可能に連結される第1のリンク端部と、クランプに回動可能に連結される第2のリンク端部と、を備えるリンク部材を備えるアクチュエータを有する。
【0010】
本開示の別の態様では、プレート保持器具は、第1のプレート保持面を備える基部と、第2のプレート保持面を備えるクランプと、を有する。
【0011】
本開示の別の態様では、プレート保持器具は、第1のプレート保持面と第2のプレート保持面との間に延在するプレート受容凹部を有する。
【0012】
本開示の別の態様では、プレート保持器具は、アクチュエータが基部に対して第1の方向に動かされることに応じて、第1のプレート保持面から離れるように移動可能な第2のプレート保持面を有する。
【0013】
本開示の別の態様では、プレート保持器具は、アクチュエータが基部に対して第2の方向に動かされることに応じて、第1のプレート保持面に向かって移動可能な第2のプレート保持面を有する。
【0014】
本開示の別の態様では、プレート保持器具は、基部から突出する第1の対の戻り止めを有する第1のプレート保持面と、クランプから突出する第2の対の戻り止めを有する第2のプレート保持面とを有する。
【0015】
本開示の別の態様では、プレート保持器具は、長手方向軸の第1の側に第1の傾斜面を有し、長手方向軸の第2の側に第2の傾斜面を有するプレート受容凹部を有し、第2の傾斜面は、第1の傾斜面と平行ではない。
【0016】
本開示の別の態様では、プレート保持器具は、少なくとも1つの停止面を備える基部と、クランプと、を有し、クランプは、クランプがクランプ位置に動かされたときに少なくとも1つの停止面に当接するように構成される少なくとも1つの停止部材を備える。
【0017】
本開示の別の態様では、プレート保持器具は、プレート受容凹部に隣接する開口を共同して画定する基部及びクランプを有し、開口は、プレート受容凹部内に固定されるプレートの後方に延在するように構成される。
【0018】
本開示の別の態様では、プレート保持器具は、プレート保持器具にガイド付属品を取り外し可能に連結するための締結具を備える。
【0019】
本開示の別の態様では、プレート保持器具は、クリップの形態の締結具を有する。
【0020】
本開示の別の態様では、プレート保持器具は、クランプを有し、クランプは、滅菌を容易にするために、クランプが基部から分離される洗浄位置まで基部に対して変位可能である。
【0021】
本開示の別の態様では、プレート保持器具は、クランプを解除位置から洗浄位置に動かすために第1の方向に移動可能なアクチュエータを有する。
【0022】
本開示の別の態様では、上記で定義したプレート保持器具とは別に、又はそれに加えて、プレート保持器具に結合されるように構成される、好ましくは穴あけガイド及びタッピングガイドのための結合ガイドが提供される。結合ガイドは、第1の端部(部分)と、第2の端部(部分)と、第1の端部(部分)と第2の端部(部分)との間に延在する細長い本体と、を備える。第1の端部(部分)は、穴あけガイドとして機能するように構成され、第2の端部(部分)は、タッピングガイドとして機能するように構成される。このように、シンプルかつコンパクトな構造の単一の結合ガイドにより、タッピングガイド及び穴あけガイドを実現することができる。
【0023】
以下では、「端部(end)」という表現のみが使用され、ここでは、「端部部分(end pоrtiоn)」も代替的に意図される。
【0024】
本開示の別の態様では、結合ガイドの第1の端部は、ドリルビットを受け入れるように構成される円筒形ガイドリングを有し、結合ガイドの第2の端部は、タッピング器具を受け入れるように構成される円筒形ガイドリングを有する。
【0025】
本開示の別の態様では、結合ガイドの第1の端部は、曲がり部を介して結合ガイドの細長い本体に接続され、結合ガイドの第2の端部は、第2の曲がり部を介して結合ガイドの細長い本体に接続される。
【0026】
本開示の別の態様では、患者の頭蓋骨の後部領域に骨プレートを取り付けるためのキットが提供される。キットは、好ましくは骨プレートを保持するためのプレート保持器具と、好ましくは穴あけガイド及びタッピングガイドのための結合ガイドと、を備える。さらに、キットは、好ましくは骨プレートを備える。
【0027】
本開示の別の態様では、患者の頭蓋骨の後部領域に骨プレートを取り付けるためのキットは、プレート保持器具を備える。プレート保持器具は、近位端と、近位端の反対側の遠位端とを備える基部を備える。基部は、近位端から遠位端まで長手方向に延在する長手方向軸を画定する。クランプは、基部に対して長手方向に変位可能であり、基部と共にプレート受容凹部を形成する。クランプは、骨プレートがプレート受容凹部に装着され、プレート受容凹部から取り外されることを可能にするための解除位置と、プレート受容凹部内でプレートをロックするためのクランプ位置との間で変位可能である。アクチュエータは、クランプを解除位置に移動かすために基部に対して第1の方向に変位可能であり、クランプをクランプ位置に動かすために第2の方向に変位可能である。少なくとも1つのガイド付属品は、プレート保持器具に取り外し可能に連結されるように構成される。
【0028】
本開示の別の態様では、キットは、少なくとも1つの穴あけガイドの形態の少なくとも1つのガイド付属品を有する。
【0029】
本開示の別の態様では、キットは、少なくとも1つのタップガイドの形態の少なくとも1つのガイド付属品を有する。
【0030】
本開示の別の態様では、キットは、少なくとも1つの骨プレートを有する。
【0031】
前述の概要及び以下の詳細な説明は、図面に示される非限定的な例と併せてより良く理解されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【
図1】患者の頭蓋骨の後部に取り付けられた骨プレートを特徴とする頸部-後頭部固定システムの概略斜視図である。
【
図2】本開示によるプレート保持器具の正面斜視図である。
【
図3】
図2のプレート保持器具の背面斜視図である。
【
図4】骨プレートがプレート保持器具に装着された状態の、
図2のプレート保持器具の別の正面斜視図である。
【
図5】骨プレートがプレート保持器具にクランプされている状態の、
図2のプレート保持器具の別の正面斜視図である。
【
図6】
図2のプレート保持器具の先端部を切り取った拡大された斜視図であり、一端の詳細を示す。
【
図7】骨プレートが一端に固定された状態の、
図2のプレート保持器具の、先端部を切り取った拡大された別の斜視図である。
【
図8】本開示の第1の実施例による結合ガイドの正面斜視図である。
【
図9】本発明の第2実施例による結合ガイドの正面斜視図である。
【
図10】
図2のプレート保持器具及び本開示による骨プレートに取り付けられた、第1の実施例による結合ガイドの正面斜視図である。
【
図11】
図10のプレート保持器具及び骨プレートに取り付けられた、第1の実施例による結合ガイドの背面斜視図である。
【
図12】ねじ穴を開けている時に示される、
図10のプレート保持器具及び骨プレートに取り付けられた、第1の実施例による結合ガイドの側面概略図である。
【
図13】ねじ穴を開けている時の、第1の実施例による結合ガイドと、プレート保持器具と、骨プレートとの詳細を示す拡大斜視図である。
【
図14】ねじ穴をタッピングしている時の、第1の実施例による結合ガイドと、プレート保持器具と、骨プレートとの詳細を示す拡大斜視図である。
【
図15】骨プレートを通してタップされたねじ穴にねじを挿入する時の、プレート保持器具及び骨プレートの詳細を示す拡大斜視図である。
【
図16】本開示の第3の実施例による結合ガイドに取り付けられた、別のプレート保持器具と骨プレートとの斜視図である。
【
図17】タッピング器具を有する状態の
図16のプレート保持器具、プレート、結合ガイドの概略斜視図である。
【
図18】骨プレートが患者の後頭骨に固定された後に骨プレートから取り外される、本開示によるプレート保持器具の概略斜視図である。
【
図19】
図2のプレート保持器具の別の正面斜視図であり、この図では、プレートが取り外され、アクチュエータが洗浄位置に移動されて、コンポーネントが滅菌されることを可能にしている。
【
図20】本開示による別のプレート保持器具の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0033】
以下のセクションでは、本開示による頸椎の固定に使用される様々な器具について説明する。
【0034】
本開示において、「遠位」は、基本的に、「ユーザ/外科医から患者に向かう方向」を意味し、「近位」は、基本的に、「ユーザ/外科医に向かって患者から離れる方向」を意味する。
【0035】
図1は、患者の頭蓋骨の後頭骨に取り付けられた骨プレート110を特徴とする頸部-後頭部固定システム100を示す。骨プレート110は、4つの骨ねじ120によって後頭骨に固定される。骨ねじ120は、骨プレートの本体部分114の穴112を通って打ち込まれる。一対の脚部130が本体部分114から外側に向けて延びている。各脚部130は、頸部固定ロッド140を支持するように構成されるソケット132を有する。頸部固定ロッド140は、脊柱内に埋め込まれた骨固定アセンブリ150に接続される。
【0036】
図2及び
図3は、プレート保持器具200を示す。プレート保持器具200は、後頭骨に取り付けられるべき所望の位置に骨プレートを保持するように構成される。プレート保持器具200はまた、後述するように、後頭骨にねじ穴を開け、タッピングするために、他の付属品と協働する。さらに、プレート保持器具200は、骨プレートを後頭骨に固定するために、骨ねじがタッピングされたねじ穴を通して打ち込まれるときに、骨プレートを所定の位置に保持するために使用されることができる。
【0037】
本開示によるプレート保持器具は、骨プレートに係合及び係合解除するために互いに対して移動する部品を有する。部品は、様々な構造を有することができる。厚みが小さく、比較的長く薄い部品により、プレート保持器具は、器具が最小限の空間を占めつつ後頭骨にアクセスすることができるように、長く薄い形状を有することができる。本実施例では、プレート保持器具200は、軸方向長さ210L、幅210W、厚さ210Tのプレート状の基部210を有している。厚さ210Tは、幅210Wの小さな一部分であり、幅210Wは、軸方向長さ210Lの小さな一部分である。基部210は、近位端212と、近位端212と反対側の遠位端214とを有する。基部210はまた、近位端212から遠位端214まで長手方向に延在する長手方向軸216を画定する。
【0038】
プレート保持器具200は、プレート状のクランプ230を備えている。クランプ230は、近位端232と、近位端232の反対側の遠位端234とを有する。さらに、クランプ230は、軸方向に変位可能な配置で基部210に接続されている。この配置では、クランプ230は、基部210に対して長手方向に変位可能である。クランプ230は、基部210と共にプレート受容凹部240を形成する。プレート受容凹部240は、骨プレートを受容し、支持するような大きさである。クランプ230は、解除位置とクランプ位置との間で基部210に対して変位可能である。解除位置では、クランプ230は、骨プレート110のような骨プレートを、プレート受容凹部240に装着し、またプレート受容凹部240から取り出すことを可能にする。クランプ位置では、クランプ230は、プレート受容凹部240内に骨プレート110にしっかりと係合させ、その結果、骨プレート110は、プレート受容凹部240内にロックされる。
【0039】
プレート保持器具200は、アクチュエータ250をさらに備える。アクチュエータ250は、基部210に対して第1の方向Aに変位可能であり、クランプ230を解除位置に移動させる。また、アクチュエータ250は、基部210に対して第2の方向Bに変位可能であり、クランプ230をクランプ位置に移動させる。
【0040】
図4及び
図5は、骨プレート110がプレート受容凹部240内に装着された状態のプレート保持器具200を示す。
図4に示すようにアクチュエータ250が第1の方向Aに動かされると、クランプ230は解除位置に動かされる。この位置では、プレート受容凹部240は拡張され、基部210とクランプ230との間のプレート受容凹部240内へ骨プレート110を装着することを可能にする隙間を作る。
図5に示すようにアクチュエータ250が第2の方向Bに動かされると、クランプ230はクランプ位置に動かされる。この位置では、プレート受容凹部240は、骨プレート110を2つの側部で囲むように収縮又は縮小する。この構成では、基部210及びクランプ230は共同して、骨プレート110をクランプ解除又はクランプするためにアクチュエータ250を介して開閉することができる万力202を形成する。
【0041】
アクチュエータ250は、
図19に示されるように、解除位置を越えて洗浄位置まで第1の方向Aに動かされることができる。この位置において、クランプ230は、基部210から取り外され、部品の滅菌が可能となる。
【0042】
図4及び
図5に戻って参照すると、アクチュエータ250は、ヒンジ218によって基部210の近位端212に回動可能に取り付けられたレバーアーム252を備える。アクチュエータ250は、レバーアーム252とクランプ230との間に接続されたリンク部材254をさらに備える。リンク部材254は、レバーアーム252に回動可能に連結された第1のリンク端部256と、クランプ230に回動可能に連結された第2のリンク端部258とを有する。
【0043】
図6を参照すると、基部210は第1のプレート保持面211を備え、クランプ230は第2のプレート保持面231を備える。プレート受容凹部240は、第1のプレート保持面211と第2のプレート保持面231との間に延在する。第2のプレート保持面231は、アクチュエータ250が基部210に対して第1の方向Aに動かされるのに応じて、第1のプレート保持面211から離れるように移動可能である。第2のプレート保持面231は、アクチュエータ250が基部210に対して第2の方向Bに動かされるのに応じて、第1のプレート保持面211に向かって移動可能である。
【0044】
後頭骨は、典型的には湾曲している。平坦な形状を有する骨プレートは、湾曲した骨表面に固定することが難しい。したがって、後頭骨の自然な湾曲に一致する湾曲した輪郭又は面を有するように、骨プレートが曲げられるか、又は他の方法で成形されることが望ましい場合が多い。例えば、プレートを、後頭骨に対して固定されるプレートの側部が凹形状を有するように曲げることができる。
【0045】
本開示によるプレート保持器具及びプレート受容凹部は、湾曲した骨プレートの湾曲に一致する1つ又は複数の表面を有し得る。
図7を参照すると、プレート受容凹部240は、骨プレート110’の湾曲した後面に対応する曲線支持面242を有する。特に、プレート受容凹部240は、長手方向軸216の第1の側216Aに第1の傾斜面244を含む。また、プレート受容凹部240は、長手方向軸216の第2の側216Bに第2の傾斜面246を含む。第2の傾斜面246は、第1の傾斜面244と平行でない。さらに、第1の傾斜面244及び第2の傾斜面246は、長手方向軸216に向かって延びるにつれ互いに向かって傾斜している。この配置において、第1及び第2の傾斜面244、246は、骨プレート110’の湾曲に対応するV字形又はU字形の支持面246を共同して形成する。
【0046】
第1のプレート保持面211は、基部210から突出する第1の対の戻り止め213を備える。同様に、第2のプレート保持面231は、クランプ230から突出する第2の対の戻り止め233を備える。第1の対の戻り止め213及び第2の対の戻り止め233は、骨プレートの外周に沿った4つの位置でのみ骨プレート110’に接触する。
【0047】
本開示によるプレート保持器具は、骨プレートがクランプ位置に動かされるときに、骨プレートに対するクランプの変位を制限するための停止機構を含むことができる。停止機構は、骨プレートがきつくクランプされすぎて、骨プレートを潜在的に変形させ、損傷させることを防止するために使用することができる。本実施例では、基部210は、基部210の近位端212を向く一対の停止面215を備える。さらに、クランプ230は、クランプ230の遠位端234を画定する一対の停止部材235を備える。また、停止部材235は、クランプ230がクランプ位置に動かされた時に停止面215に当接するように構成されており、第2のプレート保持面231が第1のプレート保持面211にそれ以上近づくように動くのを防止している。
【0048】
基部210及びクランプ230は、プレート受容凹部240に隣接する開口248を共同して画定する。開口248は、例えば
図7に示すように、プレート受容凹部240に固定された骨プレートの穴の後方に延在するように構成され、プレート保持器具及び骨プレートが後頭骨に対して保持されたときに、遮るもののない経路が、骨プレートの穴を通って後頭骨まで延びるようになっている。
【0049】
本開示によるプレート保持器具は、様々なプレート保持構造及び構成を有することができる。例えば、プレート保持面は、一対の戻り止めではなく、単一の戻り止めで構成することができる。
図20を参照すると、単一の戻り止め213’からなる第1のプレート保持面211’と、一対の戻り止め233’を有する第2のプレート保持面231’とを有するプレート保持器具200’が示されている。この配置では、単一の戻り止め213’及び一対の戻り止め233’は、骨プレートの外周に沿った3つの位置で骨プレートに接触する。また、プレート保持器具200’は、アクチュエータ250’が第1の方向Aに回動できる範囲を制限する保護部290’を備える。
【0050】
本開示によるプレート保持器具は、後頭骨にねじ穴を開けてタッピングすることを補助するガイドと、骨プレートを通ってねじを打ち込むためのガイドとを含む、様々な付属品と共働するように構成される。本実施例では、プレート保持器具200はクリップ260の形態の締結具を備え、その背面部分が
図3及び
図10に示されている。クリップ260は、ガイド付属品をプレート保持器具に取り外し可能に連結するように構成される。
【0051】
本開示によるプレート保持器具は、独立型(スタンドアローン)器具として販売することができる。あるいは、本開示によるプレート保持器具は、1つ又は複数の付属品と共に販売することができる。さらに、本開示によるプレート保持器具は、様々な外科用器具、骨プレート、ねじ、ツール、タップ、深さゲージ、ねじ回し、及び他の付属品を含む外科用セットの一部として販売することができる。
【0052】
例えば、本開示によるキットは、後頭骨にパイロット穴を開けるための付属品を含むことができる。そのような付属品は、外科用ドリル、ドリルビット、及び穴あけガイドを含むことができる。本開示によるキットはまた、後頭骨にねじ穴をタッピングするための付属品を含むことができる。ねじ穴をタッピングすることは、ねじ穴にねじ切りを形成するために、パイロット穴にタッピング器具を打ち込むことを含むことができる。したがって、本開示によるキットは、タップ及びタッピングガイドを含むことができる。
【0053】
本開示によるキットはまた、1つ又は複数の骨プレートを含むことができる。例えば、キットは、骨プレートのセットを含むことができ、骨プレートは、その寸法、曲率、穴の直径、穴の配置、及び/又は他の設計パラメータに関して異なる。
【0054】
本開示によるガイド付属品は、パイロット穴の穴あけをガイドするための第1の端部と、ねじ穴のタッピングをガイドするための第2の端部とを特徴とする結合ガイドを含むことができる。
図8は、ミニアクセス手順において4.5mmのねじを受け入れるために、ねじ穴をタッピングするために使用される結合ガイド300の一例を示す。結合ガイド300は、第1の端部302と、第2の端部304と、第1の端部302と第2の端部304との間に延在する細長い本体306とを有する。第1の端部302は、穴あけガイド310として機能するように、ドリルビットを受け入れるように構成される円筒形ガイドリング308を有する。第2の端部304は、タッピングガイド314として機能するように、タッピング器具を受け入れるように構成される円筒形ガイドリング312を有する。第1の端部302は、第1の曲がり部316によって細長い本体306に接続され、第2の端部304は、第2の曲がり部318によって細長い本体306に接続される。
【0055】
図9は、ミニアクセス手順において5.5mmのねじを受け入れるために、ねじをタッピングするために使用される別の結合ガイド400の例を示す。結合ガイド400は、第1の端部402と、第2の端部404と、第1の端部402と第2の端部404との間に延在する細長い本体406とを有する。第1の端部402は、穴あけガイド410として機能するように、ドリルビットを受け入れるように構成される円筒形ガイドリング408を有する。第2の端部404は、タッピングガイド414として機能するように、タッピング器具を受け入れるように構成される円筒形ガイドリング412を有する。第1の端部402は、第1の曲がり部416によって細長い本体406に接続され、第2の端部404は、第2の曲がり部418によって細長い本体406に接続される。
【0056】
結合ガイド300、400の細長い本体306、406は、プレート保持器具200のクリップ260に挿入され、クリップ260によって解除可能に保持されるように構成される。
図10及び
図11を参照すると、プレート保持器具200は、結合ガイド300がクリップ260に挿入され、プレート保持器具200に装着された骨プレート110’と位置合わせされた状態で示されている。結合ガイド400は、クリップ260に挿入され、プレート保持器具200及び骨プレート110’と共に同じ方法で使用され得ることが理解される。したがって、結合ガイド400の構造的及び機能的側面は、全ての点で同一であり、唯一の違いはガイドリングのサイズであるという理解のもと、結合ガイド300の構造的及び機能的側面のみを説明する。
【0057】
第1及び第2の曲がり部316、318は、ガイドリング308、312が骨プレート110’と同一平面上に配置されることを可能にする一方、細長い本体306が骨プレート110’より外側に配置されるオフセットを形成する。これらのオフセットは、ガイドリング308、312ができるだけ骨プレート110’に近い位置に配置されることを可能にし、一方、細長い本体306が、プレート保持器具200の頂部よりも上方に、頂部をまたぐように結合されることを可能にするために必要である。
【0058】
本開示によるプレート保持器具はまた、外科用ドリル及びタッピング器具を案内するための角度付き器具とともに使用され得る。
図12及び
図13は、パイロット穴をあけている間に後頭骨に対して骨プレート110を保持するプレート保持器具200を示す。ドリルビット600及び深さストッパ700を備える角度付きギア器具500は、ドリルドライバ800によって与えられるトルクでパイロット穴をあける。この場合、結合ガイド300は、第1の端部302のガイドリング308が骨プレート110の穴112と位置合わせされた状態で、プレート保持器具200に結合される。
【0059】
図14は、ねじ穴のタッピング中に後頭骨に対して骨プレート110を保持するプレート保持器具200を示す。角度付きギア器具500は、タップ602及び深さストッパ702を有する。この場合、結合ガイド300は、第2の端部304のガイドリング312が骨プレート110の穴112と位置合わせされた状態でプレート保持器具200に結合される。
【0060】
図15は、骨プレート110が後頭骨に固定されるときに、骨プレート110を後頭骨に対して保持するプレート保持器具200を示す。この場合、タッピングされたねじ穴が用意され、そのため、結合ガイド300がプレート保持器具200から取り外される。第1のプレートねじ900は、角度付きギア器具500に取り付けられたドライバビット604上に配置される。角度付きギア器具500に加えられたトルクは、骨プレート110を後頭骨に固定するために、第1のプレートねじ900を、骨プレート110の第1の穴を通ってねじ穴内に打ち込む。一旦、第1のプレートねじ900がねじ穴に打ち込まれると、角度付きギア器具500が取り外され、第2のプレートねじが装着され、骨プレート110の第2の穴まで操作され、第2の穴を通して第2のプレートねじを後頭骨に打ち込むことができる。この処理は、骨プレート110の後方のタッピングされた任意の他のねじ穴に対して繰り返すことができる。
【0061】
図16及び
図17は、開放処置で使用することができる代替の結合ガイド1000を示す。結合ガイド1000は、第1の端部1002と、第2の端部1004と、第1の端部1002と第2の端部1004との間に延在する細長い本体1006とを有する。第1の端部1002は、ドリルビット又はタップビットのいずれかを受け入れるように構成される円筒形ガイドリング1008を有する。第2の端部1004はまた、ドリルビット又はタップビットのいずれかを受容するように構成される円筒状ガイドリング1012を有する。
図16はガイドリング1012のタップビット1100を示し、
図17はガイドリング1008のタップビット1200を示す。結合ガイド300、400とは異なり、結合ガイド1000は、細長い本体1006とガイドリングとの間に曲がり部を有していない。
【0062】
図18は、後頭骨に固定された骨プレート110を示す。プレート保持器具200のアクチュエータ250は、プレート受容凹部240から骨プレート110を外すために解除位置に動かされる。
【0063】
本明細書に記載の器具は、ステンレス鋼の様々な合金を含むがこれに限定されない様々な材料を使用して製造することができる。合金の等級は、所望の強度、硬度、耐食性、摩耗特性及び他の性能基準に基づいて選択することができる。
【0064】
したがって、添付の特許請求の範囲は、本開示の範囲内に入るそのようなすべての変形を包含することが意図される。