(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-17
(45)【発行日】2024-10-25
(54)【発明の名称】複合クロスアーム及び送電塔
(51)【国際特許分類】
H02G 7/00 20060101AFI20241018BHJP
H02G 1/02 20060101ALI20241018BHJP
E04H 12/10 20060101ALI20241018BHJP
E04H 12/24 20060101ALI20241018BHJP
【FI】
H02G7/00
H02G1/02
E04H12/10 A
E04H12/24
(21)【出願番号】P 2023547391
(86)(22)【出願日】2021-10-12
(86)【国際出願番号】 CN2021123301
(87)【国際公開番号】W WO2022179114
(87)【国際公開日】2022-09-01
【審査請求日】2023-08-04
(31)【優先権主張番号】202110206367.9
(32)【優先日】2021-02-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】515114647
【氏名又は名称】ジャンソ シンマ エレクトリック コーポレーション リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110003915
【氏名又は名称】弁理士法人岡田特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】マー ビン
(72)【発明者】
【氏名】ユイ ジェ
(72)【発明者】
【氏名】ホアン チン
【審査官】間宮 嘉誉
(56)【参考文献】
【文献】中国特許出願公開第106894670(CN,A)
【文献】中国特許出願公開第106930594(CN,A)
【文献】特開平7-308016(JP,A)
【文献】中国実用新案第205046909(CN,U)
【文献】中国特許出願公開第106448952(CN,A)
【文献】米国特許出願公開第2012/0205139(US,A1)
【文献】特表2016-502832(JP,A)
【文献】実公平5-37611(JP,Y2)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E04H 12/10
E04H 12/24
H01B 17/00-17/54
H02G 7/00- 7/22
H02G 1/00- 1/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
1つの支柱碍子及び3つの斜張碍子を含む複合クロスアームであって、
前記支柱碍子及び前記斜張碍子は、一端がいずれも送電塔の塔体に接続されるために用いられ、他端が互いに接続されて送電線を掛けて設けるための前記複合クロスアームの端部を形成し、3つの前記斜張碍子は、前記支柱碍子の周りに間隔をあけて配列され、且つそのうちの2つの前記斜張碍子の軸線は、前記支柱碍子の軸線と同一の平面に位置し、軸線が前記支柱碍子の軸線と同一の平面に位置する2つの前記斜張碍子をいずれも第1斜張碍子と定義し、残りの前記斜張碍子を第2斜張碍子と定義すると、2つの前記第1斜張碍子の間の角度範囲は、45°~90°であり、前記第2斜張碍子と前記支柱碍子との間の角度範囲は、25°~45°であ
り、
前記支柱碍子は、絶縁体と、傘スカートと、支柱接続金具とを含み、
前記傘スカートは、前記絶縁体の外周を被覆しており、
前記絶縁体の一端には、前記支柱碍子を前記塔体に取り付けるための前記支柱接続金具が接続されており、
前記支柱接続金具は、端部フランジ筒と、端部フランジと、第1取付板とを含み、
前記端部フランジ筒は、軸方向に沿って中空構造として設けられ、前記絶縁体の一端に嵌設され、
前記端部フランジは、前記端部フランジ筒の前記絶縁体から遠い端部を閉塞し、
前記第1取付板の端部は、前記端部フランジの前記端部フランジ筒から遠い盤面に当接し、前記第1取付板は、前記塔体に接続されて前記支柱碍子の取付を実現する、ことを特徴とする複合クロスアーム。
【請求項2】
前記複合クロスアームは、前記塔体と前記第1斜張碍子を接続するための第1斜張接続金具をさらに含み、前記第1斜張接続金具は、第1サブ接続金具と、第2サブ接続金具とを含み、
前記第1サブ接続金具は、前記第1斜張碍子に接続され、
前記第2サブ接続金具は、前記第1斜張碍子と前記塔体との接続を実現するように、一端が前記第1サブ接続金具に位置調整可能に接続され、他端が前記塔体に接続されるために用いられる、ことを特徴とする請求項1に記載の複合クロスアーム。
【請求項3】
前記第1サブ接続金具には、弧状に配列された複数の第1取付部が設けられ、前記第2サブ接続金具は、択一的に前記第1取付部に接続されている、ことを特徴とする請求項2に記載の複合クロスアーム。
【請求項4】
前記複合クロスアームは、第2斜張接続金具をさらに含み、前記第2斜張接続金具は、前記塔体と前記第2斜張碍子を接続するために用いられ、前記第2斜張接続金具の長さは、一定である、ことを特徴とする請求項1に記載の複合クロスアーム。
【請求項5】
前記第1取付板の数は、2つであり、且2つの前記第1取付板は、いずれも前記端部フランジに垂直に設けられている、ことを特徴とする請求項
1に記載の複合クロスアーム。
【請求項6】
前記絶縁体は、中実の絶縁芯体であり、或いは、前記絶縁体は、中空の絶縁管であり、前記中空の絶縁管内には絶縁ガスが密封され、且つ前記絶縁ガスの絶対圧力値の範囲は、0.1~0.15MPaである、ことを特徴とする請求項
1に記載の複合クロスアーム。
【請求項7】
前記傘スカートは、間隔をあけて設けられた同一の傘体を複数含み、前記傘体は、前記絶縁体の径方向に対して対称である、ことを特徴とする請求項
1に記載の複合クロスアーム。
【請求項8】
前記支柱碍子と前記斜張碍子との前記他端は、端部金具を介して接続され、前記端部金具は、第1フランジ筒と、密封板と、線掛け板とを含み、
前記第1フランジ筒は、軸方向に沿って中空構造として設けられ、前記支柱碍子の端部に嵌設されるために用いられ、
前記密封板は、前記第1フランジ筒の一端を閉塞し、
前記線掛け板は、前記密封板の前記第1フランジ筒から遠い側に設けられ、且つ前記密封板に接続され、前記送電線を掛けて設けるために用いられる、ことを特徴とする請求項1に記載の複合クロスアーム。
【請求項9】
前記端部金具は、接続板をさらに含み、
前記接続板は、前記第1フランジ筒の外周に設けられ、且つ前記第1フランジ筒に接続され、前記斜張碍子を接続するために用いられる、ことを特徴とする請求項
8に記載の複合クロスアーム。
【請求項10】
前記端部金具は、第2フランジ筒をさらに含み、
前記第2フランジ筒は、軸方向に沿って中空構造として設けられ、前記第1フランジ筒と同軸に設けられ、且つ前記第1フランジ筒の前記密封板から遠い他端に接続され、前記第2フランジ筒の外周面は、滑らかである、ことを特徴とする請求項
8に記載の複合クロスアーム。
【請求項11】
前記第1フランジ筒は、前記第2フランジ筒と取り外し可能に接続されている、ことを特徴とする請求項
10に記載の複合クロスアーム。
【請求項12】
1つの支柱碍子及び3つの斜張碍子を含む複合クロスアームであって、
前記支柱碍子及び前記斜張碍子は、一端がいずれも送電塔の塔体に接続されるために用いられ、他端が互いに接続されて送電線を掛けて設けるための前記複合クロスアームの端部を形成し、3つの前記斜張碍子は、前記支柱碍子の周りに間隔をあけて配列され、且つそのうちの2つの前記斜張碍子の軸線は、前記支柱碍子の軸線と同一の平面に位置し、軸線が前記支柱碍子の軸線と同一の平面に位置する2つの前記斜張碍子をいずれも第1斜張碍子と定義し、残りの前記斜張碍子を第2斜張碍子と定義すると、2つの前記第1斜張碍子の間の角度範囲は、45°~90°であり、前記第2斜張碍子と前記支柱碍子との間の角度範囲は、25°~45°であり、
前記複合クロスアームは、前記塔体と前記第1斜張碍子を接続するための第1斜張接続金具をさらに含み、前記第1斜張接続金具は、第1サブ接続金具と、第2サブ接続金具とを含み、
前記第1サブ接続金具は、前記第1斜張碍子に接続され、
前記第2サブ接続金具は、前記第1斜張碍子と前記塔体との接続を実現するように、一端が前記第1サブ接続金具に位置調整可能に接続され、他端が前記塔体に接続されるために用いられ、
前記第1サブ接続金具には、弧状に配列された複数の第1取付部が設けられ、前記第2サブ接続金具は、択一的に前記第1取付部に接続されている、ことを特徴とする複合クロスアーム。
【請求項13】
1つの支柱碍子及び3つの斜張碍子を含む複合クロスアームであって、
前記支柱碍子及び前記斜張碍子は、一端がいずれも送電塔の塔体に接続されるために用いられ、他端が互いに接続されて送電線を掛けて設けるための前記複合クロスアームの端部を形成し、3つの前記斜張碍子は、前記支柱碍子の周りに間隔をあけて配列され、且つそのうちの2つの前記斜張碍子の軸線は、前記支柱碍子の軸線と同一の平面に位置し、軸線が前記支柱碍子の軸線と同一の平面に位置する2つの前記斜張碍子をいずれも第1斜張碍子と定義し、残りの前記斜張碍子を第2斜張碍子と定義すると、2つの前記第1斜張碍子の間の角度範囲は、45°~90°であり、前記第2斜張碍子と前記支柱碍子との間の角度範囲は、25°~45°であり、
前記支柱碍子と前記斜張碍子との前記他端は、端部金具を介して接続され、前記端部金具は、第1フランジ筒と、密封板と、線掛け板とを含み、
前記第1フランジ筒は、軸方向に沿って中空構造として設けられ、前記支柱碍子の端部に嵌設されるために用いられ、
前記密封板は、前記第1フランジ筒の一端を閉塞し、
前記線掛け板は、前記密封板の前記第1フランジ筒から遠い側に設けられ、且つ前記密封板に接続され、前記送電線を掛けて設けるために用いられ、
前記端部金具は、第2フランジ筒をさらに含み、
前記第2フランジ筒は、軸方向に沿って中空構造として設けられ、前記第1フランジ筒と同軸に設けられ、且つ前記第1フランジ筒の前記密封板から遠い他端に接続され、前記第2フランジ筒の外周面は、滑らかである、ことを特徴とする複合クロスアーム。
【請求項14】
塔体と、前記塔体に接続された請求項1乃至
13のいずれか1項に記載の複合クロスアームとを含む、ことを特徴とする送電塔。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は、送電技術分野に関し、特に複合クロスアーム及び送電塔に関する。
【背景技術】
【0002】
複合材料は、軽量で、強度が高く、耐食で、加工しやすく、設計可能性及び絶縁性能が良好であることなどの利点を有するため、送電電柱構造を建造する理想的な材料の1つであり、且つ、複合材料を用いて製造された電柱は、重量が軽く、電柱のヘッドの寸法が小さく、構造が軽便で、加工成形しやすく、輸送及び組立のコストが低く、耐食で、高低温に耐え、強度が大きく、盗難の可能性が小さく、また、線路のメンテナンスコストが低いなどの利点を有する。
【0003】
本願の発明者は、従来、複合材料を用いて製造した電柱の性能を向上させる必要があると見出した。また、従来の複合クロスアームは、一般的に支柱碍子と斜張碍子が組み合わせて形成され、単柱構造、単柱単引き構造、双柱単引き構造などの複数種の形態を含むが、これらの形態の複合クロスアームの安定性は、依然として向上する必要がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本願は、複合クロスアームの安定性を保証できる複合クロスアーム及び送電塔を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するために、本願の採用する技術案は、複合クロスアームを提供することである。前記複合クロスアームは、1つの支柱碍子及び3つの斜張碍子を含み、前記支柱碍子及び前記斜張碍子は、一端がいずれも送電塔の塔体に接続されるために用いられ、他端が互いに接続されて送電線を掛けて設けるための前記複合クロスアームの端部を形成し、3つの前記斜張碍子は、前記支柱碍子の周りに間隔をあけて配列され、且つそのうちの2つの前記斜張碍子の軸線は、前記支柱碍子の軸線と同一の平面に位置し、軸線が前記支柱碍子の軸線と同一の平面に位置する2つの前記斜張碍子をいずれも第1斜張碍子と定義し、残りの前記斜張碍子を第2斜張碍子と定義すると、2つの前記第1斜張碍子の間の角度範囲は、45°~90°であり、前記第2斜張碍子と前記支柱碍子との間の角度範囲は、25°~45°である。
【0006】
上記複合クロスアームによれば、1つの支柱碍子及び3つの斜張碍子が互いに接続されて送電線を掛けて設ける端部を形成することにより、複合クロスアームと塔体との間に安定したトラス構造を形成して、複合クロスアームの安定性能を大幅に向上させることができる一方、2つの第1斜張碍子の間の角度範囲を45°~90°とすることにより、支柱碍子の高圧端(塔体から遠い一端)に第1均圧環及び端部金具を設け、2つの第1斜張碍子の高圧端(塔体から遠い一端)に第2均圧環を設けるために有利な条件を提供することができる。さらに、第2斜張碍子と支柱碍子との間の角度範囲を25°~45°とすることにより、支柱碍子の高圧端に第1均圧環を設け、第2斜張碍子の高圧端(塔体から遠い一端)に第3均圧環を設けるために有利な条件を提供することができる。
【0007】
さらに、前記複合クロスアームは、前記塔体と前記第1斜張碍子を接続するための第1斜張接続金具をさらに含み、前記第1斜張接続金具は、第1サブ接続金具と、第2サブ接続金具とを含み、前記第1サブ接続金具は、前記第1斜張碍子に接続され、前記第2サブ接続金具は、前記第1斜張碍子と前記塔体との接続を実現するように、一端が前記第1サブ接続金具に位置調整可能に接続され、他端が前記塔体に接続されるために用いられる。
【0008】
上記第1斜張接続金具の設置により、複合クロスアームの構造を多変にすることができ、異なる応用シーンに適用することができる。
【0009】
さらに、前記第1サブ接続金具には、弧状に配列された複数の第1取付部が設けられ、前記第2サブ接続金具は、択一的に前記第1取付部に接続されている。
【0010】
上記第1取付部の設置により、第1斜張接続金具の長さを調整可能にすることができる。
【0011】
さらに、前記複合クロスアームは、第2斜張接続金具をさらに含み、前記第2斜張接続金具は、前記塔体と前記第2斜張碍子を接続するために用いられ、前記第2斜張接続金具の長さは、一定である。
【0012】
上記第2斜張接続金具により、塔体と第2斜張碍子との安定的な接続を保証することができる。
【0013】
さらに、前記支柱碍子は、絶縁体と、傘スカートと、支柱接続金具とを含み、前記傘スカートは、前記絶縁体の外周を被覆しており、前記絶縁体の一端には、前記支柱碍子を前記塔体に取り付けるための前記支柱接続金具が接続されており、前記支柱接続金具は、端部フランジ筒と、端部フランジと、第1取付板とを含み、前記端部フランジ筒は、軸方向に沿って中空構造として設けられ、前記絶縁体の一端に嵌設され、前記端部フランジは、前記端部フランジ筒の前記絶縁体から遠い端部を閉塞し、前記第1取付板の端部は、前記端部フランジの前記端部フランジ筒から遠い盤面に当接し、前記第1取付板は、前記塔体に接続されて前記支柱碍子の取付を実現する。
【0014】
上記のように端部フランジが端部フランジ筒の支柱碍子から遠い端部を閉塞することにより、外部の水気などが支柱碍子を腐食することを避けて、支柱碍子の耐用年数を延ばすことができる。
【0015】
さらに、前記第1取付板の数は、2つであり、且2つの前記第1取付板は、いずれも前記端部フランジに垂直に設けられている。
【0016】
上記のように第1取付板の数を2つとすることにより、支柱碍子と塔体との接続の安定性を保証することができる。
【0017】
さらに、前記絶縁体は、中実の絶縁芯体であり、或いは、前記絶縁体は、中空の絶縁管であり、前記中空の絶縁管内には絶縁ガスが密封され、且つ前記絶縁ガスの絶対圧力値の範囲は、0.1~0.15MPaである。
【0018】
上記のように、絶縁体は中空の絶縁管とされ、且つその中に絶対圧力値の範囲が0.1~0.15MPaである絶縁ガスが密封されることにより、支柱碍子の日常のメンテナンス及び監視を避けることができる。
【0019】
さらに、前記傘スカートは、間隔をあけて設けられた同一の傘体を複数含み、前記傘体は、前記絶縁体の径方向に対して対称である。
【0020】
上記のように、傘体が絶縁体の径方向に対して対称であることにより、傘スカートの自己洗浄に有利であり、支柱碍子は耐汚染性、耐雨性、耐氷性などの特性を有する。
【0021】
さらに、前記支柱碍子と前記斜張碍子との前記他端は、端部金具を介して接続され、前記端部金具は、第1フランジ筒と、密封板と、線掛け板とを含み、前記第1フランジ筒は、軸方向に沿って中空構造として設けられ、前記支柱碍子の端部に嵌設されるために用いられ、前記密封板は、前記第1フランジ筒の一端を閉塞し、前記線掛け板は、前記密封板の前記第1フランジ筒から遠い側に設けられ、且つ前記密封板に接続され、前記送電線を掛けて設けるために用いられる。
【0022】
上記のように、端部金具における密封板が第1フランジ筒の一端を閉塞することにより、送電線が掛けて設けられた線掛け板が破損したことによって線掛け板を交換する際に、密封板は、第1フランジ筒の内部における支柱碍子が外部の水気などに腐食されないように保証することができ、支柱碍子の耐用年数を保証する。
【0023】
さらに、前記端部金具は、接続板をさらに含み、前記接続板は、前記第1フランジ筒の外周に設けられ、且つ前記第1フランジ筒に接続され、前記斜張碍子を接続するために用いられる。
【0024】
上記のように、第1フランジ筒の外周に設けられた接続板を用いて斜張碍子を接続することにより、直接第1フランジ筒を用いて斜張碍子を接続することによって第1フランジ筒を破損させる(例えば、第1フランジ筒に孔を開ける)ことを避けることができ、第1フランジ筒の強度を保証することができる。
【0025】
さらに、前記端部金具は、第2フランジ筒をさらに含み、前記第2フランジ筒は、軸方向に沿って中空構造として設けられ、前記第1フランジ筒と同軸に設けられ、且つ前記第1フランジ筒の前記密封板から遠い他端に接続され、前記第2フランジ筒の外周面は、滑らかである。
【0026】
上記のように第2フランジ筒の設置により、圧着プロセスを用いて端部金具を支柱碍子の外周に固定することができ、生産効率を向上させることができ、生産コストを低下させることができる。
【0027】
さらに、前記第1フランジ筒は、前記第2フランジ筒と取り外し可能に接続されている。
【0028】
上記のように、第1フランジ筒が第2フランジ筒と取り外し可能に接続されることにより、輸送が便利になり、第1フランジ筒又は第2フランジ筒が破損した場合、直ちに交換可能となり、全体の端部金具の廃棄を避ける。
【0029】
上記課題を解決するために、本願の採用する他の技術案は、塔体と、前記塔体に接続された上記複合クロスアームとを含む送電塔を提供することである。
【発明の効果】
【0030】
本願の有益な効果は、以下の通りである。本願の複合クロスアームによれば、1つの支柱碍子及び3つの斜張碍子が互いに接続されて送電線を掛けて設けるための端部を形成することにより、複合クロスアームと塔体との間に安定したトラス構造を形成して、複合クロスアームの安定性能を大幅に向上させることができる一方、2つの第1斜張碍子の間の角度範囲を45°~90°とすることにより、支柱碍子の高圧端(塔体から遠い一端)に第1均圧環及び端部金具を設け、2つの第1斜張碍子の高圧端(塔体から遠い一端)に第2均圧環を設けるために有利な条件を提供することができる。さらに、第2斜張碍子と支柱碍子との間の角度範囲を25°~45°とすることにより、支柱碍子の高圧端に第1均圧環を設け、第2斜張碍子の高圧端(塔体から遠い一端)に第3均圧環を設けるために有利な条件を提供することができる。
【0031】
それと同時に、塔体と支柱碍子を接続する支柱接続金具において、端部フランジが端部フランジ筒の支柱碍子から遠い端部を閉塞することにより、外部の水気などが支柱碍子を腐食することを避けて、支柱碍子の耐用年数を延ばすことができる。
【0032】
また、第1斜張接続金具における第2サブ接続金具が第1サブ接続金具に位置調整可能に接続されることにより、第1斜張接続金具の長さは、調整可能であり、それにより、複合クロスアームの構造を多変にし、異なる応用シーンに適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0033】
本願の実施例における技術的解決案をより明確に説明するために、以下では実施例の説明に必要な図面を簡単に紹介する。明らかに、以下の説明における図面は本願の一部の実施例にすぎず、当業者であれば、創造的な努力なしにこれらの図面に基づいて他の図面を得ることができる。
【
図1】本願に係る送電塔の一実施形態の構造模式図である。
【
図2】
図1に示す複合クロスアームの構造模式図である。
【
図4】
図2に示す支柱碍子と端部金具が接続されている時の構造模式図である。
【
図5】
図4に示す構造のC―C断面の断面模式図である。
【
図7】
図3に示す端部金具が他の角度にある時の構造模式図である。
【
図8】一応用シーンにおいて線掛け板と線クリップが接続されている時の構造模式図である。
【
図10】
図7に示す端部金具のD―D断面の断面模式図である。
【
図12】一応用シーンにおける
図10のF箇所の拡大模式図である。
【
図13】他の応用シーンにおける
図10のF箇所の拡大模式図である。
【
図17】他の実施形態における複合クロスアームの構造模式図である。
【
図21】本願に係る送電塔の他の実施形態の構造模式図である。
【
図26】本願に係る端部金具の一実施形態の構造模式図である。
【
図27】本願に係る端部金具の他の実施形態の構造模式図である。
【
図28】本願に係る複合クロスアームの一実施形態の構造模式図。
【発明を実施するための形態】
【0034】
以下、本願の実施例における添付図面を参照して、本願の実施例における請求項に対して明確、かつ完全に説明する。明らかに、説明された実施例は本願の一部の実施例にすぎず、全ての実施例ではない。本願における実施例に基づき、当業者が創造的な労働をせずに取得した他のすべての実施例は、いずれも本願の保護範囲に属する。
【0035】
図1乃至
図3を参照すると、送電塔1000は、塔体1100及び塔体1100に接続された複合クロスアーム1200を含み、当該複合クロスアーム1200は、支柱碍子1210及び斜張碍子1220を含む。
【0036】
塔体1100は、格子式鉄塔、鋼管ロッド又は複合材料塔などの一般的な構造であってもよい。本実施形態では、塔体1100は、格子式鉄塔であり、図面には、その一部の構造のみが示されている。
【0037】
支柱碍子1210及び斜張碍子1220は、一端がいずれも塔体1100に接続され、他端が端部金具1230を介して互いに接続される。本実施形態では、支柱碍子1210の数は、1つであり、斜張碍子1220の数は、少なくとも2つであり、例えば2つ、3つの、4つ、ひいてはそれよりも多い。少なくとも2つの斜張碍子1220は、支柱碍子1210の周りに間隔をあけて配列され、且つそのうちの2つの斜張碍子1220の軸線は、支柱碍子1210の軸線と同一の平面にある。
【0038】
具体的には、少なくとも2つの斜張碍子1220は、いずれも端部金具1230を介して支柱碍子1210に接続され、そのうちの2つの斜張碍子1220の軸線は、支柱碍子1210の軸線と同一の平面に位置し、それにより、複合クロスアーム1200と塔体1100との間に安定的なトラス構造が形成され、複合クロスアーム1200の安定性能を大幅に向上させることができる。
【0039】
引き続き
図2を参照すると、本実施形態では、斜張碍子1220の数は、3つであり、軸線が支柱碍子1210の軸線と同一の平面に位置する2つの斜張碍子1220をいずれも第1斜張碍子1221と定義し、残りの斜張碍子1220を第2斜張碍子1222と定義すると、第2斜張碍子1222から2つの第1斜張碍子1221までの距離は、等しく、且つ2つの第1斜張碍子1221の間の角度範囲は、45°~90°、例えば、45°、60°又は90°であり、第2斜張碍子1222と支柱碍子1210との間の角度範囲は、25°~45°、例えば、25°、30°、35°又は45°である。
【0040】
具体的には、2つの第1斜張碍子1221の間の角度が大きいほど、複合クロスアーム1200が耐えれる機械強度が大きくなるが、複合クロスアーム1200の長さ及び塔体1100の幅も対応的に増加する必要があることを考慮して、2つの第1斜張碍子1221のなす角の範囲を45°~90°に制御し、それによって複合クロスアーム1200の耐えれる力の要求を満たすだけでなく、複合クロスアーム1200の長さ及び塔体1100の幅を最適化することができる。同様に、第2斜張碍子1222と支柱碍子1210との間のなす角の範囲を20°~45°に制御しても、同様の目的に達することができる。
【0041】
具体的には、塔体1100には、下から上へ順に、3組の複合クロスアーム(未図示)が設けられ、3組の複合クロスアームの長さは、順に次第に減り、又は順に次第に増え、又は他の形態をなし、即ち、送電塔1000の鉛直方向において、支柱碍子の長さは、下から上へ順に次第に減り、又は順に次第に増え、又は他の形態をなし、且つ支柱碍子の長さが大きいほど、当該組の複合クロスアームの2つの第1斜張碍子の間のなす角が小さくなる。2つの第1斜張碍子1221の間のなす角をαとし、支柱碍子1210の長さをLとし、塔体1100の水平方向において支柱碍子1210に垂直な幅をDとし、塔体1100の水平方向において支柱碍子1210に平行な幅をnとし、2つの第1斜張碍子1221が塔体1100から延びだす接続点と塔体1100との距離をいずれもmとすると、三角関数の公式によって以下の式を得ることができる。
【0042】
【0043】
1つの応用シーンにおいて、220kVの送電塔1000を例とすると、Lの範囲は、2000mm~4000mmであり、Dの範囲は、2000mm~3000mmであり、mは、一般的に1000mmに設定され、nも、一般的に1000mmに設定される。これにより、αの最小値が47.9°となり、αの最大値が90°になると計算することができる。m、nの大きさがいずれも調整可能であるため、2つの第1斜張碍子1221のなす角の範囲を、45°~90°に制御することができる。
【0044】
同様に、第2斜張碍子1222と支柱碍子1210との間のなす角をβとするとともに、支柱碍子1210の塔体1100における接続点と第2斜張碍子1222の塔体1100における接続点との間の距離をHとすると、三角関数の公式によって以下の式を得ることができる。
【0045】
【0046】
220kVの送電塔1000を例とすると、Hは、一般的に2000mmに設定される。これにより、βの最小値が26.6°となり、βの最大値が45°となると計算することができ、Hの大きさが再度調整可能であるため、支柱碍子1210と、隣接する斜張碍子1220との間のなす角の範囲を25°~45°に制御することができる。
【0047】
それと同時に、2つの第1斜張碍子1221の間の角度範囲を45°~90°とすることにより、支柱碍子1210の高圧端(塔体1100から遠い一端)に第1均圧環(未図示)及び端部金具1230を設け、2つの第1斜張碍子1221の高圧端(塔体1100から遠い一端)に第2均圧環12201を設けるために有利な条件を提供することができる。具体的には、支柱碍子1210における第1均圧環と第1斜張碍子1221における第2均圧環12201とが干渉しないこと、2つの第1斜張碍子1221における第2均圧環12201の間に干渉しないこと、及び支柱碍子1210における第1均圧環及び第1斜張碍子1221における第2均圧環12201と端部金具1230といずれも干渉しないことを保証することができる。
【0048】
第2斜張碍子1222と支柱碍子1210との間の角度範囲を25°~45°とすることにより、支柱碍子1210の高圧端に第1均圧環を設け、第2斜張碍子1222の高圧端(塔体1100から遠い一端)に第3均圧環12202を設けるために有利な条件を提供することができる。具体的には、支柱碍子1210に設けられた第1均圧環と第2斜張碍子1222に設けられた第3均圧環12202がずれて取り付けられる際に干渉しないことを保証することができる。
【0049】
引き続き
図1及び
図2を参照すると、本実施形態では、支柱碍子1210及び2つの第1斜張碍子1221の取り付け高さは、同じであり、第2斜張碍子1222は、支柱碍子1210の上方に位置する。なお、他の実施形態では、第2斜張碍子1222の数が1つより多い場合、支柱碍子1210の上方及び下方にいずれも第2斜張碍子1222が設けられてもよく、このように、送電線の各方向における引っ張り力を平衡させることができる。第2斜張碍子1222が支柱碍子1210の上方に位置する場合、第2斜張碍子1222は、引っ張り力による支持の作用を果たすことができ、支柱碍子1210の送電塔1000から遠い端部は送電線が掛けられたら下へ曲げて、支柱碍子1210の長期耐用年数に影響することを防止する。
【0050】
支柱碍子1210は、水平に設けられてもよく(
図1には、水平に設けられることが示される)、傾斜して設けられてもよい。
【0051】
それと同時に、複合クロスアーム1200が均等に力を受けることを保証するために、2つの第1斜張碍子1221と支柱碍子1210との間の角度は、等しく、即ち、このとき、2つの第1斜張碍子1221の軸線と支柱碍子1210の軸線は、同一の水平平面内に位置する。
【0052】
当然ながら、他の実施形態では、2つの第1斜張碍子1221と支柱碍子1210との間の角度は、等しくなくてもよいが、ここで限定されない。
【0053】
その他の2つの複合クロスアームの構造は、いずれも複合クロスアーム1200と同様であるため、繰り返し説明しない。
【0054】
図4及び
図5を参照すると、本実施形態では、支柱碍子1210は、絶縁体1211及び絶縁体1211の外周を被覆した傘スカート1212を含む。
【0055】
具体的には、絶縁体1211は、中実の絶縁芯体であってもよく、中空の絶縁管であってもよい。絶縁体1211は中実の絶縁芯体である場合、エポキシ樹脂を含浸したガラス繊維又はアラミド繊維を巻回して成形され、又は引き抜いて成形され、又は引き抜いて巻回して成形された中実の芯棒であってもよい。絶縁体1211は中空の絶縁管である場合、エポキシ樹脂を含浸したガラス繊維又はアラミド繊維を引き抜いて巻回して成形された中空の引抜管であってもよく、エポキシ樹脂を含浸したガラス繊維を巻回して硬化成形され、又は引き抜いて成形されたガラス鋼管であってもよく、エポキシ樹脂を含浸したアラミド繊維を巻回して硬化成形されたアラミド繊維管であってもよいが、ここで限定されない。
【0056】
また、絶縁体1211は、円柱状(図面には、円柱状が示される)、円錐状又は他の形状(例えば、ドラム状)であってもよいが、ここで限定されない。絶縁体1211が円錐状である場合、その円錐端(直径が小さい一端)が端部金具1230に接続され、他端が塔体1100に接続され、このように、支柱碍子1210は、より大きい送電線による圧力に耐えることができる
【0057】
1つの応用シーンにおいて、絶縁体1211が中空の絶縁管である場合、絶縁体1211内には、絶縁ガスが密封され、且つ絶縁ガスの絶対圧力値の範囲は、0.1~0.15Mpaであり、例えば、0.1 Mpa、0.12 Mpa又は0.15 Mpaである。
【0058】
具体的には、中空の絶縁管内に密封されたガスは、乾燥処理された高純度窒素、空気又は六フッ化硫黄などのガスであってもよいが、ここで限定されない。
【0059】
絶縁ガスの絶対圧力値の範囲を0.1~0.15 Mpaとすることにより、絶縁ガスが中空の絶縁管内から漏れにくくなり、支柱碍子1210の日常のメンテナンス及び監視を避けることができ、且つ異なる地域及び海抜の間に存在する異なる圧力の使用要求を満たすことができ、それにより、中空の絶縁管が異なる地域で使用される際にその内部ガスが非負圧状態にあることを保証するとともに、中空の絶縁管が大きい微量水分制御の余裕度を有するようにし、微量水分制御の難しさを効果的に低下させることができる。
【0060】
他の応用シーンにおいて、絶縁体1211が中空の絶縁管である場合、その内部に密封されたのは、不活性ガス、又はポリウレタン、液状シリコーンゴムなどの固体材料であってもよいが、ここで限定されない。
【0061】
傘スカート1212は、高温加硫シリコーンゴム、液状シリコーンゴム又は室温加硫シリコーンゴムなどの材料で製造されてもよいが、ここで限定されない。
【0062】
1つの応用シーンにおいて、傘スカート1212は、間隔をあけて設けられた同一の傘体を複数含み、即ち、全ての傘体は、いずれも同じであり、且つ、傘体は、絶縁体1211の径方向に対して対称であり、即ち、傘体の互いに離反して設けられた両表面の傾斜方向は、逆であり、且つ傾斜角度は、同じである。具体的には、傘体が絶縁体1211の径方向に対して対称であるとすることにより、従来技術において傘体の互いに離反して設けられた両表面が同一の方向へ傾斜することに比べて、雨水が傘スカート1212に沿って流下し(支柱碍子1210が水平に設けられるため、傘体の互いに離反して設けられた両表面が同一の方向へ傾斜すれば、雨水が絶縁体1211と傘体との間のなす角内にたまりやすくなる)、それにより、傘スカート1212の表面に水膜が形成されず、傘スカート1212の自己洗浄に有利である一方、傘体の互いに離反して設けられた両側は、同じ力学性能を有し、支柱碍子1210は、耐汚染性、耐雨性、耐氷性などの特性を有し、より経済的である。
【0063】
1つの応用シーンにおいて、隣接する2つの傘体の間に乱流及び汚れが生じて架橋接続を引き起こすことを避けるために、隣接する2つの傘体の間の間隔は、40mmよりも大きく、且つ60mm以下であり、例えば、45mm、50mm又は60mmである。当然ながら、隣接する2つの傘体間の距離をできるだけ小さくすべきであり、このように傘体の分布密度を増やすことができ、鳥類が保護カバーに立ちにくくなり、それにより、鳥による被害の発生を防止する。なお、最小の沿面距離の要求を保証したうえで、傘体の絶縁体1211から突出する側の高さを80mm以下とし、一般的に、50mm~80mmとし、例えば50mm、60mm又は70mmなどとする。
【0064】
なお、他の実施形態では、傘スカート1212は、他の構造であってもよく、例えば、隣接する2つの傘体の大きさが異なり、又は、傘体の互いに離反して設けられた両表面は、同一の方向へ傾斜する。つまり、本願では、傘スカート1212の具体的な構成については限定されない。
【0065】
図3、
図6及び
図7を参照すると、本実施形態では、端部金具1230は、第1フランジ筒1231、密封板1232及び線掛け板1233を含む。
【0066】
第1フランジ筒1231は、軸方向に中空構造として設けられ、支柱碍子1210の端部に嵌設され、具体的には、支柱碍子1210における絶縁体1211の端部に嵌設される。密封板1232は、第1フランジ筒1231の一端を閉塞する。線掛け板1233は、密封板1232の第1フランジ筒1231から遠い側に設けられ、且つ密封板1232に接続され、送電線を掛けて設けるために用いられる。
【0067】
具体的には、送電線を掛けて設けるための線掛け板1233が破損して線掛け板1233を交換する際に、密封板1232が第1フランジ筒1231の一端を閉塞するため、第1フランジ筒1231の内部における支柱碍子1210が外部の水気などに腐食されないと保証することができ、支柱碍子1210の耐用年数を保証する。
【0068】
引き続き
図6及び
図7を参照すると、線掛け板1233の一端は、密封板1232の第1フランジ筒1231から遠い側の板面に当接するとともに、線掛け板1233の側面と密封板1232との間に補強部材1234がさらに接続されている。
【0069】
具体的には、補強部材1234の設置により、線掛け板1233と密封板1232との接続を強固する作用を果たし、線掛け板1233と密封板1232との接続強度が不十分で断裂が発生することを回避する。
【0070】
1つの応用シーンにおいて、
図6に示すように、補強部材1234は、板部材であり、且つ密封板1232、線掛け板1233及び補強部材1234は、2つずつ垂直に設けられる。
【0071】
水気などによる端部金具1230の腐食を避けるために、端部金具1230の表面は、溶融亜鉛めっき処理されており、さらに、端部金具1230の内部材料は、アルミニウム鋳物、鋳鉄又は合金鋼などの材料であってもよいが、ここで限定されない。
【0072】
なお、端部金具1230における各部分は、溶接などの方法で一体に接続されてもよい。
【0073】
引き続き
図6を参照すると、線掛け板1233には、送電線を掛けて設けるための第1線掛け部12331が設けられている。具体的には、第1線掛け部12331には、送電線を接続するための線クリップが取り付けられ、それにより、送電線を掛けて設けることを実現する。第1線掛け部12331の数は、1つ、2つ、4つ又はそれ以上であってもよいが、ここで限定されない。第1線掛け部12331の数が複数である場合、複数の第1線掛け部12331には、それぞれ、同一の送電線を接続する複数の線クリップが設けられてもよく、それにより、そのうちの1つの線クリップが破損した際に、依然として送電線の安全吊り下げを保証することができる。
【0074】
1つの応用シーンにおいて、
図6に示すように、第1線掛け部12331は、線掛け貫通孔であり、線掛け板1233の第1線掛け部12331が設けられていない側面は、補強部材1234に接続されている。具体的には、このように設置することにより、補強部材1234が線掛け板1233に線クリップを取り付けることに影響しないことを保証することができる。
【0075】
また、この応用シーンにおいて、第1線掛け部12331の数は、1つであり、線掛け板1233には、吊り上げ施工のための施工孔12332がさらに設けられている。当然ながら、他の応用シーンにおいて、第1線掛け部12331の数が1つだけでなくてもよい。
【0076】
1つの応用シーンにおいて、
図8に示すように、線掛け板1233が1本の導線を掛けて設けるために用いられる場合、線掛け板1233は、U型掛け環123301に接続され、具体的には、U型掛け環123301の両端部は、線掛け板1233に接続されているとともに、当該U型掛け環123301は、導線を掛けるための線クリップ123302に接続されている。
【0077】
線掛け板1233が2本の導線を掛けて設けるために用いられる場合、線掛け板1233はU型掛け環123301にも接続されているが、1本の導線の場合と異なるのは、この時、U型掛け環123301がさらに中間連結板に接続され、そして当該中間連結板がそれぞれ導線を掛けるための2つの線クリップ123302に接続されている。1つの応用シーンにおいて、中間連結板の横断面は、ほぼ二等辺三角形を呈し、2つの線クリップ123302は、それぞれ、中間連結板の2つの底角に接続され、U型掛け環123301は、中間連結板の頂角に接続されている。
【0078】
1つの応用シーンにおいて、
図9を参照すると、複合クロスアーム1200は、連結板1235をさらに含み、当該連結板1235は、線掛け板1233に接続するために用いられ、且つ連結板1235には送電線を掛けて設けるための第2線掛け部12351が設けられ、第2線掛け部12351の数は、第1線掛け部12331の数よりも大きい。具体的には、線掛け板1233は、面積の制限によって、設置が許容される第1線掛け部12331の数が限られており、ある応用シーンでの線掛け需要を満たすことができず、連結板1235の設置により、第1線掛け部12331の数を増やす作用を果たすことができる。
【0079】
1つの応用シーンにおいて、異なる応用シーンでの需要に適応するために、連結板1235は、長さが調整可能な接続金具(未図示)によって線掛け板1233に接続され、それにより、異なる応用シーンにおいて、需要に応じて、連結板1235と線掛け板1233との間の相対距離を調整することができる。
【0080】
1つの応用シーンにおいて、第2線掛け部12351は、第1線掛け部12331と、構造が同じであり、例えば、いずれも線掛け貫通孔である。当然ながら、第2線掛け部12351は、第1線掛け部12331と、構造が異なってもよく、例えば、第1線掛け部12331は、線掛け貫通孔であり、第2線掛け部12351は、線掛け係止溝である。つまり、第1線掛け部12331と第2線掛け部12351の具体的な構成について、本願では限定されない。
【0081】
図3、
図6及び
図7を参照すると、本実施形態では、端部金具1230は、接続板1236をさらに含み、接続板1236は、第1フランジ筒1231の外周に設けられ、且つ第1フランジ筒1231に接続され、斜張碍子1220を接続するために用いられる。
【0082】
具体的には、接続板1236は、例えば溶接などの方法で第1フランジ筒1231の外周に設けられてもよい。
【0083】
第1フランジ筒1231の外周に設けられた接続板1236で斜張碍子1220を接続することにより、直接第1フランジ筒1231を用いて斜張碍子1220を接続することによって第1フランジ筒1231を破損させる(例えば、第1フランジ筒1231に孔を開ける)ことを避けることができ、第1フランジ筒1231の強度を保証することができる。
【0084】
本実施形態では、接続板1236の数は、1つであってもよく、少なくとも2つであってもよい。接続板1236が1つである場合、全ての斜張碍子1220を接続するために、当該接続板1236は、第1フランジ筒1231の周りに延在して半包囲構造又は全包囲構造を呈することができる。接続板1236の数が少なくとも2つである場合、異なる接続板1236は、異なる斜張碍子1220に接続されてもよく、即ち、この場合、接続板1236の数は、斜張碍子1220の数と等しく、少なくとも2つの接続板1236は、第1フランジ筒1231の周方向に沿って間隔をあけて設けられている(
図3及び
図6に示すように)。
【0085】
図7及び
図10を参照すると、本実施形態では、第1フランジ筒1231の内壁には、軸方向に沿って間隔をあけて設けられた複数の接着溝12311、及び複数の接着溝12311を連通する流通溝12312が設けられ、第1フランジ筒1231と絶縁体1211を固定接続するように、接着溝12311及び流通溝12312の中に接着剤が充填される。
【0086】
具体的には、生産過程において、横型接着プロセス又は縦型接着プロセスを採用して端部金具1230と絶縁体1211を一体に接続する。即ち、生産過程において、まず、接着剤を接着剤注入孔を介して第1フランジ筒1231と絶縁体1211との間に注入し、そして、一定の時間で高温硬化後、端部金具1230と絶縁体1211は、一体に固定接続することができる。
【0087】
また、流通溝12312は、フランジ筒1231の軸方向に沿って設けられ、流通溝12312の設置により、第1フランジ筒1231と絶縁体1211との間に注入された接着剤は、隣接する接着溝12311の間に流通することができ、それにより、接着剤の注入速度を向上させ、気泡の滞留のリスクを低減させ、端部金具1230と絶縁体1211との接合をより強固にして、接着性能のより良い接着剤に交換することなく、複合クロスアーム1200の耐ねじり性能を向上させることができる。
【0088】
流通溝12312の数は、1つであってもよく、複数(例えば、2つ、4つ、6つ又はそれ以上)であってもよい。流通溝12312の数が複数である場合、複数の流通溝12312は、第1フランジ筒1231の周方向に沿って間隔をあけて設けられる。1つの流通溝12312は、隣接する2つの接着溝12311のみを連通してもよく、隣接する3つ、4つ、ひいては全ての接着溝12311を連通してもよいが、ここで限定されない。
【0089】
流通溝12312の底面は、平面又は曲面である。具体的には、流通溝12312の端部金具1230に対する径方向の深さ及び幅が一定である場合、底面が平面である流通溝12312は、底面が曲面である流通溝12312と比べて、その加工が複雑であり且つ加工コストが高いが、そのねじり強度がより高い。これは、平面溝内における接着剤と第1フランジ筒1231の内壁との接触面積がより大きいためであり、即ち、底面が曲面である流通溝12312は、底面が平面である流通溝12312に比べて、その加工が便利であり、且つ加工コストが低いが、そのねじり強度がやや低い。
【0090】
図10及び
図11に示すように、フランジ筒1231の軸方向において、複数の接着溝12311の幅は、等しく、且つ接着溝12311の幅は、隣接する2つの接着溝12311間の間隔の幅よりも小さい。具体的には、接着溝12311の幅を隣接する2つの接着溝12311間の間隔の幅よりも小さくすることにより、絶縁体1211における接着マッチング溝(図示せず、絶縁体1211における接着マッチング溝は、第1フランジ筒1231における接着溝12311と規格が同じであり且つ正対して設けられる)の幅も、隣接する2つの接着マッチング溝間の間隔の幅よりも小さくすることができ、絶縁体1211における接着マッチング溝の幅が隣接する2つの接着マッチング溝間の間隔の幅以上である場合に比べて、このように設置することで、支柱碍子1210のせん断抵抗能力を保証することができる。
【0091】
接着溝12311の幅は、12mm以下である。具体的には、絶縁体1211自体の軸方向のせん断強度が低いため、破壊されたとき、最初に破損するのは、第1フランジ筒1231内に嵌設され且つ接着剤で接着されていない部位、即ち、絶縁体1211における隣接する2つの接着マッチング溝の間の部位である。第1フランジ筒1231の軸方向の幅が一定である場合、接着溝12311の幅が減少すれば、隣接する2つの接着溝12311の間の距離が大きくなり、即ち、絶縁体1211における隣接する2つの接着マッチング溝間の距離が大きくなり、それがせん断破壊を受ける強度が向上し、最終的に同じ規格の支柱碍子1210のせん断抵抗能力を増強させる。しかし、接着溝12311の幅が小さすぎると、加工時間及び加工コストの増加を引き起こすため、接着溝12311の幅を12mm以下、例えば、12mm、10mm又は8mmなどにすることにより、複合クロスアーム1200の強度を保証するとともに、加工時間及び加工コストがいずれも合理的な範囲内にあると保証することができる。
【0092】
加工を容易にするために、接着溝12311の底面は、曲面である。
【0093】
第1フランジ筒1231の内壁と絶縁体1211との接触部分の長さと、絶縁体1211の外径との比(即ち、接着比)の範囲は、0.8~1.2であり、例えば、0.8、1.0又は1.2である。具体的には、接着比の低下につれて、複合クロスアーム1200の強度は、明らかに低下し、例えば、接着比が0.8である場合に比べて、接着比が0.75まで低下する場合、複合クロスアーム1200の強度は、20%低下し、接着比が1.2である場合に比べて、接着比が1.4まで上昇する場合、複合クロスアーム1200の強度は、少し上昇するが、コストが明らかに増加する。そのため、接着比の範囲を0.8~1.2とすることにより、複合クロスアーム1200が同時に低コスト、高強度などの利点を有することが可能である。
【0094】
なお、他の実施形態では、接着溝12311及び流通溝12312は、他の寸法であってもよいが、ここで限定されない。
【0095】
1つの応用シーンにおいて、
図5、
図7、
図10及び
図12を参照すると、密封板1232の絶縁体1211に向かう板面には、絶縁体1211の端面に正対する第1密封溝12321が設けられ、第1密封溝12321内には、第1密封部材(未図示)が設けられている。具体的には、第1密封部材は、第1密封溝12321に設けられ、外部の水気又は接着剤の絶縁体1211への進入を防止して絶縁体1211におけるガス漏れを回避するとともに、外部の水気又は接着剤が密封板1232に進入して絶縁体1211と端部金具1230との間の密封に影響することを防止する。
【0096】
引き続き
図10及び
図12を参照すると、第1フランジ筒1231の内壁には、密封板1232に隣接する第2密封溝12313がさらに設けられ、第2密封溝12313と複数の接着溝12311は、密封板1232から離れる方向に沿って順に間隔をあけて配列され、第2密封溝12313内には、第2密封部材(未図示)が設けられている。具体的には、第2密封部材の作用は、第1密封部材の作用と異なり、第2密封部材は、接着過程において接着剤が第1密封溝12321に進入して第1密封部材を腐食して第1密封部材が機能できなくなることを引き起こすことを避けるために用いられる。
【0097】
第1密封溝12321及び/又は第2密封溝12313の幅は、絶縁体1211に近づく方向において一定であり(
図12に示すように)、又は次第に小さくなる(
図13に示すように)。具体的には、幅が絶縁体1211に近づく方向に一定である第1密封溝12321は、加工が便利であるが、その内における第1密封部材は、摺動して脱落しやすい。この場合、第1密封部材が第1密封溝12321内で相対的に摺動することを避けるために、第1密封部材は、樹脂又はシリカゲルにより第1密封溝12321に接着固定されている。幅が絶縁体1211に近づく方向に一定である第1密封溝12321に比べて、幅が絶縁体1211に近づく方向に次第に小さくなる第1密封溝12321は、加工過程がより複雑であるが、第1密封部材が容易に脱落しないことを保証できる。また、第1密封溝12321及び/又は第2密封溝12313の幅は、絶縁体1211に近づく方向に直線的に小さくなってもよいし(
図13に示すように)、曲線的に小さくなってもよいし、ここで限定されない。
【0098】
図2及び
図14を参照すると、本実施形態では、複合クロスアーム1200は、塔体1100と斜張碍子1220を接続するための斜張接続金具1240をさらに含む。
【0099】
本実施形態では、塔体1100と第1斜張碍子1221を接続する斜張接続金具1240の長さは、調整可能であるが、塔体1100と第2斜張碍子1222を接続する斜張接続金具1240の長さは一定である。また、説明の便宜上、塔体1100と第1斜張碍子1221を接続する斜張接続金具1240を第1斜張接続金具1241と定義し、塔体1100と第2斜張碍子1222を接続する斜張接続金具1240を第2斜張接続金具1242と定義する。
【0100】
第1斜張接続金具1241は、第1サブ接続金具12411及び第2サブ接続金具12412を含む。
【0101】
第1サブ接続金具12411は、第1斜張碍子1221に接続され、第2サブ接続金具12412は、一端が第1サブ接続金具12411に位置調整可能に接続され、他端が塔体1100に接続され、それにより、第1斜張碍子1221と塔体1100との接続を実現する。具体的には、第2サブ接続金具12412の一端が第1サブ接続金具12411に位置調整可能に接続されることにより、複合クロスアーム1200の構造を多変にすることができ、異なる応用シーンに適用することができる。
【0102】
1つの応用シーンにおいて、
図14に示すように、第1サブ接続金具12411には、弧状に配列された複数の第1取付部124111が設けられ、第2サブ接続金具12412は、択一的に第1取付部124111に接続されている。具体的には、複数の第1取付部124111は弧状に配列されることにより、塔体1100と第1斜張碍子1221との間の距離、相対角度を調整可能にすることができる。
【0103】
1つの応用シーンにおいて、
図14に示すように、第1サブ接続金具12411は、扇形の扁平金具であり、第2サブ接続金具12412は、係止溝金具である。
【0104】
他の実施形態では、複数の第1取付部124111は、第1斜張碍子1221の延在方向に沿って直線に配列されてもよいが、ここで限定されない。
【0105】
他の実施形態では、第2サブ接続金具12412は、第1斜張碍子1221に接続され、第1サブ接続金具12411は、塔体1100に接続されてもよいが、ここで限定されない。
【0106】
他の実施形態では、塔体1100と第1斜張碍子1221を接続する斜張接続金具1240、塔体1100と第2斜張碍子1222を接続する斜張接続金具1240は、長さがいずれも調整可能であってもよく、又は長さがいずれも調整不可であってもよい。即ち、塔体1100と第1斜張碍子1221を接続するのは、第1斜張接続金具1241であってもよく、第2斜張接続金具1242であってもよい。同様に、塔体1100と第2斜張碍子1222を接続するのは、第1斜張接続金具1241であってもよく、第2斜張接続金具1242であってもよいが、ここで限定されない。
【0107】
図1、
図2、
図15及び
図16を参照すると、本実施形態では、支柱碍子1210は、塔体1100と支柱碍子1210を接続するための支柱接続金具1250をさらに含み、支柱接続金具1250は、端部フランジ筒1251、端部フランジ1252及び第1取付板1253を含む。
【0108】
端部フランジ筒1251は、軸方向に沿って中空構造として設けられ、支柱碍子1210の塔体1100に接続される端部に嵌設され、具体的には、絶縁体1211の一端に嵌設されている。端部フランジ1252は、端部フランジ筒1251の絶縁体1211から遠い端部を閉塞し、絶縁体1211の端部が外部の水気などに腐食されることを回避して、絶縁体1211に対して保護作用を果たす。第1取付板1253の端部は、端部フランジ1252の端部フランジ筒1251から遠い盤面に当接するとともに、第1取付板1253には、第1取付板1253を塔体1100に取り付けるための第2取付部12531が設けられ、支柱碍子1210と塔体1100との接続を実現する。1つの応用シーンにおいて、第2取付部12531は、貫通孔であり、この場合、例えばボルトなどの締結具を利用して貫通孔を貫通して第1取付板1253を塔体1100に取り付けることができる。
【0109】
1つの応用シーンにおいて、
図16に示すように、第1取付板1253は、平らな板であり、塔体1100と支柱碍子1210との接続の強固性を保証するために、第1取付板1253の数は、2つであり、2つの第1取付板1253は、互いに平行に設けられる。当然ながら、他の応用シーンにおいて、第1取付板1253の数は、1つ、3つなどであってもよい。
図16に示すように、2つの第1取付板1253は、いずれも端部フランジ1252に垂直に設けられている。当然ながら、他の応用シーンにおいて、第1取付板1253は、端部フランジ1252に垂直に設けられなくてもよいが、ここで限定されない。
【0110】
引き続き
図1及び
図15を参照すると、支柱接続金具1250が異なる応用シーンに適応できるようにするために、支柱接続金具1250は、第2取付板1254をさらに含み、第2取付板1254は、第1取付板1253に取り外し可能に接続され、第1取付板1253と塔体1100を接続するために用いられ、それにより、異なる需要に応じて第1取付板1253が塔体1100に直接接続され、又は第1取付板1253は、第2取付板1254を介して塔体1100に接続される。
【0111】
1つの応用シーンにおいて、
図15に示すように、第2取付板1254と塔体1100との接触面積を増大し、第2取付板1254と塔体1100との接続強度を保証するために、第2取付板1254は、折り曲げ板であり、その一端が塔体1100における横梁に貼り合わせ、他端が第1取付板1253に貼り合わせている。
【0112】
1つの応用シーンにおいて、
図15及び
図16を参照すると、第1取付板1253の数は、第2取付板1254の数と等しく、且つ1つの第2取付板1254ごとに、1つの第1取付板1253が取り付けられる。
【0113】
図17乃至
図19を参照すると、上記実施形態と異なるのは、本実施形態に係る複合クロスアーム2200では、端部金具2230が第2フランジ筒2237をさらに含み、当該第2フランジ筒2237が、軸方向に沿って中空構造として設けられ、第1フランジ筒2231と同軸に設けられ、且つ第1フランジ筒2231の密封板2232から遠い他端に接続され、第2フランジ筒2237の外周面が滑らかであることにある。
【0114】
具体的には、第2フランジ筒2237の外周面が滑らかであるため、圧着プロセスで外周面が滑らかである当該第2フランジ筒2237を支柱碍子2210の外周に固定することができる。第1フランジ筒2231が第2フランジ筒2237に接続されるため、圧着プロセスで第2フランジ筒2237を支柱碍子2210の外周に固定した後、第1フランジ筒2231も支柱碍子2210の外周に固定することができ、即ち、圧着プロセスで端部金具2230を支柱碍子2210の外周に固定することができる。
【0115】
上記実施形態では、接着プロセスで端部金具1230を支柱碍子1210に固定する。接着プロセスは、圧着プロセスに比べて、そのプロセス時間が長く、成形効率が低く、且つ大量の成形キットを必要とするとともに、成形後、支柱碍子1210が曲げ荷重及びねじり荷重を受ける能力が悪い。即ち、本実施形態では、圧着プロセスで端部金具2230を支柱碍子2210に取り付けることにより、生産効率を向上させ、生産コスト(成形キットの使用が減少する)を低減させるとともに、支柱碍子2210が曲げ荷重及びねじり荷重を受ける能力が強いと保証することができる。
【0116】
本実施形態では、第1フランジ筒2231は、第2フランジ筒2237に取り外し可能に接続される。当該設置により、輸送過程において端部金具2230を取り外して、輸送に便利であり、且つ、第1フランジ筒2231又は第2フランジ筒2237が破損した場合、直ちに交換することができ、全体の端部金具2230を廃棄することを回避する。
【0117】
なお、輸送過程において、第2フランジ筒2237のみを支柱碍子2210に固定し、目的地に到着した後、第1フランジ筒2311を第2フランジ筒2237に接続してもよい。それにより、輸送過程での支柱碍子2210の包装コストを低減させることができる。
【0118】
図19及び
図20を参照すると、端部金具2230は、第1フランジ2238及び第2フランジ2239をさらに含む。
【0119】
第1フランジ2238は、第1フランジ筒2231の密封板2232から遠い他端に設けられ、且つ第1フランジ筒2231の外周に嵌設されている。第2フランジ2239は、第2フランジ筒2237の一端に設けられ、且つ第2フランジ筒2237の外周に嵌設されている。第1フランジ2238は、第2フランジ2239に取り外し可能に接続されて、第1フランジ筒2231が第2フランジ筒2237に取り外し可能に接続されることを実現する。具体的には、当該設置により、第1フランジ筒2231と第2フランジ筒2237との接触面積を間接的に増大し、それにより、第1フランジ筒2231と第2フランジ筒2237との接続強度を向上させる。
【0120】
図20を参照すると、第1フランジ2238と第2フランジ2239には、それぞれマッチングするロック孔22381が設けられ、それにより、ロック孔22381を貫通するロック部材(例えば、ボルト)を用いて、第1フランジ2238と第2フランジ2239を一体に接続する。
【0121】
他の実施形態では、第1フランジ2238と第2フランジ2239には、マッチングする係止接続構造が設けられてもよく、それにより、第1フランジ2238と第2フランジ2239が、係止接続の方法で取り外し可能に接続される。つまり、第1フランジ2238と第2フランジ2239がどのように取り外し可能に接続されるかについて、本願では限定されない。
【0122】
他の実施形態では、第1フランジ筒2231及び第2フランジ筒2237に加え、端部金具2230は、第3フランジ筒、第4フランジ筒、ひいてはそれよりも多いフランジ筒をさらに含む。即ち、この場合、端部金具2230におけるフランジ筒の数は、2つだけでなく、且つ、この場合、端部金具2230における複数のフランジ筒は、同軸に設けられ、且つ順に接続され、例えば、第4フランジ筒、第3フランジ筒、第2フランジ筒2237及び第1フランジ筒2231は、順に接続され、又は、第2フランジ筒2237、第4フランジ筒、第3フランジ筒及び第1フランジ筒2231は、順に接続される。なお、第2フランジ筒2237の外周面が滑らかであることに加え、第3フランジ筒、第4フランジ筒又は他のフランジ筒も、外周面が滑らかであるフランジ筒であってもよく、又は、斜張碍子2220は、第1フランジ筒2231に接続される以外に、第3フランジ筒、第4フランジ筒又は他のフランジ筒にさらに接続されてもよい。
【0123】
なお、端部金具2230が第3フランジ筒、第4フランジ筒、ひいてはそれより多いフランジ筒を含む場合、隣接する2つのフランジ筒の接続形態は、第1フランジ筒2231と第2フランジ筒2237との接続形態と同じであってもよく、例えば、隣接する2つのフランジ筒は、取り外し可能に接続され、且つ隣接する2つのフランジ筒は、それぞれの端部に嵌設されたフランジにより、取り外し可能に接続され、取り外し可能に接続された2つのフランジには、それぞれマッチングするロック孔22381が設けられ、それにより、ロック孔22381を貫通するロック部材を用いて隣接する2つのフランジを一体に接続する。
【0124】
図21及び
図22を参照すると、
図21は、本願に係る送電塔の他の実施形態の構造模式図であり、
図22は、
図21に示す部分構造の模式図である。上記実施形態と異なるのは、本実施形態における塔体3100が電柱3110を含み、複合クロスアーム3200における支柱碍子3210と斜張碍子3220との端部が、いずれも電柱3110に接続されることにある。
【0125】
また、電柱3110は、鋼管ロッドであってもよく、例えば複合材料、鉄、合金などの材料で製造された中実ロッド又は中空ロッドであってもよいが、ここで限定されない。
【0126】
なお、複合クロスアーム3200を電柱3110に取り付けるために、
図23を参照すると、送電塔3000は、クロスアーム接続金具3300をさらに含む。クロスアーム接続金具3300により、支柱碍子3210の斜張碍子3220に接続されていない一端、及び斜張碍子3220の支柱碍子3210に接続されていない一端は電柱3110に接続され、さらに複合クロスアーム3200が塔体3100、具体的に電柱3110に取り付けられることが実現される。
【0127】
クロスアーム接続金具3300は、接続ロッド3310、塔体フランジ筒3320及び塔体フランジ3330を含む。
【0128】
本実施形態では、斜張碍子3220の数は、3つであり、軸線が支柱碍子3210の軸線と同一の平面に位置する2つの斜張碍子3220をいずれも第1斜張碍子3221と定義し、残りの斜張碍子3220を第2斜張碍子3222と定義すると、第2斜張碍子3222から2つの第1斜張碍子3221までの距離が等しい。
【0129】
なお、説明の便宜上、電柱3110と第1斜張碍子3221を接続する斜張接続金具3240を第1斜張接続金具3241と定義し、電柱3110と第2斜張碍子3222を接続する斜張接続金具3240を第2斜張接続金具3242と定義する。
【0130】
接続ロッド3310の数は、2つであり、2つの接続ロッド3310により、2つの第1斜張碍子3221は電柱3110にそれぞれ接続され、即ち、第1斜張碍子3221の端部に接続された第1斜張接続金具3241は、接続ロッド3310に接続され、塔体フランジ筒3320の一端は、電柱3110に接続され、塔体フランジ3330は、塔体フランジ筒3320の電柱3110から遠い一端を閉塞し、支柱碍子3210に接続される。
【0131】
1つの応用シーンにおいて、
図22及び
図23に示すように、2つの接続ロッド3310は、いずれも電柱3110に垂直に設けられ、且つ2つの接続ロッド3310の電柱3110に対する高さは、同じである。
【0132】
当然ながら、他の応用シーンにおいて、2つの接続ロッド3310は、電柱3110に垂直に設けられなくてもよく、又は、2つの接続ロッド3310の電柱3110に対する高さも異なってもよく、具体的な設置方式は、複合クロスアーム3200の構造によって決定されてもよいが、ここで限定されない。
【0133】
他の応用シーンにおいて、2つの接続ロッド3310、塔体フランジ筒3320は、いずれも溶接により電柱3110に固定され、当然ながら、他の形態で固定されてもよいが、ここで限定されない。
【0134】
上記実施形態と異なるのは、
図22及び
図23に示すように、クロスアーム接続金具3300における塔体フランジ3330は支柱接続金具3250における端部フランジ3252に当接して、支柱碍子3210の取り付けを実現することにある。
【0135】
引き続き
図22及び
図23を参照すると、クロスアーム接続金具3300は、補強リング3340及び補強リブ3350をさらに含む。
【0136】
補強リング3340は、電柱3110の外周に嵌設され、補強リブ3350の両端は、それぞれ補強リング3340、塔体フランジ筒3320に接続され、且つ補強リブ3350の側壁は、電柱3110に貼り合わせ、それにより、さらに塔体フランジ筒3320と電柱3110との接触面積を間接的に増大させて、塔体フランジ筒3320と電柱3110との接続強度を保証する。
【0137】
補強リング3340の数は、1つであってもよく、2つであってもよい。補強リング3340の数が2つである場合、
図23に示すように、2つの補強リング3340は、塔体フランジ筒3320の互いに離反して設けられた両側に設けられ、且つ塔体フランジ筒3320は、2つの補強リブ3350によって2つの補強リング3340にそれぞれ接続される。
【0138】
引き続き
図22及び
図23を参照すると、クロスアーム接続金具3300は、補強板3360をさらに含み、補強板3360の両端は、接続ロッド3310、塔体フランジ筒3320にそれぞれ接続され、且つ補強板3360の側壁は、電柱3110に貼り合わせ、それにより、接続ロッド3310及び塔体フランジ筒3320と電柱3110との接触面積を間接的に増大し、接続ロッド3310及び塔体フランジ筒3320と電柱3110との接続強度を向上させる。
【0139】
さらに接続ロッド3310と塔体フランジ筒3320との接続強度を向上させるために、接続ロッド3310は、補強リブ3350を介して補強リング3340に接続されてもよく、この場合、補強リング3340と接続ロッド3310を接続する補強リブ3350は、補強リング3340と塔体フランジ筒3320を接続する補強リブ3350と、設置方式が同じであり、具体的には、上記説明を参照すればよく、ここで繰り返し述べない。
なお、補強リング3360と補強リング3340は、同時に存在してもよく、一方のみが存在してもよく、又は、いずれも存在しなくてもよい(具体的には、
図21及び
図24を参照すればよい)。
【0140】
補強リング3340、補強リブ3350及び補強板3360は、いずれも溶接などの方式で2つの接続ロッド3310、塔体フランジ筒3320に固定接続されて、クロスアーム接続金具3300を形成することができる。当然ながら、クロスアーム接続金具3300は、一体成形して設けられてもよいが、ここで限定されない。
【0141】
引き続き
図22を参照すると、クロスアーム接続金具3300は、接続タブ3370をさらに含み、接続タブ3370は、電柱3110に固定され、接続タブ3370と電柱3110との固定方式は、接続ロッド3310及び塔体フランジ筒3320と電柱3110との固定方式と一致するため、繰り返し述べない。
【0142】
第2斜張碍子3222の端部に接続された斜張接続金具3240(第2斜張接続金具3242)は、接続タブ3370に接続されている。具体的には、第2斜張接続金具3242と接続タブ3370は、U型リングによって接続され、接続タブ3370は、薄板であり、接続タブ3370には、接続孔が設けられ、U型リングと第2斜張接続金具3242は、締結具によってロックして接続された後、接続タブ3370における接続孔とも締結具を貫通させてロックして固定される。他の実施形態では、第2斜張接続金具3242は、接続ロッド3310を介して電柱3110に接続されてもよいが、ここで限定されない。
【0143】
1つの応用シーンにおいて、
図22及び
図25に示すように、支柱碍子3210と斜張碍子3220との塔体3100に接続されていない他端は、端部金具3230によって接続され、端部金具3230は、フランジ筒3231、密封板3232及び接続板を含む。フランジ筒3231は、軸方向に沿って中空構造として設けられ、支柱碍子3210の端部に嵌設するために用いられ、具体的には、支柱碍子3210における絶縁体(未図示)の端部に嵌設するために用いられる。密封板3232は、多角形の板部材であり、密封板3232は、フランジ筒3231の一端を閉塞して、フランジ筒3231の内部の支柱碍子3210が外部の水気などに腐食されないことを保証し、さらに支柱碍子3210の耐用年数を保証する。接続板は、フランジ筒3231の外周に設けられ、且つフランジ筒3231に接続され、斜張碍子3220を接続するために用いられる。
【0144】
水気などによる端部金具3230の腐食を避けるために、端部金具3230の表面は、溶融亜鉛めっき処理されており、端部金具3230の内部材料は、アルミニウム鋳物、鋳鉄又は合金鋼などの材料であってもよいが、ここで限定されない。
【0145】
なお、端部金具3230における各部分は、溶接などの方法で一体に接続されてもよい。
引き続き
図25を参照すると、密封板3232には、送電線を掛けて設けるための線掛け部32321が設けられている。具体的には、線掛け部32321は、送電線を接続する線クリップを取り付けるために用いられ、それにより、送電線を掛けて設けることを実現する。線掛け部32321の数は、1つ、2つ、4つ、ひいてはそれよりも多くてもよいが、ここで限定されない。線掛け部32321の数が複数である場合、複数の線掛け部32321には、同一の送電線を接続する複数の線クリップがそれぞれ取り付けられてもよく、それにより、そのうちの1つの線クリップが破損した場合、依然として送電線の安全吊り下げを保証することができる。
【0146】
1つの応用シーンにおいて、
図25に示すように、線掛け部32321は、線掛け貫通孔32321であり、密封板3232のフランジ筒3231から遠い両側には、2つの線掛け貫通孔32321が設けられ、2つの線掛け貫通孔32321には、送電線を掛けて設けるための線クリップがそれぞれ設けられる。
【0147】
他の応用シーンにおいて、
図26に示すように、端部金具4230は、端部金具3230と構造が類似し、異なる点は、密封板4232における線掛け貫通孔42321の数が1つであり、線掛け貫通孔42321が密封板4232の中間下部に位置し、線掛け貫通孔42321には送電線を掛けて設けるための線クリップが取り付けられることにある。引き続き
図25を参照すると、端部金具3230には、均圧環3233がさらに設けられ、均圧環3233は、対向して設けられた2組の環状部材32331及び接続部材32332を含み、接続部材32332により、環状部材32331と端部金具3230が固定接続される。具体的には、環状部材32331は、弧状を呈する管状の金属部材であり、接続部材32332は、複数本の金属板部材であり、接続部材32332の一端は、環状部材32331の内側に接続され、溶接又は締結により接続されてもよい。接続部材32332の他端は、端部金具3230に接続され、具体的には、密封板3232に固定接続され、溶接又は締結により接続されてもよい。このように、環状部材32331は、端部金具3230の外周に均圧環3233を形成する。
【0148】
図27を参照すると、本願は、端部金具
5000をさらに提供する。当該端部金具5000は、上記実施形態における端部金具1230と、構造が同じであり、具体的には、上記実施形態を参照すればよく、ここで繰り返し述べない。
【0149】
図28を参照すると、本願は、複合クロスアーム
6000をさらに提供する。当該複合クロスアーム6000は、上記実施形態における複合クロスアーム1200と、構造が同じであり、具体的には、上記実施形態を参照すればよく、ここで繰り返し述べない。
【0150】
以上は本願の実施形態にすぎず、本願の特許請求の範囲を制限するものではなく、本願の明細書および添付図面の内容を利用してなされた等価構造または等価プロセスの変換、またはその他の関連技術分野に直接または間接的に適用されるものは、いずれも同様に本願の特許請求の範囲内に含まれる。