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特許7573706損傷特定支援装置、損傷特定支援方法及び損傷特定支援プログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-17
(45)【発行日】2024-10-25
(54)【発明の名称】損傷特定支援装置、損傷特定支援方法及び損傷特定支援プログラム
(51)【国際特許分類】
   G06T 7/00 20170101AFI20241018BHJP
【FI】
G06T7/00 610B
【請求項の数】 12
(21)【出願番号】P 2023150643
(22)【出願日】2023-09-19
【審査請求日】2023-09-19
(73)【特許権者】
【識別番号】394013002
【氏名又は名称】三菱電機インフォメーションシステムズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002491
【氏名又は名称】弁理士法人クロスボーダー特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】山足 光義
(72)【発明者】
【氏名】阿部 紘和
(72)【発明者】
【氏名】山口 能一
(72)【発明者】
【氏名】大島 正晴
(72)【発明者】
【氏名】甲斐 博将
(72)【発明者】
【氏名】上野 靖
(72)【発明者】
【氏名】舟久保 和希
(72)【発明者】
【氏名】坂本 陽菜
(72)【発明者】
【氏名】夛田 悠馬
【審査官】橋爪 正樹
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2019/198562(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06T 7/00- 7/90
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
対象物に照射光を照射して反射点で反射した反射光を受信することにより得られた点群データである点群対象データと、前記対象物を撮影して得られたカメラ画像である対象画像とを含む対象データを取得するデータ取得部と、
前記データ取得部によって取得された前記対象データに含まれる前記点群対象データ及び前記対象画像を表示するとともに、前記点群対象データと前記対象画像とに、前記対象物の基準となる点群データである点群基準データと、前記対象物の基準となるカメラ画像である基準画像とを対比して表示する表示部と
を備える損傷特定支援装置。
【請求項2】
前記点群対象データを構成する各点は、前記対象物における位置が特定されるとともに、前記対象画像の画素と対応付けされており、
前記点群基準データを構成する各点は、前記対象物における位置が特定されるとともに、前記基準画像の画素と対応付けされており、
前記表示部は、前記点群対象データと前記点群基準データとを対比して表示するとともに、前記対象画像のうち前記点群対象データ又は前記点群基準データにおいて指定された表示位置を含む部分画像と、前記基準画像のうちの前記表示位置を含む部分画像とを対比して表示する
請求項1に記載の損傷特定支援装置。
【請求項3】
前記表示部は、ユーザから前記点群基準データにおける表示位置あるいは前記点群対象データにおける表示位置の指定を受け付けると、前記表示位置を含むように前記基準画像及び前記対象画像の表示を切り替える
請求項2に記載の損傷特定支援装置。
【請求項4】
前記表示部は、ユーザから前記基準画像における表示位置あるいは前記対象画像における表示位置の指定を受け付けると、前記表示位置を含むように前記点群基準データ及び前記点群対象データの表示を切り替える
請求項2に記載の損傷特定支援装置。
【請求項5】
前記対象データと、前記点群基準データ及び前記基準画像を含む基準データとは、それぞれ点群データを取得する光センサと、カメラ画像を取得するカメラとを有する撮像装置を、前記対象物の周囲を移動させながら繰り返し点群データとカメラ画像との収集を行うことにより得られたデータであり、
前記損傷特定支援装置は、さらに、
前記対象データに含まれる前記点群対象データの座標値と、前記基準データに含まれる前記点群基準データの座標値とを、指定位置を基準とする座標値に変換する座標変換部
を備える請求項1に記載の損傷特定支援装置。
【請求項6】
前記損傷特定支援装置は、さらに、
前記対象物における1つ以上の設定部分のうち、前記対象画像と前記基準画像とを比較して変化が基準量以下の設定部分の位置を未変化位置として特定する未変化位置特定部
を備え、
前記座標変換部は、前記未変化位置特定部によって特定されたいずれかの前記未変化位置を前記指定位置として、前記点群対象データの座標値と前記点群基準データの座標値とを変換する請求項5に記載の損傷特定支援装置。
【請求項7】
前記損傷特定支援装置は、さらに、
前記座標変換部によって変換された後の座標値を用いて前記点群対象データと前記点群基準データとを比較して、差分がある差分箇所を特定する差分特定部
を備え、
前記表示部は、前記差分特定部によって特定された前記差分箇所を表示する
請求項5に記載の損傷特定支援装置。
【請求項8】
前記表示部は、前記点群対象データと前記対象画像と前記点群基準データと前記基準画像とに、前記差分特定部によって特定された前記差分箇所を示して表示する
請求項7に記載の損傷特定支援装置。
【請求項9】
前記差分特定部は、
前記対象物の領域を分割した複数のボクセルを、前記点群対象データの点が含まれるボクセルと前記点群対象データの点が含まれないボクセルとに分けることにより、前記点群対象データに対応するボクセルデータであるボクセル対象データを生成するボクセル化部と、
前記ボクセル化部によって生成された前記ボクセル対象データを、前記点群基準データに対応するボクセルデータであるボクセル基準データであって、前記複数のボクセルを、前記点群基準データの点が含まれるボクセルと前記点群対象データの点が含まれないボクセルとに分けることにより生成されたボクセル基準データと比較して、ボクセル単位で差分がある差分箇所を特定するボクセル比較部と
を備える請求項7に記載の損傷特定支援装置。
【請求項10】
前記損傷特定支援装置は、さらに、
前記対象画像と前記基準画像とを比較して、前記基準画像には存在せず前記対象画像には存在する損傷である新規損傷を特定する損傷特定部
を備え、
前記表示部は、前記損傷特定部によって特定された前記新規損傷の箇所を表示する
請求項1に記載の損傷特定支援装置。
【請求項11】
コンピュータが、対象物に照射光を照射して反射点で反射した反射光を受信することにより得られた点群データである点群対象データと、前記対象物を撮影して得られたカメラ画像である対象画像とを含む対象データを取得し、
コンピュータが、前記対象データに含まれる前記点群対象データ及び前記対象画像を表示するとともに、前記点群対象データと前記対象画像とに、前記対象物の基準となる点群データである点群基準データと、前記対象物の基準となるカメラ画像である基準画像とを対比して表示する損傷特定支援方法。
【請求項12】
対象物に照射光を照射して反射点で反射した反射光を受信することにより得られた点群データである点群対象データと、前記対象物を撮影して得られたカメラ画像である対象画像とを含む対象データを取得するデータ取得処理と、
前記データ取得処理によって取得された前記対象データに含まれる前記点群対象データ及び前記対象画像を表示するとともに、前記点群対象データと前記対象画像とに、前記対象物の基準となる点群データである点群基準データと、前記対象物の基準となるカメラ画像である基準画像とを対比して表示する表示処理と
を行う損傷特定支援装置としてコンピュータを機能させる損傷特定支援プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、自動車等の対象物の損傷箇所の特定を支援する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
自動車等の保険対象の対象物が損傷した場合には、保険金支払いのため、修理費用の見積もりを行う必要がある。修理費用の見積もりは、査定者が、損傷箇所を目視確認して損傷の大きさを計測する方法があるが、査定員が修理工場に出向いて対応することは時間を要するので実運用としては難しい。
そのため査定員が修理工場に出向かず、損傷箇所の写真により修理費用の見積もりの妥当性を検証する場合がある。しかし、写真を見るだけでは、適切に見積もりの妥当性を検証することは難しい。
【0003】
特許文献1には、損傷した車両の写真と車両の3次元データとから損傷位置を特定する技術が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開平09-81739号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に記載された技術では、損傷位置は特定されるものの、損傷の大きさ等の被害状況については特定することができない。そのため、査定員が修理工場に出向かずに、遠隔地から修理費用の見積もりの妥当性を適切に検証することは難しい。
本開示は、査定員が修理工場に出向かずに、遠隔地から修理費用の見積もりの妥当性を適切に検証可能にすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示に係る損傷特定支援装置は、
対象物に照射光を照射して反射点で反射した反射光を受信することにより得られた点群データである点群対象データと、前記対象物を撮影して得られたカメラ画像である対象画像とを含む対象データを取得するデータ取得部と、
前記データ取得部によって取得された前記対象データに含まれる前記点群対象データ及び前記対象画像を表示するとともに、前記点群対象データと前記対象画像とに、前記対象物の基準となる点群データである点群基準データと、前記対象物の基準となるカメラ画像である基準画像とを対比して表示する表示部と
を備える。
【発明の効果】
【0007】
本開示では、対象物についての点群対象データと対象画像とに、対象物についての点群基準データと基準画像とが対比して表示される。これにより、対象物の損傷の大きさ等の被害状況を適切に把握することが可能になる。その結果、査定員が修理工場に出向かずに、遠隔地から修理費用の見積もりの妥当性を適切に検証可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】実施の形態1に係る損傷特定支援装置10の構成図。
図2】実施の形態1に係る前撮像処理及び後撮像処理の説明図。
図3】実施の形態1に係る前撮像処理の流れを示すフローチャート。
図4】実施の形態1に係る基準画像312及び対象画像322の説明図。
図5】実施の形態1に係る基準画像312及び対象画像322の説明図。
図6】実施の形態1に係る表示処理の説明図。
図7】実施の形態1に係る表示処理の流れを示すフローチャート。
図8】実施の形態2に係る損傷特定支援装置10の構成図。
図9】実施の形態2に係る表示処理の流れを示すフローチャート。
図10】実施の形態3に係る損傷特定支援装置10の構成図。
図11】実施の形態3に係る表示処理の流れを示すフローチャート。
図12】実施の形態4に係る損傷特定支援装置10の構成図。
図13】実施の形態4に係る表示処理の流れを示すフローチャート。
図14】実施の形態4に係る表示処理の説明図。
図15】実施の形態5に係る損傷特定支援装置10の構成図。
図16】実施の形態5に係る表示処理の流れを示すフローチャート。
図17】実施の形態5に係る表示処理の説明図。
【発明を実施するための形態】
【0009】
実施の形態1.
***構成の説明***
図1を参照して、実施の形態1に係る損傷特定支援装置10の構成を説明する。
損傷特定支援装置10は、コンピュータである。
損傷特定支援装置10は、プロセッサ11と、メモリ12と、ストレージ13と、通信インタフェース14とのハードウェアを備える。プロセッサ11は、信号線を介して他のハードウェアと接続され、これら他のハードウェアを制御する。
【0010】
プロセッサ11は、プロセッシングを行うICである。ICはIntegrated Circuitの略である。プロセッサ11は、具体例としては、CPU、DSP、GPUである。CPUは、Central Processing Unitの略である。DSPは、Digital Signal Processorの略である。GPUは、Graphics Processing Unitの略である。
【0011】
メモリ12は、データを一時的に記憶する記憶装置である。メモリ12は、具体例としては、SRAM、DRAMである。SRAMは、Static Random Access Memoryの略である。DRAMは、Dynamic Random Access Memoryの略である。
【0012】
ストレージ13は、データを保管する記憶装置である。ストレージ13は、具体例としては、HDDである。HDDは、Hard Disk Driveの略である。また、ストレージ13は、SD(登録商標)メモリカード、CompactFlash(登録商標)、NANDフラッシュ、フレキシブルディスク、光ディスク、コンパクトディスク、Blu-ray(登録商標)ディスク、DVDといった可搬記録媒体であってもよい。SDは、Secure Digitalの略である。DVDは、Digital Versatile Diskの略である。
【0013】
通信インタフェース14は、外部の装置と通信するためのインタフェースである。通信インタフェース14は、具体例としては、Ethernet(登録商標)、USB、HDMI(登録商標)のポートである。USBは、Universal Serial Busの略である。HDMIは、High-Definition Multimedia Interfaceの略である。
【0014】
損傷特定支援装置10は、機能構成要素として、データ取得部21と、表示部22とを備える。損傷特定支援装置10の各機能構成要素の機能はソフトウェアにより実現される。
ストレージ13には、損傷特定支援装置10の各機能構成要素の機能を実現するプログラムが格納されている。このプログラムは、プロセッサ11によりメモリ12に読み込まれ、プロセッサ11によって実行される。これにより、損傷特定支援装置10の各機能構成要素の機能が実現される。
【0015】
また、ストレージ13には、基準データ31と、対象データ32とが記憶される。
【0016】
図1では、プロセッサ11は、1つだけ示されていた。しかし、プロセッサ11は、複数であってもよく、複数のプロセッサ11が、各機能を実現するプログラムを連携して実行してもよい。
【0017】
***動作の説明***
図2から図7を参照して、実施の形態1に係る損傷特定支援装置10の動作を説明する。
実施の形態1に係る損傷特定支援装置10の動作手順は、実施の形態1に係る損傷特定支援方法に相当する。また、実施の形態1に係る損傷特定支援装置10の動作を実現するプログラムは、実施の形態1に係る損傷特定支援プログラムに相当する。
【0018】
損傷特定支援装置10の動作は、前撮像処理と後撮像処理と表示処理とに分けられる。前撮像処理は、対象物が損傷を受ける前に実行される処理である。後撮像処理は、前撮像処理よりも後の時点で実行される処理である。後撮像処理は、例えば、対象物が損傷を受けた場合に実行される。表示処理は、後撮像処理が終わった後に実行される処理である。
具体例としては、対象物の損傷を保証する保険に加入する際に、前撮像処理が行われる。そして、対象物が損傷を受け、保険金を請求する際に、後撮像処理が行われ、表示処理が行われる。また、他の具体例としては、対象物の貸出前に前撮像処理が行われる。そして、対象物の返却時に後撮像処理が行われ、表示処理が行われる。
【0019】
実施の形態1では、対象物の例として自動車を用いて説明する。しかし、対象物は、自動車に限定されるものではない。
【0020】
<前撮像処理>
図2から図5を参照して、実施の形態1に係る前撮像処理を説明する。
前撮像処理では、データ取得部21は、対象物についての基準データ31を取得し、ストレージ13に記憶する。
基準データ31は、点群基準データ311と、複数の基準画像312とを含む。点群基準データ311は、対象物に照射光を照射して反射点で反射した反射光を受信することにより得られた点群データである。基準画像312は、対象物を撮影して得られたカメラ画像である。
【0021】
具体的には、図2に示すように、データ取得部21は、撮像装置40を用いて収集された基準データ31を取得する。撮像装置40は、光センサ41とカメラ42とを備える。光センサ41は、点群データを取得する。カメラ42は、カメラ画像を取得する。
この際、人手又は何らかの器具を用いて、撮像装置40を、対象物の周囲を移動させながら繰り返し点群データとカメラ画像との収集が行われる。図2では、Psの位置からPeの位置まで、対象物の周囲を移動させながら繰り返し点群データとカメラ画像との収集が行われる。これにより、対象物の周囲の点群データと、対象物の周囲を映した複数のカメラ画像とが収集される。
Pe+1の位置で取得されたカメラ画像は、Psの位置で取得されたカメラ画像と多くの部分が重複する。実施の形態1では、このように、最初に取得されたカメラ画像と多くの部分が重複するカメラ画像が取得された場合には、撮像が済んだとする。
【0022】
ここで、点群データの各点とカメラ画像の画素とは対応付けされている。ここでは、この対応付けは、撮像装置40において既存技術を用いて実現されているものとする。
【0023】
図3を参照して、実施の形態1に係る前撮像処理の流れを説明する。
(ステップS11:撮像処理)
データ取得部21は、撮像装置40によって収集された点群データとカメラ画像との組を取得する。
【0024】
(ステップS12:データ判定処理)
データ取得部21は、ステップS11で取得された点群データとカメラ画像との組が最初に取得されたデータであるか、最後のデータであるか、それ以外のデータであるかを判定する。ここでは、データ取得部21は、最初に取得されたデータのカメラ画像と終了閾値以上の割合で重複するカメラ画像が取得された場合に、そのカメラ画像を含むデータは最後のデータであると判定する。終了閾値は、例えば、80%等、ある程度大きな値である。
データ取得部21は、最初に取得されたデータである場合には、処理をステップS13に進める。データ取得部21は、最後のデータである場合には、処理をステップS19に進める。データ取得部21は、それ以外のデータである場合には、処理をステップS16に進める。
【0025】
(ステップS13:初期処理)
データ取得部21は、初期状態の点群モデルを生成する。また、データ取得部21は、ストレージ13にデータの記憶領域を確保する。
【0026】
(ステップS14:モデル生成処理)
データ取得部21は、ステップS11で取得された点群データの各点に、カメラ画像の対応する画素の色を設定する。データ取得部21は、色を設定した各点を、ステップS13で生成された点群モデルに追加する。
この際、データ取得部21は、ステップS11で取得された点群データにおける参考点を基準として、各点の座標値を計算し、各点に設定する。実施の形態1では、参考点は、点群データの1つ目の点であるとする。なお、参考点の位置はこれに限らず、任意の方法で決定すればよい。
【0027】
(ステップS15:画像記憶処理)
データ取得部21は、ステップS11で取得されたカメラ画像を基準画像312としてステップS13で確保された記憶領域に書き込む。
この際、データ取得部21は、ステップS11で取得された点群データの座標値を基準画像312に対応付ける。例えば、カメラ画像の中央の画素に対応する点群データの点の座標値を基準画像312に対応付ける。
そして、データ取得部21は、処理をステップS11に戻す。
【0028】
(ステップS16:重複判定処理)
データ取得部21は、ステップS11で取得されたカメラ画像が、記憶領域に記憶されたいずれかの基準画像312と採用閾値以上の割合で重複しているか否かを判定する。採用閾値は、例えば、30%等、ある程度小さい値が設定される。
データ取得部21は、閾値以上の割合で重複している場合には、処理をステップS17に進める。一方、データ取得部21は、閾値以上の割合で重複していない場合には、処理をステップS11に戻す。
【0029】
(ステップS17:モデル更新処理)
データ取得部21は、ステップS11で取得された点群データの各点に、カメラ画像の対応する画素の色を設定する。データ取得部21は、色を設定した各点を、ステップS13で生成された点群モデルに追加する。
この際、データ取得部21は、記憶領域に記憶されたいずれかのカメラ画像との重複部分から、ステップS14で用いた参考点を基準とした場合の各点の座標値を計算し、各点に設定する。
【0030】
(ステップS18:画像記憶処理)
データ取得部21は、ステップS11で取得されたカメラ画像を基準画像312としてステップS13で確保された記憶領域に書き込む。この際、ステップS15と同様に、データ取得部21は、ステップS11で取得された点群データの座標値を基準画像312に対応付ける。
そして、データ取得部21は、処理をステップS11に戻す。
【0031】
(ステップS19:モデル記憶処理)
データ取得部21は、現在の点群モデルを点群基準データ311として、ステップS13で確保された記憶領域に書き込む。点群基準データ311と複数の基準画像312とを含む基準データ31が生成される。この際、データ取得部21は、基準データ31に対して、データ名称と、その時の日時と、対象物の名称とを付けてもよい。
図3を用いて説明した前撮像処理で用いた、終了閾値及び採用閾値は、カメラ画像同士での重複率を用いている。変形例として、点群データ同士の重複率としてもよい。点群データ同士の重複率とした場合、終了閾値及び採用閾値はカメラ画像同士の閾値と同じでもよいし、異なる閾値としてもよい。
【0032】
図4に示すように、基準データ31に含まれる各基準画像312は、採用閾値以上の割合で他の基準画像312と重複している。したがって、そのため、基準データ31に含まれる基準画像312を合成すれば、対象物を展開した状態のカメラ画像を生成可能である。
図5に示すように、各基準画像312間の重複割合が大きい場合がある。この場合には、データ取得部21は、不要な基準画像312を削除してもよい。不要な基準画像312とは、図5における基準画像312Bのように、他の基準画像312で補うことが可能な基準画像312である。
【0033】
図4に示すように、各基準画像312には、点群基準データ311における座標値が対応付けされている。そのため、点群基準データ311を構成する点が指定されれば、指定された点が写っている基準画像312を特定することできる。具体的には、指定された点の座標値に最も近い座標値が対応付けされた基準画像312を特定することで、指定された点が写っている基準画像312を特定することができる。
【0034】
<後撮像処理>
実施の形態1に係る後撮像処理を説明する。
後撮像処理では、データ取得部21は、対象物についての対象データ32を取得し、ストレージ13に記憶する。
対象データ32は、点群対象データ321と、複数の対象画像322とを含む。点群対象データ321は、点群基準データ311と同様に、対象物に照射光を照射して反射点で反射した反射光を受信することにより得られた点群データである。対象画像322は、基準画像312と同様に、対象物を撮影して得られたカメラ画像である。
【0035】
具体的には、データ取得部21は、前撮像処理と同様に、撮像装置40を用いて収集された基準データ31を取得する。後撮像処理の流れは、図3に示す前撮像処理の流れと同じである。但し、後撮像処理では、ステップS15及びステップS18でカメラ画像は対象画像322として記憶領域に書き込まれる。また、ステップS19で点群モデルは点群対象データ321として記憶領域に書き込まれる。
【0036】
なお、前撮像処理で撮影される対象物は、後撮像処理で撮影される対象物と同じであってもよいし、後撮像処理で撮影される対象物と同じモデルの製品であってもよい。対象物が自動車の場合には、前撮像処理で撮影される対象物は、後撮像処理で撮影される自動車と同じ車種の自動車であってもよい。
【0037】
<表示処理>
図6及び図7を参照して、実施の形態1に係る表示処理を説明する。
表示処理では、対象物についての対象データ32を基準データ31と対比して表示する。
具体的には、図6に示すように、表示部22は、対象データ32の横に基準データ31を並べて表示する。より具体的には、表示部22は、点群対象データ321の横に点群基準データ311を並べて表示し、対象画像322の横に基準画像312を並べて表示する。これにより、点群対象データ321が点群基準データ311と対比して表示され、対象画像322が基準画像312と対比して表示される。
【0038】
図7を参照して、実施の形態1に係る表示処理の流れを説明する。
(ステップS21:読出処理)
表示部22は、表示対象の基準データ31及び対象データ32をストレージ13から読み出す。具体的には、損傷特定支援装置10のユーザが、データ名称と日時と対象物の名称とに基づき、表示対象の基準データ31及び対象データ32を指定する。表示部22は、指定された基準データ31及び対象データ32をストレージ13から読み出す。
【0039】
(ステップS22:初期表示処理)
図6に示すように、表示部22は、対象データ32の横に基準データ31を並べて表示する。
この際、表示部22は、点群基準データ311が示す対象物の3次元モデルの初期位置を表示するとともに、初期位置に対応する基準画像312を表示する。同様に、表示部22は、点群対象データ321が示す対象物の3次元モデルの初期位置を表示するとともに、初期位置に対応する対象画像322を表示する。
初期位置は、例えば、参考点の位置である。実施の形態1では、基準データ31と対象データ32とで参考点の位置は異なる可能性がある。したがって、実施の形態1では、点群基準データ311が示す対象物の3次元モデルと基準画像312が示す対象物の3次元モデルとの異なる部分が表示される可能性がある。
【0040】
(ステップS23:表示位置変更処理)
表示部22は、損傷特定支援装置10のユーザからの操作に従い、点群基準データ311が示す対象物の3次元モデルと点群対象データ321が示す対象物の3次元モデルとの表示位置を変更する。
具体的には、ユーザによって点群基準データ311が示す対象物の3次元モデルが操作される。これにより、表示部22は、点群基準データ311が示す対象物の3次元モデルの表示位置を変更する。同様に、ユーザによって点群対象データ321が示す対象物の3次元モデルが操作される。これにより、表示部22は、点群対象データ321が示す対象物の3次元モデルの表示位置を変更する。例えば、ユーザが、ポインティングデバイスを用いて3次元モデルを回転させるといった操作をすることが考えられる。
【0041】
(ステップS24:画像変更処理)
表示部22は、損傷特定支援装置10のユーザからの操作に従い、表示する基準画像312と対象画像322とを変更する。
具体的には、ユーザによって、表示されている点群基準データ311が示す対象物の3次元モデルにおける画像を表示したい位置が指定される。すると、表示部22は、指定された位置を含む基準画像312を表示する。同様に、ユーザによって、表示されている点群対象データ321が示す対象物の3次元モデルにおける画像を表示したい位置が指定される。すると、表示部22は、指定された位置を含む対象画像322を表示する。例えば、ユーザが、ポインティングデバイスを用いて画像を表示したい位置をクリックするといった操作をすることが考えられる。
なお、表示部22は、指定された位置の点データの座標値に最も近い座標値が設定された基準画像312を特定することにより、指定された位置を含む基準画像312を特定することができる。同様に、表示部22は、指定された位置の点データの座標値に最も近い座標値が設定された対象画像322を特定することにより、指定された位置を含む対象画像322を特定することができる。
【0042】
なお、ここでは、ユーザによって画像を表示したい位置が指定されるとした。しかし、ステップS23で表示された3次元モデルの中心位置等が指定されたとして、表示部22は表示する基準画像312又は対象画像322を切り替えてもよい。これにより、ユーザは3次元モデルの操作をするだけで、基準画像312又は対象画像322の切り替えもすることができる。
【0043】
***実施の形態1の効果***
以上のように、実施の形態1に係る損傷特定支援装置10は、前撮像処理で取得した基準データ31と、後撮像処理で取得した対象データ32とを対比して表示する。特に、損傷特定支援装置10は、点群基準データ311が示す対象物の3次元モデルと、点群対象データ321が示す対象物の3次元モデルとを対比して表示するとともに、基準画像312と対象画像322とを対比して表示する。
これにより、前撮像処理と後撮像処理との間に受けた損傷を適切に把握することが可能になる。その結果、査定員が修理工場に出向かずに、遠隔地から修理費用の見積もりの妥当性を適切に検証可能なる。
【0044】
実施の形態2.
実施の形態2は、基準データ31と対象データ32との位置合わせを自動的に行う点が実施の形態1と異なる。実施の形態2では、この異なる点を説明し、同一の点については説明を省略する。
【0045】
***構成の説明***
図8を参照して、実施の形態2に係る損傷特定支援装置10の構成を説明する。
損傷特定支援装置10は、機能構成要素として、座標変換部23を備える点が図1に示す損傷特定支援装置10と異なる。座標変換部23の機能は、他の機能と同様にソフトウェアによって実現される。
【0046】
***動作の説明***
<表示処理>
図9を参照して、実施の形態2に係る表示処理を説明する。
ステップS31の処理は、図7のステップS21の処理と同じである。
【0047】
(ステップS32:座標変換処理)
座標変換部23は、基準データ31に含まれる点群基準データ311の座標値と、対象データ32に含まれる点群対象データ321の座標値を、指定位置を基準とする座標値に変換する。
具体的には、座標変換部23は、指定位置と、指定位置以外に座標値の変換の基準となる2か所の位置との指定を受け付ける。ここで、指定位置及び変換の基準となる2か所の位置とは、いずれも前撮像処理と後撮像処理との間に損傷を受けていない箇所である必要がある。損傷を受けた箇所を基準にしてしまうと、適切な座標変換ができないためである。座標変換部23は、指定位置及び変換の基準となる2箇所以上の位置との合計3か所のそれぞれの位置が同一の座標値になるように、点群基準データ311と点群対象データ321との少なくともいずれかを平行移動及び回転させる。そして、座標変換部23は、点群基準データ311と点群対象データ321との座標値を、指定位置を基準とする座標値に変換する。
座標変換部23は、各基準画像312に対応付けられた座標値を変換後の座標値に書き換える。同様に、座標変換部23は、各対象画像322に対応付けられた座標値を変換後の座標値に書き換える。
【0048】
(ステップS33:初期表示処理)
表示部22は、図7のステップS22と同様に、対象データ32の横に基準データ31を並べて表示する。
この際、表示部22は、初期位置として座標値を設定する。例えば、初期位置として指定位置の座標値が設定される。そして、表示部22は、点群基準データ311が示す対象物の3次元モデルの初期位置を表示するとともに、初期位置に対応する基準画像312を表示する。同様に、表示部22は、点群対象データ321が示す対象物の3次元モデルの初期位置を表示するとともに、初期位置に対応する対象画像322を表示する。
ステップS32の処理により点群基準データ311と基準画像312との間で同じ位置が同じ座標値になるように座標値が変換されている。そのため、初期位置として座標値を設定することで、点群基準データ311が示す対象物の3次元モデルと基準画像312が示す対象物の3次元モデルとの同じ部分を表示することができる。また、同じ部分を含む基準画像312と対象画像322とを表示することができる。
【0049】
(ステップS34:表示位置変更処理)
表示部22は、図7のステップS23と同様に、損傷特定支援装置10のユーザからの操作に従い、点群基準データ311が示す対象物の3次元モデルと点群対象データ321が示す対象物の3次元モデルとの表示位置を変更する。
この際、ユーザによって点群基準データ311が示す対象物の3次元モデルと点群対象データ321が示す対象物の3次元モデルとのどちらかが操作される。これにより、表示部22は、点群基準データ311が示す対象物の3次元モデルと点群対象データ321が示す対象物の3次元モデルとの両方の表示位置を変更する。
つまり、点群基準データ311が示す対象物の3次元モデルと点群対象データ321が示す対象物の3次元モデルとの一方が操作されると、点群基準データ311が示す対象物の3次元モデルと点群対象データ321が示す対象物の3次元モデルとの両方の表示位置が変更される。これにより、点群基準データ311が示す対象物の3次元モデルと点群対象データ321が示す対象物の3次元モデルとは常に同じ位置が表示されるようになる。
【0050】
(ステップS35:画像変更処理)
表示部22は、図7のステップS24と同様に、損傷特定支援装置10のユーザからの操作に従い、表示する基準画像312と対象画像322とを変更する。
この際、ユーザによって、表示されている点群基準データ311が示す対象物の3次元モデルと点群対象データ321が示す対象物の3次元モデルとのどちらかにおいて画像を表示したい位置が指定される。すると、表示部22は、指定された位置を含む基準画像312及び対象画像322を表示する。
つまり、点群基準データ311が示す対象物の3次元モデルと点群対象データ321が示す対象物の3次元モデルとの一方で位置が指定されると、その位置を含む基準画像312及び対象画像322が表示される。ステップS32の処理により点群基準データ311と基準画像312との間で同じ位置が同じ座標値になるように座標値が変換されている。そのため、点群基準データ311が示す対象物の3次元モデルと点群対象データ321が示す対象物の3次元モデルとのどちらで位置が指定されても、その位置の基準画像312及び対象画像322を特定することができる。
【0051】
***実施の形態2の効果***
以上のように、実施の形態2に係る損傷特定支援装置10は、点群基準データ311と点群対象データ321との座標値が一致するように変換する。これにより、点群基準データ311と点群対象データ321との同じ位置の表示を容易に行うことが可能になる。
なお実施の形態2において、指定位置及び変換の基準となる2か所の合計3か所がそれぞれ同一の座標値に位置合わせを行うとした。しかしながら3か所に限定せず、4か所以上の点を用いて位置合わせをするようにしてもよい。位置合わせに用いる点が多くなるほど、位置合わせの精度向上が期待できる。
【0052】
実施の形態3.
実施の形態3は、指定位置と、指定位置以外に座標値の変換の基準となる2か所の位置とが基準画像312及び対象画像322から特定される点が実施の形態2と異なる。実施の形態3では、この異なる点を説明し、同一の点については説明を省略する。
【0053】
***構成の説明***
図10を参照して、実施の形態3に係る損傷特定支援装置10の構成を説明する。
損傷特定支援装置10は、機能構成要素として、未変化位置特定部24を備える点が図8に示す損傷特定支援装置10と異なる。未変化位置特定部24の機能は、他の機能と同様に、ソフトウェアによって実現される。
【0054】
***動作の説明***
図11を参照して、実施の形態3に係る表示処理を説明する。
ステップS41の処理は、図9のステップS31の処理と同じである。ステップS43からステップS46の処理は、図9のステップS32からステップS35の処理と同じである。
【0055】
(ステップS42:未変化位置特定処理)
未変化位置特定部24は、基準画像312と対象画像322とを比較して変化が基準量以下の複数の未変化位置を特定する。
具体的には、前後それぞれのナンバープレートと、左右それぞれのドアミラーと、運転席のドアノブと、助手席のドアノブといった基準画像312及び対象画像322で特定し易いと推定される部分を事前に設定しておく。未変化位置特定部24は、事前に設定された各部分について、基準画像312と対象画像322との間で比較する。そして、未変化位置特定部24は、変化が基準量以下の部分の位置を未変化位置として特定する。未変化位置特定部24は、未変化位置のうちいずれか1つを指定位置に設定する。また、未変化位置特定部24は、未変化位置のうち指定位置以外の2つを変換の基準となる位置に設定する。
なお、未変化位置特定部24は、未変化位置における3点を特定し、指定位置と変換の基準となる位置として設定してもよい。例えば、未変化位置がナンバープレートであるとする。この場合には、未変化位置特定部24は、ナンバープレートの四隅のうち左上、右上、左下の3点を特定し、左上を指定位置とし、右上及び左下を変換の基準となる位置として設定してもよい。また未変化位置の特定は3点に限定されず、4点以上としてもよい。またナンバープレートとサイドミラー等、損傷が発生しにくい位置を設定しておくのが望ましい。
【0056】
ステップS43では、座標変換部23は、ステップS42で設定された指定位置と、変換の基準となる2つの位置とを用いて、点群基準データ311の座標値と点群対象データ321の座標値を、指定位置を基準とする座標値に変換する。
【0057】
***実施の形態3の効果***
以上のように、実施の形態3に係る損傷特定支援装置10は、損傷のないと推定される位置を特定する。そして、特定された位置に基づき点群基準データ311と点群対象データ321との座標値が一致するように変換する。これにより、容易に点群基準データ311と点群対象データ321との座標値が一致するように変換を行うことが可能になる。
【0058】
実施の形態4.
実施の形態4は、損傷箇所を特定する点が実施の形態2,3と異なる。実施の形態4では、この異なる点を説明し、同一の点については説明を省略する。
実施の形態4では、実施の形態2に機能を加えた場合について説明する。しかし、実施の形態3に機能を追加することも可能である。
【0059】
***構成の説明***
図12を参照して、実施の形態4に係る損傷特定支援装置10の構成を説明する。
損傷特定支援装置10は、機能構成要素として、差分特定部25を備える点が図8に示す損傷特定支援装置10と異なる。差分特定部25は、ボクセル化部26と、ボクセル比較部27とを備える。差分特定部25の機能は、他の機能と同様に、ソフトウェアによって実現される。
【0060】
***動作の説明***
図13及び図14を参照して、実施の形態4に係る表示処理を説明する。
ステップS51及びステップS52の処理は、図9のステップS31及びステップS32の処理と同じである。ステップS55及びステップS56の処理は、図9のステップS34及びステップS35の処理と同じである。
【0061】
(ステップS53:差分特定処理)
差分特定部25は、ステップS32で変換された座標値を用いて、点群基準データ311と点群対象データ321とを比較して、差分がある差分箇所を特定する。具体的には、差分特定部25は、ステップS531とステップS532との処理を行い、差分がある差分箇所を特定する。
【0062】
(ステップS531:ボクセル化処理)
ボクセル化部26は、対象物の領域を分割した複数のボクセルを設定する。各ボクセルは、1立方センチメートル、3cm(立方センチメートル)のようにある程度の大きさを持った立体である。ボクセル化部26は、各ボクセルについて、そのボクセルの中心の座標値をそのボクセルの座標値に設定する。
ボクセル化部26は、複数のボクセルを、点群基準データ311の点が含まれるボクセルと点群基準データ311の点が含まれないボクセルとに分ける。これにより、点群基準データ311に対応するボクセルデータであるボクセル基準データを生成する。
同様に、ボクセル化部26は、複数のボクセルを、点群対象データ321の点が含まれるボクセルと点群対象データ321の点が含まれないボクセルとに分ける。これにより、点群対象データ321に対応するボクセルデータであるボクセル対象データを生成する。
【0063】
(ステップS532:ボクセル比較処理)
ボクセル比較部27は、ステップS531で生成されたボクセル対象データとボクセル基準データとを比較して、ボクセル単位で差分がある差分箇所を特定する。
具体的には、ボクセル比較部27は、ボクセル対象データとボクセル基準データとの間で、同じ座標値を有するボクセル同士を比較する。ボクセル比較部27は、両方のボクセルが、点が含まれるボクセル又は点が含まれないボクセルである場合には、差分がないと判定する。一方、ボクセル比較部27は、一方のボクセルが点が含まれるボクセルであり、他方のボクセルが点が含まれないボクセルである場合には、差分があると判定する。ボクセル比較部27は、差分があると判定されたボクセルをクラスタリングして、各クラスタを差分箇所として特定する。
【0064】
(ステップS54:初期表示処理)
図14に示すように、表示部22は、図9のステップS33と同様に、対象データ32の横に基準データ31を並べて表示する。この際、表示部22は、ステップS53で特定された差分箇所の一覧も表示する。
【0065】
(ステップS57:差分箇所表示処理)
表示部22は、差分箇所の一覧に含まれるいずれかの差分箇所が指定されると、点群基準データ311及び点群対象データ321の表示位置を差分箇所を中心とした位置に変更する。また、表示部22は、基準画像312及び対象画像322を、差分箇所を含む基準画像312及び対象画像322に切り替える。
この際、表示部22は、点群基準データ311及び点群対象データ321と、基準画像312及び対象画像322とにおける差分箇所を囲む等して、差分箇所を強調表示してもよい。
【0066】
***実施の形態4の効果***
以上のように、実施の形態4に係る損傷特定支援装置10は、点群基準データ311と点群対象データ321とを比較して差分箇所を特定する。これにより、損傷があった箇所の確認を容易に行うことが可能である。
特に、損傷特定支援装置10は、基準画像312と対象画像322とではなく、点群基準データ311と点群対象データ321とを用いて差分箇所を特定する。点群基準データ311と点群対象データ321とは点群データであり、位置が正確に計測されているデータである。そのため、凹み等の損傷を精度よく特定することが可能である。
【0067】
また、損傷特定支援装置10は、ボクセルデータを用いて差分箇所を特定する。光センサ41では、同じ物体を計測しても光が当たる位置が微妙にずれることがある。そのため、点単位で比較を行うと、損傷がない箇所についても差分があると誤検出されてしまう恐れがある。しかし、損傷特定支援装置10は、ボクセル化を行った上で差分箇所を検出するので、光が当たる位置が微妙にずれることに起因した誤検出を防止することが可能である。
【0068】
<変形例1>
ステップS532でボクセル比較部27は、特定された差分箇所の大きさを計測してもよい。具体的には、ボクセル比較部27は、クラスタの縦、横、奥行それぞれのサイズを計測する。また、ボクセル比較部27は、クラスタの面積を計測してもよい。そして、ステップS54で差分箇所の一覧とともに、差分箇所の大きさを表示してもよい。また、ステップS57で差分箇所の大きさを表示してもよい。
【0069】
実施の形態5.
実施の形態5は、基準画像312と対象画像322とを比較して、基準画像312には存在せず対象画像322には存在する損傷である新規損傷を特定する点が実施の形態1~4と異なる。実施の形態5では、この異なる点を説明し、同一の点については説明を省略する。
実施の形態5では、実施の形態2に機能を追加した場合を説明する。しかし、実施の形態3,4に機能を追加することも可能である。
【0070】
***構成の説明***
図15を参照して、実施の形態5に係る損傷特定支援装置10の構成を説明する。
損傷特定支援装置10は、機能構成要素として、損傷特定部28を備える点が図8に示す損傷特定支援装置10と異なる。損傷特定部28の機能は、他の機能と同様に、ソフトウェアによって実現される。
【0071】
***動作の説明***
図16及び図17を参照して、実施の形態5に係る表示処理を説明する。
ステップS61及びステップS62の処理は、図9のステップS31及びステップS32の処理と同じである。ステップS65及びステップS66の処理は、図9のステップS34及びステップS35の処理と同じである。
【0072】
(ステップS63:損傷特定処理)
損傷特定部28は、基準画像312と対象画像322とを比較して、基準画像312には存在せず対象画像322には存在する損傷である新規損傷を特定する
具体的には、損傷特定部28は、ステップS62で書き換えられた後の座標値に基づき、基準画像312と対象画像322との間の対応する画素を特定する。そして、損傷特定部28は、対応する画素間の差分を特定することにより、損傷箇所を特定する。なお、損傷特定部28は、基準画像312と対象画像322とを入力として、新規損傷を特定するAIのモデルを用いて、対象画像322から検出した損傷個所を基準画像312と対象画像322とで比較することにより新規損傷を特定してもよい。AIは、Artificial Intelligenceの略である。
【0073】
(ステップS64:初期表示処理)
図17に示すように、表示部22は、図9のステップS33と同様に、対象データ32の横に基準データ31を並べて表示する。この際、表示部22は、ステップS63で特定された新規損傷の一覧も表示する。
【0074】
(ステップS67:損傷表示処理)
表示部22は、新規損傷の一覧に含まれるいずれかの新規損傷が指定されると、点群基準データ311及び点群対象データ321の表示位置を新規損傷を中心とした位置に変更する。また、表示部22は、基準画像312及び対象画像322を、新規損傷を含む基準画像312及び対象画像322に切り替える。
この際、表示部22は、点群基準データ311及び点群対象データ321と、基準画像312及び対象画像322とにおける新規損傷を囲む等して、新規損傷を強調表示してもよい。
【0075】
***実施の形態5の効果***
以上のように、実施の形態5に係る損傷特定支援装置10は、基準画像312と対象画像322とを比較して差分箇所を特定する。これにより、損傷があった箇所の確認を容易に行うことが可能である。
【0076】
***他の構成***
<変形例2>
実施の形態1では、各機能構成要素がソフトウェアで実現された。しかし、変形例2として、各機能構成要素はハードウェアで実現されてもよい。この変形例2について、実施の形態1と異なる点を説明する。
【0077】
各機能構成要素がハードウェアで実現される場合には、損傷特定支援装置10は、プロセッサ11とメモリ12とストレージ13とに代えて、電子回路を備える。電子回路は、各機能構成要素と、メモリ12と、ストレージ13との機能とを実現する専用の回路である。
【0078】
電子回路としては、単一回路、複合回路、プログラム化したプロセッサ、並列プログラム化したプロセッサ、ロジックIC、GA、ASIC、FPGAが想定される。GAは、Gate Arrayの略である。ASICは、Application Specific Integrated Circuitの略である。FPGAは、Field-Programmable Gate Arrayの略である。
各機能構成要素を1つの電子回路で実現してもよいし、各機能構成要素を複数の電子回路に分散させて実現してもよい。
【0079】
<変形例3>
変形例3として、一部の各機能構成要素がハードウェアで実現され、他の各機能構成要素がソフトウェアで実現されてもよい。
【0080】
プロセッサ11とメモリ12とストレージ13と電子回路とを処理回路という。つまり、各機能構成要素の機能は、処理回路により実現される。
【0081】
また、以上の説明における「部」を、「回路」、「工程」、「手順」、「処理」又は「処理回路」に読み替えてもよい。
【0082】
以下、本開示の諸態様を付記としてまとめて記載する。
(付記1)
対象物に照射光を照射して反射点で反射した反射光を受信することにより得られた点群データである点群対象データと、前記対象物を撮影して得られたカメラ画像である対象画像とを含む対象データを取得するデータ取得部と、
前記データ取得部によって取得された前記対象データに含まれる前記点群対象データ及び前記対象画像を表示するとともに、前記点群対象データと前記対象画像とに、前記対象物の基準となる点群データである点群基準データと、前記対象物の基準となるカメラ画像である基準画像とを対比して表示する表示部と
を備える損傷特定支援装置。
(付記2)
前記点群対象データを構成する各点は、前記対象物における位置が特定されるとともに、前記対象画像の画素と対応付けされており、
前記点群基準データを構成する各点は、前記対象物における位置が特定されるとともに、前記基準画像の画素と対応付けされており、
前記表示部は、前記点群対象データと前記点群基準データとを対比して表示するとともに、前記対象画像のうち前記点群対象データ又は前記点群基準データにおいて指定された表示位置を含む部分画像と、前記基準画像のうちの前記表示位置を含む部分画像とを対比して表示する
付記1に記載の損傷特定支援装置。
(付記3)
前記表示部は、ユーザから前記点群基準データにおける表示位置あるいは前記点群対象データにおける表示位置の指定を受け付けると、前記表示位置を含むように前記基準画像及び前記対象画像の表示を切り替える
付記1又は2に記載の損傷特定支援装置。
(付記4)
前記表示部は、ユーザから前記基準画像における表示位置あるいは前記対象画像における表示位置の指定を受け付けると、前記表示位置を含むように前記点群基準データ及び前記点群対象データの表示を切り替える
付記1又は2に記載の損傷特定支援装置。
(付記5)
前記対象データと、前記点群基準データ及び前記基準画像を含む基準データとは、それぞれ点群データを取得する光センサと、カメラ画像を取得するカメラとを有する撮像装置を、前記対象物の周囲を移動させながら繰り返し点群データとカメラ画像との収集を行うことにより得られたデータであり、
前記損傷特定支援装置は、さらに、
前記対象データに含まれる前記点群対象データの座標値と、前記基準データに含まれる前記点群基準データの座標値とを、指定位置を基準とする座標値に変換する座標変換部
を備える付記1から4までのいずれか1項に記載の損傷特定支援装置。
(付記6)
前記損傷特定支援装置は、さらに、
前記対象画像と前記基準画像とを比較して変化が基準量以下の未変化位置を特定する未変化位置特定部
を備え、
前記座標変換部は、前記未変化位置特定部によって特定された前記未変化位置を前記指定位置として、前記点群対象データの座標値と前記点群基準データの座標値とを変換する付記5に記載の損傷特定支援装置。
(付記7)
前記損傷特定支援装置は、さらに、
前記座標変換部によって変換された後の座標値を用いて前記点群対象データと前記点群基準データとを比較して、差分がある差分箇所を特定する差分特定部
を備え、
前記表示部は、前記差分特定部によって特定された前記差分箇所を表示する
付記5又は6に記載の損傷特定支援装置。
(付記8)
前記表示部は、前記点群対象データと前記対象画像と前記点群基準データと前記基準画像とに、前記差分特定部によって特定された前記差分箇所を示して表示する
付記7に記載の損傷特定支援装置。
(付記9)
前記差分特定部は、
前記対象物の領域を分割した複数のボクセルを、前記点群対象データの点が含まれるボクセルと前記点群対象データの点が含まれないボクセルとに分けることにより、前記点群対象データに対応するボクセルデータであるボクセル対象データを生成するボクセル化部と、
前記ボクセル化部によって生成された前記ボクセル対象データを、前記点群基準データに対応するボクセルデータであるボクセル基準データであって、前記複数のボクセルを、前記点群基準データの点が含まれるボクセルと前記点群対象データの点が含まれないボクセルとに分けることにより生成されたボクセル基準データと比較して、ボクセル単位で差分がある差分箇所を特定するボクセル比較部と
を備える付記7又は8に記載の損傷特定支援装置。
(付記10)
前記損傷特定支援装置は、さらに、
前記対象画像と前記基準画像とを比較して、前記基準画像には存在せず前記対象画像には存在する損傷である新規損傷を特定する損傷特定部
を備え、
前記表示部は、前記損傷特定部によって特定された前記新規損傷の箇所を表示する
付記1から9までのいずれか1項に記載の損傷特定支援装置。
(付記11)
コンピュータが、対象物に照射光を照射して反射点で反射した反射光を受信することにより得られた点群データである点群対象データと、前記対象物を撮影して得られたカメラ画像である対象画像とを含む対象データを取得し、
コンピュータが、前記対象データに含まれる前記点群対象データ及び前記対象画像を表示するとともに、前記点群対象データと前記対象画像とに、前記対象物の基準となる点群データである点群基準データと、前記対象物の基準となるカメラ画像である基準画像とを対比して表示する損傷特定支援方法。
(付記12)
対象物に照射光を照射して反射点で反射した反射光を受信することにより得られた点群データである点群対象データと、前記対象物を撮影して得られたカメラ画像である対象画像とを含む対象データを取得するデータ取得処理と、
前記データ取得処理によって取得された前記対象データに含まれる前記点群対象データ及び前記対象画像を表示するとともに、前記点群対象データと前記対象画像とに、前記対象物の基準となる点群データである点群基準データと、前記対象物の基準となるカメラ画像である基準画像とを対比して表示する表示処理と
を行う損傷特定支援装置としてコンピュータを機能させる損傷特定支援プログラム。
【0083】
以上、本開示の実施の形態及び変形例について説明した。これらの実施の形態及び変形例のうち、いくつかを組み合わせて実施してもよい。また、いずれか1つ又はいくつかを部分的に実施してもよい。なお、本開示は、以上の実施の形態及び変形例に限定されるものではなく、必要に応じて種々の変更が可能である。
【符号の説明】
【0084】
10 損傷特定支援装置、11 プロセッサ、12 メモリ、13 ストレージ、14 通信インタフェース、21 データ取得部、22 表示部、23 座標変換部、24 未変化位置特定部、25 差分特定部、26 ボクセル化部、27 ボクセル比較部、28 損傷特定部、31 基準データ、311 点群基準データ、312 基準画像、32 対象データ、321 点群対象データ、322 対象画像、40 撮像装置、41 光センサ、42 カメラ。
【要約】
【課題】査定員が修理工場に出向かずに、遠隔地から修理費用の見積もりの妥当性を適切に検証可能にする。
【解決手段】データ取得部21は、対象物に照射光を照射して反射点で反射した反射光を受信することにより得られた点群データである点群対象データと、対象物を撮影して得られたカメラ画像である対象画像とを含む対象データを取得する。表示部22は、対象データに含まれる点群対象データ及び対象画像を表示するとともに、点群対象データと対象画像とに、対象物の基準となる点群データである点群基準データと、対象物の基準となるカメラ画像である基準画像とを対比して表示する。
【選択図】図1
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17