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特許7573694配車管理装置、配車管理方法、及び配車管理システム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-17
(45)【発行日】2024-10-25
(54)【発明の名称】配車管理装置、配車管理方法、及び配車管理システム
(51)【国際特許分類】
   G08G 1/123 20060101AFI20241018BHJP
   G08G 1/13 20060101ALI20241018BHJP
   G06Q 50/40 20240101ALI20241018BHJP
【FI】
G08G1/123 A
G08G1/13
G06Q50/40
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2023101489
(22)【出願日】2023-06-21
(62)【分割の表示】P 2020183784の分割
【原出願日】2020-11-02
(65)【公開番号】P2023118775
(43)【公開日】2023-08-25
【審査請求日】2023-10-27
(73)【特許権者】
【識別番号】512200217
【氏名又は名称】GO株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110004222
【氏名又は名称】弁理士法人創光国際特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100166006
【弁理士】
【氏名又は名称】泉 通博
(74)【代理人】
【識別番号】100154070
【弁理士】
【氏名又は名称】久恒 京範
(74)【代理人】
【識別番号】100153280
【弁理士】
【氏名又は名称】寺川 賢祐
(72)【発明者】
【氏名】黒澤 隆由
(72)【発明者】
【氏名】脇水 誠
(72)【発明者】
【氏名】足立 宏
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 貴敬
(72)【発明者】
【氏名】織田 拓磨
【審査官】上野 博史
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2020/121914(WO,A1)
【文献】国際公開第2018/176849(WO,A1)
【文献】特開2019-153083(JP,A)
【文献】特開2005-252466(JP,A)
【文献】特開2019-175259(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G08G 1/123
G08G 1/13
G06Q 50/40
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ユーザを輸送する車両の配車を依頼するユーザの端末から、前記車両の配車依頼と、前記ユーザの乗車位置とを取得する依頼取得部と、
空車の車両と、当該空車の車両の位置とを検出する空車検出部と、
前記ユーザの配車依頼に対して第1時間にわたって前記乗車位置から所定範囲内である前記空車の探索範囲内に位置する空車の車両に対して配車要求送信を継続する通常モードと、前記ユーザの配車依頼に対して前記第1時間よりも長い第2時間にわたって前記配車要求の送信を継続する空車待ちモードとのいずれかの動作モードで動作し、前記依頼取得部が前記端末から前記車両の配車依頼を取得すると、前記通常モードにより前記配車要求を送信する要求送信部と、
前記要求送信部が前記通常モードにより前記配車要求を送信している場合に所定条件を満たすと、前記ユーザの配車依頼に対する前記要求送信部の動作モードを前記通常モードから前記空車待ちモードに変更する設定部と、
を有する配車管理装置。
【請求項2】
前記設定部は、前記ユーザの端末から、前記空車待ちモードの設定指示を受け付けることにより、前記依頼取得部が当該ユーザから前記配車依頼を取得した場合の当該配車依頼に対する前記動作モードを前記空車待ちモードに設定する、
請求項に記載の配車管理装置。
【請求項3】
前記設定部は、前記ユーザが属する地域における前記配車依頼の量に対する前記車両の供給量が第1の量以上である場合、前記ユーザから設定指示を受け付けることなく、前記依頼取得部が当該ユーザから前記配車依頼を取得した場合の当該配車依頼に対する前記動作モードを前記空車待ちモードに設定する、
請求項に記載の配車管理装置。
【請求項4】
前記設定部は、前記依頼取得部が前記ユーザの端末から前記配車依頼を取得した場合に、当該ユーザに対応する前記探索範囲内において他のユーザに対応する前記動作モードが空車待ちモードに設定されているときには、前記ユーザの端末に、前記空車待ちモードの設定を受け付ける設定画面を表示させ、前記設定画面を介して前記空車待ちモードの設定指示を受け付けることにより、当該ユーザに対応する前記動作モードを前記空車待ちモードに設定する、
請求項2又は3に記載の配車管理装置。
【請求項5】
前記依頼取得部は、前記ユーザの乗車位置に対応する前記探索範囲内に位置する前記空車待ちモードを設定しているユーザの数と車両の供給量とに基づく、前記動作モードが前記空車待ちモードに設定されてから前記車両が確定するまでの見込時間である車両確定見込時間を前記端末に表示させる、
請求項1からのいずれか一項に記載の配車管理装置。
【請求項6】
コンピュータが実行する、
ユーザを輸送する車両の配車を依頼するユーザの端末から、前記車両の配車依頼と、前記ユーザの乗車位置とを取得するステップと、
空車の車両と、当該空車の車両の位置とを検出するステップと、
前記ユーザの配車依頼に対して第1時間にわたって前記乗車位置から所定範囲内である前記空車の探索範囲内に位置する空車の車両に対して配車要求送信を継続する通常モードと、前記ユーザの配車依頼に対して前記第1時間よりも長い第2時間にわたって前記配車要求の送信を継続する空車待ちモードとのいずれかの動作モードで動作し、前記端末から前記車両の配車依頼が取得されると、前記通常モードにより前記配車要求を送信するステップと、
前記通常モードにより前記配車要求が送信されている場合に所定条件を満たすと、前記ユーザの配車依頼に対する、前記配車要求を送信するステップにおける前記コンピュータの動作モードを前記通常モードから前記空車待ちモードに変更するステップと、
を有する配車管理方法。
【請求項7】
ユーザを輸送する車両の配車を依頼する前記ユーザの端末と、配車管理装置とを備える配車管理システムであって、
前記端末は、
前記ユーザから乗車位置を受け付け、前記乗車位置と、当該乗車位置への前記車両の配車依頼とを前記配車管理装置に送信する配車依頼部を有し、
前記配車管理装置は、
前記端末から、前記車両の配車依頼と、前記ユーザの乗車位置とを取得する依頼取得部と、
空車の車両と、当該空車の車両の位置とを検出する空車検出部と、
前記ユーザの配車依頼に対して第1時間にわたって前記乗車位置から所定範囲内である前記空車の探索範囲内に位置する空車の車両に対して配車要求送信を継続する通常モードと、前記ユーザの配車依頼に対して前記第1時間よりも長い第2時間にわたって前記配車要求の送信を継続する空車待ちモードとのいずれかの動作モードで動作し、前記依頼取得部が前記端末から前記車両の配車依頼を取得すると、前記通常モードにより前記配車要求を送信する要求送信部と、
前記要求送信部が前記通常モードにより前記配車要求を送信している場合に所定条件を満たすと、前記ユーザの配車依頼に対する前記要求送信部の動作モードを前記通常モードから前記空車待ちモードに変更する設定部と、
を有する、
配車管理システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、タクシーの配車を管理する配車管理装置、配車管理方法、及び配車管理システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、タクシーの配車を管理するシステムが知られている。例えば、特許文献1には、タクシーが空車であるか否かを示すタクシーの状態と、タクシーの位置情報とを管理し、タクシーのユーザから現在位置を受け付けると、当該現在位置の周辺のタクシーを検索し、検索結果をユーザに通知するシステムが提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2011-248848号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に示されるシステムでは、ユーザの現在位置の周辺に空車のタクシーが存在しない場合、ユーザは、空車のタクシーを再び検索したり、空車のタクシーを直接探したりする必要があり、ユーザに負担がかかっていた。
【0005】
そこで、本発明はこれらの点に鑑みてなされたものであり、配車を依頼するときのユーザの負担を軽減することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の第1の態様に係る配車管理装置は、ユーザを輸送する車両の配車を依頼するユーザの端末から、前記車両の配車依頼と、前記ユーザの乗車位置とを取得する依頼取得部と、空車の車両と、当該空車の車両の位置とを検出する空車検出部と、前記乗車位置から所定範囲内である前記空車の探索範囲内に位置する空車の車両に対して配車要求を送信する要求送信部と、所定条件を満たすと、前記依頼取得部が前記端末から前記配車依頼を取得した場合の前記要求送信部の動作モードを空車待ちモードに設定する設定部と、を有し、前記要求送信部は、前記動作モードが前記空車待ちモードに設定されている場合、前記動作モードが前記空車待ちモードに設定されていない場合に比べて長い期間において、前記配車要求の送信を継続する。
【0007】
前記要求送信部は、空車待ちモードに設定されている複数のユーザに対応する前記探索範囲の少なくとも一部が重複している場合、重複する前記探索範囲内において前記空車検出部が空車を検出すると、前記空車待ちモードに設定された時刻が相対的に早いユーザに対する配車要求を当該空車の車両に送信してもよい。
【0008】
前記要求送信部は、第1ユーザに対して前記空車待ちモードが設定され、前記第1ユーザと前記探索範囲の少なくとも一部が重複する第2ユーザに対して前記空車待ちモードが設定されていない場合、重複する前記探索範囲内において前記空車検出部が空車を検出すると、前記第1ユーザに対する配車要求を当該空車の車両に送信してもよい。
【0009】
前記設定部は、前記ユーザの端末から、前記空車待ちモードの設定指示を受け付けることにより、前記依頼取得部が当該ユーザから前記配車依頼を取得した場合の前記動作モードを前記空車待ちモードに設定してもよい。
【0010】
前記配車管理装置は、前記設定部が、前記ユーザの端末から前記空車待ちモードの設定指示を受け付けた場合に、当該ユーザに前記空車待ちモードの設定に対応する課金を行う課金部をさらに有してもよい。
前記設定部は、前記ユーザが属する地域における前記配車依頼の量に対する前記車両の供給量に基づいて前記空車待ちモードの設定に対応する料金を決定してもよい。
【0011】
前記設定部は、前記ユーザが属する地域における前記配車依頼の量に対する前記車両の供給量が第1の量以上である場合、前記ユーザから設定指示を受け付けることなく、前記ユーザに対応する前記動作モードを前記空車待ちモードに設定してもよい。
【0012】
前記設定部は、前記依頼取得部が前記ユーザの端末から前記配車依頼を取得した場合に、当該ユーザに対応する前記探索範囲内において他のユーザに対応する前記動作モードが空車待ちモードに設定されているときには、前記ユーザの端末に、前記空車待ちモードの設定を受け付ける設定画面を表示させ、前記設定画面を介して前記空車待ちモードの設定指示を受け付けることにより、当該ユーザに対応する前記動作モードを前記空車待ちモードに設定してもよい。
【0013】
前記依頼取得部は、前記ユーザの乗車位置に対応する前記探索範囲内に位置する前記空車待ちモードを設定しているユーザの数と車両の供給量とに基づいて、前記動作モードが前記空車待ちモードに設定されてから前記車両が確定するまでの見込時間である車両確定見込時間を算出し、算出した前記車両確定見込時間を前記端末に表示させてもよい。
【0014】
前記依頼取得部は、前記車両が確定すると、前記乗車位置を含む所定範囲における前記配車依頼の量に対する前記車両の供給量に基づいて、前記車両が前記乗車位置に到着するまでの到着見込時間を算出し、算出した前記到着見込時間を前記端末に表示させてもよい。
【0015】
前記依頼取得部は、前記要求送信部が送信した前記配車要求を受け付けた空車の車両が見つかった場合に、前記到着見込時間に代えて、当該空車の車両の位置に基づいて算出した到着予定時刻を前記端末に表示させてもよい。
【0016】
本発明の第2の態様に係る配車管理方法は、コンピュータが実行する、ユーザを輸送する車両の配車を依頼するユーザの端末から、前記車両の配車依頼と、前記ユーザの乗車位置とを取得するステップと、空車の車両と、当該空車の車両の位置とを検出するステップと、前記乗車位置から所定範囲内である前記空車の探索範囲内に位置する空車の車両に対して配車要求を送信するステップと、所定条件を満たすと、前記端末から前記配車依頼を取得した場合の前記配車要求を送信するステップにおける前記コンピュータの動作モードを空車待ちモードに設定するステップと、を有し、前記配車要求を送信するステップにおいて、前記コンピュータは、前記動作モードが前記空車待ちモードに設定されている場合、前記動作モードが前記空車待ちモードに設定されていない場合に比べて長い期間において、前記配車要求の送信を継続する。
【0017】
本発明の第2の態様に係る配車管理システムは、ユーザを輸送する車両の配車を依頼する前記ユーザの端末と、配車管理装置とを備える配車管理システムであって、前記端末は、前記ユーザから乗車位置を受け付け、前記乗車位置と、当該乗車位置への前記車両の配車依頼とを前記配車管理装置に送信する配車依頼部を有し、前記配車管理装置は、前記端末から、前記車両の配車依頼と、前記ユーザの乗車位置とを取得する依頼取得部と、空車の車両と、当該空車の車両の位置とを検出する空車検出部と、前記乗車位置から所定範囲内である前記空車の探索範囲内に位置する空車の車両に対して配車要求を送信する要求送信部と、所定条件を満たすと、前記依頼取得部が前記端末から前記配車依頼を取得した場合の前記要求送信部の動作モードを空車待ちモードに設定する設定部と、を有し、前記要求送信部は、前記動作モードが前記空車待ちモードに設定されている場合、前記動作モードが前記空車待ちモードに設定されていない場合に比べて長い期間において、前記配車要求の送信を継続する。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、配車を依頼するときのユーザの負担を軽減することができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】本実施形態に係る配車管理システムの概要を説明するための図である。
図2】本実施形態に係る配車管理装置の構成を示す図である。
図3】本実施形態に係るタクシー情報の一例を示す図である。
図4】本実施形態に係るユーザ端末の構成を示す図である。
図5】本実施形態に係る乗車位置受付画面の一例を示す図である。
図6】本実施形態に係る配車依頼受付画面の一例を示す図である。
図7】本実施形態に係る空車待ちモードの設定画面の一例を示す図である。
図8】本実施形態に係る空車待ち情報の一例を示す図である。
図9】本実施形態に係る空車待ち画面の一例を示す図である。
図10】本実施形態に係る配車管理装置における処理の流れを示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0020】
[配車管理システムの概要]
図1は、本実施形態に係る配車管理システムの概要を説明するための図である。配車管理システムは、タクシーの配車を管理するシステムであり、配車管理装置1と、ユーザ端末2と、乗務員端末3とを備える。配車管理システムは、その他のサーバ、端末等の機器を含んでもよい。
【0021】
配車管理装置1は、タクシーの配車を管理するサーバ等のコンピュータである。配車管理装置1は、ユーザから配車依頼を受け付け、配車依頼に対して配車可能な車両を選択して配車要求を行う。配車管理装置1は、インターネット等の通信ネットワークを介して複数のユーザ端末2及び複数の乗務員端末3と接続されている。
【0022】
ユーザ端末2は、タクシーを利用するユーザ(利用客又は乗客ともいう)が使用するスマートフォン、タブレット端末等の情報端末である。ユーザ端末2は、情報を表示可能な液晶ディスプレイ等の表示部と、人間による操作を受け付け可能なタッチパネル等の操作部とを有する。ユーザ端末2は、ユーザからタクシーの配車条件の入力を受け付ける配車アプリケーションがインストールされている。
【0023】
乗務員端末3は、タクシーの乗務員(運転手ともいう)が利用するスマートフォン、タブレット端末等の情報端末であり、タクシーごとに配備される。乗務員端末3は、カーナビゲーションシステム等、車両と一体化された装置であってもよい。乗務員端末3は、情報を表示可能な液晶ディスプレイ等の表示部と、人間による操作を受け付け可能なタッチパネル等の操作部とを有する。乗務員端末3は、乗務員に対して配車要求を表示したり、乗務員から配車の承諾を受け付けたりする乗務員用アプリケーションがインストールされている。
【0024】
本実施形態に係る配車管理システムが実行する処理の概要を以下に説明する。ユーザ端末2は、配車アプリケーションを実行し、ユーザの操作に応じて、タクシーの配車を依頼するための配車依頼を配車管理装置1に送信する。
【0025】
配車管理装置1は、ユーザ端末2から配車依頼を受け付ける。配車管理装置1は、配車要求を行う機能の動作モードとして通常モードと空車待ちモードとを有する。通常モードは、第1期間(例えば1分30秒)にわたって配車要求を送信し続ける動作モードである。
【0026】
配車管理装置1は、通常動作モードでの動作中において、第1期間において空車のタクシーが見つからなかった場合、又は、第1期間以内に空車のタクシーから配車の承諾を得られなかった場合、配車要求を行う機能の動作モードを通常モードから空車待ちモードに変更することを可能にする。空車待ちモードは、空車待ちモードが設定されていない場合、すなわち通常モードに比べて長い期間(すなわち第1期間よりも長い第2期間)において配車要求の送信を継続する動作モードである。
【0027】
配車管理装置1は、例えば、第1時間以内に空車のタクシーから配車の承諾を得られなかった場合に、空車待ちモードに切り替えることをレコメンドする情報をユーザ端末2に表示し、ユーザが空車待ちモードにするための操作をしたことに応じて空車待ちモードに切り替える。配車管理装置1は、空車待ちモードでの動作中において、配車要求に対する承諾を得ることができるまで空車のタクシーに配信要求を送信し続け、当該空車のタクシーから配車の承諾が得られると、当該空車のタクシーに配車指示を行う。配車管理装置1がこのように動作することで、ユーザは、通常モードにおいて空車のタクシーを手配できなかった場合に、他の手段を用いてタクシーを探す必要がないので、配車管理装置1は、配車を依頼するときのユーザの負担を軽減することができる。
【0028】
[配車管理装置1の構成]
続いて、配車管理装置1の構成を説明する。図2は、本実施形態に係る配車管理装置1の構成を示す図である。図2に示すように、配車管理装置1は、通信部11と、記憶部12と、制御部13とを備える。制御部13は、状態特定部131と、依頼取得部132と、要求送信部133と、設定部134と、課金部135と、配車指示部136と、を有する。
【0029】
通信部11は、インターネット等の通信ネットワークを介してユーザ端末2及び乗務員端末3と通信を行うための通信インターフェースである。
記憶部12は、ROM(Read Only Memory)及びRAM(Random Access Memory)等を含む記憶媒体である。記憶部12は、制御部13が実行するプログラムを記憶している。例えば、記憶部12は、制御部13を、状態特定部131、依頼取得部132、要求送信部133、設定部134及び課金部135として機能させる配車依頼プログラムを記憶している。
【0030】
また、記憶部12は、タクシーを識別する車両識別情報と、タクシーの位置を示す車両位置情報と、タクシーの状態を示す状態情報とを関連付けたタクシー情報を記憶する。車両位置情報は、例えば、タクシーが位置する経度及び緯度を示す情報である。また、状態情報には、「空車」、「配車」、「実車」が含まれる。なお、状態情報は、例えば、数字及び記号を組み合わせたコード情報であってもよい。
【0031】
図3は、本実施形態に係るタクシー情報の一例を示す図である。図3に示すように複数のタクシーのそれぞれに対応して、車両識別情報と、車両位置情報と、状態情報とが関連付けられていることが確認できる。なお、本実施形態において、タクシー情報は、地域ごとに分けられており、配車管理装置1は、ユーザの乗車位置に基づいて地域を決定し、当該地域に対応するタクシー情報を参照するものとする。
【0032】
制御部13は、例えばCPU(Central Processing Unit)である。制御部13は、記憶部12に記憶された配車管理プログラムを実行することにより、状態特定部131、依頼取得部132、要求送信部133、設定部134、課金部135及び配車指示部136として機能する。
【0033】
状態特定部131は、記憶部12に記憶されているタクシー情報を更新することにより、複数のタクシーのそれぞれの状態を管理する。具体的には、状態特定部131は、複数の乗務員端末3のそれぞれからタクシー情報を受信し、受信したタクシー情報に含まれている車両識別情報を特定する。例えば、状態特定部131は、空車を検出する空車検出部として機能し、タクシー情報を受信することにより、タクシー情報に含まれる状態情報が「空車」であるタクシーと、当該空車のタクシーの位置とを検出する。状態特定部131は、記憶部12において、特定した車両識別情報に関連付けられている車両位置情報及び状態情報を、受信したタクシー情報に含まれている車両位置情報及び状態情報に更新する。これにより、タクシー情報が常に最新の状態に保たれる。
【0034】
依頼取得部132、要求送信部133、設定部134、課金部135及び配車指示部136の機能の詳細については後述する。
【0035】
[ユーザ端末2の構成]
続いて、ユーザ端末2の構成を説明する。図4は、本実施形態に係るユーザ端末2の構成を示す図である。図4に示すように、ユーザ端末2は、通信部21と、操作部22と、表示部23と、記憶部24と、制御部25とを備える。
【0036】
通信部21は、インターネット等の通信ネットワークを介して配車管理装置1と通信を行うための通信インターフェースである。
操作部22は、例えば、表示部23に重畳して設けられているタッチパネルであり、ユーザから操作入力を受け付ける。
表示部23は、例えば、液晶ディスプレイ又は有機EL(Electro-Luminescence)ディスプレイ等により構成される。表示部23は、制御部25の制御に応じて各種情報を表示する。
【0037】
記憶部24は、ROM及びRAM等を含む記憶媒体である。記憶部24は、制御部25が実行するプログラムを記憶している。例えば、記憶部24は、制御部25を配車依頼部251として機能させる乗客用プログラムを記憶している。
【0038】
制御部25は、例えばCPUである。制御部25は、記憶部24に記憶された乗客用プログラムを実行することにより、配車依頼部251として機能する。
【0039】
[制御部の詳細]
続いて、制御部13が備える依頼取得部132、要求送信部133、設定部134、及び課金部135と、制御部25が備える配車依頼部251との詳細について説明する。
【0040】
配車依頼部251は、ユーザ端末2のユーザからタクシーの乗車位置を受け付け、配車管理装置1に、当該乗車位置を示す乗車位置情報を含む配車依頼情報を送信することにより、当該乗車位置へのタクシーの配車依頼を行う。依頼取得部132は、ユーザ端末2から、配車依頼情報を受信することにより、タクシーの配車依頼と、ユーザの乗車位置とを取得する。
【0041】
配車依頼部251は、操作部22においてユーザから配車依頼の開始操作を受け付けると、表示部23に、ユーザの乗車位置を受け付ける乗車位置受付画面、及び配車依頼を受け付けるための配車依頼受付画面を表示させ、当該画面を介して乗車位置及び配車依頼を受け付ける。依頼取得部132は、配車依頼受付画面において配車依頼の操作が行われたことに応じて、タクシーの配車依頼と、ユーザの乗車位置とを取得する。
【0042】
図5は、本実施形態に係る乗車位置受付画面の一例を示す図である。図5(a)に示すように、乗車位置受付画面には、ユーザ端末2の位置Pの周辺の地図と、乗車位置を決定する乗車位置決定ボタンB1とが表示される。配車依頼部251は、地図上で、ユーザの乗車位置を受け付けると、図5(b)に示すように乗車位置を示すマークMを地図上に表示させるとともに、乗車位置を示す乗車位置情報を配車管理装置1に送信する。
【0043】
配車管理装置1の依頼取得部132は、乗車位置受付画面を介して乗車位置情報を取得すると、配車依頼を取得してから空車のタクシーが乗車位置に到着するまでにかかる時間である到着見込時間を算出する。
【0044】
依頼取得部132は、乗車位置を含む所定範囲における配車依頼の量に対するタクシーの供給量に基づいて到着見込時間を算出する。例えば、配車管理装置1が配車要求を送信する地域を、1km四方のメッシュ領域(複数の所定範囲)に分割しておき、依頼取得部132が、複数のメッシュ領域のそれぞれに対して、複数の時間帯のそれぞれにおける、配車依頼の量に対する空車のタクシーの供給量を示すタクシーの需給バランス値の統計値と、到着見込時間との関係を示す関係情報を生成する。そして、依頼取得部132は、乗車位置を含むメッシュにおける現在時刻に対応する需給バランス値を特定し、関係情報を参照して、特定した需給バランス値に対応する到着見込時間を特定する。このようにすることで、配車管理装置1は、ユーザの乗車位置に対する現時点における到着見込時間を精度良く算出することができる。
【0045】
依頼取得部132は、算出した到着見込時間をユーザ端末2に通知することにより、到着見込時間をユーザ端末2に表示させる。配車依頼部251は、図5(b)に示すように、配車管理装置1から通知された到着見込時間を乗車位置受付画面に表示させる。
【0046】
配車依頼部251は、乗車位置決定ボタンB1が押下されると、表示部23に配車依頼受付画面を表示させ、ユーザから配車依頼を受け付ける。図6は、本実施形態に係る配車依頼受付画面の一例を示す図である。図6に示すように、配車依頼受付画面には、ユーザ端末2の位置Pと、タクシーの乗車位置を示すマークMと、タクシーの配車依頼を受け付ける配車依頼受付ボタンB2とが表示される。配車依頼部251は、配車依頼受付ボタンB2が押下されると、タクシーの乗車位置と、ユーザを識別するユーザ識別情報とを含み、タクシーの配車を依頼することを示す配車依頼情報を配車管理装置1に送信する。依頼取得部132は、ユーザ端末2から、配車依頼情報を受信することにより、タクシーの配車依頼と、ユーザの乗車位置とを取得する。
【0047】
ここで、ユーザ識別情報は、例えばユーザの氏名である。ユーザ識別情報は、配車依頼時にタクシーの乗務員に通知される。なお、ユーザ識別情報は、氏名に限らず、年齢や性別等、タクシーの乗務員がユーザ端末2のユーザを特定するための情報も含んでいてもよい。
【0048】
要求送信部133は、依頼取得部132が取得した乗車位置から所定範囲内である空車の探索範囲内に位置する空車のタクシーに対して配車要求を送信する。要求送信部133は、依頼取得部132が配車依頼情報を取得すると、まずは通常モードで動作する。具体的には、要求送信部133は、通常モードで動作する場合、記憶部12に記憶されているタクシー情報を参照し、状態情報が「空車」であるとともに、依頼取得部132が取得した乗車位置から所定距離以内の円形の領域である空車の探索範囲内に車両位置情報が位置するタクシーを特定する。
【0049】
要求送信部133は、通常モードで動作している場合、第1時間内に空車の探索範囲内に位置する空車が検出されると、当該空車のタクシーに対して配車要求を送信する。要求送信部133は、依頼取得部132が取得した乗車位置に対応する空車の探索範囲内に複数のタクシーが位置している場合、乗車位置に最も近い位置のタクシーに配車要求を送信する。要求送信部133は、当該タクシーの乗務員が使用する乗務員端末3に、ユーザの乗車位置と、ユーザ識別情報とを含む配車要求を送信する。ここで、要求送信部133は、乗務員端末3に、タクシーの位置からユーザの乗車位置までの最適なルートを通知するようにしてもよい。
【0050】
要求送信部133が空車のタクシーに配車要求を送信した後、当該空車のタクシーの乗務員端末3は、配車要求に対応する配車の承諾を行うか否かをタクシーの乗務員から受け付ける。乗務員端末3は、配車の承諾を受け付けると、配車に承諾したことを示す承諾情報を送信する。配車指示部136は、空車のタクシーの乗務員端末3から承諾情報を受信すると、当該乗務員端末3に配車の指示を送信する。
【0051】
ところで、従来の技術では、第1時間内に空車の探索範囲内に位置する空車が検出されなかった場合、又は第1時間内に一以上の空車のタクシーに配車要求を送信し、これらの空車のタクシーから承諾情報を受信しなかった場合、配車要求をタクシーに送信することができなかったことを示す情報をユーザ端末2に表示させ、ユーザ端末2から、配車依頼を再取得していた。これに対し、本実施形態に係る配車管理装置1では、設定部134が動作モードを通常モードから空車待ちモードに変更可能にすることにより、要求送信部133が、空車待ちモードが設定されていない場合に比べて長い期間において、配車要求の送信を継続する。
【0052】
要求送信部133は、動作モードが空車待ちモードに設定されている場合、動作モードが空車待ちモードに設定されていない場合に比べて長い期間において、配車要求の送信を継続する。要求送信部133は、動作モードが空車待ちモードに設定されている場合、配車依頼を取得してから第1時間の経過後であっても、空車のタクシーに配車要求を送信することにより、空車待ちモードに設定されていない場合に比べて長い期間にわたって、空車の検出に応じて配車要求を送信する。
以下、空車待ちモードの設定に係る処理を説明する。
【0053】
設定部134は、所定条件を満たすと、依頼取得部132がユーザから配車依頼を取得した場合の要求送信部133の動作モードを空車待ちモードに設定する。具体的には、まず、依頼取得部132は、第1時間内に空車の探索範囲内に位置する空車が検出されなかったこと、又は第1時間内に要求送信部133が一以上の空車のタクシーに配車要求を送信し、これらの空車のタクシーから承諾情報を受信しなかったことを条件として、空車待ちモードの設定画面をユーザ端末2に表示させる。依頼取得部132は、ユーザ端末2において空車待ちモードの設定をユーザから受け付けるための設定画面を表示させる指示情報をユーザ端末2に送信することにより空車待ちモードの設定画面をユーザ端末2に表示させる。
【0054】
図7は、本実施形態に係る空車待ちモードの設定画面の一例を示す図である。図7に示すように、空車待ちモードの設定画面には、「空車待ちモードに設定しますか?」というメッセージとともに、空車待ちモードの設定を受け付ける設定受付ボタンB3が表示される。なお、図7に示す例では、空車待ちモードの設定画面に、「空車待ちモードに設定しますか?」というメッセージを表示させることとしたが、これに限らない。例えば、「優先配車依頼しますか?」、「配車待機状態にしますか?」といった、システム、仕組み、サービスの名称等と異なる文言が表示されてもよい。
【0055】
依頼取得部132は、動作モードが空車待ちモードに設定されてから配車要求を送信するタクシーが確定するまでの見込時間である車両確定見込時間を含む空車待ちモードの設定画面をユーザ端末2に表示させる。例えば、依頼取得部132は、ユーザの乗車位置に対応する探索範囲内に位置する空車待ちモードを設定しているユーザの数とタクシーの供給量とに基づいて、動作モードが空車待ちモードに設定されてから配車要求を送信するタクシーが確定するまでの見込時間である車両確定見込時間を算出する。
【0056】
例えば、配車管理装置1が配車要求を送信する地域を、1km四方のメッシュ領域(複数の所定範囲)に分割しておき、依頼取得部132が、複数のメッシュ領域のそれぞれに対して、複数の時間帯のそれぞれにおける、空車待ちモードを設定しているユーザの数と、空車のタクシーの供給量を示すタクシーの需給バランス値の統計値と、車両確定見込時間との関係を示す関係情報を生成する。そして、依頼取得部132は、乗車位置を含むメッシュにおける現在時刻に対応する需給バランス値を特定し、関係情報を参照して、特定した需給バランス値及び空車待ちモードを設定しているユーザの数に対応する車両確定見込時間を特定する。
【0057】
依頼取得部132は、車両確定見込み時間を算出すると、空車待ちモードの設定画面を表示させる指示情報に、当該車両確定見込時間を含める。ユーザ端末2の配車依頼部251は、当該指示情報に含まれる車両確定見込時間を空車待ちモードの設定画面に表示させる。図7では、設定受付ボタンB3の上部に、車両確定見込時間として「約10-15分で手配できます。」と表示されていることが確認できる。このようにすることで、配車管理装置1は、車両確定見込時間をユーザに把握させることができる。ユーザは、ユーザ端末2に表示された車両確定見込時間を確認することにより、このまま配車の依頼を継続するか、他の手段でタクシーを探すかを判断することができる。
【0058】
配車依頼部251は、設定受付ボタンB3が押下されると、タクシーの乗車位置と、ユーザ識別情報と、ユーザ端末2を識別する端末識別情報とを含む、空車待ちモードの設定要求を配車管理装置1に送信する。ここで、端末識別情報は、例えば、乗客用アプリケーションをインストールする際に設定された、ユーザ端末2に固有の文字列情報である。
【0059】
依頼取得部132は、ユーザ端末2から空車待ちモードの設定要求を受信する。依頼取得部132は、空車待ちモードの設定要求を受信した場合、空車待ちモードに設定するように設定部134に指示する。設定部134は、ユーザ端末2から空車待ちモードの設定要求を受け付けることにより、依頼取得部132が当該ユーザから配車依頼を取得した場合の動作モードを空車待ちモードに設定する。具体的には、設定部134は、依頼取得部132が空車待ちモードの設定要求を受信すると、空車待ちモードの設定要求を受信した時刻である設定時刻と、空車待ちモードの設定を行ったユーザのユーザ識別情報と、ユーザ端末2を識別する端末識別情報と、乗車位置を示す乗車位置情報とを関連付けて空車待ち情報として記憶部12に記憶させる。ここで、乗車位置情報は、例えば、経度及び緯度を示す情報である。
【0060】
図8は、本実施形態に係る空車待ち情報の一例を示す図である。図8に示すように、空車待ちモードの設定時刻、空車待ちモードに設定されたユーザの乗車位置、当該ユーザのユーザ識別情報、ユーザ端末2の端末識別情報が関連付けられていることが確認できる。
【0061】
なお、依頼取得部132は、ユーザに対応する動作モードが空車待ちモードに設定された場合に、車両確定見込時間を含む空車待ち画面をユーザ端末2に表示させる。図9は、本実施形態に係る空車待ち画面の一例を示す図である。図9では、車両確定見込時間とともに、ユーザに対応する動作モードが空車待ちモードに設定されてからの経過時間が表示されていることが確認できる。車両確定見込時間が表示されることにより、ユーザは、あとどのくらいでタクシーが割り当てられるかを容易に把握することができる。
【0062】
その後、依頼取得部132は、要求送信部133が送信した配車要求を受け付けた空車のタクシーが見つかり、当該タクシーが配車要求に対応する配車を承諾して、タクシーが確定した場合に、到着見込時間又は車両確定見込時間に代えて、空車の車両の位置と、ユーザの乗車位置とに基づいて算出した当該タクシーの到着予定時刻をユーザ端末2に表示させる。これにより、ユーザは、あとどのくらいでタクシーが到着するかを容易に把握することができる。
【0063】
また、設定部134は、ユーザが属する地域においてタクシーの需給バランスが逼迫している場合、空車待ちモードの設定を有料で行ってもよい。図7に示す例は、ユーザが属する地域においてタクシーの需給バランスが逼迫している場合における設定画面を示しており、設定受付ボタンB3の上部に、「確定時に手配料金980円が発生します。」と表示されていることが確認できる。
【0064】
ここで、ユーザが属する地域においてタクシーの需給バランスが逼迫している場合における空車待ちモードの設定料金は、予め定められた固定の料金であるものとするが、設定部134が、ユーザが属する地域における配車依頼の量に対する車両の供給量、すなわち、タクシーの需給バランスに基づいて空車待ちモードの設定に対応する料金を決定してもよい。例えば、ユーザが属する地域における配車依頼の量に対する車両の供給量の割合に対して予め料金を定めておく。そして、設定部134は、依頼取得部132が配車依頼を取得した時点における配車依頼の量に対する車両の供給量の割合に基づいて、空車待ちモードの設定に対応する料金を決定する。依頼取得部132は、空車待ちモードの設定画面を表示させる指示情報に、当該料金を含める。ユーザ端末2の配車依頼部251は、当該指示情報に含まれる料金を空車待ちモードの設定画面に表示させる。このようにすることで、配車管理装置1は、タクシーの需給バランスにあわせて、空車待ちモードの料金を柔軟に設定することができる。
【0065】
続いて、要求送信部133が配車要求を送信する処理について詳細に説明する。要求送信部133は、第1ユーザに対して空車待ちモードが設定され、第1ユーザと探索範囲の少なくとも一部が重複する第2ユーザに対して空車待ちモードが設定されていない場合、第1ユーザと第2ユーザとの間で重複する探索範囲内において空車が検出されると、第1ユーザに対する配車要求を当該空車の車両に送信する。すなわち、要求送信部133は、第1ユーザに対して空車待ちモードが設定され、第1ユーザと探索範囲の少なくとも一部が重複する第2ユーザに対して空車待ちモードが設定されていない場合、第1ユーザを優先し、第1ユーザに対応する配車要求を空車のタクシーに送信する。このようにすることで、第2ユーザが配車依頼を行った瞬間に、第1ユーザと第2ユーザとの間で重複する探索範囲内において空車が検出された場合であっても、第1ユーザに対応して当該空車のタクシーに配車要求を送信することができる。
【0066】
また、要求送信部133は、空車待ちモードに設定されている複数のユーザに対応する探索範囲の少なくとも一部が重複している場合、複数のユーザの間で重複する探索範囲内において空車が検出されると、空車待ちモードに設定された時刻が相対的に早いユーザに対する配車要求を当該空車の車両に送信してもよい。具体的には、要求送信部133は、記憶部12に記憶されているタクシー情報と、空車待ち情報に含まれている乗車位置を参照し、設定時刻が早いユーザから順番に、空車の探索範囲に、状態情報が「空車」であるタクシーが存在するか否かを判定する。要求送信部133は、空車の探索範囲内に位置する空車が検出されると、当該空車のタクシーに対して配車要求を送信する。このようにすることで、配車管理装置1は、複数のユーザの間で重複する探索範囲内において空車のタクシーが検出された場合に、設定時刻に基づいて公平に配車要求を送信することができる。
【0067】
[空車待ちモードに設定する場合の他の例]
上述した例において、設定部134は、設定画面を介して空車待ちモードの設定要求を受け付けることにより、依頼取得部132が当該ユーザから配車依頼を取得した場合の動作モードを空車待ちモードに設定したが、空車待ちモードに設定する条件はこれに限らない。設定部134は、ユーザが属する地域における配車依頼の量に対するタクシーの供給量が第1の量未満の場合、すなわち、タクシーの需給バランスが逼迫していることを条件として、ユーザ端末2から空車待ちモードの設定指示を受け付けてもよい。
【0068】
また、設定部134は、タクシーの需給バランスが逼迫していない場合に、空車待ちモードの設定要求をユーザ端末2から受け付けることなく、配車依頼を取得した場合の動作モードを空車待ちモードに設定してもよい。このようにすることで、ユーザは、配車依頼を行ってから第1期間以上経過しても、空車待ちモードに設定する操作を行うことなく、配車を待つことができる。
【0069】
また、設定部134は、依頼取得部132がユーザ端末2から配車依頼を取得してから第1時間内に空車が検出されなかったこと、又は空車のタクシーから配車の承諾を得られなかったことを条件として空車待ちモードの設定を受け付ける設定画面を介して空車待ちモードの設定を行ったが、これに限らない。設定部134は、ユーザに対応する探索範囲内において他のユーザに対応する動作モードが空車待ちモードに設定されているときには、依頼取得部132がユーザ端末2から配車依頼を取得したタイミングで、ユーザ端末2に空車待ちモードの設定を受け付ける設定画面を表示させるようにしてもよい。このようにすることで、配車管理装置1は、空車待ちモードに設定しているユーザに優先して配車を行うことができる。
【0070】
[空車待ちモード使用時の課金]
課金部135は、ユーザ端末2から空車待ちモードの設定指示を受け付けた場合に、当該ユーザに空車待ちモードの設定に対応する課金を行う。例えば、課金部135は、空車待ちモードに対応する料金を、配車要求を送信した空車のタクシーの乗務員端末3に通知し、運賃の支払時に、空車待ちモードの設定に対応する料金を徴収できるようにする。なお、ユーザが、クレジットカードの情報等を配車アプリケーションに登録している場合、課金部135は、空車待ちモードの設定に対応する料金を、当該クレジットカードの情報を用いてユーザに請求してもよい。
【0071】
[配車管理装置1における処理の流れ]
続いて、配車管理装置1における処理の流れについて説明する。図10は、本実施形態に係る配車管理装置1における処理の流れを示すフローチャートである。なお、本フローチャートにおける処理と並行して、状態特定部131により、記憶部12に記憶されているタクシー情報の更新が行われており、タクシー情報が常に最新の状態に保たれているものとする。
【0072】
まず、依頼取得部132は、ユーザ端末2からタクシーの配車依頼を取得する(S1)。
続いて、要求送信部133は、依頼取得部132が配車依頼とともに取得した乗車位置から所定範囲内である空車の探索範囲内に空車のタクシーが存在するか否かを判定する(S2)。要求送信部133は、空車のタクシーが存在すると判定すると、S3に処理を移し、空車のタクシーが存在しないと判定すると、S6に処理を移す。
【0073】
要求送信部133は、S3において、配車要求を空車のタクシーに送信する。続いて、要求送信部133は、配車要求を送信した空車のタクシーの乗務員端末3から配車の承諾があったか否かを判定する(S4)。要求送信部133は、配車の承諾があったと判定すると、S5に処理を移し、配車の承諾がないと判定すると、S6に処理を移す。
【0074】
S5において、配車指示部136は、配車の承諾を行った空車のタクシーの乗務員端末3に配車の指示を送信する。
S6において、要求送信部133は、依頼取得部132が配車依頼を取得してから第1期間が経過したか否かを判定する。要求送信部133は、第1期間が経過したと判定すると、S7に処理を移し、第1期間が経過していないと判定すると、S2に処理を移す。
【0075】
S7において、依頼取得部132は、空車待ちモードの設定画面をユーザ端末2に表示させる。続いて、依頼取得部132は、ユーザ端末2から、所定期間内に空車待ちモードの設定要求を取得したか否かと判定する(S8)。依頼取得部132は、空車待ちモードの設定要求を取得したと判定すると、S9に処理を移し、空車待ちモードの設定要求を取得していないと判定すると、本フローチャートに係る処理を終了する。
【0076】
S9において、設定部134は、依頼取得部132がユーザから配車依頼を取得した場合の要求送信部133の動作モードを空車待ちモードに設定する。
その後、要求送信部133は、ユーザの乗車位置から所定範囲内である空車の探索範囲内に空車のタクシーが存在するか否かを判定する(S10)。要求送信部133は、空車のタクシーが存在すると判定すると、S11に処理を移し、空車のタクシーが存在しないと判定すると、S10を再実行する。
【0077】
要求送信部133は、S11において、配車要求を空車のタクシーに送信する。続いて、要求送信部133は、配車要求を送信した空車のタクシーの乗務員端末3から配車の承諾があったか否かを判定する(S12)。要求送信部133は、配車の承諾があったと判定すると、S13に処理を移し、配車の承諾がないと判定すると、S10に処理を移す。
S13において、配車指示部136は、配車の承諾を行った空車のタクシーの乗務員端末3に配車の指示を送信する。
【0078】
[変形例]
上述の実施形態では、ユーザが属する地域にタクシーが走行していることを前提として説明を行ったが、これに限らない。依頼取得部132は、ユーザが属する地域において、空車のタクシーが存在しない場合に空車待ちモードの設定を有料又は無料で受け付けるようにしてもよい。この場合、設定部134は、空車待ちモードの設定を受け付けたことに応じて空車待ち情報を記憶部12に記憶させてもよい。そして、ユーザが属する地域において空車のタクシーが検出されたことに応じて、要求送信部133が、記憶部12に記憶されている空車待ち情報を参照し、当該地域に存在するユーザのうち、設定時刻が最も早いユーザに対応する配車を空車のタクシーに指示するようにしてもよい。このようにすることで、ユーザは、自身が属する地域においてタクシーが走行していない場合に、複数回操作をすることなく、タクシーの配車を待つことができる。
【0079】
また、依頼取得部132は、乗車位置受付画面を介して乗車位置情報を取得すると、乗車位置を含む所定範囲における配車依頼の量に対するタクシーの供給量に基づいて到着見込時間を算出したが、これに限らない。依頼取得部132は、記憶部12に記憶されているタクシー情報と、乗車位置情報が示す乗車位置と、乗車位置情報が示す乗車位置に対応する探索範囲内に位置する空車待ちモードを設定しているユーザの数とに基づいて、到着見込時間を算出するようにしてもよい。このようにすることで、空車待ちモードを設定しているユーザ数を考慮して、到着見込時間を精度良く算出することができる。
【0080】
また、依頼取得部132は、空車のタクシーが手配されるまでの車両確定見込時間が第2の閾値を超えている場合には、配車が成立しないと判定し、ユーザ端末2に空車待ちモードの設定画面を表示させないようにしてもよい。この場合、依頼取得部132は、車両確定見込時間が第2の閾値を超えている場合に、空車待ちモードの設定画面を表示させる指示情報をユーザ端末2に送信しないように制御する。
【0081】
また、設定部134は、空車待ちモードの設定を受け付けてから、空車待ちモードの設定の解除を受け付けてもよい。例えば、設定部134は、空車待ちモードの設定を受け付けてから、当該空車待ちに対応する配車要求が空車のタクシーに対して送信されるまでは、空車待ちモードの設定の解除を無料で受け付ける。また、依頼取得部132は、空車待ちモードの設定に対応して配車要求が空車のタクシーに対して行われた後は、空車待ちモードの設定の解除を有料で受け付ける。
【0082】
設定部134は、空車待ちモードの設定を受け付けてから、第2の所定時間を経過しても配車要求が送信されない場合に、ユーザから、空車待ちを継続するか否かの選択を受け付けてもよい。例えば、設定部134は、空車待ち情報を参照し、設定時刻から第2の所定時間(例えば、15分)経過しているユーザの端末識別情報を特定し、当該端末識別情報のユーザ端末2に、空車待ちを継続するか、空車待ちモードの設定を解除するかの選択を受け付ける継続受付画面を表示させる。この場合、設定部134は、空車待ちモードの設定の解除は無料で受け付けるものとする。
【0083】
依頼取得部132は、継続受付画面において、空車待ちモードの設定を解除することを示す選択を受け付けると、設定を解除したユーザに対応する空車待ち情報を記憶部12から消去する。この場合、配車管理装置1は、空車待ちモードの設定を解除したユーザに対してクーポン等の特典を付与してもよい。このようにすることで、配車管理装置1は、ユーザの不満を軽減するとともに、空車待ちモードの設定を行っているユーザの数を減少させることができる。
【0084】
[本実施形態における効果]
以上説明したように、本実施形態に係る配車管理装置1は、所定条件を満たすと、依頼取得部132がユーザ端末2から配車依頼を取得した場合の要求送信部133の動作モードを空車待ちモードに設定する。そして、要求送信部133は、動作モードが空車待ちモードに設定されている場合、動作モードが空車待ちモードに設定されていない場合に比べて長い期間において、配車要求の送信を継続する。このようにすることで、配車管理装置1は、配車を依頼するときのユーザの負担を軽減することができる。
【0085】
以上、本発明を実施形態を用いて説明したが、本発明の技術的範囲は上記実施形態に記載の範囲には限定されず、その要旨の範囲内で種々の変形及び変更が可能である。例えば、装置の全部又は一部は、任意の単位で機能的又は物理的に分散・統合して構成することができる。また、複数の実施形態の任意の組み合わせによって生じる新たな実施形態も、本発明の実施形態に含まれる。組み合わせによって生じる新たな実施形態の効果は、もとの実施形態の効果を併せ持つ。
【符号の説明】
【0086】
1 配車管理装置
11 通信部
12 記憶部
13 制御部
131 状態特定部
132 依頼取得部
133 要求送信部
134 設定部
135 課金部
136 配車指示部
2 ユーザ端末
21 通信部
22 操作部
23 表示部
24 記憶部
25 制御部
251 配車依頼部
3 乗務員端末
S 配車管理システム
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10