(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-17
(45)【発行日】2024-10-25
(54)【発明の名称】冷凍サイクル装置
(51)【国際特許分類】
F25B 1/00 20060101AFI20241018BHJP
【FI】
F25B1/00 321S
F25B1/00 361Z
F25B1/00 371M
F25B1/00 371B
(21)【出願番号】P 2023522122
(86)(22)【出願日】2021-05-20
(86)【国際出願番号】 JP2021019175
(87)【国際公開番号】W WO2022244192
(87)【国際公開日】2022-11-24
【審査請求日】2023-04-04
(73)【特許権者】
【識別番号】000006013
【氏名又は名称】三菱電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】弁理士法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】松尾 光晃
(72)【発明者】
【氏名】石原 寛也
(72)【発明者】
【氏名】八代 崇憲
【審査官】関口 勇
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2016/117037(WO,A1)
【文献】特開2017-141970(JP,A)
【文献】特開2005-337242(JP,A)
【文献】特開2005-188848(JP,A)
【文献】特開2011-075258(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F25B 1/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
冷媒を圧縮する圧縮機と、
前記圧縮機から吐出される冷媒と冷凍機油とを分離する油分離器と、
前記油分離器で分離された冷凍機油を前記圧縮機に供給する給油経路と、
前記圧縮機に供給する冷凍機油を冷却する油冷却器と、
冷却媒体を前記油冷却器に供給する冷却媒体経路と、
前記油冷却器に供給する冷却媒体の供給量を調整することにより、前記油冷却器において冷却媒体と冷凍機油とを熱交換させて前記圧縮機に供給する冷凍機油の温度を調整する温度調整装置と、
凝縮器と、
少なくとも1つのセンサと、
制御装置とを備え、
前記制御装置は、
前記センサにより検出された、前記圧縮機に供給する冷凍機油の温度により変化する第1物理量の検出値と、前記第1物理量の目標値との差に基づいて前記第1物理量の検出値が前記第1物理量の目標値となるように前記温度調整装置から前記油冷却器に供給する冷却媒体の供給量を制御する供給量制御を実行し、
前記センサにより検出された、前記圧縮機の負荷状態を判定するために用いる第2物理量の検出値に基づいて前記圧縮機の負荷状態を判定し、
前記圧縮機の負荷状態が過負荷状態と判定された場合に、前記圧縮機の運転容量の増加を抑制する第1制御を実行し、前記第1制御の実行中には、さらに前記第1物理量の検出値が前記供給量制御において前記温度調整装置から前記油冷却器に供給する冷却媒体の供給量を減少させるような検出値となった場合に前記温度調整装置から前記油冷却器に供給する冷却媒体の供給量の減少を抑制する第2制御を実行し、
前記第1物理量は、前記圧縮機における吐出ガスの温度と、前記圧縮機に供給する冷凍機油の温度との少なくともいずれかを含
み、
前記第2物理量は、前記圧縮機における吐出温度、吐出圧力、運転電流、消費電力および吸込過熱度、ならびに、前記凝縮器における凝縮温度の少なくともいずれかを含む、冷凍サイクル装置。
【請求項2】
前記油冷却器には、冷却媒体として冷媒が供給され、
前記温度調整装置は、前記油冷却器に供給する冷媒の供給量を調整することにより、前記圧縮機に供給する冷凍機油の温度を調整する、請求項1に記載の冷凍サイクル装置。
【請求項3】
前記油冷却器には、冷却媒体として冷却水が供給され、
前記温度調整装置は、前記油冷却器に供給する冷却水の供給量または温度を調整することにより、前記圧縮機に供給する冷凍機油の温度を調整する、請求項1に記載の冷凍サイクル装置。
【請求項4】
前記制御装置は、前記第1制御を実行する場合に、前記第2制御において、前記温度調整装置から前記油冷却器に供給する冷却媒体の供給量を増加させる、請求項1~3のいずれか1項に記載の冷凍サイクル装置。
【請求項5】
前記制御装置は、前記第2制御において、前記温度調整装置から前記油冷却器に供給する冷却媒体の供給量を、現在の供給量に一定の割合を乗じて得られる供給量に増加させる、請求項4に記載の冷凍サイクル装置。
【請求項6】
前記制御装置は、前記第2制御において、前記温度調整装置から前記油冷却器に供給する冷却媒体の供給量を、現在の供給量に、一定の供給量を加えた供給量に増加させる、請求項4に記載の冷凍サイクル装置。
【請求項7】
前記制御装置は、前記第2制御において、前記温度調整装置により調整する冷凍機油の温度の目標値を、第1目標値から前記第1目標値よりも低い第2目標値まで低下させる、請求項4に記載の冷凍サイクル装置。
【請求項8】
前記制御装置は、冷却または暖房の能力調整のために前記圧縮機の運転容量を増加させる運転中に前記過負荷状態と判定された場合に、前記第1制御において前記圧縮機の運転容量を減少させるとともに、前記第2制御において、前記温度調整装置から前記油冷却器に供給する冷却媒体の供給量を、現在の供給量に、前記圧縮機の運転容量を増加させる運転中における運転容量の増加割合を乗じて得られる供給量に増加させる、請求項4に記載の冷凍サイクル装置。
【請求項9】
前記制御装置は、冷却または暖房の能力調整のために前記圧縮機の運転容量を増加させる運転中に前記過負荷状態と判定された場合に、前記第1制御において前記圧縮機の運転容量を減少させるとともに、前記第2制御において、前記温度調整装置から前記油冷却器に供給する冷却媒体の供給量を、現在の供給量に、前記圧縮機の運転容量を増加させる運転中における運転容量の増加割合に一定割合の補正を加えた割合を乗じて得られる供給量を加えた供給量に増加させる、請求項4に記載の冷凍サイクル装置。
【請求項10】
前記制御装置は、前記第1制御の終了条件が成立したことに関連して成立する前記第2制御の終了条件が成立した場合に、前記第2制御を終了する、請求項1~請求項9のいずれか1項に記載の冷凍サイクル装置。
【請求項11】
前記制御装置は、
前記センサにより検出された、前記第2物理量の検出値が第1判定値となった場合に前記圧縮機の負荷状態を前記過負荷状態と判定し、
前記第1制御および前記第2制御が実行されている状態において、前記センサにより検出された前記第2物理量の検出値が前記第1判定値に満たない第2判定値未満となった場合に、前記第2制御を終了
する、請求項1~9のいずれか1項に記載の冷凍サイクル装置。
【請求項12】
前記制御装置は、冷却または暖房の能力調整のために前記圧縮機の運転容量を減少させる運転中に、前記圧縮機の運転容量の減少が完了したことに応答して、前記第2制御を終了する、請求項1~11のいずれか1項に記載の冷凍サイクル装置。
【請求項13】
前記油冷却器には、冷却媒体として冷媒が供給され、
前記制御装置は、前記センサの検出結果に基づいて得られる前記油冷却器の出口側における冷媒の過熱度が、液バックが生じると判定する閾値未満となった場合に、前記第2制御を終了する、請求項1、2、4~12のいずれか1項に記載の冷凍サイクル装置。
【請求項14】
前記制御装置は、前記第1制御の実行中に前記圧縮機の運転容量が減少状態であると判断した場合に、前記第1制御の実行中にさらに実行する前記第2制御として前記温度調整装置により前記油冷却器に供給する冷却媒体の供給量を増加させる制御を実行する、請求項1~13のいずれか1項に記載の冷凍サイクル装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、冷凍サイクル装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の冷凍サイクル装置では、一般的に、圧縮機の吐出温度、圧縮機の吐出圧力凝縮器での凝縮圧力、圧縮機の運転電流、圧縮機の吸込過熱度などの物理量を検出する。圧縮機の吐出温度は、圧縮機から吐出される冷媒ガスの温度である。圧縮機の吐出圧力は、圧縮機から吐出される冷媒ガスの圧力である。
【0003】
従来の冷凍サイクル装置では、このように検出する物理量に関し、冷凍サイクル装置を構成する機器の安定運転に許容し得る閾値を設定し、検出した物理量が閾値を超えた場合に、過負荷状態であると判定する。冷凍サイクル装置は、過負荷状態であると判定した場合に、機器を保護するために圧縮機の運転容量を減少させることにより負荷を減少させる保護制御を行う。圧縮機の運転容量は、圧縮機の運転周波数または機械式容量制御機構に基づく圧縮機の運転能力である。圧縮機の運転容量は、圧縮機の運転周波数を上昇させることに応じて増加する。圧縮機の運転容量は、圧縮機の運転周波数を低下させることに応じて減少する。
【0004】
特許文献1には、保護制御の例として、圧縮機の運転電流および圧縮機のケーシングの温度を検出し、検出された温度が設定温度以上に高くなった場合に、運転電流の設定を低下させることにより、圧縮機の温度および運転電流の過度な上昇を防ぐことが記載されている。
【0005】
特許文献2には、従来の冷凍サイクル装置として、圧縮機から冷媒とともに吐出される冷凍機油を油分離器で分離し、分離した冷凍機油を、冷媒で冷却する油冷却器によって冷却し、圧縮機の圧縮機中間圧室に注入する構成において、油冷却器に供給する冷媒量を調整する電子膨張弁を制御するものが記載されている。特許文献2では、圧縮機の吐出温度を検出し、検出した吐出温度が目標温度となるように電子膨張弁が制御される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特開昭61-272555号公報
【文献】特開2011-149565号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかし、特許文献1および特許文献2に記載されたような従来の冷凍サイクル装置では、冷凍機油を冷却するために用いられる電子膨張弁の制御が、保護制御とは無関係に実行される。したがって、保護制御の実行中においては、圧縮機の運転容量を減少させることに応じて圧縮機の吐出温度が電子膨張弁の制御の目標温度よりも低下した場合に、保護制御とは関係なく、圧縮機の吐出温度を上昇させるように電子膨張弁が制御されるので保護制御が阻害される。このような制御が行われると、保護制御により減少されるべき負荷が、電子膨張弁の制御によって増加することにより、保護制御が繰り返し実行されるという問題が生じる。そして、保護制御が繰り返し実行されると、圧縮機の運転容量が不足した状態で冷凍サイクル装置が運転され続けられることにより、冷凍サイクル装置の運転能力が低下するという問題が生じる。
【0008】
本開示の冷凍サイクル装置は、上記課題を解決するものであり、運転状態を安定化させることができる冷凍サイクル装置を得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本開示は、冷凍サイクル装置に関する。冷凍サイクル装置は、冷媒を圧縮する圧縮機と、圧縮機から吐出される冷媒と冷凍機油とを分離する油分離器と、油分離器で分離された冷凍機油を圧縮機に供給する給油経路と、圧縮機に供給する冷凍機油を冷却する油冷却器と、冷却媒体を油冷却器に供給する冷却媒体経路と、圧縮機に供給する冷凍機油の温度を調整する温度調整装置と、少なくとも1つのセンサと、制御装置とを備える。制御装置は、センサにより検出された、圧縮機に供給する冷凍機油の温度により変化する物理量の検出値に基づいて温度調整装置を制御し、センサにより検出された、圧縮機の負荷状態を判定するために用いる物理量の検出値に基づいて圧縮機の負荷状態を判定し、圧縮機の負荷状態が過負荷状態と判定された場合に、圧縮機の運転容量の増加を抑制する第1制御をするとともに、温度調整装置の調整容量の減少を抑制する第2制御をする。
【発明の効果】
【0010】
本開示の冷凍サイクル装置によれば、制御装置が、圧縮機に供給する冷凍機油の温度により変化する物理量の検出値に基づいて温度調整装置を制御し、圧縮機の負荷状態を判定するために用いる物理量の検出値に基づいて過負荷状態と判定された場合に、圧縮機の運転容量の増加を抑制する第1制御をするとともに、温度調整装置の調整容量の減少を抑制する第2制御をすることにより、圧縮機の運転容量の増加を抑制する第1制御と、温度調整装置の調整容量の減少を抑制する第2制御とが関連して実行される。これにより、圧縮機が過負荷状態となった場合において、圧縮機の運転容量の増加を抑制する第1制御が、温度調整装置の調整容量の制御により妨げられないようになるので、冷凍サイクル装置の運転状態を安定化させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】実施の形態1の冷凍サイクル装置100の全体構成図である。
【
図2】冷凍サイクル装置100の制御構成例を示すブロック図である。
【
図3】保護制御における負荷量と保護制御内容との関係を示す図である。
【
図4】保護制御の制御例を示すフローチャートである。
【
図5】実施の形態1における弁開度減少抑制制御の第1制御例を示すフローチャートである。
【
図6】実施の形態1における弁開度減少抑制制御の第2制御例を示すフローチャートである。
【
図7】実施の形態2における弁開度減少抑制制御の制御例を示すフローチャートである。
【
図8】ブラインチラー装置101の全体構成図である。
【
図9】ブラインチラー装置101の制御構成例を示すブロック図である。
【
図10】実施の形態3における弁開度減少抑制制御を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本開示の実施の形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。以下では、複数の実施の形態について説明するが、各実施の形態で説明された構成を適宜組み合わせることは出願当初から予定されている。なお、図中同一又は相当部分には同一符号を付してその説明は繰返さない。
【0013】
実施の形態1.
[冷凍サイクル装置100の全体構成]
図1は、実施の形態1の冷凍サイクル装置100の全体構成図である。なお、
図1では、冷凍サイクル装置100における各機器の接続関係および配置構成を機能的に示しており、物理的な空間における配置を必ずしも示すものではない。
【0014】
図1に示す冷凍サイクル装置100は、二段式の圧縮機1を搭載する空冷式の冷凍機である。冷凍サイクル装置100は、圧縮機1、油分離器2、空冷凝縮器3、中間冷却器4、主液膨張弁5、蒸発器6、油冷却器7、中間冷却用電子膨張弁8、油冷却用電子膨張弁9、モータ冷却用電子膨張弁10、吸込温度センサ11、吸込圧力センサ12、中間圧力センサ13、吐出圧力センサ14、吐出温度センサ15、出口液温度センサ16、出口ガス温度センサ17、給油温度センサ18、出口ガス温度センサ19、主流冷媒配管20、中間冷却器用冷媒配管21、油冷却器用冷媒配管22、モータ冷却器用冷媒配管23、給油配管24、蒸発圧力センサ27、および、出口ガス温度センサ28を含む。
【0015】
冷凍サイクル装置100では、圧縮機1、空冷凝縮器3、主液膨張弁5、および、蒸発器6により、基本的な冷凍サイクルが構成される。冷凍サイクル装置100では、主として、圧縮機1、油分離器2、空冷凝縮器3、中間冷却器4、主液膨張弁5、および、蒸発器6を通る経路である主流冷媒配管20において冷媒が循環させられる。このような経路以外に、冷凍サイクル装置100では、主流冷媒配管20から分岐した中間冷却器用冷媒配管21、油冷却器用冷媒配管22、および、モータ冷却器用冷媒配管23でも冷媒が循環させられる。
【0016】
冷凍サイクル装置100では、冷凍サイクル装置100を構成する機器を制御する制御装置(
図2に示す制御装置70)がさらに含まれる。圧縮機1には、圧縮機1を駆動するためのインバータ(図示省略)が設けられる。空冷凝縮器3には、送風機30が設けられる。蒸発器6には、送風機60が設けられる。
【0017】
蒸発器6は、室内機として、冷凍倉庫25に設けられる。圧縮機1および空冷凝縮器3を格納する熱源機は、室外機として、屋外に設置されている。冷凍倉庫25には、冷凍倉庫内の温度を検出する庫内温度センサ26が設けられる。
【0018】
吸込温度センサ11は、圧縮機1の吸い込み温度を検出する。吸込圧力センサ12は、圧縮機1の吸い込み圧力を検出する。中間圧力センサ13は、圧縮機1の中間室の圧力を検出する。吐出圧力センサ14は、圧縮機1の吐出圧力を検出する。吐出温度センサ15は、圧縮機1の吐出温度を検出する。出口液温度センサ16は、中間冷却器4における主流の冷媒の出口温度を検出する。出口ガス温度センサ17は、中間冷却器4における中間冷却用電子膨張弁8から供給されてガス化された冷媒の出口温度を検出する。給油温度センサ18は、油冷却器7から出た冷凍機油の供給温度を検出する。出口ガス温度センサ19は、油冷却器7における油冷却用電子膨張弁9から供給されてガス化された冷媒の出口温度を検出する。蒸発圧力センサ27は、蒸発器6での蒸発圧力を検出する。出口ガス温度センサ28は、蒸発器6におけるガス化された冷媒の出口温度を検出する。
【0019】
制御装置は、リモコン(図示省略)により使用者が設定した設定温度を記憶し、庫内温度センサ26で検出された庫内温度と、記憶した設定温度とを比較し、その比較結果に基づいて、冷凍機の運転と停止とを判断する。
【0020】
[冷凍サイクル装置100の動作例]
次に、冷却運転における冷凍サイクル装置100の動作を説明する。
【0021】
圧縮機1から吐出された高温および高圧の冷媒ガスおよび冷凍機油は、油分離器2において、冷媒ガスと冷凍機油とに分離される。油分離器2において分離された冷媒ガスは、空冷凝縮器3に流入する。空冷凝縮器3では、インバータ駆動式の送風機30の動作により、流入した冷媒ガスと外気とが熱交換し、冷媒ガスが凝縮して液冷媒となる。空冷凝縮器3を出た液冷媒は、中間冷却器4において冷却される。中間冷却器4においては、主流の液冷媒が過冷却度を増す。
【0022】
中間冷却器4を出た液冷媒は、主液膨張弁5を通過する際に減圧されることにより低圧の二相冷媒となる。低圧の二相冷媒となった冷媒は、蒸発器6に流入する。蒸発器6では、インバータ駆動式の送風機60により冷凍倉庫25における庫内空気と冷媒とが熱交換することにより二相冷媒が蒸発して冷媒ガスとなる。蒸発器6を出た冷媒ガスは、圧縮機1に吸入される。このように、圧縮機1から吐出された冷媒が、油分離器2、空冷凝縮器3、中間冷却器4、主液膨張弁5、および、蒸発器6を圧縮機1に戻ることにより、主流冷媒配管20において冷媒サイクルが一巡する。このような冷媒サイクルで一巡する冷媒は、主流の冷媒と呼ばれる。
【0023】
中間冷却器4と蒸発器6との間の主流冷媒配管20は、中間冷却器用冷媒配管21、油冷却器用冷媒配管22、および、モータ冷却器用冷媒配管23に分岐する。中間冷却器用冷媒配管21は、主流冷媒配管20での分岐位置から、中間冷却用電子膨張弁8および中間冷却器4を経て、圧縮機1の中間室まで到達するように設けられる。油冷却器用冷媒配管22は、主流冷媒配管20での分岐位置から、油冷却用電子膨張弁9および油冷却器7を経て、圧縮機1の中間室まで到達するように設けられる。モータ冷却器用冷媒配管23は、主流冷媒配管20での分岐位置から、モータ冷却用電子膨張弁10を経て、圧縮機1のモータ室まで到達するように設けられる。
【0024】
中間冷却器4では、中間冷却用電子膨張弁8において減圧された二相冷媒と、主流の液冷媒とが熱交換することにより液冷媒が冷却される。中間冷却器4では、二相冷媒がガス化する。中間冷却器4から出たガス化した冷媒は、中間冷却器用冷媒配管21を通過して圧縮機1の中間室へ流入する。油冷却器7では、油冷却用電子膨張弁9において減圧された二相冷媒と、油分離器2を出た冷凍機油とが熱交換することにより冷凍機油が冷却される。油冷却器7では、二相冷媒がガス化する。油冷却器7から出たガス化した冷媒は、油冷却器用冷媒配管22を通過し、圧縮機1の中間室へ流入する。一方、油冷却器7で冷却された冷凍機油は、油冷却器7から出て給油配管24を通過して圧縮機1に供給される。モータ冷却用電子膨張弁10において減圧された二相冷媒は、モータ冷却器用冷媒配管23を通って圧縮機1のモータ室へ流入し、モータを冷却する。油冷却用電子膨張弁9は、弁開度を調整することに基づいて、圧縮機1に供給する冷凍機油の温度を調整する温度調整装置としての機能を有する。
【0025】
[制御構成例]
次に、冷凍サイクル装置100の制御構成例を説明する。
図2は、冷凍サイクル装置100の制御構成例を示すブロック図である。
【0026】
制御装置70は、CPU(Central Processing Unit)71と、メモリ72(ROM(Read Only Memory)およびRAM(Random Access Memory))と、各種信号を入出力するための入出力バッファ(図示せず)等を含んで構成される。CPU71は、ROMに格納されているプログラムをRAM等に展開して実行する。ROMに格納されるプログラムは、制御装置70の処理手順が記されたプログラムである。制御装置70は、これらのプログラムに従って、冷凍サイクル装置100における各機器の制御を実行する。この制御については、ソフトウェアによる処理に限られず、専用のハードウェア(電子回路)で処理することも可能である。
【0027】
制御装置70においては、吸込温度センサ11、吸込圧力センサ12、中間圧力センサ13、吐出圧力センサ14、吐出温度センサ15、出口液温度センサ16、出口ガス温度センサ17、給油温度センサ18、出口ガス温度センサ19、庫内温度センサ26、蒸発圧力センサ27、および、出口ガス温度センサ28のそれぞれの検出信号が入力される。
【0028】
制御装置70においては、圧縮機1、油分離器2、空冷凝縮器3、主液膨張弁5、中間冷却用電子膨張弁8、油冷却用電子膨張弁9、および、モータ冷却用電子膨張弁10のそれぞれに制御信号を出力する。
【0029】
次に、制御装置70のCPU71による圧縮機1などのアクチュエータの制御例について説明する。以下においては、制御の一例として、一定時間間隔でアクチュエータを操作する比例制御を実行する場合の制御例を説明する。このように一定時間間隔で実行する制御は、定時制御と呼ばれる。
【0030】
制御装置70は、圧縮機1に関して次のような制御を実行する。制御装置70は、メモリ72に予め記憶された目標蒸発温度と、吸込圧力センサ12が検出した吸込圧力の飽和温度換算値、すなわち、蒸発温度とを比較し、吸込圧力の検出値に基づく蒸発温度が目標蒸発温度となるように、一定の時間間隔で圧縮機1の運転周波数(回転数)を制御する。たとえば、制御装置70は、検出値に基づく蒸発温度が目標蒸発温度より高ければ圧縮機1の運転周波数を増加させ、冷却能力を増加させる。このように圧縮機1の運転周波数を制御することは、冷却または暖房の能力を調整するために実行されるので、能力調整または容量制御と呼ばれる。
【0031】
制御装置70は、空冷凝縮器3の送風機30に関して次のような制御を実行する。制御装置70は、メモリ72に予め記憶された目標凝縮温度と、吐出圧力センサ14が検出した吐出圧力に対応する飽和温度である凝縮温度との差に基づき、吐出圧力の検出値に基づく凝縮温度が目標凝縮温度となるように、一定の時間間隔で空冷凝縮器3の送風機30の周波数を制御する。たとえば、制御装置70は、検出値に基づく凝縮温度が目標凝縮温度よりも高ければ、送風機30の周波数を増加させ、検出値に基づく凝縮温度が目標凝縮温度よりも低ければ、送風機30の周波数を減少させる。
【0032】
制御装置70は、蒸発器6の送風機60に関して次のような制御を実行する。制御装置70は、庫内温度センサ26が検出した庫内温度と、使用者がリモコンにより設定した設定温度とを比較し、蒸発器6の送風機の発停を制御する。たとえば、冷却運転が必要なときは当該送風機60のモータに電力を供給して送風機60を運転させ、圧縮機1の停止中には当該送風機60のモータに供給する電力を遮断して送風機60を停止させる。
【0033】
制御装置70は、中間冷却用電子膨張弁8に関して次のような制御を実行する。制御装置70は、出口ガス温度センサ17が検出した中間冷却器出口ガス温度と、中間圧力センサ13が検出した中間圧力に対応する飽和温度との差である中間冷却器過熱度を演算し、その中間冷却器過熱度と、制御装置70のメモリ72に予め記憶された目標中間冷却器過熱度との差に基づいて、冷却器出口ガス温度の検出値に基づく中間冷却器過熱度が目標中間冷却器過熱度となるようにする中間冷却用電子膨張弁8の弁開度を演算により求め、その弁開度となるように中間冷却用電子膨張弁8を動作させる制御を一定の時間間隔で実行する。
【0034】
制御装置70は、油冷却用電子膨張弁9に関して次のような制御を実行する。制御装置70は、吐出温度センサ15が検出した吐出温度と、制御装置70のメモリ72に予め記憶した目標吐出温度との差に基づいて、検出した吐出温度が目標吐出温度となるようにする油冷却用電子膨張弁9の弁開度を演算により求め、その弁開度となるように油冷却用電子膨張弁9を動作させる制御を一定の時間間隔で実行する。
【0035】
制御装置70は、モータ冷却用電子膨張弁10に関して次のような制御を実行する。制御装置70は、図示を省略するモータ室温度センサが検出したモータ室温度と、制御装置70のメモリ72に予め記憶した目標モータ室温度との差に基づいて、検出したモータ室温度が目標モータ室温度となるようにするモータ冷却用電子膨張弁10の弁開度を演算により求め、その弁開度となるようにモータ冷却用電子膨張弁10を動作させる制御を一定の時間間隔で実行する。
【0036】
制御装置70は、主液膨張弁5に関して次のような制御を実行する。制御装置70は、出口ガス温度センサ28が検出した蒸発器出口ガス温度と、蒸発圧力センサ27が検出した蒸発圧力に対応する飽和温度、すなわち、蒸発温度との差である蒸発器過熱度と、制御装置70のメモリ72に予め記憶された目標蒸発器過熱度との差に基づいて、蒸発圧力センサ27が検出した蒸発圧力に基づく蒸発器過熱度が目標蒸発器過熱度となるようにする主液膨張弁5の弁開度を演算により求め、その弁開度となるように主液膨張弁5を動作させる制御を一定の時間間隔で実行する。
【0037】
以上に示した各アクチュエータの制御方法は一般的なものであり、各アクチュエータの制御方法として、その他の制御方法を用いてもよい。
【0038】
[保護制御例]
次に、保護制御の制御例を説明する。
【0039】
圧縮機1にかかる負荷量が過剰となった状態は、過負荷状態と呼ばれる。負荷量は、たとえば吐出温度センサ15が検出した吐出温度に基づいて得ることができる。具体的に、負荷量は、吐出温度センサ15が検出した吐出温度が高くなるにしたがって高くなると判断される。圧縮機1が過負荷状態になると、たとえば圧縮機1の吐出温度が異常に上昇して圧縮機1が焼き付くなどの異常状態が生じるおそれがある。
【0040】
圧縮機1が過負荷状態となった場合には、異常状態が生じるおそれがある圧縮機1を保護するために、圧縮機1に関する温度、圧力、運転電流などの物理量を、異常状態とならない運転状態として許容し得る値以下に抑えることを目的として、圧縮機1の運転容量の上昇を抑制する保護制御が実行される。圧縮機1の運転容量は、圧縮機1の吐出量容量などの運転能力を示す値であり、インバータ駆動式の圧縮機1では、圧縮機1の運転周波数(回転数)により規定される。制御装置は、圧縮機1の回転数をインバータによって変化させることにより圧縮機1の運転容量を変化させる。圧縮機1の運転容量の上昇を抑制する保護制御においては、圧縮機1の運転容量の維持、または、圧縮機1の運転容量の低下のうち、少なくとも一方を実行する。
【0041】
図3は、保護制御における負荷量と保護制御内容との関係を示す図である。制御装置70が実行する保護制御においては、2段階の保護制御が実行される。負荷量は、たとえば吐出温度センサ15が検出した吐出温度に基づいて示すことができる。具体的に、負荷量が上昇すると圧縮機1の運転周波数が上昇することにより、吐出温度センサ15が検出した吐出温度が高くなる傾向がある。これにより、吐出温度センサ15が検出した吐出温度が高くなるにしたがって、圧縮機1の負荷量が高くなると判断できる。
【0042】
図3において、負荷量は、たとえば吐出温度センサ15が検出した吐出温度に基づいて判断されるものである。負荷量が上昇するにしたがって、吐出温度センサ15が検出した吐出温度が高くなる。保護制御においては、保護制御を実行するか否かを判定するために用いる負荷量の閾値として、第1の閾値である第1負荷量上限値と、第1負荷量上限値より負荷量が低い第2の閾値である第2負荷量上限値とが設定されている。負荷量は、吐出温度センサ15が検出した吐出温度に基づいて判断されるので、第1負荷量上限値と、第2負荷量上限値とは、圧縮機1の吐出温度で規定される。たとえば、圧縮機1の吐出温度の許容上限値が100℃の場合において、第1負荷量上限値は90℃に設定され、第2負荷量上限値は85℃に設定される。
【0043】
制御装置70が実行する保護制御において、吐出温度センサ15が検出した吐出温度が第2負荷量上限値未満の場合は、保護制御が実行されない状態(未実行状態、または、解除状態)である。圧縮機1の運転中に吐出温度が上昇したことなどの理由により、吐出温度センサ15が検出した吐出温度が第2負荷上限値以上であり第1負荷量上限値未満となった場合は、圧縮機1の運転容量を増加させることを禁止する第2保護制御が実行される。そして、圧縮機1の運転中に吐出温度の急上昇、または、運転状態の変化が生じたことなどの理由により、吐出温度センサ15が検出した吐出温度が第1負荷量上限値以上となった場合は、圧縮機1の運転容量を減少させる。第1保護制御が実行される。
【0044】
このように、制御装置70が実行する保護制御においては、負荷量の高さに基づいて、第1保護制御および第2保護制御という、制御内容が異なる2段階の保護制御が実行される。このような第1保護制御および第2保護制御は、圧縮機の運転容量の上昇を抑制する保護制御であることで共通している。このような圧縮機の運転容量の上昇を抑制する保護制御が実行される場合には、保護制御とともに、圧縮機1に供給する冷凍機油の温度調整装置としての機能を有する油冷却用電子膨張弁9の弁開度の減少を抑制する弁開度減少抑制制御が実行される。弁開度は、弁の容量を調整する動作度合いあるので、油冷却用電子膨張弁9よりなる温度調整装置の容量を調整する動作度合いであると言える。したがって、弁開度減少抑制制御は、温度調整装置の調整容量(弁開度)の減少を抑制する調整容量抑制制御ということもできる。
【0045】
[保護制御および弁開度減少抑制制御の制御内容]
次に、制御装置70のCPU71が実行する保護制御および弁開度減少抑制制御の制御内容を説明する。
【0046】
(保護制御例)
図4は、保護制御の制御例を示すフローチャートである。保護制御において、CPU71は以下のような処理を実行する。
【0047】
ステップS1においては、吐出温度センサ15による吐出温度の検出値に基づく負荷量が、第2負荷量上限値(85℃)以上であるか否かを判断する。具体的に、ステップS1では、検出された吐出温度が第2負荷量上限値の温度以上であるか否かを判断することにより、負荷量が第2負荷量上限値以上であるか否かを判断する。
【0048】
ステップS1で第2負荷量上限値以上であると判断された場合は、ステップS2において、圧縮機1の運転容量の増加を禁止する第2保護制御を実行させる。具体的に、ステップS2では、圧縮機1の運転周波数の上昇が禁止される。
【0049】
次に、ステップS3においては、吐出温度の検出値に基づく負荷量が、第1負荷量上限値(90℃)以上であるか否かを判断する。具体的に、ステップS3では、検出された吐出温度が第1負荷量上限値の温度以上であるか否かを判断することにより、負荷量が第1負荷量上限値以上であるか否かを判断する。
【0050】
ステップS3で第1負荷量上限値以上であると判断された場合は、ステップS4において、圧縮機1の運転容量を減少させる第1保護制御を実行させる。具体的に、ステップS4では、圧縮機1の運転周波数を低下させる。
【0051】
前述のステップS1で第2負荷量上限値以上ではないと判断された場合は、保護制御を実行させる条件が成立していない状態であるので、ステップS5において、現在、第1保護制御および第2保護制御を含む保護制御が実行中であることにより運転容量が抑制されている状態であるか否かを判定する。
【0052】
ステップS5で運転容量が抑制されていない状態であると判断した場合は、リターンする。一方、ステップS5で運転容量が抑制されている状態であると判断した場合は、ステップS6において、運転容量が抑制されている状態を解除して終了させ、リターンする。具体的に、ステップS6では、実行中の保護制御を終了させる。
【0053】
図4に示す保護制御では、圧縮機1の負荷容量が第2負荷量上限値以上であり第1負荷量上限値未満である場合に、ステップS2によって圧縮機1の運転容量の増加を禁止する第2保護制御を実行し、圧縮機1の負荷容量が第1負荷量上限値以上である場合に、ステップS4によって圧縮機1の運転容量を減少させる第1保護制御が実行される。これにより、保護制御では、圧縮機1の負荷容量が過負荷状態と判定された場合に、圧縮機1の運転容量の上昇を抑制する第1制御が実行されることとなる。
【0054】
次に、弁開度減少抑制制御の制御例を説明する。弁開度減少抑制制御の制御例としては、第1制御例と第2制御例とを説明する。
【0055】
(弁開度減少抑制制御の第1制御例)
図5は、実施の形態1における弁開度減少抑制制御の第1制御例を示すフローチャートである。弁開度減少抑制制御は、保護制御が実行されることに伴って実行される。弁開度減少抑制制御の第1制御例において、CPU71は以下のような処理を実行する。
【0056】
ステップS11においては、現在、保護制御による圧縮機1の運転容量の増加禁止中であるか否かを判定する。具体的に、ステップS11では、ステップS2により実行される第2保護制御が実行中であるか否かを判断することにより、圧縮機1の運転容量の増加禁止中であるか否かを判断する。
【0057】
ステップS11で圧縮機1の運転容量の増加禁止状態中であると判断された場合は、ステップS12において、油冷却用電子膨張弁9の弁開度の減少を禁止する。たとえば、油冷却用電子膨張弁9の定時制御において演算された弁開度が、弁開度を減少させる値である場合は、油冷却用電子膨張弁9を動作させる制御信号が出力されない。一方、油冷却用電子膨張弁9の定時制御において演算された弁開度が、弁開度を増加させる値である場合は、油冷却用電子膨張弁9を動作させる制御信号が出力される。このように、ステップS12では、油冷却用電子膨張弁9の弁開度の減少が抑制された状態となる。
【0058】
このように、ステップS12においては、油冷却用電子膨張弁9の定時制御において、弁開度を減少させる制御が禁止される。油冷却用電子膨張弁9の弁開度を減少させる制御が禁止されると、油冷却用電子膨張弁9が調整する冷凍機油の温度が維持されることにより、冷凍機油の温度の上昇が抑制される。
【0059】
ステップS13においては、現在、保護制御による圧縮機1の運転容量の減少状態中であるか否かを判定する。具体的に、ステップS13では、ステップS4により実行される第1保護制御が実行中であるか否かを判断することにより、圧縮機1の運転容量の減少状態中であるか否かを判断する。
【0060】
ステップS13で運転容量の減少状態中ではないと判断した場合は、リターンする。一方。ステップS13で運転容量の減少状態中であると判断した場合は、ステップS14において、油冷却用電子膨張弁9の弁開度を増加させる制御を実行し、リターンする。具体的に、ステップS14においては、メモリ72に予め記憶された一定の開度だけ弁開度を増加させる制御を実行する。なお、ステップS14においては、現在の弁開度に、メモリ72に予め記憶された一定の割合を乗じて得られる開度だけ弁開度を増加させる制御を実行してもよい。このように、ステップS14では、油冷却用電子膨張弁9の弁開度が抑制された状態となる。
【0061】
このようにステップS14においては、第1保護制御が実行されていることに応じて、油冷却用電子膨張弁9の弁開度を増加させる制御が実行される。油冷却用電子膨張弁9の弁開度を増加させる制御が実行されると、油冷却用電子膨張弁9が調整する冷凍機油の温度が低下し得ることにより、冷凍機油の温度の上昇が抑制され得る。具体的に、ステップS14では、油冷却用電子膨張弁9の弁開度がメモリ72に記憶された一定量だけ増加させられる。
【0062】
ステップS11で圧縮機1の運転容量の増加禁止状態中ではないと判断された場合は、ステップS15において、現在が、ステップS12またはステップS14により油冷却用電子膨張弁9の弁開度が抑制された状態中であるか否かを判定する。
【0063】
ステップS15で油冷却用電子膨張弁9の弁開度が抑制された状態中ではないと判断した場合は、リターンする。一方、ステップS15で油冷却用電子膨張弁9の弁開度が抑制された状態中であると判断した場合は、第1保護制御または第2保護制御のような保護制御の実行に伴ってステップS12またはステップS14により油冷却用電子膨張弁9の弁開度が抑制された状態の実行が開始された後に、ステップS6により実行中の保護制御が終了した状態である。ステップS15で油冷却用電子膨張弁9の弁開度が抑制された状態中であると判断した場合は、ステップS16において、ステップS12またはステップS14による油冷却用電子膨張弁9の弁開度が抑制された状態を終了させ、リターンする。これにより、保護制御が終了したことに応じて、終了した保護制御に伴って実行されていた油冷却用電子膨張弁9の弁開度が抑制された状態が終了される。
【0064】
(弁開度減少抑制制御の第2制御例)
図6は、実施の形態1における弁開度減少抑制制御の第2制御例を示すフローチャートである。弁開度減少抑制制御の第2制御例において、CPU71は以下のような処理を実行する。
【0065】
図6に示す第2制御例が、
図5に示す第1制御例と異なるのは、ステップS15aである。ステップS15aは、ステップS15で油冷却用電子膨張弁9の弁開度が抑制された状態中であると判断した場合に実行される。ステップS15aにおいては、吐出温度センサ15による吐出温度の検出値に基づく負荷量が、第3負荷量上限値未満であるか否かを判断する。第3負荷量上限値は、第2負荷量上限値よりも低い負荷量に設定されている。第3負荷量上限値は、たとえば、第2負荷量上限値の85℃よりも低い80℃に設定されている。具体的に、ステップS15aでは、検出された吐出温度が第3負荷量上限値の温度未満であるか否かを判断することにより、負荷量が第3負荷量上限値未満であるか否かを判断する。
【0066】
ステップS15aで第3負荷量上限値未満ではないと判断された場合は、リターンする。一方、ステップS15aで第3負荷量上限値未満であると判断された場合は、ステップS16において、ステップS12またはステップS14による油冷却用電子膨張弁9の弁開度が抑制された状態を終了させ、リターンする。これにより、保護制御が終了した後、圧縮機1の負荷量が第2負荷量上限値よりも低い第3負荷量上限値となったことに応じて、終了した保護制御に伴って実行されていた油冷却用電子膨張弁9の弁開度が抑制された状態が終了する。
【0067】
このような弁開度減少抑制制御の第2制御例では、保護制御が終了した後、圧縮機1の負荷量が第2負荷量上限値よりも低い第3負荷量上限値となったことに応じて、終了した保護制御に伴って実行されていた油冷却用電子膨張弁9の弁開度が抑制された状態が終了するので、より低い吐出温度である状態において、油冷却用電子膨張弁9の弁開度が抑制された状態が終了するので、その後に圧縮機1の運転容量が増加した場合に、保護制御が再度実行されにくくなるようにすることができる。これにより、冷凍サイクル装置の運転状態をより安定化させることができる。
【0068】
実施の形態1においては、冷凍機が主液膨張弁5および蒸発器6などの負荷側装置も備える構成を示しているが、主液膨張弁5と蒸発器6を有さないコンデンシングユニットにおいても、前述した保護制御および弁開度減少抑制制御を適用することが可能である。また、さらに空冷凝縮器3を有さない圧縮ユニットにおいても、前述した保護制御および弁開度減少抑制制御を適用することが可能である。すわなち、使用者がコンデンシングユニットまたは圧縮ユニットと、負荷側装置および空冷凝縮器3とを購入し、使用者設備において冷凍サイクル装置を完成させる場合においても、前述した保護制御および弁開度減少抑制制御を適用することが可能である。
【0069】
本実施の形態1においては、制御装置70が1つの構成を想定しているが、制御装置は、コンデンシングユニットに備える制御装置と、負荷側コントローラとを組み合わせた構成の制御装置を用いてもよい。負荷側コントローラは、負荷側装置である主液膨張弁5、蒸発器6、および、庫内温度センサ26、および、コンデンシングユニットと電気的に接続され、庫内温度センサ26の検出値と設定温度とに基づき、室外機(コンデンシングユニット)および負荷側装置を制御する。この場合、主液膨張弁5は負荷側コントローラにて制御される。コンデンシングユニットに備える電子膨張弁はコンデンシングユニットの制御装置で制御する。
【0070】
以上に説明した実施の形態1では、圧縮機1の運転容量の上昇を抑制する保護制御と、冷凍機油の温度の上昇を抑制する弁開度減少抑制制御とが関連して実行される。これにより、圧縮機1が過負荷状態となった場合において、圧縮機1の運転容量の上昇を抑制する保護制御が、油冷却用電子膨張弁9を用いた冷凍機油の温度の制御により妨げられないようになるので、保護制御が繰り返し実行されたり、保護制御により圧縮機1の運転容量が不足したりすることを防ぐことができるため、冷凍サイクル装置100の運転状態を安定化させることができる。
【0071】
実施の形態2.
実施の形態1では、単に過負荷状態であるか否かにより保護制御および弁開度減少抑制制御を行う例について説明した。実施の形態2においては、容量制御による圧縮機1の運転容量の増加の際に、
図4に示すような保護制御により過負荷状態と判定され、前述の保護制御が実行されている状態において、実行するその他の制御例を説明する。容量制御によって圧縮機1の運転容量が増加するのは、蒸発温度が前述の目標蒸発温度を上回る状態である。圧縮機1の運転容量が増加する状態には、前述のリモコンにより使用者が設定温度を引き下げた場合の運転、および、前述のリモコンにより使用者が運転の強弱などの運転能力モードを変更した場合の運転なども含まれる。
【0072】
実施の形態2は、実施の形態1に示したハードウェア構成と同様の構成において、実施の形態1に示した保護制御を実行することを前提とする。
【0073】
図7は、実施の形態2における弁開度減少抑制制御の制御例を示すフローチャートである。
図7においては、
図5および
図6に示す弁開度減少抑制制御と同様の処理を実行するステップについては、同じステップ番号を記載している。
図7の弁開度減少抑制制御において、CPU71は、次のような処理を実行する。
【0074】
ステップS10において、運転容量の制御による圧縮機1の運転容量の増加中であるか否かを判定する。ステップS10で運転容量の制御による圧縮機1の運転容量の増加中ではないと判断した場合は、ステップS17において、
図5に示した制御と同様の処理、または、
図6に示した制御と同様の処理を実行し、リターンする。これにより、運転容量の制御による圧縮機1の運転容量の増加中ではない場合は、前述の
図5または
図6で説明した弁開度減少抑制制御が実行されることとなる。
【0075】
一方、ステップS10で運転容量の制御による圧縮機1の運転容量の増加中であると判断した場合は、ステップS11において、現在、保護制御による圧縮機1の運転容量の増加禁止中であるか否かを判定する。
【0076】
ステップS11で圧縮機1の運転容量の増加禁止状態中であると判断された場合は、ステップS11aにおいて、タイマT1をリセットする。タイマT1は、保護制御の終了時からの経過時間を計時するタイマである。ステップS12においては、油冷却用電子膨張弁9の弁開度の減少を禁止する。ステップS13においては、現在、保護制御による圧縮機1の運転容量の減少状態中であるか否かを判定する。
【0077】
ステップS13で保護制御による運転容量の減少状態中であると判断した場合は、ステップS13aにおいて、運転容量の変化率に基づき、油冷却用電子膨張弁9の弁開度を増加させ、リターンする。具体的に、ステップS13aでは、油冷却用電子膨張弁9の現在の弁開度に、運転容量の変化率を乗じた分だけ弁開度を増加させる。
【0078】
ステップS13aで用いる運転容量の変化率は、運転容量の増加開始前における運転容量Fと、運転容量の増加において目標とする目標運転容量F1との比率である「F1/F」を用いる。また、ステップS13aで用いる運転容量の変化率は、運転容量の増加開始前における運転容量Fと、保護制御の実行による運転容量の減少開始時点の現在容量F2との比率である「F2/F」を用いてもよい。
【0079】
ステップS13aで用いる運転容量の変化率は、前述のような運転容量の変化率をそのままの値で油冷却用電子膨張弁9の現在の弁開度に乗算するのではなく、運転容量の増分(例えばF1/Fを用いる場合は、F1/F-1)に、メモリ72に記憶した一定の補正係数αを乗算して得られる補正割合を用いて、油冷却用電子膨張弁9の弁開度の増加量を演算してもよい。すなわち、油冷却用電子膨張弁9の現在の弁開度に前記補正割合を乗じた分だけ、現在の弁開度に加算し、当該開度まで弁開度を増加させる。たとえば、補正係数αを0.5というような1未満の数値に設定すると、ステップS13aにおける油冷却用電子膨張弁9の弁開度の増加量の幅を大きくなり過ぎないようにすることができる。ステップS13aで用いる運転容量の変化率は、前述のように運転状態により定まる不定の変化率であってもよく、また予め設定された一定の変化率であってもよい。
【0080】
ステップS11で圧縮機1の運転容量の増加禁止状態中ではないと判断された場合は、ステップS13bにおいて、タイマT1が0秒となっているか否かを判定する。ステップS13bでタイマT1が0秒となっていると判断した場合は、保護制御の終了時からの経過時間を計時するために、ステップS13cにおいて、タイマT1による計時を開始させ、ステップS15に進む。一方、ステップS13bでタイマT1が0秒となっていないと判断した場合は、ステップS15に進む。
【0081】
ステップS15においては、現在が、ステップS12またはステップS13aにより油冷却用電子膨張弁9の弁開度が抑制された状態中であるか否かを判定する。
【0082】
ステップS15で油冷却用電子膨張弁9の弁開度が抑制された状態中ではないと判断した場合は、リターンする。一方、ステップS15で油冷却用電子膨張弁9の弁開度が抑制された状態中であると判断した場合は、ステップS15bにおいて、タイマT1の計時値が数秒間などの基準時間以上となっているか否かを判定する。
【0083】
ステップS15bでタイマT1の計時値が基準時間以上となっていると判断した場合は、ステップS16において、油冷却用電子膨張弁9の弁開度が抑制された状態を終了させ、リターンする。一方、ステップS15bでタイマT1の計時値が基準時間以上となっていないと判断した場合は、ステップS15cにおいて、油冷却器7の過熱度がメモリ72に予め記憶された液バック判定閾値の過熱度未満であるか否かを判定する。油冷却器7の過熱度は、油冷却器7の出口側に設けられた出口ガス温度センサ19により検出された出口ガス温度、および中間圧力センサ13により検出された中間圧力の相当飽和温度との差により求められる。
【0084】
ステップS15cで油冷却器7の過熱度が液バック判定閾値の過熱度未満ではないと判断した場合は、リターンする。一方、ステップS15cで油冷却器7の過熱度が液バック判定閾値の過熱度未満であると判断した場合は、油冷却器7を出た冷媒が液バック傾向にある場合であるので、ステップS16において、油冷却用電子膨張弁9の弁開度が抑制された状態を終了させ、リターンする。これにより、油冷却器7を出た冷媒が液バック傾向にある場合に、液バックを抑制する制御を、弁開度減少抑制制御よりも優先的に実行することができる。
【0085】
以上のような実施の形態2における弁開度減少抑制制御においては、圧縮機1の運転容量の変化率に基づいて油冷却用電子膨張弁9の弁開度を増加させるので、圧縮機1の運転容量の変化量に応じて、弁開度の変化量を調整することができる。つまり、圧縮機1の運転容量の変化量が大きい場合には、油冷却用電子膨張弁9の現在開度を大きく増加させられるので、保護制御を終了しやくなるようにすることができ、圧縮機1の運転容量を可能な限り安定して増加させることができる。
【0086】
実施の形態2における弁開度減少抑制制御においては、ステップS15cにより、油冷却器7を出た冷媒が液バック傾向にある場合に、油冷却用電子膨張弁9の弁開度が抑制された状態を終了させるようにしたので、液バック傾向を改善すべき状況において、弁開度減少抑制制御に制限されることなく、液バック傾向を改善することができる。
【0087】
実施の形態3.
実施の形態3では、冷凍サイクル装置を構成するブラインチラー装置において、前述のような保護制御および弁開度減少抑制制御を適用する例を説明する。
図8はブラインチラー装置101の全体構成図である。
図8においては、
図1と同様の機器には同一の符号を付している。
図8において、冷却水およびブラインを圧送するためのポンプおよび当該ポンプを駆動するためのインバータは、図示が省略されている。
【0088】
図8に示すブラインチラー装置101は、二段式の定速圧縮機31を搭載する水冷式の冷却システムである。ブラインチラー装置101は、定速圧縮機31、油分離器2、水冷凝縮器32、中間冷却器4、主液膨張弁5、中間冷却用電子膨張弁8、モータ冷却用電子膨張弁10、吸込温度センサ11、吸込圧力センサ12、中間圧力センサ13、吐出圧力センサ14、吐出温度センサ15、出口液温度センサ16、出口ガス温度センサ17、給油温度センサ18、主流冷媒配管20、中間冷却器用冷媒配管21、モータ冷却器用冷媒配管23、給油配管24、蒸発圧力センサ27、出口ガス温度センサ28、冷却水配管33、ブライン冷却器34、ブライン配管35、入口温度センサ36、出口温度センサ37、水冷式油冷却器38、および、油冷却用冷却水流量調整弁39を含む。
【0089】
ブラインチラー装置101では、定速圧縮機31、水冷凝縮器32、主液膨張弁5、および、ブライン冷却器34により、基本的な冷凍サイクルが構成される。主として、定速圧縮機31、油分離器2、水冷凝縮器32、中間冷却器4、主液膨張弁5、および、ブライン冷却器34を通る経路である主流冷媒配管20において冷媒が循環させられる。このような経路以外に、ブラインチラー装置101では、主流冷媒配管20から分岐した中間冷却器用冷媒配管21、および、モータ冷却器用冷媒配管23でも冷媒が循環させられる。
【0090】
ブライン冷却器34は、主液膨張弁5により減圧されて低圧・低温となった二相冷媒と、ブライン配管35を流れるブライン(不凍液)とが熱交換する熱交換器である。ブライン配管35内におけるブラインは、図示を省略したブラインポンプにより圧送される。入口温度センサ36はブライン冷却器34におけるブラインの入口の温度を検出する。出口温度センサ37はブライン冷却器34におけるブラインの出口の温度を検出する。
【0091】
定速圧縮機31は、実施の形態1および実施の形態2の圧縮機1のようなインバータ駆動ではなく、たとえば50Hzおよび60Hzのような周波数の商用電源で運転される。定速圧縮機31は、吐出量の制御に用いる機械式容量制御機構(図示省略)を備える。機械式容量制御機構は、定速圧縮機31の内部において、定速圧縮機31の圧縮ガスを吸込側に一部バイパスさせることにより吐出量を減少させて定速圧縮機31の運転容量を変更可能な構成としたものである。
【0092】
機械式容量制御機構の容量制御は、たとえば、出口温度センサ37が検出するブライン出口温度と、制御装置80のメモリ82に予め記憶された目標ブライン出口温度との差に基づいて比例制御を実行することにより行われる。機械式容量制御機構の容量制御においては、ブライン出口温度が目標ブライン出口温度よりも高い場合に、機械式容量制御機構の容量を大きくして圧縮機吐出量を増加させる。前述した実施の形態1および実施の形態2では、制御装置が圧縮機1の回転数をインバータによって変化させることにより圧縮機1の運転容量を変化させる例を示したが、実施の形態3では、制御装置が機械式容量制御弁を用いて定速圧縮機31の吐出量を変化させることにより定速圧縮機31の運転容量を変化させる。
【0093】
機械式容量制御機構は、保護制御にも用いられる。たとえば、
図3に示すように負荷量が第1負荷量上限値および第2負荷量上限値のような負荷上限値を超えた場合には、機械式容量制御機構を用いて運転容量を減少させることにより、定速圧縮機31の負荷量を低下させる制御が実行される。
【0094】
水冷凝縮器32は、冷却水配管33を流れる冷却水と、定速圧縮機31より吐出された高温および高圧の冷媒ガスとが熱交換することにより冷媒ガスを凝縮させる熱交換器である。冷却水配管33を流れる冷却水の供給量は、現地システムにより制御され、一般的に一定である。水冷凝縮器32において熱交換されて温度が上昇した冷却水は、水冷凝縮器32から出て、図示を省略した現地設備におけるクーリングタワーにおいて放熱した後、水冷凝縮器32に戻される。冷却水配管33内における冷却水は、図示を省略した現地設備における冷却水ポンプにより冷却水配管33内を圧送され、水冷凝縮器32とクーリングタワーとの間を循環する。
【0095】
水冷式油冷却器38は、油分離器2で冷媒と分離されて流入する冷凍機油と、冷却水配管33内を流れる冷却水とを熱交換させ、冷凍機油を冷却する熱交換器である。水冷凝縮器32、ブライン冷却器34、および、水冷式油冷却器38については、シェルアンドチューブ式の熱交換器またはプレート式の熱交換器が用いられる。水冷凝縮器32は、油冷却用冷却水流量調整弁39を経て供給される冷却水の供給量を調整することにより、定速圧縮機31に供給する冷凍機油の温度を調整するように制御されてもよく、油冷却用冷却水流量調整弁39を経て供給される冷却水の温度を調整することにより、定速圧縮機31に供給する冷凍機油の温度を調整するように制御されてもよい。
【0096】
ブラインチラー装置101では、ブラインチラー装置101を構成する機器および冷却水ポンプのような現地設備を制御する制御装置(
図9に示す制御装置80)がさらに含まれる。
【0097】
図8に示すブラインチラー装置101における制御装置80は、冷却水ポンプへの運転指令および停止指令と、ブラインポンプへの運転指令および停止指令とを伝送する機能を有する。冷却水ポンプおよびブラインポンプを含む現地設備に運転指令および停止指令を伝送する構成としては、有電圧接点又は無電圧接点を用いて指令を出力する構成が一般的である。制御装置80は、油冷却用冷却水流量調整弁39に対して、アナログ信号(DC4-20mA)を制御信号として送信することにより、冷却水の流量を調整可能である。
【0098】
たとえば、水冷式油冷却器38から給油温度の目標値を例えば50℃とし、給油温度センサ18において検出する給油温度が50℃よりも高い場合、制御装置80は、油冷却用冷却水流量調整弁39の弁開度を増加させる制御信号を出力し、水冷式油冷却器38に供給する冷却水量を増加させることにより、水冷式油冷却器38から定速圧縮機31に供給する冷凍機油の給油温度を下げる制御を行う。
【0099】
一方、水冷式油冷却器38から給油温度の目標値を例えば50℃とし、給油温度センサ18において検出する給油温度が50℃よりも低い場合、制御装置80は、油冷却用冷却水流量調整弁39の弁開度を減少させる制御信号を出力し、水冷式油冷却器38に供給する冷却水量を減少させることにより、水冷式油冷却器38から定速圧縮機31に供給する冷凍機油の給油温度を上げる制御を行う。制御装置80は、このような制御を一定時間毎に行う定時制御を実行することにより、定速圧縮機31に供給する冷凍機油の給油温度を目標値に制御する。
【0100】
[制御構成例]
次に、ブラインチラー装置101の制御構成例を説明する。
図9は、ブラインチラー装置101の制御構成例を示すブロック図である。
【0101】
制御装置80は、CPU81と、メモリ82(ROMおよびRAM)と、各種信号を入出力するための入出力バッファ(図示せず)等を含んで構成される。CPU81は、ROMに格納されているプログラムをRAM等に展開して実行する。ROMに格納されるプログラムは、制御装置80の処理手順が記されたプログラムである。制御装置80は、これらのプログラムに従って、ブラインチラー装置101における各機器の制御を実行する。この制御については、ソフトウェアによる処理に限られず、専用のハードウェア(電子回路)で処理することも可能である。
【0102】
制御装置80においては、吸込温度センサ11、吸込圧力センサ12、中間圧力センサ13、吐出圧力センサ14、吐出温度センサ15、出口液温度センサ16、出口ガス温度センサ17、給油温度センサ18、蒸発圧力センサ27、出口ガス温度センサ28、入口温度センサ36、および、出口温度センサ37のそれぞれの検出信号が入力される。
【0103】
制御装置80においては、定速圧縮機31、油分離器2、主液膨張弁5、中間冷却用電子膨張弁8、油冷却用冷却水流量調整弁39、および、モータ冷却用電子膨張弁10のそれぞれに制御信号を出力する。制御装置80は、前述の冷却水ポンプおよびブラインポンプなどを含む現地設備90にも制御信号を出力する。油冷却用冷却水流量調整弁39は、電子調整弁により構成される。
【0104】
[保護制御および弁開度減少抑制制御の制御内容]
実施の形態3においては、制御装置80のCPU81が実行する保護制御および弁開度減少抑制制御の制御内容を説明する。
【0105】
実施の形態3における保護制御については、実施の形態1および実施の形態2で実行される保護制御と同様の制御が実行される。
【0106】
図10は、実施の形態3における弁開度減少抑制制御を示すフローチャートである。弁開度減少抑制制御は、保護制御が実行されることに伴って実行される。弁開度減少抑制制御において、CPU81は以下のような処理を実行する。
【0107】
ステップS21においては、現在、保護制御による定速圧縮機31の運転容量の抑制中であるか否かを判定する。具体的に、ステップS21では、前述した第2保護制御による定速圧縮機31の運転容量の増加を禁止する状態と、前述した第1保護制御による定速圧縮機31の運転容量を減少させる状態との少なくも一方に該当するか否かを判断することにより、保護制御による定速圧縮機31の運転容量の抑制中であるか否かを判定する。
【0108】
ステップS21で保護制御による定速圧縮機31の運転容量の抑制中であると判断された場合は、ステップS22において、油冷却用冷却水流量調整弁39の温度の制御目標値が第1目標値であるか否かを判定する。この場合の温度の制御目標値は、給油温度センサ18において検出する給油温度の制御目標値である。ステップS22で判定される第1目標値は、保護制御が実行される前の通常制御時における温度の制御目標値である。
【0109】
ステップS22で温度の制御目標値が第1目標値ではないと判断した場合は、リターンする。一方、ステップS22で温度の制御目標値が第1目標値であると判断した場合は、ステップS23において、油冷却用冷却水流量調整弁39の温度の制御目標値を第1目標値よりも低い温度の制御目標値に切換え、リターンする。具体的に、ステップS23では、メモリ82に記憶された一定の引き下げ温度(たとえば、5℃)を第1目標値の温度から引け下げることにより、制御目標値を切換えてもよく、制御目標値をメモリ82に記憶された第2制御目標値(たとえば、45℃)に切換えてもよい。
【0110】
ステップS21で保護制御による定速圧縮機31の運転容量の抑制中ではないと判断された場合は、ステップS24において、油冷却用冷却水流量調整弁39の温度の制御目標値を第1目標値から切換え中の状態であるか否かを判定する。具体的に、ステップS24では、ステップS23による温度の制御目標値の切換え中の状態であるか否かを判定する。
【0111】
ステップS24で制御目標値を第1目標値から切換え中の状態ではないと判断した場合は、リターンする。一方、ステップS24で制御目標値を第1目標値から切換え中の状態であると判断した場合は、ステップS25において、保護制御による定速圧縮機31の運転容量の減少中の状態であるか否かを判定する。
【0112】
ステップS25で定速圧縮機31の運転容量の減少中の状態ではないと判断した場合は、リターンする。一方、ステップS25で定速圧縮機31の運転容量の減少中の状態であると判断した場合は、ステップS26において、保護制御による定速圧縮機31の運転容量の減少が完了したか否かを判定する。
【0113】
ステップS26で定速圧縮機31の運転容量の減少が完了していないと判断した場合は、リターンする。一方、ステップS26で定速圧縮機31の運転容量の減少が完了したと判断した場合は、ステップS27において、ステップS23による油冷却用冷却水流量調整弁39の温度の制御目標値の切換えを終了して温度の制御目標値を元の第1目標値に戻し、リターンする。
【0114】
以上のような実施の形態3における弁開度減少抑制制御においては、保護制御による定速圧縮機31の運転容量の抑制中である場合に、ステップS23で油冷却用冷却水流量調整弁39の温度の制御目標値を引き下げた後、ステップS26,S27で、保護制御による定速圧縮機31の運転容量の減少が完了した後に、油冷却用冷却水流量調整弁39の温度の制御目標値を元の制御目標値に戻す制御が実行される。このような制御が実行されることにより、定速圧縮機31の運転容量の増加が必要とされる期間であっても、油冷却用冷却水流量調整弁39の制御目標値を引き下げたままにしておくことができるので、定速圧縮機31の運転について、保護制御の作動と解除とを繰り返すような不安定な動作が発生したり、定速圧縮機31の運転能力不足が生じることを回避することができる。
【0115】
[実施の形態1~3の変形例]
実施の形態1~3においては、保護制御および弁開度減少抑制制御を実行する条件となる過負荷となる負荷量として、圧縮機1および定速圧縮機31の吐出温度を例に挙げたが、その他の物理量により示される負荷量により過負荷状態を判定できる場合には、その他の物理量を用いて、過負荷状態を検出し、保護制御および弁開度減少抑制制御を実行するようにしてもよい。その他の物理量としては、たとえば、圧縮機(圧縮機1、定速圧縮機31)の吐出圧力、凝縮器(空冷凝縮器3、水冷凝縮器32)の凝縮圧力、凝縮器の凝縮温度、圧縮機(圧縮機1、定速圧縮機31)の運転電流、圧縮機(圧縮機1、定速圧縮機31)の消費電力、および、圧縮機(圧縮機1、定速圧縮機31)の吸込過熱度が挙げられる。圧縮機から凝縮器の距離が近い場合、凝縮器(空冷凝縮器3、水冷凝縮器32)の凝縮圧力は、吐出圧力に近い値となる。これらの物理量は、いずれも圧縮機(圧縮機1、定速圧縮機31)の運転容量が大きくなるほど値が大きくなる物理量であるため、これらの物理量により示される負荷量を用いて、前述した制御論理と同じ論理により、実施の形態1~3における、保護制御および弁開度減少抑制制御を実行してもよい。物理量により示される負荷量により過負荷状態を判定できるパラメータは、たとえば、圧縮機(圧縮機1、定速圧縮機31)の吐出温度というような1つのパラメータを用いてもよく、前述のような複数のパラメータを組合せて用いてもよい。つまり、物理量により示される負荷量により過負荷状態を判定できるパラメータは、少なくとも1つのパラメータを用いればよい。
【0116】
このように、圧縮機(圧縮機1、定速圧縮機31)の過負荷状態を判定する物理量は、圧縮機(圧縮機1、定速圧縮機31)の吐出温度以外の物理量を用いてもよいので、吐出温度センサ15以外のセンサを用いて検出するものであってもよい。したがって、温度調整装置(油冷却用電子膨張弁9、油冷却用冷却水流量調整弁39)を制御するために検出する物理量として圧縮機(圧縮機1、定速圧縮機31)に供給する冷凍機油の温度により変化する物理量と、圧縮機(圧縮機1、定速圧縮機31)の負荷状態を判定するために検出する物理量は、1つのセンサ(吐出温度センサ15)で検出可能な同じ物理量であってもよい。また、前述のように吐出温度センサ15以外のセンサで圧縮機の過負荷状態を判定する物理量を検出する場合には、圧縮機に供給する冷凍機油の温度により変化する物理量と、圧縮機の負荷状態を判定するために検出する物理量とが異なるため、圧縮機に供給する冷凍機油の温度により変化する物理量と、圧縮機の負荷状態を判定するために検出する物理量とは、異なる複数のセンサで検出してもよい。このように、温度調整装置(油冷却用電子膨張弁9、油冷却用冷却水流量調整弁39)を制御するために検出する物理量と、圧縮機(圧縮機1、定速圧縮機31)の負荷状態を判定するために用いる物理量とは、1つのセンサで検出するものであってもよく、複数のセンサで検出するものであってもよく、少なくとも1つのセンサで検出するものであればよい。
【0117】
また、実施の形態1~2においては、圧縮機1に供給する冷凍機油の温度により変化する物理量の検出値に基づいて油冷却用電子膨張弁9を制御する場合に検出する物理量として、吐出温度センサ15により検出される吐出温度を用いる例を示したが、これに限らず、油冷却用電子膨張弁9を制御する場合に検出する物理量としては、給油温度センサ18により検出される給油温度、すなわち、圧縮機1に供給される冷凍機油の温度であってもよい。このように、制御装置70は、給油温度センサ18により検出される給油温度に基づいて、油冷却用電子膨張弁9を制御してもよい。
【0118】
また、実施の形態3においては、定速圧縮機31に供給する冷凍機油の温度により変化する物理量の検出値に基づいて油冷却用冷却水流量調整弁39を制御する場合に検出する物理量として、給油温度センサ18により検出される給油温度、すなわち、圧縮機1に供給される冷凍機油の温度を用いる例を示したが、これに限らず、油冷却用冷却水流量調整弁39を制御する場合に検出する物理量としては、吐出温度センサ15により検出される吐出温度であってもよい。このように、制御装置80は、吐出温度センサ15により検出される吐出温度に基づいて、油冷却用冷却水流量調整弁39を制御してもよい。
【0119】
また、冷凍サイクル装置では、前述した負荷量を示すことが可能な物理量については、1つの物理量を用いて、負荷量に関する制御するのではなく、例えば、圧縮機(圧縮機1、定速圧縮機31)の吐出温度、圧縮機(圧縮機1、定速圧縮機31)の吐出圧力、圧縮機(圧縮機1、定速圧縮機31)の運転電流で負荷量を示す場合には、これらの物理量のそれぞれについて、過負荷量上限値を設定し、それぞれの検出手段の検出結果に基づき、保護制御を実行してもよい。たとえば、運転中において、運転電流が上昇したことにより保護制御を実行した場合、運転容量の減少に応じて、運転電流のみならず、吐出温度、および、吐出圧力も同時に低下する。このような場合は、電子膨張弁と流量調整弁との少なくもいずれかの容量が減少することがあり、それを防止するために、前述したような弁開度減少抑制制御を実行してもよい。
【0120】
また、たとえば主液膨張弁5にも、前述した保護制御および弁開度減少抑制制御を適用することが可能である。たとえば、主液膨張弁5は蒸発器6出口の過熱度に基づき定時制御される。圧縮機1において、吸込過熱度が大きくなりすぎると吐出温度が上昇し、圧縮機1が焼き付き状態に至ることがある。よって、吸込過熱度が上限値を超えた場合に、運転容量を減少する操作を行う保護制御を実行するようにしてもよい。この場合には、保護制御による運転容量の減少の結果として、蒸発器出口過熱度も低下するため、主液膨張弁5の弁開度が減少することがある。これは、圧縮機1の吐出温度に基づいて、保護制御および弁開度減少抑制制御を実行する発実施の形態1における、保護制御と油冷却用電子膨張弁9の定時制御との関連と同じであり、主液膨張弁5にも、前述した保護制御および弁開度減少抑制制御を適用することが可能である。
【0121】
[実施の形態のまとめ]
以上説明した実施の形態について、再び図面を参照して説明する。
【0122】
本開示は、冷凍サイクル装置100に関する。冷凍サイクル装置100は、冷凍サイクル装置は、冷媒を圧縮する圧縮機1と、圧縮機1から吐出される冷媒と冷凍機油とを分離する油分離器2と、油分離器2で分離された冷凍機油を圧縮機1に供給する給油配管24と、圧縮機1に供給する冷凍機油を冷却する油冷却器7と、冷却媒体としての冷媒を油冷却器7に供給する冷却媒体経路である油冷却器用冷媒配管22と、圧縮機1に供給する冷凍機油の温度を調整する温度調整装置としての油冷却用電子膨張弁9と、吐出温度センサ15のような少なくとも1つのセンサと、制御装置70とを備え、制御装置70は、吐出温度センサ15により検出された、圧縮機1に供給する冷凍機油の温度により変化する物理量の検出値に基づいて油冷却用電子膨張弁9を制御し、吐出温度センサ15により検出された、圧縮機1の負荷状態を判定するために用いる物理量の検出値に基づいて圧縮機1の負荷状態を判定し、圧縮機1の負荷状態が過負荷状態と判定された場合に、圧縮機1の運転容量の増加を抑制する第1制御である保護制御をするとともに、油冷却用電子膨張弁9の調整容量すなわち弁開度の減少を抑制する第2制御である弁開度減少抑制制御をする。
【0123】
このような構成とすることによって、圧縮機1の運転容量の増加を抑制する保護制御と、油冷却用電子膨張弁9の弁開度の減少を抑制する弁開度減少抑制制御とが関連して実行される。これにより、圧縮機1が過負荷状態となった場合において、圧縮機1の運転容量の増加を抑制する保護制御が、油冷却用電子膨張弁9の弁開度の制御により妨げられないようになるので、保護制御が繰り返し実行されたり、保護制御により圧縮機1の運転容量が不足したりすることを防ぐことができるため、冷凍サイクル装置100の運転状態を安定化させることができる。
【0124】
好ましくは、油冷却器7には、冷却媒体として冷媒が供給され、温度調整装置としての油冷却用電子膨張弁9は、油冷却器7に供給する冷媒の供給量を調整することにより、圧縮機1に供給する冷凍機油の温度を調整する。
【0125】
好ましくは、油冷却器としての水冷式油冷却器38には、冷却媒体として冷却水が供給され、温度調整装置としての油冷却用冷却水流量調整弁39は、水冷式油冷却器38に供給する冷却水の供給量または温度を調整することにより、圧縮機である定速圧縮機31に供給する冷凍機油の温度を調整する。
【0126】
好ましくは、制御装置70は、圧縮機1における、吐出温度と、吐出圧力と、凝縮温度と、運転電流と、消費電力と、吸込過熱度との少なくともいずれかに基づいて、過負荷状態であるか否かを判定する。
【0127】
好ましくは、油冷却用電子膨張弁9または油冷却用冷却水流量調整弁39を制御するために物理量を検出するセンサとしては、たとえば給油温度センサ18および吐出温度センサ15のように、圧縮機1または定速圧縮機31に供給する冷凍機油の温度と、圧縮機1における吐出ガスの温度との少なくともいずれかを検出するものであればよい。
【0128】
好ましくは、制御装置70は、第1制御である保護制御を実行する場合に、第2制御である弁開度減少抑制制御において、温度調整装置としての油冷却用電子膨張弁9の弁開度を増加させる。
【0129】
好ましくは、制御装置70は、第2制御である弁開度減少抑制制御において、温度調整装置としての油冷却用電子膨張弁9の弁開度を、現在の弁開度に一定の増加割合を乗じて得られる弁開度に増加させる(ステップS13a)。
【0130】
好ましくは、制御装置70は、第2制御である弁開度減少抑制制御において、温度調整装置としての油冷却用電子膨張弁9の弁開度を、現在の弁開度に、一定の弁開度を加えた調整容量に増加させる(ステップS14)。
【0131】
好ましくは、制御装置80は、第2制御である弁開度減少抑制制御において、温度調整装置としての油冷却用冷却水流量調整弁39により調整する冷凍機油の温度の目標値を、第1目標値から第1目標値よりも低い第2目標値まで低下させる(ステップS23)。
【0132】
好ましくは、制御装置70は、冷却または暖房の能力調整のために圧縮機1の運転容量を増加させる運転中に過負荷状態と判定された場合に、第1制御である保護制御において圧縮機1の運転容量を減少させるとともに、第2制御である弁開度減少抑制制御において、温度調整装置としての油冷却用電子膨張弁9の弁開度を、現在の弁開度に、圧縮機1の運転容量を増加させる運転中における運転容量の増加割合に一定割合の補正を加えた割合を乗じて得られる弁開度に増加させる(ステップS13a)。
【0133】
好ましくは、制御装置70は、冷却または暖房の能力調整のために第1制御である保護制御において圧縮機1の運転容量を減少させる場合に、第2制御である弁開度減少抑制制御において温度調整装置としての、油冷却用電子膨張弁9の現在の弁開度を、現在の弁開度に、圧縮機1の運転容量を増加させる運転中における運転容量の増加割合に一定割合の補正を加えた割合を乗じて得られる弁開度を加えた弁開度に増加させる(ステップS13a)。
【0134】
好ましくは、制御装置70は、第1制御である保護制御の終了条件が成立したことに関連して成立する第2制御である弁開度減少抑制制御の終了条件が成立した場合に(保護制御の終了時またはステップS13cのタイマT1の経過時)、弁開度減少抑制制御を終了する(ステップS16)。
【0135】
好ましくは、制御装置70は、吐出温度センサ15のようなセンサによる吐出温度の検出値に基づく負荷量が、第2負荷量上限値(85℃)となった場合に圧縮機1の負荷状態を過負荷状態と判定し、第1制御である保護制御および第2制御である弁開度減少抑制制御が実行されている状態において、吐出温度センサ15のようなセンサにより検出された吐出温度の検出値に基づく負荷量が、第2負荷量上限値(85℃)に満たない第3負荷量上限値(80℃)未満となった場合に、第2制御である弁開度減少抑制制御を終了する(S15a、S16)。
【0136】
好ましくは、制御装置80は、冷却または暖房の能力調整のために定速圧縮機31の運転容量を減少させる運転中に、定速圧縮機31の運転容量の減少が完了したことに応答して、弁開度減少抑制制御を終了する(ステップS27)。
【0137】
好ましくは、油冷却器7には、冷却媒体として冷媒が供給され、制御装置70は、油冷却器7の出口側に設けられた出口ガス温度センサ19により検出された出口ガス温度、および中間圧力センサ13により検出された中間圧力の相当飽和温度との差により得られる油冷却器7の出口側における冷媒の過熱度が、液バックが生じると判定する液バック判定閾値未満となった場合に、第2制御である弁開度減少抑制制御を終了する(ステップS15c、S16)。
【0138】
今回開示された実施の形態は、すべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本開示の範囲は、上記した実施の形態の説明ではなくて請求の範囲によって示され、請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0139】
100、101 冷凍サイクル装置、1 圧縮機、2 油分離器、24 給油経路、7 油冷却器、22 冷却媒体経路、9 油冷却用電子膨張弁、15 吐出温度センサ、70,80 制御装置、31 定速圧縮機、38 水冷式油冷却器、33 冷却水配管。