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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-17
(45)【発行日】2024-10-25
(54)【発明の名称】表示装置
(51)【国際特許分類】
   G09F 9/33 20060101AFI20241018BHJP
   G09F 9/30 20060101ALI20241018BHJP
   H01L 33/00 20100101ALI20241018BHJP
   H01L 33/04 20100101ALI20241018BHJP
   H01L 33/64 20100101ALI20241018BHJP
【FI】
G09F9/33
G09F9/30 310
G09F9/30 338
G09F9/30 348A
H01L33/00 J
H01L33/00 L
H01L33/04
H01L33/64
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2023535155
(86)(22)【出願日】2022-05-13
(86)【国際出願番号】 JP2022020279
(87)【国際公開番号】W WO2023286434
(87)【国際公開日】2023-01-19
【審査請求日】2023-11-27
(31)【優先権主張番号】P 2021115079
(32)【優先日】2021-07-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】502356528
【氏名又は名称】株式会社ジャパンディスプレイ
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】池田 雅延
【審査官】石本 努
(56)【参考文献】
【文献】特開2020-012972(JP,A)
【文献】国際公開第2019/215537(WO,A1)
【文献】特開2009-060148(JP,A)
【文献】特開2013-074171(JP,A)
【文献】特開2011-134546(JP,A)
【文献】特表2021-506108(JP,A)
【文献】国際公開第2013/114495(WO,A1)
【文献】特開2021-036553(JP,A)
【文献】特開2002-185044(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G09F9/00-9/46
H01L25/00-25/07
25/10-25/11
25/16-25/18
33/00-33/64
H05B33/00-33/28
44/00
45/60
H10K50/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板と、
前記基板の主面に設けられ、窒化アルミニウムを含む放熱層と、
前記基板の主面側で、前記放熱層の上に直接接して設けられた複数の発光素子と、
前記放熱層を覆う絶縁膜と、
前記基板の表示領域の外側の周辺領域で前記絶縁膜の上に設けられ、前記発光素子のカソードに電気的に接続されるカソード配線と、を有し、
前記放熱層は、複数の前記発光素子と重なる領域から前記周辺領域に亘って連続して設けられ、
前記絶縁膜には、前記基板の主面と垂直な方向からの平面視で、前記カソード配線及び前記放熱層と重なるコンタクトホールが設けられる
表示装置。
【請求項2】
前記発光素子は、前記放熱層の上に、高抵抗層、n型クラッド層、活性層、p型クラッド層の順に積層される
請求項1に記載の表示装置。
【請求項3】
前記発光素子は、前記p型クラッド層の上に積層されたトンネル接合層を有する
請求項2に記載の表示装置。
【請求項4】
前記基板の主面側で、前記放熱層の上に直接接して設けられた複数のトランジスタを有し、
前記放熱層は、前記表示領域で複数の前記発光素子及び複数の前記トランジスタと重なる領域に連続して設けられ、
前記絶縁膜は、複数の前記トランジスタを覆う
請求項1に記載の表示装置。
【請求項5】
前記トランジスタの半導体層とゲート電極との間に設けられたゲート絶縁膜と、
前記発光素子の上面の周縁部及び側面を覆って設けられる素子絶縁膜を有し、
前記ゲート絶縁膜と前記素子絶縁膜とは、共通の材料で一体に連続して形成される
請求項4に記載の表示装置。
【請求項6】
前記発光素子は、第1発光素子と、前記第1発光素子と隣り合う第2発光素子とを含み、
前記第1発光素子と前記第2発光素子とは、前記放熱層に直接接する共通の高抵抗層の上に形成され、
前記基板の主面に垂直な方向で、前記第1発光素子のアノード電極と前記高抵抗層との間の高さと、前記第2発光素子のアノード電極と前記高抵抗層との間の高さとは異なる
請求項1に記載の表示装置。
【請求項7】
前記第1発光素子及び前記第2発光素子は、スイッチ素子を介して共通のトランジスタに接続される
請求項6に記載の表示装置。
【請求項8】
前記放熱層の熱伝導率は、前記基板の熱伝導率よりも高い
請求項1から請求項7のいずれか1項に記載の表示装置。
【請求項9】
前記基板は、ガラス基板である
請求項1から請求項7のいずれか1項に記載の表示装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
表示素子として微小サイズの発光ダイオード(マイクロLED(micro LED))を用いた表示装置が注目されている(例えば、特許文献1、2参照)。特許文献1には、発光素子と、発光素子を駆動するトランジスタとがガラス基板の同一面上に形成された表示装置(特許文献1ではLEDディスプレイと表示)が記載されている。また、特許文献2では、トンネル接合層を有する発光素子について記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】国際公開第2020/188851号
【文献】特表2021-508175号公報
【文献】T. Wu et al., Appl. Sci. 8, 1557 (2018).
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
無機発光ダイオードは、温度上昇に伴い発光効率が低下する。このため、無機発光ダイオードを利用した表示装置では、温度上昇に伴い輝度が低下し、表示特性が低下する可能性がある。
【0005】
本発明は、表示特性の低下を抑制することができる表示装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様の表示装置は、基板と、前記基板の主面に設けられ、窒化アルミニウムを含む放熱層と、前記基板の主面側で、前記放熱層の上に設けられた複数の発光素子と、前記放熱層を覆う絶縁膜と、前記基板の表示領域の外側の周辺領域で前記絶縁膜の上に設けられ、前記発光素子のカソードに電気的に接続されるカソード配線と、を有し、前記放熱層は、複数の前記発光素子と重なる領域から前記周辺領域に亘って連続して設けられ、前記絶縁膜には、前記基板の主面と垂直な方向からの平面視で、前記カソード配線及び前記放熱層と重なるコンタクトホールが設けられる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1図1は、第1実施形態に係る表示装置を模式的に示す平面図である。
図2図2は、複数の画素を示す平面図である。
図3図3は、画素回路を示す回路図である。
図4図4は、図1のIV-IV’断面図である。
図5図5は、発光素子の温度特性を示すグラフである。
図6図6は、第2実施形態に係る表示装置の概略断面構成を示す断面図である。
図7図7は、第3実施形態に係る発光素子の概略断面構成を示す断面図である。
図8図8は、第3実施形態に係る画素回路を示す回路図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
本発明を実施するための形態(実施形態)につき、図面を参照しつつ詳細に説明する。以下の実施形態に記載した内容により本発明が限定されるものではない。また、以下に記載した構成要素には、当業者が容易に想定できるもの、実質的に同一のものが含まれる。さらに、以下に記載した構成要素は適宜組み合わせることが可能である。なお、開示はあくまで一例にすぎず、当業者において、発明の主旨を保っての適宜変更について容易に想到し得るものについては、当然に本発明の範囲に含有されるものである。また、図面は説明をより明確にするため、実際の態様に比べ、各部の幅、厚さ、形状等について模式的に表される場合があるが、あくまで一例であって、本発明の解釈を限定するものではない。また、本明細書と各図において、既出の図に関して前述したものと同様の要素には、同一の符号を付して、詳細な説明を適宜省略することがある。
【0009】
本明細書及び特許請求の範囲において、ある構造体の上に他の構造体を配置する態様を表現するにあたり、単に「上に」と表記する場合、特に断りの無い限りは、ある構造体に接するように、直上に他の構造体を配置する場合と、ある構造体の上方に、さらに別の構造体を介して他の構造体を配置する場合との両方を含むものとする。
【0010】
(第1実施形態)
図1は、第1実施形態に係る表示装置を模式的に示す平面図である。図1に示すように、表示装置1は、アレイ基板2と、画素Pixと、駆動回路12と、駆動IC(Integrated Circuit)210と、カソード配線60と、放熱層91と、を含む。アレイ基板2は、各画素Pixを駆動するための駆動回路基板であり、バックプレーン又はアクティブマトリクス基板とも呼ばれる。アレイ基板2は、基板21、複数のトランジスタ、複数の容量及び各種配線等を有する。
【0011】
図1に示すように、表示装置1は、表示領域AAと、周辺領域GAとを有する。表示領域AAは、複数の画素Pixと重なって配置され、画像を表示する領域である。周辺領域GAは、複数の画素Pixと重ならない領域であり、表示領域AAの外側に配置される。
【0012】
複数の画素Pixは、基板21の表示領域AAにおいて、第1方向Dx及び第2方向Dyに配列される。なお、第1方向Dx及び第2方向Dyは、基板21の表面に対して平行な方向である。第1方向Dxは、第2方向Dyと直交する。ただし、第1方向Dxは、第2方向Dyと直交しないで交差してもよい。第3方向Dzは、第1方向Dx及び第2方向Dyと直交する方向である。第3方向Dzは、例えば、基板21の法線方向に対応する。なお、以下、平面視とは、第3方向Dzから見た場合の位置関係を示す。
【0013】
駆動回路12は、駆動IC210から引き出される配線を経由して供給される各種制御信号に基づいて複数のゲート線(例えば、リセット制御信号線L5、出力制御信号線L6、画素制御信号線L7、初期化制御信号線L8(図3参照))を駆動する回路である。駆動回路12は、複数のゲート線を順次又は同時に選択し、選択されたゲート線にゲート駆動信号を供給する。これにより、駆動回路12は、ゲート線に接続された複数の画素Pixを選択する。
【0014】
駆動IC210は、表示装置1の表示を制御する回路である。駆動IC210からは複数の画素Pixへ向かって複数の配線が引き出されている(例えば、映像信号線L2、リセット電源線L3及び初期化電源線L4(図3参照))。駆動IC210は、基板21の周辺領域GAにCOG(Chip On Glass)として実装される。これに限定されず、駆動IC210は、基板21の周辺領域GAに接続されたフレキシブルプリント基板やリジット基板の上に実装されてもよい。
【0015】
カソード配線60は、基板21の周辺領域GAに設けられる。カソード配線60は、表示領域AAの複数の画素Pix及び周辺領域GAの駆動回路12を囲んで設けられる。複数の発光素子3のカソードは、共通のカソード配線60に接続され、固定電位(例えば、グランド電位)が供給される。より具体的には、発光素子3のカソード電極33(図7参照)は、アレイ基板2に形成されたカソード接続配線(図示は省略する)を介して、カソード配線60に接続される。なお、カソード配線60は、基板21の3辺に沿って連続して形成される1つの配線に限らず、いずれかの辺においてスリットを介して離隔された2つの部分配線からなってもよく、あるいは基板21の少なくとも1つの辺に沿って配置される配線であってもよい。
【0016】
放熱層91は、基板21の主面S1(図4参照)に設けられ、平面視で、表示領域AA及び周辺領域GAと重なる領域に設けられる。図1に示す放熱層91は、基板21の主面S1の全面に設けられ、表示領域AAで複数の画素Pixと重なる領域に設けられる。また、放熱層91は、周辺領域GAで、周辺回路である駆動回路12及び駆動IC210と平面視で重なる領域、及び、カソード配線60と平面視で重なる領域に亘って設けられる。放熱層91は、周辺領域GAで複数のコンタクトホールCH1を介してカソード配線60と接続される。なお、放熱層91及びカソード配線60の詳細な構成については後述する。また、放熱層91は、基板21の主面S1全体に設けられる構成に限定されず、表示領域AA及び周辺領域GAの一部に設けられていない場合であってもよい。
【0017】
図2は、複数の画素を示す平面図である。図2に示すように、1つの画素Pixは、複数の副画素49を含む。例えば、画素Pixは、副画素49Rと、副画素49Gと、副画素49Bとを有する。副画素49Rは、第1色としての原色の赤色を表示する。副画素49Gは、第2色としての原色の緑色を表示する。副画素49Bは、第3色としての原色の青色を表示する。図2に示すように、1つの画素Pixにおいて、副画素49Rと副画素49Gは第1方向Dxで並ぶ。また、副画素49Gと副画素49Bは第2方向Dyで並ぶ。なお、第1色、第2色、第3色は、それぞれ赤色、緑色、青色に限られず、補色などの任意の色を選択することができる。以下において、副画素49Rと、副画素49Gと、副画素49Bとをそれぞれ区別する必要がない場合、単に副画素49という。
【0018】
副画素49は、それぞれ発光素子3と、アノード配線23とを有する。表示装置1は、副画素49R、副画素49G及び副画素49Bにおいて、発光素子3R、3G、3Bごとに異なる光を出射することで画像を表示する。発光素子3は、平面視で、3μm以上、300μm以下程度の大きさを有する無機発光ダイオード(LED:Light Emitting Diode)チップであり、マイクロLED(micro LED)と呼ばれる。各画素にマイクロLEDを備える表示装置1は、マイクロLED表示装置とも呼ばれる。なお、マイクロLEDのマイクロは、発光素子3の大きさを限定するものではない。
【0019】
なお、複数の発光素子3は、4色以上の異なる光を出射してもよい。また、複数の副画素49の配置は、図2に示す構成に限定されない。例えば、副画素49Rは副画素49Bと第2方向Dyに隣り合っていてもよい。また、副画素49R、副画素49G及び副画素49Bが、この順で第1方向Dxに繰り返し配列されてもよい。
【0020】
図3は、画素回路を示す回路図である。図3は、1つの副画素49に設けられた画素回路PICAを示しており、画素回路PICAは複数の副画素49のそれぞれに設けられている。図3に示すように、画素回路PICAは、発光素子3と、5つのトランジスタと、2つの容量とを含む。具体的には、画素回路PICAは、駆動トランジスタDRT、出力トランジスタBCT、初期化トランジスタIST、画素選択トランジスタSST及びリセットトランジスタRSTを含む。駆動トランジスタDRT、出力トランジスタBCT、初期化トランジスタIST、画素選択トランジスタSST及びリセットトランジスタRSTは、それぞれn型TFT(Thin Film Transistor)で構成される。また、画素回路PICAは、第1容量Cs1及び第2容量Cs2を含む。
【0021】
発光素子3のカソード(カソード電極33(図7参照))は、カソード電源線L10に接続される。また、発光素子3のアノード(アノード電極32)は、アノード配線23、駆動トランジスタDRT及び出力トランジスタBCTを介してアノード電源線L1に接続される。アノード電源線L1には、アノード電源電位PVDDが供給される。カソード電源線L10には、カソード配線60及びカソード電極33を介してカソード電源電位PVSSが供給される。アノード電源電位PVDDは、カソード電源電位PVSSよりも高い電位である。
【0022】
アノード電源線L1は、副画素49に、駆動電位であるアノード電源電位PVDDを供給する。具体的には、発光素子3は、理想的にはアノード電源電位PVDDとカソード電源電位PVSSとの電位差(PVDD-PVSS)により順方向電流(駆動電流)が供給され発光する。つまり、アノード電源電位PVDDは、カソード電源電位PVSSに対し、発光素子3を発光させる電位差を有している。発光素子3のアノード電極32は、アノード配線23に電気的に接続され、アノード配線23とアノード電源線L1との間に、第2容量Cs2が形成される。
【0023】
駆動トランジスタDRTのソース電極は、アノード配線23を介して発光素子3のアノード電極32に接続され、ドレイン電極は、出力トランジスタBCTのソース電極に接続される。駆動トランジスタDRTのゲート電極は、第1容量Cs1、画素選択トランジスタSSTのドレイン電極及び初期化トランジスタISTのドレイン電極に接続される。
【0024】
出力トランジスタBCTのゲート電極は、出力制御信号線L6に接続される。出力制御信号線L6には、出力制御信号BGが供給される。出力トランジスタBCTのドレイン電極は、アノード電源線L1に接続される。
【0025】
初期化トランジスタISTのソース電極は、初期化電源線L4に接続される。初期化電源線L4には、初期化電位Viniが供給される。初期化トランジスタISTのゲート電極は、初期化制御信号線L8に接続される。初期化制御信号線L8には、初期化制御信号IGが供給される。すなわち、初期化トランジスタISTがオンになると、駆動トランジスタDRTのゲート電極には、初期化トランジスタISTを介して初期化電源線L4が接続される。
【0026】
画素選択トランジスタSSTのソース電極は、映像信号線L2に接続される。映像信号線L2には、映像信号Vsigが供給される。画素選択トランジスタSSTのゲート電極には、画素制御信号線L7が接続されている。画素制御信号線L7には、画素制御信号SGが供給される。
【0027】
リセットトランジスタRSTのソース電極は、リセット電源線L3に接続される。リセット電源線L3には、リセット電源電位Vrstが供給される。リセットトランジスタRSTのゲート電極は、リセット制御信号線L5に接続される。リセット制御信号線L5には、リセット制御信号RGが供給される。リセットトランジスタRSTのドレイン電極は、アノード配線23(発光素子3のアノード電極32)及び駆動トランジスタDRTのソース電極に接続される。リセットトランジスタRSTのリセット動作により、第1容量Cs1及び第2容量Cs2に保持された電圧がリセットされる。
【0028】
リセットトランジスタRSTのドレイン電極と、駆動トランジスタDRTのゲート電極との間に、第1容量Cs1が形成される。画素回路PICAは、第1容量Cs1及び第2容量Cs2により、駆動トランジスタDRTの寄生容量とリーク電流とによるゲート電圧の変動を抑制することができる。
【0029】
なお、以下の説明において、アノード電源線L1及びカソード電源線L10を単に電源線と表す場合がある。映像信号線L2、リセット電源線L3及び初期化電源線L4を信号線と表す場合がある。リセット制御信号線L5、出力制御信号線L6、画素制御信号線L7及び初期化制御信号線L8をゲート線と表す場合がある。
【0030】
駆動トランジスタDRTのゲート電極には、映像信号Vsig(または、階調信号)に応じた電位が供給される。つまり、駆動トランジスタDRTは、出力トランジスタBCTを介して供給されたアノード電源電位PVDDに基づいて、映像信号Vsigに応じた電流を発光素子3に供給する。このように、アノード電源線L1に供給されたアノード電源電位PVDDは、駆動トランジスタDRT及び出力トランジスタBCTによって降下するため、発光素子3のアノード電極32には、アノード電源電位PVDDよりも低い電位が供給される。
【0031】
第2容量Cs2の一方の電極には、アノード電源線L1を介してアノード電源電位PVDDが供給され、第2容量Cs2の他方の電極には、アノード電源電位PVDDよりも低い電位が供給される。つまり、第2容量Cs2の一方の電極には、第2容量Cs2の他方の電極よりも高い電位が供給される。第2容量Cs2の一方の電極は、例えば、図4に示す対向電極26であり、第2容量Cs2の他方の電極は、図4に示す駆動トランジスタDRTのソースに接続されたアノード配線23である。
【0032】
表示装置1において、駆動回路12(図1参照)は、複数の画素行を、先頭行(例えば、図1中の表示領域AAにおいて、最上部に位置する画素行)から順番に選択する。駆動IC210は、選択された画素行の副画素49に映像信号Vsig(映像書き込み電位)を書き込み、発光素子3を発光させる。駆動IC210は、1水平走査期間ごとに、映像信号線L2に映像信号Vsigを供給し、リセット電源線L3にリセット電源電位Vrstを供給し、初期化電源線L4に初期化電位Viniを供給する。表示装置1は、これらの動作が1フレームの画像ごとに繰り返される。
【0033】
次に、表示装置1の断面構成について説明する。図4は、図1のIV-IV’断面図である。図4に示すように、発光素子3は、アレイ基板2の上に設けられる。アレイ基板2は、基板21、各種トランジスタ、各種配線及び各種絶縁膜を有する。基板21は絶縁基板であるガラス基板が用いられる。なお、基板21は、ガラス基板に限定されず、樹脂基板又は樹脂フィルム等が用いられてもよい。
【0034】
本明細書において、基板21の表面に垂直な方向において、基板21から発光素子3に向かう方向を「上側」又は単に「上」とする。また、発光素子3から基板21に向かう方向を「下側」又は単に「下」とする。
【0035】
放熱層91は、基板21の主面S1を覆って設けられ、基板21の表示領域AAから周辺領域GAに亘って連続して設けられる。本実施形態では、放熱層91は、基板21の主面S1に直接接して設けられる。放熱層91は、窒化アルミニウム(AlN)からなる無機絶縁膜であり、スパッタリング法、蒸着法、プラズマCVD法等により成膜される。一例として放熱層91は、スパッタリング法で成膜される。
【0036】
発光素子3は、放熱層91に直接接して設けられる。すなわち、発光素子3は、窒化アルミニウムからなる放熱層91をバッファ層として、ガラス基板である基板21の主面S1に成膜、パターニングして形成される。言い換えると、発光素子3は、サファイア基板等に半導体層(発光素子3)を形成し、キャリア基板等を用いて基板21上に発光素子3を転写する工程を省略することができる。
【0037】
なお、図4では1つの発光素子3を示しているが、図4に示す発光素子3についての説明は、上述した画素Pixが有する発光素子3R、3G、3Bのそれぞれにも適用できる。
【0038】
発光素子3は、半導体層31、アノード電極32及びカソード電極33(図7参照)を有する。発光素子3は、アノード電極32(p型電極)及びカソード電極33(n型電極)が、基板21(アレイ基板2)の主面S1と同じ方向に面して設けられた発光素子である。なお、図4ではカソード電極33は図示されないが、図7に示す例と同様に、n型クラッド層37の一部に形成される。
【0039】
図4に示すように、発光素子3の半導体層31は、高抵抗層38、n型クラッド層37、活性層36及びp型クラッド層35、34が積層されて構成される。発光素子3は、放熱層91の上に、高抵抗層38、n型クラッド層37、活性層36、p型クラッド層35、34の順に積層される。p型クラッド層35、34の上にアノード電極32が設けられる。
【0040】
半導体層31は、例えば、窒化ガリウム(GaN)、アルミニウムインジウム燐(AlInP)、窒化インジウムガリウム(InGaN)、窒化アルミニウムガリウム(AlGaN)等の化合物半導体が用いられる。半導体層31は、発光素子3R、3G、3Bごとに異なる材料が用いられてもよい。
【0041】
高抵抗層38は、放熱層91に直接接して設けられる。高抵抗層38は、不純物がドープされていない半導体材料(例えば、窒化ガリウム(GaN))で形成される。高抵抗層38のシート抵抗値は、上側に積層されたn型クラッド層37のシート抵抗値よりも大きい。
【0042】
n型クラッド層37は、例えばn型GaNである。活性層36として、高効率化のために数原子層からなる井戸層と障壁層とを周期的に積層させた多重量子井戸構造(MQW構造)が採用される。また、p型クラッド層35は、例えばp型GaNであり、p型クラッド層34は、例えばp型窒化アルミニウムガリウム(AlGaN)である。アノード電極32は、p型クラッド層34の上に設けられる。アノード電極32は、例えば、チタン(Ti)、ニッケル(Ni)、チタン(Ti)、金(Au)の積層構造としている。
【0043】
素子絶縁膜39は、発光素子3の上面の周縁部及び側面を覆って設けられている。素子絶縁膜39は、保護用の無機絶縁膜であり、例えば、シリコン酸化膜(SiO)やシリコン窒化膜(SiN)あるいは酸化アルミニウム(Al)等が用いられる。あるいは、素子絶縁膜39は、有機絶縁膜であってもよい。
【0044】
素子絶縁膜39の、アノード電極32と重なる位置に開口OPが設けられている。アノード配線23は、絶縁膜96の上に設けられ、開口OPを介してアノード電極32に接続される。アノード電極32は、アノード配線23を介して基板21(アレイ基板2)に形成された駆動トランジスタDRTに電気的に接続される。
【0045】
アノード配線23は、例えば、チタン(Ti)、アルミニウム(Al)の積層構造としている。ただし、これに限定されず、アノード配線23は、モリブデン、チタンの金属のいずれか1つ以上を含む材料であってもよい。又は、アノード配線23は、モリブデン、チタンのいずれか1つ以上を含む合金、又は透光性導電材料であってもよい。
【0046】
なお、図4では図示されないカソード電極33は、絶縁膜96の上に設けられたカソード接続配線(図示は省略する)を介してカソード配線60に電気的に接続される。カソード電極33は、アノード電極32と同じ材料で形成される。カソード電極33とカソード配線60との接続構造はどのような態様であってもよく、例えば、カソード接続配線は、第1方向Dxに延在して設けられ、第1方向Dxに配列された複数の発光素子3のカソード電極33に接続される構成としてもよい。
【0047】
駆動トランジスタDRT及びリセットトランジスタRSTは、発光素子3と同層に、放熱層91の上に設けられる。駆動トランジスタDRTは、半導体層61、ソース電極62、ドレイン電極63及びゲート電極64A、64Bを有する。リセットトランジスタRSTは、半導体層65、ソース電極66、ドレイン電極67及びゲート電極68A、68Bを有する。また、図4では、基板21の周辺領域GAに設けられた駆動回路12に含まれるトランジスタTrを示している。
【0048】
以下の説明では、駆動トランジスタDRTの積層構造について説明する。ただし、他のリセットトランジスタRST、トランジスタTr及び図3に示す各種トランジスタも同様の構成であり、駆動トランジスタDRTについての説明は他のトランジスタにも適用できる。
【0049】
ゲート電極64Aは、放熱層91の上に設けられる。絶縁膜92は、ゲート電極64Aを覆って放熱層91の上に設けられる。半導体層61は、絶縁膜92の上に設けられる。絶縁膜93は、半導体層61を覆って絶縁膜92の上に設けられる。ゲート電極64Bは、絶縁膜93の上に設けられる。絶縁膜92、93は、半導体層61とゲート電極64A、64Bとの間に設けられ、ゲート絶縁膜として形成された無機絶縁膜である。絶縁膜92、93は、例えば、シリコン窒化膜、シリコン酸化膜等が用いられる。
【0050】
絶縁膜94は、ゲート電極64Bを覆って絶縁膜93の上に設けられる。絶縁膜94は、例えば、シリコン窒化膜とシリコン酸化膜との積層構造を有する。ソース電極62及びドレイン電極63は、絶縁膜94の上に設けられる。ソース電極62は絶縁膜93、94を貫通するコンタクトホールを介して半導体層61と電気的に接続される。また、ドレイン電極63は絶縁膜93、94に設けられたコンタクトホールを介して半導体層61と電気的に接続される。
【0051】
絶縁膜95は、有機絶縁膜であり、各トランジスタを覆って設けられる。絶縁膜95としては感光性アクリル等の有機材料が用いられる。感光性アクリル等の有機材料は、CVD等により形成される無機絶縁材料に比べ、配線段差のカバレッジ性や、表面の平坦性に優れる。
【0052】
具体的には、絶縁膜95は、ソース電極62及びドレイン電極63を覆って、絶縁膜94の上に設けられる。絶縁膜95は、発光素子3を覆う素子絶縁膜39の側面を覆って設けられる。絶縁膜95の上に、アノード接続配線24及び対向電極26が設けられる。アノード接続配線24は、絶縁膜95に設けられたコンタクトホールの底部でソース電極62と接続される。対向電極26は、絶縁膜95に設けられたコンタクトホールの底部でドレイン電極63と接続される。
【0053】
絶縁膜96は、アノード接続配線24及び対向電極26を覆って設けられる。さらに絶縁膜96は、素子絶縁膜39の上面を覆って設けられる。絶縁膜96は、無機絶縁膜であり、上述した絶縁膜92、93と同様の材料、例えば、シリコン窒化膜を用いることができる。アノード配線23は、絶縁膜96に設けられたコンタクトホールの底部でアノード接続配線24と接続される。このような構成により、アノード配線23は、駆動トランジスタDRTと電気的に接続される。
【0054】
また、アノード配線23の一部は、絶縁膜96を介して対向電極26と対向する。絶縁膜96を介して対向するアノード配線23と対向電極26との間に第2容量Cs2(図3参照)が形成される。
【0055】
各トランジスタは、基板21及び放熱層91の上に発光素子3が形成された後に、同一の基板21及び放熱層91の上に形成される。発光素子3を覆う素子絶縁膜39は、ゲート絶縁膜である絶縁膜92と共通の材料を用いて、一体に連続して形成することができる。言い換えると、素子絶縁膜39及び絶縁膜92は、各トランジスタを形成する工程で、発光素子3を保護する保護膜としての機能も有する。
【0056】
カソード配線60は、基板21の周辺領域GAで、絶縁膜96の上に設けられる。また、放熱層91は、基板21の主面S1上で、表示領域AAの、複数の発光素子3及び複数のトランジスタ(例えば駆動トランジスタDRT)と重なる領域から、周辺領域GAに亘って連続して設けられ、カソード配線60と重なる領域にも設けられる。
【0057】
絶縁膜92から絶縁膜95には、基板21の主面S1と垂直な方向からの平面視で、カソード配線60及び放熱層91と重なるコンタクトホールCH1、CH2が設けられる。より詳細には、伝熱部162は、ソース電極62及びドレイン電極63と同層に、絶縁膜94の上に設けられる。伝熱部162は、絶縁膜92、93、94を貫通するコンタクトホールCH2の内部を充填して設けられ、コンタクトホールCH2の底部で放熱層91と接する。
【0058】
カソード配線60は、絶縁膜95を貫通するコンタクトホールCH1の内部を充填して設けられる。図4では、カソード配線60のコンタクトホールCH1内に設けられる部分を、伝熱部161として示す。カソード配線60と伝熱部161とは、同じ材料で、一体に形成される。カソード配線60(伝熱部161)は、コンタクトホールCH1の底部で伝熱部162と接する。
【0059】
なお、絶縁膜96は、絶縁膜95のコンタクトホールCH1の内壁面を覆って設けられており、コンタクトホールCH1の内壁面に、絶縁膜96、カソード配線60(伝熱部161)の順に積層される。
【0060】
このような構成により、絶縁膜96上に形成されたカソード配線60と、基板21の主面S1上に形成された放熱層91とが、コンタクトホールCH1、CH2を介して接続される。ただし、これに限定されず、絶縁膜92から絶縁膜95を貫通する1つのコンタクトホールが形成されていてもよい。また、カソード配線60と伝熱部161とが別体として形成されていてもよい。例えば、コンタクトホールCH1を充填するように伝熱部161を形成した後、コンタクトホールCH1及び伝熱部161を覆ってカソード配線60を設けてもよい。
【0061】
カソード配線60(伝熱部161)及び伝熱部162の材料として、例えば、チタン(Ti)、アルミニウム(Al)、モリブデン(Mo)、タンタル(Ta)、タングステン(W)、ニオブ(Nb)、銅(Cu)、カーボンナノチューブ、グラファイト、グラフェン又はカーボンナノパッド、銀(Ag)、Ag合金が用いられる。
【0062】
図5は、無機発光素子の温度特性を示すグラフである。図5の横軸は発光素子3の温度を示し、縦軸は発光素子3の発光出力を示す。図5に示すように、発光素子3は、温度が高くなると、発光出力が低下し、発光動作が不安定になる傾向を有する。駆動電流が小から大のいずれのタイプの発光素子3も、この傾向を有する。
【0063】
図4に示したように、窒化アルミニウムからなる放熱層91は、基板21の主面S1と、複数の発光素子3及び複数のトランジスタとの間に設けられ、周辺領域GAでコンタクトホールCH1、CH2を介してカソード配線60と接続される。
【0064】
窒化アルミニウムからなる放熱層91の熱伝導率は、ガラス基板である基板21の熱伝導率よりも高い。例えば、放熱層91の熱伝導率は、285(W・m-1・K-1)以上320(W・m-1・K-1)以下程度である。基板21の熱伝導率は、1.5(W・m-1・K-1)以上1.6(W・m-1・K-1)以下程度である。また、窒化アルミニウムからなる放熱層91の熱伝導率は、発光素子3の半導体層31(GaN)よりも大きい。GaNの熱伝導率は、例えば230(W・m-1・K-1)程度である。
【0065】
複数の発光素子3に電流が流れることで発生する熱は、矢印A1に示すように放熱層91に伝わる。放熱層91は、基板21よりも高い熱伝導率を有しており、発光素子3からの熱を効率よくカソード配線60に伝導させることができる。上述したように、カソード配線60は、基板21の外縁に沿って表示領域AAを囲んで設けられる。また、カソード配線60及び伝熱部161、162の熱伝導率は、基板21を覆う各絶縁膜92、93、94、95、96よりも高い。これにより、カソード配線60及び伝熱部161、162は発光素子3からの熱を効率よく外部に放熱することができる。
【0066】
同様に、画素回路PICAが有する複数のトランジスタも放熱層91に重なって設けられている。画素回路PICAが有する複数のトランジスタのうち、例えば駆動トランジスタDRTは、電流が流れることで熱源となる。駆動トランジスタDRTから発生する熱は、矢印A2に示すように放熱層91に伝わる。上記と同様に、カソード配線60及び伝熱部161、162は駆動トランジスタDRTからの熱を効率よく放熱することができる。
【0067】
なお、上述した構成はあくまで一例であり、適宜変更することができる。例えば、コンタクトホールCH1、CH2は、絶縁膜92、93、94、95を貫通して設けられる場合に限定されない。例えば、放熱層91と伝熱部162とが必ずしも直接接する必要はなく、伝熱部162と放熱層91との間に絶縁膜が設けられていてもよい。また、図1では、周辺領域GAに4つのコンタクトホールCH1を示したが、5つ以上の多数のコンタクトホールCH1が設けられていてもよい。
【0068】
以上説明したように、本実施形態の表示装置1は、基板21と、基板21の主面S1に設けられ、窒化アルミニウム(AlN)を含む放熱層91と、基板21の主面S1側で、放熱層91の上に設けられた複数の発光素子3及び複数のトランジスタ(例えば駆動トランジスタDRT)と、少なくとも複数のトランジスタを覆う絶縁膜95と、基板21の表示領域AAの外側の周辺領域GAで絶縁膜95の上に設けられ、発光素子3のカソードに電気的に接続されるカソード配線60と、を有する。放熱層91は、複数の発光素子3及び複数のトランジスタと重なる領域から周辺領域GAに亘って連続して設けられ、絶縁膜95には、基板21の主面S1と垂直な方向からの平面視で、カソード配線60及び放熱層91と重なるコンタクトホールCH1、CH2が設けられる。
【0069】
(第2実施形態)
図6は、第2実施形態に係る表示装置の概略断面構成を示す断面図である。なお、以下の説明では、上述した実施形態で説明したものと同じ構成要素には同一の符号を付して重複する説明は省略する。
【0070】
図6に示すように、第2実施形態に係る表示装置1Aにおいて、発光素子3Aは、p型クラッド層35の上に積層されたトンネル接合層TJを有する。発光素子3Aは、放熱層91の上に、高抵抗層38、n型クラッド層37、活性層36、p型クラッド層35、トンネル接合層TJ、n型クラッド層41の順に積層される。トンネル接合層TJは、p型クラッド層35及びn型クラッド層41よりも薄く形成された高濃度p型半導体層43と高濃度n型半導体層42とが積層されて構成される。アノード電極32は、n型クラッド層41の上に設けられる。
【0071】
言い換えると、発光素子3Aは、第1実施形態の発光素子3の、AlGaNで形成されたp型クラッド層34に換えて、トンネル接合層TJ及びn型クラッド層41を積層した構成ともいえる。
【0072】
発光素子3Aは、トンネル接合層TJを有しているので、AlGaNで形成されたp型クラッド層34を有する構成に比べて発光素子3Aの低抵抗化を図ることができる。その理由は、非特許文献1に開示されているように、成長方向にRGB-LEDを直列に積層したカスケードLED構造を利用した構造では、下層LEDへのp型コンタクト形成時に、p型GaN表面層がドライエッチング中のプラズマ暴露により劣化しLEDへのホール注入が大きな課題となる。一方、各LEDのp型コンタクトをトンネル接合(TJ)コンタクトで代替すればp型クラッド層34に換えて、トンネル接合層TJ及びn型クラッド層41を積層した構造となり、膜厚が厚くてシート抵抗が低いn型クラッド層がプラズマに晒されるため、この問題は解決できる。
【0073】
(第3実施形態)
図7は、第3実施形態に係る発光素子の概略断面構成を示す断面図である。図7に示すように、第3実施形態に係る発光素子3は、発光素子3B(第1発光素子)と、発光素子3G(第2発光素子)とが素子絶縁膜39を介して隣接して設けられる。より詳細には、発光素子3B(第1発光素子)と、発光素子3G(第2発光素子)とは、放熱層91に直接接して設けられた共通の高抵抗層38の上に形成される。発光素子3B及び発光素子3Gは、放熱層91及び高抵抗層38の上に、それぞれ、n型クラッド層37G、活性層36G、p型クラッド層35G、トンネル接合層TJ-G、n型クラッド層41Gの順に積層される。
【0074】
発光素子3Bのn型クラッド層37G、活性層36G、p型クラッド層35G、トンネル接合層TJ-G、n型クラッド層41Gと、発光素子3Gのn型クラッド層37G、活性層36G、p型クラッド層35G、トンネル接合層TJ-G、n型クラッド層41Gとの間に溝部が設けられ、溝部に素子絶縁膜39が形成される。これにより、発光素子3Bと発光素子3Gとが、分離される。
【0075】
発光素子3Gでは、n型クラッド層41Gの上にアノード電極32Gが設けられ、n型クラッド層37Gの上にカソード電極33Gが設けられる。
【0076】
発光素子3Bでは、n型クラッド層41Gの上にさらに、n型クラッド層37B、活性層36B、p型クラッド層35B、トンネル接合層TJ-B、n型クラッド層41Bの順に積層される。n型クラッド層41Bの上にアノード電極32Bが設けられ、n型クラッド層41Gの上にカソード電極33Bが設けられる。
【0077】
すなわち、基板21の主面S1に垂直な方向で、発光素子3B(第1発光素子)の高さ及び各半導体層の積層数と、発光素子3G(第2発光素子)の高さ及び各半導体層の積層数とが異なる。より詳細には、基板21の主面S1に垂直な方向で、発光素子3Bのアノード電極32Bと高抵抗層38との間の高さと、発光素子3Gのアノード電極32Gと高抵抗層38との間の高さとは異なる。
【0078】
図8は、第3実施形態に係る画素回路を示す回路図である。図8に示すように、発光素子3B及び発光素子3Gは、共通の画素回路PICAに接続される。画素回路PICAの構成は、図3にて上述した構成と同様である。本実施形態では、発光素子3B及び発光素子3Gは、それぞれスイッチ素子SW-B、SW-Gを介して共通の駆動トランジスタDRTに接続される。
【0079】
スイッチ素子SW-B、SW-Gは、オンオフが反転するように動作し、発光素子3B及び発光素子3Gの一方が駆動トランジスタDRTに接続される期間(発光期間)には、発光素子3B及び発光素子3Gの他方が駆動トランジスタDRTに接続されされない期間(非発光期間)とされる。これにより、発光素子3B及び発光素子3Gは、共通の画素回路PICAで時分割的に駆動される。
【0080】
第3実施形態では、2つの発光素子3G、3Bが隣接して形成され、1つの副画素49が2つの発光素子3G、3B及び1つの画素回路PICAを備える。これにより、複数の画素PIXの面積を小さくすることができ、表示の高精細化を図ることができる。また、アレイ基板2に形成される各種トランジスタ及び各種配線の数を抑制することができる。
【0081】
以上、本発明の好適な実施の形態を説明したが、本発明はこのような実施の形態に限定されるものではない。実施の形態で開示された内容はあくまで一例にすぎず、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。本発明の趣旨を逸脱しない範囲で行われた適宜の変更についても、当然に本発明の技術的範囲に属する。上述した各実施形態及び各変形例の要旨を逸脱しない範囲で、構成要素の種々の省略、置換及び変更のうち少なくとも1つを行うことができる。
【符号の説明】
【0082】
1、1A 表示装置
2 アレイ基板
3、3A、3R、3G、3B 発光素子
12 駆動回路
21 基板
23 アノード配線
24 アノード接続配線
26 対向電極
31 半導体層
32 アノード電極
33 カソード電極
34、35 p型クラッド層
36 活性層
37 n型クラッド層
38 高抵抗層
39 素子絶縁膜
60 カソード配線
91 放熱層
161、162 伝熱部
CH1、CH2 コンタクトホール
AA 表示領域
GA 周辺領域
S1 主面
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8