(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-17
(45)【発行日】2024-10-25
(54)【発明の名称】心磁図測定装置{Magnetocardiography Measuring Apparatus}
(51)【国際特許分類】
G01R 33/035 20060101AFI20241018BHJP
【FI】
G01R33/035
(21)【出願番号】P 2023528507
(86)(22)【出願日】2021-03-05
(86)【国際出願番号】 KR2021002717
(87)【国際公開番号】W WO2022124480
(87)【国際公開日】2022-06-16
【審査請求日】2023-05-12
(31)【優先権主張番号】10-2020-0169438
(32)【優先日】2020-12-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】512328201
【氏名又は名称】コリア リサーチ インスティチュート オブ スタンダーズ アンド サイエンス
(74)【代理人】
【識別番号】100114775
【氏名又は名称】高岡 亮一
(74)【代理人】
【識別番号】100121511
【氏名又は名称】小田 直
(74)【代理人】
【識別番号】100202751
【氏名又は名称】岩堀 明代
(74)【代理人】
【識別番号】100208580
【氏名又は名称】三好 玲奈
(74)【代理人】
【識別番号】100191086
【氏名又は名称】高橋 香元
(72)【発明者】
【氏名】ユ,クォン-ギュ
(72)【発明者】
【氏名】リ,ヨン-ホ
(72)【発明者】
【氏名】キム,ジン-モク
(72)【発明者】
【氏名】クォン,ヒョクチャン
(72)【発明者】
【氏名】リ,サン キル
(72)【発明者】
【氏名】キム,ボ-ギョン
【審査官】永井 皓喜
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2015/0268311(US,A1)
【文献】特開平10-305019(JP,A)
【文献】欧州特許出願公開第3267213(EP,A1)
【文献】米国特許出願公開第2016/0174862(US,A1)
【文献】特開2000-51169(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01R 33/02
A61B 5/05
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
外部容器と、
ガラス繊維強化プラスチック材質であり、液体冷媒を収納し、前記外部容器の内部に配置され、第1直径を有するネック部及び前記第1直径より大きい第2直径を有するボディ部を含む内部容器と、
前記内部容器と前記外部容器との間の空間は真空状態で維持され、前記内部容器の下部に配置されるSQUIDセンサモジュール取付板と、
前記SQUIDセンサモジュール取付板の下部に装着された複数のSQUIDセンサモジュールと、
前記SQUIDセンサモジュール取付板及び前記複数のSQUIDセンサモジュールを囲むように配置された導電性メッシュで形成された4K熱遮蔽部と、を含むことを特徴とする磁場測定装置。
【請求項2】
前記冷媒によって冷却され、前記内部容器の下部面に配置されたメインサーマルアンカ(main thermal anchor)と、
前記4K熱遮蔽部を介在してSQUIDセンサモジュール取付板の側面に結合し、前記4K熱遮蔽部を固定するリング状の補助サーマルアンカと、
前記メインサーマルアンカと前記補助サーマルアンカを連結して冷却するリッツ線と、をさらに含むことを特徴とする請求項1に記載の磁場測定装置。
【請求項3】
前記SQUIDセンサモジュール取付板は、その側面の下部面にリング状のリング陥没部を備え、
前記SQUIDセンサモジュール取付板は、前記リング陥没部で前記SQUIDセンサモジュール取付板を貫通する少なくとも一つの連結部を含み、
前記補助サーマルアンカは、前記リング陥没部と結合し、前記貫通連結部に挿入されるように突出された少なくとも一つの突起部を含むことを特徴とする請求項2に記載の磁場測定装置。
【請求項4】
前記4K熱遮蔽部は、
前記SQUIDセンサモジュール取付板の上部面に配置された上部4K熱遮蔽部と、
前記複数のSQUIDセンサモジュールを囲むように配置された下部4K熱遮蔽部と、を含み、
前記補助サーマルアンカは、前記下部4K熱遮蔽部を介在して前記SQUIDセンサモジュール取付板の側面に結合することを特徴とする請求項3に記載の磁場測定装置。
【請求項5】
前記内部容器の下部面に装着され、前記SQUIDセンサモジュール取付板を貫通して延長され、前記SQUIDセンサモジュール取付板の鉛直運動をガイドするセンサガイド棒と、
前記内部容器の下部面に装着され、前記SQUIDセンサモジュール取付板に固定されるセンサ固定棒と、をさらに含むことを特徴とする請求項1に記載の磁場測定装置。
【請求項6】
前記SQUIDセンサモジュールは、前記SQUIDセンサモジュール取付板を貫通し、第1方向及び第2方向に沿って配列され、
前記SQUIDセンサモジュールの各々は垂直に延長され、
前記SQUIDセンサモジュールと並行に延長される複数の熱伝達棒をさらに含み、
前記熱伝達棒は前記SQUIDセンサモジュール取付板を貫通し、
前記熱伝達棒の両端は、前記4K熱遮蔽部にそれぞれ連結されることを特徴とする請求項1に記載の磁場測定装置。
【請求項7】
前記SQUIDセンサモジュールは、第1方向及び前記第1方向に直交する第2方向に沿ってマトリックス型で配列され、
前記SQUIDセンサモジュール取付板は、
前記第1方向に配列されたSQUIDセンサモジュールと前記第2方向に離隔されて前記第1方向に配列されたSQUIDセンサモジュールとの間に前記SQUIDセンサモジュール取付板で前記第1方向に延長されるトレンチをさらに含むことを特徴とする請求項1に記載の磁場測定装置。
【請求項8】
前記トレンチと連結され、前記第1方向に一定の間隔で配列され、前記SQUIDセンサモジュール取付板を貫通する信号線連結ホールをさらに含むことを特徴とする請求項7に記載の磁場測定装置。
【請求項9】
前記SQUIDセンサモジュール取付板は、その側面の下部面にリング状のリング陥没部を備え、
前記SQUIDセンサモジュール取付板は、前記リング陥没部で前記SQUIDセンサモジュール取付板を貫通する少なくとも一つの連結部を含み、
補助サーマルアンカは、前記リング陥没部と結合し、前記連結部に挿入されるように突出した少なくとも一つの突起部を含み、
前記第1方向の最外側に配置されたトレンチは、前記連結部に連結されることを特徴とする請求項8に記載の磁場測定装置。
【請求項10】
前記内部容器は、
バッフルインサートが挿入されるネック部と、
前記ネック部より直径が増加したボディ部と、を含み、
前記ネック部は、内側円筒と前記内側円筒を囲む外側円筒を含む二重壁構造であることを特徴とする請求項1に記載の磁場測定装置。
【請求項11】
前記内側円筒は円筒の外側に突出した複数のリング突出部をさらに含み、
サーマルアンカはそれぞれの前記リング突出部と結合し、
前記リング突出部は互いに離隔して配置され、
前記外側円筒は、前記リング突出部を間に挟んで互いに分離されることを特徴とする請求項10に記載の磁場測定装置。
【請求項12】
前記ネック部は、前記内側円筒と前記外側円筒との間に配置された熱遮蔽膜をさらに含むことを特徴とする請求項11に記載の磁場測定装置。
【請求項13】
前記リング突出部の外周面と前記サーマルアンカの内周面は、ねじ結合することを特徴とする請求項11に記載の磁場測定装置。
【請求項14】
前記サーマルアンカは、前記ネック部の外側には互いに垂直に離隔されて順次に配置されたワッシャ形状の第1ないし第3サーマルアンカを含み、
前記第1サーマルアンカは120K熱遮蔽膜に連結され、
前記第2サーマルアンカは80K熱遮蔽膜に連結され、
前記第3サーマルアンカは40K熱遮蔽膜に連結され、
前記40K熱遮蔽膜は前記4K熱遮蔽部を囲むように配置されることを特徴とする請求項11に記載の磁場測定装置。
【請求項15】
前記第1ないし第3サーマルアンカ各々は、半径方向に延長される複数のスリットを含むことを特徴とする請求項14に記載の磁場測定装置。
【請求項16】
バッフルインサートに配置され、気化した冷媒を排気する冷媒排気チューブと、
前記バッフルインサートに配置され、冷媒を注入する冷媒注入チューブと、
前記冷媒排気チューブ及び冷媒注入チューブに連結され、前記冷媒注入チューブを介して排気された気化した冷媒を凝縮する凝縮器と、をさらに含み、
前記冷媒排気チューブ及び前記冷媒注入チューブは同軸構造であり、
前記冷媒排気チューブ及び前記冷媒注入チューブの各々は、内部チューブと外部チューブを備えた二重チューブであることを特徴とする請求項1に記載の磁場測定装置。
【請求項17】
前記メインサーマルアンカは、
無酸素銅で形成され、第1円板、前記第1円板の中心軸から上部面に突出した第1上部突出部及び前記第1円板の中心軸から下部面に突出した第1下部突出部を含む第1熱伝達部と、
無酸素銅で形成され、第2円板、前記第2円板の中心軸から上部面に突出した第2上部突出部及び前記第2円板の中心軸から下部面に突出した第2下部突出部を含む第2熱伝達部と、
無酸素銅で形成され、第3円板、前記第3円板の中心軸から上部面に突出した第3上部突出部及び前記第3円板の中心軸から下部面に突出した第3下部突出部を含む第3熱伝達部と、
無酸素銅で形成され、第4円板、前記第4円板の中心軸から上部面に突出した第4上部突出部及び前記第4円板の中心軸から下部面に複数のホールを含む第4熱伝達部と、
絶縁体で形成され、前記第1熱伝達部の第1円板と前記第2熱伝達部の第2円板との間に挿入される第1熱膨張調節部と、
絶縁体で形成され、前記第3熱伝達部の第3円板と前記第4熱伝達部の第4円板との間に挿入される第2熱膨張調節部と、を含み、
前記第2熱伝達部の第2上部突出部は、前記第1熱伝達部の第1下部突出部と結合するための溝を備え、
前記第2熱伝達部の第2下部突出部は、前記第3熱伝達部の第3上部突出部と結合するための溝を備え、
前記第3熱伝達部の第3下部突出部は、前記第4熱伝達部の第4上部突出部と結合するための溝を備えることを特徴とする請求項2に記載の磁場測定装置。
【請求項18】
前記第1熱膨張調節部は、
前記第1円板の直径と同じ直径を有する第1絶縁ボディ部と、
前記内部
容器の下部面に埋め込まれ、前記第1直径より大きい第2直径を有する第2絶縁ボディ部と、
前記第2直径より小さい第3直径を有する第3絶縁ボディ部と、を含み、
前記第3絶縁ボディ部は、前記第2円板の外周面を囲むように配置されることを特徴とする請求
項17に記載の磁場測定装置。
【請求項19】
前記SQUIDセンサモジュール取付板は曲線部位を含み、
前記曲線部位は心臓の左心室を囲むように配置されることを特徴とする請求項1に記載の磁場測定装置。
【請求項20】
前記内部容器は、
バッフルインサートが挿入されるネック部と、
前記ネック部より直径が増加したボディ部と、を含み、
前記ネック部は、内側円筒部と前記内側円筒を囲むように配置された外側円筒部を含み、
前記内側円筒部は互いに垂直に離隔して配置された補助内側円筒に分離され、
サーマルアンカの各々は、前記分離された補助内側円筒の間にそれぞれ挿入されることを特徴とする請求項1に記載の磁場測定装置。
【請求項21】
前記サーマルアンカの各々は、
円筒状の第1円筒部と、
前記第1円筒部の中心から外側に連結されたワッシャ形状の第1ワッシャ部と、を含み、
前記第1円筒部の外側面は、対応する補助内側円筒の内側面とネジ結合することを特徴とする請求項20に記載の磁場測定装置。
【請求項22】
ワッシャ形状の第2ワッシャ部と前記第2ワッシャ部の内側面に連結される円筒形状の第2円筒部を含む固定部をさらに含み、
一対の固定部は、前記サーマルアンカの第1ワッシャ部の内側上部面及び内側下部面にそれぞれ配置されることを特徴とする請求項21に記載の磁場測定装置。
【請求項23】
前記外側円筒部は互いに離隔して配置される複数の補助外側円筒部を含み、
前記補助外側円筒部は、前記固定部の第2円筒部を囲むように配置され、
熱遮蔽膜は、前記補助外側円筒部と前記補助内側円筒部との間に配置されることを特徴とする請求項22に記載の磁場測定装置。
【請求項24】
前記サーマルアンカの各々は、前記第1円筒部の中心から内側に連結されたワッシャ形状の補助ワッシャ部をさらに含み、
前記補助ワッシャ部は方位角方向に形成されたスリットを含むことを特徴とする請求項23に記載の磁場測定装置。
【請求項25】
前記SQUIDセンサモジュールの各々は、
検出コイルが取り付けられ、四角形断面を有する直方体状のボビンと、
前記ボビンに連結され、前記SQUIDセンサモジュール取付板に形成されたホールに挿入して固定される固定ブロックと、
前記ボビンの上部側面のうち少なくとも一面に装着され、超伝導量子干渉素子(SQUID)センサを含むSQUIDプリント回路基板と、
前記固定ブロックに挿入され、前記SQUIDセンサによって検出された信号を外部回路に伝達する信号線連結PCBと、を含むことを特徴とする請求項1に記載の磁場測定装置。
【請求項26】
前記検出コイルはグラジオメータ(gradiometer)であり、
前記検出コイルは、
前記ボビンの四角形断面の第1側面に配置された第1グラジオメータと、
前記ボビンの第1側面に隣り合う第2側面に配置された第2グラジオメータと、
前記ボビンの下部面に配置された第3グラジオメータと、を含むことを特徴とする請求項25に記載の磁場測定装置。
【請求項27】
外部容器と、
液体冷媒を収納し、前記外部容器に挿入された内部容器と、を含み、
前記内部容器は、
バッフルインサートが挿入されるネック部と、
前記ネック部より直径が増加したボディ部と、を含み、
前記ネック部は、内側円筒部と前記内側円筒を囲むように配置された外側円筒部を含み、
前記内側円筒部は互いに垂直に離隔して配置された補助内側円筒に分離され、
サーマルアンカの各々は、前記分離された補助内側円筒の間にそれぞれ挿入されることを特徴とする磁場測定装置。
【請求項28】
前記サーマルアンカの各々は、
円筒状の第1円筒部と、
前記第1円筒部の中心から外側に連結されたワッシャ形状の第1ワッシャ部を含み、
前記第1円筒部の外側面は、対応する補助内側円筒の内側面とネジ結合することを特徴とする請求項27に記載の磁場測定装置。
【請求項29】
検出コイルが取り付けられ、四角形断面を有する直方体状のボビンと、
前記ボビンに連結され
、SQUIDセンサモジュール取付板に形成された
貫通ホールに挿入して固定される固定ブロックと、
前記ボビンの上部側面のうち少なくとも一面に装着され、超伝導量子干渉素子(SQUID)センサを含むSQUIDプリント回路基板と、
前記固定ブロックに挿入され、前記SQUIDセンサによって検出された信号を外部回路に伝達する信号線連結PCBと、を含むことを特徴とするSQUIDセンサモジュール。
【請求項30】
前記検出コイルはグラジオメータであり、
前記検出コイルは、
第1ないし第4側面を有する前記ボビンの第1側面に配置された第1グラジオメータと、
前記ボビンの第1側面に隣り合う第2側面に配置された第2グラジオメータと、
前記ボビンの下部面に配置された第3グラジオメータと、を含むことを特徴とする請求項29に記載のSQUIDセンサモジュール。
【請求項31】
前記ボビンは、
直方体状の下部ボビンと、
前記下部ボビンに垂直に整列された上部ボビンと、
垂直に延長方向の4つの角にそれぞれ配置されたボビン連結柱と、を含むことを特徴とする請求項29に記載のSQUIDセンサモジュール。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、磁場測定装置に関するものとして、より詳細には、真空内コイルを備えた心磁図測定装置に関する。
【背景技術】
【0002】
心臓筋肉のイオン電流活動で発生する磁場信号を測定する心磁図(Magnetocardiography;MCG)は、心臓疾患の診断に有用な技術になる。
【0003】
超伝導量子干渉素子(Superconducting Quantum Interference Device;SQUID)は、心臓、脳、神経などの生体活動で発生する超微細磁場を測定できる超高感度センサである。SQUIDセンサは、4K又は77Kの低温で動作する。測定感度は数ないし数十fT/√Hzである。前記SQUIDセンサを低温で冷却するために、一般的に液化窒素や液化ヘリウムが使用される。このような低温冷媒を貯蔵できる低温冷媒貯蔵容器が必要である。低温冷媒貯蔵容器は二重の構造であるが、低温冷媒を保管するヘリウム内部貯蔵容器(ヘリウム槽)と室温の外筒(真空槽)で構成され、その間には真空に維持される。
【0004】
高感度信号を測定するためには低温超伝導体で構成されたSQUIDを使用することが有利であるが、低温超伝導SQUIDに使われる超伝導材料であるNbは臨界温度が約9Kであるため、液体ヘリウム又は低温冷凍機を使用した冷却が必要である。デュワの蒸発率を減らすと共に、デュワ真空部に設置された金属断熱材料(superinsulation及びthermal sield)による熱磁気雑音を減らすよう断熱材料の構造、厚さ、設置方法の最適化が必要である。また、ヘリウムガスは小さな隙間を通じて簡単に透過する特性があるので、デュワ材料として使われるガラス繊維強化プラスチックの高い緻密性が必要である。
【0005】
磁気信号の強さは磁場信号源から距離の2乗に反比例して減少するので、SNRを向上させるために信号源と検出コイルの間隔を最小化することが必要である。このような方法に対する研究が進められて、検出コイルがヘリウム槽の外、すなわち真空部に位置した真空内コイル(CIV: Coil-in-Vacuum)SQUIDを開発して使用した。
【0006】
CIV型SQUID装置の場合、検出コイルとSQUIDセンサが真空維持状態で配置される。したがって、液化冷媒を貯蔵するヘリウム内部貯蔵容器には低温冷媒だけが存在する。したがって、前記ヘリウム内部貯蔵容器のネック部は冷媒を満たすことができる通路だけが存在すれば良い。したがって、ネック部の直径は著しく減少される。その結果、ネック部を通じて流入する熱が減って液化冷媒の蒸発率を減らす。
【0007】
ヘリウム内部の貯蔵容器に熱が侵入するにつれて、液体ヘリウムは沸騰しながら蒸発することになる。この時、内部貯蔵容器内部には液体の沸騰によって振動が発生する。もし検出コイルを内部貯蔵容器の内部ではなく外部真空面に設置すれば、液体ヘリウムの沸騰による振動影響を減らす。
【0008】
また、検出コイルとSQUIDが真空に設置されれば、初期冷却時の冷却速度が液体ヘリウムに直接浸っている時と比べて低くなるので、冷却時に発生する急激な収縮ストレスが減り、内部貯蔵容器に流入した空気などがSQUID表面に吸着凝結されて発生する物理的・化学的損傷をなくす。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明の解決しようとする技術的課題は、SQUIDセンサモジュールを簡単に交換できる磁場測定装置を提供するものである。
【0010】
本発明の解決しようとする技術的課題は、液体ヘリウムが沸く時に発生する振動を減らしてセンサ装置の測定感度を高めるものである。また、センサを真空部に設置することによってセンサの冷却時のストレスを減らし、物理的・化学的信頼性を高めるものである。
【0011】
本発明の解決しようとする技術的課題は、輻射熱を遮断できる二重壁構造のネック部分構造を有する冷却装置を提供するものである。
【0012】
本発明の解決しようとする技術的課題は、高重量のSQUIDセンサモジュールと液体ヘリウム貯蔵容器を回転及び傾きに対する安定性を提供するために、二重壁構造のネック部を提供するものである。
【0013】
本発明の解決しようとする技術的課題は、同軸二重チューブ構造の気化された冷媒捕集チューブ(Helium gas return tube)を備えた磁場測定装置を提供するものである。
【0014】
本発明の解決しようとする技術的課題は、冷媒をリサイクルできる冷却装置を提供するものである。
【0015】
本発明の解決しようとする技術的課題は、真空中に位置したSQUIDセンサモジュールの効果的な冷却方法を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0016】
本発明の一実施例による磁場測定装置は、外部容器と、液体冷媒を収納し、前記外部容器の内部に配置され、第1直径を有するネック部及び前記第1直径より大きい第2直径を有するボディ部を含む内部容器と、前記内部容器と前記外部容器との間の空間は真空状態で維持され、前記内部容器の下部に配置されるSQUIDセンサモジュール取付板と、前記SQUIDセンサモジュール取付板の下部に装着された複数のSQUIDセンサモジュールと、前記SQUIDセンサモジュール取付板及び前記複数のSQUIDセンサモジュールを囲むように配置された導電性メッシュで形成された4K熱遮蔽部と、を含む。
【0017】
本発明の一実施例において、前記冷媒によって冷却され、前記内部容器の下部面に配置されたメインサーマルアンカ(main thermal anchor)と、前記4K熱遮蔽部を介在してSQUIDセンサモジュール取付板の側面に結合し、前記4K熱遮蔽部を固定するリング状の補助サーマルアンカと、前記メインサーマルアンカと前記補助サーマルアンカを連結して冷却するリッツ線と、をさらに含む。
【0018】
本発明の一実施例において、前記SQUIDセンサモジュール取付板は、その側面の下部面にリング状のリング陥没部を備え、前記SQUIDセンサモジュール取付板は、前記リング陥没部で前記SQUIDセンサモジュール取付板を貫通する少なくとも一つの連結部を含み、前記補助サーマルアンカは、前記リング陥没部と結合し、前記貫通連結部に挿入されるように突出された少なくとも一つの突起部を含む。
【0019】
本発明の一実施例において、前記4K熱遮蔽部は、前記SQUIDセンサモジュール取付板の上部面に配置された上部4K熱遮蔽部と、前記複数のSQUIDセンサモジュールを囲むように配置された下部4K熱遮蔽部と、を含み、前記補助サーマルアンカは、前記下部4K熱遮蔽部を介在して前記SQUIDセンサモジュール取付板の側面に結合する。
【0020】
本発明の一実施例において、前記内部容器の下部面に装着され、前記SQUIDセンサモジュール取付板を貫通して延長され、前記SQUIDセンサモジュール取付板の鉛直運動をガイドするセンサガイド棒と、前記内部容器の下部面に装着され、前記SQUIDセンサモジュール取付板に固定されるセンサ固定棒と、をさらに含む。
【0021】
本発明の一実施例において、前記SQUIDセンサモジュールは、前記SQUIDセンサモジュール取付板を貫通し、第1方向及び第2方向に沿って配列され、前記SQUIDセンサモジュールの各々は垂直に延長される。前記SQUIDセンサモジュールと並行に延長される複数の熱伝達棒をさらに含み、前記熱伝達棒は前記SQUIDセンサモジュール取付板を貫通し、前記熱伝達棒の両端は、前記4K熱遮蔽部にそれぞれ連結される。
【0022】
本発明の一実施例において、前記SQUIDセンサモジュールは、第1方向及び前記第1方向に直交する第2方向に沿ってマトリックス型で配列され、前記SQUIDセンサモジュール取付板は、前記第1方向に配列されたSQUIDセンサモジュールと前記第2方向に離隔されて前記第1方向に配列されたSQUIDセンサモジュールとの間に前記SQUIDセンサモジュール取付板で前記第1方向に延長されるトレンチをさらに含む。
【0023】
本発明の一実施例において、前記トレンチと連結され、前記第1方向に一定の間隔で配列され、前記SQUIDセンサモジュール取付板を貫通する信号線連結ホールをさらに含む。
【0024】
本発明の一実施例において、 前記SQUIDセンサモジュール取付板は、その側面の下部面にリング状のリング陥没部を備え、前記SQUIDセンサモジュール取付板は、前記リング陥没部で前記SQUIDセンサモジュール取付板を貫通する少なくとも一つの連結部を含み、前記補助サーマルアンカは、前記リング陥没部と結合し、前記連結部に挿入されるように突出した少なくとも一つの突起部を含み、前記第1方向の最外側に配置されたトレンチは、前記連結部に連結される。
【0025】
本発明の一実施例において、前記内部容器は、バッフルインサートが挿入されるネック部と、前記ネック部より直径が増加したボディ部と、を含み、前記ネック部は、内側円筒と前記内側円筒を囲む外側円筒を含む二重壁構造である。
【0026】
本発明の一実施例において、前記内側円筒は円筒の外側に突出した複数のリング突出部をさらに含み、サーマルアンカはそれぞれの前記リング突出部と結合し、前記リング突出部は互いに離隔して配置され、前記外側円筒は、前記リング突出部を間に挟んで互いに分離される。
【0027】
本発明の一実施例において、前記ネック部は、前記内側円筒と前記外側円筒との間に配置された熱遮蔽膜をさらに含む。
【0028】
本発明の一実施例において、前記リング突出部の外周面と前記サーマルアンカの内周面は、ねじ結合する。
【0029】
本発明の一実施例において、前記サーマルアンカは、前記ネック部の外側には互いに垂直に離隔されて順次に配置されたワッシャ形状の第1ないし第3サーマルアンカを含み、前記第1サーマルアンカは120K熱遮蔽膜に連結され、前記第2サーマルアンカは80K熱遮蔽膜に連結され、前記第3サーマルアンカは40K熱遮蔽膜に連結され、前記40K熱遮蔽膜は前記4K熱遮蔽部を囲むように配置される。
【0030】
本発明の一実施例において、前記第1ないし第3サーマルアンカ各々は、半径方向に延長される複数のスリットを含む。
【0031】
本発明の一実施例において、前記バッフルインサートに配置され、気化した冷媒を排気する冷媒排気チューブと、前記バッフルインサートに配置され、冷媒を注入する冷媒注入チューブと、前記冷媒排気チューブ及び冷媒注入チューブに連結され、前記冷媒注入チューブを介して排気された気化した冷媒を凝縮する凝縮器と、をさらに含み、前記冷媒排気チューブ及び前記冷媒注入チューブは同軸構造であり、前記冷媒排気チューブ及び前記冷媒注入チューブの各々は、内部チューブと外部チューブを備えた二重チューブである。
【0032】
本発明の一実施例において、前記メインサーマルアンカは、無酸素銅で形成され、第1円板、前記第1円板の中心軸から上部面に突出した第1上部突出部及び前記第1円板の中心軸から下部面に突出した第1下部突出部を含む第1熱伝達部と、無酸素銅で形成され、第2円板、前記第2円板の中心軸から上部面に突出した第2上部突出部及び前記第2円板の中心軸から下部面に突出した第2下部突出部を含む第2熱伝達部と、無酸素銅で形成され、第3円板、前記第3円板の中心軸から上部面に突出した第3上部突出部及び前記第3円板の中心軸から下部面に突出した第3下部突出部を含む第3熱伝達部と、無酸素銅で形成され、第4円板、前記第4円板の中心軸から上部面に突出した第4上部突出部及び前記第4円板の中心軸から下部面に複数のホールを含む第4熱伝達部と、絶縁体で形成され、前記第1熱伝達部の第1円板と前記第2熱伝達部の第2円板との間に挿入される第1熱膨張調節部と、絶縁体で形成され、前記第3熱伝達部の第3円板と前記第4熱伝達部の第4円板との間に挿入される第2熱膨張調節部と、を含む。前記第2熱伝達部の第2上部突出部は、前記第1熱伝達部の第1下部突出部と結合するための溝を備え、前記第2熱伝達部の第2下部突出部は、前記第3熱伝達部の第3上部突出部と結合するための溝を備え、前記第3熱伝達部の第3下部突出部は、前記第4熱伝達部の第4上部突出部と結合するための溝を備える。
【0033】
本発明の一実施例において、前記第1熱膨張調節部は、前記第1円板の直径と同じ直径を有する第1絶縁ボディ部と、前記内部ボディの下部面に埋め込まれ、前記第1直径より大きい第2直径を有する第2絶縁ボディ部と、前記第2直径より小さい第3直径を有する第3絶縁ボディ部と、を含み、前記第3絶縁ボディ部は、前記第2円板の外周面を囲むように配置される。
【0034】
本発明の一実施例において、前記SQUIDセンサモジュール取付板は曲線部位を含み、前記曲線部位は心臓の左心室を囲むように配置される。
【0035】
本発明の一実施例において、 前記内部容器は、バッフルインサートが挿入されるネック部と、前記ネック部より直径が増加したボディ部と、を含み、前記ネック部は、内側円筒部と前記内側円筒を囲むように配置された外側円筒部を含み、前記内側円筒部は互いに垂直に離隔して配置された補助内側円筒に分離され、サーマルアンカの各々は、前記分離された補助内側円筒の間にそれぞれ挿入される。
【0036】
本発明の一実施例において、前記サーマルアンカの各々は、円筒状の第1円筒部と、前記第1円筒部の中心から外側に連結されたワッシャ形状の第1ワッシャ部と、を含み、前記第1円筒部の外側面は、対応する補助内側円筒の内側面とネジ結合する。
【0037】
本発明の一実施例において、ワッシャ形状の第2ワッシャ部と前記第2ワッシャ部の内側面に連結される円筒形状の第2円筒部を含む固定部をさらに含み、一対の固定部は、前記サーマルアンカの第1ワッシャ部の内側上部面及び内側下部面にそれぞれ配置される。
【0038】
本発明の一実施例において、前記外側円筒部は互いに離隔して配置される複数の補助外側円筒部を含み、前記補助外側円筒部は、前記固定部の第2円筒部を囲むように配置され、熱遮蔽膜は、前記補助外側円筒部と前記補助内側円筒部との間に配置される。
【0039】
本発明の一実施例において、前記サーマルアンカの各々は、前記第1円筒部の中心から内側に連結されたワッシャ形状の補助ワッシャ部をさらに含み、前記補助ワッシャ部は方位角方向に形成されたスリットを含む。
【0040】
本発明の一実施例において、前記SQUIDセンサモジュールの各々は、検出コイルが取り付けられ、四角形断面を有する直方体状のボビンと、前記ボビンに連結され、前記SQUIDセンサモジュール取付板に形成されたホールに挿入して固定される固定ブロックと、前記ボビンの上部側面のうち少なくとも一面に装着され、超伝導量子干渉素子(SQUID)センサを含むSQUIDプリント回路基板と、前記固定ブロックに挿入され、前記SQUIDセンサによって検出された信号を外部回路に伝達する信号線連結PCBと、を含む。
【0041】
本発明の一実施例において、前記検出コイルはグラジオメータ(gradiometer)である。前記検出コイルは、前記ボビンの四角形断面の第1側面に配置された第1グラジオメータと、前記ボビンの第1側面に隣り合う第2側面に配置された第2グラジオメータと、前記ボビンの下部面に配置された第3グラジオメータと、を含む。
【0042】
本発明の一実施例による磁場測定装置は、外部容器と、液体冷媒を収納し、前記外部容器に挿入された内部容器と、を含み、前記内部容器は、バッフルインサートが挿入されるネック部と、前記ネック部より直径が増加したボディ部と、を含む。前記ネック部は、内側円筒部と前記内側円筒を囲むように配置された外側円筒部を含み、前記内側円筒部は互いに垂直に離隔して配置された補助内側円筒に分離され、サーマルアンカの各々は、前記分離された補助内側円筒の間にそれぞれ挿入される。
【0043】
本発明の一実施例において、前記サーマルアンカの各々は、円筒状の第1円筒部と、前記第1円筒部の中心から外側に連結されたワッシャ形状の第1ワッシャ部を含み、前記第1円筒部の外側面は、対応する補助内側円筒の内側面とネジ結合する。
【0044】
本発明の一実施例によるSQUIDセンサモジュールは、検出コイルが取り付けられ、四角形断面を有する直方体状のボビンと、前記ボビンに連結され、前記SQUIDセンサモジュール取付板に形成されたホールに挿入して固定される固定ブロックと、前記ボビンの上部側面のうち少なくとも一面に装着され、超伝導量子干渉素子(SQUID)センサを含むSQUIDプリント回路基板と、前記固定ブロックに挿入され、前記SQUIDセンサによって検出された信号を外部回路に伝達する信号線連結PCBと、を含む。
【0045】
本発明の一実施例において、前記検出コイルはグラジオメータであり、前記検出コイルは、第1ないし第4側面を有する前記ボビンの第1側面に配置された第1グラジオメータと、前記ボビンの第1側面に隣り合う第2側面に配置された第2グラジオメータと、前記ボビンの下部面に配置された第3グラジオメータと、を含む。
【0046】
本発明の一実施例において、前記ボビンは、直方体状の下部ボビンと、前記下部ボビンに垂直に整列された上部ボビンと、垂直に延長方向の4つの角にそれぞれ配置されたボビン連結柱と、を含む。
【発明の効果】
【0047】
本発明の一実施例による磁場測定装置は、SQUIDセンサモジュールを容易に交換する。
【0048】
本発明の一実施例による磁場測定装置は、二重壁構造のネック部を用いて輻射熱を効率的に遮断する。
【0049】
本発明の一実施例による磁場測定装置は、二重壁構造のネック部を用いて冷媒の真空層内部への透過を遮断する。
【0050】
本発明の一実施例による磁場測定装置は、二重壁構造のネック部に装着されたサーマルアンカを気化された冷媒に直接接触することによってセンサ冷却を向上させ、液体ヘリウム蒸発率を効果的に減少させる。
【0051】
本発明の一実施例による磁場測定装置は、検出コイルを内部容器の真空層下部面で設置して振動を減らす。
【0052】
本発明の一実施例による磁場測定装置は、検出コイルとSQUIDを内部容器の真空層の下部面で設置して動作信頼性を高める。
【0053】
本発明の一実施例による磁場測定装置は、凝縮器とデュワを連結する同軸二重チューブ構造を使用してデュワで蒸発した冷たいヘリウムガスを凝縮器に伝達して凝縮器又は冷却器の効率を増加させる。
【0054】
本発明の一実施例による磁場測定装置は、真空内コイル構造を採用してSQUIDセンサと電流源との間の距離を減少させて信号対雑音比を増加させる。
【0055】
本発明の一実施例による磁場測定装置は、3軸グラジオメータを使用して信号源の測定正確性を増加させる。
【0056】
本発明の一実施例による磁場測定装置は、冷媒を保管する内部容器の下部面でSQUIDセンサを冷却するためのメインサーマルアンカを備える。前記メインサーマルアンカは、複数の部品で構成して熱収縮による内部容器の破損を抑制すると共に熱接触面積を増加させてリッツ線を通じてSQUIDセンサを効率的に冷却する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0057】
本発明の一実施例によれば、ヘリウムガスを冷凍機に直ちに再凝縮してデュワに戻す技術が適用される。冷凍機と冷媒伝達チューブによる磁気雑音と振動雑音が非常に大きいため、SQUID装置がこの振動に反応しないようにするために特別なデュワ(dewar)構造及びSQUID配置方法が求められる。
【0058】
最近ヘリウムガスの価格上昇に伴い、ヘリウムガスを冷凍機で直ちに再凝縮してデュワに戻す技術が求められる。気化されたヘリウムは気体排気チューブを通じて冷凍機に供給され、液化した冷媒が冷媒注入チューブを通じてデュワに提供される。気体排気チューブと冷媒注入チューブが単一パイプで構成する場合、パイプ内部と外部との間の熱交換によってパイプ内部の冷媒が冷たい状態を維持することができない。
【0059】
本発明の一実施例による真空内コイル(CIV)SQUID装置は、同軸二重チューブ構造を用いてバッフルインサート蓋に氷凝結を解決した。冷媒が蒸発したガスの排気チューブと冷媒注入チューブ各々は二重チューブ構造である。前記二重チューブ構造は冷たい気化ガスを冷却器に移送して冷却効率を増加させることができ、デュワの回転及び傾き姿勢制御を可能にする。
【0060】
真空内コイル(CIV)SQUID装置において、デュワは内部容器と内部容器を囲む外部容器を含む。しかし、内部容器は外部から輻射熱を吸収して冷媒の消耗を増加させる。
【0061】
本発明の一実施例による真空内コイル(CIV)SQUID装置において、デュワはバッフルインサートが挿入される内部容器のネック部に二重壁構造を使用する。このような二重壁構造は急速な冷却時、デュワ内部を構成する部品の熱収縮による真空破壊を防ぐことに大きく寄与できる。また、二重壁構造はデュワ内部冷却時に自動的に真空層が形成され、輻射熱流入を減少させるために二重壁の間に熱遮蔽膜を配置することによってデュワのネックからの輻射熱流入を大きく減少させる。また、二重真空層はガラス繊維で強化されたエポキシを貫通する微細なヘリウムガスを二重に遮断して真空層の真空度を向上させることによって液体ヘリウムの蒸発率を減少させる。二重壁構造でサーマルアンカは気化冷媒との効率的な熱接触のために、内部容器内に挿入される。サーマルアンカと内部容器との間の膨張による損傷を減少させるように、サーマルアンカと内部容器は互いにねじ結合を行う。また、前記二重壁構造で内部に挿入されたサーマルアンカは、熱接触面を増加させるために複数の穴が形成されており、気化された冷媒に直接接触することによって廃熱を効率的に使用するようになる。したがって、熱遮断層の効果を極大化させて冷媒の蒸発率を減少させると同時に、高荷重の内側構造物を安定的に支持するため、冷媒蒸発と外部振動による雑音を抑制することができる。
【0062】
本発明の一実施例による心磁図装置は、SQUIDセンサのメンテナンスを容易に行う真空内コイル(CIV:Coil-in-Vacuum)SQUIDを採用し、SQUIDセンサを囲むよう低温冷却遮蔽構造物を含む。前記低温冷却遮蔽構造物は互いに分解されて、前記SQUIDセンサのメンテナンスを容易に行う。
【0063】
磁場信号源から磁気信号の強さは距離の2乗に反比例して減少するので、信号対雑音比を向上させるために信号源と検出コイルの間隔を最小化することが必要である。しかし、信号源と検出コイルとの間隔が狭すぎると、冷媒の蒸発率が増加する。したがって、信号源と検出コイルとの間隔を調節できる装置が求められる。本発明は、信号源と検出コイルとの間隔を容易に調節する。
【0064】
本発明の一実施例による心磁図装置は、内部容器の下部面に配置されたメインサーマルアンカを備え、前記メインサーマルアンカは互いにねじ結合する複数の熱伝達部と、前記熱伝達部と前記内部容器との間の熱膨張による密封破壊を調節する絶縁材質の熱膨張調節部と、を含む。複数の熱伝達部が結合された場合、内部容器の外部面と内部面に埋め込まれて配置された一対の熱膨張調節部を圧迫して密封及び熱膨張による部品破損を抑制する。
【0065】
本発明の一実施例によるSQUIDセンサモジュールは、3軸グラジオメータを備え、熱容量を減少させるために体積を最小化した構造を有する。このために、グラジオメータは直方体のボビンに配置される。ボビンは上部ボビン、下部ボビン、これらを連結するボビン連結柱を含む。また、3軸グラジオメータを構成する各グラジオメータは、信号コイルと参照コイルを備える。それぞれのグラジオメータは、一つのボビン内で互いに干渉を最小化するように互いに直方体の異なる面に配置されて互いに交差しない。
【0066】
以下、添付図面を参照して本発明の好ましい実施例を詳細に説明する。しかし、本発明はここで説明される実施例に限定されるものではなく、互いに異なる形で具体化することもある。かえって、ここで紹介される実施例は、開示された内容が徹底かつ完全になるよう、また当業者に本発明の思想が十分に伝えるように提供されるものである。図面において、構成要素は明確性を期するために誇張されたものである。明細書全体に亘って、同一の構成要素は、同一の参照番号で表される。
【0067】
図1及び
図2は、本発明の一実施例による磁場測定装置を説明する概念図である。
【0068】
図3は、
図1の磁場測定装置で内部容器の下部面を眺めた平面図である。
【0069】
図4は、
図1の磁場測定装置のサーマルアンカを説明する斜視図である。
【0070】
図5Aは、
図1の磁場測定装置のSQUIDセンサモジュール取付板の上部平面図である。
【0071】
図5Bは、
図1の磁場測定装置のSQUIDセンサモジュール取付板の下部平面図である。
【0072】
図6は、
図5AのA-A’線に沿って切った断面図である。
【0073】
図7は、
図5AのB-B’線に沿って切った断面図である。
【0074】
図8は、
図5AのC-C’線に沿って切った断面図である。
【0075】
図9は、
図1の補助サーマルアンカを表す斜視図である。
【0076】
図1ないし
図9に示すように、磁場測定装置100は、外部容器110と、液体冷媒30を収納し、前記外部容器110の内部に配置され、第1直径を有するネック部162及び第1直径より大きい第2直径を有するボディ部164と、を含む内部容器160と、前記内部容器160と前記外部容器110との間の空間は真空状態で維持され、前記内部容器160の下部に配置されるSQUIDセンサモジュール取付板120と、前記SQUIDセンサモジュール取付板120の下部に装着された複数のSQUIDセンサモジュール10と、前記SQUIDセンサモジュール取付板120及び前記複数のSQUIDセンサモジュール10を囲むように配置された導電性メッシュで形成された4K熱遮蔽部140と、を含む。
【0077】
外部容器110は円筒状であり、G10エポキシのようなガラス繊維強化プラスチックである。前記外部容器110は、外部容器上板111を含む。
【0078】
前記内部容器160は液体冷媒30を貯蔵し、メインサーマルアンカ170及びリッツ線22を通じてSQUIDセンサモジュール10を冷却する。前記内部容器160の材質は、G10エポキシのようなガラス繊維強化プラスチックである。前記内部160は、バッフルインサート150が挿入されるネック部162と、前記ネック部162より直径が増加したボディ部164と、を含む。前記ネック部162は、内側円筒と前記内側円筒を囲む外側円筒を含む二重壁構造である。前記ネック部162は、前記内側円筒162aと前記内側円筒162aを囲む外側円筒162bを含む。熱遮蔽膜162cは、前記内側円筒162aと前記外側円筒162bとの間に配置される。前記熱遮蔽膜162cは反射率(reflectivity)が高く、放射率(emissivity)が低い金属薄膜層と低い熱伝導率を有する極薄の不織布を順次積み上げた多層構造である。
【0079】
前記内側円筒162aは、円筒の外側に突出した複数のリング突出部162a’をさらに含む。前記リング突出部162a’は円筒リング状であり、前記内側円筒162aと一体型に形成される。前記リング突出部162a’の外周面にはネジ結合のためのスクリュが形成される。
【0080】
サーマルアンカ106a~cは、前記リング突出部162a’それぞれと結合する。前記リング突出部162a’は互いに離隔して配置され、前記外側円筒162bは前記リング突出部162a’を間に挟んで互いに分離される。前記リング突出部162a’の外周面と前記サーマルアンカ106a~cの内周面はネジ結合する。
【0081】
前記リング突出部162a’は互いに離隔して配置される。前記外側円筒162bは、前記リング突出部162a’を間に挟んで互いに分離される。すなわち、前記外側円筒162bは互いに分離された複数の円筒形状の部品を含む。前記外側円筒162bと前記内側円筒162aとの間隔は数mm以内である。前記外側円筒162aの各々は、サーマルアンカ結合部106a’’及び前記リング突出部162a’を囲む凹み162b’を含む。前記外側円筒162bは前記リング突出部を囲むように結合した後、結合部位はエポキシのような接着剤で固定・密封される。
【0082】
前記サーマルアンカ106a~cは、前記ネック部の外側には互いに垂直に離隔されて順次に配置されたワッシャ形状の第1ないし第3サーマルアンカ106a~cを含む。前記第1ないし第3サーマルアンカ106a~c各々は半径方向に延長される複数のスリット108を含む。
【0083】
前記第1サーマルアンカ106aは120K熱遮蔽膜107aに連結され、前記第2サーマルアンカ106bは80K熱遮蔽膜107bに連結され、前記第3サーマルアンカ106cは40K熱遮蔽膜107cに連結される。前記40K熱遮蔽膜107cは、前記4K熱遮蔽部140を囲むように配置される。 前記80K熱遮蔽膜107bは、前記40K熱遮蔽膜107cを囲むように配置される。前記120K熱遮蔽膜107aは、前記80K熱遮蔽膜107bを囲むように配置される。
【0084】
サーマルアンカ106a、106b、106cは、前記リング突出部162a’とそれぞれ結合する。前記リング突出部162a’の外周面と前記サーマルアンカ106a、106b、106cの内周面はねじ結合する。前記サーマルアンカ106a、106b、106c各々は、円形ワッシャ形状である。前記サーマルアンカは銅又はアルミニウムである。
【0085】
前記サーマルアンカ106aは、円筒状のサーマルアンカ結合部106a’’と前記サーマルアンカ結合部の外周面で配置され、円板状のサーマルアンカボディ部106a’を含む。前記サーマルアンカ結合部106a’’の内周面は、前記リング突出部の外周面とネジ結合する。これによって、前記サーマルアンカ106a、106b、106cは前記内部容器に安定的に固定され、互いに広い面積で熱接触して冷却される。前記リング突出部162a’と前記サーマルアンカ106aのねじ結合は熱膨張による効率的な熱接触を提供すると共に機械的安定性を向上させる。
【0086】
前記二重壁構造は、外部から前記内部容器160内への輻射熱の流入を遮断する。前記内部容器が冷媒によって冷却された場合、前記内側円筒と前記外側円筒との間の空間は真空を維持する。それで、熱伝達による熱流入を遮断し、前記熱遮蔽膜162cは輻射熱流入を追加的に遮断する。その結果、二重壁構造のネック部は単一壁構造のネック部に比べて高い機械的安定性及び高い熱遮蔽効率を提供する。
【0087】
前記サーマルアンカ106a、106b、106cは順次に配置された第1ないし第3サーマルアンカ106a、106b、106cを含む。前記第1サーマルアンカ106aは、ネック部362の最上層に配置され、120K熱遮蔽膜107aに連結される。前記第2サーマルアンカ106bは、前記第1サーマルアンカ106aの下側に配置され、80K熱遮蔽膜107bに連結される。前記第3サーマルアンカ106cは、前記第2サーマルアンカ106bの下側に配置され、40K熱遮蔽膜107bに連結される。前記第1サーマルアンカ106aの外径は、前記第2サーマルアンカ106bの外径より大きい。
【0088】
前記第1サーマルアンカ106aは前記冷媒から最も遠く離れていて最も高い温度に維持され、前記第3サーマルアンカ106cは前記冷媒に最も近接して最も低い温度に維持される。前記第1サーマルアンカないし第3サーマルアンカ106a、106b、106cは気化された冷媒と熱接触して冷却される。
【0089】
前記40K熱遮蔽膜107cは、前記第3サーマルアンカ106cの外周面に結合し、前記内部容器160を囲むように配置され、輻射熱の流入を遮断する。前記40K熱遮蔽膜107cは、互いに絶縁された金属線で編まれた金属メッシュ及び断熱フィルムを含む。前記40K熱遮蔽膜107cは、前記4K熱遮蔽膜を囲む。
【0090】
前記80K熱遮蔽膜107bは前記第2サーマルアンカ106bの外周面に結合し、前記40K熱遮蔽膜107cを囲むように配置され、輻射熱の流入を遮断する。前記80K熱遮蔽膜107bは、互いに絶縁された金属線で編まれた金属メッシュ及び断熱フィルムを含む。前記80K熱遮蔽膜107bは、前記4K熱遮蔽膜を囲む。
【0091】
前記120K熱遮蔽膜107aは前記第1サーマルアンカ106aの外周面に結合し、前記80K熱遮蔽膜107bを囲むように配置され、輻射熱の流入を遮断する。前記120K熱遮蔽膜107aは、互いに絶縁された金属線で編まれた金属メッシュ及び断熱フィルムを含む。前記120K熱遮蔽膜107aは、前記80K熱遮蔽膜107bを囲む。
【0092】
前記内部容器160と前記外部容器110との間の空間は真空状態に維持する。前記外部容器蓋111は、真空ポンプと連結される排気ポート111aを含む。前記排気ポート111aは、G-10エポキシチューブで形成される。前記ボディ部164の下部面164aは、複数のゲッタ溝(getter groove)を含む。前記ゲッタ溝には真空状態で残留気体を捕集するゲッタが配置される。
【0093】
バッフルインサート150は、前記内部容器160のネック部162に挿入されて配置される。前記バッフルインサート150はインサート上板151、前記インサート上板の下部に配置されたバッフル156、前記バッフル156を支持し、前記インサート上板に固定される複数のガイド棒154を含む。
【0094】
前記インサート上板151は円板状であり、G-10エポキシで形成される。前記インサート上板151は、前記外部容器蓋111に固定される。前記ガイド棒154は、G-10エポキシで形成され、棒状又はパイプ状である。前記ガイド棒154は、前記バッフル156を支持する。前記バッフル156は保温性の高い発泡スチロールと導電板を含む。前記導電板は、輻射熱を遮断するために順次積層されたアルミニウムコーティングされたマイラ(mylar)及び銅層を含む。
【0095】
冷媒排気チューブ153は、前記バッフルインサート150のインサート上板151に配置され、気化された冷媒を排気する。冷媒注入チューブ152は、前記バッフルインサート150のインサート上板151に配置され、冷媒を注入する。前記冷媒排気チューブ153及び前記冷媒注入チューブ152の各々は、内部チューブと外部チューブを備えた二重チューブである。二重チューブで内部チューブと外部チューブとの間の空間は、冷却時に真空状態を維持する。前記冷媒注入チューブ152は、前記冷媒排気チューブ153に挿入された同軸構造である。前記冷媒排気チューブ153及び前記冷媒注入チューブ152は、G-10エポキシで形成される。
【0096】
同軸二重チューブ152、153は、前記インサート上板151との熱接触を減少させて、前記インサート上板151の氷の生成を減少させる。前記冷媒排気チューブ及び前記冷媒注入チューブが単一チューブである場合、前記インサート上板151及び冷媒排気チューブは氷を生成し、前記氷は前記外部容器蓋111と前記インサート上板151の密封を阻害し、外部の熱流入を増加させる。同軸二重チューブ152、153は、前記インサート上板151の中心軸に配置される。前記冷媒排気チューブ153の一端は、第1サーマルアンカ106aより高い位置に配置される。
【0097】
凝縮器159は、冷媒排気チューブ153及び冷媒注入チューブ152に連結され、冷媒注入チューブ153を通じて排気された気化した冷媒を凝縮する。前記凝縮器159は、磁気シールドルームの外部に配置される。
【0098】
信号線連結ボックスは前記外部容器の外部に配置され、SQUIDセンサの新号線15を連結する。
【0099】
メインサーマルアンカ170(main thermal anchor)は前記冷媒によって冷却され、前記内部容器160の下部面に一定の円周上に一定の間隔で配置される。前記メインサーマルアンカ170は6つである。
【0100】
図10は、本発明の一実施例によるメインサーマルアンカを表す断面図である。
【0101】
図10に示すように、前記メインサーマルアンカ170は、第1熱伝達部171、第2熱伝達部172、第3熱伝達部173、第4熱伝達部174、第5熱伝達部175、第1熱膨張調節部176、及び第2熱膨張調節部177を含む。前記メインサーマルアンカ170は複数の部品で構成して熱膨張による内部容器の破損を抑制すると共に熱接触面積を増加させてリッツ線12及びSQUIDセンサを効率的に冷却する。
【0102】
前記第1熱膨張調節部176は、前記内部容器の下部面の内側に形成された2つの半径を有する二重溝に結合し、第2熱膨張調節部177は前記内部容器の下部面の外側に形成された2つの半径を有する二重溝に結合する。
【0103】
第1熱伝達部171は無酸素銅で形成され、第1円板171a、及び前記第1円板の中心軸から下部面に突出した第1下部突出部171bを含む。第1熱伝達部171は、前記第1円板の中心軸から上部面に突出した第1上部突出部171cをさらに含む。
【0104】
第2熱伝達部172は無酸素銅で形成され、第2円板172a、前記第2円板の中心軸から上部面に突出した第2上部突出部172b及び前記第2円板の中心軸から下部面に突出した第2下部突出部172cを含む。前記第2熱伝達部172の第2上部突出部172bは、前記第1熱伝達部171の第1下部突出部171bと結合するためのねじ溝172dを備える。前記第2熱伝達部172の第2下部突出部172cは、前記第3熱伝達部173の第3上部突出部173bと結合するためのねじ溝172eを備える。
【0105】
第3熱伝達部173は無酸素銅で形成され、第3円板173a、前記第3円板の中心軸から上部面に突出した第3上部突出部173b及び前記第3円板の中心軸から下部面に突出した第3下部突出部173cを含む。前記第3熱伝達部173の第3下部突出部173cは、前記第4熱伝達部174の第4上部突出部174bと結合するためのねじ溝173dを備える。
【0106】
第4熱伝達部174は無酸素銅で形成され、第4円板、及び前記第4円板の中心軸から上部面に突出した第4上部突出部174b、及び前記第4円板の中心軸から下部面に突出した第4下部突出部174cを含む。
【0107】
第5熱伝達部175は無酸素銅で形成され、円板を含む。前記第5熱伝達部175は、第4熱伝達部174の第4下部突出部174cと結合する。第5熱伝達部175の下部面は固定手段178と結合する。前記固定手段178はリッツ線22を固定して冷却する。
【0108】
第1熱膨張調節部176は絶縁体で形成され、前記第1熱伝達部171の第1円板171aと前記第2熱伝達部172の第2円板172bとの間に挿入される。第1熱膨張調節部176は、前記内部容器の材質と同一の材質である。
【0109】
第2熱膨張調節部177は絶縁体で形成され、前記第3熱伝達部173の第3円板173aと前記第4熱伝達部174の第4円板174aとの間に挿入される。第2熱膨張調節部177は、前記内部容器の材質と同一の材質である。
【0110】
第1熱膨張調節部176は、第1円板171aの第1直径D1と同じ直径を有する第1絶縁ボディ部176aと、前記内部ボディの下部面に埋め込まれ、第1直径D1より大きい第2直径D2を有する第2絶縁ボディ部176bと、前記第2直径D2より小さい第3直径D3を有する第3絶縁ボディ部176cと、を含む。前記第3絶縁ボディ部176cは、前記第2円板172aの外周面を囲むように配置される。第3絶縁ボディ部176cの外周面はねじ溝を備える。
【0111】
前記第2熱膨張調節部177は、前記第1熱膨張調節部176と同じ構造を有する。
【0112】
第1ないし第4熱伝達部171~174は互いに結合すれば、前記第1熱膨張調節部176及び前記第2熱膨張調節部177は圧迫されて前記内部容器とシーリングされる。また、第1円板171a及び第4円板174aは、前記第1熱膨張調節部176と前記第2熱膨張調節部177を圧迫してシーリングされる。
【0113】
前記メインサーマルアンカ170は、前記4K熱遮蔽部及び前記SQUIDセンサモジュール10をリッツ線を通じて冷却する。
【0114】
図1に戻ると、センサガイド棒180aは内部容器の下部面164aに装着され、前記SQUIDセンサモジュール取付板120を貫通して延長され、SQUIDセンサモジュール取付板120の鉛直運動をガイドする。前記センサガイド棒180aは、前記内部容器の下部面164aで一定の半径の円周上に周期的に配置される。
【0115】
センサ固定棒180bは、前記内部容器の下部面164aに装着され、前記SQUIDセンサモジュール取付板120に固定される。前記センサ固定棒180bは、前記内部容器の下部面164aで一定の半径の円周上に周期的に配置される。前記センサ固定棒180bの長さ又は固定位置を調節して、磁場信号源と検出コイルとの間の距離を調節する。
【0116】
前記SQUIDセンサモジュール取付板120は円板状であり、G10エポキシのような非磁性物質である。前記SQUIDセンサモジュール取付板120は、その側面の下部面にリング状のリング陥没部120aを備える。前記SQUIDセンサモジュール取付板120は、前記リング陥没部120aで前記SQUIDセンサモジュール取付板120を貫通する少なくとも一つの連結部123を含む。
【0117】
前記SQUIDセンサモジュール10は、前記SQUIDセンサモジュール取付板120を貫通し、第1方向(x軸方向)及び第2方向(y軸方向)に沿って配列される。前記SQUIDセンサモジュール10各々は垂直に延長される。具体的には、前記SQUIDセンサモジュール10は、第1方向及び第2方向に沿ってマトリックス型で配列される。前記SQUIDセンサモジュール取付板120の上部面は、前記第1方向に配列されたSQUIDセンサモジュールと前記第2方向に離隔されて前記第1方向に配列されたSQUIDセンサモジュールとの間に前記SQUIDセンサモジュール取付板で前記第1方向に延長されるトレンチ121を含む。信号線連結ホール122は、トレンチ121と連結され、前記第1方向に一定の間隔で配列され、前記SQUIDセンサモジュール取付板120を貫通する。信号線連結ホール122及び前記トレンチ121は、前記SQUIDセンサモジュールを構成する複数のSQUIDセンサの信号線に対する連結通路を提供する。
【0118】
前記補助サーマルアンカ144は、前記リング陥没部120aと結合し、前記熱結部123に挿入されるように突出した少なくとも一つの突起部144cを含み、前記第1方向の最外側に配置されたトレンチ121は前記連結部123に連結される。
【0119】
前記補助サーマルアンカ144は、前記4K熱遮蔽部140を介在して前記SQUIDセンサモジュール取付板120の側面に結合し、前記4K熱遮蔽部140を固定するリング形状である。前記補助サーマルアンカ144は、前記4K熱遮蔽部と熱接触して前記4K熱遮蔽部を冷却する。前記補助サーマルアンカ144は無酸素銅で形成され、半円状の第1補助サーマルアンカ150aと第2補助サーマルアンカ150bに分離されて渦流の流れを抑制する。
【0120】
前記4K熱遮蔽部140は、前記SQUIDセンサモジュール取付板120の上部面に配置された上部4K熱遮蔽部140aと、前記複数のSQUIDセンサモジュールを囲むように配置された下部4K熱遮蔽部140bと、を含む。前記補助サーマルアンカ144は、前記下部4K熱遮蔽部140bを介在して前記SQUIDセンサモジュール取付板の側面に結合する。前記下部の4K熱遮蔽部140bは、4K熱遮蔽部ハウジング140cを囲むように配置される。前記4K熱遮蔽部ハウジング140cは薄いプラスチック材質である。前記4K熱遮蔽部ハウジング140cは真空排気のために少なくとも一つの開口部を備える。前記4K熱遮蔽部ハウジング140cは冷却空間を減少させるためにSQUIDセンサモジュール10が配置された領域で小さい直径を有するように鉛直方向に延長されると共に凹みを有する。
【0121】
複数の熱伝達固定部186は、前記SQUIDセンサモジュール取付板120の縁に沿って周期的に装着する。前記熱伝達固定部186は、熱伝達率が高い無酸素銅のような金属である。前記複数の熱伝達固定部186はリッツ線を通じてメインサーマルアンカ170と熱接触し、前記上部4K熱遮蔽部140aを固定しながら冷却し、前記SQUIDセンサモジュール取付板120に固定する。例えば、一つのメインサーマルアンカ170は、複数の熱伝達固定部186にリッツ線を通じて連結される。前記リッツ線22は、柔軟性を有する複数の銅導線を含む。
【0122】
複数の熱伝達棒20は、前記SQUIDセンサモジュール取付板120に固定され、前記SQUIDセンサモジュール10と並行に延長される。複数の熱伝達棒20はマトリックス型に配列される。前記熱伝達棒20は、前記SQUIDセンサモジュール取付板120を貫通し、前記熱伝達棒29の両端は前記4K熱遮蔽部140にそれぞれ熱接触するように連結固定される。
【0123】
前記複数のSQUIDセンサモジュール10各々は、前記4K熱遮蔽部140によって冷却される。前記外部容器110と前記内部容器160との間の空間は真空状態である。前記磁場測定装置100は心電図を測定し、磁気シールドルーム内部に配置される。
【0124】
SQUIDセンサモジュール10のうち一部が故障した場合、SQUIDセンサモジュール10を分離して交換される。このために、前記補助サーマルアンカ144が前記SQUIDセンサモジュール取付板120から除去された後、前記4K熱遮蔽部140が除去される。これによって、故障したSQUIDセンサモジュールは容易に交換される。
【0125】
図11は、本発明の他の実施例による磁場測定装置を説明する概念図である。
【0126】
図12は、
図11のSQUIDセンサ取付板を説明する斜視図である。
【0127】
図11及び
図12に示すように、磁場測定装置200は、外部容器210、液体冷媒30を収納し、前記外部容器210の内部に配置され、第1直径を有するネック部162と及び第1直径より大きい第2直径を有するボディ部164を含む内部容器160と、前記内部容器160と前記外部容器210との間に真空状態が維持される空間に配置されるSQUIDセンサモジュール取付板220と、前記SQUIDセンサモジュール取付板220の下部に装着された複数のSQUIDセンサモジュール10と、前記SQUIDセンサモジュール取付板220及び前記複数のSQUIDセンサモジュール10を囲むように配置された導電性メッシュで形成された4K熱遮蔽部240と、を含む。
【0128】
前記外部容器210の上部は円筒形状であるが、下部は人体の胴体の一部を囲むように曲面処理される。これによって、SQUIDセンサモジュールは心臓の左心室の磁場信号を測定するためには、左胸の横部分をカバする。
【0129】
SQUIDセンサモジュール取付板220は、C字またはL字型に曲がった円板又は四角板である。複数のSQUIDセンサモジュール10及び複数の熱伝達棒20はマトリックス型で配列する。前記SQUIDセンサモジュール取付板は曲線部位を含む。前記曲線部位は、心臓の左心室を囲むように配置される。
【0130】
4K熱遮蔽部240は、前記SQUIDセンサモジュール10及びSQUIDセンサモジュール取付板220を囲むように配置される。4K熱遮蔽部240は、前記メインサーマルアンカとリッツ線によって冷却される。
【0131】
図13は、本発明の他の実施例による磁場測定装置を説明する概念図である。
【0132】
【0133】
図13及び
図14に示すように、磁場測定装置300は、外部容器110、液体冷媒30を収納し、前記外部容器110の内部に配置され、第1の直径を有するネック部362と、第1直径より大きい第2直径を有するボディ部364を含む内部容器360と、前記内部容器360と外部容器110との間に真空状態で維持される空間に配置されたSQUIDセンサモジュール取付板120と、前記SQUIDセンサモジュール取付板120の下部に装着された複数のSQUIDセンサモジュール10と、前記SQUIDセンサモジュール取付板120及び前記複数のSQUIDセンサモジュール10を囲むように配置された導電性メッシュで形成された4K熱遮蔽部140と、を含む。
【0134】
前記内部容器360は、バッフルインサート150が挿入されるネック部362と、前記ネック部より直径が増加したボディ部164と、を含む。前記ネック部362は、内側円筒部362aと前記内側円筒を囲むように配置された外側円筒部362bとを含む。前記内側円筒部362aは、互いに垂直に離隔して配置された補助内側円筒に分離される。サーマルアンカ306a、306b、306cは、前記分離された補助内側円筒の間にそれぞれ挿入される。
【0135】
前記サーマルアンカ306a、306b、306cの各々は、円筒状の第1円筒部306a’と、前記第1円筒部306a’の中心から外側に連結されたワッシャ状の第1ワッシャ部306a’’とを含む。前記第1円筒部306a’の外側面は、対応する補助内側円筒362aの内側面とねじ結合する。
【0136】
固定部262dは、ワッシャ形状の第2ワッシャ部362d’と、前記第2ワッシャ部の内側面に連結される円筒形状の第2円筒部362d’’を含む。一対の固定部262dは、前記サーマルアンカの第1ワッシャ部306a’’の内側上部面及び内側下部面にそれぞれ配置される。
【0137】
前記外側円筒部362bは、互いに離隔して配置される複数の補助外側円筒部を含む。前記補助外側円筒部は、前記固定部の第2円筒部362d’’を囲むように配置される。
【0138】
熱遮蔽膜362cは、前記補助外側円筒部と前記補助内側円筒部との間に配置される。
【0139】
前記サーマルアンカ306a、306b、306c各々は、前記第1円筒部の中心から内側に連結されたワッシャ形状の補助ワッシャ部306a’’’をさらに含む。前記補助ワッシャ部306a’’’は、方位角方向に形成されたスリットを含む。前記スリットを通じて気化された冷媒は冷媒排気チューブ153を通じて凝縮器159に提供される。
【0140】
図15は、本発明の一実施例によるSQUIDセンサモジュールを説明する斜視図である。
【0141】
図16は、
図15のSQUIDセンサモジュールのグラジオメータの検出コイルを説明する斜視図である。
【0142】
図15及び
図16に示すように、本発明の一実施例によるSQUIDセンサモジュール10は、検出コイル11a,11b,11cが装着され、四角形断面を有する直方体状のボビン14と、前記ボビン14に連結され、前記SQUIDセンサモジュール取付板120に形成されたホールに挿入して固定される固定ブロック12と、前記ボビン14の上部側面のうち少なくとも一面に装着され、超伝導量子干渉素子(SQUID)センサ13を含むSQUIDプリント回路基板13と、前記固定ブロック12に挿入され、前記SQUIDセンサ13によって検出された信号を外部回路に伝達する信号線連結PCB16と、を含む。
【0143】
前記ボビン14は、直方体状の下部ボビン14bと、前記下部ボビン14bに垂直に離隔して整列された上部ボビン14aと、前記下部ボビン14bと前記上部ボビンを連結するように角にそれぞれ配置されたボビン連結柱14cと、を含む。前記ボビン14は、G10エポキシのような非磁性物質で一体型に形成される。
【0144】
前記検出コイル11a、11b、11cはグラジオメータである。前記検出コイルは、第1ないし第4側面1、2、3、4を有する前記ボビンの第1側面1に配置された第1グラジオメータ11aと、前記ボビンの第1側面1に隣り合う第2側面2に配置された第2グラジオメータ11bと、前記ボビンの断面に配置された第3グラジオメータ11cと、を含む。
【0145】
グラジオメータの場合には、グラジオメータは信号コイル11a’及び参照コイル11a’’を含む。信号コイル11a’と参照コイル11a’’は互いに反対方向に巻かれる。これによって、グラジオメータは磁気信号の微分値を測定する。したがって、均一な外部環境雑音の大部分は除去され、信号コイルに近接した信号源によって発生する磁気信号は比較的少なく相殺されることでSNRを増加させる。
【0146】
第1グラジオメータ11aの信号コイル11a’は、前記下部ボビンの第1側面1に配置され、前記参照コイルは前記上部ボビンの第1側面1に配置される。前記信号コイル11a’は、前記第1側面1に隣り合うように前記下部ボビン14bを貫通する。
【0147】
第2グラジオメータ11bの信号コイル11b’は前記下部ボビンの第2側面2に配置され、前記参照コイル11b’’は前記上部ボビンの第2側面2に配置される。
【0148】
第3グラジオメータ11cの信号コイル11c’は、前記下部ボビンの下部面を囲むように配置され、前記参照コイル11c’’は前記上部ボビンを囲むように配置される。
【0149】
前記固定ブロック12は、G10エポキシのような非磁性物質で一体型に形成される。前記固定ブロック12は、前記SQUIDセンサモジュール取付板120に形成された貫通ホールに挿入されて、ナットを通じて固定される。
【0150】
前記信号線連結PCB16は中心に四角形貫通ホールを含む四角板状であり、前記信号線連結PCB16が前記固定ブロック12の外周面に結合する。前記信号線連結PCB16はコネクタを含む。コネクタは信号線を通じて外部回路と連結される。
【0151】
SQUIDプリント回路基板18は、前記固定ブロック12の側面にそれぞれ配置される。前記検出コイル11a、11b、11cは超伝導体材質の連結線を通じて前記SQUIDセンサ13に電気的に連結される。前記連結線はNb材質を有する。
【0152】
SQUIDプリント回路基板18はPCB基板上に配置されたSQUIDセンサ18及びコネクタを含む。前記SQUIDセンサ18は半導体チップ形態である。
【0153】
グラジオメータを使えば磁力計に比べて低い遮蔽率を有する磁気シールドルームで高いSNRを有する信号を獲得する。しかし、グラジオメータの長さが磁力計に比べてはるかに長いため、グラジオメータ装置が占める体積も増加して常温から流入する輻射熱を受ける面積も増加する。これによって低温冷媒の蒸発率が大幅に増加する。グラジオメータのボビンは、熱容量を最小化するために互いに離隔された下部ボビン14b及び前記下部ボビン14b、並びに角にそれぞれ配置されたボビン連結柱14cを含む。
【0154】
以上、本発明を特定の好ましい実施例に対して図示して説明したが、本発明はこのような実施例に限らず、当該発明の属する技術分野における通常の知識を有する者が特許請求の範囲で請求する本発明の技術的思想を逸脱しない範囲内で実施できる多様な形態の実施例を全て含む。
【図面の簡単な説明】
【0155】
本開示は、添付の図面および付随する詳細な説明を考慮して、より明らかになるであろう。 そこに示されている実施形態は、限定ではなく例として提供されており、同様の参照番号は同じまたは類似の要素を指す。 図面は必ずしも縮尺通りではなく、代わりに本開示の態様を示すことに重点が置かれている。
【
図1】本発明の一実施例による磁場測定装置を説明する概念図である。
【
図2】本発明の一実施例による磁場測定装置を説明する概念図である。
【
図3】
図1の磁場測定装置で内部容器の下部面を眺めた平面図である。
【
図4】
図1の磁場測定装置のサーマルアンカを説明する斜視図である。
【
図5A】
図1の磁場測定装置のSQUIDセンサモジュール取付板の上部平面図である。
【
図5B】
図1の磁場測定装置のSQUIDセンサモジュール取付板の下部平面図である。
【
図6】
図5AのA-A’線に沿って切った断面図である。
【
図7】
図5AのB-B’線に沿って切った断面図である。
【
図8】
図5AのC-C’線に沿って切った断面図である。
【
図9】
図1の補助サーマルアンカを表す斜視図である。
【
図10】本発明の一実施例によるメインサーマルアンカを表す断面図である。
【
図11】本発明の他の実施例による磁場測定装置を説明する概念図である。
【
図12】
図11のSQUIDセンサ取付板を説明する斜視図である。
【
図13】本発明の他の実施例による磁場測定装置を説明する概念図である。
【
図15】本発明の一実施例によるSQUIDセンサモジュールを説明する斜視図である。
【
図16】
図15のSQUIDセンサモジュールのグラジオメータの検出コイルを説明する斜視図である。