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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-17
(45)【発行日】2024-10-25
(54)【発明の名称】車両を制御する方法及び装置
(51)【国際特許分類】
   G08G 1/16 20060101AFI20241018BHJP
   G08G 1/09 20060101ALI20241018BHJP
【FI】
G08G1/16 D
G08G1/09 F
G08G1/09 H
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2023053177
(22)【出願日】2023-03-29
(65)【公開番号】P2023152947
(43)【公開日】2023-10-17
【審査請求日】2023-03-29
(31)【優先権主張番号】10-2022-0039657
(32)【優先日】2022-03-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】523045180
【氏名又は名称】42ドット・インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】42dot Inc.
(74)【代理人】
【識別番号】100145403
【弁理士】
【氏名又は名称】山尾 憲人
(74)【代理人】
【識別番号】100131808
【弁理士】
【氏名又は名称】柳橋 泰雄
(74)【代理人】
【識別番号】100101454
【弁理士】
【氏名又は名称】山田 卓二
(72)【発明者】
【氏名】キム,ハヨン
【審査官】武内 俊之
(56)【参考文献】
【文献】特開2020-024715(JP,A)
【文献】特開2021-110990(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G08G 1/16
G08G 1/09
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両を制御する方法において、
交通信号情報を受信するステップと、
前記交通信号情報及び車両の走行情報に基づいて前記車両の横断歩道の通過の可否を決定するステップと、
前記横断歩道を通過できないと決定することに応答して、仮想停止線を生成するステップと、
前記車両が前記仮想停止線を侵犯しないように前記車両を制御するステップとを含み、
前記車両が交差点上で2つの横断歩道を含む右折経路を走行中の場合、
前記横断歩道は、右折進入時に通過する第1横断歩道、及び右折進出時に通過する第2横断歩道を含み、
前記車両の横断歩道の通過の可否を決定するステップは、
前記第1横断歩道の通過の可否を決定するステップと、
前記第2横断歩道の通過の可否を決定するステップとを含み、
前記仮想停止線を生成するステップは、
前記第1横断歩道を通過できないと決定することに応答して、前記第1横断歩道に対応する第1仮想停止線を生成するステップと、
前記第1横断歩道は通過できるが、前記第2横断歩道を通過できないと決定することに応答して、前記第2横断歩道に対応する第2仮想停止線を生成するステップとを含む、方法。
【請求項2】
前記交通信号情報は、
V2X(Vehicle-to-Everything)技術を用いて、他の車両、インフラストラクチャー(infrastructure)及び歩行者の少なくともいずれか1つから送信される、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記交通信号情報は、
歩行者に関する赤信号の残り時間を含み、
前記車両の横断歩道の通過の可否を決定するステップは、
前記残り時間が経過したときの前記車両の未来の位置を予測するステップと、
前記予測の結果、前記車両の未来の位置が前記横断歩道を通過した後の地点である場合、前記車両が前記横断歩道を通過できると決定し、前記車両の未来の位置が前記横断歩道を通過した後の地点でない場合、前記車両が前記横断歩道を通過できないと決定するステップとを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記車両の未来の位置を予測するステップは、
前記車両の現在速度、前記車両の目標速度、前記車両の目標加速度、及び前記残り時間に基づいて予測するものである、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記車両の未来の位置を予測するステップは、
前記車両の現在速度が前記目標速度より小さいことに応答して、前記現在速度が前記目標加速度に応じて増加して前記目標速度に到達した状態から、前記残り時間がなくなった時点まで、前記車両が前記目標速度を維持したまま走行すると仮定し、前記車両の未来の位置を予測し、
前記車両の現在速度が前記目標速度より大きいことに応答して、前記車両が現在時点から前記残り時間がなくなった時点まで前記目標速度を維持したまま走行すると仮定し、前記車両の未来の位置を予測するものである、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記車両と前記横断歩道との間に前記車両の現在速度より低い速度で走行する他の車両がある場合、
前記車両の目標速度は、前記他の車両の速度と同一である、請求項4又は5に記載の方法。
【請求項7】
前記第1仮想停止線を生成するステップは、
前記第1仮想停止線を前記第1横断歩道と前記車両との間にマーキングされた表示停止線と同一に生成するものである、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記第2仮想停止線を生成するステップは、
前記第2仮想停止線を前記第2横断歩道から所定距離離隔させて前記第2横断歩道と平行に生成するものである、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
車両を制御する装置において、
少なくとも1つのプログラムが格納されたメモリと、
前記少なくとも1つのプログラムを実行することにより動作するプロセッサとを含み、
前記プロセッサは、
交通信号情報を受信し、
前記交通信号情報及び車両の走行情報に基づいて前記車両の横断歩道の通過の可否を決定し、
前記横断歩道を通過できないと決定することに応答して、仮想停止線を生成し、
前記車両が前記仮想停止線を侵犯しないように前記車両を制御し、
前記車両が交差点上で2つの横断歩道を含む右折経路を走行中の場合、
前記横断歩道は、右折進入時に通過する第1横断歩道、及び右折進出時に通過する第2横断歩道を含み、
前記車両の横断歩道の通過の可否を決定することは、
前記第1横断歩道の通過の可否を決定し、
前記第2横断歩道の通過の可否を決定することを含み、
前記仮想停止線を生成することは、
前記第1横断歩道を通過できないと決定することに応答して、前記第1横断歩道に対応する第1仮想停止線を生成し、
前記第1横断歩道は通過できるが、前記第2横断歩道を通過できないと決定することに応答して、前記第2横断歩道に対応する第2仮想停止線を生成することを含む、装置。
【請求項10】
請求項1に記載の方法をコンピュータで実行するためのプログラムを記録したコンピュータで読み取り可能な記録媒体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両を制御する方法及び装置に関する。
【背景技術】
【0002】
情報通信技術と車両産業の融合により、車両のスマート化が急速に進んでいる。スマート化により、車両は単純な機械的装置からスマートカーに進化しており、特にスマートカーの中核技術として自律走行が注目されている。自律走行とは、運転者がハンドル、加速ペダル、ブレーキなどを操作しなくても、車両が自ら目的地まで走行する技術をいう。
【0003】
自律走行に関する様々な付加機能が開発され続けており、各種データを用いて走行環境を認知及び判断して自動車を制御することにより搭乗者に安全な自律走行経験を提供する方法に関する研究が求められている。
【0004】
一方、自律走行車両が走行環境を認知及び判断することは、様々な先端カメラやセンサなどを装着して実現することができるが、通信により走行環境情報を受信して自律走行車両を制御する方法に関する研究も求められ続けている。
【0005】
前述した背景技術は、発明者が本発明の導出のために保有していた、又は本発明の導出過程で習得した技術情報であって、必ずしも本発明の出願前に一般公衆に公開された公知技術であるとはいえない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本開示の目的は、車両を制御する方法及び装置を提供することにある。本開示が解決しようとする課題は、以上で述べられている課題に限定されず、述べられていない本開示の他の課題及び利点は、以下の説明により理解され、本開示の実施形態によりさらに明らかに理解されるであろう。また、本開示が解決しようとする課題及び利点は、特許請求の範囲に示される手段及びその組み合わせにより実現できることが理解されるであろう。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示の第1態様は、交通信号情報を受信するステップと、前記交通信号情報及び車両の走行情報に基づいて前記車両の横断歩道の通過の可否を決定するステップと、前記横断歩道を通過できないと決定することに応答して、仮想停止線を生成するステップと、前記車両が前記仮想停止線を侵犯しないように前記車両を制御するステップとを含み、
前記車両が交差点上で2つの横断歩道を含む右折経路を走行中の場合、
前記横断歩道は、右折進入時に通過する第1横断歩道、及び右折進出時に通過する第2横断歩道を含み、
前記車両の横断歩道の通過の可否を決定するステップは、
前記第1横断歩道の通過の可否を決定するステップと、
前記第2横断歩道の通過の可否を決定するステップとを含み、
前記仮想停止線を生成するステップは、
前記第1横断歩道を通過できないと決定することに応答して、前記第1横断歩道に対応する第1仮想停止線を生成するステップと、
前記第1横断歩道は通過できるが、前記第2横断歩道を通過できないと決定することに応答して、前記第2横断歩道に対応する第2仮想停止線を生成するステップとを含む、車両を制御する方法を提供することができる。
【0008】
本開示の第2態様は、少なくとも1つのプログラムが格納されたメモリと、前記少なくとも1つのプログラムを実行することにより動作するプロセッサとを含み、前記プロセッサは、交通信号情報を受信し、前記交通信号情報及び車両の走行情報に基づいて前記車両の横断歩道の通過の可否を決定し、前記横断歩道を通過できないと決定することに応答して、仮想停止線を生成し、前記車両が前記仮想停止線を侵犯しないように前記車両を制御し、
前記車両が交差点上で2つの横断歩道を含む右折経路を走行中の場合、
前記横断歩道は、右折進入時に通過する第1横断歩道、及び右折進出時に通過する第2横断歩道を含み、
前記車両の横断歩道の通過の可否を決定することは、
前記第1横断歩道の通過の可否を決定し、
前記第2横断歩道の通過の可否を決定することを含み、
前記仮想停止線を生成することは、
前記第1横断歩道を通過できないと決定することに応答して、前記第1横断歩道に対応する第1仮想停止線を生成し、
前記第1横断歩道は通過できるが、前記第2横断歩道を通過できないと決定することに応答して、前記第2横断歩道に対応する第2仮想停止線を生成することを含む、車両を制御する装置を提供することができる。
【0009】
本開示の第3態様は、第1態様による方法をコンピュータで実行するためのプログラムを記録したコンピュータで読み取り可能な記録媒体を提供することができる。
【0010】
それらに加えて、本発明を実現するための他の方法、他の装置、及び前記方法を実行するためのプログラムを記録したコンピュータで読み取り可能な記録媒体をさらに提供することができる。
【0011】
上記以外の他の態様、特徴、利点は、添付の図面、特許請求の範囲、及び以下の発明の詳細な説明から明らかになるであろう。
【発明の効果】
【0012】
前述した本開示の課題解決手段によれば、車両に装着されたカメラ及びセンサにのみ依存するのではなく、走行環境情報、特に交通信号に関する情報を受信することにより、自律走行車両を効果的に制御することができる。
【0013】
また、交通信号の現在の状態にのみ依存せず、交通信号の変更まで考慮して車両を制御することにより、搭乗者の安全だけではなく歩行者の安全も保障して交通秩序を守ることができ、快適かつ安全な走行経験を提供することができる。
【0014】
さらに、車路上に横断歩道に対応する停止線がマーキングされていなくても、仮想の停止線を生成することにより、安全を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】一実施形態による自律走行方式を説明するための図である。
図2】一実施形態による自律走行方式を説明するための図である。
図3】一実施形態による自律走行方式を説明するための図である。
図4a】一実施形態による自律走行車両の未来の位置を予測する過程を説明するためのグラフである。
図4b】一実施形態による自律走行車両の未来の位置を予測する過程を説明するためのグラフである。
図5a】一実施形態による自律走行装置が仮想停止線を生成する過程を説明するための図である。
図5b】一実施形態による自律走行装置が仮想停止線を生成する過程を説明するための図である。
図5c】一実施形態による自律走行装置が仮想停止線を生成する過程を説明するための図である。
図5d】一実施形態による自律走行装置が仮想停止線を生成する過程を説明するための図である。
図5e】一実施形態による自律走行装置が仮想停止線を生成する過程を説明するための図である。
図6】一実施形態による車両を制御する方法のフローチャートである。
図7】一実施形態による車両を制御する装置のブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本発明の利点及び特徴、並びにそれらを達成する方法は、添付の図面と共に詳細に説明される実施形態を参照することによって明らかになるであろう。しかし、本発明は、以下に提示される実施形態に限定されるものではなく、様々な形態で実現することができ、本発明の思想及び技術範囲に含まれる全ての変換、均等物乃至代替物を含むものと理解されるべきである。以下に提示される実施形態は、本発明の開示を完全にし、本発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者に発明の範疇を完全に理解させるために提供されるものである。本発明を説明するにあたり、関連する公知技術についての具体的な説明が本発明の要旨を不明にすると判断される場合、その詳細な説明を省略する。
【0017】
本出願で用いられる用語は、単に特定の実施形態を説明するために用いられるものであり、本発明の限定を意図するものではない。単数の表現は、文脈上明らかに他の意味を表さない限り、複数の表現を含む。本出願において、「含む」や「有する」などの用語は、明細書に記載された特徴、数字、ステップ、動作、構成要素、部品、又はそれらの組み合わせが存在することを指定するものであり、1つ又はそれ以上の他の特徴、数字、ステップ、動作、構成要素、部品、又はそれらの組み合わせの存在や追加の可能性を予め排除するものではないと理解されるべきである。
【0018】
本開示の一部の実施形態は、機能ブロック構成及び様々な処理ステップで示すことができる。そのような機能ブロックの一部又は全部は、特定の機能を実行する様々な数のハードウェア及び/又はソフトウェア構成で実現することができる。例えば、本開示の機能ブロックは、1つ以上のマイクロプロセッサにより実現するか、又は所定の機能のための回路構成により実現することができる。また、例えば、本開示の機能ブロックは、様々なプログラミング又はスクリプト言語で実現することができる。機能ブロックは、1つ以上のプロセッサで実行されるアルゴリズムで実現することができる。さらに、本開示は、電子的な環境設定、信号処理及び/又はデータ処理などのために従来技術を採用することができる。「メカニズム」、「要素」、「手段」、「構成」などの用語は広く用いることができ、機械的及び物理的な構成に限定されるものではない。
【0019】
なお、図面に示す構成要素間の連結線又は連結部材は、機能的連結及び/又は物理的連結もしくは回路接続を例示的に示すものに過ぎない。実際の装置では、代替可能又は追加の様々な機能的連結、物理的連結又は回路接続により構成要素間の連結を示すことができる。
【0020】
以下、「車両」とは、自動車、バス、バイク、キックボード又はトラックのように、機関を有して人や物を移動させるために用いられるあらゆる種類の運送手段を意味し得る。
【0021】
以下、添付図面を参照して本開示を詳細に説明する。
【0022】
図1を参照すると、本発明の一実施形態による自律走行装置は、車両に装着されて自律走行車両10を実現することができる。自律走行車両10に装着される自律走行装置は、周辺の状況情報を収集するための様々なセンサ(カメラを含む)を含んでもよい。一例として、自律走行装置は、自律走行車両10の前面に装着されたイメージセンサ及び/又はイベントセンサにより、前方を運行中の先行車両20の動きを検知することができる。自律走行装置は、自律走行車両10の前方はもとより、隣の車路を運行中の他の走行車両30や、自律走行車両10周辺の歩行者などを検知するためのセンサをさらに含んでもよい。
【0023】
自律走行車両周辺の状況情報を収集するためのセンサの少なくとも1つは、図1に示すように、所定の画角(FoV)を有してもよい。一例として、自律走行車両10の前面に装着されたセンサが図1に示すような画角(FoV)を有する場合、センサの中央で検出される情報が相対的に高い重要度を有することができる。これは、センサの中央で検出される情報に、先行車両20の動きに対応する情報のほとんどが含まれているからである。
【0024】
自律走行装置は、自律走行車両10のセンサが収集した情報をリアルタイムで処理して自律走行車両10の動きを制御する一方、センサが収集した情報の少なくとも一部はメモリ装置に保存することができる。
【0025】
図2を参照すると、自律走行装置40は、センサ部41、プロセッサ46、メモリシステム47、車体制御モジュール48などを含んでもよい。センサ部41は、複数のセンサ(カメラを含む)42~45を含み、複数のセンサ42~45は、イメージセンサ、イベントセンサ、照度センサ、GPS装置、加速度センサなどを含んでもよい。
【0026】
センサ42~45が収集したデータは、プロセッサ46に伝達され得る。プロセッサ46は、センサ42~45が収集したデータをメモリシステム47に保存し、センサ42~45が収集したデータに基づいて車体制御モジュール48を制御して車両の動きを決定することができる。メモリシステム47は、2つ以上のメモリ装置と、メモリ装置を制御するためのシステムコントローラとを含んでもよい。メモリ装置のそれぞれは、1つの半導体チップとして提供されてもよい。
【0027】
メモリシステム47のシステムコントローラの他に、メモリシステム47に含まれるメモリ装置のそれぞれは、メモリコントローラを含んでもよく、メモリコントローラは、ニューラルネットワークなどの人工知能(AI)演算回路を含んでもよい。メモリコントローラは、センサ42~45又はプロセッサ46から受信したデータに所定の重みを付けて演算データを生成し、演算データをメモリチップに保存することができる。
【0028】
図3は自律走行装置が搭載された自律走行車両のセンサ(カメラを含む)が取得した映像データの一例を示す図である。図3を参照すると、映像データ50は、自律走行車両の前面に装着されたセンサが取得したデータであり得る。よって、映像データ50には、自律走行車両の前面部51、自律走行車両と同じ車路の先行車両52、自律走行車両周辺の走行車両53、背景54などが含まれ得る。
【0029】
図3に示す実施形態による映像データ50において、自律走行車両の前面部51と背景54が表示される領域のデータは、自律走行車両の運行に影響を及ぼす可能性がほとんどないデータであり得る。言い換えれば、自律走行車両の前面部51と背景54は、相対的に低い重要度を有するデータとみなされ得る。
【0030】
それに対して、先行車両52との距離、走行車両53の車路変更の動きなどは、自律走行車両の安全な運行において非常に重要な要素であり得る。よって、映像データ50において、先行車両52や走行車両53などが含まれる領域のデータは、自律走行車両の運行において相対的に高い重要度を有することができる。
【0031】
自律走行装置のメモリ装置は、センサから受信した映像データ50の領域毎に異なる重みを付けて保存することができる。一例として、先行車両52や走行車両53などが含まれる領域のデータには高い重みを付け、自律走行車両の前面部51と背景54が表示される領域のデータには低い重みを付けることができる。
【0032】
以下、様々な実施形態による動作は、自律走行装置又は自律走行装置に含まれるプロセッサにより行われるものと理解できる。
【0033】
自律走行車両が走行する車路は、様々なマーキングを含むことができる。例えば、車路は、車線、ハンプ、横断歩道、停止線などのマーキングを含むことができる。様々なマーキングのうち、横断歩道などのマーキングは、歩行者が車路を横断できるように車路上に設けられた道であることを表示するマーキングである。車両の進行方向の車路信号が緑であるか、横断歩道における歩行者信号が赤である場合は、車両が横断歩道上に存在してもよいが、横断歩道における歩行者信号が緑である場合に車両が横断歩道上に存在すると、歩行者に迷惑をかけたり危険にさらしたりすることになる。また、そのような状況は走行条件(車両の位置、車両の速度、信号変更時間など)によって突然発生し得、特に車路上に車両が多くて道路が渋滞している場合はそのような状況がさらに多く発生し得る。
【0034】
自律走行車両の横断歩道通過方式は次のようであり得る。自律走行装置は、横断歩道における歩行者信号が緑である場合、自律走行車両が減速して停止するように制御し、横断歩道における歩行者信号が赤である場合、自律走行車両が特に減速することなく走行するように制御する。すなわち、自律走行車両の従来の横断歩道通過方式は、単に交通信号の「現在の状態」を考慮するだけで、未来の交通信号は考慮しない。
【0035】
そのような面から、本開示は、自律走行車両が横断歩道を通過しなければならない状況で未来の交通信号、すなわち交通信号の変更を考慮する自律走行車両の制御方式を提供する。
【0036】
本開示の一実施形態によれば、自律走行装置は、交通信号情報を受信し、受信した交通信号情報及び車両の走行情報に基づいて車両の横断歩道の通過の可否を決定することができる。自律走行装置は、車両が横断歩道を通過できると決定した場合、別の制御を行わないことができる。自律走行装置は、車両が横断歩道を通過できないと決定した場合、仮想停止線を生成することができる。自律走行装置は、自律走行車両が生成された仮想停止線を侵犯しないように制御することができる。
【0037】
以下、本開示の自律走行装置の車両制御に関する様々な実施形態についてより詳細に説明する。
【0038】
本開示において、自律走行装置は、仮想停止線を生成して車両を制御するために、交通信号情報を受信することができる。
【0039】
交通信号情報とは、車両が車路を走行する上で厳守しなければならず、走行に制限を与える交通信号に関する全ての情報を意味し得る。交通信号情報は、例えば、車両に関する直進信号(緑信号)、赤信号、左折信号など、及び歩行者に関する緑信号、緑点滅信号、赤信号などに関する様々な情報を含むことができ、横断歩道の幅、停止線の表示の有無、交差点の信号体系などの様々な情報を含むこともできる。具体的な例として、交通信号情報は、車両に関する直進信号、赤信号、左折信号の残り時間、歩行者に関する緑信号、赤信号の残り時間などを含むことができる。
【0040】
本開示において、自律走行装置の交通信号情報の受信は、V2X技術に基づくことができる。V2X(Vehicle-to-Everything)は、V2V(Vehicle-to-Vehicle)、V2I(Vehicle-to-Infrastructure)及びV2P(Vehicle-to-Pedestrian)を含む。V2Vとは、車両間の情報交換や通信を意味し、V2Iとは、車両とインフラストラクチャー間の情報交換や通信を意味し、V2Pとは、車両と歩行者間の情報交換や通信を意味する。すなわち、V2Xとは、車両と様々な情報送信ノード(他の車両、インフラストラクチャー又は歩行者)間で行われる情報交換や通信技術を意味する。一例として、インフラストラクチャーは、国、公共機関、官公署などが提供する交通情報体系を含むことができる。
【0041】
V2X技術は、情報送信ノードが互いに検知し、他の情報送信ノード又は自律走行装置に知能型サービスを提供できるようにする。情報送信ノードは、他の車両又はセンサにより送信された情報を活用して、隣接する環境情報を収集することができる。
【0042】
一実施形態において、自律走行装置は、V2X技術を用いて、様々な情報送信ノード、例えば他の車両、インフラストラクチャー又は歩行者から交通信号情報を受信することができる。すなわち、自律走行装置が受信する交通信号情報は、様々な情報送信ノードの少なくとも1つから送信されるものであり得る。
【0043】
一実施形態において、自律走行装置は、交通信号情報をリアルタイムで受信することができる。一実施形態において、自律走行装置は、交通信号情報の送信を要求する信号を生成し、生成された信号を周辺の様々な情報送信ノードに送信することができるが、交通信号情報の送信を要求する信号の生成、及び生成された信号の送信は、所定周期毎に行われてもよく、特定条件又は環境によりトリガされて行われてもよい。本実施形態において、情報送信ノードは、交通信号情報の送信を要求する信号を受信することに応答して、自律走行装置に交通信号情報を送信することができる。
【0044】
一実施形態において、自律走行装置は、走行経路に関連する全ての交通信号情報を受信し、データベースに保存することができる。一実施形態において、自律走行装置は、データベースに保存された交通信号情報をロードし、後続動作のために用いることができる。
【0045】
自律走行装置は、V2X技術に基づいて様々な情報送信ノードと通信する機能を実行するV2X通信モジュールを含んでもよい。自律走行装置は、V2X通信モジュールにより、様々な情報送信ノードからの交通信号情報を受信して送信することができる。
【0046】
本開示において、自律走行装置は、受信した交通信号情報及び車両の走行情報に基づいて車両の横断歩道の通過の可否を決定することができる。
【0047】
ここで、車両の走行情報は、車両の現在の走行状態を示す情報を示すものであって、車両の現在速度、車両の目標速度、及び車両の目標加速度を含むことができる。
【0048】
車両の目標速度は、自律走行装置が自律走行車両の速度を現在速度から変更して最終的に走行又は維持しようとする速度を示すものであり得る。目標速度は、交通量、道路規定、走行目的、目的地との距離、残余燃料、交通信号などに応じて異なり得る。目標速度は、自律走行装置に搭載されたアルゴリズム又はプログラムにより周辺環境、周辺状況及び車両の状態などに応じてリアルタイムで又は周期的に変更され得る。例えば、走行している道路が高速道路である場合、目標速度は、100km/hであり得る。例えば、自律走行車両がスクールゾーンに属する場合、目標速度は、30km/hであり得る。
【0049】
車両の目標加速度は、自律走行装置が自律走行車両の速度を現在速度から目標速度に変更するのに適用する加速度を示すものであり得る。目標加速度は、交通量、道路規定、走行目的、目的地との距離、残余燃料、交通信号などに応じて異なり得る。目標加速度は、自律走行装置に搭載されたアルゴリズム又はプログラムにより周辺環境、周辺状況及び車両の状態などに応じて変更され得る。目標加速度の変更は、目標速度の変更に比べて稀であることが好ましい。一実施形態において、車両の目標加速度は、定数(constant value)に設定された値であり得る。
【0050】
一実施形態において、自律走行装置は、車両の未来の位置を予測して車両の横断歩道の通過の可否を決定することができる。車両の未来の位置は、現在の車両の走行情報に基づいて予測された未来の特定時点での車両の位置を示すものであり得る。
【0051】
前述したように、自律走行装置が受信する交通信号情報は、歩行者に関する信号情報を含むことができ、具体的には、歩行者に関する赤信号の残り時間を含むことができる。歩行者に関する赤信号の残り時間は、歩行者信号が緑に変わるまでの残り時間の意味であり、本開示の自律走行装置は、歩行者に関する赤信号の残り時間を考慮して車両の未来の位置を予測することができる。
【0052】
一実施形態において、自律走行装置は、車両の現在速度、車両の目標速度、及び車両の目標加速度、並びに歩行者に関する赤信号の残り時間に基づいて自律走行車両の未来の位置を予測することができる。すなわち、自律走行装置は、車両の現在速度、車両の目標速度、及び車両の目標加速度、並びに歩行者に関する赤信号の残り時間に基づいて、自律走行車両が移動できる又は移動すると予想される距離を計算することにより、自律走行車両の未来の位置を予測することができる。
【0053】
一実施形態において、自律走行装置は、車両の現在速度が目標速度より小さいことに応答して、現在速度が目標加速度に応じて増加して目標速度に到達した状態から、残り時間がなくなった時点まで、車両が目標速度を維持したまま走行すると仮定し、車両の未来の位置を予測することができる。
【0054】
一実施形態において、自律走行装置は、車両の現在速度が目標速度より大きいことに応答して、車両が現在時点から残り時間がなくなった時点まで目標速度を維持したまま走行すると仮定し、車両の未来の位置を予測することができる。
【0055】
図4a及び図4bは一実施形態による自律走行車両の未来の位置を予測する過程を説明するためのグラフである。
【0056】
図4aは一実施形態による車両の現在速度が目標速度より小さい場合に自律走行車両の未来の位置を予測する過程を説明するためのグラフである。
【0057】
図4aを参照すると、
は車両の現在速度を、
は車両の目標速度を、
は車両の目標加速度を、
は歩行者に関する赤信号の残り時間を、
は車両の目標速度に到達するのにかかる時間を意味する。図4aを参照すると、車両の現在速度が目標速度より小さいことを確認することができる。例えば、それは、車両が走行している道路の規定速度が60km/hであることに対応して、車両の目標速度が60km/hであり、車両の現在速度が40km/hである状況であり得る。図4aに示すような車両の現在速度が目標速度より小さい場合が一般的な状況であり得る。図示の例において、目標加速度は、定数に設定される。
【0058】
図4aに示す実施形態において、自律走行装置は、車両の現在速度が目標加速度に応じて増加して車両の速度が目標速度に到達すると、車両が目標速度を維持して走行すると仮定することができる。自律走行装置は、このような仮定により、車両が移動すると予想される距離を計算することにより、未来の位置を予測することができる。
【0059】
図4aに示すように、車両の現在速度、車両の目標速度、及び車両の目標加速度、並びに歩行者に関する赤信号の残り時間を用いてグラフを作成した場合、図4aに示す領域の広さは、車両が歩行者に関する赤信号の残り時間の間移動できる距離を意味する。
【0060】
具体的には、図示の例において、車両が歩行者に関する赤信号の残り時間の間移動できる距離Sは、次の数式1により表される。
【0061】
【数1】
【0062】
図4bは一実施形態による車両の現在速度が目標速度より大きい場合に自律走行車両の未来の位置を予測する過程を説明するためのグラフである。
【0063】
図4bを参照すると、
は車両の現在速度を、
は車両の目標速度を、
は歩行者に関する赤信号の残り時間を意味する。図4bを参照すると、車両の現在速度が目標速度より大きいことを確認することができる。それは、車両が走行している道路の規定速度が30km/hに変化することに対応して、車両の目標速度が30km/hとなり、車両の現在速度が40km/hである状況であり得る。
【0064】
図4aに示す車両の現在速度が目標速度より小さい実施形態とは異なり、図4bに示す実施形態において、自律走行装置は、現在速度から変化するのではなく、現在時点から目標速度を維持して走行すると仮定することができる。自律走行装置は、このような仮定により、車両が移動すると予想される距離を計算することにより、未来の位置を予測することができる。すなわち、自律走行装置は、現在速度を考慮しなくてもよい。このような車両の未来の位置を予測する方式は、目標速度が現在速度より低い、一般的でない状況で、安全を志向する保守的な接近法といえる。
【0065】
図4bに示すように、車両の目標速度及び歩行者に関する赤信号の残り時間を用いてグラフを作成した場合、図4bに示す領域の広さは、車両が歩行者に関する赤信号の残り時間の間移動できる距離を意味する。
【0066】
具体的には、図示の例において、車両が歩行者に関する赤信号の残り時間の間移動できる距離Sは、次の数式2により表される。
【0067】
【数2】
【0068】
自律走行装置は、前述したような実施形態のような方式で、受信した交通信号情報に含まれる車両が歩行者に関する赤信号の残り時間の間移動できる距離を計算し、歩行者に関する赤信号の残り時間が経過したときの自律走行車両の未来の位置を予測することができる。
【0069】
一方、他の実施形態において、自律走行装置が受信する交通信号情報は、車両に関する信号情報を含むことができ、具体的には、車両に関する直進信号(緑信号)の残り時間を含むことができる。車両に関する直進信号の残り時間は、車両信号が緑から赤に変わるまでの残り時間の意味であり、本開示の自律走行装置は、それを考慮して車両の未来の位置を予測することができる。すなわち、自律走行装置は、歩行者に関する赤信号の残り時間ではなく、車両に関する直進信号の残り時間に基づいて車両の未来の位置を予測することもできる。このような実施形態は、交差点などで車両が直進する経路を走行する場合に適用することができる。
【0070】
車両に関する直進信号の残り時間に基づいて車両の未来の位置を予測する実施形態においても、歩行者に関する赤信号の残り時間に基づいて車両の未来の位置を予測する実施形態における方式に類似した方式を適用できることは、通常の技術者に容易に理解されるであろう。
【0071】
一実施形態において、自律走行装置は、車両の未来の位置を予測した結果、車両の未来の位置が横断歩道を通過した後の地点である場合、車両が横断歩道を通過できると決定することができる。
【0072】
例えば、車両の現在の位置から横断歩道が終わる地点までの距離が30mであり、歩行者に関する赤信号の残り時間が経過したときの車両の未来の位置が車両の現在の位置から35mである場合、自律走行装置は、車両が横断歩道を通過できると決定することができる。
【0073】
一実施形態において、自律走行装置は、車両の未来の位置を予測した結果、車両の未来の位置が横断歩道を通過した後の地点でない場合、前記車両が前記横断歩道を通過できないと決定することができる。
【0074】
例えば、車両の現在の位置から横断歩道が終わる地点までの距離が30mであり、歩行者に関する赤信号の残り時間が経過したときの車両の未来の位置が車両の現在の位置から25mである場合、自律走行装置は、車両が横断歩道を通過できないと決定することができる。
【0075】
例えば、車両の現在の位置から横断歩道が始まる地点までの距離が25mであり、歩行者に関する赤信号の残り時間が経過したときの車両の未来の位置が車両の現在の位置から27mであり、横断歩道の幅が5mである場合、すなわち車両の現在の位置から横断歩道が終わる地点までの距離が30mである場合、自律走行装置は、車両が横断歩道を通過できないと決定することができる。それは、車両が横断歩道に進入するだけでなく、完全に離れた場合にのみ、通過できると決定することが好ましいからである。
【0076】
一実施形態において、自律走行装置は、車両の横断歩道の通過の可否を決定する際に、車両の寸法情報にも基づいてもよい。
【0077】
一実施形態において、自律走行装置は、車両の最前面を基準に車両の位置を決定することができる。本実施形態において、車両の横断歩道の通過の可否を判断する基準距離は、車両の現在の位置から横断歩道が終わる地点までの距離よりも、車両の全長だけさらに長くてもよい。例えば、車両の現在の位置から横断歩道が終わる地点までの距離が30mであり、車両の全長が2mである場合、歩行者に関する赤信号の残り時間が経過したときの車両の未来の位置が車両の現在の位置から少なくとも32mであると、自律走行装置は、車両が横断歩道を通過できると決定することができる。
【0078】
一実施形態において、自律走行装置は、車両の後輪を結ぶ線を基準に車両の位置を決定することができる。本実施形態において、車両の横断歩道の通過の可否を判断する基準距離は、車両の現在の位置から横断歩道が終わる地点までの距離よりも、車両の後輪を結ぶ線から車両の最後面までの距離だけさらに長くてもよい。例えば、車両の現在の位置から横断歩道が終わる地点までの距離が30mであり、車両の後輪を結ぶ線から車両の最後面までの距離が0.5mである場合、歩行者に関する赤信号の残り時間が経過したときの車両の未来の位置が車両の現在の位置から少なくとも30.5mであると、自律走行装置は、車両が横断歩道を通過できると決定することができる。
【0079】
前述した実施形態において、速度、距離、寸法、位置決定の基準などに関する具体的な値は、例として提供されるものであり、本開示を限定するものではない。
【0080】
一実施形態において、自律走行装置は、車両と横断歩道との間に車両の現在速度より低い速度で走行する他の車両がある場合、車両の目標速度を他の車両の速度と同一に設定することができる。車両は、既存の目標速度とは別に、先行車両の速度より高い値の速度で走行することができないからである。さらなる実施形態において、車両と横断歩道との間に複数の他の車両がある場合、自律走行装置は、複数の他の車両のうち、最も後ろに位置する他の車両の速度のみを考慮することができる。本実施形態において、再設定された車両の目標速度及び歩行者に関する赤信号の残り時間に基づいて車両の未来の位置を予測することができる。
【0081】
本開示において、自律走行装置は、車両が横断歩道を通過できると決定することに応答して、現在車両を制御している方式に変化を与えず、車両を走行し続けるようにすることができる。
【0082】
本開示において、自律走行装置は、車両が横断歩道を通過できないと決定することに応答して、横断歩道に対応する仮想停止線を生成することができる。
【0083】
仮想停止線は、自律走行装置が車両の速度を減少させて車両が侵犯しないで停止するように制御する基準となる線を示すものであり得る。自律走行装置は、信号の変更、緊急状況の発生など車両が停止しなければならない様々な状況で仮想停止線を生成し、車両を停止するように制御することができる。
【0084】
本開示において、自律走行装置は、歩行者及び搭乗者の安全のために、様々な方式で仮想停止線を生成することができる。
【0085】
図5a~図5eは一実施形態による自律走行装置が仮想停止線を生成する過程を説明するための図である。
【0086】
図5aは側面に表示停止線がマーキングされている横断歩道を含む交差点を概略的に示す。
【0087】
図5aを参照すると、車両は道路を走行しており、しばらくして横断歩道510を通過することになる。図5aを参照すると、横断歩道510と車両との間に、すなわち車両の横断歩道510への進入地点の前に表示停止線520がマーキングされてもよい。
【0088】
一実施形態において、横断歩道と車両との間に、すなわち車両の横断歩道への進入地点の前に表示停止線がマーキングされている場合、自律走行装置は、仮想停止線をマーキングされた表示停止線と同一に生成することができる。
【0089】
図5bは一実施形態による側面に表示停止線がマーキングされている横断歩道に対して生成された仮想停止線を概略的に示す。
【0090】
図5bを参照すると、自律走行装置は、前述した実施形態による過程により車両が横断歩道を通過できないと決定し、仮想停止線530を生成することができる。具体的には、自律走行装置は、横断歩道510への進入地点の前に表示停止線520がマーキングされていることを検知し、仮想停止線530を表示停止線520と同一に生成することができる。
【0091】
一実施形態において、自律走行装置は、仮想停止線を表示停止線から車両の方向に所定距離離隔させて表示停止線と平行に生成することができる。
【0092】
一実施形態において、横断歩道と車両との間に、すなわち車両の横断歩道への進入地点の前に表示停止線がマーキングされていない場合、自律走行装置は、仮想停止線を横断歩道から所定距離離隔させて横断歩道と平行に生成することができる。
【0093】
図5cは一実施形態による側面に表示停止線がマーキングされていない横断歩道に対して生成された仮想停止線を概略的に示す。
【0094】
図5cを参照すると、自律走行装置は、横断歩道510への進入地点の前に表示停止線がマーキングされていないことを検知し、仮想停止線540を横断歩道510から所定距離離隔させて横断歩道510と平行に生成することができる。
【0095】
一実施形態において、所定距離は、0.3m、0.5m、0.7m、1m、2m、5mなど、任意の適切な値であり得る。一実施形態において、所定距離は、横断歩道から車両の最前面までの距離を基準に計算してもよい。一実施形態において、所定距離は、横断歩道から車両の後輪を結ぶ線までの距離を基準に計算してもよいが、その場合、所定距離は、車両の前長より大きいことが好ましい。
【0096】
一実施形態において、車両は2つの横断歩道を含む右折経路を走行することがあり、それにより、車両は2つの横断歩道を連続して通過することがある。本開示において、右折経路上に2つの横断歩道が含まれる場合、車両が先に通過する横断歩道を進入横断歩道又は第1横断歩道と定義し、車両が後で通過する横断歩道を進出横断歩道又は第2横断歩道と定義する。
【0097】
一実施形態において、自律走行装置が車両の未来の位置を予測して車両の横断歩道の通過の可否を決定することは、車両の進入横断歩道の通過の可否を決定することと、車両の進出横断歩道の通過の可否を決定することとを含み得る。一実施形態において、自律走行装置は、車両が進入横断歩道を通過できると決定した後、車両の進出横断歩道の通過の可否を決定することができる。車両の横断歩道の通過の可否を決定する過程に関連して前述した実施形態は、車両の進入横断歩道又は進出横断歩道の通過の可否を決定する過程に適用できることは、通常の技術者に容易に理解されるであろう。
【0098】
一実施形態において、自律走行装置は、車両が進入横断歩道を通過できないと決定した場合、進入横断歩道に対応する第1仮想停止線を生成することができる。一実施形態において、自律走行装置は、車両が進入横断歩道は通過できるが、進出横断歩道は通過できないと決定した場合、進出横断歩道に対応する第2仮想停止線を生成することができる。
【0099】
図5dは進入横断歩道及び進出横断歩道を含む交差点を概略的に示す。
【0100】
図5dを参照すると、車両は右折経路に沿って道路を走行しており、右折経路には2つの横断歩道が含まれており、しばらくして進入横断歩道550と進出横断歩道560を通過することになる。
【0101】
一実施形態において、前述したように、自律走行装置は、車両が進入横断歩道550を通過できないと決定した場合、進入横断歩道550に対応する第1仮想停止線を生成することができる。
【0102】
仮想停止線を生成する過程に関連して前述した実施形態は、第1仮想停止線を生成する過程に適用できることは、通常の技術者に容易に理解されるであろう。例えば、自律走行装置は、進入横断歩道550への進入地点の前に表示停止線がマーキングされていることを検知し、第1仮想停止線を表示停止線と同一に生成することができる。
【0103】
図5eは一実施形態による進出横断歩道に対して生成された第2仮想停止線を概略的に示す。
【0104】
図5eを参照すると、自律走行装置は、車両が進入横断歩道550は通過できるが、進出横断歩道560は通過できないと決定し、進出横断歩道560に対応する第2仮想停止線570を生成することができる。
【0105】
図5eに示すように、車両が走行する経路上には進出横断歩道560に関連する表示停止線がマーキングされないことが一般的である。よって、進出横断歩道560に対応する第2仮想停止線570は、表示停止線のマーキングの有無とは別に生成され得る。
【0106】
一実施形態において、自律走行装置は、第2仮想停止線を進出横断歩道から所定距離離隔させて進出横断歩道と平行に生成することができる。
【0107】
図5eに示すように、自律走行装置は、第2仮想停止線570を進出横断歩道560から所定距離離隔させて進出横断歩道560と平行に生成することができる。
【0108】
一実施形態において、所定距離は、0.3m、0.5m、0.7m、1m、2m、5mなど、任意の適切な値であり得る。一実施形態において、所定距離は、車路の形態、構成又は寸法に応じて異なるように計算され得る。
【0109】
本開示において、自律走行装置は、車両が仮想停止線を侵犯しないで停止するように車両を制御することができる。
【0110】
一実施形態において、自律走行装置は、計算又は走行制御の誤差に備えて安全を強化するために、仮想停止線よりも所定距離だけさらに前の位置で停止するように車両を制御することができる。例えば、所定距離は、0.3m、0.5m、1mなどであり得る。
【0111】
一実施形態において、自律走行装置は、車両が第1仮想停止線又は第2仮想停止線を侵犯しないように車両を制御することができる。
【0112】
一実施形態において、自律走行装置は、車両の寸法情報に基づいて車両のどの部分も仮想停止線を侵犯しないように車両を制御することができる。
【0113】
一実施形態において、自律走行装置は、車両の現在速度及び車両の現在の位置から仮想停止線までの距離に基づいて車両の目標加速度を計算し、それにより車両を制御することができる。
【0114】
一実施形態において、前述した自律走行装置における車両を制御する一連の動作は、車両の現在の位置から横断歩道が始まる地点までの距離が閾値になることによりトリガされ得る。例えば、閾値は、20m、30m、50mなどであり得る。一実施形態において、閾値は、車両が走行中の道路の規定に応じて変更され得る。
【0115】
一実施形態において、前述した自律走行装置における車両を制御する一連の動作は、信号の残り時間が閾値になることによりトリガされ得るし、ここで、信号は、歩行者に関する赤信号、車両に関する直進信号などを含み得る。例えば、閾値は、5秒、7秒、10秒、15秒、20秒などであり得る。閾値は、車両が走行中の道路の渋滞状況又は車両の現在速度に応じて変更され得る。
【0116】
図6は一実施形態による車両を制御する方法のフローチャートである。
【0117】
図6に示す車両を制御する方法は前述した実施形態に関連するものであるので、以下で省略された内容であるとしても、前述した内容は図6の方法にも適用することができる。
【0118】
図6に示す動作は、前述した自律走行装置により実行することができる。具体的には、図6に示す動作は、前述した自律走行装置に含まれるプロセッサにより実行することができる。
【0119】
ステップ610において、プロセッサは、交通信号情報を受信することができる。
【0120】
一実施形態において、交通信号情報は、V2X技術を用いて、他の車両、インフラストラクチャー及び歩行者の少なくともいずれか1つから送信されるものであり得る。
【0121】
一実施形態において、交通信号情報は、歩行者に関する赤信号の残り時間を含むことができる。
【0122】
ステップ620において、プロセッサは、交通信号情報及び車両の走行情報に基づいて車両の横断歩道の通過の可否を決定することができる。
【0123】
一実施形態において、プロセッサは、歩行者に関する赤信号の残り時間が経過したときの車両の未来の位置を予測し、予測の結果、車両の未来の位置が横断歩道を通過した後の地点である場合、車両が横断歩道を通過できると決定し、車両の未来の位置が横断歩道を通過した後の地点でない場合、車両が横断歩道を通過できないと決定し、車両の横断歩道の通過の可否を決定することができる。
【0124】
一実施形態において、プロセッサは、車両の現在速度、車両の目標速度、及び車両の目標加速度、並びに歩行者に関する赤信号の残り時間に基づいて車両の未来の位置を予測することができる。
【0125】
一実施形態において、プロセッサは、車両の現在速度が目標速度より小さいことに応答して、現在速度が目標加速度に応じて増加して目標速度に到達した状態から、残り時間がなくなった時点まで、車両が目標速度を維持したまま走行すると仮定し、車両の未来の位置を予測することができる。
【0126】
一実施形態において、プロセッサは、車両の現在速度が目標速度より大きいことに応答して、車両が現在時点から残り時間がなくなった時点まで目標速度を維持したまま走行すると仮定し、車両の未来の位置を予測することができる。
【0127】
一実施形態において、車両と横断歩道との間に他の車両がある場合、車両の目標速度は、他の車両の速度と同一にしてもよい。
【0128】
一実施形態において、車両が交差点上で2つの横断歩道を含む右折経路を走行中の場合、横断歩道は、右折進入時に通過する第1横断歩道、及び右折進出時に通過する第2横断歩道を含み、プロセッサは、第1横断歩道の通過の可否を決定し、第2横断歩道の通過の可否を決定し、車両の横断歩道の通過の可否を決定することができる。
【0129】
ステップ630において、プロセッサは、横断歩道を通過できないと決定することに応答して、仮想停止線を生成することができる。
【0130】
一実施形態において、プロセッサは、横断歩道と車両との間に表示停止線がマーキングされている場合、仮想停止線を表示停止線と同一に生成することができる。
【0131】
一実施形態において、プロセッサは、横断歩道と車両との間に表示停止線がマーキングされていない場合、仮想停止線を横断歩道から所定距離離隔させて横断歩道と平行に生成することができる。
【0132】
一実施形態において、プロセッサは、第1横断歩道を通過できないと決定することに応答して、第1横断歩道に対応する第1仮想停止線を生成することにより、仮想停止線を生成することができる。
【0133】
一実施形態において、プロセッサは、第1仮想停止線を第1横断歩道と車両との間にマーキングされた表示停止線と同一に生成することにより、第1仮想停止線を生成することができる。
【0134】
一実施形態において、プロセッサは、第1横断歩道は通過できるが、第2横断歩道を通過できないと決定することに応答して、第2横断歩道に対応する第2仮想停止線を生成することにより、仮想停止線を生成することができる。
【0135】
一実施形態において、プロセッサは、第2仮想停止線を第2横断歩道から所定距離離隔させて第2横断歩道と平行に生成することにより、第2仮想停止線を生成することができる。
【0136】
ステップ640において、プロセッサは、車両が仮想停止線を侵犯しないように車両を制御することができる。
【0137】
図7は一実施形態による車両を制御する装置のブロック図である。
【0138】
図7を参照すると、車両を制御する装置700は、通信部710、プロセッサ720及びDB730を含んでもよい。図7の車両を制御する装置700には、実施形態に関連する構成要素のみが示されている。よって、図7に示す構成要素に加えて他の汎用の構成要素をさらに含み得ることは、当該技術分野における通常の知識を有する者であれば理解するであろう。
【0139】
通信部710は、外部サーバ又は外部装置との有線/無線通信を可能にする1つ以上の構成要素を含み得る。例えば、通信部710は、近距離通信部(図示せず)、移動通信部(図示せず)及び放送受信部(図示せず)の少なくとも1つを含み得る。
【0140】
DB730は、車両を制御する装置700内で処理される各種データを保存するハードウェアであって、プロセッサ720の処理及び制御のためのプログラムを保存することができる。DB730は、決済情報、ユーザ情報などを保存することができる。
【0141】
DB730は、DRAM(dynamic random access memory)、SRAM(static random access memory)などのRAM(random access memory)、ROM(read-only memory)、EEPROM(electrically erasable programmable read-only memory)、CD-ROM、ブルーレイ又は他の光ディスクストレージ、HDD(hard disk drive)、SSD(solid state drive)、又はフラッシュメモリを含み得る。
【0142】
プロセッサ720は、車両を制御する装置700の全般的な動作を制御する。例えば、プロセッサ720は、DB730に保存されたプログラムを実行することにより、入力部(図示せず)、ディスプレイ(図示せず)、通信部710、DB730などを全般的に制御することができる。プロセッサ720は、DB730に保存されたプログラムを実行することにより、車両を制御する装置700の動作を制御することができる。
【0143】
プロセッサ720は、図1図6において上述した自律走行装置の動作の少なくとも一部を制御することができる。
【0144】
プロセッサ720は、ASICs(application specific integrated circuits)、DSPs(digital signal processors)、DSPDs(digital signal processing devices)、PLDs(programmable logic devices)、FPGAs(field programmable gate arrays)、コントローラ(controllers)、マイクロコントローラ(micro-controllers)、マイクロプロセッサ(microprocessors)、その他の機能の実行のための電気ユニットの少なくとも1つを用いて実現することができる。
【0145】
一実施形態において、車両を制御する装置700は、移動性を有する電子デバイスであり得る。例えば、車両を制御する装置700は、スマートフォン、タブレットPC、PC、スマートテレビ、PDA(personal digital assistant)、ラップトップ、メディアプレーヤ、ナビゲーション、カメラ付きデバイス、及びその他のモバイル電子デバイスで実現することができる。また、車両を制御する装置700は、通信機能及びデータ処理機能を備えた時計、メガネ、ヘッドバンド、指輪などのウェアラブルデバイスで実現することができる。
【0146】
他の実施形態において、車両を制御する装置700は、車両に組み込まれる電子デバイスであり得る。例えば、車両を制御する装置700は、製造過程後にチューニング(tuning)により車両に挿入される電子デバイスであり得る。
【0147】
さらに他の実施形態において、車両を制御する装置700は、車両の外部に位置するサーバであり得る。サーバは、ネットワークを介して通信を行って命令、コード、ファイル、コンテンツ、サービスなどを提供するコンピュータ装置又は複数のコンピュータ装置で実現することができる。サーバは、車両に搭載された装置から車両の移動経路を決定するために必要なデータを受信し、受信したデータに基づいて車両の移動経路を決定することができる。
【0148】
さらに他の実施形態において、車両を制御する装置700で実行されるプロセスは、移動性を有する電子デバイス、車両に組み込まれる電子デバイス、及び車両の外部に位置するサーバの少なくとも一部により実行することができる。
【0149】
本発明による実施形態は、コンピュータ上で様々な構成要素により実行できるコンピュータプログラムの形態で実現することができ、このようなコンピュータプログラムは、コンピュータで読み取り可能な媒体に記録することができる。ここで、媒体には、ハードディスク、フロッピーディスク、磁気テープなどの磁気媒体、CD-ROM、DVDなどの光記録媒体、フロプティカルディスク(floptical disk)などの光磁気記録媒体(magneto-optical medium)、ROM、RAM、フラッシュメモリなどのプログラム命令を記憶して実行するように特別に構成されたハードウェア装置が含まれる。
【0150】
一方、前記コンピュータプログラムは、本発明のために特別に設計及び構成されたものであってもよく、コンピュータソフトウェア分野の当業者に公知されて使用可能なものであってもよい。コンピュータプログラムの例には、コンパイラにより生成されるような機械語コードだけでなく、インタプリタなどを用いてコンピュータにより実行される高級言語コードも含まれる。
【0151】
一実施形態によれば、本開示の様々な実施形態による方法は、コンピュータプログラム製品(computer program product)に含まれて提供されるようにしてもよい。コンピュータプログラム製品は、商品として販売者と購入者との間で取引されるようにしてもよい。コンピュータプログラム製品は、機器で読み取り可能な記憶媒体(例えば、compact disc read only memory(CD-ROM))の形態で配布されるか、又はアプリケーションストア(例えば、プレイストアTM)を介して、もしくは2つのユーザ装置間で直接、オンラインで配布(例えば、ダウンロード又はアップロード)されるようにしてもよい。オンライン配布の場合、コンピュータプログラム製品の少なくとも一部は、メーカーのサーバ、アプリケーションストアのサーバ、又は中継サーバのメモリなどの機器で読み取り可能な記憶媒体に少なくとも一時的に記憶されるか、一時的に生成されるようにしてもよい。
【0152】
本発明による方法を構成するステップに関して、明白な順序の記載又はそれに反する記載がなければ、上記ステップは適切な順序で行うことができる。本発明は、必ずしも上記ステップの記載順序に限定されるものではない。本発明における全ての例又は例示的な用語(例えば、など)の使用は、単に本発明を詳細に説明するためのものであり、特許請求の範囲により限定されない限り、上記例又は例示的な用語により本発明の範囲が限定されるわけではない。また、当業者は、様々な修正、組み合わせ及び変更が加えられた特許請求の範囲又はその均等物の範疇内で設計条件及び要因に応じて構成できることを理解するであろう。
【0153】
よって、本発明の思想は、上述した実施形態に限定されて定められてはならず、添付の特許請求の範囲だけでなく、その特許請求の範囲と均等な又はそれから等価的に変更された全ての範囲は、本発明の思想の範疇に属するといえる。
図1
図2
図3
図4a
図4b
図5a
図5b
図5c
図5d
図5e
図6
図7