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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-17
(45)【発行日】2024-10-25
(54)【発明の名称】足関節リハビリテーション装置
(51)【国際特許分類】
   A61H 1/02 20060101AFI20241018BHJP
【FI】
A61H1/02 N
【請求項の数】 14
(21)【出願番号】P 2023505398
(86)(22)【出願日】2022-10-21
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2024-07-18
(86)【国際出願番号】 CN2022126698
(87)【国際公開番号】W WO2023236414
(87)【国際公開日】2023-12-14
【審査請求日】2023-01-24
(31)【優先権主張番号】202210633537.6
(32)【優先日】2022-06-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】523027094
【氏名又は名称】鄭州安傑▲らい▼智能科技有限公司
(74)【代理人】
【識別番号】110001519
【氏名又は名称】弁理士法人太陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】汪建輝
(72)【発明者】
【氏名】陳建偉
(72)【発明者】
【氏名】李魯亞
(72)【発明者】
【氏名】楊森
【審査官】山田 裕介
(56)【参考文献】
【文献】特開2003-038589(JP,A)
【文献】特開2018-075063(JP,A)
【文献】特開2005-237762(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61H 1/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
脚受け手段と、支持フレームと、センサアッセンブリーと、制御手段と、モータとを備え、前記脚受け手段は、前記支持フレームに設置され、モータの軸に対する円周方向に沿って支持フレームに対して運動可能に前記支持フレームに可動に接続され、前記センサアッセンブリーおよび前記モータは、前記脚受け手段に設置されるとともに、それぞれ前記制御手段と通信接続し、
前記脚受け手段は、患者の脚部を支持するためのものであり、
前記センサアッセンブリーは、前記患者の実際運動パラメータを検出し、前記実際運動パラメータを前記制御手段に送信するように構成され、前記実際運動パラメータは、前記患者の足関節運動能力を表すためのものであり、
前記制御手段は、前記実際運動パラメータおよび前記患者の目標リハビリテーション計画に対応するアプリケーション運動パラメータに基づいて、前記患者に適する運動命令を生成し、前記運動命令を前記モータに送信するように構成され、
前記制御手段は、比較モジュールと調整モジュールとをさらに含み、
前記比較モジュールは、前記実際運動パラメータおよび前記アプリケーション運動パラメータに基づいてパラメータ差異を確定するように構成され、
前記調整モジュールは、前記パラメータ差異が差異閾値よりも大きい場合、前記実際運動パラメータに基づいて前記アプリケーション運動パラメータを調整するように構成され、
前記モータは、前記患者の脚部に対してリハビリテーションを行うように、前記制御手段から送信される前記運動命令に従って前記脚受け手段を運動駆動するように構成される
ことを特徴とする足関節リハビリテーション装置。
【請求項2】
前記患者の実際運動パラメータは、前記患者の運動中の運動角度および電流を含み、
前記センサアッセンブリーは、角度センサとモータ電流センサとを含み、
前記角度センサは、前記患者の運動中の運動角度を取得するように構成され、
前記モータ電流センサは、前記患者の運動中の、モータに対応するモータ電流を取得するように構成される
ことを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記運動角度は、底背屈角度、内外転角度および内外がえし角度の少なくとも1つを含み、
前記角度センサは、底背屈角度センサ、内外転角度センサおよび内外がえし角度センサの少なくとも1つを含む
ことを特徴とする請求項2に記載の装置。
【請求項4】
前記モータ電流は、底背屈モータ電流、内外転モータ電流および内外がえしモータ電流の少なくとも1つを含み、
前記モータ電流センサは、底背屈モータ電流センサ、内外転モータ電流センサおよび内外がえしモータ電流センサの少なくとも1つを含む
ことを特徴とする請求項2に記載の装置。
【請求項5】
前記制御手段は、角度変換モジュールと電流変換モジュールとを含み、
前記角度変換モジュールは、前記運動角度に対して座標系変換を行って前記患者の関節可動域を得るように構成され、
前記電流変換モジュールは、検出電流およびベースライン電流に基づいて前記患者の筋力を得るように構成され、前記ベースライン電流は、前記患者の脚が前記足関節リハビリテーション装置に置かれているかつ前記足関節リハビリテーション装置が運動していないときに生じた電流であり、前記検出電流は、前記患者が力を入れるときおよび/または前記足関節リハビリテーション装置が患者の脚を動かすように運動する過程に生じた電流である
ことを特徴とする請求項2に記載の装置。
【請求項6】
前記患者の筋力は、患者の筋力=(検出電流-ベースライン電流)トルク係数*筋力係数の式に従って算出する
ことを特徴とする請求項5に記載の装置。
【請求項7】
前記アプリケーション運動パラメータを調整するとき、各パラメータの最適化係数をaにし、ただし、i=1、2、3…、
【数5】


は、前回に前記アプリケーション運動パラメータを調整したあと最初に検出したアプリケーション運動パラメータの値であり、xは、前回に前記アプリケーション運動パラメータを調整したあと最後に検出したアプリケーション運動パラメータの値であり、
あるいは、
【数6】


は、前回に前記アプリケーション運動パラメータを調整したあと最初に検出したアプリケーション運動パラメータの値であり、xは、前回に前記アプリケーション運動パラメータを調整したあと最後に検出したアプリケーション運動パラメータの値であり、xは、機械学習により取得した各アプリケーション運動パラメータに対する二次補正パラメータであり、j=1、2、3…であり、前記アプリケーション運動パラメータは、現在の実際運動パラメータにaを掛けた値に等しい
ことを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項8】
前記制御手段は、前記実際運動パラメータと前記アプリケーション運動パラメータとを予め訓練した機械学習モデルに入力し、前記機械学習モデルにより出力される補正後のアプリケーション運動パラメータを得るように構成される機械学習モジュールをさらに備える
ことを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項9】
前記制御手段は、前記実際運動パラメータに基づいて既定処方から前記アプリケーション運動パラメータを取得するように構成される処方選択モジュールをさらに備え、前記既定処方は、既定運動動作、既定運動最大角度、既定動作繰り返し回数および既定動作順序の少なくとも1つを含む
ことを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項10】
前記制御手段は、リハビリトレーナーの現場指導過程の指導データを取得し、前記指導データに基づいて前記実際運動パラメータに適合するアプリケーション運動パラメータを取得するように構成される指導モジュールをさらに備え、前記指導データは、前記リハビリトレーナーが前記患者に対してリハビリテーションを行う過程における前記リハビリトレーナーが前記脚受け手段を持って動かすときの前記脚受け手段の運動の角度、運動軌跡、角速度および力の大きさの少なくとも1つを含む
ことを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項11】
前記制御手段は、力アシストモジュールをさらに備え、
前記力アシストモジュールは、前記リハビリトレーナーの現場指導過程において、前記モータにより前記脚受け手段を運動駆動するように、前記モータに前記リハビリトレーナーの操作方向と同じ方向の所定力をかけるように構成され、
前記モータが前記脚受け手段の運動過程において受ける自身固定抵抗は前記所定力より小さい
ことを特徴とする請求項10に記載の装置。
【請求項12】
前記制御手段は、指導データモジュールをさらに備え、前記指導データモジュールが、関数曲線発生器と記憶モジュールとを含む
ことを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項13】
前記関数曲線発生器は、
検出時間周期および運動角度変化のデータに基づいて運動速度を算出するステップと、
フィルタリングした有効な底背屈角度、内外転角度、内外がえし角度、底背屈電流、内外転電流および内外がえし電流に基づいて、底背屈角度、内外転角度、内外がえし角度を含む総合的な運動軌跡曲線を生成するステップと、
フィルタリングした有効な底背屈電流、内外転電流、内外がえし電流のデータに基づいて運動軌跡曲線に電流の変化を組み込むステップと、
運動軌跡と速度の変化と力の変化を含む関数曲線を生成するステップとにより、関数曲線を生成する
ことを特徴とする請求項12に記載の装置。
【請求項14】
前記データ記憶モジュールは、
前記関数曲線発生器により生成された前記関数曲線からデータの抽出を行い、すなわち規定の時間間隔で一組のデータを抽出するステップと、
データに対して暗号化、校正を行ってコンピュータ記憶可能なデータファイルに変換するステップとにより、データを記憶する
ことを特徴とする請求項12に記載の装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、リハビリテーションの技術分野に属し、特に、足関節リハビリテーション装置に関する。
【0002】
関係出願の相互参照
本出願は、2022年06月06日に中国国家知識産権局に提出された、出願番号が202210633537.6であり、名称が「足関節リハビリテーション装置」である中国出願に基づいて優先権を主張し、その内容のすべては本出願に参照として取り込まれる。
【背景技術】
【0003】
従来の足関節リハビリテーション装置は、一般的に2種の方式あり、その1種は、リハビリトレーナーにより患者に対して足関節の手動リハビリテーションを行い、もう1種は、自動リハビリテーション機器により患者の足関節に対してリハビリテーションを行う。
【0004】
リハビリトレーナーによる手動リハビリテーション装置の場合、リハビリトレーナーによる手動リハビリテーションの効率が低く、労働強度が大きく、リハビリトレーナーが患者の状況に応じて手技を精確にコントロールすることが困難であるため、リハビリテーション効果もそれぞれである。自動リハビリテーション機器により患者に対する受動的なリハビリテーションを繰り返す場合、患者のリハビリテーションの進捗状況を適時に把握することができなく、パーソナライズおよびカスタマイズすることができなく、リハビリテーション効果に影響を与える。
【発明の概要】
【0005】
これに鑑みて、本出願は、患者のリハビリテーション効率およびリハビリテーション効果を向上させることができる足関節リハビリテーション装置を提供することを目的とする。
【0006】
本出願の実施例による足関節リハビリテーション装置は、脚受け手段と、支持フレームと、センサアッセンブリーと、制御手段と、モータとを備え、脚受け手段は、支持フレームに設置され、モータの軸に対する円周方向に沿って支持フレームに対して運動可能に支持フレームに可動に接続され、センサアッセンブリーおよびモータは、脚受け手段に設置されるとともに、それぞれ制御手段と通信接続し、脚受け手段は、患者の脚部を支持するためのものであり、
【0007】
センサアッセンブリーは、患者の実際運動パラメータを検出し、実際運動パラメータを制御手段に送信するように構成され、実際運動パラメータは、患者の足関節運動能力を表すためのものであり、制御手段は、実際運動パラメータおよび患者の目標リハビリテーション計画に対応するアプリケーション運動パラメータに基づいて、患者に適する運動命令を生成し、運動命令をモータに送信するように構成され、制御手段は、比較モジュールと調整モジュールとをさらに含み、
【0008】
比較モジュールは、実際運動パラメータおよびアプリケーション運動パラメータに基づいてパラメータ差異を確定するように構成され、調整モジュールは、パラメータ差異が差異閾値よりも大きい場合、実際運動パラメータに基づいてアプリケーション運動パラメータを調整するように構成され、モータは、患者の脚部に対してリハビリテーションを行うように、制御手段から送信される運動命令に従って脚受け手段を運動駆動するように構成される。
【0009】
任意で、上記の患者の実際運動パラメータは、患者の運動中の運動角度および電流を含み、センサアッセンブリーは、角度センサとモータ電流センサとを含み、角度センサは、患者の運動中の運動角度を取得するように構成され、モータ電流センサは、患者の運動中の、モータに対応するモータ電流を取得するように構成される。
【0010】
任意で、上記の運動角度は、底背屈角度、内外転角度および内外がえし角度の少なくとも1つを含み、角度センサは、底背屈角度センサ、内外転角度センサおよび内外がえし角度センサの少なくとも1つを含む。
【0011】
任意で、上記のモータ電流は、底背屈モータ電流、内外転モータ電流および内外がえしモータ電流の少なくとも1つを含み、モータ電流センサは、底背屈モータ電流センサ、内外転モータ電流センサおよび内外がえしモータ電流センサの少なくとも1つを含む。
【0012】
任意で、上記の制御手段は、角度変換モジュールと電流変換モジュールとを含み、角度変換モジュールは、運動角度に対して座標系変換を行って患者の関節可動域を得るように構成され、電流変換モジュールは、検出電流およびベースライン電流に基づいて患者の筋力を得るように構成され、ベースライン電流は、患者の脚が足関節リハビリテーション装置に置かれているかつ足関節リハビリテーション装置が運動していないときに生じた電流であり、検出電流は、患者が力を入れるときおよび/または足関節リハビリテーション装置が患者の脚を動かすように運動する過程に生じた電流である。
【0013】
任意で、上記の患者の筋力は、患者の筋力=(検出電流-ベースライン電流)トルク係数*筋力係数の式に従って算出する。
【0014】
任意で、前記アプリケーション運動パラメータを調整するとき、各パラメータの最適化係数をaにし、ただし、i=1、2、3…、
【数1】

は、前回にアプリケーション運動パラメータを調整したあと最初に検出したアプリケーション運動パラメータの値であり、xは、前回にアプリケーション運動パラメータを調整したあと最後に検出したアプリケーション運動パラメータの値であり、
あるいは、
【数2】

は、前回にアプリケーション運動パラメータを調整したあと最初に検出したアプリケーション運動パラメータの値であり、xは、前回にアプリケーション運動パラメータを調整したあと最後に検出したアプリケーション運動パラメータの値であり、xは、機械学習により取得した各アプリケーション運動パラメータに対する二次補正パラメータであり、j=1、2、3…であり、アプリケーション運動パラメータは、現在の実際運動パラメータにaを掛けた値に等しい。
【0015】
任意で、上記の制御手段は、実際運動パラメータとアプリケーション運動パラメータとを予め訓練した機械学習モデルに入力し、機械学習モデルにより出力される補正後のアプリケーション運動パラメータを得るように構成される機械学習モジュールをさらに備える。
【0016】
任意で、上記の制御手段は、実際運動パラメータに基づいて既定処方からアプリケーション運動パラメータを取得するように構成される処方選択モジュールをさらに備え、既定処方は、既定運動動作、既定運動最大角度、既定動作繰り返し回数および既定動作順序の少なくとも1つを含む。
【0017】
任意で、上記の制御手段は、リハビリトレーナーの現場指導過程の指導データを取得し、指導データに基づいて実際運動パラメータに適合するアプリケーション運動パラメータを取得するように構成される指導モジュールをさらに備え、指導データは、リハビリトレーナーが患者に対してリハビリテーションを行う過程におけるリハビリトレーナーが脚受け手段を持って動かすときの脚受け手段の運動の角度、運動軌跡、角速度および力の大きさの少なくとも1つを含む。
【0018】
任意で、上記の制御手段は、力アシストモジュールをさらに備え、力アシストモジュールは、リハビリトレーナーの現場指導過程において、モータにより脚受け手段を運動駆動するように、モータにリハビリトレーナーの操作方向と同じ方向の所定力をかけるように構成され、モータが脚受け手段の運動過程において受ける自身固定抵抗が所定力より小さい。
【0019】
任意で、上記の制御手段は、指導データモジュールをさらに備え、該指導データモジュールが、関数曲線発生器と記憶モジュールとを含む。
【0020】
任意で、上記の関数曲線発生器は、検出時間周期および運動角度変化のデータに基づいて運動速度を算出するステップと、フィルタリングした有効な底背屈角度、内外転角度、内外がえし角度、底背屈電流、内外転電流および内外がえし電流に基づいて、底背屈角度、内外転角度、内外がえし角度を含む総合的な運動軌跡曲線を生成するステップと、フィルタリングした有効な底背屈電流、内外転電流、内外がえし電流のデータに基づいて運動軌跡曲線に電流の変化を組み込むステップと、運動軌跡と速度の変化と力の変化を含む関数曲線を生成するステップとにより、関数曲線を生成する。
【0021】
任意で、上記のデータ記憶モジュールは、関数曲線発生器により生成された関数曲線からデータの抽出を行い、すなわち規定の時間間隔で一組のデータを抽出するステップと、データに対して暗号化、校正を行ってコンピュータ記憶可能なデータファイルに変換するステップとにより、データを記憶する。
【0022】
本出願の実施例は、足関節リハビリテーション方法をさらに提供し、該方法は、上記の足関節リハビリテーション装置に適用され、センサアッセンブリーにより患者の実際運動パラメータを検出するステップと、実際運動パラメータおよび患者が選択した目標リハビリテーション計画に対応するアプリケーション運動パラメータに基づいて、患者に適する運動命令を生成するステップと、モータが脚受け手段を運動駆動するようにモータを、運動命令を実行するように作動させることにより患者の脚部に対してリハビリテーションを行うステップと、を含み、実際運動パラメータは、前記患者の足関節の現時点の運動能力を表すためのものである。
【0023】
従来技術に比べて、本出願の実施例は、下記の有益な効果を有する。
【0024】
本出願の実施例による上記の足関節リハビリテーション装置は、センサアッセンブリーにより患者の実際運動パラメータを取得し、制御手段により実際運動パラメータおよびアプリケーション運動パラメータに基づいてパラメータ差異を確定し、パラメータ差異および実際運動パラメータに基づいて前記アプリケーション運動パラメータを調整して、運動命令を生成し、そして、モータが運動命令に従って脚受け手段を運動駆動することにより、患者の脚部に対してリハビリテーションを行う。リハビリテーションの過程において患者の現在の動き能力を考慮したため、リハビリテーションが患者自身の状況により適し、そしてリハビリテーションにおいて目標リハビリテーション計画に対応するアプリケーション運動パラメータも考慮したため、患者自身に適するとともにリハビリテーションの効率を兼ね、ユーザのリハビリテーション効果を効果的に向上させることができる。
【0025】
本開示の他の特徴および利点について、あとの部分で説明し、また、その一部が、明細書の説明または本開示に係る上記の技術を実施することにより明白になる。
【0026】
本開示の上記の目的、特徴および利点をより明瞭にするため、以下、好ましい実施例を挙げ、図面を参照しながら、詳細に説明する。
【0027】
本出願の具体的な実施形態または従来技術における技術案をより明瞭に説明するため、以下、具体的な実施形態または従来技術の説明に必要な図面を簡単に説明する。なお、説明する図面は本出願のいくつかの実施形態にすぎず、当業者は、発明能力を用いなくても、これらの図面をもとに他の図面を得ることも可能である。
【図面の簡単な説明】
【0028】
図1】足関節の背屈運動および底屈運動を示す模式図である。
図2】足関節の内転運動および外転運動を示す模式図である。
図3】足関節の内がえし運動および外がえし運動を示す模式図である。
図4】本出願の実施例による足関節リハビリテーション装置の模式的構成図である。
図5】本出願の実施例による足関節リハビリテーション装置の一実物例の模式的構成図である。
図6】本出願の実施例による足関節リハビリテーション方法のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0029】
本出願の実施例の目的、技術案および利点をより明瞭に説明するため、以下、図面を参照しながら本出願の技術案を明瞭かつ完全に説明する。なお、説明される実施例は、本出願の一部の実施例にすぎず、すべての実施例ではない。本出願の実施例をもとに、当業者は発明能力を用いることなく得たすべての他の実施例も、本出願の保護範囲に属する。
【0030】
従来の手動リハビリテーションの方法は、リハビリトレーナーによる手動治療の効率が低く、労働強度が大きく、そして、リハビリトレーナーが患者の状況に応じて手技を精確にコントロールすることが困難であるため、治療、リハビリテーションの効果にばらつきが生じる。リハビリトレーナーの手の感覚によりリハビリテーションを行うため、各方向における繰り返し動作は、それぞれ力の強さ、角度および軌跡を同様にすることが困難である。同一患者であっても、リハビリトレーナーによって、力の強さ、角度および軌跡を同様に保つことも困難である。従来の自動リハビリテーション機器の場合、手動でパラメータを設定することにより受動的なリハビリテーションを繰り返しており、パラメータの設定の合理性および訓練効果にばらつきが生じ、患者のリハビリテーションの進捗状況、可動域の変化などを適時に把握することができなく、患者のリハビリテーションの進捗状況に応じて訓練パラメータを適切に調整することができない。上記に鑑みて、本出願の実施例は、患者のリハビリテーション効率およびリハビリテーション効果を向上させることができる足関節リハビリテーション装置を提供する。
【0031】
以下、図1図3を参照しながら、本出願の実施例に関する足関節のいくつかの運動種類を解釈、説明する。
【0032】
図1は、足関節の背屈運動および底屈運動を示す。背屈および底屈は、脚部の運動方式を表すための2つの用語である。背屈とは、つま先を上げ、足背が脛の前面に近づく動作であり、すなわちつま先を持ち上げることである。底屈とは、つま先を下げ、足背が脛の前面を離れる動作であり、すなわちつま先をまっすぐに伸ばすことである。
【0033】
図2は、足関節の内転運動および外転運動を示す。内転および外転は、関節の動作可能な運動に関する解剖学用語である。内転とは、足の外側が側方向に体の正中面に近づく動作であり、外転とは、足の外側が側方向に体から離れる動作である。この2種の動作は、同一の運動平面で発生する。
【0034】
図3は、足関節の内がえし運動および外がえし運動の状態を示す。
【0035】
以下、本出願の実施例による足関節リハビリテーション装置を詳細に説明する。図4は、本出願の実施例による足関節リハビリテーション装置の模式的構成図である。該装置は、脚受け手段402と、支持フレーム404と、センサアッセンブリー406と、制御手段408と、モータ410とを備える。脚受け手段402は、支持フレーム404に設置され、モータの軸に対する円周方向に沿って支持フレーム404に対して運動可能に支持フレーム404に可動に接続される。センサアッセンブリー406およびモータ410は、脚受け手段402に設置されるとともに、それぞれ制御手段408と通信接続する。
【0036】
支持フレーム404は、地面または他の平面に固定可能な任意の支持用手段であり得る。脚受け手段402は、患者の脚部を支持するためのものである。脚受け手段402は、患者のそれぞれの足サイズに合わせるように大きさが調整可能のものにしてもよく、大部分の人の足サイズにも適用できる規定寸法のものにしてもよく、本出願の実施例では脚受け手段402の具体的な構造が限定されない。
【0037】
センサアッセンブリー406は、患者の実際運動パラメータを検出し、実際運動パラメータを制御手段408に送信するように構成される。実際運動パラメータは、患者の足関節運動能力を表すためのものである。リハビリテーションを行うたびに、患者の運動能力が変わるため、患者に対してリハビリテーションをより良好に行うように、該患者に対するリハビリテーションも運動能力に応じて調整する必要がある。したがって、本出願の実施例による足関節リハビリテーション装置は、センサアッセンブリー406により患者の実際運動パラメータを検出して制御手段に送信する。いくつかの例において、実際運動パラメータは、患者の足関節の角度を含んでもよく、患者の足関節の力の強さを含んでもよく、患者が運動するときの足関節の角速度などを含んでもよく、運動パラメータは、上記のパラメータのうちの1つであってもよく、上記のすべてのパラメータを含んでもよい。
【0038】
制御手段408は、実際運動パラメータおよび患者の目標リハビリテーション計画に対応するアプリケーション運動パラメータに基づいて、患者に適する運動命令を生成し、運動命令をモータ410に送信するように構成される。具体的に、上記のアッセンブリーおよびデバイスのほか、本出願の実施例による足関節リハビリテーション装置は、メモリをさらに備え、該メモリに複数のリハビリテーション計画が記憶されており、複数のリハビリテーション計画が、リハビリトレーナーの指導データであってもよく、該患者が今までの複数回のリハビリテーション過程において選択したリハビリテーション計画であってもよい。患者の目標リハビリテーション計画は、指導データまたは過去のリハビリテーション計画から選択されるリハビリテーション計画であってもよく、制御手段が患者の前回の運動状況に基づいて自動的に選択するリハビリテーション計画であってもよい。
【0039】
いくつかの実施可能な実施形態において、上記の制御手段は、角度変換モジュールと電流変換モジュールとを含む。角度変換モジュールは、運動角度に対して座標系変換を行って患者の関節可動域を得るように構成される。電流変換モジュールは、検出電流およびベースライン電流に基づいて患者の筋力を得るように構成される。ベースライン電流は、患者の脚が足関節リハビリテーション装置に置かれているかつ足関節リハビリテーション装置が運動していないときに生じた電流であり、検出電流は、患者が力をいれるときおよび/または足関節リハビリテーション装置が患者の脚を動かすように運動する過程に生じた電流である。
【0040】
センサアッセンブリーにより底背屈角度、内外転角度、内外がえし角度、底背屈電流、内外転電流、内外がえし電流を検出したあと、制御手段により上記の角度および電流に対して分析、計算を行う。
【0041】
角度について、底背屈角度、内外転角度、内外がえし角度を座標系変換により患者の足関節の関節可動域に変換する。
【0042】
モータ電流について、底背屈電流、内外転電流、内外がえし電流を計算により患者の筋力に変換する。具体的に、下記の式に従って患者の筋力を算出する。
【0043】
患者の筋力N=(検出電流Ix-ベースライン電流I0)トルク係数K1*筋力係数K2。
【0044】
モータ410は、患者の足関節に対してリハビリテーションを行うように、制御手段408から送信される運動命令に従って脚受け手段402を運動駆動するように構成される。モータ410は、制御手段408の運動命令を受信したあと、脚受け手段402を相応の運動をするように制御することができる。具体的に、モータ410は、底背屈モータと、内外転モータと、内外がえしモータと、モータ制御手段とにより構成される。モータ制御手段は、制御手段408からの命令を受信したあと、分析、計算を行って該命令をモータ制御パラメータに変換する。モータ制御パラメータは、各運動方向の運動速度、角度範囲、出力トルクの大きさなどを含む。モータ制御手段は、モータを、データパラメータによる運動軌跡、角度変化、力の大きさの変化に従って運動するように制御する。
【0045】
本出願の実施例による上記の足関節リハビリテーション装置は、センサアッセンブリーにより患者の実際運動パラメータを取得し、制御手段により実際運動パラメータおよびアプリケーション運動パラメータに基づいてパラメータ差異を確定し、パラメータ差異および実際運動パラメータに基づいて前記アプリケーション運動パラメータを調整して、運動命令を生成し、そして、モータが運動命令に従って脚受け手段を運動駆動することにより、患者の脚部に対してリハビリテーションを行う。リハビリテーションの過程において患者の動き能力を考慮したため、リハビリテーションが患者自身の状況により適し、そしてリハビリテーションにおいて目標リハビリテーション計画に対応するアプリケーション運動パラメータも考慮したため、患者自身に適するとともにリハビリテーションの効率を兼ね、ユーザのリハビリテーション効果を効果的に向上させることができる。
【0046】
いくつかの実施可能な実施形態において、患者の実際運動パラメータは、患者の運動中の運動角度および電流を含む。患者の運動中の運動角度および電流を検出するため、上記のセンサアッセンブリーは、具体的に角度センサとモータ電流センサとを含む。
【0047】
角度センサは、患者の運動中の運動角度を取得するように構成される。運動角度は、底背屈角度、内外転角度および内外がえし角度の少なくとも1つを含む。これをもとに、上記の角度センサは、底背屈角度センサ、内外転角度センサおよび内外がえし角度センサの少なくとも1つを含む。
【0048】
角度検出の仕事原理として、患者が足を脚受け手段に置いているとき、制御手段により、モータを、患者に底背屈角度、内外転角度、内外がえし角度に従って周期的な方向運動をさせるように制御する。実行する周期的な方向運動は、経験によって設定することができ、例えば、周期を5サイクルにする。
【0049】
運動中、底背屈角度センサ、内外転角度センサ、内外がえし角度センサにより患者の運動角度をリアルタイムに検出し、制御手段が、底背屈モータ電流センサ、内外転モータ電流センサ、内外がえしモータ電流センサによりモータ電流を検出し、電流が増大したと検出された場合、患者自身の運動可能な角度の限界まで運動したと判断され、システムによりこの時点の運動角度を記録する。例えば、電流が増大する判断の閾値として、正常作動するときの電流よりも50%以上大きい値に設定する。
【0050】
モータ電流センサは、患者の運動中にモータの、対応するモータ電流を取得するように構成される。モータ電流は、底背屈モータ電流、内外転モータ電流および内外がえしモータ電流の少なくとも1つを含む。これに対応して、上記のモータ電流センサは、底背屈モータ電流センサ、内外転モータ電流センサおよび内外がえしモータ電流センサの少なくとも1つを含む。
【0051】
電流検出の仕事原理として、制御手段によりモータを位置制御モードで作動するように制御し、患者が足を脚受け手段に置いた後、底背屈モータ電流センサ、内外転モータ電流センサ、内外がえしモータ電流センサによりこの時点の底背屈電流、内外転電流、内外がえし電流のパラメータを検出して記録し、ベースライン電流とする。
【0052】
図5は、本出願の実施例による足関節リハビリテーション装置の一実物例の模式的構成図である。該装置は、足底モータ501と、足関節モータ502と、脚受け手段503と、脛受け手段504と、支持フレーム505とを備える。該装置は、センサアッセンブリー(図示しない)と制御手段(図示しない)とをさらに備える。図5における足関節リハビリテーション装置は、利用者が臥位にあるときの状態である。実際のリハビリテーション過程において、各モータにより患者の脚を底背屈方向、内外転方向、内外がえし方向のそれぞれへ運動するように動かし、この運動が、患者が力を入れる運動と患者が力を入れない運動とを含み、この過程において底背屈モータ電流センサ、内外転モータ電流センサ、内外がえしモータ電流センサにより底背屈電流、内外転電流、内外がえし電流を検出して電流パラメータとして記録し、該電流を検出電流とも称する。
【0053】
上記の説明から分かるように、ベースライン電流は、患者足関節リハビリテーション装置が運動していないときに生じた電流であり、これに対して、検出電流は、患者が力を入れるときおよび/または足関節リハビリテーション装置が患者の脚を動かすように運動する過程に生じた電流である。検出電流およびベースライン電流に基づいて、人自身の力により生じた電流を得ることができ、これは人が入れる力の大きさに対応する。
【0054】
上記の実施例において、底背屈角度センサ、内外転角度センサ、内外がえし角度センサ、底背屈モータ電流センサ、内外転モータ電流センサ、内外がえしモータ電流センサにより患者の実際運動パラメータを取得し、これによってより客観的かつ精確で患者の実際の運動能力を特定することができる。
【0055】
足関節リハビリテーション用機器がリハビリテーションを開始する前、先に目標リハビリテーション計画に対応するデータファイルを選択するステップを実行する。例えば、現在のリハビリトレーナーの指導データ、つまり指導リハビリテーションデータファイルを選択する。他のリハビリトレーナーにより該装置または遠隔操作した同種類の装置を操作して生じた指導データファイル、つまり処方データを選択してもよい。
【0056】
指導データ、処方データのどちらを選択しても、制御手段がデータファイルの復号化およびデータの校正、識別を行い、識別結果が安全で有効なデータファイルであると判断される場合にのみ使用することができ、データファイルの識別に異常が発生した場合に使用を禁止する。
【0057】
ユーザによる処方の選択に対応して、本出願の実施例による上記の制御手段は、実際運動パラメータに基づいて既定処方からアプリケーション運動パラメータを取得するように構成される処方選択モジュールをさらに備える。既定処方は、既定運動動作、既定運動最大角度、既定動作繰り返し回数および既定動作順序の少なくとも1つを含む。
【0058】
処方モードでは、例えば、患者が底背屈動作を10回繰り返す場合、一般的に幅、つまり最大可動角度が徐々に増大する。例えば、患者の最大可動域が20度である場合、処方において15度から20度より少し大きい角度、例えば22度まで徐々に増大する。患者の可動域が25度まで増大した場合、相応の処方の可動範囲が18~28度の範囲になることができる。つまり、患者の限界を少し超えるようになる。
【0059】
ユーザによる指導データの選択に対応して、本出願の実施例による上記の制御手段は、リハビリトレーナーの現場指導過程の指導データを取得し、指導データに基づいて実際運動パラメータに適合するアプリケーション運動パラメータを取得するように構成される指導モジュールをさらに備える。指導データは、リハビリトレーナーが患者に対してリハビリテーションを行う過程においてリハビリトレーナーが脚受け手段を持って動かすときの脚受け手段の運動の角度、運動軌跡、角速度および力の大きさの少なくとも1つを含む。
【0060】
指導モードは、リハビリトレーナーによる、足関節リハビリテーション装置を利用する指導(模範を示す)であり、すなわち、足関節リハビリテーション装置の制御手段が、リハビリトレーナーにより脚受け手段を動かす動作を記録し、その後、記録した動作に従って患者の足関節を動かして運動させる。リハビリトレーナーは、自分の臨床経験で手で脚受け手段を持って底背屈、内外転、内外がえしのいずれか1つまたはそれらの任意の組み合わせの自由度で運動させる。これにより、操作がらくになり、リハビリトレーナーにより患者の足関節を操作するようなリアルな体験を得ることができる。
【0061】
本出願の実施例による足関節リハビリテーション装置は、各関節の箇所でモータが設置されているため、リハビリトレーナーが指導を行うとき、装置を動かして動作させるにはモータの抵抗を克服しなければならなく、力がかかり、これに対して、リハビリトレーナーの作業を省力化にするように、各モータを、押し力を検知すると、主動的にリハビリトレーナーの動作にそって仕事するように構成する。これに対応して、上記の制御手段は力アシストモジュールをさらに備え、力アシストモジュールが、リハビリトレーナーの現場指導過程において、モータにより脚受け手段を運動駆動するように、モータを、脚受け手段にリハビリトレーナーの操作方向と同じ方向の所定力をかけるように制御するように構成される。モータが脚受け手段の運動過程において受ける自身固定抵抗は所定力より小さい。
【0062】
例えば、制御手段により、リハビリトレーナーが指導作業を行うときのリハビリトレーナーの操作力が5N以上になると検出した場合、パラメータを調整してモータを、運動を補助するように仕事させることができる。すなわち、リハビリトレーナーの手が動作するときに感じる抵抗は5Nを超えることがない。モータによる駆動により装置がリハビリトレーナーの手の動作する方向に沿って運動することにより、装置の運動を補助して装置自身の抵抗を相殺し、リハビリトレーナーの作業を省力化にする効果に達することができる。
【0063】
リハビリテーションモードでは、患者のリハビリテーションを行うとき、制御手段が底背屈、内外転、内外がえしのそれぞれの角度の変化を検出して記録する。そして、制御手段は、底背屈モータ電流センサ、内外転モータ電流センサ、内外がえしモータ電流センサにより底背屈、内外転、内外がえしのそれぞれの電流の変化を定期的に検出して記録する。例えば、10msごとにデータを検出する。
【0064】
上記の角度データおよび電流データを得たあと、データをより精確に患者のリハビリテーション過程に使用するため、データをフィルタリングしてもよい。すなわち、検出、記録した底背屈角度、内外転角度、内外がえし角度、底背屈電流、内外転電流、内外がえし電流のデータパラメータをフィルタリングすることにより、電流振動による異常値、機械的構造の振動による異常値、リハビリトレーナーによる操作の振動による異常値を除去する。
【0065】
データファイルを決めたあと、制御手段は、データ検出システムからフィードバックされる該患者の検出データに基づいてデータファイルのパラメータの自動調整を行い、該患者に適する関節可動域の角度範囲、筋力範囲内のパラメータに調整する。
【0066】
制御手段は、リハビリトレーナーによりパラメータを手動で変更する機能を備える。リハビリトレーナーによりデータファイルを利用してリハビリテーションの時間周期を設定することができ、例えば、周期を1~100に設定する。パラメータが選択、設定されたあと制御手段に送信される。
【0067】
数回のリハビリテーションの後、患者の脚部の力および可動域が多少回復し、センサアッセンブリーが毎回も患者の実際運動パラメータを検出するため、このとき、実際運動パラメータと足関節ロボットでこの前に設定された運動パラメータとの間に差異が生じ、患者の回復に伴い、この差異が大きくなる。このため、この差異が規定値を超えた場合、リハビリテーション効果を保証するため、患者のアプリケーション運動パラメータを調整する必要がある。
【0068】
これに対応して、いくつかの実施可能な実施形態において、上記の制御手段は、実際運動パラメータとアプリケーション運動パラメータとを予め訓練した機械学習モデルに入力し、機械学習モデルにより出力される補正後のアプリケーション運動パラメータを得るように構成される機械学習モジュールをさらに備える。
【0069】
具体的に、患者のリハビリテーションを行うとき、機械学習モジュールは患者の実際運動パラメータをリアルタイムに学習し、実際運動パラメータが、運動軌跡と、患者が入れる力の大きさと、運動速度とを含む。
【0070】
差異が統計学的に有意な場合、例えば、所定の差異閾値より大きくなった場合、機械学習モジュールは、計算、分析を行って最適リハビリテーションパラメータを得る。そして、最適リハビリテーションパラメータに基づいてアプリケーション運動パラメータを改めて設定する。このようにして、インテリジェントな自動インテリジェントリハビリテーションサイクルシステムとして形成される。
【0071】
アプリケーション運動パラメータを調整するとき、各パラメータの最適化係数をaにし、ただし、i=1、2、3…、
【数3】

は、前回にアプリケーション運動パラメータを調整したあと最初に検出したアプリケーション運動パラメータの値であり、xは、前回にアプリケーション運動パラメータを調整したあと最後に検出したアプリケーション運動パラメータの値である。
【0072】
好ましくは、
【数4】

は、前回にアプリケーション運動パラメータを調整したあと最初に検出したアプリケーション運動パラメータの値であり、xは、前回にアプリケーション運動パラメータを調整したあと最後に検出したアプリケーション運動パラメータの値であり、xは、機械学習により取得した各アプリケーション運動パラメータに対する二次補正パラメータであり、j=1、2、3…である。xは、aに対するさらなる補正である。aは、前回の補正期間中の足関節運動能力の変化のみを考慮したため、限界がある。
【0073】
二次補正パラメータが機械学習により取得され、機械学習モデルの訓練データセットが、異なる患者の過去の運動パラメータの値およびアプリケーションパラメータの値である。訓練目標が2つあり、1つは、アプリケーションパラメータを一度調整したあと、次回の訓練期間の実際運動パラメータの増加幅をできるだけ大きくすることであり、2つは、アプリケーションパラメータをすべて調整したあと、最終の実際運動パラメータの増加幅を最大にすることである。テストデータセットによりテストを行ったあと、アプリケーションパラメータの値を毎回変更するときの、aに対する二次補正係数を得る。例えば、訓練開始から、一回目のアプリケーションパラメータの変更を行うときのa1に対応する二次補正係数がx1であり、以降もこのように確定する。二次補正パラメータが過去の変更のそれぞれによる過去の効果および累積効果、リハビリテーション曲線の非線形特性を考慮したため、アプリケーションパラメータの値に対する毎回の変更の効果も最適である。アプリケーション運動パラメータは、現在の実際運動パラメータに(1+a)を掛けた値に等しい。
【0074】
上記の実施例では、訓練過程において機械学習モデルを利用して患者のアプリケーション運動パラメータを継続的に最適化することにより、アプリケーション運動パラメータが現在の患者の体の具合に常に適しており、リハビリテーションの時間を短縮するとともに、リハビリテーション効果を効果的に向上させることができる。
【0075】
いくつかの実施可能な実施形態において、上記の制御手段は、指導データモジュールをさらに備え、該指導データモジュールが、具体的に関数曲線発生器と記憶モジュールとを含む。
【0076】
リハビリトレーナーの操作による運動では、力の大きさ、運動軌跡、速度を任意に変えることができる。全過程において検知検出システムは、底背屈角度センサ、内外転角度センサ、内外がえし角度センサによりリハビリトレーナーの全操作過程における底背屈、内外転、内外がえしのそれぞれの角度の変化を定期的に検出して記録する(角度、運動軌跡、角速度、力を検出してそのあとに足関節ロボットを制御してリハビリトレーナーの操作を再現するための基礎とする)。
【0077】
全過程において、制御手段は、底背屈モータ電流センサ、内外転モータ電流センサ、内外がえしモータ電流センサにより底背屈、内外転、内外がえしのそれぞれの電流の変化を定期的に検出して記録する。例えば、10msごとに検出する。
【0078】
これに基づいて、関数曲線発生器は、下記のステップにより関数曲線を生成する。
【0079】
A11は、検出時間周期10msおよび運動角度変化のデータに基づいて運動速度を算出する。
【0080】
A12は、フィルタリングした有効な底背屈角度、内外転角度、内外がえし角度、底背屈電流、内外転電流、内外がえし電流の技術パラメータに基づいて、底背屈角度、内外転角度、内外がえし角度を含む総合的な運動軌跡曲線を生成する。
【0081】
A13は、フィルタリングした有効な底背屈電流、内外転電流、内外がえし電流のデータに基づいて運動軌跡曲線に電流の変化を組み込む。足関節リハビリテーション装置が人の脚部を動かして運動させるとき、角度および角速度の変化のほか、脚部に対する力の大きさを変える必要があるため、角度パラメータのほか、電流変化に関するパラメータでモータによる力の大きさを制御する必要がある。電流変化は、指導するときのリハビリトレーナーの力の変化に対応する。
【0082】
A14は、運動軌跡と速度の変化と力の変化を含む関数曲線を生成する。
【0083】
データ記憶モジュールは、下記のプロセスによりデータを記憶する。
【0084】
A21は、関数曲線発生器により生成された関数曲線からデータの抽出を行い、すなわち規定の時間間隔で一組のデータを抽出する。抽出されるデータは、本出願の実施例による足関節リハビリテーション装置の1セットのリハビリテーション動作を形成し、これを記憶すれば以降に繰り返して使用したり、他の足関節リハビリテーション装置と共有したりすることができる。
【0085】
A22は、データに対して暗号化、校正を行ってコンピュータ記憶可能なデータファイルに変換する。
【0086】
上記に生成したデータファイルは、ローカルの単一のマシンに使用してもよく、コピーまたはネットワークを介してダウンロードすることにより他の場所のインテリジェントリハビリテーション装置に使用することにより複数デバイスのデータファイルの共有を実現してもよい。
【0087】
本出願の実施例は、上記の足関節リハビリテーション装置をもとに、足関節リハビリテーション方法をさらに提供し、該方法が制御手段に適用し、制御手段が上記の足関節リハビリテーション装置における制御手段である。図6に示す足関節リハビリテーション方法の模式的フローチャートを参照すると、該方法は、具体的に下記のステップを含む。
【0088】
S602は、センサアッセンブリーにより患者の実際運動パラメータを検出する。実際運動パラメータは、患者の足関節の現時点の運動能力を表すためのものである。
【0089】
患者の実際運動パラメータは、患者の運動中の運動角度および電流を含む。患者の運動角度および電流を検出するため、上記のセンサアッセンブリーは、具体的に角度センサとモータ電流センサとを含む。
【0090】
角度センサは、患者の運動中の運動角度を取得するように構成される。運動角度は、少なくとも底背屈角度、内外転角度および内外がえし角度を含む。これに対応して、上記の角度センサは、少なくとも底背屈角度センサ、内外転角度センサおよび内外がえし角度センサを含む。
【0091】
モータ電流センサは、患者の運動中の、モータに対応するモータ電流を取得するように構成される。モータ電流は、少なくとも底背屈モータ電流、内外転モータ電流および内外がえしモータ電流を含む。これに対応して、上記のモータ電流センサは、少なくとも底背屈モータ電流センサ、内外転モータ電流センサおよび内外がえしモータ電流センサを含む。
【0092】
S604は、実際運動パラメータおよび患者が選択した目標リハビリテーション計画に対応するアプリケーション運動パラメータに基づいて、患者に適する運動命令を生成する。
【0093】
具体的に、制御手段は、実際運動パラメータを取得したあと、それを患者が選択した目標リハビリテーション計画に対応するアプリケーション運動パラメータと比較し、比較結果に基づいて運動命令を生成する。
【0094】
まず、制御手段により、運動角度に対して座標系変換を行って患者の関節可動域を得る。
【0095】
任意で、モータ電流は、検出電流とベースライン電流とを含み、検出電流およびベースライン電流に基づいて患者の筋力を得ることができる。ベースライン電流は、患者の脚が足関節リハビリテーション装置に置かれているかつ足関節リハビリテーション装置が運動していないときに生じた電流であり、検出電流は、患者が力をいれるときおよび/または足関節リハビリテーション装置が患者の脚を動かすように運動する過程に生じた電流である。
【0096】
患者の筋力は、下記の式に従って算出する。
【0097】
患者の筋力N=(検出電流Ix-ベースライン電流I0)トルク係数K1*筋力係数K2
【0098】
目標リハビリテーション計画は、ユーザが選択した、現在のリハビリトレーナーの指導データ、つまり指導リハビリテーションデータファイルであってもよく、ユーザが選択した、他のリハビリトレーナーにより該装置または遠隔操作した同種類の装置を操作して生じた指導データファイル、つまり処方データであってもよい。
【0099】
S606は、モータが脚受け手段を運動駆動するようにモータを、運動命令を実行するように作動させることにより患者の脚部に対してリハビリテーションを行う。
【0100】
本出願の実施例による上記の足関節リハビリテーション方法は、センサアッセンブリーにより患者の実際運動パラメータを取得し、制御手段により実際運動パラメータおよびアプリケーション運動パラメータに基づいて運動命令を生成し、モータにより運動命令に従って脚受け手段を運動駆動して、患者の脚部に対してリハビリテーションを行う。リハビリテーションの過程において患者の現在の動き能力を考慮したため、リハビリテーションが患者自身の状況により適し、そしてリハビリテーションの場合に目標リハビリテーション計画に対応するアプリケーション運動パラメータも考慮し、したがって、患者自身に適するとともにリハビリテーションの効率を兼ね、ユーザのリハビリテーション効果を効果的に向上させることができる。
【0101】
患者に対してリハビリテーションをより良好に行うため、上記の方法における、実際運動パラメータおよび患者が選択した目標リハビリテーション計画に対応するアプリケーション運動パラメータに基づいて、患者に適する運動命令を生成するステップのS604は、具体的に下記のステップを含む。
【0102】
(1)実際運動パラメータおよびアプリケーション運動パラメータに基づいてパラメータ差異を確定する。
【0103】
(2)パラメータ差異が差異閾値よりも大きい場合、実際運動パラメータに基づいてアプリケーション運動パラメータを調整する。
【0104】
具体的に、患者のリハビリテーションを行うとき、機械学習モジュールは、患者の実際運動パラメータをリアルタイムに学習し、実際運動パラメータが、運動軌跡と、患者が入れる力の大きさと、運動速度とを含む。
【0105】
差異が統計学的に有意な場合、例えば、所定の差異閾値より大きくなった場合、機械学習モジュールは、計算、分析を行って最適リハビリテーションパラメータを得る。そして、最適リハビリテーションパラメータに基づいてアプリケーション運動パラメータを改めて設定する。このようにして、インテリジェントな自動インテリジェントリハビリテーションサイクルシステムとして形成される。
【0106】
本出願の説明において、「中心」、「上」、「下」、「左」、「右」、「鉛直」、「水平」、「内」、「外」などの用語で表される方向または位置関係は、図面に基づくものであり、本出願を簡単および簡略に説明するためのものにすぎず、該当装置または要素が、必ず特定の方向を有したり、特定の方向に構成されたり、操作されたり、することを明示または暗示するものではないため、本出願を限定するものではないと理解すべきである。また、用語の「第1」、「第2」、「第3」は、説明するためのものにすぎず、相対重要性を明示または暗示するものではないと理解すべきである。
【0107】
なお、上記の実施例は、本出願の技術案を説明するための具体的な実施形態にすぎず、本出願を限定するものではないので、本出願の保護範囲がこれに限定されない。上記の実施例を用いて本出願を詳しく説明したが、当業者は、本出願による技術的範囲において、上記の実施例に記載された技術案に対して改良または変更を行うことができ、またはその中の技術的特徴の一部に対して均等置換を行うこともできることが無論である。これらの改良、変更または置換は、該当技術案の本質を本出願の実施例の技術案の主旨や範囲から逸脱させなく、いずれも本出願の保護範囲に属するものである。このため、本出願の保護範囲は、特許請求の範囲に準ずる。
【産業上の利用可能性】
【0108】
本出願に係る足関節リハビリテーション装置は、センサアッセンブリーにより患者の実際運動パラメータを取得し、制御手段により実際運動パラメータおよびアプリケーション運動パラメータに基づいてパラメータ差異を確定し、パラメータ差異および実際運動パラメータに基づいて前記アプリケーション運動パラメータを調整して、運動命令を生成し、そして、モータが運動命令に従って脚受け手段を運動駆動することにより、患者の脚部に対してリハビリテーションを行う。リハビリテーションの過程において患者の現在の動き能力を考慮したため、リハビリテーションが患者自身の状況により適し、そしてリハビリテーションの場合において目標リハビリテーション計画に対応するアプリケーション運動パラメータも考慮したため、患者自身に適するとともにリハビリテーションの効率を兼ね、ユーザのリハビリテーション効果を効果的に向上させることができる。
【0109】
なお、本出願に係る足関節リハビリテーション装置は、実施可能なものであり、さまざまな産業用途に適用することができる。例えば、本出願に係る足関節リハビリテーション装置は、リハビリテーションの技術分野に適用できる。
【符号の説明】
【0110】
402 脚受け手段
404 支持フレーム
406 センサアッセンブリー
408 制御手段
410 モータ
501 足底モータ
502 足関節モータ
503 脚受け手段
504 脛受け手段
505 支持フレーム
図1
図2
図3
図4
図5
図6