IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社岡村製作所の特許一覧

<>
  • 特許-送風手段 図1
  • 特許-送風手段 図2
  • 特許-送風手段 図3
  • 特許-送風手段 図4
  • 特許-送風手段 図5
  • 特許-送風手段 図6
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-17
(45)【発行日】2024-10-25
(54)【発明の名称】送風手段
(51)【国際特許分類】
   F25D 21/04 20060101AFI20241018BHJP
   A47F 3/04 20060101ALI20241018BHJP
【FI】
F25D21/04 V
A47F3/04 H
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2023178876
(22)【出願日】2023-10-17
(62)【分割の表示】P 2022030999の分割
【原出願日】2019-02-06
(65)【公開番号】P2023181247
(43)【公開日】2023-12-21
【審査請求日】2023-11-13
(73)【特許権者】
【識別番号】000000561
【氏名又は名称】株式会社オカムラ
(74)【代理人】
【識別番号】100098729
【弁理士】
【氏名又は名称】重信 和男
(74)【代理人】
【識別番号】100204467
【弁理士】
【氏名又は名称】石川 好文
(74)【代理人】
【識別番号】100148161
【弁理士】
【氏名又は名称】秋庭 英樹
(74)【代理人】
【識別番号】100195833
【弁理士】
【氏名又は名称】林 道広
(72)【発明者】
【氏名】深野 竜志
(72)【発明者】
【氏名】森 大地
(72)【発明者】
【氏名】山下 翔平
【審査官】西山 真二
(56)【参考文献】
【文献】実開昭51-134261(JP,U)
【文献】特開2008-093250(JP,A)
【文献】特開2008-029410(JP,A)
【文献】特開2017-136362(JP,A)
【文献】特開平10-232080(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47F 3/04
F25D 11/00
F25D 17/06 - 17/08
F25D 21/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
透光パネルが設けられ、商品陳列部に冷気を循環させる冷凍・冷蔵ショーケースの該商品陳列部を囲うケース本体の上部の側端部取り付けられる送風手段であって、
前記送風手段は、幅方向に長い外形の送風手段本体と内部に幅方向に長いクロスフローファンとを有するものであり、
前記送風手段本体は、上方に外気を吸入する吸入口と下方に前記ケース本体の側板に沿って外気を吹出す吹出口を有することを特徴とする送風手段。
【請求項2】
前記吸口は前記ケース本体の上面よりも上方に設けられていることを特徴とする請求項1に記載の送風手段。
【請求項3】
前記送風手段本体は、前記透光パネルが設けられた前記ケース本体の上部側端部に取り付けられるものであり、
前記吹出口は、前記送風手段本体の下方に形成され、前記ケース本体よりも外側に張り出して配置可能であることを特徴とする請求項1または2に記載の送風手段。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、冷凍・冷蔵ショーケースに設けられる送風手段に関する。
【背景技術】
【0002】
冷凍・冷蔵ショーケースは、スーパーマーケット、コンビニエンスストア、デパート等の食品売場等に設置され、商品陳列部に設けられた棚に冷却が必要な日配食品や生鮮食料品等が陳列され、該商品陳列部に冷気が循環されることで冷凍・冷蔵ショーケース内が低温に保たれるようになっている。
【0003】
このような冷凍・冷蔵ショーケースには、商品陳列部の商品が冷凍・冷蔵ショーケースの側面からでも消費者が視認できるように側板に視認性の良い透光性パネルを設けたものや、販売員が商品を背面側から取り出せるように透光性パネルを有す背面扉を設けた冷凍・冷蔵ショーケースがある。このような透光性パネルを有す冷凍・冷蔵ショーケースにあっては、冷却室と外気の温度差が大きい夏場や温暖な地域において、背面扉や側板の透光パネルに結露が発生し、結露水で床や周辺物品を汚損してしまう問題があった。
【0004】
このような結露の発生を抑える技術として、特許文献1に示される技術がある。この特許文献1に示されている冷凍・冷蔵ショーケースは、商品を陳列し保冷可能な陳列室を備える冷却ケース部の下方に備えられている機械室から、機械室内の空気を上方に向かって排気する排気口を備えており、機械室内の凝縮器を空冷した後の暖気を冷却ケース部の背面側へ通過させ、冷却ケース部の背面側に備えられた透光性パネルからなる背面扉を加熱させることで、結露の発生を抑制できるようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開平10-232080号公報(第2頁、第2図)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、このような特許文献1の技術にあっては、冷却ケース部の背面扉に機械室からの暖気を当てることで背面扉を加熱し結露の発生を抑制できるようになっているが、背面扉に向けて排出される暖気が冷却ケース部の内部空間の温度を上昇させてしまい、冷却が必要な商品に悪影響を及ぼす虞があった。
【0007】
本発明は、このような問題点に着目してなされたもので、冷却室内の冷却が必要な商品に悪影響を与えることなく、透光パネルの結露の発生を防ぐ冷凍・冷蔵ショーケースに設けられる送風手段を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記課題を解決するために、送風手段は、
透光パネルが設けられ、商品陳列部に冷気を循環させる冷凍・冷蔵ショーケースの該商品陳列部を囲うケース本体の上部の側端部取り付けられる送風手段であって、
前記送風手段は、幅方向に長い外形の送風手段本体と内部に幅方向に長いクロスフローファンとを有するものであり、
前記送風手段本体は、上方に外気を吸入する吸入口と下方に前記ケース本体の側板に沿って外気を吹出す吹出口をことを特徴としている。
前記吸口は前記ケース本体の上面よりも上方に設けられていることを特徴としている。
前記送風手段本体は、前記透光パネルが設けられた前記ケース本体の上部側端部に取り付けられるものであり、
前記吹出口は、前記送風手段本体の下方に形成され、前記ケース本体よりも外側に張り出して配置可能であることを特徴としている。
冷凍・冷蔵ショーケースは、
商品陳列部に冷気を循環させる冷凍・冷蔵ショーケースであって、
前記商品陳列部を囲う少なくとも一方の側板を構成する透光パネルの外表面に沿って外気を送風可能な送風手段が配設されていることを特徴としている。
この特徴によれば、送風手段から透光パネルの外表面に沿って常時外気が送風されているので、透光パネルの外表面に沿って流れる外気は透光パネル外表面に結露が発生する前に透光パネルから離れ、透光パネルの結露の発生を防ぐことができる。このように外気を利用して結露を防ぐようになっているため透光パネルが温められることなく、冷却室内の冷却が必要な商品に悪影響を与えることがない。
また、冷凍・冷蔵ショーケースは、
側板に透光パネルが設けられ、商品陳列部に冷気を循環させる冷凍・冷蔵ショーケースであって、
前記商品陳列部を囲う少なくとも一方の側板の上部かつ外表面に送風手段が配置されており、
該送風手段は、下方に前記側板の外表面と略平行に外気を吹出す吹出口を有し、
前記吹出口は前記透光パネルよりも上方に離れて位置していることを特徴としている。
前記吹出口は、送風手段本体における側板側に設けられていることを特徴としている。
前記冷凍・冷蔵ショーケースは前面が開放されており、
前記送風手段は、前記透光パネルの前端よりも後方に位置していることを特徴としている。
前記送風手段は、幅方向に長い外形であって、内部に幅方向に長いクロスフローファンを有していることを特徴としている。
【0009】
前記送風手段の外気吹出口は、前記透光パネルに沿って幅広に延設されていること特徴としている。
この特徴によれば、透光パネルの広い範囲に亘って結露の発生を抑制することができる。
【0010】
前記送風手段は、該送風手段の筐体内に羽根車が軸支されており、前記羽根車は透光パネルに対して幅方向に延びて形成されていること特徴としている。
この特徴によれば、幅方向に延びる羽根車によって透光パネルの広い範囲に亘って均等に送風が可能なため、透光パネルに対して広い範囲に亘ってムラなく結露の発生を抑制することができる。
【0011】
前記側板には、内側に凹む段部を介して透光パネルが取り付けられており、前記側板に沿うように前記送風手段の吹き出し口から外気を送風可能になっていることを特徴としている。
この特徴によれば、側板に沿って流れる外気が、前記内側に凹む段部で渦流となり、外気を常時透光パネル側に引き寄せるため透光パネルの外表面に外気を近接させて送風させることができる。
【0012】
前記送風手段は、送風方向を変更可能な風向指向機構を備えることを特徴としている。
この特徴によれば、透光パネルの結露の発生しやすい箇所に向けて送風させることができる。
【0013】
前記送風手段は、係止手段を介して前記側板の外表面に着脱可能に配設されていることを特徴としている。
この特徴によれば、結露が発生する季節や、結露が発生する冷凍・冷蔵ショーケースに送風手段を取り付けることができる。
【0014】
前記送風手段は、前記側板の上方に取り付けられることを特徴としている。
この特徴によれば、冷凍・冷蔵ショーケースの美観を損ねることなく、送風手段を設置することができ、透光パネルの結露を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】本発明の実施例1における冷蔵ショーケースを示す斜視図である。
図2】冷蔵ショーケースの構造を示す側面から見た側断面図である。
図3】送風手段の分解斜視図である。
図4】送風手段の送風範囲を示す側面図である。
図5】送風手段が取り付けられた冷蔵ショーケースの断面により透光パネルへの送風径路を示す模式図である。
図6】本発明の実施例2における送風手段が組み込まれた冷蔵ショーケースの断面により透光パネルへの送風径路を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本発明に係る冷凍・冷蔵ショーケースを実施するための形態を実施例に基づいて以下に説明する。
【実施例1】
【0017】
実施例1に係る冷凍・冷蔵ショーケースにつき、図1から図5を参照して説明する。以下、図2の紙面左側を冷凍・冷蔵ショーケースの正面側(前方側)とし、その前方側から見たときの上下左右方向を基準として説明する。尚、実施例1においては、前面側が開放されたオープンタイプの冷蔵ショーケースとして説明する。尚、ショーケースは、クローズドタイプや冷凍するものであってもよい。
【0018】
本実施例の冷蔵ショーケース1は、スーパーマーケット、コンビニエンスストア等において日配食品や生鮮食料品等の商品を保冷した状態で陳列するために設置される。図1に示されるように、冷蔵ショーケース1は、上方に設けられ商品(図示略)が冷却・収納される保冷室20を備えるケース本体2と、該ケース本体2の両側部に装着される側板体3,3’と、側板体3,3’の上方部に着脱自在に取り付けられる送風手段40,40’と、から主に構成されている。側板体3は、詳しくは後述する透光パネル50(ガラス板)が装着された窓部5を備え、窓部5を介して庫外から庫内を視認可能に構成されている。尚、側板体3’及び図示しない送風手段40’については、側板体3及び送風手段40を略左右反転に形成した略同一構成のものであるため、詳しい説明については省略する。
【0019】
更に尚、冷蔵ショーケース1は左右に複数並べられて設置でき、この場合冷蔵ショーケース1同士の対向部における側板体3及び送風手段40は省略される。つまり、冷蔵ショーケース1が左右に複数並べられる場合には、左右両端に配置される冷蔵ショーケース1の片側の側部に側板体3及び送風手段40がそれぞれ装着され、冷蔵ショーケース1が単独で配置される場合には、冷蔵ショーケース1の両側部に側板体3,3’と送風手段40,40’とが装着される。
【0020】
図2に示されるように、ケース本体2は、前面(図の左方)が開放された側面視略コ字形をなす断熱構造の外箱21と、その内方に配置され、同じく前面が開放された側面視略コ字形の内箱22と、からなり、内箱22の内方の空間が保冷室20となっている。内箱22の背面部22aには、前後に延びるブラケット20b,20b,…の後端が取付けられており、ブラケット20b,20b,…の上に棚板20a,20a,…が配設されている。これら各棚板20a,20a,…と内箱22の底部22bとの上面に、商品(図示略)が陳列されるようになっている。
【0021】
外箱21と内箱22との間には、冷気循環経路23が形成され、この冷気循環経路23の鉛直部と水平底部には、それぞれ蒸発器24aと送風機24bが設置されている。蒸発器24aは、その周囲の空気を冷却することができるようになっている。また、蒸発器24aの前面側には、断熱材24cが設けられており、蒸発器24aと内箱22を介した保冷室20側との熱交換が抑えられている。ケース本体2の上部の前端には、冷気循環経路23と連通する冷気吹出口23aが斜め前方下向きに形成され、またケース本体2の下部の前端には、上方に開口する冷気の吸込口23bが形成されている。
【0022】
送風機24bを作動させると、蒸発器24aにより冷却された冷気は、矢印のように、冷気循環経路23内を上方に向かって流れ、冷気吹出口23aより、下方の吸込口23bに向かって吹き出される。これにより、ケース本体2の前面の開放面に冷気のエアカーテン25が形成されるとともに、その冷気の一部が保冷室20内に流入することにより、陳列商品が保冷されるようになる。
【0023】
図1に示されるように、側板体3は、冷蔵ショーケース1の前面側に開口され側面視において下端部が水平形状にされたD字状に切欠かれた切欠き部4aを備える側板本体4と、ガラス板、アクリル板等からなり側板本体4の切欠き部4aに嵌合される透光パネル50とから主に構成され、側板本体4の上端には送風手段40が取り付けられている。透光パネル50が設けられた箇所は窓部5となっており、窓部5を介して庫外から庫内を視認可能となっている。また、側板本体4が透光パネル50より幅方向に厚く形成されていることから側板本体4と透光パネル50との境界に後述する段部Dが形成されている。以降、送風手段40について詳しく説明する。
【0024】
図3に示されるように送風手段40は、カバー41と、ファン42と、背面板43とから主に構成されている。カバー41は樹脂により成形されており、略コ字状のカバー本体41aと、カバー本体41aを左右方向から挟持するように配置されカバー本体41aに側方から取り付けられる側板41b,41b’と、カバー本体41aの背面側下方に取り付けられる略L字状の仕切部材41cと、から主に構成されている。カバー本体41aには、上下方向に延びる多数のスリットSがカバー本体41aの前面板部の上方から中央の位置と前面と前面板部と下面板部との湾曲部に左右に亘って全体として3本の帯状に形成されている。
【0025】
ファン42は、羽根車42aと、羽根車42aを軸支するケーシング42cと、羽根車42aを回転させるモータ及び給電コードを備える駆動ユニット42bと、から主に構成されている。羽根車42aは、ケーシング42cに軸支される軸42dと、軸42dから放射状に延びて形成されているフィン42eから構成されている。また、カバー本体41aに設けられている電源ボタンPを押下することで駆動ユニット42bが起動し、羽根車42aが時計回りに回転するようになっている。
【0026】
背面板43は、風向指向機構としてのルーバ43aと、間隙調整板43bと、から主に構成されている。ルーバ43aは、略L字形状に形成され背面板43の正面側下端に取り付けられる。間隙調整板43bには、円弧状の孔が幅方向に亘って縦列されて形成されており、ルーバ43aの上方に取り付けられ、仕切部材41cに当接して吹出し口Fの短手方向の長さである間隙を調整するとともに、使用者の指先がファン42へ接触しないようになっている。背面板43の背面側には、着脱部材44,44が取り付けられ、送風手段40が側板本体4の外表面へ取り付けられた受け部材(図示せず)に嵌合させることで着脱自在に取り付けられるようになっている。また、背面板43の下方には、吹出し口Fが形成されており、透光パネル50に対して幅方向に延びて形成されている。尚、カバー41は、樹脂製のみに限られず金属製としてもよい。
【0027】
送風手段40は、クロスフローファンであって幅方向に均一に外気を送風するものであり、幅方向に延びる羽根車42aが回転することでカバー本体41aのスリットSから吸い込んだ外気を、背面板43下方の吹出し口Fから吐出するようにカバー41内において空路が形成されている。ルーバ43aは、背面板43の下方からアクセス可能となっており、ルーバ43aの上方側(部分拡大図参照)の端部がビスにより軸支されビスを中心に左右へ回動可能になっている。ルーバ43aの向きをそれぞれ調整することで羽根車42aから吐出された風の向きを調整し、送風手段40から外部に送風される風向及び範囲を調整できるようになっている。
【0028】
図4は、冷蔵ショーケース1の側板本体4の上方に取り付けられた送風手段40の電源ボタンPを押下し、送風手段40を起動させた図を示している。吹出し口Fから送風される外気は、吹出し口Fが幅方向に広がって形成されていることと、ルーバ43aが幅方向へより外気を拡散させることから、上方から下方へ向けて略扇状に吐出されるようになっている。更に、ルーバ43aを操作することにより、結露の発生している箇所へ向けて送風を集中的に誘導させることもできるようになっている。また、側板本体4と透光パネル50との境目に形成されている内方側へ凹む段部Dには、送風手段40によって上方から外気が送風されることで内方側へ回転する渦流Uが発生するようになっている。
【0029】
図5に示されるように、送風手段40を起動させると羽根車42aが後方から見て時計回りに回転することで、カバー本体41aのスリットSから外気が吸込まれ、吹出し口Fから透光パネル50に沿って送風するようになっている。送風手段40により外気を透光パネル50に沿って送風し続けることで、透光パネル50外表面近傍に滞留する空気が結露してしまう前に、側板本体4の下方へ送り出すようになっている。
【0030】
詳しくは、吹出し口Fから送風された外気は、側板本体4に沿って下方に流れ、その後側板本体4と透光パネル50との境目に形成されている段部Dへ接近すると、段部Dは庫内側である内方側へ凹む形状となっていることから、内方側へ巻き込まれるように回転する渦流Uを発生させるようになっている。(部分拡大図参照)。この渦流Dが発生することにより、側板本体4の外表面を伝って吹き降ろされてきた外気が、透光パネル50側へ引き寄せられるようになる。渦流Uに引き寄せられた外気は、透光パネル50の外表面を伝わり透光パネル50の最下端まで移動する。その後、庫外側である外方側へ突出する下方側の側板本体4へ移動され、順次床面まで吹き降ろされるようになっている。
【0031】
上述したように、送風手段40は冷蔵サイクルの動作とは独立して動作するものであり、吹出し口Fから送風された外気が透光パネル50に沿って常に吹き降ろされることから、透光パネル50の外表面付近に空気が滞留し結露が発生することを防止させるようになっている。
【0032】
また、送風手段40が上方から下方に向けて吹き降ろされることから、送風された空気は下方に行くほど、透光パネル50の外表面付近で冷やされ、さらに状況によっては湿気を帯びて水分量が増すことで、比重が大きくなり、透光パネル50の下方側にスムーズに移動する。これにより、透光パネル50には上方から下方に亘って安定的に送風手段40からの送風が吹き降ろされることとなる。
【0033】
加えて、送風手段40から送風される風温は、外気温と略同じであるため、過度に透光パネル50を加熱させることがなく、冷蔵ショーケース1に陳列されている冷却が必要な生鮮食品や日配食品に悪影響を与えることが無い。
【0034】
このように、ケース本体2を囲う少なくとも一方の側板体3を構成する透光パネル50の外表面に沿って外気を送風可能な送風手段40が配設されていることから、送風手段40から送風された外気は透光パネル50の外表面に沿って流れ該透光パネル50の外表面に結露が発生する前に透光パネル50から離れ、すなわち送風手段40から透光パネル50の外表面に沿って常時外気が送風されているので、透光パネル50の結露の発生を防ぐことができる。このように外気温を利用して結露を防ぐようになっているため透光パネル50が温められることなく、冷却室内の冷却が必要な商品に悪影響を与えることがない。
【0035】
また、送風手段40の吹出し口Fは、透光パネル50に沿って幅広に延設されていることから、透光パネル50の広い範囲に亘って結露の発生を抑制することができる。
【0036】
また、送風手段40は、送風手段40のケーシング42c内に羽根車42aが軸支されており、羽根車42aは透光パネル50に対して幅方向に延びて形成されていることから、幅方向に延びる羽根車42aによって透光パネル50の広い範囲に亘って均等に送風が可能なため、透光パネル50に対して広い範囲に亘ってムラなく結露の発生を抑制することができる。
【0037】
また、側板体3には、内側に凹む段部Dを介して透光パネル50が取り付けられており、側板体3に沿うように送風手段40の吹出し口Fから外気を送風可能になっていることから側板体3に沿って流れる外気が、内側に凹む段部Dで渦流Uとなり、側板体3に沿って流れる外気を常時透光パネル50側に引き寄せるため透光パネル50の外表面に外気を近接させて送風させることができる。
【0038】
また、送風手段40は、送風方向を変更可能なルーバ43aを備えることから、結露の発生しやすい透光パネル50の外表面に向けて送風させることができる。
【0039】
また、送風手段40は、着脱部材44を介して側板体3の外表面に着脱可能に配設されていることから、結露が発生する季節や、結露が発生する冷蔵ショーケース1に送風手段40を取り付けることができる。
【0040】
また、送風手段40は、側板体3の上方に取り付けられることから、冷蔵ショーケース1の美観を損ねることなく、送風手段40を設置することができ、透光パネル50の結露を抑制することができる。
【実施例2】
【0041】
次に、実施例2に係るにつき、図6を参照して説明する。尚、前記実施例1に示される構成部分と同一構成部分については同一符号を付して重複する説明を省略する。
【0042】
図6に示されているように、実施例2の冷蔵ショーケース11は、実施例1の側板本体4の上端が一部切欠かれ、切欠き部14aが形成された側板14に変更されており、切欠き部14aに送風手段140が組み込まれた送風手段一体型の冷蔵ショーケース1となっている。
【0043】
送風手段140は、切欠き部14aに配置されていることから、吹出し口Fが送風手段140の左方側下方に形成されている。また、実施例2の羽根車142aは、図示しないモータと電源によって後方から見て反時計回りに回転するようになっており、外気をカバー141の上方に形成されたスリットSから吸引するようになっている。
【0044】
送風手段140のスリットSから吸引された外気は、カバー141内の空路を通過し、吹出し口Fから下方に向けて吹き降ろされるようになっている。実施例2の羽根車142aは反時計回りに回転するようになっているとともに吹出し口Fは側板本体14よりも左側に張り出して配置されているので、透光パネル50の外表面に沿って送風しやすくなっている。
【0045】
詳しくは、吹出し口Fから送風された外気は、側板本体14に沿って下方に流れ、その後側板本体14と透光パネル50との境目に形成されている段部Dへ接近すると、段部Dは庫内側である内方側へ凹む形状となっていることから、内方側へ巻き込まれるように回転する渦流Uを発生させるようになっている。(部分拡大図参照)。この渦流Dが発生することにより、側板本体14の外表面を伝って吹き降ろされてきた外気が、透光パネル50側へ引き寄せられるようになる。渦流Uに引き寄せられた外気は、透光パネル50の外表面を伝わり透光パネル50の最下端まで移動する。その後、庫外側である外方側へ突出する下方側の側板本体14の外表面へ移動され、順次床面まで吹き降ろされるようになっている。
【0046】
以上、本発明の実施例を図面により説明してきたが、具体的な構成はこれら実施例に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲における変更や追加があっても本発明に含まれる。
【0047】
例えば、前記実施例では、側板体3は、側板本体4と透光パネル50とで構成されていたが、側板本体4を用いることなく透光パネル50が側板全面に形成されていてもよい。
【0048】
また、送風手段40は、側板本体4の上方側に取り付けられ下方に向けて送風させることとして説明したが、側板本体4の下方側に送風手段40を取り付け、下方から上方に向けて送風することとしてもよい。また、側板本体4の後方側から前方側へ送風させることや、斜め方向から送風させることとしてもよく、側板本体4に取付部材を介して送風手段40を取り付け、側板本体4から離間した位置より透光パネル50に向けて送風させることとしてもよい。
【0049】
また、送風手段40は、クロスフローファンであると説明したが、プロペラファン、ブロア、等で構成してもよい。
【0050】
また、送風手段40は、1つの側板本体4に対して1つ配設されることとして説明したが、この限りではなく、複数配設されることとしてもよい。
【符号の説明】
【0051】
1 冷蔵ショーケース(冷凍・冷蔵ショーケース)
2 ケース本体
3,3’ 側板体
4 側板本体
14a 切欠き部
40 送風手段
41 カバー
42 送風器
42a 羽根車
42b 駆動ユニット
42c ケーシング(筐体)
43 背面板
43a ルーバ(風向指向機構)
44 着脱部材(係止手段)
50 透光パネル
D 段部
F 吹出し口
S スリット
U 渦流
図1
図2
図3
図4
図5
図6