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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-17
(45)【発行日】2024-10-25
(54)【発明の名称】医療装置及び医療装置の作動方法
(51)【国際特許分類】
   A61B 5/053 20210101AFI20241018BHJP
   A61B 18/00 20060101ALI20241018BHJP
【FI】
A61B5/053
A61B18/00
【請求項の数】 15
(21)【出願番号】P 2023545286
(86)(22)【出願日】2022-01-27
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2024-02-08
(86)【国際出願番号】 US2022014157
(87)【国際公開番号】W WO2022165077
(87)【国際公開日】2022-08-04
【審査請求日】2023-10-02
(31)【優先権主張番号】63/142,242
(32)【優先日】2021-01-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】63/142,247
(32)【優先日】2021-01-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】63/142,254
(32)【優先日】2021-01-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】63/142,260
(32)【優先日】2021-01-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】17/397,896
(32)【優先日】2021-08-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】519265859
【氏名又は名称】ノヴァスキャン,インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】NOVASCAN,INC.
(74)【代理人】
【識別番号】100073184
【弁理士】
【氏名又は名称】柳田 征史
(74)【代理人】
【識別番号】100175042
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 秀明
(74)【代理人】
【識別番号】100163050
【弁理士】
【氏名又は名称】小栗 眞由美
(74)【代理人】
【識別番号】100224775
【弁理士】
【氏名又は名称】南 毅
(72)【発明者】
【氏名】ボグダノウィッツ,レス
(72)【発明者】
【氏名】グリチュク,アレクサンデル
(72)【発明者】
【氏名】フォイト,ポール リチャード
(72)【発明者】
【氏名】グレゴリー,ウィリアム ディヴィッド
【審査官】藤原 伸二
(56)【参考文献】
【文献】特表2008-536650(JP,A)
【文献】特表平08-504344(JP,A)
【文献】特表2008-500087(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2020/0253504(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2009/0264792(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 5/053-5/0538
A61B 10/00-10/06
A61B 18/00-18/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
医療装置において、
インピーダンスブリッジと、
1つ以上の電極対、および、較正インピーダンスを含む機器ヘッドと、
前記インピーダンスブリッジを、前記1つ以上の電極対および前記較正インピーダンスに連結する1つ以上のワイヤ対と
を含む装置。
【請求項2】
前記1つ以上のワイヤ対は、前記較正インピーダンスを前記インピーダンスブリッジと連結する較正インピーダンスツイストワイヤ対、または、前記1つ以上の電極対を該インピーダンスブリッジと連結する電極インピーダンスツイストワイヤ対の少なくとも一方を含むものである、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記1つ以上の電極対は、2つの電極対を含み、前記1つ以上のワイヤ対は、2つのワイヤ対を含み、各該ワイヤ対は、前記インピーダンスブリッジを、該2つの電極対のうち異なる電極対に連結するものである、請求項1に記載の装置。
【請求項4】
前記機器ヘッドは、更に、治療薬剤送出器具、エネルギー送出器具、または、組織検体摘出器具の少なくとも1つを含むものである、請求項1に記載の装置。
【請求項5】
前記較正インピーダンスは、位相オフセット較正インピーダンス負荷、コースゲイン較正インピーダンス負荷、ファインゲイン較正インピーダンス負荷、または、位相較正インピーダンス負荷の少なくとも1つを含むものである、請求項1に記載の装置。
【請求項6】
前記機器ヘッドは、更に、前記1つ以上の電極対の出力を前記インピーダンスブリッジに連結するバッファ回路を含むものである、請求項1に記載の装置。
【請求項7】
前記1つ以上のワイヤ対に、1つ以上の周波数の電流を、前記機器ヘッドと前記インピーダンスブリッジの間で伝えさせる電流生成部を、
更に含む、請求項1に記載の装置。
【請求項8】
前記インピーダンスブリッジと前記較正インピーダンスの間を流れる1つ以上の周波数の電流と関連する較正インピーダンス測定値、または、該インピーダンスブリッジと前記1つ以上の電極対の間を流れる1つ以上の周波数の電流と関連するインピーダンス測定値の少なくとも一方を測定する処理部を、
更に含む、請求項1に記載の装置。
【請求項9】
1つ以上の較正インピーダンス測定値および1つ以上のインピーダンス測定値に基づく補正されたインピーダンス測定値、または、前記1つ以上の電極対と接触した組織の一部の特性の少なくとも一方を特定する処理部を、
更に含む、請求項1に記載の装置。
【請求項10】
組織の特性の特定するための医療装置の作動方法において、前記医療装置は処理部を備え、前記処理部が、
前記医療装置の機器ヘッドに含まれる較正インピーダンスと関連する1つ以上の較正インピーダンス測定値を、1つ以上の周波数で記録する工程と、
前記機器ヘッドに含まれる1つ以上の電極対と関連する1つ以上のインピーダンス測定値を、1つ以上の周波数で記録する工程と、
1つ以上の補正されたインピーダンス測定値を、前記1つ以上の較正インピーダンス測定値および前記1つ以上のインピーダンス測定値に基づいて決定する工程と、
前記組織の特性を、前記1つ以上の補正されたインピーダンス測定値に基づいて特定する工程と
実行する方法。
【請求項11】
前記1つ以上の較正インピーダンス測定値を記録する工程は、較正インピーダンス負荷の較正インピーダンス測定値に基づく位相オフセット、コースゲイン較正インピーダンス負荷の較正インピーダンス測定値に基づくコースゲイン、ファインゲイン較正インピーダンス負荷の較正インピーダンス測定値に基づくファインゲイン、または、位相較正インピーダンス負荷の較正インピーダンス測定値に基づく位相の少なくとも1つを含むものである、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記組織の特性を特定する工程は、前記組織のコール緩和周波数を前記1つ以上の補正されたインピーダンス測定値に基づいて特定する工程を含むものである、請求項10に記載の方法。
【請求項13】
前記コール緩和周波数は、前記1つ以上の補正されたインピーダンス測定値に含まれる最大の補正されたインピーダンス測定値に関連する周波数に対応するものである、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記組織の特性を特定する工程は、更に、該組織の組織タイプを、該組織の前記コール緩和周波数に基づいて特定する工程を含むものである、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記組織の特性を特定する工程は、腫瘍組織の攻撃性を、前記コール緩和周波数に基づいて特定する工程を含むものである、請求項13に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【関連出願の相互参照】
【0001】
本願は、2021年1月27日出願の米国仮特許出願第63/142,242号、2021年1月27日出願の米国仮特許出願第63/142,247号、2021年1月27日出願の米国仮特許出願第63/142,254号、2021年1月27日出願の米国仮特許出願第63/142,260号、および、2021年8月9日出願の米国特許出願第17/397,896号の優先権の利益を主張する。これらの関連する出願の主題は、参照により本明細書に組み込まれる。
【技術分野】
【0002】
本開示の実施形態は、概して、電子機器および医療診断技術に関し、特に、インピーダンス較正した診断医療装置に関する。
【背景技術】
【0003】
最小侵襲医療処置において、医療提供者は、医療機器を個人の体内に挿入して、医療機器の機器ヘッドを腫瘍などの対象位置に配置する。機器ヘッドは、限定するものではないが、治療薬剤を対象位置に送出する治療薬剤送出器具、エネルギー(例えば、熱または電気)を対象位置に送出するエネルギー送出器具、および/または、更なる検査のために組織検体を対象位置から摘出する組織検体摘出器具を含む。
【0004】
治療薬剤またはエネルギーを対象位置以外の組織に送出すると、対象位置を治療し損ねるか、健康な組織を傷付けうる。したがって、いくつかの機器ヘッドは、機器ヘッドの位置での組織のインピーダンスを測定する電極対を含む。限定するものではないが、医療装置は、機器ヘッドの電極対を、限定するものではないがインピーダンスブリッジを含む外部電気要素に連結するワイヤを含む。処理部は、電極対と接触した組織のインピーダンスを測定する。医療提供者は、測定したインピーダンスを用いて、電極対と接触した組織の特性を特定する。
【0005】
上記医療装置の1つの欠点は、様々な外因が、インピーダンス測定値を変えてしまうことが多いことである。例えば、外因は、インピーダンスブリッジおよびワイヤなどの医療装置の製造に用いられた材料および処理のばらつきを含む。外因は、電極対をインピーダンスブリッジに連結するワイヤの長さ、および配列、ワイヤの近くでの電磁干渉、および、ワイヤの長さ、および、曲げなどの機械的な要因も含みうる。これらの種類の外因は、従来の医療装置の電気要素に、機器ヘッドの位置での組織の誤った組織タイプを示させうる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ここまで示したように、本分野において、組織のインピーダンスを、より効果的に測定する技術が必要である。
【課題を解決するための手段】
【0007】
インピーダンス較正した診断医療装置の実施形態を開示する。様々な実施形態において、医療装置は、インピーダンスブリッジ、1つ以上の電極対および較正インピーダンスを含む機器ヘッド、並びに、インピーダンスブリッジを1つ以上の電極対および較正インピーダンスに連結する1つ以上のワイヤ対を含む。
【0008】
組織の特性を特定する実施形態を開示する。様々な実施形態において、方法は、医療装置の機器ヘッドに含まれる較正インピーダンスに関連する1つ以上の較正インピーダンス測定値を、1つ以上の周波数で記録する工程と、機器ヘッドに含まれる1つ以上の電極対に関連する1つ以上のインピーダンス測定値を、1つ以上の周波数で記録する工程と、1つ以上の補正されたインピーダンス測定値を、1つ以上の較正インピーダンス測定値および1つ以上のインピーダンス測定値に基づいて特定する工程と、組織の特性を、1つ以上の補正されたインピーダンス測定値に基づいて特定する工程とを含む。
【0009】
特に、更なる実施形態は、上記方法を実施するように構成されたシステムおよび非一時的なコンピュータ読取可能媒体も提供する。
【0010】
本開示の医療装置の従来例と比べた少なくとも1つの技術的利点は、本開示の医療装置は、組織のインピーダンスを測定する間に、製造および材料のばらつきに起因する外因によるインピーダンスを補正することである。例えば、本開示の医療装置は、組織のインピーダンスを測定する間に、ワイヤの長さ、および曲げ、更に、関係する電磁干渉について補正することが可能である。したがって、本開示の医療装置は、組織のインピーダンスを、典型的には同様のインピーダンス補正技術を用いない従来の医療装置より正確に測定する。結果的に、本開示の医療装置は、コール緩和周波数、組織タイプ、または、腫瘍組織の攻撃性などの組織の特性を、従来の医療装置より正確に特定することが可能である。これらの技術的利点は、従来のアプローチより1つ以上の技術的進歩を提供する。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】様々な実施形態による医療装置100を示している。
図2】様々な実施形態による図1の機器ヘッド108を、より詳細に示している。
図3】様々な実施形態による図2の機器ヘッド108を、より詳細に示し、較正インピーダンス302を含んでいる。
図4】様々な実施形態による図2の機器ヘッド108を、より詳細に示し、ツイストワイヤ対404、406を含んでいる。
図5】様々な実施形態による図2の機器ヘッド108に連結された外部電気要素106を、より詳細に示している。
図6】様々な実施形態による図1の医療装置100を、より詳細に示している。
図7】様々な実施形態による組織の特性の特定方法の工程を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下の記載において、様々な実施形態をより完全に理解するために、多数の特定の詳細事項を示す。しかしながら、その概念の実施形態の範囲は、これらの特定の詳細事項の1つ以上を抜かしたいくつかの実施形態を含む。
【0013】
図1は、様々な実施形態による医療装置100を示している。図示したように、医療装置100は、限定するものではないが、機器ヘッド108、ワイヤ104、および、外部電気要素106を含む。機器ヘッド108は、対象位置102(例えば、腫瘍位置)に配置される。不図示であるが、機器ヘッド108は、限定するものではないが、電極対、および、治療薬剤またはエネルギーを対象位置102に送出、および/または、更なる検査のために組織検体を対象位置102から摘出する器具を含む。外部電気要素106は、様々な周波数の電流を生成する。ワイヤ104は、電流を、外部電気要素106と機器ヘッド108の間で伝える。外部電気要素106は、機器ヘッド108の電気対、および、電気対と接触した組織のインピーダンスを測定する処理部を含む。非常に詳細に後述するように、医療装置100は、最小侵襲医療処置の間に、補正されたインピーダンス測定値、および/または、補正されたインピーダンス測定値に基づく電気対と接触した組織の特性を、医療提供者に報告する。組織の特性は、限定するものではないが、細胞内で電荷が再分布する速度または周波数を示すコール緩和周波数を含む。組織の特性は、限定するものではないが、コール緩和周波数に基づく、電極対に接触した組織の組織タイプ、腫瘍か非腫瘍かの判断などの特定を含む。組織の特性は、限定するものではないが、コール緩和周波数に基づく、電極対に接触した組織の腫瘍組織の攻撃性の判断を含みうる。
【0014】
図2は、様々な実施形態による図1の機器ヘッド108を、より詳細に示している。図示したように、機器ヘッド108は、限定するものではないが、電極対202、器具204、カテーテル206、および、ワイヤ104を含む。電極対202は、様々な周波数の電流を、電極対202に接触した組織を通して伝える。ワイヤ104は、カテーテル206を通って、電流を外部電気要素106と電極対202の間で伝える。様々な実施形態において、器具204は、(例えば、カテーテル206のカニューレまたはワイヤによって運ばれる)治療薬剤またはエネルギーを送出するか、および/または、更なる検査のために組織検体を対象位置102から摘出する。機器ヘッド108の要素は、医療提供者が、治療薬剤またはエネルギーを対象位置102に送出するか、および/または、更なる検査のために組織検体を対象位置102から摘出するために、電極対202に接触した組織のインピーダンスを測定するのを可能にする。
【0015】
図3は、様々な実施形態による図2の機器ヘッド108を、より詳細に示し、較正インピーダンス302を含んでいる。図示したように、機器ヘッド108は、限定するものではないが、第1の電極対202-1、第2の電極対202-2、器具204、および、較正インピーダンス302を含む。図示したように、機器ヘッド108は、2つの電極対202-1、202-2を含む。但し、「電極対202」という用語は、本明細書で用いるように、限定するものではないが、1つの電極対202または3つ以上の電極対202を含む任意の数の電極対202を有する様々な実施形態を含むと理解すべきである。様々な実施形態において、器具204は、限定するものではないが、治療薬剤またはエネルギー(例えば、熱または電気)を対象位置102に送出する器具204、および/または、更なる検査のために組織検体を対象位置102から摘出する器具204を含む。
【0016】
様々な実施形態において、較正インピーダンス302は、製造中に機器ヘッド108に含められた固定の、および/または、既知のインピーダンス(つまり、抵抗、および/または、リアクタンス)のインピーダンス負荷である。様々な実施形態において、較正インピーダンス302は、限定するものではないが、2つ以上の較正インピーダンス負荷を含む。例えば、較正インピーダンス負荷は、限定するものではないが、較正インピーダンス302の位相オフセットを特定する位相オフセット較正インピーダンス負荷(例えば、100オーム抵抗器)、較正インピーダンス302のコースゲインを特定するコースゲイン較正インピーダンス負荷(例えば、510オーム抵抗器)、較正インピーダンス302のファインゲインを特定するファインゲイン較正インピーダンス負荷(例えば、300オーム抵抗器)、および/または、較正インピーダンス302の位相を特定する位相較正インピーダンス負荷(例えば、0オーム抵抗器)を含みうる。
【0017】
図4は、様々な実施形態による図2の機器ヘッド108を、より詳細に示し、ツイストワイヤ対404、406を含んでいる。図示したように、機器ヘッド108は、限定するものではないが、第1の電極対202-1、第2の電極対202-2、器具204、カテーテル206、較正インピーダンス302、較正インピーダンスツイストワイヤ対404、および、電極ツイストワイヤ対406を含む。較正インピーダンスツイストワイヤ対404は、電流を、較正インピーダンス302と外部電気要素106の間で伝える。較正インピーダンスツイストワイヤ対404は、限定するものではないが、供給ワイヤおよび接地ワイヤを含む。較正インピーダンスツイストワイヤ対404を撚り合わせることで、較正インピーダンスツイストワイヤ対404の長さに沿って、電磁干渉によるインピーダンスを削減する。電極ツイストワイヤ対406は、電流を、電極対202-1、202-2と外部電気要素106の間で伝える。電極ツイストワイヤ対406は、限定するものではないが、供給ワイヤおよび接地ワイヤを含む。電極ツイストワイヤ対406を撚り合わせることで、電極ツイストワイヤ対406の長さに沿って電磁干渉によるインピーダンスを削減する。様々な実施形態において、2つ以上の電極対202-1、202-2が、電極ツイストワイヤ対406の供給ワイヤ、および/または、接地ワイヤを共有する。いくつかの他の実施形態において、2つ以上の各電極対202-1、202-2は、各々、電極ツイストワイヤ対406の供給ワイヤ、および/または、接地ワイヤを有する。例えば、限定するものではないが、機器ヘッド108は、2つの電極対202を含み、各電極対202は、電極対を外部電気要素106に連結する電極ツイストワイヤ対406を含みうる。したがって、2つの電極対202の各電極対202は、別々の電源によって駆動されて、別々のリターンリードに接続されて、外部電気要素106は、4リードインピーダンス測定値を記録しうる。
【0018】
不図示であるが、様々な実施形態において、機器ヘッド108は、限定するものではないが、電極対202の近くに配置されたバッファ回路を含む。バッファ回路は、電極対202の出力を、電極対202の出力に電極ツイストワイヤ対406によって連結された外部電気要素106による寄生静電容量から隔離する。代わりに、いくつかの実施形態において、バッファ回路の出力とインピーダンスブリッジ504の入力が、バッファ回路のアナログ出力をデジタル信号に変換するアナログ‐デジタル変換器(ADC)回路によって連結される。デジタル信号は、外部電気要素106に、限定するものではないが、ケーブルまたはワイヤ(例えば、光ファイバケーブル)などの媒体、および/または、無線電磁信号(例えば、Bluetooth)によって送信されうる。信号をデジタル出力に変換することで、寄生静電容量または周囲からの電磁干渉など、外部からの信号の質への影響を更に削減する。
【0019】
図5は、様々な実施形態による図2の機器ヘッド108に連結された外部電気要素106を、より詳細に示している。図示したように、外部電気要素106は、較正インピーダンスツイストワイヤ対404、電極ツイストワイヤ対406、増幅器502、インピーダンスブリッジ504、および、処理部506を含む。較正インピーダンスツイストワイヤ対404は、様々な周波数の電流を、較正インピーダンス302と外部電気要素106の間で伝える。電極ツイストワイヤ対406は、様々な周波数の電流を、電極対と外部電気要素106の間で伝える。様々な実施形態において、増幅器502は、較正インピーダンスツイストワイヤ対404が様々な周波数の電流をインピーダンスブリッジ504と較正インピーダンス302の間で伝えるか、および/または、電極ツイストワイヤ対406が様々な周波数の電流をインピーダンスブリッジ504と電極対202の間で伝える間に、供給電圧、および/または、リターン電圧を増幅させるアナログインターフェース増幅器である。様々な実施形態において、インピーダンスブリッジ504は、処理部506が測定して、インピーダンスブリッジ504、増幅器502、較正インピーダンスツイストワイヤ対404、および、機器ヘッド108(例えば、電極対202、および/または、較正インピーダンス302)を含む回路のインピーダンスを特定するインピーダンス負荷である。
【0020】
様々な実施形態において、処理部506は、インピーダンスブリッジ504のインピーダンスを測定して、インピーダンスブリッジ504、増幅器502、較正インピーダンスツイストワイヤ対404、および、機器ヘッド108を含む回路のインピーダンスを特定する。処理部506は、較正インピーダンスツイストワイヤ対404がインピーダンスブリッジ504と較正インピーダンス302の間で伝える電流について、周波数を生成し、インピーダンスブリッジ504のインピーダンスを測定する。較正インピーダンスツイストワイヤ対404が、この電流を、様々な周波数で伝える間に、処理部506は、較正インピーダンス302を含む回路の1つ以上の較正インピーダンス測定値508を記録する。様々な実施形態において、各周波数についての較正インピーダンス測定値は、限定するものではないが、位相オフセット測定値、コースゲイン測定値、ファインゲイン測定値、および/または、位相測定値を含む。様々な実施形態において、処理部506は、較正インピーダンス測定値508の各測定値を記録し、一方、回路は、較正インピーダンス302の1つ以上の較正インピーダンス負荷を含む。様々な実施形態において、較正インピーダンス負荷は、限定するものではないが、位相較正インピーダンス負荷、コースゲイン較正インピーダンス負荷、ファインゲイン較正インピーダンス負荷、および/または、位相較正インピーダンス負荷を含む。様々な実施形態において、処理部506は、工場での較正処理の間に、較正インピーダンス測定値508(例えば、位相オフセット測定値、コースゲイン、および、位相)の1つ以上を測定して記録する。様々な実施形態において、処理部506は、手術での較正処理の間に、較正インピーダンス測定値508(例えば、ファインゲイン)の1つ以上を測定して記録する。
【0021】
処理部506は、電極ツイストワイヤ対406がインピーダンスブリッジ504と電極対202の間で伝える電流の周波数を生成して、インピーダンスブリッジ504のインピーダンスを測定する。電極インピーダンスツイストワイヤ対406がこの電流を様々な周波数で伝える間に、処理部506は、電極対202を含む回路の1つ以上のインピーダンス測定値510を記録する。様々な実施形態において、較正インピーダンス測定値508についての電流の周波数は、インピーダンス測定値510を測定する周波数と同じか、同様か、異なるものである。例えば、処理部506は、較正インピーダンス測定値508を、第1の組の周波数の各周波数で測定し、インピーダンス測定値510を、第1の組の周波数とは異なる第2の組の周波数の各周波数で測定しうる。
【0022】
様々な実施形態において、処理部506は、1つ以上の補正されたインピーダンス測定値512を、較正インピーダンス測定値508およびインピーダンス測定値510に基づいて特定する。例えば、処理部506は、較正インピーダンス測定値508をインピーダンス測定値510から引くか、これらの割り算を行う。補正されたインピーダンス測定値512は、電極対202に接触した組織のインピーダンスを示す。
【0023】
様々な実施形態において、処理部506は、電極対202に接触した組織の特性514を、補正されたインピーダンス測定値512に基づいて特定する。様々な実施形態において、特性514は、限定するものではないが、組織のコール緩和周波数、組織の組織タイプ(例えば、組織が腫瘍か非腫瘍かの判断)、および/または、腫瘍組織の攻撃性を含む。例えば、コール緩和周波数は、電極対202に接触した組織の最大正規化インピーダンス測定値の周波数である。コール緩和周波数が閾値周波数(例えば、10Hz)より低いと判断された場合は、電極対202に接触した組織が正常組織である可能性が高いことを示す。コール緩和周波数が閾値周波数より高いと判断された場合は、電極対202に接触した組織が腫瘍である可能性が高いことを示す。補正されたインピーダンス測定値512を特定することによって、処理部506は、特性514を、外因によるインピーダンスのない、組織のインピーダンスに基づいて特定する。様々な実施形態において、処理部506は、特性514を、医療装置100のユーザに報告する。様々な実施形態において、処理部506は、機器ヘッド108の器具204を、特性514に基づいて制御する。例えば、処理部506は、電極対202に接触した組織は腫瘍であると示す補正されたインピーダンス測定値512に基づいて、器具204に、治療薬剤またはエネルギーを対象位置102に送出させる。
【0024】
図6は、様々な実施形態による図1の医療装置100を、より詳細に示している。図示したように、医療装置100は、較正インピーダンスツイストワイヤ対404および電極ツイストワイヤ対406によって連結された機器ヘッド108と外部電気要素106を含む。図示したように、機器ヘッド108は、較正インピーダンス302および電極対202を含む。較正インピーダンス302は、限定するものではないが、既知の、および/または、固定のインピーダンス(例えば、抵抗、および/または、リアクタンス)の1つ以上のインピーダンス負荷を含む。様々な実施形態において、機器ヘッド108は、限定するものではないが、電極ツイストワイヤ対406を共有する2つ以上の電極対202を含むか、および/または、電極ツイストワイヤ対406に、各々連結され2つ以上の電極対202を含む。不図示であるが、様々な実施形態において、機器ヘッド108は、限定するものではないが、治療薬剤またはエネルギー(例えば、熱または電気)を対象位置102に送出する器具204を含む。
【0025】
図示したように、外部電気要素106は、増幅器502、インピーダンスブリッジ504、および、処理部506を含む。増幅器502は、較正インピーダンスツイストワイヤ対404、および/または、電極ツイストワイヤ対406が、様々な周波数の電流をインピーダンスブリッジ504と機器ヘッド108の間で伝える間に、供給電圧、および/または、リターン電圧を増幅する。インピーダンスブリッジ504は、処理部506が測定して、インピーダンスブリッジ504、増幅器502、較正インピーダンスツイストワイヤ対404または電極ツイストワイヤ対406、および、機器ヘッド108の1つ以上の構成要素を含む回路のインピーダンスを特定するインピーダンス負荷である。処理部506は、様々な周波数で、1つ以上の較正インピーダンス測定値508を記録する。処理部506は、様々な周波数で、1つ以上のインピーダンス測定値510を記録する。処理部506は、1つ以上の補正されたインピーダンス測定値512を、較正インピーダンス測定値508および、インピーダンス測定値510に基づいて特定する。補正されたインピーダンス測定値512に基づいて、処理部506は、電極対202と接触した組織の特性514を特定する。様々な実施形態において、特性514は、限定するものではないが、組織のコール緩和周波数、組織の組織タイプ(例えば、組織が腫瘍か非腫瘍の判断)、および/または、腫瘍組織の攻撃性を含む。補正されたインピーダンス測定値512を特定することによって、医療装置100は、特性514を、外因によるインピーダンスのない、組織のインピーダンスに基づいて特定する。様々な実施形態において、医療装置100は、特性514に基づいて、特性514を、医療装置100のユーザに報告するか、および/または、器具204を制御する(例えば、治療薬剤またはエネルギーを対象位置に送出するか、および/または、更なる検査のために、組織検体を対象位置から抽出する)。例えば、医療装置100は、特性インジケーターを、視覚的出力(例えば、液晶表示(LCD)、発光ダイオード(LED)表示またはインジケーターなど)を用いて表示するか、および/または、特性の聴覚的インジケーターを、聴覚的出力を用いて提供する(例えば、スピーカー、ブザーなどを用いて、発話描写、音響効果などで特性の聴覚的手掛かりを装置から提供)。
【0026】
図7は、様々な実施形態による組織の特性514の特定方法の工程を示すフローチャートである。方法の工程を図1~6のシステムについて記載するが、当業者は、そのような方法の工程を任意の順序で行うように構成された任意のシステムも本発明の範囲に含まれことが分かるだろう。
【0027】
図示したように、方法700は、医療装置100の処理部606が、1つ以上の周波数で、医療装置100の機器ヘッド108内の較正インピーダンス302の1つ以上の較正インピーダンス測定値508を記録する工程702で始まる。様々な実施形態において、処理部506は、較正インピーダンス測定値508を、医療装置100のメモリに、または、サーバなど、他の装置のメモリに記録しうる。例えば、処理部506は、較正インピーダンス測定値508を、(例えば、販売業者による)製造処理の一部として、および/または、医療処置の一部として、記録しうる。較正インピーダンス測定値508は、(限定するものではないが)材料のばらつき、電磁干渉、または、ワイヤ104の長さ、または、曲げを含む外因によるインピーダンスを示す。
【0028】
工程704において、処理部506は、1つ以上の周波数で、機器ヘッド108内の1つ以上の電極対202の1つ以上のインピーダンス測定値510を記録する。様々な実施形態において、処理部506は、インピーダンス測定値510を、較正インピーダンス測定値508と同じ、または、同様の周波数で記録するか、または、異なる周波数(例えば、より限定した組の周波数)で記録する。インピーダンス測定値510は、1つ以上の電極対202に接触した組織のインピーダンス、および、既に記載したような外因によるインピーダンスを示す。
【0029】
工程706において、処理部506は、1つ以上の補正されたインピーダンス測定値512を、較正インピーダンス測定値508およびインピーダンス測定値510に基づいて特定する。様々な実施形態において、処理部506は、補正されたインピーダンス測定値512を、較正インピーダンス測定値508をインピーダンス測定値510から引くか、および/または、インピーダンス測定値510を較正インピーダンス測定値508で割ることによって特定する。補正されたインピーダンス測定値512は、外因によるインピーダンスのない、1つ以上の電極対202に接触した組織のインピーダンスを示す。
【0030】
工程708において、処理部506は、組織の特性514を、1つ以上の補正されたインピーダンス測定値512に基づいて特定する。様々な実施形態において、特性514は、限定するものではないが、組織のコール緩和周波数、組織の組織タイプ(例えば、組織が腫瘍か非腫瘍かの判断)、および/または、腫瘍組織の攻撃性を含む。補正されたインピーダンス測定値512に基づいて特定することで、医療装置100が、特性514を、外因のインピーダンスのない、組織のインピーダンスに基づいて特定することが可能になる。様々な実施形態において、医療装置100は、例えば、限定するものではないが、特性514を医療装置100のユーザに報告することか、および/または、器具204を特性514に基づいて制御することによって、特定した特性を用いうる。工程708の後に、処理部506は、工程704に戻り、更なるインピーダンス測定値510を記録する。
【0031】
つまり、本開示の医療装置は、機器ヘッドの較正インピーダンスを測定して、外因により生じたインピーダンスを特定する。医療装置が、次に、電極対に接触した組織のインピーダンスを測定する時に、医療装置は、組織のインピーダンス測定値を、較正インピーダンス測定値に基づいて補正する。この補正技術は、有利なことに、組織のインピーダンス測定値を変えてしまう外因の影響を軽減する。
【0032】
従来例と比べた本開示の医療装置の少なくとも1つの技術的利点は、本開示の医療装置は、組織のインピーダンスを測定する間に、製造過程および材料のばらつきに起因する外因によるインピーダンスを補正することである。例えば、本開示の医療装置は、組織のインピーダンスを測定する間に、ワイヤの長さ、および、曲げ、更に、関係する電磁干渉について補正することが可能である。したがって、本開示の医療装置は、組織のインピーダンスを、典型的には同様のインピーダンス補正技術を行わない従来の医療装置より正確に測定する。結果的に、本開示の医療装置は、コール緩和周波数、組織タイプ、または、腫瘍組織の攻撃性などの組織の特性を、従来の医療機器より正確に特定することが可能である。これらの技術的利点は、従来のアプローチと比べて、1つ以上の技術進歩を提供するものである。
【0033】
1.いくつかの実施形態において、医療装置は、インピーダンスブリッジと、1つ以上の電極対、および、較正インピーダンスを含む機器ヘッドと、インピーダンスブリッジを、1つ以上の電極対および較正インピーダンスに連結する1つ以上のワイヤ対とを含む。
【0034】
2.1つ以上のワイヤ対は、較正インピーダンスをインピーダンスブリッジと連結する較正インピーダンスツイストワイヤ対、または、1つ以上の電極対をインピーダンスブリッジと連結する電極インピーダンスツイストワイヤ対の少なくとも一方を含むものである、第1項に記載の装置。
【0035】
3.1つ以上の電極対は、2つの電極対を含み、1つ以上のワイヤ対は、2つのワイヤ対を含み、各ワイヤ対は、インピーダンスブリッジを、2つの電極対のうち異なる電極対に連結するものである、第1または第2項に記載の装置。
【0036】
4.機器ヘッドは、更に、治療薬剤送出器具、エネルギー送出器具、または、組織検体摘出器具の少なくとも1つを含むものである、第1から第3項のいずれか1つに記載の装置。
【0037】
5.較正インピーダンスは、位相オフセット較正インピーダンス負荷、コースゲイン較正インピーダンス負荷、ファインゲイン較正インピーダンス負荷、または、位相較正インピーダンス負荷の少なくとも1つを含むものである、第1から第4項のいずれか1つに記載の医療装置。
【0038】
6.機器ヘッドは、更に、1つ以上の電極対の出力をインピーダンスブリッジに連結するバッファ回路を含むものである、第1から第5項のいずれか1つに記載の医療装置。
【0039】
7.バッファ回路の出力とインピーダンスブリッジの入力は、バッファ回路の出力をデジタル出力に変換するアナログ‐デジタル変換器によって連結されたものである、第1から第6項のいずれか1つに記載の医療装置。
【0040】
8.1つ以上のワイヤ対に、1つ以上の周波数の電流を、機器ヘッドとインピーダンスブリッジの間で伝えさせる電流生成部を、更に含む、第1から第7項のいずれか1つに記載の医療装置。
【0041】
9.インピーダンスブリッジと較正インピーダンスの間を流れる1つ以上の周波数の電流と関連する較正インピーダンス測定値、または、インピーダンスブリッジと1つ以上の電極対の間を流れる1つ以上の周波数の電流と関連するインピーダンス測定値の少なくとも一方を測定する処理部を、更に含む、第1から第8項のいずれか1つに記載の医療装置。
【0042】
10.1つ以上の較正インピーダンス測定値および1つ以上のインピーダンス測定値に基づく補正されたインピーダンス測定値、または、1つ以上の電極対と接触した組織の一部の特性の少なくとも一方を特定する処理部を、更に含む、第1から第9項のいずれか1つに記載の医療装置。
【0043】
11.いくつかの実施形態において、組織の特性の特定方法は、医療装置の機器ヘッドに含まれる較正インピーダンスと関連する1つ以上の較正インピーダンス測定値を、1つ以上の周波数で記録する工程と、機器ヘッドに含まれる1つ以上の電極対と関連する1つ以上のインピーダンス測定値を、1つ以上の周波数で記録する工程と、1つ以上の補正されたインピーダンス測定値を、1つ以上の較正インピーダンス測定値および1つ以上のインピーダンス測定値に基づいて決定する工程と、組織の特性を、1つ以上の補正されたインピーダンス測定値に基づいて特定する工程とを、含む。
【0044】
12.1つ以上の較正インピーダンス測定値を記録する工程は、較正インピーダンス負荷の較正インピーダンス測定値に基づく位相オフセット、コースゲイン較正インピーダンス負荷の較正インピーダンス測定値に基づくコースゲイン、ファインゲイン較正インピーダンス負荷の較正インピーダンス測定値に基づくファインゲイン、または、位相較正インピーダンス負荷の較正インピーダンス測定値に基づく位相の少なくとも1つを含むものである、第11項に記載の方法。
【0045】
13.1つ以上の較正インピーダンス測定値を記録する工程は、工場での較正処理中に、1つ以上の較正インピーダンス測定値の1つ以上を記録する工程と、手術での較正処理中に、1つ以上の較正インピーダンス測定値の1つ以上を記録する工程との一方または両方を含むものである、第11または第12項に記載の方法。
【0046】
14.1つ以上の較正インピーダンス測定値を記録する工程は、第1の組の周波数に含まれる各周波数で、較正インピーダンスの1つ以上の較正インピーダンス測定値を測定する工程を含み、1つ以上のインピーダンス測定値を記録する工程は、第1の組の周波数とは異なる第2の組の周波数に含まれる各周波数で、1つ以上の電極対に関連する1つ以上のインピーダンス測定値を測定する工程を含むものである、第11から第13項のいずれか1つに記載の方法。
【0047】
15.1つ以上のインピーダンス測定値を記録する工程は、第1のインピーダンス測定値を、第1の電極対および第1のワイヤ対に関連する第1の電流に基づいて記録する工程と、第2のインピーダンス測定値を、第2の電極対および第2のワイヤ対に関連する第2の電流に基づいて記録する工程とを含むものである、第11から第14項のいずれか1つに記載の方法。
【0048】
16.1つ以上の補正されたインピーダンス測定値を決定する工程は、1つ以上の較正インピーダンス測定値を1つ以上のインピーダンス測定値から引く工程、または、1つ以上のインピーダンス測定値を1つ以上の較正インピーダンス測定値で割る工程の一方または両方を含むものである、第11から第15項のいずれか1つに記載の方法。
【0049】
17.組織の特性を特定する工程は、組織のコール緩和周波数を1つ以上の補正されたインピーダンス測定値に基づいて特定する工程を含むものである、第11から第16項のいずれか1つに記載の方法。
【0050】
18.コール緩和周波数は、1つ以上の補正されたインピーダンス測定値に含まれる最大の補正されたインピーダンス測定値に関連する周波数に対応するものである、第11から第17項のいずれか1つに記載の方法。
【0051】
19.組織の特性を特定する工程は、更に、組織の組織タイプを、組織のコール緩和周波数に基づいて特定する工程を含むものである、第11から第18項のいずれか1つに記載の方法。
【0052】
20.組織の特性を特定する工程は、腫瘍組織の攻撃性を、コール緩和周波数に基づいて特定する工程を含むものである、第11から第19項のいずれか1つに記載の方法。
【0053】
21.組織の特性を特定する工程は、組織の腫瘍組織タイプを、組織のコール緩和周波数が閾値周波数より高いことに基づいて特定する工程と、組織の非腫瘍組織タイプを、組織のコール緩和周波数が閾値周波数より低いことに基づいて特定する工程とを含むものである、第11から第20項のいずれか1つに記載の方法。
【0054】
22.組織の特性を、医療装置から視覚的出力または聴覚的出力の少なくとも一方を用いて提供する工程を、更に含む、第11から第21項のいずれか1つに記載の方法。
【0055】
23.機器ヘッドの器具を、組織の特性に基づいて制御する工程であって、器具は、治療薬剤送出器具、エネルギー送出器具、または、組織検体摘出器具の少なくとも1つを含む工程を、更に含む、第11から第22項のいずれか1つに記載の方法。
【0056】
任意の請求項に記載の任意の請求項の要素、および/または、本明細書に記載の任意の要素は、任意および全ての組合せで、いかなる形態でも、本発明および保護の企図した範囲に含まれる。
【0057】
様々な実施形態の記載は、例示のためであり、網羅することも、開示した実施形態に限定することも意図しない。当業者には、記載した実施形態の範囲および精神を逸脱することなく、多数の変更および変形が明らかであろう。
【0058】
本実施形態の態様を、システム、方法、または、コンピュータプログラム製品として実施しうる。したがって、本開示の態様は、完全なハードウェアの実施形態、(ファームウェア、常駐ソフトウェア、マイクロコードなどを含む)完全なソフトウェアの実施形態、または、ソフトウェアとハードウェアの態様を組み合わせた実施形態で実施されうるものであり、そのような態様を、本明細書では、概して、「モジュール」、「システム」または「コンピュータ」と称しうる。更に、本明細書に記載の任意のハードウェア、および/または、ソフトウェア技術、処理、機能、構成要素、エンジン、モジュール、または、システムを、回路または回路の組として実施しうる。更に、本開示の態様は、コンピュータ読取可能プログラムコードが記憶された1つ以上のコンピュータ読取可能媒体上で具現化されたコンピュータプログラム製品の形態をとりうる。
【0059】
任意の組合せの1つ以上のコンピュータ読取可能媒体を用いうる。コンピュータ読取可能媒体は、コンピュータ読取可能信号媒体またはコンピュータ読取可能記憶媒体でありうる。コンピュータ読取可能記憶媒体は、例えば、限定するものではないが、電子、磁気、光学、電磁、赤外線、若しくは、半導体システム、装置、若しくは、デバイス、または、これらの任意の適切な組合せでありうる。コンピュータ読取可能記憶媒体のより具体的な例(非網羅的な一覧)は、1つ以上のワイヤを有する電気接続、ポータブルコンピュータディスケット、ハードディスク、ランダムアクセスメモリ(RAM)、リードオンリーメモリ(ROM)、消去可能型プログラム可能リードオンリーメモリ(EPROMまたはフラッシュメモリ)、光ファイバ、ポータブルコンパクトディスクリードオンリーメモリ(CD-ROM)、光学記憶装置、磁気記憶装置、または、これらの任意の適切な組合せを含みうる。本明細書の文脈において、コンピュータ読取可能記憶媒体は、命令実行システム、装置、または、デバイスによって、または、これらとの関係で用いられるプログラムを保持または記憶しうる任意の有形媒体でありうる。
【0060】
本開示の態様を、本開示の実施形態による方法、装置(システム)およびコンピュータプログラム製品を示すフローチャート、および/または、ブロック図を参照して記載した。フローチャート、および/または、ブロック図の各ブロック、並びに、フローチャート、および/または、ブロック図のブロックの組合せは、コンピュータプログラム命令によって実行しうることが分かるだろう。これらのコンピュータプログラム命令を、汎用コンピュータ、専用コンピュータ、または、他のプログラム可能なデータ処理装置の処理部に提供して、機械を製造しうる。命令が、コンピュータまたは他のプログラム可能なデータ処理装置の処理部を介して実行された時に、フローチャート、および/または、ブロック図のブロックに特定した機能/作用は、実施可能になる。そのような処理部は、限定するものではないが、汎用処理部、専用処理部、特定用途処理部、または、フィールドプログラマブルゲートアレイでありうる。
【0061】
図面のフローチャートおよびブロック図は、本開示の様々な実施形態によるシステム、方法、および、コンピュータプログラム製品の可能な実施形態のアーキテクチャ、機能、および、動作を示している。この点について、フローチャートまたはブロック図の各ブロックは、特定のロジック機能を実施するための1つ以上の実行可能な命令を含むモジュール、セグメント、または、コードの一部を表しうる。尚、いくつかの代わりの実施形態において、ブロックに示した機能は、図示した順序とは異なる順序で行われうる。例えば、2つの連続して示したブロックは、実際に、略同時に実行されるか、または、含まれる機能に応じて、ブロックは、反対の順序で実行されることもありうる。更に、ブロック図、および/または、フローチャートの各ブロック、並びに、ブロック図、および/または、フローチャートのブロックの組合せを、特定の機能または作用を行う専用ハードウェア系システム、または、専用ハードウェアおよびコンピュータ命令の組合せによっても実施しうるものである。
【0062】
本開示の実施形態について記載したが、その基本的範囲を逸脱することなく、本開示の他の更なる実施形態も考案しうるものであり、その範囲は、次の請求項によって決定される。
以下、本発明の好ましい実施形態を項分け記載する。
実施形態1
医療装置において、
インピーダンスブリッジと、
1つ以上の電極対、および、較正インピーダンスを含む機器ヘッドと、
前記インピーダンスブリッジを、前記1つ以上の電極対および前記較正インピーダンスに連結する1つ以上のワイヤ対と
を含む装置。
実施形態2
前記1つ以上のワイヤ対は、前記較正インピーダンスを前記インピーダンスブリッジと連結する較正インピーダンスツイストワイヤ対、または、前記1つ以上の電極対を該インピーダンスブリッジと連結する電極インピーダンスツイストワイヤ対の少なくとも一方を含むものである、実施形態1に記載の装置。
実施形態3
前記1つ以上の電極対は、2つの電極対を含み、前記1つ以上のワイヤ対は、2つのワイヤ対を含み、各該ワイヤ対は、前記インピーダンスブリッジを、該2つの電極対のうち異なる電極対に連結するものである、実施形態1に記載の装置。
実施形態4
前記機器ヘッドは、更に、治療薬剤送出器具、エネルギー送出器具、または、組織検体摘出器具の少なくとも1つを含むものである、実施形態1に記載の装置。
実施形態5
前記較正インピーダンスは、位相オフセット較正インピーダンス負荷、コースゲイン較正インピーダンス負荷、ファインゲイン較正インピーダンス負荷、または、位相較正インピーダンス負荷の少なくとも1つを含むものである、実施形態1に記載の装置。
実施形態6
前記機器ヘッドは、更に、前記1つ以上の電極対の出力を前記インピーダンスブリッジに連結するバッファ回路を含むものである、実施形態1に記載の装置。
実施形態7
前記バッファ回路の出力と前記インピーダンスブリッジの入力は、該バッファ回路の該出力をデジタル出力に変換するアナログ‐デジタル変換器によって連結されたものである、実施形態6に記載の装置。
実施形態8
前記1つ以上のワイヤ対に、1つ以上の周波数の電流を、前記機器ヘッドと前記インピーダンスブリッジの間で伝えさせる電流生成部を、
更に含む、実施形態1に記載の装置。
実施形態9
前記インピーダンスブリッジと前記較正インピーダンスの間を流れる1つ以上の周波数の電流と関連する較正インピーダンス測定値、または、該インピーダンスブリッジと前記1つ以上の電極対の間を流れる1つ以上の周波数の電流と関連するインピーダンス測定値の少なくとも一方を測定する処理部を、
更に含む、実施形態1に記載の装置。
実施形態10
1つ以上の較正インピーダンス測定値および1つ以上のインピーダンス測定値に基づく補正されたインピーダンス測定値、または、前記1つ以上の電極対と接触した組織の一部の特性の少なくとも一方を特定する処理部を、
更に含む、実施形態1に記載の装置。
実施形態11
組織の特性の特定方法において、
医療装置の機器ヘッドに含まれる較正インピーダンスと関連する1つ以上の較正インピーダンス測定値を、1つ以上の周波数で記録する工程と、
前記機器ヘッドに含まれる1つ以上の電極対と関連する1つ以上のインピーダンス測定値を、1つ以上の周波数で記録する工程と、
1つ以上の補正されたインピーダンス測定値を、前記1つ以上の較正インピーダンス測定値および前記1つ以上のインピーダンス測定値に基づいて決定する工程と、
前記組織の特性を、前記1つ以上の補正されたインピーダンス測定値に基づいて特定する工程と
を含む方法。
実施形態12
前記1つ以上の較正インピーダンス測定値を記録する工程は、較正インピーダンス負荷の較正インピーダンス測定値に基づく位相オフセット、コースゲイン較正インピーダンス負荷の較正インピーダンス測定値に基づくコースゲイン、ファインゲイン較正インピーダンス負荷の較正インピーダンス測定値に基づくファインゲイン、または、位相較正インピーダンス負荷の較正インピーダンス測定値に基づく位相の少なくとも1つを含むものである、実施形態11に記載の方法。
実施形態13
前記1つ以上の較正インピーダンス測定値を記録する工程は、
工場での較正処理中に、前記1つ以上の較正インピーダンス測定値の1つ以上を記録する工程と、
手術での較正処理中に、前記1つ以上の較正インピーダンス測定値の1つ以上を記録する工程と
の一方または両方を含むものである、実施形態11に記載の方法。
実施形態14
前記1つ以上の較正インピーダンス測定値を記録する工程は、第1の組の周波数に含まれる各周波数で、前記較正インピーダンスの1つ以上の較正インピーダンス測定値を測定する工程を含み、
前記1つ以上のインピーダンス測定値を記録する工程は、前記第1の組の周波数とは異なる第2の組の周波数に含まれる各周波数で、前記1つ以上の電極対に関連する前記1つ以上のインピーダンス測定値を測定する工程を含むものである、実施形態11に記載の方法。
実施形態15
前記1つ以上のインピーダンス測定値を記録する工程は、第1のインピーダンス測定値を、第1の電極対および第1のワイヤ対に関連する第1の電流に基づいて記録する工程と、第2のインピーダンス測定値を、第2の電極対および第2のワイヤ対に関連する第2の電流に基づいて記録する工程とを含むものである、実施形態11に記載の方法。
実施形態16
前記1つ以上の補正されたインピーダンス測定値を決定する工程は、
前記1つ以上の較正インピーダンス測定値を前記1つ以上のインピーダンス測定値から引く工程、または、
前記1つ以上のインピーダンス測定値を前記1つ以上の較正インピーダンス測定値で割る工程
の一方または両方を含むものである、実施形態11に記載の方法。
実施形態17
前記組織の特性を特定する工程は、前記組織のコール緩和周波数を前記1つ以上の補正されたインピーダンス測定値に基づいて特定する工程を含むものである、実施形態11に記載の方法。
実施形態18
前記コール緩和周波数は、前記1つ以上の補正されたインピーダンス測定値に含まれる最大の補正されたインピーダンス測定値に関連する周波数に対応するものである、実施形態17に記載の方法。
実施形態19
前記組織の特性を特定する工程は、更に、該組織の組織タイプを、該組織の前記コール緩和周波数に基づいて特定する工程を含むものである、実施形態18に記載の方法。
実施形態20
前記組織の特性を特定する工程は、腫瘍組織の攻撃性を、前記コール緩和周波数に基づいて特定する工程を含むものである、実施形態18に記載の方法。
実施形態21
前記組織の特性を特定する工程は、
前記組織の腫瘍組織タイプを、該組織のコール緩和周波数が閾値周波数より高いことに基づいて特定する工程と、
前記組織の非腫瘍組織タイプを、該組織の前記コール緩和周波数が前記閾値周波数より低いことに基づいて特定する工程と
を含むものである、実施形態11に記載の方法。
実施形態22
前記組織の特性を、前記医療装置から視覚的出力または聴覚的出力の少なくとも一方を用いて提供する工程を、
更に含む、実施形態11に記載の方法。
実施形態23
前記機器ヘッドの器具を、前記組織の特性に基づいて制御する工程であって、該器具は、治療薬剤送出器具、エネルギー送出器具、または、組織検体摘出器具の少なくとも1つを含む工程を、
更に含む、実施形態11に記載の方法。

【符号の説明】
【0063】
100 医療機器
104 ワイヤ
106 外部電気要素
108 機器ヘッド
202 電極対
204 器具
206 カテーテル
302 較正インピーダンス
404、406 ツイストワイヤ対
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7