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特許7573734鉄クロムアルミニウム冷間圧延コイルの連続焼鈍酸洗ラインでの生産方法
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  • 特許-鉄クロムアルミニウム冷間圧延コイルの連続焼鈍酸洗ラインでの生産方法 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-17
(45)【発行日】2024-10-25
(54)【発明の名称】鉄クロムアルミニウム冷間圧延コイルの連続焼鈍酸洗ラインでの生産方法
(51)【国際特許分類】
   C21D 9/52 20060101AFI20241018BHJP
   C21D 9/46 20060101ALI20241018BHJP
   C21D 9/50 20060101ALI20241018BHJP
   C22C 38/18 20060101ALI20241018BHJP
   C22C 38/28 20060101ALI20241018BHJP
   C25F 1/06 20060101ALI20241018BHJP
   C22C 38/00 20060101ALI20241018BHJP
【FI】
C21D9/52 101
C21D9/46 R
C21D9/50 101B
C22C38/18
C22C38/28
C25F1/06 A
C22C38/00 302Z
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2023516172
(86)(22)【出願日】2022-05-11
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2023-09-25
(86)【国際出願番号】 CN2022092121
(87)【国際公開番号】W WO2022242514
(87)【国際公開日】2022-11-24
【審査請求日】2023-03-09
(31)【優先権主張番号】202110546721.2
(32)【優先日】2021-05-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】523087168
【氏名又は名称】山西太鋼不銹鋼股▲ふん▼有限公司
(74)【代理人】
【識別番号】100095407
【弁理士】
【氏名又は名称】木村 満
(74)【代理人】
【識別番号】100132883
【弁理士】
【氏名又は名称】森川 泰司
(74)【代理人】
【識別番号】100148633
【弁理士】
【氏名又は名称】桜田 圭
(74)【代理人】
【識別番号】100147924
【弁理士】
【氏名又は名称】美恵 英樹
(72)【発明者】
【氏名】楊 密
(72)【発明者】
【氏名】高 培軍
(72)【発明者】
【氏名】范 梦甜
(72)【発明者】
【氏名】段 維芳
(72)【発明者】
【氏名】韓 佳明
(72)【発明者】
【氏名】張 虎
(72)【発明者】
【氏名】鄭 正
【審査官】山本 佳
(56)【参考文献】
【文献】特開昭56-065938(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第112267008(CN,A)
【文献】中国特許出願公開第107287407(CN,A)
【文献】中国特許出願公開第101709477(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C21D 9/52 - 9/66
C21D 9/46
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
隣接する2巻の鉄クロムアルミニウム冷間圧延コイルを溶接し、鋼帯を得るステップ(1)と、
鋼帯を脱脂処理するステップ(2)と、
脱脂処理後の鋼帯を焼鈍処理するステップ(3)と、
焼鈍処理後の鋼帯を冷却するステップ(4)と、
冷却後の鋼帯を酸洗処理するステップ(5)と、を含み、
ステップ(3)では、脱脂処理後の鋼帯を加熱炉内で600-800℃に予備加熱した後、最終熱処理温度880-960℃に加熱し、最終熱処理温度の保温時間は1.0-3.0min/mmであり、加熱炉内の張力密度は0.5-0.8Kg/mmである、
ことを特徴とする鉄クロムアルミニウム冷間圧延コイルの連続焼鈍酸洗ラインでの生産方法。
【請求項2】
ステップ(1)の前に、鉄クロムアルミニウム冷間圧延コイルに対して、鉄クロムアルミニウム冷間圧延コイルの巻き始めと巻き終わりの厚さ≧1.0mmの未圧延部分と冷間圧延移行部分をきれいに切除する処理を行う、
ことを特徴とする請求項1に記載の生産方法。
【請求項3】
ステップ(1)において、溶接方式は二重溶接ホイール抵抗溶接を採用し、
隣接する2巻の鉄クロムアルミ冷間圧延コイルの厚み差は30%以下であり、溶接ビードのラップ量は1.5-3mmであり、溶接速度は6.5-8.5m/minであり、溶接電流は3800-4800Aであり、
主溶接ビードは鋼条で補強する、
ことを特徴とする請求項1に記載の生産方法。
【請求項4】
ステップ(2)において、脱脂処理に用いる脱脂液の温度は60-100℃である、
ことを特徴とする請求項1に記載の生産方法。
【請求項5】
ステップ(4)において、焼鈍処理後の鋼帯を冷却するステップは、
空冷により鋼帯を250-400℃まで冷却するステップであって、風圧は2700-3500Paであるステップと、
高圧ミスト冷却により、鋼帯を120℃以下に冷却するステップであって、水流量は3-5m/hであり、圧縮空気流量は1300-1700Nm/hであり、圧縮空気の圧力は2-4barであるステップと、を含む、
ことを特徴とする請求項1に記載の生産方法。
【請求項6】
ステップ(5)において、酸洗処理には、電解硫酸ナトリウム+電解硝酸+硝酸とフッ化水素酸の混合酸を用い、
電解硫酸ナトリウムでは、硫酸ナトリウム濃度が1.12-1.20g/Lであり、電解電流が2000-5000Aであり、温度が65-85℃であり、
電解硝酸では、硝酸濃度が40-90g/Lであり、電解電流が2000-5000Aであり、温度が45-65℃であり、
硝酸とフッ化水素酸の混合酸では、硝酸濃度が40-90g/Lであり、フッ化水素酸濃度が25-50g/Lであり、温度が35-55℃である、
ことを特徴とする請求項1に記載の生産方法。
【請求項7】
鉄クロムアルミ冷間圧延コイルの銘柄が1Cr13Al4である、
ことを特徴とする請求項1に記載の生産方法。
【請求項8】
鉄クロムアルミ冷間圧延コイルの規格は、幅が900-1300mmであり、厚さが0.5-1.2mmであり、巻き重さが10トン以上である、
ことを特徴とする請求項1に記載の生産方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本願は、2021年5月19日付に提出した、発明の名称が「広幅鉄クロムアルミニウム冷間圧延コイルの連続線焼鈍酸洗の生産方法」であり、中国特許出願番号が「202110546721.2」である特許出願の優先権を主張し、この出願のすべての内容は、参照により本願に含まれる。
【0002】
(技術分野)
本発明は、鉄クロムアルミニウム合金コイルの処理の技術分野に関し、具体的には、本発明は、広幅鉄クロムアルミニウム冷間圧延コイルの連続線焼鈍酸洗の生産方法に関し、さらに具体的には、1Cr13Al4鉄クロムアルミニウム合金冷間圧延コイルの連続線焼鈍及び酸洗の生産方法に関する。
【背景技術】
【0003】
1Cr13Al4は一般的な鉄クロムアルミニウム合金であり、Cr含有量は12.0%-15.0%、Al含有量は4.0%-6.0%である。1Cr13Al4は抵抗率係数が大きく、抵抗温度係数が小さく、耐熱性がよく、比重が低く、高温酸化防止性能がよく、価格が安いなどの利点があるため、電熱業界に多く応用されている。
【0004】
1Cr13Al4はフェライト合金であり、高温状態で結晶粒が急速に成長するため、溶接性が悪く、再結晶焼鈍の温度と保温時間を正確に制御する必要がある。また、Al元素の添加により、材料の靭性も非常に悪くなり、焼鈍中に表面に緻密な酸化膜が形成され、通常の酸洗方法では除去しにくい。
【0005】
1Cr13Al4は溶接性が悪く、靭性が悪く、再結晶焼鈍工程の窓口が狭く、表面酸化膜が酸洗しにくいなどの特徴から、現在、国内外のメーカーは基本的にフラット型生産ラインで光輝焼鈍する方法で1Cr13Al4冷間圧延板を生産している。この方法では、材料を溶接した後に、溶接ビードに曲がりが生じないため、溶接ビードの品質に対する要求が低く、焼鈍中に水素ガスまたは窒素ガスで鋼帯の表面を酸化から保護する。しかし、この方法は焼鈍炉の長さに限られ、焼鈍効率が低く、焼鈍中に電気加熱、水素保護を採用し、コストが高く、一定の危険性がある。
【0006】
連続焼鈍酸洗ラインを用いて、幅900-1300mm、厚さ0.5-1.2mm、巻き重さ10トン以上の冷間圧延1Cr13Al4コイルを生産し、完成品は2B表面であり、国内ではまだ応用例がない。連続焼鈍酸洗生産ラインは、多数のルーパー、張力ロール、曲げロールを有し、溶接ビードに対する品質要求が高い。1Cr13Al4は結晶化後に、結晶粒が極めて大きくなりやすく、脆性の増加をもたらすため、焼鈍温度と焼鈍速度を正確に制御する必要がある。焼鈍後の表面に緻密な酸化層が形成され、通常のステンレス鋼の酸洗方法ではきれいに酸洗できず、かつ焼鈍速度と酸洗速度のマッチングを両立する必要がある。以上の点はいずれも冷間圧延1Cr13Al4の連続焼鈍酸洗ラインでの生産に解決すべき課題である。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0007】
従来技術に存在する上記の問題を解決するために、本発明は、広幅鉄クロムアルミニウム冷間圧延コイルの連続線焼鈍酸洗の生産方法を提供し、この生産方法は、特に銘柄が1Cr13Al4の冷間圧延コイルに適している。この生産方法により、幅900-1300mm、厚さ0.5-1.2mm、巻き重さ10トン以上の1Cr13Al4冷間コイルを生産することができ、鋼帯は直接溶接で連結され、焼鈍後の結晶粒度は4-6級で、力学的性能はGB/T1234-2012『高抵抗電熱合金』の要求を満たし、表面は酸洗処理によって処理され、完成品は合格した2B表面である。
【0008】
本発明の技術案は具体的には以下の通りである。
鉄クロムアルミニウム冷間圧延コイルの連続線焼鈍酸洗の生産方法は、
隣接する2巻の鉄クロムアルミニウム冷間圧延コイルを溶接し、鋼帯を得るステップ(1)と、
鋼帯を脱脂処理するステップ(2)と、
脱脂処理後の鋼帯を焼鈍処理するステップ(3)と、
焼鈍処理後の鋼帯を冷却するステップ(4)と、
冷却後の鋼帯を酸洗処理するステップ(5)と、を含み、
ステップ(3)では、脱脂処理後の鋼帯を加熱炉内で600-800℃に予備加熱した後、最終熱処理温度880-960℃に加熱し、保温時間は1.0-3.0min/mmであり、加熱炉内の張力密度は0.5-0.8Kg/mmである。
【0009】
選択的に、ステップ(1)の前に、鉄クロムアルミニウム冷間圧延コイルに対して、鉄クロムアルミニウム冷間圧延コイルの巻き始めと巻き終わりの厚さ≧1.0mmの未圧延部分と冷間圧延移行部分をきれいに切除する処理を行う。
【0010】
選択的に、ステップ(1)において、溶接方式は二重溶接ホイール抵抗溶接を採用し、
隣接する2巻の鉄クロムアルミ冷間圧延コイルの厚み差は30%以下であり、溶接ビードのラップ量は1.5-3mmであり、溶接速度は6.5-8.5m/minであり、溶接電流は3800-4800Aであり、
主溶接ビードは鋼条で補強する。
【0011】
選択的に、ステップ(2)において、脱脂処理に用いる脱脂液の温度は60-100℃である。
【0012】
選択的に、ステップ(4)において、焼鈍処理後の鋼帯を冷却するステップは、
空冷により鋼帯を250-400℃まで冷却するステップであって、風圧は2700-3500Paであるステップと、
高圧ミスト冷却により、鋼帯を120℃以下に冷却するステップであって、水流量は3-5m/hであり、圧縮空気流量は1300-1700Nm/hであり、圧力は2-4barであるステップと、を含む。
【0013】
選択的に、ステップ(5)において、酸洗処理には、電解硫酸ナトリウム+電解硝酸+硝酸とフッ化水素酸の混合酸を用い、
電解硫酸ナトリウムでは、硫酸ナトリウム濃度が1.12-1.20g/Lであり、電解電流が2000-5000Aであり、温度が65-85℃であり、
電解硝酸では、硝酸濃度が40-90g/Lであり、電解電流が2000-5000Aであり、温度が45-65℃であり、
硝酸とフッ化水素酸の混合酸では、硝酸濃度が40-90g/Lであり、フッ化水素酸濃度が25-50g/Lであり、温度が35-55℃である。
【0014】
選択的に、鉄クロムアルミ冷間圧延コイルの銘柄が1Cr13Al4である。
【0015】
選択的に、鉄クロムアルミ冷間圧延コイルの規格は、幅が900-1300mmであり、厚さが0.5-1.2mmであり、巻き重さが10トン以上である。
【発明の効果】
【0016】
従来技術に比べて、本発明の鉄クロムアルミ冷間コイルの連続線焼鈍酸洗の生産方法は、少なくとも以下のような有益な効果を有する。
(1)1Cr13Al4冷間圧延コイルの溶接工程、焼鈍工程、酸洗工程を設計することにより、連続焼鈍酸洗ラインで1Cr13Al4冷間圧延コイルを生産することを実現する。
(2)1Cr13Al4冷間圧延コイル間の溶接を実現し、溶接ビードは、生産ラインで張力、繰り返しの折り曲げ、加熱炉内の高温などの過酷な条件を経ても割れない。
(3)冷間圧延1Cr13Al4鋼コイルは焼鈍後に、結晶粒度が4-6級であり、力学的性能及び抵抗率がGB/T1234-2012「高抵抗電熱合金」の要求を満たす。
(4)焼鈍後の1Cr13Al4表面は酸洗処理によって処理され、完成品は合格した2B表面である。
(5)他の生産方法に比べて、この方法は生産コストを下げ、生産効率が16トン/時間に達することができ、製品の性能が安定して、厚さ範囲が0.5-1.2mm、幅範囲が900-1300mmの1Cr13Al4冷間圧延コイルを生産することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
以下の好適な実施形態の詳細な説明を読むことにより、様々な他の利点及び利点が当業者に明らかになるであろう。図面は、好適な実施形態を示す目的にのみ使用され、本発明を制限するものと考えられない。
【0018】
図1】ラップ時に用いられるスポット溶接方式を示す。
図2】実施例1における焼鈍後の材料の金属組織図である。
図3】実施例1で得られた鋼帯の溶接ビードが焼鈍酸洗された状態を示す。
図4】実施例2における焼鈍後の材料の金属組織図である。
図5】実施例3における焼鈍後の材料の金属組織図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
本発明の目的、特徴及び効果を十分に理解するために、以下の具体的な実施形態により、本発明を詳細に説明する。本発明のプロセス方法は下記の内容を除いて、その他はすべて当分野の通常の方法または装置を採用する。下記の名詞用語は、特に明記されていない限り、当業者が通常理解している意味を持っている。
【0020】
本発明者らは、連続焼鈍酸洗ラインを用いる、幅900-1300mm、厚さ0.5-1.2mm、巻き重さ10トン以上、完成品が2B表面の冷間圧延1Cr13Al4鉄クロムアルミニウム合金コイルの生産における問題点について、研究により以下のことを発見した。
【0021】
1Cr13Al4熱間圧延コイルは冷間圧延(例えば、二十本ロールのセンヂミア圧延機による冷間圧延)を経た後、頭部に約15mの未圧延部分と移行部分があり、この部分は寸法効果と加工硬化効果により脆性が大きいため、連続焼鈍酸洗ラインを通過する前にこの部分をきれいに切除する必要がある。1Cr13Al4は溶接性が悪く、連続焼鈍酸洗ラインを通過する際に鋼帯が反復曲げ、張力の付与、炉内過焼などの原因で溶接割れを起こしないように、溶接中に熱入力を厳密に制御する必要があり、また、溶接ビードを補強するために304鋼条をラップする必要がある。1Cr13Al4はフェライト鋼に属し、再結晶後の結晶粒は極めて大きくなりやすいが、結晶粒が大きいと材料の脆性が増し、帯切れのリスクが高まるため、熱処理の温度、保温時間、加熱炉内の張力を正確に制御する必要がある。1Cr13Al4は焼鈍中に、表面にAl、FeO、Crなどの複雑な酸化物からなる緻密な酸化皮膜が形成される。特殊な酸洗方法、酸洗時間で酸洗を行う必要があり、表面の酸化皮膜がきれいに酸洗され、かつ過酸洗、過腐食の欠陥がないことを保証する。また、通常の焼鈍酸洗ラインでは、焼鈍速度と酸洗速度が一致するため、焼鈍酸洗速度の選択は特に重要であり、焼鈍後の材料性能を保証するだけでなく、酸洗後の表面の合格も保証しなければならない。
【0022】
以上の考えに基づいて、本発明者は、1Cr13Al4鉄クロムアルミニウム合金の冷間圧延コイルの連続線焼鈍及び酸洗の生産方法を提案し、ここで、Cr13Al4鉄クロムアルミニウム合金は当業者に一般的に知られている元素組成を有しており、この銘柄については、国家基準GB/T1234-2012「高抵抗電熱合金」を参考している。
【0023】
好適な実施形態では、本発明の1Cr13Al4鉄クロムアルミニウム合金の冷間圧延コイルの連続線焼鈍及び酸洗の生産方法は、以下の工程を含む。
【0024】
(1)溶接
冷間圧延状態の1Cr13Al4鋼コイルについては、溶接前に前処理を行う必要がある。具体的には、0.5mm≦鋼コイルの厚み≦1.0mmの場合、巻き出した後、まず巻き始めの実際の厚さ≧1.0mmの未圧延部分と冷間圧延移行部分をきれいに切除し、鋼コイルの実際の厚さ≧1.0mmの部分に圧延機の停止コイル跡が存在しないことを保証し、1.0mm<鋼コイルの厚み≦1.2mmの場合、全ての未圧延部分及び冷間圧延移行部分をきれいに切除し、鋼コイルの巻き終わりもきれいに切除する必要がある。1Cr13Al4は強度が高く、未圧延部分と移行部分は鋼板に切るべきではなく、効率を高めるために直接小さい巻きにして梱包することができる。
【0025】
溶接を行う場合、きれいに切った鋼コイルの巻き始めを溶接機に送り、前のきれいに切った巻き終わりと溶接を行う。溶接方式は二重溶接ホイール抵抗溶接を採用し、前後の鋼帯がラップした後、溶接ホイールで大電流を加え、横方向に移動して溶接を完成する。
【0026】
溶接は重要な工程であり、熱入力が大きすぎると熱影響領域の脆性が顕著に増加し、溶接ビードの靭性が低下し、熱入力が小さすぎると未融着が形成される。発明者の深い研究の結果、以下の溶接プロセスが決定される。即ち、前後の鋼帯の厚さ差は30%以下であり、ここで、溶接ビードのラップ量は1.5-3mm(例えば、1.5mm、1.6mm、1.7mm、1.8mm、1.9mm、2.0mm、2.1mm、2.2mm、2.3mm、2.4mm、2.5mm、2.6mm、2.7mm、2.8mm、2.9mm、3.0mmなど)であり、溶接速度は6.5-8.5m/min(例えば、6.5m/min、7.0m/min、7.5m/min、8.0m/min、8.5m/minなど)であり、溶接電流は、3800-4800A(例えば、3800A、4000A、4200A、4400A、4600A、4800Aなど)である。主溶接ビードはラップ鋼で補強し、例えば、主溶接ビードは、手動アーク溶接で2-3本の厚さが1.5-2.5mm(例えば、1.5mm、1.6mm、1.7mm、1.8mm、1.9mm、2.0mm、2.1mm、2.2mm、2.3mm、2.4mm、2.5mmなど)で、規格が150×250mmの304鋼条を溶接して補強する必要があり、図1に示すように、溶接には、スポット溶接方式を採用する。
【0027】
二重溶接ホイール抵抗溶接+304鋼条で補強する方式を採用し、1Cr13Al4鋼帯を溶接することにより、1Cr13Al4の脆性が大きく、溶接性が悪いという難題を克服し、連続生産を実現する。
【0028】
(2)脱脂処理
溶接後の1Cr13Al4鋼帯は脱脂段階に入って脱脂し、冷間圧延後の鋼帯の表面の圧延油を洗浄する。脱脂処理に用いる脱脂液の温度は60-100℃である。脱脂液は市場で購入することにより得ることができ、当分野でよく使用される脱脂液はすべて本発明に適用することができる。
【0029】
(3)焼鈍処理
焼鈍時には、まず、加熱炉の加熱段の熱風で帯鋼を600-800℃(例えば、600℃、650℃、700℃、750℃、800℃など)まで予備加熱し、更に帯鋼を最終熱処理温度まで加熱し、加熱炉内の温度を880-960℃(例えば、880℃、900℃、920℃、940℃、960℃など)に制御し、加熱炉の保温時間を1.0-3.0min/mm(即ち、帯鋼の厚さで、1mm当たり1.0-3.0min、即ち、加熱炉の保温時間=(1.0min~3.0min)×帯鋼の厚さ、ここで、帯鋼の厚さの単位はミリメートルである)(例えば、1.0min/mm、1.5min/mm、2.0min/mm、2.5min/mm、3.0min/mmなど)として、加熱炉内の張力密度を0.5-0.8Kg/mm(例えば、0.5Kg/mm、0.6Kg/mm2、0.7Kg/mm、0.8Kg/mmなど)とする。
【0030】
1Cr13Al4はフェライト鋼であり、焼鈍温度が高すぎたり、保温時間が長すぎたりすると、焼鈍後の結晶粒が極めて大きくなりやすいが、結晶粒が大きいと材料の脆性が増し、帯切れのリスクが高まるため、焼鈍温度が低い場合や保温時間が短い場合、結晶粒が完全に回復せず、完成品の伸び率、強度などの力学的性能に影響を及ぼすため、焼鈍の温度を正確に制御する必要がある。一方、焼鈍中に加熱炉内の張力も重要であり、加熱炉内の張力が大きすぎると、鋼帯は加熱炉内の高温加熱環境の下で狭められ、変形しやすくなり、加熱炉内の張力が小さすぎると、鋼帯は加熱炉内で蛇行したり、端を引っ張ったりする品質事故を起こしやすいため、加熱炉内の張力を厳密に制御する必要があり、加熱炉内の張力の設定については、鋼帯の密度、高温強度などのデータを参考する必要がある。
【0031】
(4)冷却
高温保温が終わった後、まずブロワーで鋼帯を急速冷却し(例えば、1min以内で鋼帯の温度を250-400℃まで冷却し)、風圧を2700-3500Pa(例えば、2700Pa、2800Pa、2900Pa、3000Pa、3100Pa、3200Pa、3300Pa、3400Pa、3500Paなど)とし、鋼帯を250-400℃まで空冷して高圧ミスト冷却を継続し、水流量は3-5m/hであり、例えば、3m/h、4m/h、5m/hなどであり、圧縮空気流量は1300-1700Nm/hであり、例えば、1300Nm/h、1400Nm/h、1500Nm/h、1600Nm/h、1700Nm/hなどであり、圧力は2-4barであり、例えば、2bar、3bar、4barなどである。ミスト冷却により120℃まで冷却した後、鋼帯が出てきた。
【0032】
高温保温が終わったら、結晶粒の成長を防ぐ一方で、冷却中にΑ’などの析出物が発生し、材料の性能に影響を及ぼすことを防ぐために急速冷却を行うべきである。
【0033】
(5)酸洗
酸洗には、電解硫酸ナトリウム+電解硝酸+硝酸とフッ化水素酸の混合酸を用いる。
【0034】
電解硫酸ナトリウムでは、硫酸ナトリウム濃度が1.12-1.20g/L(例えば、1.12g/L、1.13g/L、1.14g/L、1.15g/L、1.16g/L、1.17g/L、1.18g/L、1.19g/L、1.20g/Lなど)であり、電解電流が2000-5000A(例えば、2000A、2500A、3000A、3500A、4000A、4500A、5000Aなど)であり、温度が65-85℃(例えば、65℃、70℃、75℃、80℃、85℃など)であり、酸洗時間が1.5-5min(例えば、1.5min、2.0min、2.5min、3.0min、3.5min、4.0min、4.5min、5.0minなど)である。
【0035】
電解硝酸では、硝酸濃度が40-90g/L(例えば、40g/L、45g/L、50g/L、55g/L、60g/L、65g/L、70g/L、75g/L、80g/L、85g/L、90g/Lなど)であり、電解電流が2000-5000A(例えば、2000A、2500A、3000A、3500A、4000A、4500A、5000Aなど)であり、温度が45-65℃(例えば、45℃、50℃、55℃、60℃、65℃など)であり、酸洗時間が0.5-1.7min(例えば、0.5min、0.7min、0.9min、1.1min、1.3min、1.5min、1.7minなど)である。
【0036】
電解酸洗の過程において、1Cr13Al4鋼帯は陽極として電解反応を行い、主に表面のクロム酸化物を溶解するとともに、反応により酸素が発生し、陽極から発生した酸素によって鉄鱗が剥がれ落ちる。電解電流、濃度、温度は主に反応の速度と進度に影響する。
【0037】
硝酸とフッ化水素酸の混合酸では、硝酸濃度が40-90g/L(例えば、40g/L、45g/L、50g/L、55g/L、60g/L、65g/L、70g/L、75g/L、80g/L、85g/L、90g/Lなど)であり、フッ化水素酸濃度が25-50g/L(例えば、25g/L、30g/L、35g/L、40g/L、45g/L、50g/Lなど)であり、温度が35-55℃(例えば、35℃、40℃、45℃、50℃、55℃など)であり、酸洗時間が1.3-4min(例えば、1.3min、2.0min、2.5min、3.0min、3.5min、4.0minなど)である。
【0038】
混合酸は主に鉄、アルミニウムの酸化物を溶解し、最終製品に必要な表面を得るために使用される。上記の酸濃度は、通常のステンレス鋼を酸洗する際の濃度と大きく異なり、主にアルミニウムの酸化物が致密で酸洗しにくいことを考慮している。
【0039】
電解硫酸ナトリウム+電解硝酸+硝酸とフッ化水素酸の混合酸を用いる酸洗方法を用いて、特殊な酸洗方法を用いて、1Cr13Al4の焼鈍時に表面に形成された緻密な酸化層を酸洗で除去することができる。
【0040】
本発明の生産方法により、銘柄が1Cr13Al4、厚さ範囲が0.5-1.2mm、幅範囲が900-1300mmの鉄クロムアルミ冷間圧延鋼コイルを生産することができ、生産効率は16トン/時間に達することができる。そして、上記の生産方法により、得られた鋼コイルの結晶粒は相対的に細かく均一に回復し、結晶粒度は4-6級であり、対応するA50伸び率は30-35%であり、降伏強度Rp0.2は445-465MPaであり、引張強度Rmは600-620MPaであり、力学的性能はGB/T1234-2012「高抵抗電気熱合金」の要求を満たしている。
【0041】
[実施例]
以下、実施例によって本発明をさらに説明するが、本発明は上記実施例の範囲に限定されるものではない。以下の実施例で具体的な条件が明記されていない実験方法は、通常の方法と条件、または商品説明書に従って選択する。
【0042】
まず、下記の実施例において、結晶粒度、A50、降伏強度、引張強度、表面グレードはすべてGB/T1234-2012「高抵抗電熱合金」を参照して検出したことを説明すべきである。
【0043】
[実施例1]
厚さ1.0mm、幅1240mm、巻き重さ14トンの冷間圧延1Cr13Al4コイルを原料とし、このコイルは厚さ3.5mmの熱間圧延コイルから二十本ロールのセンヂミア圧延機で圧延され、その化学成分は質量%で、C:0.0143%、Cr:13.8%、Al:5.2922%、Si:0.1787%、Mn:0.0759%、P:0.0114%、S:0.001%、Ti:0.3174%、N:0.0024%であり、残りはFe及びその他の不可避的不純物である。
【0044】
本実施例の生産方法は以下の通りである。
(1)冷間圧延状態の1Cr13Al4コイルを巻き出した後、まず、巻き始めの実際の厚さ≧1.0mmの未圧延部分と冷間圧延移行部分をきれいに切除し、コイルの実際の厚さ≧1.0mmの部分に圧延機の停止コイル跡が存在しないことを保証して、未圧延部と移行部を小さい巻きに巻き取ってから梱包する。
【0045】
きれいに切ったコイルの巻き始めを溶接機に送り、前と同じ方法できれいに切った、厚さ1.0mmの1Cr13Al4冷間圧延コイルの巻き終わりを二重溶接ホイール抵抗溶接で溶接し、ここで、溶接ビードのラップ量は2mmであり、溶接速度は7.0m/minであり、溶接電流は4200Aである。主溶接ビードは、手動アーク溶接で2本の厚さ2.0mm、規格200mmの304鋼条を溶接して補強する必要があり、溶接には、スポット溶接方式を採用する。
【0046】
(2)溶接後の1Cr13Al4鋼帯は脱脂段階に入って脱脂し、冷間圧延後の鋼帯の表面の圧延油を洗浄し、脱脂液の温度は80℃とした。
【0047】
(3)焼鈍時には、まず、加熱炉の加熱段の熱風で帯鋼を700℃まで予備加熱し、更に帯鋼を最終熱処理温度まで加熱し、加熱炉内の温度を950℃に制御し、加熱炉の保温時間を1.5min/mm、焼鈍速度を30m/min、加熱炉内の張力密度を0.65Kg/mmとする。焼鈍後の金属組織を図2に示し、図2から分かるように、帯鋼はすでに焼鈍されており、力学的性能要求を満たしている。
【0048】
(4)高温保温が終わった後、まずブロワーで鋼帯を急速冷却し、風圧を3000Paとし、鋼帯を350℃まで空冷して高圧ミスト冷却を継続し、水流量は4m/h、圧縮空気流量は1500Nm/h、圧力は3barである。ミスト冷却により80℃まで冷却した後、鋼帯が出てきた。
【0049】
(5)酸洗には、電解硫酸ナトリウム+電解硝酸+硝酸とフッ化水素酸の混合酸を用い、ここで、電解硫酸ナトリウムでは、硫酸ナトリウム濃度が1.13g/Lであり、電解電流が2000Aであり、温度が75℃であり、電解硝酸では、硝酸濃度が55g/Lであり、電解電流が5000Aであり、温度が55℃であり、混合酸では、硝酸濃度が60g/Lであり、フッ化水素酸濃度が33g/Lであり、温度が50℃である。
【0050】
本実施例の生産方法は鋼コイルの連続生産を順調に進めることができ、鋼帯は直接溶接で連結され、焼鈍後の結晶粒度は5級、A50伸び率は31%、降伏強度Rp0.2は455MPa、引張強度Rmは612MPaであり、GB/T1234-2012『高抵抗電熱合金』の力学的性能要求を満たし、表面は酸洗処理によって処理され、完成品は合格した2B表面である。
【0051】
本実施例で生産した鋼帯の溶接ビードは焼鈍、酸洗を経て、尾部に巻き取られた状態になり、図3に示すように、溶接ビードは、張力、繰り返しの折り曲げ、加熱炉内の高温などの過酷な条件を経ても割れない。
【0052】
[実施例2]
厚さ0.8mm、幅1255mm、巻き重さ15トンの冷間圧延1Cr13Al4コイルを原料とし、このコイルは厚さ3.5mmの熱間圧延コイルから二十本ロールのセンヂミア圧延機で圧延され、その化学成分は質量%で、C:0.025%、Cr:13.7749%、Al:5.0072%、Si:0.0889%、Mn:0.0835%、P:0.0155%、S:0.0011%、Ti:0.2519%、N:0.0043%であり、残りはFe及びその他の不可避的不純物である。
【0053】
本実施例の生産方法は以下の通りである。
(1)冷間圧延状態の1Cr13Al4コイルを巻き出した後、まず、巻き始めの実際の厚さ≧1.0mmの未圧延部分と冷間圧延移行部分をきれいに切除し、コイルの実際の厚さ≧1.0mmの部分に圧延機の停止コイル跡が存在しないことを保証して、未圧延部と移行部を小さい巻きに巻き取ってから梱包する。
【0054】
きれいに切ったコイルの巻き始めを溶接機に送り、前と同じ方法できれいに切った、厚さ1.0mmの1Cr13Al4冷間圧延コイルの巻き終わりを二重溶接ホイール抵抗溶接で溶接し、ここで、溶接ビードのラップ量は2mmであり、溶接速度は7.2m/minであり、溶接電流は4100Aである。主溶接ビードは、手動アーク溶接で2本の厚さ2.0mm、規格200mmの304鋼条を溶接して補強する必要があり、溶接には、スポット溶接方式を採用する。
【0055】
(2)溶接後の1Cr13Al4鋼帯は脱脂段階に入って脱脂し、冷間圧延後の鋼帯の表面の圧延油を洗浄し、脱脂液の温度は80℃とした。
【0056】
(3)焼鈍時には、まず、加熱炉の加熱段の熱風で帯鋼を700℃まで予備加熱し、更に帯鋼を最終熱処理温度まで加熱し、加熱炉内の温度を940℃に制御し、加熱炉の保温時間を1.75min/mm、焼鈍速度を32m/min、加熱炉内の張力密度を0.6Kg/mmとする。焼鈍後の金属組織を図4に示し、図4から分かるように、帯鋼はすでに焼鈍されており、力学的性能要求を満たしている。
【0057】
(4)高温保温が終わった後、まずブロワーで鋼帯を急速冷却し、風圧を2900Paとし、鋼帯を350℃まで空冷して高圧ミスト冷却を継続し、水流量は4m/h、圧縮空気流量は1500Nm/h、圧力は3barである。ミスト冷却により80℃まで冷却した後、鋼帯が出てきた。
【0058】
(5)酸洗には、電解硫酸ナトリウム+電解硝酸+硝酸とフッ化水素酸の混合酸を用い、ここで、電解硫酸ナトリウムでは、硫酸ナトリウム濃度が1.12g/Lであり、電解電流が2000Aであり、温度が75℃であり、電解硝酸では、硝酸濃度が64g/Lであり、電解電流が5000Aであり、温度が55℃であり、混合酸では、硝酸濃度が55g/Lであり、フッ化水素酸濃度が32.5g/Lであり、温度が51℃である。
【0059】
本実施例の生産方法は鋼コイルの連続生産を順調に進めることができ、鋼帯は直接溶接で連結され、焼鈍後の結晶粒度は5級、A50伸び率は32%、降伏強度Rp0.2は466MPa、引張強度Rmは606MPaであり、GB/T1234-2012『高抵抗電熱合金』の力学的性能要求を満たし、表面は酸洗処理によって処理され、完成品は合格した2B表面である。
【0060】
[実施例3]
厚さ1.2mm、幅1262mm、巻き重さ15トンの冷間圧延1Cr13Al4コイルを原料とし、このコイルは厚さ3.5mmの熱間圧延コイルから二十本ロールのセンヂミア圧延機で圧延され、その化学成分は質量%で、C:0.0191%、Cr:13.6657%、Al:5.1831%、Si:0.103%、Mn:0.0808%、P:0.0144%、S:0.001%、Ti:0.2373%、N:0.002%であり、残りはFe及びその他の不可避的不純物である。
【0061】
本実施例の生産方法は以下の通りである。
(1)冷間圧延状態の1Cr13Al4コイルを巻き出した後、まず、すべての未圧延部分と冷間圧延移行部分をきれいに切除し、コイルに圧延機の停止コイル跡が存在しないことを保証して、未圧延部と移行部を小さい巻きに巻き取ってから梱包する。
【0062】
きれいに切ったコイルの巻き始めを溶接機に送り、前と同じ方法できれいに切った、厚さ1.0mmの1Cr13Al4冷間圧延コイルの巻き終わりを二重溶接ホイール抵抗溶接で溶接し、ここで、溶接ビードのラップ量は2mmであり、溶接速度は7.0m/minであり、溶接電流は4300Aである。主溶接ビードは、手動アーク溶接で2本の厚さ2.0mm、規格200mmの304鋼条を溶接して補強する必要があり、溶接には、スポット溶接方式を採用する。
【0063】
(2)溶接後の1Cr13Al4鋼帯は脱脂段階に入って脱脂し、冷間圧延後の鋼帯の表面の圧延油を洗浄し、脱脂液の温度は80℃とした。
【0064】
(3)焼鈍時には、まず、加熱炉の加熱段の熱風で帯鋼を700℃まで予備加熱し、更に帯鋼を最終熱処理温度まで加熱し、加熱炉内の温度を950℃に制御し、加熱炉の保温時間を1.5min/mm、焼鈍速度を25m/min、加熱炉内の張力密度を0.68Kg/mmとする。焼鈍後の金属組織を図5に示し、図5から分かるように、帯鋼はすでに焼鈍されており、力学的性能要求を満たしている。
【0065】
(4)高温保温が終わった後、まずブロワーで鋼帯を急速冷却し、風圧を3100Paとし、鋼帯を350℃まで空冷して高圧ミスト冷却を継続し、水流量は4m/h、圧縮空気流量は1500Nm/h、圧力は3barである。ミスト冷却により80℃まで冷却した後、鋼帯が出てきた。
【0066】
(5)酸洗には、電解硫酸ナトリウム+電解硝酸+硝酸とフッ化水素酸の混合酸を用い、ここで、電解硫酸ナトリウムでは、硫酸ナトリウム濃度が1.12g/Lであり、電解電流が2000Aであり、温度が75℃であり、電解硝酸では、硝酸濃度が60g/Lであり、電解電流が5000Aであり、温度が55℃であり、混合酸では、硝酸濃度が62g/Lであり、フッ化水素酸濃度が34.7g/Lであり、温度が52℃である。
【0067】
本実施例の生産方法は鋼コイルの連続生産を順調に進めることができ、鋼帯は直接溶接で連結され、焼鈍後の結晶粒度は5級、A50伸び率は32%、降伏強度Rp0.2は446MPa、引張強度Rmは597MPaであり、GB/T1234-2012『高抵抗電熱合金』の力学的性能要求を満たし、表面は酸洗処理によって処理され、完成品は合格した2B表面である。
【0068】
上記実施例は本発明の好適な実施形態であるが、本発明の実施形態は上記実施例に限定されるものではなく、他のいかなる本発明の精神的実質と原理を逸脱することなく行われた代替、修飾、組み合わせ、変更、簡略化などは、いずれも等価な置換形態であり、本発明の保護範囲に含まれるべきである。
【0069】
(付記)
(付記1)
隣接する2巻の鉄クロムアルミニウム冷間圧延コイルを溶接し、鋼帯を得るステップ(1)と、
鋼帯を脱脂処理するステップ(2)と、
脱脂処理後の鋼帯を焼鈍処理するステップ(3)と、
焼鈍処理後の鋼帯を冷却するステップ(4)と、
冷却後の鋼帯を酸洗処理するステップ(5)と、を含み、
ステップ(3)では、脱脂処理後の鋼帯を加熱炉内で600-800℃に予備加熱した後、最終熱処理温度880-960℃に加熱し、保温時間は1.0-3.0min/mmであり、加熱炉内の張力密度は0.5-0.8Kg/mmである、
ことを特徴とする鉄クロムアルミニウム冷間圧延コイルの連続線焼鈍酸洗の生産方法。
【0070】
(付記2)
ステップ(1)の前に、鉄クロムアルミニウム冷間圧延コイルに対して、鉄クロムアルミニウム冷間圧延コイルの巻き始めと巻き終わりの厚さ≧1.0mmの未圧延部分と冷間圧延移行部分をきれいに切除する処理を行う、
ことを特徴とする付記1に記載の生産方法。
【0071】
(付記3)
ステップ(1)において、溶接方式は二重溶接ホイール抵抗溶接を採用し、
隣接する2巻の鉄クロムアルミ冷間圧延コイルの厚み差は30%以下であり、溶接ビードのラップ量は1.5-3mmであり、溶接速度は6.5-8.5m/minであり、溶接電流は3800-4800Aであり、
主溶接ビードは鋼条で補強する、
ことを特徴とする付記1に記載の生産方法。
【0072】
(付記4)
ステップ(2)において、脱脂処理に用いる脱脂液の温度は60-100℃である、
ことを特徴とする付記1に記載の生産方法。
【0073】
(付記5)
ステップ(4)において、焼鈍処理後の鋼帯を冷却するステップは、
空冷により鋼帯を250-400℃まで冷却するステップであって、風圧は2700-3500Paであるステップと、
高圧ミスト冷却により、鋼帯を120℃以下に冷却するステップであって、水流量は3-5m/hであり、圧縮空気流量は1300-1700Nm/hであり、圧力は2-4barであるステップと、を含む、
ことを特徴とする付記1に記載の生産方法。
【0074】
(付記6)
ステップ(5)において、酸洗処理には、電解硫酸ナトリウム+電解硝酸+硝酸とフッ化水素酸の混合酸を用い、
電解硫酸ナトリウムでは、硫酸ナトリウム濃度が1.12-1.20g/Lであり、電解電流が2000-5000Aであり、温度が65-85℃であり、
電解硝酸では、硝酸濃度が40-90g/Lであり、電解電流が2000-5000Aであり、温度が45-65℃であり、
硝酸とフッ化水素酸の混合酸では、硝酸濃度が40-90g/Lであり、フッ化水素酸濃度が25-50g/Lであり、温度が35-55℃である、
ことを特徴とする付記1に記載の生産方法。
【0075】
(付記7)
鉄クロムアルミ冷間圧延コイルの銘柄が1Cr13Al4である、
ことを特徴とする付記1に記載の生産方法。
【0076】
(付記8)
鉄クロムアルミ冷間圧延コイルの規格は、幅が900-1300mmであり、厚さが0.5-1.2mmであり、巻き重さが10トン以上である、
ことを特徴とする付記1に記載の生産方法。
図1
図2
図3
図4
図5