IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ コーロン インダストリーズ インクの特許一覧

<>
  • 特許-燃料電池の膜加湿器 図1
  • 特許-燃料電池の膜加湿器 図2
  • 特許-燃料電池の膜加湿器 図3
  • 特許-燃料電池の膜加湿器 図4
  • 特許-燃料電池の膜加湿器 図5
  • 特許-燃料電池の膜加湿器 図6
  • 特許-燃料電池の膜加湿器 図7
  • 特許-燃料電池の膜加湿器 図8
  • 特許-燃料電池の膜加湿器 図9
  • 特許-燃料電池の膜加湿器 図10
  • 特許-燃料電池の膜加湿器 図11
  • 特許-燃料電池の膜加湿器 図12
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-17
(45)【発行日】2024-10-25
(54)【発明の名称】燃料電池の膜加湿器
(51)【国際特許分類】
   H01M 8/04119 20160101AFI20241018BHJP
   H01M 8/04 20160101ALI20241018BHJP
   B01D 53/22 20060101ALI20241018BHJP
   B01D 63/02 20060101ALI20241018BHJP
   H01M 8/10 20160101ALN20241018BHJP
【FI】
H01M8/04119
H01M8/04 N
B01D53/22
B01D63/02
H01M8/10 101
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2023571433
(86)(22)【出願日】2022-07-08
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2024-06-04
(86)【国際出願番号】 KR2022009969
(87)【国際公開番号】W WO2023033343
(87)【国際公開日】2023-03-09
【審査請求日】2023-11-16
(31)【優先権主張番号】10-2021-0115979
(32)【優先日】2021-08-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】518215493
【氏名又は名称】コーロン インダストリーズ インク
(74)【代理人】
【識別番号】100083138
【弁理士】
【氏名又は名称】相田 伸二
(74)【代理人】
【識別番号】100189625
【弁理士】
【氏名又は名称】鄭 元基
(74)【代理人】
【識別番号】100196139
【弁理士】
【氏名又は名称】相田 京子
(74)【代理人】
【識別番号】100199004
【弁理士】
【氏名又は名称】服部 洋
(72)【発明者】
【氏名】キム ドウ
(72)【発明者】
【氏名】アン ナヒョン
(72)【発明者】
【氏名】キム インホ
【審査官】加藤 昌人
(56)【参考文献】
【文献】特開2005-156039(JP,A)
【文献】国際公開第2020/138852(WO,A1)
【文献】国際公開第2019/235676(WO,A1)
【文献】韓国公開特許第10-2021-0011204(KR,A)
【文献】韓国公開特許第10-2014-0038687(KR,A)
【文献】特開2008-238068(JP,A)
【文献】特開2007-46801(JP,A)
【文献】韓国公開特許第10-2014-0038223(KR,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M 8/04- 8/0668
B01D 53/22
B01D 61/00-71/82
C02F 1/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1流体と第2流体との水分交換を行い、
ミッドケースと、
前記第2流体を前記ミッドケースに流入させる第2流体流入口と、
前記第2流体を外部に排出させる第2流体排出口と、
前記ミッドケースの内部空間を第1空間と第2空間とに区画する隔壁と、
前記ミッドケース内に配され、複数の中空糸膜を収容する少なくとも1つのカートリッジと、を含み、
前記第2流体流入口の断面積は、前記第1空間との流体連通のために、前記少なくとも1つのカートリッジにメッシュ状に配列された第1メッシュホール部をなすウィンドウの総面積と同じであるか、あるいはそれよりも広く形成されることを特徴とする燃料電池の膜加湿器。
【請求項2】
前記第1メッシュホール部をなすウィンドウの総面積は、前記少なくとも1つのカートリッジ内に収容された前記複数の中空糸膜によって占有された断面積を除いた前記少なくとも1つのカートリッジ内部断面積よりも広いか、あるいはそれと同じになるように形成されることを特徴とする請求項1に記載の燃料電池の膜加湿器。
【請求項3】
前記第2流体流入口の断面積をCS1とし、前記第1メッシュホール部をなすウィンドウの総面積をCS2とし、前記少なくとも1つのカートリッジ断面積をCS3とし、前記少なくとも1つのカートリッジ内に収容された複数の中空糸膜の断面積総合をCS4とするとき、前記第2流体流入口の内径は、CS1≧CS2≧CS3-CS4になるように形成されることを特徴とする請求項1に記載の燃料電池の膜加湿器。
【請求項4】
前記第2流体流入口を介して流入される第2流体の流量により、前記第1空間と第2空間とを流動する第2流体の流量を調節する能動型バイパス部をさらに含むことを特徴とする請求項1に記載の燃料電池の膜加湿器。
【請求項5】
前記能動型バイパス部は、
前記隔壁を貫通して形成されるバイパスホールと、
前記第2流体流入口を介して流入される第2流体の流量により、前記バイパスホールを開閉させるバイパスホール開閉手段と、を含むことを特徴とする請求項4に記載の燃料電池の膜加湿器。
【請求項6】
前記バイパスホール開閉手段は、
前記隔壁に形成され、前記バイパスホールを覆うように形成される単一弁膜部材であることを特徴とする請求項5に記載の燃料電池の膜加湿器。
【請求項7】
前記バイパスホール開閉手段は、
前記隔壁に形成され、前記バイパスホールを両側から覆うように形成されるデュアル弁膜部材であることを特徴とする請求項5に記載の燃料電池の膜加湿器。
【請求項8】
前記バイパスホール開閉手段は、
前記隔壁に形成され、前記バイパスホールを両側から覆うが、少なくとも一部が重なるように形成される二重弁膜部材であることを特徴とする請求項5に記載の燃料電池の膜加湿器。
【請求項9】
前記バイパスホール開閉手段は、圧力が上昇すれば、形状が変形され、圧力が低下すれば、本来形状に復元されるフレキシブル材質によって形成されることを特徴とする請求項5ないし8のうちいずれか1項に記載の燃料電池の膜加湿器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、燃料電池の膜加湿器に係り、さらに具体的には、加湿モジュール内における差圧損失を防止し、加湿効率を向上させうる燃料電池の膜加湿器に関する。
【背景技術】
【0002】
燃料電池とは、水素と酸素とを結合させて電気を生産する発電型電池である。該燃料電池は、乾電池や蓄電池のような一般化学電池と異なり、水素と酸素とが供給される限り、続けて電気を生産することができ、熱損失がなく、内燃機関より効率が2倍ほど高いという長所がある。
また、水素と酸素との結合によって生じる化学エネルギーを電気エネルギーに直接変換するために、公害物質排出が少ない。従って、燃料電池は、環境にやさしいだけではなく、エネルギー消費増大による資源枯渇に対する心配を減らすことができるという長所がある。
そのような燃料電池は、使用される電解質の種類により、大きく見て、高分子電解質型燃料電池(PEMFC:polymer electrolyte membrane fuel cell)、リン酸型燃料電池(PAFC:phosphoric acid fuel cell)、溶融炭酸塩型燃料電池(MCFC:molten carbonate fuel cell、固体酸化物型燃料電池(SOFC:solid oxide fuel cell)及びアルカリ型燃料電池(AFC:alkaline fuel cell)などに分類されうる。
それらそれぞれの燃料電池は、根本的に同一原理によって作動されるが、使用される燃料の種類、運転温度、触媒、電解質などが互いに異なる。そのうち、高分子電解質型燃料電池(PEMFC)は、他の燃料電池に比べ、低温で動作するという点、及び出力密度が高く、小型化が可能であるために、小規模据え置き型発電装備だけではなく、輸送システムにおいても、最も有望であると知られている。
高分子電解質型燃料電池(PEMFC)の性能を向上させるにおき、最も重要な要因のうち一つは、膜・電極組立体(MEA:membrane electrode assembly)の高分子電解質膜(PEM:polymer electrolyte membraneまたはproton exchange membrane)に一定量以上の水分を供給することにより、関数率を維持させることである。該高分子電解質膜が乾燥すれば、発電効率が急激に低下されるためである。
高分子電解質膜を加湿する方法として、1)耐圧容器に水をいっぱいにした後、対象気体をして、拡散器(diffuser)を通過させ、水分を供給するバブラ(bubbler)加湿方式、2)燃料電池反応に必要な供給水分量を計算し、ソレノイドバルブを介し、ガス流動管に直接水分を供給する直接噴射(direct injection)方式、及び3)高分子分離膜を利用し、ガス流動層に水分を供給する加湿膜方式などがある。
それらのうちにおいても、排ガス中に含まれる水蒸気だけを選択的に透過させる膜を利用し、水蒸気を、高分子電解質膜に供給される空気に提供することにより、高分子電解質膜を加湿する膜加湿方式が、膜加湿器を軽量化及び小型化させうるという点において有利である。
膜加湿方式に使用される選択的透過膜は、モジュールを形成する場合、単位体積当たり透過面積が大きい中空糸膜が望ましい。すなわち、該中空糸膜を利用して膜加湿器を製造する場合、接触表面積が広い中空糸膜の高集積化が可能であり、小容量でも、燃料電池の加湿が十分になされ、低価素材の使用が可能であり、燃料電池から高温で排出される排ガス(off-gas)に含まれた水分と熱とを回収し、膜加湿器を介し、再使用することができるという利点を有する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明は、加湿モジュール内における差圧損失を防止し、加湿効率を向上させうる燃料電池の膜加湿器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明の実施形態による燃料電池の膜加湿器は、
第1流体と第2流体との水分交換を行い、ミッドケースと、前記第2流体を前記ミッドケースに流入させる第2流体流入口と、前記第2流体を外部に排出させる第2流体排出口;前記ミッドケースの内部空間を第1空間と第2空間とに区画する隔壁と、前記ミッドケース内に配され、複数の中空糸膜を収容する少なくとも1つのカートリッジと、を含む。前記第2流体流入口の断面積は、前記第1空間との流体連通のために、前記少なくとも1つのカートリッジにメッシュ状に配列された第1メッシュホール部をなすウィンドウの総面積と同じであるか、あるいはそれよりも広く形成される。
本発明の実施形態による燃料電池の膜加湿器において、前記第1メッシュホール部をなすウィンドウの総面積は、前記少なくとも1つのカートリッジ内に収容された前記複数の中空糸膜によって占有された断面積を除いた前記少なくとも1つのカートリッジ内部断面積よりも広いか、あるいはそれと同じになるようにも形成される。
本発明の実施形態による燃料電池の膜加湿器において、前記第2流体流入口の断面積をCS1とし、前記第1メッシュホール部をなすウィンドウの総面積をCS2とし、前記少なくとも1つのカートリッジ断面積をCS3とし、前記少なくとも1つのカートリッジ内に収容された複数の中空糸膜の断面積総合をCS4とするとき、前記第2流体流入口の内径は、CS1≧CS2≧(CS3-CS4)になるようにも形成される。
本発明の実施形態による燃料電池の膜加湿器において、前記第2流体流入口を介して流入される第2流体の流量により、前記第1空間と第2空間とを流動する第2流体の流量を調節する能動型バイパス部をさらに含むものでもある。
本発明の実施形態による燃料電池の膜加湿器において、前記能動型バイパス部は、前記隔壁を貫通して形成されるバイパスホールと、前記第2流体流入口を介して流入される第2流体の流量により、前記バイパスホールを開閉させるバイパスホール開閉手段と、を含むものでもある。
【0005】
本発明の実施形態による燃料電池の膜加湿器において、前記バイパスホール開閉手段は、前記隔壁に形成され、前記バイパスホールを覆うように形成される単一弁膜部材でもある。
本発明の実施形態による燃料電池の膜加湿器において、前記バイパスホール開閉手段は、前記隔壁に形成され、前記バイパスホールを両側から覆うように形成されるデュアル弁膜部材でもある。
本発明の実施形態による燃料電池の膜加湿器において、前記バイパスホール開閉手段は、前記隔壁に形成され、前記バイパスホールを両側から覆うものの、少なくとも一部が重なるように形成される二重弁膜部材でもある。
本発明の実施形態による燃料電池の膜加湿器において、前記バイパスホール開閉手段は、圧力が上昇すれば、形状が変形され、圧力が低下すれば、本来形状に復元されるフレキシブル(flexible)材質によって形成されることが望ましい。
その他、本発明の多様な側面による具現例の具体的な事項は、以下の詳細な説明に含まれている。
【発明の効果】
【0006】
本発明の実施形態によれば、加湿モジュール内における差圧損失を防止し、加湿効率を向上させうる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】本発明の実施形態による燃料電池の膜加湿器が図示された正面図である。
図2】本発明の実施形態による燃料電池の膜加湿器が図示された平面図である。
図3図2のA-A’ラインから見た断面図の一実施形態である。
図4】一実施形態による燃料電池の膜加湿器のキャップを除去した加湿モジュールを、側面から見た図である。
図5】第2流体流入口の断面積と、カートリッジウィンドウの総面積と、カートリッジの断面積と、中空糸膜の断面積総合との関係を概念的に図示した図である。
図6図2のA-A’ラインから見た断面図の他の実施形態である。
図7】他の実施形態による燃料電池の膜加湿器のキャップを除去した加湿モジュールを、側面から見た図である。
図8】多様な実施形態の能動型バイパス部が図示された図である。
図9】多様な実施形態の能動型バイパス部が図示された図である。
図10】多様な実施形態の能動型バイパス部が図示された図である。
図11】本発明の実施形態による燃料電池の膜加湿器に装着されるカートリッジが図示された斜視図である。
図12】本発明の実施形態による燃料電池の膜加湿器に装着されるカートリッジが図示された断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
本発明は、多様な変換を加えることができ、さまざまな実施形態を有することができるが、特定実施形態を例示し、詳細な説明によって詳細に説明する。しかし、それらは、本発明を、特定の実施形態について限定するものではなく、本発明の思想及び技術範囲に含まれる全ての変換、均等物ないし代替物を含むと理解されなければならない。
本発明で使用された用語は、単に特定実施形態についての説明に使用されたものであり、本発明を限定する意図ではない。単数の表現は、文脈上、明白に取り立てての意味ではない限り、複数の表現を含む。本発明において、「含む」または「有する」というような用語は、明細書上に記載された特徴、数、段階、動作、構成要素、部品、またはそれらの組み合わせが存在するということを指定するものであり、1またはそれ以上の他の特徴、数、段階、動作、構成要素、部品、またはそれらの組み合わせの存在または付加の可能性を事前に排除するものではないと理解されなければならない。以下、図面を参照し、本発明の実施形態による燃料電池の膜加湿器について説明する。
図1は、本発明の実施形態による燃料電池の膜加湿器が図示された正面図であり、図2は、本発明の実施形態による燃料電池の膜加湿器が図示された平面図であり、図3は、図2のA-A’ラインから見た断面図の一実施形態であり、図4は、図3の一実施形態による燃料電池の膜加湿器のキャップを除去した加湿モジュールを、側面から見た図面であり、図5は、第2流体流入口の断面積と、カートリッジウィンドウの総面積と、カートリッジの断面積と、中空糸膜の断面積総合との関係を概念的に図示した図面である。
図1ないし図4に図示されているように、本発明の実施形態による燃料電池の膜加湿器は、加湿モジュール110とキャップ120とを含む。
加湿モジュール110は、外部から供給される第1流体と、燃料電池スタック(図示せず)から排出される第2流体との水分交換を行う。キャップ120は、加湿モジュール110の両端に締結される。キャップ120のうちいずれか一つには、外部から供給される第1流体を加湿モジュール110に供給する第1流体流入口121が形成され、他の一つには、加湿モジュール110によって加湿された第1流体を、燃料電池スタックに供給する第1流体排出口122が形成される。
加湿モジュール110は、第2流体流入口112と第2流体排出口113とを有するミッドケース111、及びミッドケース111内に配された少なくとも1つのカートリッジ20を含む。燃料電池スタック(図示せず)から排出される第2流体は、第2流体流入口112に流入され、加湿モジュール110内で水分交換された後、第2流体排出口113に排出される。
【0009】
本明細書において、第2流体流入口112または第2流体排出口113に/から流入/排出される流体は、第2流体に限定されるものではない。また、第1流体流入口121または第1流体排出口122に/から流入/排出される流体は、第1流体に限定されるものではない。
設計により、キャップ120のうち一つは、第2流体を加湿モジュール110に供給し、中空糸膜内部を流れるようにし、他の一つは、水分交換がなされた第2流体を外部に排出することができる。また、その場合、第2流体流入口112または第2流体排出口113のうちいずれか一つを介し、第1流体が流入され、残り一つを介し、加湿モジュール110によって加湿された第1流体が、燃料電池スタックに供給されるようにするのである。第1流体の流動方向と、第2流体の流動方向は、同じ方向でもあり、あるいは互いに反対方向でもある。
ミッドケース111とキャップ120は、それぞれ独立して、硬質プラスチックや金属によっても形成され、円形または多角形の幅方向断面を有することができる。該円形は、楕円形を含み、該多角形は丸いコーナー(rounded corner)を有する多角形を含む。例えば、該硬質プラスチックは、ポリカーボネート、ポリアミド(PA)、ポリフタルアミド(PPA)、ポリプロピレン(PP)などでもある。
ミッドケース111の内部空間は、隔壁114により、第1空間S1と第2空間S2とに区画されうる。第2流体流入口112を介して流入された第2流体のフローは、隔壁114によって遮断され、直ちに第2流体排出口113に排出されず、ミッドケース111内部に配されたカートリッジ20を介して流動しながら、水分交換を行った後、第2流体排出口113に排出される。隔壁114は、少なくとも1以上のカートリッジ20が挿入されうる挿入口Hを具備することができる。カートリッジ20については、図11及び図12を参照して後述する。
燃料電池スタック(図示せず)から排出される第2流体は、第2流体流入口112→第1空間S1→カートリッジウィンドウW→カートリッジ20内部空間→第2空間S2→第2流体排出口113の流動経路を有する。その流動経路において、カートリッジ20内部空間において、第2流体は、中空糸膜21内部を流動する第1流体と水分交換をしながら、第1流体を加湿する。
【0010】
そのような第2流体の流動経路において、流動断面積が大きくなれば、圧力降下(差圧損失)が生じ、第2流体の流動が遅くなることになり、加湿効率が低下されうる。特に、カートリッジ20内部空間における第2流体流動が遅くなれば、加湿効率が低下されうる。
従って、本発明の実施形態において、カートリッジウィンドウWの総面積を考慮し、第2流体流入口112の断面積が設計される。具体的には、第2流体流入口112の断面積が、第1空間S1との流体連通のために、カートリッジ20にメッシュ状に配列された第1メッシュホール部MH1をなすウィンドウWの総面積と同じであるか、あるいはそれよりも広く形成されうる。すなわち、第2流体流入口112の断面積CS1がより広く、ウィンドウWの総面積CS2がそれより狭いので、第2流体の流動断面積が狭くなり、第2流体の速度低下による差圧損失を防止することができる。
また、選択的には、第1メッシュホール部MH1をなすウィンドウWの総面積は、カートリッジ20の断面積と、カートリッジ20内部に収容される複数の中空糸膜21の断面積とを共に考慮して設計されうる。具体的には、第1メッシュホール部MH1をなすウィンドウWの総面積は、中空糸膜21によって占有された断面積を除いたカートリッジ20内部断面積よりも広いか、あるいはそれと同じになるように形成されることが望ましい。すなわち、ウィンドウWの総面積CS2がより広く、カートリッジ20の内部断面積CS3-CS4がそれより狭いので、第2流体の流動断面積がより狭くなり、第2流体の速度低下による差圧損失を防止することができる。
図5に図示されているように、第2流体流入口112の断面積をCS1とし、第1メッシュホール部をなすウィンドウの総面積をCS2とし、カートリッジ断面積をCS3とし、カートリッジ内に収容された複数の中空糸膜の断面積総合をCS4とするとき、第2流体流入口112の内径は、CS1≧CS2≧CS3-CS4になるように形成されることが望ましい。
図6は、図2のA-A’ラインから見た断面図の他の実施形態であり、図7は、図6の他の実施形態による燃料電池の膜加湿器のキャップを除去した加湿モジュールを、側面から見た図面である。
図6及び図7を参照すれば、本発明の他の実施形態による燃料電池の膜加湿器は、加湿モジュール110とキャップ120と能動型バイパス部130とを含む。加湿モジュール110とキャップ120は、前述の一実施形態と実質的に同一であるので、反復説明は、省略する。
【0011】
能動型バイパス部130は、第2流体流入口112を介して流入される第2流体の流量により、第1空間S1と第2空間S2とを流動する第2流体の流量を調節する。能動型バイパス部130は、バイパスホール131とバイパスホール開閉手段132とを含む。
バイパスホール131は、隔壁114を貫通して形成される。バイパスホール131は、三角形、四角形、円形、楕円形のような多様な多角形状または円形状に形成されうる。
バイパスホール開閉手段132は、圧力が上昇すれば、形状が変形され、圧力が低下すれば、本来形状に復元されるフレキシブル(flexible)材質によって形成される。例えば、バイパスホール開閉手段132は、弾性を有する材質(例えば、ゴム)の弾性弁膜によって形成されうる。
弾性弁膜によって形成されたバイパスホール開閉手段132は、第2流体流入口112を介して流入される第2流体の流量により、バイパスホール131を開閉させる。
第2流体の流量が増大すれば、増大された流量によって圧力が上昇しながら、弾性弁膜は、圧力方向に変形されながら、少なくとも部分的に、バイパスホール131を開放させる。該第2流体の流量が低減すれば、低減された流量によって圧力が低下されながら、弾性弁膜は、本来方向に復元されながら、少なくとも部分的に、バイパスホール131を閉鎖させる。
図8ないし図10は、多様な実施形態の能動型バイパス部が図示された図面である。
図8のように、能動型バイパス部130は、バイパスホール131と、隔壁114に形成され、バイパスホール131を覆うように形成される単一弁膜部材132aと、を含むものでもある。単一弁膜部材132aは、バイパスホール131周辺の一側にのみ形成されれば十分であるので、製造工程が簡単であるという長所がある。能動型バイパス部130の最も基本的な形態であると言うことができる。
図9のように、能動型バイパス部130は、バイパスホール131と、隔壁114に形成され、バイパスホール131を両側から覆うように形成されるデュアル弁膜部材132bと、を含むものでもある。デュアル弁膜部材132bは、バイパスホール131周辺の両側に形成されるので、第2流体流量変化に、さらに敏感に対応することができる。燃料電池の膜加湿器の体積が基本形より小さい場合、さらに有利な形態であると言うことができる。
【0012】
図10のように、能動型バイパス部130は、バイパスホール131と、隔壁114に形成され、バイパスホール131を両側から覆うものの、少なくとも一部が重なるように形成される二重弁膜部材132cと、を含むものでもある。二重弁膜部材132cは、少なくとも一部が重なるので、第2流体流量変化に、さらに鈍感に対応することができる。燃料電池の膜加湿器の体積が基本形より大きい場合、さらに有利な形態であると言うことができる。
第2流体流入口112に流入された第2流体の一部は、第2流体の流量により、能動型バイパス部130を介し、第1空間S1から第2空間S2に流れ、第2流体排出口113に排出される。能動型バイパス部130を流れる第2流体は、第1流体と接触しないので、水分交換を行わない。
なお、燃料電池の膜加湿器の体積が小型化されれば、燃料電池スタックから流入される第2流体により、燃料電池の膜加湿器内の差圧が異常に増大しうる。そのように、異常に増大した差圧は、燃料電池の膜加湿器の効率に悪影響を与えるので、そのときは、適切な差圧解消が必要である。能動型バイパス部130は、流入された第2流体の一部を、第2流体の流量により、中空糸膜をバイパスさせ、外部に排出させるので、異常な差圧増大を解消することができる。
従って、本発明の実施形態による能動型バイパス部130を具備した燃料電池の膜加湿器は、体積小型化にさらに有利であるという長所がある。
図11は、本発明の実施形態による燃料電池の膜加湿器に装着されるカートリッジが図示された斜視図であり、図12は、本発明の実施形態による燃料電池の膜加湿器に装着されるカートリッジが図示された断面図である。
図11及び図12を参照すれば、カートリッジ20は、多数の中空糸膜21、ポッティング部22、インナーケース23を含む。
【0013】
中空糸膜21は、ポリスルホン樹脂、ポリエーテルスルホン樹脂、スルホン化ポリスルホン樹脂、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)樹脂、ポリアクリロニトリル(PAN)樹脂、ポリイミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂、ポリエステルイミド樹脂、またはそれらのうち少なくとも2以上の混合物によって形成された高分子膜を含むものでもある。
ポッティング部22は、中空糸膜21の末端を固定する。ポッティング部22は、ディップポッティング、遠心ポッティングのようなキャスティング方式を介し、液状ポリウレタン樹脂のような液状樹脂を硬化させることによって形成されうる。
インナーケース23は、それぞれの末端に開口(opening)を有し、内部に多数の中空糸膜21を収容する。中空糸膜21の端部がポティングされているポッティング部22は、インナーケース23の開口を閉鎖させる。インナーケース23は、第1空間S1との流体連通のために、メッシュ状に配列された第1メッシュホール部MH1、及び第2空間S2との流体連通のために、メッシュ状に配列された第2メッシュホール部MH2を具備する。第1メッシュホール部MH1及び第2メッシュホール部MH2は、複数個のウィンドウWを含む。
第2流体流入口112を介してミッドケース111の第1空間S1に流入された第2流体は、第1メッシュホール部MH1を介してインナーケース23内に流れ込み、中空糸膜21の外表面と接触する。続けて、第1流体と水分交換された第2流体は、第2メッシュホール部MH2を介し、第2空間S2に抜けた後、第2流体排出口113を介し、ミッドケース111から排出される。
なお、第2流体のフロー方向が、第1流体流入口121に流入される第1流体のフロー方向と反対方向である場合、第2流体排出口113を介し、ミッドケース111の第2空間S2に流入された第2流体は、第2メッシュホール部MH2を介し、インナーケース23内に流れ込み、中空糸膜21の外表面と接触する。続けて、第1流体と水分交換された第2流体は、第1メッシュホール部MH1を介し、第1空間S1に抜けた後、第2流体流入口112を介し、ミッドケース111から排出される。
ミッドケース111とカートリッジ20との間には、ガスケット(図示せず)が設けられうる。該ガスケットは、機械的組み立てを介し、カートリッジ20を加湿モジュール110に装着させる。従って、加湿モジュール110の特定部分(例えば、カートリッジ20)に異常が生じる場合、ミッドケース111とガスケットとを加湿モジュール110から機械的に簡単に分離させた後、当該部分のみを修理したり交換したりすることが可能である。
【0014】
以上、本発明の一実施形態について説明したが、当該技術分野で通常の知識を有する者であるならば、特許請求の範囲に記載された本発明の思想から外れない範囲内において、構成要素の付加、変更、削除または追加などにより、本発明を多様に修正して変更させることができるであろうが、それらも、本発明の権利範囲内に含まれるものである。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12