(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-17
(45)【発行日】2024-10-25
(54)【発明の名称】生地塊から生地部分を切り離すための方法
(51)【国際特許分類】
A21C 5/08 20060101AFI20241018BHJP
【FI】
A21C5/08
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023082397
(22)【出願日】2023-05-18
【審査請求日】2023-05-18
(31)【優先権主張番号】10 2022 113 972.7
(32)【優先日】2022-06-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】522123430
【氏名又は名称】フリッチュ ベーカリー テクノロジーズ ゲーエムベーハー アンド カンパニー カーゲー
【氏名又は名称原語表記】FRITSCH Bakery Technologies GmbH & Co. KG
【住所又は居所原語表記】Bahnhofstr. 27-31, 97348 Markt Einersheim, GERMANY
(74)【代理人】
【識別番号】100107456
【氏名又は名称】池田 成人
(74)【代理人】
【識別番号】100162352
【氏名又は名称】酒巻 順一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100123995
【氏名又は名称】野田 雅一
(72)【発明者】
【氏名】ワグナー, アレックス
(72)【発明者】
【氏名】イーバート, トーマス
【審査官】根本 徳子
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2017/0172157(US,A1)
【文献】特開昭60-105482(JP,A)
【文献】特開2007-166942(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第114532378(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A21C 5/00-7/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
容器(2)と、複数の切り離し縁(12、13)を有する第1の分割ローラ(6)および複数の切り離し縁(15、16)を有する第2の分割ローラ(7)とを有する生地分割デバイス(1)によって、生地塊(3)から生地部分(5)を切り離す方法であって、
窪み(14、18)が、2つの切り離し縁(12、13、15、16)間にそれぞれ設けられており、
前記方法が、
前記第1の分割ローラ(6)および前記第2の分割ローラ(7)を、前記第1の分割ローラ(6)の第1の切り離し縁(12)と前記第2の分割ローラ(7)の第2の切り離し縁(16)とが受容距離(17)だけ離れている受容位置(A)に回転させるステップと、
前記生地塊(3)の一部を、前記容器(2)に面する前記第1の分割ローラ(6)および前記第2の分割ローラ(7)の2つの窪み(14、18)内に受容するステップと、
前記第1の分割ローラ(6)および前記第2の分割ローラ(7)を、前記第1の分割ローラ(6)の前記第1の切り離し縁(12)と前記第2の分割ローラ(7)の前記第2の切り離し縁(16)とが待機距離(19)だけ離れている待機位置(W)に回転させるステップと、
前記第1の分割ローラ(6)および前記第2の分割ローラ(7)の回転速度を低下させるステップと、
待機時間が経過するのを待つステップと、
前記第1の分割ローラ(6)および前記第2の分割ローラ(7)の前記回転速度を増加させ、前記第1の分割ローラ(6)および前記第2の分割ローラ(7)を、前記第1の分割ローラ(6)の前記第1の切り離し縁(12)と前記第2の分割ローラ(7)の前記第2の切り離し縁(16)とが切り離し距離(20)だけ離れている切り離し位置(T)に回転させるステップと、
を含み、
前記受容距離(17)が、前記待機距離(19)よりも大きく、前記待機距離(19)が、前記切り離し距離(20)よりも大き
く、
前記第1の分割ローラ(6)および前記第2の分割ローラ(7)の前記回転速度を前記低下させるステップが、前記第1の分割ローラ(6)および前記第2の分割ローラ(7)を停止するステップを含む、方法。
【請求項2】
前記待機時間が、調整可能である、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記待機時間が、最大で10秒である、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記待機時間が、最大で5秒である、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記待機時間が、最大で2秒である、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記第1の分割ローラ(6)が、前記受容位置(A)と前記待機位置(W)との間で第1の角度(21)だけ回転させられ、前記第2の分割ローラ(7)が、前記受容位置(A)と前記待機位置(W)との間で第2の角度(22)だけ回転させられる、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記第1の角度(21)と前記第2の角度(22)とが等しい、請求項
6に記載の方法。
【請求項8】
前記第1の角度(21)が、60°~80°である、請求項
6に記載の方法。
【請求項9】
前記第1の角度(21)が、70°である、請求項6に記載の方法。
【請求項10】
前記第1の分割ローラ(6)および前記第2の分割ローラ(7)の前記回転速度を前記低下させるステップが、50%を超える低下を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項11】
前記第1の分割ローラ(6)および前記第2の分割ローラ(7)の前記回転速度を前記低下させるステップが、80%を超える低下を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項12】
前記第1の分割ローラ(6)および前記第2の分割ローラ(7)の前記回転速度を前記低下させるステップが、90%を超える低下を含む、請求項1に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、生地塊から生地部分を切り離すための方法に関する。
【背景技術】
【0002】
かかる方法は、例えば、欧州特許出願公開第3603401号明細書から知られている。その中で、生地塊を分割するためのデバイスおよび方法が開示されている。開示されたデバイスは、生地塊を受容するための受容チャンバと、受容チャンバの排出開口部に配置された一対の回転カッタと、を備える。カッタの各々は、回転軸線を中心に回転可能な3つのブレードを備える。各カッタの1つのブレードは、カッタを回転させることによって生地部分が生地塊から切り離され得るように、それぞれ互いに協働する。開示されたデバイスは、ブレード上に分離剤を塗布するための分離剤供給システムをさらに備える。分離剤供給システムは、分離剤を噴霧するように構成されたいくつかのノズルを備える。分離剤が塗布されたとしても、生地部分を切り離すための従来の方法には改善の余地がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明の目的は、生地塊から生地部分を切り離すための改良された方法を提供することである。この目的は、請求項1の特徴を有する方法によって達成される。有利なさらなる発展が、それぞれの従属請求項に与えられている。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本開示は、容器ならびに複数の切り離し縁を有する第1の分割ローラおよび複数の切り離し縁を有する第2の分割ローラを有する、生地分割デバイスによって、生地塊から生地部分を切り離す方法に関する。窪みが、2つの切り離し縁間にそれぞれ設けられている。方法は、第1の分割ローラおよび第2の分割ローラを、第1の分割ローラの第1の切り離し縁と第2の分割ローラの第2の切り離し縁とが受容距離だけ離れている受容位置に回転させるステップと、生地塊の一部を、容器に面する第1の分割ローラおよび第2の分割ローラの2つの窪み内に受容するステップと、第1の分割ローラおよび第2の分割ローラを、第1の分割ローラの第1の切り離し縁と第2の分割ローラの第2の切り離し縁とが待機距離だけ離れている待機位置に回転させるステップと、を含む。方法は、第1の分割ローラおよび第2の分割ローラの回転速度を低下させるステップと、待機時間が経過するのを待つステップと、をさらに含み、待機時間中、回転速度は低下したままであり得、特に0まで低下し得る。方法は、第1の分割ローラおよび第2の分割ローラの回転速度を増加させ、第1の分割ローラおよび第2の分割ローラを、第1の分割ローラの第1の切り離し縁と第2の分割ローラの第2の切り離し縁とが切り離し距離だけ離れている切り離し位置に回転させるステップをさらに含む。受容距離は、待機距離よりも大きく、待機距離は、切り離し距離よりも大きい。
【0005】
待機位置に回転させることによって、生地分割デバイスは、生地塊から生地部分を完全に切り離すことなく、最初に部分的に開かれ得る。待機時間中、生地部分は、分割ローラから分離し始め得る。特に、待機時間は、生地塊の少なくとも部分的な分離を待つのに役立ち得る。さらに切り離し位置に回転させることによって、生地部分は完全に切り離され得る。この方法により、生地部分が生地分割デバイスから落下する前に、生地部分を分割ローラの部分から分離することが可能になり得る。これにより、より秩序正しい落下が可能になり得る。さらに、外側に移動する分割ローラの部分に貼り付いて生地部分が裂けるリスクが低減され得る。
【0006】
待機時間が調整可能である場合が有利であり得る。これにより、待機時間が、例えば異なる生地特性に適合可能となり得、これにより、生地塊を分割ローラから異なる速度で分離させられ得る。待機時間は、例えば、最大で10秒、好ましくは最大で5秒、特に好ましくは最大で2秒であり得る。
【0007】
第1の分割ローラは、受容位置と待機位置との間で第1の角度だけ回転させられ、第2の分割ローラは、受容位置と待機位置との間で第2の角度だけ回転させられることが考えられる。第1の角度と第2の角度とが等しい場合、特に有益であり得る。これにより、回転の制御が容易になり得る。第1の角度は、例えば60°~80°、好ましくは70°であり得る。
【0008】
第1の分割ローラおよび第2の分割ローラの回転速度を低下させるステップが、50%の低下、好ましくは80%の低下、特に好ましくは90%を超える低下を含む場合が有利であり得る。第1の分割ローラおよび第2の分割ローラの回転速度を低下させるステップが、100%の低下、特に第1の分割ローラおよび/または第2の分割ローラを停止するステップを含む場合、特に有益であり得る。生地塊の分離は、特に大きな低下によって促進され得る。
【0009】
さらに、生地分割デバイス用の分割ローラが開示される。分割ローラは、生地を分割するように構成可能であり得、回転軸線を中心に回転可能に支持可能であり得る。分割ローラは、複数の切り離し縁を有し得、窪みが2つの切り離し縁間にそれぞれ設けられ得る。窪みの表面は、異なる形状および/または異なる表面特性を有する第1の部分領域および第2の部分領域を備え得る。部分領域は、異なる表面特性および/または異なる形状によって、第1の部分領域および第2の部分領域の異なる機能に対して最適化され得る。
【0010】
窪みの表面はまた、3つ以上の部分領域を有し得る。部分領域の各々は、他の部分領域のうちの1つ以上の表面特性とは異なる表面特性を有し得る。表面特性は、以下の特性である、粗さ、溝、コーティング材料および/または特性、接着傾向(特に抗粘着特性)、親油性または疎油性、親脂性または疎脂性、親水性または疎水性に関して異なると考えられる。
【0011】
第1の部分領域と第2の部分領域とは、好ましくは仮想的である分離線によって分離され得る。分離線は、例えば、回転軸線に対して平行に配向され得る。これは、表面特性がそれぞれ異なる回転位置または移動における要件に適合され得るため、有利であり得る。分離線は直線状ではなく、例えば波形状に延びることがさらに考えられる。
【0012】
第1の部分領域は、当接している切り離し縁に対して、回転方向を向く窪みに当接する切り離し縁の側に配置されていることが考えられる。回転方向を向いている当接する切り離し縁の側は、常に同じ方法で生地塊に係合するため、第1の部分領域の表面特性は、設定された係合に対して最適化され得る。代替的または追加的に、第2の部分領域は、当接している切り離し縁に対して、回転方向の反対側を向いている当接する切り離し縁の側に配置され得る。回転方向の反対側を向いている当接する切り離し縁の側は、常に同じ方法で生地塊に係合するため、これにより、第2の部分領域の表面特性は、設定された係合に対して最適化されることが可能になり得る。
【0013】
本発明はまた、容器と、上記のこのタイプの少なくとも1つ、好ましくは2つの分割ローラと、を備える生地分割デバイスに関する。
【0014】
さらに、生地塊から生地部分を生成するように構成され得る、分割ローラアセンブリが開示される。分割ローラアセンブリは、第1の回転軸線を中心に回転可能に支持され得る第1の分割ローラとして、分割ローラを備え得る。分割ローラアセンブリは、第2の回転軸線を中心に回転可能に支持され得る第2の分割ローラとして、さらなる分割ローラを備え得る。第1の分割ローラおよび/または第2の分割ローラは各々、2つの切り離し縁間に各々配置され得る複数の窪みを備え得る。分割ローラアセンブリは、ストリッパと、ストリッパ駆動装置と、を備え得るストリッパアセンブリをさらに備え得る。ストリッパ駆動装置は、第1の分割ローラおよび/または第2の分割ローラに沿ってストリッパを移動させるように構成され得る。
【0015】
ストリッパを分割ローラに沿って移動させることにより、意図せずローラ上に残った生地が除去され得る。特に、ストリッパは、剥離されるべき分割ローラの回転軸線に対して平行に配向され得る剥離方向に、分割ローラに沿って移動可能であり得る。さらなる利点は、例えば、生地部分が生成されたとともに排出されなかった場合があり得る、余分な分離剤を除去することであり得る。このようにして、分割ローラアセンブリ内の分離剤の蓄積が防止され得る。
【0016】
ストリッパデバイスは、1つまたは複数のストリッパを備えることが考えられる。例えば、ストリッパは、特に両方の分割ローラから残った生地を除去するために、第1の分割ローラおよび第2の分割ローラに沿って移動させられるように構成され得る。この場合、ストリッパが1つのストリッパ駆動装置によって駆動可能である場合が有利であり得る。ストリッパは、特に第1の分割ローラから残った生地を除去するために、第1の分割ローラのみに沿って移動させられるように構成されているか、または特に第2の分割ローラから残った生地を除去するために、第2の分割ローラのみに沿って移動させられるように構成されていることがさらに考えられる。ここでは、ストリッパデバイスが、第1の分割ローラのみに沿って移動させられるように構成された第1のストリッパと、第2の分割ローラのみに沿って移動させられるように構成された第2のストリッパと、を備える場合が有利であり得る。第1のストリッパおよび第2のストリッパは、共通のストリッパ駆動装置によって駆動可能であり得る。駆動デバイスは、第1のストリッパを駆動するように構成され得る、すなわち第1のストリッパを第1の分割ローラに沿って移動させるように構成され得る第1のストリッパ駆動装置を備えることも考えられる。駆動デバイスは、第2のストリッパを駆動するように構成され得る、すなわち第2のストリッパを第2の分割ローラに沿って移動させるように構成され得る第2のストリッパ駆動装置をさらに備え得る。
【0017】
ストリッパは、複数の窪みのうちの1つ内に係合するように構成されていることが考えられる。これにより、残った生地を十分に除去することが可能になり得る。
【0018】
ストリッパが移動可能であるストリッパ駆動装置のシフト範囲が、回転軸線に対して平行に配向された方向において第1の分割ローラおよび/または第2の分割ローラよりも長い場合が有利であり得る。このようにして、一方または両方の分割ローラの少なくとも1つの前面を越えたストリッパのシフトが可能になり得、それによって、一方では、残った生地も同じく前記前面を越えて移動させられ得、このようにして分割ローラから除去され得る。他方では、このようなシフト範囲は、ストリッパがパーキング位置内に配置されることを可能にし得、これにより、ストリッパが干渉することなく、分割ローラまたは複数の分割ローラのそれぞれの回転が可能になり得る。その分割ローラの回転軸線に対して実質的に直交に配向された分割ローラの表面は、前記分割ローラの前面とみなされ得る。ストリッパが第1の分割ローラおよび/または第2の分割ローラの両方の前面を越えて移動可能である場合が、特に有益であり得る。このようにして、2つのシフト方向における残った生地の除去と、分割ローラの両側のパーキング位置の提供と、が可能になり得る。このようにして、剥離プロセスの加速が、剥離後または剥離前にストリッパをシフトさせて後退させる必要性を排除することによって可能になり得る。
【0019】
分割ローラアセンブリは、ストリッパがこの窪みに沿って移動させられた後に、複数の窪みのうちの1つの表面上に分離剤を塗布するように構成されていることが考えられる。ストリッパはまた、分割ローラから、特に窪みの表面から、残った分離剤を除去し得るため、分離剤フィルムの再生が可能になり得る。特に、分離剤の再生可能なフィルムは、分割ローラから、特に窪みの表面から分離剤を定期的に除去し、分割ローラ上に、特に窪みの表面上に再塗布することによって達成され得る。
【0020】
分割ローラアセンブリは、第1の分割ローラの複数の窪みのその表面上に分離剤を塗布するように構成され得る分離剤塗布器をさらに備え得る。分離剤塗布器は、噴霧円錐を生成するように構成され得るノズルを備え得る。第1の分割ローラが噴霧位置に配置されたとき、ノズルは、噴霧円錐の噴霧円錐軸線に対して平行に配向され得る噴霧方向に測定された第1の距離だけ、窪みの範囲を定める第1の切り離し縁から間隔を置いて配置され得、第1の距離は、窪みの範囲を定める第2の切り離し縁からノズルの噴霧方向に測定された第2の距離よりも大きい。さらに、第1の分割ローラが噴霧位置に配置されたとき、ノズルは、噴霧方向に対して直交するように配向され得る横断方向に測定された第1の横断距離だけ、窪みの範囲を定める第1の切り離し縁から間隔を置いて配置され得、第1の横断距離は、窪みの範囲を定める第2の切り離し縁からノズルの横断方向に測定された第2の横断距離よりも大きくあり得る。
【0021】
この構成は、分割ローラに対するノズルの特に接近した配置を可能にし得る。噴霧円錐は、噴霧方向の距離が増加するにつれて大きくなる。ノズルから噴霧方向により遠くに配置された切り離し縁からのより大きな横断距離を提供することによって、噴霧円錐の拡大によって引き起こされる、より遠くの切り離し縁上への分離剤の噴霧が防止され得る。
【0022】
噴霧方向に測定された第2の距離と噴霧方向に測定された第1の距離との比は、例えば、1.5よりも大きく、好ましくは2.5よりも大きく、特に好ましくは3よりも大きくあり得る。横断方向に測定された第2の横断距離と横断方向に測定された第1の横断距離との間の比は、例えば、1.25よりも大きく、好ましくは2よりも大きく、特に好ましくは2.3よりも大きくあり得る。
【0023】
ノズルは、分割ローラに沿って、特に第1の回転軸線に対して平行に移動可能であることが考えられる。分割ローラアセンブリ、特に分離剤塗布器は、ノズルを第1の分割ローラに沿って、特に第1の回転軸線に対して平行に移動させるように構成され得るノズル駆動装置を備え得る。ストリッパ駆動装置は、第1の分割ローラに沿って、特に第1の回転軸線に対して平行にノズルを移動させるように構成されていることがさらに考えられる。前記ストリッパ駆動装置は、第1のストリッパを駆動するように構成され得る、すなわち第1のストリッパを第1の分割ローラに沿って移動させるように構成され得る、さらに上述した第1のストリッパ駆動装置であり得る。さらに、前記ストリッパ駆動装置は、第1のストリッパおよび第2のストリッパを一緒に移動させるように構成された、同様に上記でさらに説明したストリッパ駆動装置であることが考えられる。
【0024】
分離剤塗布器に関しては、第1の分割ローラの複数の窪みのうちの1つの窪みの1つの表面上への分離剤の可能な塗布のみがこれまで明確に説明されてきた。しかしながら、当業者であれば、分離剤塗布器は、第2の分割ローラの複数の窪みのその表面上に分離剤を塗布するように構成され得ることを認識する。分離剤塗布器は、例えば、第2のノズルを備え得る。ノズルおよび第1の分割ローラのそれぞれに関する上記および以下の説明の全ては、それぞれ第2のノズルおよび第2の分割ローラに対して類似的に適用可能であり得る。
【0025】
ノズルおよび第2のノズルは、第1の分割ローラに沿って、特に第1の回転軸線に対して平行に、一緒に移動可能であり得る。ノズル駆動装置は、ノズルを第1の分割ローラに沿って、特に第1の回転軸線に対して平行に移動させ、かつ第2のノズルを第2の分割ローラに沿って、特に第2の回転軸線に対して平行に移動させるように構成され得る。しかしながら、ノズルおよび第2のノズルは、同じく別々に移動可能であってもよい。さらに、分割ローラアセンブリ、特に分離剤塗布器は、第2のノズルを第2の分割ローラに沿って、特に第2の回転軸線に対して平行に移動させるように構成され得る第2のノズル駆動装置を備えることが考えられる。ノズルと同様に、第2のノズルは、第2のストリッパを駆動するように構成され得る、すなわち第2のストリッパを第2の分割ローラに沿って移動させるように構成され得るさらに上述した第2のストリッパ駆動装置によって移動可能であり得る。第2のノズルは、第1のストリッパおよび第2のストリッパを一緒に駆動するように構成されたストリッパ駆動装置によって移動可能であることがさらに考えられる。
【0026】
本発明はまた、容器と、上述のタイプの分割ローラアセンブリと、を備える生地分割デバイスに関する。
【0027】
本発明はまた、噴霧円錐を生成するように構成されたノズルを備える分離剤塗布器によって分離剤を分割ローラ上に塗布するための方法であって、分割ローラが、第1の回転軸線を中心に回転可能に支持されている、方法に関する。方法は、ノズルを枢動駆動装置によって枢動軸線を中心に枢動させることと、ノズルを枢動させた後にノズル駆動装置によってノズルを分割ローラに沿ってシフトさせることと、を含む。このようにノズルを移動させることにより、ノズルが、分離剤が塗布される分割ローラに対してより接近するように配置され得、それによって、ノズルから出て分割ローラに到達しない分離剤の部分が削減され得る。接近した配置により、ノズルによって生成された噴霧円錐の開きが制限され得る。同時に、シフトおよび枢動運動により、分割ローラの表面全体が濡らされるのが可能になり得る。
【0028】
枢動軸線および回転軸線は、互いに対して実質的に平行に配向されていることが考えられる。
【0029】
方法は、ノズルを枢動させることの前にノズルをシフトさせることをさらに含み得る。特に、ノズルを枢動させることの前のノズルをシフトさせること、およびノズルを枢動させることの後のノズルをシフトさせることは、同じまたは反対のシフト方向に生じ得る。枢動させることの前および/または後のシフト中に、ノズルが分割ローラの軸線方向全長に沿ってシフトされる場合が、特に有益であり得る。これは、特に、ノズルを枢動させることの前のノズルをシフトさせることと、ノズルを枢動させることの後のノズルをシフトさせることとが、反対のシフト方向に生じるときに、有利であり得る。
【0030】
本発明は、上述のタイプのデバイスおよび方法に関する。以下では、いくつかの代表的な実施形態が、例として図面を使用してさらに説明される。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【
図1】第1の実施形態による、分割ローラを有する生地分割デバイスの概略断面図を示す。
【
図2】分割ローラが異なる回転位置で示されている、
図1からの図を示す。
【
図3】分割ローラが異なる回転位置で示されている、
図1および
図2それぞれからの図を示す。
【
図4】
図1~
図3からの生地分割デバイスを概略斜視図で示す。
【
図5】さらなる実施形態による、分割ローラを有する生地分割デバイスの概略断面図を示す。
【
図6】
図5からの生地分割デバイスを概略斜視図で示す。
【
図7】さらなる実施形態による、分割ローラを有する生地分割デバイスの概略断面図を示す。
【
図8】
図7からの生地分割デバイスの変形例を概略斜視図で示す。
【
図9】
図7からの生地分割デバイスのさらなる変形例を概略斜視図で示す。
【発明を実施するための形態】
【0032】
図1には、生地分割デバイス1が概略断面図で示されている。生地分割デバイス1は、容器2を備え得る。容器2は、生地塊3を受容するように構成され得る。生地分割デバイス1は、分割ローラアセンブリ4をさらに備え得る。分割ローラアセンブリ4は、生地塊3から生地部分5(
図3を参照)を生成するように構成され得る。生地分割デバイス1、特に分割ローラアセンブリ4は、第1の分割ローラ6を備え得る。生地分割デバイス1、特に分割ローラアセンブリ4は、第2の分割ローラ7をさらに備え得る。第1の分割ローラ6は、第1の回転軸線8を中心に回転可能に支持され得るか、または支持可能であり得る。第2の分割ローラ7は、第2の回転軸線9を中心に回転可能に支持され得るか、または支持可能であり得る。第1の分割ローラ6は、第1の回転軸線8を中心に第1の回転方向10に回転可能であり得る。第2の分割ローラ7は、第2の回転軸線9を中心に第2の回転方向11に回転可能であり得る。第1の回転方向10および第2の回転方向11は、逆向きであり得る。
【0033】
分割ローラ6、7の各々は、いくつかの切り離し縁を有し得る。窪みは、2つの切り離し縁間にそれぞれ配置され得る。第1の分割ローラ6は、第1の切り離し縁12を有し得る。さらに、第1の分割ローラ6は、第2の切り離し縁13を有し得る。第1の分割ローラ6の第1の切り離し縁12と第1の分割ローラ6の第2の切り離し縁13との間には、窪み14が配置され得る。さらに、第2の分割ローラ7は、第1の切り離し縁15を有し得る。さらに、第2の分割ローラ7は、第2の切り離し縁16を有し得る。さらなる窪み18が、第2の分割ローラ7の第1の切り離し縁15と第2の分割ローラ7の第2の切り離し縁16との間に設けられ得る。
【0034】
図1では、第1の分割ローラ6および第2の分割ローラ7は、受容位置Aに示されている。受容位置Aでは、第1の分割ローラ6の第1の切り離し縁12と第2の分割ローラ7の第2の切り離し縁16とが、受容距離17だけ離れ得る。受容位置Aは、窪み14、18内に生地塊3の一部を受容することを可能にし得る。第1の分割ローラ6の第2の切り離し縁13と第2の分割ローラ7の第1の切り離し縁15との間の間隙は、実際には非常に小さくあり得る。
図1では、視認性を向上させるために拡大して示している。
【0035】
図2では、生地分割デバイス1が同じ視点で示されている。しかしながら、第1の分割ローラ6および第2の分割ローラ7は、
図1に対して回転させられた配向で示されている。
図2に示す第1の分割ローラおよび第2の分割ローラ6、7の構成は、以下では待機位置Wと称する。待機位置Wでは、第1の分割ローラ6の第1の切り離し縁12と第2の分割ローラ7の第2の切り離し縁16とが、待機距離19だけ離れ得る。第1の分割ローラ6および第2の分割ローラ7が受容位置Aから待機位置Wに回転させられた後、分割ローラ7の回転速度は低下させられ得る。その後、待機時間の経過が待たれ得、待機時間中、第1の分割ローラおよび第2の分割ローラ6、7の回転速度は低下したままであり得る。このようにして、窪み14、18からの生地塊3の分離が待たれ得る。待機時間が経過した後、第1の分割ローラ6および第2の分割ローラ7の回転速度は再び上昇させられ得る。その後、分割ローラ6、7は、
図3に示す切り離し位置Tに回転させられ得る。
【0036】
切り離し位置Tでは、第1の分割ローラ6の第1の切り離し縁12と第2の分割ローラ7の第2の切り離し縁16とが、切り離し距離20だけ離れ得る。切り離し距離20は、非常に小さくあり得る。
図3では、視認性を向上させるために拡大して示している。実施形態の
図1から
図3より認識され得るように、受容距離17は、待機距離19よりも大きくあり得る。待機距離19は、切り離し距離20よりも大きくあり得る。
図3にも見られるように、切り離し距離20は、生地部分15が生地塊3から完全に切り離されるほど小さくあり得る。窪み14、18から生地が分離されるのを待つことによって、後に続く生地部分5のより高い再現性が達成され得る。
【0037】
待機時間は、例えば、異なる生地の粘度を考慮するために調整可能であり得る。待機時間は、例えば最大で10秒、好ましくは最大で5秒、特に好ましくは2秒であり得る。第1の分割ローラ6は、受容位置Aと待機位置Wとの間の角度21だけ回転し得る。第2の分割ローラ7は、受容位置Aと待機位置Wとの間の角度22だけ回転し得る。本実施形態に示すように、第1の角度21と第2の角度22とは等しくあり得る。第1の角度は、60°~80°、好ましくは70°であり得る。第1の分割ローラ6および第2の分割ローラ7の回転速度の低下は、例えば、50%を超える低下、好ましくは80%を超える低下、特に好ましくは90%を超える低下を含み得る。第1の分割ローラ6および第2の分割ローラ7の回転速度を100%低下させることは、特に有益であり得る。特に、分割ローラ6、7は停止させられてもよい。
【0038】
以下、窪み14、18についてより詳細に説明する。以下の説明は、全ての窪みを代表するものとみなされるべきである。
図4には、生地分割デバイス1の斜視図が示されている。分割ローラ6、7は、窪み18がよりよく見えるように、さらに回転させられた位置で示されている。窪み18は、表面23を有し得る。表面23は、第1の部分領域24を有し得る。表面23は、第2の部分領域25をさらに有し得る。本実施形態において異なるパターンで示しているように、第1の部分領域24と第2の部分領域25とは、異なる表面特性を有し得る。第1の部分領域24および第2の部分領域25は、
図4に破線で示す仮想分離線26によって分離され得る。実施形態から分かるように、分離線26は、第2の回転軸線9に対して平行に配向され得る。
【0039】
分割ローラ6、7が受容位置Aに配向されているとき、生地塊3の重量の主な部分は、それぞれの回転方向10、11の反対側を向いている側の部分領域、すなわち第2の部分領域25によって常に支持されていることが認識できる。したがって、第1の部分領域とは異なるこれらの部分領域上に表面特性を提供することが有利であり得る。
【0040】
図5は、さらなる実施形態の概略断面図を示している。同一の符号は、同一の構造を示す。さらに上述した実施形態に加えて、
図5に示すような分割ローラアセンブリ4は、ストリッパデバイス29を備え得る。ストリッパデバイス29は、ストリッパ30を備え得る。ストリッパデバイス29は、ストリッパ駆動装置31をさらに備え得る。ストリッパ駆動装置31は、第1の分割ローラ6に沿ってストリッパ30を移動させるように構成され得る。本実施形態に示すように、ストリッパデバイス29は、第2のストリッパ30aを備え得る。ストリッパデバイス29は、第2のストリッパ駆動装置31aをさらに備え得る。第2のストリッパ駆動装置31aは、第2のストリッパ30aを第2の分割ローラ7に沿って移動させるように構成され得る。第2のストリッパ30aおよび第2のストリッパ駆動装置31aは、ストリッパ30およびストリッパ駆動装置31と類似的に構成され得る。繰り返しを避けるために、ストリッパ30およびストリッパ駆動装置31のみを詳細に説明する。ただし、全ての説明は第2のストリッパ30aおよび第2のストリッパ駆動装置31aにも同じく適応可能である。
【0041】
ストリッパ30は、第1の分割ローラ6の窪み14のうちの1つ内に係合するように構成され得る。すなわち、ストリッパ30の形状は窪み14の形状に適合され得る。ストリッパ30は、ストリッパ駆動装置31のシフト範囲32(
図6参照)内でシフト可能であり得る。本実施形態に示すように、シフト範囲32は、第1の回転軸線およびまたは第2の回転軸線9に対して平行に配向され得るシフト方向33において、第1の分割ローラおよびまたは第2の分割ローラ6、7よりも長くあり得る。特に、シフト範囲32は、第1の分割ローラ6および第2の分割ローラ7のそれぞれの前面34および35を越えて伸張し得る。
【0042】
実施形態に示すように、分割ローラアセンブリ4は、分離剤塗布器36を備え得る。分離剤塗布器36は、ノズル37を備え得る。分離剤塗布器36は、窪み14、18の表面23のうちの1つ上に分離剤を塗布するように構成され得る。ノズル37は、噴霧円錐38を生成するように構成され得る。特に、ノズル37は、分離剤を噴霧方向39に噴霧するように構成され得る。噴霧円錐軸線40に対して平行に配向された方向は、噴霧方向39とみなされ得る。噴霧方向39に対して直交するように配向された方向は、以下では横断方向41と称する。
【0043】
図5では、分割ローラアセンブリ4は、噴霧位置Sに示されている。噴霧位置Sは、分割ローラ6、7に分離剤が噴霧され得る位置である。分割ローラ6、7が前記噴霧位置Sに配置されたとき、ノズル37は、第1の分割ローラ6の第1の切り離し縁12から、噴霧方向39に測定された第1の距離42だけ間隔を置いて配置され得る。ノズル37は、第1の分割ローラ6の第2の切り離し縁13から、噴霧方向39にまた測定された第2の距離43だけ間隔を置いて配置され得る。第1の距離42は、第2の距離43より小さくあり得る。横断方向41に測定した際、ノズル37は、第1の切り離し縁12から第1の横断距離44だけ間隔を置いて配置され得る。ノズル37は、第2の切り離し縁13から第2の横断距離45だけ間隔を置いて配置され得る。第1の横断距離44は、第2の横断距離45よりも小さくあり得る。
【0044】
分離剤塗布器36は、第2のノズル37aをさらに備え得る。ノズル37に関する上記の全ての説明は、第2のノズル37aにも同じく適用可能であり得る。
【0045】
分離剤塗布器36は、ノズル駆動装置46を備え得る。ノズル駆動装置46は、第1の分割ローラ6に沿ってノズル37を移動させるように構成され得る。類似的に、分離剤塗布器36は、第2のノズル37aを第2の分割ローラ7に沿って移動させるように構成され得る第2のノズル駆動装置46aを備え得る。全てのノズル駆動装置およびストリッパ駆動装置は、ねじ付きスピンドル駆動装置またはシリンダ駆動装置、特に空気圧シリンダ駆動装置、またはそれらの組合せであり得る。
【0046】
図7から
図9には、生地分割デバイス1のさらなる実施形態が示されている。同一の符号は、同一の構造を示す。
図7には、生地分割デバイス1の概略断面図が示されている。
図5および
図6を参照してさらに上記で説明した実施形態と同様に、
図7に示す実施形態による生地分割デバイス1は、分離剤塗布器36を備え得る。また、
図5を参照して説明した実施形態と同様に、分離剤塗布器36は、ノズル37およびノズル駆動装置46を備え得る。
【0047】
先に説明した実施形態との相違点として、本実施形態によるノズル37は、枢動可能であり得る。この目的のために、分離剤塗布器36は、枢動駆動装置47を備え得る。ノズル37の枢動は、第1の回転軸線8に対して平行に配向され得る枢動軸線48の周りに生じ得る。
図7に見られるように、この実施形態はまた、ノズル37と類似的に具現化された第2のノズル37aを提供し得る。ノズル37は、窪み14の表面23全体に分離剤を塗布するために、交互に、枢動軸線48を中心に枢動されかつ第1の分割ローラ6に沿ってシフトされ得る。様々な移動シーケンスが考えられ、その例が
図8および
図9に示されている(より良好な視認性のために、第2の分割ローラ7を使用している)。
【0048】
図8には、ノズル37、37aが枢動後にシフトさせられ、別の枢動後に同じ方向にシフトされる、移動スキームが示されている。
図9には、ノズル37、37aが枢動の前後にそれぞれの分割ローラ6、7の軸線方向全長に沿ってシフトされる、移動スキームが示されている。枢動前のシフト方向は、枢動後のシフト方向とは逆向きである。
【0049】
上記で説明された実施形態、特に記載された特徴の組合せは、例としてみなされるべきである。当業者は、異なる実施形態の範囲内で開示された特徴は組み合わせられ得ることを認識するであろう。
【符号の説明】
【0050】
1…生地分割デバイス、2…容器、3…生地塊、4…分割ローラアセンブリ、5…生地部分、6…第1の分割ローラ、7…第2の分割ローラ、8…第1の回転軸線、9…第2の回転軸線、10…第1の回転方向、11…第2の回転方向、12…第1の切り離し縁、13…第2の切り離し縁、14…窪み、15…第1の切り離し縁、16…第2の切り離し縁、17…受容距離、18…窪み、19…待機距離、20…切り離し距離、21…第1の角度、22…第2の角度、23…表面、24…第1の部分領域、25…第2の部分領域、26…仮想分離線、29…ストリッパデバイス、30…ストリッパ、30a…第2のストリッパ、31…ストリッパ駆動装置、31a…第2のストリッパ駆動装置、32…シフト範囲、34…前面、35…前面、36…分離剤塗布器、37…ノズル、37a…第2のノズル、38…噴霧円錐、39…噴霧方向、40…噴霧円錐軸線、41…横断方向、42…第1の距離、43…第2の距離、44…第1の横断距離、45…第2の横断距離、46…ノズル駆動装置、46a…第2のノズル駆動装置、47…枢動駆動装置、48…枢動軸線、A…受容位置、S…噴霧位置、T…切り離し位置、W…待機位置