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特許7573702埋め込みフリップチップパッケージ基板及びその製造方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-17
(45)【発行日】2024-10-25
(54)【発明の名称】埋め込みフリップチップパッケージ基板及びその製造方法
(51)【国際特許分類】
   H01L 23/12 20060101AFI20241018BHJP
   H05K 3/46 20060101ALI20241018BHJP
   H05K 3/00 20060101ALI20241018BHJP
【FI】
H01L23/12 501B
H05K3/46 Q
H05K3/46 B
H05K3/46 N
H05K3/00 K
H05K3/00 N
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2023131840
(22)【出願日】2023-08-14
(65)【公開番号】P2024032672
(43)【公開日】2024-03-12
【審査請求日】2023-08-14
(31)【優先権主張番号】202211042694.6
(32)【優先日】2022-08-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】521133551
【氏名又は名称】ズハイ アクセス セミコンダクター シーオー.,エルティーディー
【氏名又は名称原語表記】Zhuhai Access Semiconductor Co., Ltd
(74)【代理人】
【識別番号】100088904
【弁理士】
【氏名又は名称】庄司 隆
(74)【代理人】
【識別番号】100124453
【弁理士】
【氏名又は名称】資延 由利子
(74)【代理人】
【識別番号】100135208
【弁理士】
【氏名又は名称】大杉 卓也
(74)【代理人】
【識別番号】100183656
【弁理士】
【氏名又は名称】庄司 晃
(74)【代理人】
【識別番号】100224786
【弁理士】
【氏名又は名称】大島 卓之
(74)【代理人】
【識別番号】100225015
【弁理士】
【氏名又は名称】中島 彩夏
(74)【代理人】
【識別番号】100231647
【弁理士】
【氏名又は名称】千種 美也子
(72)【発明者】
【氏名】チェン ケンメイ
(72)【発明者】
【氏名】リン ウェンジァン
(72)【発明者】
【氏名】ファン ガオ
(72)【発明者】
【氏名】ファン ベンキア
【審査官】花田 尚樹
(56)【参考文献】
【文献】特開2006-222334(JP,A)
【文献】特開2008-270633(JP,A)
【文献】特開2008-078573(JP,A)
【文献】特開2018-107256(JP,A)
【文献】米国特許第07842541(US,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 23/12
H05K 3/46
H05K 3/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
キャリアを提供し、前記キャリアの上面に第1回路層を製造し、前記第1回路層に第1誘電体層を積層するステップ(a)と、
前記第1誘電体層に第1開きウインドウを形成し、且つ前記第1開きウインドウ内に第1銅ピラーを充填し、前記第1銅ピラーを第1回路層に電気的に接続させるステップ(b)と、
前記第1誘電体層に第2開きウインドウを形成し、前記第2開きウインドウにフリップチップを取り付け、前記第1回路層及び前記フリップチップの端子を前記第2開きウインドウにより電気的に接続させるステップ(c)と、
前記第1誘電体層に順にパッケージ層及び第2誘電体層を積み重ねるステップ(d)であって、前記第2誘電体層の前記パッケージ層から離れる上面に第1金属層が覆われるステップ(d)と、
前記パッケージ層及び前記第2誘電体層を圧着し、パッケージ層に前記第1銅ピラー及び前記フリップチップを封止させ、且つ前記パッケージ層を硬化させるステップ(e)と、
前記第1金属層、前記第2誘電体層及び前記パッケージ層に孔を開け、層間導通ブラインドビアを形成するステップ(f)であって、前記層間導通ブラインドビアが前記第1銅ピラーの上面を露出させるステップ(f)と、
前記第1金属層の上面に第2回路層を形成するステップ(g)であって、前記第2回路層が第1銅ピラーを介して前記第1回路層に電気的に接続されるステップ(g)と、
前記キャリアを除去し、パッケージ基板を得るステップ(h)と、を含む、
ことを特徴とする埋め込みフリップチップパッケージ基板の製造方法。
【請求項2】
前記ステップ(a)は、
前記キャリアの上面に第2金属層を製造し、前記第2金属層の上面に第3金属層を製造することであって、前記第2金属層及び前記第3金属層は、互いに物理的圧着し、且つ物理的引裂の方式により分離を実現できることを含む、
ことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記ステップ(b)は、
レーザドリル加工により前記第1誘電体層を処理し、第1開きウインドウを形成するステップ(b1)であって、前記第1開きウインドウが前記第1回路層を露出させるステップ(b1)と、
前記第1誘電体層の上面及び前記第1開きウインドウに無電解銅めっき又は物理スパッタリングの方式により第1金属シード層を製造するステップ(b2)と、
前記第1金属シード層の上面に耐めっき性のドライフィルム層を製造し、且つ前記第1開きウインドウの上方の耐めっき性のドライフィルムに対して露光現像を行い、現像して前記第1銅ピラーの開きウインドウパターンを得、前記開きウインドウパターンを電気めっきし、前記第1銅ピラーを形成するステップ(b3)と、
前記耐めっき性のドライフィルム層を剥離し、且つ前記第1誘電体層の上面に覆われる前記第1金属シード層をエッチングするステップ(b4)と、を含み、
ここで前記第1銅ピラーは、前記第1金属シード層を介して前記第1回路に電気的に接続される、
ことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記ステップ(c)は、
レーザドリル加工により前記第1誘電体層を処理し、第2開きウインドウを形成するステップ(c1)であって、前記第2開きウインドウが前記第1回路層を露出させるステップ(c1)と、
前記フリップチップの端子を前記第2開きウインドウに挿入し、リフロー溶接により前記第1回路層を接続し、前記フリップチップと前記第1回路層との電気的な接続を実現するステップ(c2)と、を含む、
ことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記ステップ(e)は、
前記パッケージ層の上面に第2誘電体層を製造するステップ(e1)であって、前記第2誘電体層が前記第1誘電体層と同じ厚さになるように構成されるステップ(e1)と、
前記第2誘電体層の上面に第1金属層を製造するステップ(e2)と、
前記パッケージ層、前記第2誘電体層及び前記第1金属層を真空ラミネーターにより圧着し、且つ硬化処理を行うステップ(e3)であって、前記第1銅ピラー及び前記フリップチップがいずれも前記パッケージ層の内部に埋め込まれるステップ(e3)と、を含む、
ことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記ステップ(g)は、
無電解銅めっき又は物理スパッタリングの方式により前記第1金属層の表面に第2金属シード層を形成するステップであって、前記第2金属シード層が前記層間導通ブラインドビアを覆うステップと、
前記第2金属シード層に前記第2回路層を形成するステップと、
前記第2金属シード層及び前記第1金属層をエッチングするステップと、を含み、
ここで、前記第2回路層は、前記第2金属シード層を介して前記第1銅ピラーに電気的に接続される、
ことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項7】
ステップ(h)は、物理的引裂により、前記第2金属層及び前記第3金属層を分離して前記キャリアを除去するステップを含む、ことを特徴とする請求項2に記載の方法。
【請求項8】
前記ステップ(e3)は、
前記フリップチップと前記第1誘電体層との間の隙間を前記パッケージ層の流動性により充填するステップを含む、
ことを特徴とする請求項5に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は、半導体パッケージ技術の分野に関し、特に埋め込みフリップチップパッケージ基板及び製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
電子産業の継続的な発展に伴い、電子製品の多機能及び小型化が発展傾向になる。パッケージ基板の分野において、素子を基板内部に埋め込むことにより電子製品の高集積多機能、小型化への需要の実現を補助することができる。
【0003】
関連技術におけるフリップチップは、一般的に基板(Substrate)の表面、すなわちソルダーレジスト面にマウントされ、基板の内部に埋め込まず、モールディング(Molding)の形式でチップを包み込み、また、従来の埋め込み技術は、一般的にまず基板に空洞(Cavity)を製造し、続いて埋め込み対象のデバイスをCavity内にマウントし、さらに媒体材料を圧着してCavityを充填し、埋め込みデバイスを覆う。最後にレーザドリル加工、PID誘電体パターン転写、サンドブラストなどの方式によりチップ端子を導通する小孔を形成し、続いて小孔を電気めっきし、チップと基板との間の電気的な相互接続を実現する。
【0004】
そのほか、チップを包み込む過程において、片面のモールディングを実施するためか、チップの上下が対称構造ではなく、パッケージした後に硬化する過程において、基板全体が湾曲現象を発生しやすい。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
これに鑑みて、本願の目的は、埋め込みフリップチップパッケージ基板及びその製造方法を提供することであり、当該埋め込みフリップチップパッケージ基板は、空洞を製造する必要がなく、フリップチップと第1回路層との電気的な接続は、レーザドリル加工などの方式によりさらに電気めっきして導通する必要があり、プロセスフローを短縮し、製造コストを低減する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的に基づき、本願は、埋め込みフリップチップパッケージ基板及びその製造方法を提供し、
第1態様において、本願にて提供される埋め込みフリップチップパッケージ基板の製造方法は、
キャリアを提供し、前記キャリアの上面に第1回路層を製造し、前記第1回路層に第1誘電体層を積層するステップ(a)と、
前記第1誘電体層に第1開きウインドウを形成し、且つ前記第1開きウインドウ内に第1銅ピラーを充填し、前記第1銅ピラーを第1回路層に電気的に接続させるステップ(b)と、
前記第1誘電体層に第2開きウインドウを形成し、前記第2開きウインドウにフリップチップを取り付け、前記第1回路層及び前記フリップチップの端子を前記第2開きウインドウにより電気的に接続させるステップ(c)と、
前記第1誘電体層に順にパッケージ層及び第2誘電体層を積み重ねるステップ(d)であって、前記第2誘電体層の前記パッケージ層から離れる上面に第1金属層が覆われるステップ(d)と、
前記パッケージ層及び前記第2誘電体層を圧着し、パッケージ層に前記第1銅ピラー及び前記フリップチップを封止させ、且つ前記パッケージ層を硬化させるステップ(e)と、
前記第1金属層、前記第2誘電体層及び前記パッケージ層に孔を開け、層間導通ブラインドビアを形成するステップ(f)であって、前記層間導通ブラインドビアが前記第1銅ピラーの上面を露出させるステップ(f)と、
前記第1金属層の上面に第2回路層を形成するステップ(g)であって、前記第2回路層が第1銅ピラーを介して前記第1回路層に電気的に接続されるステップ(g)と、
前記キャリアを除去し、前記パッケージ基板を得るステップ(h)と、を含む。
【0007】
第2態様において、本願にてさらに提供される埋め込みフリップチップパッケージ基板は、
第1回路層と、前記第1回路層における第1誘電体層と、前記第1誘電体層に取り付けられる、端子が前記第1誘電体層を貫通して前記第1回路層に電気的に接続されるフリップチップと、前記フリップチップを封止する、前記第1誘電体層におけるパッケージ層と、前記パッケージ層における第2誘電体層と、前記第2誘電体層における第2回路層であって、前記第1回路層と前記第2回路層が第1銅ピラーを介して電気的に接続される第2回路層と、を含み、ここで前記第1誘電体層及び前記第2誘電体層は、同じ材質である。
【0008】
選択可能に、前記第2誘電体層及び前記第1誘電体層は、基本的に同じ厚さである。
【0009】
上記から分かるように、本願にて提供される埋め込みフリップチップパッケージ基板及びその製造方法は、少なくとも以下の有益な効果を有する。本願の製造方法フローを使用し、従来の埋め込み技術のように空洞を予め製造する必要がなく、粘性物質を予め貼り付けてチップを接着する必要もないため、プロセスステップを減少し、製造難易度を低下させ、しかも、リフロー溶接によりチップを第1回路層に溶接し、チップと第1回路層との電気的な相互接続を容易に実現することができ、レーザドリル加工などの方式により導通孔及び電気めっき充填孔を製造してチップと第1回路層との電気的な接続を実現する必要がない。
【0010】
また、第1誘電体層と基本的に同じである第2誘電体層をパッケージ層に追加するため、パッケージ層が加熱硬化する時、第1及び第2誘電体層の熱膨張程度が同じで拘束作用を果たし、パッケージ層の上下面が受ける応力が基本的に同じであるため、従来技術において硬化過程にパッケージ層の上下面が受ける応力が異なることによる基板の反り問題が発生しない。
【図面の簡単な説明】
【0011】
本願又は関連技術における技術的解決手段をより明確に説明するために、以下、実施例又は関連技術の記述に用いる必要がある図面を簡単に紹介し、明らかに、以下の記述における図面は、本願の実施例に過ぎず、当業者にとって、創造的な労力をしない前提で、さらにこれらの図面に基づいて他の図面を得ることができる。
図1】本願の1つの実施例のキャリアを除去する前の全体構造の断面概略図である。
図2】本願の1つの実施例の全体構造の断面概略図である。
図3】a 本願の1つの実施例の製造フローの中間状態の断面概略図である。 b 本願の1つの実施例の製造フローの中間状態の断面概略図である。
図3-1】c 本願の1つの実施例の製造フローの中間状態の断面概略図である。 d 本願の1つの実施例の製造フローの中間状態の断面概略図である。 e 本願の1つの実施例の製造フローの中間状態の断面概略図である。 f 本願の1つの実施例の製造フローの中間状態の断面概略図である。 g 本願の1つの実施例の製造フローの中間状態の断面概略図である。
図3-2】h 本願の1つの実施例の製造フローの中間状態の断面概略図である。 i 本願の1つの実施例の製造フローの中間状態の断面概略図である。 j 本願の1つの実施例の製造フローの中間状態の断面概略図である。 k 本願の1つの実施例の製造フローの中間状態の断面概略図である。
図3-3】l 本願の1つの実施例の製造フローの中間状態の断面概略図である。 m 本願の1つの実施例の製造フローの中間状態の断面概略図である。 n 本願の1つの実施例の製造フローの中間状態の断面概略図である。
図3-4】о 本願の1つの実施例の製造フローの中間状態の断面概略図である。 p 本願の1つの実施例の製造フローの中間状態の断面概略図である。 q 本願の1つの実施例の製造フローの中間状態の断面概略図である。
図3-5】r 本願の1つの実施例の製造フローの中間状態の断面概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本願の目的、技術的解決手段及び利点をより明確に分かりやすくするために、以下、具体的な実施例と併せて、図面を参照しながら、本願をさらに詳細に説明する。理解すべきものとして、明細書に記述された具体的な実施例は、本願を解釈するためのものに過ぎず、本願を限定するためのものではないため、技術上の実質的な意味を有するものではなく、いかなる構造の修飾、比例関係の変化又は大きさの調整は、本願が発生可能な効果及び達成可能な目的に影響を与えない上で、いずれも本願に開示された技術的内容の範囲内に含まれるべきである。
【0013】
本部分において、本願の具体的な実施例を詳細に記述し、本願の好適な実施例は、図面に示され、図面の作用は、文字部分の記述をパターンで補充説明し、人が直感的、イメージ的に本願の各技術的特徴及び全体的な技術的解決手段を理解することができるが、それは本願の保護範囲に対する制限として理解することができない。
【0014】
なお、別に定義しない限り、本願の実施例に使用される技術用語又は科学用語は、本願の属する分野において一般的なスキルを有する者が理解した一般的な意味であるべきである。本願の実施例において使用される「第1」、「第2」及び類似の単語は、いかなる順序、数量又は重要性を表すものではなく、異なる構成部分を区別するためのものに過ぎない。「含む」又は「含有」などの類似する単語は、当該単語の前に出現する部品又は物品が当該単語の後に出現して列挙される部品又は物品及びその同等物を包含し、他の部品又は物品を排除しないことを意味する。「接続」又は「連結」などの類似する単語は、物理的又は機械的な接続に限定されず、直接的であるか間接的であるかを問わず、電気的な接続を含むことができる。「上」、「下」、「左」、「右」などは、相対的な位置関係を示すものに過ぎず、記述されるオブジェクトの絶対的な位置が変化すると、当該相対的な位置関係がそれに応じて変化する可能性もある。
【0015】
関連技術におけるフリップチップのパッケージ方法と区別され、本願は、フリップチップを表面にマウントすることから基板の内部に埋め込むことに変更し、しかも、まず基板に空洞を製造する必要もなく、続いて埋め込み対象のデバイスを空洞内にマウントし、また、チップを埋め込んだ後、レーザドリル加工などの方式により導通孔と電気めっき充填孔を製造する必要もない。フリップチップ溶接点を、第1誘電体層を介して第1回路層にマウントするようにマウントし、さらにリフロー溶接によりチップと基板との電気的な相互接続を実現する。空洞を製造する必要があるため、チップと基板との相互接続は、レーザドリル加工などの方式によりさらに電気めっきして導通して電気的な接続を実現する必要があり、プロセスフローが長く、コストが高い。
【0016】
本願の実施例にて提供される埋め込みフリップチップパッケージ基板を理解しやすいために、以下、図面と組み合わせてその具体的な構造を説明する。まず図1及び図2を参照し、そのうち、図1に埋め込みフリップチップパッケージ基板の全体構造の断面概略図を示し、図2にそのキャリアを除去しない全体構造の断面概略図を示す。
【0017】
図1及び図2から分かるように、埋め込みフリップチップパッケージ基板は、第1誘電体層3と、第1誘電体層3の下方の第1回路層2と、第1誘電体層3におけるパッケージ層8であって、パッケージ層8を製造する材料は、一般的にガラス繊維のない材料であり、例えば味の素ABF材料又はRCF材料などであるものと、を含み、パッケージ層の内部に埋め込まれたフリップチップ7をさらに含み、ここでフリップチップ7に溶接端子701が設置され、ここで溶接端子701は、半田バンプであり、半田バンプは、錫鉛バンプ又は銅バンプであってもよく、パッケージ層8における第2誘電体層9をさらに含み、第2誘電体層9と第1誘電体層3は、同じ材料と厚さを選択することができ、パッケージ層8を硬化する過程において、第1及び第2誘電体層の熱膨張程度が同じで拘束作用を果たし、パッケージ層の上下面が受ける応力が基本的に同じであるため、従来技術において硬化過程にパッケージ層の上下面が受ける応力が異なることによる基板の反り問題が発生しない。
【0018】
いくつかの実施例において、第2誘電体層9における第2回路層12をさらに含み、ここで第1回路層2は、それぞれフリップチップ7の溶接端子701及び第2回路層12に電気的に接続され、それによりパッケージ基板全体の内部の電気的な接続を完了させる。
【0019】
いくつかの実施例において、パッケージ層8にさらに第1銅ピラー5が封止され、それは第1回路層2及び第2回路層12の電気的な接続を実現する。
【0020】
図3a~図3rを参照し、埋め込みフリップチップ7パッケージ基板の製造方法の各ステップの中間構造の断面概略図を示す。
【0021】
埋め込みフリップチップ7パッケージ基板の製造方法は、以下のステップを含む。
【0022】
まず、図3(a)に示すように、キャリア1を提供し、キャリア1の材料は、一般的にガラス、樹脂とガラス繊維材料の混合物、金属又はシリコンなどの材料のうちの1種であってもよく、それは、パッケージ基板の製造過程において仮結合、積み上げ及び支持の役割を果たす。後続の製造過程において、1層ずつ製造する必要があるため、キャリア1を選択して後続の支持作用を果たし、ここでキャリア1の表面に分離可能な金属層、例えば銅、アルミニウム、ステンレス鋼又はアルミニウム合金などが施される。好ましくは、本実施例において、キャリア1の上面に2層の金属箔、例えば2層銅箔が被覆され、ここで2層金属箔は、物理的圧着により、その2者が物理的引裂の方式により分離を実現することができる。当該2層金属箔は、例えば、図示されている第2金属層101と第3金属層102である。第2金属層101の厚さは、12~18umであってもよく、第3金属層の厚さは、2um~5umであってもよく、ここで、第2金属層101及び第3金属層102の厚さは、実際の状況に応じて変更することができ、ここでは限定されない。
【0023】
その後、図3(b)に示すように、キャリア1の上面にMSAPプロセスにより第1回路層2を製造する。一般的に、図3(c)に示すように、第1回路層2に第1誘電体層3が覆われて形成され、第1誘電体層3は、補強有機材料、例えばガラス繊維含有のPP材料を選択することができる。
【0024】
続いて、図3(d)に示すように、第1誘電体層3に対してレーザドリル加工処理を行い、第1開きウインドウ4を形成し、ここで第1開きウインドウ4は、第1回路層2を露出させ、その後の工程において第1銅ピラー5が第1回路層2に電気的に接続されるために準備する。
【0025】
次に、図3(e)に示すように、第1誘電体層3の上面及び第1開きウインドウ4に無電解銅めっき又は物理スパッタリングの方式により第1金属シード層401を製造する。一般的に、第1銅ピラー5と第1回路層2との電気的な接続を実現するように配置する過程において、第1銅ピラー5と第1回路層2との接触精度を向上させるために、一般的に、2者の間に第1金属シード層401を形成する必要があり、無電解銅めっき又は物理スパッタリングの方法により、第1開きウインドウ4に第1金属シード層401を形成して後続の第1銅ピラー5を電気めっきする過程において、第1銅ピラー5と第1回路層2との緊密接触を実現することができる。
【0026】
その後、図3(f)に示すように、第1金属シード層401の上面に耐めっき性のドライフィルム層402を製造し、耐めっき性のドライフィルム層402は、全体構造に対して耐めっき保護を行い、しかも、その後に電気めっきして第1銅ピラー5を形成することに有利である。
【0027】
図3(g)に示すように、第1開きウインドウ4の上方の耐めっき性のドライフィルム層402に対して露光現像を行い、現像して第1銅ピラー5の開きウインドウパターン403を得る。
【0028】
図3(h)に示すように、開きウインドウパターン403を電気めっきし、開きウインドウパターン403に第1銅ピラー5を形成し、この時、第1銅ピラー5は、第1金属シード層401を介して第1回路層2に電気的に接続される。
【0029】
次に、図3(i)に示すように、耐めっき性のドライフィルム層402を剥離し、且つ第1金属シード層401を露出させる。
【0030】
図3(j)に示すように、第1誘電体層3の上面に露出する第1金属シード層401をエッチングする。
【0031】
続いて、図3(d)に示すように、レーザドリル加工により第1誘電体層3を処理し、第2開きウインドウ6を形成し、ここで、プロセスフローを節約するために、第1開きウインドウ4を行うと同時に、レーザドリル加工により第2開きウインドウ6を同時に形成することもでき、第2開きウインドウ6は、フリップチップ7が第1回路層2に連通するために用いられる。
【0032】
図3(k)に示すように、フリップチップ7の溶接端子701をフラックスフィルムにおいてフラックスに漬け、フリップチップ7の溶接端子701を第2開きウインドウ6に挿入し、ここで溶接端子701は、半田バンプであり、半田バンプは、金属バンプであり、例えば錫鉛バンプ又は銅バンプであってもよく、フラックスを漬ける作用は、溶接端子701を第2開きウインドウ6に挿入する時、チップ7のフリップを固定する作用を果たすことができ、チップ7は、第2開きウインドウ6に挿入した後に位置が変化せず、しかも、フラックスは、その後のプロセスフローにおいて溶接端子701が溶接する時、溶接点701の表面を濡れ、溶接可能性を向上させる役割を果たすことができる。
【0033】
その後、図3(l)に示すように、第1回路層2に電源を接続し、第1回路層2を加熱して第2開きウインドウ6における溶接端子701に対してリフロー溶接を行い、フリップチップ7と第1回路層2との電気的な接続を実現し、リフロー溶接の過程において、溶接端子701を溶接することにより、溶接点701が第2開きウインドウ6に緊密に溶接され、チップ7が第1回路層2に電気的に接続され、しかも、チップ7も溶接端子701を介して固定効果を達成する。
【0034】
次に、図3(m)に示すように、パッケージ層8を第1銅ピラー5及びチップ7の上方に積み重ねるとともに、パッケージ層8の上面に第2誘電体層9を積み重ね、ここで第2誘電体層9の上面に第1金属層10が形成される。ここで、パッケージ層8は、その後のプロセスフローにおいて第1銅ピラー5及びチップ7を圧着するように配置され、それによりパッケージ層8に第1銅ピラー5及びフリップチップ7を封止させ、パッケージ層8は、ガラス繊維のない媒体材料、例えば味の素ABF材料又はRCF材料などを選択することができ、ここでは限定されない。
【0035】
続いて、図3(n)に示すように、第1金属層10、第2誘電体層9及びパッケージ層8を同時に真空ラミネーターで圧着し、且つパッケージ層8に対して硬化処理を行う。圧着が完了した後、パッケージ層8全体は、第1銅ピラー5及びフリップチップ7を完全にカバーリングし、その後にオーブン内で焼付硬化してもよく、積層機で圧着して硬化してもよい。パッケージ層8を圧着する時、パッケージ層8は、自身の流動性及び毛細作用を利用してフリップチップ7と第1誘電体層3との間の隙間を充填することができ、ここでフリップチップ7を十分にパッケージ及び保護するために、パッケージ層8の厚さは、フリップチップ7の厚さ以上である必要があり、このようにパッケージ層8にフリップチップ7を完全にカバーリングさせることができる。
【0036】
パッケージ層8を加熱硬化させる過程において、パッケージ層8の上下方の材料が異なるため、パッケージ層8の上下面に応力のバランスを取らず、それによりパッケージ層8が硬化する過程において反りを形成することが多い。しかし本実施例において、パッケージ層8の上下方は、それぞれ第2誘電体層9と第1誘電体層3であり、第2誘電体層9及び第1誘電体層3は、同じ材質であり、表面にいずれも金属回路層を有し、且つ2者が基本的に同じ厚さであってもよいため、2者の熱膨張係数がほぼ等しく、対称的な拘束作用を果たす。そのため、パッケージ層8が加熱硬化する過程において、その上下面の構造が対称であり、応力が同じであり、パッケージ層8に反り現象が発生することを効果的に回避する。
【0037】
次に、図3(o)に示すように、レーザドリル加工により第1金属層10、第2誘電体層9及びパッケージ層8を処理し、層間導通ブラインドビア11を形成し、層間導通ブラインドビア11は、第1銅ピラー5の上面を露出させ、その後のプロセスフローにおいて第2回路層12を製造し、及び第1銅ピラー5を介して第1回路層2と第2回路層12との電気的な接続を実現するために準備する。
【0038】
その後、図3(p)に示すように、無電解銅めっき又は物理スパッタリングの方式により第1金属層10の表面に1層の第2金属シード層111を形成し、ここで、第2金属シード層111は、層間導通ブラインドビア11を覆う。
【0039】
その後、図3(q)に示すように、第2金属の上面に第2回路層12を製造し、ここで第2回路層12は、第1銅ピラー5を介して第1回路層2に電気的に接続され、第2金属シード層111及び前記第1金属層10をエッチングし、ここまで、第1銅ピラー5の下面は、第1金属シード層401を介して第1回路層2に電気的に接続され、第1銅ピラー5の上面は、第2金属シード層111を介して第2回路層12に電気的に接続され、チップ7の端子は、第1誘電体層3を貫通して第1回路層2に電気的に接続される。
【0040】
図3(r)に示すように、キャリア1を除去し、パッケージ基板を得、物理的引裂の方式により、第2金属層101及び第3金属層102を分離し、分離した後に第2金属層101及びキャリア1は、依然として付着し、第2金属層101の上面に第3金属層102を再び物理的圧着することにより、第2金属層101及びキャリア1のリサイクルを実現し、コストを節約することができる。分離が完了した後、第1誘電体層3と第1回路層2の下方の第3金属層102をエッチングし、エッチングする過程において、第1回路層2を損傷しないように注意する必要がある。別の実施形態として、第3金属層102の上面にニッケル層などのエッチングストッパ層を形成し、第3金属層102をエッチングする時に第1回路層2を保護するようにしてもよい。
【0041】
なお、上記は、本願のいくつかの実施例について記述する。他の実施例は、添付の特許請求の範囲内である。場合によっては、特許請求の範囲に記載の動作又はステップは、上記実施例と異なる順序で実行することができ且つ依然として所望の結果を実現することができる。また、図面に記述された過程は、所望の結果を実現するために、必ずしも示された特定の順序又は連続的な順序を必要としない。特定の実施形態において、マルチタスク処理及び並列処理も可能であり、又は有利である可能性がある。
【0042】
当業者が理解すべきものとして、以上のいかなる実施例の討論は、例示的なものに過ぎず、本願の範囲(特許請求の範囲を含む)がこれらの例に限定されることを意図するものではなく、本願の考えで、以上の実施例又は異なる実施例における技術的特徴の間も組み合わせることもでき、ステップは、任意の順序で実現することができ、上記の本願の実施例の異なる点の多くの他の変化が存在し、簡明化にするためにそれらは詳細に提供されない。
【0043】
また、説明及び議論を簡略化にし、また本願の実施例を理解しにくくしないようにするために、提供される図面において集積回路(IC)チップ及び他の部品との公知の電源/グランド接続を示すか又は示さなくてもよい。また、本願の実施例を理解しにくいことを回避するために、装置をブロック図の形で示すことができ、これは、以下の事実、すなわち、これらのブロック図の装置の実施形態に関する詳細は、本願の実施例を実施しようとするプラットフォームに大きく依存する(すなわち、これらの詳細は、当業者の理解の範囲内に完全にあるべきである)ことも考慮する。具体的な詳細(例えば、回路)を説明して本願の例示的な実施例を記述する場合、当業者にとって明らかなように、これらの具体的な詳細がない場合又はこれらの具体的な詳細が変化する場合に本願の実施例を実施することができる。したがって、これらの記述は、説明的なものであり限定的なものではないと考えられるべきである。
【0044】
本願の具体的な実施例と組み合わせて本願を記述したが、前述したものに基づいて、これらの実施例の多くの置換、修正、及び変形が当業者にとって明らかである。例えば、他のメモリアーキテクチャ(例えば、ダイナミックRAM(DRAM))は、論じられている実施例を使用してもよい。
【0045】
本願の実施例は、添付した特許請求の範囲の広い範囲内におけるこのような全ての置換、修正、及び変形を包含することが意図される。したがって、本願の実施例の精神と原則内で行われるいかなる省略、修正、均等置換、改善などは、いずれも本願の保護範囲内に含まれるべきである。
【符号の説明】
【0046】
1 キャリア
2 第1回路層
3 第1誘電体層
4 第1開きウインドウ
401 第1金属シード層
402 ドライフィルム層
403 開きウインドウパターン
5 第1銅ピラー
6 第2開きウインドウ
7 フリップチップ
701 溶接端子
8 パッケージ層
9 第2誘電体層
10 第1金属層
101 第2金属層
102 第3金属層
11 層間導通ブラインドビア
111 第2金属シード層
12 第2回路層
図1
図2
図3
図3-1】
図3-2】
図3-3】
図3-4】
図3-5】