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特許7573728無線通信システム、無線通信方法、無線通信プログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-17
(45)【発行日】2024-10-25
(54)【発明の名称】無線通信システム、無線通信方法、無線通信プログラム
(51)【国際特許分類】
   H04W 76/50 20180101AFI20241018BHJP
   H04W 88/06 20090101ALI20241018BHJP
【FI】
H04W76/50
H04W88/06
【請求項の数】 13
(21)【出願番号】P 2023510177
(86)(22)【出願日】2021-06-22
(86)【国際出願番号】 JP2021023558
(87)【国際公開番号】W WO2022208915
(87)【国際公開日】2022-10-06
【審査請求日】2023-09-29
(31)【優先権主張番号】P 2021059614
(32)【優先日】2021-03-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】319010088
【氏名又は名称】楽天モバイル株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100105924
【弁理士】
【氏名又は名称】森下 賢樹
(72)【発明者】
【氏名】青柳 健一郎
(72)【発明者】
【氏名】ムハンマド アウン
(72)【発明者】
【氏名】千葉 恒彦
【審査官】岡本 正紀
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2021/0045020(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2011/0103277(US,A1)
【文献】国際公開第2018/194125(WO,A1)
【文献】特開2012-084988(JP,A)
【文献】特開2020-162169(JP,A)
【文献】特表2018-537003(JP,A)
【文献】国際公開第2021/029901(WO,A1)
【文献】特表2020-529785(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04B 7/24- 7/26
H04W 4/00-99/00
3GPP TSG RAN WG1-4
SA WG1-4
CT WG1、4
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
無線通信する通信機からの優先通信を検知する優先通信検知部と、
優先通信が検知された前記通信機を、接続中の第1無線通信ネットワークと異なる第2無線通信ネットワークに接続する接続部と、
前記通信機の前記第2無線通信ネットワークへの接続が、検知された優先通信に起因することを前記第1無線通信ネットワークに通知する通知部と、
を備え
前記通知部は前記第2無線通信ネットワークに設けられる無線通信システム。
【請求項2】
前記通知部が前記第1無線通信ネットワークへの通知を行った後に、前記通信機を前記第1無線通信ネットワークから切断する切断部を更に備える、請求項1に記載の無線通信システム。
【請求項3】
前記第1無線通信ネットワークは、前記切断部による前記通信機の切断に関する例外処理を省略する、請求項に記載の無線通信システム。
【請求項4】
前記接続部は、前記通信機が前記第1無線通信ネットワークから切断された後に、前記通信機を前記第2無線通信ネットワークに接続する、請求項またはに記載の無線通信システム。
【請求項5】
前記接続部は、前記通信機が前記第1無線通信ネットワークから切断される前に、前記通信機を前記第2無線通信ネットワークに接続する、請求項またはに記載の無線通信システム。
【請求項6】
前記第1無線通信ネットワークおよび前記第2無線通信ネットワークの通信品質を比較する比較部を更に備え、
前記接続部は、前記第2無線通信ネットワークの通信品質が前記第1無線通信ネットワークの通信品質より優れている場合、優先通信が検知された前記通信機を前記第2無線通信ネットワークに接続する、
請求項1からのいずれかに記載の無線通信システム。
【請求項7】
前記第1無線通信ネットワークおよび前記第2無線通信ネットワークは異なる無線アクセス技術を使用する、請求項1からのいずれかに記載の無線通信システム。
【請求項8】
前記無線アクセス技術はNRおよびLTEの少なくともいずれかを含む、請求項に記載の無線通信システム。
【請求項9】
前記第1無線通信ネットワークおよび前記第2無線通信ネットワークは異なるコアネットワークを使用する、請求項1からのいずれかに記載の無線通信システム。
【請求項10】
前記コアネットワークは5GCおよびEPCの少なくともいずれかを含む、請求項9に記載の無線通信システム。
【請求項11】
前記優先通信は緊急通報用電話番号への電話を含む、請求項1から1のいずれかに記載の無線通信システム。
【請求項12】
無線通信する通信機からの優先通信を検知する優先通信検知ステップと、
優先通信が検知された前記通信機を、接続中の第1無線通信ネットワークと異なる第2無線通信ネットワークに接続する接続ステップと、
前記通信機の前記第2無線通信ネットワークへの接続が、検知された優先通信に起因することを前記第1無線通信ネットワークに通知する通知ステップと、
を備え
前記通知ステップは前記第2無線通信ネットワークにおいて実行される無線通信方法。
【請求項13】
無線通信する通信機からの優先通信を検知する優先通信検知ステップと、
優先通信が検知された前記通信機を、接続中の第1無線通信ネットワークと異なる第2無線通信ネットワークに接続する接続ステップと、
前記通信機の前記第2無線通信ネットワークへの接続が、検知された優先通信に起因することを前記第1無線通信ネットワークに通知する通知ステップと、
をコンピュータに実行させ
前記通知ステップは前記第2無線通信ネットワークにおいて実行される無線通信プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、無線通信技術に関する。
【背景技術】
【0002】
スマートフォンやIoT(Internet of Things)デバイスに代表される無線通信デバイスの数、種類、用途は増加の一途を辿っており、無線通信規格の拡張や改善が続けられている。例えば「5G」として知られる第5世代移動通信システムの商用サービスは2018年に開始したが、現在も3GPP(Third Generation Partnership Project)で規格策定が進められている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特表2021-503199号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ある無線通信ネットワークに接続されたスマートフォン等の通信機で緊急通報用電話番号への緊急通報等を行う場合、現在接続中の無線通信ネットワークより通信品質が優れた他の無線通信ネットワークが利用可能な場合がある。そこで、通信機の接続先を現在接続中の無線通信ネットワークから他の無線通信ネットワークに切り替えることで、緊急通報等の通話品質を向上できる。しかし、現在接続中の無線通信ネットワークは通信機の突然の切断というエラーとして誤認識するため、不要な例外処理が発生してしまう。
【0005】
本発明はこうした状況に鑑みてなされたものであり、その目的は、優先通信時の他の無線通信ネットワークへの接続を円滑化できる無線通信システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本発明のある態様の無線通信システムは、無線通信する通信機からの優先通信を検知する優先通信検知部と、優先通信が検知された通信機を、接続中の第1無線通信ネットワークと異なる第2無線通信ネットワークに接続する接続部と、通信機の第2無線通信ネットワークへの接続が、検知された優先通信に起因することを第1無線通信ネットワークに通知する通知部と、を備える。
【0007】
この態様によれば、優先通信に起因して通信機が第2無線通信ネットワーク(他の無線通信ネットワーク)に接続されたことが第1無線通信ネットワークに通知されるため、第1無線通信ネットワークにおけるエラーの誤認識を防止できる。
【0008】
本発明の別の態様は、無線通信方法である。この方法は、無線通信する通信機からの優先通信を検知する優先通信検知ステップと、優先通信が検知された通信機を、接続中の第1無線通信ネットワークと異なる第2無線通信ネットワークに接続する接続ステップと、通信機の第2無線通信ネットワークへの接続が、検知された優先通信に起因することを第1無線通信ネットワークに通知する通知ステップと、を備える。
【0009】
なお、以上の構成要素の任意の組合せ、本発明の表現を方法、装置、システム、記録媒体、コンピュータプログラムなどの間で変換したものもまた、本発明の態様として有効である。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、優先通信時の他の無線通信ネットワークへの接続を円滑化できる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】無線通信システムの概要を模式的に示す。
図2】優先通信処理装置の機能ブロック図である。
図3】優先通信処理装置の第1の処理例を示す。
図4】優先通信処理装置の第1の処理例を示す。
【発明を実施するための形態】
【0012】
図1は、本発明の実施形態に係る無線通信システム1の概要を模式的に示す。無線通信システム1は、無線アクセス技術(RAT: Radio Access Technology)としてNR(New Radio)または5G NR(Fifth Generation New Radio)を使用し、コアネットワーク(Core Network)として5GC(Fifth Generation Core)を使用する第5世代移動通信システム(5G)に準拠する5G無線通信ネットワーク11と、無線アクセス技術としてLTE(Long Term Evolution)やLTE-Advancedを使用し、コアネットワークとしてEPC(Evolved Packet Core)を使用する第4世代移動通信システム(4G)に準拠する4G無線通信ネットワーク12を含む。図示は省略するが、無線通信システム1は、4Gより前の世代の無線通信ネットワークを含んでもよいし、5Gより後の世代の無線通信ネットワークを含んでもよいし、Wi-Fi(登録商標)等の世代と関係づけられない任意の無線通信ネットワークを含んでもよい。
【0013】
5G無線通信ネットワーク11は、UE(User Equipment)とも呼ばれるスマートフォン等の通信機2A、2B、2C(以下、通信機2と総称することがある)と5G NRによって通信可能な複数の5G基地局111A、111B、111C(以下、5G基地局111と総称することがある)を含む。5Gにおける基地局111はgNodeB(gNB)とも呼ばれる。各5G基地局111A、111B、111Cの通信可能範囲またはサポート範囲はセルと呼ばれ、それぞれ112A、112B、112C(以下、セル112と総称することがある)として図示される。
【0014】
各5G基地局111のセル112の大きさは任意であるが、典型的には半径数メートルから数十キロメートルである。確立した定義はないものの、半径数メートルから十メートルのセルはフェムトセルと呼ばれ、半径十メートルから数十メートルのセルはピコセルと呼ばれ、半径数十メートルから数百メートルのセルはマイクロセルと呼ばれ、半径数100メートルを超えるセルはマクロセルと呼ばれることがある。5Gではミリ波等の高い周波数の電波が使用されることも多く、直進性の高さ故に電波が障害物に遮られて通信可能距離が短くなる。このため、5Gでは4G以前の世代に比べて小さいセルが多用される傾向がある。
【0015】
図示の例では、セル112Aおよび112B内にある通信機2Bは、5G基地局111Aおよび111Bのいずれとも5G NRによって通信可能である。また、セル112C内にある通信機2Cは、5G基地局111Cと5G NRによって通信可能である。通信機2Aは、全ての5Gセル112A、112B、112Cの外にあるため、5G NRによる通信ができない状態にある。各通信機2と各5G基地局111の間の5G NRによる5G通信は、コアネットワークである5GCによって管理される。例えば、5GCは、各5G基地局111との間のデータの授受、EPCやインターネット等の外部ネットワークとの間のデータの授受、通信機2の移動管理等を行う。
【0016】
4G無線通信ネットワーク12は、通信機2とLTEやLTE-Advancedによって通信可能な複数の4G基地局121(図1では一つのみを示す)を含む。4Gにおける基地局121はeNodeB(eNB)とも呼ばれる。各5G基地局111と同様に、各4G基地局121の通信可能範囲またはサポート範囲もセルと呼ばれ122として図示される。
【0017】
図示の例では、セル122内にある通信機2Aおよび2Bは、4G基地局121とLTEやLTE-Advancedによって通信可能である。通信機2Cは、セル122の外にあるため、LTEやLTE-Advancedによる通信ができない状態にある。各通信機2と各4G基地局121の間のLTEやLTE-Advancedによる4G通信は、コアネットワークであるEPCによって管理される。例えば、EPCは、各4G基地局121との間のデータの授受、5GCやインターネット等の外部ネットワークとの間のデータの授受、通信機2の移動管理等を行う。
【0018】
各通信機2A、2B、2Cに着目すると、図示の例では、通信機2Aは4G基地局121との4G通信が可能な状態にあり、通信機2Bは5G基地局111A、111Bとの5G通信および4G基地局121との4G通信が可能な状態にあり、通信機2Cは5G基地局111Cとの5G通信が可能な状態にある。通信機2Bのように通信可能な基地局(111A、111B、121)が複数ある場合は、コアネットワークである5GCおよび/またはEPCによる管理の下、通信品質等の観点で最適と判断された一つの基地局が選択されて通信機2Bとの通信を行う。
【0019】
図2は、無線通信システム1で実現される優先通信処理装置3の機能ブロック図である。優先通信処理装置3は、優先通信検知部31と、比較部32と、接続部33と、通知部34と、切断部35を備える。これらの機能ブロックは、コンピュータの中央演算処理装置、メモリ、入力装置、出力装置、コンピュータに接続される周辺機器等のハードウェア資源と、それらを用いて実行されるソフトウェアの協働により実現される。コンピュータの種類や設置場所は問わず、上記の各機能ブロックは、単一のコンピュータのハードウェア資源で実現してもよいし、複数のコンピュータに分散したハードウェア資源を組み合わせて実現してもよい。具体的には、上記の各機能ブロックの一部または全部は、通信機2、5G無線通信ネットワーク11における基地局111やコアネットワーク(5GC)、4G無線通信ネットワーク12における基地局121やコアネットワーク(EPC)、無線通信システム1のオペレーションシステム等におけるその他の構成機器、無線通信システム1と通信可能な任意の通信機器の少なくともいずれかのハードウェア資源で実現される。
【0020】
図1の通信機2Bのように、図2の通信機2は5G基地局111との5G通信および4G基地局121との4G通信が可能な状態にある。最初に通信機2は第1無線通信ネットワークとしての5G無線通信ネットワーク11に接続されているものとする。この状態で通信機2が優先通信を開始すると、以下の例では5G無線通信ネットワーク11より通信品質が良いと判断される第2無線通信ネットワークとしての4G無線通信ネットワーク12に通信機2が接続されると共に、5G無線通信ネットワーク11から切断される。以下の例では説明を省略するが、これとは逆に優先通信を開始した通信機2が接続中の4G無線通信ネットワーク12(第1無線通信ネットワーク)から切断され、より通信品質が良いと判断される5G無線通信ネットワーク11(第2無線通信ネットワーク)に接続される場合もあり得る。
【0021】
優先通信検知部31は、無線通信する通信機2からの優先通信を検知する。図示の例では、優先通信を開始した時点の通信機2は5G無線通信ネットワーク11に接続されているため、優先通信検知部31の機能は通信機2や5G無線通信ネットワーク11で実現するのが好ましい。優先通信とは、通常の通信より高い優先度、重要度、緊急度等が設定または付与された通信や電話であり、例えば緊急通報用電話番号への電話を含む。日本では、警察機関への緊急通報に110番が割り当てられ、消防機関への緊急通報に119番が割り当てられ、海上保安庁への緊急通報に118番が割り当てられている。欧州における自動車事故発生時の緊急通報システムであるeCallによる緊急通報も優先通信の一例であり、自動車事故の発生や自動車の位置等を無線通信ネットワーク上で緊急通報する車載の通信ユニットが図示の通信機2に相当する。また、第5世代移動通信システムで規定されているEmergency Services Fallback(ES-FB)やEPS Fallback(Evolved Packet System Fallback)による通報も優先通信の一例である。
【0022】
比較部32は、通信機2が通信可能な5G無線通信ネットワーク11(第1無線通信ネットワーク)および4G無線通信ネットワーク12(第2無線通信ネットワーク)の通信品質を比較する。通信品質を比較するための指標は任意であるが、例えば、信号強度、スループット、遅延時間、パケット損失率、パケット誤り率等に基づいて、各無線通信ネットワークの通信品質を評価できる。図示の例では、通信機2が接続中の5G無線通信ネットワーク11より4G無線通信ネットワーク12の通信品質が優れているとの比較結果が比較部32で得られたものとする。
【0023】
接続部33は、4G無線通信ネットワーク12の通信品質が5G無線通信ネットワーク11の通信品質より優れているとの比較部32における比較結果に応じて、優先通信検知部31で優先通信が検知された通信機2を、接続中の5G無線通信ネットワーク11と異なる4G無線通信ネットワーク12に接続する。
【0024】
通知部34は、接続部33による通信機2の4G無線通信ネットワーク12への接続が、優先通信検知部31で検知された優先通信に起因することを5G無線通信ネットワーク11に通知する。切断部35は、通知部34が5G無線通信ネットワーク11への通知を行った後に、通信機2を5G無線通信ネットワーク11から切断する。このように、5G無線通信ネットワーク11は、切断部35による通信機2の切断が優先通信に起因することを通知部34からの通知によって事前に認識できるため、通信機2の突然の切断を通信機2のセル112外への移動、無線リンク障害(RLF: Radio Link Failure)、通信機2の電源切れ等のエラーとして誤認識することなく不要な例外処理を省略または回避できる。なお、以下で具体例を示すように、接続部33は、通信機2が5G無線通信ネットワーク11から切断された後に通信機2を4G無線通信ネットワーク12に接続してもよいし、通信機2が5G無線通信ネットワーク11から切断される前に通信機2を4G無線通信ネットワーク12に接続してもよい。
【0025】
図3は、優先通信処理装置3の第1の処理例を示す。第1の処理例では、通知部34が通信機2に設けられる。本図および本図と類似の図において「S」はステップまたは処理を意味する。S11では、通信機2(UE)が5G無線通信ネットワーク11(NW#1)に接続されている。S12では、通信機2が優先通信を開始し、通信機2や5G無線通信ネットワーク11で実現される優先通信検知部31が優先通信を検知する。S13では、通信機2、5G無線通信ネットワーク11、4G無線通信ネットワーク12等で実現される比較部32が、5G無線通信ネットワーク11および4G無線通信ネットワーク12(NW#2)の通信品質を比較する。
【0026】
S14では、4G無線通信ネットワーク12の通信品質が5G無線通信ネットワーク11の通信品質より優れているとのS13における比較結果に応じて、S12で検知された優先通信に起因して通信機2が5G無線通信ネットワーク11から切断されること(S15)、および/または、通信機2が4G無線通信ネットワーク12に接続されること(S17)を、通信機2で実現される通知部34が5G無線通信ネットワーク11に通知する。通信機2からの本通知は、ユニバーサル移動体通信システム(UMTS: Universal Mobile Telecommunications System)プロトコルスタックにおける機能レイヤであるアクセス層(AS: Access Stratum)や非アクセス層(NAS: Non-Access Stratum)上のメッセージとして5G無線通信ネットワーク11に送信される。
【0027】
S15では、切断部35がS14の通知後に通信機2を5G無線通信ネットワーク11から切断する。S14で通信機2から通知を受け取った5G無線通信ネットワーク11または無線通信システム1のオペレーションシステム(OPS)は、S15における通信機2の切断がS12で検知された優先通信に起因することを予め認識できるため、S15における通信機2の切断をエラーとして誤認識することなく不要な例外処理を省略できる。
【0028】
S16では、通信機2が4G無線通信ネットワーク12に接続する準備として、無線アクセス技術(RAT)および公衆陸上移動体通信網(PLMN: Public Land Mobile Network)を、5G無線通信ネットワーク11のものから4G無線通信ネットワーク12のものに変更する。具体的には、無線アクセス技術は5GにおけるNRまたは5G NRから4GにおけるLTEやLTE-Advancedに変更される。PLMNまたはPLMN番号は無線通信ネットワークの識別番号であり、国や地域を表すMCC(Mobile Country Code)と事業者を表すMNC(Mobile Network Code)の組合せで構成される。S17では、接続部33が通信機2を4G無線通信ネットワーク12に接続する。このように、優先度の高い優先通信を通信品質の高い4G無線通信ネットワーク12で実行できる。なお、図3に示す第1の処理例では、S17における接続部33による通信機2の4G無線通信ネットワーク12への接続が、S15における切断部35による通信機2の5G無線通信ネットワーク11からの切断の後に行われる。
【0029】
図4は、優先通信処理装置3の第2の処理例を示す。第2の処理例では、通知部34が第2無線通信ネットワークとしての4G無線通信ネットワーク12(NW#2)に設けられる。S21では、通信機2(UE)が5G無線通信ネットワーク11(NW#1)に接続されている。S22では、通信機2が優先通信を開始し、通信機2や5G無線通信ネットワーク11で実現される優先通信検知部31が優先通信を検知する。S23では、通信機2、5G無線通信ネットワーク11、4G無線通信ネットワーク12等で実現される比較部32が、5G無線通信ネットワーク11および4G無線通信ネットワーク12の通信品質を比較する。
【0030】
S24では、4G無線通信ネットワーク12の通信品質が5G無線通信ネットワーク11の通信品質より優れているとのS23における比較結果に応じて、通信機2が4G無線通信ネットワーク12に接続する準備として、無線アクセス技術(RAT)および公衆陸上移動体通信網(PLMN)を、5G無線通信ネットワーク11のものから4G無線通信ネットワーク12のものに変更する。S25では、接続部33が通信機2を4G無線通信ネットワーク12に接続する。このように、優先度の高い優先通信を通信品質の高い4G無線通信ネットワーク12で実行できる。
【0031】
S26では、S22で検知された優先通信に起因して通信機2が5G無線通信ネットワーク11から切断されること(S27)、および/または、通信機2が4G無線通信ネットワーク12に接続されたこと(S25)を、4G無線通信ネットワーク12で実現される通知部34が5G無線通信ネットワーク11に通知する。S27では、切断部35がS26の通知後に通信機2を5G無線通信ネットワーク11から切断する。S26で4G無線通信ネットワーク12から通知を受け取った5G無線通信ネットワーク11または無線通信システム1のオペレーションシステム(OPS)は、S27における通信機2の切断がS22で検知された優先通信に起因することを予め認識できるため、S27における通信機2の切断をエラーとして誤認識することなく不要な例外処理を省略できる。なお、図4に示す第2の処理例では、S25における接続部33による通信機2の4G無線通信ネットワーク12への接続が、S27における切断部35による通信機2の5G無線通信ネットワーク11からの切断の後に行われる。
【0032】
以上、本発明を実施形態に基づいて説明した。実施形態は例示であり、それらの各構成要素や各処理プロセスの組合せにいろいろな変形例が可能なこと、またそうした変形例も本発明の範囲にあることは当業者に理解されるところである。
【0033】
実施形態では、比較部32による第1無線通信ネットワーク(5G無線通信ネットワーク11)と第2無線通信ネットワーク(4G無線通信ネットワーク12)の通信品質の比較結果に応じて、通信機2の接続先が第1無線通信ネットワークから第2無線通信ネットワークに切り替えられたが、通信品質の比較を行わずに優先通信検知部31での優先通信の検知に応じて、通信機2の接続先を第1無線通信ネットワークから第2無線通信ネットワークに切り替えてもよい。例えば、5G無線通信ネットワーク11に接続中の通信機2が優先通信を開始すると、直ちに接続先を切り替えて4G無線通信ネットワーク12上で優先通信を行ってもよい。
【0034】
なお、実施形態で説明した各装置の機能構成はハードウェア資源またはソフトウェア資源により、あるいはハードウェア資源とソフトウェア資源の協働により実現できる。ハードウェア資源としてプロセッサ、ROM、RAM、その他のLSIを利用できる。ソフトウェア資源としてオペレーティングシステム、アプリケーション等のプログラムを利用できる。
【産業上の利用可能性】
【0035】
本発明は、無線通信技術に関する。
【符号の説明】
【0036】
1 無線通信システム、2 通信機、3 優先通信処理装置、11 5G無線通信ネットワーク、12 4G無線通信ネットワーク、31 優先通信検知部、32 比較部、33 接続部、34 通知部、35 切断部、111 5G基地局、112 5Gセル、121 4G基地局、122 4Gセル。
図1
図2
図3
図4