(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-17
(45)【発行日】2024-10-25
(54)【発明の名称】反応器及びそれを含む炭酸化装置
(51)【国際特許分類】
B01D 53/62 20060101AFI20241018BHJP
B01D 53/80 20060101ALI20241018BHJP
C01F 11/18 20060101ALI20241018BHJP
【FI】
B01D53/62 ZAB
B01D53/80
C01F11/18 C
(21)【出願番号】P 2023505404
(86)(22)【出願日】2022-10-24
(86)【国際出願番号】 KR2022016229
(87)【国際公開番号】W WO2023120927
(87)【国際公開日】2023-06-29
【審査請求日】2023-01-24
(31)【優先権主張番号】10-2021-0185780
(32)【優先日】2021-12-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】513268690
【氏名又は名称】ヒュンダイ オイルバンク カンパニー リミテッド
【氏名又は名称原語表記】Hyundai Oilbank Co., Ltd.
(73)【特許権者】
【識別番号】523027186
【氏名又は名称】ウーロン カンパニー リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110003339
【氏名又は名称】弁理士法人南青山国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】キム,チョルヒョン
(72)【発明者】
【氏名】スン,デジン
(72)【発明者】
【氏名】イ,チョンウォン
(72)【発明者】
【氏名】チョン,ヨングウォン
(72)【発明者】
【氏名】ユン,ビョングウォン
(72)【発明者】
【氏名】イ,サンフン
(72)【発明者】
【氏名】ユ,チョンヨル
(72)【発明者】
【氏名】イ,スンホ
【審査官】阪▲崎▼ 裕美
(56)【参考文献】
【文献】韓国公開特許第10-2019-0142921(KR,A)
【文献】特開2002-160987(JP,A)
【文献】韓国特許第10-1928513(KR,B1)
【文献】韓国特許第10-2098238(KR,B1)
【文献】韓国特許第10-1907591(KR,B1)
【文献】韓国特許第10-0500731(KR,B1)
【文献】韓国特許第10-2332233(KR,B1)
【文献】米国特許出願公開第2010/135891(US,A1)
【文献】欧州特許第1189840(EP,B1)
【文献】韓国登録特許第10-0756371(KR,B1)
【文献】韓国公開特許第2019-0142921(KR,A)
【文献】韓国登録特許第10-1928513(KR,B1)
【文献】米国特許第4133894(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B01D 53/34-53/73
B01D 53/74-53/85,53/92,53/96
C01F 1/00-17/38
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のチャンバ;
前記複数のチャンバを支持する支持構造体;及び
前記複数のチャンバに対応して前記複数のチャンバのそれぞれの内部に備えられた物質を撹拌する複数の撹拌機;を含み、
前記複数のチャンバは、厚さ方向に順次結合配置された第1~第3チャンバを含み、
前記第1~第3チャンバは、それぞれ、
下部が半円筒形状を有する本体部、及び
前記本体部に形成され、前記複数のチャンバが互いに連通するか外部と連通するための開口部とを含み、
前記第1チャンバは、前記第1チャンバの第1本体部の内部に水を供給する第1水注入配管を含み、
前記第2チャンバは、前記第2チャンバの第2本体部の内部に水を供給する第2水注入配管及びガスを供給する第1ガス注入配管を含み、
前記第3チャンバは、前記第3チャンバの第3本体部の内部にガスを供給する第2ガス注入配管を含む、反応器。
【請求項2】
前記第1チャンバは、前記第1本体部の上部の一側に形成され、原料が供給される原料注入口と、前記第1本体部の下部の他側に形成され、前記第2チャンバと連通する第1下部開口部とを含み、
前記第1下部開口部は、上部方向に突出した第1突出部を含み、
前記第1チャンバに対応して前記第1チャンバの内部に備えられた第1物質を撹拌する第1撹拌機は、前記第1物質を前記第1本体部の前記一側から前記他側に移動させる請求項1に記載の反応器。
【請求項3】
前記原料は、酸化カルシウム(CaO)を含む循環資源である請求項2に記載の反応器。
【請求項4】
前記第2チャンバは、前記第2本体部の上部の前記他側に形成され、前記第1下部開口部と連結する第1上部開口部と、前記第2本体部の下部の前記一側に形成され、前記第3チャンバと連通する第2下部開口部とを含み、
前記第2下部開口部は、前記上部方向に突出した第2突出部を含み、
前記第2チャンバに対応して前記第2チャンバの内部に備えられた第2物質を撹拌する第2撹拌機は、前記第2物質を前記第2本体部の前記他側から前記一側に移動させる請求項2に記載の反応器。
【請求項5】
前記ガスは、二酸化炭素(CO
2)を含む排ガスであり、
前記第2物質は、酸化カルシウム(CaO)及び水酸化カルシウム(Ca(OH)
2)を含む請求項4に記載の反応器。
【請求項6】
前記第3チャンバは、前記第3本体部の上部の前記一側に形成され、前記第2下部開口部と連結する第2上部開口部と、前記第3本体部の下部の前記他側に形成され、外部と連通する第3下部開口部とを含み、
前記第3下部開口部は、前記上部方向に突出した第3突出部を含み、
前記第3チャンバに対応して前記第3チャンバの内部に備えられた第3物質を撹拌する第3撹拌機は、前記第3物質を前記第3本体部の前記一側から前記他側に移動させる請求項4に記載の反応器。
【請求項7】
前記ガスは、二酸化炭素(CO
2)を含む排ガスであり、
前記第3物質は、水酸化カルシウム(Ca(OH)
2)及び炭酸カルシウム(CaCO
3)を含む請求項6に記載の反応器。
【請求項8】
前記第1チャンバは、前記第1本体部の上部の一側に形成され、前記第1~第3チャンバの内部で反応後に残った残余ガスを排出するガス排出口を含み、
前記ガス排出口は、前記第1~第3チャンバの内部の圧力を大気圧よりも低く保持させる排気ファン及び集塵機と結合する請求項1に記載の反応器。
【請求項9】
前記複数の撹拌機のそれぞれは、
電気エネルギーを力学的エネルギーに変換する駆動モータ;
前記駆動モータと連結され、前記力学的エネルギーを前記撹拌に必要な分当たりの回転数に変形するギア;
前記ギアと連結され、前記分当たりの回転数に応じて回転力を伝達する撹拌軸;及び
前記撹拌軸に水平方向に離隔配置され、前記撹拌軸の回転に応じて円形軌道で回転する複数の撹拌翼;
を含む請求項1に記載の反応器。
【請求項10】
前記第1水注入配管及び前記第2水注入配管は、それぞれ前記第1本体部の上部及び前記第2本体部の上部と隣接配置され、下部方向に水を供給し、
前記第1ガス注入配管及び前記第2ガス注入配管は、それぞれ前記第2本体部の下部及び前記第3本体部の下部と隣接配置される請求項1に記載の反応器。
【請求項11】
酸化カルシウム(CaO)を含む原料を貯蔵する原料タンク;
前記原料を反応器に移送する原料移送機;
前記原料を水及び二酸化炭素と反応して、炭酸カルシウム(CaCO
3)を生成する反応器;
前記反応器に前記水を供給する水注入配管;及び
前記反応器に前記二酸化炭素を含むガスを供給するガス注入配管;
を含
み、
前記水注入配管は、第1水注入配管及び第2水注入配管を含み、
前記ガス注入配管は、第1ガス注入配管及び第2ガス注入配管を含み、
前記反応器は、
複数のチャンバ;
前記複数のチャンバを支持する支持構造体;及び
前記複数のチャンバに対応して前記複数のチャンバのそれぞれの内部に備えられた物質を撹拌する複数の撹拌機;を含み、
前記複数のチャンバは、厚さ方向に順次結合配置された第1~第3チャンバを含み、
前記第1~第3チャンバは、それぞれ下部が半円筒形状を有する本体部と、前記本体部に形成され、前記複数のチャンバが互いに連通するか、外部と連通するための開口部とを含み、
前記第1水注入配管は、前記第1チャンバの第1本体部を貫通して配置され、
前記第2水注入配管及び前記第1ガス注入配管は、前記第2チャンバの第2本体部を貫通して配置され、
前記第2ガス注入配管は、前記第3チャンバの第3本体部を貫通して配置される
炭酸化装置。
【請求項12】
前記第1チャンバは、前記第1本体部の上部の一側に形成され、原料が供給される原料注入口を含み、
前記第1チャンバ、前記第2チャンバ及び前記第3チャンバは、それぞれ他のチャンバ又は外部と連通するように、前記第1本体部、前記第2本体部及び前記第3本体部のそれぞれの下部に形成された第1~第3下部開口部を含み、
前記原料注入口及び前記第1~第3下部開口部は、水平方向において互いに反対側に交錯するように形成される請求項1
1に記載の炭酸化装置。
【請求項13】
前記第1チャンバに対応する第1撹拌機は、前記第1チャンバの内部に備えられた物質を前記原料注入口から前記第1下部開口部方向に移動させ、
前記第2チャンバに対応する第2撹拌機は、前記第2チャンバの内部に備えられた物質を前記第1下部開口部から前記第2下部開口部方向に移動させ、
前記第3チャンバに対応する第3撹拌機は、前記第3チャンバの内部に備えられた物質を前記第2下部開口部から前記第3下部開口部方向に移送させる請求項1
2に記載の炭酸化装置。
【請求項14】
前記第1~第3下部開口部は、それぞれ上部方向に突出した第1~第3突出部を含む請求項1
3に記載の炭酸化装置。
【請求項15】
前記複数の撹拌機のそれぞれは、
電気エネルギーを力学的エネルギーに変換する駆動モータ;
前記駆動モータと連結され、前記力学的エネルギーを前記撹拌に必要な分当たりの回転数に変形するギア;
前記ギアと連結され、前記分当たりの回転数に応じて回転力を伝達する撹拌軸;及び
前記撹拌軸に水平方向に離隔配置され、前記撹拌軸の回転に応じて円形軌道で回転する複数の撹拌翼;
を含む請求項1
1に記載の炭酸化装置。
【請求項16】
前記第1水注入配管及び前記第2水注入配管は、それぞれ前記第1本体部の上部及び前記第2本体部の上部と隣接配置され、下部方向に水を供給し、
前記第1ガス注入配管及び前記第2ガス注入配管は、それぞれ前記第2本体部の下部及び前記第3本体部の下部と隣接配置される請求項1
1に記載の炭酸化装置。
【請求項17】
前記反応器内部の残余ガスを排出する集塵機;及び
前記集塵機の内部に配置され、前記反応器内部の圧力を大気圧よりも低く維持させる排気ファン;
をさらに含み、
前記第1チャンバは、前記第1本体部の上部の一側に形成され、ガスが排出されるガス排出口を含み、前記ガス排出口は、前記集塵機と結合する請求項1
1に記載の炭酸化装置。
【請求項18】
ガス移動配管の一端に結合され、外部空気を吸入して前記ガス移動配管に移動させる送風機;
前記ガス移動配管に結合され、二酸化炭素を供給する二酸化炭素貯蔵シリンダ;及び
前記ガス移動配管を介して移動するガスを加熱するヒータ;
をさらに含み、
前記ガス移動配管の他端は、前記ガス注入配管と連結される請求項11に記載の炭酸化装置。
【請求項19】
前記ガス注入配管は、二酸化炭素を含む排ガスを排出する他のプロセス装置と連結される請求項11に記載の炭酸化装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、反応器及びそれを含む炭酸化装置に関し、より詳細には、循環資源を活用して温室ガスの排出を低減するとともに、炭酸化工程及び乾燥工程を一元化し、工程及び製造コストが削減された半乾式法による反応器及びそれを含む炭酸化装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
国内温室ガスの排出量は、2007年から2017年まで平均年間662百万トンCO2eq.であり、エネルギー及び産業工程分野から94%以上が排出されている。そのうち二酸化炭素は地球温暖化指数(GWP)が1であり、他の温室ガスに比べて低い値を有するが、発生量は、604百万トンCO2eq.に達し、総発生量の91%以上を占めて地球温暖化に多くの影響を及ぼす。また、発生量は、2007年対比2017年に23%増加し、その深刻性が台頭している。
【0003】
沈降炭酸カルシウム(硬質炭酸カルシウム、Precipitated calcium carbonate;PCC、CaCO3)は、食品、製紙、ゴム、プラスチック、塗料産業などで品質向上のための添加剤及びフィラーとして使用される。従来のPCC製造技術は、鉱山で採掘された石灰石を用いて二酸化炭素を高温で除去して生石灰を製造し、これを再び二酸化炭素と反応させる方法で製造される。
【0004】
しかし、このような従来の方法は、石灰石を生石灰にするために使用する熱源により多くの工程コストが必要であり、また、熱源と石灰石から解離して発生する二酸化炭素などの温室ガスにより環境に悪影響を及ぼす問題があった。
【0005】
したがって、温室ガスの排出量を低減し、工程コストを削減しながら、様々な産業資材として使用される炭酸カルシウムを製造する方法に対する需要が依然としてある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明が解決しようとする課題は、酸化カルシウム(Calcium oxide;CaO)を含む循環資源及び排ガスを原料として用いて、温室ガスの排出が低減され、水和及び炭酸化工程を一つの反応器内で行って、工程を単純化することによって製造コストが削減される反応器及びそれを含む炭酸化装置を提供することを目的とする。
【0007】
本発明の技術的課題は、前記の技術的課題に制限されず、言及されていない他の技術的課題は、以下の記載から本発明が属する技術分野の通常の技術者に明確に理解できるであろう。
【課題を解決するための手段】
【0008】
一実施例による反応器は、複数のチャンバ;前記複数のチャンバを支持する支持構造体;及び前記複数のチャンバに対応して前記複数のチャンバのそれぞれの内部に備えられた物質を撹拌する複数の撹拌機;を含み、前記複数のチャンバは、厚さ方向に順次結合配置された第1~第3チャンバを含み、前記第1~第3チャンバは、それぞれ、下部が半円筒形状を有する本体部、及び前記本体部に形成され、前記複数のチャンバが互いに連通するか外部と連通するための開口部とを含み、前記第1チャンバは、前記第1チャンバの第1本体部の内部に水を供給する第1水注入配管を含み、前記第2チャンバは、前記第2チャンバの第2本体部の内部に水を供給する第2水注入配管及びガスを供給する第1ガス注入配管を含み、前記第3チャンバは、前記第3チャンバの第3本体部の内部にガスを供給する第2ガス注入配管を含む。
【0009】
前記第1チャンバは、前記第1本体部の上部の一側に形成され、原料が供給される原料注入口と、前記第1本体部の下部の他側に形成され、前記第2チャンバと連通する第1下部開口部とを含み、前記第1下部開口部は、上部方向に突出した第1突出部を含み、前記第1チャンバに対応して前記第1チャンバの内部に備えられた第1物質を撹拌する第1撹拌機は、前記第1物質を前記第1本体部の前記一側から前記他側に移動させることができる。
【0010】
前記原料は、酸化カルシウム(CaO)を含むことができる。
【0011】
前記第2チャンバは、前記第2本体部の上部の前記他側に形成され、前記第1下部開口部と連結する第1上部開口部と、前記第2本体部の下部の前記一側に形成され、前記第3チャンバと連通する第2下部開口部とを含み、前記第2下部開口部は、前記上部方向に突出した第2突出部を含み、前記第2チャンバに対応して前記第2チャンバの内部に備えられた第2物質を撹拌する第2撹拌機は、前記第2物質を前記第2本体部の前記他側から前記一側に移動させることができる。
【0012】
前記ガスは、二酸化炭素(CO2)を含む排ガスであり、前記第2物質は、酸化カルシウム(CaO)及び水酸化カルシウム(Ca(OH)2)を含むことができる。
【0013】
前記第3チャンバは、前記第3本体部の上部の前記一側に形成され、前記第2下部開口部と連結する第2上部開口部と、前記第3本体部の下部の前記他側に形成され、外部と連通する第3下部開口部とを含み、前記第3下部開口部は、前記上部方向に突出した第3突出部を含み、前記第3チャンバに対応して前記第3チャンバの内部に備えられた第3物質を撹拌する第3撹拌機は、前記第3物質を前記第3本体部の前記一側から前記他側に移動させることができる。
【0014】
前記ガスは、二酸化炭素(CO2)を含む排ガスであり、前記第3物質は、水酸化カルシウム(Ca(OH)2)及び炭酸カルシウム(CaCO3)を含むことができる。
【0015】
前記第1チャンバは、前記第1本体部の上部の一側に形成され、前記第1~第3チャンバの内部で反応後に残った残余ガスを排出するガス排出口を含み、前記ガス排出口は、前記第1~第3チャンバの内部の圧力を大気圧よりも低く保持させる排気ファン及び集塵機と結合することができる。
【0016】
前記複数の撹拌機のそれぞれは、電気エネルギーを力学的エネルギーに変換する駆動モータ;前記駆動モータと連結され、前記力学的エネルギーを前記撹拌に必要な分当たりの回転数に変形するギア;前記ギアと連結され、前記分当たりの回転数に応じて回転力を伝達する撹拌軸;及び前記撹拌軸に水平方向に離隔配置され、前記撹拌軸の回転に応じて円形軌道で回転する複数の撹拌翼;
を含むことができる。
【0017】
前記第1水注入配管及び前記第2水注入配管は、それぞれ前記第1本体部の上部及び前記第2本体部の上部と隣接配置され、下部方向に水を供給し、前記第1ガス注入配管及び前記第2ガス注入配管は、それぞれ前記第2本体部の下部及び前記第3本体部の下部と隣接配置されてもよい。
【0018】
一実施例による炭酸化装置は、酸化カルシウム(CaO)を含む原料を貯蔵する原料タンク;前記原料を反応器に移送する原料移送機;前記原料を水及び二酸化炭素と反応して、炭酸カルシウム(CaCO3)を生成する反応器;前記反応器に前記水を供給する水注入配管;及び前記反応器に前記二酸化炭素を含むガスを供給するガス注入配管;を含む。
【0019】
前記水注入配管は、第1水注入配管及び第2水注入配管を含み、前記ガス注入配管は、第1ガス注入配管及び第2ガス注入配管を含み、前記反応器は、複数のチャンバ;前記複数のチャンバを支持する支持構造体;及び前記複数のチャンバに対応して前記複数のチャンバのそれぞれの内部に備えられた物質を撹拌する複数の撹拌機;を含むみ、前記複数のチャンバは、厚さ方向に順次結合配置された第1~第3チャンバを含み、前記第1~第3チャンバは、それぞれ下部が半円筒形状を有する本体部と、前記本体部に形成され、前記複数のチャンバが互いに連通するか、外部と連通するための開口部とを含み、前記第1水注入配管は、前記第1チャンバの第1本体部を貫通して配置され、前記第2水注入配管及び前記第1ガス注入配管は、前記第2チャンバの第2本体部を貫通して配置され、前記第2ガス注入配管は、前記第3チャンバの第3本体部を貫通して配置されてもよい。
【0020】
前記第1チャンバは、前記第1本体部の上部の一側に形成され、原料が供給される原料注入口を含み、前記第1チャンバ、前記第2チャンバ及び前記第3チャンバは、それぞれ他のチャンバ又は外部と連通するように、前記第1本体部、前記第2本体部及び前記第3本体部のそれぞれの下部に形成された第1~第3下部開口部を含み、前記原料注入口及び前記第1~第3下部開口部は、水平方向において互いに反対側に交錯するように形成されてもよい。
【0021】
前記第1チャンバに対応する第1撹拌機は、前記第1チャンバの内部に備えられた物質を前記原料注入口から前記第1下部開口部方向に移動させ、前記第2チャンバに対応する第2撹拌機は、前記第2チャンバの内部に備えられた物質を前記第1下部開口部から前記第2下部開口部方向に移動させ、前記第3チャンバに対応する第3撹拌機は、前記第3チャンバの内部に備えられた物質を前記第2下部開口部から前記第3下部開口部方向に移送させることができる。
【0022】
前記第1~第3下部開口部は、それぞれ上部方向に突出した第1~第3突出部を含むことができる。
【0023】
前記複数の撹拌機のそれぞれは、電気エネルギーを力学的エネルギーに変換する駆動モータ;前記駆動モータと連結され、前記力学的エネルギーを前記撹拌に必要な分当たりの回転数に変形するギア;前記ギアと連結され、前記分当たりの回転数に応じて回転力を伝達する撹拌軸;及び前記撹拌軸に水平方向に離隔配置され、前記撹拌軸の回転に応じて円形軌道で回転する複数の撹拌翼;
を含むことができる。
【0024】
前記第1水注入配管及び前記第2水注入配管は、それぞれ前記第1本体部の上部及び前記第2本体部の上部と隣接配置され、下部方向に水を供給し、前記第1ガス注入配管及び前記第2ガス注入配管は、それぞれ前記第2本体部の下部及び前記第3本体部の下部と隣接配置されてもよい。
【0025】
前記反応器内部の残余ガスを排出する集塵機;及び 前記集塵機の内部に配置され、前記反応器内部の圧力を大気圧よりも低く維持させる排気ファン;さらに含み、前記第1チャンバは、前記第1本体部の上部の一側に形成され、ガスが排出されるガス排出口を含み、前記ガス排出口は、前記集塵機と結合することができる。
【0026】
ガス移動配管の一端に結合され、外部空気を吸入して前記ガス移動配管に移動させる送風機;前記ガス移動配管に結合され、二酸化炭素を供給する二酸化炭素貯蔵シリンダ;及び前記ガス移動配管を介して移動するガスを加熱するヒータ;さらに含み、前記ガス移動配管の他端は、前記ガス注入配管と連結されてもよい。
【0027】
前記ガス注入配管は、二酸化炭素を含む排ガスを排出する他のプロセス装置と連結されてもよい。
【0028】
その他の実施例の具体的な事項は詳細な説明及び図面に含まれている。
【発明の効果】
【0029】
実施例による反応器及びそれを含む炭酸化装置による場合、酸化カルシウム(CaO)を含む循環資源及び排ガスを原料として用いることによって温室ガスの排出量を低減することができる。
【0030】
また、実施例による反応器及びそれを含む炭酸化装置は、水和及び炭酸化工程を一つの反応器内で行って工程を単純化し、これにより、炭酸カルシウム製造コストを削減することができる。
【0031】
本発明の実施例による効果は、前記で説明した内容によって限定されず、さらに様々な効果が本明細書内に含まれる。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【
図4】一実施例による炭酸化装置の右側面図である。
【
図7】
図5及び
図6の反応器内で水和及び炭酸化工程が行われる経路示す図である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0033】
本発明の利点及び特徴、並びにそれらを達成する方法は、添付の図面と共に詳細に後述されている実施例を参照することによって明確になるであろう。しかし、本発明は、以下に開示される実施例に限定されるものではなく、様々な形態で具現されるものであり、ただ、本実施例は本発明の開示を完全にするものであり、本発明が属する技術分野で通常の知識を有する者に発明の範疇を完全に知らせるために提供されるものであり、本発明は、特許請求の範囲によって定義されるだけである。
【0034】
素子(element)又は層が他の素子又は層の「上(on)」と呼ばれることは、他の素子の真上又は中間に他の層又は他の素子を介在させた場合の両方を含む。明細書全体にわたって、同じ参照符号は同じ構成要素を指す。実施例を説明するために図面に開示された形状、大きさ、比率、角度、数などは例示的なものであり、本発明が示された事項に限定されない。
【0035】
第1、第2などが様々な構成要素を説明するために使用されるが、これらの構成要素はこれら用語によって制限されないことは言うまでもない。これらの用語は、単に一つの構成要素を他の構成要素と区別するために使用するものである。したがって、以下で言及される第1構成要素は、本発明の技術的思想内で第2構成要素であり得ることは言うまでもない。
【0036】
以下、添付の図面を参照して具体的な実施例について説明する。
【0037】
図1は、一実施例による炭酸化装置の概略図である。
一実施例による炭酸化装置は、酸化カルシウム(CaO)を含む原料として脱硫工程の副産物である脱硫石膏(CaO・CaSO
4)を用いて炭酸カルシウム(CaCO
3)を生成することを中心に説明するが、これに限定されない。例えば、炭酸化装置は、生石灰(CaO)又は消石灰(Ca(OH)
2)を含む発電所の灰(Ash)、製鉄所のスラグ(Slag)などを原料として用いて炭酸カルシウム(CaCO
3)を生成することもできる。また、いくつかの実施例による炭酸化装置は、原料が水とガスと反応して最終産物を生成するための装置として活用することができる。
【0038】
図1を参照すると、一実施例による炭酸化装置1は、反応器100、原料タンク210、原料移送機220、水タンク310、水ポンプ320、流量計330、水移送配管340、水注入配管350、熱風機410、二酸化炭素貯蔵シリンダ420、ガス移送配管430、ガス注入配管440、集塵機510、排気ファン520、製品貯蔵タンク610、及び製品移送機620を含むことができる。
【0039】
本明細書では、一実施例による炭酸化装置1が、熱風機410及び二酸化炭素貯蔵シリンダ420を含むものを例示したが、これに限定されない。例えば、炭酸化装置1の熱風機410及び二酸化炭素貯蔵シリンダ420は、排ガス貯蔵タンク又は排ガスを排出する装置と連結され、排ガスが注入される通路であってもよい。この場合、炭酸化装置1は、炭酸カルシウム(CaCO3)を製造する際に排ガスを利用することにより、温室ガスの排出量を低減することにさらに寄与することができる。
【0040】
図2~
図7において、第1方向(X軸方向)、第1方向(X軸方向)と同一平面で垂直である第2方向(Y軸方向)及び第1方向(X軸方向)と第2方向(Y軸方向)の平面に垂直である第3方向(Z軸方向)が表記されている。第1方向(X軸方向)、第2方向(Y軸方向)及び第3方向(Z軸方向)は、炭酸化装置1のそれぞれの構成の構造及び駆動方式を説明するためのものであり、相対的な方向を意味すると理解されるべきであり、実施例は言及した方向に限定されない。
【0041】
第1方向(X軸方向)は、平面上でみるとき、炭酸化装置1の一辺と並んだ方向に、例えば炭酸化装置1の縦方向であってもよい。第2方向(Y軸方向)は、平面上でみるとき、炭酸化装置1の一辺と接する他辺と並んだ方向であり、炭酸化装置1の横方向であってもよい。第3方向(Z軸方向)は、炭酸化装置1の厚さ方向であってもよい。
【0042】
図2は、一実施例による炭酸化装置の平面図、
図3は、一実施例による炭酸化装置の正面図、
図4は、一実施例による炭酸化装置の右側面図である。
【0043】
図2~
図4を参照すると、反応器100は、支持構造体110、第1チャンバ120、第2チャンバ130、第3チャンバ140、及び複数のチャンバ120、130、140、各内部空間に備えられた物質を撹拌し、第2方向(Y軸方向)又は第2方向(Y軸方向)と反対方向に移送するための複数の撹拌機150、160、170を含むことができる。
【0044】
第1チャンバ120、第2チャンバ130及び第3チャンバ140は、それぞれチャンバ間の内部空間が連通するか、外部と連通するための少なくとも一つの開口部を含むことができる。第1チャンバ120、第2チャンバ130及び第3チャンバ140には、それぞれ水注入配管350及び/又はガス注入配管440が挿入され、水及び/又はガスが供給される。
【0045】
反応器100に原料が投入されると、原料は、第1チャンバ120、第2チャンバ130、第3チャンバ140の順に移動し、水及び/又はガスと反応することができる。例えば、第1チャンバ120及び第2チャンバ130に水注入配管350が挿入され、第2チャンバ130及び第3チャンバ140にガス注入配管440が挿入された場合、原料は、第1チャンバ120及び第2チャンバ130で水と反応し、第2チャンバ130及び第3チャンバ140でガスと反応して、最終産物を生成することができる。
【0046】
具体的な例として、酸化カルシウム(CaO)を含む原料が、第1チャンバ120及び第2チャンバ130で水(H2O)と反応して水酸化カルシウム(Ca(OH)2)が形成され、第2チャンバ130及び第3チャンバ140で水酸化カルシウム(Ca(OH)2)が二酸化炭素(CO2)を含むガスと反応して、最終産物である炭酸カルシウム(CaCO3)を形成することができる。
【0047】
このように、一実施例による反応器100による場合、酸化カルシウム(CaO)の水和反応及び水酸化カルシウム(CaOH
2)の炭酸化工程が一つの反応器100で順次に行われる半乾式法により炭酸カルシウム(CaCO
3)を製造することができる。これにより、循環資源を原料とした炭酸化工程が湿式法に比べて比較的単純化され、炭酸カルシウムの製造に要する時間とコストを低減するのに有利である。また、二酸化炭素を含むガスで排ガスを活用することで、温室ガスの排出量の削減に大きく寄与貢献することができる。反応器100に対する詳細な説明は、
図5~
図7を参照して後述する。
【0048】
原料タンク210は、原料を貯蔵する原料ホッパーであってもよい。原料タンク210は、平面状の端面が円形であり、正面から見た場合、下部に向かうにつれて第1方向(X軸方向)の幅が縮小する「V」字状の端面を有してもよい。ただし、原料タンク210の形状がこれに限定されるものではなく、本発明の技術分野で通常の技術者に知らされた原料ホッパーの様々な形状であってもよい。また、原料タンク210は、原料のサイロ(silo)であってもよい。
【0049】
原料タンク210は、上部及び下部にそれぞれ開口部(未図示)を含むことができる。原料タンク210の上部に形成された開口部は、原料が投入される原料投入口125として形成されてもよい。いくつかの実施例でにおいて、原料投入口125は、カバー部材(未図示)によって原料が投入されない間には、閉じた状態を維持することができる。原料タンク210の下部に形成された開口部は、原料移送機220と結合することができる。ただし、これに限定されない。これにより、原料タンク210に貯蔵された原料を、原料移送機220を介して反応器100に投入することができる。
【0050】
本明細書では具体的に示されていないが、原料タンク210は、原料が貯蔵される内部空間の湿度、圧力、温度などの環境を感知及び維持するための少なくとも一つのセンサ及び環境維持装置をさらに含むか、原料が、ブリッジ現象によって流れが停止するのを防ぐための流れ補助器具(未図示)をさらに含むこともできる。さらに、いくつかの実施例では、原料タンク210は、所定の時間及び/又は原料排出量に応じて原料を排出するための原料計量装置及び/又は原料自動排出装置を含むことができる。
【0051】
原料移送機220は、原料タンク210と結合して原料タンク210に貯蔵された原料を反応器100に移送することができる。原料移送機220は、スクリューを回転させて物体を移動させるスクリューフィーダ(screw feeder)であってもよいが、これに限定されない。例えば、原料移送機220は、原料タンク210から排出された原料を所定の用量及び時間に応じて反応器100に投入するための装置であり、コンベヤー(conveyor)、バケットエレベーター(bucket elevator)などであってもよい。
【0052】
また、
図2~
図4では、原料移送機220が傾斜スクリューフィーダであることを例示したが、これに限定されるものではなく、例えば、原料移送機220は、水平スクリューフィーダと垂直スクリューフィーダ又はバケットエレベーターが結合された形態で実現することができるなど、様々に変更することができる。
【0053】
水タンク310は、水が供給され貯蔵される貯水槽であり、直方体形状、円筒状形状、垂直端面が「V」字である円錐形状など様々な形状を有することができる。いくつかの実施例では、水タンク310は、排出口での水圧を測定するセンサ又は水の温度を測定するセンサを含むことができる。
【0054】
水タンク310に貯蔵された水は、水ポンプ320を介して排出され、水注入配管350を介して反応器100に供給される。水ポンプ320は、水タンク310と水が移動する配管の間に配置され、水タンク310から所定の容量及び時間に応じて水を排出して加圧する機能をすることができる。
【0055】
本明細書では、水タンク310が底面に配置され、水ポンプ320が加圧ポンプとして実現され、水が反応器100に供給されることを例示したが、これに限定されない。例えば、水タンクは、水注入配管350よりも高い位置に配置され、水ポンプ320は所定の容量及び時間に応じて水を排出する機能のみを有するように実現することができる。
【0056】
流量計330は、水移動配管340に配置され、水の流量を測定することができる。流量計330は、差圧式流量計、容積式流量計、面積式流量計など様々な種類の流量計であってもよい。また、いくつかの実施例では、流量計330は、流量調節式流量計で具現され、流量を調節することができる。
【0057】
水注入配管350は、水が移動する水移動配管340と連結され、反応器100に水を供給することができる。水注入配管350は、第1水注入配管(
図5の351)及び第2水注入配管(
図5の352)を含むことができる。
【0058】
第1水注入配351及び第2水注入配管352は、それぞれ複数のノズル(nozzle)を含む。例えば、第1水注入配管351及び第2水注入配管352は、それぞれ4つのノズルを含むが、これに限定されるものではなく、第1水注入配管351及び第2水注入配管352は、それぞれ3つ以下のノズルを含むか、5つ以上のノズルを含むことができる。また、水を排出するノズルは、微細な放射物粒子を噴霧するスプレーノズルであってもよいが、これに限定されない。
【0059】
第1水注入配管351及び第2水注入配管352は、それぞれ第1チャンバ120及び第2チャンバ130に隣接配置され、複数のノズルと連結された複数の延長配管(未図示)が、それぞれ第1チャンバ120及び第2チャンバ130の側面を貫通して挿入されてもよい。これにより、第1水注入配管351を介して移動した水は、第1チャンバ120内部に供給され、第2水注入配管352を介して移動した水は、第2チャンバ130内部に供給される。
【0060】
いくつかの実施例において、第1水注入配管351及び第2水注入配管352は、それぞれ第1チャンバ120及び第2チャンバ130の正面を貫通して挿入され、複数のノズルを介して水を供給することもできる。
【0061】
また、第1水注入配管351の複数のノズル及び第2水注入配管352の複数のノズルは、それぞれ第1チャンバ120及び第2チャンバ130の内部空間の上部に配置され、下部に向かう方向に配置することができる。
【0062】
熱風機410は、風を起こして空気をガス移動配管430に移動させる送風機411及びガス移動配管430の間に結合され、空気を加熱するヒータ412を含む。
図2~
図4では具体的に示されていないが、ガス移動配管430には、二酸化炭素貯蔵シリンダ420と結合して、二酸化炭素を供給さする二酸化炭素注入口(未図示)を備えることができる。
【0063】
熱風機410及び二酸化炭素貯蔵シリンダ420は、空気及び二酸化炭素をそれぞれ供給し、空気と二酸化炭素が混合されたガスを160℃~180℃に加熱して、ガス注入配管440を介して反応器100に供給することができる。
【0064】
図2~
図4では、炭酸化装置1が、反応器100で水酸化カルシウム(CaOH
2)と反応するためのガスを供給する熱風機410及び二酸化炭素貯蔵シリンダ420を含むことを例示したが、これに限定されない。
【0065】
例えば、炭酸化装置1は、排ガスを水酸化カルシウム(CaOH2)と反応するガスとして利用し、熱風機410及び二酸化炭素貯蔵シリンダ420を省略することができる。この場合、炭酸化装置1のガス移動配管430は、排ガスを排出する他のプロセス装置(例えば、排ガス排出口)と連結され、前記他のプロセス装置から排出された排ガスは、ガス移動配管430及びガス注入配管440を介して反応器100に供給することができる。ここで、排ガスは、二酸化炭素を含むガスであり、約160℃~180℃の温度を有してもよいが、これに限定されない。
【0066】
言い換えれば、
図2~
図4による炭酸化装置1の熱風機410及び二酸化炭素貯蔵シリンダ420は、前記他のプロセス装置から排出された排ガスの組成を模擬するための構成であると理解されよう。
【0067】
すなわち、本発明の炭酸化装置1は、酸化カルシウム(CaO)を含む循環資源及び他の様々な工程から排出される二酸化炭素を含む排ガスを、炭酸カルシウム(CaCO3)を生成する原料として利用することにより、廃棄物の発生を減らし、温室ガスの排出量を低減することに貢献することができる。
【0068】
ガス注入配管440は、ガス移動配管430と連結され、反応器100にガスを供給することができる。ガス注入配管440は、第1ガス注入配管(
図6の441)及び第2ガス注入配管(
図6の442)を含むことができる。
【0069】
第1ガス注入配管441及び第2ガス注入配管442は、それぞれ複数のノズル(nozzle)を含む。例えば、第1ガス注入配管441及び第2ガス注入配管442は、それぞれ4つのノズルを含むが、これに限定されない。例えば、第1ガス注入配管441及び第2ガス注入配管442は、それぞれ3つ以下のノズルを含むか、5つ以上のノズルを含むことができる。ガスを排出するノズルは、様々な種類のノズルであってもよい。
【0070】
第1ガス注入配管441及び第2ガス注入配管442は、それぞれ第2チャンバ130及び第3チャンバ140に隣接配置され、複数のノズルと連結された複数の延長配管(未図示)がそれぞれ第2チャンバ130及び第3チャンバ140の側面を貫通して挿入される。これにより、第1ガス注入配管441を介して移動したガスは、第2チャンバ130内部に供給され、第2ガス注入配管442を介して移動したガスは、第3チャンバ140内部に供給される。
【0071】
いくつかの実施例において、第1ガス注入配管441及び第2ガス注入配管442は、それぞれ第2チャンバ130及び第3チャンバ140の正面を貫通して挿入され、複数のノズルを介してガスを供給することもできる。
【0072】
また、第1ガス注入配管441の複数のノズル及び第2ガス注入配管442の複数のノズルは、それぞれ第1チャンバ120及び第2チャンバ130の内部空間の下部に配置され、上部に向かう方向に配置することができる。
【0073】
集塵機510は、反応器100の上部に配置され、反応器100内部で反応後に残った残余ガスを排出することができる。例えば、集塵機510は、第1チャンバ120のガス排出口124と結合され、第1チャンバ120から前記残余ガスを吸入することができる。
【0074】
例えば、集塵機510は、バグフィルタ(Bag Filter)を含むろ過式集塵機であってもよい。これにより、反応器100に投入された原料及び反応後に生成された最終産物が吸入され、外部に排出されることを防止することができる。
【0075】
集塵機510の内部には、排気ファン520が配置されてもよい。排気ファン520は、反応器100の内部の圧力を大気圧よりも低く維持することができる。これにより、反応器100内部のガスの流れは、集塵機510に向かう方向に形成することができる。ただし、これに限定されるものではなく、排気ファン520は、集塵機510外部に配置され、排気通路を介して連結することができる。
【0076】
製品貯蔵タンク610は、反応器100で生成された最終産物を貯蔵するタンクであってもよい。製品貯蔵タンク610は、ホッパータンク又はサイロであってもよいが、これに限定されない。例えば、製品貯蔵タンク610は、運搬が容易な貯蔵用の袋であってもよい。
【0077】
製品移送機620は、反応器100で生成された最終産物(例えば、炭酸カルシウム)を製品貯蔵タンク610に移送することができる。例えば、製品移送機620は、第1製品移送機621及び第2製品移送機622を含む。第1製品移送機621は、水平スクリューフィーダで構成され、一端が反応器100下部に配置され、第2製品移送機622は、バケットエレベーターで構成され、一端が第1製品移送機621の他端に配置され、他端が製品貯蔵タンク610の上部に配置される。ただし、これに限定されず、製品移送機620は、傾斜スクリューフィーダで構成されるなど様々な移送装置で構成され得る。
【0078】
このように、一実施例による炭酸化装置1は、酸化カルシウム(CaO)を含む循環資源及び他の様々な工程から排出される二酸化炭素を含む排ガスを、炭酸カルシウム(CaCO3)を生成する原料として利用することにより、廃棄物の発生を減らし、温室ガスの排出量を低減することに貢献することができる。
【0079】
また、一実施例による炭酸化装置1は、酸化カルシウム(CaO)の水和反応及び水酸化カルシウム(CaOH2)の炭酸化工程を順次に進める反応器100を含むことにより、半乾式法により炭酸カルシウムを製造することができる。これにより、湿式法による炭酸カルシウムの製造よりも比較的工程が単純化され、炭酸カルシウムの製造に要する時間とコストを削減するのに有利である。
【0080】
図2及び
図3を参照ると、炭酸化装置1は、梯子700及びモータ制御部800をさらに含むことができる。梯子700は、反応器100と隣接配置され、炭酸化装置1を運用する者が反応器100を操作するのに役立つ補助構成であってもよい。
【0081】
モータ制御部800は、撹拌機150、160、170に電力を供給し、回転を制御するための装置であり、撹拌機150、160、170と電気的に接続することができる。モータ制御部800は、MCC(Motor Control Center)であってもよい。
【0082】
以下、
図5~
図7を参照して反応器100の構造及び駆動方法について詳細に説明する。
【0083】
図5は、一実施例による反応器の正面図、
図6は、一実施例による反応器の右側面図である。
【0084】
図5及び
図6を参照すると、反応器100は、支持構造体110、3つのチャンバ120、130、140、3つの撹拌機150、160、170を含むことができる。
【0085】
支持構造体110は、3つのチャンバ120、130、140及び3つの撹拌機150、160、170を支持することができる。例えば、支持構造体110は、複数の直方体形状の骨格が結合された形状を有することができる。
【0086】
一実施例として、支持構造体110は、4つの垂直支持台111、十個の水平支持台112及び3つの側面突出部114を含むことができる。十個の水平支持台112は、6つの縦支持台112_1及び4つの横支持台112_2を含むことができる。
【0087】
4つの垂直支持台111は、それぞれ第3方向(Z軸方向)に延びる形状を有し、平面状長方形の角部に配置することができる。6つの縦支持台112_1は、それぞれ第1方向(X軸方向)に延びる形状を有し、平面状に重畳された3つの長方形の第1方向(X軸方向)の辺をなすように配置され、4つの横支持台112_2は、それぞれ第2方向(Y軸方向)に延びる形状を有し、平面上に重畳された2つの長方形の第2方向(Y軸方向)の辺をなすように配置することができる。
【0088】
これにより、支持構造体110は、6つの縦支持台112_1が、それぞれ第1チャンバ120、第2チャンバ130又は第3チャンバ140を第1方向(X軸方向)に横切り、4つの横支持台112_2が、それぞれ第1チャンバ120又は第3チャンバ140を第2方向(Y軸方向)に横切る形状を有してもよい。
【0089】
支持構造体110は、それぞれ垂直支持台111と第2チャンバ130又は第3チャンバ140を連結する複数のチャンバ下部支持台113をさらに含むことができる。複数のチャンバ下部支持台113は、それぞれ垂直支持台111から上側斜線方向に突出した形状を有し、第2チャンバ130及び第3チャンバ140の下部に連結されている。複数のチャンバ下部支持台113は、それぞれ第2チャンバ130及び第3チャンバ140の下部を支持する役割を果たす。
【0090】
また、3つの側面突出部114は、それぞれ垂直支持台111から第1方向(X軸方向)に突出した形状を有することができる。3つの側面突出部114は、それぞれ第1撹拌機150、第2撹拌機160、第3撹拌機170を支持する役割を果たすことができる。
【0091】
本明細書では、実施の容易のために一実施例による構造体110の形状、構造などを詳細に説明したが、これに限定されるものではなく、支持構造体110は、第1~第3チャンバ120、130、140及び第1~第3撹拌機150、160、170を支持するための構造物であり、様々な形状及び構造に変形することができる。
【0092】
第1~第3チャンバ120、130、140は、第3方向(Z軸方向又は厚さ方向)に順次結合された形状を有することができる。例えば、第3方向(Z軸方向)に第3チャンバ140、第2チャンバ130、第1チャンバ120が配置され、反応器100の上部チャンバは、第1チャンバ120であり、下部チャンバは、第3チャンバ140であり、第1チャンバ120と第3チャンバ140との間に中間チャンバである第2チャンバ130が配置される。
【0093】
第1チャンバ120、第2チャンバ130及び第3チャンバ140は、本体部121、131、141及び側面ドア122、132、142を含むことができる。本体部121、131、141は、それぞれ正面からみた場合、上部は四角形状、下部は半円形状の端面を有し、右側面からみた場合、第2方向(Y軸方向)の幅が第3方向(Z軸方向)の幅よりも大きい長方形の端面を有することができる。すなわち、本体部121、131、141は、直方体と半円筒形状が結合された形状を有することができる。
【0094】
本体部121、131、141のそれぞれの下部半円形状の構造は、撹拌機150、160、170の複数の撹拌翼154、164、174が撹拌軸153、163、173を中心に回転運動する経路と実質的に同じであってもよい。ただし、これに限定されるものではなく、本体部121、131、141のそれぞれの下部半円形状の構造は、複数の撹拌翼154、164、174が回転運動する経路と所定の間隔を有して離隔された構造を有してもよい。
【0095】
側面ドア122、132、142は、それぞれ本体部121、131、141の右の側面に配置される。側面ドア122、132、142は、それぞれ開閉可能なドアであり、本体部121、131、141のそれぞれの右の側面よりも小さい面積に形成される。反応器100を運用する者は、側面ドア122、132、142を介して本体部121、131、141の内部を確認することができる。いくつかの実施例において、側面ドア122、132、142は、少なくとも一部が透明な物からなり、観察窓(viewing window)の役割を果たすこともできる。
【0096】
また、第1チャンバ120及び第2チャンバ130は、それぞれ下部結合領域123、133を含む。第1下部結合領域123は、第2方向(Y軸方向)に延びる第1チャンバ120の側面が下部方向に延びて第2チャンバ130の側面と連結された形状を有することができる。第2下部結合領域133は、第2方向(Y軸方向)に延びる第2チャンバ130の側面が下部方向に延びて第3チャンバ140の側面と連結された形状を有することができる。これにより、第1チャンバ120、第2チャンバ130及び第3チャンバ140は、
図5に示すように、外形上第2方向(Y軸方向)に側面が連結する形状を有することができる。
【0097】
第1チャンバ120は、上部に形成されたガス排出口124及び原料投入口125を含むことができる。ガス排出口124は、反応器100内部で反応後に残った残余ガスが排出される開口部であり、集塵機510と結合されることができる。ガス排出口124は、平面状の長方形の形状を有してもよいが、これに限定されない。ガス排出口124の平面状の面積は、集塵機510下部の平面状の面積と実質的に同じであってもよい。
【0098】
原料投入口125は、原料移送機220から原料が投入される開口部であってもよい。言い換えれば、反応器100は、原料投入口125を介して原料移送機220から原料が供給される。原料投入口125は、原料移送機220と結合してもよいが、これに限定されない。原料投入口125の平面状の形状は、円形状を有することができる。原料投入口125の平面状の面積は、原料移送機220の一端、即ち、原料が排出される部分の平面状の面積より大きくても実質的に同じであってもよい。
【0099】
また、第1チャンバ120は、下部に形成された第1下部開口部BOP1を含む。例えば、第1下部開口部BOP1は、右側からみたとき、第1チャンバ120の左側下端に形成される。第1下部開口部BOP1は、第1チャンバ120で原料が反応した後、第2チャンバ130に移動するための空間であってもよい。
【0100】
第1下部開口部BOP1は、平面状長方形の端面形状を有してもよいが、これに限定されない。第1下部開口部BOP1は、本体部121の下部半円形状の構造を第1方向(X軸方向)に横切る第1突出部PTR1を含むことができる。第1突出部PTR1は、前記下部半円形状の第3方向(Z軸方向)に延びた形状を有することができる。これにより、第1チャンバ120で原料が十分な反応時間で水と水和反応が進むようにし、原料が非意図的に第2チャンバ130に移動するのを防止するのに有利である。
【0101】
第2チャンバ130は、上部に形成された第1上部開口部TOP1を含むことができる。例えば、第1上部開口部TOP1は、右側からみたとき、第2チャンバ130の左側上端に形成される。第1上部開口部TOP1は、第1チャンバ120で生成された生成物又は原料が第2チャンバ130に移動する空間であり、第1下部開口部BOP1と連結することができる。第1上部開口部TOP1の平面状の形状及び面積は、第1下部開口部BOP1の平面状の形状及び面積と実質的に同じであってもよい。
【0102】
また、第2チャンバ130は、下部に形成された第2下部開口部BOP2を含む。例えば、第2下部開口部BOP2は、右側からみるとき、第2チャンバ130の右側下端に形成される。第2下部開口部BOP2は、第2チャンバ130で生成された生成物が第3チャンバ140に移動するための空間であってもよい。
【0103】
第2下部開口部BOP2は、平面状の長方形の端面形状であってもよいが、これに限定されない。第2下部開口部BOP2は、本体部131の下部半円形状の構造を第1方向(X軸方向)に横切る第2突出部PTR2を含むことができる。これにより、第1チャンバ120から移動した物質は、第2チャンバ130で十分な反応時間を有して水と水和反応が行われるか、二酸化炭素を含むガスと炭酸化反応が行われる。また、第2チャンバ130で化学反応中の物質が非意図的に第3チャンバ140に移動するのを防止するのに有利である。
【0104】
第3チャンバ140は、上部に形成された第2上部開口部TOP2を含むことができる。例えば、第2上部開口部TOP2は右側からみとき、第3チャンバ140の右側上端に形成される。第2上部開口部TOP2は、第2チャンバ130で生成された生成物が第3チャンバ140に移動する空間であり、第2下部開口部BOP2と連結することができる。第2上部開口部TOP2の平面状の形状及び面積は、第2下部開口部BOP2の平面状の形状及び面積と実質的に同じであってもよい。
【0105】
また、第3チャンバ140は、下部に形成された第3下部開口部BOP3を含むことができる。例えば、第3下部開口部BOP3は右側からみたとき、第3チャンバ140の左側下端に形成される。第3下部開口部BOP3は、第3チャンバ140で生成された最終産物が排出される空間であってもよい。
【0106】
第3下部開口部BOP3は、平面状の円形形状を有してもよいが、これに限定されない。第3下部開口部BOP3は、本体部141の下部半円形状の構造を第1方向(X軸方向)に横切る第3突出部PTR3を含むことができる。これにより、第2チャンバ130から移動した物質は、第3チャンバ140で十分な反応時間を有して二酸化炭素を含むガスと炭酸化反応を行うことができる。また、第3チャンバ140で化学反応中の物質が非意図的に外部に移動するのを防止するのに有利である。
【0107】
第3下部開口部BOP3は、反応器100により生成された最終生成物が製品移送機620に移動するための空間であってもよい。第3下部開口部BOP3は、製品移送機620と結合するように実現されてもよいが、これに限定されない。第3下部開口部BOP3の平面状の面積は、製品移送機620の一端、すなわち、最終生成物が投入される部分の平面状の面積よりも小さいか、実質的に同じであってもよい。
【0108】
図5及び
図6では、ガス排出口124、原料投入口125、第1~第3下部開口部BOP1、BOP2、BOP3及び第1、第2上部開口部TOP1、TOP2が、それぞれ平面状の形状が長方形状又は円形形状であることを例示したが、正四角形、三角形、六角形などの多角形又は楕円形など、様々な平面状の形状を有することができる。
【0109】
また、原料投入口125、第1~第3下部開口部BOP1、BOP2、BOP3及び第1、第2上部開口部TOP1、TOP2が形成される位置は、前述した例に限定されない。例えば、原料投入口125、第1~第3下部開口部BOP1、BOP2、BOP3は、第2方向(Y軸方向又は水平方向)で互いに反対側に交錯するように形成されるものであり、原料投入口125が第1チャンバ120の左側上端に形成された場合、第1下部開口部BOP1が第1チャンバ120の右側下端に形成され、第2下部開口部BOP1は、第2チャンバ130の左側下端に形成され、第3下部開口部BOP2は、第3チャンバ140の右側下端に形成される。
【0110】
第1~第3撹拌機150、160、170は、それぞれ第1~第3チャンバ120、130、140の内部空間に備えられた物質を混合して、反応効率及び反応速度を増加させることができる。第1~第3撹拌機150、160、170は、それぞれ駆動モータ151、161、171、ギア152、162、172、撹拌軸153、163、173及び複数の撹拌翼154、164、174を含むことができる。
【0111】
第1~第3駆動モータ151、161、171は、それぞれ電気エネルギーを力学的エネルギーに変換して駆動力を発生させる回転装置であってもよい。第1~第3駆動モータ151、161、171は、それぞれ3つの側面突出部114上に配置することができる。第1~第3駆動モータ151、161、171は、モータ制御部800と電気的に接続して電源が供給され、モータ制御部800から伝送された電気信号に従って駆動される。
【0112】
第1~第3ギア152、162、172は、それぞれ第1~第3駆動モータ151、161、171により生成された力学的エネルギーが伝達され、撹拌に必要な分当たりの回転数に変形することができる。第1~第3ギア152、162、172は、それぞれ第1~第3チャンバ120、130、140の一側面に配置することができる。
【0113】
第1~第3ギア152、162、172は、ベルトとプーリを含むが、これに限定されない。例えば、第1~第3ギア152、162、172は、それぞれ第1~第3駆動モータ151、161、171と直接接続されたギアボックス(Gearbox)で実現されるなど、様々に変形可能である。
【0114】
第1~第3撹拌軸153、163、173は、それぞれ第1~第3ギア152、162、172と連結され、前記分当たりの回転数に応じて回転力を伝達する役割を果たす。第1~第3撹拌軸153、163、173は、端面が円形の棒状を有することができる。第1~第3撹拌軸153、163、173は、それぞれ第1~第3ギア152、162、172から第2方向(Y軸方向)に延び、第1~第3チャンバ120、130、140の2つの側面を貫通して配置される。
【0115】
第1~第3撹拌軸153、163、173の両端は、それぞれ縦支持台112_1上に配置された固定部材(未図示)により固定することができる。前記固定部材は、第1~第3撹拌軸153、163、173のそれぞれの回転を妨げないように実現することができる。
【0116】
第1~第3撹拌軸153、163、173には、それぞれ複数の撹拌翼154、164、174が配置される。例えば、複数の撹拌翼154、164、174は、それぞれ2つのブレードを含み、第1~第3撹拌軸153、163、173に3つの撹拌翼154、164、174が第2方向(Y軸方向)に離隔して配置することができる。ただし、これに限定されない。いくつかの実施例では、撹拌翼154、164、174は、3つ以上のブレードを含むことができ、第1~第3撹拌軸153、163、173に、2つ以下又は4つ以上の撹拌翼154、164、174が配置されてもよい。
【0117】
撹拌翼154、164、174は、それぞれ対称な形状又は撹拌軸153、163、173を中心に一定の角度で複数のブレードが配置された形状を有し、第1~第3撹拌軸153、163、173が回転するにつれて、第1~第3チャンバ120、130、140の内部で円形軌道で回転することができる。
【0118】
撹拌翼154、164、174は、パドル型の羽根車(Paddle Impeller)で実現され、第1方向(X軸方向)の中心軸を基準に傾いたピッチト羽根車(Pitched Impeller)であってもよいが、これに限定されるものではない。撹拌翼154、164、174は、撹拌軸153、163、173の回転に応じて円形軌道で回転し、それぞれのチャンバ120、130、140の内部に備えられた物質を混合して反応を促進すると同時に水平方向に移動させることができる。
【0119】
例えば、複数の第1撹拌翼154は、第1チャンバ120の内部に備えられた物質を混合し、第2方向(Y軸方向)の反対方向に移動させ、複数の第2撹拌翼164は、第2チャンバ130の内部に備えられた物質を混合し、第2方向(Y軸方向)に移動させ、複数の第3撹拌翼174は、第3チャンバ140の内部に備えられた物質を混合し、第2方向(Y軸方向)の反対方向に移動させることができる。
【0120】
別の例として、第1~第3下部開口部BOP1、BOP2、BOP3がそれぞれ第1チャンバ120の右側下端、第2チャンバ130の左側下端及び第3チャンバ140の右側下端に形成された場合、撹拌翼154、164、174のピッチ方向を反対に変更し、複数の第1撹拌翼154は、第1チャンバ120の内部に備えられた物質を第2方向(Y軸方向)に移動させ、複数の第2撹拌翼164は、第2チャンバ130の内部に備えられた物質を第2方向(Y軸方向)に移動させ、複数の第3撹拌翼174は、第3チャンバ140の内部に備えられた物質を第2方向(Y軸方向)の反対方向に移動させることができる。
【0121】
図7は、
図5及び
図6の反応器内で水和及び炭酸化工程が行われる経路を示す図である。
【0122】
図7を参照すると、反応器100は、原料タンク210から原料移送機220を介して原料が供給される。前記原料は、酸化カルシウム(CaO)を含むものであり、例えば、脱硫工程の副産物である脱硫石膏(CaO・CaSO
4)であってもよいが、これに限定されるものではない。
【0123】
第1チャンバ120は、原料投入口125を介して原料が供給され、第1チャンバ120に挿入された第1水注入配管351から複数のノズルを介して水が供給される。右側からみたとき、第1チャンバ120の右側上端の原料投入口125に供給された原料は、第1撹拌機150により第1チャンバ120の内部で第2方向(Y軸方向)の反対方向に移動すると同時に、第1水注入配管351から供給された水と混合することができる。
【0124】
これにより、第1チャンバ120では、原料に含まれた酸化カルシウム(CaO)が水(H2O)と反応して水酸化カルシウム(Ca(OH)2)を形成する水和反応が行われる。
【0125】
また、第1チャンバ120は、第2チャンバ130と連通した第1下部開口部BOP1が第3方向(Z軸方向)に突出した第1突出部PTR1を含むことにより、原料が十分な反応時間を有して水酸化反応が行われることを可能し、原料が非意図的に第2チャンバ130に移動するのを防止するのに有利である。
【0126】
第2チャンバ130は、第1ガス注入配管441から複数のノズルを介して二酸化炭素を含むガスが供給され、第2水注入配管352から複数のノズルを介して水が供給される。
【0127】
第2チャンバ130は、第1チャンバ120から水酸化カルシウム(Ca(OH)2)と酸化カルシウム(CaO)を含む原料が供給される。第1下部開口部BOP1又は第1上部開口部TOP1を介して第1チャンバ120から第2チャンバ130に移動した水酸化カルシウム(Ca(OH)2)と酸化カルシウム(CaO)は、第2撹拌機160により第2チャンバ130内部で第2方向(Y軸方向)に移動し、二酸化炭素又は水と混合することができる。
水酸化カルシウム(Ca(OH)2)と酸化カルシウム(CaO)は、それぞれ第2チャンバ130内部で炭酸化反応及び水酸化反応が行われてもよい。水酸化カルシウム(Ca(OH)2)は、第2チャンバ130内部で二酸化炭素(CO2)と反応して炭酸カルシウム(CaCO3)が形成され、酸化カルシウム(CaO)は、水(H2O)と反応して水酸化カルシウム(Ca(OH)2)を形成することができる。また、第2チャンバ130内部で形成された水酸化カルシウム(Ca(OH)2)は、二酸化炭素(CO2)と反応して炭酸カルシウム(CaCO3)として形成される。すなわち、第2チャンバ130では、酸化カルシウム(CaO)の水和及び炭酸化反応、水酸化カルシウム(Ca(OH)2)の炭酸化反応が行われる。
【0128】
また、第2チャンバ130は、第3チャンバ140と連通した第2下部開口部BOP2が、第3方向(Z軸方向)に突出した第2突出部PTR2を含むことにより、原料又は水酸化カルシウム(Ca(OH)2)が十分な反応時間を有して水酸化反応及び/又は炭酸化反応が行われるようにし、原料又は水酸化カルシウム(Ca(OH)2)が非意図的に第3チャンバ140に移動するのを防止するのに有利である。
【0129】
第3チャンバ140は、第2ガス注入配管442から複数のノズルを介して二酸化炭素を含むガスが供給される。
【0130】
第3チャンバ140は、第2チャンバ130から水酸化カルシウム(Ca(OH)2)と炭酸カルシウム(CaCO3)が供給される。第2下部開口部BOP2又は第2上部開口部TOP2を介して第2チャンバ130で第3チャンバ140に移動した水酸化カルシウム(Ca(OH)2)と炭酸カルシウム(CaCO3)は、第3撹拌機170により、第3チャンバ140内部で第2方向(Y軸方向)と反対方向に移動し、二酸化炭素を含むガスと混合することができる。
【0131】
水酸化カルシウム(Ca(OH)2)は、第3チャンバ140内部で二酸化炭素(CO2)と反応して炭酸カルシウム(CaCO3)を形成することができる。第3チャンバ140の内部で形成された炭酸カルシウム(CaCO3)及び第2チャンバ130から供給された炭酸カルシウム(CaCO3)は、反応器100による最終産物として第3下部開口部BOP3を介して外部に排出される。
【0132】
第3チャンバ140は、第3下部開口部BOP3が第3方向(Z軸方向)に突出した第3突出部PTR3を含むことにより、水酸化カルシウム(Ca(OH)2)が十分な反応時間を有して炭酸化反応が行わるようにし、水酸化カルシウム(Ca(OH)2)が非意図的に外部に移動するのを防止するのに有利である。
【0133】
第3下部開口部BOP3を介して排出された炭酸カルシウム(CaCO3)は、製品移送機620を介して製品貯蔵タンク610に移送される。
【0134】
第1~第3チャンバ120、130、140で反応後に残った残余ガスは、第1チャンバ120のガス排出口124に結合された集塵機510を介して排出することができる。第1~第3チャンバ120、130、140の内圧は、排気ファン520により大気圧よりも低く維持され、これにより、第1~第3チャンバ120、130、140の内部のガスの流れは、集塵機510方向、すなわちガス排出口124方向に形成され、残余ガスを集塵機510を介して排出することができる。
【0135】
このように、一実施例による反応器100は、酸化カルシウム(CaO)を含む循環資源及び他の様々な工程から排出される二酸化炭素を含む排ガスを、炭酸カルシウム(CaCO3)を生成する原料として利用することにより、廃棄物の発生を減らし、温室ガスの排出量を削減することに貢献することができる。
【0136】
また、一実施例による反応器100は、酸化カルシウム(CaO)の水和反応及び水酸化カルシウム(CaOH2)の炭酸化工程を順次に進めることにより、半乾式法によって炭酸カルシウムを製造することができる。これにより、湿式炭酸化後のろ過及び乾燥工程を含む湿式法によって炭酸カルシウムを製造することよりも比較的工程が単純化され、炭酸カルシウムの製造に要される時間とコストを低減するのに有利である。
【0137】
本発明のいくつかの実施例のそれぞれの特徴は、部分的に又は全体的に互いに結合又は組み合わせ可能であり、技術的に様々な連動及び駆動が可能であり、各実施例がお互いに対し独立して実施可能であってもよく、関連して一緒に実施してもよい。
【0138】
以上、添付図面を参照して本発明の実施例を説明したが、本発明が属する技術分野で通常の知識を有する者は、本発明のその技術的思想や必須の特徴を変更することなく他の具体的な形態で実施することが理解されよう。これらの実施例は、発明を限定するのではなく例示的なものに過ぎず、限定的な観点ではなく説明的な観点から考慮されるべきである。ただし、本明細書に特定の用語が使用されているが、これは単に本発明概念を説明するための目的で使用されたことを意味し、特許請求の範囲に記載された本発明の範囲を限定するために使用されたものではない。したがって、以上で説明した実施例は、すべての点で例示的なものであり、限定的なものではないことに理解すべきである。