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特許7573641多層複合セラミックスプレート及びその製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-17
(45)【発行日】2024-10-25
(54)【発明の名称】多層複合セラミックスプレート及びその製造方法
(51)【国際特許分類】
   C04B 35/645 20060101AFI20241018BHJP
   H01L 21/683 20060101ALI20241018BHJP
【FI】
C04B35/645
H01L21/68 R
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2022556137
(86)(22)【出願日】2021-02-19
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2023-05-01
(86)【国際出願番号】 CN2021076782
(87)【国際公開番号】W WO2021190207
(87)【国際公開日】2021-09-30
【審査請求日】2022-09-15
(31)【優先権主張番号】202010234112.9
(32)【優先日】2020-03-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】522367492
【氏名又は名称】烟台睿瓷新材料技術有限公司
【氏名又は名称原語表記】RAYCER ADVANCED MATERIALS TECHNOLOGY CO., LTD.
【住所又は居所原語表記】13th Guiyang Street, ETDZ Yantai, Shandong 264006, China
(74)【代理人】
【識別番号】110002262
【氏名又は名称】TRY国際弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】張 巨先
【審査官】小川 武
(56)【参考文献】
【文献】特開2005-064497(JP,A)
【文献】特開2005-159334(JP,A)
【文献】特表2004-521052(JP,A)
【文献】特開平04-300138(JP,A)
【文献】特開2012-216816(JP,A)
【文献】特開昭61-106413(JP,A)
【文献】特開2005-343733(JP,A)
【文献】特開2008-047885(JP,A)
【文献】特開2009-060103(JP,A)
【文献】特開2006-287210(JP,A)
【文献】特開2008-098626(JP,A)
【文献】特開2002-160974(JP,A)
【文献】特開2003-017552(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第103050429(CN,A)
【文献】中国特許出願公開第107527852(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C04B 35/00-35/84、37/00
H01L 21/683
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
多層複合セラミックスプレートの作製方法であって、金型を用いて加圧焼結し、金型は、グラファイトホットプレス金型であり、即ち、グラファイト円柱の外筒内には、2つの独立した同軸のグラファイト円柱体が備え付けられ、下部のグラファイト円柱体は、グラファイト金型ベースであり、上部のグラファイト円柱体は、グラファイト金型押さえカバーであり、
多層複合セラミックスプレートは、少なくとも1つの基本サンドイッチ構造を含み、前記1つの基本サンドイッチ構造には、第一セラミックス層、第二セラミックス層、及び、前記第一セラミックス層と第二セラミックス層との間に位置する金属電極層が含まれ、作製方法は、
(1)セラミックス粉体からシート状のセラミックス素地を作製し、セラミックス素地を焼結温度未満の仮焼結温度で仮焼結して、一定の強度を有する仮焼結セラミックス材を得るステップと、
(2)仮焼結セラミックス材の上面に金属電極層を作製するステップと、
(3)仮焼結セラミックス材を、金属電極層で覆われた上面が上を向くように、金型内のグラファイト金型ベースに入れ、仮焼結セラミックス材の上面にセラミックス前駆体層を設け、仮焼結セラミックス材の軸方向に沿って焼結温度で一体に加圧焼結するステップであって、仮焼結セラミックス材を加圧焼結して第二セラミックス層を形成し、セラミックス前駆体層を加圧焼結して第一セラミックス層を形成し、金属電極層が前記第一セラミックス層と第二セラミックス層との間に位置して第一セラミックス層及び第二セラミックス層と一体化されて、1つの基本サンドイッチ構造が得られるステップとを含
前記ステップ(3)における前記セラミックス前駆体層は、均一に分布したセラミックス粉体、又は予備成形された未焼結のシート状セラミックス体であり、
ステップ(1)における前記仮焼結セラミックス材の仮焼結温度は、1200℃あり、前記ステップ(3)における前記焼結温度は、緻密化焼結温度であり
ステップ(2)で仮焼結セラミックス材の上面に金属電極層を作製する前に、前記仮焼結セラミックス材を仕上げ加工するステップを更に含み、仮焼結セラミックス材は、平坦度が0.03mm以下になるように加工される、ことを特徴とする多層複合セラミックスプレートの作製方法。
【請求項2】
ステップ(1)における前記仮焼結セラミックス材は、浸水に対して耐性があり、寸法公差精度0.03mm以内の旋削、フライス削り、研削の仕上げ加工が可能であり、ステップ(1)における前記シート状のセラミックス素地の成形方法は、静水圧プレス成形である、ことを特徴とする請求項1に記載の多層複合セラミックスプレートの作製方法。
【請求項3】
ステップ(2)における前記金属電極層は、スクリーン印刷プロセス又はめっきプロセスによって仮焼結セラミックス材上に成形され、前記金属電極層の平坦度は0.03mm以下である、ことを特徴とする請求項1に記載の多層複合セラミックスプレートの作製方法。
【請求項4】
ステップ3の前記セラミックス前駆体層は均一に分布したセラミックス粉体、又は予備成形された未焼結のシート状セラミックス体である、ことを特徴とする請求項1に記載の多層複合セラミックスプレートの作製方法。
【請求項5】
ステップ(1)におけるセラミックス粉体及びステップ(3)における前記セラミックス前駆体層の材料成分は何れも、酸化物、非酸化物の1つ又は複数から選択されたものであり、酸化物は、アルミナ、酸化ジルコニウム、マグネシウムアルミニウムスピネルの1つ又は2つから選択され、非酸化物は、窒化アルミニウム、窒化ケイ素、炭化ケイ素の1つ又は2つから選択され、焼結後、第二セラミックス層及び第一セラミックス層は、対応して酸化物セラミックス、非酸化物セラミックスの1つ又は複数である、酸化物セラミックスは、アルミナセラミックス、酸化ジルコニウムセラミックス、マグネシウムアルミニウムスピネルの1つ又は2つから選択され、非酸化物セラミックスは、窒化アルミニウム、窒化ケイ素、炭化ケイ素の1つ又は2つから選択される、ことを特徴とする請求項1に記載の多層複合セラミックスプレートの作製方法。
【請求項6】
前記第一セラミックス層及び第二セラミックス層の面積は、前記金属電極層の面積よりも大きく、金属電極層は、第一セラミックス層と第二セラミックス層との間に被覆され、第一セラミックス層と第二セラミックス層とは、外縁部分が互いに接触して加圧焼結して一体とされる、ことを特徴とする請求項1に記載の多層複合セラミックスプレートの作製方法。
【請求項7】
前記多層複合セラミックスプレートは、第二セラミックス層の下面に金属電極層及び第一セラミックス層が更に成形された2つの基本サンドイッチ構造を含み、これによって、合計2つの基本サンドイッチ構造となる5層複合セラミックスプレートを形成し、前記5層構造は、第一セラミックス層/金属電極層/第二セラミックス層/金属電極層/他の第一セラミックス層の順であり、
前記ステップ(2)は、前記仮焼結セラミックス材の上面及び下面に金属電極層をそれぞれ作製して、バイメタル電極層付きの仮焼結セラミックス材を得るステップを含み、
前記ステップ(3)は、セラミックス前駆体層、前記バイメタル電極層付きの仮焼結セラミックス材を順に、セラミックス前駆体層/バイメタル電極層付きの仮焼結セラミックス材/セラミックス前駆体層の上下層関係になるように、金型内のグラファイト金型ベースに同軸に配置してから、仮焼結セラミックス材の軸方向に沿って焼結温度で一体に加圧焼結するステップであって、前記仮焼結セラミックス材を加圧焼結して前記第二セラミックス層を形成し、前記セラミックス前駆体層を加圧焼結して前記第一セラミックス層を形成するステップを含むことを特徴とする請求項1に記載する多層複合セラミックスプレートの作製方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体及び材料科学の分野に関し、具体的には、半導体製造プロセスにおける多層複合セラミックスプレート及びその製造方法、特に静電チャック(Electrostatic chuck、ESCと略す)及びセラミックス加熱プレート及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
多層複合セラミックスプレートは、半導体加工装置で広く使用されており、その具体的な機能及び構造の違いにより、半導体加工分野における多層複合セラミックスプレートには、静電チャック及びセラミックス加熱プレートが含まれ、静電チャックとしては、加熱プレートの機能を併有するものも一部ある。半導体加工装置において、静電チャックは、静電引力によるシリコンウェーハ(wafer)のスムーズな挟持を実現するために用いられるのに対して、セラミックス加熱プレートは、静電チャックに挟持されたシリコンウェーハを加熱して特定の温度に保つために用いられる。多層複合セラミックスプレートは、例えば、エッチング、PVD、CVD、イオン注入等の半導体プロセス過程のようなプラズマ及び真空環境で広く使用されている。従来の多層複合セラミックスプレートは、静電チャック及びセラミックス加熱プレートを含み、通常、1層又は複数層である金属電極層を含む多層複合セラミックスプレート構造を採用しており、その基本構造としては、2層のセラミックス誘電体層と、2層のセラミックス誘電体層の間に挟み込まれた金属電極層とによって形成されたサンドイッチ構造である。半導体加工装置で具体的に使用される複合セラミックスプレートは、複数層のセラミックス誘電体層と、隣接するセラミックス誘電体層の間にそれぞれ位置する金属電極層とを含み得る。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
半導体加工プロセスは、研磨後のシリコンウェーハの表面粗さ及び平坦度パラメータに対する要件が非常に高いため、それと接触する複合セラミックスプレートの表面粗さ及び平坦度にも、非常に高い要件が求められる。そして、静電チャックについては、表面の絶縁誘電体層の厚さの均一度によって、静電チャックの各部分の静電引力の均一度合も決定される。また、エッチング工程では、シリコンウェーハの表面温度に僅かな温度差があっても、大きなエッチング偏差に繋がり、ひいては、ウェーハのエッチング効果に影響を与えてしまう恐れがある。同様に、セラミックス加熱プレートの各層の間で厚さが均一であるかどうかは、シリコンウェーハの表面の温度分布に直接影響し、ひいては、半導体加工プロセスの精度に影響を与えてしまう。したがって、静電チャック及びセラミックス加熱プレートを含めた複合セラミックスプレートへのプロセス要件としては、基本サンドイッチ構造の各層の厚さが均一であり、且つセラミックス複合プレートの表面平坦度が良好であることである。
【0004】
静電チャック及びセラミックス加熱プレートを含む、平坦度が良好で厚さが均一である多層複合セラミックスプレートを作製するために、現在一般的に使用されている方法は2つある。1つは、層化焼結方法である。すなわち、上下2つのセラミックス層を別々に焼成加工してから、電極層を一方のセラミックス層の基体上に焼結する。次に、各層を封止接続して当該基本サンドイッチ構造を形成するとともに各層の機能を確保する。この方法の利点は、各層の加工条件が他の層に制限されず、各層の加工品質が保証され易いことである。しかし、このように成形された基本サンドイッチ構造では、2つのセラミックス層が硬く接触して金属電極層をその間に挟み込むようになるため、封止接続後のセラミックスプレートは、性能の安定性及び信頼性が悪い。他の1つは、全体焼結方法である。すなわち、サンドイッチ構造の3層構造を段階的に成形して積み重ねてから、一緒に焼結して製造する。全体焼結プロセスを採用して成形された基本サンドイッチ構造における2層のセラミックス層は一体に焼結されるため、この方法の利点は、各層の結合が堅固で確実であることであるが、全体焼結のプロセス難易度が高く、各層の高い平坦度要件を確保することは困難である。
【0005】
したがって、半導体加工分野に適した、平坦度が良好で各層の厚さが均一である多層複合セラミックスプレート及びその作製方法を提供することが、急務になっている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の目的は、半導体加工分野に適した、平坦度が良好で各層の厚さが均一である多層複合セラミックスプレート及びその作製方法を提供することにある。
【0007】
そこで、本発明は、プロセスが簡単で便利であり、実現が容易で、工業生産が容易であり、生産効率が高く、歩留まりが高く、信頼性が高い複合セラミックスプレートの作製方法を提案する。この方法を用いて作製された多層複合セラミックスプレートは、平坦度が良好で各層の厚さが均一である。
【0008】
本発明の一態様では、本発明は、平坦度が良好で厚さが均一であり、半導体加工プロセスにおける静電チャック及び/又はセラミックス加熱プレートとして好適に用いられる多層複合セラミックスプレート及びその作製方法を提供する。
【0009】
本発明に係る多層複合セラミックスプレートの作製方法は、金型を用いて加圧焼結し、金型は、グラファイトホットプレス金型であり、即ち、グラファイト円柱の外筒内には、2つの独立した同軸のグラファイト円柱体が備え付けられ、下部のグラファイト円柱体は、グラファイト金型ベースである、上部のグラファイト円柱体は、グラファイト金型押さえカバーである(図示せず)ことを特徴とする多層複合セラミックスプレートの作製方法である。
【0010】
多層複合セラミックスプレートは、少なくとも1つの基本サンドイッチ構造を含み、前記1つの基本サンドイッチ構造には、第一セラミックス層、第二セラミックス層、及び、前記第一セラミックス層と第二セラミックス層との間に位置する金属電極層が含まれ、作製方法は、具体的には、
(1)セラミックス粉体からシート状のセラミックス素地を作製し、セラミックス素地を焼結温度未満の仮焼結温度で仮焼結して、一定の強度を有する仮焼結セラミックス材を得るステップと、
(2)仮焼結セラミックス材の上面に金属電極層を作製するステップと、
(3)仮焼結セラミックス材を、金属電極層で覆われた上面が上を向くように、金型内のグラファイト金型ベースに入れ、仮焼結セラミックス材の上面にセラミックス前駆体層を設け、仮焼結セラミックス材の軸方向に沿って焼結温度で一体に加圧焼結するステップであって、仮焼結セラミックス材を加圧焼結して第二セラミックス層を形成し、セラミックス前駆体層を加圧焼結して第一セラミックス層を形成し、金属電極層が前記第一セラミックス層と第二セラミックス層との間に位置して第一セラミックス層及び第二セラミックス層と一体化されて、1つの基本サンドイッチ構造が得られるステップとを含む。
【0011】
または、更に好ましくは、前記複合セラミックスプレートは、第二セラミックス層の下面に金属電極層及び第一セラミックス層が更に成形された2つの基本サンドイッチ構造を含み、合計2つの基本サンドイッチ構造となる5層複合セラミックスプレートを形成し、5層構造は、第一セラミックス層/金属電極層/第二セラミックス層/金属電極層/第一セラミックス層の順であり、その作製方法は、
(1)セラミックス粉体からシート状のセラミックス素地を作製し、セラミックス素地を焼結温度未満の仮焼結温度で仮焼結して、一定の強度を有する仮焼結セラミックス材を得るステップと、
(2)仮焼結セラミックス材の上面及び下面に金属電極層をそれぞれ作製して、バイメタル電極層付きの仮焼結セラミックス材を得るステップと、
(3)セラミックス前駆体層、バイメタル電極層付きの仮焼結セラミックス材を順に、セラミックス前駆体層/バイメタル電極層付きの仮焼結セラミックス材/セラミックス前駆体層の上下層関係になるように、金型内のグラファイト金型ベースに同軸に配置してから、仮焼結セラミックス材の軸方向に沿って焼結温度で一体に加圧焼結するステップであって、仮焼結セラミックス材を加圧焼結して第二セラミックス層を形成し、セラミックス前駆体層を加圧焼結して第一セラミックス層を形成するステップとを含み、
前記2つの基本サンドイッチ構造となる5層複合セラミックスプレートの作製における2つのセラミックス前駆体層は同じか又は異なり、対応する第一セラミックス層の材料は同じか又は異なる。
【0012】
ステップ(1)における前記仮焼結セラミックス材は、浸水に強く、寸法公差精度0.03mm以内の旋削、フライス削り、研削の仕上げ加工が可能である。ステップ(1)における前記シート状のセラミックス素地の成形方法は、静水圧プレス成形である。
【0013】
更に好ましくは、ステップ(2)で仮焼結セラミックス材の上面に金属電極層を作製する前に、前記仮焼結セラミックス材を、平坦度がより良好で、厚さがより均一になるように仕上げ加工するステップを更に含む。仮焼結セラミックス材は、平坦度が0.03mm以下になるように加工される。
【0014】
更に好ましくは、ステップ(2)における前記金属電極層は、スクリーン印刷プロセス又はめっきプロセスによって仮焼結セラミックス材上に成形される。更に好ましくは、前記金属電極層の平坦度は0.03mm以下である。
【0015】
更に好ましくは、ステップ(3)における前記セラミックス前駆体層は、均一に分布したセラミックス粉体、又は予備成形された未焼結のシート状セラミックス体である。更に好ましくは、前記未焼結のシート状セラミックス体は、セラミックス粉体を用いて金型内で予めプレス成形されたものである。
【0016】
更に好ましくは、ステップ(1)における前記仮焼結セラミックス材の仮焼結温度は、ステップ(3)における焼結温度よりも20℃~600℃低く、好ましくは100℃~400℃低く、ステップ(3)における前記焼結温度は、緻密化焼結温度であり、材料が異なれば、緻密化焼結温度も異なる。
【0017】
更に好ましくは、ステップ(1)におけるセラミックス粉体及びステップ(3)における前記セラミックス前駆体層の材料成分は何れも、酸化物、非酸化物の1つ又は複数から選択されたものであり、酸化物は、アルミナ、酸化ジルコニウム、マグネシウムアルミニウムスピネル等の1つ又は2つから選択され、非酸化物は、窒化アルミニウム、窒化ケイ素、炭化ケイ素等の1つ又は2つから選択される。焼結後、第二セラミックス層及び第一セラミックス層は、対応して酸化物セラミックス、非酸化物セラミックスの1つ又は複数である、酸化物セラミックスは、アルミナセラミックス、酸化ジルコニウムセラミックス、マグネシウムアルミニウムスピネル等の1つ又は2つから選択され、非酸化物セラミックスは、窒化アルミニウム、窒化ケイ素、炭化ケイ素等の1つ又は2つから選択される。
【0018】
前記第一セラミックス層及び第二セラミックス層の面積は、前記金属電極層の面積よりも大きく、金属電極層は、第一セラミックス層と第二セラミックス層との間に被覆され、第一セラミックス層と第二セラミックス層とは、外縁部分が互いに接触して加圧焼結して一体とされる。
【発明の効果】
【0019】
本発明は、複合セラミックスプレートの作製方法、特に半導体加工プロセスに好適に用いられる多層複合セラミックスプレートの作製方法を提供する。前記複合セラミックスプレートは、半導体加工プロセスにおける静電チャック及び/又は加熱プレートとして好適に用いられる。本発明の実施例によれば、当該複合セラミックスプレートは、平坦度が良好で厚さが均一である。従来の複合セラミックスプレートの作製方法と比べて、精度が高く、プロセスが簡単で、歩留まりが高く、加工が簡便である等の利点を有する。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1図1は、本発明に係る多層複合セラミックスプレートの基本サンドイッチ構造の模式図である。
図2図2は、本発明に係る多層複合セラミックスプレートの基本サンドイッチ構造の作製過程の模式図である。
図3図3は、2つの基本サンドイッチ構造を有する5層複合セラミックスプレートの構造模式図である。
図4図4は、図3に示す5層複合セラミックスプレートの作製過程の模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
本発明の上記目的、特徴及び利点をより明確かつ容易に理解可能にするため、以下、添付の図面を参照して本発明の具体的な実施例を詳しく説明する。
【0022】
半導体加工プロセスで使用される静電チャック及び加熱プレートは、何れも多層複合セラミックスプレートに該当し、その機能構造は、典型的な基本サンドイッチ構造を有する。本発明は、半導体加工プロセスで使用される静電チャック及び加熱プレートとして好適に用いられる多層複合セラミックスプレート及びその作製方法を提供する。図1は、本発明に係る多層複合セラミックスプレートの基本サンドイッチ構造の模式図であり、図2は、本発明に係る多層複合セラミックスプレートの基本サンドイッチ構造の作製過程の模式図である。フローは、以下の通りである。
1.噴霧造粒されたアルミナ粉体を冷間静水圧プレスにより、直径300mm、厚さ5mmのシート状のセラミックス素地に成形し、成形圧力は200MPaである。
2.直径300mm、厚さ5mmのシート状のセラミックス素地を酸化雰囲気中に1200℃で1時間保温して仮焼結することで、シート状のアルミナ仮焼結セラミックス材6を得る。本実施例では、仮焼結温度は1200℃に設定され、仮焼結の温度設定は、後続の加圧焼結の焼結温度に関係するものであり、通常、仮焼結温度は、加圧焼結の焼結温度よりも20℃~600℃低くする必要があり、好ましくは、100℃~400℃よりも低くする。
3.数値制御平面研削盤により、アルミナ仮焼結セラミックス材6の平面を、平坦度が0.03mm以下、理想的には0.008mm以下になるように平面研削加工する。
4.スクリーン印刷法により、金属タングステンペーストを、精密加工されたアルミナ仮焼結セラミックス材6の一方の平面に印刷して金属電極層2を得る。金属電極層2の平坦度は0.03mmであり、他の実施例では、めっきプロセス又は他の薄膜成形プロセスによって前記金属電極層2を仮焼結セラミックス材上に形成してもよく、本実施例では、金属電極層の材料はタングステンであるが、タングステンに限定されず、金属電極として好適に用いられる他の金属材料も、選択可能である。
5.図2に示すように、第一ステップでは、金属電極層2がコーティングされたアルミナ仮焼結セラミックス材6をグラファイト金型ベース4上にスムーズに置いてから、金属電極層2で覆われた仮焼結セラミックス材1の上面が上を向くようにグラファイト金型外筒5を被せる。第二ステップでは、仮焼結セラミックス材6上にセラミックス前駆体層7を設ける。本実施例では、前記セラミックス前駆体層は、均一に分布したアルミナ粉体であり、他の実施例では、前記セラミックス前駆体層7は、予備成形された未焼結のシート状セラミックス体であってもよい。第三ステップでは、アルミナ仮焼結セラミックス材6の軸方向に沿って加圧焼結し、本実施例で設定した焼結温度は1600℃、保温時間は30分、圧力は20MPaである。
【0023】
加圧焼結して、前記仮焼結セラミックス材6は第二セラミックス層1を形成し、前記セラミックス前駆体層7は第一セラミックス層3を形成し、前記金属電極層2は、図1の金属電極層2に対応するものであり、且つ前記第一セラミックス層3と第二セラミックス層1との間に位置し、第一セラミックス層及び第二セラミックス層とは、基本サンドイッチ構造を形成する。
【0024】
本実施例では、セラミックス前駆体層7及び仮焼結セラミックス材6の材料はアルミナであり、加圧焼結して得られるのは、何れもアルミナセラミックスである。他の実施例では、セラミックス前駆体層7及び仮焼結セラミックス材6の材料は、アルミナ、酸化ジルコニウム、マグネシウムアルミニウムスピネル、窒化アルミニウム、窒化ケイ素、炭化ケイ素の1つ又は複数であってもよい。他の実施例では、前記第一セラミックス層及び第二セラミックス層は、アルミナ、酸化ジルコニウム、マグネシウムアルミニウムスピネル等酸化物セラミックスの1つ又は複数である。他の実施例では、前記第一セラミックス層及び第二セラミックス層の1つ又は複数は、窒化アルミニウム、窒化ケイ素、炭化ケイ素等の非酸化物セラミックスの1つ又は複数である。他の実施例では、前記第一セラミックス層及び第二セラミックス層の1つ又は複数は、多相セラミックスである。
【0025】
図1に示すように、前記第一セラミックス層及び第二セラミックス層の面積は、前記金属電極層の面積よりも大きく、且つそれらの外縁部分が互いに接触して加圧焼結して一体とされる。これによって、前記金属電極層が完全に封止される。
【0026】
実施例2
本発明の複合セラミックスプレートは、2つの基本サンドイッチ構造を含む5層構造複合セラミックスプレートであってもよい。図3は、2つの基本サンドイッチ構造を含む5層複合セラミックスプレートの模式図であり、図4は、2つの基本サンドイッチ構造を含む5層複合セラミックスプレートの作製過程の模式図である。図3及び図4に示すように、
1.噴霧造粒されたアルミナ粉体を冷間静水圧プレスにより、直径300mm、厚さ5mmのシート状のセラミックス素地に成形し、成形圧力は200MPaである。
2.直径300mm、厚さ5mmのアルミナシート状のセラミックス素地を酸化雰囲気中に1200℃で1時間保温して仮焼結することで、シート状仮焼結セラミックス材6を得る。
3.数値制御平面研削盤により、仮焼結のアルミナ仮焼結セラミックス材6の平面を、平坦度が0.01mm以下、理想的には0.008mm以下になるように平面研削加工する。
4.スクリーン印刷法により、金属タングステンペーストを、精密加工されたアルミナ仮焼結セラミックス材6の上下両方の平面に印刷して金属タングステン電極層2を形成し、印刷後の金属タングステン電極層の平坦度は0.01mm以下である。
5.図4に示すように、第一ステップでは、グラファイト金型外筒5をグラファイト金型ベース4上に被せてから、グラファイト金型ベース4上に1層のセラミックス前駆体層7を設ける(このセラミックス前駆体層は、均一に分布したアルミナ粉体であるが、予備成形された未焼結のシート状セラミックス体であってもよい)。上部金属電極層2が両面にコーティングされたアルミナセラミックス仮焼結材6を、グラファイト金型ベース上のセラミックス前駆体層上にスムーズに置く。第二ステップでは、アルミナセラミックス仮焼結材6上にセラミックス前駆体層7を更に設ける(このセラミックス前駆体層は、均一に分布したアルミナ粉体であるが、予備成形された未焼結のシート状セラミックス体であってもよい)。第三ステップでは、アルミナセラミックス仮焼結材6の軸方向に沿って加圧焼結し、焼結温度は1600℃に設定し、保温は30分、圧力は20MPaとした。
【0027】
図3及び図4を同時に参照すると、加圧焼結して、前記アルミナセラミックス仮焼結材6は第二セラミックス層1を形成し、前記の両セラミックス前駆体層7の各々は第一セラミックス層3を形成し、前記上部金属電極層2は、図3に示す5層複合セラミックスプレート構造の上部金属電極層2に対応するものであり、2つの基本サンドイッチ構造を形成する。
【0028】
本実施例では、セラミックス前駆体層、仮焼結セラミックス材の材料はアルミナであり、加圧焼結して得られるのは、何れもアルミナセラミックスである。他の実施例では、セラミックス前駆体層及び仮焼結セラミックス材の材料は、アルミナ、酸化ジルコニウム、マグネシウムアルミニウムスピネル、窒化アルミニウム、窒化ケイ素、炭化ケイ素の1つ又は複数であってもよい。他の実施例では、前記第一セラミックス層、第二セラミックス層は、アルミナ、酸化ジルコニウム、マグネシウムアルミニウムスピネル等酸化物セラミックスの1つ又は複数である。他の実施例では、前記第一セラミックス層、第二セラミックス層は、窒化アルミニウム、窒化ケイ素、炭化ケイ素等の非酸化物セラミックスの1つ又は複数である。他の実施例では、前記第一セラミックス層、第二セラミックス層の1つ又は複数は、多相セラミックスである。
【0029】
図3に示すように、前記第一セラミックス層、第二セラミックス層の面積は、何れも前記金属電極層の面積よりも大きく、且つ1つずつの第一セラミックス層及び第二セラミックス層は、外縁部分が互いに接触して加圧焼結して一体とされる。これによって、金属電極層が完全に封止される。
【0030】
以上、本発明を開示したが、本発明は、これに限定されるものではない。当業者であれば、本発明の精神と範囲から逸脱することなく、様々な変更や修正が可能である。したがって、本発明の保護範囲は、特許請求の範囲によって規定された範囲に準じるべきである。
【符号の説明】
【0031】
1 第二セラミックス層、2 金属電極層、3 第一セラミックス層、4 グラファイト金型ベース、5 グラファイト金型外筒、6 仮焼結セラミックス材、7 セラミックス前駆体層。
図1
図2
図3
図4