(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-17
(45)【発行日】2024-10-25
(54)【発明の名称】二酸化炭素回収システム
(51)【国際特許分類】
B01D 53/04 20060101AFI20241018BHJP
F24F 5/00 20060101ALI20241018BHJP
【FI】
B01D53/04 230
F24F5/00 Z
(21)【出願番号】P 2023065414
(22)【出願日】2023-04-13
(62)【分割の表示】P 2023507245の分割
【原出願日】2022-07-15
【審査請求日】2023-04-13
(73)【特許権者】
【識別番号】000006013
【氏名又は名称】三菱電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100161207
【氏名又は名称】西澤 和純
(74)【代理人】
【識別番号】100206081
【氏名又は名称】片岡 央
(74)【代理人】
【識別番号】100188673
【氏名又は名称】成田 友紀
(74)【代理人】
【識別番号】100188891
【氏名又は名称】丹野 拓人
(72)【発明者】
【氏名】尾中 洋次
(72)【発明者】
【氏名】谷島 誠
(72)【発明者】
【氏名】篠木 俊雄
(72)【発明者】
【氏名】川本 誠
(72)【発明者】
【氏名】中島 誠治
(72)【発明者】
【氏名】福井 智哉
(72)【発明者】
【氏名】井上 琢視
【審査官】山崎 直也
(56)【参考文献】
【文献】特許第5627870(JP,B2)
【文献】特開2017-075715(JP,A)
【文献】特開2011-104489(JP,A)
【文献】特開2019-018157(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2021/0252451(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B01D 53/02-53/12
F24F 3/00- 3/167
5/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
熱交換器および第1送風機を有する、第1ヒートポンプ装置の室外機と、
二酸化炭素を吸着可能な吸着剤を有し、空気から二酸化炭素を回収する回収部と、
前記回収部から移動した前記吸着剤から二酸化炭素を分離する分離部と、
を備え、
前記第1送風機は、気流を、前記回収部および前記分離部の両方に向けて送り出す、二酸化炭素回収システム。
【請求項2】
前記熱交換器を通過していない外気、または屋内空気を前記回収部に供給する第2送風機をさらに備える、請求項1に記載の二酸化炭素回収システム。
【請求項3】
前記第1送風機から送り出された空気と、前記第2送風機から送り出された空気とを混合する合流部、をさらに備え、
前記第2送風機は、前記熱交換器を通過していない外気、または屋内空気を、前記合流部を介して前記回収部に供給する、請求項2に記載の二酸化炭素回収システム。
【請求項4】
前記合流部には、前記第1送風機から送り出された空気と前記第2送風機から送り出された空気とを混合した混合空気の温度を計測する温度センサが設けられており、
前記二酸化炭素回収システムは、前記温度センサの計測結果に基づき、前記第2送風機から前記合流部に供給される空気の流量を制御する制御部をさらに備える、請求項3に記載の二酸化炭素回収システム。
【請求項5】
前記第2送風機の回転数を制御することにより、前記第2送風機からの空気の流量を制御する制御部をさらに備える、請求項2~4のいずれか一項に記載の二酸化炭素回収システム。
【請求項6】
前記第1送風機と前記回収部との間に設けられ、前記熱交換器によって加熱された気流が前記回収部に到達することを規制する規制部をさらに備える、請求項2~4のいずれか一項に記載の二酸化炭素回収システム。
【請求項7】
蒸発器および凝縮器を有する第2ヒートポンプ装置をさらに備え、
前記蒸発器は前記第1送風機と前記回収部との間に位置し、
前記凝縮器は前記第1送風機と前記分離部との間に位置する、請求項1に記載の二酸化炭素回収システム。
【請求項8】
蒸発器および凝縮器を有する第2ヒートポンプ装置をさらに備え、
前記蒸発器は前記第1送風機と前記回収部との間に位置し、
前記凝縮器は前記第1送風機と前記分離部との間に位置し、
前記第2送風機は、前記熱交換器を通過していない外気、または屋内空気を、前記蒸発器を通過させて前記回収部に供給する、請求項2に記載の二酸化炭素回収システム。
【請求項9】
前記第1ヒートポンプ装置が冷房運転を行う際に、前記熱交換器によって加熱された気流が前記蒸発器に到達することを規制する規制部をさらに備える、請求項8に記載の二酸化炭素回収システム。
【請求項10】
前記凝縮器と前記分離部との間に配置されたヒータ、をさらに備える、請求項7~9のいずれか一項に記載の二酸化炭素回収システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、二酸化炭素回収システムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、二酸化炭素を吸着可能な吸着剤を用いて、空気中の二酸化炭素を除去する装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
吸着剤による二酸化炭素の回収効率を向上させることが求められている。特許文献1の構成では、吸着剤から二酸化炭素を分離するために減圧ポンプが用いられており、分離のためのエネルギーが増加する。
【0005】
本開示は、上記の事情に鑑みて、二酸化炭素の回収効率を向上させることが可能な二酸化炭素回収システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示に係る二酸化炭素回収システムの一つの態様は、熱交換器および第1送風機を有する、第1ヒートポンプ装置の室外機と、二酸化炭素を吸着可能な吸着剤を有し、空気から二酸化炭素を回収する回収部と、前記回収部から移動した前記吸着剤から二酸化炭素を分離する分離部と、を備え、前記第1送風機は、気流を、前記回収部および前記分離部の両方に向けて送り出す。
【発明の効果】
【0007】
本開示によれば、二酸化炭素の回収効率を向上させることが可能な二酸化炭素回収システムを提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】実施の形態1に係る二酸化炭素回収システムの模式図である。
【
図2】実施の形態2に係る二酸化炭素回収システムの模式図である。
【
図3】実施の形態3に係る二酸化炭素回収システムの模式図である。
【
図4】実施の形態4に係る二酸化炭素回収システムの模式図である。
【
図5】実施の形態5に係る二酸化炭素回収システムの模式図である。
【
図6】実施の形態6に係る二酸化炭素回収システムの模式図である。
【
図7】実施の形態7に係る二酸化炭素回収システムの模式図である。
【
図8】実施の形態8に係る二酸化炭素回収システムの模式図である。
【
図9】実施の形態9に係る二酸化炭素回収システムの模式図である。
【
図10】実施の形態10に係る二酸化炭素回収システムの模式図である。
【
図11】実施の形態11に係る二酸化炭素回収システムの模式図である。
【
図12A】一般的な蒸気圧縮式ヒートポンプサイクルのT-s線図の一例である。
【
図13】遷臨界ヒートポンプサイクルのT-s線図の一例である。
【
図14】非共沸混合冷媒を用いたヒートポンプサイクルのT-s線図の一例である。
【
図15】実施の形態12に係る二酸化炭素回収システムの模式図である。
【
図16】実施の形態12に係るボルテックスチューブの模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、図面を参照しながら、本開示の実施の形態について説明する。なお、本開示の範囲は、以下の実施の形態に限定されず、本開示の技術的思想の範囲内で任意に変更可能である。
【0010】
実施の形態1.
図1は、実施の形態1に係る二酸化炭素回収システム1の模式図である。
図1に示されるように、二酸化炭素回収システム1は、室外機10と、回収部21と、分離部23と、を備える。
【0011】
室外機10は、第1ヒートポンプ装置の一部であり、不図示の室内機とともに用いられる。本実施の形態では、第1ヒートポンプ装置は、少なくとも室内を冷房する機能を有する空気調和機である。室外機10および室内機は、冷媒を循環させるための不図示のパイプ等で接続されている。
【0012】
室外機10は、筐体11と、熱交換器12と、第1送風機13と、を備える。また、室外機10は、不図示の圧縮機等を有している。
筐体11には、吸込口14および吹出口15が形成される。熱交換器12および第1送風機13は、筐体11の内部に配置される。熱交換器12は、冷媒と外気(空気)との間で熱交換をさせる。第1送風機13は、室外機10の内部から外部に向けて送風する。
【0013】
第1送風機13が駆動すると、吸込口14から空気が筐体11内に吸い込まれる。筐体11内に吸い込まれた空気は、熱交換器12を通過して、吹出口15から筐体11の外部に吹き出される。
以下、第1送風機13により生じる気流の流通方向における上流側を単に上流側ともいい、第1送風機13により生じる気流の流通方向における下流側を単に下流側ともいう。
【0014】
回収部21は、空気から二酸化炭素を回収する機能を有する。回収部21は、第1送風機13の下流側に配置される。第1送風機13と回収部21との間には、第1送風機13から回収部21まで気流を伝える第1ダクト22が設けられている。
【0015】
回収部21は、吸着剤を有する。吸着剤は、二酸化炭素を吸着可能な材質を含んでいる。二酸化炭素を吸着可能な材質としては、例えばアミン、ゼオライト、シリカゲル、珪藻土、アルミナ、活性炭等が挙げられる。上記のなかから複数の材質を選択して採用してもよいし、上記以外の材質を採用してもよい。吸着剤は粒状(例えばビーズ状(球形)、ペレット状(円柱形))であってもよい。あるいは、粉状の吸着剤を採用してもよい。この場合、粉状の吸着剤を、基材の表面に担持させてもよい。基材は、例えばハニカム形状であってもよい。例えば、粉状の吸着剤を、ハニカムロータに担持させてもよい。吸着剤は、液体の吸着液であってもよい。
【0016】
回収部21は、第1送風機13が生み出す気流を受ける位置で、吸着剤を保持可能に構成される。
例えば、回収部21は、吸着剤を収容可能であり、通気性を有する容器を有していてもよい。この場合、この容器は、第1送風機13が生み出す気流を受ける位置に配置される。
あるいは、例えば吸着剤がハニカムロータに担持されている場合、回収部21は、第1送風機13が生み出す気流を受ける位置にハニカムロータを支持する支持部を有していてもよい。
【0017】
回収部21において保持された吸着剤には、第1送風機13の駆動により吹出口15から吹き出される気流が当たる。これにより、吸着剤内に空気が入り込んだり、吸着剤内の空気が排出されたりする。回収部21は、第1送風機13により生じる気流と、吸着剤とを接触させて、吸着剤に二酸化炭素を吸着させる。すなわち、本実施の形態において、回収部21は、第1送風機13の送風動力を二酸化炭素の回収に利用する。
【0018】
分離部23は、二酸化炭素を吸着した吸着剤から二酸化炭素を分離する機能を有する。分離部23は、第1送風機13の下流側に配置される。第1送風機13と分離部23との間には、第1送風機13から分離部23まで気流を伝える第2ダクト24が設けられている。分離部23は、第1送風機13が生み出す気流を受ける位置で、吸着剤を保持可能に構成される。
【0019】
分離部23には、回収部21において二酸化炭素を吸着した吸着剤が移動する。また、分離部23において二酸化炭素が分離された吸着剤は、再び回収部21に移動する。
図1に示されるように、吸着剤は、第1配管25を介して回収部21から分離部23に搬送(移動)され、第2配管26を介して分離部23から回収部21に搬送(移動)されてもよい。
あるいは、例えば吸着剤がハニカムロータに担持されている場合、ハニカムロータが回収部21と分離部23とを跨いで配置されており、ハニカムロータが回転することにより、吸着剤が回収部21と分離部23との間を移動してもよい。
【0020】
分離部23において保持された吸着剤には、第1送風機13の駆動により吹出口15から吹き出される気流が当たる。ここで、第1ヒートポンプ装置が冷房運転を行う際には、吸込口14から筐体11内に吸い込まれた空気は、熱交換器12によって例えば45~70℃まで加熱される。第1送風機13は、熱交換器12によって加熱された気流を、分離部23に向けて送り出す。したがって、分離部23において保持された吸着剤には、熱交換器12によって加熱された気流が当たる。分離部23は、第1送風機13から送り出される加熱された気流と、吸着剤とを接触させて、吸着剤を加熱することで、吸着剤から二酸化炭素を分離する。本実施の形態において、分離部23は、第1送風機13の送風動力を二酸化炭素の分離に利用する。
【0021】
以上説明したように、本実施の形態に係る二酸化炭素回収システム1は、熱交換器12および第1送風機13を有する、第1ヒートポンプ装置の室外機10と、二酸化炭素を吸着可能な吸着剤を有し、空気から二酸化炭素を回収する回収部21と、回収部21から移動した吸着剤から二酸化炭素を分離する分離部23と、を備える。第1送風機13は、第1ヒートポンプ装置が冷房運転を行う際に、熱交換器12によって加熱された気流を分離部23に向けて送り出す。
第1送風機13の送風動力を利用して、熱交換器12によって加熱された空気を分離部23に供給する。分離部23は、熱交換器12によって加熱された空気の熱を、二酸化炭素の分離の熱源の少なくとも一部として利用する。したがって、二酸化炭素を省エネルギーおよび省コストで分離することができ、二酸化炭素の回収効率が向上する。
【0022】
また、第1送風機13は、熱交換器12を通過した気流を、回収部21および分離部23の両方に向けて送り出す。
これにより、第1送風機13の送風動力を利用して、二酸化炭素の回収および分離を行うことができるため、更なる省エネルギー化を図ることができる。
【0023】
実施の形態2.
次に、実施の形態2に係る二酸化炭素回収システム1について説明する。本実施の形態に係る二酸化炭素回収システム1は、基本的な構成は実施の形態1と同様であるため、異なる点を中心に説明する。
【0024】
図2は、実施の形態2に係る二酸化炭素回収システム1の模式図である。
図2に示されるように、本実施の形態では、二酸化炭素回収システム1が、第2送風機31と、制御部32と、合流部33と、をさらに備えている。
【0025】
第2送風機31は、熱交換器12を通過していない外気、または屋内空気を、合流部33を介して、回収部21に供給する。第2送風機31と合流部33との間には、第2送風機31から合流部33まで気流を伝える第3ダクト34が設けられている。
【0026】
合流部33は、第1送風機13と、回収部21との間に配置される。本実施の形態では、第1ダクト22は、第1送風機13と合流部33との間に設けられ、第1送風機13から合流部33まで気流を伝える。合流部33は、第1送風機13からの熱交換器12を通過した空気と、第2送風機31からの熱交換器12を通過していない外気または屋内空気とを混合し、この混合空気を回収部21に供給する。第1ヒートポンプ装置が冷房運転を行う際には、第1送風機13による気流を、第2送風機31により送り出される外気または屋内空気と混合させることで、温度を下降させて回収部21に供給する。合流部33には、混合空気の温度を計測する、不図示の温度センサが設けられている。
【0027】
本実施の形態では、回収部21において保持された吸着剤には、第1送風機13からの空気と、第2送風機31からの外気または屋内空気とが混合された混合空気の気流が当たる。この混合空気の気流と、吸着剤とを接触させて、吸着剤に二酸化炭素を吸着させる。すなわち、本実施の形態において、回収部21は、第1送風機13および第2送風機31の送風動力を、二酸化炭素の回収に利用する。
【0028】
制御部32は、二酸化炭素回収システム1の各構成を制御する。本実施の形態では、制御部32は、合流部33に設けられる温度センサの計測結果に基づき、第2送風機31から合流部33に供給される空気の流量を制御する。例えば、制御部32は、第3ダクト34に設けられる流量制御弁の開度を制御することにより、第2送風機31からの空気の流量を制御してもよい。制御部32は、第2送風機31の回転数を制御することにより、第2送風機31からの空気の流量を制御してもよい。
【0029】
以上説明したように、本実施の形態に係る二酸化炭素回収システム1は、熱交換器12を通過していない外気、または屋内空気を回収部21に供給する第2送風機31をさらに備える。
これにより、第2送風機31からの外気または屋内空気を、回収部21における二酸化炭素の回収に用いることができる。また、吸着剤と接触する空気の温度が高いと、吸着剤による二酸化炭素の吸着効率が低下する場合がある。熱交換器12を通過していない外気、または屋内空気を回収部21に供給することにより、吸着効率の低下を抑制することができる。したがって、二酸化炭素の回収効率が向上する。
【0030】
屋内空気の二酸化炭素濃度は、人間の呼吸に伴って上昇している場合が多い。第2送風機31により屋内空気を回収部21に供給する場合、二酸化炭素濃度が高い空気から二酸化炭素を回収することができるため、二酸化炭素の回収効率がより向上する。
【0031】
また、第1送風機13からの熱交換器12を通過した空気と、第2送風機31からの熱交換器12を通過していない外気または屋内空気とを混合させる場合、第1送風機13からの空気のみを回収部21に供給する場合と比べて、回収部21に供給される空気の温度を下降させることができる。制御部32が、混合空気の温度を計測する温度センサの計測結果に基づき、第2送風機31から合流部33に供給される空気の流量を制御することにより、吸着剤と接触する空気の温度を、二酸化炭素の吸着に適した温度により確実に調整することができる。
【0032】
実施の形態3.
次に、実施の形態3に係る二酸化炭素回収システム1について説明する。本実施の形態に係る二酸化炭素回収システム1は、基本的な構成は実施の形態1と同様であるため、異なる点を中心に説明する。
【0033】
図3は、実施の形態3に係る二酸化炭素回収システム1の模式図である。
図3に示されるように、本実施の形態では、二酸化炭素回収システム1が、規制部35をさらに備える。
【0034】
規制部35は、第1送風機13と回収部21との間に設けられる。規制部35は、第1送風機13により生じる気流が回収部21に到達することを規制する。規制部35は、例えば、第1送風機13から回収部21に向かう気流を遮る板状部材である。
【0035】
本実施の形態では、回収部21において保持された吸着剤には、第2送風機31からの空気のみが供給される。第2送風機31により生じる気流と、吸着剤とを接触させて、吸着剤に二酸化炭素を吸着させる。すなわち、本実施の形態において、回収部21は、第2送風機31の送風動力を二酸化炭素の回収に利用する。
【0036】
以上説明したように、本実施の形態に係る二酸化炭素回収システム1は、第1送風機13と回収部21との間に設けられ、熱交換器12によって加熱された気流が回収部21に到達することを規制する規制部35をさらに備える。
これにより、回収部21には、熱交換器12によって加熱された空気は供給されず、第2送風機31からの熱交換器12を通過していない外気または屋内空気のみが供給される。したがって、回収部21に供給される空気の温度の上昇による、吸着剤による二酸化炭素の吸着効率の低下を防止することができる。また、熱交換器12によって加熱された空気は分離部23のみに供給されることとなるため、分離部23に供給される空気の量を増加させることができる。したがって、二酸化炭素の回収効率が向上する。
【0037】
実施の形態4.
次に、実施の形態4に係る二酸化炭素回収システム1について説明する。本実施の形態に係る二酸化炭素回収システム1は、基本的な構成は実施の形態1と同様であるため、異なる点を中心に説明する。
【0038】
図4は、実施の形態4に係る二酸化炭素回収システム1の模式図である。
図4に示されるように、本実施の形態では、二酸化炭素回収システム1が、第2ヒートポンプ装置40をさらに備える。
【0039】
第2ヒートポンプ装置40は、第1送風機13と、回収部21および分離部23との間に設けられる。第2ヒートポンプ装置40は、蒸発器41と、凝縮器42と、圧縮機43と、膨張弁44と、を有する。
【0040】
第2ヒートポンプ装置40においては、冷媒が、蒸発器41と凝縮器42との間を循環する。具体的には、圧縮機43により圧縮された気体状態の冷媒が、凝縮器42に流れる。凝縮器42内の冷媒は周囲の空気と熱交換して周囲の空気を加熱する。熱交換によって液体状態となった冷媒は、膨張弁44により膨張させられ、蒸発器41に流入する。蒸発器41内の冷媒は周囲の空気と熱交換して周囲の空気を冷却する。熱交換によって気体状態となった冷媒は圧縮機43に戻される。
【0041】
蒸発器41は、第1送風機13と回収部21との間に位置する。本実施の形態では、第1ダクト22は、第1送風機13と蒸発器41との間に設けられ、第1送風機13から蒸発器41まで気流を伝える。第1送風機13からの空気は、蒸発器41を通過することにより冷却され、回収部21に供給される。また、第1送風機13からの空気は、蒸発器41を通過することにより除湿される。
【0042】
凝縮器42は、第1送風機13と分離部23との間に位置する。本実施の形態では、第2ダクト24は、第1送風機13と凝縮器42との間に設けられ、第1送風機13から凝縮器42まで気流を伝える。第1送風機13からの空気は、凝縮器42を通過することにより加熱され、分離部23に供給される。
【0043】
以上説明したように、本実施の形態に係る二酸化炭素回収システム1は、蒸発器41および凝縮器42を有する第2ヒートポンプ装置40をさらに備える。蒸発器41は第1送風機13と回収部21との間に位置し、凝縮器42は第1送風機13と分離部23との間に位置する。
蒸発器41によって第1送風機13からの空気を冷却することにより、回収部21に供給される空気の温度を、吸着剤による二酸化炭素の吸着に適した温度に調整することができる。凝縮器42によって第1送風機13からの空気を加熱することにより、分離部23に供給される空気の温度を、吸着剤からの二酸化炭素の分離に適した温度に調整することができる。したがって、二酸化炭素の回収効率を向上させることができる。また、吸着剤と接触する空気の湿度が高いと、吸着剤による二酸化炭素の吸着効率が低下する可能性がある。蒸発器41により、回収部21に供給される空気の除湿を行うことで、吸着効率の低下を防止することができる。
なお、吸着剤による二酸化炭素の吸着に適した温度は、例えば、5~30℃であり、吸着剤からの二酸化炭素の分離に適した温度は、例えば、60~120℃である。本開示はこれに限られず、適正温度は、吸着剤の具体的な材質によって異なる。
【0044】
ここで、第1ヒートポンプ装置が、室内を冷房および暖房する機能を有する空気調和機である場合、第1ヒートポンプ装置は、季節、気温等に応じて、冷房運転および暖房運転を行う。
第1送風機13は、第1ヒートポンプ装置が暖房運転を行う際に、熱交換器12によって冷却された気流を、蒸発器41を通過させて回収部21に供給するとともに、凝縮器42を通過させて分離部23に供給する。
熱交換器12によって冷却された気流を、凝縮器42によって加熱して、分離部23に供給することができる。したがって、第1ヒートポンプ装置が暖房運転を行う場合であっても、二酸化炭素の回収および分離を行うことができる。
【0045】
また、本実施の形態では、第2ヒートポンプ装置40が、冷媒が臨界圧力よりも高い圧力で動作する遷臨界ヒートポンプサイクルであることが好ましい。遷臨界ヒートポンプサイクルに用いられる作動流体は、二酸化炭素冷媒を主成分とする冷媒である。遷臨界ヒートポンプサイクルに用いられる作動流体としては、二酸化炭素冷媒、二酸化炭素冷媒を用いた混合冷媒、等が挙げられる。
【0046】
まず、
図12Aを参照して、冷媒が臨界圧力よりも低い圧力で動作する一般的な蒸気圧縮式ヒートポンプサイクルについて説明する。
図12Aは、一般的な蒸気圧縮式ヒートポンプサイクルのT-s線図の一例である。
図12Bは、ヒートポンプサイクルの概略図である。
図12Aにおいて、縦軸は温度であり、横軸はエントロピーである。
図12Aに示されるように、一般的な蒸気圧縮式ヒートポンプサイクルでは、凝縮器42の内部を流れる冷媒は、ガス単相領域(状態1から状態1aまでの領域)と、気液二相領域(状態1aから状態1bまでの領域)と、液単相領域(状態1bから状態2までの領域)とを有する。気液二相領域(状態1aから状態1bまでの領域)は潜熱領域であり、この領域においては、温度変化を伴わずに、ガス冷媒が液化していく。凝縮器42により分離部の上流の空気を加熱する際には、状態1から状態2へ至る過程において冷媒と空気との温度差が大きいことが好ましい。しかしながら、一般的な蒸気圧縮式ヒートポンプサイクルでは、状態1から状態2までの領域における、潜熱領域である気液二相領域(状態1aから状態1bまでの領域)の割合が大きいため、冷媒と空気との温度差をつけにくい。
【0047】
図13は、遷臨界ヒートポンプサイクルのT-s線図の一例である。
図13において、縦軸は温度であり、横軸はエントロピーである。
図13に示されるように、遷臨界ヒートポンプサイクルでは、凝縮器42の内部を流れる冷媒は、超臨界状態の冷媒となる。超臨界状態の冷媒は、比熱が変化するため、潜熱領域を有しておらず、状態1から状態2へ至る過程の全体において冷媒の温度が変化する。したがって、冷媒と空気との温度差を作りやすく、エネルギーロスを減少させることができる。また、冷媒の温度が変化しやすいため、冷媒を昇温させやすい。
このため、第2ヒートポンプ装置40が遷臨界ヒートポンプサイクルである場合、第1送風機13からの空気を、凝縮器42で効率よく加熱することができる。したがって、分離部23に供給する空気の温度を上昇させることができ、二酸化炭素の回収効率を向上させることができる。
【0048】
あるいは、第2ヒートポンプ装置40は、沸点の異なる非共沸混合冷媒を作動流体として用いてもよい。例えば、混合冷媒として、二酸化炭素を主成分とし、他の沸点の異なる冷媒(プロパン、フロン等)を混ぜたものを用いてもよい。
図14は、非共沸混合冷媒を用いたヒートポンプサイクルのT-s線図の一例である。
図14において、縦軸は温度であり、横軸はエントロピーである。非共沸混合冷媒を用いたヒートポンプサイクルでは、混合冷媒の沸点が異なるため、凝縮器42の内部を流れる冷媒は、温度変化を伴う潜熱領域(状態1aから状態1bまでの領域)を有する。潜熱領域においても冷媒の温度が変化するため、冷媒と空気との温度差を作りやすく、冷媒を昇温させやすい。
このため、第2ヒートポンプ装置40が沸点の異なる非共沸混合冷媒を作動流体として用いる場合、第1送風機13からの空気を、凝縮器42で効率よく加熱することができる。したがって、分離部23に供給する空気の温度を上昇させることができ、二酸化炭素の回収効率を向上させることができる。また、単一の冷媒を作動流体として利用する場合に比べて、第2ヒートポンプ装置40の内部の圧力を下げることができるので、機器の耐圧強度設計を緩和できる。
【0049】
実施の形態5.
次に、実施の形態5に係る二酸化炭素回収システム1について説明する。本実施の形態に係る二酸化炭素回収システム1は、基本的な構成は実施の形態1~4と同様であるため、異なる点を中心に説明する。
【0050】
図5は、実施の形態5に係る二酸化炭素回収システム1の模式図である。
本実施の形態は、実施の形態2と実施の形態4とを組み合わせたものである。すなわち、本実施の形態に係る二酸化炭素回収システム1は、室外機10と、回収部21と、分離部23と、第2送風機31と、制御部32と、合流部33と、第2ヒートポンプ装置40と、を備える。
【0051】
本実施の形態では、合流部33は、第1送風機13と蒸発器41との間に配置される。第1ダクト22は、第1送風機13と合流部33との間に設けられ、第1送風機13から蒸発器41に向けて気流を伝える。合流部33は、第1送風機13からの熱交換器12を通過した空気と、第2送風機31からの熱交換器12を通過していない外気または屋内空気とを混合し、この混合空気を蒸発器41に向けて送り出す。混合空気は、蒸発器41を通過することにより冷却され、回収部21に供給される。
【0052】
また、本実施の形態では、温度センサは、回収部21の直前に設けられ、回収部21に供給される直前の空気(すなわち、蒸発器41を通過後の空気)の温度を計測する。制御部32は、この温度センサの計測結果に基づき、第2送風機31から合流部33に供給される空気の流量を制御する。
【0053】
以上説明したように、本実施の形態では、第2送風機31は、熱交換器12を通過していない外気、または屋内空気を、蒸発器41を通過させて回収部21に供給する。
これにより、第2送風機31からの外気または屋内空気を、回収部21における二酸化炭素の回収に用いることができる。また、蒸発器41により、第2送風機31からの外気または屋内空気を冷却および除湿して、回収部21に供給することができる。したがって、二酸化炭素の回収効率が向上する。
【0054】
また、本実施の形態に係る二酸化炭素回収システム1は、第1ヒートポンプ装置が暖房運転を行う際に、第1送風機13による気流を、第2送風機31により送り出される外気または屋内空気と混合させることで、温度を上昇させて回収部21に供給する。
第1ヒートポンプ装置が暖房運転を行う際には、第1送風機13による気流は熱交換器12により冷却されるが、回収部21に供給される空気の温度が低すぎると、二酸化炭素の吸着効率が低下する場合がある。第1送風機13による気流を、第2送風機31により送り出される外気または屋内空気と混合させることで、温度を上昇させて回収部21に供給する。これにより、二酸化炭素の吸着効率の低下を防止することができる。
【0055】
第1ヒートポンプ装置が暖房運転を行う際には、屋内空気の温度は外気の温度よりも高くなる。第1送風機13による気流を、第2送風機31により送り出される屋内空気と混合させる場合、第1送風機13による気流の温度をより効果的に上昇させることができる。
【0056】
実施の形態6.
次に、実施の形態6に係る二酸化炭素回収システム1について説明する。本実施の形態に係る二酸化炭素回収システム1は、基本的な構成は実施の形態5と同様であるため、異なる点を中心に説明する。
【0057】
図6は、実施の形態6に係る二酸化炭素回収システム1の模式図である。
本実施の形態では、二酸化炭素回収システム1は、規制部35をさらに備えている。
【0058】
本実施の形態では、規制部35は、第1ダクト22または第2ダクト24に設けられる。規制部35は、第1送風機13により生じる気流の少なくとも一部が蒸発器41または凝縮器42に到達することを規制する。
例えば、規制部35は、第1ダクト22または第2ダクト24に設けられ、第1送風機13から蒸発器41または凝縮器42に向かう気流を遮る板状部材であってもよい。規制部35は、第1ダクト22と第2ダクト24との間で移動可能であってもよい。この場合、第1ダクト22または第2ダクト24に対する規制部35の位置を変更することにより、規制部35による第1ダクト22または第2ダクト24の流路開放率が変更される。
規制部35は、第1ダクト22および第2ダクト24にそれぞれ設けられる流量制御弁であってもよい。この場合、第1ダクト22に設けられる流量制御弁の開度を変更することにより、規制部35による第1ダクト22の流路開放率が変更され、第2ダクト24に設けられる流量制御弁の開度を変更することにより、規制部35による第2ダクト24の流路開放率が変更される。
【0059】
制御部32は、第1ヒートポンプ装置の運転モード等に応じて、規制部35による第1ダクト22および第2ダクト24の流路開放率を制御する。
【0060】
例えば、第1ヒートポンプ装置が冷房運転を行う場合には、制御部32は、第1ダクト22の流路開放率が0%となり、第2ダクト24の流路開放率が100%となるよう、規制部35を制御する。例えば、規制部35が板状部材である場合、
図6に示されるように、制御部32は、規制部35を第1ダクト22に移動させる。規制部35が流量制御弁である場合、制御部32は、第1ダクト22に設けられる流量制御弁の開度を0%とし、第2ダクト24に設けられる流量制御弁の開度を100%とする。これにより、熱交換器12によって加熱された気流が蒸発器41に到達すること(すなわち、回収部21に供給されること)が規制される。したがって、回収部21に供給される空気の温度の上昇による、吸着剤による二酸化炭素の吸着効率の低下を防止することができる。
【0061】
第1ヒートポンプ装置が暖房運転を行う場合には、制御部32は、第1ダクト22の流路開放率が100%となり、第2ダクト24の流路開放率が0%となるよう、規制部35を制御する。例えば、規制部35が板状部材である場合、制御部32は、規制部35を第2ダクト24に移動させる。規制部35が流量制御弁である場合、制御部32は、第1ダクト22に設けられる流量制御弁の開度を100%とし、第2ダクト24に設けられる流量制御弁の開度を0%とする。これにより、熱交換器12によって冷却された気流が凝縮器42に到達すること(すなわち、分離部23に供給されること)が規制される。したがって、分離部23に供給される空気の温度の低下による、二酸化炭素の回収効率の低下を防止することができる。なお、この場合には、第2送風機31は、凝縮器42(すなわち、分離部23)に向けて送風してもよい。
【0062】
制御部32による上記の流路開放率の制御はこれに限られず、季節ごとの条件に応じて任意に流路開放率を変更してもよい。
例えば、制御部32は、第1ヒートポンプ装置が暖房運転を行う場合にも、第1ダクト22の流路開放率が0%となり、第2ダクト24の流路開放率が100%となるよう、規制部35を制御してもよい。この場合であっても、熱交換器12によって冷却された気流を、凝縮器42によって加熱して、分離部23に供給することができるため、二酸化炭素の分離を行うことができる。また、第1送風機13からの空気は熱交換器12を通過することで除湿されているため、凝縮器42により温度を上昇させやすい。
また、制御部32は、第1ダクト22および第2ダクト24の流路開放率を、0~100%の間の任意の値に設定することができる。
【0063】
以上説明したように、本実施の形態では、二酸化炭素回収システム1は、蒸発器41および凝縮器42を有する第2ヒートポンプ装置40と、第1送風機13から蒸発器41に向けて気流を伝える第1ダクト22または第1送風機13から凝縮器42に向けて気流を伝える第2ダクト24に設けられ、第1送風機13により生じる気流の少なくとも一部が蒸発器41または凝縮器42に到達することを規制する規制部35と、規制部35による第1ダクト22および第2ダクト24の流路開放率を制御する制御部32と、を備える。
第1ヒートポンプ装置の運転モード等に応じて、規制部35による第1ダクト22および第2ダクト24の流路開放率を制御することにより、二酸化炭素をより効率的に回収することができる。
【0064】
実施の形態7.
次に、実施の形態7に係る二酸化炭素回収システム1について説明する。本実施の形態に係る二酸化炭素回収システム1は、基本的な構成は実施の形態6と同様であるため、異なる点を中心に説明する。
【0065】
図7は、実施の形態7に係る二酸化炭素回収システム1の模式図である。
図7に示されるように、本実施の形態では、二酸化炭素回収システム1が、ヒータ46をさらに備えている。
【0066】
ヒータ46は、凝縮器42と分離部23との間に配置される。ヒータ46は、凝縮器42を通過することにより加熱された空気をさらに加熱し、分離部23に供給する。これにより、二酸化炭素の回収効率をより向上させることができる。
【0067】
実施の形態8.
次に、実施の形態8に係る二酸化炭素回収システム1について説明する。本実施の形態に係る二酸化炭素回収システム1は、基本的な構成は実施の形態5と同様であるため、異なる点を中心に説明する。
【0068】
図8は、実施の形態8に係る二酸化炭素回収システム1の模式図である。
図8に示されるように、本実施の形態では、二酸化炭素回収システム1が、第2ヒートポンプ装置40の代わりに、第2ヒートポンプ装置60を備えている。
【0069】
第2ヒートポンプ装置60は、第1送風機13と、回収部21および分離部23との間に設けられる。第2ヒートポンプ装置60は、蒸発器61と、第1凝縮器62と、第2凝縮器63と、圧縮機64と、第1調整弁65と、第2調整弁66と、有する。
【0070】
蒸発器61は、第1送風機13と合流部33との間に位置する。第1送風機13からの空気、および第2送風機31からの空気の一部は、蒸発器61を通過することにより冷却され、合流部33に供給される。
第2凝縮器63は、第1送風機13と合流部33との間に位置する。第1送風機13からの空気、および第2送風機31からの空気の他の一部は、第2凝縮器63を通過することにより加熱され、合流部33に供給される。
【0071】
合流部33は、第2ヒートポンプ装置60と、回収部21との間に配置される。合流部33は、蒸発器61により冷却された空気と、第2凝縮器63により加熱された空気とを混合し、この混合空気を回収部21に供給する。
【0072】
第1凝縮器62は、第1送風機13と分離部23との間に位置する。第1送風機13からの空気は、第1凝縮器62を通過することにより加熱され、分離部23に供給される。
【0073】
第1調整弁65は、蒸発器61と第2凝縮器63との間に位置する。第1調整弁65は、冷媒を膨張させる膨張弁である。
第2調整弁66は、第1凝縮器62と第2凝縮器63との間に位置する。第2調整弁66は、第1凝縮器62および第2凝縮器63を流通する冷媒量を調整する。制御部32は、合流部33に設けられる温度センサの計測結果に基づき、第2調整弁66を制御してもよい。
【0074】
以上説明したように、本実施の形態に係る二酸化炭素回収システム1は、蒸発器61と、第1凝縮器62と、第2凝縮器63と、蒸発器61と第2凝縮器63との間に位置する第1調整弁65と、第1凝縮器62と第2凝縮器63との間に位置する第2調整弁66と、有する第2ヒートポンプ装置60を備える。蒸発器61および第2凝縮器63は第1送風機13と回収部21との間に位置し、第1凝縮器62は第1送風機13と分離部23との間に位置する。
蒸発器61および第2凝縮器63を用いて、回収部21に供給される空気の温度をより精度よく調整することができる。したがって、二酸化炭素の回収効率がより向上する。
【0075】
実施の形態9.
次に、実施の形態9に係る二酸化炭素回収システム1について説明する。本実施の形態に係る二酸化炭素回収システム1は、基本的な構成は実施の形態8と同様であるため、異なる点を中心に説明する。
【0076】
図9は、実施の形態9に係る二酸化炭素回収システム1の模式図である。
図9に示されるように、本実施の形態では、二酸化炭素回収システム1が、全熱交換器71をさらに備えている。
【0077】
全熱交換器71は、第2送風機31の上流側に配置される。第2送風機31は、全熱交換器71を通過した屋内空気を回収部21に供給する。これにより、屋内空気の排熱が全熱交換器71を用いて回収された後に、回収部21に供給される。したがって、システム全体としてのエネルギー効率を向上させることができる。
【0078】
実施の形態10.
次に、実施の形態10に係る二酸化炭素回収システム1について説明する。本実施の形態に係る二酸化炭素回収システム1は、基本的な構成は実施の形態9と同様であるため、異なる点を中心に説明する。
【0079】
図10は、実施の形態10に係る二酸化炭素回収システム1の模式図である。
図10に示されるように、本実施の形態では、二酸化炭素回収システム1が、第3ヒートポンプ装置80と、二酸化炭素タンク85と、第1供給経路86と、をさらに備えている。
【0080】
第3ヒートポンプ装置80は、分離部23の下流に位置する。第3ヒートポンプ装置80は、蒸発器81と、凝縮器(第3凝縮器)82と、圧縮機83と、膨張弁84と、を有する。
【0081】
分離部23から排出される、高濃度の二酸化炭素を含む気体は、蒸発器81を通過することにより冷却される。これにより、二酸化炭素が液化される。液化された二酸化炭素は、二酸化炭素タンク85に貯留される。
【0082】
凝縮器82は、周囲の流体(例えば空気、水)を加熱する。第1供給経路86は、凝縮器82と第2ダクト24とを接続する。凝縮器82において加熱された流体は、第1供給経路86および第2ダクト24を介して、分離部23に供給される。なお、凝縮器82において加熱された流体は、第1供給経路86を介して、分離部23に直接供給されてもよい。
【0083】
以上説明したように、本実施の形態に係る二酸化炭素回収システム1は、分離部23において吸着剤から分離された二酸化炭素を液化する第3ヒートポンプ装置80をさらに備える。
これにより、分離部23において分離された二酸化炭素を液化して、低容積で保存することができる。
【0084】
また、本実施の形態に係る二酸化炭素回収システム1は、第3ヒートポンプ装置80の凝縮器82において加熱された流体を、分離部23に供給する第1供給経路86をさらに備える。
これにより、凝縮器82において加熱された流体の熱を、二酸化炭素の分離の熱源の一部として利用することができる。したがって、二酸化炭素の回収効率をより向上させることができる。
【0085】
実施の形態11.
次に、実施の形態11に係る二酸化炭素回収システム1について説明する。本実施の形態に係る二酸化炭素回収システム1は、基本的な構成は実施の形態10と同様であるため、異なる点を中心に説明する。
【0086】
図11は、実施の形態11に係る二酸化炭素回収システム1の模式図である。
図11に示されるように、本実施の形態では、二酸化炭素回収システム1が、第2供給経路88をさらに備えている。
【0087】
二酸化炭素が回収された後の気体は、回収部21から排出される。第2供給経路88は、回収部21と第2ダクト24とを接続する。回収部21から排出される気体は、第2供給経路88および第2ダクト24を介して、分離部23に供給される。なお、回収部21から排出される気体は、第2供給経路88を介して、分離部23に直接供給されてもよい。
【0088】
以上説明したように、本実施の形態に係る二酸化炭素回収システム1は、回収部21から排出される気体を、分離部23に供給する第2供給経路88をさらに備える。
回収部21において吸着剤が二酸化炭素を吸着するとき、吸着熱が発生する。回収部21から排出される気体を分離部23に供給することにより、この吸着熱を、二酸化炭素の分離の熱源の一部として利用することができる。したがって、二酸化炭素の回収効率をより向上させることができる。
【0089】
実施の形態12.
次に、実施の形態12に係る二酸化炭素回収システム1について説明する。本実施の形態に係る二酸化炭素回収システム1は、基本的な構成は実施の形態10と同様であるため、異なる点を中心に説明する。
【0090】
図15は、実施の形態12に係る二酸化炭素回収システム1の模式図である。
図15に示されるように、本実施の形態では、二酸化炭素回収システム1が、第3ヒートポンプ装置80の代わりに、液化システム100を備えている。
【0091】
液化システム100は、液化熱交換器101と、圧縮機103と、ボルテックスチューブ104と、を備える。液化システム100は、ボルテックスチューブ104で発生させる冷熱を利用して、分離部23において吸着剤から分離された二酸化炭素を液化する。なお、液化システム100は、少なくとも1つの液化熱交換器101を備えていればよく、複数の液化熱交換器101を備えていてもよい。
【0092】
圧縮機103は、大気、乾燥空気等を圧縮した圧縮ガスを、ボルテックスチューブ104に供給する。
【0093】
図16は、ボルテックスチューブ104の模式図である。
図16に示されるように、ボルテックスチューブ104は、本体部104aと、冷気出口104bと、暖気出口104cと、圧縮ガス供給口104dと、バルブ104eと、を有する。
【0094】
本体部104aは、長手方向に延びる円筒形状を有する。冷気出口104bは、本体部104aの長手方向における一端に設けられる。暖気出口104cは、本体部104aの長手方向における他端に設けられる。
【0095】
圧縮ガス供給口104dは、本体部104aの側面に設けられる。圧縮ガス供給口104dは、冷気出口104bに近接して設けられる。圧縮ガス供給口104dには、圧縮機103から圧縮ガスが供給される。圧縮ガスは、圧縮ガス供給口104dから、本体部104aの内部に導入される。圧縮ガス供給口104dは、本体部104aの内部において、圧縮ガス供給口104dから導入された圧縮ガスが本体部104aの内周面に沿った旋回流を形成するよう構成される。
【0096】
バルブ104eは、本体部104aの内部に設けられる。バルブ104eは、暖気出口104cに近接して設けられる。バルブ104eにより、旋回流の流路面積が、本体部104aの断面積より絞られる。バルブ104eは、旋回流を形成するガスの一部を暖気出口104cから排出させるとともに、残りのガスの排出を妨げる。
【0097】
ボルテックスチューブ104の動作について説明する。
まず、圧縮ガスが、圧縮機103から圧縮ガス供給口104dに導入される。圧縮ガスは、本体部104aの内周面に沿った外側旋回流Qを形成する。このガスは、本体部104aの内周面に押しつけられながら暖気出口104c(バルブ104e)に向かって流れる。このガスの温度は、暖気出口104cに向かうに従い高くなる。また、旋回の遠心力によって、本体部104aの内周面の付近の圧力は、本体部104aの中心部の圧力に比べて高くなる。この圧力差により、本体部104aの内周面の付近を流れるガスの温度は、本体部104aの中心部を流れるガスの温度よりも高くなる。
外側旋回流Qを形成するガスがバルブ104eに到達すると、このガスのうち、本体部104aの内周面の付近を流れて高温となったガスは、バルブ104eと本体部104aの内周面との間を通って、暖気出口104cから高温の第1流体F1として排出される。一方、本体部104aの中心部を流れるガスは、バルブ104eにより排出を妨げられ、反対側の冷気出口104bに向けて移動する。このガスは、本体部104aの中心部において内側旋回流Pを形成しつつ、冷気出口104bに向かって流れる。このガスの温度は、冷気出口104bに向かうに従い低くなる。本体部104aの中心部を流れて低温となったガスは、冷気出口104bから低温の第2流体F2として排出される。
圧縮ガス供給口104dから供給される圧縮ガスの温度をT1、暖気出口104cから排出された第1流体F1の温度をT2、冷気出口104bから排出された第2流体F2の温度をT3とすると、T2>T1>T3である。
【0098】
すなわち、ボルテックスチューブ104は、圧縮機103から導入された圧縮ガスを本体部104aの内部で高速で回転させて、この高速回転により発生する旋回流、並びにガスの圧縮および膨張による圧力差を利用して、圧縮ガスを高温の第1流体F1(暖気)と低温の第2流体F2(冷気)とに分離する。ボルテックスチューブ104を用いることにより、簡単な構成で、冷熱を生成することができる。なお、冷熱の温度、熱量等は、例えば、ボルテックスチューブ104に供給される圧縮ガスの圧力、温度、流量、第1流体F1および第2流体F2の流量、等によって調整することができる。第1流体F1および第2流体F2の流量は、バルブ104eにより調整することができる。
【0099】
冷気出口104bから排出された第2流体F2は、液化熱交換器101に供給される。液化熱交換器101は、第2流体F2と、分離部23において吸着剤から分離された二酸化炭素とで熱交換を行うことにより、二酸化炭素を冷却して液化する。液化した二酸化炭素は、二酸化炭素タンク85に貯留される。
【0100】
図15に示されるように、暖気出口104cから排出された第1流体F1を、第3供給経路105を介して分離部23に供給してもよい。この場合、高温の第1流体F1の熱を、二酸化炭素の分離の熱源の一部として利用することができる。
また、液化熱交換器101での熱交換後の第2流体F2を、第4供給経路106を介して回収部21に供給してもよい。この場合、ボルテックスチューブ104に導入された圧縮ガスのエネルギーを、回収部21への空気の供給動力として再利用することができる。
なお、第1流体F1は、分離部23に供給されなくてもよい。第2流体F2は、回収部21に供給されなくてもよい。
【0101】
以上説明したように、本実施の形態に係る二酸化炭素回収システム1は、圧縮空気を、第1流体F1と、第1流体F1よりも低温の第2流体F2とに分離して、第1流体F1および第2流体F2をそれぞれ排出するボルテックスチューブ104と、第2流体F2と、分離部23において吸着剤から分離された二酸化炭素とで熱交換することにより、二酸化炭素を液化する液化熱交換器101と、をさらに備える。
これにより、分離部23において分離された二酸化炭素を液化して、低容積で保存することができる。また、簡単な構成で二酸化炭素を液化することができる。
【0102】
また、二酸化炭素回収システム1は、ボルテックスチューブ104から排出された第1流体F1を、分離部23に供給する第3供給経路105をさらに備える。
これにより、高温の第1流体F1の熱を、二酸化炭素の分離の熱源の一部として利用することができる。したがって、二酸化炭素の回収効率をより向上させることができる。
【0103】
なお、本開示の技術的範囲は前記実施の形態に限定されず、本開示の趣旨を逸脱しない範囲において種々の変更を加えることが可能である。
【0104】
例えば、実施の形態5では、合流部33は、蒸発器41の上流に配置されているが、本開示はこれに限られない。合流部33は、蒸発器41の下流に配置されていてもよい。
実施の形態8では、第1送風機13と回収部21との間には、1つの蒸発器61と1つの第2凝縮器63とが設けられているが、本開示はこれに限られない。第1送風機13と回収部21との間に、2以上の蒸発器が設けられていてもよく、2以上の凝縮器が設けられていてもよい。
実施の形態8において、第2凝縮器63は、蒸発器61と回収部21との間に位置していてもよい。この場合、蒸発器61で除湿した空気を、第2凝縮器63で加熱し、回収部21に供給する。
【0105】
その他、上記した実施の形態あるいは変形例を、適宜組み合わせてもよい。
例えば、実施の形態9の全熱交換器71が、実施の形態1~8の二酸化炭素回収システム1に設けられていてもよい。
実施の形態10の第3ヒートポンプ装置80および第1供給経路86が、実施の形態1~8の二酸化炭素回収システム1に設けられていてもよい。
実施の形態11の第2供給経路88が、実施の形態1~9の二酸化炭素回収システム1に設けられていてもよい。
実施の形態12の液化システム100が、実施の形態1~9の二酸化炭素回収システム1に設けられていてもよい。
【0106】
尚、上述した制御部32は、内部にコンピュータシステムを有している。そして、上述した二酸化炭素回収システム1が備える各構成の機能を実現するためのプログラムをコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録して、この記録媒体に記録されたプログラムをコンピュータシステムに読み込ませ、実行することにより、上述した制御部32における処理を行ってもよい。また、制御部32以外のハードウェアが、上述した処理を行ってもよい。
【0107】
ここで、「記録媒体に記録されたプログラムをコンピュータシステムに読み込ませ、実行する」とは、コンピュータシステムにプログラムをインストールすることを含む。ここでいう「コンピュータシステム」とは、OS及び周辺機器等のハードウェアを含むものとする。
【0108】
また、「コンピュータシステム」は、インターネット又はWAN、LAN、専用回線等の通信回線を含むネットワークを介して接続された複数のコンピュータ装置を含んでもよい。また、「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、フレキシブルディスク、光磁気ディスク、ROM、CD-ROM等の可搬媒体、コンピュータシステムに内蔵されるハードディスク等の記憶装置のことをいう。このように、プログラムを記憶した記録媒体は、CD-ROM等の非一過性の記録媒体であってもよい。
【0109】
また、記録媒体には、当該プログラムを配信するために配信サーバからアクセス可能な内部又は外部に設けられた記録媒体も含まれる。尚、プログラムを複数に分割し、それぞれ異なるタイミングでダウンロードした後に二酸化炭素回収システム1が備える各構成で合体される構成であってもよく、また、分割されたプログラムのそれぞれを配信する配信サーバが異なっていてもよい。さらに「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、ネットワークを介してプログラムが送信された場合のサーバ又はクライアントとなるコンピュータシステム内部の揮発性メモリ(RAM)のように、一定時間プログラムを保持しているものも含むものとする。また、上記プログラムは、上述した機能の一部を実現するためのものであってもよい。さらに、上述した機能をコンピュータシステムに既に記録されているプログラムとの組み合わせで実現できるもの、いわゆる差分ファイル(差分プログラム)であってもよい。
【符号の説明】
【0110】
1…二酸化炭素回収システム 10…室外機 12…熱交換器 13…第1送風機 21…回収部 22…第1ダクト 23…分離部 24…第2ダクト 31…第2送風機 32…制御部 35…規制部 40、60…第2ヒートポンプ装置 41、61…蒸発器 42…凝縮器 46…ヒータ 62…第1凝縮器 63…第2凝縮器 65…第1調整弁 66…第2調整弁 71…全熱交換器 80…第3ヒートポンプ装置 82…凝縮器(第3凝縮器) 86…第1供給経路 88…第2供給経路 100…液化システム 101…液化熱交換器 104…ボルテックスチューブ 105…第3供給経路。