(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-17
(45)【発行日】2024-10-25
(54)【発明の名称】水通路及び/又は空気通路を含むウォータークラフトシステム
(51)【国際特許分類】
B63B 1/38 20060101AFI20241018BHJP
B63B 1/32 20060101ALI20241018BHJP
B63B 32/20 20200101ALI20241018BHJP
【FI】
B63B1/38
B63B1/32 A
B63B32/20
(21)【出願番号】P 2023509366
(86)(22)【出願日】2021-03-17
(86)【国際出願番号】 US2021022697
(87)【国際公開番号】W WO2022046173
(87)【国際公開日】2022-03-03
【審査請求日】2023-06-21
(32)【優先日】2020-08-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】523042754
【氏名又は名称】ロドリゲス ゲバラ,ボルハ
(74)【代理人】
【識別番号】100079108
【氏名又は名称】稲葉 良幸
(74)【代理人】
【識別番号】100109346
【氏名又は名称】大貫 敏史
(74)【代理人】
【識別番号】100117189
【氏名又は名称】江口 昭彦
(74)【代理人】
【識別番号】100134120
【氏名又は名称】内藤 和彦
(72)【発明者】
【氏名】ロドリゲス ゲバラ,ボルハ
【審査官】宇佐美 琴
(56)【参考文献】
【文献】特開2001-301690(JP,A)
【文献】西独国特許出願公開第02828858(DE,A1)
【文献】特開2001-239995(JP,A)
【文献】特開昭50-055090(JP,A)
【文献】実開昭50-057189(JP,U)
【文献】米国特許出願公開第2012/0042820(US,A1)
【文献】中国特許出願公開第103192945(CN,A)
【文献】西独国特許出願公開第03422406(DE,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B63B 1-32,1/38,32/20-32/22
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
水面に浮くように適合され、且つ上部、底部、前部、後部、左側面及び右側面を含む、ウォータークラフト本体;
前記ウォータークラフト本体を、前記上部にある第1の上部流入口から前記底部にある第1の底部流出口まで通過する、第1の通路;及び
前記ウォータークラフト本体を、前記前部の近くに位置決めされた、前記底部にある第1の底部流入口から、前記後部の近くに位置決めされた、前記底部にある第2の底部流出口まで通過する、第2の通路であって、前記第1の底部流入口は、前記ウォータークラフトの前記前部から前記第1の底部流入口まで通過する水を受け入れるように適合され、及び前記第2の底部流出口は、前記水を前記ウォータークラフトの前記後部の方へ向かって出すように適合されている、第2の通路
を含む、ウォータークラフトシステムであって;
前記第1の上部流入口は第1の上部流入口断面領域を含み、及び前記第1の底部流出口は第1の底部流出口断面領域を含み、及び前記第1の上部流入口断面領域は前記第1の底部流出口断面領域よりも大きく;及び
前記第1の底部流入口は第1の底部流入口断面領域を含み、及び前記第2の底部流出口は第2の底部流出口断面領域を含み、及び前記第1の底部流入口断面領域は前記第2の底部流出口断面領域よりも大きい、ウォータークラフトシステム。
【請求項2】
前記第1の底部流出口は、前記第1の底部流入口と比べて、前記後部の近くに位置決めされる、請求項1に記載のウォータークラフトシステム。
【請求項3】
さらに、前記ウォータークラフト本体を、前記前部の近くに位置決めされた、前記底部にある第2の底部流入口から、前記後部の近くに位置決めされた、前記底部にある第3の底部流出口まで通過する、第3の通路を含み、前記第2の底部流入口は第2の底部流入口断面領域を含み、及び前記第3の底部流出口は第3の底部流出口断面領域を含み、前記第2の底部流入口断面領域は前記第3の底部流出口断面領域よりも大きい、請求項1に記載のウォータークラフトシステム。
【請求項4】
前記第2の通路及び前記第3の通路は、前記ウォータークラフト本体の正中面を中心として互いに鏡映対称である、請求項3に記載のウォータークラフトシステム。
【請求項5】
前記第1の通路は、前記ウォータークラフト本体内の前記第2の通路と前記第3の通路との間を通過する、請求項4に記載のウォータークラフトシステム。
【請求項6】
さらに、前記ウォータークラフト本体を、前記左側面の左側面流入口から、前記ウォータークラフト本体内の前記第2の通路との左サイド合流部まで通過する、第4の通路を含み、前記左側面流入口は左側面流入口断面領域を含み、及び前記左サイド合流部は左サイド合流部断面領域を含み、前記左側面流入口断面領域は前記左サイド合流部断面領域よりも大きい、請求項1に記載のウォータークラフトシステム。
【請求項7】
さらに、前記ウォータークラフト本体を、前記右側面にある右側面流入口から、前記ウォータークラフト本体内の前記第3の通路との右サイド合流部まで通過する、第5の通路を含み、前記右側面流入口は右側面流入口断面領域を含み、及び前記右サイド合流部は右サイド合流部断面領域を含み、前記右側面流入口断面領域は前記右サイド合流部断面領域よりも大きい、請求項3に記載のウォータークラフトシステム。
【請求項8】
さらに、前記第1の上部流入口中へ空気を導くように適合された上部シュラウドを含む、請求項1に記載のウォータークラフトシステム。
【請求項9】
前記第1の上部流入口は、前記ウォータークラフトの前記前部から前記第1の上部流入口まで通過する空気を受け入れるように適合されており、及び前記第1の底部流出口は、前記空気を前記ウォータークラフトの前記後部の方へ向かって出すように適合されている、請求項1に記載のウォータークラフトシステム。
【請求項10】
さらに、前記第1の底部流出口に構成された1つ以上の拡散器を含む、請求項1に記載のウォータークラフトシステム。
【請求項11】
前記左側面流入口は、前記ウォータークラフトの前記前部から前記左側面流入口まで通過する水を受け入れるように適合されており、及び前記第2の底部流出口は、前記水を前記ウォータークラフトの前記後部の方へ向かって出すように適合されている、請求項6に記載のウォータークラフトシステム。
【請求項12】
前記右側面流入口は、前記ウォータークラフトの前記前部から前記右側面流入口まで通過する水を受け入れるように適合されており、及び前記第3の底部流出口は、前記水を前記ウォータークラフトの前記後部の方へ向かって出すように適合されている、請求項7に記載のウォータークラフトシステム。
【請求項13】
さらに、前記第1の底部流入口において前記第2の通路と結合された第1の水流入チャンネルを含む、請求項1に記載のウォータークラフト。
【請求項14】
さらに、前記第2の底部流入口において前記第3の通路と結合された第2の水流入チャンネルを含む、請求項3に記載のウォータークラフト。
【請求項15】
水面に浮くように適合され、且つ上部、底部、前部、後部、左側面及び右側面を含む、ウォータークラフト本体;
前記ウォータークラフト本体を、前記上部にある第1の上部流入口から前記底部にある第1の底部流出口まで通過する、第1の通路
;
前記ウォータークラフト本体を、前記前部の近くに位置決めされた、前記底部にある第1の底部流入口から、前記後部にある第1の後部流出口まで通過する、第2の通路であって、前記第1の底部流入口は、前記ウォータークラフトの前記前部から前記第1の底部流入口まで通過する水を受け入れるように適合され、及び前記
第1の後部流出口は、前記水を前記ウォータークラフトの前記後部の方へ向かって出すように適合されている、第2の通路
;及び
前記ウォータークラフト本体を、前記左側面又は右側面にある側面流入口から、前記ウォータークラフト本体内の前記第2の通路とのサイド合流部まで通過する、第3の通路;
を含む、ウォータークラフトシステムであって;
前記第1の上部流入口は第1の上部流入口断面領域を含み、及び前記第1の底部流出口は第1の底部流出口断面領域を含み、及び前記第1の上部流入口断面領域は前記第1の底部流出口断面領域よりも大きく;及び
前記第1の底部流入口は第1の底部流入口断面領域を含み、及び前記第1の後部流出口は第1の後部流出口断面領域を含み、及び前記第1の底部流入口断面領域は前記第1の後部流出口断面領域よりも大き
く;及び
前記側面流入口は側面流入口断面領域を含み、及び前記サイド合流部はサイド合流部断面領域を含み、前記側面流入口断面領域は前記サイド合流部断面領域よりも大きい、ウォータークラフトシステム。
【請求項16】
さらに、前記ウォータークラフト本体を、前記前部の近くに位置決めされた、前記底部にある第2の底部流入口から、前記後部にある第2の後部流出口まで通過する、第
4の通路を含み、前記第2の底部流入口は第2の底部流入口断面領域を含み、及び前記第2の後部流出口は第2の後部流出口断面領域を含み、前記第2の底部流入口断面領域は前記第2の後部流出口断面領域よりも大きい、請求項
15に記載のウォータークラフトシステム。
【請求項17】
前記第2の通路及び前記第
4の通路は、前記ウォータークラフト本体
の正中面を中心として互いに鏡映対称である、請求項
16に記載のウォータークラフトシステム。
【請求項18】
前記第1の通路は、前記ウォータークラフト本体内の前記第2の通路と前記第
4の通路との間を通過する、請求項
17に記載のウォータークラフトシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
著作権ステートメント
本特許文献は、著作権保護の対象である題材(material)を含む。著作権の所有者は、本特許文献又は米国特許商標局への出願のいずれかの関連の題材の複製に異議はないが、そうでなければ、何があっても全ての著作権を所有する。
【0002】
発明の分野
本発明は、ウォータークラフト(watercrafts)、例えば、本体貫通(through-body)水及び空気通路の設けられたウォータークラフトに関する。
【背景技術】
【0003】
背景
サーフィン、パドルボーディング、セーリングなどの水上競技のスポーツ(watercraft sports)、及び他のタイプの水上競技のスポーツは、世界中で非常に人気がある。当技術分野で公知のように、ウォータークラフトの設計、例えばクラフトの本体やハルの設計は、ウォータークラフトの性能及び水上競技のスポーツの全体的な楽しさを決定し得る、特に重要な要素である。
【0004】
ウォータークラフトが、使用している最中に、水中で著しく抗力を受ける感じがする場合、クラフトを前方に推進させるのが困難かもしれず(特に、サーフボードやパドルボードを用いているなど、クラフトが手動で推進させられているとき)、うんざりしてあまり気持ちのいいものではない経験となるかもしれない。
【0005】
及び、競技会やレースの最中にウォータークラフトが使用される場合には、ウォータークラフトが水中で移動し得る速度及びその操縦性が、最も重要とし得る。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
従って、ウォータークラフト上への水によって生じた抗力を減少させ、及び速度を増して操縦性を高めるためにウォータークラフトの可能性を高める、ウォータークラフトシステムに対するニーズがある。従って、ウォータークラフトの本体を通過する空気通路及び/又は水通路を含み、それにより、これらの設計目標を達成するウォータークラフトシステムに対するニーズがある。
【0007】
図面の簡単な説明
本発明の様々な他の目標、特徴及び付随する利点が、添付図面と併せて考慮されるときにそれらがよりよく理解されるため、十分に認識され、添付図面では、同様の参照符号は、いくつかの図面を通して同じ又は同様の部分を指定する。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】これに関する例示的な実施形態によるウォータークラフトシステムの態様を示す。
【
図2】これに関する例示的な実施形態によるウォータークラフトシステムの態様を示す。
【
図3】これに関する例示的な実施形態による空気通路システムの態様を示す。
【
図4】これに関する例示的な実施形態による空気通路システムの態様を示す。
【
図5A】これに関する例示的な実施形態による空気通路システムの態様を示す。
【
図5B】これに関する例示的な実施形態による空気通路システムの態様を示す。
【
図6】これに関する例示的な実施形態による水通路システムの態様を示す。
【
図7】これに関する例示的な実施形態による水通路システムの態様を示す。
【
図8】これに関する例示的な実施形態による水通路システムの態様を示す。
【
図9】これに関する例示的な実施形態による水通路システムの態様を示す。
【
図10】これに関する例示的な実施形態による水通路システムの態様を示す。
【
図11】これに関する例示的な実施形態による水通路システムの態様を示す。
【
図12】これに関する例示的な実施形態によるウォータークラフトシステムの態様を示す。
【
図13】これに関する例示的な実施形態によるウォータークラフトシステムの態様を示す。
【
図14】これに関する例示的な実施形態によるウォータークラフトシステムの態様を示す。
【
図15】これに関する例示的な実施形態によるウォータークラフトシステムの態様を示す。
【
図16】これに関する例示的な実施形態によるウォータークラフトシステムの態様を示す。
【
図17】これに関する例示的な実施形態によるウォータークラフトシステムの態様を示す。
【発明を実施するための形態】
【0009】
例示的な実施形態の詳細な説明
本明細書では、別段の使用がない限り、以下の用語及び略語は、以下の意味を有する。
【0010】
ウォータークラフトは、一般的に、浮く、部分的に浮く、水中に沈められる、部分的に水中に沈められる、又はその任意の組み合わせで水中や水上の他の場所に位置決めされるように適合された、任意のタイプの物体を指す。ウォータークラフトは、任意のタイプのボート、船、船舶(water vessel)、サーフボード、パドルボード、スダンドアップパドルボード、ウィンドサーフィンボード、ブギーボード、ニーボード(knee board)、カイトサーフィンボード、ショートボード、ロングボード、フォームボード(foam board)、ウェイクボード、スキムボード(skim board)、潜水艇、潜水艦、沖合船、レースボート、漁船や釣り用ボート、商業船(commercial-boat)、帆船、モーターボート、こぎ舟、ヨット、クルーズ船、ハイドロプレーン、カヤック、カヌー、ゴムボート(raft)、ブイ、任意の他のタイプの海上船舶(marine craft)及びその任意の組み合わせを指し得る。いくつかの実施形態では、ウォータークラフトは、水上又は水中で動くように適合され得るが、他の実施形態では、ウォータークラフトは、一般的に静止している。ウォータークラフトのいずれの動きも、モーター、エンジン、帆、オール、波、水流(currents)、潮の干満、人の腕及び/又は脚、他のタイプの移動機構並びにその任意の組み合わせによって容易にされ得る。移動機構は、電気、可燃燃料、人力、畜力、風力、ソーラーパワー、波力、潮汐力、水流パワー(current power)、他のタイプのパワー及びその任意の組み合わせによって駆動され得る。ウォータークラフトは、人、動物、植物、及び他のタイプの生物、並びに無生物又は機器、例えば、コンピュータ、ロボット装置、電気監視装置(electrical surveillance equipment)、ナビゲーション装置、コミュニケーション装置、積み荷、他のタイプの装置及び/又は物体並びにその任意の組み合わせを支えるように適合され得る。
【0011】
概して、これに関する例示的な実施形態によるアセンブリは、クラフトの上側表面(upper surface)からクラフトの下側表面(underneath surface)まで通過する1つ以上の空気通路、及び/又は前方(船首の方へ向かう)下側表面から後方(船尾の方へ向かう)下側表面まで通過する1つ以上の水通路が設けられた、ウォータークラフトを含む。いくつかの実施形態では、クラフトはまた、両側(例えば、左舷及び/又は右舷)から下側表面まで通過する1つ以上の水通路を含み得る。
【0012】
使用しているとき、上側表面は、一般に水線の上に存在するように適合され得(水中に沈まない)、及び下側表面は、一般に水線の下に存在するように適合され得る(水中に沈む)。このようにして、空気が、ウォータークラフトをクラフトの上からクラフトの下まで通過し得、及び水が、クラフトの水中に沈んだ前方部分及び/又はサイド(side)部分から、クラフトの水中に沈んだ後方部分まで通過し得る。しかしながら、ウォータークラフトの上側表面は、必要に応じて水線の下に(少なくとも部分的に)存在するように適合され得ることが理解される。
【0013】
ここで
図1~17を参照して、これに関する例示的な実施形態によるウォータークラフトシステム10についてさらに詳細に説明する。
【0014】
図1~2に示すような、これに関する例示的な一実施形態では、ウォータークラフトシステム10は、本体100、空気通路システム200及び水通路システム300を含む。システム10は、その機能を果たすために、必要に応じて他の要素及び構成要素を含み得る。
【0015】
本明細書の目的において、システム10は、サーフボードでのその実施に関連して主に説明される。しかしながら、本発明は、本明細書又は他の方法で説明するような任意のタイプのウォータークラフトで実施され得ること、及びシステム10の範囲は、システム10が含み得るウォータークラフトのタイプによって何ら限定されないことが理解される。
【0016】
ウォータークラフト本体
図1~2に示すような例示的な一実施形態では、本体100は、前端104(船首とも呼ばれる)、後端106(船尾とも呼ばれる)、上側(top side)108(デッキとも呼ばれる)、底側110、左側面112及び右側面114を備える、サーフボード102(又は他のタイプのウォータークラフト)を含む。ボード102の長さL1は、前部104と後部106との間の距離であると定義され、中間点M
Pが、それらの間の中間に(すなわちL1の半分に)位置する。中間点M
Pにおけるボード102の幅は、幅W1として示されている。本体100の正中面M
Dは、前部104から後部106まで延び、及び本体100を、左部分と右部分とに鏡映対称で分割する。
【0017】
サーフボード102の本体100は、任意の好適な材料及び技術を使用して、一般的に当業界で公知のように形成され得る。これについて、他のセクションでさらに詳細に説明する。
【0018】
いくつかの実施形態では、サーフボード102は、一般に立った姿勢又はうつぶせの姿勢のいずれかで、上側108上に使用者を支えるように適合されている。
【0019】
空気通路システム
図3~4に示すような、これに関する例示的な一実施形態では、空気通路システム200は、ボード102をその上部108からその底部110まで延在する1つ以上の空気通路202を含む。従って、空気通路202は、ボードの上部108と一緒に構成された通路流入口204、及びボードの底部110と一緒に構成された通路流出口206を含み得る。流入口204は、上面108の上から空気を捕らえてそれを流入口204中へと導くように適合され得る流入口ベント208と一緒に構成され得る。ベント208は、一般的に、流入口204の設置サイズに適合することが好ましいとし得る。ベント208は、ボード102の前部104に向いている開口が設けられたシュラウド210を含み得るため、ボード102が前方に(又は他の方法で)移動するとき、空気が、前からシュラウド210中へと入って、流入口204中へと方向付けられ得る。そこから、空気は、空気流路矢印F
Aによって示すように、一般的に、空気通路202を通って(ボードの本体102を通って)流れ、底部流出口206を通って出る。
【0020】
いくつかの実施形態では、流入口204及び/又はベント208は、物体及び/又は粒子(例えば、昆布)が流入口204及び空気通路202中へ入るのを妨害するために、メッシュ又は格子の覆いを含み得る。
【0021】
いくつかの実施形態では、流入口204は、一般的に、ボード102の前部104の方に向かって位置し、及び流出口は、一般的に、ボード102の後部106の方に向かって位置する。例えば、流入口204は、ボード102の中間点MPとボード102の前部104との間に位置決めされ得、及び流出口206は、中間点MPとボード102の後部106との間に位置決めされ得る。いくつかの実施形態では、流入口204は、ボード104の中間点MPと前部104との間のほぼ中間に位置し得る。いくつかの実施形態では、流出口206は、一般的に、後部106よりも中間点MPの近くに位置し得る。他の実施形態では、流出口206は、一般的に、中間点MPに又は中間点MPからわずかに前方に位置してもよい。しかしながら、流入口204及び/又は流出口206は、必要に応じてボード102上の任意のロケーションに位置し得ること、並びにシステム10の範囲は、流入口204及び/又は流出口206のロケーションによって何ら限定されないことが理解される。
【0022】
当業界で公知のように、サーフボード102は、様々な技術を使用して製造され得る。例えば、一部のサーフボード102は、最終製品の所望のサイズにほぼ適合する「ブランク」のポリスチレン(EPS)又はポリウレタン(PU)フォームコアから始めることによって、生産される。ブランクは、1枚以上の材料シート(要求に応じ、糊で貼り合わせられる)を含み、且つサイズに切断し得る。ブランクは、フォームに縦方向に糊で貼られた木材のような強化材の条片を含む「縦通材(stringer)」を含み得、それに強度及び曲げ記憶(flex memory)を与える。その後、ブランクは、切断されて、最終結果のサーフボードの所望の形状及びサイズに形作られ得る。次のステップは、補強のために、ブランクの全長にガラス繊維布を当てることを含み得る。その後、ガラス繊維布に積層用樹脂が塗布されて、布をボードに接合し、及び乾燥すると、ボードは、その最終形状を形成するために紙やすりで磨かれる。ボードに高い光沢仕上げをもたらすために、樹脂の上塗りが塗布され、且つ研磨され得る。
【0023】
他のサーフボード製造プロセスは、発泡成形(Pop Outsと呼ばれる)、射出成形、他の製造技法及びその任意の組み合わせを含み得る。
【0024】
いくつかの実施形態では、空気通路システム200は、サーフボード製造プロセスの任意の好適なステップの間中に、任意の好適な手段を使用して、ボード102に形成され得る。
【0025】
一実施形態では、空気通路システム200は、ブランクに通路202を直接彫ることによって、ブランクに形成され得る。ひとたび通路202が形成されたら、通路202の内表面は、ガラス繊維、樹脂、又は他の材料でコーティングされて、表面を封止し、及び通路202を補強し得る。表面は水密となるように封止されるため、使用中、水は、表面に浸透せず、ブランク本体の内部に入らないとし得ることが好ましいとし得る。
【0026】
別の実施形態では、空気通路システム200は、ブランクとは別々に形成され、後でブランクに挿入され得る。この例では、通路202は、ガラス繊維、プラスチック、炭素繊維、Kevlar、他のタイプの好適な材料及びその任意の組み合わせから成形され得るか又は他の方法で形成され得る。ひとたび成形されたら、通路202は、通路202を受け入れるのに適切なブランクの一部分を彫って作ること、通路202を挿入することによって、ブランク中へ挿入され、その後、水密となるように、ブランクと通路202との間の接合箇所を、樹脂(又は他の好適な材料)を用いて封止し得る。
【0027】
別の実施形態では、空気通路202は、成形されても、彫刻されても、又は他の方法で形成されてもよく、その後、ブランクと挿入成形され得る。当業界で公知のように、挿入成形は、予め作られた部分(挿入ピース、この場合には空気通路202)上への一部分の成形プロセスである。挿入ピースは、別個の構成要素として型穴に入れられ、その後、これは、成形プロセス中に封入される(少なくとも部分的に)。このようにして、ブランクの材料は、成形プロセス中に通路202と接合され得る。
【0028】
別の実施形態では、空気通路202は、成形プロセス中に空気通路202を形成するために1つ以上の型枠スライダーを使用して、ブランクに直接成形され得る。当業界で公知のように、型枠スライダーは、射出前に(一般に、型を閉鎖している間に)適所に動き、及び射出後に(一般に型を開放している間に)その場所を離れる、型内の可動部分である。適所にある間に、それらは、型穴内に通路202を形成し、及び除去されると、一体的に形成された空気通路202を含む射出された部分が、型から除去され得る。その後、空気通路202の内表面は、ガラス繊維、樹脂、又は他の材料でコーティングされて、表面を封止し、及び通路202を補強し得る。表面は水密となるように封止されるため、使用中、水は、表面に浸透せず、及びブランク本体の内部に入らないとし得ることが好ましいとし得る。
【0029】
いずれにしても、1つ又は複数の空気通路202は、上記又は他で説明するような任意の技術を使用してサーフボード202中に形成され得ること、及びアセンブリ10の範囲は、1つ又は複数の空気通路202が形成される又は作り出される方法によって何ら限定されないことが理解される。
【0030】
図4は、例示的な空気通路202を、明確にするために単独で(ボード102なしで)示す。最初の実例に使用される、これに関する一実施形態では、空気通路202は、流入口断面領域A
IN及び流出口断面領域A
OUTを備える、全体的に錘台形状である。しかしながら、上部開口204及び底部開口206によって規定される平面は、互いに平行していてもよいが、その必要はないことに留意されたい。従って、空気通路202は、真の錘台形状でなくてもよい。いくつかの実施形態では、流入口断面領域A
INは、流出口断面領域A
OUTよりも大きい(A
IN>A
OUT)。このようにして、空気通路202は、その流入口204からその流出口206まですぼまり(constrict)得る。
【0031】
いくつかの実施形態では、流入口断面領域AIN及び/又は流出口断面領域AOUTは、任意の好適な形状とし得る。例えば、流入口及び/又は流出口断面領域は、長方形、卵形、円形、長円形(oblong)、四角形、台形、任意の他のタイプの形状又は形及びその任意の組み合わせとし得る。
【0032】
いくつかの実施形態では、通路202の両側はほぼ線形であるため、断面領域は、図示の通り、上部のAINから底部のAOUTまで線形に移行する(すぼまる)。他の実施形態では、断面領域は、空気通路202の異なる部分では、異なって移行し得る(すぼまる)。いくつかの実施形態では、空気通路202は、1次元に沿って及び/又は2次元に沿ってすぼまり得る。
【0033】
流体動力学の業界で公知のように、流体の速度は、狭窄部を通過するときに、質量連続性の原理に従って増す一方で、その静圧は、力学的エネルギー保存の原理(ベルヌーイの定理(Bernoulli’s principle))に従って低下する。そのため、狭窄部を通ることによってその速度が増加したことに起因して流体が獲得し得る運動エネルギーのいずれのゲインも、圧力低下によって、バランスが保たれる。
【0034】
上記を前提として、流入口204から、すぼまる通路202を通って流出口206まで通過する空気は、減圧され、及び速度が増加する。空気は、速度を増加させて流出口206から出て行くため、空気の流れは、ボード102の底部110と水との間の底部境界面に導入され、それにより、ボード102と水との間の抗力及び摩擦を低下させる。これは、空気潤滑効果と呼ばれ得る。
【0035】
いくつかの実施形態では、使用中、空気通路システム200により、ボード102の底部110へ、加速された空気流を導入することによって、ボードの流体力学的揚力を増加させ、ボード102を水中で上向きに持ち上げ得る。これは、次に、ボード102の排水容積を減少させて、ボードに滑走効果が現れるようにし得る。このようにして、ボード102は、効率、速度及び機敏性を向上させて、水上をより簡単に滑らかに動くようになり得る。
【0036】
上述の例は、実例を意味すること、及び1つ又は複数の空気通路202は、任意の数の異なるアーキテクチャを含み得ることが理解される。システム10の範囲は、空気通路が流入口204から流出口206までの全体にわたって全体的にすぼまる限り、空気通路202のアーキテクチャによって何ら限定されないことも理解される。
【0037】
例えば、
図5Aに示すようないくつかの実施形態では、空気通路202は、流入口断面領域が通路202の異なる部分に沿って異なって移行する形を含み得る。例えば、A
INは、P1におけるA
INからP2における中間断面領域A
2まで急激に(及び好ましくは線形に)減少する。そこから、断面領域は、P2におけるA
2からP3におけるA
3まで徐々に(及び好ましくは線形に)減少する。そこから、断面領域は、P3におけるA
3からP4におけるA
OUTまで増加し得る(ここでも、おそらくはより急激に、及び好ましくは線形に)。A
INは、流出口断面領域A
OUTよりも大きい(A
IN>A
OUT)ため、流出口206から出る空気は、流入口204で入れられる空気流と比べて速度を増した空気流を含むことが好ましいとし得る。
【0038】
いくつかの実施形態では、断面領域(例えば、A
IN、A
OUT、A
2、A
3、及び空気流路F
Aに沿った任意の他の断面などを含む)は、円形、卵形(
図4)、長方形(
図5)、四角形、三角形、台形、他のタイプの形状及び/又は形並びにその任意の組み合わせなどの断面形状を含み得る。通路の断面領域は、任意の形状又は形の1つ又は複数の断面形状を含み得ること、及び断面領域の1つ又は複数の形状は、空気通路202の長さ部分に沿って適合する必要がないことが理解される。システム10の範囲は、空気通路の断面領域の形状又は形によって何ら限定されないことも理解される。
【0039】
図5Bに示すようないくつかの実施形態では、流出口206は、空気が流出口206から排出されるときに、出される空気を流出口断面領域A
OUTにわたって一様に広げるのを助け得る1つ以上の拡散器212を含み得る。1つ以上の拡散器212は、チャンネル、壁、開口、他のタイプの拡散要素及び任意のこれらの組み合わせを含み得る。いくつかの実施形態では、拡散器212は、拡散器212への入口から、拡散器212及び空気通路206の流出口まで、すぼまり得る。
【0040】
いくつかの実施形態では、空気通路システム200は1つの空気通路202を含んでもよく、及び他の実施形態では、空気通路200は複数の空気通路202を含んでもよい。システム200が2つ以上の空気通路202を含むとき、通路202は、互いに任意の関係で、例えば、限定されるものではないが、並んで、連続して(前から後ろへ)、オフセットして並んで、互いに平行に、互いにオフセット角で、重なり合って、互いに任意の他の位置及び/又は向きで、並びにその任意の組み合わせで配置され得る。さらに、空気通路202は、適合する及び/又は異なる寸法(幅、長さなど)を含み得る。さらに、空気通路202は、それらの長さ部分に沿って、適合する及び/又は異なる断面領域(例えば、AIN、AOUT、A2、A3など)を含み得る。空気通路202は、任意のタイプの適合する及び/又は異なる形、形状、アーキテクチャ、材料、位置、向き及び他のタイプの特徴を含み得、そのどれも、システム10の範囲を何ら限定しないことが理解される。
【0041】
水通路システム
図6~7に示すような、これに関する例示的な一実施形態では、水通路システム300は、ボード102を、その底部110にある前方位置からその底部110にある後方位置まで延在する1つ以上の中心水通路302を含む。従って、水通路302は、前方位置においてボードの底部110と一緒に構成された1つ以上の通路流入口304と、後方位置においてボードの底部110と一緒に構成された1つ以上の流出口306とを含み得る。
【0042】
いくつかの実施形態では、水通路システム300は、ボード102を、ボード102の左側面112及び/又は右側面114から1つ以上の中心水通路302まで延在する1つ以上のサイド水通路(side water passageways)303を含む。このようにして、左サイド及び/又は右サイド通路303は、1つ以上の中心水通路302と連通し得る。
【0043】
いくつかの実施形態では、流入口304、305は、物体及び/又は粒子(例えば、昆布)が流入口304、305及び水通路302、303中へ入るのを妨害するために、メッシュ又は格子の覆いを含み得る。
【0044】
上記を前提として、使用している間、ボード102は前方に(又は他の方法で)移動するため、水流路矢印FWによって示すように、水は、1つ又は複数の前方流入口304に入り、及び1つ又は複数の中心水通路302を通って(ボードの本体102を通って)、1つ又は複数の後方流出口306から流出し得る。さらに、水はまた、1つ又は複数の側面流入口305に入り、及び1つ又は複数のサイド水通路303を通って、1つ又は複数の中心水通路302中へと流れ得(水流路矢印FSWによって示すように)、そこで、1つ又は複数の前方流入口304から1つ又は複数の後方流出口306まで流れる水と合流して、流出し得る。
【0045】
ボード102中への水通路システム300の形成、製造及び/又は総合的な実施に関して、ボード102中への空気通路システム200の形成、製造及び/又は総合的な実施に関して説明した詳細の全て又はいくつかが、水通路システム300にも応用し得る。水通路システム300を形成するために使用された材料に関して、空気通路システム200の形成に関して説明した材料が、水通路システム300にも応用し得る。従って、重複した情報を避けるために、この情報についてはここでは再度説明しないが、ここでも応用し得ることが理解される。
【0046】
いくつかの実施形態では、1つ又は複数の前方底部流入口304は、一般的に、ボード102のほぼ中間点MP、中間点MPのわずかに前方、又は中間点MPのわずかに後ろ側に位置する。さらに、1つ又は複数の側面流入口305は、一般的に、中間点MPと後部106との間に位置し、及び1つ又は複数の後方底部流出口306は、一般的に、ボード102の後部106の方へ向かって位置する。他の実施形態では、1つ又は複数の側面流入口305は、ボード102のほぼ中間点MP、中間点MPのわずかに前方、又は中間点MPのわずかに後ろ側に位置してもよい。しかしながら、流入口304、305及び/又は流出口306は、必要に応じてボード102上の任意のロケーションに位置し得ること、並びにアセンブリ10の範囲は、流入口304、305及び/又は流出口306のロケーションによって何ら限定されないことが理解される。
【0047】
図7に示すような一実施形態では、システム300(明確にするために単独で示す)は、2つの並んだ中心水通路302a、302bを含み、各通路302a、302bは、それぞれ前方流入口304a、304b、及びそれぞれ後方流出口306a、306bを含む。左の水通路302aは、ボードの左側面112にある側面流入口305aから中心通路302aまで延在する左サイド水通路303aを含み得、及び右の水通路302bは、ボードの右側面114にある側面流入口305bから中心通路302bまで延在する右サイド水通路303bを含み得る。
【0048】
いくつかの実施形態では、左サイド通路303aは、通路の流入口304aとその流出口306aとの間で中心通路302aに合流し、及び右サイド通路305bは、通路の流入口304bとその流出口306bとの間で中心通路302bに合流する。この例は、1つの左サイド通路303a及び1つの右サイド通路303bを示すが、システム300は、左側又は右側のいずれかに任意の数のサイド通路303を含んでもよいこと、並びに左又は右サイド通路303a、303b及び流入口305a、305bに関する本明細書の説明はまた、追加的なサイド通路303及び流入口305に関し得ることが理解される。
【0049】
いくつかの実施形態では、1つ又は複数の水流入口304は断面領域BINを含み、及び水流出口306は断面領域BOUTを含む。いくつかの実施形態では、水通路302は中間断面領域B2、B3などを含む。いくつかの実施形態では、側面水流入口305は、断面領域BSIDE、及びサイド水通路303と中心水通路302との間の合流部に中間断面領域B4を含む。
【0050】
いくつかの実施形態では、流入口断面領域BINは中間断面領域B2よりも大きく、及び通路302はそれらの間で狭くなる(好ましくは線形に)。さらに、中間断面領域B2は中間断面領域B3よりも大きく、及び通路302はそれらの間で狭くなる(好ましくは線形に)。さらに、中間断面領域B3は流出口断面領域BOUTよりも大きく、及び通路302はそれらの間で狭くなる(好ましくは線形に)。従って、中心通路302は、流入口304から中間断面領域B2まで、及び同様に中間断面領域B2から中間断面領域B3まで、及び同様に中間断面領域B3から流出口断面領域BOUTまですぼまっている。いくつかの実施形態では、流出口の断面領域BOUTは中間断面領域B3よりも大きくてもよいが、流出口の断面領域BOUTは流入口の断面領域BINよりも小さい(BIN>BOUT)ため、水通路302全体がすぼまっており、それにより、水の速度を流入口304から流出口306まで増すようにすることが好ましい。いくつかの実施形態では、水通路302は、1次元に沿って及び/又は2次元に沿ってすぼまり得る。
【0051】
いくつかの実施形態では、側面流入口断面領域BSIDEは中間断面領域B4よりも大きく、及び通路303はそれらの間で狭くなる(好ましくは線形に)。
【0052】
いくつかの実施形態では、流入口断面領域BIN、B2、B3、B4、BOUTなどは、任意の好適な形状とし得る。例えば、断面領域は、長方形、卵形、円形、長円形、四角形、台形、任意の他のタイプの形状又は形、及びその任意の組み合わせとし得る。
【0053】
上述の通り、質量連続性の原理に従って、狭窄部を通過するときに流体の速度は増す一方で、その静圧は、力学的エネルギー保存の原理(ベルヌーイの定理)に従って低下することは、流体動力学の業界では公知である。そのため、狭窄部を通ることによってその速度が増加したことに起因して流体が獲得し得る運動エネルギーのいずれのゲインも、圧力低下によって、バランスが保たれる。
【0054】
上記を前提として、前方流入口304から、すぼまる通路302を通って後方流出口306まで通過する水は、減圧され、及び速度が増加する。さらに、水側面流入口305から、すぼまる水通路303を通って通過する水は、減圧され、及び速度が増加する。水は、速度を増して、流出口306から出て行くため、水の流れは、ボード102の後部106の底部110で導入され、それにより、ボード102に前方への推進力をもたらす。この前方への推進力は、空気通路システム200によって生み出される流体力学的揚力と相まって、前進運動を加速させ、且つボード102の排水容積をさらに減少させ、それにより、ボードの滑走効果、効率、速度及び機敏性を高める。
【0055】
上述の例は、実例を意味すること、並びに1つ又は複数の中心水通路302及び/又は1つ又は複数のサイド水通路303は、任意の数の異なるアーキテクチャを含み得ることが理解される。システム10の範囲は、水通路が、前方流入口304から後方流出口306まで全体にわたって(BIN>BOUT)、及び/又は側面流入口305から、サイド通路303と対応する中心通路302との間の合流部まで(BSIDE>B4)、全体的にすぼまっている限り、水通路302、303のアーキテクチャによって何ら限定されないことも理解される。例えば、いくつかの実施形態では、中心水通路302の断面領域は、BINからBOUTまで線形に狭くなり得る。
【0056】
いくつかの実施形態では、断面領域(例えば、B
IN、B
OUT、B
2、B
3、B
SIDE、B
4、及び水流路F
Wに沿った任意の他の断面などを含む)は、円形、卵形(
図4)、長方形(
図5)、四角形、三角形、台形、他のタイプの形状及び/又は形並びにその任意の組み合わせなどの断面形状を含み得る。断面領域は、任意の形状又は形の1つ又は複数の断面形状を含み得ること、及び断面領域の1つ又は複数の形状は、水通路302、303の長さ部分に沿って適合する必要がないことが理解される。システム10の範囲は、水通路の断面領域の形状又は形によって何ら限定されないことも理解される。
【0057】
水通路システム300が2つ以上の水通路302、303を含むとき、通路302、303は、互いに任意の関係で、例えば、限定されるものではないが、並んで、連続して(前から後ろへ)、オフセットして並んで、互いに平行に、互いにオフセット角で、重なり合って、互いに任意の他の位置及び/又は向きで並びにその任意の組み合わせで配置され得ることが理解される。さらに、水通路302、303は、適合する及び/又は異なる寸法(幅、長さなど)を含み得る。さらに、水通路302、303は、それらの長さ部分に沿って適合する及び/又は異なる断面領域(例えば、BIN、BOUT、B2、B3、BSIDE、B4など)を含み得る。水通路302、303は、任意のタイプの適合する及び/又は異なる形、形状、アーキテクチャ、材料、位置、向き及び他のタイプの特徴を含み得、そのどれも、システム10の範囲を何ら限定しないことが理解される。
【0058】
図8~9に示すような他の実施形態では、水通路システム300は、左サイド水通路303a及び右サイド水通路303bを備える単一の中心水通路302を含み得る。
図7に示すような実施形態に関して上述した詳細はまた、
図9に示すようなこの実施形態に関連し得ることが理解される。
【0059】
図10に示すようないくつかの実施形態では、水通路システム300は、それぞれ左又は右側面流入口305a、305bから、それぞれ左又は右側後方流出口306a、306bまで延在する左又は右サイド水通路302a、302bをそれぞれ含み得る。このようにして、水は、側面流入口305a、305bに入り、水通路302a、302bを経由してボード102の本体100を移動し、及び後方流出口306a、306bから出得る。この形態では、水通路システム300は、必ずしも、前部水流入口304a、304bを含まなくてもよいことに留意されたい。さらに、左又は右側面水流入口305a、305bは、図示の通り涙形とし得る。
【0060】
このアーキテクチャは、波頭での横への操縦を実施するために使用されるときに、旋回能力を高め、旋回半径を短くし、及びボード102の全体的な制御を改善し得る。
【0061】
図11に示すようないくつかの実施形態では(及び、オプションとして、及び破線で表される
図6)、各水流入口304は、流入口304中へ水を導くように適合された、対応する水流入チャンネル308と結合され得る。いくつかの実施形態では、各水流入口304は、前向きで、ボードの底部110から垂直にボード102に埋め込まれ得、及び各水流入チャンネル308は、前向きの流入口304からボード102の底面110まで前方に移行する流入口304の延長部を含み得る。このようにして、使用している間、ボード102は水を通って前進するため、水は、ボードの底面110から水流入チャンネル308を通って、水流入口304中へ流れ得る。いくつかの実施形態では、水流入チャンネル308は、全体的に凹状の断面を含み得るが、他の断面形状が使用されてもよいことが理解される。
【0062】
いくつかの実施形態では、各水流入チャンネル308は、ボード102において、各水流入口304の前の(ボードの前部104の方へ向かう)領域に、形成され得る(例えば、切り欠き部として)。他の実施形態では、各チャンネル308は、流入口304の延長部を含み得る。
【0063】
いくつかの実施形態では、各水流出口306は、流出口306からボード102の後部106の方へ向かって延在する水流出チャンネル310に結合され得る。水流出チャンネル310は、水流入チャンネル308に関して上述したものと同様の特徴を含み得るが、全体的に反対方向に向いていてもよい。
【0064】
アセンブリ
図12の断面図及び
図2に示すようないくつかの実施形態では、ウォータークラフト本体100、空気通路システム200及び水通路システム300は組み合わせられて、ウォータークラフトシステム10全体を形成する。
【0065】
図2に最もよく示すように、いくつかの実施形態では、空気通路202(破線として表される)は、左の中心水通路302aと右の中心水通路302bとの間を通過することによって、ボード102の本体100を上部108から底部110まで通過する。ひとたび左及び右の中心水通路302a、302bを通り越すと、空気通路は、ボード102の底部110にある空気流出口206で終端するときに、フレア状に広がり得る(広くなる)。従って、
図12に示すように、これは、空気通路202の後方部分を、左及び右の水通路302a、302bの前方部分間で重なり合う形態にする。このようにして、空気が、水流入口304a、304bから後部106の方へ向かうような位置で、ボード102の底部110から出るように導入され得る。
【0066】
システム10の上述のアーキテクチャは、実例を意味すること、並びに空気通路システム200及び水通路システム300は、本体100に対するシステム200、300の任意の好適な配置及び/又は向きを使用して、ボード本体100で構成され得ることが理解される。システム10の範囲は、本体100に対するシステム200、300の配置及び/又は向きによって何ら限定されないことも理解される。
【0067】
使用するとき
図13に示すようないくつかの実施形態では、ウォータークラフトシステム10は、サーフボード102での「パドリング」時に使用され得る。当業界で公知のように、パドリング行為は、ボード102の上部108でうつぶせの姿勢(お腹を下)になっている使用者を含み、使用者の腕や手でパドリングすることによって使用者が水中でボード102を前方に推進させ得るようにする。
【0068】
図示の通り、使用者が使用者の腕や手を使用してボード102を前方に推進させるとき、空気は、空気流入口204に入り、空気通路202を通って加速され、及び速度を増して空気流出口206から出る。これは、空気流矢印FAによって示されている。空気流出口206から流出する空気は、ボード102と水との間の抗力及び摩擦を低下させ、並びにボードの流体力学的揚力を増加させ、それにより、ボード102を水中で上向きに持ち上げ得る。これは、次に、ボード102の排水容積を減少させて、ボードに滑走効果が生じるようにし得る。
【0069】
同時に、水流入口304に入る水は、水通路302を通って加速され、及び速度を増して水流出口306から出る。これは、空気流矢印FWによって示されている。水流出口306から流出する水は、ボード102に前方への推進力を与え、且つ、空気通路システム200によって生み出される流体力学的揚力と相まって、前進運動を加速させ、及びボード102の排水容積をさらに減少させる。空気通路システム200及び水通路システム300をそれぞれ通る空気と水のこの組み合わせは、それにより、ボードの滑走効果、効率、速度及び機敏性を高め得る。
【0070】
図14に示すようないくつかの実施形態では、ウォータークラフトシステム10は、サーフボード102上で「ダックダイビング(duck diving)」するときに使用され得る。当業界で公知のように、ダックダイビングは、近づいてくる波(砕けたか、又はまさに砕けようとしている)の下に、サーフボード102を、ノーズを先にして押し入れて(パドリングしながら)、波がパドリングしている人を越えて通るようにする行為であり、それにより、パドリングしている人を海岸の方へ向かって押してしまうのを最小限にする。この活動の最中、上述したものと同じ又は同様のシステム10の恩恵が提供され得る。
【0071】
上記で提供された、使用するときの例は、実例を意味すること、及びシステム10は、システム10から恩恵を受け得る任意のタイプの活動中に使用され得ることが理解される。システム10の範囲は、システム10を使用して実施される活動のタイプによって何ら限定されないことも理解される。
【0072】
追加的な実施形態
図15~17は、他のタイプのウォータークラフトに関連し得るため、システム10の追加的な実施形態を示す。これらの追加的な実施形態は、実例のために示され、及び非限定的であることが理解される。
【0073】
図15に示すような別の実施形態では、ウォータークラフト本体100は、ブギーボード116(ボディボード116とも呼ばれる)を含み得る。当業界で公知のように、ブギーボード116の長さは、標準的なサーフボード102の長さよりも短いとし得、及びボード116上にうつぶせの姿勢になっている人によって、胴体がボード116に載っており、及び脚はボードの後ろ側に垂れ下がっている状態で、使用され得る。
【0074】
この実施形態では、ブギーボード116は、その前端104に前向きの前壁105、及びその後端106に後ろ向きの壁107を含み得る。この実施形態では、空気流入口204は前向きの前壁105に位置決めされ得、及び水流出口306a、306bは後ろ向きの壁107に位置決めされ得る。このようにして、空気流入口204は、必ずしもボード116の上部108に構成されなくてもよく、その代わりに、ボード116の前壁105に構成される。同様に、水流出口306a、306bは、必ずしもボード116の底部110に構成されなくてもよく、その代わりに、ボード116の後ろ向きの壁107に構成される。
【0075】
図16及び
図17に示すような別の実施形態では、ウォータークラフトは、ハル118を備えるボート116を含み得る。ハル118は、左側面112及び右側面114を含み得る。ハル118は、1つ以上の水流入口304-1、304-2及び1つ以上の水流出口306-1、306-2を含み得、それらの間に1つ以上のすぼまる水通路302-1、302-2がそれぞれ延在している。このようにして、水は、水流入口304-1、304-2に入り、すぼまる水通路302-1、302-2を通って加速され、及び速度を増して水流出口306-1、306-2から出て、それにより、ウォータークラフト116に前方への推進力をもたらし得る。
【0076】
いくつかの実施形態では、空気通路システム200は、空気が空気通路202を通過するときに空気をさらに加速させるために、空気通路202内に構成された1つ以上の空気スラスター(例えば、ファン、プロペラなど)を含み得る。空気スラスターは、電動としても(例えば、バッテリー、太陽光などによる)、可燃燃料によるものとしても、又は他の電力源によるものとしてもよい。
【0077】
いくつかの実施形態では、水通路システム300は、水が水通路302を通過するときに水をさらに加速させるために、水通路302内に構成された1つ以上の水スラスター(例えば、プロペラ、インペラなど)を含み得る。水スラスターは、電動としても(例えば、バッテリー、太陽光などによる)、可燃燃料によるものとしても、又は他の電力源によるものとしてもよい。
【0078】
本明細書で説明するいずれかの実施形態のいずれの詳細及び態様も、追加的な実施形態を形成するために何らかの方法で組み合わせられ得、これもシステム10の範囲内となることが理解される。
【0079】
本明細書でプロセスが説明されている場合、当業者は、プロセスは、使用者が全く介入しなくても動作し得ることを認識するであろう。別の実施形態では、プロセスは、ある程度の人の介入を含む(例えば、ステップは、人の助けを借りて又は助けを受けて実施される)。
【0080】
特許請求の範囲を含む本明細書では、語句「少なくともいくつか、何らか(at least some)」は、「1つ以上」を意味し、及び1つのみの場合を含む。それゆえ、例えば、語句「少なくともいくつか、何らかのABC」は、「1つ以上のABC」を意味し、及び1つのみのABCの場合を含む。
【0081】
特許請求の範囲を含む本明細書では、用語「少なくとも1つ」は、「1つ以上」を意味し、それゆえ、1つの構成要素を含む実施形態又は複数の構成要素を含む実施形態の双方を含むことを理解されるべきである。さらに、「少なくとも1つ」を用いて特徴を説明する独立請求項を参照する従属請求項は、特徴が「the」及び「少なくとも1つ(the at least one)」と言及されるときと同じ意味を有する。
【0082】
この説明で使用されるような、用語「部分」は、一部又は全てを意味する。そのため、例えば、「Xの一部分」は、「X」の一部又は「X」の全てを含み得る。会話の文脈では、用語「部分」は、会話の一部又は全てを意味する。
【0083】
特許請求の範囲を含む本明細書では、語句「使用する」は、「少なくとも使用する」を意味し、排他的ではない。それゆえ、例えば、語句「Xを使用する」は「少なくともXを使用する」を意味する。語「のみ」の使用によって明確に記述されていない限り、語句「Xを使用する」は「Xのみを使用する」を意味しない。
【0084】
特許請求の範囲を含む本明細書では、語句「~に基づく」は、「一部には、~に基づく」又は「少なくとも一部には、~に基づく」を意味し、排他的ではない。それゆえ、例えば、語句「要因Xに基づく」は、「一部には、要因Xに基づく」又は「少なくとも一部には、要因Xに基づく」を意味する。語「のみ」の使用によって明確に記述されていない限り、語句「Xに基づく」は、「Xのみに基づく」を意味しない。
【0085】
概して、特許請求の範囲を含む本明細書では、語「のみ」が語句中に明確に使用されていない限り、その語句をその意味に読み取るべきではない。
【0086】
特許請求の範囲を含む本明細書では、語句「別個(distinct)」は、「少なくとも部分的に別個」を意味する。明確に記述されていない限り、別個は、完全に別個を意味しない。それゆえ、例えば、語句、「XはYとは別個である」は、「Xは少なくとも部分的にYとは別個である」を意味し、「XはYとは完全に別個である」を意味しない。それゆえ、特許請求の範囲を含む本明細書では、語句「XはYとは別個である」は、Xは、少なくとも何らかの方法でYとは異なることを意味する。
【0087】
語「第1」、「第2」などは、説明及び特許請求の範囲において、区別又は特定するために使用され、及び連続や数値限定を示すものではないことを認識されるべきである。同様に、文字のラベル(例えば、「(A)」、「(B)」、「(C)」など、又は「(a)」、「(b)」など)及び/又は数字(例えば、「(i)」、「(ii)」など)は、読みやすくするのに役立つように、並びに区別及び/又は特定するのを助けるために使用され、他の形で限定されたり、又はいずれかの連続や数値限定若しくは順序を課したり若しくは暗示したりすることを意図するものではない。同様に、説明及び特許請求の範囲での「特定の」、「具体的な」、「一定の(certain)」及び「所与の」などの語は、使用される場合、区別又は特定するために使用され、及び他の形で限定されることを意図するものではない。
【0088】
特許請求の範囲を含む本明細書では、用語「複数(multiple、plurality)」は、「2つ以上」を意味し、及び「2つ」の場合を含む。それゆえ、例えば、語句「複数のABC」は、「2つ以上のABC」を意味し、及び「2つのABC」を含む。同様に、例えば、語句「複数のPQR」は、「2つ以上のPQR」を意味し、及び「2つのPQR」を含む。
【0089】
本発明は、正確な用語、特徴、値及び範囲などが、約、およそ、ほぼ、実質的に、本質的に、少なくともなどの用語と併せて使用される場合、これらの正確な用語、特徴、値及び範囲なども網羅する(すなわち、「約3」又は「大体3」は、正確な3も網羅し、又は「実質的に一定」は、正確な一定も網羅する)。
【0090】
特許請求の範囲を含む本明細書では、単数形の用語は、文脈上他の意味が記述される場合を除き、複数形を含むとみなされ、及び逆も同様である。それゆえ、本明細書では、単数形「a」、「an」、及び「the」は、文脈上明白に他の意味が指示される場合を除き、複数の指示対象を含むことに留意すべきである。
【0091】
説明及び特許請求の範囲を通して、用語「含む(comprise)」、「含む(including)」、「有する(having)」、及び「含む(contain)」及びそれらの変形例は、「~を含むが、それらに限定されない」を意味し、及び明確にそのように記載されない限り、他の構成要素を除外することを意図しないことが理解されるべきである。
【0092】
本発明の実施形態は変形され得るが、それでも本発明の範囲内に入ることが認識されるであろう。同じ、等価又は同様の目的を果たす代替的な特徴は、特に明記しない限り、本明細書で開示した特徴の代わりとなることができる。それゆえ、特に明記しない限り、開示した各特徴は、包括的な一連の等価又は同様の特徴の一例を表す。
【0093】
本発明は、正確な用語、特徴、値及び範囲などが、約、およそ、ほぼ、実質的に、本質的に、少なくともなどの用語と併せて使用される場合、これらの正確な用語、特徴、値及び範囲なども網羅する(すなわち、「約3」は、正確な3も網羅し、又は「実質的に一定」は、正確な一定も網羅する)。
【0094】
「例えば(for instance)」、「など」、「例えば(for example)」(「例えば(e.g.)」)などの例示的な言語の使用は、単に本発明をより良好に説明することを意図し、及びそのように明確に主張されない限り、本発明の範囲の限定を示すものではない。
【0095】
本発明は、最も有用で好ましい実施形態であると現在みなされているものに関連して説明されてきたが、本発明は、開示の実施形態に限定されず、それどころか、添付の特許請求の範囲及び趣旨に含まれる、様々な修正例及び等価の配置構成を網羅することを意図することが理解されるべきである。