(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-17
(45)【発行日】2024-10-25
(54)【発明の名称】移動通信基地局アンテナの指向方向を管理する方法及びシステム
(51)【国際特許分類】
H01Q 3/08 20060101AFI20241018BHJP
【FI】
H01Q3/08
(21)【出願番号】P 2023532681
(86)(22)【出願日】2021-12-03
(86)【国際出願番号】 KR2021018276
(87)【国際公開番号】W WO2022119400
(87)【国際公開日】2022-06-09
【審査請求日】2023-05-30
(31)【優先権主張番号】10-2020-0168992
(32)【優先日】2020-12-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(31)【優先権主張番号】10-2021-0172002
(32)【優先日】2021-12-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】508112782
【氏名又は名称】ケーエムダブリュ・インコーポレーテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110001586
【氏名又は名称】弁理士法人アイミー国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】イン ホ キム
(72)【発明者】
【氏名】へ ソプ キム
(72)【発明者】
【氏名】ミン ソン ユン
(72)【発明者】
【氏名】ジェ ウ チェ
(72)【発明者】
【氏名】ジュ フン リ
(72)【発明者】
【氏名】ヨン ジ ホン
(72)【発明者】
【氏名】ムン キュ パク
(72)【発明者】
【氏名】クン ウ キム
【審査官】麻生 哲朗
(56)【参考文献】
【文献】特表2012-500548(JP,A)
【文献】特表2020-530104(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2009/0141179(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01Q 3/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
移動通信基地局アンテナの指向方向を制御するための方向制御装置を含むアンテナ管理システムであって、前記方向制御装置は、
計測装置からアンテナ装置の空間方向情報又は前記アンテナ装置が指向する全景をキャプチャしたビデオデータを受信するデータ受信部、及び、
前記空間方向情報及び前記ビデオデータのうちの少なくとも一方を用い、前記アンテナ装置が予め設定された目標空間方向を有するように前記アンテナ装置のティルティング及びステアリング手段を制御する制御部を含
み、
前記空間方向情報は、前記計測装置が検出した太陽光の入射角に基づいて測定されたものであり、
前記制御部は、
前記空間方向情報の測定が不可の場合に、前記ビデオデータを補助的に利用して前記アンテナ装置の指向方向の変動をモニタリングし、
前記指向方向の変動を感知することに応答し、前記アンテナ装置が前記目標空間方向を有するように前記ティルティング及びステアリング手段を制御するように構成され、
前記制御部は、
前記アンテナ装置の空間方向情報が予め設定された目標空間方向情報と一致する状況で、前記ビデオデータのイメージフレームを基準イメージとして予め保存し、
前記計測装置によってリアルタイムに生成されるビデオデータから取得したイメージフレームと前記基準イメージとを比較することで、前記アンテナ装置の指向方向の変動をモニタリングすることを特徴とする、アンテナ管理システム。
【請求項2】
前記制御部は、
前記空間方向情報と予め設定された目標空間方向情報との差に基づき、アンテナ装置の指向方向の変動をリアルタイムでモニタリングし、
前記指向方向の変動を感知することに応答し、前記アンテナ装置が前記目標空間方向を有するように前記ティルティング及びステアリング手段を制御するように構成されたことを特徴とする、請求項1に記載のアンテナ管理システム。
【請求項3】
前記方向制御装置は、
複数の場所に設置されたアンテナ装置を管理する遠隔監視システム、基地局オペレータが携帯するRTS制御用携帯制御器、及び前記アンテナ装置に搭載された制御回路のうちのいずれかであることを特徴とする、請求項1に記載のアンテナ管理システム。
【請求項4】
移動通信基地局アンテナの指向方向を制御するための方向制御装置を含むアンテナ管理システム上で前記方向制御装置によって行われるアンテナ管理方法であって、
計測装置からアンテナ装置の空間方向情報又は前記アンテナ装置が指向する全景をキャプチャしたビデオデータを受信するステップ、及び、
前記空間方向情報及び前記ビデオデータのうちの少なくとも一方を用い、前記アンテナ装置が予め設定された目標空間方向を有するように前記アンテナ装置のティルティング及びステアリング手段を制御するステップを含
み、
前記空間方向情報は、前記計測装置が検出した太陽光の入射角に基づいて測定されたものであり、
前記制御するステップは、さらに、
前記空間方向情報の測定が不可の場合に、前記ビデオデータを補助的に利用して前記アンテナ装置の指向方向の変動をモニタリングするステップ、及び、
前記指向方向の変動を感知することに応答し、前記アンテナ装置が前記目標空間方向を有するように前記ティルティング及びステアリング手段を制御するステップを含み、
前記制御するステップは、さらに、
前記アンテナ装置の空間方向情報が予め設定された目標空間方向情報と一致する状況で、前記ビデオデータのイメージフレームを基準イメージとして予め保存するステップ、及び、
前記計測装置によってリアルタイムに生成されるビデオデータから取得したイメージフレームと前記基準イメージとを比較することで、前記アンテナ装置の指向方向の変動をモニタリングするステップを含むことを特徴とする、アンテナ管理方法。
【請求項5】
前記制御するステップは、さらに、
前記空間方向情報と予め設定された目標空間方向情報との差に基づき、アンテナ装置の指向方向の変動をリアルタイムでモニタリングするステップ、及び、
前記指向方向の変動を感知することに応答し、前記アンテナ装置が前記目標空間方向を有するように前記ティルティング及びステアリング手段を制御するステップを含むことを特徴とする、
請求項4に記載のアンテナ管理方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はアンテナに関し、特にアンテナの指向方向に関する情報をモニタリングし、それを調整することができる移動通信基地局アンテナの指向方向を管理する方法及びシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
以下に説明される内容は、単に本開示の実施例に関連される背景情報のみを提供するだけであり、従来技術を構成するものではない。
【0003】
移動通信基地局(mobile communication base station)に設置されるアンテナ(antenna)の位置及び角度は、精密な設計に従って決定されなければならない。通常、アンテナの設置位置は、カバレッジ(coverage)及びトラフィック(traffic)を考慮した網設計(network design)の結果によって決定される。アンテナの指向角は、ビームの水平方向成分のセクタ指向角度を考慮して決定される。アンテナのティルティング角度は、ビームの垂直方向成分のティルティング角度を考慮して決定される。アンテナの指向角とティルティング角度はテストを経てアンテナが設置されている場所の電波環境に適するように最適化される。
【0004】
5G 3.5GHz周波数帯域の無線信号は、電波直進性が強い特性を有する。したがって、計画されたサービスカバレッジを確保するために、アンテナは予め設計されたアンテナ方位角を有するように設置されなければならない。今後、アンテナを増設する際にも一貫された指標を基準に設計及び最適化を遂行してこそサービス品質を確保できるようになる。特に、周波数帯域が高くなるほど電波の直進性が増加するため、アンテナ設置における方位角誤差を最小化する設計を行わなければいけない。
【0005】
無線環境の変化に対応して予め設置されたアンテナのティルティング角度及び指向角度は再調整されなければならない場合がある。例えば、強風などのような外部環境によってアンテナを支持する柱(mast)の傾きが変わり得る。あるいは、アンテナと柱を結合するためのクランプ(clamp)が水平方向にねじれるケースが発生する場合もある。アンテナのティルティング角度又は指向角度が歪んでいる場合、作業者が現場でデュアルGPS方式の高価な計測器を用いて方向測定及び整列作業を行わなければならないという問題がある。
【0006】
したがって、移動通信基地局の現場に作業者を投入することなくてもアンテナの空間方向情報を計測し、アンテナが目標空間方向を有するようにアンテナのティルティング角度及び指向角度を調整する機能が必要である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本開示の一側面によると、リアルタイムで移動通信基地局アンテナの指向方向を計測し、目標指向方向を有するようにアンテナを制御するアンテナ管理方法及びシステムを提供することに主な目的がある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本開示の一実施例によると、移動通信基地局アンテナの指向方向を制御するための方向制御装置を含むアンテナ管理システムであって、前記方向制御装置は、計測装置からのアンテナ装置の空間方向情報又は前記アンテナ装置が指向する全景をキャプチャしたビデオデータを受信するデータ受信部、及び、前記空間方向情報及び前記ビデオデータのうちの少なくとも1つを用い、前記アンテナ装置が予め設定された目標空間方向を有するように前記アンテナ装置のティルティング及びステアリング手段を制御する制御部を含む、アンテナ管理システムを提供する。
【0009】
本開示の他実施例によると、移動通信基地局アンテナの指向方向を制御するための方向制御装置を含むアンテナ管理システム上で前記方向制御装置によって実行されるアンテナ管理方法であって、計測装置からアンテナ装置の空間方向情報又は前記アンテナ装置が指向する全景をキャプチャしたビデオデータを受信するステップ、及び、前記空間方向情報及び前記ビデオデータのうちの少なくとも1つを用い、前記アンテナ装置が予め設定された目標空間方向を有するように前記アンテナ装置のティルティング及びステアリング手段を制御するステップを含む、アンテナ管理方法を提供する。
【0010】
本開示のまた他の実施例によると、移動通信基地局アンテナの指向方向を測定するための計測装置を含むアンテナ管理システムであって、アンテナ装置のハウジングに取り付けられる前記計測装置は、前記アンテナ装置のティルティング及びステアリング手段を制御するための方向制御装置又は前記アンテナ装置とデータを送受信する通信部と、太陽光の入射角を検出して前記アンテナ装置の空間方向情報を測定する方向計測部、及び、前記アンテナ装置が指向する全景をキャプチャしたビデオデータを生成するイメージ生成部とを含む、アンテナ管理システムを提供する。
【発明の効果】
【0011】
本開示の一実施例によると、計測装置及び方向制御装置を用いてアンテナの空間方向を計測及び制御するので、現場に作業者を投入しなくても基地局設備をメンテナンスできる効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】
図1は、本開示の一実施例に係るアンテナ管理システムを説明するための概念図である。
【
図2a】
図2aは、本開示の一実施例に係る計測装置のハードウェアを説明するための例示図である。
【
図2b】
図2bは、本開示の一実施例に係る計測装置の側断面図である。
【
図3】
図3は、本開示の一実施例に係る計測装置を説明するためのブロック構成図である。
【
図4】
図4は、本開示の一実施例に係る方向制御装置がRPCとの通信に基づいてアンテナを制御する実施例を説明するための例示図である。
【
図5a】
図5aは、本開示の一実施例に係る計測装置によって生成されたビデオデータを用いてアンテナ装置をモニタリングする実施例を説明するための例示図である。
【
図5b】
図5bは、本開示の一実施例に係る計測装置によって生成されたビデオデータを用いてアンテナ装置をモニタリングする実施例を説明するための例示図である。
【
図6】
図6は、本開示の一実施例に係る計測装置がビデオデータを遠隔監視システムに送信する実施例を説明するための例示図である。
【
図7】
図7は、本開示の一実施例に係る方向制御装置によって実行されるアンテナ管理方法が含む各ステップを説明するためのフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の一部の実施例を例示的な図面を通して詳しく説明する。各図面の構成要素に参照符号を付加するにあたり、同一の構成要素に対しては、たとえ他の図面に表示されても可能な限り同一の符号を有するようにしていることに留意しなければならない。なお、本発明の実施例を説明するに当たり、関連された公知の構成又は機能についての具体的な説明が本発明の要旨を不明瞭にすると判断される場合には、その詳しい説明は省く。
【0014】
また、本発明の構成要素を説明するにあたり、第1、第2、A、B、(a)、(b)などの用語を用いる場合がある。このような用語は、その構成要素を他の構成要素と区別するのに留まり、その用語によって当該構成要素の性質や順番、又は順序などが限定されない。明細書全体にて、ある部分がある構成要素を「含む」、「備える」すると言うとき、これは、特に逆の記載がない限り、他の構成要素を除外するのではなく、他の構成要素をさらに含み得ることを意味する。また、明細書に記載された「…部」、「モジュール」などの用語は、少なくとも1つの機能や動作を処理する単位を意味し、これはハードウェアやソフトウェア、又はハードウェア及びソフトウェアの組み合わせで具現される。
【0015】
本発明は、アンテナ装置の3次元空間方向情報(3D spatial orientation information)をリアルタイムで測定し、空間方向情報に基づいてアンテナ装置の方向を遠隔でモニタリング及び制御することに関する。本発明は、アンテナ装置の3次元空間方向情報を測定するために、デュアルGPS方式の高価な計測器と比べて安価でありながらも誤差率が少ない計測装置を利用する。本開示の計測装置は、アンテナのサイズと比較してサイズが小さいので、アンテナ上に設置するのに容易な利点がある。計測装置はアンテナ装置の3次元空間方向情報を計測するため、ビームナビゲータ(BN:Beam Navigator)と称する。
【0016】
添付された図面と共に以下に開示される詳しい説明は、本開示の例示的な実施形態を説明することを意図するものであり、本開示が実施され得る唯一の実施形態を示そうとするものではない。
【0017】
図1は本開示の一実施例に係るアンテナ管理システムを説明するための概念図である。
【0018】
本開示の一実施例に係るアンテナ管理システム10は、計測装置100及び方向制御装置102の全部又は一部を含む。
【0019】
計測装置100は、太陽光の入射角を検出してアンテナ装置104の空間方向情報を測定する装置である。計測装置100は、アンテナ装置104のハウジング(housing)に取り付けられ、アンテナ装置104が指向する全景をキャプチャしたビデオデータ(video data)を生成する。測定された空間方向情報及び、キャプチャされたビデオデータについては、
図3で後述する。
【0020】
方向制御装置102は、アンテナ装置104が目標空間方向(target spatial orientation)を有するように、アンテナ装置104に備えられたティルティング及びステアリング手段(Tilting & Steering means)を制御するための装置である。一実施例で、ティルティング及びステアリング手段は、アンテナ装置104を支持する柱とアンテナ装置104をつなぐクランプ装置として具現される。例えば、方向制御装置102は、計測装置からアンテナ装置104の空間方向情報又はアンテナ装置104が指向する全景をキャプチャしたビデオデータを受信するデータ受信部(図示せず)及び空間方向情報及びビデオデータのうちの少なくとも1つを用い、アンテナ装置104が予め設定された目標空間方向を有するようにアンテナ装置104のティルティング及びステアリング手段を制御する制御部(図示せず)を含む。方向制御装置102は、アンテナ装置104の現在指向方向と目標空間方向との間の誤差を測定するために、計測装置100によって測定された空間方向情報とビデオデータのうちの少なくとも一方を利用する。一実施例では、方向制御装置102は、アンテナ装置104に含まれる制御回路(control circuit)として具現される。他の実施例で、方向制御装置102は、複数のサイトに設置されたアンテナ装置104を管理する遠隔監視システム(RAD:Remote Administrator、以下「RAD」)の一部として具現される。さらに別の実施例で、方向制御装置102は、基地局オペレータ(base station operator)によって所持されるRTS制御用携帯制御器(RPC:RTS Portable Controller、以下「RPC」)として具現されてもよい。RAD及びRPCの動作に関する実施例は、
図4及び
図6で後述する。
【0021】
本開示の一実施例に係る計測装置のハードウェアを説明するための例示図である。
【0022】
図2aを参照すると、計測装置100の一部の構成のみを分離した分解斜視
図20が図示されている。計測装置100のハウジングは、保護キャップ(protection cap)210、ボディ(body)220、及びカメラカバー(camera cover)230を含む。
図2aに図示された保護キャップ210、ボディ220、及びカメラカバーは、計測装置100の外観を説明するための例示的な図であり、具体的な計測装置100の外観は、本開示の実施例によって多様に変更される。
【0023】
図2bを参照すると、計測装置100の側面断面
図22が図示されている。計測装置100の内部は、少なくとも光センサ(photo sensor)212、マザーボード(mainboard)222、サージボード(surge board)224、制御ケーブル(control cable)226及びカメラモジュール(camera module)232を含む。一実施例で、計測装置100は、計測装置100の設置位置に対応するアンテナ装置104のGPS情報を提供するGPSモジュール(図示せず)をさらに含む。
【0024】
図2aを参照すると、複数の光センサ212は、保護キャップ210で囲まれた半球(half-sphere)形状を有する構造体の球面上で互いに指向方向(orientation direction)を別々に配置し、太陽光の光量を測定する。それぞれの光センサ212は、太陽光入射角を検出するために、垂直方向の所定の角度を間隔にして配置される。それぞれの光センサ212は、アンテナ装置104の方位を判断するために水平方向の所定の角度を間隔にして配置される。
図2aに図示したように、複数の光センサ212が半球形状を有する構造体の球面上に配置されることで、計測装置100は方位角(azimuth)、傾き(tilt)、及びねじれ(roll)を要素として有する3次元空間方向情報を計測できるようになる効果がある。
【0025】
マザーボード222は、計測装置100に含まれるそれぞれのモジュールによって収集されたデータを処理し、それぞれのモジュールを制御する。サージボード224は、過電圧による計測装置100の誤動作及び欠陥を防止する。カメラモジュール232は、計測装置100が設置されたアンテナ装置104が指向する全景をキャプチャする。GPSモジュールは、ビームナビゲータが設置された現在位置の緯度と経度を測定できる。
【0026】
図3は、本開示の一実施例に係る計測装置を説明するためのブロック構成図である。
【0027】
本開示の一実施例に係る計測装置100は、通信部(communications unit)300、方向計測部(direction measuring unit)302、イメージ生成部(image generating unit)304及び保存部(memory)306の全部又は一部を含む。
図3に図示された計測装置20は、本開示の一実施例に係るものであり、
図3に図示された全てのブロックが必須の構成要素ではなく、他の実施例で計測装置100に含まれた一部のブロックが追加、変更、又は削除される。方向計測部302及びイメージ生成部304は、マザーボード222に含まれたプロセッサ(processor)によって具現される論理的構成である。
【0028】
以下、
図3を参照し、計測装置100に含まれるそれぞれの構成について説明する。
【0029】
通信部300は、外部ネットワークへのアクセスを提供する。例えば、 遠隔監視システム400は、通信部300を介して方向制御装置102又はアンテナ装置104とデータを送受信する。一実施例で、制御ケーブル226は通信部300の一部として動作する。計測装置100は、制御ケーブル226を介して外部装置と測定データ及び制御データを送受信する。
【0030】
方向計測部302は、複数の光センサ212によって測定された出力情報に基づいて太陽光の入射角を算出する。方向計測部302は、算出された太陽光の入射角、GPSモジュールによって収集された単一のGPS情報、太陽光の光量を測定した日時に基づき、アンテナ装置104の方位角を算出する。ここで、方向計測部302が算出する方位角は、絶対方位角(absolute azimuth)又は絶対水平方位角(absolute horizontal azimuth)である。ここで、単一のGPS情報は、計測装置100が設置された位置の緯度及び経度を含む。方向計測部302は、IMUセンサ(Inertial Measurement Unit sensor)を用いてアンテナ装置104の傾き(tilt)及びねじれ(roll)をリアルタイムで測定することができる。一方、GPS装置及びセンサを用いて方位角、傾き及びねじれを測定する方法に関しては、韓国公開特許2018-0023198号等に開示されている。
【0031】
方向計測部302は、太陽光を検出できない気象環境の場合に、アンテナ装置104の方位角を計測するためにモーションセンサ(motion sensor)を用いてアンテナ装置104の位置変化量を追跡する。例えば、モーションセンサは、位置変化量を検出する変位センサ(displacements sensor)であってもよいが、モーションセンサの具体的な種類はこれに限定されない。方向計測部302は、算出した測定した方位角、傾き及びねじれをそれぞれの要素として有する3次元空間方向情報を出力する。一実施例で、方向計測部302は、複数の光センサ212を含む光センサモジュール(photo sensor module)及びマザーボード222の一部として具現される。
【0032】
方向計測部302によって出力される例示的な測定データは表1の通りである。ここで、測定データは緯度及び経度を含む。表1にて、公差(tolerance)は、グーグルマップ(Google Map)で提供される緯度及び経度と比べ、方向計測部302による測定データ間の差を意味する。
【0033】
【0034】
方向計測部302によって実際の移動通信基地局現場で測定された例示的な方位角データは表2の通りである。表2にて、エラー(error)は、グーグルマップから提供される方位角と比べての、方向計測部302によって測定された方位角との差を表す。
【0035】
【0036】
イメージ生成部304は、計測装置100が設けられたアンテナ装置104が指向する全景をキャプチャしたイメージ(image)又はビデオデータを生成する。方向制御装置102は、イメージ生成部304によって生成されたビデオデータを用いてアンテナ装置104の指向方向の変動をモニタリングする。イメージ生成部304は、カメラモジュール232及びマザーボード222の一部として具現される。
【0037】
保存部306は、プロセッサに対して本発明の一実施例に係る移動通信基地局アンテナの指向方向制御方法を実行するようにするプログラムを保存する。例えば、プログラムは、プロセッサによって実行可能な(executable)複数の命令語を含み、複数の命令語がプロセッサによって実行されることで、測位データベースアップデート方法が実行される。保存部306は、揮発性メモリ及び不揮発性メモリのうちの少なくとも一つを含む。揮発性メモリはSRAM(Static Random Access Memory)又はDRAM(Dynamic Random Access Memory)などを含み、不揮発性メモリはフラッシュメモリ(flash memory)などを含む。
【0038】
図4は、本開示の一実施例に係る方向制御装置がRPCとの通信に基づいてアンテナを制御する実施例を説明するための例示図である。
【0039】
図4の例示
図40を参照すると、遠距離の基地局にそれぞれ配置されたアンテナ104及び少なくとも1つのアンテナ104を制御するRPC402が図示されている。一実施例で、アンテナ104は柱404によって支持され、方向制御装置102はアンテナ104と柱404との間に配置される。別の実施例で、方向制御装置102はアンテナの一部として具現され、アンテナ104を支持するクランプ装置を制御してもよい。
【0040】
計測装置100は、リアルタイムで測定されるアンテナ装置104の3次元空間方向情報を測定する。方向制御装置102は、空間方向情報に基づき、アンテナ装置104に備えられた遠隔ティルティング及びステアリング手段(以下、「RTSモジュール」)を制御する。具体的には、方向制御装置102は、遠隔でアンテナ装置104の傾き及びステアリング(steering)をモニタリングし、アンテナ装置104が目標空間方向を有するように整列する。アンテナ装置104の角度を変更するためのアンテナ用クランプ装置及び制御方法は、当該技術分野で知られており、具体的な説明は省く。
【0041】
図4を参照すると、RPC402は、計測装置100によって測定された複数のアンテナ装置104の現在の空間方向情報を受信する。
図4の実施例で、アンテナ装置104のティルティング角度及び指向角度を制御するための方向制御装置102は、RAD400又はRPC402として具現される。一実施例で、RPC402は、計測装置100と有線通信又は無線通信を用いてデータを送受信する。別の実施例で、RPC402は、RTS機能を提供するためのRTSモジュールと無線あるいは有線でつながれる。例えば、RPC402は、LAN(Local Area Network)又はWAN(Wide Area Network)を用いて有線通信を行う。RPC402は、セルラーネットワーク又はWi-Fiネットワークを介して無線通信を実行する。しかしながら、RPC402が利用する無線又は有線通信網の具体的な種類はこれに限定されない。基地局オペレータは、アンテナ装置104の設置又はメンテナンスの現場でRPC402を用いて受信した空間方向情報を確認し、それぞれのアンテナ装置104の現在指向方向が最初に設計した目標空間方向と一致するか否かを検証する。別の実施例で、RPC402は、複数のアンテナ装置104の現在の空間方向情報に基づき、それぞれのアンテナ装置104が目標空間方向を有するようにするための制御データ(control data)を生成する。RPC402は、制御データをアンテナ装置104のRTSモジュールに送信することで、アンテナ装置104のティルティング角度及び指向角度を制御することができる。RPC402、計測装置100、及びRTSモジュールは、AISGプロトコル(Antenna Interface Standards Group protocol)に従って測定データ及び制御データを互いに送受信する。AISGプロトコルは、アンテナの制御方式に関する相互接続性を確保するために標準化された規格であり、当該技術分野で既に知られており、詳しい説明は省く。
【0042】
図5は、本開示の一実施例に係る計測装置によって生成されたビデオデータを用いてアンテナ装置をモニタリングする実施例を説明するための例示図である。
【0043】
図5aを参照すると、中央制御センター(Central Control Center)に配置された遠隔監視システム400は、複数の場所に設置されたアンテナ装置104から計測装置100によって生成された空間方向情報及びビデオデータを、AISGプロトコルを介して受信する。中央制御センターの管理者は、ディスプレイ500を介して提供されるビデオデータを用いてそれぞれの基地局に位置するアンテナ装置104が指向している全景をモニタリングすることができる。さらに、管理者は、それぞれのアンテナ装置104のGPS座標及び空間方向座標をモニタリングすることができる。
【0044】
図5bを参照すると、運営管理センター(Operation&Management Center)502は、複数のサイトに設置されたアンテナ装置104に配置された計測装置100によって生成された情報を受信する。計測装置100によって生成された情報は、方位角、傾き、ねじれ、アンテナ装置104が指向する全景をキャプチャしたビデオデータ、及びGPS情報を含む。GPS情報は、アンテナ装置104の緯度、経度及び高度を含む。具体的には、計測装置100によって生成された情報は、光ファイバ(optic fiber)504及びDU(Digital Unit)506を経由し、AISGプロトコルを介してコアネットワーク(Core Network)508に送信される。コアネットワーク508につながった運営管理センター502は、通信網管理システムとしてアンテナ装置104の指向方向の変動をリアルタイムでモニタリングすることができる。
【0045】
図6は、本開示の一実施例に係る計測装置がビデオデータを遠隔監視システムに送信する実施例を説明するための例示図である。
【0046】
図6を参照すると、遠隔監視システム400は有線又は無線通信を用いてアンテナ装置104の現在の空間方向情報を受信する。
図6の実施例で、アンテナ装置104のティルティング角度及び指向角度を制御するための方向制御装置102は、遠隔監視システム400として具現される。遠隔監視システム400は、現在の空間方向情報と目標空間方向情報との間の差に基づき、アンテナ装置104のRTSモジュールを制御することができる。すなわち、遠隔監視システム400は、外部環境によるアンテナ装置104の指向方向の変動をリアルタイムで感知し、アンテナ装置104が目標指向方向を有するようにRTSモジュールを自動的に制御することができる。
【0047】
別の実施例で、遠隔監視システム400は、アンテナ装置104の空間方向情報なしでアンテナ装置104の指向方向の変動をモニタリング及び制御する。例えば、計測装置100がアンテナ装置104の空間方向情報を測定できない異例の状況を仮定することができる。異例の状況は、太陽光が入射されない夜間、太陽光の光量がわずかな悪天候、又は光センサ212に故障が発生した状況である。遠隔監視システム400は、アンテナ装置104の空間方向情報に基づく指向方向モニタリングが不可能な場合に、計測装置100によって生成されたビデオデータを補助的に利用する。遠隔監視システム400は、ビデオデータに基づいてアンテナ装置104の指向方向の変動をモニタリングし、アンテナ装置104のティルティング角度及び指向角度を制御することができる。例えば、遠隔監視システム400は、計測装置100によって測定されたアンテナ装置104の空間方向情報が目標空間方向情報と一致する状況で撮影されたビデオデータのイメージフレームを基準イメージとして保存する。以後、計測装置100による空間方向情報の測定が不可の場合に、遠隔監視システム400は、アンテナ装置104が指向している全景をキャプチャしたビデオストリームから取得されるイメージフレームと基準イメージを比較する。具体的に、遠隔監視システム400は、リアルタイムで受信されるイメージフレームの中央が基準イメージの中央と一致するようにアンテナ装置104のRTSモジュールを制御することによって指向方向の変動を感知する。
【0048】
本開示の別の実施例で、遠隔監視システム400は、基地局アンテナ装置104から電波が伝送される経路上の無線環境の変化に対応し、遠隔でアンテナ装置104のティルティング角度及び指向角を調整することもできる。ここで、無線環境の変化とは、建物の新築、宅地の開発、又は地形の変化による無線通信環境の変化を意味する。
【0049】
本開示の他の実施例で、遠隔監視システム400は、計測装置100によって測定された空間方向情報をベースバンド処理ユニット(BBU:Base-Band Unit)に提供することができる。実際のアンテナビーム方向に関する正確な情報である空間方向情報は、網の最適化のためのソリューションに用いられる。移動通信事業者は、本開示に係る計測装置100によって測定された空間方向情報を介してアンテナビーム方向を確認する。移動通信事業者は、遠隔でRTSモジュールを用いて所望のアンテナビーム方向を整列させることで、より精密な網の最適化ソリューションを構築できるようになる効果がある。
【0050】
別の実施例で、方向制御装置102はアンテナ装置104の制御回路として具現される。制御回路は、計測装置100からアンテナ装置104の現在の空間方向情報を受信する。制御回路には、現在の空間方向情報と目標空間方向情報との差に基づき、アンテナ装置104のRTSモジュールを自動的に制御するアルゴリズムが搭載される。すなわち、アンテナ装置104の制御回路は、外部要因によるアンテナ装置104の指向方向の変動をリアルタイムで感知し、アンテナ装置104が目標指向方向を有するように自動的に復旧する機能を提供する。
【0051】
図7は、本開示の一実施例に係る方向制御装置によって実行されるアンテナ管理方法が含む各ステップを説明するためのフローチャートである。
【0052】
以下、
図7を参照してアンテナ管理方法が含む各ステップを説明する。一方、
図1ないし
図6と重複する説明は省く。
【0053】
方向制御装置102に含まれたデータ受信部は、計測装置100からアンテナ装置104の空間方向情報又はアンテナ装置104が指向する全景をキャプチャしたビデオデータを受信する(S700)。
【0054】
方向制御装置102に含まれた制御部は、空間方向情報とビデオデータのうちの少なくとも一方を用い、アンテナ装置104が予め設定された目標空間方向を有するようにアンテナ装置104に備えられたティルティング及びステアリング手段を制御する(S702)。
【0055】
フローチャートではそれぞれのステップを順次実行することを記載しているが、これは本発明の一部の実施例の技術的思想を例示的に説明したものにすぎない。言い換えれば、本発明の一部の実施例が属する技術分野において通常の知識を有する者であれば、本発明の一部の実施例の本質的な特性から逸脱しない範囲でフローチャートに記載された手順を変更して実行する、もしくはそれぞれのステップのうちの1つ以上のステップを並列に実行することで様々に修正及び変形して適用可能であるので、フローチャートは時系列的な順序として限定されない。
【0056】
本明細書で説明される装置及び方法の様々な具現例は、デジタル電子回路、集積回路、FPGA(Field Programmable Gate Array)、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)、コンピュータハードウェア、ファームウェア、ソフトウェア、及び/又はこれらの組み合わせで具現される。このような様々な具現例は、プログラマブルシステム上で実行可能な1つ以上のコンピュータプログラムで具現されることを含み得る。プログラマブルシステムは、ストレージシステム、少なくとも1つの入力デバイス、そして少なくとも1つの出力デバイスからデータ及び命令を受信し、これらにデータ及び命令を伝送するように結合された少なくとも1つのプログラマブルプロセッサ(これは特殊目的プロセッサであったり、あるいは汎用プロセッサであったりする)を含む。コンピュータプログラム(これはまた、プログラム、ソフトウェア、ソフトウェアアプリケーション、あるいはコードとして知られている)は、プログラマブルプロセッサに対する命令語を含み、「コンピュータが読み取り可能な記録媒体」に保存される。
【0057】
コンピュータが読み取り可能な記録媒体は、コンピュータシステムによって読み取ることができるデータが保存されるあらゆる種類の記録装置を含む。このようなコンピュータで読み取り可能な記録媒体は、ROM、CD‐ROM、磁気テープ、フロッピーディスク、メモリカード、ハードディスク、光磁気ディスク、ストリッジデバイスなどの不揮発性(non-volatile)又は非一時的(non-transitory)媒体又はデータ伝送媒体(data transmission medium)のような一時的な(transitory)媒体をさらに含んでもよい。また、コンピュータが読み取り可能な記録媒体は、ネットワークにつながったコンピュータシステムに分散され、分散方式でコンピュータが読み取り可能なコードが保存されて実行されてもよい。
【0058】
本明細書で説明される装置及び方法の様々な具現例は、プログラマブルコンピュータによって具現される。ここで、コンピュータは、プログラマブルプロセッサ、データ保存システム(揮発性メモリ、不揮発性メモリ、又は他の種類の保存システムやこれらの組み合わせを含む)、及び少なくとも1つのコミュニケーションインターフェースを含む。例えば、プログラマブルコンピュータは、サーバ、ネットワーク機器、セットトップボックス、組み込み型デバイス、コンピュータ拡張モジュール、パーソナルコンピュータ、ラップトップ、PDA(Personal Data Assistant)、クラウドコンピューティングシステム、又はモバイルデバイスのうちの1つである。
【0059】
以上の説明は、本発明の技術思想を例示的に説明したものに過ぎず、本発明の実施例は、本実施例の技術思想を限定するものではなく説明するためのものであり、このような実施例によって本実施例の技術思想範囲が限定されるわけではない。本実施例の保護範囲は特許請求の範囲によって解釈されるべきであり、それと同等の範囲内にあるすべての技術思想は、本実施例の権利範囲に含まれるものと解釈されるべきである。
【0060】
CROSS-REFERENCE TO RELATED APPLICATION
本特許出願は、2020年12月4日付にて韓国に出願した特許出願番号10‐2020‐0168992号、及び2021年12月3日付にて韓国に出願した特許出願番号10‐2021‐0172002号に対して米国特許法119(a)条(35U.S.C§119(a))に従って優先権を主張し、そのすべての内容は参考文献として本特許出願に併合される。なお、本特許出願は米国以外に国家に対しても上記と同じ理由で優先権を主張し、そのすべての内容は参考文献として本特許出願に併合される。
【符号の説明】
【0061】
100 計測装置 102 方向制御装置
104 アンテナ装置 300 通信部
302 方向計測部 304 イメージ生成部
306 保存部 400 遠隔監視システム
402 RTS制御用携帯制御器 500 ディスプレイ