(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-17
(45)【発行日】2024-10-25
(54)【発明の名称】車両ステアリングホイール
(51)【国際特許分類】
B62D 1/04 20060101AFI20241018BHJP
F16C 17/04 20060101ALI20241018BHJP
【FI】
B62D1/04
F16C17/04 Z
(21)【出願番号】P 2023518912
(86)(22)【出願日】2021-09-27
(86)【国際出願番号】 EP2021076430
(87)【国際公開番号】W WO2022069381
(87)【国際公開日】2022-04-07
【審査請求日】2023-04-24
(32)【優先日】2020-09-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FR
(73)【特許権者】
【識別番号】503358097
【氏名又は名称】オートリブ ディベロップメント エービー
(74)【代理人】
【識別番号】100124110
【氏名又は名称】鈴木 大介
(74)【代理人】
【識別番号】100120400
【氏名又は名称】飛田 高介
(72)【発明者】
【氏名】バリトー、マティス
(72)【発明者】
【氏名】カサン、セバスチャン
(72)【発明者】
【氏名】ルブーフ、トマ
【審査官】村山 禎恒
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2020/0198684(US,A1)
【文献】特開2009-161025(JP,A)
【文献】特開2016-022762(JP,A)
【文献】米国特許第02683996(US,A)
【文献】米国特許出願公開第2019/0291772(US,A1)
【文献】独国特許出願公開第102017223111(DE,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B62D 1/00-28
F16C 17/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ハブ(20)と、
運転位置と少なくとも1つのコンソール位置との間で、前記ハブ(20)に対して移動することが可能な、可動構造体と、
前記ハブ(20)と前記可動構造体との間に配置されており、少なくとも1つの関節シャフト(41)を含む、関節部(40)と、
前記ハブ(20)から前記可動構造体へと延びている、少なくとも1つの導電体(50)と、を備える、車両ステアリングホイールにおいて、
前記関節シャフト(41)が、ケーブル通路を形成するための凹部を有し、前記導電体(50)が、前記ケーブル通路を介して、前記ハブ(20)から前記可動構造体へと延びてい
て、
前記可動構造体は、前記ケーブル通路によって規定される軸を中心として前記ハブ(20)に対して移動可能であることを特徴とする、
車両ステアリングホイール。
【請求項2】
前記導電体(50)が、コネクタ(52)を含む、前記ハブ(20)側に配置されている一方の端部を有し、前記コネクタ(52)が、前記ケーブル通路の寸法よりも大きい寸法を有する、請求項1に記載の車両ステアリングホイール。
【請求項3】
前記関節シャフト(41)が、前記可動構造体及び前記ハブ(20)とは別個の、追加部品である、請求項1又は2のいずれか一項に記載の車両ステアリングホイール。
【請求項4】
前記可動構造体と前記ハブ(20)との間の前記関節部(40)に配置されている、遊び補償デバイスを備える、請求項1~3のいずれか一項に記載の車両ステアリングホイール。
【請求項5】
前記遊び補償デバイスが、ばねワッシャ
である弾性部材を含む、請求項4に記載の車両ステアリングホイール。
【請求項6】
前記可動構造体と前記ハブ(20)との間の前記関節部(40)に配置されている、摩擦低減デバイスを備える、請求項1~5のいずれか一項に記載の車両ステアリングホイール。
【請求項7】
前記摩擦低減デバイスが、ポリテトラフルオロエチレン又は青銅を含む部品
であって、0.15未満、好ましくは0.10未満、更により優先的には0.07未満の摩擦係数を有する、少なくとも1つの部品を含む、請求項6に記載の車両ステアリングホイール。
【請求項8】
2つの関節部(40)を備え、それぞれが、凹部を含む関節シャフト(41)を有する、請求項1~7のいずれか一項に記載の車両ステアリングホイール。
【請求項9】
前記可動構造体が、補強部分を含む、請求項1~8のいずれか1項に記載の車両ステアリングホイール。
【請求項10】
前記補強部分が、少なくとも1つのリム補強部及び/又は少なくとも1つのスポーク補強部を含む、請求項9に記載の車両ステアリングホイール。
【請求項11】
前記リム補強部が、前記スポーク補強部とは別個である、請求項10に記載の車両ステアリングホイール。
【請求項12】
前記可動構造体内に組み込まれている、電気装置又は電気デバイスを備え、前記導電体(50)が、前記可動構造体側に配置されて前記電気装置又は電気デバイスに接続されている、一方の端部を有する、請求項1~11のいずれか1項に記載の車両ステアリングホイール。
【請求項13】
前記ケーブル通路内で前記導電体(50)と前記関節シャフト(41)との間に配置されている、ケーブル位置決めインサートを備える、請求項1~12のいずれか一項に記載の車両ステアリングホイール。
【請求項14】
前記関節部(40)が、枢動接続型である、請求項1~13のいずれか一項に記載の車両ステアリングホイール。
【請求項15】
請求項1~14のいずれか一項に記載の車両ステアリングホイールを備える、自動車車両。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、全般的に、自動車車両に搭載するように意図されている、車両ステアリングホイールに関する。
【背景技術】
【0002】
関節部を有する車両ステアリングホイールを提案することが、先行技術において既知であり、例えば、独国特許文献第202017107359号は、ステアリングホイールのリムの一部分が枢動することが可能な、ステアリングホイールを開示している。米国特許文献第10562558号は、電磁デバイスによって固定化される2つの枢動リム部分を有する、ステアリングホイールを開示している。現在のステアリングホイールのリムは、いくつかの電気デバイスを備え得るものであり、上記の文献は、ハブと、ハブに対して移動可能なリム又はリム部分との、堅牢な電気的接続(すなわち、ステアリングホイールの位置に関わりなく保証される電気的接続、又は、時間の経過と共にリムが多数回移動した後でも保証される電気的接続)を有するステアリングホイールを提案する解決策を、提案するものではない。
【0003】
米国特許文献2019291772(A1)号は、関節軸受の一方の側から他方の側へと延びる中実の軸受ロッドと関節接合されている、ステアリングホイールを開示している。ステアリングホイールのリムとハブとの電気的接続を容易にするか又は最適化するための、解決策は提案されていない。特に、ステアリングホイールのハブ又は中心部に向けた、関節部内の内部アクセスが提案されていないことにより、ケーブルが見えたままとなり、ケーブルの経路の最適化が不可能となる。
【発明の概要】
【0004】
本発明の1つの目的は、上述の先行技術の文献の欠点に対処することであり、特に、まず第1に、ハブと、ハブに対して移動可能なリム又はリム部分との、堅牢な電気的接続を有する、ステアリングホイールを提案することである。
【0005】
それゆえ、本発明の第1の態様は、
-ハブと、
-運転位置としての第1の位置と、コンソール位置としての少なくとも1つの第2の位置との間で、ハブに対して移動することが可能な、可動構造体と、
-ハブと可動構造体との間に配置されており、少なくとも1つの関節シャフトを含む、関節部と、
-ハブから可動構造体へと延びている、少なくとも1つの導電体とを備える、車両ステアリングホイールにおいて、
関節シャフトが、ケーブル通路を形成するための凹部を有し、導電体が、この通路の中を通って、ハブから可動構造体へと延びていることを特徴とする、車両ステアリングホイールに関する。上記の実装形態によるステアリングホイールは、ハブと可動構造体との間に配置されている関節シャフトを備え、この関節シャフトは、ケーブル通路を形成するための凹部を含む。それゆえ、導電体は、この凹部の中を通ることができ、このことにより、導電体の保護が保証されると共に、可動部分との干渉又は挟み込みのリスクを伴うことのない、最小限又は低振幅の移動も保証される。実際に、凹部は、導電体の位置を保証することが容易な通路を形成している。換言すれば、関節シャフトは、ハブの導電体を可動構造体へと導くように配置されている、ケーブル通路を形成するための凹部を含む。
【0006】
一実装形態によれば、ハブは、車両ステアリングホイールを、ステアリングコラムなどの車両ステアリングシステムに接続するように配置することができる。
【0007】
一実装形態によれば、関節シャフトは、その全長にわたって凹部を含み得る。
【0008】
一実装形態によれば、関節シャフトは、例えば管又はリングなどの、中空のシャフトとすることができる。
【0009】
一実装形態によれば、車両ステアリングホイール及び/又は関節部は、凹部内に導電体を保持するように配置されている、保持部材を含み得る。この保持部材は、例えば、関節シャフト上にねじ込まれているナットとすることができ、関節シャフトは、その長さの少なくとも一部分にわたって、ねじ切りされている。
【0010】
一実装形態によれば、導電体は、コネクタを含む、ハブ側に配置されている一方の端部を有し得るものであり、このコネクタは、ケーブル通路の寸法よりも大きい寸法を有し得る。コネクタは、導電体に接続されているが、導電体は、予め関節シャフト及びその凹部内に通されている。
【0011】
一実装形態によれば、ステアリングホイールは、関節シャフトを受け入れるように配置されている、関節シャフト用の支持穴を備え得るものであり、コネクタの寸法は、この関節シャフトの支持穴の寸法よりも小さいものとすることができる。
【0012】
一実装形態によれば、関節シャフトは、可動構造体及びハブとは別個の、追加部品とすることができる。
【0013】
一実装形態によれば、車両ステアリングホイールは、可動構造体とハブとの間の関節部に配置されている、遊び補償デバイスを備え得る。
【0014】
一実装形態によれば、遊び補償デバイスは、弾性ワッシャ又は更に円錐ワッシャなどの、弾性部材を含み得る。ばねもまた、想定することができる。導電体は、弾性部材の中心孔の中を通ることができる。
【0015】
一実装形態によれば、遊び補償デバイスは、関節シャフトの軸方向の遊びを補償するように配置することができる。
【0016】
一実装形態によれば、遊び補償デバイスは、関節シャフトと同軸とすることができる。
【0017】
一実装形態によれば、車両ステアリングホイールは、可動構造体とハブとの間の関節部に配置されている、摩擦低減デバイスを備え得る。関節シャフト及び/又は可動構造体に堅固に接続されている、1つ(以上)のリング、摩擦ワッシャを想定することができる。導電体は、摩擦低減デバイスの中心孔の中を通ることができる。
【0018】
一実装形態によれば、摩擦低減デバイスは、ポリテトラフルオロエチレン又は青銅を含む部品などの、0.15未満、好ましくは0.10未満、更により優先的には0.07未満の摩擦係数を有する、少なくとも1つの部品を含み得る。
【0019】
一実装形態によれば、車両ステアリングホイールは、2つの同軸の関節部を備え得るものであり、それぞれの関節部が、凹部を含む関節シャフトを有する。その結果として、各関節部は、ステアリングホイールの中心部に向けて配置されている、又は中心部の方向に配置されている、少なくとも1つの側面を有し得る。換言すれば、各関節部は、ハブ又はステアリングコラム側の面を有し得ることにより、導電体は、ユーザからは隠されたまま、ハブからハブ側の面に向けて、次いで中空又は凹状のシャフトに向けて延び、次いでリムに向けて進むように規定することが容易となる。導電体の経路は短く、可動構造体の移動の間に課される変形の観点から最適である。
【0020】
一実装形態によれば、導電体は、2つの関節部のうちの一方の関節シャフトの中を通ることができる。
【0021】
一実装形態によれば、車両ステアリングホイールは、単一の凹部を有する単一の関節シャフトを備え得る。
【0022】
一実装形態によれば、少なくとも1つの関節シャフトは、ステアリングホイールの中央空間、例えば内部空間、すなわちハブ又はステアリングコラムに面している、凹部の開口部を有する。
【0023】
一実装形態によれば、ステアリングホイールは、導電体の経路及び/又は関節部を覆う、1つ以上の被覆部品を備え得る。そのような装飾部品は、ハブと、ハブの側面又は周辺面、またそれゆえ関節シャフトの側面又は周辺面と、ハブ及びリムの双方に向けた、凹部の開口部とを覆うことができる。
【0024】
一実装形態によれば、可動構造体は、補強部分を含み得る。そのような補強部は、カーカス又はフレームワークを形成している。
【0025】
一実装形態によれば、補強部分は、少なくとも1つのリム補強部及び/又は少なくとも1つのスポーク補強部を含み得る。
【0026】
一実装形態によれば、リム補強部は、スポーク補強部とは別個のものとすることができる。
【0027】
一実装形態によれば、車両ステアリングホイールは、可動構造体内に組み込まれている電気装置又は電気デバイスを備え得るものであり、導電体は、可動構造体側に配置されて電気装置又は電気デバイスに接続されている、一方の端部を有する。電気装置又は電気デバイスは、加熱デバイス、容量式検出デバイス、照明デバイスなどとすることができる。
【0028】
一実装形態によれば、運転位置における可動構造体は、車両を運転するための実用的な把持インタフェースを提供するために、同じ平面内に本質的に含まれるリムを形成するように規定することができる。最も単純な実施例では、運転位置における可動構造体を有するリムは、平坦な円形フープとすることができる。しかしながら、より複雑な形状、すなわち、楕円、矩形、丸みを帯びた角を有する矩形、フォーミュラ1におけるような単純なレバー又はハンドルを有することも可能であり、常に同じ平面内に概ね位置しているか、又は、好ましくは僅かに偏向させることもできる。しかしながら、運転位置においては、リムは、堅牢でロックされた把持インタフェースを形成しており、車両を運転するためにユーザによって把持されることが可能である。運転位置において、同じ平面内に形成され、一部分のみが移動可能である、閉じた形状(フープ、長円形、楕円形)のリムを提供することが可能である。一部分のみが移動可能である、開いた形状(例えば、U字形状)のリムを提供することも可能である。
【0029】
一実装形態によれば、コンソール位置にある可動構造体は、例えばコンピュータを配置するための、支持面を形成することができる。一実施例によれば、可動構造体は、ステアリングホイールが真っ直ぐである(車輪が真っ直ぐである、車両が停止している、又は自動運転の状況にある)場合、空間を空け、かつ/又はタブレット若しくはコンピュータなどを配置するために前方に傾斜する、リム又はリム部分を含み得る。
【0030】
一実装形態によれば、可動構造体は、リム部分のみを含み得る。ステアリングホイールが真っ直ぐである(機械式ステアリングコラムを有する車両において車輪が真っ直ぐである)場合、例えば上部のみが関節接合されるように規定することが可能である。
【0031】
一実装形態によれば、可動構造体は、リム部分及び少なくとも1つのスポーク部分のみを含み得る。
【0032】
一実装形態によれば、可動構造体は、リム全体を含み得る。
【0033】
一実装形態によれば、可動構造体は、リム全体と、好ましくは少なくとも1つのスポーク部分とを含み得る。
【0034】
一実装形態によれば、車両ステアリングホイールは、ケーブル通路内で導電体と関節シャフトとの間に配置されている、ケーブル位置決めインサートを備え得る。そのようなインサートには、迅速な組み立てのための、弾性嵌め又はスナップ嵌めを設けることができる。そのようなインサートは、導電体と関節シャフトとの、あらゆる接触を制限すること、又は更に回避することを可能にする。
【0035】
一実装形態によれば、関節部は、枢動接続型である。
【0036】
本発明の第2の態様は、第1の態様による車両ステアリングホイールを備える、自動車両に関する。
【図面の簡単な説明】
【0037】
本発明の他の特徴及び利点は、非限定的な例として提供され、添付図面によって示されている、本発明の実施形態の以下の詳細な説明を読むことで、より明らかとなるであろう。
【
図1】ハブに対して移動することが可能な可動構造体が装備されている、車両ステアリングホイールの概略上面図である。
【
図2】
図1のステアリングホイールの内部関節部、並びに導電体を示している、斜視図である。
【
図4】軸IV-IVを含む
図1の平面に沿った断面図である。
【
図5】
図4の実装形態の代替的実装形態を示す図である
【発明を実施するための形態】
【0038】
図1は、ハブ20と、リム10と、ハブ20をリム10に接続しているスポーク30とを備える、車両ステアリングホイールを示す。
図1に示されているステアリングホイールは、ハブ20に対して移動することが可能な可動構造体を備える。
【0039】
図示の実施例では、可動構造体は、特にリム10とスポーク30の一部分とを含み、
図2~
図4で視認可能な関節部40により、軸IV-IVを中心としてハブ20に対して枢動することができる。
図1では、可動構造体は運転位置にあり、ステアリングホイールを使用して車両を操縦することができる。可動構造体は、例えば、自動運転の状況において、又は、車両が停止している場合、車輪が真っ直ぐである場合に、空間を解放するようにハブ20に対して枢動することにより、例えばコンピュータを受け入れることが可能な、実質的に水平な表面を提供することができる。
【0040】
あるいは、リム10の一部分のみが移動可能であるように規定することもでき、又は更に、いくつかの可動部分を規定することもできる。
【0041】
図2は、内部構造の一部を示すために、
図1のステアリングホイールを斜視図で示している。この目的のために、ステアリングホイールの中心部の外側は、2つの関節部40及び導電体50を示すために存在していない(典型的には、エアバッグ及びそのカバーが取り除かれている)。
【0042】
関節部40は、枢動接続を形成することによって、ハブ20と可動構造体(リム10及びスポーク30)との接続を提供しており、
図3、
図4、及び
図5で説明されるように、それぞれが関節シャフト41を含む。
【0043】
導電体50は、典型的には、可動構造体に搭載されている電気部材(リム10を加熱するためのモジュール、リム10内の光インジケータ、リム10内の存在検出用の容量式センサ、スポーク30上に設置されている制御ボタンなど)に接続されており、この電気部材を、例えばハブ20内若しくはハブ20に設置されている端子台又はソケットを介して、車両の車載ネットワークに接続することを可能にする。
【0044】
ハブ20に対する可動構造体の移動の間に、導電体50が、挟み込まれる、擦られる、摩耗する、切断されるなどの、リスクに晒されないことを保証する点が重要である。この目的のために、構成要素の回転移動が低振幅である領域内に収容される、ケーブル通路が提供されるように、関節シャフト41の凹部内に導電体50を通すことが、特に規定される。
【0045】
この目的のために、
図3は、
図2のステアリングホイールの詳細を示している。導電体50は、ケーブル51及びコネクタ52を含む。アクチュエータ61が、(スポーク30の下部及びハブ20において)可動構造体のロック手段60を形成するように、制御アーム62に結合されており、締め付けナット42が、関節シャフト41上にねじ込まれている。
【0046】
関節シャフト41は、関節部40を貫通するケーブル通路を形成している、凹部(この場合、中心貫通孔であるが、例えば、長手方向の外側溝を想定することも可能である)を含む。その結果として、導電体50のケーブル51は、この凹部の中を通って、ステアリングホイールの中心部(ハブ20)から周辺部(可動構造体:スポーク30及びリム10)へと進むことができる。
【0047】
図4は、回転軸IV-IVを含む
図1に垂直な平面による、ステアリングホイールの部分断面図を示す。
【0048】
関節部40は、関節シャフト41、締め付けナット42、及び摺動リング43を主に含む。
【0049】
関節シャフト41は、フレーム31を関節シャフト41が回転駆動させることを可能にする接続、例えば、埋め込み型の接続を形成するように、スポーク30のフレーム31内に取り付けられている(例えば、ねじ込まれている、挿入されている、又は圧入されている)。
【0050】
摺動リング43は、関節部40における摩擦を制限するために、典型的には、低い摩擦係数を有する材料(例えば、ポリテトラフルオロエチレン又はPTFE)で作製されて、ハブ20の戻り壁上に取り付けられている。
【0051】
締め付けナット42は、
図3の制御アーム62と相互作用する制御プレート63を挟み込むために、関節シャフト41上にねじ込まれている。
【0052】
関節シャフト41には、典型的には、アクチュエータ61に接続する運動学的連鎖を介して有効なロックを提供するために、制御プレート63による回転停止を確実にするための平坦部又は溝が設けられている。
【0053】
図4では、スポーク30のフレーム31は、リム10のフレームと共有され、かつ/又は連続しており、オーバーモールド32が、ユーザのための連続的で審美的なカバーを形成している点に留意されたい。
【0054】
それゆえ、導電体50のケーブル51は、ハブ20の中心部から開始して、可動構造体のオーバーモールド32内に直接進入するために、関節シャフト41の凹部又は中心孔内を通ることに留意されたい。それゆえ、ケーブル51は、ステアリングホイールの他の部分から遠ざけられており、そうではない場合に導電体50に課される可能性のある、振動、挟み込み、干渉、摩擦から保護されている。
【0055】
図示されていないが、ケーブル51が動くか、若しくは関節シャフト41に対して移動することを防止するために、又は更に、関節シャフト41上に存在し得るエッジ部からケーブル51をより良好に保護するために、ケーブル51を(例えば、クリップ留めによって)固定するか又は取り付けるための、位置決め用のインサートを、関節シャフト41の凹部内に設けることが可能である。
【0056】
また、
図3で視認可能なコネクタ52は、関節シャフト41内のケーブル通路の寸法よりも大きい寸法を有することにより、組み立て中に凹部又は孔内にコネクタ52が滑り込むことが防止される点にも留意されたい。コネクタ52は、例えば、ケーブル51を関節シャフト41内に挿入した後に、ケーブル51に接続することができる。
【0057】
図5は、
図4の実装形態に対する代替的実施形態を示す。同一の部分は、再度説明しないものとする。
【0058】
特に、関節部40は、ここでは、スポーク30と、ハブ20の戻り部上に支持されている2つの摺動ワッシャ45との間に配置されている、弾性部材を形成する円錐ワッシャ及び/又は弾性ワッシャの形態の、遊び補償デバイスを含む。あるいは、ばねを設けることもできる。このことにより、クリッキングのリスクを抑えることが可能となるが、公差及び製造上の遊びに関する厳しい要件が課されることはない。
【0059】
最後に、可動構造体(スポーク30及びリム10)のフレームは、ねじ12(又は、ねじ込まれるか又は圧入される、リベット、スプラインピンなどの任意の他の手段)によって一体に固定されている、2つの部分31A及び11Aである。
【0060】
そのような実装形態により、スポーク30を、それぞれ互いに独立してハブ20上に取り付けて、その後にリム10を取り付けることが可能となる。
【0061】
更には、リム10は、スポーク30とは独立してオーバーモールドされているが、
図4の実装形態に関しては、可動構造体のフレーム全体に対して、単一のオーバーモールドを設けることが可能である点に留意されたい。
【0062】
本発明の範囲から逸脱することなく、本明細書で説明されている本発明の種々の実施形態に対して、当業者にとって明白な様々な修正及び/又は改善を加えることができる点が理解されるであろう。